生涯学習分科会(第122回) 議事録

1.日時

令和4年12月19日(月曜日)13時00分から15時00分

2.場所

文部科学省16階第2会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 教育振興基本計画部会の審議状況について
  2. 今後の生涯学習・社会教育の振興方策について
  3. その他

4.出席者

委員

(分科会長) 清原分科会長
(委員)内田委員,清水委員,中野委員,萩原委員
(臨時委員) 伊東委員,大久保委員,金子委員,澤野委員,関委員,薗田委員,千葉委員,辻委員,松本委員,宮城委員,山内委員,横尾委員

文部科学省

(事務局)藤江総合教育政策局長,里見大臣官房審議官,森友社会教育振興総括官,黄地地域学習推進課長,神山生涯学習推進課長,川村教育企画調整官,西リカレント教育・民間教育振興室長 他
 

5.議事録

【清原分科会長】 
 
皆様,こんにちは。分科会長,清原慶子です。定刻になりましたので,ただいまから第122回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。本日は,歳末の何かと御多用のところ御出席いただきまして,どうもありがとうございます。

 本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止をするために,ウェブ会議方式にて開催させていただきます。
 なお,本日もYouTube上で,報道関係者の皆様,そして一般の皆様の傍聴を受け入れております。報道関係者の皆様から会議の全体について録画を行いたい旨,申出がありまして,許可をさせていただいております。どうぞ御承知おきください。

 次に,事務局から,ウェブ会議運営に当たっての留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 中村でございます。本日はウェブ会議方式にて開催させていただいております。御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。

 ウェブ会議を円滑に行う観点から,4点ほどお願いさせていただきます。
 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきりと御発言いただくようお願いいたします。
 2点目,御発言の際には,お名前をおっしゃっていただくように,お願いいたします。
 3点目,御発言時以外は,マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
 4点目,発言に当たっては,挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除いただければと思います。
 お手数をおかけいたしますが,御協力のほど,よろしくお願いいたします。

 続きまして,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は記事次第にございますように,資料1から資料4までの資料,加えて,参考資料1から参考資料4となっております。なお,なお,参考資料4は,先般確定いたしました令和4年度第2次補正予算の総合教育政策局関連の事項のうち,特に生涯学習分科会の議論の整理の内容に関係する事項をまとめた資料となっており,文部科学省ホームページにも掲載をしてございます。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。

 それでは,早速議題の1に入ります。「議題1,教育振興基本計画部会の審議状況について」です。まず,事務局から御説明を頂きまして,その後,生涯学習分科会の委員の皆様の質疑応答,意見交換を行いたいと思います。

 それでは,事務局から,川村教育企画調整官,御説明をよろしくお願いいたします。

【川村教育企画調整官】 
 総合教育政策局政策課の川村でございます。本日は御説明のお時間を頂きまして,ありがとうございます。
 資料1に基づきまして,御説明をさせていただきます。現在,共有されております,資料1でございますけれども,次期教育振興基本計画につきましては,本分科会では63日に,計画のフォローアップにつきまして御報告をさせていただきました。8月の生涯学習分科会での議論の整理も踏まえまして,教育振興基本計画部会で御議論いただき,12月の12日の部会で審議経過報告の素案を,お示しをさせていただきましたので,それを中心に本日は御説明をさせていただきます。

 では,次のページをお願いいたします。これまでの教育振興基本計画につきましては,平成18年に開催された教育基本法に基づきまして,策定をされてきておりまして,現在,第3期計画の最終年度でございます。

 次のページをお願いいたします。次期教育振興基本計画の策定に向けた,文部科学大臣からの諮問の資料でございます。社会の変化,2040年以降の社会を見据えて,超スマート社会,Society5.0,ウェルビーイング,こういった概念を踏まえて,次の5年間で,教育における総合的な計画として,諮問がなされております。

 次のページをお願いいたします。第3期の教育振興基本計画,現行の計画におきまして,指標を設定しております。こちらの指標について,フォローアップを行いまして,一覧化した資料でございます。目標が1から21までございますけれども,各目標について,指標の進捗状況,順調に進捗している,目標を達成しているものを赤字,課題があり,又は目標に達していないものは下線,横ばい,又は今後,把握するというものについては文字装飾なしということでまとめております。

 例えば,(1)の確かな学力の育成のところでございますけれども,OECDの基礎調査等においては,日本の子供たちの学力,世界トップレベルの水準を維持しているということでございますが,読解力については低下しており,課題が見られるというものでございます。本分科会の関係でまいりますと,(6)でございます。家庭・地域の教育力の向上のところでございますけれども,地域において,子育ての悩みや不安を相談できる保護者の割合が低下をしているというような課題が見られております。

 次のページをお願いいたします。本分科会の関連する目標でございます。(10),人生100年時代を見据えた生涯学習の推進に関する内容,こちらは達成をしている指標が多うございます。(11),人々の暮らしの向上と社会の持続的発展のための学びの推進,先ほどと同じですが,課題が見られる部分がございます。また,(12)につきましても,順調に進捗というところと課題の部分がございます。(13)の障害者の生涯学習の推進のところも成果と課題が見られるということでございます。これらの21の指標のフォローアップを踏まえまして,次のページ,お願いいたします。

 これまでの審議状況ということで,お示しをしております。先ほどのフォローアップにつきましては,第2回の513日の会議で行いましたが,社会教育,地域と教育の連携についてということで,第5回,85日でございます。こちらは牧野副分科会長,それから関委員に発表いただきまして,本分科会での審議状況も踏まえまして,御発表いただいて,その後,この計画の基本的な考え方,また,審議経過報告の素案に向けてということで,11回にわたりまして,審議を重ねてきたところでございます。

 次,お願いいたします。それを踏まえまして,次期教育振興基本計画の策定に向けた審議経過報告の素案ということで,その概要でございます。この後,本文も少し御紹介させていただきますが,まずは全体像ということで御覧いただければと思います。我が国の教育をめぐる現状と課題のところでございますけれども,第3期期間中に生じました新型コロナウイルス感染症,また,ロシアのウクライナ侵略,こういった,まさにVUCAの時代と言われる,将来の予測が困難な時代の象徴的な出来事が起こってまいりました。また,人口減少,少子化,グローバル化,また,DX,様々な社会の変化がある中で,次の5年間の教育をどうしていくかということで,御審議いただいております。

 先ほど申し上げた,第3期期間中の成果と課題というところで,それぞれ主立ったものを,ここの資料では掲げているところでございます。それを踏まえた上で,次期計画のコンセプトでございますけれども,2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成ということで,こういった予測が困難な時代において,自らが社会の創り手となって持続可能な社会を維持発展させていくと。そのための社会課題の解決,これを経済成長と結び付けてイノベーションにつなげるような,人への投資につながるようなこと,又はSociety5.0の社会において活躍する人材の育成,こういったことが1つのコンセプトでございます。そういったことを通じまして,日本社会に根差したウェルビーイングの向上ということで,生涯学習分科会の議論の整理でも中心的なテーマとして御議論いただいたものと存じますが,幸せや生きがいの実現に向けた教育ということで,幸福感,学校や地域とのつながり,利他性,自己肯定感と,こういったバランスを重視しつつ,日本初の調和と協調あるウェルビーイングを発信していくということで,コンセプトの2つ目として掲げております。

 それに基づきまして,今後の教育政策に関する基本的方針ということで,5つ挙げております。1点目が,グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成ということで,グローバル化のみならず,学び続けるというリカレント的な要素,これも①の中に含んでおります。②は,誰1人取り残さず,全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進ということで,子供が抱える困難が多様化,複雑化する中での多様な教育ニーズへの対応,また,多様性,公平性,包摂性ある共生社会の実現といった内容でございます。③,地域や家庭で共に学び,支え合う社会の実現に向けた教育の推進ということで,こちらは本分科会での御議論の整理を踏まえまして,基本的な方針の1つとして掲げられているものでございます。持続的な地域コミュニティーの基盤形成に向けての公民館等の社会教育施設の機能強化,社会教育人材の養成,活躍機会の拡充,コミュニティースクールと地域学校協働活動の一体的推進,家庭教育支援の充実,生涯学習を通じた自己実現,地域や社会への貢献等でございます。これを④の教育デジタルトランスフォーメーション,そして,⑤の計画の実効性の確保のための基盤整備,対話の2つが支えていくという構造としております。

 次のページをお願いいたします。この基本的な方針の下で,目標を1から16まで掲げておりまして,現行計画では21ございますけれども,今回,16に整理をしております。左側,目標1から3までは,知徳体ということでございますけれども,特に本分科会と関係が深い目標8,生涯学び,活躍できる環境整備,又は目標9,学校・家庭・地域の連携・協働の推進による地域の教育力の向上,そして,⑩,地域コミュニティーの基盤を支える社会教育の推進,こういったところを中心に,この後,御説明させていただきます。

 PDFのページで15ページをお願いできますでしょうか。本文としましては,7ページでございますけれども,ここで基本的な方針,コンセプトのところでございますけれども,もう少し下のところ,ウェルビーイングにつきましては,日本社会に根差したウェルビーイングの向上ということで,計画部会の方で議論しまして,ウェルビーイングの中身ですとか,国や地域による,異なり得るものであるということ,次のページでございますけれども,国際的な観点と,それから日本社会に根差したという観点で,この辺り,概念整理としてさせていただいているものでございます。

 それを踏まえまして,次のスライドとしては,PDF21ページをお願いできますでしょうか。基本的な方針の中で,マルチステージの人生,生涯にわたって学び得る学習者の育成という観点を頂いております。人生100年時代,同一年齢の単線的な学びや進路選択を前提とした人生モデルから,一人一人の学ぶ時期や進路が複線化するマルチステージモデルへ転換することが予測される中での生涯学習の必要性ということでございます。

 その次の丸,生涯学習社会の実現のための,生涯にわたって学び続ける学習者の基盤を学校教育によって育成すること。また,生涯学習推進に当たってのICTの活用,こういったところを盛り込んでおります。その下のところ,リカレント教育を通じた高度人材育成等々についても記載をしているところでございます。

 その次のスライド,PDF25ページをお願いできますか。③のところが,地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進ということで,社会教育を通じた持続的な地域コミュニティーの基盤形成ということで,社会教育が地域コミュニティーの形成において,非常に重要な役割を果たすという考え方を①でお示しをして,その次の丸では,学びを通じて人々のつながりや関わりをつくり出して,人づくり,つながりづくり,地域づくり,こういった循環が重要であって,これがウェルビーイングの向上につながるという考え方を記載しております。

 その次の丸では,コミュニティースクールと地域,学校協働活動の一体的推進といったことも必要である。また,その次のところで,公民館等の社会教育施設の機能強化,それから社会教育の人材の養成と活躍機会の拡充,これについての考え方をお示ししているということでございます。

 次のページ以降でも,その記載を続けておりまして,オンライン関係のこと,また,社会教育に対するニーズが高まる中での社会教育人材の役割の必要性,その次のところは生涯学習社会の実現,障害のある方の生涯学習の推進に関する基本的な考え方,ここのところでお示しをしているものでございます。

 それでは,各論の方に参りまして,54ページ,PDFのページでお願いできますでしょうか。まず,ここで障害のある方の生涯学習の推進ということで,これは多様な教育ニーズに応じた対応というパートの目標の中でありますけれども,こちらで,目標に係る基本施策ということで,記載をさせていただいております。

