中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会基本問題小委員会(第4回)・初等中等教育分科会教員養成部会(第129回)合同会議

1.日時

令和4年3月15日(火曜日)12時45分~14時45分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 特定分野に強い専門性を持った教師の養成・採用について
  2. 認定こども園法改正に伴う幼稚園教諭免許状授与の所要資格の特例について

4.議事録

【加治佐部会長】  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会第4回基本問題小委員会・初等中等教育分科会第129回教員養成部会を開催いたします。本日もウェブ会議システムを活用しての開催です。 それでは、本日の会議の進め方等について、事務局から説明をお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】  教育人材政策課の中村です。会議の進め方について確認させていただきます。本日もウェブ会議システムを活用していますことから、発言に当たりましては、聞き取りやすいようにはっきり御発言いただきたいこと、御発言の際は名前をおっしゃっていただきたいこと、発言時以外はマイクをオフ、ミュートにしていただきたいこと、御発言に当たっては「手を挙げる」のボタンを押していただきたいことについて御協力をお願いいたします。Webexのチャット機能につきましては、傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段としていただくなど補助的な使用としていただくようお願いします。本会議の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信をしております。

 配付資料は、議事次第に記載のとおりとなっております。

 なお、参考資料3につきましては、昨年の11月に中教審の特別部会でおまとめいただきました審議まとめを踏まえまして、新たな教師の学びの姿の実現に向けた研修等の充実方策や教員免許更新制の発展的解消等を行う法案の概要となっていまして、先月国会に提出し、今後審議が行われる見通しとなっておりますので、私から補足いたします。説明(音声途絶)

【加治佐部会長】  中村さん、よろしいですかね。分かりました。ありがとうございました。

 それでは、今日は2つ議事があります。議事1は、こちらは基本問題小委員会の議事となりますが、「特定分野に強い専門性を持った教師の養成・採用について」です。6名の先生方に御発表いただきます。国士舘大学の北神先生、三小田先生、明治学院大学の水戸先生、小林先生、関西外国語大学の塚田先生、西村先生、後ほど御発表をどうぞよろしくお願いいたします。もう一つの議事2は、教員養成部会の議事になります。「認定こども園法改正に伴う幼稚園教諭免許状授与の所要資格の特例について」であります。

 それでは早速、議事1に入ってまいります。まず事務局から説明をいただき、その後、6名の先生方の発表、そして最後に全体を通しての意見交換、質疑応答を行います。

 それでは、まずは事務局より説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】  失礼いたします。教員免許企画室長の平野でございます。

 本日の議題であります、特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用に係る検討の方向性と主な論点ということについて御説明させていただきます。資料は1-2でございます。1-1として概要もお配りしておりますので、こちらも併せて御参照いただければ幸いでございます。

 資料のスライド2でございます。現状ということでございます。特定分野に強みや専門性を有する教員の養成・採用をめぐる状況について御説明いたします。我が国の教員養成は大学で行うことを基本とするとともに、いわゆる開放性の教員養成を原則としているところであり、様々な専門分野を学びながら教職を目指すことが可能となっております。多様性と柔軟性を備えた教職員集団へと転換していくということが求められている中にあって、開放性による教員養成の趣旨を踏まえ、各認定大学がそれぞれの特色を生かしながら、特定分野に強みや専門性を有する教員を要請していくことが求められているところでございます。

 一方で、教育実習の履修時期や、教員採用試験が民間の採用活動と重なるといったような課題もあり、一般大学・学部において、教職過程の履修を断念する傾向が見られる例も出てきているという状況でございます。

 その後、幾つか参考資料が続きますけれども、スライドの5番目でございます。これまでの特別部会での議論ということを、検討の方向性がまとまっておりますので、改めて確認をさせていただきます。

 検討の方向性においては、教職課程と大学等で展開される多様な事業科目を組み合わせて学修することにより、教壇に立つ上で最低限の能力に加えて、学校現場における今日的な教育課題に対応した特定分野に強みや専門性を持った人材を養成する取組を促進する方策、教育委員会や学校現場のニーズを踏まえたものとする方策や、専門分野と同時に学習する教職課程の在り方、小学校高学年における教科担任制の推進等についても検討することとされているところでございます。

 次のスライドお願いします。こうした特別部会での議論というものも踏まえまして、本日の基本問題小委員会における御審議に対しまして、改めて検討の方向性を示させていただいております。学校教育課題が多様化する中、学校現場における今日的教育課題に対応した特定分野に強みや専門性を持った教師を養成することが求められているところであり、こうした新たな現場ニーズに対応した特定分野に関して高い専門性を持った人材が教師になることを促進することが重要だと考えられます。

 このため、専門分野の学びを深めたり、在学中に教師を志すようになった者が、卒業までの間に教員免許状を取得することについても柔軟に対応できるよう、学校現場における今日的課題に対応した特定分野に強みや専門性を持った教師の養成に係る特例的な措置として、教職課程の履修負担の軽減を図るといったようなことについて方向性をお示しさせていただいたところでございます。

 今日的教育課題に対応する特定分野ということの注意書き、米印部分でございますけれども、データ活用、STEAM、障害児発達支援、日本語指導、心理教育相談、社会福祉、社会教育のほかにも、例えば高い語学力、外国語指導力、グローバル感覚を身につけるために、海外留学を希望する学生を念頭に教職課程の履修に係る負担を軽減すること等も考えられる、このようなことを記載しているところでございます。

 次のスライドをお願いいたします。この検討の方向性について御審議をいただくに当たり、主な論点ということで例をお示しさせていただいてございます。

 1つ目、特定分野に強みや専門性を持った教師の養成に係る特例的な措置ということで、例えば4年制大学においても、2種免許状の取得というものを念頭に置いた教職課程の開設や履修モデルと、このようなものを設定するということについてどのように考えるか。また、このようなことを可能とする場合、具体的な現場採用ニーズに即したものであることを明らかにすることなどの一定の条件を付すことについてどう考えるか。この真ん中のところに一定の条件の例ということで考えられるものを挙げさせていただいてございます。

 特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用を一体のものとしていくための、大学と教育委員会との連携の在り方についてどう考えるか。特定分野の強みや専門性を持った教師の採用を促進するための取組として、どのようなことが考えられるか。このようなものを御議論いただく論点として挙げてございます。

 また、先ほどの、次のページが今の必要取得単位数でございます。その次のページ、普通免許状の授与件数、その次のページが特定分野に強みや専門性を持つ者に対する特別選考の実施状況でございます。芸術、情報処理、心理士、社会福祉士等の資格を持つ者に対して特別の選考を実施する等の取組が行われているところでございます。

 次のページをお願いします。もう一個の検討の方向性といたしまして、小学校高学年における教科担任制の推進に関する現状について御説明いたします。小学校高学年における教科担任制については、昨年1月の中教審答申において、令和4年度をめどに本格的に導入する必要があるとされ、その後、義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議報告というものにおきまして、各地域・学校の実情に応じた取組が可能となるような定数措置により、特定教科における教科担任制の推進、専科指導の充実を図ることを中心に考える。外国語、理科、算数及び体育について、優先的に専科指導の対象とすべきと、教科とすることが適当等の追記があったところでございです。

 こうした点も踏まえて、今後、学校規模や地理的条件、各地域や学校の実情に応じた強化担任制の取組を進めていくためには、中学校と小学校の教員免許状の併有促進というものに留意しながら、特定教科の指導に係る高い専門性を持った小学校教師を確保するという観点から、小学校教員の養成の在り方についても検討していくことが重要となっているところでございます。

 次のページは検討会議報告書の概要でございます。また、新しい教科担任制に関係する予算のポンチ絵が次についてございます。

 スライド、次でございます。小学校教員免許状の取得促進に関する内容については、昨年2月に公表した、このプランの中でも関連の制度改正が盛り込まれているところであり、1つ目の義務教育特例の新設、3つ目の教職課程設置に係る要件緩和については、既に制度改正がされたところでございます。

 2つ目の現職教員が追加で小学校の免許状を取得する場合の要件の弾力化については、今般の教員免許更新制の発展的解消、研修の充実に係る法律改正と併せて、関連の改正を行うという内容を盛り込んでいるところでございます。

 次のスライドからはしばらく関係する資料が続いてございます。

 その上でスライドの22番目でございますけれども、少し紹介だけさせていただきますが、こちらは令和3年度教員採用選考試験における複数の教員免許状の所持による特別選考の状況でございます。各教育委員会の状況に応じて、小学校の教員養成・採用に当たっての中学校の免許状、中学校の教員採用に当たっての小学校の免許状、これを併有する場合に加点とかの措置を行うということが行われているところでございます。

 次のページは小学校等における教科担任制に係る平成30年度の計画でございます。

 続きまして、働き方の事例集、このようなものも掲げておりますけれども、専科指導教員による指導に加えて、担任間での授業交換や合同事業を導入することにより、教科指導の専門性を高めるとともに、学級担任による授業準備、実施の負担を軽減するなどの取組が行われているところでございます。

 資料をしばらく飛ばしていただきまして、資料の32枚目まで飛んでいただければと思います。様々なデータを織り込ませていただいてございます。改めてお手隙の際に確認いただければと思いますけれども、こうした状況を踏まえつつ、2つ目の検討の方向性として、各地域や学校の実情に応じた小学校高学年における教科担任制の取組を進めていく観点から、小学校と中学校の教員免許状の併有促進に留意しながら、特定教科の指導に強みを持つ小学校教師を養成する取組を促進することが重要ではないか。このような内容を示しているところでございます。

 具体的には次のページでございます。主な論点の例ということでございます。学校規模や地理的条件等、各地域や学校の実情に応じ、義務教育9年間を見通した教科担任制の取組を促進する観点から、中学校教職過程というものを開設する学科等において小学校の教職課程の開設を促進する方策にはどのようなことが考えられるか。

