第3章 栄養教諭制度を活用した学校における一体的取組

1 食に関する指導の推進のための一体的取組

 食に関する指導は、給食の時間や学級活動の時間のほか、家庭科や保健体育科などの教科指導、「総合的な学習の時間」など、様々な機会を通じて行われるものである。したがって、食に関する指導を効果的に進めるためには、校長のリーダーシップの下、関係する教職員がそれぞれの専門性を十分に発揮しつつ、相互に連携協力して取り組む必要がある。
 平成10年9月21日の中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」においては、「地域や子どもの状況を踏まえた創意工夫を凝らした教育活動を展開していくには、校長、教頭のリーダーシップに加えて、教職員一人一人が、学校の教育方針やその目標を十分に理解して、それぞれの専門性を最大限に発揮するとともに一致協力して学校運営に積極的に参加していくことが求められている」と指摘されている。食に関する指導は、まさに地域や子どもの状況を踏まえて行われるべきものであり、同答申における指摘が全面的に当てはまるものであるといえる。

2 栄養教諭の効果的な活用

 先に指摘したように、食に関する指導の推進のためには、校長、教頭のリーダーシップと、関係教職員の有機的な連携協力が不可欠であるが、その中で栄養教諭は、学校における食に関する専門家として、食に関する指導を進める上での連携・調整の要としての役割を果たしていくべきである。いうまでもなく、食に関する指導を担うのは栄養教諭に限られないが、栄養教諭を十分に活用することによって、学級担任や家庭科教諭等による指導と相俟って、一層の指導効果の向上が期待される。特に、望ましい食習慣の形成のためには、単に食に関する知識の教授に止まらず、習慣化を促すための継続的な指導が不可欠である。このため、栄養教諭が学級担任や養護教諭、家庭科教諭等と十分連携を取り、指導の継続性を確保できるよう、校長のリーダーシップの下、栄養教諭が参画して、食に関する指導に係る全体的な計画を作成するなどの取組が必要である。
 さらに、家庭や地域との連携においても、栄養教諭は要としての役割を果たし得るものであり、積極的な取組が期待される。
 このように栄養教諭は、学校の内外において、食に関する指導の充実の鍵を握る存在であり、その職責は非常に重いものと考えられる。この職責を全うするためにも、栄養教諭には高い資質が要求されるものであり、また、その資質を向上させるための努力が不断になされることが求められる。同時に、栄養教諭がその資質を十分に発揮するためには、校長をはじめとする学校内での理解と協力はもとより、家庭や地域の理解と協力が不可欠であり、栄養教諭が他の教職員や家庭・地域との連携を確保できるようにするための環境整備が重要となると考えられる。

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --