生涯学習分科会(第128回) 議事録

1.日時

令和5年12月4日(月曜日)10時00分から12時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂 ※WEB会議

3.議題

  1. リカレント教育の推進について
  2. 日本語教育の質の維持・向上について
  3. その他

4.出席者

委員

(分科会長) 清原分科会長
(副分科会長) 萩原副分科会長,牧野副分科会長
(委員)内田委員,金田委員
(臨時委員)熱田委員,大久保委員,大平委員,沖畑委員,古賀委員,澤野委員,関委員,辻委員,野田委員,浜田委員,山内委員,綿引委員

文部科学省

(事務局)望月総合教育政策局長,八木社会教育振興総括官,滝波政策課長,石橋生涯学習推進課長,高木地域学習推進課長,安里男女共同参画共生社会学習・安全課長,今村国語課長,小林日本語教育推進室長,西リカレント教育・民間教育振興室長 他

オブザーバー

関口 正雄  全国専修学校各種学校総連合会総務委員長 
河端 康    兵庫県三木市教育委員会教育総務部生涯学習課長
梅田 宏和  兵庫県三木市自由が丘公民館長
森下 明子  学校法人アジアの風岡山外語学院副理事長

5.議事録

【清原分科会長】
 皆様,おはようございます。

 定刻になりましたので,ただいまから第128回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。

 本日は,歳末の大変御多用のところ御参加いただきまして,どうもありがとうございます。本会議は,対面とオンラインのハイブリッド方式で開催させていただきます。本日もユーチューブ上で報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者等よりは,会議の全体について録画を行いたい旨の申出がありまして,許可させていただいております。どうぞ皆様,御承知おきください。

 次に,事務局から本日の会議の運営に当たりまして,留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。それでは,まず,専門官,よろしくお願いします。

【粟津生涯学習推進課専門官】 
 本日は,オンラインを併用する形で開催させていただきます。御不便もあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。

 オンライン会議を円滑に行う観点から4点ほどお願いさせていただきます。

 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいようはっきり御発言いただきますようお願いします。

 2点目,御発言の際には,名前をおっしゃっていただきますようお願いします。

 3点目,御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いします。

 4点目,発言に当たっては,挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除していただければと思います。お手数をおかけいたしますが,よろしくお願いいたします。本日会場にお越しの委員の皆様には,御発言の際に,挙手又はネームプレートを立てていただきますようお願いいたします。

 では,人事異動についてお知らせいたします。社会教育振興総括官に八木和広が着任いたしております。

【八木社会教育振興総括官】 
 どうぞよろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 よろしくお願いいたします。

【粟津生涯学習推進課専門官】 
 続きまして,資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料は,議事次第,リカレント教育について,資料1及び資料2,そして日本語教育の質の維持向上についてで資料3及び資料4,議題3,その他の関係で資料5を御用意しております。また,参考資料1から参考資料7までを配付いたしております。資料の確認は以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,皆様御確認いただいた上で,早速,本日の議事に入ります。

 議題1は,リカレント教育の推進についてです。前回まで小路委員,金子委員,大久保委員の3名の委員の皆様と放送大学の皆様から話題提供を頂いてまいりました。本日は,全国専修学校各種学校総連合会から関口正雄総務委員長,そして兵庫県三木市から河端康生涯学習課長と,自由が丘公民館の梅田宏和館長に御発表いただきまして,委員の皆様との質疑応答,そして意見交換を行いたいと思います。

 それでは,関口総務委員長,河端課長,梅田館長におかれましては,お忙しい中御準備を頂きましたことに,まず,感謝をさせていただきます。どうもありがとうございます。

 それでは,本日お越しいただいております全国専修学校各種学校総連合会の関口様から,「人手・人材不足への対処策としての『学び直し』に対する専門学校の貢献」について,10分から15分程度で御発表いただきます。その後,委員の皆様の意見交換をお願いしたいと思います。それでは,関口様,どうぞよろしくお願いいたします。

【関口総務委員長】 
 皆さん,おはようございます。よろしくお願いいたします。全国専修学校各種学校総連合会の関口でございます。資料をたくさんつくり過ぎましたので,早口になったり飛ばしたりさせていただきます。

 人手・人材不足への対処策としての「学び直し」に対する専門学校の貢献ということで,2ページをお願いいたします。

 まず,どのような「学び直し」が国の重要課題なのかということでございます。御承知のように,生産労働人口の減少という国家課題の重要性については,言うを待たないわけでございますが,人手不足という事態は既に深刻な状態ということになっているわけでございます。そういう中で,学び直しということが対処策ということの1つとして挙げられることが多いわけですが。

しかし,これは職業に結びつく学びを求めている社会人の学び直し,具体的には職業教育・職業訓練における学びこそが対処策として重要なのだという,そういう観点に立ちまして,では,そこにおいて専門学校という学校種が,貢献がどういう状況になっていて,そしてそこからしてさらに貢献できるのではないかというお話をさせていただきたいと思います。

 続きまして,3ページは,一応データとして出生率の低下ということで上げさせていただいております。後で御覧くださいませ。

 4ページは,それの関連データ。

 急ぎますが,さらに5ページは,生産年齢人口の減少ということも併せて記載しております。そこに書いておりませんが,2040年には予測といたしまして6,000万人を割るというふうな予測になっているようでございます。

 6ページに,それらの予測も含めた表がございます。

 7ページをお願いいたします。

 生産年齢人口減少への対策ということで言われておりますのは,1の出生率の向上というのは,これは長期的課題では当然のことでございますが,直近の問題への対処ということで既に言われておりますのは,丸2の労働力を増やす,これは,女性や高齢者の活用,外国人労働者の活用とあります。そして,丸3としまして,労働生産性の向上ということで,これについては,業務の効率化,DX化,IT活用,そして働き方改革ということと,そして,ここにおいて学び直し等による労働者の生産性向上ということが強く言われているわけでございます。併せまして,後ほど触れますが,内外の人材流動化の促進ということも大変重要だということが言われておるかと思います。

 次のページ,8ページをお願いします。

 そして,職業教育がこの生産年齢人口減少への対策ということで,特に前のページに挙げました女性や高齢者の活用であるとか,留学生への職業教育ということでも貢献しているわけです。これからさらに,3番目として学び直しへの対応,具体的には社会人の受入れということが重要ということで,次の9ページを御覧ください。

 さて,その社会人の受入れの現状ですが,よく最初に挙げました25歳以上の学士課程への入学者の割合ということが取り上げられて,OECD諸国の平均20%に対して,ほぼ最下位に近い2%ということが挙げられるわけですが,私はこれは,今申し上げたような喫緊の課題に対する問題というのとは少し性質が違うと。つまり,大学に社会人が全体としてどれだけ入るかということは,日本の特殊性というものもあって,どちらかといえばのどかな話題ではないかというふうに私は思っております。

それよりも,現下の情勢に対して,どういう社会人が大切なのかということについて,大学・専修学校の正規課程における社会人受講者数というふうなことで矢印を幾つか書いてありますが,下から2つ目の,令和3年度の,この辺のデータもぴったりしたデータがなかなかありませんが,少し拾ってまいりました。

令和3年度の大学学部の正規学生,そのうちの社会人入学者は通学ベースで1.9万人,そして通信で16万人というのが文科省データということでございました。一方,専門学校の正規課程については,社会人の学生数です。これは在籍者です。2年制が中心ですけれども,41,000人ぐらいということで,附帯教育が13万人ということです。ただ,この附帯教育の中身は,通信課程等々が入っております。通信課程の入学者,例えば具体的には美容師の資格を取るとか,調理師であるとか,そういうものがかなり含まれておりますので,これらは,社会人が入ってきているということではなくて,新規高卒から通信課程に入るということも含まれていますので,この13万人という部分は,さらに精査をしないと,これほどはいないだろうということであります。また正規課程については触れます。

 10ページには,少し古い,平成29年のところの学校種ごとのデータということで,後ほど御覧くださいませ。

 次のページで,11ページでございます。

 さて,もう一度この社会人学生とは何かということなのですが,今触れました大学学部の社会人学生は,通学・通信の正規課程ともに職業に結びつく学習のために入学在籍しているのかという観点から見ますと,これは定かでないと書きましたが,実際には非常に少ないだろうというふうに思われます。想像つきますね。放送大学というお話も先ほどありましたけれども,そこで職業に結びつく学習を正規課程として入っているということはあまり考えられないというふうに私は感じております。

 一方,職業教育という学校種の在り方からして,専門学校の社会人学生,とりわけ正規課程の学生は職業に就くため入学するということは間違いないところであります。直近の三菱総研のリカレントの調査報告書によりますと,専門学校社会人学生の卒業後の進路は,ほぼ全部の分野で90%%台後半の割合で就職しています。このうち,正規の職員としての就職者は,電気・電子分野の100%をはじめとして,ほぼ90%台というふうなことで,これは成果と言えるのではないかと思っているところであります。

 さて,その専門学校の社会人学生の状況,事例ということで,これも極めて全部調査がされているということではなくて,ピンポイントで,少し幾つか拾って見ているところであります。

私も属しております東京都の専修学校各種学校協会について,少し御覧いただきますと,令和3年度の高校新規卒入学者は49.6%ということです。半分は既卒者です。いろいろな既卒者がいます。そして,その中で,全体の10.1%が,いわゆる職業経験がある学び直しとして入ってくる学生という割合で,これらは平均的であると思います。大阪の方は,全体ではありませんが,アンケート調査によると,パーセンテージが少ないです。

 飛びまして,13ページです。

 個別事例で,東京にあります敬心学園という医療系を中心地としたグループについては極めて特殊でありまして,高校生は25%ぐらいです。ほぼ既卒で,しかも全体の45.8%が学び直しの社会人ということです。そして,これについては,各学校のデータもばらつきがありますけれども,一番下の日本医学柔整鍼灸専門学校に至っては66%が社会人ということです。この学校を中心にアスタリスクをつけましたが,ここは既卒者,それから社会人の学び直し学生に募集上は注力しているということで,こういう形になります。具体的には,柔整師だとか鍼灸師の開業を支援するという角度を強く打ち直しているためにこういうデータになっているということが言えると思います。

 一方,私の東京メディカルスポーツ専門学校,14ページですが,これは平均的な数字ということで,社会人の入学者は11.2%ということで,同じ医療系でもこれだけの対比が学校の方針によってあるということでございます。

 次の15ページ,これは大阪の日本分析化学という学校の事例,これも医療系ではないところの例,そしてさらに,これも私の学校ですが,スポーツレクリエーション専門学校というところ,これについてアスレチックトレーナーという,日体協,日本スポーツ協会の国家資格ではありませんが有力な資格ということで,これについては,社会の割合が56%として大変高いというふうな特徴がございます。

 次のページをお願いします。

 さて,厚生労働省の訓練制度を通じて専門学校の正規課程へという流れがございます。まず,厚生労働省の職業訓練への参画で専門学校に関わるところは3点ございまして,離職者訓練のうちの委託訓練のところの,特に長期高度人材育成コース,この2年課程のところ。これについては,私の記憶では2年ぐらい前は大体70億の予算がついたと思います。次に,求職者訓練,これは特に正規課程ではなくて,専門学校の附帯事業対応と,附帯教育対応という部分です。

そして,教育訓練給付の中の雇用保険基金を財源とした教育訓練給付ですが,専門実践教育訓練というのがございます。これは,3年制までオーケーなのですが,こちらということで,これはほぼ専門学校が対応しているということでございます。

 次のページをお願いします。

 そのうちの最初に挙げました委託訓練の長期高度人材コースにつきましては,そこにありますように,2年間の専門学校等での学科と実技云々とありまして,対象は55歳未満で非正規雇用で仕事をしていた方等々ということで,学費はテキストを除いて無料ですということで,大きなお金になるわけです。ということで,主な分野は保育系,介護系というところが中心ですが,まだまだ人数的にはこれからということになっています。