 それから,次のページにいっていただきまして,目標8でございますけれども,資料でいくと47ページになりますが,生涯学び,活躍できる環境整備ということで,人生100年時代を見据えて,全ての人のウェルビーイングの実現のためにも,人生の各場面で生じる個人や社会の課題の解決につながる学習機会を保障され,学ぶことで充実感を得て,継続的な学びにつながるよう,生涯学び,活躍できる環境を整備する。多様な世代への情報提供や学習成果の可視化,仲間とつながりながら学ぶことができる環境整備を図るということでございます。

 基本施策の項目名だけ御紹介します。大学等と産業界の連携等によるリカレント教育の推進,また,働きながら学べる環境整備ということで,この辺りは社会人のリカレント教育に関する施策を,まず,記載をさせていただいております。

 次のページをお願いいたします。リカレント教育のための経済支援,また,現代的・社会的課題に対応した学習の推進,そして,女性活躍に向けたリカレント教育,それから高齢者の生涯学習の推進,こういった施策を設けております。リカレント教育の成果の適切な評価・活用,また,次のページに参りまして,学習利益の可視化の促進,生涯を通じた文化芸術活動の推進ということで,これに関して,指標候補ということで以下の項目を掲げております。生涯学習をしたことがある者の割合の増加ですとか,その理由に関すること等々を指標として掲げております。

 目標9は,学校・家庭・地域の連携・協働の推進による地域の教育力の向上ということで,基本施策のところ,コミュニティースクールと地域学校協働活動を一体的支援,次のページでございますが,家庭教育支援の充実,また,部活動の地域連携,地域クラブ活動への移行,複数記載がございますが,こちらにも入れさせていただいております。

 指標候補のところにつきましても,地域学校協働活動本部,また,コミュニティースクール,こういったことに関する指標を候補として,お示しをしております。

 目標10は,地域コミュニティーの基盤を支える社会教育の推進ということで,社会教育施設の機能強化に関すること,次のページでございますけれども,社会教育人材の養成,活躍機会の拡充,また,地域課題の解決に向けた関係施設,施策との連携ということで,指標についても,こういった内容ということでございます。

 それから,61ページをお願いします。DXの関係でございますけれども,少し下の方にいっていただきまして,社会教育分野のデジタル活用推進ということで,デジタルとリアルを組み合わせた社会教育活動を推進されるようということで,こちらでデジタルに関する記載をいたしております。

 そして,最後のページ,70ページでありますけれども,これは全体に関わることでございますけれども,各ステークホルダーとの対話を通じた意見,計画確定ということで,子供を含むステークホルダーからの意見聴取,対話を通じて,この計画を実効性あるものとしていくということでお示しをしております。

 こちら,現時点の審議経過報告素案ということで,年度内の答申に向けて引き続き,議論させていただきますけれども,是非本日,御意見を頂戴できますと幸いでございます。

 説明は以上でございます。

【清原分科会長】 
 川村さん,御説明ありがとうございました。

 次期教育振興基本計画策定に向けた検討状況でございますが,中教審に設置された部会では,生涯学習分科会から,今村委員,内田委員,清水委員,関委員,牧野委員,そして私が参画をしております。そのプロセスで,本日の参考資料12にございます,『第11期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理』の内容も反映をしていただいているところでございます。

 それでは,次の議題もあることから,10分,15分程度しか時間は取れませんが,是非委員の皆様から,ただいまの御説明に対して,質疑,そして御意見を頂きたいと思います。挙手ボタンを押していただければ,私の方から指名をさせていただきます。どなたからでもどうぞ。それでは,早速挙がりました。横尾委員,お願いいたします。

【横尾委員】 
 御指名ありがとうございます。また,久しぶりの会議,ありがとうございます。
いろいろな説明を頂きまして,ありがとうございました。意見を幾つか申し上げたいと思います。

 1つは大変細かいことなのですけれども,本文の方の2枚目のところに,かぎ括弧が重複してダブル括弧になっているところがあるのです。上から4行目,「教育を通じて生涯にわたる一人一人の「可能性」」,ここがダブル括弧になっているのです。普通,国語表記では,括弧(「 」)で表現される部分の中の括弧は二重括弧(『 』)になると私は理解しています。あえてそれをしないのは何か文科省として意味があるのですか。できたら,グラマー(文法ルール)はそろえてもらった方がいいと思います。

 それと意見を申し上げますと,子どもたちは義務教育から始まって,高等教育を経て,大学生・短大生,そして社会人と学んでいきます。生涯学習的にはいろいろ可能性が広がっていいと思っているのですが,日本の社会としての教育力を考えるときに,博士号の数とか学術論文の数を比較していくと,国際的に最近の日本は大変劣ってきている状況になっていると聞いています。それと,もう一つは,実際に幾つかの大学の学部長や学長クラスの方の意見を拝聴しました。今,就職戦線の関係もあるのでしょうけれども,青田刈りもあったりして,あるいは早期に就職のアドミッションシートを出したりする動きになってしまっているために,大学首脳の方々も「まともに研究していないという学生が増えてきている」状況について危惧されています。
 これでは,本当に社会としての教育が発揮できない,教育の充実とその効果を社会として享受することにつながらないような危機感を実は持っています。そういったことの改善についてもそろそろ対策に入れていかないといけないのではないのでしょうか。「仕組みはつくりました。生徒の皆さん,学生さん,頑張ってください。しかし結果はこうなりました」ということでは,国家としてはいかがかなと思うのです。是非そういったことの改善も今後は考えていただく必要があると思っています。そうしないと,この先,5年後,10年後,15年後ぐらいですか,ICTにしてもAIにしてもどんどん進んでいくのですけれど,日本の知の部分が弱くなっていきますと,大変国家としても戦略上,問題があると思っています。そういったことの充実というのも加味していく必要があると思うのですけれど,その辺は,どう捉えていらっしゃるか,教えていただくとありがたいと思います。

 以上です。

【清原分科会長】 
 横尾委員,ありがとうございます。もう何人か挙手されていますので,御意見を伺ってから,まとめてお答えいただくようにいたしたいと思います。それでは,金子委員,お願いいたします。

【金子委員】 
 自動車総連の金子です。発言の機会を頂きまして,ありがとうございます。

 第三期教育振興基本計画部会の真摯な論議されました皆さんに敬意を表したいと思います。私の方からは,パワーポイントで言いますと,目標9のところに書かれています,部活動の関係についてになります。

 そもそも生涯学習を進めるに当たりまして,コミュニティースクールだとか地域学校協働活動の一体的推進による学校教育の連携というのは,学校教育と地域社会の双方に必要不可欠であって,重要なポイントだと考えています。そうした観点から,2025年度末までの3年間で集中的に進めていくとしています,部活動の地域クラブ活動への移行というのは,社会教育としても,地域社会とのつながりを深める1つのきっかけとして最適な機会でありまして,子供たち,そして社会,先生方,これは教育現場に携わる方々を含めて,その三方よしとなる取組だと思いますので,着実かつ積極的に推進していただきたいと思っております。

 これは学校教育,また,受け入れる側の社会教育からしても,大変大きな転換点と思っております。これまで層の薄かった現役世代が,子供たちや,その親御さんなどが地域クラブ活動を通じて社会教育に参加するということになり,参加者の幅が広がることから,地域との共生の観点からも大いに期待されるところだと思っています。

 一方で,指導者や施設の確保が難しい,あるいは,新たに発生する費用など,保護者の経済的負担という課題に対する懸念を受けて,次年度からの移行の取組を,政府は先送りするという報道もなされております。この判断の是非はともかくとしても,社会教育を所管する当分科会として,速やかに課題の解決にしっかり取り組むべきと考えているところであります。部活動の地域クラブへの移行というのは,地域社会で子供を受け入れて教育,育成するということでありまして,社会教育の在り方も大幅に見直さなければならないと思っています。

 課題としては,大きくは指導者の確保など人の課題,そして,地域,施設だとか,家庭間格差,参加費や交通費などといった予算だとかお金の2つだと思っています。特に,費用は参加者負担でいいとなると,参加できない子供が出てくるということになりますので,受益者負担を議論のスタートとしてはならないと考えています。

 その上で,社会教育の観点で,部活動の受入れを考えると,例えば,リタイアした方々を指導員,あるいは一緒に活動するなど,人のつながりもできてくる。子供たちにとって見れば,地域への密着,あるいは愛着なども自然に芽生えてくると思います。そして,教員の中には部活動を熱心に取り組みたいという方々も多く,それらの先生方は,学校の所在地,あるいは,住所地の地域クラブへ参画するということになると思います。これについても,教育委員会から兼職,兼業を許可されれば可能である。当分科会として,社会教育として受け入れるに当たってのイメージをしっかりと描く必要があると考えております。

 そして,同時に,移行及び運営に要する費用については,財源も含めてしっかり確保する必要があると考えています。学校教育側にも,より一層の学校施設の開放など,社会教育との垣根をなくす取組を求めていきたいと思っています。日本の地域社会,ややもすると横並びの意識が強く,半世紀以上も学校対抗で行ってきた活動をなくすということに抵抗感があるのも事実だと思いますが,地域クラブへの移行というのは,よほど強い意思を持って推進しないと,なかなか変化の機運は盛り上がらないと思っております。教育現場に携わる方々の労働の質と量にふさわしい,様々な待遇改善は別途必要ではありますけれども,学校の働き方改革にもつながり,そして,地域社会との連携を深めるよいきっかけとなる部活動の地域クラブへの移行の取組については,今こそ最大のチャンスであり,最後のチャンスでもあると思っています。他の関係省庁とも連携しながら,スピード感を持って,是非とも御検討をお願いしたいと思います。

 以上であります。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。目標9の「部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行」に関して,人や施設やコストの観点,様々な点から具体的な問題提起を頂きました。ありがとうございます。

 それでは,第1の議題の最後の発言として,山内委員から御意見をまず,伺いまして,その後,事務局から横尾委員の御質問等への御回答をお願いいたします。それでは,山内委員,お願いします。

【山内委員】 
 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。

 私からは1点,ご質問させていただければと思います。53ページの社会教育分野のデジタル活用推進のところで,デジタル化が進展する社会において,リアルとデジタルを組み合わせた効果的な社会教育活動が展開されるようとあるのですが,リアルとデジタルというのが,言葉遣いに若干違和感がございまして,対面とオンラインとか,リアルとバーチャルだと対語になるのですが,リアルとデジタルは,必ずしも対ではないと思います。今からの時代,デジタルも非常に重要なリアルの一要素だと思うのです。なので,こういう形で対応させるのではなく,対面とオンラインとか,違う言葉遣いをしていただく方がいいのかなと思いました。学校教育の方にもう一つ,似たような表現があるので,委員の皆様と御検討いただければと思いまして,発言させていただきました。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 山内委員,ありがとうございます。情報の御専門の観点から御指摘いただきました。実はこれには,背景があって,私の認識をお話しします。私も,具体的には「対面とオンライン」の方が,委員おっしゃるように適切だと思うのですが,実は,文部科学省から,中教審が諮問を頂いたときに,令和の日本型学校教育の取組の中で,「リアルとデジタルの調和」も踏まえて答申をするようにというような諮問の説明があったものですから,私たちとしては,その言葉を踏まえて,このような検討状況にも記載がなされているものと思います。

