生涯学習分科会(第121回) 議事録

1.日時

令和4年10月4日(火曜日)13時00分から15時00分

2.場所

文部科学省16階第1会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 今後の生涯学習・社会教育の振興方策について
  2. その他

4.出席者

委員

(分科会長) 清原分科会長
(副分科会長) 牧野副分科会長
(委員)内田委員,清水委員,中野委員,萩原委員
(臨時委員) 大久保委員,澤野委員,関委員,薗田委員,千葉委員,松本委員,宮城委員,山内委員,横尾委員

文部科学省

(事務局)藤江総合教育政策局長,里見大臣官房審議官,森友社会教育振興総括官,黄地地域学習推進課長,神山生涯学習推進課長,西民間教育事業振興室長 他

5.議事録

【清原分科会長】 
 皆様,こんにちは。分科会長,清原慶子です。定刻になりましたので,ただいまから第121回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。本日は,大変御多用のところ御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催させていただきます。
 なお,本日もYouTube上で,報道関係者及び一般の方々の傍聴を受け入れております。報道関係者等より,会議の全体について録画を行いたい旨,申出がありまして,許可しておりますので,御承知おきください。
 次に,事務局から,ウェブ会議運営に当たっての留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局の中村でございます。本日はウェブ会議方式にて開催させていただいております。御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から,4点ほどお願いをさせていただきます。
 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言いただくようお願いいたします。
 2点目,御発言の際には,お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
 3点目,御発言時以外は,マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
 4点目,発言に当たりまして,「手を挙げる」ボタンを押していただき,御発言の後にボタンを解除いただければと思います。
 お手数をおかけいたしますが,御協力のほど,よろしくお願いいたします。

 続きまして,資料の確認をさせていただきます。記事次第,資料1から資料3までの資料,そして,参考資料11と参考資料12,参考資料2,参考資料3を配付しております。参考資料1112は,今年830日に取りまとめ公表いたしました第11期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理の概要と本文となっております。参考資料2は,この議論の整理の参考資料データ集に,更に必要となるデータや事例等を追加したものとなっております。参考資料3は,令和5年度概算要求の総合教育政策局関連の事項のうち,特に議論の整理の内容に関係する事項をまとめた資料となっております。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 皆様,資料を御確認ください。
もう1点,議事に入ります前に,文部科学省で人事異動がございましたので,事務局から紹介をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局の中村でございます。事務局に人事異動がございましたので,新たに着任いたしました職員を御紹介いたします。総合教育政策局長の藤江陽子でございます。

【藤江総合教育政策局長】 
 藤江でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 社会教育振興総括官,政策課長の森友浩史でございます。本日,少し遅れて会議に参加させていただきます。
続きまして,総合教育政策局政策課企画官,教育企画調整官の西明夫でございます。

【西政策課企画官】 
 西です。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
 総合総合教育政策局長に就任されました藤江陽子局長はじめ,皆様,どうぞよろしくお願いいたします。
本日,文部科学省の会議室には,分科会長の私と,副分科会長の牧野委員がこちらから参加しておりますので御紹介いたします。よろしくお願いいたします。

 それでは,早速議題の1に入ります。

 今回は,830日に取りまとめました第11期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理の内容も踏まえまして,今後の生涯学習・社会教育に係る施策の具体化に向けた検討状況について,事務局から説明を頂きます。その後に,委員の皆様から御意見を頂き,それぞれのテーマについて意見交換を行いたいと思います。

 それでは,まず事務局から,資料1,資料2について,まとめて御説明を頂きます。その後,質疑応答,意見交換を行いたいと思いますので,皆様,どうぞよろしくお願いいたします。それでは,西企画官,資料1から御説明をお願いいたします。

【西政策課企画官】 
 事務局,西でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1と資料2の御説明の前に,少しデータ集について,修正というか加筆がございましたので,簡単にデータ集の補強を行った点について,概略を御説明申し上げたいと思います。
 本当にかいつまんででございますけれども,14ページ目でございます。公民館等社会教育施設のWiFiの整備状況についてのデータでございます。

【清原分科会長】 
 参考資料2でございます。皆様,参考資料2の生涯学習・社会教育に関するデータ集を開いてください。お願いします。

【西政策課企画官】 
 すみません。失礼いたしました。
 参考資料2でございますけれども,14ページ目,これは最新のデータになってございます。このページの左下のところに,平成311月時点というのが,無線LANWiFi等)が使える環境が,公民館で29.7%というデータがございましたけれども,今回少し上がりまして,36.5%ということになっております。けれども,引き続き63.5%はWiFiが利用できないという状況になっているという状況でございます。

 続きまして,18ページ目,このような社会教育デジタル活用を推進するために,文部科学省としては,令和5年度の概算要求ということで,15,200万円を新規の事業として打ち出しております。左下に図がございますけれども,文部科学省から,アドバイザーの事務局に対して委託をしまして,各地方公共団体との御相談体制をしっかりつくるということですとか,そこからアドバイザーを派遣するというようなサポート体制を構築するというようなものが主たる事業になってございます。

 19ページ目でございます。公民館に関する社会教育統計データということですけれども,左上,11の中で,公民館数がありますけれども,設置の館数について,平成17年度以降,減っているということ。右上を見ていただきますと,公民館運営審議会等の設置館率も減っているというようなことが分かっております。

 20ページ目を御覧いただきますと,中段,(21)評価の実施率ということで,公民館運営に関する評価について,「実施しています」というのが平成26年度から平成29年度にかけて,37%から43%に増加をしているということです。評価の具体的な方法については,余り変わっておりませんで,自己評価が一番多くて,外部評価,評価結果の公表について5割程度というものがデータとして上がっております。

 続きまして,23ページ目を御覧ください。公民館における営利事業,専ら営利を行ってはいけないということでございますけれども,その規定や解釈についてでございます。社会教育法の23条がよく論点に挙がってございますけれども,それについて資料で御用意をしてございます。23条そのものを書いておりますし,平成30年度には,23ページ目の下段の方ですけれども,文部科学省から各自治体に対して,この規定の趣旨が真ん中に書いてございますように,「公民館が,法第20条に掲げる目的を没却して専ら営利のみを追求することや,特定の営利事業に対して,使用回数や使用時間,使用料等に関して優遇するなど特に便宜を図り,それによって当該事業に利益を与えることを禁止するもので,公民館が営利事業に関わることを全面的に禁止するものではない」ということを平成30年度に通知をしております。

 続きまして,30ページ目をお開きください。30ページ目のところに,公民館における基本情報の整理ということでございます。30ページ目の左上,生涯学習センターの所管については,77%が教育委員会所管であるということ。(1)が,生涯学習センターは77%が教育委員会であって,公民館の設置者別については,市が70%,町が25%,村が5%ということになってございます。左下,施設の単独・複合の別で見ますと,単独施設が45%,複合施設になっているのは55%まで来ている。他方,右側,右下の公民館で見ていただきますと,単独施設が62%となっていて,この辺の若干の違いはあるのかなというふうに見て取れます。

 次,31ページ目を見ていただきますと,左上,生涯学習センターについてでございます。
指定管理の相手先ということで,教育委員会所管については指定していませんというのが73%,右側,首長部局が所管している生涯学習センターについては,指定管理は36%はしていませんけれども,財団法人ですとか,会社であるとか,NPO法人であるとか,いろいろなところに委託,指定管理をしているという違いが見て取れます。
その下は公民館でございまして,公民館については,いずれも指定はしていないというのが圧倒的に多いとなっております。

 32ページ目,地区町村立の設置状況ございます。生涯学習センターについては,設置していませんというのが84%,他方,公民館については,あります,設置していますというのが87%になっております。
 引き続きまして,33ページ目,都道府県別生涯学習センター又は公民館が存在する市区町村数の割合ということで,かなりばらつきがあるものの,総じて60%から90%というところにあります。

 34ページ目でございます。自己評価あるいは外部評価の状況でございます。
評価を行っているうちの自己評価につきましては,生涯学習センターが57%,公民館については,やっていませんというのが63%ありますという状況になっています。(62)外部評価のところですけれども,外部評価は,生涯学習センター,公民館,いずれも,やっていないというのが7割から8割といったところになっています。

 35ページ目を御覧いただきますと,引き続き実施されている事業内容ということで,生涯学習センターでどのような事業を実施していますかということを聞きました。(71)は学習相談,(72)が調査研究,(73)は指導者研修,(74)は学習成果評価,いずれも少し割合としては低い状況でございますけれども,諸集会主催実施につきましても39%で実施しているということになっておりまして,次の36ページ目を御覧いただきますと,特に下段のところ,学級や講座につきましては,主催実施状況として,主催を56%,共催まで入れると74%は,学級や講座といったものは生涯学習センターで行っていますというようなことでした。

 続きまして,37ページが,これは同じようなことを公民館について聞いてございます。
この辺の詳細につきましては,事務局で,現在,社会教育調査の分析を継続しておりまして,追って分科会にもお示ししたいと考えてございます。

 続きまして,お手元の資料,57ページ目まで飛んでいただきますと,司書数の推移というものがございます。図書館の司書に関する情報を,54ページ目から58ページ目まで追加をしております。57ページ目が司書数の推移ということで,司書,専任や兼任といった数はかなり減ってきてはおりますけれども,非常勤あるいは指定管理者である司書まで含めると,司書数全体としては,かなり増えてきているといったデータになってございます。

 60ページ目以降が,生涯学習インストラクター/生涯学習コーディネーターについてのデータでございます。そもそもインストラクターとコーディネーターの違いについて書いたものが60ページ目,どのような民間の社会通信講座で講座が行われているかというのが61ページ目,そこの中身が62ページ目で,こういった内容が教えられているということを書いてございます。

 63ページ目,64ページ目を御覧いただきますと,63ページ目が,インストラクターの主な数ですとか,男女別,年代別,職業別といった数字になってございます。
 64ページ目にございますのが,先ほどがインストラクターに対して,今度はコーディネーターでございますけれども,人数としては合計5,404名ということで,同じようなデータが並べてあります。

 どのような場所で活躍されているのかということをお尋ねしたのが65ページ目でございます。65ページ目を御覧いただきますと,かなり地域以外の部分でも,幼稚園,保育園,学校,公民館,図書館,高齢者・障がい者施設,NPO法人や大学や企業といったところで,様々なところで御活躍いただいているということが分かると思います。