 次の19ページをお願いいたします。

 東京都の場合,このコースを見ますと,少しずつ増えてきています。これは,厚生労働省がわざわざ長期高度と言っているのに,東京都は専門人材育成訓練という何だか分からない名前にしてしまっているというふうなことについてクレームをつけているところでありますが,25開講しておりまして,アプリ・ウェブ制作等々,そのような非常に多様な学科がございます。

 次のページお願いします。

 ちなみに,私の学校のパーソナルトレーナー科,これはスポーツトレーナーの,一人一人のアスリートに対してパーソナル,個別にトレーナーとしてやる,そういう人を育成する学科でございますが,入学定員40人のうちのこの長期高度の入学者が,令和5年度13名,そして,就職少し年度が違うのですが,来年の4月の予定は,卒業予定13名在籍ですが,そのうち11名は就職内定しております。そのうちの8名は,専門を生かして,スポーツ関連会社の正社員就職が決まっているというふうなことで,非常に有効に働いているというふうに思います。直近3年間の合計では34名が入学してきておりまして,男女はほぼ半々で20代から50代までばらつきがありまして,全職は事務職が7割,そして9割は大変真面目に学習意欲も高く,それから高校新規学卒入学者ともうまくやっていけるというとこなのですが,どうしても1割ぐらいは,社会的な常識がないとか,キャリコンも見抜けないというのですか,そういう形で入ってくる人がいて,この場合はクラスマネジメントに苦労するという状況もございます。

 さて,次ですが,21ページ,教育訓練給付の専門実践教育訓練,これについては,上限3年で,受講費用については,就職等できた場合も合わせますと大体70%の支援ということで,金額としては,上限合わせますと年間56万円,3年課程では掛ける3という大変大きな補助ということで,これが認定されている学校かどうかということで社会人が入ってくる,入ってこないということに大きな影響があります。つまり,そういう支援をすると必ず入ってくるということが裏返しで言えるというふうに思います。その対象講座ということですが,類型が7つありまして,上の2つ,業務独占資格又は名称独占に関わる養成施設の課程というのが圧倒的に多いです。そして丸2は,専門学校の4割が入っている職業実践専門課程及びキャリア形成促進プログラムで,数は多いですが,まだまだここは入ってくる受講者は少ないという状態になっています。以下,専門職学位等々でいろいろ類型が7つありますが,数はぱらぱらということです。

 そして,次のページです。

 専門実践教育訓練の受給者ですが,いわゆる入学者に当たる人が29,000人,そして3年課程ですから,全体としては,現在受給している人が8万人ということでございます。支給金額は116億円ということになっています。受給者の多い訓練について,アスタリスクをつけているのが専門学校正規課程で,ほとんどがそれです。キャリコンというのは少し類型が違うところに入っていると思います。

 次のページお願いいたします。

 さて,そのような専門家の学び直しの進展のために今求められていることは,ちゃんと実態調査をしなくてはいけないということです。総研さんが委託事業である程度の範囲でやっているのですけれど,もっと本格的に,本当に対象となる職業に就きたいということで学び直しをしている実態把握,もっとプロフィールも含めて,きちんとした調査が,専門学校だけではなくて大学,大学院等々で必要だということで,そこから,うちの学校もやってみようとか,団体ももっとそのことを促進する動きをするということが生まれてきますし,また,学び直しの支援ということが国で予算化されるとすれば,それの真水化という話につながるというふうに私は思います。

それから専門学校側も,新規高卒のところから集めやすいということで長いことやってきましたけれど,世の中への貢献ということでは,こういう実態があるわけですから,もっと明確なミッションとして,専門学校はこれに取り組むのだということが姿勢として必要ということ。

また,職業実践専門課程に示されますように,個別の業界とか地元の産業界との関わりということをもっと深めるという方向にもつながるだろうと思いますし,また,企業課題等々に実際にやっているわけですけれど,それをもらって,企業と一緒になって事業をするというふうなことをもっと増やしていく。さらに言えば,厚生労働省の地域職業能力開発促進協議会,名前が変わってしまったのですけれども,これへの参画というのは,大学の方は大抵参加しているのですけれど,専門学校の参画をもっと積極的にするということです。地元就職は圧倒的に専門学校が多いです。ということで,関わりはむしろ専門学校の方が多いということなのです。大きいということで。

それから,教育の高度化も必要で,高度専門士課程,4年課程について区分制をということで,文部科学省にお願いしているところです。つまり,前期後期というふうに分けて,例えば医療系だと3年で資格を取った後,有資格者として実際に施術ができる状況での実習というものがプラス1年ということで可能になれば,これは大変大きな成果を上げることになるということで,高度化,高度かつ現場中心の実践的な職業教育を行うということ。

 25ページ,そこで,職業に結びつく学び直し学生への支援ということをお願いしたいということが書いてございます。

 急ぎます。「学び直し」のインフラ整備,次のページです。

 これは,真ん中にありますように,一人一人の労働生産性を向上させるということは,生産労働人口の減少に対する対処策ということなわけですけれど,人材流動性というものの確保が必要だということで,誰もが自身の能力,知識,経験を生かせる仕事に就こうと。それから,働く意欲が湧く仕事にスムーズに移動できる社会にということが,学び直しの基本的な環境であろうということでございます。次のページをお願いいたします。

 そうしますと,必要になってくることは,具体的には厚生労働省等がつくっているわけですけれど,職業能力評価基準,一つ一つの職業がどのような能力基準でそれがレベル別にどうなっているかというふうなことが,もっと一つ一つのお仕事について明らかになっていく。ジョブ型社会を目指しているのであれば,当然そういうものがきちんとしていなくちゃいけない。そのことに照らして,自分が今まで積み上げてきた能力や知識を別な仕事に生かせるのじゃないかということが具体的に分かってくるわけです。

一方,新たな能力や知識を獲得して次の仕事につこう,その場合には学びの機関に入るわけですけれど,その学びの機関が,この職業能力評価基準というものがあることによって,そこに対して育成目標,その学習成果がどんなふうに連結して,どこまで対応できるのかということも,やはり学校側としては対応して明らかにしなくちゃいけないということであります。そうすると,次のページですが,少し飛ばしますが,一番下に書いてありますように,今の仕事の職務職業能力評価基準というものと,育成段階でのゴールというものが,1つの仕事の中でつながってくると,こういうふうな一貫性が,人材育成上の一貫性というものが世の中に成立してくるということが,基本的なインフラということだろうと私は思っております。

 次のページです。

 それは,具体的には,学校側から言いますと職業教育体系の確立ということになります。人材育成上の一貫性,学習成果による体系と業界側の職業能力評価基準の連結ということでございますが,これは少し触れました,専門学校の4割が,この課程を持っている職業実践専門課程に示される職業教育の思想というと大げさですけれど,考え方だというふうに私は思っておりまして,外にある個別の職業の人材要件,人材像に方向づけられて,教育目標や学習成果目標というものは定められて,そして,それを達成するためにカリキュラムが決められるというのは,基本的にこの課程の考え方であります。私は,この考え方の下に,専門高校から専門学校,専門職大学へ,さらに専門職大学院へ,また,そういう縦の流れと並行して高専もありますけれども,このような基本的な考え方の下に職業教育体系というのを確立すべきだというふうに考えています。

 次のページですが,現状はどうかというと,これは大変申し訳ないですが,2040年に向けた高等教育のグランドデザインの中では,大学における職業教育はこうですよ,専門学校における職業教育はこうですよという記述はあるのですが,それぞれの学校種間の職業教育はどう関係するのかとか,全体としてその体系はどうなっているのかということについては,一切言及がないという状況であります。また,東京規約,これは名前が変わっていると思いますけれども,こちらについても,学術の方の体系ということは早々に固められたわけですが,職業教育の方は,基本的な考え方がしっかりしていないので,まだ全然手つかずという状態になっています。

 そういうようなことではあるのですけれども,直近の教育未来創造会議においては,国際標準教育分類のISCEDにおける高度専門士が6段階に位置づけられる等々で見直しも図られていますし,さらにNQF(国家学位資格枠組み)を促進しましょうというふうな記述もあって,ややそこに光明を見いだしているという状況でございます。

 その次ですが,職業教育体系を確立するためには,まず,職業教育の分野がどうなっているかという,分野分類も作業として必要なのです,前提として。これ,全然できていません。専門職大学ができるときに,申請どうするのですかというときに,その分野ができていないものですから,結局学術の分野を暫時応用しますよというふうな話でしたが,その後,分野分類に取り組んだという話は全く聞いておりません。東京都の専修学校各種学校協会では,これについて試みをいたしまして,様々な現実にある職業,それから職業教育ということを整理して,また,国際通用性もある,学術体系にも対応できる分野分類を,案を示しているところであります。

 今申し上げました職業教育体系の確立から,次のページをお願いいたします。

 一気に飛びますが,丸5の学び直しにも対応する職業教育の振興において,学術体系と対応した職業教育体系を含んだところの,国内外の人材流動性を担保するNQF(国家学位資格枠組み)の創出というのが,最終的には求められてくるというのが,私の最終の結論でございます。

 以上,御清聴ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 関口様,御発表ありがとうございます。「人手不足・人材不足への対処策としての『学び直し』に対する専門学校の貢献」について,これから質疑応答,意見交換,10分程度をさせていただければと思います。御発言のある方は,挙手ボタンを押していただくか,会場の方はネームプレートを立ててください。皆様,どうぞお手を御遠慮なく挙げてください。いかがでしょうか。どなたからでも。それでは,大久保委員,御発言をお願いいたします。

【大久保委員】 
 ありがとうございます,大久保です。

 関口さんのお話,興味深く聞かせていただいたのですが,2つ質問がございます。1つは学び直し支援の制度が様々にあり,途中で御指摘があったように,専門学校で学習する入り口のところで,本当に職業としていこうという明確な目標を持った状態で履修しているのかどうかというのは大きなテーマだと思うのです。例えば介護の学習をしようと思っても,それが本当に介護で就職するという意思を明確に持っているのか,それとも自分の家族の介護をするのかというのは,事前に判別するのは難しいところもあり,見極めも大事だと思いますし,実際に修了した後に,就職実現した人の中にも,全く違う分野で就職する人もいます。そういう意味で,本当にその分野で就職できたのかどうかということも結果として評価することが大事。そのパーセンテージが低ければ,なぜつながっていないのかということを次に生かしていくような見直しということも必要だと思うのですけれど,一連のフローについて,今どんなふうに課題があって,そこについて取り組んでおられるのかというのが質問の1個目です。

 もう一つお聞きしたいのは,専門学校の役割は大変重要だというふうに思っているのですが,その専門学校と大学はどういうふうに学び直しにおいて役割分担したり連携したりするべきなのだろうかというところも,関口さんはどのようにお考えになっているのかをお聞かせいただきたいというふうに思いました。

 以上です。

【関口総務委員長】 
 ありがとうございました。答えてよろしいですか。

【清原分科会長】 
 それでは,どうぞお答えください。

【関口総務委員長】 
 最初の御質問の,例えば介護分野において,必ずしも高い人の就職という意識を持って入ってくるか,あるいは就職が実態的にどうなのかということについては,これは全体的な印象の話で恐縮ですが,例えば短大の場合の介護の場合は,就職は介護職に就かないケースも多いというふうに私は聞いております。はっきりしたデータで把握しているわけではありません。つまり,短大を卒業したということで,介護の勉強もしたのだねということで,公務員になったり様々な職に就くという世界があります。