 ただ,具体的に,御指摘がありましたように進めていくときには,どういう場面が教育,あるいは,生涯学習・社会教育の部分であるのかといえば,対面やオンラインをどのように適切に調和させ,組合せ,また,生かしていくか,あるいは影の部分を払拭していくかということになるのかなと思いますが,これについても,もし何かあれば事務局から説明をお願いします。

 以上,3名の方から,御質問,御意見を頂きましたので,事務局,どなたがお答えいただけますか。では,川村さん,お願いいたします。

【川村教育企画調整官】 
 御質問,御指摘ありがとうございました。

 最初,頂戴いたしました,括弧,かぎ括弧の表示につきましては,申し訳ありません。整理をして,確認をさせて修正をさせていただきます。

 それから,博士課程ですとか大学院段階のということにつきましては,こちらも非常に大きな問題意識を持っておりまして,40ページのところで,博士の入学者の割合ですとか,企業からの博士の修了者に対する評価ですとか,そういったところを記載しておりまして,特に大学院段階の質量の充実ということについては,必要であると考えております。

 それから,部活動につきましても,御指摘をありがとうございました。計画に記載をしている内容と,実体的な施策面を進めていく両面があると思いますけれども,御指摘を踏まえて,検討してまいりたいと思っております。

 それから,デジタルとリアルの関係につきましては,私ども,実は検討の過程で同様の認識を持っておりまして,20ページのところでデジタル,それからリアル,最適な組合せについての,少し詳細な解説をしておりまして,こちらはデジタルの活用と,リアル(対面)の活動の重要性ということで整理をしております。必ずしもデジタルとリアルが対になるという概念でもないと思いますので,その辺り,御指摘を踏まえて修正ができるかということで,御指摘を頂いた社会教育のところについても検討させていただければと思います。御指摘ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,横尾委員,いかがでしょうか,今の御回答について。

【横尾委員】 
 ありがとうございました。私は単純に,修士・博士課程のことだけを申し上げたのではなくて,実際に,もう大学生の後半は就職活動に意識が行き過ぎて,本当の学びが薄くなっているような気がしてならないのです。そこら辺は今日,端的に答えが出るわけではないと思っていますけれども,是非社会として少し改善していかないと,大学時代,要するに20歳を過ぎて,一番多感であり,また学ぶチャンス,学ぶ体力もあるときに,十分な学びができないままに社会人になっていくのもいかがかな,勿体ないと思ったものですから,危機感を持って申し上げたところでした。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,金子委員はいかがでしょうか。

【金子委員】 
 本質的な記載の中身というよりは,今後の進めについて申し上げたつもりですので,是非踏まえて検討を引き続きお願いしたいと思います。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 山内委員,お願いいたします。山内委員,いかがでしょうか,お答えについて。

【山内委員】 
 誤解のないようにしていただければ,それで大丈夫だと思いますので,よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。そのほか,もしこの場でという御質問,御意見がおありになる方いらっしゃいますか。大丈夫でしょうか。大変幅広い分野の計画でございますが,特に,生涯学習分科会として留意してほしいことや,具体的な課題など,お気づきの点がありましたら,今日の場では十分な時間を取れませんでしたけれども,事務局の方にメール等で,お寄せいただければ大変ありがたいと思います。それでは,皆様,よろしくお願いいたします。

 3名の方から大変貴重な,しかも具体的な御提案を頂きました。生涯学習・社会教育の分野だけで解決できる問題ではなく,社会全体の中での取組や地域社会との関係,あるいは,特に地域の企業で働く皆さんが,例えば,クラブ活動であるとか,あるいは,デジタルが普及する中での学びや暮らしの在り方などについて,連携をしていただかなければなりません。そのような広い視野の問題提起を頂いたと思います。どうもありがとうございます。

 それでは,次の議題に移らせていただきます。議題の2でございます。今後の生涯学習・社会教育の振興方策についてです。これにつきましては,事務局において,幾つか資料を御用意いただいておりますので,まず御説明を頂いてから,質疑応答,意見交換の時間を取らせていただきます。

 まず,最初に,資料2,追加ヒアリングの結果について,中村課長補佐から御説明をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 生涯学習推進課の中村でございます。資料に基づき,御説明させていただきます。お手元に資料の2を御用意いただき,1ページ目を御覧ください。

 本年8月,生涯学習分科会において議論の整理を取りまとめいただきました内容を踏まえ,社会教育施設の活用促進や社会教育人材の登用促進等の今後の社会教育・生涯学習の振興方策について,さらなる検討を進めるため,前回,御報告したものに加えて,自治体等への追加ヒアリングを行いました。ヒアリング対象は記載のとおりですが,企業,NPOとの連携を行っている自治体,県の教育委員会や社会教育主事の養成課程及び講習を実施している立場としての大学,生涯学習センターを置く自治体,独自に推進員を委嘱するなどして,社会教育人材の活用をしている自治体など,資料記載の自治体,大学,企業でございます。本年10月から11月にかけて,オンラインでヒアリングを実施いたしました。

 2ページを御覧ください。まずは,企業やNPOとの連携を行っている自治体からのヒアリング結果です。ページ左側は,地域社会の課題解決を通じて,豊かな地域づくりへ貢献することを目的に,全国公民館連合会と連携の上,全国の公民館等でオリジナルの定期講座を開設,提供している企業の事例です。

 地域社会や地元住民の方々の課題解決を通じて,豊かな地域づくりへ貢献することを企業のパーパスと位置づけておられ,健康増進や地域の社会教育を軸に,公民館が行う地域住民向けの講座や講習会等の開設,運営の支援を行っています。今後は,実践で得られた知見を踏まえ,自治体の重点政策との連動や多世代を対象とする講座の拡充といった取組を予定されています。

 ページ中央は,自治体の公共施設再編計画にのっとって,企業版ふるさと納税も一部に活用しながら,公民館を再建している事例です。地域住民の方の思い入れの強かった公民館施設の老朽化が進行しており,再建設してほしいというニーズを受けて,公共施設の再編計画にのっとって,地域の小中一貫教育を推進する学校の校庭の一部を活用して建設し,社会教育と学校教育の融合の場,地域と学校つなぐ拠点としての役割を担うものにしています。災害時には避難所となることを想定し,防災機能を備えた施設となっています。

 ページ右側は,公民館の実施する学習講座の一部を地域のNPOに委託している事例です。必ずしも自前主義で講座を提供するのではなく,様々な活動を行っている市内のNPO団体が得意とする分野での活動を,市民向けの学習講座という形で提供しておられます。

 続いて,3ページを御覧ください。県の教育委員会や大学からのヒアリング結果です。ページ左側の上段は,社会教育主事の配置や関係職員の研修の面で,社会教育の推進体制を整備されている自治体の事例です。社会教育主事の配置や県内市町への社会教育主事の派遣といった人的体制に力を入れておられるほかにも,社会教育主事だけではなく,社会教育費などの資質向上のための研修会の実施や,ネットワークづくりの交流会を県で開催されていたり,首長部局の自治体職員の方も,社会教育士の称号を取得されていたりするとのことです。

 ページ右側は,社会教育主事の養成課程と,社会教育主事講習の両方を提供する大学の事例です。令和2年度以降,多様な受講希望者が増えていること,学校事務職員への講習受講も推奨していること。現代的諸課題として,子供の貧困や多文化共生,地域福祉と社会教育との連携,学校地域協働活動の推進などについて学ぶ場を設定していること。修了者向けには公開講座を活用し,フォローアップに資する研修を提供していることなどの情報を伺っておりますほか,下2つの項目では,主事講習の受講形態に関することや修了者の皆様の証明書に関するニーズについて,御意見を伺ったところです。

 続いて,4ページ目を御覧ください。生涯学習センターを置く自治体からのヒアリング結果でございます。ページ左側は,生涯学習センターを活用して,定期的に市の直営事業を実施し,高齢者向けのスマートフォンの使い方を教える取組を行っていたり,また,自治体職員を講師として派遣する出前講座を実施するなど,社会教育として幅広い内容が部局との連携の中で行われている事例でございます。

 ページ中央は,社会教育施設の大規模改修や複合化を行った結果として,多世代の利用が促進されている事例でございます。

 ページ右側は,市内の学習を支援する体制を3層の学習権として設定し,市全域に関わる方針を市教育委員会の担当課が決定し,一番地域に近い地域センターでの活動は,旧町単位で支援する人員配置を取るなど,社会教育行政の支援体制を取っている自治体の事例でございます。

 続いて,5ページを御覧ください。独自に推進員を委嘱するなどして,社会教育人材を活用している自治体からのヒアリング結果です。5つの自治体からのヒアリングを行いましたが,地域活動の支援として,ボランティア等への委嘱をしているケース,また,自治体の作成する計画への意見を述べていただく委員として委嘱するケース,そして,自治体における生涯学習・社会教育に関する行政実務へのスタッフとして雇用するケースの3つに分かれるものとして,資料を作成しております。各自治体の実情に応じて,独自に委嘱等をしている方の立場や活動内容は様々でございますが,さらに実態を把握していくことも必要かと考えております。

 そして,6ページ目以降でございますけれども,社会教育施設の活用促進や,社会教育人材の登用促進等に関する内容として,追加ヒアリングを通じて得られた情報を記載しております。6ページ目以降は前回の分科会で御報告した内容と類似の情報もございますので,時間の関係上,詳細の御説明は割愛させていただきますが,後ほど御覧いただければと思います。

 資料2については,以上でございます。

【清原分科会長】 
 中村補佐,ありがとうございます。

 続きまして,資料の説明をお願いいたします。資料31,今後の生涯学習・社会教育に関する振興方策,重点事項の案について,続きまして,資料32,今後の生涯学習・社会教育に関する振興方策,具体策案について,この2つの資料につきましては,神山課長から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【神山生涯学習推進課長】 
 失礼いたします。それでは,資料3132について御説明をさせていただきますが,こちらは既に生涯学習分科会の方で「議論の整理」ということでまとめていただきました,理念ですとか振興方策につきまして,さらに具体的な施策をどう進めるかというものを整理するために作成をした資料になってございます。

 最初の資料の31の方が理念からスタートして,重点的にどこを進めるかといったことを整理したもの,それから,資料の32の方が,より具体的なものについてまとめたものになってございます。

 それでは,資料311枚目から御覧いただきたいと思いますけれども,こちらには真ん中に生涯学習分科会の「議論の整理」の理念を掲げておりますが,さらに,その上の方に教育振興基本計画の理念ですとか,これまで社会教育について言われておった,人づくり,つながりづくり,地域づくりといった理念に照らし,また,右の方に,昨今の政府の中で重要視されております,人への投資やデジタル田園都市国家構想といったことも踏まえながら,生涯学習分科会の議論,つまり,「ウェルビーイングの実現」を一番大きなところにしながら,「社会的包摂の実現」,「地域コミュニティーの基盤」,また,「デジタル社会への対応」といったものを,さらに,それらの真ん中で,「共に学び合い,支え合う,生涯学習・社会教育」といったものを目指すのであるといった理念を示したものになっております。さらに,その下の方には,先ほど御説明がありました,次期の教育振興基本計画の中で言われております,日本社会に根差したウェルビーイングの向上ですとか,持続可能な社会の創り手の育成といった,総括的な基本方針も示しています。これらに沿った形で考えたところ,下にございますように,生活を支えるリテラシーを向上するといった社会的包摂の流れをくむ施策,それから,右側の地域づくりを支える社会教育の実現といった地域コミュニティーの基盤の流れを受ける施策,さらには,これらを下のブルーのところにございますように,「学びと実践の機会と場を提供する地域の学びと実践プラットフォーム」,仮称でございますけれども,こういった役割を社会教育の人材と施設が連携して担えないかと。社会教育人材と施設が連携して,学びと実践,特に実践部分を支えるプラットフォームになるようにといった施策を中心に据えられないかということで示してございます。

