【参考資料6】枚方市追加資料

平成30年4月17日

公立社会教育施設の所管の在り方等に関する
ワーキンググループ事務局御中


ワーキンググループにおける質問事項への回答について


標記の件について、下記のとおりご回答申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。



1.公民館運営審議会を廃止した経過等について
   本市の公民館運営審議会は、館長の諮問に応じて事業の実施について調査審議する役割を担ってきました。
   枚方市社会教育委員会議答申「生涯学習社会における公民館等社会教育施設のあり方について(平成17年11月11日)で、公民館運営審議会に替わる審議会について、「今までの公民館運営審議会は、枚方市公民館条例の廃止に伴い、設置根拠がなくなるが、新たに制定される(仮称)生涯学習市民センター条例にそれに替わるものを盛り込み、その任務を果たすべきである」との意見を受けたもの。

2.添付書類
   答申書「生涯学習社会における公民館等社会教育施設のあり方について」






生涯学習社会における公民館等社会教育施設のあり方について

(答申書)






枚方市社会教育委員会議




目次
   生涯学習社会における公民館等社会教育施設のあり方について(答申)
   (1)公民館が果たしてきた役割と今後のあり方について
   (2)受益者負担制度の導入について
   (3)社会教育行政のあり方について
資料1.公民館が果たしてきた役割(総括)
資料2.諮問内容


第29期枚方市社会教育委員
議長:荒田英道
副議長:津熊友子
委員:池田良久
委員:植松千代美
委員:大東範行
委員:奥西嘉一
委員:川合寿美子
委員:西邨定実
委員:福川妃路子
委員:松下啓一
委員:森一貫




生涯学習社会における公民館等社会教育施設のあり方について

はじめに
   社会教育委員会議は、平成17年8月、教育長から「生涯学習社会における公民館等社会教育施設のあり方について」諮問を受けた。その際、主な検討課題として、次の3つの事項が示された。
   1.生涯学習社会における公民館等社会教育施設のあり方について
   (1)公民館が果たしてきた役割と今後のあり方について
   (2)受益者負担制度の導入について
   (3)社会教育行政の在り方について
   社会教育委員会議は、検討課題のうち、(1)と(2)の2点についてまず審議を行い、平成17年11月11日に答申し、(3)については、平成18年5月から審議を行い、7月18日にそれぞれ答申した。


(1)公民館が果たしてきた役割と今後のあり方について

生涯学習をめぐる状況について
   今日、社会の変化に伴う人々の多様化・高度化する学習ニーズや生涯学習社会進展等々の新たな状況に対応した社会教育の振興が求められている。枚方市では平成15年3月、生涯学習時代に合わせて、「枚方市生涯学習ビジョン」がまとめられた。そこでの基本的方向として、市民一人ひとりが主体的に自己を向上し、生涯を通して、知恵や力を獲得するための「学び」を追い求めることができ、また、市民一人ひとりの「学び」をまちづくりに生かす社会を目指すとしている。
   「学び」を支えるまち、「学び」を生かせるまちを目指すために、今回、「公民館が果たしてきた役割と今後のあり方について」諮問を受け、公民館を含む社会教育事業の市長部局への移管について審議を進めた。


生涯学習の一元化について
   枚方の社会教育活動では、子どもから高齢者まで幅広い世代が共に交流し、学びあい、理解しあうことが、よりよい地域づくりになるとの観点で、市民の方々と協力して、活発な公民館活動が展開されてきたことは広く知られている。
   しかし、公民館を利用したことのない市民も多数おられるし、また、社会教育法の趣旨により、枚方市が定めた公民館条例では、公民館の団体登録ができない活動もある。そこで、これまで公民館を利用できなかった団体も、枚方市の生涯学習を担う団体として、活動の枠を広げていくことが、さまざまな学習ニーズのある現代社会において必要だと考える。
   枚方の社会教育では、今まで人権や環境、子育てなど、現代社会が抱える問題を市民と一緒に考えようと、問題提起型の学習が企画されてきた。しかし、教育委員会の社会教育部門は、問題のありかを探ることができたとしても、問題解決の部署ではない。問題解決に向けた施策を展開するのは市長部局であり、問題提起と問題解決を担当部署ですることは、社会教育の枠組みを超え、まちづくりにいかせるという点で画期的であると考える。合わせて、市長部局と公民館が実施する事業で、重複する事業は整理すべきである。