 しかし,専門学校の場合には,そういうケースはまれです。これは具体的には,各学校も,それから私が関わっております職業教育評価機構等々の学校の評価基準,評価項目の中に専門就職率というのがあります。それは,学んだことについて就職するかどうかということが専門学校にも大変大事ですから,そのパーセンテージということを各校きちんと押さえているか。つまり,卒業後の状態をちゃんと押さえた上で,教育がそういう方向できちんと果たされているかということでございます。これについては,専門就職率というのは大体どの学校も90%以上というふうになっているかと思いますので,実態としては,専門学校のそれぞれの就職をするために入ってくるという意識は高いというふうに感じておりますが,個別のデータもございますので,それはまた別な機会にでも御案内申し上げたいと思っております。それから,大学との関係については,例えば,先ほど少し触れましたけれど,今4年制の専門学校入学者も非常に増えているという状況です。本格的な学びをしようということになると,専門学校の4年制でも学費の負担は結構あるのですが,入ってくるというようなことがあるのですけれども,その中で,例えば先ほど触れました,区分制を導入すると最後の1年というのはどんなふうになるかということをいろいろ今議論している中で,徹底的な実習という話もあるのですが,一方で,少し学術的なものも勉強をしたいとかすべきだというふうなことも,かなり大きな視点といいますか,意見としてございます。そういう場合には,大学に編入するとか,そしてまた,3年で大学に,あるいは4年だったら大学に行きますけれど,そこで大学の学習をして,そしてまた再度高い実践性ということで,学習的なものを生かして,さらに高度な実践的な教育を受けるというふうに,この両方の往復という余地は非常にあると思います。これはもっと個別事例というのをフォローしなくちゃいけないのですけれども,私はそういうところで補完し合う部分が十分あるというふうに考えております。

 お答えになっているかどうか。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。大久保委員,よろしいでしょうか。

【大久保委員】 
 ありがとうございます。1個だけ確認なのですけれど,専門就職率は委託訓練の場合も出しているのでしょうか。

【関口総務委員長】 
 先ほど少し触れましたように,正規の学生ということについては,高校新卒に関わらず,つまり,委託年の正規課程入学者についてはそういうふうにしております。それから,厚生労働省の方の,大久保先生はよく御存じと思いますけれども,厚生労働省の方,今傾向として定着率ということを,短期の3か月,6か月でも定着率という方向でちゃんと計ろうと。さらには,長期のキャリア形成にちゃんと役立っているかというようなことも大事だねというような感じになってきていますので,それだけにそういう傾向はありますし,専門校の方としては,もちろん全ての正規学生については,専門就職率を問うております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。

【大久保委員】 
 ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 これから,会場から綿引委員,そして大平委員,オンラインで澤野委員,内田委員,そして最後に牧野委員,ほかの議事もあるものですから,皆様,できるだけ簡潔な御発言をお願いいたします。それでは,まず,綿引委員からお願いいたします。

【綿引委員】 
 綿引でございます。貴重なお話ありがとうございます。

 関口様がおっしゃっておられるような共通の問題意識というのは,そのとおりだというふうに思うのですけれども,逆に我が国のこの課題を解決していくために,共通の行動が国全体の中で伴っていないのじゃないかということが非常に大きな問題だというふうに思っているのですけれども,そういう意味で,指摘の中にあるように,産業界,公共団体連携して,実践的な専門的なリカレント教育プログラムを開発する。そういう中に,高い公共性とか高い倫理性とか,積極的に社会を支えていく論理的な思考力とか,そういった今日的に求められる能力を専門学校の新しい教育プログラムの中に開発をして埋め込んでいくということが共通行動に伴っていくのじゃないか。それがNQFにつながっていくのじゃないか,こんなふうに今お話をお伺いさせていただいて思ったのですけれども,御専門の立場でいかがでございますか。

【関口総務委員長】 
 業界側といいますか企業側が,自分たちの社員を見直しといいますか,さらにブラッシュアップだとか,別な能力,知識を身につけるために送り出すというふうな体制というのは,あまり十分じゃないのかなというふうに思います。したがって,専門学校と業界側が広範囲でそういうふうなことを話し合うという場もまだ持たれてはいないというふうに思います。

 そういう意識というのですか,そういうものを醸成していくということが必要ですが,個別には,企業と連携して,先ほど企業課題というのに触れましたけれども,実際に企業側の人が見えて,そしてそこで,その課題について指導してくださるというようなこともありますし,これから私は実習というのはもっと大事だと思っています。現場実習というのを盛んにすることで,具体的に1つの職業領域の中での交流というものを深めていく中で,全体的な意識を高めるというふうなことも始まってくるのかなと。現段階では,まだまだ非常に初期的なものであるというふうに思っております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。技術技能だけではなくて,公共性とか倫理性とかの重要性を今確認させていただきました。それでは,大平委員,お願いいたします。

【大平委員】 
 穴吹学園の大平と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 私どもは専門学校同様にやっているわけですけれども,やはり地方によって,あるいは分野によって,社会人の入学する比率というのは若干変わってくるのじゃないかなというふうに思っております。また,私ども高松校の場合でしたら17%ぐらいが,今社会人が入学をしているという状況でございます。ただ,福山校とかになりますと10%を切るという状況でございます。エリア特性も若干あろうかなというふうに思っております。

 先ほどの御質問について,私も少しいろいろ考えたところがありますので,お話しさせていただけたらと思うのですが,産業界とそれから自治体,そちらとの連携を深めるという意味で,産学連携のあかしとして,採用費に係る奨学金,これを御検討いただくというのは提案させていただけたらなと思います。

 というのは,採用コストが,就職白書,そちらを見ますと,新卒の採用コストが936,000円,それに対して中途採用コストが1033,000円ということでございまして,それに代わる,採用費に代わる奨学金,これは十分意味があるのじゃないかなというふうに思います。

 それから,自治体への要請なのですけれども,地元学生の地元定着支援,これも地方の専門学校としてはすごく意識をしているところでございます。大体8割が,8割ちょっと超えるぐらいが地元で就職をしてくれているというところで,地元の経済を結構支えているという自負もございます。そういった点で,地元就職支援のための奨学金,それから外国人材,これは地方においても増えてまいりますから,そちらへの教育支援です。仕事で使うための日本語を教育していくとか,そういったことも必要なのではないかなと。それともう一つ,加えて申し上げますと,潜在保育士ですとか,これが95万人います。あと,潜在看護師,これが約70万人おります。そちらの方たちが復職しやすいようなリカレント,最新の技術や知識を学び直す機会の提供も,人材不足の解消に果たす専門学校の役割の1つではないかなというふうに考えております。

 以上です。

【清原分科会長】 
 貴重な御意見ありがとうございます。厚生労働省との関係については,関口様より御紹介いただきましたが,潜在保育士等になりますと,こども家庭庁との連携もあるかと思いますので,文部科学省だけの課題ではなくて,省庁連携の中で,リカレント教育と専門学校の関係についても検討が必要と確認させていただきました。それでは,オンラインで澤野委員,お願いいたします。

【澤野委員】 
 聖心女子大学の澤野です。

 リスキリング,リカレント教育の中でもリスキリングに関して専門学校の役割は非常に大きいと思っていましたので,今日詳しくお話が聞けてとてもよかったです。

 1つ質問なのですけれども,個別の学校の統計だったと思うのですが,フリーター・主婦という分類があって,専攻分野によって大分差がありましたけれども,それらが多く見えた分野もあったように思ったのですが。私どもは,この生涯学習という概念について,社会人,職業人だけではない人たちを含めたリスキリングの課題が大きいかと思うのですけれども,先ほどの潜在看護師,保育士なども主婦が多いかと思います。しばらく働いていなかった人ですとか,1度も正規の職業に就いていない人の場合ですと,先ほど御紹介があったような厚労省系の支援,補助金など得難いかと思うのですが,フリーター・主婦ですとか,あるいは障害があるために働けなかった人ですとか,そういう人たちに対する専門学校の在籍者に対する奨学金とか何か支援の制度があるのかどうかということを知りたいのですが,よろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 関口様,いかがでしょうか。

【関口総務委員長】 
 個別の学校の詳しいものについては少し分かりませんが,特に社会人に対して特別な支援というふうな例は少ないのではないかというふうに思います。ただ,今お話ありました障害者等々については,いわゆる合理的配慮ということについて,来年の4月からは専門学校の方もそれを行わなくちゃいけないというふうなことになっておりますし,現状でも,ある程度のことはしていますけれども,よりそこはきちんとした対応というふうな社会になっていくだろうと思います。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。その点については,私は,三鷹市長時代に,当時は内閣府と連携しまして,ひとり親の特に母親に対して,専門学校で保育士でありますとか看護師でありますとか,学びながら資格を取っていただいて自立支援するという枠組みで支援をしたことがございまして,恐らくそれは現在も継続されていると思います。また,とりわけ,いわゆる主婦,フリーターということでいえば,フリーターについては,若者の就労支援の中で,また自立支援ということで,一定の支援の枠組みもあるかと思います。現在手元に資料はございませんが,それにつきましても,今,大平委員が御指摘のように,ほかの省庁との取組の関係で,専門学校における学び直しの機能を生かしている例などを私たちももっと把握していきたいなと思いました。

【関口総務委員長】 
 分科会長よろしいでしょうか。言い忘れましたが,厚生労働省の方は,フリーターの方に対しては,非正規雇用労働者のための長期高度訓練とか,それから主婦の方,あるいはもう一度学び直そうと,例えば保育士の方がもう一度学び直すということについては,厚生労働省の方は求職者訓練その他で,結構手厚い支援というものをされているというふうに思います。ですから,私のところで申し上げましたように,高校の新規卒は,大学も含めた就学支援制度ということで,これはだんだんと年収の上限が上に上がっていくという形で支援が拡大しているわけです。あとは,厚生労働省ルートで入ってくるというところで,一定の制限はありますけれども,支援というものもある。しかし,学び直しで職業のために入ってくるという学び直し学生に対しての直接,例えば文部科学省の支援というのは,まだまだこれから検討していただくというふうな状況ということでございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,お待たせしました,内田委員,お願いいたします。

【内田委員】 
 京都大学の内田です。大変網羅的でクリアなお話を頂きありがとうございました。

 私からは1つだけ質問なのですけれども,基本的に生産人口が減ってしまうということから,「人材の活用」というのが問題意識として最初に挙げられたと思います。しかし,生涯学習分科会の中では,これまでウェルビーイングという観点で,いろいろな人々が多様な働き方ができる,それによって得られる充足感というのが広がって社会をよくしていくということが取り上げられてきました。人材が足りないから活用するということも非常に重要であることは分かりますが,プラス,それを超えて,学び直しによってよりよい形で働く機会を得た人たちが,どれだけ心豊かな暮らしができるようになるのかというような観点での評価も必要かと思うのですけれども,いかがでしょうか。例えば卒業生の方々とか訓練を受けた方々という方に対しての満足度などの調査やデータはあるのでしょうか。

【清原分科会長】
 関口様,いかがでしょうか。

【関口総務委員長】 
 卒業生に対するキャリア調査というものは,ここ10年ぐらいに幾つかの取組がございます。これについては,今すぐ少し御紹介というわけにはいかないのですが,後ほど,こういうものがございますということをお伝えすることはできると思います。

 今御指摘のように,単によりよい処遇とか,そういうことだけではなくて,私も書きましたけれども,より意欲の湧く,より自分の持っているものにふさわしい,自分の持っているものを生かす仕事につきたいというふうな方向で,学び直しなり転職というものがある世界というのがいいというふうに思います。少しくどくなりますけれど,専門学校の場合は,現場実習というものがあります。ここで,その仕事を本当に好きになるかどうかというのが,かなり決められるところがあります。そういうフィット感といいますか,これをここで,しかもずっとその仕事について現場に触れることで学び続けていかなくちゃいけないのだなというふうなことも学ぶという意味では,そういう,臨地実習的なものが教育の中に組み込まれているということも,専門学校においては大きな特徴で,これは社会人の学び直しの方に対しても有効だろうというふうに,少し話がずれましたが,考えております。

【清原分科会長】 
 大変にありがとうございます。要するに,「人手不足・人材不足」という観点からだけではなくて,「働く人の一人ひとりのウェルビーイング」のために求められる学び直しについて,専門学校でも,この間,御努力を頂いてきたし,そのことを今の内田委員の御質問から確認させていただければ心強いです。それでは,このコーナー,最後に,牧野副分科会長,お願いします。

