生涯学習分科会(第98回) 議事録

1.日時

平成30年10月15日(月曜日)10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省15階15F特別会議室(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について
  2. その他

4.議事録

【明石分科会長】 
 定刻となりましたので,ただいまから中央教育審議会生涯学習分科会(第98回)を開催いたします。本日は,お忙しいところお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 本日は,人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について,これまでの議論に引き続きまして,年末の答申に向けた意見交換をしていきたいと思います。
 なお,本日も報道関係者より会議の全体について撮影・録音を行いたい旨の申出があり,許可しておりますので,御承知おきくださいませ。
 また,これまで委員を務めていただきました鴨木委員が退任され,今回は欠席でございますが,山本仁志委員に新たに参加いただいております。
 議事に入る前に,配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【菅野生涯学習推進課課長補佐】 
 配付資料につきましては,議事次第,座席表のほかに,資料の1番,それから2番,1枚紙です。それから3番が少し太い冊子になっております。それから資料の4番が山本委員からの御提出の資料でございます。
 机上に配付をしておりますタブレット端末に,これまでの分科会とワーキンググループでの配付資料のほか,参考となる資料を格納しておりますので,御参照くださいませ。
 過不足等ございましたら,事務局にお申し付けください。
 また本日,新たに委員に御就任を頂きました山本仁志委員の方から,本日御出席されておられませんけれども,書面で御意見頂戴しておりますので,それに関しましては後ほど御紹介をさせていただきます。
 以上です。

【明石分科会長】 
 よろしいでしょうか。
 では,議題1に入りたいと思います。組織再編についてでございまして,本日は,まず,明日10月16日付けで行われます文部科学省の組織再編について,事務方から御説明をお願いいたします。寺門政策課長,お願いいたします。

【寺門生涯学習政策局政策課長】 
 おはようございます。寺門でございます。座ったままで失礼いたします。
 資料1を御覧いただきたいと存じます。2枚組みの資料でございますけれども,今,明石分科会長から御紹介いただきましたとおり,明日付けで,資料1の右側にございます総合教育政策局が発足をいたします。この組織再編につきましては,今年2月の第88回の分科会でも御説明しております。基本的な考え方は同じでございますけれども,政府部内といたしましては,先月28日に文部科学省組織令の閣議決定をしてございまして,その政令の施行が明日から始まるということになってございます。
 1枚目の資料につきましては総合教育政策局の新しい課のラインナップを示してございますけれども,後ほど改めて御説明しますが,2月の時点と,一部,課の名称が変わっているところもございます。これは,具体的には内閣法制局との最終的な法制上の詰めで,より課の業務内容に即した課の名称にしている等の理由によるものでございます。
 では,2枚目をお開きいただければと存じます。この資料は,その2月にはお示しをしていなかったと思いますので,改めて,この資料に基づきまして,新しい局のミッション等について御説明したいと思います。
 まず,委員の先生方,御高承のとおり,臨教審の答申により,生涯学習体系への移行というものが言われました。その後,1988年に旧文部省に生涯学習局が発足して以来,生涯学習政策の推進を図ってきたところでございます。一番上の枠囲みの再編の目的の部分で,生涯学習政策の推進を図ってございますが,ややもいたしますと,主に社会教育分野の政策として生涯学習政策が実施されがち,換言すれば,学校教育と社会教育の政策が縦割りに展開されているという嫌いがなきにしもあらずだったものです。今回その分断・縦割りを解消して,生涯学習政策の一層の推進を図ることを目的として,学校教育・社会教育を通じた教育政策全体を総合的・横断的に推進し,この機能をより充実した形で行うことに適した行政組織として今回生まれ変わるということを意図してございます。
 これまでは,生涯学習政策局という,生涯学習という言葉を冠しており,その言葉自体はなくなるわけですが,教育基本法3条に定められている生涯学習の理念というものは,これはますます重要なことは言うまでもないところでございますので,この理念に基づいた生涯学習政策,すなわち学校教育・社会教育含めた政策の実現というものを目指してまいりたいと考えております。その上で,これまでの蓄積を継承しつつ,その実現に適した行政組織として今後,展開を図ってまいりたいということを狙いとしてございます。
 こういった考え方に基づきまして,中ほどにございますが,大きく二つの考え方で,新しい組織を構成してございます。
 まず左側の青字の部分ですが,教育政策全般にわたる企画・立案機能の強化,それから総合的・客観的根拠に基づいた政策立案の強化ということを図るべく,総合的かつ客観的根拠に基づく教育政策の推進を図るということから,まず当局の筆頭課として政策課,これは2月の時点では企画調整課としてございましたけれども,この課において総合的・計画的な教育政策の企画立案・調整を図ってまいります。
 また,教育改革・国際課という課を設けます。これは従前は教育改革推進課としてございましたが,教育のグローバル化などの環境変化を見据えた教育改革の推進を図るということをミッションとしてございます。
 また,調査企画課でございます。これは従前,政策調査課としてございましたが,これはまた言い換えればエビデンス課とでも申しましょうか,EBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)の推進というものを根幹に置いて図ってまいりたいと考えてございます。
 加えて,従前初等中等教育局,高等教育局でそれぞればらばらで行われていた,教員養成の一元化,加えて教育人材政策の立案の一元化を図るという観点から,教育人材政策課という課も設けてまいりたいと考えてございます。
 右側でございます。大きな固まりでございますけれども,人生100年時代の継続的な学びの推進,また,本分科会でも御議論を賜ってございます地域課題の解決,さらには社会参画のための学びといったものを推進すべく,社会教育を中心とした学びを総合的に推進する体制として,新しく3課を設けます。
 まず生涯学習推進課におきましては,「生涯にわたる学び」の推進を図ります。また地域学習推進課におきましては,活力ある社会を持続可能とする「地域における学び」を推進します。また男女共同参画共生社会学習・安全課,これは従前は男女共同参画・共生社会学習推進課と称してございましたけれども,ここにおきましては,「ともに生きる学び」を推進していきます。この3課体制におきまして,省内関係各課等との連携を図りながら,まさに我が国が直面する現下の課題に対応すべく,新たな行政組織としてしっかりと取り組むというメッセージを明確に出した上で,推進まで考えてございます。
 社会教育という課の名前はなくなりますが,一番右側にございます社会教育振興総括官という職を新たに設けまして,社会教育の振興を横断的に総括し,局を超えた社会教育を総合的に調整・推進する者を設けまして,社会教育の推進を図ってまいりたいと考えています。
 この内容につきましては,既に9月28日に各地方自治体等に御通知を申し上げてございます。関係自治体,関係団体等の御理解,御協力を頂きながら,引き続き生涯学習政策,社会教育政策の展開を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。

【明石分科会長】 
 寺門課長,ありがとうございました。あすから実施するということで,御意見,御質問がございましたら,事務局にメールなり,お手紙なり,また口頭でお寄せいただければと思います。
 特にこの場で共有すべき御意見があれば頂きたいと思いますが,いかがでしょうか。

(「意見なし」の声あり)

【明石分科会長】 
 では是非,何かありましたら,また事務局の方にお願いいたします。
 では,議題2に移ります。生涯学習分科会運営規則の改正についてでありまして,また組織再編に伴う生涯学習分科会の運営規則の技術的な改正につきまして,事務方から御説明をお願いいたします。

【菅野生涯学習推進課課長補佐】 
 それでは資料の2番,御覧ください。生涯学習分科会運営規則でございます。
 こちらの第4条の会議の傍聴というところにございますけれども,「分科会の会議を傍聴しようとする者は,あらかじめ」の後でございますが,「文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課の」としてございます。本日までは生涯学習政策局生涯学習推進課とさせていただいたところでございますけれども,組織再編に伴いまして,こちら総合教育政策局生涯学習推進課に改正をさせていただきまして,あす10月16日から実施することとさせていただきたいと存じます。
 以上です。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。この改正に関しては,事務的な手続の改正ですから,よろしゅうございますね。

(「異議なし」の声あり)

【明石分科会長】 
 それでは,今日の本題である議題3でございまして,人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策についてでございます。事務方の方で資料を作成していただいておりますので,御説明を伺った上で自由討議に入りたいと思います。
 では事務局より,まず中野社会教育課長,お願いいたします。

