生涯学習分科会(第124回) 議事録

1.日時

令和5年4月19日(水曜日)14時00分から16時00分

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 分科会長の選任について<非公開>
  2. 生涯学習分科会の運営について<非公開>
  3. 第11期生涯学習分科会における審議の状況について
  4. 生涯学習分科会における部会の設置について
  5. 今期の審議に関する意見交換
  6. その他

4.出席者

委員

(分科会長) 清原分科会長
(副分科会長) 萩原副分科会長,牧野副分科会長
(委員)内田委員,金田委員,清水委員
(臨時委員)熱田委員,大久保委員,大平委員,沖畑委員,金子委員,小路委員,古賀委員,澤野委員,関委員,辻委員,野田委員,野津委員,松本委員,山内委員,綿引委員

文部科学省

(事務局)藤江総合教育政策局長,里見大臣官房審議官,森友社会教育振興総括官,黄地地域学習推進課長,神山生涯学習推進課長,西リカレント教育・民間教育振興室長 他

5.議事録

(1)事務局より,挨拶が行われた。
(2)事務局より,各委員の紹介が行われた。
(3)委員の互選により,第12期分科会長に清原委員が選任された。副分科会長については,清原分科会長から萩原委員及び牧野委員の指名があった。
(4)生涯学習分科会運営規則について了承された。
 
【清原分科会長】 
 それではただいまより,会議を公開とさせていただきます。
 初めに,事務的な連絡でございます。報道関係者から事前に録画,録音の希望を頂いておりました。
先ほど決定いたしました分科会の運営規則に基づき,報道関係者による録画,録音を許可いたしますので,お知らせいたします。
 それでは改めまして,皆様に御挨拶をさせていただきます。今期第12期の生涯学習分科会長に選任され,就任をいたしました,杏林大学客員教授,前東京都三鷹市長の清原慶子です。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず私から一言,皆様に御挨拶をさせていただきます。
 第12期中央教育審議会生涯学習分科会は,本当に幅広い分野から委員の皆様が参集をされていらっしゃいます。そこでまず,1番目に申し上げたいのは,委員の皆様が,それぞれの御知見,御経験,そして御洞察による活発な意見交換を行っていきたいと思います。
 皆様とのチームワークによりまして,初めて委員になられた方も,かねてより委員をお務めの方も,目標を共有しつつ,御一緒に,今の,そして未来の生涯学習・社会教育の政策について,提案をしていきたいと思います。
 2点目です。人は生涯にわたって,知りたい,学びたい,よくなりたいと思って生きていると言われています。けれども,長引くコロナ禍の中で,なかなか厳しいこれまでの状況がありました。
 ぜひ,生涯学習分科会においては,学ぶ当事者,そして学ぶ皆様の環境整備,条件整備に取り組んでいらっしゃる多様な主体の皆様が,前向きに活発な御活動をしていただくような,そんな力になればと思っています。
 生涯学習・社会教育の行政は,教育委員会だけが進めるものではありません。国も文部科学省だけが進めるものでもないでしょう。
 今日は,現職の市長さんもいらっしゃいますし,教育長もいらっしゃいますし,現場の公民館で頑張っていらっしゃる方もいらっしゃいますし,企業やあるいは民間の取組,そして各教育機関で活躍されている方も委員としていらっしゃいます。
 ぜひ,学ぶ当事者,そして現場の皆様の視点に立った取組を御一緒にしていきたいと思います。
 冒頭のあいさつの結びとして皆様との共有でございますが,ぜひ御一緒に,この任期,表現はよくないのかもしれませんが,お一人おひとりが楽しく審議に参加できるような,そんな取組を総合教育政策局長の藤江局長をはじめ,事務局の皆様のお力を頂いて進めていきたいと思います。
 ぜひ皆様,明るい未来を,厳しい現実を見つめながら,創造していきましょう。今後ともよろしくお願いいたします。
 それでは次に,副分科会長に指名をさせていただきました,萩原委員と牧野委員からも一言ずつお願いいたします。
 それでは萩原委員,お願いいたします。

【萩原副分科会長】 
 皆様,こんにちは。12期副分科会長に選任していただきました,国立女性教育会館の萩原なつ子です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今,清原会長からも,楽しく,みんな一人一人が議論しやすいような環境をつくっていきたい,そういう場にしていきたいという話がありました。
 清原分科会長,そして牧野副分科会長とともに,円滑で楽しい議論が進めるような,そういった会議ができるように補佐をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,牧野副分科会長お願いいたします。

【牧野副分科会長】 
 皆さん,こんにちは。東大の牧野です。よろしくお願いいたします。前期に続いて,副分科会長を指名されました。担当いたします。よろしくお願いいたします。
 いま,楽しくというふうに,清原分科会長がおっしゃいましたけれども,私はもう今回で5期目ですけれども,この生涯学習分科会はずっと,皆さん活発に,楽しそうに話をされるので,私は心配をしておりません。特に清原分科会長のお人柄もあるのでしょうけれども,とても和気あいあいと,いろいろな意見が出されますので,私も,清原分科会長の手のひらの上で転がされるように,話ができればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
2人の副分科会長にお支えいただき,委員の皆様と,本当に率直な,建設的な審議をしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは事務局を代表いたしまして,文部科学省総合教育政策局長の藤江陽子局長から御挨拶をお願いいたします。

【藤江総合教育政策局長】 
 ありがとうございます。皆さんに聞こえますでしょうか。
 それでは,総合教育政策局長をしております藤江と申します。皆様,本日ハイブリッドでの開催とさせていただきましたけれども,大変お忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日は第12期の分科会の最初の会ということでございますので,事務局を代表して一言御挨拶をさせていただきます。
 まずは本当にお忙しい中,今期,委員をお引き受けいただきましたことを心より御礼申し上げます。
 前期から引き続いて委員をしていただいている方々もいらっしゃいますけれども,前期の第11期では,議論の整理というノートをお取りまとめいただいたのです。その中で,全ての人のウェルビーイングを実現する,共に学び,支え合う生涯学習社会教育に向けてということで,今後の生涯学習・社会教育の振興の在り方,大きな方向性とともに,多岐にわたる御提言を頂いたところでございます。
 また,その後はその議論の整理を基に,振興方策の具体策と,その工程についても,大変熱い議論をしていただいたところでございます。
 今期におきましても,引き続き御議論いただく部分もあるかと思いますが,文部科学省といたしましては,それらを受けた実現に,もう歩みが始まったのだなというふうに,皆様方に実感していただけるように,できるところから早期に取り組んでまいりたいと思いますので,先生方からも叱咤激励していただければと思っております。
 今,リカレント教育やリスキリング教育といったことの必要性も大きな関心を集めておりますし,人生の100年時代,そしてSociety5.0時代ということで,その中で誰一人として取り残されることなく,生きがいを感じることができる,そしてウェルビーイングを実現することのできる社会を目指すために,生涯学習・社会教育の果たす役割ということはますます重要になってきているということで,いろいろな関係機関や関係者がつながって,共同して一体として取り組むということが求められているということを痛感しているところでございます。
 今期も,分科会長からもお話しいただきましたけれども,様々な分野において活躍され,また御知見を有する皆様に御参画いただいておりますので,幅広い観点から,今後の生涯学習の在り方についてお力添えを頂きますよう,心よりお願い申し上げます。
 今期の皆様の楽しく,かつ活発な御議論を踏まえながら,我々といたしましても生涯学習・社会教育を着実に前進させていきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。藤江局長におかれましては,「できることから早期に」ということも言っていただきましたので,私たちの審議のプロセスの中で,ぜひ具体化していただけるものも多く提案していきたいと思います。力強い御挨拶ありがとうございます。
 それでは,議題3に移ります。今回は,第12期の初回ということもありますので,第11期生涯学習分科会の審議の状況について,事務局より御説明をお願いいたします。
 その後,次の議題に移りまして,さらに議題5では,今期の審議の方向性について,今日御出席の委員の皆様全員から,一言ずつ御発言を頂きたいと思っています。
 その前段階として,初めて委員に就任していただいた方もいらっしゃいますので,第11期生涯学習分科会の審議の状況について,まず事務局より御説明を頂き,共有させていただきます。
 それでは,神山課長よろしくお願いいたします。

