生涯学習分科会企画部会(第5回) 議事録

1.日時

平成28年11月28日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館15階特別会議室

3.議題

  1. 有識者会議の検討状況について
  2. その他

4.議事録

【明石部会長】
 ただいまから第5回中央教育審議会生涯学習分科会の企画部会を開催いたします。
 本日は,現在設置されております社会教育,家庭教育,青少年の体験活動に関する有識者会議における検討状況を報告した後,意見交換を行いたいと思っております。
 それでは,事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【大類生涯学習推進課課長補佐】
 座席表,その次に議事次第を配布しております。本日は資料1から資料4にわたりまして七つほど資料を御用意させていただいております。なお,最後の資料4につきましては,これまでの企画部会における主な御意見をまとめたものです。御審議の参考とされてください。

【明石部会長】
 それでは,本日の進め方ですけれども,現在,文部科学省に設置されております三つの会議,一つは「学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議」,二つ目は「家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会」,三つ目に「青少年の体験活動の推進方策に関する検討委員会」のそれぞれについて,検討状況を報告した後,意見交換を行いたいと思います。
 まず初めに,「学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議」の検討状況についてでありますが,私が座長を努めておりますので,私より一言申し上げたいと思います。
 お手元の資料1‐2の2,論点整理項目がありますように,学びを通じて地域の課題に応えていき,地域づくりをどうすればいいかということがこれからの社会教育では大事だろうということで検討してまいりました。そこで一番気になったことは,地域の「学びの場」,学びの空間をどうすればいいかということです。具体的に言いますと,既存の公民館,博物館,図書館や美術館などの社会教育施設がありますけれども,この見直しもしていきたい。そういう「学びの場」の拠点の施設をどう変えていけばいいかということで議論してまいりました。例えば四国の愛媛県新居浜市に行きまして,実際の公民館なりいろいろな活動場面も実際見てまいりました。その中で分かったことは,「学びの専門職」といいましょうか,要するに,社会教育主事等の在り方をどのように考えていけばいいかというようなこともかなり議論されました。あるいは,これから各地域で少子化の中で学校統廃合や図書館の老朽化に伴い,どういう空間を作ればいいかとかという,そういう具体的なことに焦点を絞り,議論してまいりました。
 それを受けまして,西井課長の方から具体的な説明をお願いいたします。

【西井社会教育課長】
 社会教育課長の西井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいまの明石部会長の御紹介にございましたように,私どもでは,「学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議」を担当させていただいております。資料1‐1をごらんください。設置の趣旨等を御説明させていただきます。既に平成25年1月に生涯学習分科会から「議論の整理」が出されてございまして,社会教育の役割として,地域づくりの実践に結び付けるという観点が示されているところでございます。これを受けて具体的な方策を検討するということで,全体で9名の委員で構成されます協力者会議を立ち上げまして,今年の7月4日に第1回の会合を開かせていただいております。
 このメンバーは,大学の研究者をはじめ自治体,特に教育委員会の教育長等として現場で統括されておられるような方や,さらにはNPOなど民間の立場からこうした地域づくりに関わっていただいております方に御参画いただいております。第1回の7月4日の全体会合に続きまして,7月29日に第2回,第3回は9月26日に開催いたしました。その間,先ほど明石部会長からも御紹介いただきましたように,このメンバーのお一人であります関委員の地元である新居浜市に赴きまして,現地で公民館活動を中心といたします地域づくりの状況を聴取し,意見交換をさせていただきました。
 これらを受け,11月21日の第4回会議におきまして,資料1‐2になりますが,これまで行ってまいりましたヒアリング,意見交換を踏まえまして,論点の整理をさせていただいたところでございます。
 その重立った項目といたしましては,まず1といたしまして,基本的な考え方を整理し,加えて2といたしまして,学びを通じた地域づくりの推進のための論点整理という構成でございます。1でございますけれども,まずは社会教育行政体制の整備ということで,「学び」と一体となった行政運営でありますとか,教育委員会と様々な主体との連携,さらには,それを担う行政職員の在り方,その中で特に社会教育主事の在り方についても御議論を頂くということといたしました。
 それに続き2といたしまして,地域の「学びの場」の在り方ということで,学びの空間と先ほど明石部会長からも御紹介ございましたが,地域における「学びの場」といたしまして,特に社会教育施設ということで公民館がございますし,さらに,公民館以外の図書館,博物館等の在り方,その他について御議論いただいたところでございます。
 以上が全体の項目でございます。次に重立った点でございますけれども,まず1ページ目でございますが,基本的な考え方として,どのような現代的な地域課題があるかということで,少子・高齢化,人口減少社会におけるコミュニティの変容といったところを視野に入れながら,丸2にございますように,その中で社会教育がどのような貢献をできるかということについて論点とさせていただきました。その中で学びという観点から地域づくりに資する社会教育振興の考え方について御議論いただきました。
 この資料におきましては,3ページ目の冒頭にございますように,今後の検討課題例という形で,必ずしもこの論点に対応して御議論いただき切れていないと思われる点につきまして改めて御紹介して,更に議論を進めていこうということを考えております。この中では,議論してまいりました新しい地域づくりに資する学びの在り方に対応した具体的な学びはどのようなものであるのかというような点でありますとか,それに対応できる「学びの専門職」というのはどういう具体的な姿を持つべきだろうかといった点につきましても,今後,検討を進めていく事項として整理してございます。
 2といたしまして,学びを通じた地域づくりの推進のための論点整理ということで,各論に入ってきますが,この中では,まず,学びを通じた地域づくりを推進するための社会教育行政体制の整備の在り方ということで,特に行政運営と学びというものを一体的に行っていくという視点を論点として掲げさせていただいてございます。これについてはまだ具体的に論じ切れていないところがございますので,課題といたしましては,学びの機能の意義でありますとか,教育委員会と他の部局との連携の在り方等について今後議論するとしております。その中で更に各論でございますけれども,様々な主体との連携につきまして現状あるいは意見交換をしていただいたところでございます。
 6ページ目をおめくりいただきますと,この点につきましても教育委員会,特に地域課題をどのような形で取り出していくのかと,要するに把握していくのかといった点からの様々な主体の連携方策についても,今後の検討事項としております。
 6ページ目以降は,人材の方策でございまして,その中で「学びの専門職」というキーワードを作らせていただきました。その中で特に社会教育主事の在り方について御議論いただいてございます。
 これについては,8ページ目中ほどございますように,既に中央教育審議会生涯学習分科会に置かれていたワーキンググループの中で平成25年に方針が示されております。その具体的な諸方策についても検討を進めているわけでございますけれども,改めてこのような観点から全体的な検討をしていくこととしているところでございます。
 9ページ目のところは,場の話でございまして,公民館を中心といたしますような社会教育施設があるわけですが,特に9ページ目の中ほどから下にかけてございます今後の検討課題例として,「学びを通じた地域づくり」の観点から地域の多様な「学びの場」に求められる基本的な機能,役割をどうしていくのか,「学びの場」の活動の「見える化」ということで,PDCAの意識付けを現場の中でどのような形で定着させていくのかという点につきましても,今後の検討課題として提案をさせていただいています。
 その次の10ページ目のところですが,この中では公民館について。公民館は70年来の歴史を重ねてきており,さらに,地域によってはこうした「学びを通じた地域づくり」の役割を担っております。こうした中でこれからの公民館が重点的に担うべき役割はどういうものであるのかということと,昨今,総務省などで制度設計が進められてございますような地域における地域住民の自主的な運営組織は,公民館を拠点にするものも多くございますけれども,そういった動きでどういう関わりを持っていくのか。また,公民館活動により多くの方々に積極的に自主的な参画を促すような方策はあるのかといった点についても,論点として今後の検討課題とさせていただいてございます。
 もう一つ,図書館と博物館につきまして,こちらも具体的にまだ十分御議論いただいてないところでございますけれども,公民館にとどまらず,図書館につきましても地域においてはかなり意欲的に地域の課題への対応しており,取組も進んでいるということも御紹介いただいております。こういった点で,さらに,11ページの冒頭にございますように,グローバルな情報提供の在り方でありますとか,これまでの受け身タイプの施設というよりは,地域の個性を集約し,地域住民の交流であるとか,観光の拠点というような観点から,様々な交流拠点としてこういった社会教育施設を活用する方策があるのかといったところでございます。
 一方で,最後のポイントでございますけれども,施設の運営面におきまして,昨今,地方行財政上の観点からも,様々な効率的な施設運営ということについて取組が行われているところでございます。そういった中で社会教育施設についても,例えば防災・避難拠点,バリアフリー,省エネルギーといった観点からの整備の在り方や,人口減少社会に向けて,これまでの地域住民の居住環境等の関係もかなり変容してまいります中で,どういった形で配置ないしは将来像を定めていくのか。民間の力をかりて活用するような整備手法や,先ほど明石部会長からも御紹介ございました学校施設との複合化であるとか,そういった形でより住民に近いところでのサービスを維持しつつも,運営に工夫をされているような事例というのもかなり増えてきています。そういった中で社会教育施設をどういった形で組み替えていくのかといった点につきましても御議論を頂いているところでございまして,11月の前回の会議ではこういった形で資料をお示しし御議論いただいて,さらに,内容を修正させていただいた上で,来年1月以降,また改めて議論をさせていただくという予定にしてございます。