 次のページを御覧いただきますと,「生活を支えるリテラシーの向上」のところを,もう少し具体的にデジタルリテラシーですとかを支えると,また,リアルにつながる場も提供するといったことに加えまして,社会教育主事などがコーディネートして,高齢者,障害者,外国人などの生活に必要な学びを支援すると,もう少し具体的な内容を書いてございます。

 また,「地域づくりを支える社会教育の実現」の方では,コミュニティー施策や地域づくり部局とのタイアップですとか,社会教育士のネットワークを通じて,それぞれの得意分野を生かした住民による地域づくりの支援といったものができないか。さらに,住民に参加していただくことで,多世代の参画を推進するといったような地域づくりなどでございますけれども,これを地域の学びと実践プラットフォーム,先ほど申し上げましたが,社会教育の人材と施設が一体となって,それを担う仕組みというのをつくっていこうという趣旨でございます。

 矢印の下に,期待される効果と書いてございますが,当然,社会教育や生涯学習の充実が図られるという効果はあるわけですけれども,社会教育に直接なじみがない方々でも感じられるような効果といたしまして,左の方にございますのが,デジタルの恩恵といったものを日本に暮らす全ての人が享受できるといったこと。それから,真ん中にございますように,子供や若者も含む主体的な住民参加,それから,それを行政が支援することで,住みやすさや住民満足度とかのウェルビーイングが向上するといったこと。それから,3つ目としまして,まちづくりや福祉や防災などの地域課題に関する行政も,地域の協力があって,施策効果ですとかコストの面でも好影響があるといったような,直接的な社会教育・生涯学習だけではない効果が期待できるのではなかろうかと考えてございます。

 次のページに参りますと,これは先ほど,地域の学びと実践プラットフォームと申しておりましたけれども,より具体的なイメージといたしまして,真ん中に社会教育主事や社会教育士という人材と公民館などの社会教育施設がございまして,これが両方で,地域の学びと実践プラットフォームを構成するわけです。さらに,それだけではなくて,御議論いただいておりました社会教育人材,例えば社会教育士といったものでございますけれども,それをネットワーク化することで,先ほどのプラットフォームと称していたものと一体となって,生活,あるいは地域づくりを支えるような体制にしていけないかということを示した図でございます。

 社会教育人材のネットワークの薄いブルーの部分には,社会教育士などの方々が並んでおりますが,左側には,公民館の所属の方ですとか,生涯学習推進員をやっておる方,また,社会教育士の養成課程にいる学生さんなども並べておりますし,右の方では,地域づくりの担当部局などのほか,そういった行政だけではなく,町内会ですとか企業にいらっしゃる方といったものも,ネットワークでつなげていけないかと考えてございます。

 全部は申し上げられませんが,例えば左上の方では,デジタルのリテラシー講座を紹介しながら,吹き出しの中にございますように,地域のサポート役を誰かに依頼をしているといったようなつながりづくりですとか,2つ目にございますようなSNS上のグループづくりなどで,つながりづくりを支援するといったこともできると思います。右上の方では,地域づくりの担当部局の方が,社会教育の担当の者と協力して,ワークショップ的な地域住民を巻き込むような活動ができるといったようなイメージを書かせていただいております。また,右下の方では企業人にも触れておりまして,社会教育の知見を持っていらっしゃると,地域や社会に貢献したいと思っている企業と地域活動というのをつなげていただくといった役割も期待できるのではなかろうかと考えてございます。

 次のページに参りますと,今申し上げた社会教育の人材のネットワークをつくっていきたいわけですけれども,課題と,それを踏まえた重点事項というものを提示したものでございます。課題の方は,左の方に,白のところに書いていますけれども,例えば,どこにどんな人材がいるのか分からないといったことですとか,継続的な研修やつながりの維持の機会がないといったこと,また,社会教育主事の配置率が低かったり,公民館の職員の専門性も向上しなければいけない。そのほか,社会教育が地域振興に役立つという認識が十分浸透しているわけではないといったことや,社会教育士の活躍の場が少ないということ。また,下の方は,講習が未受講の方々,これから学ぶような方々の欄になっておりますけれども,そうした人達が新しく学びたいと思っても,仕事をしながらの受講が困難であったり,また,内容についての見直しも必要だったりということも挙げられております。

 これらを踏まえて,右側が重点事項になってございますが,社会教育人材のネットワークの構築,これを1番目に挙げてございます。それによって,組織的に社会教育人材が住民の活動や生活を支えたり,地域づくりを支えたりできるようにという趣旨でございます。

 重点事項の2は,講習や研修を充実することで継続的な学習や交流を支援すること。

 また,重点事項の3といたしましては,社会教育分野にきちんと人材を配置したり確保すること。

 重点事項の4では,社会教育だけではなくて,地域振興分野に限りませんけれども,他の分野での人材を配置や確保するということを促進する必要があると。

 そのためにも,重点事項の5にありますように,受講機会をきちんと拡大しなければいけないということを書かせていただいてございます。

 次の資料では,その重点事項について,それぞれ主なものを並べております。より具体的なものは,もう一つの資料の資料32の方に挙げておりますが,こちらで概観が見られるとようにしてございます。

 重点事項の1のネットワークのところでは,例えば使い方として,研修情報を周知するですとか,あるいはイベントや個別相談に協力依頼をするといったことを組織的にできるようにするために,講習などの実施機関であります大学等の協力も得ながら構築をしていくというイメージで考えております。

 ただ,具体的な,集約する情報の種類ですとか方法などは,今後の検討かなと思っておりますが,社会教育主事のOBさんですとか,先ほど申し上げた社会教育主事の養成課程の学生さんなどの活用も検討したらどうかと考えております。また,修了証書ですとかデジタルバッチなどを活用するといったことも考えられるのではなかろうかと思ってございます。

 右に参りまして,重点事項の2の方では,講習や研修の充実ということで,充実する中身としましては,デジタル的な活用などの多様なニーズ,現代的なニーズに対応できるような内容にしていくといったことに加え,2つ目の白丸にありますように,公開可能な研修,既にやっておるような研修,あるいはこれからやる研修で,オンデマンド化できるものについてはオンデマンド化していくことで,様々な人がいろいろなニーズに対応した研修を受けられるようにしていくということができないかと考えてございます。

 重点事項の3の方は,社会教育分野における人材の配置状況を分析して,自治体に必要な働きかけをするといったものを挙げております。重点事項の4の方では,関係部局の職員に講習,社会教育主事の講習を受講していただくと。その際に,ネットワークを活用したりすることで,実際に地域振興施策への協力が推進されるようにしていくということも必要であろうと思ってございます。

 重点事項の5の方では,受講機会を拡大するために,オンライン化ですとか休日の開催といったものを考えたり,定員を増加したり,また,民間資格によって科目代替などができないかということも考えてございます。

 最後,右側ですけれども,右下の方に横断的事項とございますけれども,社会教育の人材に関する取組につきましては,生涯学習分科会におきまして,例えば,社会教育主事と社会教育士との役割分担なども含めて,さらに専門的な御議論は頂く必要があろうかと思ってございます。

 それに加えまして,実際の課題解決事例を参考にして,いろいろな取組,各自治体の取組を支援する,アドバイスをする体制というのが大事であろうと思っておりまして,後ほど出てまいりますけれども,社会教育マイスター,これはコミュニティースクールのマイスターという仕組みがありますので,そういったものを参考にしながら,アドバイスするような体制を創設したいと。また,様々な情報やデータをしっかりと分析して,EBPMという形でも推進をしていく必要があると考えてございます。

 以上は,ネットワーク関係中心でしたけれども,次のページには,先ほど申し上げた地域とプラットフォームが,関係の組織や住民と連携する点に重点を置いて図,絵にしたものでございます。真ん中に,地域の学びと実践のプラットフォームというのがございまして,この中では,公民館などデジタルとリアル双方のつながりづくりを進めるということにしてございますし,それに伴って,公民館のデジタル化等も推し進める必要があると書いております。

 また,同じく,真ん中のブルーの下の部分では,社会的包摂の実現に向けた学習支援をということで,社会教育人材とも連携をしながら,高齢者や障害者,外国人の生活に必要な学びなどを福祉部局とも連携しながら支援する。また,不登校や貧困等の課題を抱えた子供たちの学びを支援したり,また,さらに大学等で学びたいような方に情報提供できるような,リカレント教育の検索サイト,マナパスとの連携なども中心にやっていけないかと書いてございます。

 その周辺,周りには,左側の方には,他の行政施策ですとか部局と連携して,住民の多様なニーズに応えていくようにしようということで,分科会で御議論いただいたような各関係省庁の施策なども並べてございますし,左下では,施設の複合化にも触れてございます。

 また,真ん中の上の方には,先ほど御紹介したネットワークとの連携の話を書いております。右側に参りますと,地域住民に公民館運営に参画をしていただくということで,住民が行政に主体的に関わるような機会を提供するということもできないか,また,子供や若者も集うような,コミュニティーの拠点になるように,そうした若い世代の声の把握をしていくといったことも書いてございます。

 また,その次は,民間企業やNPOとの連携ということで,町内会や子供会も含めまして,様々な団体との協働をしていくことで,地域コミュニティーのつながりを強めたり,企業と連携してリアルな体験活動なども推進していきますので,そういったことに触れています。

 最後,右下のところでは,地域と学校の連携協働の推進ということで,コミュニティースクールや地域学校協働活動,これらを一体的に推進していくことで,保護者などともつながりが持てる,地域とつながりが持てる場にしていこうということでございます。

 その次のところでは,社会教育施設関係の課題と重点事項を並べてございまして,左の課題の方では,1つ目の課題として,住民のニーズが多様化しているので,従来の取組だけではニーズへの対応が困難になること, 2つ目として,様々な行政分野で社会教育的な学びとの連携が求められていること。3つ目として,様々な地域活動があるわけですけれども,それらの間の連携が十分ではないこと。4つ目として,リアルな集まれる場としての強みというのも十分に生かせていないのではないかといったこと。5つ目といたしまして,運営や評価への住民の参画が十分ではないのではないかといったこと。6つ目といたしまして,公民館での学びが,地域における実践の部分に十分には結びついていないのではないかといったことを課題として挙げております。

右側で,重点的に取り組む事項を明確化するということの1つ目には,他の行政施策や部局と連携して,多様な住民ニーズに対応していくということを1つ目に掲げ,また,2つ目には,地域との連携推進による地域づくりを主導していくのだということを2つ目に掲げております。そして,3つ目として,それらを支えるものでもあります,学び,また,特に実践の機能をしっかり強化をしていこうという3つを重点的な事項として掲げてございます。