【神山生涯学習推進課長】 
 生涯学習推進課長の神山でございます。私から,資料の3と,それから参考資料の3-1や参考資料の4に基づいて,第11期の審議の状況について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず資料の3を御覧いただきますと,最初の1ポツのところで書かれておりますように,昨年,令和4年の8月に,分科会の「議論の整理」というのを取りまとめていただいてございます。
 その内容を踏まえまして,特に社会教育の人材と社会教育施設の振興方策について,御議論を重ねていただきまして,後ほど御説明をする今後の生涯学習・社会教育の振興方策,その重点事項や具体策について審議を行っていただいた訳でございます。
 ここから先は,もう少し具体的な資料が参考資料の3-1と参考資料の4にございますので,参考資料の3-1を御覧いただきたいと思います。
 こちらが昨年8月にまとめた「議論の整理」の概要を示したものになってございます。
 参考資料3-1の副題のところを御覧いただければと思いますが,副題では,「全てのウェルビーイングを実現する,共に学び支えあう生涯学習・社会教育に向けて」ということで,その大きな方向性,御提言を頂いております。
 ブルーの最初の1のところに書いていますように,現状認識といたしまして,「つながり」が希薄化している世の中で,誰一人取り残さない社会的な包摂と,その実現を支える地域コミュニティが一層重要になっているといったこと。
 それから,人への投資の充実やデジタル社会の進展への対応を求められているという中で,社会人の学び直しやデジタルリテラシーの向上といったことが求められているといった現状認識から,議論をしてございました。
 2のところ,オレンジのところにございますのが,生涯学習・社会教育が果たし得る役割ということで,これまでも生涯学習は自己実現を図るための役割を果たしたり,社会教育が持続的な地域コミュニティを支える基盤としての役割というのを果たしてきたわけですけれども,人生100年時代,あるいはVUCAの時代ということで,さらに4つほど,その役割が大事だということを御指摘いただいてございます。
 4つの中の最初は,ウェルビーイングの実現ということで,中教審全体の中でも掲げられている理念でございますけれども,個人の幸せと周囲の場のよい状態というものを継続的に維持していく,実現していくということで,生涯学習を通じた個人の成長と持続的な地域コミュニティを支える社会教育というのは,まさにウェルビーイングと密接不可分なものだということでございます。
 また,その下にございますように,社会的包摂の実現ということで,誰一人取り残すことのないように学習機会が提供できるようにすると。またデジタル社会に対応したリテラシーの向上を目指すといったこと。そしてそれらを支えるものとして,地域コミュニティの基盤をつくるために,共に学び合うような社会教育を行っていくことが,地域コミュニティの基盤を安定させていくのだということをその役割として,再認識をしたわけでございます。
 そして,それに基づきまして,下の緑色の3のところにございます,今後の生涯学習・社会教育の振興方策につきまして,5つの大きな柱でお示しを頂いてございます。
 1つ目が,公民館等の社会教育施設の機能を強化するということ。そして2つ目が,社会教育人材の養成と活躍機会の充実,拡充ということでございます。
 そして3つ目が,地域と学校の連携・協働の推進ということで,コミュニティ・スクールなどについての御提言を頂いてございます。
 また4つ目が,リカレント教育の推進,それから5つ目として,多様な障害に対応した生涯学習の推進という,5つの項目について,振興方策を御提示いただいてございます。
 さらに,この中の最初の2つ,社会教育施設の機能強化や,社会教育人材の養成,活躍機会の拡充について,後ほど御覧いただく資料の4に沿った形で,より重点事項や具体的な事項について御審議を頂いておりますので,恐らくこの期におきましても,まずは,こうした部分についての引き続きの議論ということでございますけれども,さらにはそのほかの議題,学校との連携やリカレント教育といったこと,あるいは障害に対応した生涯学習の推進といったことについても,御議論を頂くことにはなろうかなと思ってございます。
 先ほど申し上げた,特に御議論いただいたものが,参考資料の4にまとめてございますので,そちらを御覧いただきたいと思います。
 1枚おめくりいただきますと,最初に,これまでの議論,あるいは教育振興基本計画やほかの理念との関係をお示ししてございまして,真ん中にございますように,ウェルビーイングの実現という大きな目標の中で,共に学び支え合う生涯学習・社会教育と,またその両脇に,社会的包摂の実現と地域コミュニティの基盤,そしてそれを支えるデジタル社会への対応といった理念を示した上で,それを実現していくために,生活を支えるリテラシーの向上や,地域づくりを支える社会教育の実現というのを,一番下に書いていますように,社会教育人材や施設が連携して,地域の学びと実践のプラットフォームとしての役割を,社会教育が,人材・施設が連携しながら果たしていく必要があるといった理念を示してございます。
 次のペーパーでは,今申し上げたような,生活を支えるリテラシーの向上,具体的にはデジタルリテラシーについて公民館で学ぶですとか,あるいはリアルにつながる場を公民館で提供するといったこと。
 あるいは地域づくりを支える社会教育の実現という意味では,社会教育に限らず,地域づくり部局などの首長部局さんとのタイアップをしていくことや,住民の主体的な参加や多世代の参画を推進していくといったことを掲げておりまして,それを地域の学びと実践プラットフォームという形で社会教育の人材・施設が支えていくと,実現していくというような体制を構築していこうということを掲げております。
 さらにその下のところ,期待される効果というところでは,社会教育の枠を超えて,例えば左の1のところにございますように,全ての国民がデジタルの恩恵を受けられるようにする,あるいは2つ目にありますように,各地域での住みやすさや住民満足度などのウェルビーイングが向上する。さらには3つ目として,まちづくりや福祉などの行政施策などの面でも好影響があると,そういった役割を社会教育などが担っていく必要があるということを示してございます。
 その次のページでは,実際に公民館や社会教育の人材がネットワーク化をして,いろいろな形でお役に立つという具体的なイメージを,地域づくりに役立つ社会教育のイメージを絵にしたものになってございます。
 さらにその次のページを御覧いただきますと,その中で,具体的な現状の課題とそれを踏まえた重点事項を示してございまして,例えば課題といたしましては,課題の1として,社会教育人材というのがどこに,どんな人がいるのか分からないといったような課題があると考えてございます。
 また下の方,課題の7のところを御覧いただきますと,社会教育人材としての社会教育士などになるための講習を,仕事をしながら受けるといったのはなかなか難しいといった課題もございました。
 こうした課題を踏まえまして,右側に書いていますような重点事項ということで,社会教育の人材をネットワーク化して,組織的に活躍ができるようにする必要があるですとか,講習や研修を充実していくとともに,社会教育分野できちんと人材を配置したり確保したりするのと併せて,地域振興分野など関係部局でも人材を確保していくと。
 そのためにも,最後にございます講習の機会の拡大,オンライン化などを通じて受講機会を拡大していくことが大事だといった重点事項を示してございます。
 その次のページは,それをさらに具体化したものなので飛ばせていただきまして,その次のページ,また絵になっている,地域の学びと実践プラットフォームの,関係組織や住民との連携図というのを御覧いただければと思います。
 こちらでは,先ほどと同じように,真ん中に公民館など,あるいは社会教育人材などを中心としたプラットフォームというのが位置づいておりますが,左側のところでは,他の行政施策・部局とも連携をして,例えば地域運営組織といった総務省などでの取組,あるいは,農村RMOなどといって農水省さんが推進をしていらっしゃる取組,あるいは厚生労働省さんの取組などとも連携をしていくといったことや,右側には,地域住民がもっと公民館にも参画をして,運営にも参画していただくといったことや,民間企業やNPOとの連携,また学校との連携も進めていくといった,そのイメージ図を掲げてございます。
 その次のページを御覧いただきますと,課題が幾つかあるわけですけれども,特にそれを踏まえての重点事項を3つほど挙げてございまして,先ほど申し上げたように,他の行政機関や部局と連携して,多様な住民のニーズに応えていこうと。あるいは地域との連携推進と,みんなが地域づくりに主導的に関わるようにしようと。
 そしてそれを支えるための場としての,学びと実践の場としての社会教育施設の機能強化を図っていこうということを重点課題として挙げてございます。
 その次のページでは,それをより具体化しておりますけれども,一番下の横断的事項というところだけ御紹介を申し上げますと,例えば公民館に関する基準において,いろいろ役割を明示することを考えたり,毎年度やっております優良公民館の表彰などでも重点分野を明示してやっていく。あるいは自治体さんを御支援申し上げるときに,課題の解決事例などを参考に,自治体の取組が進むようなアドバイスをするために,社会教育マイスターといった人を任命するような形で支援をしていくといったことも,具体策としてお示しいただいてございます。
 こうした特に重点的に取り組むべき事項というのをお示しいただいた上で,さらにそれを具体的にどう進めるのかというのをまとめた資料が,その先のページになってございます。
 ここから1枚おめくりを頂きますと,それぞれのページの上半分に,先ほど申し上げたような具体的な施策というのがありまして,ページの下半分のところで,その工程表のような形で,スケジュール感を入れさせていただいてございます。
 全部は申し上げられませんけれども,特に下の工程表の中の青い線になっているところは,ここでは生涯学習分科会のワーキンググループにて継続検討を行う事項と書かせていただいておりますが,本日後ほど,部会の設置について御審議いただくことになろうと思いますけれども,その部会で議論を頂くようなことを,ブルーの矢印で示しておるということでございます。
 このページでいきますと,ネットワーク化については,今年度そのやり方について,事務的にも検討した上で,来年度に向けて構築し,展開をしていくといったことを書いてございますし,ブルーの矢印のところという意味では,社会教育主事の講習や修了証書の在り方などは,部会でも御議論いただくような流れになってございます。
 次のページでは,同じく下のブルーの矢印を御覧いただきますと,御議論いただく中身として,社会教育主事の講習や研修の内容の見直しについて,特に今年度,来年度にかけて議論を頂くと。
 また,2枚飛ばして,右下のページで5ページと書いているところまで飛んでいただきますと,またこちらでブルーの矢印がございまして,受講者のライフプランやニーズに応じたコースの設置ですとか,受講定員を拡大する話,あるいは受講者が負担なく受けられるように,科目代替などを認めてはどうかといったことも御議論いただく予定でございます。
 また6ページ,次のページに参りますと,上にございます社会教育人材に関する専門的な議論や,講習の名称などについても部会で御議論いただくということにしてございます。
 ここまでのところが人材の関係,次のページからが施設の関係でございますが,これは具体策のところにございますように,首長部局さんとの連携の話なども議論をしていく必要があると考えてございます。
 次のページのところを御覧いただきますと,具体策として,住民の意向をどう反映していくか,あるいは営利活動に関する規定をしっかりと明確にして,民間企業などとも連携がしやすいようにするといったことにも触れてございます。
 またその次のページでは,コミュニティ・スクール,学校などとの連携の話についてお示しをしてございます。
 またその次のページ,10ページ目を御覧いただきますと,下の方またブルーの矢印がございまして,研修の中身,社会教育主事講習の中身として,現代的な課題などについても御議論いただくということでございます。
 それから,次1つページを飛ばしまして,最後のページに参りますと,先ほど御紹介を申し上げました公民館の設置基準や表彰の話,あるいはマイスターの話についても,工程をお示しした上で進めていくというような内容になってございます。
 長くなりましたが,私からは以上でございます。

【清原分科会長】 
 御説明ありがとうございます。第11期生涯学習分科会における審議の状況について,資料3,参考資料等を共有して説明していただきました。
 議題5で,第12期の審議について御意見を頂く時に,今の説明を御参考にしていただければと思いますが,ここで特段,御質問や御意見はございませんか。大丈夫でしょうか。最後の御意見のところに含めていただくことでよろしいですかね。
 ありがとうございます。それでは,皆様の御意見や今期への展望については議題5でお話をしていただきますが,まずその前に,議題4といたしまして,今期生涯学習分科会における部会の設置について,御審議を頂きます。
 今回は,第12期生涯学習分科会の発足に当たりまして,その審議体制及び部会の設置について,第11期の審議を踏まえて,事務局で御検討され,御提案があるということでございます。そこでまず,その説明をお伺いしたいと思います。
 それでは,これにつきましても,神山課長から御説明をお願いいたします。

【神山生涯学習推進課長】 
 神山でございます。資料の4-1と4-2にしたがって御説明いたします。
 まず資料の4-1を御覧いただきますと,生涯学習分科会の下に,社会教育人材部会という部会を設けまして,先ほど御説明しましたような課題のうち,特に社会教育人材に関する事項について御議論いただくという体制にさせていただきたいと考えてございます。
 具体的な検討事項につきましては,先ほども申しましたように,社会教育主事や社会教育士の役割,あるいは講習や研修の見直し,受講要件の緩和や明確化,科目代替の話や修了証の在り方,また定員の拡大などについて,御議論いただければと思ってございます。
 また資料の4-2を御覧いただきますと,最後にございますように,設置期間としましては,今期の中教審の末日になります令和7年の3月9日まで設置をするという形で考えてございます。
 私からは以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。前期も生涯学習・社会教育を学習者本位で進めていく上で,社会教育・生涯学習に関わる人材の重要性が共有されました。
 中でも,社会教育主事の養成,そして資格に加えて,社会教育士については,称号となっているところ,これについてのよりよい在り方についても検討をしてほしいというような,審議の取りまとめをしたところでございます。
 そこで,それを受け止めていただきまして,社会教育人材部会の設置の提案がございました。このことにつきまして,ぜひ皆様から御意見を頂きたいと思います。
 オンラインの方は挙手ボタンを押してください。会場の委員は,ネームプレートを立てていただくと助かります。
 どなたからでも,どうぞ。オンラインの方で御意見ある方いらっしゃいませんか。いかがでしょうか。挙手ボタンを押してください。
 現時点ないようですが,会場ではいかがでしょうか。
 それでは,牧野委員お願いいたします。