 2つ目としては、前提条件としてまず注書きが2つついてございます。この内容を説明いたしますけれども、小学校における指導の実態も踏まえて、教職課程認定基準においては、教員養成を主たる目的とする学科等でなければ小学校の教職課程の認定を受けることができないとされているところでありますけれども、小学校高学年における教科担任制というものを推進していくための特例的な措置として、例えば開放性による教員養成の特性を生かし、教員養成を主たる目的とする学科等以外の学科等においても、小学校高学年における教科担任制に対応した小学校教員養成を行うことについてどう考えるか、ということでございます。

 もうちょっと具体的に申し上げますと、教員養成を主たる目的とする学科以外の学科においても小学校の教職課程を設置することができるようにするということについてどう考えるかということでございます。

 なお、注意書き1の中の後半、括弧書きにもありますけれども、現行制度においても、数は少ないわけではありますけれども、体育学部や外国学部等の教員養成学部以外の学部の下に教員養成を主たる目的とする学科等として小学校教員養成課程を設けているものが幾つかございます。本日、これらの大学から取組の状況を御報告いただくこととしているところでございます。

 次のページでございます。こちらは、中学校教員の免許状に加えて小学校の教員免許状を取得する際の最低限必要となる教職科目の開設・履修のイメージということでございます。先だって改正を行いました義務教育特例の新設、小学校教員養成課程設置に係る要件緩和を踏まえますと、例えば数学の中学校1種免許状に加えて小学校教員免許状を取得する場合には、教職課程認定基準に基づいて、小学校免許状、中学校免許状に係る教職課程、教職科目として共通に開設することができない、最低限追加的に必要となる教職科目の単位数については、1種免許状の場合には、小学校での指導教科全教科10教科のうち、中学校教員免許状の教科以外の教科に係る指導法、自分の中学校の免許状以外の教科については9単位以上、指導法を学ばなければいけない。2種免許状の場合には、6教科指導法を取ることが必要ですので、中学校の免許状で取得した教科以外の5以上の教科の指導法について5単位取らなければいけない、このようなことになっているところでございます。

 最後に、次のページでございますけれども、御参考として小学校教員を養成する大学に関する過去の中教審答申というものについて掲載をしているところでございます。

 一旦私からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】  ありがとうございました。それでは、小学校課程を設置する3大学からのヒアリングに入ってまいります。初めに、国士舘大学の北神先生、三小田先生、よろしくお願いいたします。

【三小田氏】  よろしくお願いいたします。それではまず、パワーポイントを表示させていただきます。それでは、よろしくお願いいたします。

 国士舘大学体育学部こどもスポーツ教育学科における小学校教員養成の取組について、説明していきたいと思います。まず初めに、この養成課程を設置した背景と目的について説明したいと思います。

 背景としましては、1、体力運動能力の低下、いじめ、不登校などの生徒指導上の問題などの子供を取り巻く現状と課題への対応、2、大量退職と教員の高齢化に伴う動ける小学校教員の養成への対応、これらに加えまして、小学校の免許を取得したいという学生からのニーズが挙げられます。

 体育学部は、こどもスポーツ教育学科以外に、体育学科、武道学科、スポーツ医科学科がありまして、中学校・高等学校の教員を輩出しており、この実績を生かして、「こどもの『心と体』を育てる体育・スポーツの得意な小学校の教諭を養成する」ことを目的として、2008年4月に設置することになりました。取得可能な免許状としましては、小学校教諭1種免許状、中学校・高等学校(保健体育)の1種免許状が取得できます。

 在籍者数、卒業要件単位数、免許状取得者件数、これは表のとおりです。

 次に、就職者数ですけれども、平成30年からの3年間のデータを示しております。全て小学校の合格者数となっております。正規合格は大体20名以上、そのほかに臨認、それから産休代替でこのような数が就職しており、全てを表すと右のような数となっております。これは免許取得者の大体60%に当たっております。

 これはそれぞれの年度の進路状況です。

 それでは次に、こどもスポーツ教育学科の特色について説明したいと思います。まず、学びの特色の一つとしまして、体育学部の強みを生かした3つの免許取得が挙げられます。中・高保健体育の教員免許状取得に関しましては、体育学科の指導協力を得ており、柔道と剣道の授業に関しましては、武道学科の教員にも指導をお願いしています。また、スポーツ医科学科の教員により、救急処置法の授業が開講されており、学生は心肺蘇生などの救急処置を身につけることができています。

 次に、学びの特色の2番目としまして、実際の指導場面を想定した授業での実践力の習得が挙げられます。小学校の教科領域であります国語、算数、社会、理科、生活科、体育、音楽、外国語ほか、総合的な学習の時間、特別活動、特別の教科、道徳を専任が指導しております。ここに表しているのは模擬授業の様子です。

 次に、学びの特色の3としまして、小学校における校外学習活動での指導を兼ねた、教育課程としての実施が挙げられます。臨海実習では、2時間遠泳を通しまして、学生自身の泳力を上げるだけでなく、海辺の観察や安全指導などのプログラムも組み入れ、臨海実習を実施する際の留意点なども学習できるようにしています。また、キャンプ実習では、実際のキャンプの実施方法や留意点などを学びます。今年は、資格を持っている教員の指導の下、キャンプインストラクターの資格も取得できるようにしました。

 では、学びの特色の4としまして、GIGAスクール構想や小学校における外国語への対応が挙げられます。GIGAスクール構想への対応については、後ほどまた詳しく説明したいと思いますが、小学校における外国語指導においては、学生の中には、英語の指導に不安を抱えている者も多く、小学校英語、英語概論、教科教育法、英語の授業を通して、なるべくアウトプットを多くしながら、基礎的な力と実際の授業に対応できる実践力を身につけています。

 それでは、次に教育課程外での取組について説明します。単位化はしていませんが、学校ボランティアを推進しており、近隣の小学校と連携して、学生は空き時間に学習支援を行ったり、運動会やスポーツ大会の支援を行ったりしています。これはスポーツ大会の支援の様子です。これ以外にも、東京都や神奈川県からの要請を受けまして、校外学習の引率補助を行っております。

 次に、ミニ運動会と称していますが、近隣の小学校を招待して運動会を実施しています。これは学生が中心となって企画・運営していますが、こどもスポーツ教育学科の学生は、現場に出た際に、運動会などの体育に関する場面で中心になることが予想されることから、現場で役に立つ力として、このような活動を行っています。

 次に、3年の終了時に学外研修というものを行っています。この行事は3年間の学びの集大成と考えており、この研修で自分たちの学びを振り返り、教育実習に向かうことを目的としています。内容としましては、1日目に近隣の小学校の授業を見学し、そして宿泊施設に移動して、見学した授業について意見を交換し、その後、場面指導についてグループ協議を行います。2日目は、学生主導の下、スポーツ大会が行われています。実は、こどもスポーツ教育学科では、スポーツ・武道推薦という者が大体15名以上、それから、そのほかにも強化クラブに入っている者が20名以上おりますので、大抵その者は全国レベルの競技力を持っております。

 次に、先ほども紹介しましたが、GIGAスクール構想と外国語指導に対応するために、2つのプロジェクトを進めています。

 一つは海外交流プロジェクトです。学生に海外の文化と外国語での交流に興味を持ってもらうことを目的としています。ドイツの大学と小学校への訪問を考えていましたが、コロナの影響で実施できなくなりましたので、Zoomなどを用いた交流を行うことにしました。本年度は、オーストラリアの小学校と交流することができ、実は相手が幼稚園生でしたので、簡単な折り紙を指導したり、琴の演奏や説明を行ったりしました。

 もう一つのICT活用指導力養成プロジェクトでは、まず、初めに、教員がICT機器を使用した授業をモデルとして提示します。そして、2番目として、学生が模擬授業などでICTを使用した授業づくりを進めます。右側に音楽の授業の例が出されていますが、これはロイロノートを使って、リズムの工夫をしている音楽指導の授業となります。そして、現在募集をしているのですが、様々な授業で学生が行ったICTを使った授業の授業案と指導方法を提出してもらい、こちらでまとめて共有したいと考えております。

 次に、教員採用試験対策について説明いたします。これは、もともとは学生の有志が集まって始めたものですが、指導は小学校などの現場を経験した教員が中心に行っています。まず3年生では、現代的な教育課題についてグループ協議をします。グループでまず話し合って、それで発表しています。今まで取りやすかった課題としましては、体力向上、道徳教育、キャリア教育、学習意欲、様々な問題を取り上げてきています。これに基づいて小論文を書きます。4年生では、2次対策としまして、面接や小論文だけでなく、模擬授業や場面指導などの指導も行っております。

 次に、学校現場からの声を紹介したいと思います。卒業生が、大体、就職して5年ぐらいたちますと、体育主任としての活躍、それから、体育や体育行事の中心的なリーダーとなっていると聞いております。また、教育実習等もそうですけれども、動ける、子供とのコミュニケーションをよく取ることができる、協調性があるという声が聞かれます。また、武道を通して礼儀作法を身につけている、それから時間厳守ができる、身だしなみだとかがきちんとしているという評価があります。

 また、3つの免許を持っていたところ、小学校で合格したとしましても、何年か経験しますと、中学校のほうに赴任にしているという話も聞きますので、実は義務教育学校への赴任も可能です。

 次は、小学校教員養成における今後の課題、このように3つほど挙げておきました。

 大体時間が来たかと思いますので、これで、私からの発表を終わりにしたいと思います。御清聴ありがとうございました。

【加治佐部会長】  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、明治学院大学の水戸先生、小林先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【水戸氏】  よろしくお願いします。画面共有をしたいんですが、よろしくお願いします。それでは、よろしくお願いします。まず、最初の部分を私水戸から発表させていただいて、後半の部分を小林先生から発表していただきたいと思います。