【牧野副分科会長】 
 どうもすみません,お時間ない中。御報告どうもありがとうございました。とても危機感あふれる報告で感銘しました。

 少し素人の考えなのですけれども,先ほどの内田委員の御発言とも関わるのですが,いわゆる労働力不足であると。その中で,実感的には,ある意味で求人と求職がミスマッチをしているという感覚もあるのですけれども,そのときに,例えば一人一人の労働生産性を上げていくために人材流動性を確保する必要があると。そして,その意味で職務能力の評価基準をきちっと決めていく,そしてさらにNQFのようなものをきっちりつくっていくという議論がありましたけれども,このときに必要になってくるのが,例えば職種というものと,それから職業というものがどういう関係になっているのか。もう少し言いますと,この職業能力評価といったときの能力というものが,職種の中でどのような構成をしているのかというか,そんなことを見ていくことになるのかなとも思うのですけれども,何となくこれまでの職業教育といったものが職種に合うような形での教育をというようなイメージを持ってしまうのですが,むしろ,これからそういう意味ではなくて,その職種を構成している能力をきっちりと,ある意味で明らかにしていきながら,その能力を評価していくような教育の在り方に変えていく必要があるのだという御発言だったのでよろしいのでしょうか。少しその辺り,少し理解をしたのかなと思いましたので,お願いいたします。

【清原分科会長】 
 関口様,お願いします。

【関口総務委員長】 
 一貫性ということで申し上げたのですよね。修学段階から就労段階が1つの職種の中で一貫性を持つということが仕組みの上でとても重要だといったときに,そうしたら,その就労段階というのはどこまで見るのかという話があるのです。いろいろな能力基準等々ということで,能力は曖昧なものということもあるのですけれども,初期キャリアで,例えば医療職なんかの初期キャリアというのはちゃんと2年ごとに,こんなものと書き出しがいろいろある。それは,具体的な知識だとか技能ということが職種にくっついた形で明確だということで初期キャリアはかけるのです。ところが,就職して10年ぐらいたてば,マネジメント領域に入ってくるわけです,どの職種についても。そうすると,あまり差がなくなってくるということがあります。

 そういう意味では,この職種において学習段階との接続というのを考えるのは,せいぜい10年ぐらいまでの間のところと。そこから先は御本人の努力というふうなことになるかと思うのですけれど,実はその書き出しも,今職業と職種とおっしゃいましたけれど,そういうふうなことの整理自体もまだできていないというふうなことだろうと思います。医療職は割と明確ということなのですけれど,しかし,小さなモデルをいくつかつくっていくことである程度の類型化をして,それでこの職種はこの類型のところで書き込めるのじゃないかというふうな作業を具体的に始めていくということがもう求められているのじゃないかというふうに私は思います。

【清原分科会長】 
 牧野委員,どうぞ。

【牧野副分科会長】 
 ありがとうございます。よく分かりました,ありがとうございます。

 今のそこのいわゆる職業能力評価のところで,例えば今後の在り方として,例えば学習歴のような形のものを例えばデジタルバーチャル化をしていくですとか,そうしたこともこれから制度上必要になってくるかなと思うのですが,その辺りいかがでしょうか。

【関口総務委員長】 
 それはおっしゃるとおりだと思います。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。私たち生涯学習分科会では,もちろんリカレント教育,リスキリング等も重要な課題ですが,この間,一貫して専門学校,専修学校の代表にも委員として御参画いただきながら,生涯学習の重要な場所として,専門学校,専修学校等を位置づけてまいりました。今日は,その観点から大変有益な現場の御発表を頂きました関口様に,改めて感謝申し上げます。どうもありがとうございます。

 それでは,続きまして,兵庫県三木市から,生涯学習課長の河端様,そして自由が丘公民館の館長,梅田様から,三木市や自由が丘公民館における生涯学習などの取組について御発表をお願いいたします。それでは,よろしくお願いいたします。

【河端課長】 
 お願いします。兵庫県三木市教育委員会生涯学習課の河端と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは,1枚めくっていただきますようにお願いします。

 簡単に三木市の御紹介をさせていただきます。三木市は,平成17年にお隣の吉川町,ヨシカワと書いてヨカワと読みます。吉川町と合併しまして,山田錦の生産地ではかなり有名な場所となっております。あと,資料には書いておりますので,見ていただいたらいいのですけれども,三木市はある週刊誌で,関西における都会に近い田舎,永住しやすい「トカイナカ」ということで,2番目に選ばれております。田舎ですけれど,都会に近い田舎というふうに言われております。また,三木市は,観光の3大資源としまして,金物,それとゴルフ場,ゴルフ場は西日本で一番多い25か所あります。それと,先ほど言いました,酒米山田錦の生産地で有名でございます。

 では,次のページお願いします。

 三木市の自由が丘地区の紹介でございます。自由が丘公民館は,令和3年度に全国の優良公民館表彰を頂きまして,今回発表に至っておると思っておるのですけれども,まず,三木の自由が丘地区なのですけれども,昭和40年代前半から阪神間のベッドタウン,特に神戸市に近いので,神戸市のベッドタウンとして,神戸電鉄の沿線に開発された新興住宅地でございます。平成10年に約18,000人の人口ピークを迎えたのですけれども,現在は15,649人,令和510月末現在でございますけれども,少子高齢化で人口は減少傾向になっております。三木市全体の約2割の方が自由が丘地区に在住されております。お隣の緑が丘,青山という地区を合わせますと,約4割の方がこちらの地域に住んでおられます。

 平成234月に,自由が丘市民協議会,いわゆるまちづくり協議会がスタートしております。市内10地区あるのですけれども,全地区でこの市民協議会,まちづくり協議会が発足しております。

 次のページをお願いいたします。

 三木市の人口なのですけれども,令和510月現在で74,171人となっております。自由が丘地区が15,649人ということで,約2割の人口となっております。高齢化率は全国の平均より若干高めとなって,高齢化が少し進んでおります。外国人人口なのですけれども,外国人人口は増えてきておりまして,三木市では2,381人,自由が丘地区だけでも521人の方がお住みになっておられます。

 次のページお願いします。

 自由が丘地区と外国人との関係づくりということなのですけれども,2015年の12月頃からシリア人家族の転入がありまして,その後,16年には10家族が転入してこられております。当時,やはり文化の違いとかで入居した地区の自治会長さんが奔走されまして,国際交流協会の協力を得ながら,生活ルールの説明や生活での困り事など相談を行いまして,地区住民と友好的な関係を築いていっていただいております。特にごみの出し方,ごみの分別とかいうのがなかなか理解ができなくて,地域の方ともめていたということがあったのですけれども,そのときの区長さんが奔走していただきまして,友好な関係となっております。今現在でも,地区集会所で交流会をされたりとか,公民館の方でも夏休みに学習講座をしたりとかしておるところでございます。

 ここで少し交代させていただきます。

【梅田館長】 
 次のページをお願いします。

 私は,自由が丘公民館の館長の梅田です。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からは,自由が丘公民館と自由が丘地区自治会の,特に外国人の方の参加に関する取組の紹介をさせていただきたいと思います。そこのスライドにあるとおり,自由が丘連合自主防災訓練の取組がその1つです。先ほどの三木市の紹介でもありましたとおり,三木市は神戸市の北で隣接しているところです。阪神・淡路大震災でも被害があった地区ですので,その次の年から自主防災訓練を実施しております。

 毎年600人程度の規模で開催していたのですけれど,コロナの影響で人数制限をしながら続けてきました。今年度も,来年の114日に27回目を開催する予定にしております。今年度は500人程度を見込んでの取組としております。中には,中学生も参加してもらい,防災意識を高める機会としております。

 次のページお願いします。

 そのような訓練に,やはり地域内に居住される外国人の方,増えてきましたので,参加していただく必要があるのではないかということで,国際交流協会と連携を図りまして参加を呼びかけております。そこの写真にあるような防災マニュアル,これを三木市ですとか国際交流協会が作られたものを活用しながら,参加を呼びかけました。また,訓練当日は,国際交流協会の方や関西国際大学の協力を得まして,訓練に取り組んでおります。その結果,まだまだ少数ではありますけれども,少しずつ外国人の参加者は増加してきております。

 次のページをお願いします。

 また,自由が丘公民館の取組としましては,これはどこの公民館でもされているとは思いますけれども,自治会とも連携し,コミュニティ活動,生涯学習活動,人権教育活動等を推進しているというところです。そして,乳幼児,女性,高齢者の生涯学習講座も,リカレント教育というところまではいかないのですけれども,開催しております。そして,外国人の方が増えるということは,その子供さんたちも増加するということで,そういう子供さんたちも多文化共生の推進を図るということもありまして,夏休み,公民館で自由っ子未来塾を開設しています。これは何も外国人のお子さんだけではなく,地域に住む小学生を対象とした学習支援活動なのですけれども,そこへ参加をしてもらって学習の支援を行っています。

【河端課長】 
 では,次のページをお願いいたします。

 生涯学習課の所管の施設になるのですけれども,三木市高齢者大学というのを開設しております。写真は,廃校になった小学校を活用して高齢者大学になっておるのですけれども,人生百年時代と言われる現在,公民館の高齢者教室の受講生をさらに高齢者大学とつないでいきながら,卒業後はまた地域に戻って地域の生涯学習の指導者として担っていただきたいという趣旨で実施しております。60歳から入学できるんですけれども,現在,高齢者大学には平均年齢はもう72歳,70歳を超える平均年齢となっております。

 最後,次のページをお願いいたします。

 三木市の取組としまして,これは市の取組ではなく全国の取組になりますけれども,夜間中学校への支援事業の取組を行っております。十分に教育を受けられなかった方が,中学校を卒業した人や外国人籍の人などに夜間中学に就学する経費を負担する事業でございます。今年度9月から,三木市在住のパキスタン人の5人兄弟の方が,この兵庫県姫路市にある夜間中学校の方に入学されて,現在も通学されているということとなっております。

 以上,簡単ですけれども,三木市の取組の紹介とさせていただきます。

 以上です。

【清原分科会長】 
 河端様,梅田様,御発表ありがとうございました。私たちはリカレント教育を考えるときに,外国人の方,そして子供から高齢者の方まで視点に入れながら,多世代の皆様にとってリカレント教育というのはどのような意味があるのかを考えていきたいと思っておりました。三木市におかれましては,外国人の方が増える中,地域において生活を共にするという視点からのコミュニティづくりで,防災ですとか,あるいは教育支援の取組を通して,地域の皆様と外国人の皆様との共に住む住まい方について,言わばリカレントの学びをされていると受け止めております。さらには,夜間中学校への支援なども通して,外国人の皆様が,日本社会の中に適応していくための取組をされている,広い意味での,広義のリカレント教育の実践の場として三木市の皆様に御報告を頂いたわけでございます。

 それでは,これからまた,二,三人の方になると思いますが,質疑応答あるいは御意見をいただければと思いますので,オンラインの方は挙手ボタンを,そして会場の方は名札を挙げてください。それでは,会場からまず,関委員,古賀委員と続けて御発言をお願いします。その次に,浜田委員,お願いします。そして,沖畑委員,お願いします。

【関委員】 
 関でございます。三木市の自由が丘公民館,そして市としての取組,非常に参考になりました。ありがとうございます。

 何点かお伺いしたいのですが,1つ目は,もともとベッドタウンとして町ができてきたという性格があるかと思うのですが,以前から住んでいた方々と,いろいろなところから流入してきた方々とのつながりというのは,現在,潤滑でしょうか。コミュニティ組織と新たなまちづくり協議会との関係性を教えていただけたらと思います。