生涯学習の展開について
   社会教育や公民館は、社会教育法によって位置づけられているのに対して、生涯学習の法的根拠は「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」(通称「生涯学習振興法」)であり、(仮称)生涯学習市民センターは、地方自治法で規定されている公の施設になるという。また、枚方市では独自に、「枚方市生涯学習ビジョン」が策定されている。
   「枚方市生涯学習ビジョン」では、文化芸術の交流拠点整備、地域メディアとの連携、環境保全活動、地域コミュニティやNPO 等との協働システムの確立、美しく住みよい町の実現などが市の基本的施策としてあげられているが、文化観光課、広報課、環境総務課、市民活動課、まちづくり推進課、まち美化推進課など、市長部局の各担当課と横断的な連携を果たしながら、生涯学習のまちづくりを推進していくことになっている。
   枚方市の公民館活動は、市民と一緒に作り上げてきたものである。今回の一元化により、さらに市政全体で、市民一人ひとりが「出会い、学びあって創る感動できるまち、枚方」の実現を目指すべきである。


「公民館から(仮称)生涯学習市民センターへ」について
   公民館は、社会教育法第23条の運営方針に基づいて使用制限があるため、他の公共施設と比べて利用上不便が生じている。そこで、社会教育法に基づく公民館から、地方自治法第244条の公の施設として、他の公共施設と同様の利用が出来るようにするという。
   社会教育法の枠をはずし、公民館を市長部局へ移管することによって、利用の拡大を図ることができると考える。趣味の教室や教養講座を開催できるようになると、今まで公民館を利用したことのない、一人でも勉強したいという市民にも歓迎されるのではないか。また、音楽教室や伝統芸能をされている方は、そこの生徒の方々による発表会もできるし、市民に観ていただくことができるであろう。
   なお、利用の拡大は、部屋を取りにくくするかもしれないが、週1日及び祝日休館については月1回程度を休館にすることで部屋数の増加を図るべきである。
   また、(仮称)生涯学習市民センターは、住民と日常的、恒常的に接する社会教育の場であることから、学習機会の提供のみならず地域の課題や住民ニーズを的確に把握する能力を持つことが期待される。職員は、社会教育だけでなく、市政全般についての広範な知識と経験を持つことが求められる。


公民館運営審議会に替わる審議会について
   今までの公民館運営審議会は、枚方市公民館条例の廃止に伴い、設置根拠がなくなるが、新たに制定される(仮称)生涯学習市民センター条例にそれに替わるものを盛りこみ、その任務を果たすべきであると考える。


(仮称)生涯学習市民センターでの市民との協働について
   今後の(仮称)生涯学習市民センターの課題は、行政と市民との協働である。委託と協働の違いは、協働はお互いが協力しあうということであり、南部市民センターではNPO団体と管理運営の一部について委託契約を結んで、行政と協働で管理・運営にあたっている。教育委員会のこれまでの検証では、当初はうまくいかなかったが、市と話し合いの場を持ち、問題点を洗い出すことによって、協働関係はうまくいくようになっている。
   問題になるのは、行政と協働する市民の側の「市民力」である。今までの公民館を利用するだけではなく、さらにかかわる人の力がいる。その点では、各公民館に結成されている活動委員会は、まさに、行政と市民の協働を進める担い手である。今後、現在以上の協働関係を強化することが求められるので、(仮称)生涯学習市民センターに衣替えしても、活動委員会を継続、発展させていくべきである。


今後の社会教育事業のあり方について
   教育基本法における教育の目的である「人格の形成、平和な国家及び社会の形成者として心身ともに健康な国民の育成」については、引き続き、社会教育の課題と認識されているが、社会教育事業として位置づけ、市長部局で実施することになるということには一定了解できた。
   平和・人権・環境・福祉や家庭教育など教育的立場から啓発する事業や、現代的諸課題をじっくりと継続的に学んでいくような事業については、それぞれの所管部署が(仮称)生涯学習市民センターを活用して事業展開するとともに、それらの事業の効果が地域づくりに活かせるように、教育委員会も役割を果たすべきである。(仮称)生涯学習市民センターは、市民の声を所管課に伝えるとともに、市民の教育や学習成果をまちづくりや地域でのコミュニケーションの増進につなげるべきである。


