生涯学習分科会(第129回) 議事録

1.日時

令和6年2月16日(金曜日)14時00分から16時00分

2.場所

文部科学省東館3階2特別会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. リカレント教育の推進について
  2. 第12期生涯学習分科会の議論の整理
  3. 生涯学習分科会における部会の設置について
  4. その他

4.出席者

委員

(分科会長) 清原分科会長
(副分科会長) 萩原副分科会長,牧野副分科会長
(委員)内田委員,金田委員,清水委員
(臨時委員)熱田委員,大久保委員,大平委員,沖畑委員,小路委員,古賀委員,澤野委員,辻委員,野田委員,野津委員,浜田委員,松本委員,山内委員,綿引委員

文部科学省

(事務局)望月総合教育政策局長,八木社会教育振興総括官,滝波政策課長,石橋生涯学習推進課長,高木地域学習推進課長,安里男女共同参画共生社会学習・安全課長,今村国語課長,小林日本語教育推進室長 他

5.議事録

【清原分科会長】 
 皆様,こんにちは。

 定刻になりましたので,ただいまから第129回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。

 本日は,大変に御多用のところご参加いただきまして,誠にありがとうございます。令和6年,2024年,新年を迎えて初めての回となりますが,皆様,今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 元旦に発生した能登半島地震で被災された犠牲者の皆様に心から哀悼の意を表し,被災者の皆様にお見舞いを申し上げますとともに,だからこそ,私たちは,元気に審議を行うことによって被災地の皆様を応援していきたいと思います。よろしくお願いします。

 さて,本会議は対面とオンラインのハイブリッド方式で開催させていただきます。本日もユーチューブ上で報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者等より,会議の全体について録画を行いたい旨の申出がありまして,許可しておりますので,どうぞ皆様,御承知おきください。

 それでは,事務局から本日の会議の運営に当たりまして,留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。粟津補佐,お願いします。

【粟津生涯学習推進課課長補佐】 
 本日は,オンラインを併用する形で開催させていただきます。御不便もあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。

 オンライン会議を円滑に行う観点から,4点お願いいたします。

 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言いただきますようお願いします。

 2点目,御発言の際には,名前をおっしゃっていただきますようお願いします。

 3点目,御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いします。

 4点目,発言に当たっては,挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除いただければと思います。お手数をおかけしますが,御協力のほど,よろしくお願いいたします。

 本日会場にお越しの皆様は,御発言の際に,挙手又はネームプレートを立てていただきますようお願いいたします。

 続きまして,資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料は,議事次第を御覧いただければと思いますが,議題1,リカレント教育の関係では資料1。議題2の第12期の議論の整理の関係では資料23132。議題3,新たな部会の設置の関係で資料4。議題4の関係で資料5を御用意しております。また,参考資料1から参考資料4までを配付しております。あと,名簿等で机上資料が2枚あります。

 資料の確認は以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。

 それから,急遽でございますが,会場でご参加の皆様には,第4期教育振興基本計画のパンフレットを配付しております。オンラインでご参加の皆様には,必要に応じてホームページには掲載しておりますので,御覧いただければと思います。

 それでは早速議題に入らせていただきます。まず,「議題1,リカレント教育の推進について」入らせていただきます。

 前回は,全国専修学校各種学校総連合会と,兵庫県三木市,自由が丘公民館から話題提供を頂いたところでございます。本日は,「障害者の共生社会構築に資する生涯学習・社会教育や,学びを通じた社会的包摂」について御議論いただきたいと思います。私たちは,誰一人も取り残さない生涯学習・社会教育を目指しているわけでございます。

 そこで今回,鳥取短期大学幼児教育保育学科から國本真吾教授に御発表をお願いいたしました。御発表の後,委員の皆様との質疑応答,意見交換を行いたいと思います。

 國本先生におかれましては,大変御多用の中,御準備を頂きまして,誠にありがとうございます。

 それでは,鳥取短期大学幼児教育保育学科の國本先生から,「障害のある人の生涯学習について」,10分から15分程度で御発表いただきます。それでは國本先生,どうぞよろしくお願いいたします。

【國本氏】 
 よろしくお願いします。少し何か音声が,東京の方からの分がうまく届かなかったりする様子が先ほどもまだありましたので,私の方の音声は届いておりますでしょうか。よろしいですか。

 では,鳥取短期大学の國本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本会ではリカレント教育が議論されているということを伺いまして,今回,その対象として,障害のある人のリカレントを含めた生涯学習の報告をお願いしたいということで依頼を受けました。時間も限られておりますので,非常に短くコンパクトにいろいろなことをお話しさせていただかなきゃいけないと思うのですが,障害のある人といっても,障害の種別や程度,そして年齢によっても実践や課題は異なっていきますので,限られた時間の中で満遍なくこれをお話しすることは難しい部分もあります。そのため,非常に抽象的な話になる部分もあるかと思われますが,そこは御容赦いただきたいのと,後に質疑などで追加で御発言いただければ,お答えさせていただけるかなと思っております。

 では,次のスライドの方をお願いいたします。資料の2ページ目の方に移らせていただきます。画面少し変わっておりませんが――ありがとうございます。

 障害のある人のリカレント教育の前に,まず考えておかなければいけないこととして,後期中等教育修了後の教育機会の課題というのが,障害のある方々の分野では存在しています。つまり,再学習とか再教育の以前に,18歳以降も教育を継続していくという部分の点です。18歳段階での進学率に関していいますと,通常の高等学校と特別支援学校の高等部の卒業者の間で大きな数字の開きがございます。障害のある若者の方が早く社会に出ているというのが現状です。また,特別支援学校と申しましても,種別が5障害あります。この種別によっても進学率等には数字に大きな違いがございまして,特に知的障害は取り残されているところがあります。

 このことから,リカレント以前に,教育の継続性といいますか,継続教育の視点というものをどう考えるのかというのが,障害のある人の生涯学習における課題意識としては存在していることを,まず冒頭でお話しさせていただいた次第です。

 では,次のスライド,資料をお願いします。そのため,障害のある人の生涯学習といった場合,受け皿は,学校機関よりも社会教育でありますとか地域での取組が,この間,機能を果たしてきました。代表的なものとしては,この図の真ん中の少し上辺りにもありますが,公民館などでの実践になります障害者青年学級というものが広く知られています。ただ,全国的にどこの地域にも存在するというものではないですので,関東でいきますと,東京の多摩地域の辺りなどでは知られているものだと思いますが,これらは,単に教育の機会の継続性という部分だけではなく,学校を卒業された後の居場所であるとか精神的なつながりの役割を果たすものとしても大切に位置づいてきたものの一つです。

 次の資料をお願いします。しかし,そういった場所が全国どこでも存在するかといったら,そうはなっておりません。文科省が委託した調査からは,都道府県レベルと市町村レベルでは,障害者の生涯学習に対する場の整備の差が示されています。都道府県の方は,生涯学習の場を設けているというのが大体7割ぐらいですが,市町村だと,その逆の7割が整備ができていないというような結果に至っています。障害のある人に向けたプログラムであるとか,それから障害にかかわらず参加できるプログラムの用意の在り方も,都道府県と市町村でも違いがあったりしています。依然として,市町村といった基礎自治体での弱さというのは,この間の課題の一つです。

 次のスライドをお願いします。そこで,文部科学省も障害者の生涯学習を推し進めるに当たって,この間,取組の方を展開されています。2019年には有識者会議の報告を取りまとめ,推進の方向性を示しています。また,この間,全国の貴重な取組を発掘したりとか,広く知らしめるために,大臣表彰であるとか,それらをまとめた事例集の発行,こういったものを様々な形で行っているのは,委員の先生方も御承知のことと思います。

 次のスライドをお願いします。話は若干変わるのですが,私が住んでいる鳥取県の障害のある人の就労を支えていく事業所の代表の方から,こういう相談を受けたことがあります。高い作業工賃を保障する努力を重ねられてきたのだけれども,実際働いている障害のある彼らには,その使い道がなくて,果たしてこれでいいのだろうかというふうな悩みでした。地方の田舎ですので,非常に娯楽というものも少ない地域です。そんな地域で収入を得る努力を重ねていっても,何のために働くのかという目的や意欲を見失ってしまうようなことにもなるのかなということです。参考までに,画面では,就労継続,福祉的就労の作業工賃の全国的な動向の数字を出させていただいていますが,決して鳥取県は低い地域ではなく,平均を上回っていて高い方の部類にあるのですが,こういった地域でも,働いておしまいではなくて,何のために働くのだろうかといったときの,その後,一般的には余暇と言われるような,そういった時間の使い方なんかも含めて,人生が豊かになるような,そういったところにもう少し視点としては向けなきゃいけないのじゃないかみたいなことがこのときの話でした。

 特別支援学校も,進路としては就職というのは大きな目標にされるのですが,仕事だけの人生だけではなくて,生きがいのある生活の中で,仕事が果たす意味も変わってくるのではないかと思っています。

 次のスライドをお願いします。事実,障害のある人が就職された後,1年以内に仕事を辞められていく割合という形で,定着率というものから見ていくのですが,これは種別によっても違いはありますが,大体3割前後ぐらいが1年以内に辞められていくというふうなデータもあります。精神障害の場合だと約半分ぐらいがというふうな形の出方もしています。辞めていかれる理由には,結論的には様々な形になるのですが,障害のある人のリカレントを考えていく上で,ここに恐らくヒントがあったりするのじゃないかなと思っています。仕事を離れられるという部分の原因もそうなのですが,仕事を離れられた後の支援の在り方としても,ここに1つリカレントの要素をどう絡めるかという視点があると思います。

 次のスライドをお願いします。リカレントとか,また,最近だとリスキリングというふうな表現もありますが,こういったものは,人間の時間軸を縦の形で見ていきますと,学びの経験をどう積んでいくかというふうなことになって,また,この先どのように対応していくかという準備というふうなことになると思うのですが,障害のある人の場合でいきますと,その道の選択肢も必要なのですが,今という時間を空間的に横に広げていくような発想も併せて必要な取組として求められてきます。つまり,この先がという以前に,まず今をどういうふうに豊かにしていくのかということです。私はこれをライフワイドの視点というふうな表現をしているのですが,今あるものが仕事だけということではなくて,生活の中で生きがいのある活動があることが仕事を継続していく上でも不可欠なものとして保障されていくようなイメージです。障害のある方の生涯学習を考える際に,この横の視点も併せて持つことで,仕事や人生の目的や在り方も大きく変わっていくのではないかなと考えているところです。