【中野社会教育課長】 
 お手元,資料3を御用意ください。資料3といたしまして,答申の素案というものを今回御準備させていただいております。前回は答申に向けまして構成のイメージ案,それから特に総論について幅広な御意見を頂いたところでございますが,これまでの御議論を踏まえて,素案として,たたき台を文章化したものでございます。
 まず資料3の表紙が目次になっておりますけれども,構成といたしまして,第1部は今後の地域における社会教育の在り方,そして第2部が今後の社会教育施設の所管の在り方でございます。第2部につきましては,夏までにワーキングも含めて御議論いただきました社会教育施設の所管を特例的に首長に移すことを可能とするということにつきまして,審議のまとめを基にした部分でございます。
 第1部につきましては現在進行形で御議論いただいている部分でございますけれども,第1章を地域における社会教育の目指すものということで,いわば総論的な方向性についてまとめた部分でございまして,第2章がその具体的な方策という部分は前回と変わりありませんが,特に第1章の総論的な部分につきまして,前回の議論も踏まえまして,第1章を2つに分けてございます。
 具体的には,1といたしまして,地域における社会教育の意義と果たすべき役割ということで,これは,これまでも御議論いただいた「社会教育」を基盤とした人づくり・つながりづくり・地域づくりということで,社会教育が今後の社会において極めて重要になってくるということですが,それに加えまして前回重要な御指摘としまして,社会教育は重要になるから,これまでどおりの社会教育をやるということではないだろうということで,そこに少し焦点を当てまして,2ポツとして,新たな社会教育の方向性というところを設けてございます。
 それから,項目で言いますと第2章につきましては,前回と1,2,3は大体同じなんですけれども,4の部分,社会教育の基盤整備と多様な資金調達手法の活用等につきましては,前回のイメージ案では第2部の施設の方に入れておりましたけれども,これは施設に限った話でないということで,第2章の4ということで移動をさせてございます。
 具体の中身につきましては,1枚おめくりいただきまして,おめくりいただいたところが1ページになりますけれども,この文章を簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 なお,この素案の文章ですが,先週,先生方にお送りしたバージョンから若干の文言調整が入っておりますけれども,基本的な筋については変わりございませんので,御了承いただければと思います。
 まず第1部でございます。第1部の第1章,地域における社会教育の目指すものにつきましては,「社会教育」を基盤とした,人づくり・つながりづくり・地域づくりということでございますが,前回,生涯学習という観点が少し弱いのではないか,そこをしっかり書いてはどうかという御意見を頂いたことも踏まえまして,生涯学習社会の実現という中での社会教育の重要性という構成にしてございます。
 最初の丸では,我が国の様々な課題に直面しているということ,そして今後も大きな変化が予想されるといったことを記載しております。
 また2つ目の丸では,国際的な動きといたしまして,SDGs,その中でも,誰一人として取り残さない「包摂性」ですとか,全てのステークホルダーが役割を持つ「参画性」,「あらゆる人々の活躍の推進」といった国際的な動きがあるということを紹介しております。
 その上で3ポツといたしまして,国内外の動きを踏まえ,一人一人がより豊かな人生を送ることのできる持続可能な社会づくりを進めるために,様々な主体がそれぞれの立場から主体的に取り組むことが必要になっているといったことを述べてございます。
 おめくりいただきまして2ページでございますが,2ページ最初の丸では,更に知識基盤社会における学びの重要性,加えて人生100年時代に全ての人が元気に活躍し続けられる社会を目指す中で,「生涯学習社会」実現への取組をより強固に進める必要があるといったことを述べてございます。
 次の2つの丸で,生涯学習と社会教育の関係を記載しております。生涯学習の理念,教育基本法3条を挙げてございますが,学校教育や社会教育を通じた意図的・組織的な学習はもちろん,個人の学習や様々な活動から得られる意図的でない学習も含む幅広い概念ということで,その中での社会教育につきましては,学校教育の領域を除いたあらゆる組織的な教育活動を対象とするということで,生涯学習社会の実現に向けて中核的な役割を果たすべきものとしてございます。
 更に次の2ページの一番下の丸で,社会教育の特徴といたしまして,学びを通じて個人の成長を期するとともに,他者と学び合い認め合うことで相互のつながりを形成していくといったことを特徴として挙げてございます。
 3ページに参りまして,とりわけ地域における社会教育。今回の諮問のテーマでございますが,地域における社会教育につきまして,住民個々人,住民相互,住民と地域社会というそれぞれの局面において特色や機能を有しているということで,まず住民個々人に着目すると,地域における住民の学びということで,個人の知的欲求が満たされ,生活の改善,人間としての成長,自己実現につながる人づくりという側面を持つということ,そして次に住民相互の関わりという点につきましては,住民の学び合い,助け合い,対話や議論の中で,相互学習を通じて相互に理解し認め合うことによる自己肯定感や幸福感,つながり意識などが醸成され,住民同士の絆が強まるつながりづくりという側面があるということでございます。そして最後に,住民と地域社会との関わりという点につきましては,住民相互のつながりや相互に認め合う関係が生き生きとした地域コミュニティの形成や地域が直面する様々な課題の解決に向けた住民の主体的な活動が活発化させるための基盤を形成するということで,地域づくりの側面を記載してございます。
 そして次の丸で,社会教育を通じた「人づくり」や「つながりづくり」が「地域づくり」につながっていく意義を持つということを記載しております。
 更に前回もございましたが,学びを学びで終わらせるのではなく,その成果を地域の活動の中で積極的に生かし,また活動の中で新たな学びを求めるといった,学びと活動の循環ということを記載してございます。
 4ページに参りまして,1ポツのまとめの部分ですけれども,社会教育は個人の成長と地域社会の発展に双方に重要な意義と役割を持つということで,その要となるのが学びの場を通じた住民相互のつながりである。そして人口減少,コミュニティの衰退を受けて,社会教育を基盤とした人づくり・つながりづくり・地域づくりの重要性がますます大きくなっているといったことを述べてございます。
 この1ポツの社会教育の意義,果たすべき役割といったことを踏まえまして,2ポツが今回新たに入れております,新たな社会教育の方向性ということでございます。サブタイトルとして,開かれ,つながる社会教育の実現ということを記載しております。また御議論いただければと思います。
 1ポツで述べたような意義,役割を果たすためには,現状を見据え,以下のような観点を中心に社会教育の在り方を大きく進化させる必要があるということで,3つの観点を以下記載しております。
 1点目が住民の主体的な参加のためのきっかけづくりでございますが,若者や現役世代など一般的に地域における社会教育への参加が少ない層を含めまして,より多くの住民の主体的な参加が得られるような方策を工夫し強化していくことが重要としております。
 具体的には,その参加のきっかけづくり等,学びの継続を支える仕組み,魅力づくりを工夫していくということで,その下から2番目の丸では,特に社会的に孤立しがちな住民等の学びを通じた地域社会への参画を支援するためには,積極的な声掛けなど,より丁寧な対応,工夫が求められるとしております。
 きっかけづくり,具体的な方策は第2章になりますけれども,身近で目的を共有しやすいテーマを設定したり,楽しく誇りを持って取り組んでいけるような学習の機会を作る。さらに,同時に学習の成果を地域での活動に生かす「学びと活動の循環」につながっていくことが期待されるとしております。
 5ページ一番上の丸ですけれども,そういった多くの参加者のきっかけづくりにつきまして,特に子供たちの学びや成長といったことから地域活性化も目指す「地域学校協働活動」ですとか「地域防災」,あるいは「健康」といったテーマは,多くの地域で格好のテーマとなるとしてございます。
 次が観点の2点目といたしまして,ネットワーク型行政の実質化でございます。一般に社会教育部局のみで完結しがちな「社会教育」の壁を打ち破り,多様な主体――これは首長部局ですとかNPO,大学,民間等でございますが,それとの連携・協働を実現することが重要ということで,このネットワーク型行政につきましては,これまでの本審議会でも幾度も御提言いただいておりますけれども,一番下の丸にありますように,その取組はいまだ十分とは言い難く,ネットワーク型行政の実質化に正面から取り組んでいく必要があるとしてございます。
 そして観点の3点目が,すみません,ちょっと見出しと本文がページがまたがっておりますけれども,6ページ以下,本文でございます。3点目といたしまして,地域の学びと活動を活性化する人材の活躍でございます。
 学びや活動と参加者をつなぎ,地域の学びと活動を活性化する専門性ある人材にスポットライトを当て,その活躍を後押しするということでございまして,地域における様々な学習機会について,全体を俯瞰的に捉え,関係者間をつないだり,必要な学習の場について調整を行ったりする役割が重要としております。
 3番目の丸では社会教育主事について述べております。社会教育主事の配置の充実やネットワーク化とともに,首長部局や社会教育に関わる様々な主体等も含め,広く社会教育に関する取組を積極的に支援するよう,学びのオーガナイザーとしての業務内容の高度化を図るなどが重要としてございます。
 また次の丸では,そういった社会教育の専門の職員だけではなくて,例えば地域学校協働活動の推進員も民間の立場で,委嘱をしていますが,ボランティアベースでやっていただいているわけですけれども,そういった方も含めまして,民間の立場,NPO等も含めまして,様々な地域で社会教育推進に役割を果たしている人材の方はいらっしゃいます。そういった人材と行政との連携を進めるという視点が重要としてございます。
 その点に関しまして,「社会教育士」,2020年度からの制度でございますが,そのコーディネート能力,ファシリテート能力等の専門性を,様々な地域で活動していただいている方に身に付けていただくということも必要であるとしてございます。
 最後に第1章2ポツのまとめでございますけれども,社会教育の進化に向けてということで,この3点を全て。前回,社会に開かれた社会教育になっているのかというようなお話もございましたけれども,「開かれ,つながる社会教育」へ,参加者という面でも,行政のネットワーク化という面でも,人材を幅広く巻き込んでいくという面でも,進化を図っていく必要があるとしてございます。
 以上が第1章でございます。7ページ以下が第2章,今の1章を踏まえた具体的な方策でございます。
 第2章1ポツ,学びへの参加のきっかけづくりの推進。こちらは今の社会教育の方向性の1つ目の観点に対応する部分でございます。前段は少し考え方ですので,第1章とも重複する部分ございますけれども,データ的にもきっかけがつかめない方が多いということもございまして,その参加を後押しするようなきっかけづくりの工夫が必要であるということでございます。
 そして3つ目の丸では,特に子供や若者の参加を促進することが重要であるということ。
 そして更に4ポツでは,年齢・性別・障害の有無・国籍・所得等にかかわらず,更に孤立しがちな人や生きづらさを抱えた人も含めて,学びのきっかけづくりに向け,多様な関係者が連携し,より一層きめ細かい取組を進める必要があるとして,社会包摂という部分でございます。
 具体的な方策でございますが,学びや活動への住民の主体的な参画のためのきっかけづくりのために,地域の実情等も踏まえて様々な工夫を凝らすということで,地域で工夫していただくということですけれども,例として何点か挙げてございます。
 例えば,これまでもずっとあったことですけれども,楽しさをベースとした学びのこと,それから8ページの方で,子育て,防災,健康づくりといった身近で前向きに取り組みやすいテーマを設定する。
 さらには,子供をきっかけとして子育て世代が参加しやすい活動を工夫する。
 それから,子供,若者ということですけれども,幼少期から子供の地域への理解と愛着を育む取組を促進するですとか,まちづくりの議論の際に子供から大人まで幅広い世代による熟議を行い,子供にも成功体験を持たせる。そして若者の声やニーズを聞いて,自己有用感を増して参加を引き出す。さらには,地方公共団体と地元の大学等との連携によって,学生の地域活動への参加を促進する。
 そして最後に,例えば地元の企業と連携して,社員のワークライフバランスの確保ですとか企業の地域貢献等の観点から社会教育活動への社員の方の参加の奨励を働き掛けるといったことも考えられるとしてございます。
 それから次ですけれども,社会教育行政担当部局が福祉部局や民生委員等との連携を強化するということで,特に孤立しがちな人や生きづらさを抱えた人に対するアウトリーチの取組を強化するとしております。
 9ページに参りまして,住民の当事者意識を高めるということで,課題の発見・共有・解決の3つの段階,最初の段階から当事者として入っていただくといったことを書いてございます。
 そして最後が国。こういった地域での取組を推進するために,国においては,地域住民の主体的な参画のためのきっかけづくりについて,各地における具体的な取組を収集し,広く共有する。また,地域における活動の構想から評価に至るモデル例・留意点等を示すため,事例分析と周知を行うことも求められるとしております。
 具体的な方策の2ポツが先ほどの観点の2に対応しますけれども,多様な主体との連携・協働の推進,ネットワーク型行政の部分でございます。
 前段では首長部局,団体等との連携,そして大学との連携の重要性を述べておりまして,10ページの方で,ネットワーク型行政の一層の推進に取り組むということを書いております。
 そういった組織レベルの連携・協働を通じて,様々な分野の人材を社会教育の新たな担い手として積極的に巻き込んでいくことが重要としておりまして,新しいネットワーク型行政によって新たなアイデアや価値が生まれ,新しい地域づくりにつながることが期待されるとしております。
 具体的な方策として,まず首長部局との連携ということにつきましては,総合教育会議の活用ですとか,地方公共団体の総合計画,あるいは教育振興基本計画への明記といったことを書いてございます。
 加えて,社会教育行政担当部局と首長部局との積極的な人事交流を推進するということで,こちらで紹介されました事例についても注釈の方に記載してございます。
 それから11ページはNPOとの連携,そして企業との連携,大学等の高等教育機関との連携を書いておりまして,そういった地域づくりに関係するNPO等の団体や大学,企業等と行政関係者が一堂に会し,意見交換や協議を行う場を設けるということも考えられるとしております。
 以上のような自治体での取組ということを推進するために,国においては,そういった先進事例の収集・分析,情報発信を進めるとしております。
 このネットワーク型行政の関係で,学校教育との連携・協働の部分を,少し見出しを付けて分けて書いてございます。
 12ページに参りまして,コミュニティ・スクールの導入ですとか,地域学校協働活動の法制化のことを紹介した上で,地域学校協働活動は,地域全体の新しい人づくり・つながりづくりの機会として大きな可能性を持つものであり,子供に関わる活動への参加をきっかけとして,防災や福祉といった,地域づくりに関する新たな課題に対応するための学びと活動の輪が広がっていく,発展するということも期待されるとしてございます。
 具体的な方策でございますが,地域と学校の連携・協働のためのいろいろな制度的な部分,「学校運営協議会」の設置,「地域学校協働本部」の整備,「地域学校協働活動推進員」の配置の促進といったことがございます。
 そして次ですけれども,社会教育施設を「総合的な学習の時間」等で積極的に活用し,子供たちが地域の中で活動しながら学ぶ機会を充実する。
 12ページの一番下では,高校生の地域との関わりを強化するということで,SBP(Social Business Project:地域ビジネス創出事業)等を含めまして様々な取組が期待されるということでございます。
 13ページですけれども,学校教育と社会教育の連携という観点からも,教師や教員養成課程の学生に対し,社会教育主事講習の受講や社会教育主事養成課程における科目の履修等を推奨するとしています。
 そして国においては,各学校が実施する総合的な学習の時間におきまして,社会教育施設やNPO・企業等と連携する際の留意事項を整理し,各教育委員会に周知するとしておりますが,これは実は初中教育分科会の教員の働き方部会の方でも御議論が進んでいると聞いております。それも含めまして,社会教育と学校教育との連携・協働に関する先進事例の収集・分析,情報発信を進めるとしております。
 第2章の3ポツ,多様な人材の幅広い活用が,先ほどの観点の3番目に対応するものでございます。
 その2ポツですけれども,以前から地域におきましては青年団,婦人会,PTA等を中心に地域の学びと活動が推進され,その中で活動を担う中核となる人材が育成されてきた。更に近年では,それにプラスして,地域学校協働活動推進員ですとかNPO等で活動する方など,幅広い人材が地域において活動していらっしゃるので,これまで社会教育と関わりがなかった幅広い世代の多様な専門性を持つ人材等も巻き込みながら,幅広い連携体制を構築していく必要があるとしております。
 次の丸は社会教育主事についてでございます。繰り返しになりますので省略いたします。
 14ページは社会教育士のこと。首長部局や地域学校協働活動推進員,NPO,企業等,多様な方に社会教育士として活動していただいて,相互の連携を図るということが重要としております。
 具体的な方策でございますが,まちづくりや地域の課題解決に熱意を持って取り組んでいる幅広い世代の多様な専門性を持つ人材等を,地域の実情を踏まえつつ,社会教育の活動に巻き込み,連携体制を構築するための方策を検討する。例えば,こういった方に,地域学校協働活動推進員の事例も参考にしながら,教育委員会が非常勤の行政職を委嘱することなども考えられるとしております。
 その際に,既存の制度である社会教育委員との有効な連携も考えられるのではないかということでございます。
 それから次は社会教育主事。必置でございますけれども,なかなか厳しい状況にございます。地方公共団体において確実に社会教育主事を配置するということで,国においては,その必要性・重要性の発信の強化に加えて,社会教育主事講習の受講方法の多様化に向けた検討を行うとしております。
 15ページでは社会教育士につきまして,制度はできましたけれども,それを2020年度の施行に向けまして,国において,その職務や活躍の場について具体的に検討し,広く広報するということで,地域の課題解決に取り組む多様な人材に対し,社会教育士の取得を推奨するとしております。
 そして,そういった様々な人材が連携し,その役割を十分発揮できるよう,社会教育主事,社会教育主事有資格者,社会教育士を含めて,幅広い関係者間の情報共有,連携・協働を図る場の設定を行うと書いております。
 そして国のレベルでも,そういった人材の研修・交流を行う場を設けて,地域の枠を超えた学び合いと連携を促進するとしております。
 15ページ,4ポツが社会教育の基盤整備と多様な資金調達手法の活用等ということで,施設の関係でクラウドファンディング等について第2部で述べておりましたけれども,施設に限らないということで,こちらに移動させてございます。
 まず地方公共団体の社会教育費は減少傾向にあるということですけれども,今まで述べたような社会教育の重要性ということに鑑みれば,十分な社会教育費の確保が望まれるとした上で,同時に,社会教育の基盤整備や資金調達の面において更なる工夫が必要としております。
 次の丸では社会教育施設の複合化,特に16ページに参りまして民間施設の併設ということで,地域活性化を図るといったことを事例とともに述べてございます。
 またクラウドファンディング,こちらの分科会でもヒアリング等ございましたけれども,クラウドファンディングの手法を社会教育に取り入れるということも考えられる。さらには,そのほかのCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)社債,SIB(Social Impact Bond)等も含めて,資金調達手法の一つとして検討していくことが望ましいとしております。
 さらに,社会教育のこういった基盤整備ですとか多様な資金調達手法の活用につきましては,各地方公共団体において検討を進めることが期待されるということでございますが,国においても優良事例の収集,その横展開を図るということで,成否の要因の分析や業務の手順,経理等に関する留意事項等についても情報を収集し,提供していくことが重要としております。
 以上が第1部でございまして,18ページ以下の第2部につきましては,審議のまとめのエッセンスでございますので,説明を省略させていただきます。

