資料4 論点整理(検討すべき事項・これまでの主な御意見)

 

資料4

論点整理(これまでの主な御意見・検討すべき事項)

【全般に関する事項】

○これからの教育を担う教員に求められる指導力を、教員の専門性の中に明確に位置づけ、全ての教員がその指導力を身に付けることができるようにするため、教員養成・採用・研修の接続を重視して見直し、再構築するための方策について検討する。【平成26年7月中央教育審議会諮問】

 

 ○教員を目指す者や教員が、養成段階から教職生活全体を通じて、資質能力を深化・発展させることができるよう、教員養成・採用・研修の各段階における学校・教育委員会と教職大学院等大学との連携・協働の取組を推進するため、どのような方策が考えられるか。【平成26年7月中央教育審議会諮問】

 

<部会での御意見>

・「学び続ける教員像」の具現化に向けて、論点は熟してきており、今期の教員養成部会では教職生涯にわたる職能成長を支える具体的な制度設計の構築が必要である。

 

・養成・採用・研修の一体的改善、「学び続ける教員像」の実現、理念を実現するための社会システムの構築が必要という点については、ほぼ方向性として共通認識がある。これを実態的なシステムとしてどうつくっていくか検討すべきである。

 

・教員養成段階だけでは技能が十分ではなく、教職生活を通じて子供の成長、学びをどうサポートするかというスタンスと枠組みの中で制度設計をしていく必要がある。

 

・各都道府県が行っている研修に大学等が関わっていくというシステムが不可欠である。一部の県では、教育委員会・教員研修センターと協働して教職大学院のノウハウを生かしたルーブリックを開発し、研修を受けたことで大学院の単位にできるような仕組みを作っていく方向である。そのようなことは可能であるので、制度設計の中に是非入れていただきたい。

 

・教員の到達目標について、教員の養成段階、初任の段階、中堅、ミドルリーダー、管理職など、各段階での専門性基準というものを共通認識として、ナショナルスタンダードをつくっていく必要があるのではないか。そういうルーブリックを確立することによって初めて研修が積み上がっていくし、年を追うごとに資質能力が高まっていくことを可視化できる仕組みもつくっていく必要があるのではないか。

 

・各教員のライフステージに応じた段階でスタンダードなり、ルーブリックなりがあった方がよい。

 

・アメリカでは、教員の共通の専門的な枠組み、いわゆるスタンダードをつくっている。これをベースにしながら具体的な教員免許制度の設計や教育委員会と大学の役割分担などを並行していくことが今後必要ではないか。

 

・養成、初任研、10年研、教員免許更新講習、教職大学院、チーム学校での研修の在り方など、生涯にわたる職能成長を支える個々のものとして単独軸で議論するのではなく、それらを繋(つな)いでいきながら系統性を持たせ、それぞれどういう意義を果たしていくか議論すべきである。

 

・国、教育委員会、大学において、今、どういう資質を教員に求めるのかということについて少ししっかりした議論をしなければいけない。

 

・教員養成・採用・研修のシームレスなシステムとして、何がどの段階で求められるのかといったスタンダードやルーブリックを議論する必要がある。

 

・採用する県教委と大学の連携については、地域によって状況がかなり異なり、一県一大学で連携できるところもあれば、他県も含めて連携しなければならないところもあり、各地域の状況を整理しながら議論する必要がある。

 

・教員のキャリアステージに応じたスタンダードを作る際には、教育委員会と大学との連携や教員同士の学び合いの仕組みが必要である。

 

・教員養成・採用・研修の一体的改革の基盤として、大学・行政等の連携・協働の中核組織として「資質能力向上のための協議会」など「横串」を通す組織の設置が必要ではないか。

 

・横浜市では、教員の各キャリアステージにおける資質能力を明確化し、人材育成指標・研修体系を作成しており、求められる役割に応じたステージ毎(ごと)の研修の実施、研修の受講年次の弾力化、OJTの充実・強化などを実施している。