【明石部会長】
 それでは,今の説明に対して,御意見,御質問ありましたら,よろしくお願いいたします。清國委員,お願いします。

【清國委員】
 御説明ありがとうございました。社会教育主事の話題が出ましたので,少し教育の専門職としての社会教育主事がどう行政の中で役割を果たせばいいのかという観点で話をさせていただいたこうと思います。
 これまでも話題としては出てきましたが,ネットワーク型行政の要として社会教育がどう位置付くかというところで,首長部局とどうつないでいくかということが非常に重要であるということは常に指摘されているところです。行政内部で社会教育主事の有資格者,例えば関委員なんかはその最たるもので,市長部局にいらっしゃる頃も社会教育主事だと言って宣言をされておりましたが,有資格者を「見える化」して横につないでいくことが重要です。通常,行政はラインの仕組みなわけですが,スタッフの仕組みを行政内部に作るには,社会教育主事の有資格者をつないでいくということが非常に有効ではないかと思います。まず1点,そういうことが可能なのかどうか。行政の仕組み上,難しいところはあると思いますが,そこに踏み込んでいかなければ,この社会教育主事を有効に活用するということは恐らく不可能ではないかと思うほど,それほど議論を尽くしてきておるような気がしております。
 それからもう1点ですが,社会教育主事がどういう役割を果たすのかということで,多少手前みそになりますが,今の香川大学での取組を少し御紹介して,それと重ねて御理解を頂くと有り難いと思います。現在,高松市のコミュニティ協議会と連携をしながら,コミュニティの課題の中のニーズを把握させていただいております。それと,授業をつなぐということをしてございます。授業と地域課題をつなぐというのは相当労力が掛かります。コーディネーターは私が担当していますが,授業で達成すべき目標と地域課題の解決,これは必ずしも合致しているものではありません。どの部分であれば合致してお互いにウィン・ウィンになるのかということを十分調整をしなければ,結局,徒労感や疲弊が生まれるということになってしまいます。そういった調整というのは,本当に慎重に手間を掛けなければならないということを実感しております。具体的にはコミュニティプランを作りたい,空き家対策をどうするか,新駅ができるがそれができることによってどういう都市計画をしたらいいのか,特産品をどう生かしていけばいいのか。そういうニーズはたくさんありますが,大学で開設している授業とどうマッチングさせるか。こういったところで教員とコミュニティの担当者との間をつなぐということが非常に重要です。つまり,ハードルを1つ下げる。それが部局との連携ということでいいますと,ハードルをどこかが下げなければ実現しないと思います。そのハードルを下げる役割を社会教育主事がより積極的に果たしていく。つまり,部局の課題と教育の手法をつないでいく役割を社会教育主事が果たしていくような,正に教育の専門職としての機能を発揮するという方向に進んでいかなければ,いつまでたってもぐるぐるぐるぐる同じところを回っているのではないかと思っています。

【明石部会長】
 ほかに何かございますか。山野委員,お願いします。

【山野委員】
 御報告ありがとうございました。質問は,最後の学校施設の活用の方策の複合化というものがどんなイメージで議論されていらっしゃるのかというのをお聞きしたいと思います。それというのは,今の清國委員の御発言とも関連しますが,整理してお話しすると,例えば子供の貧困の調査を今全国でやっています。公民館や博物館という施設を利用したことがあるという方は有意差が出て学力も高いですし,貧困度もこういう施設を活用している人ほど高くないということが,当たり前かもしれませんが,見えています。そういう意味では,学びの重要性,意欲を育むような学びをどうやって地域の中で循環していくのかということは非常に大切だと思っているところです。
 公民館に行く,今,清國委員からも御発言ありましたが,なかなか社会教育主事の方と地域が連携していくというのが難しい。例えば社会福祉で言うと,社会福祉協議会があります。コミュニティソーシャルワーカーがいます。その人たちが地域を組織化して,社会教育主事の皆さんと同じような活動を実はしています。そことの連絡がそれぞれの地域でどれぐらいあるのか。私が見る限りではなかなかないという感覚があります。そういった今の御指摘の地域課題と社会教育主事をつなぐこと――社会福祉協議会は民生委員も把握しているので,全戸の状況を把握しているので,そことつないでいく連絡会を立ち上げるなど,何か具体的な仕組みを作らないとなかなか前へ行かないというのは私も同じ思いで,そういう連絡会を作るということは一つあると思います。
 もう一つ,学校というところは,何度か言わせていただいているかもしれませんが,全員の子供たちが通うところですので,そこで施策を展開する,複合化というのはそういう意味であるのかということが聞きたかったことです。学校という場所で公民館でなされている活動を展開していく,社会教育主事の方が出張・出前していろいろ地域人材とつないで学校単位でやっていくという,そんなイメージを感じたので,複合化という意味がどうなのか知りたいと思いました。もしそうだったら,私はそのような意見を持っているという意味も含めてです。

【明石部会長】
 私の方からお答えします。例えば二つの事例があります。千葉の南房総市が学校を小規模化して改築したいということで,1階に学校を置いて,2階を公民館的な社会教育施設として地域の学びの拠点を作っている。地域が統廃合したときの一つのモデルであると思います。二つ目は,千代田区の事例ですが,千代田区は都市部です。お金を持っているけれども,土地が少ない。そうすると1階に小学校があって,そこに認定子ども園もあって連携していて,また3階に放課後子供教室があり,その隣に,夕方保護者や地域の方が学べるような社会教育施設みたいなものがあります。地方における統廃合という形での新しい学びの拠点づくりと,都市部における複合施設,認定子ども園と小学校と放課後子供教室で,公民館的な機能を持っているという,そういう施設が今後増えてくるのではという議論をしております。

【山野委員】
 ありがとうございます。

【明石部会長】
 清原委員。

【清原委員】
 ありがとうございます。本日,論点整理等を伺いまして,本当に重要な論点を体系的にまとめつつ,建設的な議論をしていただいているということに感謝申し上げます。
 特に,市長を務めている立場からは,教育委員会と首長部局及びNPO法人等との連携ということについて随所に位置付けていらっしゃるということは,極めて当然ですが,しかし,必要不可欠な地域課題解決のためのネットワークの理念だと思いまして,これは一貫していただければ有り難いと思います。
 さて,実は三鷹市ではこの間,社会教育会館という公民館の建物が老朽してきたことから,来年4月に生涯学習センターとして新しい複合施設に含めることといたしました。そのために,改めて,私は決心しまして,「社会教育を含む生涯学習」は市長部局に所管を移すことといたしました。ですから,「社会教育を含む生涯学習」なので,社会教育委員も引き続きお願いいたしますし,生涯学習審議会も改めて設置するわけですが,そこで,これが全国でどのぐらい一般的なことなのかというのを詳細に調べることなく,市長部局で責任をとることとしました。といいますのは,総合教育会議ということで,市長が責任を持って招集させていただいて,教育委員の皆様と平成27年度から熱心に議論を重ねてきて,学校教育,あるいはいじめ等の対応,子供の貧困等の対応はもちろんのこと,生涯学習の振興についても意見交換をフォーマルにもインフォーマルにも重ねてきました。そんなことで,私としては市長部局が責任をとるという体制にしたわけですが,ひょっとしたら全国にも,教育委員会が社会教育,生涯学習を主としてつかさどるのではなくて,首長部局,市長部局がそうしているところもあるかもしれません。そうしているところとそうでないところとで,今回問題提起されました「学びを通じた地域づくり」の,首長部局,NPOと民間団体等との連携の在り方というのが異なるのか,異ならないのか,その辺の実態というのはひょっとしたらもう文部科学省ではつかんでいらっしゃるかもしれないので,確認していただくと有り難いと思います。
 それから2点目に,平成27年の12月に皆さんと一緒にまとめました「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」という中央教育審議会の答申に関わる私たちの議論です。その中で,社会教育主事についても,学校と地域の協働のための地域コーディネーターとなる人材とどう関わるのか,重なるのかということについても議論をして,一定の方向性をお示しした経過があります。三鷹市では,既にお話を何度かしましたが,「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を進めるプロセスにおいて,コミュニティ・スクールの委員会の委員には,本当に普通の市民の方,保護者の方に関わっていただいています。そうすると必ずや学びというのが必要になってきます。学校教育に責任を持つというときには,どうしても経験だけでは駄目で,やはり一緒に学び合う,ほかの事例を見に行く,あるいは自分たちの実践をまとめて皆様に発表する,お知らせするということで,文部科学省が支援されるいろいろなコミュニティ・スクールの事業などにも市民自らが出掛けていって,学んだり,発表したりしています。それは実は,「教育をめぐる地域課題の解決に資する活動」だと位置付けることができる。ですから,地域課題といったときに,地域課題の内容そのものにも,教育,生涯学習,学校教育が入ってくるわけです。そうしますと,今まで答申として出されたものの中にある学校教育と生涯学習,社会教育との連携というものについて,やはり今回の議論はかなり重なっているのと受け止めさせていただきまして,むしろそれを具体的な地域の場で充実するような方向性を更に提起していただければと思います。今,部会長がおっしゃいました千葉県の事例などはそういうことになると感じておりました。
 最後に,実は三鷹市の公立図書館が開館50周年を迎えたのを機に,図書館の関係者が,もう少しもっと若い世代に図書館の運営に関わってもらおうということで,中学生,高校生に「市立図書館の図書部に入りませんか」と声を掛けたら,「入ります」ということで,学校のクラブとは違って図書部というのを組織しています。その図書部が,去年と今年,読書週間のときに図書館フェスティバルをという催しをやっていて,ビブリオバトルという本を紹介し合って,こちらがいい,あちらがいいというイベントを主催したりして,図書館を利用する以外に,図書館を活用することについて実際に一生懸命頑張ろうとしている中高生がいます。それに大学生が関わるということがあります。したがいまして,今回,公民館だけではなくて,図書館や博物館を論点整理に入れていただきましたことは,極めて重要だと思っています。恐らく全国的に博物館でもそういう動きをやっていらっしゃることはあると思いますし,もっと広げると美術館などでも様々な生涯学習,芸術文化活動をしている方がいて,それは地域づくりになっている。実は切り口が福祉の問題や社会問題ということだけではなくて,何か地域に関わる多様な活動の中できっかけを持っていただいて,地域に関心を持っていただいて,それが広がっていくということにもなると思います。今回,図書館や博物館も入れていただいたというのは,地域づくりの人材の広がり,それを視野に入れつつ,今までの社会教育施設の更なる地域課題解決への可能性を示唆していただいている,意義ある論点だと思いました。
 特に質問ということではなく,この重要な論点整理を更にこれから集中していただいて,ほかの今までの答申などと関係付けながら意義を強調していただけると有り難いと思います。よろしくお願いします。