【明石分科会長】 
 中野課長,ありがとうございました。
 続きまして,本日欠席しております山本仁志委員からの御意見を頂いておりますので,事務方から御説明をお願いいたします。では菅野さん。

【菅野生涯学習推進課課長補佐】 
 資料の4番を御覧ください。鳥取県教育委員会教育長,山本仁志委員から御提出を頂いた資料になります。
 まず1番は,鳥取県が目指す生涯学習の方向性ということで,自己実現や生きがいづくりとしての役割,一定程度果たしてきたが,人口減少,高齢化等,地域課題が山積する中で,学んだ成果を地域社会に生かすという取組,これが遅れているということで,学びの成果を地域の活性化につなげる取組が必要ということで,次の方向性を示すことになったとのことでございまして,鳥取県の教育審議会の答申が記載されてございます。
 これまでの生涯学習に加えて,学習の成果を地域づくりに生かすことや,その下のポツですが,学ぶことにより地域とのつながりを持つということで,矢印の先ですけれども,学びから行動へ,行動から学びへと循環をさせていくということだそうでございます。
 2ポツですが,こういった生涯学習の方向性を踏まえた取組ということで,具体的なお取組の御紹介を頂いております。直属の県営の講座ということで,「未来をひらく鳥取学」,こういったものをやっておいでだそうですけれども,これを見直しをしたということでございまして,以前から開設をしていた講義型の講座に加えまして,現地の研修やグループワークを取り入れた地域課題解決をテーマとした参加型のシリーズ講座ということで,市町村と連携をして実施をされているということです。
 平成30年度の例のテーマというところですが,「地域×若者~自分のために誰かのために」ということでテーマ設定をされまして,ステップの1番は講演を聴くという会,ステップの2番はフィールドワークということで,廃校活用の事例を視察をし,ステップの3のグループワーク,皆さんで意見交換を実施をするということで,※に書いてございますが,市町村との協議を基にテーマ設定をし,テーマごとに,このステップ1,ステップ2,ステップ3ということで実施をしておいでだということでございます。
 それから3ポツですが,ふるさと教育・キャリア教育の推進ということで,地域の青年層の活動の活性化ということで,市町村や団体等に対する活動経費の支援,そして実践交流会の実施,こういったことをやっていただいているということです。
 支援団体の例ということで,高校生のサークル。町内に高校がないということで,地元の高校生を地域に結び付けるための仕組みとして,高校生自身が結成をしたようなところだそうです。
 2枚目に行っていただきますと,このサークルのメンバーたちが中心になって,青年団組織も立ち上げをされたということで,発展をしているということでございます。
 また4番ですが,社会教育関係者の育成と連携ということで,一つ目の項目が鳥取県社会教育協議会の運営ということでございます。全ての市町村の教育長さんと社会教育関係団体で構成する任意の団体の中で,研修会であったりとか連絡の場といったものを持っているということでございます。
 二つ目の丸ですが,社会教育委員の活動支援ということで,手引の作成・配布をしていただいているということです。「社会教育委員の手引(基礎編)」というので29年度に作成をしまして,平成30年度には県内外の社会教育委員の活動事例をまとめた実践編ということで作成予定だそうです。
 また三つ目の丸ですが,学校教員の社会教育主事講習の受講支援ということで,学校側のキーパーソンとなるような地域連携担当の教職員の方々が社会教育主事講習を受講するための経費の助成を行っていただいているとのことでございます。
 最後5ポツが今後の社会教育の在り方ということで,全体的な審議会におけるこれまでの議論を御覧いただいた上で,大きな意見があるということではないけれども,以下の点が重要ではないかということで二つ挙げていただいています。
 一つ目は地域の誇り・自信等を醸成する役割・機能ということでございまして,少子化による人口減少,高齢化の進展,こういったことの中で,地域の持続的な維持発展のためには,特に学校教育への支援・連携という視点は大きな鍵を握るのではないかということで,自らがふるさと・地域を持続可能とするための動機付けとしての社会教育の側面から果たし得る役割,こういったものを整理することが必要と考えるとのことでございます。
 またもう一つの丸ですが,社会教育施設と学校教育との連携・協働ということでございまして,社会教育施設,地域が育んできた歴史文物,自然,文化芸術,知識・情報,こういったものの集積施設ですので,学校教育において,様々な社会資源活用しながら主体的・対話的で深い学びを実践していくために積極的に利活用ができる施設として,総合的な学習の時間だけではなく,様々な教科の中で活用していくことが望ましいのではないかということでした。
 ※の一つ目ですが,鳥取県の方でも新たに整備する美術館には美術のラーニングセンター機能を設けるといったようなことでありますとか,二つ目の※ですが,平成27年度から県立図書館の中に学校図書館の支援センターを設置をいたしまして,学校図書館支援員による研修・相談を通じて,一貫した学びといったことを,学校図書館活用教育ということで連携をして推進を頂いているということでございます。
 以上です。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。
 それでは,ただいまから,事務局からの説明も踏まえまして,年末の答申について委員の皆様から御意見を頂きたいと思っております。本日も長めの時間を用意しておりますので,答申に盛り込んでいくべき事項について,皆様の御意見を十分に表明していただければと思っております。
 では,例によりまして名札を立てていただくと。まず横尾委員,お願いします。