 

・東京都では、教員養成課程・採用選考・採用後の育成の一貫した取組として、教職課程カリキュラムにおける必要な資質・能力の明確化、教師養成塾における採用前の実践的指導力養成、一般選考以外の多様な選考方法の実施、1~3年目の若手教員育成研修などを実施している。

【採用・研修】 

○採用における当事者間のミスマッチを未然に防ぐため、採用前において学校現場を経験する機会を増やすなど、互いのニーズを符号させる工夫も必要である。【平成26年11月これからの学校教育を担う教員の在り方について(教員養成部会報告)】 ○教員養成・採用・研修の接続を強化しつつ、採用の前又は後に学校現場で行う実習・研修を通じて適性を厳格に評価する仕組みの導入や、選考過程の改善を図る取組を推進するため、どのような方策が考えられるか。【平成26年7月中央教育審議会諮問】

 

○教員養成・採用・研修の各段階における学校・教育委員会と教職大学院等大学との連携・協働の取組を推進するため、どのような方策が考えられるか。その際、特に、研修の内容を高度化する観点から、教職大学院等大学との連携の推進を含めどのような方策が考えられるか。【平成26年7月中央教育審議会諮問】(再掲))

 

○採用選考において教職大学院等の教育機能や実績を勘案し、進学者・修了者等を対象に、履修を評価した取組を促進する必要がある。【平成26年7月教員養成部会教員の養成・採用・研修の改善に関するWG論点整理】

 

○教職大学院と教育委員会等が共同で開発した研修プログラムに基づき教職大学院が授業科目を開設し、教員を教職大学院に派遣して教員の研修を実施する必要がある。【平成26年7月教員養成部会教員の養成・採用・研修の改善に関するWG論点整理】

 

○教員の資質能力の向上について、大学などにおける教員養成、教員採用、採用後の現職研修などの各段階を通じ、また、国、都道府県、市町村、学校などの取組主体が、一貫した理念の下、相互に関連して体系的に取り組む必要がある。とりわけ、独立行政法人教員研修センターの果たす役割は小さくなく、その機能強化を図ることが望まれる。【平成26年11月これからの学校教育を担う教員の在り方について(教員養成部会報告)】

 

○採用における当事者間のミスマッチを未然に防ぐため、採用前において学校現場を経験する機会を増やすなど、互いのニーズを符号させる工夫も必要である。【平成26年11月これからの学校教育を担う教員の在り方について(教員養成部会報告)】 

 

 

<部会での御意見>

・子供たちに教える中身が変われば、当然、教員に期待される資質能力も変化する。養成段階で担うべき役割と、圧倒的多数を占める現職教員の学びや成長の機会をどう認定させるのか議論が必要である。

 

・横浜市では教職10年以内の教員の割合が56%を超えている。本年度正規採用者が増えるので更にその割合は大きくなっている。その中で、教育の質をどう維持していくのかに関して重要な課題となっている。

 

・初任者が学級担任を持ちながら研修に出るということは、保護者にとっても「その先生は研修に出ていていない」ということになる。毎年、初任者の先生が担任になると、保護者はあからさまに「外れだ」というふうに判断するので大変厳しい状況にある。

 

・岐阜県では試行的に講師経験のない直採の先生については学級担任を外して、半年間、副担任をしながら研修に集中してもらっている。それは退職した教員の再任用ということともセットになっている。賛否両論あり、その効果については検証しなければならないが、小学校の教員と中・高の教員というのは基本的に養成の仕方が違うということ、そのことがこれからの時代にとって適切であるのかということも含めて議論させていただきたい。

 

・初任者への研修を通じて、学校全体での全教員への研修や校内研修組織の活性化につながるシステムとして考えるべきである。

 

・初任者研修においては、再任用の教員等も活用したメンター制をどう構築していくのかが重要である。

 

・ミドルリーダーの育成としての研修、研修への大学の関わり方が重要である。

 

・教員養成大学のミッションとして、教員研修への関与も必要である。

 