 あと,シリアの方から三木市の方に転入してきた方々,いつの間にか増えたというふうに捉えたらよろしいでしょうか。何らかの目的,意図があって,そういう方々の受入れをしたのでしょうか。さらには,子供たちも当然おられると思うので,その子たちに対しての日本語教育であったり,いろいろなサポートの仕組みなど,先ほども御案内の中にはございましたけれども,ほかに何かございましたら教えていただけたらありがたいなと思います。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 御質問いただきましたが,いかがでしょうか。河端様,あるいは梅田様。どうぞ,河端様,御発言ください。

【河端課長】 
 三木市の河端です。

 昭和40年代からベッドタウンということで人口が急激に増えていったわけですけれども,もともとどちらかといえば田舎の方の三木市だったので,都会から来た方々となかなかまじり合うことはなかったんですけれど,もう40年以上もたっていますので,特にコミュニティは潤滑に動いているのじゃないかなと思っております。

 ですけれども,ベッドタウンの高齢化がかなり進んでおりまして,子供たちが都会の方に就職を機に出ていってしまって帰ってきていないとかありますので,高齢化率というのは,田舎よりもこういうベッドタウンの方がかなり急激に進んでいるのじゃないかなと思っております。つながりが悪くはないとは感じております。

 以上です。

【清原分科会長】 
 2点目はいかがでしょうか。シリアの方が増えてきた理由といいましょうか,そういうことで御紹介いただけるものはありますか。

【河端課長】
 特にシリアの方が増えたことにつきましては,市が取り組んだということではなく,国の情勢が不安定だということで,三木の企業を通じて増えてきたとかあったように聞いております。

 特に,子供へのサポートにつきましては,国際交流協会が中心となってサポートはしていただいております。

【清原分科会長】 
 関委員,よろしいですか。それでは,古賀委員,御発言お願いします。

【古賀委員】 
 御発表ありがとうございます。私は,NPOの活動をしており,その一環として防災の取組を数年来行っているのですが,特に外国人向けの防災はとても難しいと,いろいろな現場の方が異口同音におっしゃっています。例えば,広報のチラシをいろいろなところに配布してもなかなか情報が届かなかったり,あるいは防災自体を自分事として感じない外国人の方が多いといった声も聞かれるところです。

 外国にルーツを持つ子供たち向けの学習支援活動においても,保護者がその必要性をあまり認識されていなかったり,保護者が子供の進路に関心を持っていなかったりするために,子供の参加促進も難しいといった声も聞いてきたところです。

 そこでお尋ねですが,そもそも外国人の方々向けの学習意欲の高揚とか参加促進とか,現場で工夫されていたり,とりわけ留意されていることがあったら教えてください。

 もう一点お尋ねですが,先ほどから「公民館とまちづくり協議会が協働で」ということをおっしゃっていますが,地域によっては住民の声なりニーズをたくさん聞いている役を公民館が担っていたり,あるいは逆のパターンもあったりするようですし,年間の事業計画を作ることにおいても,公民館・まちづくり協議会の間ではなかなかすり合わせが難しいといった話も聞いたりするのですが,その辺りは工夫されているところがあるのでしょうか。

 以上,2点です。

【清原分科会長】 
 2点御質問いただきましたが,梅田館長さんの方がよろしいですか。どちらでも結構ですけれど,いかがでしょうか。梅田館長さん,お願いします。

【梅田館長】 
 失礼します。先ほどの防災訓練の参加と,それの参加を促すというのは本当に難しい部分がありまして,一挙にたくさんの方が参加していただくということはなかなか難しい面があります。そういう点で,国際交流協会の協力を得て,そこから口づてで,まずは参加を促してきてもらっていると。それが,だんだん年を重ねるにつれて,一つずつ,少しずつ人数が増えてきていると。そして,ただ訓練に来ただけではお客さん状態ですので,関西国際大学の学生の皆さんも協力していただいて,共に訓練に参加していただくというようなことをしております。

 また,親子さん,公民館として日本語教育としましては,こちらも国際交流協会の協力を得まして,週1回,日本語教室を実施しております。そのようなところで,必要がないと言われる方まで来ていただくというのは非常に難しい部分があるのですけれども,そちらの方も人数が少しずつ,参加人数が増加してきているというような状況です。

【清原分科会長】 
 2点目はいかがでしょうか。まちづくり協議会と公民館との連携について。

【河端課長】 
 公民館は,一応教育委員会の所管にはなるのですが,実は公民館職員に対しては,市長部局のまちづくり系統の市民生活部になるのですが,その中に市民協働課というのがありまして,そちらの辞令も受けておりまして,まちづくり業務は,公民館職員は補助執行という形で,その仕事も担っております。一番地域に近い市の公共施設ということで,生涯学習だけでなく,まちづくりの観点からもそういう業務も両方やっておりますので,公民館長,公民館の職員は一応両方からの,2本のラインの指示を受けながら業務に当たっておるようなところでございます。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。古賀委員,よろしいでしょうか。今,後半御紹介いただいた教育委員会と,それから市長部局の連携というのは,地方教育行政の中で極めて重要なポイントで,三木市の取組が全国にも波及するといいと思って受け止めました。ありがとうございます。それでは,オンラインで,まず,浜田委員,御発言をお願いします。

【浜田委員】 
 失礼いたします。大変貴重な事例を教えていただいてありがとうございました。全国で外国人の住民が増えている自治体が多い中で,非常にいろいろなことを学ばせていただける事例だと思いました。

 3点ほど教えていただきたいのですけれども,1点目は,先ほどの質問への回答,生涯学習課とそれから市民協働課との連携が非常にうまくいっているということ,非常に示唆的な事例だというふうに感じたのですけれども,そのほかにも,例えば国際交流協会ですとか大学ですとか,様々な部局との連携が非常にうまくいっているというふうに感じるのですけれども,その部分で何か特に工夫をされているところですとか,コツとか,そういったことがあれば教えていただきたいと思います。

 それから2点目です。日本語教室ですとか,あるいは防災訓練への参加ということで,外国人住民の方の日本人コミュニティといいますか,コミュニティへの参画という意味では非常にうまくいっているという面があるのですが,リカレント教育といった意味で,日本人住民がいろいろな文化に触れることで学びが広がっていくという側面も非常に重要だと思うのですが,そういった側面で何か取組とか事例があれば教えていただきたいと思います。

 それから3点目です。三木市の中で,この自由が丘地域以外の地域にも恐らくたくさん外国人の方がお住まいかと思うので,自由が丘地域での取組が市のほかの地域への波及効果があるといったようなことがあれば教えていただければと思います。

 以上,3点です。よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 3点について,それでは,河端様,お願いいたします。それでは,梅田さん,最初にどうぞ。

【梅田館長】 
 すみません,私の方から。国際交流協会ですとか大学等との関係づくりなのですけれども,なかなかスムーズにいくということも難しい場面があったりします。何度も繰り返し話をしながら,折り合いをつけられるところで協力をしていくというような,何度も調整が必要になってくるかなというところだと思います。

 あと,自由が丘地区以外の館の取組というところなのですけれども,毎月1回館長会というのをやっておりまして,三木市内10館あるのですけれども,そこで情報交換をしながら,こういう取組をしていますよというふうなことでの情報交換をしていますので,お互いいいところは取り上げていきながらというようなことをしております。

【清原分科会長】 
 日本人コミュニティとの関係について,どうぞ。

【河端課長】 
 少し補足的になりますけれども,まず,自由が丘地域に外国人が増えたというのは,やはり集合住宅,団地があったというのが1つの一番大きな要因でないかなというふうに思っております。

 まず,こちらから取組を考えてというより,そういうニーズがあって,それに応えるために何かしようかなという形で動いていきましたので,まずはそちらの住民の方,ごみの出し方,マナーを教えていくというような,そういうような具体的な問題点があったということに対してどうしてこうということから進んでいきましたので,そういう取組につきましては,もちろん他地区にも参考にはなっておると思っております。

 国際交流協会の方が中心となっていただきまして,それを切り口に理解講座をやっていこうということで,例えばお好み焼きを教えたりとか,逆に外国の方の料理を学んだりとか,そういう身近なところからの交流を広げていったいうのが現状でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。浜田委員,いかがですか,よろしいですか。

【浜田委員】 
 ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 続きまして,沖畑委員,そして会場から熱田委員,そこまでとさせていただきます。それでは,沖畑委員,どうぞ。

【沖畑委員】 
 よろしくお願いします。ありがとうございました。

 2点,大きくお尋ねをしたいのですけれども,子供たちに向けた講座の中で外国人の参加も増加しているということでございましたが,外国人の子供たちに向けたような,特に彼らを意識したような講座がありますかということと,逆に,外国人の方々との交流を意識した多文化共生ということも述べられていらっしゃいましたが,多文化共生を目的としたような,そんなの交流を図るような講座ということも仕組んでいらっしゃるのでしょうか。また,外国人の子供たちの学びというのは,日本語教室は週1回ということでございましたが,これは学校の方にお任せなのでしょうか,それとも地域でもやっていらっしゃるのでしょうかということ,よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 御質問いただきましたが,いかがでしょうか。どちらがお答えいただけますか。梅田館長さんですか。よろしくお願いします。

【梅田館長】 
 多文化共生を目的とした講座というのは,実際まだできてはおりません。

 それから,もう1点が少し聞き取りにくかったのですけれども。

【清原分科会長】 
 2点目は,もう一度お願いします。

【沖畑委員】 
 外国人の子供たちの言葉についてなのですけれども,先ほど週一の日本語教育講座を行っていらっしゃると。ここで子供たちは学んでいるのでしょうか,それとも,逆に学校にお任せしているのか,そのほかにも何かお考えになって実施をされているのでしょうか。

【清原分科会長】 
 いかがでしょうか。

【梅田館長】 
 ありがとうございます。学校ももちろん取り組んでおります。それとやはり,この自由が丘地域に外国人のお子さんが多いということで,国際交流協会の協力を得ながら,小中学生を中心に日本語教育を実施しているというところです。

【清原分科会長】 
 よろしいですか。

【沖畑委員】 
 ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 私の方で,すみません,挙手を見逃しておりましたので,これから会場の熱田委員,そしてオンラインで辻委員,金田委員,順に御発言をお願いします。それでは,熱田委員,お願いします。

【熱田委員】 
 同じ公民館の職員としていろいろ教えていただきありがとうございました。

 私の方から少し2点お伺いしたいのですけれども,公民館の方で,外国の方に限らず,一般の方も来られる方というのが毎回同じ方ばかり来られるというような,そういった課題があります。外国の方,自由が丘地区では521人いらっしゃるということなのですけれども,その中でどれぐらいの方が来られて,引き続きどれぐらいの方が公民館の方をずっと利用されているかというのが教えていただきたいことです。

 それともう1点が,私,前の公民館では中央公民館というところにいたのですけれども,広島市の中でも中国帰国者の方のすごく多いエリアにおりまして,中国帰国者の会という,当事者の方々がつくられている会というのがありました。そこがすごくいろいろなことをされていたので,公民館ともうまい具合に引き続きいろいろな,そういった外国の方を取り込んでいただいていろいろなことをしてきたのですけれども,そういう外国の方のそういった組織はなく,もう公民館とそういう教育委員会との連携だけで,うまい具合に外国の方とのこういう事業ができているのかという2点を教えていただければと思います。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。2点の御質問いただきましたが,いかがでしょうか。梅田館長さん,お願いします。

【梅田館長】 
 本当に公民館では,利用される方の幅を広げていきたいという課題は常に持っております。そのような中で,大体先ほども521人と言っていましたけれども,その内公民館来られる方は30人前後ではないかなというところです。そういう方が繰り返し利用されているという状況です。

【清原分科会長】 
 2点目はいかがでしょうか。

【河端課長】 
 もう1点なのですけれども,外国人の方だけでのそういった会とかグループ,組織には今のところなっていないように思います。

 ただ,外国人の方だけなかなか公民館単独で利用されに来るというのは,まだそこまで増えてはないので,やはり国際交流協会が窓口となって,いろいろなリーダーシップを取っていただいて動いているというのが今の実情だと思います。