(2)受益者負担制度の導入について


   枚方市は、市民が自己実現に向けサークルや団体で公的施設を利用するに際して、使用料を原則無料にしてきた。しかしながら、施設の維持管理経費は税金で賄っており、結局、市民全体の負担になっているので、利用者個人の便益による負担と公共性を考えた市民全体による負担との均衡を図る必要があり、その考える指針が3点示された。
   (1)部屋を利用する人と利用しない人とで負担の公平性を考えたとき、利用する人に応分の負担を求めることは、税の公平性の観点からも必要である。
   (2)総合スポーツセンター・市民体育館・野外活動センターなどは有料になっており、社会教育施設の中で、有料施設と無料施設があるのは利用者の不公平感を拭えない。
   (3)厳しい財政状況のもと、光熱水費や清掃委託費など施設の維持管理に係る経費を、サービスを受ける者に一定の負担を求めることは、受益者負担の観点からも必要と考える。
   社会教育委員会議では、枚方市の状況の説明を受け、公民館の各部屋の専用利用については、税の公平性や受益者負担の観点から、有料化はやむを得ないと判断する。有料化に伴う使用料については、施設設備の改善やサービスの向上のため、施設の適正管理を望むものである。なお、ロビーや児童コーナーは従来どおり、いつでも、自由に出入りできるようにすべきである。
   また、減免については、これを可能とする。


   (付帯意見)
○公民館で実施する事業と市長部局で実施する事業が重複するので、一元化して整理するというが、庁内での部署の連携がうまくいっていたら、重複はなくなるので、一元化の理由にはならない。
○市長部局に移し、専門的な職員のいる各部署で実施した方が、事業は進めやすい。
○枚方の今までの公民館活動をほんとうにいいところをそのまま残して、その上で、生涯学習を大きく、広く、独自のものを展開できるようにすべきである。
○枚方の資源といえば学習文化である。その学習文化がそがれないためには、利用者に十分説明し、理解を求めていくべきである。
○人間関係の構築ができない子どもや青年たちが豊かな心を育むことができるような場づくりを公民館で果たしていかなければならない。今までの公民館をどうするという視点ではなく、もっと高いレベルのところから考えるべきである。
○今までの社会教育課だけではできなかった市民活動の領域を広くするために、担当課と密接な関係を持っていける組織があることが前提である。
○自分たちの幸せを目的に、生涯の友だちづきあいを大事にしていきたい思いでしてきた活動が、性格の違うものに変わっていくのではないか気になっている。
○利用対象の拡大で、今まで利用しているグループが利用できにくくなるのが心配である。
○公民館は活動委員会の人たちが支えているが、市民との協働では、市民の受け入れ側がその力を持っているかが重要である。
○社会教育施設を市長部局に移管しても、社会教育課がなくなるわけでなく、社会教育にかかわるものは今までより発展できるようにすべきである。
○料金設定については、枚方独自の料金体系を確立すべきである、あるいは南部市民センターを基準にするのではなく、独自の料金体系を設定すべきである。
○子どもや、小さな子どもを抱えたお母さんたち、また高齢者の団体など、従来利用できた人たちが有料化によって利用できなくなる場合も想定されるので、有料化に反対する。
○高齢者向けの講座などを実施すべきである。
○南部市民センターの成果を基準にするということは、公民館の性格が変わるのではないか心配である。
○人権、平和、多文化、ニート問題などに取り組んでいる団体が、行政の支援を受けるとか、無料の扱いで参加できるような形を残してほしい。
○料金体系は、市内有料施設を参考に考える。
○減免については、子ども・高校生・障害者・高齢者のほか、人権などの活動をする団体も対象にすべきである。
○有料化はやむを得ないというのが大勢の意見だったが、少数ではあるが反対意見もあった。


(3)社会教育行政のあり方について


   枚方市は、昭和38年の「枚方市における社会教育今後のあり方」(いわゆる「枚方テーゼ」)にみられるように、市民主体の社会教育を進めてきた。その発展の上にたって、枚方市は文化芸術の振興や平和人権施策を始めとして、環境・福祉・健康・産業振興などといったすべての公共領域で、大きく広がりを見せている市民主体の自発的な学びを支援しつつ、問題解決に向けた協働を醸成する「生涯学習による協働のまちづくり」を推進していこうと考えている。
   今回の諮問は、「社会教育行政のあり方」とされていることから、ここでは、枚方市教育委員会が所管する社会教育行政の基本的な考え方と内容について答申するものである。