 続きまして,68ページ目のところから追加しているものでございまして,コミュニティ・スクールの関係について記載をしてございます。とりわけ68ページ目から70ページ目のところが,令和5年度の概算要求でございます。引き続き,地域と学校の連携・協働体制を構築するための予算措置を,財務省に対して,今,要求をしているというところでございます。

 また,71ページ目,72ページ目にございますのが,同じくスポーツ庁の方から予算要求をしておりますけれども,いわゆる部活動の地域移行に関して必要な予算措置を講じているということを参考として追加をしてございます。

 73ページ目以降が,コミュニティ・スクールの導入の状況といった既存のデータがございましたけれども,それを令和451日現在のものに更新させていただいた資料ということになっておりますので,お時間があるときに御覧いただければというふうに思います。

 すみません。この時点で既に長くなっておるのですけれども,必要なデータ集ということで御紹介を申し上げました。お手元に,今度は議論の本題でございますけれども,資料1を御覧いただければというふうに思います。

 資料1に関しまして,1枚おめくりいただきますと,文部科学省において,8月から9月にいろいろな自治体にヒアリングを進めてまいりました。前回までの分科会におきまして議論をまとめていただきましたので,これを踏まえて,さらなる検討を進めるために,先進的あるいは特徴的な取組を行っている自治体に対してヒアリングを行ったというものでございます

 3ページ目をお開きください。
様々な自治体を通してヒアリングをしてまいりましたということで,まず,公民館の社会教育施設の関係施設の方についてでございます。現状,(1)公民館の利用者については,高齢者が中心であって利用者が固定しているということですとか,公民館利用や地域参加に制約を受けている層へのアプローチは課題だと感じていて,そのために子育て中の方や外国人,障害者等に対して一定の配慮を行った学級講座を実施しているというようなこと,3つ目のポツですけれども,地域コミュニティの担い手の確保ですとか,働く世代でも参加したいと思われる取組が必要だというふうに感じていますということでした。

 (2)番,子供の居場所のことでございます。
1番上のポツ,子供の居場所として,夏休みの子供の居場所づくりですとか,自習広場の開放,子供食堂などを行っているということです。
2番目のポツですが,地域の担い手不足が課題ということで,地域の中高生の活躍の場を設けたりして地域とのつながりをつくっていく取組をやっていますということでした。
4つ目のポツあたり,乳幼児親子を対象とした遊びと交流の場を設けて,一部にコーディネーターも配置している。あるいは,空きスペース等を中高生の自習学習の場として開放している。
一番下のポツの最下段ですけれども,地域と高校生との共同活動を通じた次世代育成に力を入れているといった取組が紹介されております。

 次のページ,(3)番,公民館のデジタル化・DXの状況ということで,WiFiルーターの貸出しを行っていますということ。あとは,ウェブ上で施設予約ができるシステムを導入を予定していますということ。あるいは,キャッシュレス決済の導入も検討している。オンラインを利用して,県外講師による講座,複数会場による講座,外国人留学生との交流,日本語教室などを実施しているということでした。
その下,真ん中,4番目のポツですけれども,下線部,設備充実のための補助金など,財源が必要だといった声もございました。
また,その2つ下ですけれども,デジタル活用を進める人材が不足しているということ。1番下のポツですけれども,一方で,デジタル化を進めていくに当たって,公民館利用者自身,特に高齢者が機能を扱えない場合も多く,課題と感じているという声が聞かれました。デジタルデバイドの解消に向けた取組ということで,シニア世代向けのスマートフォン講座を携帯電話会社に講師になってもらい開催をしたということ。個人情報の流出や詐欺などに巻き込まれることがないよう,安全な使用法や注意点も指導したということ。
その下,情報モラル研修会を開催している。情報セキュリティ研修を開催している。キャッシュレス決済講座を実施しているといった様々な取組の事例は聞けました。

 次のページ,5ページ目を御覧ください。(5)番,公民館の運営に関してでございます。
公民館運営審議会を設置していて,この中で課題の共有や解決策などを議論し,使用基準の人数制限の緩和ですとか,回数制限の緩和を行ったというようなこと。
2番目のポツの後段ですけれども,運営や事業全般にわたって,地域住民,利用者の意見やニーズを反映させているという声が聞こえました。
3つ目のポツ,「一方で」というところですけれども,外部評価については,職員の負担も大きいのだということがありまして,何をやるかとか,講座の開催数とかではなくて,住民の学習成果がまちづくりに生かされているか,市民からの声が反映できているかといったことの説明責任を果たすことが重要であるというようなことでした。
最後のポツ,下線はないのですけれども,デジタルリテラシーや防災に関する学習など,社会課題の解決のために行われる学習というのは,なかなか人が集まらないということで,地域住民と行政の意識の違いを課題と感じているという声もありました。

6)番,公民館職員を市長部局の併任として,市長部局所属の地域担当職員は各公民館で1名勤務,防災学習,高齢者見守り活動,地域主体の行事の開催支援,環境美化活動等を担当しているということでした。

 続きまして,6ページ目,(7)番,公民館における営利事業のところです。自治体主催の事業に付随する模擬店等については許可をしているというようなこと。
3つ目のポツの下線が引いてあるところですけれども,中段以降,文部科学省として,社会教育法第23条の解釈を事例に基づいて発信してほしいという声が聞かれました。
その2つ下のポツの下線ですが,主催講座に関連する書籍や教材の販売,公益性のある販売については認めていますといったことでした。
一番下のポツですけれども,広く市民を対象とした事業やイベント時の一時物販は認めている。ただ,今後,過疎化が進む中でということで,下線部の最後の方ですけれども,衣料品等の日用品の販売や,フリーマーケットのように地元で生産された商品の販売等ができると望ましいというようなことが意見として挙げられております。

 (8)番,公民館類似施設でございます。
一番上のポツの下線部分,交流センター内では,宿泊業,マーケットの経営,はがきや切手,植物の種などの販売を行っているというような事例も聞かれました。
2番目のポツ,地域自主組織による住民自治の推進が進むことで,生涯学習のみならず,地域づくり,地域福祉,自主防災等を含めた地域の拠点施設に位置づけて,地域住民が主体となって地域の課題やニーズに応じた自由度の高い活動が可能となって,活動拠点を整備することで,交流センターが学びの場だけではなく,地域課題解決に向けた実践の場となっているというような取組事例が聞かれました。

資料1については,以上でございます。

 先ほど御説明申し上げました関連のデータですとか,こういったヒアリングの結果を踏まえまして,文部科学省として,課題について整理をしたのが資料2になります。

 資料2の構成でございますけれども,(1)番から始まりますが,公民館等の機能強化についてということで,先だっておまとめいただいた議論について記載事項を中段にまとめてございます。
 その上で,各論点についてでございますけれども,ア,子供の居場所としての公民館の活用をどういうふうに考えるかといったことについてですけれども,今ほど御説明申し上げたようなヒアリングの結果や関連データを抜粋して書いてございます。こういったことを踏まえまして,今後,検討の必要な事項としての事務局の考えでございますけれども,子供の居場所としての活用を含め,公民館における子供や保護者を対象とした活動の推進を具体的にどう進めていくか。2ページ目にお進みいただきまして,子供世代の学習の場としても求められる社会教育施設のデジタル化への支援をどうやって進めていくかといったことを課題として認識しております。

 次に,イ,各地方公共団体における関連施設・施策や民間企業等との連携ということに関して,ヒアリング結果や関連データを踏まえまして,今後検討が必要な事項として下段にまとめておりますが,1つには,地域コミュニティの維持・活性化に向けた首長部局所管施策との連携の具体策をどう考えるか。
2番目の四角ですけれども,住民自治,農業,福祉等の各省庁のコミュニティ関連施策との連携。
社会教育施設を含めた施設の複合化による機能強化。具体的には,多様な財源調達方法の整理ですとか,PFI等の活用による官民連携の推進というようなことです。
4つ目ですけれども,社会教育法第23条第1項第1号の解釈を踏まえた,民間企業等の公民館の活用や,公民館を活用した営利活動の事例の収集・整理,これらを踏まえた情報発信をどうするかというようなことです。

 3ページ目にお進みいただきまして,ウです。
地域住民や有識者からの外部評価を活用した運営の改善ということにつきまして,今後検討が必要な事項として,公民館運営審議会等の活用による外部の視点を取り入れた評価の有効な取り入れ方。公民館の評価・改善(PDCAサイクル)の促進。社会の要請として行われる学習を促進する方法及び実施状況の評価の方法といったことについて検討が必要ではないかというふうに感じております。

 エの公民館への社会教育士の配置につきましては,後ほど触れさせていただきます。
4ページ目にお進みいただきまして,社会教育施設のデジタル基盤の強化ということに関しまして,今後検討が必要な事項として,子供世代の学習の場としても求められる社会教育施設のデジタル化への支援。公民館等のデジタル化に資する多様な財源調達手法の整理。公民館等におけるデジタル活用を支える人材の確保・育成。社会教育施設間の連携を含めた公民館のデジタル化によるサービス改善といったことが検討が必要というふうに考えてございます。

 次のカ,全ての世代のデジタルデバイド解消といったことについては,今後検討が必要な事項として,公民館等のデジタル化の進展。まず,公民館のデジタル化を推進した上で,具体的にどうやってデジタルデバイドを解消していくかというような具体的な取組方策についての検討が必要というふうに考えてございます。

 続きまして,5ページ目でございます。ここからは,議題の2番として,人材の話でございます。
 2ページ目のアでございますけれども,公民館や地域学校協働活動推進員等への社会教育士の配置・登用の促進でございます。6ページ目に書いてございますが,今後検討が必要な事項として,社会教育主事講習等を受けやすい環境を整備していくこと。例えばオンライン化や民間資格の活用等。学校教育における探究活動等への支援としての社会教育士の活用促進。地域学校協働活動推進員の専門性向上ということです。

 続きまして,イ,社会教育主事・社会教育士の称号保有者の資質向上・ネットワーク化でございます。今後検討が必要な事項として,自治体や社会教育士の意見も踏まえたネットワーク化の手法の検討。また,デジタル化など,現代的な諸課題を踏まえた社会教育主事,社会教育士の講習や研修の検討といったことに検討が必要だと考えてございます。

 次のウ,司書や学校司書の資質能力の向上ということにつきまして,今後検討が必要な事項としては,デジタル化など,現代的な諸課題を踏まえた講習や研修の検討といったことを挙げてございます。