 以上です。

【清原分科会長】 
 熱田委員,よろしいですか。

【熱田委員】 
 ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,辻委員,お願いします。

【辻委員】 
 御報告ありがとうございました。名古屋大学の辻といいます。

 シリアから来られた外国の方ということで,私の勝手な思い込みかもしれませんが,難民の方か,あるいは,そういう国情の中で,難民ではないけれど国外に出られた方かなというふうに思うのですけれども,日本は難民の受入れについてあまり積極的ではないという話も聞くものですから,三木市の方で受け入れられている方々の事例で,何か参考になることがあると教えていただきたいと思っております。

 今のお話の中では,入ってこられるのは,ある企業の方が,企業がそちらの家系の方とルートがあって,もう親御さんはその会社で働いていると思えばいいのでしょうか。また,もし,今の時点で情報があればと思うのですが,中国だとか韓国から来た,そういう方と違って,こういう難民的な方というのはどういうニーズがあるのか。そんなことを,もし肌感覚でも分かっていることがあれば教えていただきたいと思いました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。河端様,お願いします。

【河端課長】 
 私たちが知り得る範囲なのですけれども,難民の方ではないようでございます。やはり日本企業に勤めているとかそういった関係でこちらに来ている,シリアの方はそういったパターンが多いようです。現在は,また違う制度でベトナムの方とか中国の方とか,結構多国籍の方が住まわれているということのようです。先ほどお話あったような難民という形では,こちらには来ていないような感じだと思っております。

【清原分科会長】 
 よろしいですか,辻委員。

【辻委員】 
 ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 それでは,最後に金田委員,御発言お願いします。

【金田委員】 
 ありがとうございます。日本PTAの金田です。よろしくお願いいたします。発表ありがとうございました。

 時間も限られているので端的に2つ質問します。先ほどの外国人の皆様ということで,自治会の加盟率はどれぐらいでしょうか。外国人の方が三木市で2,381人,自由が丘で521人ということですが,ほぼほぼ皆さん入っていらっしゃるのか,少し気になりました。また,イベントなどにも参加が増えてきたという話も伺っておりますが,その辺り現在の日本人の方たちと比べて積極的に参加されているのかどうかというところをお聞きします。というのも,PTAなどでも,外国人の保護者が増えてきまして,外国人の保護者が非常に積極的に参加することによってPTA自体が活性化したというような事例も聞こえてきているところがありましたので,その辺りを聞いてみたかったというのが1点。

 もう一つが,夜間中学の件ですが,こちら,公立の夜間中学ということでよかったのでしょうか。この公立の夜間中学校で学び直しというより外国人の方が最近多いというような話もよく聞きますし,日本語学校化しているというような課題も伺うことがあるのですが,その辺で何か情報があれば教えてください。

 以上です。

【清原分科会長】 
 以上,御質問いただきました。それでは,梅田館長,お願いいたします。

【梅田館長】 
 外国人の方の自治会の加入率という件につきましては,明確な数字は,こちら,把握はしておりません。実際,入られていなくても,先ほど自治会長が奔走したというようなことで,もうそのままコミュニケーションを取らなければ,向こうの感覚でやられてしまって,それがトラブルにつながるというようなこともございましたので,自治会長が積極的にそういう外国人の方と関係をとって,日本の文化を少しずつ伝えていくような取組をされております。

 ですので,イベントの参加も,やはりこちらから働きかけて,今,参加を促しているというようなところが現状ではないかなというふうに感じております。

【清原分科会長】 
 夜間中学等については,いかがでしょうか。

【河端課長】
 夜間中学校につきましては,これは公立の中学校でございます。三木市からは姫路の学校に行くというのが指定になっておりますので,姫路に,すごく遠いのですが,積極的に通われているというのは,学校教育課の方からも報告を頂いております。恐らく日本語のことを学びに行っているとは思うのですけれども,非常に熱心に学びに行っているということはお聞きしております。欠席もなく行っておるということを聞いております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。金田委員,よろしいですか。

【金田委員】 
 ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。本日,河端課長,梅田館長におかれましては,三木市の外国人の皆様をはじめとする実践を御報告いただきありがとうございます。その中で,やはり教育委員会だけではなくて市長部局との連携の重要性,さらには国際交流協会の皆様,あるいは自治会の皆様と公民館が連携することによって,まさに外国人の皆様との共生,共に生きるということの推進がなされているということが理解できました。どうもありがとうございます。

 それでは,議題2に移らせていただきます。

 議題2は,日本語教育の質の維持向上についてです。前回までの生涯学習分科会でも,この議題を皆様と御一緒に検討してまいりました。そして,生涯学習分科会として,今後新たに制度化される日本語教育機関の認定や,日本語教員の登録などに関する課題や議論について,引き続き取り扱っていくことが重要となっております。と申しますのも,参考資料の3で皆様にお配りしております『中央教育審議会運営規則』が改正されまして,生涯学習分科会の審議事項として,日本語教育の認定に関することが正式に加わりました。これに基づきまして,国が日本語教育機関の認定基準を定める際の手続として,本日は,生涯学習分科会の意見聴取を行うために,まず,事務局から資料の説明を頂きます。その後,続きまして,実際に外国人への日本語教育等に携わっていらっしゃいます学校法人アジアの風岡山外語学院の森下明子副理事長に,今日は会場までお越しいただいておりますので,御発表を頂きます。それから文化庁国語課の説明と森下副理事長の御発表に対して,まとめて質疑応答や委員の皆様から御意見を頂くお時間を取りたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

 それでは,まず,文化庁の今村課長さん,御説明よろしくお願いいたします。

【今村国語課長】
 失礼いたします。御意見頂戴します認定基準につきましては,参考資料67でございますけれども,条文の形で読みにくい点もあろうかと思いますので,資料3に即しまして御説明させていただきまして,また,その前段としまして,現状の日本語教育機関の状況についても軽く触れさせていただければというふうに思っております。

 それでは,資料3の, 2ページ目を御覧いただけますでしょうか。

 こちらが,私どもの調査に御回答いただいている機関のみの集計ですので,網羅的に把握できていない部分がありますことをあらかじめ御承知おきいただきまして,おおよその傾向ということで御覧いただければと思います。

 現状,日本語教育につきましては,様々な目的に応じまして,様々な機関が提供しているということが実情でございます。ざっくり御覧いただきますと,一番上から法務省告示機関,これは後ほど少し御説明させていただきますけれども,専ら日本語を習得するために留学をしてくる学生を相手に日本語教育を提供している,そういうイメージで捉えていただければと思います。こちらが一番多いということになっておりまして,次が大学等,留学生,別科等で日本語を学ぶ人も含めた大学等の機関,それからその次,下3つが国際交流協会,地方公共団体,教育委員会ということで,地方公共団体で行われているものというふうに御理解いただければと思います。それ以外にも,NPO法人ですとか,あるいは株式会社立の日本語のものですとか,いろいろな個人が行うものも含めて,様々なもので日本語教室,あるいは日本語講座といったようなものが提供されているというような状況でございます。

 学習者数については,一番右の欄になるのですけれども,上2つの法務省告示機関,大学等機関というもので全体の7割程度ということで,地方自治体の方が2割弱というようなことだというふうに御理解いただければと思います。総数で22万弱というふうになっておりまして,こちら,下の方の参考資料に出てまいりますけれども,同じ令和4年度で見ますと在留外国人全体が307万人と出ておりますので,その7%強ぐらいが,何らかの組織的な教育の提供を受けていると,そういう御理解をいただければというふうに思います。

 次,おめくりいただきまして3ページになりますけれども,そうした何らかの組織的な学習機会の提供を受けている方の,まず,属性,在留資格で見ますと右の円グラフになりますけれども,先ほど御覧いただいたとおり,7割ほどが留学生ということで,これは当然かなと思いますけれども,それ以外にも様々な在留資格を書かれておりますけれども,いろいろな立場で日本に来られた方で,それなりに日本語学習のニーズがあるということが見てとれるかと思います。

 左の欄は,もともとの出身国になりますけれども,参考資料の方には在留外国人全体の出身国が出ておりますけれども,そこと似通っている部分もありますし,多少順位が入れ替わっている部分もあるかと思います。これは,右側で御覧いただいた在留資格の属性とも少し関連してくるかなということで御理解をいただければと思います。

 続きまして,4ページ目を御覧いただければと思います。過去にも見ていただいておりますけれども,先ほど分科会長からも御説明いただきましたとおり,今回,国で一定の基準を示しまして,その基準に沿っていると認められる日本語教育機関を文部科学大臣が認定するという制度が始まるということでございまして,その認定基準について定めるに当たりまして,審議会の御意見も頂戴するというプロセスになっております。また,併せまして,法務大臣へも協議をするという立てつけになっているところでございます。

 続きまして,5ページを御覧いただきまして,先ほど認定基準を定めるに当たって法務大臣と協議をするということになっているというふうに申し上げましたけれども,こちらは,先ほど少し挙げさせていただいた法務省告示機関という制度が現状ございまして,こちらは法務省さんの方で運用されているということで,そちらの制度との連続性を図っていくという観点からでございます。

 法務省告示機関と申しますのは,在留資格の留学を有する外国人を受け入れまして,専ら日本語教育を提供するという機関を指しておりまして,そちらは法務省の方で告示という形でどの機関がそれに当たるかということを示してきたという経緯がございます。法務省告示機関の告示に至る機関の該当要件につきましては,これまで法務省が定めておりまして,それが今5ページ目で御覧いただいている一番左の欄になっているということでございます。今般の認定日本語教育機関の留学分野につきましては,この法務省告示機関の基準を引き継いでいく形で定めさせているという,まず前提があるというふうに御理解をいただければと思います。

 なお,認定基準,それからそれらに関連する様々な指針等の御検討につきましては,この間,文化審議会国語分科会の下に日本語教育小委員会がございますけれども,その下に複数のワーキンググループを設置いたしまして,そちらの方で,短期間でありましたけれども,精力的に御検討いただきまして,11月中までに審議の取りまとめを頂いたところでございます。そちらに基づきまして,省令に当たります認定基準などを今般まとめつつあるという状況でございまして,それをもとに,今,概略を御説明させていただくという状況でございます。

 今御覧いただいている5ページに即しまして,概略を御説明させていただきますと,認定基準におきましては,留学のほか就労,生活という,合わせて3分野ということで認定をさせていただく予定にしております。表の上から目的,認定主体,設置者につきましては,既に法律で規定されているところでございまして,それから一番下の自己評価を行うこと,それから毎年度定期報告をする,こちらにつきましても法定されているという状況でございます。それ以外の,教員及び職員の体制,施設及び設備,日本語教育課程,それから外国人である学習者の学習及び生活上の支援体制,この4点につきましては,具体的には省令で定めていくということで認定基準が構成されるということで,今般こちらについて御意見を頂戴するという立てつけになっております。

 その表で赤と緑で書かせていただいておりますけれども,赤字の部分が法務省告示機関にはなかった部分というふうに御理解いただければと思っておりまして,新たに加えるということです。特に教育課程に係る部分,それから教員資格が今回登録日本語教員という新たな国家資格を設けるということで,こちらが大きな項目になっているということでございます。それから,就労,生活の分野につきましては,留学と比較しますと,留学生は専ら日本語を学習するために留学をしてくるというわけですので,その生活時間の大半を日本語学習に充てることができるという理解ですけれども,就労,生活分野におきましては,特に例えば就労であれば,日中は例えば働いていらっしゃって,その合間で日本語を勉強されるということになろうと思いますし,生活ですと様々な多様な属性があり生活をされている外国人の方が学習をされるということですので,留学生の方とは少し日本語学習に割ける時間配分が違うということで,それに即した教育課程等が設定できるようにということで,留学と比較しますと,緩やかと言っていいかどうか,少し語弊があるかもしれませんけれども,認定基準の方を変えさせていただいているということで,その部分が緑に該当するというふうに御理解いただければと思っております。