【明石部会長】
 ありがとうございました。非常に大事な論点を三つ挙げていただきまして,一つは,首長と教育委員会の総合教育会議をうまく運用しないといけないというのは私も千葉市で経験しまして,正に市長は地域課題も頭に描いていますから,それに教育委員会がどう応えていくかということが一つ重要です。二つ目は,学校地域協同答申で提言した地域学校協働本部(仮称)の中で,地域担当教員の資格を法令化していきたい。そのときに社会教育主事の有資格が必要だとか,そういう形を押さえていかないと,市長がおっしゃるように,学校と地域の連携がうまくいかない。三つ目は,3年に1回,社会教育施設調査をやっています。公民館は減ってきている。なぜか図書館だけ増えている。だからそういう意味では,おっしゃるように図書館というのをもう一度違った視点で見直すということも大事かと思っています。
 では,菊川部会長代理。

【菊川部会長代理】
 清國委員と清原委員の御発言に関連して申し上げます。
 この企画部会はどちらかというと,今後の課題に向けてのいろいろな議論とか新たな情報を議論してきたように思います。それに対して,今回,社会教育や家庭教育,青少年の体験活動は,今まで社会教育行政がずっと培ってきたものを,再度,今時点で整理して,その新たな課題と今までの課題というのを一緒にまとめていこうとされていると思いました。
 そういう観点からですけれども,ここに「学びの専門職」という言葉が出てきますが,私は平成25年のワーキンググループの委員でもありまして,その頃からずっと考えていることでございます。つまり,先ほどお話にあった総合教育会議との連携や,社会教育行政がネットワーク化していく流れについて,それをしっかり進行管理していくということも大事だと思いますが,そのときに,戦後70年以上の社会教育行政の精神やノウハウをそういう新たな状況に引き継いでいくコアが社会教育主事だと思っております。ですから,社会教育主事の在り方や,それが求められる専門性は社会教育行政の専門性そのものだと思っております。平成25年の議論,今野委員もいらっしゃいましたけれども,議論したときに三つポイントがありまして,社会教育主事の発令の仕方と,それから有資格者を何らかの形で位置付けるというやり方と,それから全く新たな「学びの専門職」を作るという,その3通りを整理・議論したように思います。それで,この辺のところを私の個人的な意見を言わせていただきますと,有資格者を位置付けるという方向を拡大していくといいのではないかと思っておりますその理由を2点申し上げます。
 1点目の理由は,やはり成人の方が学ぶときに人々は資格を欲しがっていると思います。放送大学でも学芸員の資格が実習以外は取れますが,とても人気があります。50代の方が学芸員の資格を取ったから,それを就職につなげるとかということは余りないにしても,ボランティアや,いろいろな地域活動をする場合,資格を持っているということのうれしさと自分に対する自信ということにつながります。そういった意味では,図書館の司書も,司書として採用されている人はごく僅かで,一般の公務員として司書資格を持っている人を採用している。あるいは,書店によっては司書資格を持っている人だけを採用して,それを売りにしているという。そういうことを考えますと,社会教育主事も,できれば有資格者ということで学びのコーディネーターとしての位置付けをきちんとして,そういう形でできないだろうかと思います。
 2点目に,今までおっしゃっていたように,昨年の学校地域協働答申以来,学校と地域が今からタッグを組んでやっていくときに,本当に機能する人材を建前ではなく具体的に作っていかないといけないと思います。そのときに何かの資格がないと地域では機能しないのではないかと思います。いろいろ法令的なこともありますが,何らかの形で資格をきちんとしないと,地域はなかなか具体的に動かないのではないかと思っております。

【今野委員】
 地域づくりの関係で一つ申し上げたいのですが,私たちも絡みまして,仙台市のある公立学校で地域との連携の教育を非常に進めたところがありました。ある学校では,地域共生化と言って,カリキュラムそれ自体,正規のものが地域活動を根っこにしながら教育を成り立たせている。三,四年,文部科学大臣の認定を受けてやられたことがありまして,それは非常に成果が大きかったので,私たちのグループでもソーシャル・キャピタルの関係から分析をしたいということでやったものがありました。結論的には,親との関係性が非常に高い子供,あるいは子供同士,あるいは地域との関係,教師との関係,それぞれの部分での人間関係が非常に高い,つまりソーシャル・キャピタルが高いわけですが,そういう子供ほど学習意欲が顕著に高いということがありまして,それが経由して学力にも影響しているという分析結果がありました。
 非常に結果は面白かったですが,特に興味深かったのは,家庭の親が学校や地域の活動に関わって,そしてソーシャル・キャピタルが高くなってくると,その親の市民力といいましょうか,課題解決に関わる意欲や実際の活動,そういう市民的な力の基礎が非常に養われるということも,たくさんのデータ分析から出てまいりました。そういう,いわば子供に関わっての活動・学習というものが活動的な市民づくりの基礎になるということです。それは将来的には地域づくりにつながっていく重要なものです。そういう意味からソーシャル・キャピタルが非常に大切だ,学習活動が大切だということで報告書を書いたことがありますが,今回の地域づくりの観点にも少しソーシャル・キャピタル的な考え方がどこかに入ってくると,非常に分かりやすい説明になるのではないかと思いました。
 それから,それとの関係もありますが,先ほど来,社会教育主事のお話が出ています。これからのまちづくり,一般行政との連携のちょうどキーマンになるということで非常に大事だと思いますけれども,それと同時に,市民との関係において社会教育主事の役割は非常に大きくなってくると思います。従来,教育委員会の中で特定の事業計画をする,あるいは運営をする中心という側面もあったわけですけが,やはりダイナミックな活動をしていくためには,市民と結び付いて,市民と一緒にいろいろな学習なり活動の中核になっていくということが必要だと思います。市民の中の特にリーダー的な人材,そういう人たちと常に結び付きながらいろいろな活動をするということが大切だろうと思います。
 今,部会長代理の菊川委員からも話がありましたけれども,一般市民と結び付くときの一つのツールとして資格制度というか,市民とつながった形での資格制度が一つありますと,同じような基準の中で,地域あるいは市民の中での能力のある,意欲のある方々を認証して,そして活用する仕組みが資格制度によって出てくる。そういう人たちと日頃の活動の中で社会教育主事が結び付くということで,市民づくり,地域づくりの軸になっていくのではないか。そういう意味では,菊川部会長代理の言われたことは改めて大事だと思ったところです。

【明石部会長】
 どうも貴重な御意見を頂きまして,ありがとうございました。非常に参考になりました。
 次は,「家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会」の検討状況について議論を深めたいと思います。
 まず,座長を務めておられます山野委員より一言お願いします。