 エ,社会教育主事講習のオンライン化でございます。今後検討が必要な事項として,全課程をオンラインで実施した事例を踏まえた,受講しやすい講習の在り方の検討といったことが考えられます。

 オ,社会教育士の役割の明確化,社会教育士の称号付与要件など制度の在り方についてでございます。
今後検討が必要な事項として,ヒアリング対象の拡大(社会教育主事講習を実施している教育機関や,社会教育主事養成課程の受講生等)。現場のニーズを踏まえた,社会教育士の役割,資格要件,講習内容の見直しの検討といったことを挙げてございます。

 (3)番,地域と学校の連携・協働の推進でございます。
 一番最後のページ,8ページ目にいっていただきまして,今後検討が必要な事項として,地域学校協働活動推進員の専門性の向上というところですとか,学校だけではカバーできない者,例えば,放課後や長期休業中,長期欠席者への教育機会や体験活動の提供について検討が必要ではないかというふうに考えてございます。

 失礼しました。私,説明のページを1つ飛ばしておりまして,資料17ページ目と8ページ目を,めくって丸ごと飛ばしてしまいました。大変失礼いたしました。社会教育人材関係のヒアリングの結果の部分でございます。 

 7ページ目,ヒアリングの結果ということで,自治体の取組の事例を聞き取ったものでございます。
 (1)の社会教育主事の配置やその役割といったことに関しまして,2番目のポツですけれども,図書館や博物館は司書・学芸員といった専門職がいますが,公民館にはそういった専門的な資格がなく,一般の行政職員が配置されているため,専門的な分野の知見が足りない状況ということですので,この実態におきましては,教育委員会事務局に社会教育主事を1名配置することに加えて,社会教育主事の資格を持った専門的な職員を配置しました。あわせて,公民館主事にも社会教育主事の発令を行って,地域自治の仕組み,公民館活動において専門的な視点から公民館主事の役割を果たすようにしているというような取組事例を紹介いただきました。
4番目のポツですけれども,専任の社会教育主事を廃止してしまったため,専門的職員がいなくなって,住民のニーズに合った事業の企画実施や体制が弱くなってきているといった現場の御意見がありました。

 (2)番,社会教育士の活躍の場やネットワーク化でございます。
 社会教育士を教育委員会の社会教育担当課内に会計年度任用職員として採用し,首長部局の職員と連携をして,国際交流事業に取り組んでいるというような事例がありました。
2番目でございますけれども,ネットワークづくりのために集まる機会の設定に向けて取り組んでいますというようなこと。
3番目,市の職員で社会教育士になっている人の数は把握できるのだけれども,職員以外で社会教育士の称号を取得している人の把握はできないために,行政との関係性の構築が困難になっているというような御意見がありました。 その下,社会教育士の緩いネットワークがあったり,そこで研修があったりするとよいというような御要望もございました。

 8ページ目,(3)番,主事講習についてでございます。
 専門性を生かすためには必要な研修だと思っているというようなポジティブな意見がございまして,3つ目,講習の場で別の受講者と交流ができたことは貴重だったというようなこと。
御要望でございますけれども,マネジメント能力やプレゼンテーション能力を高めるものを追加してほしいということや,社会教育主事講習等への参加については,宿泊などが必要であり,時間的,金銭的負担が大きい。日数の短縮やオンライン受講ができると,遠隔地からでも受講しやすく有り難い。
コロナ禍もあり,デジタルの活用方法といった研修も重要だと思うというようなことでした。
次の部分ですけれども,社会教育士としての能力を有している人がいるけれども,その人たちは必ずしも資格を持っているわけではないのだというようなこと。
業務の兼ね合いで主事講習を受けるのが難しい場合があるのだけれども,資質や能力がある人が主事講習なしで主事になる制度があれば,社会教育主事の配置促進が期待できるのではないかといった御意見がありました。

 (4)番,社会教育主事や社会教育士の継続研修についてでございます。
県の方でまとめて社会教育主事等を対象とした研修会を開催していまして,市町村がそれに参加するというような形を取っているということでした。
3つ目,新たな課題に対応するため,先進的かつ多様な取組や新たな学習方法を学ぶ機会を継続的に確保していくことが必要だというふうに考えています。
現職者向けに,これまでの実践・実務経験を振り返る学びの機会を,都道府県でも一定の責任を持って実施していく体制の構築が必要だと思うというような御意見を頂いております。

説明を飛ばしてしまいまして,大変失礼いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 西企画官,大変にありがとうございました。
 さて,私たちは,830日に『第11期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理』を取りまとめました。そ の中で,私たちは,更に具体的な施策の検討を進める必要を感じています。そこで,事務局におかれましては,この間,例えば参考資料2の「生涯学習・社会教育に関するデータ集」を更新してくださいましたし,資料1に示されましたように,「生涯学習・社会教育に関する自治体ヒアリング」を実施してくださいました。その上で,本日皆様と検討するために,資料2として,「生涯学習・社会教育に係る施策の具体化に向けた各論」について取りまとめていただいております。

 そこで,今の御説明を伺った上で,今回,資料2にありますように,「公民館等の機能強化について」と,「社会教育人材の養成と活躍機会の拡充について」の,大きく2つの内容について,これから,質疑応答,意見交換をしたいと思います。

 この後の時間は,前半と後半に分けまして,前半として,「公民館等の機能強化について」,まず意見交換をしていただき,後半に,「社会教育人材の養成と活躍機会の拡充について」意見交換をしたいと思います。

 それでは,まずは公民館等の機能強化に関する内容について,皆様から御発言をいただければと思います。皆様,それぞれのパソコン等から「手を挙げる」ボタンを押していただきましたら,私から順に指名をさせていただきます。

 それでは,まず,多久市長,よろしくお願いいたします。

【横尾委員】 
 こんにちは。ありがとうございます。最初に発言させていただいて恐縮です。

 詳しい説明をありがとうございました。次年に向けての具体的アクションをどうするかということで,みんなで知恵を絞っていくことがとても大事だと思います。そういった意味では,2点大きく感じています。

 1つは,新しい方が公民館の管理責任者になったり,担当になったりしますが,多分,恐らく戸惑ったり困ったりするのは,「標準というのはどういうものだろう」,「どういうふうなことを最低限やるべきだろう」ということで,多分,四苦八苦される点もあると思いますので,「標準としては,こういうものをこの程度までやるのが大事だよ」ということを示すのが大事だと思っています。
 そういう事例集とか,あるいは,ひな形になるような標準ベースの考え方とアクションのやり方ということを,テキストまではいかないのだけれども,参考的にまとめて提供できるようにしておくことが肝要かと思います。そうすると,全国的に見ても,おおよその標準を皆さん達成しながら前へ進むことができるし,初心者の方も,初めてやりながら自信をつけながら前へ進むことができるようになります。こういったことはとても大事だと思っていますので,是非そういったことも考えていただいたらどうかなと思っています。

 もう1つは,これと相反するような意見なのですけれども,余りにも緻密にまとめてしまうと,何か型にはまってしまったようになるおそれがあると思っています。今まで習熟したやり方というのは,ある意味で,もう既に古いやり方かもしれません。あるいは,全く経験したことはないけれども,未知数のやり方にチャレンジしていく中から,わくわくドキドキするようなことも生まれてくると思いますので,そういったことが可能になる余地が絶対必要だと思うのです。そういった意味では,今回のこういう具体的なアクションについても,思い切って,ある部分,あるいは半分ぐらいでもいいから,公民館担当の職員さんや,そこにまつわる熱心な市民の皆さん,あるいはリーダー,ファシリテーターになるような方々を,もっともっと自由に,活発にやれるような環境というか,受け入れる体制というか,そういうものをしておけば,市役所職員関係,あるいは教育委員会関係のみならず,多くの知恵も集まるし,民間における様々な,今,リスキリングとか,あるいは,新しい学びをするとか,あるいはコーチングとかのスキルを持った人もおられます。そういった様々な方々が参加できるようなことをしていくこともとても大事です。一方では,こういう大きな包容力と,みんなのアイデアと新しいチャレンジ,必ずしも全部が全部成功しなくてもいいぐらいのつもりで,芽を育てるという発想でやっていくことが大事ではないかと思っているところです。

 それと,3点目に申し上げたいのは,こういった活動は世界的にもいろいろな興味を持ってやっていらっしゃるところとか,欧米などは特に熱心に,地域のスポーツクラブがいろいろな生活シーンのアシストをしたりしています。前もお話ししたかもしれませんが,デンマークでは高齢者の団体がICTリテラシー教育アシストするということをされています。そういう海外の事例についても,文部科学省の方で是非集めていただいて,よりよいひな型の情報提供をしていただくと,どんどん市民参加,あるいは参加している人がおのずから集まって知恵を出して,取り組みながら活性化していく。そんなことが可能になると思いますので,是非そういったことも入れていただくといいかなというふうに感じました。

 ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 横尾委員,ありがとうございます。公民館等の機能強化については,標準的な事例等を共有するプラットフォームを強化するとともに,地域の実情に応じて創意工夫をしながら進めていくことや,国際的な視点で,よい事例なども収集をという御提案です。ありがとうございます。

 この後,清水委員,山内委員,中野委員,関委員,大久保委員,澤野委員,松本委員,宮城委員の順で発言をお願いいたします。

 それでは,清水委員,よろしくお願いします。

【清水委員】 
 日本PTA,清水です。お取りまとめ,ありがとうございます。

 この自治体にヒアリングを取ったという結果の中から,資料2のところにありますように,非常に若年層,若い世代の利用が少ないというような実態が見られたということで,確かにここに書いてありますとおり,特に,小学生であれば,夏休みの子供の居場所を提供するとか,その場において,異年齢,地域の大人との交流を図れる場というのは当然必要だと思いますし,非常にいいお考えだと思います。
 また,中高生においては,空きスペースを有効に活用してもらうということも非常に有効的だと思います。地域の図書館等々も,中高生はよく利用していると思いますけれども,夏場となりますと,皆さん利用者が非常に多く,なかなか利用したくても使えないという生徒,学生の皆さんもたくさんお見えだと思いますし,そういった観点からしましても,そういった意味でも公民館の利用というのは非常に有効的ではないかなというふうに思いました。