 まず、どういういきさつで心理学部の中に小学校教員養成の課程ができたのかというところまでまず説明させていただきます。明治学院大学の中に、もともとは文学部の中に心理学科というのがありまして、それが心理学部に昇格して、そのときはまだ心理学科1学科しかなかったんですが、そこに教育発達学科という小学校教員養成の学科が新しく加わったという、そういうような発展の経過をたどっております。

 それで、最初は100名定員で始まったんですが、その後、コース制の導入とともに130名の定員になって、現在では145名となっております。

 取得できる免許状は、ここに書かれてありますように、小学校、幼稚園、それから特別支援学校教諭1種の免許状を取得できるようになっております。

 どのような背景で、この心理学部の中に小学校の教員養成をつくろうかということになったという経緯についてちょっと詳しく御説明させていただきたいんですが、この2006年の中央教育審議会の今後の教員養成免許制度の在り方についての答申に、我々が心理学部の中に教員養成の学科をつくった大きな理由が集約されていると思うんですが、ここに4点書かれているような、子供の教育に関する課題がこの頃から非常に大きくクローズアップされるようになって、それを解決できる教員を育成するためには、子供の心をきちんと理解できて、心の成長を支援することができる教員が必要だろうということで、そのために、心理学部の中に心理学の強みを生かして教員養成の学科をつくろうということになりました。

 もう一つの大きな特徴としましては、それぞれに必要な学問を孤立して学ぶのではなくて、心理学、それから特別支援、それから教科教育、それらが融合して一つの学問体系をつくって、それを学ぶことによって、ここに示された課題を解決できる教員を養成しようということを目指しております。

 余談ですが、学科新設から10年余りたちまして、この目的がどの程度達成されたかということを振り返ってみますと、今まさにこの審議会でいろいろと提言していただいているように、どうしても教職科目の数が多かったりとか、そのために学生のニーズとしてももっと心理学とか特別支援の勉強をしたい、単位を取りたい、もっと科目、授業を受けたいというのがあるんですが、教職の科目の負担というのが重しになって、なかなか我々も当初の目的を達成することが難しかったという状況があるので、2種免の利用とか、今検討されていることが進んでいくと、さらに我々の教育目的が達成されるのではないかと考えております。

 現在の免許の取得状況です。ここに2018年からの取得状況をお示ししました。一つ大きな特徴としましては、この右側のグラフを見ていただくとよく分かるんですが、小学校の免許だけを取得するという学生が減ってきておりまして、複数免許、例えば幼稚園の免許と小学校の免許、それから特別支援の免許と小学校の免許というふうに、複数免許を取ろうとする学生が増えてきている状況になっております。

 採用試験の採用のほうにも、この傾向がちょっとあらわれ始めておりまして、例えば2021年度では、小学校の教員に合格している学生も、複数免許、例えば特別支援教育とか幼稚園の教員の免許状を持っている学生が多く入っております。それが、ここのところの大きな傾向かと考えております。

 以上、ここまで私が説明させていただいて、この後から小林先生、よろしくお願いします。

【小林氏】  よろしくお願いいたします。小林と申します。ここからは私が説明させていただきます。

 教育発達学科の特色ですが、先ほど話がありましたように、教育学と心理学と障害科学を融合することで、子どもの心を理解し、心の発達を支える専門性を学んでいただこうと考えております。子どもを支えるには、心理支援力、発達支援力、教育実践力と3つの力が必要であろうと考えておりまして、中でも心理支援力というのは、2008年から文科省の教育GPに選定いただきまして、高めてきた力になります。

 心理的な支援をしたいという気持ちがある人はたくさんいるんですけども、いきなり他者を支援しようと思っても、うまくいかなくて、自分自身がどんな人なのかを理解し、自分の行動をコントロールする力を身につけ、そして他者を理解し、関係を形成して、その上でまた支援をしていくと、こういった心理支援力が大事だと考えております。

 次お願いします。その中から主な科目を紹介させていただきます。教育発達学方法論(体験活動)といって、学科基幹科目(必修)になっております。これは横浜市教育委員会様と覚書を取り交わして実施をしております。免許に必要な科目にはなっていませんが、小学校教育実習の前提科目に指定をしております。この目的は、理論を実際の教育現場の経験に結びつけて考えるということを目標にしており、大学での学びのテーマを学生自らが発見して、学びを深めていくということになっております。また、自分自身の興味関心や適性について知ることも目標にしております。

 週に1回、横浜市内の公立小学校で学習支援に参加するということで、特別な支援の必要な児童への支援を中心に活動するというようなことで学校によって少し状況が違うんですけども、そういう形で進めておりました。

 次お願いします。そして学修の内容ですけども、子どもに近い視点での様々な支援を通して、子どもへの心理支援について考えるということをしていただいています。その際に学生たちには、視点を持って活動に取り組むようにということで、例えば子どもの生活ですとか、成長発達ですとか、4月に会って、1月、2月まで子どもたちの様子を見ていますと、随分成長しますし、1年生と6年生が随分違うということも肌で感じてきております。そしてかつ、自分たちだけで内容を確認するんじゃなくて、報告会という形で体験を共有し振り返ることをしております。

 次をお願いいたします。毎週木曜日1人で小学校へ参りますので、2019年度は、横浜市立の小学校131校で活動させていただきました。朝8時半ぐらいに登校し、3時半ぐらいまで学校で活動するということになっております。月曜から水曜・金曜は大学で講義を受け、あと報告会で体験を共有し、振り返るという形になっております。

 次お願いします。そしてもう一つ、特別支援臨床基礎実習、これについて御報告させていただきます。こちらは特別支援コースの必修科目になっております。特別支援コースでは特別支援学校の免許を取れるようにしておりますが、この免許課程外の科目として設定をして、御覧のような数の学生が履修をしております。4年時にも選択科目で同じ実習という科目を開講しておりますが、履修している学生はこれぐらいの人数になっております。

 こちらは子どもの心理支援・教育支援の方法と課題、適切な態度を実践的に学ぶということで、毎週土曜日の午前中に、学部の附属の研究所であります心理臨床センター、これは実際に相談サービスを通じて地域社会に貢献するものとして設置をしておりますが、こちらで実習をしております。

 次お願いします。特別な支援を必要としている子どもの支援を、担当教員の指導の下で、学生支援チーム、大体7名程度ですけども、これが担当をしまして、1年間、1人の子どもを担当して支援を実践するという形になっています。支援のセッションと準備・振り返りのミーティングを交互にしていきながら、途中クリスマス会なんかも構成をしたりとかして、活動しております。

 次お願いいたします。この中では、子どもの実態や支援ニーズの把握を、実際にやり取りをしたりとか、行動観察や保護者面接、引き継ぎ資料などから把握をし、目標を立て、計画をして、実践していくと、そして振り返るというような形を取っております。この過程で話合いをしたりしていきます。どんな子どもか、発達特性ですとか、認知特性を考える、それから課題設定と支援の手だてが子どもの実態に合っているか、これをチームでやり取りしていくということが非常に重要になっております。

 次お願いいたします。心理学関連科目と教員免許の関係を表にいたしました。学科科目は118科目開講しておりますが、心理学関連科目は21科目でございまして、免許に関係する科目以外のものも履修できるようにしております。

 次お願いいたします。実際に小学校教員となった学生たちに聞いてみますと、体験活動を通じて、「この子にはこのやり方が合うし、あの子には別のやり方が合うな」というふうに、今でも現場で検討する引出しが増えたとか、子どもの成長を感じることができたとか。それから、教員として保護者や子どもと話をするときに、どんな言葉で伝えたらよいかを考えるのに役立ったとか、特別支援臨床基礎実習のときにも、「あのときあの子はこう言っていたな」とか、子どもの状態を共有したり、助言を受けたり、チームで活動するということの重要性を学んだと。机間指導の声かけや、児童同士のトラブル時の話し合いなども、子どもが、何にどういうふうに困っているのかということを考えるような力が身についたと言っております。

 次お願いいたします。御清聴ありがとうございました。以上になります。

【加治佐部会長】  どうもありがとうございました。

 それでは、関西外国語大学の塚田先生、西村先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【塚田氏】  小学校教員コースの塚田でございます。よろしくお願いいたします。前半は私が発表いたします。

 初めに、小学校教員コース設置の背景と強みについて申し上げます。本コースは本学での中高英語教員養成の特色である国際的視野を持つ教員養成での長年の実績と蓄積を生かして、時代・社会の要請でもある国際教育を担う小学校教員養成を目的に、2013年度に定員30名で設置されました。教育に対する強い情熱、使命感を持ち、小学校教育に関する全領域にわたる優れた実践的指導力を身につけるとともに、コミュニケーションを可能とする英語力、国際理解力、多文化共生力を有した高度国際職業人につながる人材の育成、これを特色としております。英語が使える小学校教員の養成を特色としているということです。

 このような教員養成を可能にするために、カリキュラム編成において、教職専門科目、初等教育専門科目、初等教科教育法科目に加えて、特色ある初等教育学科目17科目、さらに多文化共生理解科目、言語教育科目、英語コミュニケーション科目を必修単位化して、英語力と国際教育力の強化を図っております。

 また、本学は多数の外国人教師や外国人留学生などに囲まれた学校環境にあって、国内に居ながら、こうした国際教育力を身につける多くのリソースと機会がございます。この豊かな学内環境に加えて、さらに学外からの期待も大きく、地域の協力もあって、多くの教育関連組織との連携による教師力の育成にも力を入れてきております。

 その結果、この表にございますように、卒業生全員が小学校教諭の免許状を取得し、70%に及ぶ多くの学生が教職に就いております。また、括弧内に示しましたように、併せて中・高英語免許状を取得する者も多く、これらの卒業生は小学校教育に携わると同時に、小学校と中学校の英語教育の接続、あるいは地域の国際教育の推進にも貢献できる貴重な人材として活躍しております。