 次のスライドをお願いします。最近の実践事例の中から,私の関心で特徴的なものを拾い出したものがこの画面にあるようなものですが,障害のある方の生涯学習の実践の中で,幾つか今新たな動きも飛び出してきているというか,出てきています。例えば,大学なんかを使った形でいきますと,大学の履修証明プログラムを活用した形で,知的障害のある方の学びの機会を保障しているケース,これが神戸大学なんかの実践です。それから,生涯学習といったときに社会教育の場なんかが大きくイメージされるのですが,公民館だけではなくて,図書館であるとか博物館といった場所が障害のある方に向けた学びを展開するようなケース,そして,障害福祉サービスを活用する形で生涯学習機会を提供するような事業であるとか,それから,実は障害のある方だけではなくて,その御家族も学ぶ必要性があるということで,親子で自立に向けた学びをしていく。従来だと福祉の世界で行われていたような取組なのですが,そういったものにも生涯学習的な要素というのが含まれるようなものも見いだされてきています。

 多種多様な試みが存在するようになったわけで,学びの時間は学校教育だけで十分だと思われていた過去の時代から考えますと,文科省の生涯学習の推進によってかなり変化してきているなということは物語っているような部分があるかなと思います。

 次のスライドをお願いします。そういった生涯学習を社会教育の場だけにとどめず,新たな人々ともつながっていく視点も私は必要かなというふうに考えているのですが,これは一つのヒントになるような話なのですが,私が暮らしています鳥取市内では,駅前の中心市街地の商店街で毎年まちゼミというものが行われています。恐らく各全国のいろいろな地域で同じこういった取組があると思うのですが,私のイメージでは,何かカルチャースクールとか公民館の教養講座なんかを町なかに落とし込んで,それぞれの商店の特色を生かしながら展開するようなイメージなのですが,鳥取の場合も地域の商工会が中心となってこれを行っているのですが,この中に障害者の就労の場が加わっています。ちょうどこの開催される商店街の中に,障害のある方々のアート活動を支援していく就労の活動の場がありまして,そのアートを生かした形で,このまちゼミに加わっていく。

 ここから何のヒントがあるかというと,実は,ここに通っている利用者の方々も,当然学ぶということもできるというか,参加することもできると思うのですが,逆に教える側にも立てるというふうな機会としても,これからは考えていかなきゃいけない一つの視点かなと思っています。障害のある方の生涯学習といった場合,どうしても受け手として学んでいくようなイメージで話がされるケースもあるのですが,逆に,これから生涯学習の担い手として,障害のある方々の活躍の機会というのも地域の中で創出できるのではないか,そういったときに,こういった取組なんかに加わっていくというのも一つの手なのかなというふうなヒントです。

 次のスライドをお願いします。全国的に商店や商工会議所などがSDGsへの取組を熱心に行われる例なんかも見られていますが,SDGsのターゲットの4の項目は教育や生涯学習に関わる内容になっていますので,障害のある人の生涯学習も,このターゲット4に位置づきます。それを根拠にして,障害のある人の生涯学習を,行政レベルだけではなくて,地域の様々な主体,企業も含めた形なのですが,そういうところと結びついて展開していく可能性は,先ほどのまちゼミもそうなのですが,可能性としてはあるかなと思っています。

 また,これまでにないような障害のある人の生きがいにつながっていく生涯学習の姿といったときに,閉ざされた環境の中だけが全てではなくて,このような,それぞれの地域の中でオープンに広げていくような可能性もあるのかなというところです。

 次のスライドをお願いします。文科省の障害者の生涯学習の政策の背景に,我が国が批准している障害者権利条約の規定も実は念頭にあったわけなのですが,一昨年になりますけれども,日本は初の対日審査というものを国連から受けました。その結果,総括所見・勧告というものが出されていて,一般的には学校教育におけるインクルーシブの問題とか,それから入所施設の在り方なんかが指摘として挙がったと知られているわけなのですが,今日の話に関わる部分でいきますと,高等教育での受入れに関わる形での指摘ということで国連からは出てきています。ですので,生涯学習そのもの自体を具体的に指摘される形ではなかったんですが,高等教育も含めて,生涯学習の場としてどのように高等教育を生かしていくのかというところは,これからの課題としてあると思いますし,また,これは多分,別の会議の方での議論になっていくような部分もあるのかなと思っています。

 ただ,高等教育といっても,正規の入学が全てでは当然なくて,先ほど紹介したような神戸大学のような履修証明プログラムを活用するような形なども含めて,幅広くそこは捉えていく必要があるのかなということです。

 では,次のスライドをお願いします。最後になりますが,障害のある人の生涯学習といった場合,択一的な取組ではなくて,リカレント的な要素も含めていろいろなニーズに応じて多様に用意されていくことがこれからは必要なのかなということです。そのためには,行政が全てではなくて,行っていく主体は多様であってよいでしょうし,これまで教育や福祉や労働といった障害者施策における連携の枠組み,ここを越えていくような各地域でのつながり合いというか,そういった姿も生み出していく必要があると思います。特に,障害のある人にとってのウエルビーイングを実現する意味からも,生涯学習のありようがどういうふうな形で広がっていくかということで今期待をしているところにもなっています。

 短いですが,以上で報告に代えさせていただきます。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 國本先生,簡潔な中にも充実した内容の御報告を頂きまして,心から感謝申し上げます。

 実は,第11期の生涯学習分科会の議論の整理の副題は,「全ての人のウエルビーイングを実現する,共に学び支え合う生涯学習・社会教育」というふうにさせていただいて,それを引き継いで第12期の私たちの検討が進んでいるところでございます。そして,その第11期で示された今後の振興方策の中には,本日との関係では,4番目に「リカレント教育の推進」,5番目に「多様な障害に対応した生涯学習の推進」というふうに,リカレントだけではなくて,障害者の皆様も含んだ生涯学習というのが重要だというふうに申し送りを受けつつ,今議論を進めているところです。

 それでは,皆様から御質問や御意見を頂戴したいと思います。会場の方はネームプレートを立てていただき,そして,オンラインの方は挙手ボタンを押していただくと有り難いです。私の方から指名させていただきます。どなたからでもどうぞ。いかがでしょうか。御質問あるいは御意見,御感想でも結構ですが,いかがでしょうか。

 それでは,小路委員お願いいたします。続いて,古賀委員お願いします。マイクが参ります。

【小路委員】 
 先生,御説明どうもありがとうございました。私,小路と申します。経済界から参加させていただいております。今日の國本先生の御説明,大変参考になりました。ありがとうございました。

 私からは,直接障害者の生涯学習ということに関係ないかもしれませんが,間接的にということで2点,お考えがありましたらお聞きしたいと思います。1つは,幼児教育の分野における,いわゆる健常児童と障害児童がどのようにして一緒に学び,遊びも含めて行われている状況なのか,そういった幼児教育の,学習と言っていいのかどうか分かりませんが,環境や体制が今どうなっているのご教授いただきたく。というのも,やはり幼児教育は集団生活に入る第一歩であり,そこで父母も含め健常者と障害児童との溝とか壁ができないということが非常に重要だと感じております。その辺,現在の状況がお分かりになりましたらお教えいただきたく。

 それから2つ目は,企業の障害者の法定雇用率,これはたしか2%,3%,少し失念してしまいましたが,こういった法定雇用率を高めるということがある意味では必要なのかなと。その辺に何か動きがありましたら教えていただきたいと思います。というのは,私どもは,たしか以前は2%だったと思いますけれど,それを超える雇用率で,ある程度積極的に会社としても障害者雇用をやっておりまして,やはり人数が増えてきますと,企業も,障害者のための環境設備だとか,体制だとか,協力ではなくて一緒にやっていこうという体制がやはりつくりやすくなってくるのと実感しています。どうしても人数が少ないと,現実的になかなかそこに目が行かないということがありまして,やはりある意味では,もう少し法定雇用率を上げていくということが必要じゃないかなというふうに思いまして,そんな2つを教えていただければと思います。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。國本先生,1つは幼児教育におけるインクルーシブ,そして2点目は,法定雇用率を上げることによる障害者理解の促進などについて,動向に関する御質問です。いかがでしょうか。

【國本氏】 
 御質問ありがとうございます。私が答えるべきかどうかが少し悩ましいところも正直あるのですが,まず,1点目の部分に関しまして言うと,幼稚園と保育所という就学前の場は,学齢段階と違って,障害のあるお子さんたちだけが学ぶ場所ということが想定されていなくて,集団の中に一緒に最初から入っていくというような場になっています。そうしますと,別に幼稚園で特別支援学級があるわけではありませんので,通常のクラスの中で生活していくということを考えたときに,もう既に一緒に学んでいるというか,一緒に生活しているという現実,そういう状況にあるわけなのですが,今実は多様な障害以外のお子さんを抱えられている保育現場は多いですし,それから,まだ障害というふうなことを明確に断定できない,診断も下りていなかったりとか,グレーな状態のお子さんの問題もあったりしますので,障害の有無で線を引くというふうなことは,多分,学齢期以前の就学前も非常に難しい現場だと思われるのです。

 そうなりますと,従来の保育現場,幼児教育の現場が障害のあるお子さんを既に含んでいる前提であるということと,それから障害以外の,具体的に言えば,外国人の方もそうだと思いますし,多様な家庭の背景を抱えたお子さんもいらっしゃいますので,保育の,幼児教育の発想が既にもう特別支援教育として実践内容が問われている段階にあると思いますから,何か新しいことというよりはむしろ,障害のあるお子さんたちも含めた形での実践を前提とした形で,従来の教育の在り方,幼児教育の在り方を根本から見詰め直すというか,考え直すというふうなことからかかっていかなければなかなか難しいかなと個人的には思ったりしています。十分なお答えではないかもわかりませんが,1点目はそれです。