 その次のページでは,先ほどの重点事項ごとに施策を並べておりますけれども,イメージ図と重複をいたしますので,ごく簡単に申し上げますと,重点事項の1は,先ほど申し上げた他の行政機関との連携の話をまとめてございます。それから,重点事項の2の方では,地域との連携の推進ということで,この中で,例えば民間企業やNPOというところで,企業との円滑な連携に向けて,営利的な活動の関係について整理や周知をしていく必要があるといったことにも触れてございます。

 また,大きな3つ目,重点事項3は,実践の場としての機能強化ということで,先ほど申し上げた施策を並べるとともに,社会教育人材のネットワークの連携が大事だということも触れてございます。

 一番下,横断的事項のところでは,改めて全体に関わることとしまして,社会教育施設のデジタル化やデジタル活用の推進といったことが1つ。それから,2つ目に,公民館に関しましては,設置,運営に関する基準において,こうしたことを明示していくといったことも考えるですとか,あるいは優良公民館表彰などで,毎年度,重点分野を設定して,事例の収集や横展開に当たるといったことも挙げてございます。これが重点についてのイメージ図でございまして,もう一つの資料,資料32の方で,今の重点ごとに,さらに中身について書かせていただいているという内容になってございます。

 32を御覧いただきますと,1ページ目の具体策①のところでは,先ほど申し上げたような内容も書かれておりますが,例えば,具体策①の2つ目のポツにございますように,ネットワークというものについて,基本的には,令和5年度にネットワーク化の手法を調査,検討し,令和6年度中に,ネットワークを構築していくというようなスケジュール感についても,書けるものに関しては書かせていただいてございまして,本日の議論も踏まえて,こうした具体的施策に関しては,例えば次回の分科会などで,スケジュール感を示した工程表のような形でお示しできると良いなと思ってございます。

 また,ネットワーク化については,5年度に検討していくわけですけれども,その際に,早くから着手できるものがないかといった視点も含めて,検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 具体策②の方は修了証書の話でございまして,次のページの方では,講習や研修の充実ということで,例えば,具体策の②のところでは,社会教育主事と社会教育士の役割分担なども踏まえた上で,講習と研修の内容の精査などもしていくといったことにも触れておりますし,具体策③ところでは,公民館のみならず,図書館とかの職員に対する研修の話にも触れながら,オンデマンド化の話などもしております。

 4ページ目を御覧いただきますと,社会教育主事の配置に関しましては,自治体に呼びかけていくということではあるんですけれども,その際に,具体策①のところにございますように,課題ですとか,課題を乗り越えた好事例といったものを把握しながら,働きかけをしていきたいと考えておりまして,それは,具体策②の公民館主事や推進員などのところでも,課題やそれを乗り越えたといったところの,実際に役に立つ情報を横展開できるようにしていきたいと考えてございます。

 5ページ目に参りまして,地域振興分野等での人材の確保ということに関しましては,仕組みを周知していくと。その際に,先ほど申し上げました社会教育マイスターといったものも活用しながらやっていけないかということと,社会教育部局から,協力の働きかけを容易にするといったことにもつなげていきたいと考えてございます。

 それから,その次のページでございますけれども,講習の機会の拡大のことに関しましては,1つ目のポツにもございますように,講習のデジタル完結といったことで,オンラインを希望する受講者が,オンラインのみで受講を完結できるような形に,デジタル技術の活用を促していくと。これについては,2つ目のポツにあります,令和6年度から社会教育主事講習のデジタル完結に向けて,国立教育政策研究所の社会教育実践研究センターなどにおきまして,試験的に,それに取り組めないかということを書かせていただいてございます。

 それから,その次のところはオンデマンドの活用ですとか夜間や休日を充実するといったこと,また,受講機会については,科目代替の話に加え,海外の大学卒業者の取扱いなどについても,しっかり明確にしていこうということでございます。

 7ページ目を御覧いただきますと,横断的事項,社会教育人材の関係で,横断的な事項でございますので,先ほど申し上げたような生涯学習分科会において議論いただくということに加えまして,具体策②のところでは,講習の名称につきましても,社会教育主事講習といった名称がいいのかどうかなどというのも含めて検討するといったこと。それから,時々御説明しました社会教育マイスターについて,コミュニティースクールマイスターの活動などを踏まえながら創設をしていけたらということを入れてございます。

 また,EBPMにつきましては,今,各学校に学校コードというのを振って,データを集めやすく,あるいはデータを分析しやすくしておりますけれども,同じように,社会教育施設についてもコードを振ったりすることで調査手法の改善をし,様々な調査を横断したデータの分析などができるようにしていきたいという趣旨のことでございます。

 その次,8ページ目に関しましては,再掲が多いので省略をさせていただきますけれども,PFIなどにつきましても,財源の確保方法なども含めて,事例を周知していきたいと考えてございますし,社会教育デジタル活用等推進事業なども活用しながら実施をしていきたいと考えてございます。

 9ページ目に参りますと,公民館の評価や改善の在り方については,地域住民の意向の反映ということでございますが,具体策としては,例えば,社会教育計画策定ハンドブックのようなものを改訂していくといったことも考えられるのではないか。また,その次の具体策②のところでは,途中でも申しましたように,社会教育法の2311号というところで,公民館が専ら営利を目的とした事業を行うのは駄目なのですということが書かれておりますが,これが,民間企業との連携の妨げになっているといった指摘もありますので,その部分をうまく,趣旨や解釈を周知していければということでございます。

 そのほか,下の方にございますのは,先ほどと重なりますので,具体策の⑤だけ触れさせていただくと,学校教育と社会教育の連携強化のところで,地域課題の解決などを通じた探究的な学びですとかとの関係,あるいは,教員の負担軽減などの関係でも,優良事例を示していけないかと考えてございます。

 次のページでは,社会的包摂の実現に向けてということで,1番目には先ほど申し上げたような高齢者などの対応,あるいは不登校や貧困などの対応,また,2つ目にはマナパスの関係,3つ目では,デジタルとリアルの,言葉については,先ほどの御指摘を全体調整しながら書かせていただこうと思いますけれども,それらに触れさせていただいてございます。

 具体策の④では,より具体的にデジタル庁,あるいは,総務省の具体的な事業とも連携しながら進めてまいりたいということを書かせていただいてございます。

 最後,横断的な事項といたしまして,先ほど触れたようなデジタル化の推進をしていくこと,基準の改定,それから表彰についても触れさせていただいてございます。

 少し長くなりましたが,以上でございます。

【清原分科会長】 
 神山課長,御説明ありがとうございます。

 以上,資料2の,生涯学習・社会教育に関する追加ヒアリングの結果,資料31の今後の生涯学習・社会教育に関する振興方策の重点事項案と,32の具体策案について御説明いただきました。当初は,重点事項案と具体策案を分けて御議論いただこうと思ったのですが,ただいま神山課長の御説明を伺っておりますと,資料はそれぞれに密接に関係がなされていると思いましたので,これから予定時刻を目安に,今,御説明いただきました,資料2の追加ヒアリング,そして資料31の重点事項,32の具体策を総合的に踏まえて,皆様からの御質疑,そして御意見を頂きたいと思います。

 第11期の任期は来年の3月までとなっておりますけれども,8月に生涯学習分科会として取りまとめた議論の整理を踏まえて,本日,御説明いただいたように,具体的な政策について事務局で案をつくっていただきました。少なくとも,今期はあと1回,分科会でしっかりと意見交換はできますけれども,まだまだ必要な部分については,第12期にバトンを渡していきたいと思います。そのためにも,今回と次回の意見交換は極めて重要になってまいります。どなたからでも結構でございます。是非,事務局で作成していただきました,重点事項案と具体策案,そしてヒアリングを踏まえて,御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。どなたからでも。

 お手が挙がりました。それでは,大久保委員,中野委員,清水委員,山内委員,辻委員,伊東委員,関委員の順でお願いいたします。まず,大久保委員,お願いいたします。

【大久保委員】 
 大久保でございます。ありがとうございます。

 2点,私の方で,お話を伺っていて感じたことをお伝えしたいと思います。おおむねデジタルとリアル双方の教育機会の提供によるつながりづくりというところに関連する話です。

 1つは,先ほどデジタルとリアルという2項の話もあったのですけれど,今,企業の中で,出勤してやる仕事とリモートワークでやる仕事というのは,どのように分ければいいのだという議論があって,最初,創造的な議論をするときは出勤してやった方がいいのではないかというような議論があったのですけれど,技術が進化するに従って,そのような2項対立の議論はあまり意味を成さないという結論になりました。現在は,一人一人が単独で仕事を進めていくのと,人と集まって一緒に仕事をするものというのはどういう効果の違いがあるのかという議論になってきているのですよね。つまり,集まるというのは,対面で集まるのもオンラインで集まるのも集まるということは同じ。感情を共有するとか気づきを得るとか,あとは一体感を醸成するとか,自己開示を進めるとか,こういうのは集まってやるときにできることだと。それは出勤でもオンラインでもどちらでもいいということが言われるようになりました。

 逆に,自分で考えて何かをまとめていくみたいなことだと,むしろ1人で,人から邪魔されずに黙々と仕事をした方が,生産性が圧倒的に高いのです。

会社に出勤して,1日誰とも話さずに黙々とワークスペースで作業だけして帰るという人がいるのですけれど,そういう出勤の仕方はあまり効率的じゃないよねみたいな議論をしているのですけれど,翻って,今回の議論でも,デジタル,リアルという言葉の問題だけではなくて,オンデマンドでできた方が効率的でいいよという声と,集まってやりたいという声とか,出ているような気がするのですが,その分け方をどういうふうにするのが一番いいのかということは,もう少し踏み込んで考えた方がいいのだろうと思います。

何となくデジタルとリアルという分類によって,議論が表面的になっているのじゃないかという感じがしています。

 それからもう一つは,企業をきちんと巻き込んで,学習のプラットフォームをつくっていくということがとても大事じゃないかと私は思っていまして,一言触れられているもののあまり強調されていないのですけれど,もう少し大事なメッセージとしてはっきり書いてもいいのではないかと思います。

今,政府全体の施策として円滑な労働移動の推進というのをかなり強く打ち出していますよね。そういう環境を整備しようとしているのですが,労働移動の機会というのは,確かに転職を通じて,やりがいのある仕事を得たりとか賃金を上げたりする可能性もあるのですけれど,同時に,仕事から離れて長期失業になったり,あるいは孤立したりとか,そのまま無業になってしまったりというような,そういうリスクにもつながっていくものだと思うのです。

 そういうときに,下地として生涯学習の環境が整備されているということはとても大事なことだと思います。企業内のOJTが,かなり崩れているのです。崩れて当然です。年齢ピラミッドが昔のような形ではなくなってきて,技術の進化が速くなって,上の人が教えられるわけでもなくなって,さらにテレワークが加速していくとOJTって機能しなくなるわけです。どちらかといえば,企業の中でも最近はリスキリングをやっていこう,進めていこうと,リスキリングは企業だけでできないから,外と提携してやっていこうとか外部コンテンツを使おうとなってきているので,企業の側の教育も随分変化をしてきていますから,企業も教育に対してオープンになってくると思うので,地域の学習プラットフォームの方に,企業を巻き込んでいくとか,あるいは,企業人であり社会教育士でもある人たちが,ネットワークの結束点になるとかということを重視して,柱の1つであった方がいいかなと私は感じました。