【横尾委員】 
 ありがとうございます。意見を申し述べたいと思います。
 前回の生涯学習のことを少し入れていただいたなということで,うまく整理していただいて感謝を申し上げたいと思っています。
 まず意見に関しましては,1ページ目です。最初のパラグラフがございまして,この中に「人生100年時代の到来,Society5.0に代表されるような社会の大きな変化」ということが書かれてあります。
 ただ,私の認識はちょっと違いまして,Society5.0というのは日本政府が打ち出したものなのです。科学技術に関して特に絞って,今後の未来を予想してこうしていこうということで,超スマート社会とも言われています。日本の抱えるあらゆる課題をICT,IoT,AI等を使って,デジタル社会のメリットで解決していく時代を想定してあります。
それに向けて政府を挙げて日本国としてやっていこうという目標なのです。だから,これは変化というよりも,Society5.0のようなことを掲げていることと,それを目指すことによって生まれてくるいろんな変化といいますか,効果といいますか,そういった表現にしていただいた方が,総理官邸の方も受け入れやすいのではないかなと思います。
 そういったSociety5.0の波が来るのではなくて,日本が創ろうとしている訳です。Industry4.0は,ちなみにドイツはこの違う意味での使い方もされているのです。是非そこは,その辺を強調していただいた方がいいのではないかなということを強く感じましたので,1点申し上げたいと思っています。
 あとは細かいことですけれども,座長には,「これくらいは後でメールで」と言われるかもしれませんが。例えば4ページ目の下から二つ目のパラグラフに,「学ぼうという意思があっても多くの人にとっては」という記述とか,あるいは7ページには,一番上のパラグラフに,「本人が参加しようという意思を持ち行動を起こさなければ動き出さない」とあります。この「意思」の「思」ですが,「志」でいいのか,「思」でいいのか,実は迷っております。積極的にあるべきとの意味を伝えたいのなら,「志」の「意志」にしてもらった方がいいのでは,今年は明治150年ということもありますので,その方がいいのではないかなと個人的には少し感じているところです。
 あと3点目は,本当に小さいことで恐縮です。政府の幾つかの委員会に,私もお世話になっていますが,アルファベット表記は基本的に半角のものが多いのですね。ここでもそうです。唯一,13ページのNPOは大文字になっています。ページの真ん中あたりです。私,個人的には,多分,新聞社などの表記に関するルールブックを見ると,大文字なのです。ですから,大文字に,政府文書をそろえていただいた方が大変見やすいと思うところでございます。
 実は,このことはほかにもございまして,「取組」というのがあるのですが,漢字二文字の「取組」は,たしか大相撲の番付の「取組」の「取組」なのですね。新聞社の用語辞典を見ると,各社持っていらっしゃいますけど,こういう場合,大体「み」を付けるか,「り」と「み」を表記に付けていらっしゃると思うのです。ほかの省庁の会議では,自分もこういうこと余り言わないですけれども,何せ文部科学省は国語行政を所管されているところであり,是非,何か専門家にも尋ねていただいて,「これが正しい日本語表記である」ということを出して,表記していただいた方が,今後のあらゆる公文書にも影響してくるので,是非お願いできればなと思っています。
 小さいことを申し上げました。
ところで,実は,こういった基本方針に関する文書はその後にずっと残っていきますし,地方自治体や関係のNPOや団体の皆さんにとっては,ある意味でバイブルのようになる訳ですね。ここで読んで,このことをやったり,あるいはここでひらめいて,より新しい社会ニーズ,課題への対応をやっていこうとなる。あるいは地域で言いますと,学校を拠点として新しいネットワークで,ここに書く理念をしながらやっていこうというテキストになります。そういうことですので,是非こういったことも少し御勘案いただくと大変有り難いなと思っているところです。
 あと最後でございます。5ページです。これはこれで正しいのかなと一瞬思いますが,「ネットワーク型行政の実質化」とあります。ICT絡みの文章等の資料の場合でいきますと,この「実質化」については「実装化」という表現を割と使っておられるので,少し検討いただいたらどうかなというのが一つです。それと,あと「ネットワーク型行政」というのは,この文脈で見ていきますと,各種団体とのネットワークや関係機関とのネットワークは,それはいいのですが,一方ではICT時代とかデジタル社会における新しい行政とかいう動きが既にありますので,少しその辺を将来的に検討いただきたいところです。ちょうど文部科学省内の機構改革も動き出すところですので,少し検討いただくと,例えば総務省や関係するところともスムーズな連携とかにつながっていくのではないかなと期待しておりますので,御勘案いただくと有り難いと思います。
 以上です。

【明石分科会長】 
 貴重な意見ありがとうございました。
 では菊川副分科会長。

【菊川副分科会長】
 私も今までの議論を正確にまとめていただいていると思います。その上で,小さなところばかりですが,申し上げます。
 まず5ページの,最初の上の丸です。地域学校協働活動に続いて地域防災,健康長寿とありますけれども,この地域防災,健康長寿,特に健康長寿は,先日NHKでも特集がやっておりましたが,やはりこれからの高齢化社会の非常に大きな課題なので,これらは独立して丸を起こされた方がいいのではないかという意見でございます。
 それから6ページでございますが,これ私がもともと会議で発言したことかもしれないので,ちょっと責任を感じているところですが,二つ目の丸の「社会教育には特段の制度的な枠組みはなく」という言葉と,それから一番下の丸ですが,「社会教育そのものはあくまで手段である」という言葉が,答申としては不適切ではないかという感じをもちました。
 それから,10ページ,11ページでございます。社会教育行政と首長部局の人事交流のところですが,ここが,この文言だけ読みますと,例えば市町村にしても,県にしても,社会教育行政部局と首長部局の人事交流は普通にやっているよって言われる部分があると思います。例としての11番の注はベストプラクティスですけれども,例えば県などにおきましても,社教主事,指導主事の経験者を首長部局のソフト行政のところに送り込むと非常に力を発揮します。そういう意味では,ここは専門的職員のことを中心に言っているのかなと思いますので,そういうところを少し表現を工夫いただければと思っております。
 それから15ページでございます。二つ目の丸ですが,ここに社会教育主事,社会教育主事有資格者,社会教育士等とありますけれども,この社会教育主事有資格者というのを,これからも使うのかどうかということが気になりました。今までは社会教育士がなかったので社会教育主事有資格者というのを使ってきましたけれども,一方では,例えば社会教育有資格者が社会教育士になるためには4単位とらないといけないので,それが非常に大変なので,有資格者というのが今後も使われるのかなという気もしないではないんですが,そのあたりのところは,社会教育士ということをどのぐらい打ち出すかの判断かなと思ったところでございます。
 それから,2部のところで,ちょっと見落としていたところがありまして,23ページでございます。23ページの青少年教育施設のところの表現ですけれども,この二つ目の丸が青少年教育施設とはと書いてあるんですが。青少年教育施設の量的なものとしては,学校の集団宿泊体験が一番多いのではないでしょうか。そういう意味では,例えば一つ目の丸の2行目の「青少年団体等の」の前に,学校や青少年団体等というのを付け加えるべきではなかろうかと思いますし,また二つ目の丸の「社会に開かれた教育課程」の実現というところの,ここの意味付けが具体的に何を指すのかなという感じでございます。すなわち,全体に青少年教育のフレームが少し薄れている感じがいたしました。
 戻って恐縮ですが,7ページの真ん中辺の丸で,「次世代を担う子供・若者が」ということで,地域における子供,若者ということですけれども,もともと社会教育には青少年教育という大きな領域があって,青少年の自然体験,生活体験,社会体験等々がございます。それで,そういう意味では,今までの青少年教育とのつながりを少し考慮された方がいいのではないかと思いました。
 それから最後ですけれども,30ページの上から3行目です。社会教育行政の新たな担い手として首長部局が加わると書いてあるのですが,確かに社会教育施設の所管を特例措置として担えば,それは社会教育行政の新たな担い手に首長部局がなるということにはなるのですけれども,そこは,あくまでも社会教育行政は教育委員会が所管するということを考えたときには,ここは社会教育行政の新たな担い手と書くと誤解を与えないかなと思います。
 また,社会教育行政を担うのは今後も基本とすべきであるがという表現も,所管とするべきであるがということと,所管することを基本とすべきであるがということは,基本とするというのは原則とするということで,例外があるとも読み取れる。実際は,いろんな補助執行等で,そうじゃないところもあるのだと思いますけれども,その辺のところはやはり,あくまでも今回の主題は社会教育施設の所管であるというところは,誤解がない方がいいのではないかと思ったところでございます。

【明石分科会長】 
 非常に大事なところをありがとうございました。
 では野田委員,お願いします。

【野田委員】 
 ありがとうございます。感想も含めて二,三点申し上げたいと思うんですけれども。前回の論議に参加をしていないので,大変恐縮なんですが,議事録を見させていただいて,説明もございましたように,生涯学習について強調していただいたということでございますので,その点については評価をしたいと思います。その上で,少し具体論がないなという感じがいたしました。
 大学分科会の中でもリカレント教育などの課題についての論議なり問題提起もされているわけでございますけれども,この課題というのは高等教育の課題だけではないと実は思っておりまして,ある意味,社会教育の課題ではないのかということでございます。社会人,さらには社会人終わられたOBの皆さん,とりわけ男性の皆さんの学び直しというんですかね。そういった視点が具体論として必要なのではないかということでございますので,1点申し上げておきたいと思います。
 それと2点目はICTの利活用でございまして,これは横尾さんの御意見と若干かぶるところもあるかもしれませんけれども。冒頭の文章の記載から,第4次産業革命でございますとかIoT,ビッグデータ,AI,さらには,先ほど指摘がございましたが,スマート社会のSociety5.0などの文言はあるんですけれども,それに対する具体論が少しないなという感じがいたします。
 前回の分科会でも発言があったということで聞いているんですけれども,ICTの技術を活用した機会の充実策,拡充策というんですかね,そういったところも。人と人とのネットワークも大事なんですけれども,そういったテーマも必要でないかと思っておりまして。
 例えば今,エドテックみたいなことも言われておりますのと,これは前回出されたと言われておりますけれども,公開のオンライン講座MOOCみたいなことが盛んに展開がされておりまして,これはビジネスモデル。企業側とどう連携するかというのもあるんですけれども,そういったことも,より多くの皆さんに広めていくという観点に立てば,非常に大事な視点ではないかと思っておりますので。
 総論として書いていただく課題認識はいいんですけど,それに対する答えが若干不足しているという感じがいたしますので,その2点,申し上げておきたいと思います。