 また,ヒアリングの方の資料1の(2)の子供やその親を対象とした公民館事業の実施状況の中の一番下の言葉の中に,「地域人教育」という言葉尻があります。私的には,この「地域人教育」というのは,本当にいい言葉だなというふうに思いましたし,感銘を受けました。

 以上,2点でございます。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 日本PTAの清水委員から,若年層,子供の居場所としての機能の重視,それから「地域人教育」という言葉に共感していただいたということ,ありがとうございます。

 それでは,続きまして,山内委員,お願いいたします。

【山内委員】 
 御報告ありがとうございました。主にデジタル化に関して2点,質問とコメントをさせていただければと思いますが,まず,参考資料214ページですか,WiFiの接続率に関する調査に関して質問がありまして,接続率は出ているのですが,これについて,接続の速度は調べていますでしょうか。

【清原分科会長】 
 いかがでしょうか。接続の速度について,お分かりになる方はいらっしゃいますか。
では,よろしくお願いします。山内先生,少しお待ちくださいませ。お答えいただきます。

【山内委員】 
 はい。

【榎木課長補佐】 
 失礼いたします。地域学習推進課の榎木と申します。
 こちらの調査につきましては,自治体に対して,WiFi環境があるかないかのみを伺っておる調査になりまして,実態としての速度等については,そこまで詳細なものは取れていない状況でございます。

【清原分科会長】 
 ということです。山内委員,どうぞ。

【山内委員】 
 分かりました。実は学校でGIGAスクールの前から,こういう環境を整備するときに,当初はインターネットに接続しているかどうかが問題にされていたのですけれども,実はインターネットにつながっているだけでは十分ではなく,多数の学習者が同時に接続すると,回線が細いと,あっという間にスタックして何もできなくなってしまうのです。先ほどのヒアリングでも,モバイルルーターの話が出てきていて,今は限られた予算でモバイルルーターを買って何とかしのいでいるような状況で,36.5%と言っても,実は楽観できる状況ではないのではないかと思いますので,その辺りも含めてしっかり調査できる体制を構築していただくのがよいように思いました。これが1点目でございます。

 2点目ですが,こちらは資料2の方で,こちらは4ページですか,同じくやはりデジタル化の進展のところです。先進事例として「WEB上で予約できるシステムの導入」というのがあります。公民館の現状から考えれば,ウェブ上で予約できるシステムをかなり苦労されて導入されたであろうことは容易に想像がつきますし,その御努力には頭が下がるのですけれども,一般的に社会の情報化の状況から考えて,ウェブで予約できるシステムが先進的なのかということに関しては,議論があるのではないかと思います。下の2つはよろしいかと思うのですが,予約システムは,ひょっとしてバックエンドで物すごいデータベースとかを入れて,推薦なりしてくれるのかもしれないですけれども,この表現だけだと,余り先進的な感じがしないのでいかがなものでしょうかというのがコメントの1つです。

 それから,今後検討が必要な事項の中で,先ほどの話とも関係するのですが,本格的なデジタル活用のためには,当然,学習のために人材を育成したり,カリキュラムをやったり,いろいろな学習活動を支援することは大事なのですけれども,学校教育の経験から考えて,ネットワークインフラは非常に大事なのです。一番大事なのは学習活動なのですけれども,ネットワークインフラが駄目だと,学習活動が全然進まなくて,みんな学校でも,子供たちも先生も使うのが嫌になってしまうのです。なので,この足元がしっかりしていないと,この上が全然動かないということが起きるので,端末もそうですけれども,特にネットワークインフラに関しては,明示的に示した上で,GIGAスクールのように国がしっかり責任を持って支援しないと,現場レベルではなかなか整備が進まない部分でもありますので,そこに関してはコメントをさせていただければと思いました。

 私からは以上です。

【清原分科会長】 
 山内委員,ありがとうございます。大変重要な御指摘を頂きました。WiFiについても,ただ設備されていればいいというのではなくて,接続速度等を含めて,質の問題をきちんと実態調査すること,そして,この資料2については,変更可能というよりも,むしろ皆様の御審議の中で充実をさせていくものでございますので,これで固定しているものではございません。デジタル化について,より一層ネットワークインフラの遅れを含めて,学校教育が先行する中,生涯学習,社会教育の情報通信環境について,しっかりと問題提起していくという姿勢を,今の山内委員の御発言からも,皆さんと共有させていただければと思います。ありがとうございます。

 それでは,中野委員,お願いいたします。

【中野委員】 
 浅口市の中野です。私は,資料22ページのイです。各地方公共団体における関連施設・施策や民間企業との連携についてというところがあります。ヒアリングをすごく丁寧にしていただいて,本当に有り難いと思います。

 ヒアリングの結果から,地域のコミュニティ拠点機能を図る観点から,働く世代でも参加したいと思わせる取組が必要だという意見があるということがございまして,私も本当にそのとおりだと思っているのです。

 40代から50代のミドルエイジと呼ばれる人たち,子育て世代とか勤労世代へのアプローチ,ここが大切ではないかと思うのですが,しかし,実際には,なかなかそういう施策的な手当てがないのが現状ではないかと思います。

 この学びのスタートは早いほどいいと思うのですけれども,会社をリタイアしてから,いざ地域で役に立ちたいと思ってからでは,もう遅い時代に来ているのではないかと思います。緩やかに地域デビューできるような取組が必要だと思います。

 例えば,50代になれば,仕事上での見通しも立って,人生を改めて見直す世代であります。また,少し先の将来に思いをはせる人が増えてくるように思いますし,ここからしっかり,早い時期から地域に目が向いて,活躍の場を求めてほしいなと思います。人生100年時代となって,地域で過ごす時間が確実に増えるのですよね。そうした中で,地元のコミュニティにどう入ったらいいのか分からない人もいるかもしれません。そこで,ミドルエイジの学習の場,居場所,魅力的な誘い込みとか,それから,例えば地域の楽しみ方を指南するなどといった面白いことができるといいかなと思います。

 私,実際に神奈川県の藤沢市でしたか,社会教育主事の方が話をされたのにすごく感銘を受けまして,いい取組だなと思ったことがありました。そういったところで,今後の検討の中に,そういう世代を入れていただきたいと思いますが,これ,イのところでまとめて書かれていますけれども,少しイとは違いますし,アだと,これは子供世代だから違うし,私の言ったことはどちらに取り上げていただけるところがあるのかなと思いながら聞かせていただいたところです。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。人生100年時代,若い段階からの,そして働く世代の参加促進の意義について御発言いただきました。

 続きまして,関委員,大久保委員,澤野委員,松本委員,宮城委員,牧野委員の順でお願いいたします。
 それでは,関委員,お願いいたします。

【関委員】 
 新居浜市の関でございます。今回,このように,全国でも先進的な取組をしている7つの市の現在の貴重な事例がつかむことができたことは非常に有り難いなと思っております。

 その中で,3点ほどお話ししたいと思うのですけれども,1点は,資料13ページ目ですか,私,やはり今,ここには対象が限定されているということを書いておりますけれども,どうしてもこれは結果的には,ある面,やむを得ないような状況にあるのかなというのを日々感じております。昔は公民館には正規の職員がいて,夜間あるいは土日等の事業を行うにしても,そういった事業を企画運営していくための人が確保できたと思うのですけれども,いつの間にか公民館に正規職員もいなくなり,その中で誰がその事業を担うかというときに,どうしても勤務時間が制限される会計年度任用職員等の方にそれを任せてしまうような状況に至っているのではないかなと感じます。

職員だけで担うということになると,結果的に働いている人達にはなかなか参加しにくい時間帯に設定してしまうことも,いまだ多いような気がします。それを超えるためには,当事者に,ある程度,企画立案を委ねて,そこに社会教育士のような人が関与することによって,自分たちでいろいろな事業が展開できるような,そういった今までのやり方とは違う公民館の事業展開が必要ではないかなということを日々感じております。

 2点目ですが,その下の子供やその親を対象とした公民館事業の実施でございますけれども,以前は放課後子ども教室,あるいは,もっと前の地域子ども教室のような様々な体験を重視した子供たちの学習の場が沢山ありました。先般,ある所で聞いた話では,学校運営協議会とか,あるいは地域学校協働活動とか,そういったコミュニティスクール関連事業との絡みの中で事業全体がパッケージ化され,単独で放課後子ども教室だけに取組んできたものがはじき出されてしまったということでした。子供たちが小さいときに,地域とつながる種をまいておくということは非常に大事なことではないかなと思いますので,子供たちが公民館等でいろいろな体験ができる場が,もっと増えていくように支援していくことが大事だということを感じております。

 あともう1点, 6ページ目の公民館における営利事業の捉え方です。いまだにこれらの先進市でも,かなりばらつきがあるような気がいたします。公民館では営利活動はとにかく何もやってはいけないという固定観念がまだまだ強いような気がします。「専ら営利をすること以外は,基本的には問題はない」というぐらいのメッセージがきちんと伝わるような情報発信をしていいのではないかなと考えます。そうでないと,公民館は使い勝手が悪い施設というレッテルが張られ,融通がつけやすい,公民館ではない,コミュニティセンターのような施設に徐々に移っていくのではないかなという懸念を持っております。

 以上でございます。失礼いたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。公民館の運営を当事者参加でというのは,私も市長をしておりました三鷹市で,市民大学総合コースということで,市民が企画委員を務めて取り組んで,もう50年,60年近くになるのですが,その意義はますます強まっていると思います。子供の公民館での活動,そして,最後におっしゃった営利事業についての認識をきちんともう少し流布してもいいのではないかということも重要な課題として受け止めました。ありがとうございます。

 それでは,大久保委員,お願いいたします。

【大久保委員】 
 大久保です。よろしくお願いいたします。

 今回の資料をざっと拝見いたしまして,私が一番強く感じたポイントは,社会教育施設のデジタル化をどうするかという観点です。
 見ての私の印象は,社会教育施設がデジタル化の流れから完全に取り残されているという強い危機感といいますか,このままいくと,この社会教育施設というのは使われなくなってしまうとか,使えなくなってしまうのではないかというふうな感想でございまして,何らかの形でここについてはっきりとした戦略を持って進めていく必要がある,その枠組みをここでしっかりと方向づけしていく必要があるのではないかというふうに思います。