 以上2点,意見として申し上げさせていただきたいと思います。

【清原分科会長】 
 大久保委員,ありがとうございます。長引くコロナ禍で働き方が変わっている,その実態を踏まえて,1人で行うのか,集まって行うのかという区分の重要性,問題提起いただきましたし,企業,そして,「労働の移動」というキーワードを頂きまして,問題提起を受け止めさせていただきました。

 実は,続いて,辻委員と思っていたのですけれど,最初に問題提起いただきまして,デジタルとリアルのことについてお話しいただいた,山内委員に関連して御発言を続けていただいて,その後,辻委員からということでお願いいたします。山内委員,お願いいたします。

【山内委員】 
 ありがとうございます。実は関連しているので,そうしていただくと助かります。

 かなり社会教育関係の人材養成で,オンライン完結を進めようということが出ていて,ヒアリングの結果からもそういうニーズが強いのは私もよく分かるのですが,少しそこが自己目的化しないように注意が必要かなと思っておりまして,当然受ける方の御都合を考えれば,それはそれでいいのですが,同時に社会教育人材の質を保障するという観点もとても重要で,先ほどの御意見にもありましたが,普通の知識習得型の授業でも,オンラインだけだとエモーショナルエンゲージメントが下がるという実証データがいろいろ出てきていて,士気は変わらないのだけれど,そういうところに差があるということが分かっているのと,あと,社会教育関係の人材というのは,先ほどの話で,要するに対面でもオンラインでも学習をコーディネートして,それをさらにつながなきゃいけないということが職務内容に入っているということを考えると,本当にオンラインだけで完全に完結して,質保証ができるのかということは,少しいろいろ工夫が必要なのではないかという気はいたします,正直。なので,例えばオンラインで完結するにしても,こういうオンラインコースがありますけれども,対面で,要するに自分で実施をして,それをオンラインで報告するみたいな形式のオンライン完結というやり方もあると思いますが,とにかくいろいろ工夫をして,要するに社会教育主事として必要なスキルが身につけられるということを条件にオンライン完結ということは,少し何というのですか,くぎを刺すというか,そういう表現が入った方が安全ではないかと思いました。

 私からは以上です。
 

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。「オンライン完結」という言葉が出てまいりましたけれども,社会教育人材の質の観点からも,対面でもオンラインでもコーディネートできる能力などを視野に入れながら,自己目的化しないように配慮しつつ,検討するという問題提起です。ありがとうございます。

 それでは,辻委員,お願いいたします。

【辻委員】 
 ありがとうございました。私からは,社会教育人材のネットワークという言葉がよく出てきたので,それに関わって,2点お話ししたいと思います。

 愛知県のある町で,障害者関係で,ボランティア活動をしていた団体さんがNPOを取得して活動を始めると,社会教育で面倒を見るのですかみたいなことを言われたらしいのです。要するに,これはもう市民活動なのではないかと,そんな判断なのかなと思われるわけですけれども,今,文部科学省の方でお示しいただいたものは,NPOは随分,社会教育をやっているという理解ですし,それから,NPOを申請するときに,複数の領域を申請することができる社会教育って意外に多いのですよね。複数にすると多いということがありますから,これを機械的に市民活動の方にとならないように,何か文部科学省の方から,各自治体の方にお知らせを頂くとか,そんなことができないかと思いました。

 もっとも,NPOでかなりの事業性があって,非営利なのだけれども,大きなお金が動いているというところを社会教育とみなすというのが,長年の慣行から見て,何かやりにくいところはあると思うのですけれども,そういうことで,自治体の中で,あまりNPOを歓迎しないという雰囲気もあるかもしれませんので,お願いしたいと思いました。

 それから,もう1点は,社会教育士と社会教育主事という言葉が並列で書かれていたりするのですけれども,これからは,この関係がとても大事だと思っています。社会教育主事というのは,社会教育法だと,社会教育を行う者に指導,助言を与えるとかということになっていると思うのですけれども,それは,今までは文化協会とか体育協会とか,少し前であれば青年団とか婦人会とか,そういう団体を指導すると,そういうことで話は通ってきていたと思うのですけれども,NPOが,しかもその方々が社会教育士という称号も持ちながら活動されている。その団体さんに指導,助言をするとなったときに,社会教育主事の力量は物すごく高くなければいけないと思うのです。

 下手をすると,NPOなどがとても先進的なことをやろうと思っているのに,行政の社会教育課にいる社会教育主事が,いや,ストップをかけてしまうというようなことにもなりかねない。逆に,行政の組織を上手に使って,場合によっては補助金の申請の仕方だとか,そういうような行政ならではの力量というものを発揮して,社会教育士の方を支援していくと,そういう力量がこれから求められてくるかと思いますので,私が考えているのはまだ断片的ですけれども,文部科学省の方で総合的にお考えいただいて,社会教育士が育ってきたときに,社会教育主事をどうするのかということを考えていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 辻委員,ありがとうございました。社会教育主事と社会教育士の関係について,今,どなたかお答えになった方がいいですか。どうでしょうか。では,神山課長,一言お願いします。

【神山生涯学習推進課長】 
 御指摘ありがとうございます。社会教育主事と社会教育士の役割分担といったものは,今,御指摘のあった点も含めて重要な課題だと思っております。当面,ネットワーク化も含めた早くできるものと,議論がやや必要なものとを整理して対応を考える必要があると思います。今の指摘があった役割分担などは,早くできるものの実施状況なども踏まえながら,検討していただく必要があると思っておりますので,恐らく中教審の生涯学習分科会の中での主要議題の1つとさせていただく必要があろうかなと思っております。その中で,今の御指摘も踏まえながらできる部分については,早めに進めていくということかなと思ってございます。

 以上でございます。

【辻委員】 
 よろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。第11期の私たちの議論の整理でも,社会教育士は現在,称号となっておりますけれども,社会教育主事資格との関係について,しっかりと検討すると提案もさせていただいておりますので,是非重点的な課題の1つとして位置づけられるのではないかなと思っております。

 それでは,続きまして,清水委員,中野委員,伊東委員,関委員の順で,まず,清水委員,お願いいたします。

【清水委員】 
 ありがとうございます。日本PTAの清水です。資料の取りまとめ,ありがとうございます。

 私は以前から,生涯学習分科会の中で,特に地域と学校の連携,協働の推進という部分において,特に,コミュニティースクールの関わりに関して,PTAの重要性というのをよく訴えてまいりました。今日の資料の中にも,参考資料の12の資料の中で,地域と学校の連携,協働の推進というところの15ページのところにも,PTAという文言を入れていただいております。いわゆるPTAの経験者,PTAをやっているものが地域との連携という部分においても非常に重要だという部分を酌んでいただいて,そのような文言も入れていただけたと認識をしています。

 本日の新たな資料,資料31であったり,32のところにおいて,改めて目を通させていただきますと,地域,学校の連携,協働の推進という内容のところに関しまして,残念ながら,PTAという言葉尻というところが1つもなかったものですから,例えばそういったところが入れられる箇所があるならば,是非ともそういったものをこちらの資料の方にも,また付け加えていただきますと,大変ありがたく感じます。

 最近,私もPTAの関係者と,社会教育士の話も,最近よく話が出ます。経験された方々が,社会教育士に興味を持って受講されて,無事に称号を取られたという話も,最近よくそんなような話も聞きますし,PTA活動を一生懸命された方々というのは,より御熱心な方が多いものですから,たくさんそういった方々を,また引き連れて,また流れとして引っ張っていきたいと思っておりますので,先ほどのことも含めまして,是非とも御検討いただければと思います。

 以上,意見です。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 清水委員,ありがとうございます。先ほど大久保委員からは企業について,もう少ししっかりと書き込んではどうかという問題提起を頂きましたし,辻委員からは,NPOについても,しかるべくという御意見いただきましたし,ただいま清水委員からはPTAということでございます。社会教育・生涯学習の担い手,あるいは,活動されている分野の広がりということを認識しつつ,整理をきちんとしていきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは,続きまして,中野委員,お願いいたします。

【中野委員】 
 浅口市の中野でございます。お世話になります。

 8月に議論の整理がまとまって,その後,具体的に施策の検討を進めるという必要性について,清原部会長から説明があったので,こういう形の提案を頂いていますし,今後はスケジュールのことも考えながらということになると,本当に実現に向けて夢がかなえられるのかなということを感じているところです。

 そういった中で,前回は各論についてという文書でのまとめがあったのですが,こういった形にまとめられるのかなということで,教えていただきたいという点と,それから,前回,各論について,後半部分の意見を私の方から述べたかったので,その点について,まず,お話しします。

 資料329ページのところに,地域と学校の連携,協働の推進についてということがありますが,具体策④,⑤のコミュニティースクールと地域学校協働活動の一体的推進についてというところです。その中に,地域学校協働活動推進員の常駐化という文言があるのですが,地域学校協働活動推進員,これは,学校と地域をつなぐ本当に大切な役割であると思っています。例えば学校に週1日でも常駐化することで,学校の様子が分かって,教育の活動のニーズもより的確に把握できると思うのです。さらに地域への連絡とか調整もスムーズに行われると思います。

 コミュニティースクールの委員となって,コミュニティースクールの運営についても役割が担えると,学校運営のパートナーになり得るのかなということを思っています。コミュニティースクールというのは,働き方改革にも資すると考えるのですが,学校の方としては,教頭先生や事務職員などが運営とか事務,それから連絡調整役になっている場合もあって,特に教頭先生の方が地域連携やPTA活動など,本当に仕事も多くて負担が大きくなっています。働き方改革に,こういった点では逆行しているかなと思う中で,地域学校協働活動推進員の常駐化を進めるということが大切かなと思っているので,常態化の推進か何か,少しここを強調していただけるといいのかなと思っています。

 社会教育士とか社会教育主事の資格によって,地域学校協働活動推進員の専門性の向上というのはもちろんですけれど,機能の強化というか,この辺りの方策が考えられると,さらに進んでいくかなと思います。

 もう一つ,2点目なのですが,議論の整理の中には,15ページの部活動の地域移行についての記述がありました。先ほど,前半で金子委員からお話があったのですが,私も部活動の地域移行については,本当に共感する部分が多かったです。部活動の地域移行というのは,今後の地域のスポーツ活動や文化活動の推進に関わる本当に大切なことだと思っています。やり方によっては,地域のスポーツ活動や文化活動の維持継続とか,それから活性化とかという点でもチャンスであると捉えています。地域の教育力が問われると思いますし,指導に関わる方々の教育力を向上させなくてはいけないなということも思います。社会教育施設や社会体育施設,社会教育関係団体など,各種団体との連携などで,社会教育として大切な部分だと思うので,具体策に入れることも検討していただきたいかなと思います。

 2点でした。よろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 中野委員,ありがとうございます。地域学校協働活動推進員の常駐化と,それからクラブ活動の地域化に関して,積極的な取組をという御提案でございました。

 続きまして,それでは,伊東委員,関委員,松本委員,千葉委員,萩原委員,澤野委員の順番で,では,まず,伊東委員,お願いします。

【伊東委員】 
 宮城県教育委員会教育長の伊東でございます。本当に詳細なヒアリング,そして資料を作成いただきまして,ありがとうございます。先進的な取組など,非常に参考になるものだなと思っております。