1.社会教育行政の基本的な考え方
   はじめに、教育基本法がいう「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成」を前提に、今後重視すべき社会教育の観点として、市民一人ひとりの総合的な生きる力の向上、新しい公共の視点の重視、人の成長段階に応じた教育内容の重点化の3点があると考える。それを踏まえて、本検討課題である社会教育行政のあり方について、いくつかの点を指摘しておきたい。
   その第一は、社会教育の役割を「生涯学習」推進の一翼として捉え、学習する主体を育てるための基礎的な部分を担うことであると考える。社会教育が、学んだことを通じて行政と協働しながらまちづくりにかかわる市民を育てることをめざすことから、生涯学習は、これまでの市民主体の社会教育を基礎に推進を図るべきである。その点で、本来の社会教育の存在意義が決して失われたのではないことは確認しておくべきだろう。また、市民との協働を考えた場合、公民館活動委員会やNPOは重要な担い手となるだろう。
   第二に、社会教育行政が担う基礎的な部分とは、「人が地域で生活するのに必要な基礎的な知識や技術」という公的社会教育が中心的な領域になると考えられる。すなわち、枚方で住み、学び、働く市民に対して、国際社会の一員として、日本の地域社会の中で生きていくために必須の基礎的な知識や技術を身につけさせる教育を中心とすべきである。
   現時点で例示すれば、平和・人権擁護の課題、国際化・情報化への対応能力、健康等に関わる基礎知識、消費活動に関する基礎的知識、青少年の育成、自他を生かすコミュニケーション能力の涵養などが主たるテーマとなると思われるが、時代の変化に即して柔軟に対応すべきであろう。また、家庭教育の支援を含め社会教育行政のあらゆる場面で学校教育との連携が追求されるべきであろう。
   第三に、公民館が再編された生涯学習市民センターはもちろん、ラポールやメセナ、市民会館、学校等の公共施設においても必要な社会教育(基礎的な教育、青少年活動、文化財の保護、文化活動の育成、スポーツ振興、図書館サービス等を含む)をしっかりと実践するとともに、その際には教育委員会のイニシアティブを積極的に発揮すべきだと考える。
2.社会教育行政の内容について
   次に生涯学習推進体制への再編後も、社会教育事業として位置づけるべき施策や事業を例示した。
(1)人が地域で生活するのに基礎的な知識や技術等の教育
・互いの人権の尊重
・平和を大切にする
・国際化・情報化への対応
・健康等に関わる基礎的知識
・消費活動における基礎的知識
・自他を生かすためのコミュニケーション能力
・親同士が交流しながら、子育てに必要な知識やスキル等を学ぶ家庭教育
・地域のコミュニティづくり
(2)青少年教育
・上記(1)を中心として知識や生きる力などの能力を身につけさせる教育及び活動
・青少年に豊かな人間性を育むため、学校・家庭・地域の連携を推進する。
(3)文化財保護の啓発と歴史の伝承
   文化財は、地域の長い歴史の中で生まれ、育まれ、伝えられてきた貴重な文化遺産であり、地域で守り、活用するため、文化財保護施策の一環として文化財保護の啓発を進める。
・市民歴史講座や文化財展示会などを通した歴史の伝承
(4)文化活動の育成
(5)スポーツ振興
   市民の健康、体力づくりとより豊かな生活を営むため、各種のスポーツ事業を実施しているが、生涯を通じた健康・体力づくりの促進を図る。
・スポーツ大会や教室の開催
(6)図書館サービス
   すべての生涯学習の基礎として、正しい知識の裏付けが必要である。図書資料等を集積し、市民の閲覧、貸し出し、レファレンスに応じる図書館サービスの拡充を図る。
・図書資料等の充実
・レファレンス・サービスの充実

※(1)~(6)のすべてについて学校教育との連携を図る。

   教育委員会は、これらの施策を教育委員会の権限と責任において実施すべきであり、あわせて市長部局との連携を十分図ることも必要である。また、こうした社会教育事業の実施手法としては、教育委員会によって直接実施されるか、市長部局に補助執行させるかについては、執行方法の効率性・効果性を基準に判断されるべきであろう。