 一言でデジタル化と言っても,幾つか違うものが含まれているので,筋としては,社会教育施設を,施設の運営とかオペレーションとか活用に関してデジタル化を進めて効率化を図っていく。これは人員を削減するといいますか,効率化するという意味でも大事なことだと思いますけれども,使いやすくするという意味でも大事なことだと思いますけれども,そういうデジタル化と,それから,WiFi環境を整えて,学習そのものにオンラインを使って展開していけるように,これが一番本質的なテーマかと思いますけれども,そこに取り組んでいくのかというテーマもありますし,それと別に,もともと思っていたのは,公民館等が1つの場となって,デジタルデバイドの問題で不便になっているシニアの人たちのデジタルリテラシーを推進していくというような,その場としての役割を担う話と,幾つかの話が多分交錯をしているような感じがいたしますので,それぞれについて筋道を立てて,どういう形でやっていくのかということを考える必要があるのかなと。

 そのときの推進の主体はどこなのだろうか。これはそれぞれの自治体ごとにもDXを進めていますが,そういう一環の中で進めていくものなのか,それとも,国で全体的に社会教育施設のデジタル化に関しても,モデルのようなものをつくって,それを基にして推進していくのか,そのときに実際の運営も含めた担い手は誰が担い手になるのか,それは社会教育主事や社会教育士のような方が,追加的な学習をして,それが担えるようになっていくのか,それともほかの人が担うのかという,こういうところの観点の全体のフレームを決めてデジタル化を推進していかないと,現在においても十分私は遅れているというふうに思いますし,このままではいけないのかなという感じがいたします。

 WiFi1つ取っても,36%まで来ているという話がありましたけれども,WiFi自体はもう100でなければ駄目だと私は思っていまして,しかも,ある程度高いレベルで100でなければ,これからは使い物にならないというふうに強く思いますので,これについては危機感を持ちながら進めていきたいテーマかなというふうに思います。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 大久保委員,ありがとうございます。山内委員からも御指摘ありましたが,社会教育施設等のデジタル化の在り方について,深刻に受け止め,戦略的な対応をという御意見でした。

 それでは,澤野委員,お願いいたします。

【澤野委員】 
 澤野です。ありがとうございます。

 今回のこちらの資料を見直してみて,公民館等と「等」になっていて,社会教育施設というのは,教科書的には図書館,博物館,青少年施設とか,女性教育センター,最近ですと,男女平等ダイバーシティセンターとか,名前を少し変えているところもあったり,地域によって社会教育施設の整備状況も違い,運動施設もあったりするかと思いますが,ここでは公民館を主体として議論するのでしょうか。公民館の在り方も,名称も含めて,地域によって様々だと思うのですけれども,デジタルトランスフォーメーションに関しても,公民館は,今一番遅れている施設であるかもしれないわけですけれども,公民館だけに絞って議論を進めていくべきなのか,あるいは,地域ごとに異なる社会教育施設全体をネットワーク化する公民館として議論するべきなのでしょうか。もうかなり施設そのものが老朽化して,どこにそれがあるのか分からないような地域も存在するわけですので,社会教育施設全体として,その中での公民館というふうに捉えていくのか,あるいは社会教育施設全体を改善していくという方向で議論していくべきなのか,その辺りを少し,この中でも議論したり,文部科学省の方でどういうふうに考えているのかなということを,資料を見直して少し思いました。

 私は今朝,北欧から,5か月間の在外研究から帰ってきたばかりで,最後はアイルランドに国際会議で行っていたのですけれども,北欧ではまちづくりの中で中心的になっているのが図書館である国が多いように感じました。図書館も,本を貸し出すだけではなくて,メーカースペースというものがあって,ロボティクスの勉強ができたりとか,ミシンを貸し出したり,青少年施設のような感じで音楽のミキシングができたり,演奏を防音でできる部屋があったり,会議室があったり,そこが多分,公民館みたいな役割も担っているのだと思うのですけれども,そういう総合的な施設も多いと思いました。また,日本には生涯学習センターがある地域と,そうでない地域があると思いますので,そういう地域ごとの社会教育施設の整備状況の違いと,また,図書館の在り方とか,総合的なネットワークの中で改善策を考えた方がいいのではないかなというのが1点です。

 それと,外国の例ばかりで申し訳ないのですけれども,デジタルトランスフォーメーションというのは,グリーントランスフォーメーションと表裏一体で考えられていて,何も機器を整備するというだけではなくて,そのことの究極の目的は,何でも日本では,やはりまだ紙に印鑑を押すとか,そういう書類が多いわけですけれども,まずは紙をなくしてデジタル化するということがグリーントランスフォーメーション,環境に優しいということにもつながるし,非接触でスムーズにいろいろな手続ができるというような観点もあるかと思うのですけれども,その観点がデジタル化に関して,社会教育においても必要ではないかなというふうに少し感じたところです。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。ただいま,最初に問題提起いただきました公民館等の機能強化となっているけれども,公民館等の考え方について,私たちは大変広く取っているとは思いますが,事務局の中村課長補佐からお答えいただきます。よろしくお願いします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 中村でございます。澤野委員から御指摘いただきました公民館等の社会教育施設の範囲のことについて御質問いただきましたが,今回,お示しさせていただいた資料1や資料2につきましては,議論の整理の取りまとめを行ってから,8月から9月までにかけて事務局でヒアリングをした対象が,主に公民館や公民館を所管しております教育委員会からのヒアリングということで行わせていただいたものでございます。もちろん社会教育施設の範囲は,澤野委員におっしゃっていただいたとおりの公民館以上の広がりがありますけれども,今回,資料としてお示ししているのは,公民館に関しての話をベースにして作っているものということで御理解いただければと思います。
 また,事務局としても,今後はヒアリングの対象範囲を増やして,実態の把握などを進めていきたいと考えております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。私たち委員の問題意識の中にも,澤野委員が言われたように,公民館等と言ったときに,公民館だけに閉じない社会教育施設の広義の在り方を認識されている方が多いと思います。今回は,ヒアリング対象者のお声を紹介する中で,少し象徴的に絞っているかと思いますが,私たちの審議の中で,御意見を踏まえて,その中で,着実な建設的な御提案をしていきたいと思います。

 それでは,この後,松本委員,宮城委員,千葉委員,内田委員,牧野委員の順でお願いいたします。
 それでは,松本委員,どうぞお願いいたします。

【松本委員】 
 資料の取りまとめ,ありがとうございます。松本理寿輝でございます。
 これ,以前,私たち,この分科会で議論した,正に社会基盤としての生涯学習,社会教育というようなところが,すごくやはり出てくる領域でもあろうというふうに感じるところがあります。

 まず,公民館等に関して,若年層であるとか,現役世代の利用が少ない点について,もっといろいろなアイデアを出していこうというようなところでありますけれども,正に私としましても,そういう視点で言えば,例えば,今,子育て世代包括支援センターという制度で,いわゆるネウボラのような取組が,この国でもかなり充実してきているところもあるかと思いますけれども,そういった妊娠期から,その地域との関わりを充実させていく,その視点においても,公民館等の活用が進んでいる地域もあるのですけれども,もっともっと積極的に活用していく,そうすることによって,妊娠期の御家庭,そして子供が生まれてからも,妊娠から就学までの子供たちが公民館も活用できるような意識を私たちは持ちながらやっていくことも大事なのではないか,そういったことを1つ思いました。

 また,もう1つは,今正に幼児教育や,小学校の地域間で言えば,園と小学校をどういうふうに架け橋としていくかという視点も,正にこの文科省で大事な議論をされているところであろうかと思います。そういう接続期,架け橋期というところを,子供たちをつないでいくためにも,実はこういった公民館などが活用できるのではないかと思うところがありまして,これは私たちの地域で進み始めているところなのですけれども,例えば小学校1年生の放課後と,それから園の子供たちのおやつを食べた後というのでしょうか,子供たちの放課後に当たる時間ですけれども,そういったところに,いわゆる年長の子供たちと小学校の1年生の子供たちが,地域の方と一緒に取組をしながら,正に年長から小学校1年生の子供たちが,一緒に生活したり,一緒に学び合う,そんな時間をつくっているような事例なども出始めております。

 例えばそういったことを公民館がやっていくことによって,社会に開かれたカリキュラムが実現もしていきますし,広い意味で,地域にとって価値がある子供たちが,その地域により参加しやすくなってくる,子供たちの居場所につながってくるような取組にもなっていくのではないか,そのように感じました。

 以上,そういった点で,若年層や現役世代の方々が利用する1つの手立てとして案を出させていただきました。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 松本委員,ありがとうございます。正に架け橋となるように,幼稚園,保育園,こども園と,学校だけではなくて公民館がつながっていくということの道筋を示していただきました。改正児童福祉法では,子育て世代包括支援センターの拡充ということが示されてもおりますので,今の御提案は極めて重要だと受け止めます。

 それでは,宮城委員,お願いいたします。

【宮城委員】 
 こんにちは。沖縄の那覇から参加しています宮城です。
 私は,公民館に勤めている立場でお話しさせていただきます。様々なヒアリングの結果報告,ありがとうございました。
 そこで少し気になった点があります。ヒアリングの結果として,子供の居場所としての公民館の活用のところで,「若年層や現役世代の利用が少ないことを課題と感じている自治体がみられた」とあります。私はこの一文が少し気になっています。というのは,実は公民館の職員は課題設定が非常に弱い印象を私は思っています。この若年層や現役世代の利用が少ないというのは,こういう現象があるよということですよね。これは課題ではないはずです。これを課題と捉えた場合に,では,実際にその対応策としてやりがちなのが,若年層や現役世代が来るような取組をしよう,要するに,サービスを提供し始めるみたいなことになりがちです。ここで挙がっている事例はいろいろ検討されて,いい事例だと思うのですが,多くの公民館職員がサービスを提供し,消費者を生み出す方向に動きがちです。若年層,現役世代が利用しないというのは,利用していなくても,彼ら,彼女らが課題を抱えていないのであれば,それでオーケーだと思うのですけれども,来ないことを課題と捉えてしまうと,少し間違ったアクションを起こしてしまうかなということが気になりました。

 とはいえ,実際に若年層,現役世代は利用しない。それは,彼ら,彼女たちが抱えている課題が何だろうかということを考えて,それに対する取組を公民館ができていないからだろうと思います。それができていたら,多分,利用者は増えるだろうし,公民館としての機能,役割をしっかり発揮できていくだろうと思うのです。この課題設定の弱さみたいなものが,現場の公民館職員にはあるのではないかなということを感じています。