 小学校教員コースでは毎月教員会議を開催し、所属学生の情報を具体的に教員間で共有しまして、所属学生の学習と生活、また、教育実習に向けての細やかな支援体制を整えてきておりますが、これまでに申し上げました、本学の小学校教員養成課程の特色と強みは、この学内組織図にございますような教職教育センターを中心とする全学的な支援体制と緊密に関わることで具体的に実現できておりますので、どのような活動やプログラムによってそれが実現できているかについて、引き続き、教職教育センター長から説明をさせていただきます。

【西村氏】  引き続き、教職センター長の西村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本教職センターといたしまして、一番大きく考えているのは、質の高い英語教員の育成を目指してということで、教職課程の教員が一丸となって指導しております。その上で、本大学は、「キャンパスは地球」という名の下に、地球規模で物事を考えて、地球規模で動いて、地球規模で視野を広げて国際人として教壇に立つということで、教職センターは動いております。

 その中で、このちょうど中心になるピンクの部分ですけれども、本大学は中・高の英語教員の全国的な数多い輩出校でございます。その上で、小学校教員コースをつくったと。中・高の英語教員志望者と小学校教員コースの志望者が一体となって切磋琢磨しながら動いていると。各それぞれが分割しているんじゃなくて一緒になって動いているというところに大きな意義があると思います。

 それと、オレンジのところですが、教員の資質といいますと、一般的に言われる社会性、専門性、人間性と言われるところですけれども、本大学は、「キャンパスは地球」で、海外提携大学が55か国390校ほどございます。その留学生も一緒になって、オレンジのところの国際人の育成、それから多様な価値観を持って、多文化理解力をつけて、それから人間力をアップしていくと。これは中・高・小の教職課程の中で、これをこのオレンジのところを大きな目的として進んでいっていると。教員採用対策講座も常にそういうことを、国際性を意識して指導しておるところでございます。

 ほかのところ、7つの取組について、特化して説明をさせていただきます。

 まず、今、お示しのところですけれども、これは教育委員会との連携、それから国際力の育成ということで、まず教育委員会との連携につきましては、KTAPと申しまして、Kansaigaidai Teacher Assistant Programということで、学校教育支援人材バンク、関西外大中の学校人材バンクを設立しまして、そこに学生を登録させて、英語だけじゃなくていろんな学習指導、生徒指導、学級指導、教科外指導も含めまして、各教育委員会と連携して、いろんな要望に応えて生徒を派遣して、教育実習だけじゃなくて、いろんな実習体験を持ちながら、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで学んでいこうという、そういう趣旨でつくりました。

 それから、「小学校いきいき英語活動」ですが、今、小学校の英語に、中・高の英語教員の子も一緒になって、自分らで自ら自主的に教材をつくって、年に8回、月1回、3校に入っていっています。中・高の免許を取る子でも小学校の免許で小学校で教えたい、小学校がいいなということで、小学校の英語に興味を持って、小学校の教員養成免許を取ろうとしている子もたくさん出てくるようになりました。

 それから「English Village」というのは、枚方市とか近隣の教育委員会と連携をして、学校体験を、学校探検隊を留学生とともにオール・イングリッシュでもって大学を探険する、あるいは各教室を各国に見立てて、各国の文化を共有するとか、オール・イングリッシュで、これは保護者が一緒になって見に来て、一緒に体験したいとかと好評でございます。こういう教育委員会との連携を通じて、いろんな教育実習とかボランティア活動とかを推進しています。

 それから、国際人の育成ですけれども、本大学はグローバルタウンをつくりまして、留学生、先ほど申しました55か国393校の大学から留学生を、今コロナの状況で留学生は来ていないんですが、生活空間と講義等を合体しまして、一つの町をつくっております。ここで海外に留学することもあれですけども、国内で留学体験ができる。海外留学前に国内で留学体験をする、海外から留学してきた学生が帰ってきて、国内でさらに留学体験をするということで、こういう日々、日常の国際性を意識して、中・高、それから小学校の教員になろうということで、語学留学プログラムや海外インターンシップというのがあるんですけど、これは教職センターで推進しているんですが、バンクーバーとセブ島に短期で行って、幼稚園、小・中・高に入って、日本文化を紹介したり、いろんな、英語で現地の子供たちを指導したり、そういうオン・ザ・ジョブ・トレーニングの実習体験、インターンシップをしています。

 それからさらに、今計画中ですけども、アメリカのマーシャル大学と、それからマレーシアのSanway University、これも連携校ですけれども、これを小学校のコースに限って体験させるという。これをマレーシア、それからアメリカ、アンバサダープログラムと呼んでいるんですが、アメリカの教育現状や日本文化を広げたり、それから補習校でオン・ザ・ジョブ・トレーニングをしたり、英語力を強化したり、いろんな手法でマレーシアの文化を学んだり、そういうことを共有しながら小学校の教員になってほしいということで、今、連携校と一緒になって実施を計画、推進しようとしています。

 それからこれは奨学金制度もつくりましたので、どんどん海外に出ていって、あるいは本校でもとにかく海外体験ができるというプログラムをつくっております。それを通じてオン・ザ・ジョブ・トレーニングで。それから今、留学が難しくなっているんですが、オンライン留学だとか、国際交流もオンラインでやるということで、実際現地へ行かなくても、随時、国際体験ができるようなシステムを構築しております。

 まとめといたしまして、本大学は豊かな国際感覚と確かな英語力を備えた小学校教員の育成、中・高の英語教員はもちろんですけど、小学校教員の育成、さらに、先ほど申しました、国内だけで国際体験ができるだけじゃなくて、短期でインターンシップや、短期でマーシャル大学や、Sanway Universityへ、アンバサダープログラム体験ができる、そういう国際視野を広げるためのプログラムを随時つくっております。これから国際教育を、これを主体的に担えるというか、主体的に担える教員、中・高の教員、プラス小学校教員の育成ということで、全体像を見てきていただきながら説明をさせていただきました。

 一番最後に、関西外大は、中・高の英語教員の数多くの本当に輩出校でございます。これを、全国的なネットワークを広げながら、今すごく広がっております。今、小学校の卒業生、小学校の教員課程の卒業生として、英語科という科目が小学校でできましたので、全国の各市町村で、小中連携の英語教育の推進役で、今、大活躍をしているところでございます。

 今後とも、こういう取組を推進して、国際的な感覚でもって地球規模で視野を広げて国際人として教壇に出す、これを推進していきたいと思います。

 ありがとうございました。これで終わらせていただきます。

【加治佐部会長】  どうもありがとうございました。

 ただいま、体育に強みを持つような小学校教員養成、それから心理に強みを持つ小学校教員養成、外国語、英語力に強みを持つような小学校の教員養成と、そういう大学の事例を御報告いただきました。

 それではここから、文科省からの説明も含めまして、全体にわたって質疑応答してまいりたいと思いますが、いかがでしょうか。「手を挙げる」ボタンを押してください。

 それではまず、戸ヶ﨑委員、そして根津委員ですね。それでは戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】  戸ヶ﨑です。3つの大学、6名の御発表、大変勉強になりました。特定分野に強みや専門性を持った教師の採用を促進するということに、今後大いに期待をしたいと存じます。課題として考えられるのは幾つかあると思いますが、資料に沿って申し上げますと、その配置の在り方もセットで考える必要があると思います。

 例えばデータ活用やSTEAM教育等の専門性を基にして、二種免許状を取得した場合、就職先として教職と民間企業をてんびんにかけることも考えられます。その際、自分がその専門性を生かして学校現場でどのような役割が期待されているのかが明確に理解できれば、教職を選ぼうという意欲も一層高まるのではないかと思います。

 また、一つの学校の中で、一般の教諭と同等の役割を担うのか、あるいは地域の複数の学校で、その分野の牽引役としての活躍が期待されているのかによっても、職務意欲は異なってくると思いますし、教育委員会においても、当該の二種免許取得者を、人事上の配置の問題ですが、「定数1」として扱う場合に、どの教科と紐づけた免許にするのか、複数教科とするのかによっても、人事配置が複雑化することになると思います。

 さらに、採用の際の優遇措置も今後は考えていったほうがいいのではないかと思います。配置の在り方は、現場のニーズによるということかもしれませんが、国として期待する姿も検討してはどうかと思いました。

 また、同じく7ページですが、中学校の免許状取得の際に、数学を専門としている学生が理科の免許も取得しようとすると、実験に関する履修などが必要となり、追加で必要となる単位数や費用などの負担も少なくありません。一方で、理科から数学を取得することは、そこまでの負担は生じません。教科を横断した免許を取りやすくするためには、このような教科間の単位の取りやすさのばらつきが出ないように配慮していく必要もあるのではないかと思いました。

 33ページですが、中学校の免許状を取得しようとする学生にとって、小学校の免許状を取得することは、新たに履修が必要となる単位数の多さなどから、ハードルが高くなってきます。16ページの中に、履修負担の軽減について例が掲げられていますが、このような負担軽減策を一層進めていかないと、両方の免許状を取得する教員はなかなか増えないのではないかと危惧しています。

 なお、給与の格付ということの観点で、現在、二種・一種・専修という免許状の種類によって区別されているこの状況を解消するプロセスも構築していく必要があるのではないかと思います。例えば、人事評価に紐づけ、勤務評定と経験年数によって免許状の種類による格付の違いなどが解消されるような仕組みなども考えられるのではないかと思いました。

 長くなりました。以上です。

【加治佐部会長】  特定分野に強みを持つ教員の養成・採用、あるいは人事配置の在り方について、非常に多角的な御指摘をいただいたと思います。また参考になるのではないかと思います。

 それでは根津委員、お願いいたします。

【根津委員】  早稲田大学の根津です。失礼します。後で本務がありますため、中座させていただきます。以下感想ですけれども、御発表どうもありがとうございました。3つの私立大学の御発表を通じて、教職関係科目における専任教員の担当比率です。裏を返せば、非常勤講師の担当比率、授業担当比率が気になったところです。これは御案内のように、大学の規模により教職課程を提供する教育組織というのはかなりの規模の差があります。資料でも履修側の負担軽減はうたわれているわけですけれども、科目を提供する側への支援増強も必要ではないか、という意見です。