資料1


公民館が果たしてきた役割(総括)


枚方市の公民館
   公民館は昭和21年の文部次官通牒によりその設置が奨励され、昭和24年の社会教育法により法的に規定されました。社会教育法第20 条で、公民館の目的について「市町村その他一定区域の住民のために、実生活に即する教育、学術および文化に関する各種の事業を行い、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会の福祉の増進に寄与すること」と規定されています。
   公民館は地域住民の生涯学習振興のために大きな役割を果たすべき施設であり、生涯学習における学習機会提供の拠点施設として、その重要性が高まってきています。
   昭和38年、社会教育委員会議は、「枚方市における社会教育今後のあり方」としてまとめました。その5冊の№2で「社会教育をすべての市民」に6項目が納められた。「社会教育の主体は市民である」と高らかに宣言したことは、全国的に注目され、枚方テーゼと呼ばれました。
   本市では、昭和50年台の後半、人口急増に伴う学校建設が一段落したことを受けて、社会教育施設の整備が急ピッチで進みました。楠葉公民館が昭和57年5月に開館したのを皮切りに、昭和61年5月に蹉跎公民館、昭和62 年5月に御殿山美術センター、昭和63年5月に牧野公民館、平成2年5月に津田公民館、平成9年1月に菅原公民館と開館してきました。また、枚方市駅のサンプラザ3号館5階に市民ギャラリー(昭和55年11月)と市民センター(昭和58年4月)を開設しました。
   公民館は地域での市民の自主的な文化・学習活動の拠点で、音響・照明設備のある多目的ホールをはじめとして、大小集会室・和室・音楽室・料理室・保育室などの集会施設があり、市民は無料で利用できます(南部市民センターは有料)。印刷室には種々の印刷機器を備えており、営利・宗教・政党選挙の活動以外で、サークルや地域団体の印刷を用紙等実費負担で利用できます。また、ロビーが広く、机・椅子・湯沸し室を設置して多目的に利用できるようにしています。
   また、各館「利用者懇談会」を開催し、利用者の声を公民館運営に反映させています。
   全体に共通していることは、ホールや大集会室など各館で大きな会場の利用希望が年々増えていることで、利用者主催の発表会、音楽会・演劇の公演などが増え、社交ダンス、ジャズダンス等体を動かす広いスペースを必要とする活動が増えてきたことが影響していると考えられます。音楽室は、女性コーラス、カラオケグループに加え、昨今の音楽人気を反映して、中・高校生や社会人のバンドや楽団のバンド活動が多く占めています。
   サンプラザ市民センターは、駅前のビルの中にあることから、市内の各地域から集まってくる人達の団体利用が多く、同時に駅に近いことから夜間、勤め帰りの市民の利用が多いのが特徴です。
   御殿山美術センターは、市民の文化・芸術活動の広場として設置された、創作活動が主の美術公民館であり、各部門別の創作室が設けられ、活発な創作活動が行われています。また、菅原公民館には、字幕編集等のできる映像工房や陶芸棟が設けられています。


枚方市の特色ある事業
1.「市民劇場」
   1982年、枚方市で最初の社会教育施設として楠葉公民館が開館しました。これを機会に市民の自主的な学習や文化活動の場と機会を提供する公民館と同時に、公民館が枚方の文化発信の拠点となることを目的に始めたのが枚方市公民館の「市民劇場」なのです。生活範囲の中にある公民館での「市民劇場」は、100~150人規模の会場で、出演者の息づかいが聞こえる距離と雰囲気の中、舞台と観客が一体となった空間を共有できるところが大きな魅力です。
   市民劇場が定着する中、市民からの企画や出演者の紹介が増え、市民劇場という事業を通して市民同士の情報交換や職員との交流が行われています。これからも職員と市民が積極的に関わり、文化を創造していきます。
   くずは市民劇場180回、さだ市民劇場144回、まきの市民劇場108回、つだ市民劇場92回、すがわら市民劇場27回、ひらかた市民劇場96回と、回を重ねてきました。