 その中で,社会教育主事とか,社会教育士等のネットワーク化が必要である,資質向上が必要であるという話はもちろんそのとおりだと思います。それと同時に,そのような課題設定の在り方についてもより意識的である必要を感じています。また,各都道府県,市町村の社会教育主事の方々が,職員向けの研修を企画される場合も多いと思うのですが,その研修を企画する社会教育主事の方も同様で,課題設定が甘いということはよくあるなと思っています。人が来ないことを課題と設定してしまい,人が集まる工夫だけに目がいってしまうような研修になっている場合があります。なので,研修を企画する人の資質向上みたいなものも,国が音頭を取ってやっていただけたらいいなと思ったりしたところです。

 私からは,取りあえず以上です。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。今,宮城さんが言われたのは,今日議論しております公民館等の機能強化と,2点目の社会教育人材の養成と活躍機会の拡充に相互につながる問題の所在を御発言いただいたものと思います。ありがとうございます。

 それでは,千葉委員,お願いいたします。

【千葉委員】 
 ありがとうございます。千葉でございます。

 大変広範な議論を取りまとめていただきまして,どうもありがとうございました。私は,少し感想めいた話になるのですけれどもお許しください。

 このリカレント,いわゆる生涯学習というものを,もう少し世代別にセグメントして考える必要があると感じました。
 シニア世代では,たくさんある課題のうちの1つですけれども,例えば,デジタルデバイドの解消ということがありますよね。子供たちの場合には,どちらかというと,夏休みの居場所というような,少し後ろ向きな課題が設定されているような気がしまして,やはり社会で子供たちを育てていくという考え方が必要と思いました。

 基本的に,学校以外の学びが,特にこういう子供たちは成長のために大変重要だと思いますので,そういう居場所ということではなくして,やはり成長の場という捉えて育ててあげたいなと思いました。

 地域学習という中で,防災だとか地域学習だとかということが例示されていますが,やはり学習というものを,もう少し生涯学習という観点から子供たちの学びの場として考えたときには,愛であるとか,安心であるとか,こういったことが1つのキーワードになるかもしれませんし,助ける,助けられるというような経験というのも大変重要ではないのかなと思います。

 我が国は比較的ボランティアの経験者が比率として少ないので,やはり子供たちの指導に当たる方たちも,一定割合,そういう経験のある人がついていただくということが有効と思います。

 あとは,少し今回の議論と外れるのかもしれませんけれども,ボーイスカウトという組織がありますよね。ああいう組織は,助け合いというようなことを1つのキーワードとして,共同生活だとか,こういったことで子供たちを育てる目標を持って活動していると思います。そういうような活動なども参考にしながら,本当に未来をつくる子供たちの教室以外の学習の場として機能してくれたらいいなと,感想として申し上げさせていただきます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。公民館等の場が子供たちの成長の場,また,相互扶助,助けて,助けられるような,そういう場となっていくような世代別のセグメントに即した御提案を頂きました。ありがとうございます。

 それでは,内田委員,お願いします。

【内田委員】 
 ありがとうございます。京都大学の内田です。
 今回,ヒアリングとかもされていて,大変充実した内容だなと思って拝読させていただきました。感謝いたします。

 公民館の運営についてはデジタルデバイドの解消であるとか,子供の居場所ということであるとか,多岐にわたることが描かれていると思うのですけれども,やはりそのためには,ほかの部署との連携みたいなものが必要で,地域によっては,この公民館の運営が,自治会依存になっていたり,あるいは縦割り的に運営されていることもあるのではないかなということを少し懸念いたしました。

 公民館が,拠点として機能していくためには,柔軟にほかの施設,例えば,学童保育であるとか,学校,あるいは高齢者施設,地域の福祉関係,と柔軟に連携をする必要があると思います。それを使われる方の実際のウェルビーイングに資する運用にも関わってくると思いますので,どのような形でこの連携を進めていくのかということについても,記載が必要なのではないかなというふうに思いました。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。公民館等の相互の連携だけではなくて,福祉等を含めた横連携の御提案,ありがとうございます。
 それでは,薗田委員も手が挙がりました。薗田委員,お願いいたします。

【薗田委員】 
 ありがとうございます。薗田です。
 今回の取りまとめ,いろいろありがとうございました。非常に網羅的に入っているので十分だと思いますが,少しだけ私の問題意識も含めて気づいた点です。

 ちょうど今日の日経新聞で「リスキリングに 1 兆円」という大きな記事が出ていました。「正規への保護,見直し不可避」という記事がありましたが,実際にバブル崩壊後は雇用が非正規の方に流れていった結果,2021年の正規雇用が 3,555 万人に対して,非正規雇用は2,065万人。大きく分けると,全体の中で非正規雇用の方々が4割近くいるのが現状です。(女性は,非正規雇用の方が多い)実際に正規雇用の方々は雇用が守られたり,もちろん年金がきちんと出たりとかするので,リカレント教育は可能ですが,非正規の方々のリスキリングやリカレント教育を考えていくと同じやり方では難しいのではないかと感じています。実際に,ウェルビーイングの視点から誰一人取り残さないという意味では,非正規雇用の方々に関しても,今まで以上に手厚いリスキリングの対策が必要になってくるかと思います。公民館であったり,DX などのいろいろなアップスキルとが必要になってくるため,その後の雇用も考えて,まとめにはその視点を入れてください。正社員でうまくアップスキルできるという方々だけが対象になっているように感じられましたが,実際にはそうでない場合も少し意識をして,どんな対策が必要かを考えていただければと思いました。

ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 薗田委員,ありがとうございます。非正規雇用が増える中で,リスキリングについても丁寧に検討をという問題提起を頂きました。

 それでは,牧野委員,お願いいたします。

【牧野副分科会長】 
 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。今日,私は文科省から参加しております。

 第11期の前回までの議論の整理を受けて,自治体にヒアリングをしていただいて,そして,今回から,施策の具体化に向けた各論の議論をするということで,今日,資料2が提示をされていると思うのですが,少し概念的なことを言わせていただきたいと思います。

 基本的に,議論の整理で,全ての人々のウェルビーイングを実現するということをベースにして,「共に学び支え合う生涯学習・社会教育」という議論をしました。その議論の整理の中で強調されていますのが,社会基盤としての社会教育ということ,又は,人々の人生を励ますような生涯学習をということ,さらに,そうした社会基盤としての社会教育の更に基盤的な施設としての公民館であったり,又は,社会教育施設ということであったしたかと思います。その上で,改めて,今,新しい時代に入っていく中で,もう一度,少し話を元に戻してしまうようなことになるかもしれませんけれども,例えば公民館とは一体どういう場所であるのかですとか,社会教育施設とは一体どんな場所であるのかといったことを議論しておかなければいけないのではないかというふうにも感じています。

 なぜかといいますと,先ほども御議論がありましたけれども,例えば,同じ社会教育施設の図書館や博物館も,様々に今,いろいろ複合化していくということの中で,公民館的な機能を持ち始めていますし,本当にもう複合化されているところもたくさん出てきたりしています。さらに,今,WiFi,デジタル化の問題が議論されていますけれども,例えば都市部であれば,公民館等でWiFiがなくても,例えばカフェにあるのでそこを使えばいいではないかという議論は当然あり得ると思うのです。その意味では,公民館は一体何を担うべきところなのかといったことも含めて,一度議論をしていく必要があるのではないかと思います。

 改めて言い換えますと,例えば,戦後直後に公民館構想が出されて,各地で様々な公民館の試みがなされていた頃は,どちらかというと,やはり新しい生活を実現していくというか,新しい生活を見せてくれる場所として公民館があり,それが社会に実装されていく過程で様々なものを地域に広げていったといいますか,社会に広げていきました。更に社会が高度化してくる,また制度化されていく過程で,いわゆる縦割りの行政システムがつくられていく過程で,公民館の役割がどんどん狭くなっていくといいますか,又は,ある意味では,公民館の役割が余り重視されないような形になってきたということがあるかと思います。しかし,改めてこれまで議論しましたように,コミュニティ政策が各省庁から出されるようになり,更に社会教育や公民館が,住民の自治といったことも絡めて重視をされるという時代に入ってくる中で,改めて公民館の在り方を検討しなければいけなくなった,それが第11期でのまとめにつながっていると思います。その意味で,この12期で,施策を具体化していくという場合に,公民館とは一体どんな場所なのか,また,社会教育の施設とは一体どんな場所なのかといったことも含めて,一度やはり議論しておかなければいけないのではないか。さらには,そこで捉えなければいけないのが,例えば社会教育や生涯学習のアクター又はステークホルダーは一体誰なのかといったことだと思います。例えば,子供たちについての議論も出ていますけれども,私たちが付き合っている中高生は,新しく社会の担い手として登場してきているという面があって,いわゆる教育され,保護されるという存在ではなくなりつつあるのではないかとも思います。更に言えば,今日も営利事業者の問題が出ましたけれども,公私という分け方も,従来のような公私という考え方でいいのかどうか。もう少し言えば,「共」という部分をどうつくっていくのか,さらには担い手ということで,当事者性といったことをどう考えるかといったことも,改めて考えなければいけない時代に入ったのではないかなと思うのです。

 更に公民館も,呼び込む公民館から,例えば出かけていく公民館ということがあってもいいのではないかといったことも含めて,社会全体のいわゆる学習化の進展の中で,公民館がどんな機能を果していくのかといったことも議論になっていくだろうと思います。すみません,議論を戻すような話になりましたけれども,そういうことの中で,次の人材,つまり社会教育人材の育成や活躍機会の拡充といったことにもつながるかと思いますので,少し今申し上げた点をめぐって,また次回,次々回に向けて,議論を進めていただければと思いますし,そのような希望を持っております。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 牧野委員,ありがとうございます。私たち生涯学習分科会は,生涯学習・社会教育の振興方策について一貫して検討しているわけですが,今改めて,公民館とは何か,社会教育施設とは何かということを,やはり明確化していく必要性,そして,こども基本法が成立した年でもありますので,子供を単に学習の対象として捉えるのではなくて,地域での活動の主体として捉える必要性についても提起していただきました。

 萩原委員,手が挙がりました。よろしくお願いいたします。

【萩原委員】 
 ありがとうございました。1点,今のお話にも関係してくるのですが,やはり公民館をはじめとして,社会教育の担い手となるいろいろな施設,センター,先ほど澤野委員からもありましたけれども,そういったところとどういうふうに現状を,課題の共有をしながら協働していくのか,あるいは分担,それぞれの得意分野でやっていくのか,そういう調整がますます必要になってくるなということを今回よく思いました。