 2点目の方ですが,これも具体的には,雇用分野に詳しい方の方がお答えされるのがいいと思うのですが,私の方の意見としますと,今年の4月から,障害者差別解消法の改正によりまして,民間事業者の合理的配慮の提供義務というのが努力義務から法定義務として変化していきます。そうしますと,やはり企業さんも含めていそうだと思うのですが,障害のある方を雇用するばかりじゃなくて,やはり御商売で向き合っていく相手の方々もそうだと思うのですが,障害のある方々との接点というものが,これから合理的配慮という視点の提供も含めてどのように理解されていくかというところ,ここがこの4月以降の動きによって,これから考えていただかなきゃいけないことの一つになると思います。

 そういったところで,障害のある方々の問題を合理的配慮をきっかけに理解していただく機会を広げる中で,雇用においても,隠さずに,例えば自分の障害のことを表に出して,逆にそれをアピールすることで雇用されていくような機会ということにつながっていく方が,本来はいいのかなと思ったりもしています。

 すみません,以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。

 それでは次に,古賀委員,沖畑委員,綿引委員,大久保委員,清水委員の順で御発言をお願いいたします。次の議題もあるものですから,その5名の方で,この議題については御発言をまとめさせていただければと思います。

 それでは,古賀委員お待たせしました。どうぞ。

【古賀委員】 
 古賀と申します。御発表ありがとうございました。

 スライドの8枚目について質問です。ライフワイドという言葉は今回初めて耳にしまして,先生の先ほどの御説明によりますと,今あるものの中でとりわけ生きがいとかやりがいとかを感じられるところという含みかと拝聴しました。障害の有無を問わず,誰しもとても大切なことと思った一方で,とりわけ障害をお持ちの方について,何か留意しておくべき考え方とか進め方とか,少し補足をいただけると助かります。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。ライフワイドについてもう少し,國本先生,補足説明をお願いいたします。

【國本氏】 
 生涯学習という言葉を英訳したときに,ライフロング・ラーニングとかいうふうな表現もありますが,もともとユネスコではライフロング・アンド・ライフワイドというふうな形で,縦と横,垂直関係と水平的な関係の統合を生涯学習というふうに唱えていたということを援用したのがこの図になります。ただ,どうしても横といったときに,まだこれは何か定式化されたものの話では全くなくて,今までどちらかというと縦軸の見方が非常に強かったので,視点を変えて横軸の見方をすると,いろいろな広がり方が見えてきませんかというふうな意図なのです。ですので,単純に世界を横に広げていこうという,そういった理解をしていただいてもいいと思いますし,そうでなくて,生涯学習という捉え方も,視点を変えて見ると,今まで言われていた生涯学習という視点とは違うものも,これも生涯学習と言えるのじゃないかみたいなものが登場すると思うのです。恐らく先ほど紹介したものでいくと,福祉の場の中で行われているものが,教育的な,学習的な要素があっても,それは今まであまり生涯学習というふうなことで大きく取り込まれていなかった部分があると思うのです。

 ですので,例えば注意点というのは,行政なんかの方に1つ言えるのは,福祉の場で行われているから予算的には福祉部局が担当するとか,別にそういうことではなくて,教育行政的に,障害のある方々の学びというソフトをどのように支援していくことが教育行政担当部局ができるのだろうかみたいなところで議論したりとか,また,そういった形で地域の中で合意形成されていくような働きかけをするということが,1つ障害者の分野では必要なことかなと思っていることです。詳しくは,こちらの本をまたお読みいただけたら有り難いです。

 以上です。

【清原分科会長】 
 古賀委員,いかがですか。よろしいですか。ありがとうございます。行政でいえば,教育委員会だけではなくて,市長部局と幅広い連携をすることが有効という御示唆だと思います。

 それでは,沖畑委員,御発言をお願いいたします。

【沖畑委員】 
 沖畑でございます。よろしくお願いします。

 1つお聞きした中で感想から私の考えていることと,もう1点御質問させていただきたいのですが,1点目は,今もお話に出てまいりましたけれども,横への広がり,つながりということは,本当にこれからの学びの中でとても重要なことだと私も考えております。障がい者の生涯学習を推進するためにということで御提言がございましたけれども,障がい者だけではなく,本当に全ての人々にとって,これからの学びというのは,いろいろなところがつながりながら網の目のように関係し合っていくことがすごく重要なことだと考えます。先生のお考えと本当に同じことを思っているわけですが,そのためには,前回のこの会議で出てきていたような,社会教育主事がその中核としてマネジメントしていくであるとか,社会教育士がもっともっといろいろなところに増えながら,学びの視点というものを持ちながらやっていくということがすごく重要だと今日も改めて思わせていただきました。ありがとうございました。

 もう1点,すみません,質問でございますが,こちらの方は,先ほどのライフワイドの前のところの就労後の定着率の低さということなのですけれども,これというのは,本当に私どものところでもいろいろありまして,解決方法としては,今おっしゃったような生涯学習の横への視点というものを重視しながら,幼児教育のうちからやっていくことによってかなり改善されるとお考えでしょうか。それとも何か課題は別のところにあるとお考えなのでしょうか,お聞かせください。

【清原分科会長】 
 障害者の雇用の定着率についての御質問です。國本先生いかがでしょうか。

【國本氏】 
 表向きの回答はそうあってほしいなと思ってはいるのですが,実際,その定着率の原因の中身というのは,これは分析していくといろいろ複雑だなと思います。ただ,1つ事例から言えることは,一般就労されたケースなんかでいきますと,先ほどの雇用の話なのですが,障害者が1人とか2人企業で雇われておしまいということもありますと,職場の中で孤立してしまうという問題もあるのです。そうすると,仕事も単調な仕事が非常に多かったりして,仕事に対して前向きな思いというのは続いていかない。それから,昔の特別支援学校の仲間と集うような機会というのも,一般就労していますと,休みの日が合わないというふうな職種もあります。そうすると,やはり卒業後の孤立感の中から,仕事のストレスを発散する機会もなかったりとか,それから,何か仕事とは別の第三の場があると,そこが充実することによって,頑張って仕事するかなとか,生きていくために仕方ないわなみたいな形で仕事を,まあ消極的なのかもわかりませんけれども,やっていこうみたいな気持ちも続くところがあると思うのですが,それすらも絶たれてしまうという現実も実際事例からはあったりするので,こういった,定着率を高めなきゃいけないのですが,定着率を高めていくための一つの要素としても,生涯学習の広がり方,豊かさというのはとても大事な視点になる,社会保障の大事な一つの取組と思ったりもしています。

【沖畑委員】 
 ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。

 それでは続きまして,綿引委員,御発言をお願いいたします。

【綿引委員】 
 綿引でございます。大変貴重なお話をありがとうございます。

 私もページ8のライフワイド,ライフロングの視点から感じたことを申し上げて,1つ先生のアドバイスを頂きたいのですけれど,私たちは包摂的な社会づくりという言葉を多用しているのですけれども,ある意味,国民目線に立つと,個を尊重することを生涯学習の教育の一つの基軸にはっきりと打ち出していくということが,先生がおっしゃる障害のある人の生涯学習をワイド・ロングの観点から促進するというように聞き入ったのですけれども,いかがでございましょうか。

【清原分科会長】 
 國本先生,いかがでしょうか。

【國本氏】 
 私は,ベースが知的障害のある人たちの問題に立っていますと,個といったときに,個人の個よりは,むしろ集団的な場での広がり方がすごく大事かなと思います。ですので,個人の保障の部分と集団の保障の部分,どちらがというよりは,どちらもやはり必要なことだと思いますので,ここにも人とのつながりの場としての求め方ですから,ライフワイドといったときには,やはり集団というところは欠かせないのかなと思っています。よろしいでしょうか。

【清原分科会長】 
 綿引委員,いかがでしょう。

【綿引委員】 
 ありがとうございます。よく分かりました。少し私の説明が不足しているのですけれど,この個という意味は,障害のある方も一つ一つの個性という意味で,そういう方々も尊重するという意味で使ったので,説明が不足しておりまして申し訳ありません。

【國本氏】 
 はい,そういうことです。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。

 それでは,大久保委員,御発言をお願いいたします。

【大久保委員】 
 ありがとうございます。大久保と申します。

 私も,冒頭に御紹介がありました障害者の皆さんの離職率の高さというのがずっと気になっているテーマでございます。雇用回りのことをずっと専門で担当しているのですが,日本では障害者雇用率制度を主軸として政策展開されてきましたので,就労の場をつくるということに関しては随分取組がされてきたところがあると思うのですが,どうしても,就労して,そこで点で終わってしまうところがあって,その後どうするのだと,いわゆるキャリア形成といった観点で見ると,まだ取組が進んでいないなというのが実態だろうというふうに思うのです。障害者の皆さんは,一人一人多様な個性の方々がおられるので,関心を持っているテーマであるとか,あるいは強みであるとか,そういったものにもう一段階フォーカスができると,就労の場で生かされるとか,仕事に喜びを感じるということにもなるでしょうし,関心とか強みが就労にもつながり,生涯学習にもつながるという姿が一つの目指すイメージなのかなというふうに思っていたのですが,そこについての國本先生の御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 それでは,國本先生,いかがでしょうか。

【國本氏】 
 今委員がおっしゃったとおりのことで私も思っておりますし,私は1つ今,考えというかアイデアとして思っているのが,例えば障害のある方々が観光の分野とかにどういうふうに絡むことができるかなみたいな仕事の見いだし方というのも,これから1つテーマかなと思ったりしています。例えば興味関心が非常に,例えばこだわりが強い方とかあったりする中で,この前も京都で出会ったある青年なのですが,歴史がすごく大好きで,京都や奈良,あの辺りの寺社の仏像とか,そういったものをすごくよく分かっていて,教えてくれるのです。こういった力を,例えば観光業でガイドとして生かしていくような仕事の在り方というのも,これから障害のある方々が,ただ観光客で行くが全てではなくて,そういうふうなもてなしていく部分で活躍するような機会というのも地域によっては生み出せるのかなと。

 ですから,そういった形で,仕事に就いておしまいではなくて,自分に合った仕事をどのように見つけていくかという機会として,仕事を離れた後にそういったものを考えられるような,前向きな形で考えていけるような場として生涯学習の機会が機能していくと,またキャリア形成の部分ではとても大事な取組にもなっていくかなと思っております。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。大久保委員,いかがでしょうか。