・現職の管理職と現職教員の意識変革・改革が必要である。

 

・教員養成の4年間と、その後、先生になってからの三十何年という話があるが、いい授業をする先生がICTも上手に使うというのが経験則としてあり、教員養成を充実させることも大事であるが、むしろ現職教育をどのようにやっていくかがこの分野でも非常に重要である。

 

・公立学校教員だけではなく、私立学校教員も非常に重要な研修の対象であり、全教員を対象にした全体的な資質の向上が必要である。

 

・和歌山県においては、大学と教委の合同カンファレンスの実施、教員・指導者交流派遣、SNS等のコミュニティ作りなど大学と教委との連携による初任者研修を実施し、学び続ける資質を養うため研修内容の重点化を図っている。

 

・山口県においては、コミュニティ・スクールを活用した人材育成として、学校と教育委員会が連携し、コミュニティ・スクールと連動したユニット型研修を実施するなど、校内研修の活性・充実を図るため、初任者から3年目までの若手人材を組織的に強化している。

 

・北海道においては、ジョブシャドーイングによる初任者指導や初任段階(1~5年目)としての研修体系の見直しを図っている。

 

・アクティブラーニングを行うための教員の研修においては、振り返りと授業での実践のサイクルを創る校内研修システムの構築が必要である。また、各地の研修センター等での年間を通じた継続的で探求的な専門的研修、新たな学びの過程の実践記録に基づく専門性基準高度化の認定、大学での学び直しや専門職の高度化等が必要。

 

・特別支援教育についての教員の研修では、コーディネーターを核とするチーム支援体制、授業改善、支援員等の活用、地域資源の活用等が必要である。

 

・道徳の教科化への対応として、特に中学校教員の専門的指導力を確保するための研修の充実、道徳の「特別の教科」としての趣旨を理解し実践に生かすための計画的な研修、校内研究や地域研究の充実のための道徳教育に関する研究委嘱事業等の充実、柔軟な発想力とリーダー性を備えた道徳教育推進リーダーの養成等が必要である。

 

【養成・免許】

○主体的・協働的に学ぶ授業を展開できる指導力、教科等横断的な視野を持って指導できる力、小中一貫教育など学校種を超えて指導できる力や小学校における教科指導の専門性などを身に付けさせる観点から、教育職員免許法に規定されている教員養成課程で学ぶべき内容や課程認定の在り方も含め教員免許制度をどのように見直していくべきか。その際、特に学校現場を経験する機会の充実も含め、どのような方策が考えられるか。【平成26年7月中央教育審議会諮問】

 

○教員免許制度の改善【平成26年7月教員養成部会教員の養成・採用・研修の改善に関するWG

 論点整理】

  ・教員には、学校段階間の接続及び円滑な移行に対応できる指導力、教科横断的な知見を踏まえた指導力が求められており、教員養成課程の教育課程の見直し、教員免許状取得に必要な所要資格を改めることが必要。 

  ・また、現在、幼稚園・小学校・中学校・高等学校の普通免許状は学校種毎(ごと)に授与され、また、中学校・高等学校の教員免許状は教科ごとに授与されるが、この学校種・教科種ごとの教員免許状を同時に複数取得しやすい方策を講じる必要性の有無について検討する必要がある。

 

○教員養成における課題【平成26年11月これからの学校教育を担う教員の在り方について(教員養成部会報告)】

  ・児童生徒が主体的・協働的に学ぶ授業を展開できる力や、各教科横断的な視野で指導できる力、学校段階間の円滑な移行を実現する力など、従来の力に加え、新しい指導力が必要。

  ・特別支援教育、小学校英語の教科化、道徳の教科化、ICTの活用など、近年の教育改革の方向に合わせた教員養成課程の充実を図るとともに、生徒指導や学級経営を行う力の育成にも対応することが求められている。