 例えば,デジタルデバイドのところとか,それから情報モラル研修,セキュリティ研修とか,キャッシュレス化,これは正に消費者教育といったところも非常につながってくる話なので,何々教育というふうにやっているところのコーディネーターとか,そういった人たちとの連携も必要になってくるなというふうに思いました。

 それから,改めてこの社会教育主事あるいは社会教育士の方たちの担うべき役割ということがますます重要になってきている。特に様々な地域の課題が多くなってくるときに,社会教育主事,社会教育士に求められているものが非常に大きいのだなということを改めて実感いたしました。彼らが,やはり学びを社会の至るところにたくさん仕掛けていく。地域の課題を解決していくために,様々な能力,例えばファシリテーション能力,プレゼンテーション能力,コーディネート能力,本当に全ての能力を持っていなければいけないということになると,やはりそれの研修というか,資格を取るための研修も含めて,その後の継続的な研修も含めて,やはり単なる座学では駄目であるなと。つまり,フィールドワークがもっと求められてくるのではないかなというふうに思いました。いろいろな先進事例もそうですし,今,課題を抱えているところに行って,ここで具体的にどういうふうな課題解決のための仕掛けをしていくのか,そういったものも実は必要になってくるだろうと思いました。

 ですから,研修期間が長いであるとか,オンラインでいいのではないかというのと少し逆行するのですが,しかしやはり,現状を見ていったときには,もう一度その研修の在り方を見直す必要もあるかなというふうに思いました。

 以上です。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 萩原委員,ありがとうございます。社会教育施設については,やはり内容として,情報モラルやセキュリティのことも含めても,他の人材との連携の必要性があるということです。そして後半は,次の課題である社会教育人材の養成と活躍機会の拡充に関連する問題提起を頂きました。

 それでは,「前半の公民館等の機能強化と内容について」は,全ての委員の皆様から御発言いただきましたので,これで今日は一旦,終了させていただきますが,事務局から,この段階で何かありますか。よろしいですか。

 それでは,もう1つのテーマにこれから移らせていただきます。「社会教育人材の養成と活躍機会の拡充について」です。

 これにつきましては,もう既に公民館等の機能の拡充に関する内容の中でも,委員の皆様から関連して御発言は頂いておりますけれども,改めまして,資料2の後半に,5ページ以降,整理していただきましたように,社会教育人材の養成と活躍機会の拡充に関しまして,御意見をいただければと思います。

 お手を挙げてください。薗田委員は,先ほどの御発言の挙手ですか。どなたからでも,3時までの時間に意見交換をしたいと思っておりますが,いかがでしょうか。
 関委員から手が挙がりました。よろしくお願いいたします。

【関委員】 
 関でございます。ありがとうございます。

 このヒアリングの7ページ,8ページですけれども,自分の理解とヒアリング内容がかみ合っていないので確認させてください。それは,社会教育主事と社会教育士の役割というものが何か不明確で,本当にそれをどう明確化していくかというのがやはり必要ではないかなということを少し感じたものです。

 この文章の中,例えば,公民館主事に社会教育主事の発令を行っている自治体もございますし,専任の社会教育主事の廃止というところは,私が読み込めていないだけかもしれないのですけれども,これは多分,東京都などで社会教育主事として任用された方が退職されていなくなったというふうな認識で捉えてよろしいのでしょうか。この辺について,もしヒアリング内容で分かっているのであれば教えていただけたらと思うのですが,社会教育主事というのは,やはり行政の教育専門職員ではないかと私は認識しております。教育委員会の事務局の中にあって,様々な部局をつないだり,あるいは社会教育に関わっている機関や団体等に対して,専門的な立場で指導・助言を行うような立ち位置にあるのが社会教育主事ではないかなと思っております。

 社会教育士というのは,若干違う存在であって,社会教育士の方は,個々に積み重ねてこられた様々な経験や,本人の強い志に支えられる在野の人財だと思います。こんな学びの場をつくっていこうという思いを持った人が社会教育士の称号を得ることによって信頼関係が担保され,それぞれの活動領域において活躍することができる場が拡大していく社会こそが理想ではないかと思っています。

 現在はその両者が同じ研修を受けて,同じような形の学びを深める中で,それぞれの資格なり,称号を獲得するという流れになっていますが,本来は両者の研修内容等についても,異なるプログラムの開発やウェイトのかけ方についても,今後検討していってもいいのではないかなということを感じるところでございます。

 失礼します。以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。関委員から,社会教育主事と社会教育士について,その役割,あるいは行政との関係,そうしたものについて,ヒアリングを通して再確認する必要性について問題提起いただきましたが,いかがでしょうか。特にお答えはよろしいですか。あるいは,牧野委員から関委員の御質問について……。

【牧野副分科会長】 
 すみません。失礼します。質問についてお答えをするということよりは,もしかしたら次回ぐらいに,文科省の方から,この社会教育主事の改革というか,社会教育士の称号をつけた,つくったところの経緯について少し御説明いただいた方がいいかなと考えながら,お話を伺っていて思いました。

 実は私もその経緯に関わっているのですけれども,社会教育主事という資格,これは国家資格で社会教育法にも規定されているのですけれども,主事は発令後,教育委員会の中に置かれて,先ほど関委員がおっしゃったように,行政間の連携ですとか,専門的な見地から指導・助言をするということになっています。しかし,発令されなければ社会教育主事とは言えない資格になっていまして,分かりにくいといったことと,それから,一応,各都道府県と市町村には必置にはなっているのですが,なかなか今,いろいろな意味で,自治体の長をされている方々は御存じかもしれませんが,いろいろないわゆる地方分権の流れの中で,置かれなくなっていってしまったりとか,いろいろなことが起こってくる中で,この社会教育主事をどうしようかという議論が始まっていて,その過程で,廃止するという議論までいきそうになったのですが,やはり国家資格ですし,大事な資格なので残そうということになりました。そこで議論になりましたのが,行政の中にいるという,法的にはそういう規定になっているのですけれども,もう少し住民の中に入っていくような形で,学びのオーガナイザーとして社会教育主事を置き直せないかという議論がなされたのです。その結果,今,主事課程のカリキュラムも組替えになって,例えば社会教育経営論や,また生涯学習支援論が入ったりですとか,さらには大学の課程には実習が入ったりしたのです。そういう形で,より実践的に使ってもらえる資格へと組み替えましょうということになったのです。行政の中にいて指導・助言をするだけではなくて,住民の中に入った形で,学びのオーガナイザーとして機能ができるようにという形で組み替えようという議論がなされたのです。ただ,そのときに「主事」のままですと,教育委員会で主事に発令されなければ主事と言えないので,どうしようかという議論になったのですが,主事の資格は社会教育法に規定されているので,法改正を待っていると時間がかかるということで,省令改正,つまり文科省令で規定できる称号をつけようということで,「社会教育士」という称号ができて,社会教育主事の講習を受けられたり,又は課程を取って社会教育主事になる資格を持った方々には,「社会教育士」という称号がつくことになったのです。これは専門職の称号ですので,履歴書にも書けますし,名刺に刷り込むこともできます。その称号を使って人々の実践の中に入っていかれたり,様々な形で実践を行えるようにするということになったのです。そこまでが多分,今の状況だと思います。

 その意味で,経緯が経緯だけに,少し分かりにくいという議論は当然あるかと思うのです。ただ,一面で,それがなされたのがたしか17年でしたか,2017年に社会教育士の称号新設と主事養成課程の内容の変更がなされて,2年間ほどの移行措置があって,講習が始まって,社会教育士が授与されることになったのですが,2年間の講習で約2,400名の方々が社会教育士を取得されているという,過去にないほどの,少し変な言い方ですけれども,盛況ぶりというか,取得をされる方が増えてきたということもあります。ですので,もう一度,この社会教育士の在り方について議論をし直して,専門職としてどう政策的に位置づけていくのか,又はきっちりとやはり法制上位置づけていくのかどうかも含めて,また,社会教育主事の名称として社会教育士を使うということになるのか,又は,主事は主事としてきっちり置いた上で,社会教育士は社会教育士として活躍できるような条件整備をするのかなどなど,そんなことをこれから議論しなければいけないと感じております。

 以上です。

【清原分科会長】 
 牧野委員,ありがとうございます。

 皆様,改めて確認させていただければと思うのですが,参考資料12の,私たち第11期の議論の整理の13ページのところでございます。
 今後の生涯学習・社会教育の振興方策の2)として,社会教育主事,社会教育士等の社会教育人材の養成と活躍機会の拡充というところについて,皆様の意見交換を踏まえて,次のページまで,かなりの説明と問題提起を加えています。
 特に,14ページの一番最初の〇でございますが,「令和2年度から,社会教育主事の資格取得に係る社会教育主事講習又は社会教育主事養成課程の修了者については,社会の多様な分野における学習活動でも広く活用されるよう,社会教育士と称することができることとする制度改正がなされており,令和2年度及び令和3年度で」,先ほど牧野委員が御紹介されましたように,「2,456人の社会教育士が誕生している」と。
 しかし,その14ページのこの部分の下から2つ目の〇ですが,「また,前述のとおり,地域社会における社会教育人材の役割の重要性に鑑み,社会教育士に関する実態を踏まえ,社会教育人材の量的な拡大や,社会教育・学校教育などにおける様々な場面での社会教育士の配置・登用の促進に向け,社会教育人材の在り方についての検討が更に求められることから,社会教育士の役割の明確化,社会教育士の称号付与要件など制度の在り方を含めた検討を進めていく必要がある」と。

 こういうことから現場にいらっしゃる関委員も,改めて社会教育主事と社会教育士について,今正に社会教育士が実態として増えている中で,それぞれの役割や,あるいは活躍の在り方などについて明確にしていこうではないかと,このような問題提起を頂いたものと思います。