【大久保委員】 
 まさしく私もそういう形で,誰かの役に立つとか誰かをサポートして,自分がそれに役立っていると感じられるような機会につながるといいなと思っていまして,先ほど御紹介いただいたまちゼミも,そういうものを見つけるための一つのきっかけになるのかなというふうに聞いておりました。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。自己肯定感とか,自己達成感とか,社会貢献の方向性というのも大切なポイントだと思います。

 それでは,清水委員,御発言をお願いいたします。

【清水委員】 
 ありがとうございます。発表をありがとうございました。私自身が長く障害のある子たちとずっと生活しておりまして,日々いろいろなことを感じておりますが,今日先生のお話を聞いて,私も同様に横の広がりを早く具現化してほしいと日々願っております。

 そこで,お願いと,少しお話をさせていただきたいのですが,まずは2ページ目の障害者の生涯学習を求める背景で,高等学校,特別支援学校とありますが,私一応,全国高等専修学校協会の会長をしているものですから,少しアピールをさせていただくと,高等専修学校は,専修学校の中卒で入れる高等課程の学校になりますけれども,今,全国の高等専修学校で実員の3割近くが発達障害,身体障害の方が学んでいます。これは1条校の高等学校に比べればはるかに多い割合でございます。ですので,是非後期中等教育の一翼を担っているというところで今日お話しさせていただきたいと思います。本当に全国の高等専修学校各校が,障害のある子と,また,健康な生徒が完全にインクルーシブな教育環境の中で,専修学校の主題である職業教育,また,インクルーシブ教育の中で人間教育を介して手に職をつけて実社会に送り出していっております。是非先生,載せていただければ有り難いなと思います。

 それと,先ほど来から定着率のお話が出ておりましたけれども,高等学校は,御承知のとおりに,設置基準上,支援学級はつくれません。ですので,今,支援学級をつくれるのは,幼稚園もできませんので,小・中ということですけれども,やはりここを変えていかないと,障害のある子供たちの学びというのが私は開けていけない,社会に,横につなげていけないのじゃないかと思っています。やはり幼児期からの学習環境の中で障害のある子たちの理解教育を積み重ねていってこそ,初めて実現できるものだと思っていますので,それが実現すれば加速していくのではないかなと思います。まだまだ時間はかかるかとは思いますが。

 あと一つ,最後になりますが,横の広がりを早く具現化してほしいと思います。ただ,特に発達障害の子供たちの生涯学習のニーズというのはそれぞれ違います。やはり知的なものの違いもありますし,また,興味関心も違いますので,そんな中で,今全国の高等専修学校ではいろいろな工夫をして,余暇活動の延長線上でうまく取り入れているなという例があります。横のつながりをやるときには,再度のお話ですが,特別支援学校の高等部,また,高等専修学校とか,障害のある子供たちが多く学んでいる学校の先生方を主軸に実社会につなげていくような仕組みをつくれないかと思っています。なぜかというと,子供たちをよく知っているからです。ただ,先生方は働き方改革の名の下に今きゅうきゅうな状態ですので,ここは文科省として人員を増やしていただいたり,財政支援を頂いたりして,うまくそのつながり部分を,学校の先生方に大きな負担にならないような仕組みで広がりを持たせていただいたら有り難いなと。そのときは是非公私関係なく御支援いただきたいなというふうに思います。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。清水委員からは総括的な御意見を頂きました。

 國本先生,御報告によりまして,今数名の委員から質疑応答,意見交換がございましたが,最後にまとめの一言があれば,どうぞ御発言ください。

【國本氏】 
 先ほど清水委員から頂いた言葉ですが,統計上,具体的にまだ高等専修(学校)とかの数字をここに合わせて出せるような形で引用ができておりませんので,是非文科省でも考えていただけると有り難いかなと思いますし,私も,大阪のある高等専修学校と関わっています。そちらの方は,高等課程の後に専門課程を持っていませんので,高等課程なのですが,専攻科という形で,通称なのですが,法的根拠はないのですけれども,別科の形で設けているところがあります。そこで実際,発達障害や知的障害の青年たちが学んできたケース等も関わってきましたので,多分恐らく,専修学校の専攻科の在り方はこの後の議論の内容にもなるのですかね。そういった形で,従来の1条校ではない学校が果たしている役割も十分承知しています。すごく学ぶ場所が多様化しているというのが学校教育段階でも多くなってきていますので,生涯学習もそうなのですが,障害のある方々にとって,これが正解というのはなかなか難しいと思います。学ぶ場所にしても,実践にしても,これが全てでおしまいというわけではないので,多様にそれを豊かに生み出していくような社会の寛容性が,今この多様化の中で問われていると思いますから,そういったものに共生社会として寄与していく一つの方向性として,障害のある方々の生涯学習の視点から,すごく貢献度があるかなという期待で,是非今後議論を深めていただけたらなと思っております。今日はありがとうございました。

【清原分科会長】 
 國本先生,大変にありがとうございました。皆様拍手でございます。ありがとうございます。

 それでは,幼児教育段階からの御質問をいただきましたが,障害者の生涯学習というのは,本当に乳幼児期から視点を置きながら取り組まなければいけませんし,長寿化の中で,障害のある高齢者の学びということにも視点を入れなければいけない。そして,そこにしっかりとリカレント教育という,職業や,あるいは生き方と関係する学びの充実について,今日は広がりのある意見交換ができたと思います。どうもありがとうございます。議題1をこれで終了いたします。

 それでは,議題2に入ります。議題2は,「第12期生涯学習分科会の議論の整理について」でございます。

 第12期生涯学習分科会では,これまでにリカレント教育の推進や,社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方,日本語教育の質の維持向上などについて,主に御議論を重ねてきました。

 そこで,今後の審議のまとめに向けまして,事務局において,報告書骨子イメージ案を作成いただいております。まだイメージ案でございます。今後深めてまいりたいと思いますが,まずは事務局から説明を頂きまして,皆様からの質疑応答,そして意見交換をしていただいて,今後さらに,まだ期間がございますので,内容を深めていきたいと思います。

 それでは,石橋課長から資料2に基づいて御説明をお願いいたします。

【石橋生涯学習推進課長】 
 ありがとうございます。

 まず,オンラインの皆様方,私の声が聞こえておられましたら,何かリアクションしていただけると有り難いです――大丈夫そうでございますでしょうか。ありがとうございます。

 では,御説明を続けさせていただきます。資料2を御覧いただければと思います。これまでの日程の,これまでどういう回を重ねてこられたかというところの資料を,すみません,御準備できておりませんけれども,実際,令和5年の419日からここまで,6回の議論を分科会として重ねてきていただきました。基本的には,リカレント教育のところ,それから,令和5419日に立ち上がりました社会教育人材部会,これの中間的なまとめを受け止めた御議論も頂いてまいりました。ここしばらくは,特にリカレントに関しては,放送大学,それから専門学校のお話,そして外国人,そして今日の障害者の方と生涯学習の在り方,リカレントの在り方というところの議論を積み重ねてきていただいたところでございます。間もなく,ここで10か月ぐらい議論が進んできたところでございますけれども,多くの材料がそろってまいりましたので,一旦議論の整理というところで,今日イメージ案をお示しするというところになりました。先ほど分科会長から,まだ本当に最初の部分ということでおっしゃっていただいておりますけれども,本当にたたき台のたたき台というところで御覧になっていただきまして,御議論いただければというふうに思っております。まず事務局のまとめ方のイメージとしてごらんいただければと思います。

 それでは,資料に沿って御説明いたします。

 総論というところでございますけれども,総論の中で四角で囲んでおりますところが4本ございます。まず1つ目でございますけれども,生涯学習をめぐる状況と目指すべき姿というところで,最初のところは,教育振興基本計画でも触れられているような部分を少し文章としては使わせていただきながらまとめておりますけれども,人生100年時代を迎え,人生のマルチステージモデルの中で学校教育における学びの多様化とともに,社会人の学び直しをはじめとする生涯学習の必要性が高まっていると。特にウエルビーイングやSDGsの考え方が浸透してきている。また,政府全体としても,人への投資として,労働者が自らの意思でリスキリングを行い,職業を選択できる制度に移行していくことが重要,こういうことも言われているというところでございます。ここでのポイントは,やはり生涯を通じて楽しく学び続けることができる社会を目指していくということかなというふうに議論をお聞きしながら理解しているところでございます。

 それからもう一つの柱が,生涯学習社会を実現するための社会教育人材の在り方についてというところでございます。これがまさに社会教育人材部会で御議論いただいているところをベースに記述を深めていくところかと思っておりますけれども,人々の生涯にわたる自主的な学習活動の支援に努めるとともに,地域コミュニティーの基盤を支えていく,こういう人材の在り方,大きな役割があるということでございます。

 そして,生涯学習を進める上で,やはりここは各学校教育段階,先ほど幼児教育の話も出ましたけれども,まさにそこが大事になってまいりますので,まず初等中等教育というところで書かせていただいておりますのは,児童生徒が自らのよさを生かしながら自主的・自発的に学ぶ学習活動を通じて,児童生徒一人一人が学ぶ楽しさを味わいつつ,2ページ目でございますが,自らの学びに主体的に取り組むために必要な力を身につけること重要ということでございます。

 それから,高等教育においても,多様な年齢層の多様な学びのニーズに応えるキャンパスを実現していくということで,その上で,学生自身が深めたい学びを極め,その学びを生かして仕事をしていけるようなキャリアパスを支援するということを書かせていただいております。

 それから,この学習段階,いわゆる学校教育段階を経た上でございますけれども,社会人のリカレント教育に関しては,教育機関と仕事の行き来をしながら,学ぶことが当たり前の社会となる必要ということで,そのためには,やはり情報が分かりやすく提供されていること,学び直しのための費用,時間,社会的評価等の課題を解決することが必要ということで書かせていただいております。

 続きまして,各論でございます。これは,委員の先生方から頂いた,また,ヒアリング等を通じていただいた材料をこの中で整理をさせていただいているということで並べさせていただいております。

 まず,社会人のリカレントということで,リスキリングからリカレントまでの学びの提供ということで,まず課題というふうに書かせていただいておりますけれども,なかなか日本の企業のOJT以外の人材投資が諸外国と比較して伸びてこないという状況があると。一方で,大学や専門学校等の学校段階では,社会人のリカレント教育において十分に活用されていないという課題がある。一方で,社会の動向ということですけれども,リスキリングなどについては重要視する流れができつつはございますけれども,やはりまだ社会人の方々の方では必要性を感じていない,何を学んでいいか分からないというようなことが見えてきているということでございます。