【明石分科会長】 
 非常に大事な御指摘ありがとうございました。
 では牧野委員,お願いします。

【牧野委員】 
 失礼します。私は神は細部に宿ると言われますけれども,私は少し大きな話をさせていただきたいと思います。
 とてもうまくまとめてくださっていて,基本的にはこの方向性で私も賛成です。ただ,ちょっと欲を言いますと,この答申を読んだ人が,ああ,これからこんな社会になるのだといいますか,こんな社会にしていくのだな,というような社会イメージが出てくるといいかなとも思っています。
 なぜこのようなことを申し上げるかといいますと,実は先の地域学校協働答申の最後の方の文章に,一人一人が依存するのではなくて,自立して,当事者意識を持って頑張りましょう,というようなことが書いてあるのですが,あの文章を,いろいろな方々が読んでいらっしゃって,私が関わっている地域社会での実践などでも,地域のいろんな団体の方々が,ここがとても印象的だったということをおっしゃるのです。
 やはり,答申は一つの社会イメージを打ち出すという意味もあると思いますので,人口減少時代の新しい地域づくりという,日本は長期変動としては初めて人口減少の局面に入っていて,未曽有の事態であるわけですが,この事態に対して新しい地域づくりということで,従来のような地域づくりではなく,新しい地域を創っていくイメージを打ち出せないかと思います。そこでは,住民全てが主役になって,当事者意識を持って,新しい社会を創っていくのだという方向性を出す。そのときに,実践の現場では,社会教育はどんな役割を担うことができるのかという議論になるのだろうと思います。その意味で,新たな地域づくりに果たす社会教育の役割という内容については細かにいろいろ書かれておりますが,やはりもう少し,一つの社会イメージのようなものが書かれているといいかなとも思いました。
 例えば,実は今度,経産の若手プロジェクトの方々に来ていただいて勉強会をやる予定にしています。『不安な個人,立ちすくむ国家』というレポートを出されたプロジェクトのメンバーです。国家は立ちすくんでもらってはちょっと困ると思うのですけれども,私たちの感覚から言うと,いわゆる従来の国家の在り方が変わっていく中で,では社会どうするのかというときに,国家が立ちすくんでいるのであれば,「立ち向かう社会」というような形でイメージを出したいと思っているのですが,そのときに,では社会教育は一体どういう役割を果たすことができるのかという議論をしなければなりません。
 もう少し言えば,この答申案にたくさん書かれてありますように,現在の課題を解決しながら,教育として,では次の世代をどう育成するのかということが,やはり文科省の強みであるかと思いますので,その意味では,現下の社会保障としての社会教育でありながら,将来の社会を創っていく,未来社会を創造する社会教育というようなイメージがあると思うのです。そうした観点と学校教育を結び付けて,それをもう少し草の根からといいますか,地域学校協働という立場から作り直していく,作り上げていくといったことが,これから問われてくるのではないでしょうか。
 そこに例えば,前回も少し申し上げましたが,各省庁が考えているコミュニティ政策,例えば総務省の地域運営組織,厚労省の地域包括ケアシステムですとか,国交省の地域防災ですとか,更に内閣官房のまち・ひと・しごとの小さな拠点づくりもそうなのですが,そうしたものの基盤として社会教育が機能していくことが大事なのだといったことを押し出せないかなと思うのです。
 例えば,つい一昨日まで北海道の胆振地震の被災地にいたのですが,そこで皆さんがおっしゃるのは,公民館活動がしっかりしているところは,避難所経営がとてもうまくいっているということなのです。ボランティアが入って避難所経営をしようと思ったら,住民から拒まれた。要りません,と。自分たちで,ちゃんと経営できているのです。しかも,それはとてもうまく動いていて,外部からボランティアが入る必要がないところがたくさんあるとおっしゃるのです。その意味では,やはり日頃からの社会教育や公民館の活動が,いわゆる非常時にうまく機能する,つまり住民相互が尊重し合いながら,助け合いがうまく動いていくようになっているのです。
 また,私たちが関わっているある地域ですが,社会教育活動をきっちりやっていくと,地域包括ケアのシステムがきちんと動くようになっていくのです。住民が自分たちでケアラーズカフェ,つまり介護者である家族や住民相互の懇談の場をつくって,そこから相互見守りの仕組みを組織していって,厚労省が言う前から動いてしまうようなことが起こっています。
 その意味で,やはり,新しい地域社会の基盤を作っていく,そうしたものとして社会教育があるということが前面に打ち出されてくるといいますか,こういう社会教育をしっかりとつくり,実践を展開することの中で私たちは,この社会を新たな社会として次の世代にきちんとと引き渡していくようになるのだという,そういうイメージがどこかでうまく出てくるといいなと思います。少し漠然とした話で申し訳ありませんが,この答申を読むことによって,私たちはこういう方向を目指しているのだということが,多くの人々に見えるようなものになるとよいと思いましたので,一言申し上げました。

【明石分科会長】 
 大事な形で。次にまた,もう一回,分科会やりますけれども,人々が元気になり,達者になり,町が持続できて,明るい未来を提示できるというか,そういう社会的イメージというのは,野田委員もおっしゃいましたけれども,やっぱり皆さんが答申を読んで,やってみようかとなるようなことが大事かと思います。ありがとうございました。
 では金藤委員。

【金藤委員】 
 ありがとうございます。今,牧野委員がおっしゃった大局的なものとは異なり,また細かい内容になって恐縮なんですが,幾つか気になった点を申し上げます。
 先ほど菊川委員がおっしゃったような内容も含まれておりますけれども,6ページで社会教育そのものはあくまで手段であると言い切っているところは,やはり私も非常に気になっておりました。ほかの部分で教育基本法第9条や社会教育法に基づく社会教育や学校教育がどういうものであるかという記載がありますので,この記載は余計な議論を呼び起こす可能性があって,削除すべきではないかなと思っております。
 全体的には私も非常によくまとめていただいたと思っておりますけれども,この後,幾つか意見を申し上げますのは,まず1点目は12ページのところで,具体的方策として,高校生と地域との関わりを強化するということを書いていただいているのは非常に有り難いんですけれども,分科会でも大学の先導的事例の紹介等もありましたので,是非,高校生や大学生が地域との関わりを強化すると書いていただけると有り難いなと思っております。
 また,青少年教育施設を23ページで取り上げていただいていること,また次代を担う青少年の健全育成を総合的に推進し,さらには青少年が社会の担い手となることを支援する拠点と明示していただいたのは大変有り難いと思いますけれども,願わくは,青少年を支援する若者の人材育成の推進ということも記載に含めるよう検討していただければと思っております。
 それはなぜかというと,プレイワーカーとかユースワーカーといった,青少年を支援する若者を中心とする人材というものが諸外国にありますけれども,日本ではまだ,その類似の資格や身分,職業が十分育っていないというところがあろうかと思います。厚労省の別の会議におきましても,青少年教育活動を支援するNPOなどから,そうした若者の青少年支援者が活動に定着できないということが現状が報告がありましたし,国として,そういった人材育成や処遇改善の要望というものも出されておりますので,そういうところも入れていただければ有り難いなと思っております。
 もう一点です。地域学校協働活動は非常に重要だということを書いていただいているのは大変すばらしいと思いますし,その連携のための人材が地域に配置されることも繰り返し書かれていることは大変いいと思うんですけれども,学校側に地域連携担当教職員を位置付けるということの意味や意義,また,その先導事例を示していくべきだといったことも是非書いていただきたいと思いますし,また,きょう鳥取の紹介で頂きました,学校側のキーパーソンとなる地域連携担当教職員が社教主事の資格を持っていない場合,その講習の経費を県が助成していると。こんなの是非,好事例として書いていただきたいと思っております。
 以上です。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。
 では,お隣の生重委員。

【生重委員】 
 私も金藤委員とちょっと共通したところがあるんですが,12ページ,13ページのところの特に具体的方策のところに,今,例えば教育課程部会でも新たなる学校の今後の地域学校協働のための組織を円滑に動かすためのプラットフォーム,それも高校を中心としたとか,そして義務教育としての連携を通じたネットワークづくりとか,あらゆるところで,プラットフォームである,ネットワークであるというふうに組織を作ることが望まれている。そして,ちょっと正確じゃなかったらごめんなさい。通達がもう出されていると聞き及んでいるんですが,総合的な学習の時間の七十数時間の4分の1を,例えば社会的な公共施設とか,それからNPOとか,様々なところと連携して,学校教員がそこに立ち会わなくても授業として認めるというふうに文書通達が,ちょっと早かったんじゃないかなという,私自身は思っているんですが。
 これは結構,現場は,私も,どうしましょうという意見を,地方に行っていても聞いていて。やっぱり学校の教育課程内でやることは,先生がきちんと把握し,そしてきちんとプランニングを立てながら,どこに外にアクションをしに行くかということも,子供の数に応じて数か所決めていくとか,そのときに,そこに伺ったら,例えば博物館に伺ったら,例えば図書館に伺ったら,何を学んでくるのかという内容充実がない限り,ただ引率者が安心を守っていかせても意味がないんですね。その意味のないことになってしまうおそれがあると,すごく心配していて。全部がそうだとは申しませんが。
 だとしたら,この具体例の具体的な方策のところに,それぞれの組織の作り方,それから学校と共有しながら推進員,そして推進員とともに,社会教育施設とか地域の企業さんとかに,きちんと学びの内容が届き,そこにちゃんと行く意義が見いだされるという活動になって学校に戻ってこない限り,それは本当に形だけきれいに書いて,諸般の事情で働き方改革とか様々な問題もあるので,土曜日の使い方,それから夏休みの使い方というところは,もう大切にしていかなければいけませんし,可能性も広いとは思うのですが,まず文科省としては,すっと出すのではなく,そこにはネットワーク,話合い,地域担当連携教員というものが明確に置かれて,学校担当の推進員とともに,学年が何を望んでいるかという学びの重さを重視した形で,その施設等に届くということが何よりも,やっぱり子供の学びの上では大切かと思いますので,その組織の作り方,それからやり方みたいなところに,具体的な方策のところに是非。読むことを前提としてという牧野委員のお話もありましたので,やっぱり読む側が,そこをなるほどと納得する形でやることで。
 私はとても,逆に4分の1,民間の我々がやらせていただけるんだったら,それはとてもいいことだと思っているんです。それは,関わることによって先生と内容の充実を図ろうとか,そこじゃなきゃできないことをさせてあげようとかということを先生と話し合おうと思うから,いいことだと思うんです。でも,それが全国的に全部行き渡るかどうかがとても心配だと。
 だとしたならば,具体のところで,そういうことがきっちり書き込まれていることが望ましいのではないかと思います。
 以上です。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。
 では関委員。