【山野委員】
 それでは,「家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会」について簡単に私からお話しさせていただき,それから高橋課長にマイクを回したいと思います。資料2‐1でございます。
 2ページを開けていただくと,いろいろな委員の方がいらっしゃいますが,行政の方,NPOの方や現場で家庭教育支援をされている方,それから,厚生労働省管轄として,子育て支援に関わっておられてひろばの全国組織の理事長をされている方も参加されております。新たな形としてはオブザーバーに厚生労働省の方もいらっしゃり,国立教育政策研究所の生徒指導関係の統括官にも入っていただいているということで,非常に幅広く,福祉の点や不登校や非行とかということとつながっていくようなイメージも持ちながら家庭教育支援を考えているというのが特徴かと思っております。
 ポイントとして,今話題になっています人材をどうやって養成していき,循環するような養成の仕組みをどうやって作るのか,検討しています。支援を受けた人が今度は支援をしていくというスタイルにどうなっていくのかという,もちろん特別な子供ではなくて,全ての子供や家庭を対象としたそういった意味の支援と,それから,行政も連携して次へつないでいく,切れ目がないフォローをしていかないといけない支援と,二つの論点に分かれながらそんな話をしております。
 後で御報告あるかもしれませんが,今の話にも関連して,山口県の御報告で言うと,高校生が中学生を教え,中学生が小学生を教え,小学生が幼稚園の子供たちと関わるという,一つの校区の中で循環している。そうすると地域を愛するようにもなりますし,そこで貢献していこうということが,今で言う大人の教育,学びの土台が幼少期から作られていっているというような御報告もございました。一つ一つの御報告は非常にすばらしくて,議論が活発に進んでいるところでございます。
 それでは,高橋課長の方からお願いします。

【明石部会長】
 では,高橋課長,お願いします。

【高橋男女共同参画学習課長】
 それでは,御報告いたします。
 資料2‐1で,今,山野座長からお話しいただきましたが,この検討委員会は,1の趣旨の最後に書いてございますとおり,具体的な推進方策について検討するということで設置されてございます。このため,今,山野座長から御紹介いただきましたとおり,実際に関係の仕事に携わっている皆さんに幅広く御参集いただきまして,具体的にどういう工夫をしているのか,どのようなアイデアがあるのか,どうやって困難を乗り越えてきたのかというようなことでお話をいろいろ伺って御議論いただいているところでございます。
 実は本日の午後も取りまとめに向けたこの検討委員会が予定されておりまして,現状では,取りまとめの一歩前の主な意見の取りまとめという段階の資料2‐2で御報告をさせていただきたいと思います。
 1ページ目が大体全体の流れでございますが,最初に2ページをごらんいただきたいと思います。具体的な提案,アイデアに入っていく前に,そもそも家庭教育の意義についてということで,家庭が全ての教育の基盤であるということ。また,その次の丸2のところですが,困難な状況になくても悩みや不安を抱えてしまう保護者もいるということ。情報が多過ぎる。また,多過ぎるがために孤立するということも考えられることを記載しております。
 それから,先ほどの山野座長の話とも関係してきますが,子供たちを地域に参画させる必要がある。子供たちは,自分の育つ地域に非常に愛情を持っている。また,その次の2行目ですが,親も最初から一人前の親なのではなくて,だんだんと育って一人前の親になる,こういう視点が必要ではないかということで,子供も親も共に育つことで地域に貢献する循環型の人材ということになっていくのではないか。切れ目のない支援が必要であるということです。
 また,4番と5番は関係してきますが,5番のところを先に申し上げますと,今,非常に多様化している御家庭の実態があります。日本の学校文化になじめない,そういう御家庭もあるのが実際であるという中で,家庭教育に求められるものが非常に大きくなっているので,バリエーションのある支援が必要であるということ。
 それから6番目は,家庭だけではなくて職場,企業にもアプローチしていくアイデアがあるのではないかということです。
 それから,大きなローマ数字の1番,全ての親の学びや育ちを応援ということでございますが,ここでは,まず,乳幼児期から積極的に家庭教育的なアプローチをしていくべきではないかという意見を非常にたくさん頂きました。
 特に丸3でございますけれども,どの予算を使うにしても一つの受皿が機能していけば良いのではないか。つまり,文部科学省の教育関係,また厚生労働省の子育て関係,いろいろな予算の蛇口があるけれども,一つの受皿となるNPOが地域で活動できれば,切れ目のない支援のきっかけになっていくのではないかというアイデアもございました。
 また,父親が子育てに参画する,父親の当事者意識も非常に重要である。次の3ページですが,中学生の家庭科での乳幼児触れ合い体験というようなものも大事であること。
 また,親子参加型の行事を展開して親子の居場所づくりをしていく。この中で,家庭が多様化している中で生活体験が欠けているというお子さんもかなり見られる状況があるので,何とかしていくべきではないかというアイデアを頂いております。
 その後,丸7から丸8までは少し具体的なアイデアをいろいろ頂いておりまして,幼稚園との協力ですとか,それから,様々な学習機会の場には託児サービスが不可欠であるというようなことも頂いております。
 その次に,ローマ数字の2番に参りまして,行政や地域で推進していくための方策ということでございます。このローマ数字の2番のところは,4ページをごらんいただければ,(1)で地域人材の活用,(2)で循環型の人材の養成,そして(3)で家庭に寄り添う切れ目のない支援という三つのパートに分かれております。そもそも総論としては,まず,行政の役割というのはコーディネーター,ネットワークづくり,広報ではないのかということ。また,ICTの活用が有効だということ。
 それから,丸3のところですが,先ほど来出ていますコミュニティ・スクール,地域学校協働本部,また,総合教育会議などいろいろ御指摘もございましたが,そのような仕組みを活用していくべきだということ。それから,4番は,企業へもアプローチしていくべきであるということ。5番は,年齢的にも切れ目のない支援が必要であるということ。6番では,親しみやすいところに拠点を設けるべきであるということ。それから7番は,先ほど専門家の話も出ましたけれども,カウンセラーやソーシャルワーカーの専門家を仲間に入れていくべきであるというようなことでございます。
 次に具体論に入りまして,(1)でございますが,(1)の丸1から丸3というのは,家庭教育支援チームのことについてです。丸2のところにございますが,専門家が一人でいても機能はしない。専門家を支える「チーム」が必要である。そういうチームをいかにして全国に広めていくのかということでございまして,丸3で我々事務局に宿題が出ておりまして,家庭教育支援チームの多様な実態を把握する,実例を踏まえた類型化した提案が必要ではないかということでございます。
 それから,丸4から丸6までは,この普及・定着のためのアイデアでございまして,位置付けの明確化,また,表彰制度など,それから,家庭教育支援チームができたとしても,広報に際して,非常に保護者が分かりにくい形の広報になっているのではないかというような御指摘もございました。
 それから7番は,先ほどの首長部局と教育委員会の連携とも関係してきますが,実は個人情報保護の問題なども,両方を事業主体とすることで解決できるというようなアイデアも頂いております。
 5ページに参りまして,循環型の人材養成ということでございますが,まず,この循環型の人材養成については丸2のところで,「利用者でも参画者でもある」としております。つまり,そのサービスを利用している段階からサービスの企画・運営に何らかの形で関与する,こういう位置付けで入っていくべきではないか,そういう仕掛けが必要ではないか。企業を巻き込むべきではないか。それから,家庭教育支援を実施する市町村と,人材の養成研修を担当する都道府県という役割分担もあります。大学との連携ということも非常に有効ではないかという御意見も頂いております。
 最後の(3)は,家庭に寄り添う切れ目のない支援ということでございまして,ここでのアイデアとしましては,家庭教育支援というのは「中間支援者」ではないか。御家庭と様々な専門家をつなぐ中間支援の役割が家庭教育支援の役割なのではないかというアイデアでございます。早期発見・早期対応ということが重要であるというのが丸2番の御指摘でございます。
 それから,6ページでございますけれども,丸5から丸8までのところは,家庭教育支援と学校教育とをどう連携していくのかというところで議論が行われまして,家庭教育支援というのはどちらかというと個別対応です。ところが,学校というのは集団指導ですので,まず,この違いをどう乗り越え,調整していくのかということが大事なのではないかという議論がございました。その中で,専門性が違えば当然視点も異なる,それをどう共有していくのか。そのためには,プロセスや学びの共有が必要であること。ケースワークの手法を打ち出していくことが必要であること。いずれにしても,丸6でございますけれども,それぞれの専門性を尊重することで協力していくべきだということで,ここについてはもう少し踏み込んだ内容を報告書の中では御提案したいということで準備をしてございます。
 そして,個人情報保護のところは,先ほども出てまいりましたけれども,こういったところは行政がしっかりとバックアップすべきであるということで,この内容についても,事務局の方で現在,整理を進めているところでございます。
 最後については,山野座長からもお話がありましたが,学校がプラットフォーム化していくこと。そういったことを提言していきたいということで議論が進んでおります。