 それで3ページ目に参りまして,学習者のニーズを満たす学習コンテンツの効率的な開発,いつでも学べるという仕組みをどうつくっていくかということ,またひいては,学位取得に結びつける方策も必要ということを書かせていただいております。

 企業側のお取組ということでは,人的成長投資という手段が最も重要でございますし,生活基盤分野への労働力の充足,GXDX,起業家人材の質・量を伴う育成が急務であるということでございます。また,保有するキャリア・スキルの棚卸しと事業マッチング,働きながら学ぶための環境整備,そして適切な処遇ということを書かせていただいております。

 一方で,学修者という観点におきましては,越境経験,それから,キャリアプランを設計することにより主体的にキャリアを形成していくということで,先ほどの議論にもありましたけれども,精神的な豊かさから幸福や生きがいにつなげられるような様々なジャンルの学びを含めて学ぶ意義や目的を自ら見いだすことも大切ということを書かせていただいております。

 高等教育機関の役割といたしましては,社会をけん引する成長分野の人材を養成するという観点からも,学び直しにおいて重要な役割がございますし,学びと成長のエコシステムということをどう構築するかということも必要であるというのを3ページ目の最後に書かせていただいております。

 4ページ目に参りまして,高等教育機関は,地域の様々な人たちが交流し,課題を共有するような場にもなっていきますので,地域社会の知の基盤としての役割ということがこれから必要ではないかということでございます。

 このことをどういうふうにやっていくかということにおいては,まだ費用や時間の壁がある社会人の学習ニーズに十分対応できないとの指摘もございますので,この辺りについてどう役割を果たしていくかということが重要であるということを書かせていただいております。

 放送大学と専門学校は,具体的にヒアリングをさせていただきましたので,特出しする形で書かせていただいておりまして,放送大学に関しては,時間,場所の課題を乗り越える可能性がございますので,どういう形で生涯学習の基盤を拠点として果たしていけるかということでございます。

 また,専門学校に関しましては,社会人を正規課程において,時には企業からの派遣研修としても受け入れていただいておりますし,国や自治体からの公的商業訓練としても役割を果たしていただいておりますので,ここから専門学校がどうリカレントにも更に役割を果たしていただけるかというのも重要であるということで書かせていただいております。

 それから,その次のところは,専門学校のことではなくて,別のパラグラフになっているのですけれども,国家学位資格枠組み(NQF)の検討ということで,国際的にもこのリカレントで学んだことがいかに通用していくかということが大事になってくるかということ,それから,学習歴のデジタル化などの取組も有用というふうに書かせていただいております。

 それから,これは昨今少し課題になっておりますことを「また,」以降書かせていただいておりまして,少し細かいお話をさせていただきますと,卒業証明書というのは,高校,大学などで20年間発行することができるのですが,成績証明書,いわゆるどういう成績を取ったかというのが,今5年で保存期間を超えてしまい,破棄しても大丈夫ということになってしまっておりまして,これが少し,海外大学への出願ができないというような課題も指摘されているというお話がございましたので,ここにリカレント教育の一つの課題として書かせていただいております。

 各論の2つ目でございますが,障害者の生涯学習ということは,こちらは今の御議論を踏まえてもう一度ブラッシュアップをしたいというふうに思っておりますが,今日頂いた先生方からの御意見を踏まえた形で少し書かせていただいております。またここは後ほどブラッシュアップをするということで,今日は飛ばせていただきます。

 各論の3のところでございますけれども,外国人の日本語等の学習ということで,外国人も対象にした日本語学習・文化理解等の生涯学習・社会教育は重要ということで,今後,この分科会の下に日本語教育部会を新設して,しっかりと日本語教育の推進方策や養成機関等の登録に関して議論を進めるということを書かせていただいております。

 最後でございますが,各論4といたしまして,社会教育人材ということを書かせていただいております。社会教育人材は,決して生涯学習というところのみならず,環境・福祉・防災等々の分野でも非常に大事になってきておりまして,地域コミュニティーに着目した社会教育との連携が重要となっているということでございます。そして,社会教育のフィールドは大きく広がっているというところでございます。

 社会教育人材である社会教育主事は,行政をつなぎけん引する地域全体の学びのオーガナイザー,そして,社会教育士は専門性を様々な場に生かすオーガナイザーとして位置づけを明確化し,配置や活躍を促進するということが必要かと思っております。その際には,活躍促進の事例の収集,ロールモデルの提示等々,ネットワーク化なども含めて取り組んでいく必要があるということでまとめさせていただいております。

 まずは御議論いただければと思います。説明は以上でございます。

【清原分科会長】 
 石橋課長,ありがとうございます。

 それでは,今の事務局の説明について,今後深めた方がいいのではないか,あるいは含めるべき点はこういうところにあるのではないかとか,強調する点とかお気づきの点がありましたら,各項目について,アトランダムで結構です。今日はキックオフでございます。30分程度は意見交換のお時間を取れると思いますので,どなたからでもお気づきの点をまず御発言いただければと思います。御遠慮なく,会場の方は名札を立てていただき,オンラインの方は手を挙げてください。

 それでは,最初に山内委員,そして続いて浜田委員です。そしてその次に野田委員。ではまず,山内委員,御発言をお願いいたします。

【山内委員】 
 適切におまとめいただきありがとうございました。

 私からは,3ページ目の第1段落の部分です。リスキリングで大学ができることに関するセクションかと思いますが,後半に関して2点コメントさせていただきます。「特に大学においては,学習成果を保証する講座など学修者のニーズを満たす学習コンテンツの効率的な開発,いつでもどこでも手軽に学びたいものだけを学べる仕組みも必要。」という部分ですが,手軽に学びたいものを学ぶのは大事なのですけれど,それだけでよいかというのは議論があるところかなと思います。手軽に学べるところから始まって,それを深めるためにはもっとこんなものを学ぶのがいいよといったことが大学のコミュニティーの中で指摘されて,それが生涯発達につながるという視座もあると思うので,手軽に学びたいものを学べる仕組みはあってもいいと思うのですけれど,「だけ」でなくてもいいかなというのが第1点です。

 それから第2点が,「そのうえで,学位取得に結びつける方策も必要。」ということで,その方針自体は誰も異論はないと思うのですけれど,どうやるのかというのが大事な部分かと思いますので,それがないと,多分大学側は何をやっていいか分からないという方も結構多いと思います。一般的には,こういうリカレントから,学位取得に結びつけるときには,いわゆるマイクロクレデンシャル,学習内容を細分化し個別に認証する仕組みの活用などにより学位取得に結びつける方策も必要など,少しその辺り,もう少し書いていただく方が大学側に伝わるかなと思いました。

 私からは以上です。

【清原分科会長】 
 山内先生,ありがとうございます。今,中教審には,少子化の時代における高等教育に関する諮問も出されており,大学分科会を中心に,特別部会も含めて議論がされている中,生涯学習分科会で貢献できるポイントについての御提案だと思いますので,是非その点を深めて,今回の諮問の答申に向けての取組に生涯学習分科会として貢献したいと思います。重要な御指摘ありがとうございます。

 それでは,浜田委員お願いいたします。

【浜田委員】 
 失礼いたします。今,御紹介の中にありましたように,来年度より,この分科会の中で,外国人の日本語教育,日本語等の学習について御議論をいただけるということで,冒頭にもありましたように,日本語教育の質の維持向上を図るということから非常に有り難く思っております。

 それで,今書かれていることに特に異存はないのですけれども,もう少し強調していただければと思うことがあります。今回,その日本語教育の質の維持向上ということの一番きっかけといいますか,発端になりましたのが,令和元年度にできました日本語教育の推進に関する法律,いわゆる日本語教育推進法でございます。その中で,日本語教育を受けることを希望する外国人等に対し,日本語教育を受ける機会が最大に確保されるように行わなければならないということが明確に位置づけられまして,そして,その日本語教育推進に関する施策の策定,実施というのが国の責務である,そして,地方公共団体についても,努力義務ではありますけれども責務であるということが明確に位置づけられました。ですので,この日本語教育というのは,やってもやらなくてもいいというようなことではなくて,必ず社会の基盤として進めていかなければいけないものなのだということを少し強調をしていただければということが1点です。

 そして,同じくこの日本語教育推進法の中に,基本理念といたしまして,日本語教育の推進が地域の活力の向上に寄与するものであるとの認識の下に行われなければならないということも示されております。先ほど,障害者の生涯学習について,障害のある方の生涯学習について,誰かの役に立てるということが生きがいになるというふうなお話がありました。外国人の方についてもこれは全く同じように当てはまることではないかと考えておりますし,また,そのように外国人の方が私たちの社会で活躍してくださることで,地域全体の活力の向上にもつながっていくというようなことを,是非論点の一つとして確認をしていただきたいというふうに思います。つまり,最低限の基盤の確保というだけではなく,私たちの社会がいろいろな意味で,外国人の方御本人のウエルビーイングに加えて,私たち社会全体が豊かになっていくというためにこそ,日本語の学習の支援,基盤整備が必要であるというようなことを,この法律の理念を踏まえるという形で,是非ポイントとして書き加えていただければと思います。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。その2点については重要なポイントであり,日本語教育について,生涯学習分科会としてその役割を引き受けるということの一つの重要な根拠の御指摘だと思いますので,反映したいと考えます。

 それでは続いて,野田委員,辻委員,松本委員,そして綿引委員,澤野委員,小路委員,大平委員,大久保委員という順で御発言をお願いします。それでは,野田委員,お願いします。

【野田委員】 
 東大阪市長の野田でございます。端的に2点です。

 1点は,今後,議論が整理をされるに当たって成文化されるであろうと思いますが,国の責務ということ,ここを明確にしていただきたいと思います。今日まで議論を重ねておりますけれども,では国は何をするのかというところが,どうも根底にないような,何かそんな気がしてならないので,是非とも,国の責務というのは何か,どこを担っていくのかということの明文化のお願いを申し上げます。

 2点目は,当然これと関係するのですが,財源の担保というところに全く触れられていないのです。財源なくしてこれはできるはずがないので,では,これらの財源というのはどこから持ってくるのか,そこがないと,まさに絵に描いた餅になってしまうと思いますので,国の責務ということ,そして財源の担保をどうするのかということ,ここについて是非とも明確に記載をするべきではないかと考えますので,よろしくお願いいたします。