 御発表にありましたとおり、小学校の外国語科などに象徴されます専門性の高まり、あるいは多様化、また地域や教育委員会との連携強化に伴い、教職科目の増加や細分化が進んでいる、と言わざるを得ません。こうなりますと大学としても、適任の授業担当者の確保あるいは非常勤講師の確保といった人探しに、かなりの労力を要するというところです。さらには、それらの先生方に時間割をどのように組んでいただくかと。ここが大きな課題になるところかと存じます。そうなりますと、大学の教職科目担当で専任教員の数を増やして、この専任教員による授業の比率の増加を図る方策というものも必要ではないか、と感じた次第です。以上です。

【加治佐部会長】  非常に基本に関わる問題だと思います。専門分野がありますよね、体育とか心理とか、あるいは外国語とかですね。それに加え、中高の免許がありますし、さらに小学校の免許まで拡充しているわけですね。そういう場合は、中高そして小学校課程の科目を担当する専任教員、そして非常勤講師の比率とか、あるいは特に非常勤講師がたくさんになってくると、時間割の組み方とか運営も非常にまた複雑化するんじゃないかと思うんですが、そこらについて3大学から簡潔なお答えをいただけませんか。国士舘大学、明治学院大学、関西外国語大学の順でお願いいたします。

【北神氏】  国士舘大学の北神のほうが回答させていただきます。

 非常勤の問題ですが、小学校の教科で言いますと、図画工作と家庭科、これは非常勤の先生に教科専門も指導法もお願いをしています。教職科目の関係では、教育心理学とか教育課程論、生徒指導、進路指導、その部分のところを非常勤の先生にお願いをしていて、あとは基本的には専任が担当しています。どうしても非常勤の比率が大きくなると、時間割の問題だけではなくて、学生指導が授業だけでの学生指導になってしまうということがあって、これは法人のほうにもお願いをして、できるだけ専任で必要な科目は配置をしていただくという形で対応させていただいております。以上です。

【加治佐部会長】  ありがとうございます。それでは、明治学院大学、お願いいたします。

【小林氏】  明治学院です。専任教員が教科で担当していないのは外国語と家庭科ですね。それ以外は基本的には専任で対応しております。ただ、教員免許に必要な科目を満たすために教員の配置をするわけですけれども、これは大学の経営とも関係しますので、ぎりぎり最低限で配置していただいているという状況でして、教員免許に関わる科目以外の科目を開設しておりますので、そうすると、それも基幹科目などで重要な科目になりますので、これは専任が担当するということになりますと、専任がたくさん授業を持つということになっていまして、今、大学全体の中でも、当学科の専任教員が担当している科目数は非常に多くなっております。

 また、併せて、学科だけじゃなくて大学院の科目も担当しておりますので、非常に先ほど御指摘のありましたような時間割の配置というのが、学生の側も木曜日に体験活動で学外へ出てしまいますので、2年次の学生は木曜日に授業入れられない、教員もそこに授業できない、加えて、学内の会議とかそれ以外の学生指導もありますので、非常に限られてくるということで、時間割上のタイトな部分は非常にあるという状況でございます。教員と非常勤の数の比率というところまでは、今、持ち合わせておりませんけれども、そのような形で授業をしております。以上です。

【加治佐部会長】  ありがとうございます。関西外国語大学、よろしくお願いいたします。

【西村氏】  関西外国語大学ですけれども、小中高の教職課程につきましては専任教員が8割程度でございます。2割が非常勤。時間割組むのは、まず非常勤の先生方を先に組み入れまして、都合のいい、都合悪いところも、非常勤の先生はいろいろ掛け持ちでという場合もあろうかと思いますので、その辺をまず配慮して組みまして、その上で専任教員を配置していくと。教職課程のいろいろな学生指導や採用試験の勉強会だとか、いろいろな講座とか国際交流とか、それは専任教員が全部担当する形になっております。以上でございます。

【加治佐部会長】  ありがとうございました。それでは、松田委員、お願いいたします。

【松田委員】  ありがとうございます。部会長、すみません、事務局の論点についてのコメントでもよろしいですか。

【加治佐部会長】  もちろん、どうぞ。

【松田委員】  ありがとうございます。「特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用に係る検討の方向性と主な論点」とありますけれども、これは専門性を高めるというアジェンダはもちろんのこと、教員の成り手不足問題に対応していくためにも有効な議論だと思います。この文脈で考えますと、もちろん二種免許状の活用や小学校教科担任制の運用は有効だと思いますが、7ページ目の3点目に書かれている一文がとてもクリティカルだと思いました。

 特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用を一体のものとしていくための大学と教育委員会との連携の在り方について、どう考えるか。これは前回の採用の論点のときも、教育委員会の主体的な取組について御紹介いただきましたが、採用や人材確保というのは、これは採用担当者の本気がとても重要で、本気にならないとなかなかうまくいかないと思います。前回もいろいろコメントもありましたけれども、教員の採用というのは、特に良い人材の採用は、民間企業との取り合いになっていくわけで、民間企業は常に人材確保には本気なわけです。今回論点として挙げられている提案の全ては、大学側も本気に取り組んでいかないとうまく機能していかないだろうということを危惧しています。柔軟に二種免許状を活用できるようにしたり、二種免許状を前提としたカリキュラム編成をしたとしても、そもそも教職を目指す母数を増やしていかないと話にならないと思います。しかし学生は、大学に通っているだけでは、いきなり教職を目指そうとなかなかならないわけでして、だからこそ教育委員会と連携した積極的なアウトリーチ活動が重要になってくると思います。

 ここで提案したいのは3点でして、1点目は、大学側が教職の魅力を教職課程に所属していない学生に積極的にアウトリーチをしていくということです。もちろん説明会の開催やインセンティブの構築をどうするかということを検討していく必要があろうかと思います。

 2点目は、1点目にちょっと関わっているところではございますけれども、教職課程に参加していない学生に対する教育活動の機会提供や、こういった活動に参加した学生に対して単位を認定していくような仕組みです。先ほど申し上げたように、大学に通学しているだけではなかなか教職を目指そうと思わないわけですが、実は大学在学中に、大学の外の機会、例えばNPOの教育活動であったりボランティア活動に参加することで、途中から教職に目覚める学生って本当に多いです。なので、大学側で積極的にそういった機会を提供していくことが、母数を増やしていくということにかなり有効だと思います。教育委員会とNPOの連携も進んでいますし、大学とNPOの連携、これは明治学院大学さんでも事例として御紹介いただきましたけれども、こういった事例というのがどんどん増えていくことを期待していきたいと思いますが、そこに参加した学生に単位を認定するインセンティブも追加すると、よりうまく機能すると思います。

 3点目は、少しドラスティックかもしれないですけれども、教員の輩出人数を増やしていくことに対する大学側のインセンティブをどう考えるかということです。例えば先ほど国士舘大学さんが6割が教員になっていますというご報告をいただきしたが、このように数値を公表し大学も説明責任を果たしていく。また、例えば国のほうで特別な予算を準備して、教員の輩出人数比率に応じて予算配分を行う等して大学にインセンティブを与えていくようなことも検討できると思います。経済的なインセンティブにとどまらず、大学側のインセンティブをどう考えていくのかというところを論点に加えていただきたいと思います。以上でございます。

【加治佐部会長】  ありがとうございました。非常に興味深い御提案いただいたと思います。3大学とも、これは小学校免許、二種免許ではなくて一種免許ですよね。提案があったのは、二種免許をより取りやすくしようということ、それで専門の勉強を深めると同時に教職課程を取るための負担を軽減しようと、そういうことだと思うんですが、今、松田委員のお話のように、大学内での学生への教職の魅力発信とか、あるいは教職を目指すような、つまり教員免許を取る課程を取るような促しをすると。大学外での活動を積極的につくっていくとか、その単位認定するとか言ったようなことですよね。もう1つは大学側にとっても経営上のメリットがないと難しいといったようなお話だったと思うんですが、何か今述べられたことについて、3大学でこういう工夫をしているとか、あるいはこういうことがヒントになるとかということがあれば、御発言いただけませんか。

 北神先生、いかがですか。

【北神氏】  二種免許の取得の件ですが、国士舘大学では、ほかの学部で中高の一種免許を取っている学生に、学内措置という形で、学内聴講という手続ですが、二種免許が取れる制度を入れています。ただ、無制限に開放しているわけではなくて、例えば私どものこどもスポーツ教育学科では、体育学部の体育学科と武道学科の学生と、21世紀アジア学部、こちらは中学校の社会と英語の免許が取れるのですが、そこの1年生の終わりの時期に学内選考試験を実施して、それに合格した学生を、こどもスポーツ教育学科では10名程度までなら受講を認めると。同じように国士館の場合には、文学部の初等教育学科のほうも小学校と幼稚園の課程認定を取っていますので、文学部のほうは世田谷にある5学部の学生を対象に、5名程度選抜試験を実施して、合格した者については小学校の二種免許を取得できる制度で今のところは運用しています。

 なお、この小学校の二種免で合格した学生は、基本、小学校を受験します。中高の保健体育の受験ではなくて、副免を取った学生は小学校の採用試験を受験して、6割7割方合格をしているという形で、そちらのほうの道を選択している学生がほとんどである、そういう現状にあります。

【加治佐部会長】  分かりました。

【三小田氏】  付け加え、よろしいでしょうか。

【加治佐部会長】  どうぞ。

【三小田氏】  国士舘大学の三小田です。こどもスポーツ教育学科は体育のかなり競技力の高い学生がいまして、実は教職を目指さないという気持ちを持っている学生もいたりするんですけれども、先ほども紹介しました小学校のボランティアを、単位化はまだされておりませんが、近隣の小学校と企画をしまして組織的にやっております。こういうものを通しますと、やはり教職ってすばらしいなと考えてくれて、スポーツのほうで進みたいとか思っていた学生がそちらに気持ちを切り替えるということが現実に起きておりますので、なるべく早くこのような外での体験をさせるというのも、こどもスポーツ教育学科では企画しております。すみません、付け加えでした。