2.枚方の人形劇
   枚方の人形劇が現在のように盛んになったきっかけは1975年にさかのぼります。当時の家庭教育学級参加者の要望により「人形劇作り講習会」が開催されました。その講習会修了生が人形劇団を結成し、翌1976年5月に4劇団により「枚方人形劇連絡会」が誕生しました。講習会はその後も続いて開催され、1982年楠葉公民館の開館以来、現在のように人形劇団が公民館を拠点として活発に活動する状況となりました。現在(2005年3月31日)、枚方人形劇連絡会に加入している劇団は14劇団に上り盛んに活動されています。
   内容は、図書館・保育所・子ども会等での公演、中級講座(市民センター主催)への協力、また各公民館での「サンサン人形劇」そして「ひらかた人形劇フェスティバル」開催等多岐にわたります。
  
   サンサン人形劇
   サンサン人形劇場は、サンプラザ市民センターが、開館した 1983年7月から開催されました。サンプラザの「サン」と、日曜日に開催しているのでサンデーの「サン」をとって名付けられました。1983年からは、より多くの子どもたちにも人形劇を楽しんでもらえるようにと、各公民館でも開催するようになりました。176回を数えています。

   ひらかた人形劇フェスティバル
   今年で16回目となる「ひらかた人形劇フェスティバル」は観る人形劇・参加する人形劇を十分に楽しんでもらえるフェスティバルです。 また市・内外のプロ・アマ人形劇団の発表や交流を目的としても開催してきました。一昨年度よりワッペン一枚で全ての会場で観ることが出来る「スタンプラリー」形式にし、また集めたスタンプの数によって記念品と交換出来るようにしています。日本中の40劇団が牧野へやってきます。

3.枚方市日本語・多文化共生教室「よみかき」
   枚方市では日本語がわからないことで日常生活に困っている人を対象に日本語の学習することができる教室『枚方市日本語・多文化共生教室よみかき』を開設しています。
   現在日本には、さまざまな事情で日本語を学習することができなかったために、生活上の不利益を被っている人が大勢おられます。また近年、結婚や仕事等のために来日した外国人で“言葉のカベ”にぶつかっている人も急増してきました。こうした日本語の習得を必要としている市民に対して、学習する機会や場所を可能な限り提供し、またそのことにとどまらず、学習者同士が共に日本語を学習することを通して、お互いの文化や習慣を理解し、人権を尊重し合う社会の構築を進め、多文化共生社会の実現を目指していくということが行政の役割であり、この事業の目標とするべきところであるとの考えにより、地域活動の拠点である公民館で実施しています。
   枚方の“よみかき”は1982年の楠葉公民館での開講を皮切りに、公民館開館に伴って開設され、現在6つの社会教育施設で実施しています。
   現在、学習者と共に学び、自己実現の援助をするスタッフを求め、指導員養成講座を実施し、その修了者で組織する「スタッフ会」に一部委託しています。そしてその中から、コーディネーターを2名選び、その人たちを中心として、広く開かれた教室運営を行っています。

4.子ども事業
第6回ひらかた子ども将棋大会
   夏休みの恒例事業となった「ひらかた子ども将棋大会」も第6回を迎えました。子どもたちに将棋に興味を持ってもらうため、トーナメント大会のほか、見学者も含めて、初心者講座や詰め将棋の解説なども行いました。以前は、各館がそれぞれに開催していた大会をひとつにして、会場を各館持ち回りで開催してきましたが、今年度は新たに菅原公民館が加わり、楠葉、牧野、さだ、津田の全5館で開催しました。
   子ども料理教室・子ども木工教室、子ども環境教室、あるいは人権政策室と共催の「子と親の非核平和映画会」も実施しています。

5.公民館まつり
   楠葉公民館が開館して1年目を迎えた昭和58年の利用者懇談会で、「日頃の活動が発表できるような催しはできないか」「いろんなグループがどんな活動をしているのか」など意見が出され、開館1周年を記念して「5月祭」という名称で文化祭をしようと話がまとまった。成功裏に終わってこの「5月祭」は、定着しました。また、他の公民館でも、「公民館まつり」や「文化祭」として実施されることになりました。