 以上です。

【清原分科会長】 
 野田委員,ありがとうございます。私たちの取組というのは,まさに政策に反映していただくとともに,そのために,しっかり政策を執行する財源を文部科学省において確保していただくための提案でもありますので,ある意味では必要な所与の極めて重要なポイントを改めて御指摘いただいたと思います。実際に私たちの御提案がそのような具体策と具体的な財源確保に結びつくために,まとめていきたいと考えております。ありがとうございます。

 それでは,辻委員,お願いいたします。

【辻委員】 
 よろしくお願いします。

 1ページ目のところに,「職務ごとに要求されるスキル」というような文言があって,少しリスキリングの方に傾き過ぎていないかなというふうに思いました。リカレント教育というのは,リスキリングの側面がもちろん大きいと思いますけれども,今日の國本先生のお話にあったように,障害のある人が仕事を続けられなかったときに,改めて職業訓練を受けても,やはり仕事を辞めると思うのです。もう少し幅広い教養みたいなものを身につけて,柔軟性を身につけていく,それから,適度に自分の思いを伝えるような力を身につけていかないと,やはりずっと仕事を辞めることを繰り返していくというふうに思うのです。そういうような形のリカレント教育の場所というのが必要なのかなというふうに思っております。したがって,職業技術,特に成長分野をそれで育てていくという側面と,楽しみごとを増やして柔軟性のある人格になっていく,そのために大学等で学ぶ,こういうようなことを考えていただけるといいかなと思っております。

以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。本日の國本先生の御指摘とも重なり合う重要なポイントだと思います。ありがとうございます。

 それでは,松本委員,お願いいたします。

【松本委員】 
 ありがとうございます。

 まず,今までの審議を踏まえた取りまとめありがとうございます。よく方向性としてまとめていただいているので,私としては2つあるのですけれども,1つは,1ページ目の生涯学習を進める上で目指すべきものというところで,初等中等教育から始まっているわけですけれども,今議論してきたように,まさに保育・幼児教育領域から始まっているわけなので,その辺りも,ニュアンスとして含まれているようなところも感じるのですけれども,もう少しそこが含まれるように書いていただけると有り難いなというふうに思ったところが1つです。

 もう一つは,本日の議論,障害者の領域とも関連すると思うのですけれども,障害者の生涯学習,あるいは外国人の日本語等の学習にも関係すると思うのですが,いずれにしても,障害者の方あるいは外国人の方,当事者からの御意見とかお考えを踏まえた方策を進めていくというようなニュアンスをやはり入れていくことも大事なのではないかなというふうに思いまして,我々の審議も非常に大事だと思うのですけれども,当事者の方がどのようにお考えなのかというところを,常にそこに立ちながら検討していくことも忘れないでいたいなというふうに思いまして,意見をさせていただきました。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。松本委員の発言に便乗して,私も少し委員として発言させていただきます。ちょうど総論にも関わることなのですが,昨年の41日に『こども基本法』が施行されまして,その『こども基本法』の中には,「こども・若者,子育てをしている人の意見を表明する機会を保障する」ということ,そして,特に「こども・若者については,その意見を反映するだけではなくて,社会的に活動をすることを保障する」というふうに規定されております。それが国の責務だけではなくて自治体の責務にもなっていますので,どうしても文部科学省なので,初等中等教育,幼稚園からの責任ということでこういう表現になったと思うのですが,社会教育の分野を入れますと,保育園との連携,こども園との連携は,当然のことながら行われていますので,松本委員もそういう観点から委員を引き受けていただいていることもありますので,恐らくこの部分は広げた方がいいのかなと私も思いました。

 特に展開すると,コミュニティスクールの地域と学校の協働の取組などは,保護者の皆さんもまさに学びながら活動しているということもありますので,子供たちが幼い頃から生涯学習の意識を持つということだけではなくて,その運び方によっては,保護者もまた改めて学びのチャンスを得ているということもありますので,この辺は,生涯学習を進める上で各学校教育段階において目指すべきものというところであり,ひょっとしたら「ライフステージ」という言葉を使うことによって広がっていくかもしれませんね。今の松本委員に触発されて,すみません,割り込んで発言しました。失礼いたしました。

 それでは,綿引委員,お願いいたします。

【綿引委員】 
 綿引でございます。この論点整理の整理イメージは,私は全体としては大変よく整理ができているのじゃないかなというふうに思っております。そうした中で,3点検討をお願いしていければなと思っております。

 時代が大きく変わろうとしておりますので,1点目は,やはり今後の日本社会の在り方とか包摂的社会の在り方の中で,外国人を,浜田先生がおっしゃるように日本語教育にフォーカスをするだけではなくて,総論のところで外国人も含めた全ての人にインクルーシブな平等で質の高い生涯教育を保障する,機会を提供するというような書きぶりを入れるといいのではないかなと思いました。

 それから,その前段のところの,生涯を通じて楽しく学び続けるというところにつきましては,原案にあります学びと成長のエコシステム,企業との連動を強めるという意味からも,これに加えて,創造的に生きる,そのために生涯学び続けることが重要だ,そういう言葉を入れることによって,エコシステムの結節点ができるのではないかな,こんなふうに思ったというのが1点目でございます。

 2点目は,教育機関ごとの記載がございまして,大変よく書かれているのですけれど,ここの総論の前段部分のところで,日本社会,経済,国民生活に貢献できる教育機関としての組織づくりを進めていくということが重要であるというような書きぶりをすることによって,もっと国民として教育機関に対する期待が高まっていくのではないかなと思ったというのが2点目でございます。

 それから,3点目につきましてはリスキリングの部分でございますけれども,ここはやはり経済的な視点をかませる必要がもう少しあるかなというふうに感じました。つまり,リスキリングとジョブ型人事制度が書かれておりますけれども,これに加えて,本来は成長分野への労働移動というのが三位一体で求められるところでございますので,そういう意味では,キャリアは会社に与えられるのじゃなくて,個人が自らの意思で築くものだというような,そういうトーンを出すことによって,個人の意欲を引き出す,そういうふうになればいいなというふうに思いました。加えて,個人の意欲だけではなかなかできませんので,それを後押しする仕組みがやはり欠かせないかなと思っておりまして,7万人ぐらいいると聞いておりますけれど,キャリアコンサルタントの一層の育成が急務である,こういったことも書き込むことによって,リスキリングのところがより実効性が担保されるのではないかな,こんなふうに感じました。是非御検討いただければ有り難いと思っています。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。3点建設的な御提案を頂きました。

 それでは,澤野委員,お願いします。

【澤野委員】 
 ありがとうございます。聖心女子大の澤野です。論点整理をとてもよくまとめていただいてありがとうございます。これを見てまたいろいろ気がついたことがありましたので,それを意見として申し上げたいと思います。

 全体として,最初の総論のところで,ウエルビーイングとか,教育振興基本計画的に言うと持続可能な社会のつくり手を育成するということもあろうかと思いますけれども,それとのつながりでもう少し深めた方がいいのではないかと思う点を感じました。先ほど辻委員がおっしゃったように,やはりリスキリングというところが,職業生活の面でのリカレント教育の面が若干,ざっと読ませていただくと強調され過ぎているかなという印象を私も持ちました。今日のお話なども伺っている中で,やはり生涯学習のライフワイドな面で,特に社会教育の中での文化とか芸術とかスポーツとか,生きがいにつながるような学びの面もあるわけですので。リカレント教育は,フォーマルな大学とか専修学校などで行う場合でも,やはりそういうウエルビーイングにつながるような教養とか文化,芸術,スポーツなどの学びの面ももう少し書き込んで,そういう形でのリカレント教育もあるということを強調した方がいいかなというのが1つです。

 あとは,もう少しグローバルな生涯学習の動向も視野に入れると,また変わってくる面もあるかなと思われたのが,NQFに関してと社会教育士に関してです。私は生涯学習政策の比較研究とか,そういうことを議論する国際会議などに出て,日本がこのNQFがまだ定められていないということで,非常に国際的には遅れた印象になってしまうので,ここで検討が始められたことを非常に歓迎します。ただ,「国家学位資格枠組み」という訳語について,「学位」がここで先に入ってしまうと,イメージがちがってきます。世の中の日本の人たちはかなりフォーマルな学びの資格枠組みと思われてしまうと思うのですけれども,ユネスコとかOECDなどが主導してつくっている国際的なNQFでは,今日議論でも出てきたようなライフワイドな面の多様な学びの成果をどのように相互に認定していくかという,そのためにつくられたという面と,また,国際的に移民とか難民が多いような国では,自国で学んでいない場合ですとか,あるいは学校教育がちゃんとしていないような状況の中で学んだ成果や,働きながら,あるいは趣味で学びながら身につけたようなことも,普通の学校レベルのどの段階の知識,技能,態度につながっているかというような学の質を見るために開発されているという面もありますので,国内だけの視点で言うとここに書かれたようなことなのですけれども,先ほどのご発言にもありましたように外国人もこれからまたいろいろな形で日本社会の中で増えていくかと思いますので,また,外国人の方が日本で技能研修などをした際にも,明確にNQFでどのレベルだったのかというのが分かるような形が開発されることが望ましいと思いますので,この辺りをここで議論をもう少し深めた方がいいかなと思った点です。

 あと,社会教育士,社会教育人材に関しても,日本のこの制度の中では難しいかもしれないのですけれども,昨日も私,重層的支援をしてまちづくりをしている例を,渋谷区笹塚の方で,商店街に高齢者とか障害のある人や独り親,貧困の方とか,外国に背景を持つ人とか,非常に困っていることを抱えている人が多い地域で居場所づくりを,全く社会教育施設としてではなくて,クラウドファンディングで「十号のいえ」というのをつくったそのオープニングを少し見てきたのですけれども,それをいろいろ支援している人たちがまさにその社会教育人材と言えるような人たちなのではないかなと思ったりもしました。外国でも,エデュケーターとか,ペダゴーとか,ソーシャル・ペダゴーグとか呼ばれて,もっとフレックスに多様な分野や多様な行政の分野をつなげる人材の事例とかもありますので,そういったことも少し視野に入れながら,幅広い生涯学習のライフワイドな面もつなげるような役割の社会教育人材の育成について,もう少し検討したらどうかなと思いました。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。