【牧野副分科会長】 
 失礼いたします,牧野です。私はぜひ,この部会を設置していただきたいと考えております。
 理由ですけれども,まず第11期の議論でウェルビーイング,それから共に学び支え合うということが掲げられて,先ほどの御説明にもありましたけれども,重点項目が出されました。
 そしてそこの議論の基調は何かといいますと,社会教育が社会基盤をつくっていく。もっと言えば,人々の学びを組織しつつ,ある意味,人々の関係を耕し続けていくということ。その意味では,なくてはならないものであるという議論ができたのではないかとも思っております。
 そのときに,社会教育人材といいますか,専門職の在り方をもう一度きっちりと検討をして,社会教育をもっと展開していくといいますか,さらには公民館等の施設ももっと活用しつつ,人生100年を生き抜いていけるような社会の基盤をつくる必要があるという議論をしたのだと思います。
 その意味で改めて,現在,専門職として,社会教育主事という資格を検討する必要が出てきています。社会教育主事に任用され得る資格があるわけですけれども,大学等でも課程があって養成をしておりますし,さらには文科省の委託事業として社会教育の主事講習が行われておりますけれども,これも実は,社会教育主事に任用される方がとても少なくなってきているのです。
 その理由としては,法律上は必置規定があるわけですけれども,罰則規定がなかったり,また地方分権一括法案など,地方分権に関わるいろいろな議論の中で,派遣主事と言われている方々の設置が,特に基礎自治体で減ってきているということもありまして,なかなか専門職としての主事に任用されて,就職することができないということが問題でした。
 それに対して,コミュニティ・スクール等の提案が出てくる頃に,もう一度見直しをしようということで議論がなされて,社会教育主事の資格は残すのだけれども,専門職として,もっと現場に入って,人々の間で学びを組織していくオーガナイザーとしての役割を果たしていただけないかということで,社会教育主事に任用されないと主事と言えないものですから,社会教育主事課程や主事講習修了者に称号を付与しましょうということになって,社会教育士という称号が,文科省令の改正で授与されることになったということです。
 さらにはそれに伴って,養成課程においても,科目を少し組み替えるということと,さらに実習が入ってくるという形で,より現場に近く入っていけるような人材育成という形で組み替えられた経緯があります。
 そして実際に,たしか2020年度からだと思いますけれども,社会教育士の称号の授与が始まりますと,2年間で約2,500名の方が,社会教育士の称号を取られているということで,とても社会的には需要が高いものになってきたのではないかとも考えております。
 そのようなことも含めまして,もう一度改めて,社会教育人材と呼んでいますけれども,社会教育の専門職としての在り方を検討して,きっちりと資格要件,さらに受講要件など様々整えて,きっちりと制度化する必要があるのではないかと考えております。
 長くなりましたけれども,以上の意味で今回のこの部会の設置はぜひともお願いしたいと考えております。以上です。

【清原分科会長】 
 牧野委員ありがとうございます。部会設置の意義について,前期の問題意識,そして審議の経過を踏まえて御説明していただき,ありがとうございます。
 それでは関委員,御発言をお願いします。

【関委員】
 関でございます。ありがとうございます。
先ほどの牧野委員と全く同感です。今,社会教育士というのが 2 年間に 2,500 人。もう多分,今,令和 4 年も含めて言えば,もう 3,000 名以上の社会教育士が生まれていると思うのですけれども,その社会教育士が果たして何をやったらいいかというところがなかなか見えてこない。
せっかく頑張って講習を受けても,そのままの状態で,いつの間にか思いがしぼんでしまうという状況は,絶対に避けなければいけないかなと思っております。
同時に,今いろいろな資格を持った人材が社会の中に入ると思います。防災であれば防災士のような方がいて,あるいは図書館には司書がいて,そして社会福祉の面でいえば社会福祉士のような人材がおられます。
そういった人と,どのような連携が取れるかによって,まちづくり,社会教育が進んでいくかということも併せて,検討をもっと深めていけばいいのかなと思っております。
ぜひ,こういった部会の中で,そういった議論がなされることを期待いたしております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。牧野委員,関委員からは,社会教育における人材の意義というものを改めて,社会教育主事,社会教育士という現行のものを含めて検討する意義があるのではないかという趣旨の御発言を頂きました。
 ほかに皆様。辻委員,お願いいたします。続いて綿引委員お願いいたします。

【辻委員】 
 オンラインの参加で失礼しております。名古屋大学の辻でございます。
 私もこの部会を設置するということは賛成でございますけれども,少しお願いしたいことがあって,発言をさせていただいています。
 私,実は20年ほど,社会福祉学部に勤めておりました。社会福祉では御案内のように,社会福祉士や介護福祉士という国家資格がございますけれども,それをめぐって,社会福祉学校連盟というところや,それから社会福祉士会という職能団体や,それから社会福祉系の学会ですね,そこと厚生労働省が,常にこう意見をすり合わせているというのを20年間見てまいりました。
 今回,ここまで具体的に部会を設けていくということであれば,社会教育の場合も,まだまだ組織は小さいと思いますけれども,社会教育職員養成連絡協議会や社会教育士会,それから社会教育や生涯教育の学会もございますので,そういうところと意見をすり合わせていただければと思います。
 それをこの部会のメンバーが懇談するのがいいのか,事務局の方が懇談するのがいいのかというのはいろいろ御判断もあると思うのですけれども,ぜひそういう機会を持ちながら審議を深めていただければと思います。以上です。

【清原分科会長】 
 辻委員,大変重要な御提案,問題提起ありがとうございます。ぜひ部会の皆様に,そういった社会福祉の領域で進んでいるようなことからも学びながら,検討していただければと思います。
 それでは綿引委員,どうぞ御発言ください。
 どうぞ,ミュートを解除して御発言お願いいたします。
 綿引委員,どうぞ御発言ください。

【綿引委員】 
 聞こえますでしょうか。

【清原分科会長】 
 はい,聞こえました。よろしくお願いいたします。

【綿引委員】 
 今回初めて参加しております綿引でございます。ピントがずれておりましたらお許しくださいませ。
 私は今,辻委員がおっしゃったことと非常に近いゾーンでございますけれども,社会教育人材部会の設置については,大賛成でございます。
 またこの中の具体的な検討事項案のところにも書き込んでいただいておりますけれども,他機関との連携促進ということが書かれております。また11回の議論の整理のペーパーを読ませていただいても,他省庁との連携を強化するということが書き込まれております。
 サーキュラーエコノミーの観点からいっても,生涯学習と地域の活性化ということは,背中合わせの問題でございます。教育は必ず中心にあるテーマではありますけれども,教育の問題だけを解決しても,地域の活性化,サーキュラーエコノミーは実現しないので,関係省庁との関係性の在り方,社会教育士とコーディネーターとの連携の在り方,こういったテーマに深掘りしてぜひ検討を進めていただけるとありがたいと,そのように考えているところでございます。以上でございます。

【清原分科会長】 
 綿引委員,ありがとうございます。前期も,厚生労働省,農林水産省,総務省の方にも報告に来ていただきまして,私たちも他省の取組と密接な関係が社会教育分野にはあるということを確認したところですので,ぜひ引き続き,そのような連携の視点,共有の視点を部会でも積極的に検討していただければと思います。
 以上,今4名の方から御発言いただきましたが,いずれも社会教育人材部会の設置については賛同の御意見でございました。
 それでは,全ての委員の皆様にお諮りいたします。第12期の生涯学習分科会では,事務局から御説明のありました社会教育人材部会を設置して審議を進めていくことでよろしいでしょうか。
 うなずいていただくか,拍手をしていただきますようにお願いいたします。

( 拍手 )

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,皆様の御異議がないようでございます。社会教育人材部会を設置して専門的な審議を進めていただき,適宜,分科会に御報告を頂きまして,部会の委員でない生涯学習分科会の委員の皆様にも御参画を頂いて,審議内容を深めていきたいと思います。
 なお,中央教育審議会令第5条第6項に基づきますと,部会に属すべき委員は,分科会長が指名することとなっております。責任重大でございます。
 そこで,ただいま部会の設置が決まりましたので,私はこれから鋭意,事務局にもお知恵を借りながら選任いたしますので,生涯学習分科会に加えて,生涯学習分科会の委員にもぜひ,部会の委員を3名から4名,場合によっては5名程度お引き受けいただくことになるかもしれません。
 どうぞ審議に御協力を頂きたいと思いますので,お願いが参りましたら,可能な限り御快諾いただければとお願いを申し上げます。
 それでは,事務局もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは続きまして,3時になりましたので,あと1時間の時間しかありませんが,今期,生涯学習分科会の委員を引き受けいただきました皆様に,ぜひ,議題の5については,全員御発言を頂きたいと思っています。
 本日が第12期の生涯学習分科会の審議のスタートでございます。
 ただいま,いろいろ,これまでの検討については,資料を御説明いただきました。けれども,その資料に基づいてだけではなくて,この資料にとらわれず,あるいは資料を発展的に展開しながら,第12期に御一緒に審議すべきと考えられる事項について,御自由に御意見を頂きたいと思います。
 ただ1時間しかございませんので,お一人2,3分で,3分上限ということになってしまいます。それを御配慮いただきまして,資料1の名簿の順で,そして副分科会長につきましては最後にまとめて御発言いただきます。それではまず,五十音順で恐縮でございます。この資料の1の名簿順です。内田由紀子委員からお願いいたします。