6.各公民館での独自の事業
   楠葉公民館:震災支援コンサート、お笑いネットワークなど
   蹉跎公民館:淀川の野草かんさつ会と試食、和太鼓ワークショップなど牧野公民館健康についてのワークショップなど
   津田公民館:田んぼのワークショップ、利用者が講師となるシリーズなど
   菅原公民館:陶芸教室、子育て井戸端会議など
   御殿山美術センター:陶芸教室、美術関係の実技講座など
   市民センター:くらわんか学園、市民ギャラリーとタイアップした行事など


公民館の特色ある利用
1.小・中・高校生の利用
   公民館では、様々な人達が利用していますが、中でも大きな特徴となっているのが、小・中・高生の利用です。子どもの利用については、大人の利用と同じように受入れをしています。2名以上のメンバーで構成し、グループ名、代表者名、活動内容を登録申込書に記入して申請します。保護者の付き添いも必要ありません。
   利用内容は、料理室でケーキやクッキー作り、音楽室でバンド活動、集会室等でお別れ会、文化祭の打ち合わせや練習など、またロビーでは勉強、将棋・オセロゲームなどに利用しています。
   子どもたちの生活スタイルが変化していく中で、子どもが集える場所として利用しやすい公民館であり続けると共に、子どもたちの多様な活動の場として、高く評価されるものと考えています。

2.印刷室
   各公民館、サンプラザ市民センター、御殿山美術センターでは印刷室を設けており、広く市民に開放しています。団体登録をしていない団体でも、営利、宗教、政党、選挙の活動以外であれば、簡単に利用することができます。

3.保育
   公民館では、主催事業を実施するときに乳幼児のいる方でも安心して参加できるように、一時保育を実施しています。対象年齢は就学前の子どもで、保育協力者と相談して1才未満の子どもも預かっています。保育協力者は最寄りの公民館だけでなく、複数の館を担当している人もいます。保育は予約制で行い、原則として子ども3人に対し保育協力者1人の割合で配置しています。各主催事業で保育の申込みに差があり、申込みのない事業もあれば、予想を上回る人数の希望がある場合もあります。

4.公民館だよりの発行
   枚方市の公民館では、各館で公民館だよりを月1回発行しています。公民館だよりは、手作りの機関紙としてそれぞれの館が工夫を凝らして事業や地域の話題、サークルの催し、利用者からの投稿記事など様々な内容を盛り込んで編集・発行しています。また表紙は、利用者から季節やテーマにあった写真や絵の提供を受けたり、利用サークルに依頼したりしています。そして公民館の利用者である市民が無償で配布協力者となり、多い人で500部を超える枚数を配布していただいています。
   公民館だよりは、より多くの人に公民館を知ってもらいたい、公民館ってどんなことをしているのか、公民館に行かなくても記事の内容からその様子を知り、それが公民館に足を運ぶきっかけになれば、と発行しています。また利用者からも、自分たちの活動を地域の人に知ってもらいたいと記事の提供があり、各館のまわりでのおもしろい出来事を掲載して、地域のミニコミ誌的役割を果たしています。発行部数27,000部、配布協力者160人、協力者配布数20,678部

5.続々誕生するサークル
   6公民館と市民センターは、16年度末、登録団体数3,611団体、のべ利用回数は50,796回、年間利用者数は、84万8,597人に達している。

6.活動委員会の結成
   公民館運営審議会は、平成8年の答申、同15年の提言などで、活動委員会の組織化と活動委員会の活性化を促して来ました。市民と公民館(行政)が、さまざまな課題を話し合い、地域性に根ざした学習事業や文化事業を、意欲的に進めることを願ってのことでした。これに応えて、次々に活動委員会が生まれ、公民館と活動委員会が協力し合って、施設の使用のあり方を見直したり、斬新なイベント計画を立案するなど、新しい芽が育ち始めています。

7.利用者こん談会
   公民館の管理や運営等の問題について、利用者の皆さんと公民館との意見交換の場として、利用者懇談会を開催しています。内容は、公民館利用団体登録の更新申請について、公民館予約システムについてなどです。