 一方で今回,公民館等を地域の拠点としていくという方向でいろいろと御検討がされているという中で,前回の資料で,公民館の数が減少しているということなどのデータがございました。そもそも,どの程度の数が必要なのかとか,どの程度が望ましいのかというような見方もあると思いますし,地域の人口減少ですとか,高齢化の進展とか施設が老朽化しているとか,様々要因があると思うのですけれども,そうした非常に先進的な取組をしている事例もそうなのですが,なかなか,そういかないところ,こういう点をどう考えていくかというのも,この際,検討が必要なのではないかなと思っています。

 これに関しては,もう今更の話かもしれませんけれども,全国の都道府県の教育長協議会では,国への施策,予算の要望において,社会教育については公民館等の社会教育施設の改築とか長寿命化等に対しての補助制度ですとか,あるいは災害があってもなかなか補助がないとか,そういうところが要望されているのです。それで,これに関しては,もう整理済みなのだということかもしれないのですけれども,地方分権の中で,市町村の事務として,市町村の財源でと整理されていく中だと,やはりなかなか市町村の中では優先順位をつけていくというところで,いろいろな差が出てくるというのは当然かなと思います。

 なので,今回,改めまして,コミュニティーの重要性ですとか社会教育の重要性とか,誰1人取り残さない社会づくりという方向性を打ち出して,公民館を国として,日本として,社会の非常に重要な基盤だと位置づけていくということであれば,そうした役割というか,どこがどう役割を持っていくのかという議論,財源も含めてですけれど,そういうものが必要なのかなと思っているところでございます。

 そういう意味でも,デジタル環境の整備については,そうしたきっかけになるのかなと思っておりますので,よろしくお願いします。以上です。

【清原分科会長】 
 伊東委員,ありがとうございます。公民館の重要性と,それに対する長寿命化等々に関わる適切な財政補助などについて,問題提起いただきました。

 実は本日,牧野委員,御欠席なのですけれども,伺いましたら,エジプトに日本の公民館のよさが普及していて,公民館に関する国際協力のために御出張ということでございますので,日本では当たり前になっているかもしれない公民館の意義というのが,外国の評価によって,改めて再確認されているという状況もあるかと思います。ありがとうございます。

 それでは,関委員,お願いいたします。

【関委員】 
 ありがとうございます。新居浜市の関でございます。今回の資料を拝見させていただいて,今までずっといろいろな議論をしてきたものが,本当にまとまってきたと考えております。

 特に,地域の学びと実践プラットフォームという考え方,この考え方に非常に共感するものでございます。プラットフォームというイメージ,人によって様々かもしれませんけれども,社会教育のいろいろな人材であったり,あるいは情報であったり,そして,公民館等のような場の機能全てがプラットフォームという言葉に集約されているのではないかなと私は思っております。

 様々な人がそこでつながっていく機会が生まれ,それらが広がっていくことによって,人づくり,地域づくりが進化発展し,まさに今議論されているウェルビーイング実現とつながると思います。個人一人一人の幸せだけで完結するのではなく,地域みんなの幸せにつながっていくような,そういう拠点となり得る場が再整備されることによって,地域社会が元気になっていくものと考えます。是非,こういった議論を進められる中で,これから先の新しい社会教育の方向性が明確になればいいのではないかと思います。

 あと,先ほども社会教育主事と社会教育士の話がありましたが,私は以前も同様の話をしたと思うのですが,両者は本来違う性格の人材であるべきではないかと考えております。社会教育士として,地域という野にあって活躍する人と,行政の中で公の社会教育の方向性を調整している社会教育主事の機能というものは,時にぶつかり合いながら,その中でお互いが切磋琢磨(せっさたくま)されていくような関係性の方が望ましいのではないかと思っております。

 また,先ほど,社会教育主事講習のお話がございました。私も,オンラインで全てが完結するものという考え方は若干危険ではないかというイメージを持っております。人と人との関係性は,実際の交流であったり,あるいは,共にいろいろな議論を交わす中で成熟していくものではないかと思っております。講師からの承り方式の講義以外の領域については,何らかの形で人と人がリアルにつながっていく場を設定すべきだと思っております。そこでの繋(つな)がりが次の学びに発展していくものと考えます。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 関委員,ありがとうございます。地域の学びと実践のプラットフォームという,このキーワードについて共感をしていただくとともに,社会教育主事,社会教育士について,また,研修について,御意見いただきました。

 それでは,あと20分足らずでございますが,松本委員,千葉委員,萩原委員,澤野委員,内田委員,宮城委員,御発言していただければと思いますので,時間のことについても御配慮いただきながら,是非積極的に御発言をお願いします。松本委員,お願いします。

【松本委員】 
 松本でございます。施策の方向性,重点の方向性,非常に11期の議論の整理をしていただいた上で,良い方向にまとめていただいたかなと思いながら見ておりました。その中で,私も2点申し上げたいと思っております。

 1点目が,主に,例えばページで言いますと,まず,資料31の方の,これでいいますと,例えば,3ページ目になるのでしょうか,その辺りにも言えることだと思うのですけれども,全体として,学び,それから実践のプラットフォームというのはとてもいいキーワードだと思いながら,それぞれ,そんなことはないというニュアンスと理解しているのですけれども,個に対して,個々人に対しての学びと実践のプラットフォームという形での意志は,思いはとても感じるような書きぶりになっているのですけれども,もしかすると,学び合いであるとか,あるいはつながり合いであるとか,その辺りが私たちのまさに分科会の議論の中では,よくされていた言葉ではなかったかというところを少し感じました。学び合いとか共助の視点,これはまさに生涯学習分科会の議論の整理の中でも,地域コミュニティーの基盤ということがキーワードとなっておりますが,そういう中で,社会環境をいかに豊かにするかということも大事な視点であったかと思います。

 そういう意味では,もう少し学び合いとか共助の視点とか,その辺りも社会教育士や社会教育主事の役割としても入れていただいてもいいのではないかと感じました。あるいは,そうですね,社会教育機関の生かし方もそうだと思います。そういった点が1つです。

 もう一つが,少し細かい点で恐縮なのですけれども,同じ資料の6ページや8ページに書いていただいております,まさにこれ,今の6ページで言いますと,右下になりますけれども,地域と学校の連携,協働の推進というところでございますが,少し細かくて恐縮なのですけれども,私たちの立場からしますと,私たちは保育,幼児教育も携わっておりまして,そういう意味でいうと,いわゆる幼稚園とかこども園の園も入れていただけると良いのではないかなと感じるところもございました。

 先ほど,まさに3期教育振興基本計画の指標の状況の中でも,地域において子育ての悩みや不安を相談できる人がいる保護者の割合が低下しているとか,そういった課題もあったかと思います。そういう点でも,子育て支援をしている園を連携の対象に入れていくということは忘れずにおきたいなというところもございまして,以上2点述べさせていただきました。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 松本委員,大変重要な御指摘ありがとうございます。資料311ページ目には,真ん中に「ウェルビーイングの実現,共に学び,支え合う生涯学習・社会教育」とあるわけですから,これを忘れてはいけないので,ほかの図などを書くときにも,必ずこの「共に学び,支え合う」部分が感じ取れるようにという御指摘です。そして学校だけではなくて,保育園やこども園や幼稚園という園というのも重要です。ありがとうございます。

 それでは,お待たせいたしました。千葉委員,お願いいたします。

【千葉委員】 
 ありがとうございます。今後の生涯学習・社会教育の振興方策について,これにつきましては,主たる役割について,大変うまくまとめていただいていると思います。その上で,私の立場から一言,意見を申し上げさせていただきます。

 まず,私ども生涯学習分科会におきましても,VUCAというような単語がよく登場をいたしております。いわゆるノンリニアな時代,また,正解のない時代というのがやってくるということが,その趣旨であるかと思いますけれども,そういう時代において重要なことは,教育振興基本計画の第3期にあります,夢と志を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力を育成するということが大切ではないかと思います。我々,生涯学習におきましても,夢と志というのは,やはり大切にしていくキーワードではないかと思います。

 我々が育ってきた,私が育ってきた昭和の時代には,大変明るい夢や志がございましたけれども,現在は,日本人の平均年齢も48.6歳というようなことにもなっておりますし,過去のように,昭和,男性,日本人,そういう確立された人たちで様々なことをけん引してまいりましたけれども,これからは外国の方を含めた国籍,また,年齢についても,大変幅広く考える必要がありますし,性別についてももちろんであります。そういう人たちが,共に学んで,共に生きていくというのはこれからの時代ではないかと思います。

 ラグビーのジャパンチームのような,ああいう強さを発揮するのが,これからの日本の社会ではないかと私は考えております。そういう前提の中で,その夢や志というものを大切にして,未来の社会をつくっていく,その上で,外国人は弱者であるとか,障害者は弱者であるとか,若い人は何もできないとかということではなくて,全ての力を引き出して,共同で未来を開いていくということが大事かと思います。

 生涯学習についても,リンダ・グラットンさんが連続スペシャリストという言い方をされていますけれども,まさに学び直しの主たる目的はそういったところに,これからはなっていくのではないかと思います。そういう意味では,全ての人たちが挑戦をして,失敗が許されるような心理的安全性を持つ世の中にしていかないといけないと思いますので,公民館という名前も,調査の中では生涯学習センターに変えたというお話もございましたけれども,是非,そういう明るい未来に向けた方策をこれからつくっていっていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 千葉委員,ありがとうございます。夢,志,多様性を尊重する中で,失敗しても,それが取り戻せるということ,失敗が悪いことではないという大変重要な御指摘も頂きました。是非未来を切り開く生涯学習・社会教育の方向性を示し続けていきたいと思います。

 それでは,萩原委員,次に,澤野委員,内田委員,宮城委員です。萩原委員,お願いします。

【萩原委員】 
 ありがとうございました。おまとめいただきありがとうございます。

 最初,大久保委員,山内委員との意見と一緒で,社会教育士の研修であるとか,あるいは講習,そういったものの受講者の枠の拡大の中で,オンラインだけというのもありましたけれど,それはやはり,学びを通じた人づくり,つながりづくり,地域づくりということになったときに,人と人との関係性というのは非常に重要になってくるわけなので,例えばオンデマンド,オンライン,プラス,スクーリングという形で,実践であるとか実際的な学びというものを,きちっと対面等でできるような部分は残すべきではないかなと思っております。それが1点です。

 もう一つは,先ほどの子育て支援のところでの園も,幼稚園とかそういうところが必要だと。プラスアルファとして,生涯学習センターというか,社会教育センターとは位置づけられておりませんけれど,全国355ある男女共同参画センター,そういったところも,女性教育の非常に重要なポイントになっておりますので,そういったところも何らかの形で書いていただけると,今後,様々なイノベーションを起こしていくときにも,効果的な役割を果たしてくれるのではないかと思いますので,御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 萩原委員,ありがとうございます。対面が重要ということは,多くの委員が繰り返し言っていただいて,山内委員が口火を切っていただいて,やはり対面という言葉を,私たちは重視したいと思います。それから,教育委員会だけではなくて,市長部局との連携ということも私たちは大きく位置づけておりますので,男女共同参画センターとの連携というのは重要な方向性だと思います。ありがとうございます。