【関委員】 
 本当にきちんとまとめていただいて,すばらしいなということを改めて感じております。何点か私も感じたところだけ申し述べさせていただきます。
 1点目,7ページなんですけれども,真ん中あたりに,特に次世代を担う子供・若者のくだりなんですが,その後段の部分で,若年期に自分自身で課題を設定し取り組むなどの自己学習の習慣を身に付けておくことと書かれておるんですけれども,ここ,自己学習だけではなくて,他者とのつながりの中で,人との関係の中で,協働学習の視点を学んでいくということの大事さみたいなものを,もう少し打ち出していただけると有り難いかなと思っております。
 あと,それにも付随するんですけれども,先ほどから出ておった12ページのくだりなんですが,具体的方策の中の2点目。そういった,ここで言う社会教育施設の活用という側面が出ておるんですけれども,図書館や博物館の中で体験して学ぶという領域と同時に,人との学びを通じて子供たちが育っていくという側面も大事にしてもらいたいので,学校,地域の関係のコアになっている公民館等も,この社会教育施設の中で明確に打ち出していただいた方が有り難いのかなと思っております。
 あと13ページでございますけれども,社会教育の取組というものが,これまでいろいろな社会教育関係団体とのつながりの中で進めてきたような流れがあって,地域の中では,なかなか年配の方が,いつまでも頑張っておられる地域がいっぱいあると思うんですけれども,そこを,新しい人材を組み込むことによって変えていくというのはなかなか,正直なところ,困難なところもあるのではないかなと思います。もう少し何か具体的にいいアドバイスがあれば組み込んであげると動きやすいのかなという印象を持ちました。
 そして14ページの社会教育士の配置なんですけれども,将来,その社会教育士なるものがどれぐらいの数生まれてくるかいうものが,なかなか我々も想定できていない状況でございます。社会教育主事と同じぐらいの人間ではなくて,もっともっと多い人が将来的には生まれていくのではないかなと思います。そういう人が,そのそれぞれの首長部局の中に入ったときに,どういう動きを担っていってくれるのか。そこに人事戦略を組み込んでいけるのかどうか。これも長い目で見たら,なかなか難しい問題ではないかなというイメージを持ちます。
 あと,その下の方なんですが,具体的方策の中に,教育委員会が非常勤の行政職を委嘱することなどが考えられるというくだりがあるんですけれども。これ,前回の会の中で,社会教育推進員とか何とかいう表現であったような気もするんですけれども,そういったもの,もう少し何か具体的なイメージができるものを頂けると分かりやすいのかなという感じも持ちました。
 それと15ページの3の上から二つ目になるのかな,三つ目になるのかな。社会教育主事,有資格者,社会教育士の協働を図る場の設定の後に,社会教育の推進体制の強化を図るという表現があるんですけれども,これは具体的に何をイメージしているのかが,なかなか私には理解しづらいんですが。全体が逆に社会教育の推進体制の強化を図るものにつながっておると思うので,ここであえて特出しすることの意味が,ちょっとつかみにくかったです。
 あと,もう最後の最後の31ページなんですけれども。社会教育施設を現在,事務委任あるいは補助執行で対応しておる自治体も結構あろうかと思うんですけれども,その仕組みと今回,特例事項で認めようとするものの違いというものが,なかなかつかみにくい部分があるのではないかなというイメージも持ちます。何が違うのか。その辺を示せたら,いずれの選択をするかが,より分かりやすいかなと感じました。
 以上です。

【明石分科会長】 
 特に最後の方,非常に大事かなということで,また事務方で検討をお願いします。
 じゃ髙見委員,お願いします。

【髙見委員】 
 イトクロの髙見でございます。おまとめ,ありがとうございます。
 どちらかというと第三者として,この文章を読んだときにどういう印象を抱くかという点で,3点大きくお話をできればと思っています。
 1点目は,3ページ,7ページ,12ページにありますような主体性や自己肯定感をどう育成するかというところと,学びのオーガナイザーとして社会教育士を増やすというように読み取れる6ページ,13ページ,14ページ,15ページと,7ページ,10ページ,12ページ,14ページにある具体的方策についての,これを最初読んだときの違和感といいますか,私が,今もそうなんですけれども,第三者として読んだときに,どういうことを思うかという観点で申し上げればと思っております。
 まず,主体性や自己肯定感をどう育成するかということで,すごくざっくりまとめると,学びのきっかけを提供すると読み取れるんですね。そもそも学びのきっかけを提供したところで,行こうという気持ちがないと,そこに人は来ないわけなので,その行こうという気持ちはどう育んでいくんだというところが,第2弾なのかもしれません。ちょうど組織も変わって,総合教育政策局の中に教育人材政策課というものもできますので,きっかけを作ったところに,どう来てもらう気持ちに,子供たちや,これから育成していく人たちを育んでいくのかというところが盛り込まれていくべきなのかなと感じました。
 3ページの自己肯定感というところも,相互学習を通じて,言葉を選ばずに言うと,勝手に醸成されていることになっているように受け取れてしまうのですが,自己肯定感というのは,そんなに勝手に醸成されるものではないと思いますので,その自己肯定感もどのように醸成していく意思があるのかというところを,きっかけだけでは不足している部分を,意思をどう育むのかのゴール設定というのがあった方が受け取りやすいなと思いました。
 次に,この学びのオーガナイザーという役割の方が期待されている役割って,何か非常に高度に,達成するのが難しいことを要望されているように思っております。6ページの丸3ですけれども,首長部局や社会教育に関わる様々な主体も含め,広く社会教育に関する取組を積極的に支援するというような役割を持っていたり,あらゆるところを結び付けて効果を達成していく学びのオーガナイザーという,言ってみれば神のような人がいきなり出てきて,それが,ここの文章だと,社会教育士を増やすと,それが解決されるというふうに受け取れてしまうんです。
 なので,その学びのオーガナイザーと呼ばれる方々は,そもそも必要な要件は何で,その要件をどう育成をしていくのか。その要件も,マーケットの置かれた環境によって,どんどん変わってくると思います。なので,資格のように一回取っては終わりではなくて,取った後に,どうその変化に対応するように育成していくのか。
 特にコーディネート力とかファシリテーション能力というのは,何か講習を受けてすぐ付くというものではなくて,日々のファシリテーションや成功体験や失敗体験の中で学び取り,育成をされ,変化をし,更に上達していくというものだと思うので,そこの育成方針みたいなところも書かれていないと,ちょっと,いきなり社会教育士の資格を持った人がすごくたくさん増えたら,この問題が全部解決するというようにも受け取れてしまうので,そこについては少し工夫が必要なのではないかと思いました。
 最後,具体的方策なのですが,企業の側からすると,策と言っているからには,策じゃないと受け取りにくいんですね。重要であるとか,考えられるとか,効果があるみたいなのは,策だとは思えないわけです。なので,これは文章の書き方の問題で,後ろに続くから重要であると止めておられるところもあるのかもしれないですし,今は重要であるということしか言えないけれども,次に何か検証した結果,それが策になるかもしれない,策にする予定であるというような置き方でないと,方策と呼ぶには,ちょっと足りないような気がしておりますので,次のステップというのも明確にしていただいたり,書き方を変えていただいたりという方がいいのかなと思いましたので,意見として申し上げます。
 以上です。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。
 では小林委員,お願いします。

【小林委員】 
 ありがとうございます。全体的に整理をして,よくまとめていただいたと思っております。
 小さいことですが,文章に対して少し加筆をお願いしたいと考えています。
5ページ目のネットワーク型行政の実質化の一つ目の丸のところ中ほどに,首長部局やNPO,大学,民間事業者等と書いていただいております。ここに,我々の専門学校とか専修学校を是非書き加えていただきたいと思います。私自身は専門学校を代表して出ておりますし,また,この生涯学習政策局の管轄の一つに,専修学校教育の振興が大きな柱としてあります。
 専修学校は全国に3,100校以上あり,各県及び地域の若者たちのうち20%か25%ぐらいの方々に,学んでいただいています。特に地方では,そこに定着する多くの若い方々に学んでいただいております。短大もそうです。短大及び専門学校で学んでいる学生の方は,4年制大学の学生に比べて,地方に定着をされることが多く,地方の活性化の人材供給源になっています。
 一方,都市部では,少し事情が違います。これは私どもの学校の事例なのですが,現在3,500人ほどの在校生のうち,約75%は社会人の学び直しの学生です。ほとんどが大卒の社会人で,学び直しをされている学生です。
 生涯学習,また今回のこの提言というのは,県や市の社会教育のバイブルだという御発言もありました。
 5ページ,9ページ,11ページに,大学という記載があります。これを,大学及び専修学校,あるいは大学及び短大,専修学校という文字に変えていただきたいと考えています。そうしないと,各県の行政担当者に,大学だけだと解釈されてしまうのではないでしょうか。今から4年前,専修学校に,企業連携に基づく「職業実践専門課程」という,文部科学大臣が認定し,奨励していただく制度ができました。また今年度からは,社会人の学び直しを推奨する短期講座も,大臣認定にするという方針が出されています。特に学び直し支援,リカレント学習支援において,重要視されると伺っており,社会教育や人づくりの重要な要素ともなりますので,配慮を是非お願いいたします。
 以上です。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。
 では清國委員,お願いします。