8.ロビーの利用
   各館には、申し込みのいらない自由に使えるロビーを設け、待ち合わせやグループの話し合いに利用されています。

9.情報発信
   公民館では、団体、サークルのチラシを置いたり、ポスターの掲示を実施しています。


   このように、枚方市の公民館は、全国的にみても活発な公民館と評価され、利用者といっしょにテーマを選び、学習を提供する一方、公民館を利用するサークルや団体の支援をしてきました。
   しかし、時代により、公民館に求められる役割も変わってきています。公民館が生まれた当初は「憲法・民主主義の学校」といわれ、その役割は「住民自治の本質づくり」といわれてきました。
   その後、楠葉公民館ができたころ、市民とともに作り上げていくことで、学習では、人権・環境・障害などをテーマに講座を開催するとともに、そうした問題に取り組むサークルをつくることも支援してきました。
   ところが、高齢者社会の到来や生涯学習の時代を迎え、「生きがいづくりの場」、「生涯学習の拠点施設」といわれるようになってきました。
   公民館はそのための人を育てる「教育施設」です。行政組織には属していますが、行政の執行機関ではなく、教育施設です。そのために「公民館事業(主催事業)」を行ってきました。
   また、市民に身近な公共施設として、「生涯学習の拠点施設」としての役割も担っています。これは、市民に対し、「機会と場」を提供することで、自発的な活動を支援することです。「貸館」や「情報提供」が主にその役割を担っています。
   この役割を、枚方市の公民館は、一貫して担ってきたと考えています。


南部市民センターの検証
   平成16年度の実績を見てみますと、全体の利用率は54%で、公民館の利用率が8割を超える公民館と比較すると低いですが、実質初年度ということもあり、平成9年1月に開館した菅原公民館も同様の実績でした。平成16年度の月別推移を見ると、徐々に増えています。
   また、平成 17年(4~8月)同期と比べても、利用者、利用率とも明らかに増加しており、有料施設と無料施設の比較では、利用率に差があると言えないばかりか、部屋の用途により、多目的室・音楽室は有料にもかかわらず極めて高い利用率を示しています。
   南部市民センターの使用料の料金設定については、年間の予想光熱水費、修繕料、それから各種委託料(清掃委託料、防災設備点検)に対して、年間の開館時間から割り出した1平方メートル当たりの時間単価は8.5円となります。この8.5円と貸出時間とその部屋の広さを掛け算出した金額のうち、半額を市が負担する分とし、残る半分を利用者が負担することにしました。
   それで、16年度に管理に要した経費が約1,060万円、諸経費803万円、計1,863万円に対して、使用料の402万円で、22%になっています。公民館の料金体系については、南部市民センターを基準に考えていますが、1館当たり平均使用料の徴収額は、16年度利用実績で算出しますと、690万円になります。
   また、南部市民センターの使用料の減免規定としては、行政使用、義務教育諸学校在学者が全額、障害者団体が2分の1の減免となっています。料金体系については、南部市民センターを基準に考えていますが、市民会館では、市外の団体や営利団体に割り増しにしており、そうした差異かすることによって、子どもや高齢者あるいは地域コミュニティの利用について支援していくシステムをつくれないか庁内で検討しているところです。





資料2

第29期社会教育委員会議諮問

社会教育委員会議
   議長荒田英道殿


次に掲げる事項について、諮問します。


   生涯学習社会における公民館等社会教育施設のあり方について


   青少年施策の基本構想について


平成17年8月24日

枚方市教育委員会教育長
                         髙野勝


(理由)


   平成15年3月に策定された枚方市生涯学習ビジョンの中で、「生涯学習の推進にあたっては、生涯学習の位置付けが個々の施策にあまねく行きわたり、共通の方向をめざして展開することが可能となるよう、推進体制を構築するとともに、情報の共有化を進めます。」という市の方向性が示されるとともに、「地域の学習文化活動の拠点として機能する公民館において、広範な世代の市民が、より主体的に活動できるように、従来の事業・運営のあり方を見直して、生涯学習を推進する環境づくりを行います。」とあります。
   こうした考え方に基づいて、現在教育委員会で所管している公民館及び南部市民センター、市民ギャラリー等の施設を市長部局に移管することや、受益者負担制度の導入等公民館のあり方に関する様々な指摘も踏まえつつ,必要な見直しを図っていくことが重要であると考えます。
   このため,生涯学習社会における公民館等社会教育施設のあり方について,次の事項を中心に検討する必要があります。
   (1)公民館が果たしてきた役割と今後のあり方について
   (2)受益者負担制度の導入について
   (3)社会教育行政の在り方について

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

電話番号:03-5253-4111(内線2977)
メールアドレス:syakyouhouki@mext.go.jp