 教育課程を新しく定めるということで,こちらにつきましては,省令に記載していることに加えまして,中ほど教育課程の欄の入学の一番下になりますけれども,日本語教育課程編成のための指針というものもワーキンググループの御議論を頂いた上で定めているということにしております。こちらの指針を定めるに当たりましては,これまでの間,文化庁の方の有識者会議の方で検討していただいております,日本語教育機関における教育内容のおおよその目安というものが従来ございまして,そちらを下敷きにして策定をしたという経緯がございます。また,教員資格の方につきましても,この新たな教員資格につきましては,新たに実施します日本語教員試験の合格と,それからこちらも登録された期間で実施されます実践研修,教育実習ですね,こちらを終了しているということが要件になっておりまして,また,試験におきましても,登録された養成機関が実施する養成課程の修了者は,試験のうち基礎試験が免除できるというふうに規定されておりますので,こうした教員養成課程を提供する養成機関,それから実践研修を提供する機関については国に対して登録できるという新しい制度を設けておりますので,そちらの要件等につきましても,ワーキング等で御議論いただいた上で,コアカリキュラム等を設定するという運びになっているという状況でございます。

 こうしたことによりまして,日本語教育機関の質,それから教員の質というものを一定水準を設けていくということをもって,教育の水準の維持向上を図っていくという立てつけになっているところでございます。

 こういったことで,認定を受けた期間につきましては,実際に日本語教育の実施は登録日本語教員が行っていくということになっていきますが,認定を受けなくても,引き続き留学以外の部分,就労,生活に係る分については,実質的に日本語教育自体は可能というふうになっておりまして,そういう意味で引き続き,現状は非常に多様な主体の方が多様な日本語教育を実施していただいているのですけれども,その形は引き続きやっていただきたいと思っておりますし,そちらの充実も必要だというふうに思っておりますけれども,特に留学については,こちらの認定を受けた機関に入学してくる学生について,在留資格の留学を付与するという形で法務省と連携を図っていく予定でございますので,そちらの質の担保,維持向上の面と,引き続き日本語教育環境といいますか体制の充実を,認定を超えた部分でも引き続き図っていくというような構造になっていくというふうに御理解をいただければと思っております。

 私どもの説明は以上とさせていただきまして,引き続きまして,先ほど御説明させていただきました現在の法務省告示機関,今後の留学分野の認定日本語教育機関になろうと思いますけれども,そちらの少しイメージを,具体的なイメージを持っていただければということで,本日,学校法人アジアの風岡山外語学院より森下副理事長にお越しいただいておりますので,引き続き御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 今村課長,ありがとうございます。それでは,学校法人アジアの風岡山外語学院の森下副理事長から,岡山外語学院における多文化共生社会を目指す留学生への日本語教育及び生活サポートなどの取組について,御発表をお願いいたします。よろしくお願いします。

【森下副理事長】 
 それでは,法務省告示校の1例として,岡山県岡山市にある学校法人アジアの風岡山外語学院についてお話をさせていただきます。私は,岡山外語学院副理事長をしております森下と申します。よろしくお願いいたします。

 お手元の資料4に沿ってお話しさせていただきます。右下にページの番号が入っておりますので,そちらを御参照いただきますようお願いいたします。

 2ページ目を御覧ください。

 岡山外語学院は,日本語を母語としない外国人等に対して日本語教育を行う日本語学校です。先ほど御説明のあった,法務省告示を受けた日本語教育機関です。直近のデータでは,全国に839機関が法務省告示の日本語教育機関として認められております。

 3ページ目をお願いします。

 岡山外語学院の理念は,若者たちの無限の可能性を信じ,情熱を持って日々研さんし,進化する支援者となります。英知と勇気を持って継続可能な組織体を実現し,多文化共生社会の礎になります。この理念の下,ページ真ん中に記載しております3つのミッションがございます。この3つのミッションを達成するために,教職員一丸となり,学校運営を行っております。また,学生には弊院のつくった5つの学生心得を入学時に伝え,学生が母国から離れた遠い日本で健康で安全に暮らし,それぞれの夢,目的に向かってしっかり次のステップに進んでいけるよう,多方面からサポートしております。

 4ページ目です。

 岡山外語学院は,1992年に日本語教育を始め,昨年で30周年を迎えました。30周年を迎えるに当たっては,共に生きる,共に学ぶというパーパスを作成し,気持ち新たに日本語教育に取り組んでおります。

 5ページ目です。

 過去30年の学生の出身地域と進路です。卒業生は約4,000人です。過去30年の出身地域は,中国が67%,ベトナムが14%,インドネシア5%など,世界48の国と地域から,岡山外語学院に来ていただきました。そして,真ん中のところに,少し小さいのですが,記載してあるのですが,同窓会,中国,韓国,ベトナム支部を立ち上げ,卒業生のネットワークづくりにも力を入れております。また,学生の卒業後の進路としては,進学が80%,就職5%,帰国その他15%となっております。

 6ページ目を御覧ください。

 現在の在校生についてです。コロナによる入国制限が昨年の3月に解除になり,その後順調に留学生は戻ってきておりますが,現在の在校生は323名で定員充足率8割と,まだコロナ前には戻ってはおりません。在校生の国籍は,中国とミャンマーが約30%,ネパール,ベトナムが約10%と,21の国と地域から来ていただいており,多国籍な学校となっております。

 7ページ目です。

 学校の組織体制です。理事長副理事長校長の下,人材育成部,学生部,総務部と3つの部門からなっております。人材育成部は,主任,副主任教員の下,専任教員11名と非常勤教員35名の体制です。教員数は告示基準で必要な数を満たしておりますが,コロナが明けて急速に留学生が戻ってきている中,コロナ期間に現場を離れてしまった教員が戻ってきておらず,教師不足は全国的に深刻な問題です。

 さて,人材育成部は,学生への授業,進学指導,試験対策を行い,また授業準備が効率的にできるよう,共通教材,また,学校独自の教科書も作成しております。学生部は,学生募集,学生の生活支援全般を行っております。また,学生の就職支援については,関係会社のアジアの風キャリアサポートで行っております。

 8ページ目を御覧ください。

 学校の館内図です。学生は,学生部と人材育成部の間を必ず通って2階の教室に行く動線になっていることから,毎日学生の顔を見て,体調だけでなく,何か困ったことがないかなど,声をかけることができます。2階は教室が11教室と,図書室,保健室,学生が休憩,食事ができる学生ホール,自習室,そして最近ムスリムの学生が増えたことから,お祈り部屋も男女別に用意しております。

 9ページ目です。

 岡山外語学院の事業は4つに分かれております。留学生への日本語教育,就労者・生活者への日本語教育,海外での日本語教育,日本語教育以外の関連事業です。

 10ページ目を御覧ください。

 まず,留学生への日本語教育についてお話しします。留学生のコースは,4月入学の1年コース,2年コース,10月入学の1年半コースがございます。主な目的としては,大学院・大学・専門学校等への進学と日本での就職です。2年コースの学生を例にとると,入国時,日本語能力試験N5相当の学生が,4月に入学してクラス編成試験を受けて,日本語能力試験N1を目指し,さらに上級後期まで勉強するといったカリキュラムになっておりますが,学生の希望の進学,就職などの目的が達成されれば,コースの途中でも修了いたします。日本語学校での教育は語学教育です。語学教育とは,一人一人レベルが違う学生が入学し,それぞれの目標が達成できればそこで修了となるといった特性があり,小中高のような同じレベルの生徒が進度を同じく一斉に学んでいく学校教育とは違っております。授業は14時間,週5日,年間は786時間行っております。1クラスは16人平均です。授業内容は,文法,語彙,漢字,作文,聴解,読解に加え,弊院では,進学先,就職先で必要となる会話,プレゼンテーション能力の向上にも力を入れております。

 11ページ目です。

 留学生の受入れについては,大学,専門学校,企業との連携を行っております。企業,特に人手不足が深刻な業界である病院や介護施設からの貸与奨学金制度や,岡山県内外の多くの専門学校との連携により,学費の優遇制度など,留学生募集から連携して行っております。大学については,岡山市の全ての大学,そして岡山県及び近郊の大学と教育協定を結んでおります。20225月に国立大学の岡山大学と留学生の教育・研修の相互実施,留学生の生活面での支援,外国人を対象とした多言語での防災教育活動といった3つの柱の「協力・連携に関する教育協定」を締結いたしました。

 12ページです。

 留学生の募集についてです。岡山外語学院は,世界の50か所以上の留学センターや大学,高校と連携して学生募集を行っております。入学時期の7か月前から面接や書類審査を行い,合格者に対して在留資格認定申請,そして本人がビザ申請を行い入学となります。

 13ページです。

 学生への生活サポート体制についてです。英語,中国語,ベトナム語,クメール語,シンハラ語,モンゴル語,ロシア語,韓国語が話せる教職員が常駐しており,入国時,病気のときのような非常時,個別相談に対応しております。入国時には,各国語でオリエンテーションを行い,市役所手続,口座開設,アルバイト紹介など,生活のサポートを行っております。また,各クラスライン登録をし,いつでも連絡が取れる体制を整えております。学生寮は,学校から自転車で15分ほどのところにあり,生活必需品は全て用意しており,すぐ生活できる体制となっております。また,健康管理については,各種保険の加入,健康診断を定期的に行っております。

 14ページ目です。

 我々日本語学校は,学生の将来の進路を踏まえた日本語教育がメインではありますが,進路指導,様々な生活サポート,日本の文化体験,清掃ボランティアなどの地域の活動を通じ,日本社会への適応教育をしっかりと行っております。

 15ページ目です。

 こちら,学生のプレゼンテーション能力の発表の場となるスピーチ大会や,遠足,秋祭りの参加,書道体験の写真です。日本語の授業以外に学生は様々な活動を行うことにより,日本への理解を一層深めております。

 16ページ目です。

 学生はしっかりと日本語を勉強し,日本社会への理解を深めた上で,次のステップである高等教育機関に進学,又は企業に就職していきます。弊院では約80%の卒業生が高等教育機関に進学しておりますが,全国統計でも79%の日本語学校の学生が高等教育機関に進学しており,日本語学校は高等教育機関の留学の重要な入り口としての役割を担っております。字が小さくて恐縮ですが,弊院の実績を一部抜粋しておりますので,後ほど御確認ください。

 17ページ目です。

 続きまして,2つ目の事業である就労者,生活者への日本語教育です。

 まず,就労者への日本語教育です。岡山県の企業様からの依頼で,それぞれの企業のニーズに合わせたカリキュラムを作成し,教師を派遣しております。最近では,県外の企業様にオンラインで授業もしております。また,昨年,ICT教材として学習アプリを開発,販売を始めました。コロナ禍で留学生が入学で入国できなかった間,学校を存続させるために,今までの日本語教育のノウハウを生かした教材を作成しました。介護福祉士の国家試験サポート,日本語能力試験サポート,日本のマナー問題といった内容となっており,学校内の学生の利用はもちろん,専門学校,ほかの日本語学校,介護施設の外国人材の方にも利用していただいております。

 18ページです。

 生活者への日本語教育についてです。日本国内に在住する外国人等の方が,進学や就職など,それぞれのニーズに合わせて受講していただいております。進学希望者は,留学生の長期コースに編入したり,プライベートで受講している方もいます。また,地域の日本語教室としては,25年前に設立した岡山日本語教師ネットワークというボランティアの日本語教室と,昨年の4月に,ほかのNPOの団体と連携して立ち上げた外国人親子の居場所づくりネットワーク(INE)がございます。INEでは,弊院は,小学生,中学生とその保護者への日本語教育を担当しております。