 それでは,時間のない中,恐縮ですが,この順番で御発言をお願いしたいのです。小路委員,大平委員,大久保委員,沖畑委員,そして最後に牧野委員です。どうぞ簡潔にお願いします。すみません。

【小路委員】 
 ありがとうございます。

 まず,内容としては大変質の高い整理となっているということと,それから,私も含めて我々の発言が非常にしっかりと正確に取り込まれているということに対して大変高い評価をさせていただきたいです。

 私からは4点です。これは御参考レベルで結構です。必要に応じて入れ込んでください。

 1つは,生涯学習,学びの目的というのは,知識欲を高めるということと,新たな仕事に対応すること,大きく2つあると思うのです。どこに記載するかは別にして,その辺のバランスをうまく取っていくのが必要かなと,これは今まで皆さんから出たことと一緒でございます。仕事だけのための生涯学習ではないということです。

 それから2つ目は,産学の校長先生を含めた先生方の人材交流,これは他の分科会とも関係しますが,やはり生涯学習は,先ほども申し上げましたように,産学の連携があって質が高くなったり中身がブラッシュアップされていくということなのかなと。実は茨城県が民間校長採用を積極的にやっておりまして,先日私も茨城県へ行って,教育長と民間から校長になった校長先生と話をしてきました。当たり前ですが,民間出身の校長の下,生徒も新しい視点が得られモチベーションが高くなって授業に参画しているという話も聞きました。逆に先生方も民間企業に出向等で1年来ていただく等も選択肢かと思います。また,校長先生は特別免許制度は関係ありませんので,学校経営という面では民間からも比較的入りやす面があるそうです。もちろん民間から教育現場に人がいくことで,先生方も新たな刺激となりモチベーションも高まっているそうです。この茨城県の校長採用例は,何年もやっているのですが5人の校長の募集に対して,御存じかもしれませんが,300倍の応募があったということもあったそうです。私も会社で社員に聞いてみたら,みんなやはり教えたいという気持ちはすごくあるんです,それが適任かどうかは別にして。ですから,生涯学習の中でも,産学の人材交流というような言葉がどこかに入るといいなというのが1つです。

 それから3点目は,これは総論のところ,非常に細かいところですが,6行目です。「キャリアを選択する時代」,僕はその選択という表現もいいと思いますが,選択というのは,たくさんある中から12つを選ぶということなので,産業界,経済界,企業ではキャリア形成という言葉を使っているのです。キャリア形成というのは,新たなキャリアを自ら企業と協働してつくるということなので,あるものから選ぶということではないです。これからはやはりキャリア選択と併せてキャリア形成という言葉もあった方がいいのかなと。

 それからもう一つ,矢印のところの2行目なのですが,「生涯を通じて楽しく学び」とあります。この「楽しく」は大賛成です。ただ,リカレントとかリスキリング,特にリスキリングは,御存じのように苦労もあるので,では,その苦労をどうやって乗り越えるかというと,やはりモチベートだと思います。そうなると,もしできるならば,生涯を通じて意欲的に楽しく学び続ける,そんな単語が入ると非常にいいのではないのかなというふうに思いました。

 以上です。

【清原分科会長】 
 大変建設的な御意見ありがとうございます。

 それでは,大平委員,お願いいたします。

【大平委員】 
 大平でございます。これほどうまくまとめていただいているのに,意見をということで非常に悩みどころはあるのですけれども,私の話は逆に細かくて膨れてしまうところがあるかもわかりません。申し訳ございませんが,よろしくお願いします。

 そのリカレントという意味での学び直しですけれども,学び直しが,多様な人材が活躍するという視点で申すならば,対象というのが5つぐらい考えられるかと思うのです。高齢者,外国人,それから潜在保育士ですとか潜在看護師ですとか,そういった方,それから早期に離職をした若者,そして女性が活躍するという意味での職場復帰とかを含めた女性活躍社会といったところが含まれてくるかと思います。そこのところでもう少し掘り下げてもいいのかなというのを,少し今後の視点になるかも分かりませんけれども,思いました。そもそも一体何のために学ぶのかという点でも,働きがいの醸成という視点も設けていった方がいいなというふうに少し感じたところでございます。

 それから,初等中等教育のところでアンダーラインがあって,「児童生徒一人一人が学ぶ楽しさを味わいつつ」というところがありまして,主体的に学ぶために必要な力を身につけることが重要とあります。学び続けるということが書かれているわけですけれども,それにプラスして,学び方のスキルという点についても触れた方がいいのかなと考えております。新しいことを学ぶときに,最適な学習方法を選択したり効率的に学んだりする力,そういった学び方のスキルを加えることによって,生涯に学び続けるということが普通になってくるのではないかなというふうに考えました。

 それから,専門学校のところでございますけれども,アンダーラインで最後のところ,「位置づけの明確化のため」というところがございます。その後1行空いて,専門学校のことではないということでございましたけれども,NQFの枠組みにどうも専門学校はなかなか組み込まれないので,これについては,留学生も今たくさん来ていただいておりますし,海外において説明するにおいても,専門学校の位置づけというのは非常に不明確になっておりますので,留学生の地位を保全するためにも,また,選ばれる国になるためにも,是非NQFの点については専門学校を含めていただきたいというふうに考えております。

 それと,各論3にもつながってくるのですけれども,生涯学習分科会の下に日本語教育部会,これは非常に有り難いなというふうに思っております。私どもはコロナのときには100人ぐらいまで留学生が減りましたけれども,今全体で大体700名ぐらいまで戻ってきております。そのうち日本語を学ぶ人が400人ぐらいになっているのですけれども,その後,日本語を学んだ後は専門学校に行って,そして日本で就職するという方が非常に多うございます。将来の労働力という点でも,そのNQFというのは非常に大事なところではないかなというふうに思っております。その辺りよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。

 それでは続きまして,大久保委員,お願いいたします。

【大久保委員】 
 大久保です。

 私は,企業の動向のところでお話の追加をさせていただきたいと思うのですけれども,企業動向の最近の特徴は,人的資本投資というのが特徴的な言葉としてあるのですが,私は何が一番大きな変化と見ているかというと,これまでの企業が提供してきた教育というのは,新人導入研修とか階層別研修が,圧倒的に比率が高かったんです。そこにお金を投資していた。これの効果について少し疑問が今出されていて,一律の教育・研修から,予算を個別の学習支援の方向に振っていく傾向が出てきております。まさしくこれはダイバーシティーが背景にあるのだと思いますし,それぞれの人が学びたいことが違うということが前提にあって,個人によって学びたいものが違うから,学習プログラム,欲しいものも違うわけです。一律の教育提供から,そういう個人の選択を尊重するという方向に変わってきた,この辺は大きな変化だというふうに思います。

 個人の求めているものに学習支援しようとすると,全部を企業が自前で用意することは不可能なので,そうすると当然,ほかにあるプログラムを使おうということになるわけです。そうすると,自動的に企業内完結ではなくて,オープンで,横に連携してというふうになっていくわけです。この個別化とか,選択の尊重とか,オープン化,横連携というのは,企業の今のある種教育訓練の特徴だというふうに思うのですが,これは生涯学習全体の変化とも符合しているのではないかなというふうに思いまして,その辺を少し触れられると,まとまりがよくなると思いました。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。これも建設的な御提案ありがとうございます。

 それでは,沖畑委員,お願いします。

【沖畑委員】 
 沖畑でございます。よろしくお願いします。

 生涯学習を進める上で,各学校教育段階で目指すべきものというところがございましたけれども,先ほどの障がい者の学習のお話の中でもあったような,ライフワイドの視点ということがとても重要じゃないかと思っていまして,この項目は各学校教育段階,学校での教育ということかもしれませんが,就学している6歳から18歳,大学生も含めれば22歳までですけれど,その間というのは学校教育だけではないのです。本当は社会教育が当然そこにあって,そこがもっと充実していかなければいけないと思っているのです。だから,そこの間は教育というのは学校教育しかないような感じでこれまで来ましたけれども,私は,もっと社会教育が充実していってこそのこれからの学びではないかと思っておりますので,ライフワイドの視点からも,是非その段階の社会教育のあたりも入れていただいた方がよいのではないかと考えております。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。教育振興基本計画の主要な政策の10番目に「地域コミュニティの基盤を支える社会教育の推進」というふうに明記されているわけです。そして,「生涯学び活躍できる環境整備」というのも明記されていて,すなわち,生涯学習・社会教育を推進する上では,沖畑委員言われましたように,ここは便宜的に学校教育段階を紹介していますが,それらをひっくるめたベースに社会教育があり,それを整えることが生涯学習環境の整備だということで私たちも理解をしていますので,そのことが分かるような記述をしていくことなのかなと思って受け止めておりました。ありがとうございます。

 それでは,牧野委員,お願いします。

【牧野副分科会長】 
 牧野です。よろしくお願いいたします。うまくまとめてくださってどうもありがとうございました。次の大きな議題がもう一つありますので,申し上げたいことは,たくさんあるのですが,後から書面で出しますので,よろしくお願いします。

 それで, 2点だけお伝えします。1つは,人材部会も担当させていただいていて,この骨子案にも人材の在り方を入れていただいたのですが,この総論のところで,生涯学習をめぐる状況と目指すべき姿と,次に人材が来るのですが,間に1つ社会教育の定義が変わってきているということを入れていただけないかなと思いました。これは今,分科会長,清原先生もおっしゃったのですが,先の新しい教育振興基本計画で,社会教育の定義が,従来の法的な,いわゆる場所による定義,つまり学校,家庭教育支援,社会教育という分け方から,社会の関わりの土壌を耕していくというような役割を基本とした形で定義をされ直してきています。それが教育とウエルビーイングのかかわりというところですとか,それから,教育振興基本計画の基本的な大きな方針というところの3番目ですとか,また,2番目とも大きく関わってくるように思いますので,その辺りを少し入れていただけないかなというのが1つあります。