【内田委員】 
 改めまして,初めての方もいらっしゃると思いますが,京都大学の内田と申します。今日はオンラインにて失礼させていただいております。
 私,11期の頃からこちらの分科会に参加させていただきまして,また教育振興基本計画にも参画をさせていただきまして,主にウェルビーイングに関するところで,概念整理であるとか,どのように測定をしていくのがよいのかといったことに関しての発言をさせていただいておりました。
 私自身の専門は文化心理学と呼ばれる分野で,比較文化の知見を通して心の状態などを理解していくというようなことが私の専門分野になるのですけれども,特にウェルビーイングということは,今非常に社会的にも,そして国際的にも大変注目をされている概念だと思います。
 これについては,第11期の時から,ウェルビーイングというのが片仮名語であるということもあり,どのように理解をすればよいのかというような概念の整理というのを随分してきたと思います。
 そうではありますけれども,概念というのは,一度つくったからそれに縛られるということではなくて,その時その時に応じて必要であるというものをきちんと加えて,包括的に議論をしていくということが非常に重要ではないかと考えておりますので,この12期においても,生涯学習というものを通して,どのように私たちがウェルビーイングを実現したいのか,また実現したいウェルビーイングとはどのようなことなのかということを,皆様と一緒に考えていくことができればと思っております。
 今回の生涯学習という中で,私自身が非常に注目をしているというか,これからも取り組んでいけるといいなと思っているのが,自治会や公民館,あるいは様々なデジタルトランスフォーメーションが起こっていく中で,様々な年齢層,あるいは社会的な状況に置かれた方々が,共に学び合うということをいかにつくっていくのかという,そういうプラットフォームづくりではないのかなと思っています。
 具体的に言うと,生涯学習であるからこそ,学びの場は縛られるものではなくて,いろいろなところに学びの場を設定することができるし,また一方的な学びの受け手となるだけではなくて,学びの与え手にもなるというか,自分が何か持てる知識をほかの人に共有をするということを通じて,また自分の中で新たな学びを得るというようなプロセスも存在するのではないかと思っています。
 ウェルビーイングの中で大事なのは,ウェルビーイングのために,誰かに何かしてほしいということを求めるというのももちろんそうですけれども,むしろ一人一人が,自分が活躍したり,生きがいを感じられるような場といかに関われるのか,そういう場がいかにきちんと社会の中に存在することができるのかという,ウェルビーイングを作り出すアクターとしての,主体的な一人一人というのを実現していくことが,実は大切なのではないかと思っています。
 そういう意味で生涯学習というのはまさにウェルビーイングを支えるものだと思いますし,そのための場の設計というものをこれからこちらの分科会の中でもきちんと捉えて,検討していけるとよいのではないかと思っておりますので,今後ともいろいろな先生方との議論も楽しみしておりますし,清原先生におっしゃっていただいたように,楽しく,この会議というものを,一人一人がまさにウェルビーイングな状態で関わっていければと思っておりますので,今後ともどうぞよろしくお願いします。

【清原分科会長】
 ありがとうございます。ウェルビーイングのアクターは,地域の学びと実践のプラットフォームから生まれるという方向だと思います。ありがとうございます。
 それでは金田委員,お願いいたします。

【金田委員】 
 皆様,こんにちは。日本PTA全国協議会会長の金田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。清水前会長の後,今期から参加させていただきます。
 
 生涯学習・社会教育ということに関して,日本PTAとしても,社会教育関係団体という位置づけの中で,長い間活動してきました。この社会教育士に関して非常にPTAとしては興味深く,また数年前から,このような話を研修や情報提供をPTAの会議などでも実はさせていただいております。
 PTAとして学校に関わっていた時には難しくても,その後お子さんが成長して,少し手が離れた後にこういうような形で,学校と連携をしながら地域の中で活躍していくという役割もあります。社会教育士を取り,地域に還元してといった話もさせていただいております。
 まだこれは構想段階ですが,社会教育士について,PTAの中でも学びを進めていくことも必要なのかなと感じています。
 生涯学習ということは,どの世代を思い描きながら生涯学習を語っているのかは,多分人それぞれ違うのだろうなと思います。私もそうですし子供たちを見てもそうですが,子供の頃に経験したものが大人になってそのまま自分の趣味になったり,そこから発展させて,生涯学習につながるというようなものは非常に多いと思います。私はPTAとして,子供たちにたくさん様々な経験をさせたいと考えています。
 特に,より本物であったりというような経験をさせたいなという思いで,PTAの諸活動をやっております。
 また,社会教育関係団体であるPTAが,様々なつながりの中で, 新しい学びというと変ですが,趣味やサークルを通して自分から新しいコミュニティに飛び込むというようなことも,実はPTAとして大きな役割の一つであったりするのかなと思います。社会教育や生涯学習を推進していく中では,そのようなつながりのコミュニティをたくさん増やしていくことは非常に大事なことと思っております。
 非常に幅広い内容ですので,ぜひ一つずつ丁寧に審議,議論をしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。PTAと社会教育士が密接な関係を持って,「こどもまんなか」の取組をしていただくことを期待しています。
 それでは清水委員,お願いいたします。

【清水委員】 
 ありがとうございます。学校法人武蔵野東学園の清水でございます。私は今期より,生涯学習分科会に参加させていただきます。前期は,教育振興基本計画の部会で参加させていただいておりました。
 私どもの学園は今現在,幼稚園2つ,小学校,中学校,そして専修学校の高等課程,高等専修学校,今現在,下は3歳から18歳まで,1,600人の園児,児童,生徒が学んでおります。
 ほかの学校と違うところは,今現在この1,600人弱の園児,児童,生徒のうち,約500人が発達障害の子です。
 インクルーシブの教育として,今,58年目に入りました,という状況の特別支援教育に携わった者としては,特にこの生涯学習分科会の中では,地域と学校の連携というのに非常に興味がございます。
 公立学校であれば,学区があります。学区がありますので,地域との連携はしやすいです。しかし,我々私学の場合は学区がありません。地域の連携というのは非常に難しいところがございます。
 高等専修学校の1期生から4期生が30年前に卒業した時に,卒業して,学校社会から飛び出した後,地域社会の中で困っていること,また家庭で困っていることについてアンケートを採りました。
 一番アンケートが多かったのは,親亡き後の対応ということで,これについては,今現在,私どもの学校法人では,障害福祉サービスとして,グループホーム,10人のグループホームを5つ今運営しまして,親亡き後の準備をしております。
 あと,成年後見の個別相談や,あと,2つ目の大きな親御さんの悩みは,学校にいた頃は校外学習があったり,行事があったりということで,学びの場が当然用意されていたけれども,卒業してしまうと,企業就労,福祉就労,それぞれでありますが,特に企業就労してしまうと,なかなかレクリエーション的なものも,たまにある忘年会や,レクリエーションが少しあるぐらいと,なかなか難しい状況がございます。親御さんの願いをかなえようということで今,武蔵野東高等専修学校では年間10回ぐらいですけれども,毎年,土曜日を利用しまして,卒業生オープンスクールというのを開いております。
 これはあくまでも受益者負担で,なおかつ,指導するのは武蔵野東高等専修学校の教員が,勤務として,なかなか難しいところはあるのですが,年間勤務の中で,支援をしてもらうような仕組みをつくってやっております。
 ですから,私学と地域の連携の難しさ,そして,学校から地域につなげるときにどうやってやることで子供たちにメリットがあるものか,そんなところも大いに皆さんと意見交換させていただいて,今の発達障害者支援法ができてから,障害の範ちゅうが大きく広がって,1条校の私立高校にも発達障害の子たちはいっぱいいるわけですので,子供たちのいい環境ができればと願っております。どうぞよろしくお願いします。

【清原分科会長】
 ありがとうございます。インクルーシブ,そして私立学校と地域の連携という視点を頂きました。受け止めたいと思います。
 それでは,熱田委員お願いいたします。
 広島から熱田委員,どうぞ,御発言お願いします。

【熱田委員】
 またミュートを解除するのを忘れておりました。

【清原分科会長】
 大丈夫です。聞こえました。よろしくお願いします。

【熱田委員】
 よろしくお願いします。このたび初めてこちらに参加させていただくことになりました,広島市戸坂公民館の館長の熱田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 このたび,このような身に余るような大役を頂きまして,またそうそうたるメンバーの皆様の中で,どういった意見を交換させていただけるかなということで,少し緊張もしており,楽しみにもしております。
 広島市は人口120万人の政令指定都市ですけれども,おおむね中学校区に1館の公民館があります。広島市には71館の公民館があるのですけれども,こちら全て,公益財団法人広島市文化財団というところが管理運営を受け持っております。
 各公民館に大体,3名から4名,職員がいるところですけれども,非常に地域と身近なところにあるということで,地域の方がいろいろな相談やつぶやきなど,そういったところをされているところです。
 私の役割としては,そういった皆さんの現場の声を,少しでもこちらにお届けができればいいかなと思っているところです。
 今,PTAのお話や,私学のお話が出たのですけれども,実はつい最近,公民館の,小学校のPTAの会長さんなどが,上部組織には入りたくないということで脱退をされたり,そういったことがあったのです。
 それとあと私学は,実はすぐエリア内に私学の高校がありまして,そこと連携させていただいたりというようなことで,本当に一つずつですけれども,皆さんといろいろつながりを持ちながらやっているところです。
 私は公民館で,いろいろな皆さんの声を聞く中で,まちづくりや,そういったところ……。

【清原分科会長】
 熱田委員,聞こえなくなりましたが,大丈夫でしょうか。

【熱田委員】 
 聞こえていますでしょうか。

【清原分科会長】 
 はい,聞こえました。

【熱田委員】
 公民館は高齢の方が利用されることが多いのですけれども,ぜひ地域の若者たち,どんどん公民館に来てもらって,これからまちづくりを担う担い手として,若者たちと一緒に何かできればいいかなと考えているところです。
 皆様からいろいろなそういった御意見を頂きながら,少しずつ現場の方でそれを,実験的にというわけではないのですけれども,着実にやっていけたらいいかなと思っていますので,いろいろとまた御指導いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【清原分科会長】  熱田委員,ありがとうございます。現場は何より大切です。若者,そしてまちづくりとの関係を提起いただきありがとうございます。
 それでは,大久保委員お願いいたします。