【加治佐部会長】  よく分かりました。

【水戸氏】  よろしいですか。

【加治佐部会長】  どうぞ。

【水戸氏】  今、委員の方からあったように、免許だけ取ってもというか、免許を取る学生が増えても、本当になりたいと思う学生が増えないと駄目だということで、やっぱり昨今のいろいろな状況から、明治学院でも免許取得そのものも希望者が減っているのと、それから教員採用を受けたいと思っている学生もちょっと減る傾向にあったりして、そこに体験活動がいかに起爆剤になるかなと思っているんですが、実はもろ刃の剣で、定期的に長く行くということで学校が抱える負の側面も見てしまって、教員になるのを諦めてしまう。すごく高いモチベーションを持っていたけれども諦めてしまうということもあるし、逆に一切そんな気はなくても、体験活動に行って本当に教員の魅力を知って、教員になろうと考えを変えていく学生もいるので、どういう学校に体験活動に行けばいいのかとか考える必要があります。学生数が多いので、なかなか体験活動に行っている学校の状況を見通せないというか、ちゃんとケアできてないというところも我々の反省点ですが、その辺をきめ細かくやっていく必要もあるのではないかなというのが、我々体験活動を単位化してやっていることの大きな課題の一つになります。

【加治佐部会長】  ありがとうございます。

【西村氏】  関西外大ですけれども、ずっと説明申し上げました、例えば国際交流であるとかですね。これは教職生だけじゃなくて、教職生と一般学生が一緒になって取り組むと。その中で教職の魅力を発信したり、あるいは、いきいき小学校英語活動ってございますね。それを、教職生だけじゃなくて一般学生も一緒になって小学校に行って学校体験をしてくるとか、それからイングリッシュビレッジというのを大学内でやっているんですけれども、小中学生と一緒になって、一般学生も混じって留学生とともに子供たちと関わる中で、やっぱり教壇に立ちたいなという子も増えてきております。

 それから、ようこそ先輩ということで、先輩教員が、特に中高の英語教員が、全国的に物すごいネットワークですので、小学校も先ほど申しました小中連携で推進力になっていますので、卒業生が来て、教師の魅力を十二分に、あるいは学生時代どのように過ごして、どのようにモチベーションを高めていったかということも含めて、いろいろ語ってもらうと。その中で、イントリンシック・モチベーションが募ってくると。

 もう一つは、NPOとの連携を枚方市の教育委員会とやったり、インターンシップを行ったことを、これは教職科目の認定じゃないんですけれども、ほかの科目の認定として単位認定、これは事前事後の指導も含めて認定をしております。

 学校全体として、いろいろな先生が、いろいろな強みを持って、いろいろな特色を持って教職の魅力を語りかけるという、そういう取組を教職センターでもやっております。

【加治佐部会長】  ありがとうございました。それでは、高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】  東京学芸大学の高橋でございます。3大学の先生方、御提案ありがとうございました。教科とか領域の専門性と小学校教師としての専門性の両立みたいなことに非常に積極的に取り組んでいらっしゃるということが大変よく分かり、勉強になりました。ずばり、どういう制度だとこういうことを応援することになるのか、こういった各大学の取組がより一層充実するのかということを少しお尋ねしたいなと思っています。

 その前に、私、プレゼンを聞かせていただいた感想を述べさせていただきますと、専門性が大事だということと、今、小学校教員のいろいろな成り手の問題みたいなことを考えると、間口を広げなきゃいけないと。この一見矛盾するようなことをどう成立させるかということが本日の話題なのではないかと、勝手に思っているところです。

 まず、専門性については、2つぐらいは少なくとも側面があるなと思っています。子供のことをしっかり理解するとかそういうような部分と、教科や領域の専門性みたいな部分かなと思っております。間口を広げるという意味では、二種免許状の活用とか、経験者への上位免許や他校種の免許を渡していくみたいなことになるんだなと思っています。

 このようにして考えていくと、子供に関する理解や、そういったベーシックな指導方法に関しては、削ることはなかなかできないとは思うんですが、教科の内容というか、勉強の科目の領域名で言うと、教科における専門的事項と言ったらいいんでしょうか、そういう部分に関しては、今、学部学科で勉強している内容をもっと積極的に振り替えていくような方法も考えられるかなとも思いますし、その場合は、教科の免許を二種でつくるというよりかは、例えば(体育)とか(英語)とか(心理)みたいに、少し専門性を表していくと。特定の教科とか領域だけしか教えられないというわけではなく、全科を教えられるのですけども,専門性を表す意味でも,そういうような扱いも考えられるかもしれないとも思うわけです。そういった場合には、課程認定の作業において、学部学科と付与する免許状との相当性について、しっかり審議していく必要があるというのは多分前提となるかなと思っています。

 最後に、冒頭にお話しいただいた、教員養成は大学で行うことを基本としながらという御説明ありましたが、基本となっていない部分について、専門性のある教員養成との関係から少し難しい問題も出てくるかもしれませんので、こういったことも検討になるんじゃないのかななんて考えながら、3大学の先生方は、ある意味、領域の専門性と小学校の先生の専門性を両立するような御指導をなさっている上で、どんな免許制度だとうまくいくのかみたいなお話を伺いたいなと思っています。私からは以上です。

【加治佐部会長】  分かりました。まず、特定の教科領域、専門分野を持っておられて、その上で小免を今も出しておられて、基盤にある専門分野、教科領域が、当然小学校の先生になった場合強みになるわけですが、さらにそういう強みを持つ小学校の先生を養成しようとするときに、今の状況とか今直面している課題を踏まえて、どういう制度設計が望ましいかということですか。そういうことですよね。

【高橋委員】  実際に実務に当たられていて、こういうことが障害になっているとか、こうあったらいいみたいなお話があれば、率直に伺えればと思っております。

【加治佐部会長】  分かりました。よろしくお願いします。いかがでしょうか。あえて言うと、今の取組をさらにやりやすくするためにはどういう点を変えたらいいかということなのかなという気もしますけれども、その中で、さらに特定教科の専門性と小学校の先生の専門性が両方とも高まればいいのかなということだと思うんですけれども。

 なかなか難しいんですかね。北神先生、いかがですか。

【北神氏】  北神です。なかなか難しい問いなので、お答えになるかどうか分かりませんが、小学校教師の専門性と中高の教師の専門性というものの異同ですよね。同じ部分のところと違いという部分のものを、どのように制度設計していくのかと。今のところは小学校は全教科担任制なので、10教科全て網羅的に教えられるというジェネラリスト的な総合的な力。中高になると教科の専門性を深掘りしていかなきゃいけないので、教科という形の枠組みがあると。これをうまく重ねていったときに、小学校における特定分野を仮に教科と押さえたときに、どういう制度設計が現実的に可能なのかどうかと。

 その一方で、免許法の問題から考えると、中学校の免許を持っている人間が、小学校で学級担任と、免許教科については授業ができるというのが、今の免許法でも可能なわけですよね。そこの部分と、今回新たに何か特定分野という形で制度設計しようと考えられている新たな免許制度というのが、どんな形で整合性が担保されるのかと。今でも、中学校の免許で小学校の学級担任と、特定の、例えば算数の授業は数学の免許を持っていればできる、理科の免許を持っていれば小学校理科の専門的な授業ができると。それ以外の部分で、例えば新たな領域で新たな免許制度をつくるのか、そのために例えばSTEAM教育とか特別支援とか日本語指導とかという、そういう分野が明記をされている、そこの部分に新たな免許制度を折り込んでいくという形で議論をするのか、そこら辺りが、どんな形で今、この基本問題とか養成部会の中で議論されているのか。何かそこら辺りのお話を伺えると、我々が実際今、小学校の教員養成に、うちは体育に強いという形で、それを担保するものとして中高の保健体育の免許を持たせて現場に出していると。そこの辺りで何か我々がこれから考えるヒントが、先生方の今の議論の中で何か方向性でいただけるものがあれば、また大学のほうで検討させていただけるとありがたいなと思います。すみません、お答えにならないような形ですが。

【加治佐部会長】  分かりました。特定分野に強みを持つといったときに、その特定分野、STEAMとか心理とかカウンセリングとか情報とか、その分野が挙がっているんですが、情報の免許はありますけれども、どうですか、特定分野についての免許を出そうという発想はこれまでもあったと思うんですが、そこのところはまだ今回のところ、先ほどの平野室長の説明資料を見てもはっきり出ていないとは思うんですが、平野さん、いかがですか。

【平野教員免許企画室長】  北神先生からお尋ねのあった点、中学校で免許持っていれば小学校で教えることができると。それはそのとおりでございます。一方で、その教科しか教えることができないというところもございます。小学校というものが、やはり全教科横断的なカリキュラムマネジメントとか教科のつながりというものを意識しながら、また実際に配置という現場というものを考えても、小学校の免許というものを持っていることが望ましい。これはずっと小中併有の議論ということでしてきたわけでありまして、ここはある意味、補い合う関係といいますか、学校全体の教育力を上げるという観点からは、そういうことあるんだろうと。

 その上で、今日は論点の提出と議論ということで、ここで方向性を出すというものではございませんけれども、免許状というものについては、これは教科ごとの免許状であるということが大原則でございます。このような意味において、特定分野の強み、今日提示したようなものというのは、これは免許そのものというよりは、免許を持っている人に備え付けられた強みと。これは免許状として直接評価されるものではないかもしれませんけれども、1人の教員としての力という部分からは非常に大事な部分になります。おおむねそんなイメージを持っているところでございます。