【清國委員】 
 ありがとうございます。それでは,大きくは4点ほど述べさせていただきたいと思うんですが。今回の答申の素案の中で,人づくり・つながりづくり・地域づくりという流れを作っていただいたということと,それから社会教育の見える化を意識されているのだろうということは感じました。そのような全体的な感想を持ちながら4点なんですが。
 一つ目なんですが,これはなかなか難しい。私自身も地方にいながら,なかなか妙案が出てこないところではあるんですが。ここでも持続可能な地域づくりであったり,持続的な地域とかいうような表現があるんですけれども,やっぱり響いてくるのは画一的な地域づくりであって,今の人口減少やら東京一極集中の流れを変えるようなものにはなり得ていないというか,そういう概念が出されていないといいますか。地方で暮らす新しい価値観みたいなものを地方で紡いでいかなければならない時代だと思うんですけれども,その地方で紡ぐことこそが社会教育の中で,価値観なので,そういう表現でいいかどうか分かりませんが,非常に重要なことではないかなと。右肩上がりの経済成長を,もちろん国としては経済成長,まだ更に望んでいる,グローバルな展開によって利益を海外に求めるようなことをしているんですけれども,そのこと自体が地方を疲弊させるというようなことが一方であるので,社会教育の課題として,学習課題として位置付くかどうかというのは非常に難しいんですが。地方で暮らす新しい価値観づくりというものが一つ必要で,それは地域の人たちが,自らが考え,自らが自己決定していくようなことが必要ではないかなと,地方にいて,すごく思うんですけども,私も毒されているので,なかなかそのあたりのところまで踏み込んでいけないのが現実ではございます。
 2番目に,社会教育の振興ですから,確かに地域を基盤とした人づくりやつながりづくりや地域づくりは必要不可欠なんですが,一方でSNSのような新しいコミュニティがどんどん,どんどん,次から次へと生み出されていて,そのことのいい意味合いといいますか,確かにいろんな刺激を感じることができますので,それはどこに住んでいても,自分がつながろうという思いを持っていさえすれば,様々なところの情報を共有する,あるいは発信できる。そういう意味では,地域に根差さない価値を創っていっているんだろうなと思う反面,下りる自由というか,責任は個人がとらないというか,下りる自由が保障されている中での活動なので,その地域に根差したということにはならない。だからこそ,その社会教育,地域を基盤とした社会教育が,また一方で大事にされている。そういう文脈だろうなとは思うんですけれども,そのあたりをどのように理解をしてもらうのか。もはや地域から離れている人たちを,どのような手法を使って地域の中に戻ってきてもらうのか。そのあたりの方策というか,いうことも必要なんだろうなということを感じました。
 3点目なんですが,見える化,あるいは見せる化の文脈で申し上げます。先週,仙台市の嘱託社会教育主事という面白い制度がありまして,そこの方々と話をすることができました。その嘱託社会教育主事は,ボランタリーな役割というか,ですから学校の教員に,あなたは嘱託社会教育主事ですよという発令をして,その中で,例えば学校外の活動と,特に子供たちが参加する活動等に支援をしていくような,そういう役割が与えられているんですが。そういう方々の話を聞きますと,いろんなことが見えてくるんですが,学校の中では,子供たちはバランスの良い成長が求められるので,とんがったというか。五角形なのか,六角形なのか分かりませんけど,それが正五角形,六角形に近い子供が何となく認められていくんだけども,それが三角形だったりすると,何かとても扱いにくい子供だとなってしまう。それを,でも地域で,三角形で突出したところで頑張っている子供を見ると,何か子供の見方も随分変わってきて,その地域で活動する子供たちの姿。それは事例としてはジュニアリーダーのことを言っていたんですが,そういう姿を見ることが教育実践にも大いに役に立つというような話もされていましたし,そこの中で,地域でしっかりと子供たちに向き合っている大人の姿を見ることが,また教員の資質,力量を高めていくということにつながる。とても前向きな人たちばかりで,すばらしいなと思いました。
 そのような経験をしていると,やっぱり属人的に,校長先生が良かったら地域とうまく連携できるというようなことではなくて,仕組みとしてのコミュニティ・スクールを作って,学校運営協議会,それを組織することがいかに重要なんだということを,その嘱託社会教育主事の皆さんが非常に強くおっしゃっておられて,ああ,やっぱりそうやって育つんだなというか,嘱託社会教育主事として発令されて,地域と関わるが故に育ってくるというところが大いにあるんだろうなと。
 そういった意味で,ここにも書き込まれてありますが,行政の非常勤でも,社会教育と名前の付く,社会教育士でもいいんですが,社会教育という名前の付く役割というのを担っていただいて,そこで社会教育は何かということを思いながら活動していただくことが,地域の教育の仕組みを作る上で,そういう方々がもちろん発言をするわけですから,作っていく上で非常に重要になってくるなということを改めて感じたようなところでございます。
 最後にですが,きょう社会教育という教育のところで申し上げたいんですが。民間の機関が,いろんな自治体ランキング等を発表しているんですけれども,たまたま高松市が子育てしやすい都市の2位ぐらいだったんですけど,その10ぐらいの指標を見てみますと,全くその中に教育はないんですよね。保育所がどれぐらい整備されているかとか,保育士がどれぐらいいるかとか,待機児童がいないかとか,そういったことで。まさにそれって,首長部局で目標として設定をされて,本当に具体的に改善するために示されている数値,それを克服するというか,達成するためのKPIだったりするわけですね。そうしたときに,家庭教育の力が付いているかというと,いやいや,子育てしやすい自治体イコール家庭教育の力ということではないので,その家庭教育の力というのは,やはり教育の部門が持たなければならないわけですので,そういった意味での首長部局等の役割と教育行政の役割,それが有機的に連携する中で子育てしやすい町が,イコール家庭教育の力のある町だとなるために,その目標,手段,そういうものをすり合わせながら。手段は別々に講じることになろうかと思うんですが,目標を,ベクトルを束ねていくような,そういうことが教育の役割というか,それがある種の,行政の社会教育化というような言葉も使われておるんですけれども,社会教育化。良くなるというようなことに対してまとめていく役割を,今であるからこそ,もっと発揮していくべきではないかなということを思ったということで,4点申し上げました。ありがとうございました。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。
 引き続きまして佐野委員,お願いします。

【佐野委員】 
 ありがとうございます。答申自体は,委員の皆様方からもたくさん御意見のあった,まさしく今すぐそこにある未来というか,あるいは課題とか,危機とか,それに対して社会教育がどのような役割を果たしていくのかというのは非常に明確に見えて,よくまとめていただいて感謝申し上げたいと思います。
 その中で一つ,この参加する機会をいかに多様化するかというところについて,これ4ページのところですか。オンラインによる学習など時間的な制約なく学ぶことができるなどと書いてあるんですけど,それ以外にも,例えば,やっぱり時間だとか,いわゆる日時ですよね。日曜,祝日だとか,あるいは夜だとか,そういう時間的なところも含めて多様化していくというところを,機会を複数作る,あるいは多様な機会を作るというところが非常に重要ではないかなと思っているところです。まさしく生涯学習だとか社会教育というと,本当に現役のところが,青少年,生徒,学生のときには学校教育も含めてあるんですけど,本当に現役世代のところがぐっと下がって,それから,それをリタイアする頃から,また上がっていくというところでしょうけど,この下がっているところをどうするかという部分で。下がっている部分をどうするかというのは,やっぱり参加機会を多様化をしていくという,その工夫を求めるというところが大事なんだろうと思うところであります。
 それと,そのためにも参加,参画を促進する方策として,やっぱり企業だとか,今,清國委員からお話があった嘱託社会教育主事なんかも,学校の先生たちという職場に対して,その促進することで大きな成果が得られるというところであります。
 例えば企業なんかも今,働き方改革の中で副業を認めるという企業がたくさん出てきております。副業をやる,選択する方たちは,その収入を得る副業だけではなくて,自分自身がビジネスの社会で得たノウハウ等を利用して,休みの日を利用して,自分の出身地に赴いて,その出身地で足りない部分を自分の持っている力でカバーしていこうということをやり始めている方たちもいらっしゃるので,そういう意味で,企業だとか,そういう組織に対して,企業,組織の社会的存在意義,あるいは社会的責任を果たすためにも,その構成している人たちに働き掛けをしていく,どんどん進めていくという,そういうことを呼び掛けるような仕組みを是非作っていただきたいなと思っているところであります。
 あえてきょう,こういうことを申し上げたのは,実は一昨日,全国の高校のPTA連合会の各都道府県市の会長さん,50人ですが,お集まりいただいて,年2回研修会をやっているんですけど。そこに地域学校協働活動の西川室長に来ていただいて,いろいろお話をしてもらったんですけど。とにかく,いや,それは分かるけど,我々時間ないよというような反応が,その会長さんたちからたくさんありまして,そのときに,その方たちが,やっぱり参加,参画をできる機会をいかにたくさん作るか,多様に作るかというのは非常に重要だなということをつくづく感じたところでありますので,是非,機会の多様化,そして多様な機会があったときに,それぞれが,いろんなところから働き掛け,こんなこともできるよという促進されるという,促されるという,そういうことが非常に大きなポイントなのではないかなということを感じたところでありますので,あえて発言をさせていただいたというところであります。
 その中で,我々PTAも,まさしく多様化しなきゃいけないなと。夜やるとか。平日の日中にやるんじゃなくて夜やると。学校にとって迷惑であれば,まさしく地域のそういう施設を利用して夜やるとか,平日やったものを,もう一度同じことを土曜,日曜にもやるとか,そういうことをやっていかなきゃいけないなというのを,本当に自己反省として感じたというところがあります。
 それからもう一つ,きょう本当に,ああ,いいお話伺ったなと思ったのは,山本委員の鳥取県の事例で,南部町ですか,この高校生のサークルの活動というのは,地域学校協働活動もそうだけど,そういう学校という施設のない,地域学生協働活動,あっ,これって各地域にとって,とてもいいなという,大変いい学びを頂きました。ありがとうございました。

【明石分科会長】 
 はい。では寺本委員,お願いします。

【寺本委員】 
 まず,しっかりとまとめていただいたことに感謝を申し上げます。皆さんから多様な意見を頂いているのをお聞きしながら思ったのは,特に13ページ,一番上の方ですね。教師や教員養成の学生に対しというところで,科目の履修だとか,社会教育士の取得を推奨するとあるんですけれども,現役で教師をなさっていらっしゃる方々に強制はしづらいので推奨というのは分かるんですが,学生については,まさにこれから教員になろうと学んでいるときに,推奨という言葉だけでいいんだろうかな。というのは,当然教員になられた場合は,学校現場において児童生徒だけではなく,保護者や地域の方々との様々な関わりが当然出てくる。そういったことについて,大学での履修科目の必須ではないものですから,教科的な部分は一生懸命学ばれるんですけれども,最終的に学校教員になられたときのコーディネート能力とか,ファシリテート能力だとか,コミュニケーション能力だとかというところになってくると,こういった課程を履修をされていた方が,結果的に全ての単位を履修して社会教育主事になれるようなポジションまで行くかどうかは置いておいて,ある程度のところまで,こういったことを必須化していくぐらいのことをしていかないと,教員になろうとする人にとっても,学校現場にとっても,社会にとっても,是非,必須化ぐらいのことをしていただくといいなと思ったことと,それから,どうしても教育委員会という中で言うと,学校だとか,地域だとかという言葉を言われるんですが,地域社会にいる企業の方々も,やっぱり地域の一員なんですね。そうすると,その企業の方々にも,社会教育への理解と協力を求めるとともに,社会教育士資格等の周知や資格取得についての推奨だとか,投げ掛けだとかというのがあってもいいのではないかなと思っています。
 というのは,今,いろいろな企業の方々とお話をしていると,非常に社会教育に関する関心が高まってきたということと,そういった経験やスキルを持った社員等が増えたらもっといいなというようなお声をよく耳にするようになりました。地域社会などで活動する機会があったら,様々な体験がスキルとなり地域でも企業でも活躍できる人材として, CSRの部分も含めて養成したいというようなお考えもありましたし,さらには,そういった経験をした社員の方が,実際にその会社の中での管理職だったり,また経営的なポジションになったりという方のが高くなっているということもあるものですから,そういったことも企業に投げ掛けていただくと,きっと企業の方も活動に参加しやすいのではないかなと。お金だけではなくて,人材育成の面でも,お話を持っていかれたらどうかなと思っています。
 それから,この14ページですかね。具体的な方策の中の,社会教育委員との有効な連携を図ると書いてあったんですけども,私も社会教育委員を長く経験した立場からお話をすると,確かに,こういったことはなかったんですね。社会教育委員さんにも様々な方がお見えになりますが,こういった場面で外に出ているかというと,意外と少なかったりもするものですから,社会教育委員さん自身に,もっといろいろと知っていただくことも必要でしょうし,有効な連携という言葉よりも,もっといい言葉ないのかなと思った次第です。
 あと,先ほど佐野委員おっしゃったように,私たちも先ほどの企業も含めてですが,平日の日中はなかなか厳しいので,土日だとか,夜だとかという時間帯や,社会教育などの学び,活動の場など,更に柔軟にできるといいなと思っています。
 以上です。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。
 では横尾委員。

【横尾委員】 
 ありがとうございます。3点ありまして,先ほどは,皆さんいらっしゃるので少し少なめに申し上げました。
 まず1点目,公民館の記述です。ここで言う公民館は多分,文部科学省の方では,市町村が整備した公民館という前提の認識でよろしいでしょうか。各自治会の公民館ではないということですね。そこも含みますか?