【大久保委員】 
 リクルートワークス研究所の大久保幸夫です。こちらの分科会は,今回3期目ということになります。
 私は専門が,職業能力の向上やキャリア形成ということになりますので,そういった観点から,生涯学習についていろいろと発言をさせていただいているということでございます。
 私の専門分野でここ数年の最大の動きは何かというと,リスキリングの浸透です。これは企業の内部で始まったことですけれども,デジタル化や,あるいは環境への配慮など,環境技術というものがデジタル化の技術とともに,どこの企業にとっても不可欠なものになりまして,それを社員の皆さんに再教育をすると,こういうことがリスキリングですけれども,つまりもうニーズがひっ迫していまして,学習が終わるのを待っているというような状態。
 ですから,それは学習する側にとっても明確な動機づけになりますし,本当に教育投資が経営投資そのものになっていくような,こういう流れがリスキリングだったわけです。
 そこのリスキリングの概念というものが,もっと広い範囲の学び直しやリカレント教育というところに与えるインパクトはとても大変大きいものがあるのではないかと思っています。
 つまり,これまでどうしても日本の社会は,学習して例えば資格を取っても,それからどうするかというとなかなか難しいと。つまり,学習に動機づけがされにくいとか学習が報われにくいとかという要素が多分にあったのだろうと思うのですよね。
 繰り返し,日本人は学習習慣を身につけていけない人が多いということが指摘されているのですけれど,それは言い換えれば,なかなか学習が報われなかったからなのではないだろうかと,そのようにも思うわけです。
 リスキリングについては,次の骨太の方針でも大きなテーマの1つとなっているように,もう一度このリスキリングというところから始まった学習の在り方のようなものを,広い範囲で適用して考えてみようじゃないかという,そういう動きなのかなと私は思っています。
 振り返って,この生涯学習分科会のこれからの議論ということを考えるときに,私は,学習をすることが楽しくなる,学習することが報われる,あるいは学習することで,自分なりのワークライフの何か目的というものが実現される,実現に近づくというような,そういう観点のところに少し踏み込んで議論を入れてみると,もう一段階,生涯学習の議論が前に進むことができるのではないかと感じておりまして,ぜひこれは,今後の視点の1つとして,提案をさせていただきたいと思っているところであります。
 以上でございます。

【清原分科会長】 
 大久保委員,ありがとうございます。次期教育振興基本計画の中でも,社会教育についても明記されていますが,リカレント教育,リスキリングについても重要な取組として明記されていますので,今頂いた点も検討すべきと私も思いました。
 それでは続きまして,大平委員お願いいたします。

【大平委員】 
 大平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今回初めての参加でございます。的外れなことを申すのじゃないかなと自分ではらはらしておりますが,どうぞよろしくお願いいたします。
 私ども,穴吹学園と申しまして,私の方では,専門学校を香川県高松市に本部を置いて,高松,徳島,そして広島県の福山,そして広島市で,14校の専門学校を運営しております。またほかに,専門職短期大学,並びに通信制高校も運営しております。
 社会人教育もやっておりまして,学生数全部で4,900名が在籍しています。
 そんな中で,看護通信で650名近い方が今学んでいただいております。毎回卒業のときには,涙,涙,非常に苦労されて,家庭と両立されて,御家族の協力も得ながら卒業を迎えるということで,毎回卒業式をしているのですけれども,非常に感動的な式典をさせていただいて,この教育をやっていてよかったなと,我々も感じているところでございます。
 私がこちらに参らせていただいたのが,キャリアアップスクールや社会人教育,通信教育,それから専門学校では特に産学連携としまして,地域の中小企業や商工会議所,それから各種団体様,高校,コミュニティ,文化施設等と連携をして,生涯学習,それから学び促進の風土づくり,そういったこともさせていただいているからではないかなと思っておるのですけれども,今,人生100年時代,それからリカレント,リスキリングというようなことも言われるのですけれども,実際に何かを学ばれている方というのは,ごく少数ではないかという問題点を感じております。
 特に統計を見ますと,アジアでは日本が一番学ばない国になっております。そういったことから,問題点として,日本人は,なぜ学ばないのか。ここの分析なくして,対策の実効性はないのではないかなと感じております。
 企業側が,自己啓発は本人任せで,学びより仕事優先の組織風土があったり,それから本人も忙しいという言葉を理由に,本音では,ひょっとしたら学びたくないのかも分かりません。それから学校も,習慣としての学び育成,これをつけないままに,単位を取得したらそのまま送り出している。そういったものの積み重ねが今の日本人はで学ばないというような社会になってしまったのではないかなと心配しております。
 社会がそういったリスキリングやリカレントというのをもっともっと評価すべきではないかと思いますし,人生100年時代,生涯学習は個人の関心を優先する項目,自己啓発の1つだとしましても,評価され必要とされるという居場所づくり,そういったこともこれから必要で非常に重要なのではないかと思っております。
 それともう一点,外国人が今,日本の社会にはすごく増えておりまして,私どもの在籍性4,900名のうち700名が留学生です。
 私も四国,高松中心に,地方都市で学校を運営していますが,都会だけではなく地方でも全く人不足というのは変わりません。
 これから外国人の力を借りずに,この日本社会,現時点においては少なくともやっていけないわけです。介護,それから自動車整備,そういった分野でも人が本当に足りなくて困っています。
 留学で来日した人たちが,将来日本で就職,定着し,そして家族を持っていったときに,その人,その家族がこの日本社会の中でなじんで,そして役割を果たしていくためのシステム,基盤づくりというのも,これからのテーマではないかと考えております。以上でございます。

【清原分科会長】 
 大平委員,ありがとうございます。学びの風土づくり,居場所づくり,外国人との共生という方向を提起していただきました。ありがとうございます。
 それでは沖畑委員,お願いいたします。

【沖畑委員】 
 岐阜県飛騨市教育長,沖畑でございます。よろしくお願いいたします。
 今回初めて参加させていただきますけれども,岐阜県の本当の田舎の小さな町,人口2万3,000ほどの,私たちは「過疎先進地」と公言している,過疎と高齢化の進んだ町でございます。この町の中で,教育を通しながら町を元気にするということを目指しています。
 考えましたのは,私,学校教育が中心でございますので,学校から,学校を核として,子供たちを真ん中に置いて,みんなで子供たちを育てることによって,みんなが学んで,そして活気を生み出せるのではないかということで始めました。
 それが「飛騨市学園構想」と名付けている施策です。これを進める中で,学校教育というのは本当に小さなところであって,人の生涯の中で考えると,本当の短い,広さから言っても,社会の中のほんの小さな集団なのですよね。このことを,学校の中にいると気づかなくて,そこしか見えていない部分があるのじゃないのかなって。
 先ほどから皆さんから出ている,学びがなかなか社会でつながっていかないような,本当に学校の学びが学校で終わってしまっているようなところを感じていることもございましたので,学校の学びと社会をつなげるということを中心に取り組んでいるところです。
 地域とつながっていくためには,先ほどから出ています市町部局や企業などいろいろなところとのつながり,これが学校のお手伝いではなくて,主体的にそこが動くことが大事だなということで,コミュニティ・スクールとともに地域学校協働本部がきちんとしていることを大事にしてきました。ですが,今度は地域にその拠点がいるのだよなということに気づき,今回の課題にも出ていますが,施設や人材が地域で,きちんとした社会教育の人材や施設が整っていく必要をものすごく痛感しております。この中で私も学ばせていただきたいと思いますし,そのことを実践しながら皆様にまたお返しをしていけたらなということを考えているところです。
 まだまだリカレント教育までは頭が回っていないような,そんな小さな地域でございますが,本当にやっていく中で見えてきたことは,みんな真剣に子供たちを育てようと思っていくと,本当に大人が学ぶのです。探求するのです。
 探求しながら,面白いねっていってその場が広がっていくということを痛感しておりますので,どうしたらもっとこれを広げられるかなということが,これがこれからの本当に社会教育の中で大事なことではないかと思っています。
 また,今まとまりのない話をさせていただきましたが,どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。学校の学びを社会につなげる,そして子供たちの学びだけではなくて,それが大人の学びを引っ張ってくるという,本当に現場の声を,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,金子委員お願いします。

【金子委員】 
 金子でございます。先期に引き続きとなりますので,どうかよろしくお願いいたします。
 私は,労働組合連合の副会長であり,産別で言いますと自動車総連という組織の会長を務めております。そういった意味では,教育現場というよりは,働く者,そして生活者の目線で,こうした視点で何か課題意識をという立場だと思っていますので,そういった視点で今期も務めさせていただければと思っております。
 先期この場でも,特に資料3の4項目の中にもあります地域と学校との連携,協働の推進といったところに特に意見をさせていただきました。
 私自身もこの生涯学習というものを進めるに当たって,コミュニティ・スクールや地域学校協働活動の一体的推進による学校教育との連携といったものが,この生涯学習には極めて重要,大事な観点だと認識をしておるわけでありまして,そういった意味で,先期この論議の中で,この学校部活動の地域連携や地域クラブへの移行に関する取組を盛り込んでいただき,次の論議につなげていただいているということには大変感謝申し上げたいと思っています。
 今期もぜひ,その受皿としての議論を一層深めていきたいと思っておりますし,そして社会教育の場というのが,もうこれは釈迦に説法かもしれませんけれど,子供や若者が集い学び合う,そうした場として機能するような,そういった学校教育の密な連携の具体的な方策,そういったことをぜひ審議をしていきたいと思っております。
 そしてもう一点は,これも先期申し上げましたけれども,ぜひ事務局の皆さん,大変ですけれども,令和6年度の予算をしっかり獲得していただいて,この社会教育施設や,老朽化しているものや,古くなって更新しなければいけないもの,拡充しなければいけないものに対して,さらにはその教育活動の拡充について,スピード感を持って取組を進めていただきたいと思いますし,そういった観点で,私の立場でもしっかり応援をしていきたいと思います。どうかよろしくお願いします。
 いずれにしてもこの分科会での論議が,社会とそして学ぶ子供たちと,そして教育に携わる人々,それぞれ三方よしとなるように,さらに議論に積極的に参加させていただきたいと思いますので,引き続き今期もよろしくお願いいたします。以上になります。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。沖畑委員に続きまして,コミュニティ・スクール,地域学校活動協働本部のお話がありましたし,子供,若者をもっと社会教育の現場にということ,予算の御心配もありがとうございます。頑張りましょう。
 それでは小路委員,お願いいたします。

【小路委員】 
 ありがとうございます。今回より参加をさせていただきます小路と申します。私は企業経営と経団連の役員をしておりまして,経済界の視点を持って本会議に参加をさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 先ほど清原会長から,資料にとらわれずというお話がありましたので,生涯学習ということについて少し考えを申し述べたいと思います。
 まず,生涯学習という,こういうカルチャー,風土というのですか,こういったものを私は未来に向けてウェルビーイングの実感と,また日本経済の持続的な成長に向けて,私は必須のものであると思っておりまして,公私,産学を問わず,学び遂げていくものと感じます。
 過去,物の豊かさが心の充足をもたらすと,こういった流れがありましたが,ウェルビーイング時代には,心身,社会,人間関係,そして道徳・倫理,また経済的な充足感を同時に満たしていくということが必要であり,さらに言えば,個人の生活の充実感が幸せにつながっているというふうにも考えております。
 他方,人的資本投資という言葉が日常的に政府,経済界,また企業内で使われるようになってまいりました。人に関わるコストを費用ではなく投資として捉えて,一時的なリターンを求めるのではなく,将来にわたっての持続的な人的成長とリターンを促すというふうに捉えております。
 人的資本投資とは,未来に向けての人的成長投資と考えております。
 人の成長というのは,年齢を重ねることではなくて,人間としての付加価値を生み出し,それを磨き上げていくということではないかと感じております。
 最近,自己肯定感が海外に比べて低い日本の若者が増えております。彼らに自信を持って未来を切り開く力を持ってもらうためにも,個々の人的価値を学びによって高めていくことが,日本の将来に必要だと考えます。
 経済界,企業は,人的成長投資による働き手の成長が企業の成長になると考えておりまして,成長投資の多寡が投資判断に大きな影響を与える時代となってまいりました。
 今年の賃金改定にもそうした労使の判断により,従来にない水準になってもおります。
 さらに産学の連携によりまして,リカレント,リスキリング,またスキルアップによる幅広い能力の習得を行うとともに,リベラルアーツを身につけて終身雇用からの雇用システムの転換をしていかなければならないとも感じております。
 人生100年時代を迎え,70歳までの雇用努力義務がいずれ義務化されるでしょう。心身ともに健康な人生を充実するために,企業,働き手双方において,生涯学習を積極的に,会長のお言葉を借りると,楽しみ,生涯自分を磨き上げると,こういった転換点の時期を迎えているという認識を特に経済界は持っていきたいと考えております。私からは以上でございます。