 それからもう一つ,全体の書きぶりなのですけれども,これは先ほどの障害者,障害児,それから外国人,社会的にある意味では不利益層といいますか,又は弱者と言われている方々も含めてなのですけれども,どうしてもこちら側から提供をして学んでいただくというか,また,本人が学ぶということがベースに書かれているのですが,受け止める社会の側としても,理解を深めていくといったことも含めて,ある種の相互性を持っているというふうに思いますので,そうしたことも含めて書けないかなと思いました。全体として,相互に,学ぶ側と受け止める側も含めて,お互い相互理解を深めながら共に生きていく社会をつくっていくというような,そういうような書きぶりになるといいかなと思いました。

 すみません,あとは細かいところは文書でお出ししますので,よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。原案がとてもよかったので,皆様が本当に建設的な提言で内容を膨らまししていただきまして,私たちの議論がより深まったと思います。今,牧野副分科会長が御紹介のように,教育振興基本計画の中に明記されている生涯学習・社会教育というキーワードが,私たちの第12期の取組に大変重要なインパクトを与えていると思います。そのことについて,やはり総論のところで,先の第11期の取りまとめも踏まえつつ,教育振興基本計画を受けてこの第12期があるというその意味合いを更に説明を深くしていただけると,今日,委員の皆様から頂いた内容がそれぞれの位置を確保することができるのではないかなと思います。どうもありがとうございます。

 それでは,あと15分しか予定の時間はありませんが,重要な議案がございますので,ひょっとしたら延長をお許しいただければと思います。どうしても時間までという方は,どうぞ4時になりましたら退席していただいて結構です。

 実は,この議題2に関連して,大変重要な情報を事務局から頂きました。すなわち,文部科学省では,現在開会している通常国会で学校教育法の一部を改正する法律案の提出を予定していると伺っております。その予定されている法律案の内容で,前回の生涯学習分科会で関口正雄全国専修学校各種学校総連合会総務委員長から御発表いただいた内容にも関連する制度内容,制度改正の内容が含まれていました。そこで私たちとしては,まだ法律案でございますが,その概要について,生涯学習推進課の石橋課長に御説明いただいて,共有をさせていただきたいと思います。

 では,石橋課長,御説明お願いできますでしょうか。

【石橋生涯学習推進課長】 
 ありがとうございます。では,御説明をさせていただきます。資料3132を用いてお願いできればと思います。

 まず資料31で,学校教育法の一部を改正する法律案の概要ということでございます。趣旨といたしましては,今回,専修学校が実践的な職業教育機関として人材をしっかりと輩出してこられたということを踏まえまして,職業教育の重要性が高まっていること等を踏まえ,また,リカレント教育等も現在いろいろと進んできておりますので,ここで専修学校における教育の充実を図るために,以下の改正を行いたいというふうに思っております。

 概要のところを御覧いただければと思います。5点改正内容がございます。1つ目は,専門学校の入学資格を大学の入学資格と同様とするということでございます。それに伴いまして,※の2つ目でございますけれども,専門学校の在籍者の呼称が生徒から学生に改められるということでございます。

 また,2つ目は,専門学校の学習時間に関する基準を単位数により定めることができるようにしたいと思っております。

 3つ目でございますけれども,専門学校で一定の条件を満たすものに関しまして専攻科を置くことができるとし,専攻科においては,より深く学び,研究することを目的としたものとしたいというふうに思っております。また,専攻科にお進みになった方々は修学支援の対象ともしたいというふうに考えております。

 それから,専門学校の2年制以上の課程に関しましては,これまでも専門士と称することができて,これは告示で位置づけられておりましたが,これを法律に格上げして位置づけたいというふうに思っております。

 それから5つ目でございますが,これまで自己点検評価がむしろ初等中等教育と同じ並びになっておりましたものを,大学と同等にさせていただくということと,第三者評価,外部の識見を有する者による評価を受けることを努力義務化するということをさせていただきたいと思っておりまして,施行日は令和841日とさせていただきたいと思っております。

 資料32は,この原案をつくるために基となりました,有識者会議で先の124日に,まず案でございますけれども,こういう形でおまとめいただいたものを御参考としてお出しさせていただいております。

 説明は以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。本日も清水委員,大平委員から,専門学校,専修学校について御意見も頂いたところでございます。法律案の段階でございますけれども,情報を共有させていただきました。

 私は,文部科学省において,この法案作業を進めていただきまして,専門学校における教育の質の向上,充実が図られて,リカレント教育における役割も引き続き果たしていただければ有り難いと思っております。皆様よろしいでしょうか。

 本当に貴重な情報を提供していただきまして感謝いたします。是非円滑にこの法案が可決されますことを分科会長として願っております。ありがとうございます。

 それでは,議題の3に移らせていただきます。「生涯学習分科会における部会の設置について」でございます。現在,生涯学習分科会の下に社会教育人材部会を設置し,今後の生涯学習・社会教育の振興方策について御審議を頂いております。前回の会議でも触れましたように,中央教育審議会運営規則が改正されまして,生涯学習分科会の審議事項として日本語教育の認定に関することが正式に加わりました。これに基づいて,今回,生涯学習分科会の下に日本語教育部会を新設すると聞いております。文化庁国語課より,第12期生涯学習分科会における検討体制と,新たに設置が検討されている日本語教育部会における調査審議事項等について,それぞれ説明をしていただきたいと思います。それから,国語課の説明を頂いた後,必要に応じて質疑応答や,委員の皆様から御意見を頂きたいと思っております。

 それでは,今村課長,御説明をよろしくお願いいたします。

【今村国語課長】 
 失礼いたします。お手元の資料4142を御覧いただきながらと思っております。今御説明いただきましたとおり,生涯学習分科会の下に日本語教育部会を設置していただきまして,我が国における外国人に対する日本語教育の推進に関して専門的な調査審議をお願いしたい,そういう体制を整えていただきたいというふうに考えております。このほか,日本語教育機関認定法に基づきまして,あらかじめ審議会の意見を聴くものとするとされている事項がございまして,こちらについても,日本語教育部会からお聴きできればというふうに考えております。

 こちらは具体的には幾つかございまして,一つは,認定基準を制定あるいは改正,廃止する場合。もう一つが,それぞれの機関を認定する場合,あるいはそれを取り消す場合。それから,認定機関がその認定基準に適合しなくなったと認められるときに,段階的な是正措置を取ることができるというふうに法律上規定されておりまして,そうした段階的な措置,具体的には勧告をしたり,それから是正措置をきちんと取るように期限を定めて命令をするということが定められておりまして,それらを発動する際に審議会の意見を聴くということになっておりまして,こちらの任に当たっていただきたいということでございます。

 ごく簡単ですけれども,説明は以上です。

【清原分科会長】
 国語課からの御説明を頂きました。皆様,ただいまの御説明につきまして御質問,御意見等がございますでしょうか。いかがでしょうか。オンラインの方もいかがでしょうか。よろしいでしょうか。浜田委員も大丈夫ですね,ありがとうございます。

 それでは,御質問等ないようでございますが,それでよろしいでしょうか。それでは,ただいまの御報告について,皆様御了承ください。ありがとうございます。

 それでは,以上で,すみません,時間に間に合いました。大変国語課の皆様にはいつもお待たせして申し訳ございませんでしたが,皆様,これまで御説明を継続して受けていただきましたので,本日の部会の設置検討体制についても御了解を頂きましてありがとうございます。

 それでは,本日はここまでといたしますが,重要な課題の一つであります障害者のリカレント教育の在り方についても,そして第12期の私たちの審議の取りまとめにつきましても,皆様から建設的な御意見を頂きまして,それぞれの内容が大変深まりました。そして,正副分科会長及び事務局にも幾つか課題が提起されておりますので,しっかりと受け止めて,この原案を更に内容の充実したものに深めていきたいと思います。そして,皆様,今日は短時間でございましたので,お気づきの点がございましたら,事務局まで御質問や,あるいは御意見をお寄せいただきましたら,それをまた反映して,内容の充実を一層図っていきたいと思います。

 特に,私,分科会長なので遠慮していたのですけれども,意外にこれから重要になってくるのではないかなと思っております点がありまして,少し戻って恐縮なのですけれど,1点だけ発言をさせていただきますと,第12期の取りまとめの5ページの上段に,「NQFと学習歴のデジタル化などの取組」とあるのですが,これは実は,第11期のときも重要な検討課題の一つとして,「学習の手法としてのオンライン化・デジタル化」ということももちろん重要なのですが,その学習歴や,長寿化の中でいかに人生の学習のデザインを主体的にしていくかというときに,根拠となる履歴というのを自ら持っているということの重要性というのを確認したところなのです。今日,ぞっとするようなお話を聞きまして,成績証明書が5年保存しか義務がないと。私にはなくなっていいような成績もあるのですけれど,残しておきたい成績もあるものですから,こんな短期間でなくなるのでは困ったなと思っています。つまり,留学をしたいとか,あるいは今後の経歴に生かしたいと思っていらっしゃるリカレント教育時代を迎えているのに,デジタル化なのに成績等の記録が残らないという,こんな不幸なことはあってはいけないのです。ひょっとしたらこれは,今期最終決定できないにしても,次期に向けては課題としてしっかり残しておくべきことではないかなと思います。せっかく山内先生にも入っていただいているので,いわゆる「生涯学習・社会教育のデジタル化」「リカレント教育のデジタル化」については,本当は項目としての1本の柱をつくりたいぐらいだなと思いまして,すみません,時間を見ながら発言させていただきました。失礼いたしました。

 副分科会長も遠慮の塊だと思うのですが,御発言大丈夫でしょうか。

【牧野副分科会長】 
 今日は大丈夫です。

【清原分科会長】 
 大丈夫ですね。ありがとうございます。

 それでは,本日の審議はこの辺りとさせていただきます。事務局から御報告がありますでしょうか。よろしくお願いします。

【粟津生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局から,資料5の今後の審議スケジュールについてですけれども,次回の開催日程は418日,13時から15時,更にその次には74日,13時から15時を予定しております。

 事務局からは以上でございます。

【清原分科会長】 
 それでは,今後の審議スケジュールにつきまして,皆様,御多用とは思いますが,日程の確保をお願いいたします。そして,その途中でもお気づきの点がありましたら,御遠慮なく事務局まで御意見をお寄せください。次回は4月ということで,ひょっとしたら桜満開の後かもしれません。皆様におかれましては,御多用の年度末と思いますが,美しい桜の季節を待ちながら,皆様それぞれ御健勝にお過ごしください。それでは,次回またお目にかかります。本日はありがとうございます。

 

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