【明石部会長】
 ありがとうございました。
 では,御意見,御質問ある方はお願いします。

【清原委員】
 ありがとうございます。清原です。
 この意見取りまとめの出発点に「全ての親の学びや育ちを応援するための方策」ということで,「全ての親」としていただいたということは「全ての子供」につながるということで,極めて重要な基本であり,そして,いろいろな御議論があったとしても戻ってくるところだろうと思います。幾つか,三鷹市の実践から,きょうの取りまとめに少し肉付けというか,応援の事例を紹介できたらと思っています。
 三鷹市でも,妊娠期からの切れ目のない支援ということで,妊娠された全てのお母さんに保健師が面接する「ゆりかご面接」というのを始めています。全てのお母さんというところが大事です。もちろん予約をしていただくことにはなりますが,全てのお母さんと会わせていただくことによって,とりわけこれから継続的な支援が必要だという方が早期発見できます。それから,もちろん両親学級とか母親学級,父親学級,最近ではイクメン講座なんていう言葉が使われることも多いですが,父親の参加が妊娠期からも重要であるということで取組を進めています。議論の中で御紹介があったと思いますが,「乳児全戸訪問事業」というのはほとんどの自治体が乳児の検診とは別にしています。三鷹市では民生・児童委員さんにお願いしているものですから,そういう意味では早くから地域とのつながりができて,SOSができる体制ができていると思います。
 さて,「全ての子供」といったときに,三鷹市の教育委員会でも,学校教育だけがコミュニティ・スクールで頑張るだけでは,子供たちの人間力,社会力というのは身に付かないということで,平成26年3月に「三鷹『学び』のスタンダード」の学校版に加えて家庭版というのも作って,それを全ての児童生徒に配付しています。学びの基盤を作るのは家庭教育です。一つ目に「生活リズムを整える」。二つ目に「人との関わりを豊かにする」。三つ目に「学ぶ姿勢をつくる」ということで,スタンダードですから標準を流布して,これをホームページにも掲載して,紙でも配っています。決まった時間に就寝・起床させましょう,毎日朝食をとる習慣をつけましょう,挨拶を交わしましょう,会話を大切にしましょうというほかに,例えば大変効果がありましたのが,本に親しむ習慣に加えて,携帯電話,ゲーム,テレビの利用ルールを決めましょうということです。この携帯電話から,今,スマホになっているわけですが,このルールを決めましょうということで,ある学園では親子で契約書を交わしましょうというところまで進んでいます。見えないところで子供たちが携帯電話やスマートフォン,コンピュータから有害な情報を受けて,犯罪や非行の被害者・加害者になってはいけないということで,これは家庭教育の中でも極めて重要で,学校でもそのような取組はしていますけれども,効果があったことでございました。このように,家庭教育と学校教育を融合させながら学校が保護者を巻き込んでいくということが,三鷹市では一定程度,最近,学力が上がっている一つの基盤になっているのではないかと思います。
 それから三つ目に,総合教育会議である委員の方がこういう問題提起をされました。「子供の貧困」というときに,私たちが忘れてはいけないのは,市長部局にお願いしたいこととして,離婚届を出す保護者にしっかりと子供の養育の責任あるいは養育費の分担について明確にしておくべきではないかということでした。市長部局頑張れという問題提起がありまして,すぐ採用しまして,離婚届をおとりに来られる方には必ず,「お子さんが未成年でいらっしゃる場合,養育費とか親権などをいろいろ取り決めていらっしゃいますか」というパンフレットをお配りするようにしました。これは,総合教育会議からの提案で,子供の貧困というところから問題意識があったということを本当に感謝しているところです。すぐやる市役所として反映したわけです。
 このように離婚に関わる問題,あるいは要保護児童,被虐待児の問題については,いわゆる福祉部門が要保護児童対策協議会という,三鷹市では,この言葉は硬過ぎるので,「子ども家庭支援ネットワーク」と言っていますが,本当に幅広いネットワークが既にできています。そこで,教育委員会,家庭教育の支援のネットワークと,それから福祉部門のネットワークが大事と課長もおっしゃいまして,それを本当に機能的に「見える化」して,子育ての保護者に,いつでも,誰でも,何か問題があるからではなくて全ての親たちが相談できるというようなことが大事ではないかと思います。
 そこで踏み込んで更に申し上げますと,特別支援教育との連携というのも恐らく御議論があったのではないかと思います。発達障害等のお子さんを持たれる保護者支援というのは,早期発見・早期療育というのが極めて有効ですので,是非,家庭教育と特別支援教育と学校教育等々の見取図を更に深めていただければと思います。
 最後に,ファミリーサポートというのも,福祉部門でやっているのですが,先ほども御紹介がありました,子育てをしながら,余裕ができたらほかの子育て支援にも関わるボランティアをしますというような子育て経験者による循環もありますし,教師免許や保育士,幼稚園教諭の免許を持っている人が,自分は子育てを経験していないけれども,家庭教育支援をというようなことで,ボランティアに学びながら参加していただく例などもあります。市長部局と教育委員会が連携しながら,学んで,それを生かせるNPO法人との連携や,もっと踏み込むと,家庭的保育,地域型保育というのを市長がきちんと責任を持てるように子ども・子育て支援新制度ではなりましたので,認可もできるわけですから,そういうことも通じて是非この御議論を更に市長部局と教育委員会の連携のプラスにと,奥山委員もいらっしゃって幅が広がったと思うので,是非ひろば事業も含めたNPOとの具体化の方向性を示していただくと有り難いと思います。
 どうもありがとうございます。

【明石部会長】
 ほかにいかがでしょうか。清國委員,お願いします。

【清國委員】
 私も若干香川県の方で家庭教育に関わっていたりいたしますので,その家庭教育支援の困難さみたいなものは重々承知をしておるところではございます。先ほど高橋課長がおっしゃっていた中で,やはり最初から完全な親はいないので,親になる機会,それが実際,今の社会の中で奪われてしまっているということがありました。もっと言えば,家庭教育支援というか,子育て支援なのかもしれませんが,それが進むことによって親のコミュニティ,親が親の中で親になる機会がかなり奪われてしまっているところにも一つ問題があって,これは非常に表裏の関係で難しいところだとは思いますが,非常に懸念を持っております。
 家庭教育支援の特徴の一つとして,支援が必要な方というのは,自分に一定の弱みといいますか,親としての不十分さがあると考えて,防衛的になってしまうというところに問題があります。家庭教育,子育ての中で気付きは本当に日々たくさんあると思います。それが内面化するには至らないというか,日常の中でもう忘れ去られてしまうというか,なかなか教えようとしても素直に変わってくれないので,気付いていただかないと変わらない。その内面化に向けての支援というのがとても重要だということは感じているところです。
 それで,先ほど親のコミュニティという話をしましたが,支援も大事ですが,親同士が学び合うということが非常に重要なわけです。それを支援する行政,NPO,様々な手法があって,私もやっていて感じたのですが,例えばノーバディーズ・パーフェクトやトリプルP,家庭教育支援員を養成してワークショップなど多様なことをやっていますが,実は余りその辺りのネットワークがうまく築けていない。子育てひろばもありますし,サークルもありますが,つながりがいま一つというところがあります,その辺りをどうつないでいくのか。社会教育の観点からいえば,PTAがどうしても組織として弱くなってきている。どうしても負担を少なくする方向でPTAは動いています。教育と同じですが,本来は,教育は困難を乗り越えて,そこで成長するわけですが,PTAも同じで,一定のPTA活動の中での困難を乗り越えることによって絆(きずな)が深まるところで,成長する。どうも教育も大人の成長も困難を取り除く方向に動いてしまっていることもありますので,そういったPTA活動の意義等も,家庭教育支援の観点からも積極的に発信していくことが大事なのではないかと思っています。
 私は余り福祉的な部門には詳しくないので,そういう観点からは申し上げられませんが,教育的な観点から申し上げるとするならば,今まで述べたようなところをより配慮していく必要があると考えております。

【明石部会長】
 清原委員。

【清原委員】
 今年の8月に先ほど御紹介しました「ゆりかご面接」,すなわち妊娠中のお母さんの面接を受けた人6人と,インテンシブな,「市長と語り合う会」を開いて御意見を伺いました。様々な御意見を伺いましたが,その中で今回御提案されているものを応援するような発言もありましたので御紹介しますと,資料の3ページに,「行政や地域で家庭教育支援を推進していくための方策」の丸2として,「ICTの活用が有効である(アプリやメールを活用して,支援者や専門家とつながることができる)」という御指摘がありました。妊娠中のお母さんたちがどうしてもSOSしたいことがあるときは,今,やはりまずはスマホを見てしまう。自らがつわりで出かけるのがおっくうだということもありますし,できれば今後は,こちらが求めるだけではなくて,妊娠中のお母さんや子育て中のお母さんに,こういう相談事業があるとか,こういう学習事業があるということを,登録しておけばプッシュ型で教えるようなシステムがあれば良いと思います。受け身のように思われるかもしれないけれども,実は妊娠中というのはいろいろ調べたりするのもおっくうになったりします。ですから,一方的でいいから教えてくれれば有り難いというような御意見がありました。加えて,余りにも予防接種の数が増えているので,電子母子手帳的な取組もニーズがありますが,学習機会とか相談事業については,できる限りまずはICTで教えてくれたらという御意見がありましたので,このようなことは将来的に,今は平成生まれのお母さんが多くなっておりますし,スマホ世代なので,是非御検討をよろしくお願いします。