 19ページです。

 3つ目は,海外での日本語教育です。中国の高校の国際班に日本語教師を派遣し,その卒業生が岡山外語学院に留学するという枠組みを10年続けております。また,外国人日本語教師への研修も行っております。コロナで中断しておりましたが,来年1月に中国人の日本語教師4名の来日研修を予定しております。その他,中国人用の日本語学習教材も作成し,中国の高校等で利用してもらっております。

 20ページです。

 4つ目は,日本語教育以外の関連事業です。まずは,文化庁届出の日本語教師養成講座を開講しております。受講者は20代から70代と,幅広い世代の方に受講していただいております。養成講座の卒業生は,その後岡山外語学院で教師として,また,海外派遣と活躍していただいております。また,地域の日本語教師のネットワークづくりとして瀬戸内教師会を立ち上げ,教師研修や公開講座を行っております。その他,行政,企業,大学等で「やさしい日本語」の普及,多文化理解のための活動を行っております。地域企業の外国人材に日本語を学んでもらうことはもちろんですが,日本人の,我々も自分たちが話す日本語を見直し,外国人の方の立場を理解し,お互いが寄り添える社会,多文化共生社会の実現の一助になればと思い取り組んでおります。

 21ページです。

 新型コロナによる入国制限で,約2年間,日本語学校は留学生がほとんど入国できない状態となり,経営的に大打撃を受けましたが,過去にも何度も国際情勢の影響等で留学生が激減するといった,経営努力ではどうにもならない外的な要因により経営が大きく左右されてきました。また,補助金などはなく,学生納付金だけで運営しており,ひとたび国際情勢での問題等外的要因が起きると経営は非常に厳しくなります。岡山外語学院では,説明させていただいた,この4つの事業を行っておりますが,1つ目の留学生の日本語教育が収益の9割以上を占めております。留学生の日本語教育以外の事業も,大学,専門学校,行政,企業,地方自治体等と連携しながらバランスよく展開していくことによって,外的要因に負けない体制を取っていきたいと思っております。そのためにも,今回の認定日本語教育機関法の成立により,留学生以外の国内での生活者,就労者への日本語教育に認定日本語教育機関を活用していただけること,そして,振興策を検討していただくことを心より期待しております。まずは,弊院も新制度の認定申請に向けてしっかりと準備を進めたいと思います。

 また,最後の2ページに,岡山外語学院の毎年作成している卒業文集から卒業生の文章を抜粋しておりますので,後ほど御一読いただければ幸いです。

 御清聴ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 森下様,御発表ありがとうございました。ただいまの御発表は,今村課長が説明してくださいました資料35ページの認定日本語教育機関と法務省告示機関との比較の中で,留学生に対する認定日本語教育機関の案と,就労生活への案が併記されていることの具体的な取組を私たちが知ることができたということだと思います。ありがとうございます。

 実は,既に当初の終了時刻を迎えておりますが,今の森下副理事長の御発表,そして今村課長の御発表について,質疑応答,意見交換の時間を取りたいと思っておりまして,お諮りいたします。少し延長よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【清原分科会長】 
 よろしくお願いいたします。そして,お仕事の関係で,この終了時刻で退席される方で御質問や御意見ありましたら,事務局までメールでお寄せいただければと思います。

 それでは,早速,御発言をお願いいたしますので,挙手ボタンと,会場の方は名札を挙げてください。まず,沖畑委員,御発言お願いします。

【沖畑委員】
 大変申し訳ございません,挙手ボタンをつけたままにしておりました。失礼いたしました。

【清原分科会長】
 そうですか。それでは,ほかの方で挙手ボタン,御質問,御意見ある方,付けていただきますのと,会場では,綿引委員,御発言お願いいたします。

【綿引委員】 
 2点ございます。1つは今村課長様,1つは岡山外語学院の方なのですけれど,頂いた資料の2ページで,教育委員会の教師数が6.2%という形で,ほかのカテゴリーに比べて低い率になっているわけですけれども,外国人児童生徒に対する日本語教育の推進としては,やはり教員の日本語教師としての資質の向上というのが極めて大事なのではないかなと。ここがうまくいかないと,不登校児童を生み出して,地域の中で溶け込んでいけないと,こういう可能性があるわけなのですけれども,海外の場合なんかではESLのクラスがあるわけですけれど,今後義務教育課程の中,それから幼児,高等教育の中でJSLのような展開をどういうふうにお考えになっているのかということをぜひ教えていただきたいというのが,今村課長様へ。

 もう1点は,岡山外語学院の皆さんで,とてもよく分かりました。ありがとうございます。1点御質問は,ページ5の中で,せっかく勉強された方の中で帰国が10%いらっしゃると。特に,学院のお立場で,就職も含めて,包摂的な社会,我々がつくろうとしている社会でこういうことが課題なのだとか,こういう問題があるのじゃないかというお気づきの点があれば,ぜひ,就職等の観点で一言教えていただければありがたいと思います。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,1点目の御質問,今村課長,お願いいたします。

【今村国語課長】 
 ありがとうございます。資料32ページ目にございます教育委員会の教師数なのですけれども,こちらには,すみません,説明が漏れてしまったのですけれども,学校の中で行われている生徒への支援につきまして,恐らく含まれていない数字でして,こちらはあくまで教育委員会が設置している地域の日本語教室といったようなことに従事されている講師の方の数というふうに御理解いただければというふうに思っております。

 御指摘いただきました就学時期の外国人の児童生徒に対する日本語教育,重要なのは言わずもがなだと思っておりますけれども,今般の教育機関認定法あるいは登録日本語教員制度施行後におきましては,そうした学校において,外国にルーツのある方への就学支援あるいは日本語の指導に対して,こういった登録教員の資格を持った方が参画をしていくということが期待をされておりますし,今回の法案審議の際にもそういったことをやっていく必要があるという指摘も頂いておりますので,そうした形で,積極的に連携を図っていくということが考えられるというふうに思っておりまして,私どもとしましても,今後教育委員会等に,そういったようなお話をさせていただきたいというふうに思っております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,森下副理事長,お願いします。

【森下副理事長】 
 ありがとうございます。「帰国」の対象の学生ですが,例えばもともと目的として日本の文化を学びに来るとか,趣味で来るという方が,その目的が達成されたので帰国するという学生が含まれております。また,日本語を学んで,帰国して母国の日系企業で働かれることを目的に来日したという学生は,習得後,帰国するわけですから「帰国」の対象となります。一方,海外の大学を卒業し,そして,私たちの学校で日本語を学んで日本で就職したいという希望の方で,技術,人文知識,国際業務,技人国と言われるビザを申請する際に,大学で何を勉強したかというところとの紐づけをかなり厳しく見られておりますので,そこがハードルになって,就職がうまくいかずに帰国する方もいらっしゃいました。徐々に要件を緩和していただいておりますが,留学生が日本で働きやすい制度設計の検討を引き続きお願いしたいと思っております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。綿引委員,いかがですか。

【綿引委員】 
 分かりました。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,萩原副分科会長,お願いします。

【萩原副分科会長】
 ありがとうございました。2 点あります。1 つは,文化庁の方の資料で,参考のところに書かれているように,日本語教師は圧倒的に非常勤の人たちが多い,ボランティアが多いということと,既に議論になっていますけれども,やはり非常に報酬が少ないというところも含めて,今後の大きな課題だと思います。

それから,教育の部分と生活面における日本語教育という点からの質問です。森下さんから具体的なお話がありましたが,大学との連携,教育機関との連携というところで,教育の現場で使われる日本語,「アカデミック・ジャパニーズ」をしっかりと対象者に教えていかなきゃいけないという部分があると思います。つまり,子供の場合,普通の日常生活に支障はないのだけれども,教科書の日本語が理解できないという問題があるということが私のゼミ生だった調査で明らかになっています。私自身も大学院生のときに,マレーシアの学生にチューターとして社会学の基礎用語を教えたりしていましたので,そういった専門性を持った日本語教師の育成というところは現在やっていらっしゃるのか,今後やる予定でいらっしゃるのか教えていただければと思います。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。森下副理事長,いかがでしょうか。

【森下副理事長】 
 教師養成の観点ということでよろしいでしょうか。私どもも日本語教師の養成講座をやっており,告示校で留学生を教える日本語教師ということを中心にやっておりますが,日本語教師養成段階で必要な基礎部分を一通り教えております。養成講座修了後,初任段階として文化庁で,就労者向け日本語教師研修,外国人児童向け日本語教師研修等分野別の研修を現在用意していただいております。来年からの認定制度で,養成講座も国に認めていただくような認定制度になる中では,そういった専門性を意識したカリキュラムも検討していく必要があるのではないかと思っております。

【清原分科会長】
 今の点について,この日本語教育を認定する際に,いわゆるアカデミックジャパニーズというキーワードが出てきましたが,それについては留学生の対応のところで反映されていますか。今村課長,いかがでしょうか。

【今村国語課長】 
 教育課程自体は全般的なものになりますので,留学生の中では,日本語教育として必要な要素として教育内容を分類しておりますので,アカデミックそのものというものは厳密には入っていないかと思います。ただ,今,森下副理事長から御紹介いただきましたとおり,登録日本語教員の制度の中で,登録時点は養成をきちんと終了したというレベルで,汎用的な,初歩的なレベル設定というふうにさせていただいているのですけれども,その後の日本語教員としてのキャリアパスの中で,専門性を文化発展させていただくものの1つとして,当然にそのアカデミックジャパニーズというものが含まれてくるというふうに思っておりまして,そちらは各業界での御努力も含めまして,これから設定されていくものかなというふうに期待をしているところでございます。

【清原分科会長】 
 1点目について,何かレスポンスありますか。日本語教師の処遇についての展望といいましょうか,いかがでしょうか。

【今村国語課長】 
 こちらも,今般の法律案の議論のときにも様々御指摘を頂いておりまして,現状は御指摘いただきましたとおり,非常勤の方も多い,それからボランティアの方も多いということになっております。告示機関あるいは大学ですと,常勤の方が3割程度というふうにお聞きしておりますし,地方公共団体で日本語教室を担当されている方は非常にボランティアの方が多いというふうにお聞きをしております。こちらの方,今後,認定制度が始まる,それから登録制度が始まるということで,まずはこうした日本語教育機関の体制なり,それを担われている教員の方の社会的な認知が,地位についての認知が上がっていくということをもって,まずは処遇の改善も含めた地位の向上が図られると。そこをまずは進めていきたいというふうに考えております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。ほかに御意見のある方はいらっしゃらないようでございますが,よろしいですか。オンラインの方も大丈夫でしょうか。

 それでは,本日も本当に熱心な御議論ありがとうございました。議題2につきましては,日本語教育機関の認定など,新たな制度がスタートすることになります。そこで,今後の生涯学習分科会における審議体制についても,これまでの文化庁での審議の状況などを学びながら適切に検討し対応していきたいと思いますので,よろしくお願いします。

 森下副理事長におかれましては,遠路ありがとうございました。

 本日も議題1,議題2につきまして熱心に御審議を頂きまして,12分過ぎてしまいましたが,ごめんください。これも皆様の熱心な御審議ということで,御寛容に受け止めていただければと思います。

 事務局から,今後の審議スケジュールについて御紹介ください。

【粟津生涯学習推進課専門官】
 資料5を御覧ください。今後の審議スケジュール,次回の開催日程は来年216日金曜日,14時から16時を予定しております。近日中に,これ以降の日程調整もさせていただければと存じます。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。本日は,第1の議題について関口様,河端様,梅田様にお加わりいただき,そして第2の議題については森下様にお加わりいただきまして,現場の実践に基づく審議がよりよくできたのではないかと思っています。気がつけば,暖かいとはいえ12月でございます。次回は来年ということでございます。どうぞ皆様,寒暖差の激しいこの頃,くれぐれも御自愛いただきまして,元気で新年の生涯学習分科会でお目にかかりたいと思います。

 それでは,長時間の御審議,誠にありがとうございました。閉会いたします。よいお年をお迎えください。

 

―― 了 ――

 

 

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