【清原分科会長】 
 小路委員ありがとうございます。「人的成長投資」という,大変重要なキーワードを頂きました。ぜひ生涯学習の風土が,まさにリベラルアーツ等を通して,人の力を高めていく方向を御一緒に考えたいと思います。ありがとうございます。
 それでは古賀委員,お願いいたします。

【古賀委員】 
 聞こえますでしょうか。

【清原分科会長】 
 はい,聞こえます。

【古賀委員】 
 ありがとうございます。古賀と申します。ふくおかNPOセンターに所属しておりまして,今回初めて拝命することになりました。よろしくお願いいたします。
 日頃は地域活動や市民活動の応援団として,コーディネーター的な活動をしております。社会教育・生涯学習につきましては,2002年より,九州沖縄地区の社会教育主事講習や,時々,国立教育政策研究所,社会教育実践研究センター主催の主事講習等も担当してきました。
 社会教育・生涯学習は,なかなか明るい方向性を見いだすにも難しい論点が多々ある中ですが,このコロナ禍を経た中で追い風になっているということも感じておりまして,それを踏まえて今後この会議の中で,議論として期待したいことを簡単にお話させていただきます。
 追い風として2つの側面があると思っています。
1つはコロナ禍でおうち時間が増えた中で,改めて地域や地元で何かやっている,地域の中で時間を過ごす中で自分の生き方を考えるという人たちが増えた中で,オンラインも含めて,公民館にリーチする層の人たちが結構実は増えたのではないかということです。
 公民館って意外と面白いことやっているという気づきを得た若い世代もいらっしゃいました。その延長上で,このコロナ禍が明けていく中で,公民館も触発をされて,新たな試みを始めていて,その辺の公民館の認知度がおのずと高まったという点が1つの追い風かと思っております。
 それからもう一つが,主事講習の参加者層について,数はたしかに少し減る傾向にはあるようですが,企業やNPOといった民間の方々がちらほら参加されるようになってきました。中には社会教育士になりたいという方も少しずつ見られるようになってきていて,社会教育主事講習をきっかけに,こうして多様なセクターに推進者が広がりを見せつつあるのかなと感じておりこれについては楽観なり期待をしているところです。
 しかし一方で,コロナ禍の前から非常に気掛かりに思っているのが,地方行政での社会教育・生涯学習のポジションが弱まっているということで,予算のこともそうですが,人員が首長部局に統合されたり,社会教育・生涯学習という文言が政策の中で使われる機会がどんどん減っているようで,非常に憂慮もしているところです。
 この生涯学習分科会のこれまでの議論の中で「ウェルビーイング」や「プラットフォーム」など,わくわくするキーワードもたくさん聞かれました。論点は議論し尽くされているところがあるのかなと思っていまして,民間のNPOの立場としましては,今後は社会教育士も含めて,この領域のブランディングやイメージアップを官民協働でいかに進めるかというところも視野に,議論に参加させていただければと思っています。
 幸い,「リカレント教育」,「リスキリング」といった潮流もありますし,いろいろな追い風がこれから吹いてくると思っています。その追い風を見逃さず,追い風としながらしっかり時流に乗っていく,その策を皆さんと一緒に話し合っていければと,実務者視点ですがそんなことを感じました。以上です。今後ともよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。コロナ禍を追い風とポジティブに受け止めて,適切にブランディングして,学びの主体を増 やしていきましょう。ありがとうございます。
 実はあと10人の方に御発言いただきたいのですが,あと予定時刻までは20分しかありません。多少延長させていただくことをお許しいただきながらも,本当に御発言時間に御配慮をよろしくお願いいたします。
 それでは,澤野委員お願いいたします。

【澤野委員】 
 10期と11期に続いて,3期目の臨時委員をさせていただきます,聖心女子大学の澤野と申します。
 私は比較教育学という,教育学の細分化された領域が専門でして,生涯学習に関してはスウェーデンを中心に北欧の政策や実践事例などの研究もしてきたのですけれども,その関係でリカレント教育という言葉のオリジナルはスウェーデン語の翻訳からきているというようなところもありまして,リカレント教育,リスキリングやアップスキリングがホットな生涯学習の話題に日本の中でもなってきたということで,何かその辺で私の知見を生かして役立てることはないかと思っております。最近気になったことは,育児休暇中に,リカレント,リスキリングを奨励したいというような,首相の発言や,国会での議論に対して,女性の育児中の女性の人たちの評判が悪くて,SNSなどでも炎上しているのを目にしてびっくりしました。私の卒業生は小学校教員になっている人なども多いので,公立の教員の場合はかなり長く育児休暇が取れることもあって,実際に大学院に育休中に受験して,社会人枠で修士号まで取ろうかというような人も何人か身近にいるものですから,そういう職業や環境によってかなり,女性の間では分断もあるのかなと思いました。また,子育てがいかに大変なことかということとともに,学び,学ぶということにもかなり何か人からさせられるような,主体的に学ぶというより,学校教育のときの嫌な思い出とつながっているのではないかと思われる悪いイメージを持っている人が多く,生涯学習という観点から,全体を見直さないといけないのではないかと思いました。
 育児休暇と教育休暇を,政策を決める側の人たちも混同しているのかなという印象がありました。
 子育て支援については家庭教育支援チームの活動も活発ですが,親たちは子どもの教育も負担だということで子育てが大変と思っているわけです。学校教育の現場の教員不足や不登校の増大というような問題も非常に気になって,日本では生涯学習の基盤のところがかなりぜい弱になっていると思いますので,そこを補完するような意味でも今後,社会教育の果たす役割がますます増大するのではないかと思います。また,インクルーシブな世代間の交流の場,共に学び合う場というものが,楽しく学べる,学びの概念を変えるような場として,公民館だけではなくて図書館や博物館,そういった社会教育施設全体の場がまたウェルビーイングつながるというようなことをもう少しアピールできるような議論ができていけばいいのではないかと考えました。
 またもう一つ,大学では,今ChatGPTのような学び方を概念から変えるようなAIの技術の発展のことも今後議論していかなければいけないのですが,そういうクリエーティブな学びやデジタル化というのが,割とそういう子育て中の人や,家からあまり出られないような人にとっても,助けになる部分もあるかと,コロナ禍で明らかになったようなところもありますので,そういったことも,楽しい学びにつながるような議論として,何か検討できたらいいなと思っております。以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。少子化,子育てと生涯学習,ChatGPT等,ICTの関係など,問題提起いただきました。
 それでは関委員,お願いいたします。

【関委員】 
 愛媛県の新居浜市から参りました,生涯学習センターの所長をしております関福生と申します。
 1点目,この新型コロナで,3年間,いろいろな形で学びの場が制約を受けてまいりました。今年度新しい事業を今我々も募集かけているのですけれども,そこには,去年と比べると1.5倍ぐらいの受講希望者が集まっています。
 一方,例えば公民館等のいろいろな事業で言えば,この3年間,中止というか,実施しなかった事業がいっぱいあって,それ果たして復活できるかできないか,今,いろいろその瀬戸際に立っているような事業は結構あります。
 そういったもののこのコロナの3年間の空白のものが,これからどのように新しい学びの中に反映されていくのか,そういったものの検証もしておいていいのかなというのが,1点目に思っておるところでございます。
 また,そういったものを進めていく上で,先ほどもお話ありました社会教育士のような,地域の中でそういったいろいろな活動をコーディネーションしたりプロデュースしたり,あるいはオーガナイズしていくような,そういう人の役割が非常に大事になってくるかと思いますので,そういった面で議論が深まればいいかなと思っております。
 あともう一点だけ,これ,先般,原稿を書くときに,清原分科会長からいろいろアドバイスを頂いたのですが,私などはまだ子供たちをどう支えていくか,社会が子供たちをどう育てていくかという感覚が強かったんですけれども,それだけではなくて,これから子供たちがどう自分たちで自分たちの社会であったり未来をつくっていくか,そういった子供たちを主体に置いた,主人公に置いた新しい学びの場も検討していいのではないかなということをこの頃考えております。
 そういったことを皆さんにまた教えてもらえたらありがたいなと考えております。以上です。

【清原分科会長】 
 アフターコロナになりつつある中,社会教育士の重要性,そして子供の主体性の尊重という方向性を頂きました。ありがとうございます。
 それでは,辻委員お願いいたします。

【辻委員】 
 名古屋大学の辻でございます。担当は生涯学習を担当しております。
 私は,生涯学習を,障害を持っている方,あるいは障害とまで言えなくても,ボーダーのような方が生涯学んでいくということと,もう一つは,人口が減少していく地域社会の中で,元気に生きていく,そういうことのために生涯学習をやっておられるという,そういうようなことに関心を持って研究をしております。
 障害やあるいはボーダーの方々のことを考えますと,そういう方をNPOが支えていますので,そういう方々が社会教育士というのを必要とするのだろうとは思うわけですけれども,今,そういう方々が,何とか働くということができないものか,もちろんグローバル企業で働くわけにはいかないので,地域の循環型の経済という中で,働けるような,そんな仕組みができないか。
 そうしたときに,地域の中小企業の方々が社会教育士というものを持っていただいているということも,とてもいいかもしれないというようなことを思ったりしております。
 それから過疎地の方でいいますと,この高齢者をどうしようかとかいう,そういう具体的なテーマというよりも,地域が元気になるために,何かやりたいことを学びましょう,そうやって元気に過ごしていると,意外に若い方がIターンで来られたり,あるいは高校卒業して1回都会に出た人が戻って来たりする,こういうようなことがあると思っています。
 それを支えているのが,社会教育ではなくて共同活動推進というような,そういう行政の部署の方だったり,それから地元の高校生に地域の魅力を分かってもらうというようなことなんかで,そういうような成果が上がってきているように思っています。
 そうすると,高校の先生方や,あるいは一般行政の方の中で,社会教育士が広がるという道もあるのかな,そのようなことをあれこれ想像しながら,参加をさせていただければと思っております。
 最初に言い忘れましたが,前期に引き続き,2期目の委員でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