 正に本日の後半で御議論いただくべき問題の捉え方について,関委員と牧野委員から,しっかり説明していただき,ありがとうございます。

 それでは,御意見を続けていただきたいと思います。

 大久保委員,続けて中野委員,お願いします。

 では,大久保委員,お願いします。

【大久保委員】 
 大久保です。よろしくお願いいたします。
 もともと1つ申し上げようと思ったことは,まさしく今,お二人がおっしゃったことですので,重複しておりますので,そこは省略をさせていただいて,先ほどデジタル化の観点で発言をさせていただいたので,その延長線上で申し上げたいのですが,実際に社会教育施設のデジタル化を進めたときに,そこで行われるデジタルを活用した教育とか,あるいはオンラインを通じた学習ということを推進していく上で,やはり社会教育主事,社会教育士の方々のリテラシーということが当然大事になってまいります。

 そうすると,その役割の1つとして,そういう新しいオンラインやデジタルを活用した学習行動,それをうまく機材とかネットワークを活用しながらオーガナイザー的役割を果たしていけるようにするためには,講習の中にそういうものが入ってこなければいけないと思いますし,追加的な学習,教育の機会の中でそういうものが展開されることも必要になってくるでしょうし,そこで社会教育主事や社会教育士の方々の活躍の場をつくるとか,役割をどう規定するかというところに,今のデジタル化の問題も含めて,どういう役割をその方々に担っていただくのかということを組み込んで考える必要があるのではないかなというふうに思っています。

 あともう1つは,このデジタルの問題,全ての世界に共通して,今,テーマになっている問題ですけれども,既に社会教育主事ではなく社会教育士の資格を取りながら,別の分野で活躍されている方というのは,それぞれの領域で,このデジタル化の問題について向き合っている方々もいるでしょうし,一定程度,デジタルスキルも持っている方々もいると思うので,そういう方々が今度は社会教育士の資格を持ちながら,何らかの形で社会教育の方に関与されてくるときに,その持っている経験を生かしていただくということにもつながっていくのではないかと。その辺りのデジタル化の視点も含めながら,このテーマを議論したいなというふうに思います。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。社会教育・生涯学習の人材については,デジタル化する環境の中で,いかにそのリテラシーを高めていくか,あるいは逆に,デジタルの領域の中から,社会教育士として活躍されてこられる方もいらっしゃるのではないかと,その相互性についても問題提起いただきました。ありがとうございます。

 それでは,中野委員,お願いいたします。

【中野委員】 
 まず,少し質問なのですが,聞き逃したかもしれないのですが,今日は,(3)のところの地域と学校の連携・協働というのは,これ,次回にということで,そういう意味でよろしいのですか。

【清原分科会長】 
 はい,おっしゃるとおりです。今日は,2つの点に絞って,時間の関係で2つのテーマにさせていただきましたので,(3)の地域と学校の連携・協働の推進については,また改めて……。

【中野委員】 
 分かりました。

【清原分科会長】 
 しかし,今日,発言されるときに,せっかくですから,関連しても構いませんので,是非御発言ください。

【中野委員】 
 であれば,6ページのイのところで,ネットワーク化ということが書かれてあります。今後の検討が必要な事項の中に,自治体や社会教育士の意見も踏まえたネットワーク化の手法の検討となっています。私は,このネットワーク化にとても期待しておりまして,先ほどありましたような社会教育士が,たくさんの方が社会教育士になったという話がありましたので,やはりこれ,ネットワーク化することによって,いろいろなヒントが生まれて,いい活動ができていったらいいかなということで期待しています。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。6ページ,イの社会教育主事・社会教育士の称号保有者の資質向上とネットワーク化の,ネットワーク化が期待されるということですよね。これは先ほどの公民館等の御意見の中にも出てきたことですが,社会教育主事・社会教育士の称号保有者同士が,もちろんネットワーク化することと,それから他の専門分野の方々と社会教育主事・社会教育士や,あるいは公民館担当者等が連携するということの重要性と,両方の意味でこの「ネットワーク化」というのは大変重要なキーワードになるのではないかなと思います。ありがとうございます。

 そのほか,皆様から,人材についての御意見,御質問等はいかがですか。
 よろしいでしょうか。
 それでは,横尾委員,お願いいたします。

【横尾委員】 
 ありがとうございます。人材育成のことで少し追加したいと思います。学ぶシステムとして教育士とかが出てくるわけですけれども,一般の方でもこういった分野に非常に関心を持っている方が多くいらっしゃいますので,今後,展開の中で,可能ならば,YouTubeとか,前からMOOCのことを申し上げていますけれども,そういったことができるような,科目別というと大げさですけれども,単品でもいいので,関心があったらそれを学べるような環境をつくっていただくと,新しくこの分野に入ってくる方,社会教育施設を使う方,指導者にならなければいけない方,スポーツ指導員の方,あるいは公民館の活性化を考えている方,そういった方々の参考になるので,是非そういった動画の配信で大事なことを教えるということも是非取組をしていただくといいなと思っています。すぐはできなくても,蓄積をして,少しずつでもいいので改善が図られたら,多くの方々が更に社会教育士に関心を持ったり,新しい人材になろうと決意されるチャンスとなりますので,そういったことも考えてほしいと思っています。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。特に社会教育士には多様な人材に資格を持って活躍していただきたいということで,講習等についても,YouTubeあるいはオンラインを活用することによって,具体的に内容がより分かるようにという御提案でございます。ありがとうございます。
 そのほかはよろしいでしょうか。
 もしよろしいようでしたら,今日は,総合教育政策局長の藤江局長が一貫して御参加いただいておりまして,皆様のこれまでの意見交換をお聞きになって,せっかくでございますので,コメントをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【藤江総合教育政策局長】 
 分科会長,機会を頂きまして,ありがとうございます。
 私,本日,初めてこの会合に参加させていただきました。漠然とした感想でございますけれども,少し古い話になりますけれども,私,63年に文部省に入りまして,その頃,臨教審ができて生涯学習体系ということが言われ,そして平成7年に広島県の生涯学習推進の担当に行かせていただいたということで,その頃は非常に生涯学習に深く関わっていたという経験がございましたので,今日,この分科会の議論の整理を勉強させていただいたり,あるいは,先生方の御意見を伺ったりしながら,正に今の生涯学習,社会教育についての学び直しをさせていただいたというような感じがいたしております。

 特に私が深く関わっていた頃は,生涯学習は正に個人の幸せの追求というところが非常に強調されていた段階でございますので,今,議論の整理の中にもありますように,ウェルビーイングの実現という観点から,個人の幸せと,場の社会のよい環境ということが考え方が統合,調和されているなということを思いました。

 本日は,社会教育が地域全体の中でどういう役割を果たしていくかという観点から,公民館の役割,そして社会教育人材の活躍ということで,きめ細かく,そして貴重な御意見をいろいろ頂いたというふうに思っております。キーワードとして「ネットワーク」ということも出てきたと思いますけれども,幅広い視点から,公民館なり,社会教育人材が地域社会全体の要となっていけるように,今後また先生方の御意見も伺い,あるいは地域の実情なども確認しながら考えていきたいと思っておりますので,引き続き,先生方の御意見をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 藤江局長,ありがとうございます。
 実は総合教育政策局というのは女性活躍の局で,里見審議官も一貫して参加していただいておりまして,せっかくでございますので,一言コメントをお願いいたします。

【里見審議官】 
 御議論を頂いておりまして,拝聴しておりました。ありがとうございます。
 今,公民館を中心とした社会教育施設,そして,人の中でも社会教育主事,社会教育士というところをフォーカスに御議論いただいているわけでございますけれども,今求められている役割というのは,正に地域においての方々が学びの場をどうつくっていくかというところであると思いますので,そこを国あるいは地方公共団体がどう支援していったらいいのかという辺りにヒントをいただけるような御議論を更に深めていただけると大変有り難いと思っております。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 突然お願いしまして,失礼いたしました。里見審議官,ありがとうございます。
 それでは,全体を通して,事務局から何かコメントはありますか。よろしいですか。
 それでは,冒頭はいらっしゃらなかったのですが,新たに社会教育振興総括官,総合教育政策局政策課長に就任されました森友浩史課長に参加していただいております。一言御挨拶をお願いします。

【森友社会教育振興総括官】 
 91日に,政策課長,そして社会教育振興総括官に着任しました森友と申します。よろしくお願いいたします。
 政策課長としては,4期の教育振興基本計画の関係で取りまとめを担当しているのですけれども,本日の御議論,特に公民館,社会教育施設の重要な役割,そして社会教育士等の社会教育系人材の在り方ということに関しましても,計画の中でどのように位置づけるか,清原先生,そして牧野先生にも参画していただいていますので,引き続き,議論を注視していきたいと思います。よろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。社会教育振興だけではなくて,政策課長として,次期の教育振興基本計画の御担当もしていらっしゃるということで,御挨拶いただきました。ありがとうございます。
 それでは,もう少し時間がありますが,皆様,本日のテーマについて,更に一言という方はいらっしゃいますか。
 よろしいでしょうか。

 それでは,本日は,私たちの審議をまとめました第11期の取りまとめを踏まえつつ,公民館等の機能強化,充実と,そして社会教育・生涯学習の人材について,皆様と意見交換をさせていただきました。そのために,事務局におかれましては,自治体ヒアリングもしていただきましたし,データの更新もしていただきました。今後も,データの更新や,また,現場の実態把握に事務局では努めていただくことになると思います。

 それでは,本日の皆様との意見交換は,この辺りで終了させていただきます。本日皆様から頂きました御意見を踏まえまして,事務局においては,更に必要なデータの収集・整理や追加のヒアリング等を行っていく予定です。その上で,生涯学習・社会教育に係る施策の具体化に向けた検討を更に進めていきたいと思います。それを原案として,次回の分科会で御報告いただき,また,皆様から意見を頂く中で,内容を深めていければと思います。

 それでは,本日の議題は以上になります。
 事務局から連絡事項をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局の中村でございます。資料3を御覧ください。
 今後の審議スケジュールといたしましては,次回分科会を1219日月曜日,13時から15時で予定をしております。その後,年明け1月から2月頃の開催として,第123回生涯学習分科会の開催を予定しておりますので,日程調整の上,別途御連絡させていただきます。

 事務局からは以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
 それでは,本日の生涯学習分科会はこれにて閉会といたします。
 全国的に残暑が長引いておりましたが,今週後半からは全国的にかなり気温が低くなると予報が出ております。皆様,寒暖の差に気をつけていただきまして,くれぐれも御自愛ください。そして,また元気に12月の分科会でお目にかかれればと思います。

 それでは,皆様,どうもありがとうございます。これにて閉会いたします。

 

―― 了 ――

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