 それでは,澤野委員,お願いいたします。

【澤野委員】 
 ありがとうございます。澤野です。

 最初に,指標というところの中で,例えば家庭教育関係ですとか,まだ達成が,アンダーラインだった部分などが目につきました。多くの施策というか家庭教育支援とか学校と家庭,地域社会の連携というようなことは,もう既に20年以上前から,政策や事業として取り組まれていたことではないかと思います。そういう優良事例だけではなくて,なぜつまずいている部分があるのかというのは,過去のものも含めた政策評価というか,調査や分析なども是非行った上で議論が進んでいけばいいなということを感じました。

 それから,もう一つは,ほかにもいろいろあるのですが,1点だけ申し上げたいのは,さらっとしか御説明がなかった部分ですけれども,プラットフォームにも関わるところで,資料328ページ目あたりに,社会教育施設の複合化と,官民連携,PFIでしょうか,というようなものがあったかと思います。公民館に関して,私のところに先日ハンガリーの生涯学習の専門家の方が,公民館を見たいという御希望があって訪問され,短い滞在期間でしたので,身近な渋谷区だけお見せしたのですけれど,区立の社会教育館などは大分老朽化をしています。それに対して,駅の近くにあるような,ヒカリエのコミュニティースペースなどはとても魅力的な施設です。お金もかかっているとは思うのですけれども,そういう財源の確保というのも非常に難しいところだと思いますが,例えばクラウドファンディングとか,ふるさと納税というのは,私はイメージがまだつかめていないのですけれども,そういう民間の力も活用するということも,今後,かなり重要になってくると思います。あと施設の複合化というところで,公民館だけではなくて,知的なリソースとして,図書館や博物館,美術館,これらはデジタル化の予算もついて,かなり進んでいるようですので,そういうデジタルアーカイブなども,市民の人たちが学びに活用できるような形での連携を進めていただきたいです。それから,地域に目を向ければ,青少年教育施設ですとかスポーツ施設ももちろんですが,先ほどお話のあった男女共同参画センターとか,そういう社会教育施設が連携し複合化された施設が,特に都市部では利用が進んでいると思います。プラットフォームという点では,大学とか専門学校,初等中等教育の学校との連携も大事かと思うのですが,社会教育施設そのものの複合化ということも,生涯学習センターの事例なども見ながら,是非御検討いただければと思った点です。以上です。

【清原分科会長】 
 澤野委員,ありがとうございます。施設の取組について,財源確保など御提案いただきました。

 実は残り時間,あと予定までは6分ぐらいございますけれども,せっかく挙手していただいておりますので,内田委員,宮城委員,薗田委員に御発言いただきたいと思います。少し,予定時刻を回るかと思いますが,御予定のある方は退席していただいて結構ですので,少し延長しても御発言いただきます。それでは,内田委員お願いいたします。

【内田委員】 
 大変よくまとめてくださっていて,包括的に地域の学びということに関して,その重要性というのが,よく表れた図版になっていたと思います。私のコメントは1つだけで,資料の31です。こちらに,1ページ目,ウェルビーイングの実現に向けた生涯学習・社会教育の推進ということも書かれていますし,2ページ目も期待される効果の中に,キーワードとしてちりばめられていると思います。

 ただ,今まで地域活動に関心がなかった方から見ると,何が変わったのだろうということがわかりづらいかもしれず,メッセージ性をもう少し強くしてもいいかなと思います。そういう意味では,例えば健康ということ,これはウェルビーイングの非常に重要な概念だと思うのですけれども,自分の健康もそうですし,地域の中での健康づくりということを考えるのだというような,そういう文言であるとか,あるいは,新しく学び合いが実現できるというような,より分かりやすい言葉というのが入っているということも重要ではないかと思いました。

 ウェルビーイングというのは私自身もよく言っていますし,とても大事な言葉だと思っているのですけれども,一方で,片仮名語ですので,どうしてもうまく届かないかもしれないという懸念もあります。そういった意味でも,地域での協働,それから健康の増進というような言葉を入れられる余地があるようであれば,御検討いただければと思いました。

 以上です。

【清原分科会長】 
 内田委員,ありがとうございます。長引く感染症の中で,健康というのが極めて重要なウェルビーイングの要素だということが再確認されておりますので,是非それを反映する方向で,皆様と御一緒に取り組めればと思っております。ありがとうございます。

 それでは,宮城委員,お願いいたします。

【宮城委員】 
 ありがとうございます。那覇市若狭公民館の宮城です。

 私の方からは,資料312ページですか,ウェルビーイングの実現について書かれてあるところです。松本委員,千葉委員の御発言と大分重なるところがあるとは思いますが,私も,共に学び合うというのは非常に重要なポイントだろうと思っていて,非常にいいなと思っているのですが,その,図の下の方,生活を支えるリテラシーの向上のところです。障害者,外国人等の学習ニーズへの対応等とある部分なのですが,これそのものは非常にいいことなのですけれども,ともするとも,実際,公民館等の現場の方からすると,こう発想しがちだなと思っています。

 例えば日本語教育が必要な外国人に日本語を教える,日本語を学ぶ機会をつくろう,日本食を学ぶ料理教室を開催しようなどと発想して,それを実践するということはあるかなと思うのです。それはそれとして,非常に有意義であるんですが,どうしても不足をしている人に対して学びを提供していきますみたいな視点が強くなっちゃうというようなイメージがあります。実際,社会包摂とか,そういうことを考えたときに,そういう学びを提供するというよりも,共に学び合うという視点でいうと,実は,出身地の料理を,私たち,地域の人が教えてもらうみたいな形で関わっていた方が逆に学びが深くなる場合があります。学びと実践というキーワードもいろいろ出てきていますけれども,実際,共に実践する中でお互いに学び合うということも多くあったりします。

 公民館の現場で,障害を持った方と子供たちが一緒に何か活動する。そのために,子供たちがどのように伝えたらいいのか,どのような配慮が必要なのかということで,また子供たちが学び合うとか,そういう,不足をしている人に学んでもらおうというような視点ではなくて,共に共生する仲間として一緒に活動する中で,お互いが学び合う,そういう場をうまくデザインしていくということが,社会教育・生涯学習を担う人たちには必要だろうなと思っていて,その視点が,何かうまく盛り込めたらいいなと思って,御発言させていただきました。

 以上です。

【清原分科会長】  ありがとうございます。宮城委員,先ほど千葉委員も御指摘されました,外国人や障害者の皆様は,支援する対象というよりも,一緒に学び合うパートナーというか,そういうことだと思います。そして子供たちも,若者たちももちろんそうであるというのは,私たちが今までも語り合ってきたことだと思いますので,是非そうした姿勢,方向性が反映されるようにということを,改めて御発言から確認させていただきました。ありがとうございます。

 それでは,委員の皆様の本日最後の発言です。薗田委員,お願いいたします。

【薗田委員】 
 取りまとめ,ありがとうございました。

最後になりますが私の方からは,1 点アイデア的かもしれませんが申し上げます。

今回,学習指導要領の中にも SDGs推進が入り,社会的な解決をしていく担い手を育成していく方針の中,実際に社会教育士の卵みたいな子供たちがたくさん育ってきているわけです。一方で,例えば社会教育士をこれから本格的に増やしていこうとしていますが,今,サイトを見たら月に 392 人とあり,10 年間でも5 万人程度です。それから大学では 108 校で,専門的なスキルを持った方々が増えても,10 年間では10 万人程度です。社会教育士育成は,すごくインパクトがあるため, 50 万人,100 万人ぐらい増やしていくことでさらに地域の中で活性化が進んでいくと思いますから,例えば思い切って,ジュニア社会教育士みたいな人を育てていくということはいかがでしょうか。子供たちの中で,例えばファシリテーション能力とかプレゼンテーション能力,あるいはコーディネート能力とかの社会教育士に必要な能力をもっと熟成させていくことも可能です。もちろん資格のハードルは下げなければいけませんが,そういった資格を子供たちに与え,いわゆる学びの拠点として,公民館や生涯学習センターというのを使えば,公民館も非常に活性化するかもしれません。かなり老朽化している公民館もあると思いますので,例えば先ほどお話に出たふるさと納税の企業版を使えば,非課税で 9 割,実際1割だけしか企業は払わなくていいので,資金を集めていくことができます。子供たちが主体的に関わるコンテンツがあると,非常に企業も拠出しやすい要素もありますので,子供版,ジュニア版 SDGs社会教育士みたいな制度を,もし今後検討していただければ地域活性化のポイントになると考えました。どうぞよろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 薗田委員,ありがとうございます。来年41日から「こども基本法」が施行されて,国及び自治体には,子供に関わることについては,子供の意見を表明する機会を保障して,それを反映するということが義務化されています。そうであるならば,子供たちの実践として,文部科学省では子供熟議や,子供と大人の熟議などの実践の経験もあるわけですから,生涯学習・社会教育の分野で,子供たちが,子供たちの意見を表明する機会をつくっていくという意味で,ジュニア社会教育士というのは,大変ユニークであるだけでなくて,現実的な御提案かなと,個人的には受け止めさせていただきました。

 本日も多様な御意見,本当に熱心に出していただきまして,ありがとうございます。本日,藤江総合教育政策局長に皆様の声を聞いていただいておりますので,年末でもございますので,時間は超過しておりますが,最後に一言局長から,お言葉をいただければと思います。よろしくお願いします。

【藤江総合教育政策局長】 
 ありがとうございます。今日は本当に示唆に富むお話を聞かせていただいてありがとうございます。

 私どもといたしましては,先生方に夏に議論の整理をまとめていただいて,それまでも御議論いただいていますし,その後も,いろいろ熱い議論をしていただいて積み重なってきたものを,是非具体的にどんなふうに進めていったらい
いかということを,次に進めていきたいということで,今回,振興方策についてというたたき台を示させていただきました。特に人材,社会教育人材と,あと施設の面からに焦点を当てて,どういう方向を目指して何をすべきかということを整理したものでございます。

 本日,本当に私もずっとうなずきながら聞かせていただいていたところですけれども,今日の議論も踏まえて,できることは早く,早速に,そして,さらなる検討が必要なものについては,次回の分科会ですとか,あるいは次期の分科会に引き継いでいくという形で検討を進めたいと思っておりまして,次回は少しスケジュール感も含めて,御提示させていただいて,御議論いただければと思っております。社会教育の改革を,教育という枠を超えて,広い地域づくりや社会という観点から,具体的にしっかりと進めていきたいという思いでおりますので,是非引き続きよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 藤江局長,ありがとうございました。皆様,ただいまお聞きいただきましたように,藤江局長を中心に,総合教育政策局では,生涯学習分科会の審議を踏まえて,生涯学習・社会教育の振興方策について,今期でも十分,次回も議論させていただきますし,来期の生涯学習分科会にもつながる整理と問題提起をするとともに,次回には今後の取組内容や工程表(スケジュール)の検討についても御報告いただくということでございますので,さらに時間軸を持った議論を私たちもできていくと思います。

 それでは,事務局から連絡事項をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局の中村でございます。

 資料4を御覧ください。今後の審議スケジュールとしては,次回の生涯学習分科会を令和5213日,月曜日の10時から12時での開催を予定しております。

 事務局からは以上でございます。

【清原分科会長】  どうもありがとうございます。

 それでは,本日の生涯学習分科会はこれにて閉会いたします。少し早いですが,皆様,メリークリスマス。そして,どうぞお健やかに,お幸せにお正月をお迎えください。熱心な御参加,本当にありがとうございます。閉会いたします。

 

―― 了 ―― 

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