【明石部会長】
 では,菊川部会長代理。

【菊川部会長代理】
 私もそのICTのことを発言しようと思っておりました。家庭教育支援の仕事を間断的に長くやってきましたが,最初は40年ぐらい前に文部科学省の補助事業の家庭教育(幼児期)相談事業というのがありまして,そのときの担当者でした。そのときには子育て情報を届けるというような事業でした。それから30年たって,社会教育総合センターというところでやはり同じような仕事をしましたが,そのときの1世代変わったお母さん方では違いがありました。40年前は情報を教えてほしいというような情報を待つお母さんだったのですが,10年ぐらい前に社会教育総合センターで家庭教育の仕事をしたときには,むしろ物を教えてもらうよりは,さっき内面化に向けた努力とおっしゃっていましたが,仲間の中でお互いに気付いていく,そういう学びをするのだと思いました。いろいろな相談事業とか子育てのグループを時々集めますが,その集めた中でいろいろなレベルの多様なお母さん方が交流の中で気付いていくということを感じました。知識ではなく,交流と気付きが重要だと思ったことがあります。そのときに,この家庭教育支援というのは面として施策的には取り組まないといけないということを考えたときに,そんなに集まれる場というのはそうそうないので,今,清原委員がおっしゃったように,ICTを使って情報を発信しつつ,オフ会と絡めて施策を進めていくというのが面として広がることなのではないかと思っております。
 このペーパーにはいろいろ具体的なことが書かれているのでとても良いと思いますが,もう1点付け加えますと,親になるための教育といいますか,親になってからというよりは,オギャーと生まれた子供も25年ぐらいたつとまた次の親になるわけですから,子供が育つ時点での親教育というのをどう考えていくか。3ページの六つ目の丸辺りにありますけれども,この部会の所管ではないかもしれませんが,今度の指導要領は社会に開かれた教育課程ということで,何を学ぶか,どのように学ぶか,何ができるようになるかというときに,やはり一番大事なのは仕事をできるようになるということと,生活者として大人になるということです。その生活者の一番大きなコアはやはり親となるということだと思いますので,年末に指導要領が固まっていくような答申が出るかもしれませんけれども,そういう中で職業人として育てるだけではなくて,生活者となる資質をいかに作っていくか。そして,その中のコアとしての親となるための教育というものをどのように正面に据えていくかというのは,とても大事なことだと思っているところでございます。

【明石部会長】
 今野委員。

【今野委員】
 以前から家庭教育支援については最も必要とする方に届けられないというのが大きな課題で,今も続いていると思います。特に家庭の事情が非常に複雑・困難化してきていますので,貧困の問題とか虐待の問題も含めて,社会的に孤立をする親・家庭・子供が大きな問題になっています。何とかしなければいけないということで,行政サイドでも,できるだけアウトリーチで出掛けていってでもいろんな対応をしようということが随分最近は行われてきて,家庭教育支援チームなどが現場に出掛ける,あるいは家庭訪問をするという活動も行われているように聞いておりますけれども,しかし,それもなかなか難しいという話も聞いております。
 先ほど来,先生方のお話の中で,そういう状況の中でICTの活用というのが有効だということで,「あ,そうなんだ」と思いました。是非ICTの中での情報提供,あるいは家庭・親がその中でお互いに交流し合いながら学ぶ場にするということは十分可能だろうと思いますし,また,そういう活動をする上でも,NPOの関連している団体などもいろいろな活動をしてくれていますので,そういうものも踏まえて総合的な対応を是非考えていただけたら有り難いと思いました。

【明石部会長】
 どうぞ,山野委員。

【山野委員】
 ありがとうございました。皆さんからたくさんの御意見を頂いて,きょうお昼からも会議がありますし,是非生かしていきたいと思いました。
 例えば乳幼児期から全戸訪問されているという話ももちろん議論になっていますが,乳幼児期にやっていた支援が学校に入った途端に切れていくというところで,和歌山県湯浅町では,学期に1回まだ全戸訪問を続けておられる。小学校1年生から中学3年生までずっと学期に1回続けておられるということです。そんな施策が縦割りになって,市長の目線なので,全てを網羅されていてさすがだと思い,本当にいろいろ学ばせていただきました。ただ現場に行くと,どうしても部署によって見え方が違い,切れ切れになっている。そこをどうつないでいったらいいのかということも議論になっています。
 そういう意味でも,たくさんの御助言はこれから生かしていきたいと思いました。ICTのこと,それから,親になるために仲間と一緒に気付いていくという,これまでの議論の主な意見の中にもありましたが,チーム学習する。正に子育ても協働で子育てをするなど,そういうチーム,グループで簡単に気軽に聞いたり,見たりすることができるという場をどうやって作るかというのも,一つの大きなポイントかと思いました。御意見ありがとうございました。

【明石部会長】
 非常に貴重な御意見ありがとうございました。
 私の方から1点だけお願いしたいのは,シングルマザーの親子のキャンプを10年ぐらいやってまいりまして,シングルマザーが一番欲しいのは何ですかとお聞きすると,仕事が欲しいということでした。というのも,派遣が多くて,正規の仕事がしたいという。そのためには資格がないと困る。で,どこに行けば資格は取れるか,その奨学金はどこでもらえますかという情報が欲しいとのことでした。今回の場合は,基本的なソフトは非常に良いのですが,そういう就労支援,家庭教育支援の中の仕事を継続的に続けるような支援も重要です。資格の情報,奨学金制度の情報をどういう形で用意すればいいかという視点も非常に大事かと思っております。そういう視点も入れていただければと思います。

【清原委員】
 その点につきましては,例えば保育士資格を取る,看護師資格を取るというと最低2年,3年かかりますが,補助金の制度があります。それは,ひとり親相談員というのが一般的には各自治体必ず配置されているはずで,そのメニューの中に厚生労働省系事業ではあります。ただ,そうはいっても,予算が充実していませんから,全てのひとり親,特に女性の場合,本当に就労困難が課題になっておりますので,その点については是非,厚生労働省のメニュー,あるいは都道府県でもそうしたメニューがありますので,それがもう少し家庭教育支援のチームに情報としても行き渡って,自立支援の方向で生かされると有り難いと思います。先ほど来ありますように,制度としてあるのにつながってない,部局の中で共有されてないという一つなのかもしれなと思いますので,それはもったいないので,是非つなげていただければと思います。

【明石部会長】
 ありがとうございました。
 では,三つ目でございます。「青少年の体験活動の推進方策に関する検討委員会」の検討状況でございます。
 まず,座長を務めました私から一言申し上げたいと思います。
 子供たちの放課後活動が少なくなったという視点で,非常に簡単に言えば体験活動が少なくなった。それで,青少年の体験活動をどう豊かにするかという方策を考えていきたいという形で,本年9月に設置された検討委員会でヒアリングを含めて4回ほど議論してまいりました。
 その中で二つのことがあって,要するに,体験活動は,青少年や保護者それぞれの状況やニーズに合わせて「選び」,また,「選ばれる」,「選ばれやすい」体験活動を提供しなければいけないということ。だから,受け身的でなくて,親,子供が選べ,また,施設自体は選ばれる,選びやすいという体験活動を提供しなければいけないということ。
 二つ目は,従来,体験活動をすると青少年の自己肯定感や意欲・関心は高まったことは分かりますが,それ以上に,地域の方々が集まったり交流することで地域に関心を持ってもらったり,地域づくりにつながっていく。そういう体験活動が一つの人的な交流が深まり,結果としてまちづくりにつながるような機会となるようなことが必要だろうということ。そういうことを基盤にしまして,学校だけでなくて,家庭・地域が連携・協働して,長期宿泊型の体験活動とか,もっと身近に参画できる体験活動になるように提供していかなければいけない。そこには地域住民の方が受皿として参加しないと,継続的な体験活動はできない。学校からいろいろなことで小学生・中学生体験活動をやっていますが,その地域との受皿をしっかりしておかないと長続きしないということもあります。そういう環境づくりも進めていきたいという形でまとめさせていただきました。
 具体的には土肥課長の方から説明をお願いします。