【清原分科会長】 
 辻委員からは,社会教育士の活躍の可能性について,御示唆いただきました。ありがとうございます。
 それでは野田委員,お願いいたします。

【野田委員】 
 私は現在,市長をしておりますので,基礎自治体の立場から意見を申し上げたいと思います。
 1点は11期のこの議論の整理の中でもあります,地域コミュニティが一層重要にということがございます。
 では現在の地域コミュニティはどうなのかというと,これは全国的に,町内会,自治会,あるいは民生委員,児童委員,保護司,PTA,もう担い手がいないという状況があります。
 本市で申し上げれば,東大阪市PTA協議会の総会をやっても,学校園の数も参加者がいないという状況があります。
 これ,地域の担い手,広い意味では他者を思いやるという気持ちが大事なのかなと,私は思っています。
 そういう中で,司馬遼太郎さんが『二十一世紀に生きる君たちへ』という実は文章を書かれていまして,この中で,他者を思いやるという気持ちは本能として持っているものではない。訓練されて持つものだ,持てるものだという,そういうくだりがあるのですが,そう考えていくと,長い時間かかっても地域コミュニティが一層重要であるとするならば,これ,学校教育あるいは就学前教育,ここをしっかりと,他者を思いやるという,ここを教育の中でやらないと,生涯学習だ,社会教育だといっても,これ長い時間軸の中ではつながっていかないのではないか。
 こういう意味では学校教育,就学前教育の重要性というものも,さらに必要ではないかと考えています。
 2点目ですが,実はこれは私自身も今,不明を恥じているのですが,生涯学習・社会教育というのは,ほぼイコールのものではないかと,これはもう勝手に思っていたのですが,生涯学習・社会教育というのは,資料をずっと事前にも見ますと,全部,ほぼ並列というのですか,使い分けられています。
 この参考資料の3-1でも,生涯学習と社会教育の定義のようなものがあるのですが,これはここまで定義してしまうと,今,学校の部活の地域移行というのが大きな課題となっています。
 これそもそも,では土日の部活は何って聞くと,これ文科省は社会教育だって一旦明言されてしまったのですよね。
 そうすると,ここで社会教育の定義というものが出てしまうと,もう余計に部活の地域移行なんてもうできっこない。もう無理じゃないかなと思うのです。
 もう少しここは,生涯学習や社会教育の定義のようなものをうまく説明をされた方がいいのかなという,今,思いを,これはもう半ば感想というところでございますけれども,思ったところでございます。
 あと先ほどの議論の中にありました社会教育主事とか士とか,あるいはコミュニティ・スクールでも地域,学校,協働活動推進員の常駐化とか,あるいはこの学校運営協議会,これの支援員の新たな配置とかこうあるのです。これ人の話ばかりですよね。
 今,学校現場で,正教員が足らない,もうそもそも担任すら非正規,非常勤講師で担任を配置しなければならないという状況の中において,さらにそのことすら解決できていないのに,こういった人材を配置する。
 ではその人材の財源はどこが出すの。市町村が出せって言われる。
 一方で市町村単独で,少人数学級だとか工夫しながら,もうやっているわけです。
 あまりにもその財源論を無視して,あまりこういうことをどんどんやってしまうと,何かこう,計画とか考え方と現実がかい離してしまうように,そういう気がしてならないわけであります。
 むしろこういったことというのは,公民連携のスキームをもっと活用していくとか,何かそういう方向をクローズアップさせる方がいいのではないかと思います。
 また,これは国の事業でありますけれど,2025年の大阪・関西万博,「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマですが,まさにこれは1970年の万博と異なるもの,あるいは未来社会のデザインというもの,そこでまさにこの万博のテーマというのは,生涯教育のスキームというのをここにしっかりと,みんなが共有できるようなデザインをするという,ある意味では格好の,絶好の機会だと思います。
 ここは2025年に向けながら,未来社会のデザインの中に明確に生涯教育の在り方というものをみんなが共有できるように,つくっていきたいなと思います。
 雑ぱくな意見と感想になりましたけれども,以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。現実問題として,地域コミュニティの担い手不足の中で,生涯学習・社会教育が求められている,就学前の教育の段階からの重要性の問題提起いただきました。
 なお人材に関しては,学校人材については,中央教育審議会で,昨年度,答申が出されて,養成・採用・研修について具体化がなされていくでしょうし,社会教育・人材部会が置かれましたら,その検討の中で,学校の人材と生涯学習・社会教育の人材との関係,そしてもちろん財源のことでありますとか,育成の問題ですとか,連携できるところは検討をしていく必要があると思います。
 問題提起をありがとうございました。
 それでは,野津委員,お願いいたします。

【野津委員】 
 島根県の野津でございます。本県,合併が進んで,19市町村,県内にありますけれど,そのうちの18の市町村に対して,県から教員を社会教育主事として派遣しております。
 この条件として,受入れ市町村は派遣の人数以上の市町村職員を社会教育主事として配置することということにして,県は教員,市町村は事務職員というのですか,プロパー職員。で,社会教育主事をセットしていくということ長年続けて,現在でも続けています。
 したがって,この経験者,教育委員会を出た後の有資格者の経験者というのが,学校現場にも,退職者にも,役場にもいっぱいおるわけですけれども,これが履修科目の関係で,社会教育士を名のれない者もたくさんいる。追加で,今取っている人間もいますけれども,多くの人間が取れていない。つまり地域活動するときに無冠になってしまうのですよね。
 10年ぐらい前からそういったことを何かできないかということをいろいろ御相談したりしていまして,結果,社会教育士というのができたのですけれども,そこの移行ができていないというところが問題だと思っています。
 実際に地域で活動する上では,冠が必要であります。信頼性といいますか,権威づけといいますか,あった方がいい。
 昨日今日,社会教育士を取った人間よりも,現場で何十年もやってきた社会教育主事,有資格者の方が圧倒的に役に立つ場合も多いですので,そこの辺りの移行といいますか,財産の継承をしっかりして,貴重な人材を生かしていくということも少し考えてみていただきたいと思っております。以上です。

【清原分科会長】 
 野津委員,ありがとうございました。大変重要な問題提起,これは本分科会,そして設置される社会教育人材部会でも,しっかりと受け止めて検討をしていただきたいと思っています。
 それでは,松本委員お願いいたします。

【松本委員】 
 松本でございます。12期もどうぞよろしくお願いいたします。
 今こう,皆さんお話しいただいて,清原先生が言ってくださいましたように,本当に多様なメンバーで,これからこの12期も議論できることを大変楽しみにしております。
 私は,まちの保育園・こども園という名で,まちぐるみの保育,子育てを進めております。まちぐるみへの思いは2つありまして,まさに子供たちがまちで育つということが1つ大事にしているポイントであります。まちとつながって社会とつながって子供が学んでいく環境を築いていく。
 又は,その園自体がまちづくりの拠点になるということを大事にしているところでもございます。まさにまちの主体者として,まちづくりの主体者となっていくことです。
 これは清原先生にいつも教えていただいていることで,また関先生にも,先ほどおっしゃってくださったように,まさに子供が主体で子供が未来をつくるということも含めて,子供がまちをつくっていくということも含めて,まちづくりをしていくということをしています。
 その中で大事になっているのが,コミュニティコーディネーターというまさに人材でありまして,そういう意味でも,今回の社会教育人材の養成,あるいはその活躍機会の拡充というものについては,皆様と一緒に,しっかりとこの議論に参加してまいりたいと思っております。
 当然,社会教育人材部会への設置については賛成でございます。
 さて,今回私としましては,11期の議論の整理の中で,今後の生涯学習・社会教育の振興方策の中で,5つの視点,これ全て大事だと思っておりますけれども,その上で2点申し上げたいと思います。
 1つは,デジタルやテクノロジーの活用を進めていくことであります。それは例えば,地域の学びと実践のプラットフォームをつくるということの中で,地域で起こっていることや,あるいはそこにいる人やその思いの可視化というのはとても大事だと思うのです。
 その上で結構活用できるようなテクノロジーやデジタル領域のことが増えてきていたりすると思います。
 1つ例を挙げると,例えばコミュニティコインなんかは最近,その活用が地域づくりにおいて目立ってきていると思います。
 コミュニティコイン,御存じの方も多いと思いますけれども,スマホ上で換金性があるものではなく,地域活動に参加することによってコインを獲得して,地域のイベントや,あるいは学びの体験に利用できるようなものです。それがここに来て,結構活発になってきているようなことを感じます。
 地域活動でのコミュニティコインが,ヨガを教えることに使われていたり,学び合うというか,一緒に体験し合うようなことに使われていたり,あるいはパソコンを学ぶということに使われていたり,あるいはその子供が環境系のNPOとプロジェクトを組むということに使われていたり,生涯学習・社会教育の領域でも使われ始めております。
 そして社会教育機関や,あるいは公民館等でチャージができたり,まさにその学びの場として活動できたりするようなところもできていて,ここで私がよいなと思いますのは,その地域で起こっていることや,そこにいる人が何を教えたいとか学びたいということがすごく分かりやすく可視化される,その仕組みがあるということです。
 そういったことは私たちのこの分科会でもぜひしっかり学んでいって,こういったものの活用もぜひ,学びと実践のプラットフォームづくりにおいて,考えていければというのが1つです。
 もう一つが,多様な障害に対応した生涯学習の推進の領域であります。
 これはまさに清水先生からも学ばせていただいたところでもあるんですけれども,私が今注目しているのはニューロダイバーシティーの概念でして,以前の11期の時も少し申し上げたこともあるのですけれども,今やまさにこのニューロダイバーシティー,脳の感じ方の多様性というのは,世界的には女性活躍やLGBTQと並ぶ,まさに多様性の概念として着目,注目されているようなところがあるかと思います。
 まさに全ての人のウェルビーイングを進めていくことにおいて,ニューロダイバーシティーの皆さんが,生活になじんだり学んでいくという領域についても,しっかりと私たちも研究していって,新しい概念を持って,そのウェルビーイングを多様性の中で考えていければというところは,私は今回の中でも大事にしていきたいと思っているところであります。
 12期もよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。日々,子供たちと出会う中から,テクノロジーの活用,そしてニューロダイバーシティーというキーワードを頂きました。
 うっかりいたしました,予定の4時をもう5分も過ぎております。あと4名の委員の皆様にぜひ御発言をしていただきたいと思っておりまして,時間の延長をお許しください。
 もちろん御発言された方で,もうほかの会議等が入っていらっしゃる方は,ごめんなさい,私が延長しておりますので,退席していただいても結構です。事務局に一言チャットでお知らせください。
 それでは大変お待たせいたしました。山内委員,お願いいたします。