  ・実践的指導力を養うため、大学においては、教育委員会や学校現場の実情、ニーズを把握し、これらの者と共通理解の下に教員養成を行う必要がある。その際、教職生活全体を俯瞰(ふかん)して、養成段階で身につけるべき内容を整理する必要がある。

  

<部会での御意見>

・教員養成については、生涯にわたる職能成長を支える養成としての施策を考えていかなければいけないという方向性は相当クリアになってきた。

 

・教員スタンダードをベースとして具体的な免許制度の設計や教委と大学との役割分担を考えていく必要がある。

 

・これまで教職課程は、認定、つまり、許認可という枠組みの中で最低基準をクリアしているかどうかというところだけを評価してきたが、今後は、許認可という認定の段階から、外部評価、情報公開、養成課程を担当する教員の在り方など、事後的な教職課程の評価、認証というところに視点が移っていくべきである。

 

・専修免許状を視野に入れながら高度化を進めていく制度設計が必要である。

 

・幼稚園教育の免許の在り方についても議論すべきである。

 

・教職課程において、長期学校インターンシップ、学校ボランティアの単位化を実施している(岡山大学)。

 

・教員養成コアカリキュラムを策定し、実践的指導力養成、「教職実践演習」「教職実践演習インターンシップ」の必修化、教科及び教職に関する科目を有機的に結びつけた体系的な教育課程を用意している(岡山大学)。

 

・教師教育開発センター(全学的教員養成組織)を設置し、教職課程を担当する各学部のFD研修の実施、全学の教職課程に関する審議、教委との連携協力を実施している(岡山大学)。

 

・アクティブラーニングについては、教員養成に関わる大学教員のアクティブラーニングに関する知識の必要性必要性、実践や実地、実習と理論の往還による事例に基づく専門的見識の育成、行政、大学、地域の連携校のチームによる連携の必要性等の課題がある。

 

・特別支援教育については、高度専門性を修得させる必要がある一方、全校種の教員が必要とする基礎的知識もある。また、免許法認定講習での免許状保有率促進が必要である。

 

・道徳については、教職科目「道徳の指導法」について改正学習指導要領の趣旨に沿った改善、実践的指導力を高めるための大学の授業における実施環境の整備、大学で指導できる教員の確保、小中における道徳教育科目の差別化等の課題がある。

 

資料4

(別紙)

論点整理事項

【全般に関する事項】

・教員のキャリアステージに応じた育成指標やそれに基づいた養成・研修段階での育成の在り方・制度的仕組みについてどう考えるか。

・上記の育成指標の策定や養成・研修段階での育成の在り方・制度的仕組みを考えた場合、国、教育委員会、大学等それぞれの果たす役割についてどう考えるか。

・教育委員会や教職大学院等大学との連携・協働のための組織の設置や役割についてどう考えるか。

・上記以外にはどのような論点があるか。

 

【採用・研修】

・例えばメンター制の促進など、初任者研修の改善の方策についてどう考えるか。

・ミドルリーダーとしての研修をどう位置付けるか。特に、十年経験者研修の改善の方策についてどう考えるか。

・新たな教育課題(アクティブラーニング、道徳、特別支援教育等)に対応した教員研修を担保する仕組みをどう考えるか。

・研修実施体制の整備・充実の方策についてどう考えるか。

・教員採用における多様で専門性を持つ人材の確保についてどう考えるか。

・独立行政法人教員研修センターの果たす役割についてどう考えるか。

・教員採用選考の共同実施についてどう考えるか。

・上記以外にはどのような論点があるか。

 

【養成・免許】

・新たな課題(アクティブラーニング、道徳、特別支援教育等)に対応した教職課程の在り方についてどう考えるか。

・学校現場を経験する機会の充実のための方策についてどう考えるか。

・教職課程の質保証の仕組みについてどう考えるか。

・専修免許状を視野に入れた教員の資質能力の高度化についてどう考えるか。

・教員免許制度の改善の方策についてどう考えるか。

・上記以外にはどのような論点はあるか。

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成27年09月 --