【土肥青少年教育課長】
 青少年教育課長の土肥でございます。ただいま明石部会長から御説明ありました「青少年の体験活動の推進方策に関する検討委員会」論点まとめについて,補足的に御説明いたします。
 資料3‐2をめくっていただきまして,1ページが検討の背景でございます。青少年の体験活動の関係につきましては,平成25年1月に中教審の方で答申が示されまして,そこにいろいろ体験活動の意義といったことが記載されているところでございます。そういった体験活動の必要性,効果については広く認識されているところでございますので,今回の検討委員会については,それについては余り議論せず,具体的にどういうようなことをやればいいのかということについて検討を行っていただいたところでございます。
 2.に青少年の体験活動に関する現状というところがございます。これは現状認識ということでございますが,(1)青少年の生活環境についてということで,明石部会長から今お話もありましたけれども,子供たちの生活時間について見ますと,学校で過ごす時間は増えておりますが,放課後の時間の内訳を見ますと,勉強とメディアに,特に最近ではスマートフォンだと思われますが,費やす時間がかなり多くて,学校外で青少年が体験活動を行うことができる時間自体が短いという状況にございます。
 学校における体験活動についてということで,1段落目は現状ですけれども,一方で,より効果が高い長期宿泊型の体験活動につきましては,保護者,学校,教員といった負担も一因となりまして,実施している学校の割合は必ずしも高くないということです。1泊2日,2泊3日が中心であるという現状でございます。
 (3)地域における体験活動についてでございますけれども,1段落目,2段落目は,現状,いろいろなところで様々なことをやられているということでございますが,保護者の多くの方については,体験活動は重要だという認識はされているものの,現在の子供たちについては自分が子供の頃と比べて体験活動の機会が少ない,学校の授業や行事以外に体験活動をできる機会が十分でないと感じておられるということでございます。
 3.の基本的な考え方については,明石部会長から今御説明いただいたとおりでありますので,省略いたします。
 4.の今後の青少年の体験活動の推進方策について,ここは具体論でございますけれども,(1)青少年が体験活動を行う機会の充実及び実施体制についてです。丸1,体験活動を行う機会の充実ということであります。効果の高い長期宿泊型の体験活動,あと,貧困家庭など困難な状況にある青少年を対象とした体験活動,課題解決型のものといったようなものも非常に重要であり,充実させるべきであるということですが,このような体験活動によって得られた効果の継続の観点,非日常的なものではなくて,気軽に身近でできる,そういったプレーバックといったようなものについても充実させるということが必要ではないかというのが丸1の一つ目の点でございます。
 3ページですが,身近な場所における体験活動については,気軽に立ち寄れる,保護者自身も体験活動を行う機会として重要であるというのが二つ目の点でございます。
 丸2,体験活動の実施体制についてというところでありますけれども,やはりボランティアがいないと成立しないという側面もございますので,教員養成大学の学生等がボランティア等の活動をした際に単位が取れるなど,そういった参画しやすい環境づくりも必要であるということでございます。
 二つ目の点ですけれども,コーディネートする人材が必要だというのはどこの世界でも一緒ですが,皇学館大学の岸川先生は,高校生レストランをやっていただいた先生ですけれども,要するに,単にコーディネート機能を果たすだけでなくて,人的・物的資源の掘り起こしなど,そういったところまでコーディネーターが担わないとなかなか機能しないのではないかという御意見もございました。
 多くの青少年団体がいろいろ独自のプログラムで資格を作ったりしておりますけれども,どういうスキルを持っていらっしゃるかというのはなかなか見えにくいということで,そういったものについて「見える化」していくことが必要であるということでございます。
 その次の点でございますが,地域の体験活動の機会,地域住民のニーズ,こういったものを一元的に集約し,情報提供する。どこで何をやっているかということについてきちんと情報提供するということなど,体験活動を「経験したい」,「提供したい」,「手伝いたい」人・団体等をつなぐ仕組み,そういったものも含めまして,継続して体験活動が実施できる体制を整備するための支援が必要であるということでございます。
 (2)の体験活動の内容についてですが,体験活動,プログラムが通常あって,それに沿って進めていくわけでございますけれども,そういったものではなくて,失敗体験も含め,体験プログラム自体を子供たち自らが提案するなど,子供たちが自身で行う主体的な体験活動が必要であるということでございます。
 最後の点でございますけれども,「生活・文化体験活動」,「自然体験活動」,「社会体験活動」のうち,特定の活動だけではなくて,それぞれの活動を複合した体験活動を進めていくことが必要ではないかと。そのためにはネットワークづくりも必要であるということでございます。

【明石部会長】
 それでは,質問,御意見ありましたらお願いします。どうぞ,菊川部会長代理。

【菊川部会長代理】
 平成25年の中央教育審議会答申にあるのかもしれませんけれども,四,五年前,公立の青少年施設が減っていっていた時期があると思います。今もその動きはとまってないのかどうか,という質問が1点です。
 それと,ここにもありますように,子供たちがメディアに費やす時間が年々増えてきていて,やはり面としてこういう体験的な活動を日常の中にどう取り入れていくかという視点がとても大事になってきていると思います。そういった意味で1点,昔から言われていることで,提案ですけれども,今残っている例えば国立青少年機構等の青少年施設等に,家族やグループで土・日などお休みを利用して出掛けるというような運動,取組が必要なのではないかと思っております。確かに学校の長期体験学習などはとても有効だというのがありますけれども,それを今,学校でやってくださるところというのはなかなか少ない。そうしたら,面としてそういう取組を具体に子供たちに誰が保障していくのかというのを考えたときに,日常ということを考えると,旅行に行く代わりに青少年施設へ体験で遊びに行こうということが一般に広がると,子供たちの体験の度合いというのが広がってくるのではないか。そして,それに対して施設は,そういう家族,あるいは地域で見たときに,本当にコンパクトで適切な活動を与えていくというようなことが面として広がるのに有効なのではないかという意見でございます。
 それで質問としては,公立の青少年施設等の数はいかがでしょうか。

【土肥青少年教育課長】
 一時期ほどではないですが,青少年教育施設については平成27年で941ということで,若干減っているという状況でございます。

【菊川部会長代理】
 分かりました。

【明石部会長】
 清國委員,お願いします。

【清國委員】
 先ほどプレーパークという話も出ましたので,私も14年ほどプレーパークをやっていたので,現場でそういうことをやっている人間の視点から少しお話を申し上げたいと思っております。
 基本的に,ボランティア,ボランティアとおっしゃいますが,これは仕事より大変です。覚悟が必要です。責任を背負い込むという気概を持っていないとできません。ですから,やっている者としては,私が手を引けば,高松でプレーパークをやっているのはなくなってしまうだろうという思いも持っています。誰もができることではないということです。今現在,私一人ではもちろんできませんので,おやじの会が協力をしてくださっていて,私の授業をとっている学生も幾分ボランティアで関わってくれてというようなことがございます。
 そのときに継続する上で非常に重要なことは,言葉は適切かどうか分かりませんが,最小限の労力で最大限の効果を引き出すようにしないと続かないということです。労力が多いと,やはり人は離れていく。ボランティアの人ももちませんので,そういった意味で,どうしたら大人の労力を減らして,でも効果は最大限になるかということを考えていく必要があるだろうと思います。そうすると,準備から片付けまで当日で完結する,それ以外に個人の時間なり労力の拘束が発生しないといったようなこと。これはもうノウハウがあるとは思いますので,そういったノウハウを広げていくということも非常に重要なことだと思っております。
 それから,安全管理の面でやはり障害が出てきます。何かあった場合,責任を誰かとるのかということです。そういった安全管理面についてもノウハウがございます。基本的にプレーパークのような固定的な場所での活動というのは命に関わるということはありませんので,例えば留意事項としては,子供が他者を傷つけるようなことに配慮すれば,子供が自分の手を切るとか,すりむくとか,そういったことがトラブルになることはございません,経験上。そういったものを積み重ねていけば,一定リスク管理はできるだろうと思っております。
 一方で,これは家庭教育支援にも関わるのかもしれませんが,保護者はかなりクレームを言ってこられる方もいらっしゃって,例えば,自分は来てもいない,現場を見てもいないのに,「うちの子供が,頭が痛いと言っているけれども,熱中症ではないか。きちんと管理をしていたのか」というようなことで電話が掛かってくる。その対応も心得てはいるので,まずはじっくりと話を聞いて,最終的に保護者の心に響くのは,「子供たちが集まっていたずらをしているときのあの顔,生き生きとした顔,それを現場に見に来てください」というような話に最終的に持っていくと,「私は行きもせずに苦情ばっかり言って」ということで最終的に落ち着いて,感謝の言葉で終わるということがございます。本当にその辺りの現場の声を集めながら,こういった場がどう日常的に運営できるのかということを取りまとめるということも非常に重要なことだと思ってございます。
 最後に1点ですが,トリプルPという先ほどの家庭教育支援とも関連しますが,その中ですごく印象に残っていることがあります。子供たちがお利口にしていたときに御褒美を与えるというのはよくあることですが,何々を買ってあげるという御褒美はできるだけやめましょうということです。今度の土曜日,日曜日の午前中,近くの公園で一緒に遊ぼう,そういう御褒美の与え方が家庭教育支援にも一番有効ですし,親も覚悟を決めてその3時間は公園で過ごす。そういったことがプレーパークの活動にも基本的には通じているようなことかと思います。