【山内委員】 
 山内と申します。東京大学大学院情報学環で学環長をしております。ICTを利用した学習環境について研究しておりまして,第11期からお世話になっておりますが,第11期では主にハイブリッド学習のことに関して情報を提供させていただきました。
 実は第11期の最後の回に,生成AIへの対応について少しお話をさせていただきましたが,皆様御承知のとおり,メディア等でも相当報道がされるようになって,学校教育に関しても議論が始まっております。
 生成AIは強力な道具で大きな可能性がありますが,一方で課題もありますので,この社会教育・生涯学習分野においても議論が必要かと考えております。
 大きく3点ぐらいあるかなと思うのですが,1点目として図書館のレファレンスサービスの充実が必要になってくると考えています。
 今,チャット欄に,私の自己紹介も兼ねて,ChatGPTに,私について教えてと聞いた結果を送ったのですが,前半は大体あっていますが,最後の受賞についてはこんな賞は受け取っていません。こういう嘘はハルシネーションと呼ばれますが,生成AIはアルゴリズム的に,連鎖する次の単語を確率的に予測しているだけなので,全体的にそれらしいものを組み合わせたら,結局最後は正しくないという情報が出てきてしまうことがあります。現時点ではこの機械学習のデータの中に日本語で販売されている書籍データは入っていません。
 書籍データというのは非常に信頼性の高い情報サービスなので,これが本当なのか嘘なのか確認するときに重要なセーフティーネットになるだろうなと予測していて,結構大事なのではないかなと考えています。
 それから2番目が公民館の学習での利用とデジタルリテラシー教育で,地域の課題解決等をするときに当然検索エンジンなど使っていると思うのですけれど,もう検索エンジンと生成AIが統合されてき始めているので,そうすると自然にこういうのを使うようになってくると思いますから,使うときにどうやって使っていったらいいかとか,リテラシー的に何に注意しなければいけないかみたいな教育を検討しなければいけないと思います。
 最後が社会教育人材の専門性向上で,生成AIが世の中で使われていくときに,先ほども社会教育人材養成の必要性みたいな話がありましたけれども,テクノロジーを普通に学習に活用できるようなスキルがあるというのは専門家として非常に重要かと思いますので,その辺りも議論できればよろしいかなと思いました。私からは以上です。

【清原分科会長】 
 山内委員ありがとうございます。ただいまChatGPT等AIについては,特に大学,高等教育を端緒に検討がされておりますが,生涯学習・社会教育においても,きちんと検討しておくということが今期,課題になってくると,確認させていただきました。
 それでは,綿引委員お願いいたします。

【綿引委員】 
 海外子女教育振興財団の綿引でございます。今回初めてでございますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 私どもの財団は,52年前に経団連,経済同友会,日本商工会議所,この3団体が連携して海外駐在員の子弟の教育を目的につくられた財団でございます。
 そういう意味で,私が参加させていただいて,皆様と論議を深めさせていただきたいと思う点が2点ございます。
 1点目は,社会的包摂に向けた生涯学習の在り方という点でございます。
 まさに我が国の人口問題を考えていきますと,在日の外国人の方々にもしっかりと焦点を当てた,我が国の生涯学習の在り方,特に日本の強みであるチームワークというのでしょうか,協働性を明確にした生涯学習の位置づけということを,ぜひとも皆様に御指導いただきながら論議を深めさせていただきたい。
 まさに我が国の生涯学習というのは,開かれた学びの場なのだと,こういうことを世界にも発信できるように,実現性を高めていきたいなと思います。
 そういう意味で,日本には私どもの財団が運営の支援をしている約104か国,324校の在外教育施設がございます。派遣している教員の数で言いますと,63か国の1,331人,文科省からの派遣教員がいます。
 この派遣教員の1,300人,児童・生徒数で言いますと28万人,保護者を入れると66万人,こういった人たちが,各地のコミュニティ・スクール,各国の生涯学習に肌身で触れながら日本に帰ってくる。そういった人たちが生涯学習の担い手として活躍ができる。そういう動機づけを実現させていくと,こういうようなことができないかなと,こんなふうにも思っている次第でございます。
 特に派遣教員は,各地のコミュニティ・スクールの在り方,生涯学習の在り方というミッションを持って派遣されれば,必ず各日本の自治体に戻ってきたときに,社会教育士の併用等を含めて,力になってくれるのではないかなと,こんなことを期待しているところでございます。
 2点目は,先ほどどなたかおっしゃっておられましたけれども,これだけ一生懸命やっているのに,アジアの中でも世界の中でも,学び直しに対する意識が低い国民性,これをどう国民のコンセンサスを取っていくのかということは,とても重要なテーマなのではないかと思っているところでございます。
 そういう意味で,丁寧な説明の在り方,また各省庁に分かれて,それぞれの地域コミュニティの在り方ということを発信すると,国民全体からすると非常に分かりにくい話になってしまう。
 そういう意味で,先ほど質問もさせていただきましたけれども,各省庁の連携に基づく国民のコンセンサスの取り方という論議は,この生涯学習においてとても重要なのではないかなと,こんなふうに考えているところでございます。
 どうぞよろしく御指導いただきながら,論議に参加させていただきたいと思っております。以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。社会的包摂というキーワード,そして生涯にわたって学ぶ意識を,本来勤勉と言われる日本国民でございますけれども,ぜひその方向性を御一緒に議論していければと思います。
 それでは,ここまで委員の皆様に御発言いただきましたが,ここで副分科会長のまず萩原委員から御発言をお願いいたします。

【萩原副分科会長】 
 私が理事長を務めておりますのは国立女性教育会館というところです。1977年に設立されました社会教育施設で,特に女子教育,そして現在では男女共同参画を推進するための社会教育機関として,多様な組織等と連携しながら,研修等を進めているところです。
 今回,社会的包摂という点から申し上げますと,先ほどもコロナの話が出ておりましたけれども,新型コロナ禍で,様々な課題が浮き彫りになりました。その中でも女性の貧困,特にシングルマザーの貧困が顕在化し,それが結果として子供の学びの機会などを奪っているというところにもつながっていることが分かりました。女性,ジェンダーの視点は非常に重要になってくると思っております。
 それから,社会教育人材のところですけれども,社会教育主事,社会教育士,まだまだ男性優位の社会でございまして,この部分でも,担い手としての女性の活躍ということも含めて,この中で議論ができればいいかなと思っております。
 1995年に北京で世界女性会議が開かれたときのスローガンが,Information is power,Share it,Use itというのがございました。
 ですので,社会教育,生涯学習,そういったところでの学びというのは力になっていくであろうと。その学びを自分だけのものにせず,いろいろな方たちと共有し,そしてそれを使っていくことによって,よりよいウェルビーイングな社会につながっていくのではないかなと思っていますので,この12期,多様な方々と一緒に,多様な意見をまとめながら,よりよい会議にしていければと思っております。よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございます。多様性を大切にしたいと思います。
 それでは最後になりますが,牧野副分科会長,御発言をお願いいたします。

【牧野副分科会長】 
 すみません,時間も押しているところ恐縮です。私からは一言ですけれども,今まで地域コミュニティをベースにし,社会基盤としての社会教育の在り方のことをずっと検討してきたのだろうと思います。
 そして今,各省庁も,非常にこう社会教育的な活動や公民館の実践等を重視してくださっていて,それぞれの政策に反映をしていこうという動きが強くなっているのですけれども,そろそろという感じがするのですが,特にこのコロナ禍への対応が終わって,新しい社会に入った。しかも今年度から新しい第4期の教育振興基本計画が策定されて,社会実装されていくということの中で,地域コミュニティベースで,下から,皆さんが今日議論されたような形での具体的なことから持ち上げていくのですけれども,この分科会では,少しそれを例えば社会論のような形で展開できないかと受け止めております。
 簡単に言いますと,生涯学習社会といいますか,又は学習社会といったものが,80年代の半ばから臨教審等で提起されましたけれども,今,実は新しい形でそれが求められてきているのではないかと思えてなりません。
 例えば雇用の在り方が変わっていくですとか,それから社会の効率化のためにセグメントされていたものが,それを融合していかなければいけなくなってきているですとか,さらには子供たち自身が新しいまちづくりの主役になってきているですとか,新しい動きがあるだろうと思います。
 さらにそこに,例えばこのICTの活用ですとか,今話題になっている生成AIの問題等も出てきているので,そのことも含めて,新しい学習社会とは一体どんな社会なのか,私たちはどの方向に向けて歩んでいったらいいのかといったことなど,少し大きな議論ができればと,印象として持っております。
 この点もまた,考えを検討していければと思います。どうもありがとうございました。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございます。本日は大変に時間を超過して申し訳ございません。
分科会長としておわび申し上げます。
 ただ私としては,第12期中央教育審議会生涯学習分科会発足に当たりまして,御出席いただきました委員の皆様全てに,生涯学習分科会に向けて思いを,そして問題提起を頂きたいと思って,超過してしまいました。
 いよいよ第12期が始まりました。本日も熱心な御審議を頂きまして,12期の初回について,本当によいスタートができたと思います。
 本日の議題,審議については,この辺りとしたいと思います。
 事務局から何かございますでしょうか。中村補佐どうぞ。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局から今後の審議スケジュールについてでございます。
 本日,設置を決定いただきました部会についても並行して審議を進め,適切な時期に生涯学習分科会にも報告,また御審議いただきたいと考えております。
 次回の生涯学習分科会の開催日程につきましては,部会の審議状況等も踏まえまして,追って日程調整の上で,委員の皆様に改めて御連絡をさせていただきます。
 以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。私といたしましては,第12期については,本日,各委員から頂きました問題意識を,これから副分科会長,事務局と整理をさせていただきまして,できる限り皆様の思いを今後の審議に反映して,議事を進行していきたいと思います。
 それから新たに設置されました社会教育人材部会につきましても,鋭意,早期に発足をするように,分科会長として進めてまいりたいと思います。そのことについても後ほど御報告させていただきます。
 それでは,本日の第12期中央教育審議会生涯学習分科会はこれにて閉会いたします。
 長時間となりましたことをいま一度おわびして,皆様の熱心な御参加に感謝して,終了します。皆様本当にありがとうございました。

―了―

お問合せ先

総合教育政策局生涯学習推進課

電話番号:03-5253-4111(内線3273,2972)
メールアドレス:syo-bun@mext.go.jp

(総合教育政策局生涯学習推進課)