【常盤生涯学習政策局長】 
 公立の社会教育施設としての公民館です。

【横尾委員】 
 公立の公民館ということですね。では,市町村によるものということですね。と申しますのは,実はこの議論の前段の方でも防災,健康づくりに公民館が,非常に重要な役割を担うという都市もありました。全くそうです。さらに,首長から見ると,自治会公民館は何に使っているかというと,健康講座とか,健診とかにも使っているのですね。あるいは災害などでは一時的な避難所に使うことも当然あります。そうすると,ここで記述しているのはそっちのことだよとか,どこか整理して書いていただかないと,多分現場では混乱するのではないかなと感じたところです。
 それを考えますと,例えば市町村立公民館の場合,既に機能が発揮されていますけれど,避難所になっていて,防災面でも既に貢献しているのです。逆に,そのことに視点を絞っていくと,そこには何が足りないかというと,Wi-Fi環境とか,情報通信環境が必ずしも十分には整備されていないとどうなるかというと,災害時に避難所になってしまった場合,情報的に孤立してしまうのです。だから,そういったことを見据えると,少しそういったことも加筆とか修正していただいた方がいいのかなと思います。
 また,併せて私は全国の首長有志で組織するICT教育推進首長協議会の会長も兼ねています。そこで,非常に感じるのは,学校教育での情報教育はもちろんなのですが,一般市民の方々,住民の皆さんのリテラシー教育充実もとても大事だと思っています。実はこれ,民間企業も強く感じておられるので,そこで既に始まっているのは,通信回線を使って離れたおばあちゃん,おじいちゃんとお孫さんが会話をするとか,あるいは健康対策や安否確認における危機管理については,おじいちゃん,おばあちゃんの年配者の健康管理データを共有して,離れたところからも遠隔でちゃんと看ることができるとか,あるいは通報ができるとかいうのが,既に民間サービスでもあるようです。さらに,公共的にもやろうということも一部あります。
 そういったことも含め,本当に拠点になると思いますので,是非いろいろな広がりを持った,先ほども何人かから出ましたし,夢のある未来を目指すなど,特に牧野先生がおっしゃいましたけど,是非そういったことを想定いただいたらいいかなと思っています。
 それに2点目に感じたことは,この文章全体には,ICT,SNS,LINE,IoT,スマホ,アプリ,ツイッターという言葉はほとんど出てこないということです。若い人が,これを見たら,「えっ,ちょっと以前の文章かな?」と思ってしまわないかなという気がします。SNSを使って連携をする,つながるは,もう既に実際に実行されていることです。例えば,LINEにコミュニティを使って,仲間で公民館に集まろうとか。防災でも,地域ごとに水防管理をしている人たちが自分たちだけのLINEを作って,水門や堰の管理をしたりするなど既に行われています。これは,実は行政が言ったとか,作ったものではありません。その人たちが自分たちでやっているのです。
 つまり,今そういう時代にいるということを出していただく意味でも,今回は,そういった科学技術の利用に関する記述はあるのですが,前回も申し上げたように,ほかの委員もおっしゃったMOOCのこともあえて入れていただいて,MOOCでちゃんとやれるとか,SNSはこうだとか,そういうところをどんどん入れ込んでもらったらいいのかなと感じます。そのことが未来の予感になるのではないかなと思います。是非お願いできればと思っています。
 大きく3点目です。ちょっと大きな話をします。社会教育施設の所管の在り方に関するところですが,内容を読み進んでいくと,最後にどうなっているかというと,31ページに,特例で認めるけど首長はいろいろ対応しなさいね,進めていくことが望まれますよとか,結局はいろいろ条件がどんどん付いてきて,この際,余り認めたくないのかなというトーンも見え隠れする気配も感じられて,せっかくの大事な判断をしているのに,もったいないなと思うのです。
 それを考え,反省して思うのは,29ページに「公立社会教育施設の所管に関する考え方」ということがあり,これが多分,骨子だと思います。だとしたら,これをみんなまとめて,「今後の社会教育の所管の在り方」の記述の冒頭に入れるとかして,要は,こっちの方向へ行きますよと明示いただく。ただ,これまでの背景はこうであり,こんな経過もあり,基本としては,事務は教育委員会が所管するとしても,特例については,いろんなこういう条件がありますので,それはしっかりやってほしいということを,最後にもう一回まとめるというふうにしていただくと,より多くの自治体関係者が,いい意味での社会教育部門と一般行政部門との連携も考えるでしょう。あるいはユニークなまちづくりをしたいとか,例えば社会教育をコアにそれをやっていきたいという首長のいらっしゃる自治体にとっては,今回のかなり突っ込んだ,状況に応じてそれを認めるという記述がよりよく活きてくると思います。ですから,是非,この3の部分を前段の,エグゼクティブサマリーではないですけれども,結論や方向性が見えやすくなるようにして,そしてその背景はこうだというふうに記述していただいた方が,よりパンチのある答申になるのではないかと感じたところです。
是非そういったことをしていただきながら,初期の目的である,社会教育を通じた,人口減少社会の中の新しい地域づくり推進のためにも,そういったふうに構成を検討いただくと,とても良い,そして多くの方が分かりやすく,また活用もしやすくなっていくのではないかと感じました。是非よろしくお願いいたしたいと思います。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。
 では髙見委員。

【髙見委員】 
 寺本委員がおっしゃっていたことを受けまして,ちょっと思い付きましたので。企業の力を引き出すという件なのですが,一足飛びには難しいのかもしれないんですけれども,量的目標は一旦置くということを目標にしてもいいのかもしれないなと思いました。それは,2030という,2020年に女性の管理職を30%にしましょうみたいな目標を一旦,強制力はないものの量的目標を置いた後,やっぱり各企業,すごく努力をしている様子が見てとれて,今まだ達成はちょっと難しいかもしれないものの,非常に女性の管理職が増えているというようなところがありまして,ある一定,政府というんですかね,政官一体となって量的目標を置くと,それはそれで達成をしようと企業は動くので,ひとつ外圧みたいな形で,自主性を出せていなくて申し訳ないんですけれども,ある程度,それを取り組まなければならないというような方策は考えてもいいのかなと思いましたので,付け加えさせていただきます。
 以上です。

【明石分科会長】 
 貴重な提案ありがとうございました。
 今いろんな各委員から話を伺いまして,事務方で今すぐ答えられるものと,もっと内部で検討する面があると思いますけれども,中野課長,何か。

【中野社会教育課長】 
 1点ございます。全てにお答えする時間はありませんが,事実関係の件で,生重先生からも御指摘のありました12ページ,13ページあたりの総合的な学習の時間における社会教育施設の利用等の部分なんですけれども,すみません,冒頭の御説明の際に私の方で初等中等教育分科会の教員の働き方部会と申し上げたんですが,教育課程部会の間違いでございます。
 それから,まだ通知の件はこれからなんですけれども,きょう教育課程部会の担当が来ておりますので,補足をさせていただきます。

【降籏初等中等教育局教育課程課主任学校教育官】 
 失礼いたします。初等中等教育局の教育課程課の降籏と申します。
 生重委員から御指摘いただきました,総合的な学習の時間の学校外活動の位置付けのところについてでございます。こちらにつきましては,去る10月1日の教育課程部会の方で,総合的な学習の時間で学校外の社会教育施設などで学びをした場合に,全体の年間の大体70時間が基本ですけれども,この4分の1程度を学校の授業として,先生が間接的に関わる。要は,引率をしない場合においても学校の授業として認めてはどうかという方向性につきまして御説明をさせていただいたところでございます。
 こちらにつきましては,先ほど中野課長からもございましたけれども,今後,文部科学省の方で詳細についてもう少し検討した上で,学校現場などにつきまして周知をするということで,まだその周知はこれからという段階でございます。
 生重委員からもありましたように,社会教育施設の方での活動を何でも学校の授業で位置付けるということではございませんで,各学校でお取り組みいただいている総合的な学習の時間の教育目標に合っているかとか,事前に内容ですとか学習活動,どのように生徒を見るのかといったあたりも,事前に学校と受け入れていただくそれぞれの社会教育施設ないし地域などとよく御相談をしていただくなど,その実施に当たっての留意事項をしっかりとお伝えしていこうと思っておりまして,生重委員おっしゃっていただいたところも含めまして,総合教育政策局とも連携しながら検討を進めてまいりたいと思っている次第でございます。補足は以上でございます。

【明石分科会長】 
 ありがとうございました。
 ほかに委員の方で,まだ補足があれば。ありがとうございました。
 今回,かなり事務方で詳しく書き込んでいただきまして,かなり成案が出てまいりまして,あと各委員の方々からの大きな視点と小さな視点で両方出てまいりました。その辺を事務方でちょっと検討いただきまして,次回のこの部会を,もう一度開きたいと思っております。
 その辺で一つ,牧野委員がおっしゃったような社会的なイメージといいましょうか,元気が出るイメージというのを,やっぱりどこかで作りたい。清國委員がおっしゃるように,社会教育の見える化とか,魅力ある施策とか,何かそういう,よく言いますけど,県では○○県ね。私,大分のおんせん県とか,香川のうどん県とか,何か各地域が魅力あるものを発信できるような形で運動を起こしていただけるようなことが,この文言の中で。いや,そういうイメージが出るような文言にできればなという感じがしておりまして。
 二つ目は,髙見委員がおっしゃったような,企業の参画を数値化する。今どれぐらい企業が,そういう社会教育,企業内教育に興味を持っているか分かりませんけども,例えば2030年で,あと12年後には何%とかというぐらいな感じも出していただければ,寺本委員とかがおっしゃったような,また佐野委員がおっしゃったことが非常に生き生きしてくるかな。企業の副業というのも新しい視点で,いろんな人が多様に参画できるということも何か読み取れる。
 あとは横尾委員とか野田委員がおっしゃったようなICTの問題で,MOOCとか,学習のスタイルが変わってきているんですよというのをもう少し鮮明に出していただけると「あっ,少し新しいふうに変わっていっている」というのが見える化できるかなという感じがしております。
 そういうことを含めまして,次回もう一度,この検討会を持ちたいと思っております。
 では,事務局の方で何かありましたら,お願いします。

【菅野生涯学習推進課課長補佐】 
 次回もう一度ということでございますので,次回の日程ですけれども10月25日木曜日,14時から16時30分でございます。場所,文部科学省内講堂の方で予定をさせていただければと思いますが,詳細につきましては事務局から,またメールにて御連絡をさせていただきます。

【明石分科会長】 
 それでは,本日の生涯学習分科会は,これにて閉会といたします。ありがとうございました。

― 了 ―

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