【明石部会長】
 ありがとうございました。
 ほかに。では,清原委員。

【清原委員】
 ありがとうございます。清原です。
 体験活動といった場合,いろいろな類型があると思いました。先ほど清國委員から「おやじの会」というキーワードを頂きましたので,それでまずお話しさせていただきます。三鷹市では,私が市長になりまして14回目くらいになりますが,ある小学校でおやじの会が学校に泊まる防災キャンプというのを企画されて,「おやじと一緒に学校に泊まろう防災キャンプ」という名前で始めていただきました。このことは,東日本大震災のときにも本当に役立ちました。子供たちは学校が避難場所になるということをなかなか想定できないでいるわけですが,おやじの会の中に消防団の団員もいたことから,そういう企画が生まれました。そこで,私たちも中学生に普通救命技能の講習を受けてもらうようにしました。当初は3年生で取ってもらっていました。けれども,それでは小学校の子供たちの支援にもなかなかならないし,市長主催の総合防災訓練でも中学生にもっともっと参加してほしいということをお話ししましたら,教育長が1年生で受けてもらいましょうとおっしゃって,今は三鷹市内の全ての中学校1年生がAEDも使える普通救命技能の認定証を持っています。そうすると,おやじの会主催の防災キャンプにもボランティアとして協力できるし,また,市主催の防災訓練にも中学生がボランタリーに出てきてくれています。それは重要な体験で,中学生がAEDの使い方,あるいは三角巾の使い方などを指導する。そういうようなことも,私は都市部では特に震災,水害等が重要な課題になっていますので,体験しながら地域貢献できるというような方向で,防災訓練,防災キャンプなども類型の一つに入れていただければと思いました。
 二つ目ですが,三鷹市では「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」の実践がおかげさまで10年を迎えて,総体的には順調であると思っている一つの理由に,長野県川上村に川上郷自然の村という校外施設を三鷹市で持っておりまして,小中一貫教育の一つの中学校区に二つないし三つの小学校がありますが,自然教室で一緒に過ごします。ですから,中学校で出会う前に異なる小学校の児童が出会っているので,一つの中学校で出会ったときに違和感がない。そういうことで,コミュニティという言葉を使ってはいけないのかもしれませんが,学級コミュニティというか,学年コミュニティが円滑にいっている理由に,遠い,自然豊かなレタスの村,川上郷自然の村での体験があるのではないかと思っています。
 三つ目に,実はきのう,三鷹市吟詠連盟が主管する吟詠・剣詩舞大会がありました。三鷹市立第三中学校の茶道部のメンバーと三鷹市に留学している杏林大学の学生たちが「茶道吟」ということで,吟詠をして茶道の趣旨を説明している中で,茶道の実演を公会堂の舞台で中学生と留学生がしました。最後に中学3年生が挨拶したのが立派だったのですが,日本の伝統文化の茶道も中国につながっていて,中国からの留学生が一緒に実演したのですが,吟詠も漢詩を詠むというようなことですから,中国文化です。正に国際交流の中で自分たちの茶道を18名の部員が皆さんに見ていただいたということは,とても重要な体験だということを要約して言ってくれました。
 私は,芸術文化においても,クラブ活動が学校内に閉じこもらず外に出ていってくれるというのはとても重要なことだとも思います。ですから,体験活動というのも芸術文化にもあり得ると思います。もちろん,クラブ活動の中で高齢者施設に訪問してくれたり,保育園で演じてくれたりというのもあるようですので,そうしたものも類型の一つに加えていただければと思います。
 最後です。三鷹市では,「親子そろって農業体験」を実行委員会方式でやってくださっていますし,また,おやじの会や学童保育の保護者会が,アントレプレナー教育の一つですが,小学校のお祭りと称して,子供たちに企画・運営させて食べ物のお店を出させたり,何か工作のお店を出させたりするようなものを実施しています。子供たちに金銭のやりとりを経験させながら,しかし,何らか物を作るときの体験もさせながらというようなことも,学校長の協力もあってやっているような事例もあります。したがって,自然体験というのも出発点であり,体験活動だと思いますが,私としては,少し広げていただくと,体験活動しにくい都市部でも何か子供たちの成長に資する類型を持てて,自信が持てるのではないかと思いましたので,よろしくお願いします。

【明石部会長】
 では,ほかに。今野委員。

【今野委員】
 別の話ですけれども,1ページの2の(2)のところで「一方で」とありますけれども,要するに,長期宿泊型体験活動についてはだんだん低調になりつつあるという状況があって,確かに幾つかの市町村などを聞きますと,親は比較的喜んでいるけれども教師の方がなかなか,自然の中で虫やいろいろなものもいる中でやるのが大変だという意向が随分強いようです。それから,行政の方にも自然の家みたいな施設を保有していくのが財政的に非常に大変になってきているということもあって,どうも全体的に消極的な雰囲気があるような感じがして,残念だという気がしています。この検討委員会の中では,そういう状況だけれども,前向きにという方向を出していただけたら有り難いと思います。そのことについて,どんな御議論があるのか,お聞かせいただければと思います。

【土肥青少年教育課長】
 検討委員会の中で兵庫県に来ていただいてヒアリングを行いました。兵庫県というのは非常にお金も手間も掛けて5泊6日の体験活動をやっているところでありまして,やはり今おっしゃったような,保護者や先生方の負担が結構多い。そういったところを,兵庫県で言うと先生は5泊あっても2泊3日までしかいないなど,要するに,それを支えるシステムがないとできないというようなお話もありました。あと,保護者の理解も当然ありますし,そういったところを全体的に進めていかないとなかなか難しいと思ってはおります。そういった点について今後やっていくということになろうかと思います。

【明石部会長】
 では,山野委員。

【山野委員】
 御報告ありがとうございました。
 皆さんおっしゃっていたところとかぶるところもありますが,先ほど菊川部会長代理がおっしゃった,宿泊はもちろんですが,グループで出掛ける,運動する,清原委員がおっしゃった芸術に触れられていくというようなことについてです。先ほど言いました大阪の子供の貧困の子供の実態調査というのを20万件くらい,ある学年の全員のデータをとっています。中学2年生と小学5年生が対象です。その中で,やはりこの体験するという数値がすごく低い。それは貧困家庭に限らず,体験することが非常に数値が低かったです。丁寧にお話しする機会がまたあればと思いますが,子供たちのその調査から,親としゃべっているのは15分以内という子供たちもたくさんいて,夕食を食べる習慣がないという家庭もあります。一定数,データを見ていたら,本当に子供たちの豊かに生活を育んでいける環境が整えられていないという切実な結果でした。恐らく,これは大阪だからというのもあると思いますが,他府県の研究者ときのうも虐待防止学会で一緒にシンポジウムをしましたが,同じような傾向があるとのことでした。
 そのようなことを考えると,12月に学校地域協働答申を出して,そこでコーディネーターを置いていくという話も出ていると思いますが,要は,学校という子供たちが絶対行くという場所ではありますが,先ほどの菊川部会長代理の話でも出ましたが,親が選択肢にはない。ショッピングセンターやアウトレットには行きますが,運動する,青少年会館に行くという選択肢がまずない。だから,そういったことが学校の中で情報がストックされていて,誰でもいつでもそういう情報を入手していけるような仕組み,それも学校プラットフォームの一つの提案にさせていただいています。では,それを誰が運営したり管理したり,どうするのかということがまだ課題になっていて,地域学校協働本部でそういうコーディネーター人材を置いていくということで可能になっていくのかどうかということや,具体的に今野委員がおっしゃったことを実現していくためには,何を提案していかないといけないのかということを是非また深めていただけたらと思いました。

【明石部会長】
 非常に貴重な意見ありがとうございました。
 この部会では,継続的に体験活動ができるという仕組みをどう作るかという点が議論されたように思います。清國委員がおっしゃったように,ボランティアも大事だけれども,中途半端な体制では,1回か2回はできるけれども,継続という視点がなかなか難しい。例えば千葉市の市長は,これまではお父さん,お母さんのボランティアで放課後子供教室をやってきたが,どうも続かない。それで民間のNPO法人にお願いしてコンスタントにやっていこうとしています。要するに,これから既存の青少年団体の利用も大事だけれども,新しいNPOを育てていって,御飯が食べられるぐらいの財政的な措置も考えていかなければいけない。例えば横浜市のようにお金があるところは,月曜日から土曜日までの放課後子供教室で株式会社,民間にお願いしていますけれども,ないところは1週間に2回くらいしか放課後子供教室ができないという。そうすると,一つは,市町村の条例で体験推進条例など,できれば国で体験推進法など,そういうものを将来的に用意しておかないと継続的な体験活動が難しいだろうと思います。これをまず押さえておいて,その中に人材をどうやって育成するかということも出てくるということが中身としてはあります。
 きょうは非常に貴重な意見を頂きまして,ありがとうございました。これで大体三つの観点の検討を終わりました。ありがとうございました。
 では,用意した時間が参りましたので,本日の議題に関わる審議はこの辺りで終わりたいと思います。

【大類生涯学習推進課課長補佐】
 今後の開催予定について御案内いたします。机上に資料を配付していますが,次回第6回は12月15日(木曜日)の午前10時から12時に開催を予定しています。企画部会,本日を含め第5回まで検討を進めていただきました。次回は,これまでの意見を中心に,御意見,論点の整理,取りまとめを行いたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 連絡事項は以上です。

【明石部会長】
 それでは,本日はこれで閉会とさせていただきます。長時間にわたり,御審議ありがとうございました。

―了―

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(生涯学習政策局生涯学習推進課)