【加治佐部会長】  そういうことですね。だから、免許としていくんだったら、大きな制度変更が伴うということになりますね。なかなかハードルが高いというところ。

【小林氏】  すみません、明治学院、小林です。よろしいでしょうか。

【加治佐部会長】  どうぞ。

【小林氏】  先ほど委員の先生から、心理や特別支援などの強みを生かすというときに、例えば小学校(心理)とか、そういったものがあったらどうかというような話がございましたが、今は小学校全科という免許ですので、何が強みなのかというのが分かりにくいというのは確かにあるかなと感じます。

 それから、教員になっている卒業生の話を聞きますと、教科の専門性を発揮する場面というのはたくさんあるんですけれども、例えば心理の専門性を発揮する場面というのは、保護者との面談ですとか子どもの指導とか、非常に、何というか、いつでもあるんだけれども明確になっていないみたいなところがあり、教員になった後の先生方が、いろいろな研究部会などで研修をされたりとかもしているかと思うんですけれども、例えばそういう中に、小学校の教育相談とか心理とか、そういったものの研究会はあまり聞いたことがなくて、国語とか算数とか、教科の専門性になってしまっているのかなと思います。

 そういう点では、自分の専門性が生かせるというのが、小学校の教員になったらこういったようなことが生かせるというものが明確になるといいかなと思います。私も心理学部におりますので、心理に関心のある学生たちが参りまして、自分は心理のカウンセラーになろうか、教員になろうかというときに、教員を選ぶというのは、日常生活の中で子どもたちと一緒に関わりながら、ちょっとした心理的な問題を解決していこうと。そういう関心が高い学生たちがおるように思っています。

 ただ、それが、教員になってしまうと、教科は表に出てきますが、それ以外のものはなかなか出てきにくいと。実際低学年などですと、授業に参加できるかどうかとか、あるいは集団生活に参加できるかとか、友達とやり取りができるかとか、そういう教科の内容に入る前の段階の教育というものが、かなり重要になっているんじゃないかなと思います。

 そういう点では、体験活動で学生たちが見てきているものも、教科の勉強もそうですが、例えば子どもたち同士がけんかしたときに、どのようにしてお互いが仲直りしたらいいのかとか、そういうのはどのように指導したらいいのかとかということを、報告会などで話し合っております。

 ですので、小学校の教員に求められるものの中に、教科の指導はもちろんあるんですけれども、子どもの学んでいく力をどう育てるかというようなかなり基本的なところにも、それを指導する専門性というのが必要じゃないかなと。そしてそれが、もし勉強して免許を取ったのであれば、何らかの形でそれを示せるようであったり、採用後に例えば特別支援教育のコーディネーターなど、小学校などでは全校配置しておりますので、そういうものになるときには、そういう勉強していることが必要であるとか、何か自分が勉強したことが小学校の現場で非常に必要とされているということが明確になると、非常にそれを発揮したいと考える学生たちが増えるんじゃないかなと思います。以上です。

【加治佐部会長】  ありがとうございました。まだ時間ありますが、いかがですか。

 では松木委員、お願いいたします。

【松木委員】  松木です。今日の3大学の先生方、発表ありがとうございます。今からお話しすることは、3大学に対しての御質問ということよりも、全体に関わる話になってしまいますが、文系の学部あるいは理系の学部という言い方が、今の世の中で適切であるかどうか分からないんですが、文系の学部の中から小学校の先生になっていく方が出てくる可能性が高い、そういったことは今のお話を伺いながらも可能性あるなと思ったんですが、逆に、算数や理科を深く学んだ学生が小学校の先生を取れるような可能性、いわゆる理系的な要素を持った学部から小学校の先生が出てくるようなことについては、今のお話だけの中ではちょっと難しいのかなと思ったりはしまして、そうなると、免許法の中で、先ほどから何度か挙がっているSTEAMのようなことを位置づけていくというやり方をするのか、それとも、教育学部がある大学が、そういった他学部の中、特に理系の学部の教員養成に関しても積極的に関与していけるような働きを教育学部に求めていったほうがいいのか、全体の今後のバランスを考えたときに、教員の特殊性を生かしていく場合にあっても理系の特色が生かせるような状況も並行してつくっていかなければいけないななど、考えさせられておりました。以上です。

【加治佐部会長】  おっしゃることは非常によく分かります。STEAM教育のことをおっしゃいましたけれども、文系だけじゃなくて、国語や社会だけじゃなくて、やっぱり理科、数学に興味と強みを持つ小学校の先生というのは、もう間違いなく必要だと思うんです。ところが現実は、小学校の先生を志す学生というのは、今は文系型の人が圧倒的に多いです。もし今の段階で理数を重視するような入試をしたら、恐らく志望者がどっと減りますね。ただでさえ今は教員養成学部志望者が減っていて苦労しているので、非常に危機感を覚えます。なかなか教職に広く引きつけることと、理数を含めたSTEAMの専門性を高めることの両立の難しさを非常に感じています。

 だから松木先生おっしゃるように、大学の中で理系分野から小学校の先生になるような人を増やすのも一つの方策かなと思います。ただ、これもなかなか難しそうですね。理系は就職がいっぱいありますからね。だからなかなか難しいかなと思います。ただ、そういう工夫なりについてはぜひ必要だと思いますので、また一つの検討の方向性になればいいかなと思います。ありがとうございます。全く同感です。

 森山先生、いかがでしょうか。

【森山委員】  ありがとうございます。3大学の先生方、御発表ありがとうございました。非常に勉強になりました。

 今回の論点ですけれども、小学校の免許状の取得を念頭に、こういった教職課程の開設とか自主モデルを設定することについて、それをどう捉えるかというところに中心があったかと思います。

 今、先生方のお話を伺っていて特に思ったのですが、学生が所属している学部で中高免の一種を取って、加えて小学校の免許状を取得するときに、小学校の場合は二種免許として捉えるということも考えられると思います。一種が一番いいと思いますが、相当な単位数になります。それから、今日は専門性という話も出ましたけれども、どこでその質を担保するのかというときに、例えば文学部で免許を取得している一種の免許状によって質の担保をある程度しっかりとして、それで小学校の二種免を加えて取るとか、そういうパターンもあるでしょう。あるいは、もう学部では免許を取らないで小学校の免許だけ取りたいというような、そういうパターンも出てくると思います。あるいは、小学校も中学校もどちらも一種の免許状で卒業までに取得するというパターンもあるでしょうし、いろいろな組合せがあるかと思います。

 先ほど加治佐先生から、理系の学生が小学校の教員を希望する学生は少ないのではないかというお話もありましたが、たまたま玉川大学は理系の学生も小学校免許を取得しており、教育委員会からは貴重だと言われます。その意味では、例えば工学部とか農学部とか、理系の学生が現在履修している理科や数学の一種免許状に加えて、例えばセメスター開講で、単位の実質化に抵触しないように、二種免の科目開講を行って、4年間の中でストックができるという形で、小学校の免許を取った学生については、小学校の教員の採用試験を受けています。こんなような状況もあると思いますので、免許状が最低の質の担保と捉えることも必要なのではないかということを、先生方のお話を伺って私なりに感じたところでございます。以上です。

【荒瀬委員】  ありがとうございます。3大学の先生方、ありがとうございました。先生方のお話と、それからそれについてやり取りをしていらっしゃるのをお聞きして、ちょっと別のといいますか、少し外れた見方かもしれませんけれども、発言をさせていただきたいと思います。

 松田委員のおっしゃったことと少し重なるのかもしれませんが、今、理系の話とかもいろいろ出ているんですけれども、どういった人が教職を志望するのかという、教員の確保ということを考えていく中で、教員について興味を持つようないろいろな機会がたくさんあることがやっぱり大事だろうと思うんです。

 本来は、小学校、中学校高等学校、もっと言えば大学も含めて、教員という立場の人に最も身近な大人としてふだん接している時間も機会もとても多いにもかかわらず、教員というか、教職に対する興味がなかなか湧かないことをどうクリアしていくのかということも含めて考えると、教師が自分自身の興味関心に基づいて、自分自身がある特定の分野について深く学ぼうとすることが可能になるようなことって、もっともっと進めていくべきではないかなと思います。

 例えば、さっきのお話で言うと、文系のタイプ、まさに文理という分け方がいいかどうかは別として、文型のタイプの人が小学校の教員になりました。しかし、ちょっと本を読んで、余談ですが、私が最近読んだ本ですけれども、『子どもの算数、なんでそうなる?』という本を読んで、算数面白いなと思って、いろいろとその本を読んでいく中で、算数について一体学習指導要領はどうなってるんだろうとか思って見てみたりすると、興味がなかなか湧いてくるわけですね。ちなみに私は長らく国語の教員をやっておりましたけれども。

 そのように、ちょっとこれをやりたいなと思ったときに学んでいくという、専門職性を高めることにもつながっていく、一つの教科の見方だけではなくて別の教科の見方というのも、少しだけかもしれないけれども併せ持っていく。そこから教職の喜びであったりとかプライドであったりとか、授業の中で生かせることによって、そういうものにもつながるのではないか。そして、こういうことが教師の魅力につながっていくんじゃないかなということを思った次第です。

 もう一つ、先日、教師教育学会でシンポジウムがありまして、そこに参加させていただいて、教特法の第22条第2項が死文化しているんじゃないかという非常に厳しい御指摘をお聞きしました。要は教育公務員には研修を受ける機会が与えられなければならないというところの第2項でありますけれども、「授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」とされているんですけれども、これって実際のところどうなのかというと、ほとんど意味を持たないものになっているんじゃないかという、そういう御指摘でした。

 私、実態というのを今、十分に把握しているわけじゃないんですけれども、文科省のほうでこういうことがもし何か分かるのであれば、教えていただきたいなと思うんですが、忙しくて、いろいろなこと、やることがあるので、勤務場所を離れて研修を行うことなんて認められないといったことになっているとしたら、これはやっぱり話にならないなと思います。

いろいろな人が教師になっていくという、そういう道を広げていくことは非常に大事だと思います。二種免許ということについても相当真剣に考えるべきだと私も思っています。

 一方で、教師になってから、さまざまな勉強ができる、自分で研修を行うことができるという、こういうなかなかほかの職にはあまりないような魅力があるということのアピールが、ちゃんと法律で担保された状態でできるという、こういう法律もあって、いろいろと学べますよといった魅力発信というのも大事なのではないかということを思います。以上でございます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】  ありがとうございました。いろいろこういう教職課程のプログラムをつくることはもちろん大事ですけれども、やっぱり基本は、教師として、自分が自分の必要とする専門性なりを高めるような意欲を持つことと同時に、教特法第22条第2項が出ましたけれども、校外での研修含めて、そういう機会なりがまず保障されなきゃいけないという御意見だと思います。おっしゃるとおりだと思います。

 それでは、時間の関係で、木村委員、手が挙がっておりますので、木村委員でこれについての質疑は最後にしたいと思います。木村委員、お願いいたします。

【木村委員】  最後に失礼します。どの大学も、特定分野に強み・専門性を持った人材が育成されていると思いました。また、その内容も今の教育課題に対応されていると思いました。

 一方で、採用する側は3大学の強みとか専門性を認識して採用されているのかなというのを、一つ疑問に思った次第でした。各大学の強み・専門性より免許というのが上位に来るんですが、一種の免許を取った者の中での採用になっていないのか。そうなったときに、その後の強み・専門性の活用とか、適材適所への配置とか、自分の力や可能性を発揮するというのはどういう展開になっているのかなと。

 大学側、養成側、また社会が多様性を求めたとしても、採用する側が採用のところに多様性、門戸を開かないとその目的は達成しません。それぞれの自治体で違うと思いますが、小中という学校を別々に採用するとなれば、そこにはかなりの制限が働いてしまう。もしも小中というのを義務ということで採用するなど、採用スケールを大きくしていくと、門戸というのはいろいろな形が考えられる。私は、中学校の先生が小学校に行って活躍するというのは、大いに専門性を発揮するというような理解をしたいと思います。

 もう一つ、学生には、子供たちと触れ合うとか、学校の教育活動の一部に参加するとか、そういうところで教職の魅力を見つけさせたい。そのような体験活動の中で、もしも教職の道を閉ざすという学生がいたとしても、それは進路選択ですので、いろいろなところで学生に教育活動と接する機会を与えてあげるといいなと思いました。私からは以上です。

【加治佐部会長】  ありがとうございました。木村先生、3大学についてお聞きしたいことというのは、最初のほう、何かおっしゃっていましたけれども。

【木村委員】  強いて言うならば、3大学がおっしゃったことが理解された採用となるように、採用側も強み・専門性を受け止めてくれていますかということを、お聞きしたいと思います。

【加治佐部会長】  ということです、採用試験は、どの学生も共通のものとしてやると思いますが、事後評価として、3大学はそれぞれこういう強みを持っているということが、教育委員会に理解されているかどうかということですね。そういう評価もあるという御発表もあったように思いますが、3大学、簡単にそこをお答えいただけますか。

 じゃ、国士舘大学、明治学院、関西外大の順で、時間の関係で、もう本当に簡単でお願いします。よろしくお願いします。

【三小田氏】  三小田からお答えします。体育・スポーツが得意な学生というものの、一応体育学部という名前で受けますので、そこの評価は高いように思います。といいますのは、精神的な強さであったり、それからコミュニケーション力が高いとか、そういうことでの評価をされていると思いますし、実は先生になってから体育主任になっているとか、そこでの期待も特に今は大きいような気がしています。以上です。

【加治佐部会長】  ありがとうございます。明治学院大学、お願いいたします。

【小林氏】  小林からお話しします。実際採用側が採用試験の際に、この強みをどこまで反映させていただいているかどうかは分かりません。しかし、横浜市で体験活動をさせていただいておりまして、2年生で体験活動した後、3年生で引き続きアシスタントティーチャーのボランティアをし、そして教育実習もして、実際に採用されるときに、そこの学校に採用をいただくとかいうようなこともございます。ですので、採用試験はもちろん公正に行っているのですけれども、そういう点で強みを認識はしていただいているかと思います。

 学生たちのほうも、免許の種類で言いますと、小学校全科ということでしか表向きには出ませんので、先ほど最初に御紹介させていたように、小学校プラス幼稚園の免許を持っている学生が小学校の教員なるとか、小学校で特別支援学校の免許を持っている学生が小学校の教員になるとか、そういうような形で受験をして、実際に採用していただいておりますので、そういう点で、発達に強い、幼稚園と小学校のつながりとか特別支援教育に強いというところで認識をしていただいているかと思います。実際に配置している学年も、低学年の担任であったりとか、特別支援学級や通級指導教室の教員であったりということもあるように聞いております。以上です。

【加治佐部会長】  ありがとうございます。それでは、関西外大のほう、簡潔なお答えをお願いいたします。

【塚田氏】  こういう国際化という時代の要請もありまして、英語についての対応でも特別選考のような形をとってくださっている県や市が、いただいた資料1-1の特別選考に関する表(22頁)では37とありますけれども、そういうこともありまして、時代のバックアップもあってということでしょうけれども、非常に高い現役の採用試験の合格率をずっと一貫して維持しております。これは全国平均の現役の採用率を大きく上回っていますので、我々としては、そういう実態を考えると、本コースの学生について相応に高い評価をしていただきながら採用していただいているのではないかなと受け止めています。

【西村氏】  すみません、関西外大の西村でございます。一言だけ。全国の中高の英語教員のネットワークたるや、すごい人数でございまして、それから、先ほど申しました、小学校卒業生が、小学校の教員として小中連携各全国の市町村で活躍をしております。すごく中高の英語教員と小学校の教員、この活躍ぶり、それから、その人らが学生時代に過ごした体験が全国的に広まっておりますので、いろいろなことで本校の良さを認識していただいていると自負をしているところですけれども。

【加治佐部会長】  分かりました。ありがとうございました。

 それでは、3大学の北神先生、三小田先生、水戸先生、小林先生、塚田先生、西村先生、本当に今日は貴重な御報告をありがとうございました。今後に生かしてまいりたいと思います。

 これで議事の1を終了いたします。

 それでは、議事の2に入ります。平野室長、大変時間がなくなって申し訳ないんですが、説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】  失礼いたします。資料の2でございます。「認定こども園法改正に伴う幼稚園教諭免許状授与の所要資格の特例について」というものでございます。

 1ポツでございます。幼保連携型認定こども園については、原則として幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を有していることが必要とされているわけでございますが、円滑な移行というものを進めるために、施行後10年間は、どちらかの免許資格を有していればよいことになっているという現状でございます。

 2ポツでございます。現行制度においても、令和6年度までの経過措置といたしまして、保育所、幼稚園、認定こども園等における勤務経験というものを評価して、片一方の資格を取るための必要単位数等を軽減する特例というものを設けているところでございます。

 1ページ目の下のほう、図の上のほうを見ていただくと、保育士資格を持っている方は、認定こども園、保育所等での保育士としての3年間、4,320時間の経験があれば、大学において8単位を修得することで幼稚園教諭免許状を取得できる。このような特例があるわけでございます。次のページをお願いします。

 この免許資格の併有のさらなる促進を進めていくという観点から議論が行われているところでございまして、1つ目の丸にございますけれども、令和元年12月、子ども・子育て会議というものがあるわけでございますけれども、こちらのほうで、令和6年度末までの特例の経過措置期間中に、さらなる免許状・資格の併用を促進するためにできることはないかということについて検討を進めるとされているところでございます。そこで今日御説明したいのは、現在の検討の方向性ということでございます。

 2つ目のマルでございますけれども、令和5年度から、さらなる併有促進策といたしまして、現行のものに加えまして、さらに、幼保連携認定こども園における保育教諭としての勤務経験が2年、2,880時間以上を有する職員については、8単位ということから、さら2単位を修得したものとして、6単位を修得することで幼稚園教諭免許状を取得できることとすると。このようなことを進めてはどうかということでございます。保育資格についても、これに対応する形で厚生労働省において検討が進められているところでございます。

 では、この2単位について何を軽減するのかということが、3つ目の丸の下の部分でございますけれども、職務経験の中で身についていることが一定想定されるものということで、保育内容の指導法を1単位分、また、幼児理解の理論及び方法1単位分、この2単位というものを修得したものとみなすという方向で、現在検討を進めているところでございます。

 4ページ目に、今後のスケジュールというところがございます。令和4年の夏頃までにでございますけれども、この改正教育職員免許法施行規則というものについて、改正をした上で公布をすると。令和5年の4月1日からこれを施行すると。その後、各関係者に対する周知等を行った上で対応を図っていくということでございます。

 また、省令改正のタイミングにおいては、この部会において情報提供をさせていただくことがあるかと思いますけれども、今日は方向性ということで、あらかじめ説明をさせていただきました。以上でございます。

【加治佐部会長】  ありがとうございました。これについて御意見、御質問があるかもしれませんが、まだ、今後もこのスケジュールにありますように、検討が続きますので、またこの基本問題小委員会にも御報告いただけるということですので、その機会におっしゃっていただく、あるいはメール等で事務局のほうに御意見をお寄せいただければと思います。ということで、今日のところは御了解いただきたいと思います。

 それでは、議事の2も、本当に短くて申し訳ありませんが、ここまでにしたいと思います。

 今日は議事が2つでしたけれども、本日の議事は以上です。令和の日本型学校教育を担う教師の在り方につきましては、引き続き、本基本問題小委員会で議論を深めていきたいと思っております。

 皆様、本当に今日はどうもありがとうございました。これで終わりたいと思います。

 

―― 了 ――


(総合教育政策局教育人材政策課)