資料4第1回生涯学習分科会企画部会(6月21日)における主な意見

生涯学習全般について

  • 成人の学習を職業にどう生かしていくのか。生活のために学ぶことが大きなインセンティブになる。そこに応える生涯学習の在り方について考えることが必要である。
  • 成人になると、社会や地域における暮らしや職業、ボランティア活動等の文脈と自分自身を結びつけていく力、すなわち、つなぐ力や協働する力が重要になる。社会教育や生涯学習でこれらの力を育んできた事例を積極的に整理していくのはどうか。
  • 学習をすれば地域社会に貢献したいという意欲がわき、貢献しているとさらにまた学びたくなる、いわば「学びと活動の循環」の考え方を生かしていきたい。
  • 教育振興基本計画の成果目標3(生涯を通じた自立・協働・創造に向けた力の修得)、4(社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成等)、8(互助・共助による活力あるコミュニティの形成)は通底している、連関していると捉えてはどうか。
  • 知識やスキルの高度化・価値の多様化が進んでいるため、それらの年代的・職業的ギャップが存在する。これらのギャップをどのように埋め、能力を向上させるかは難しい課題だ。
  • 学習の高度化を図る場合、集中と分散という考え方がある。個人が集中的に学習していれば、確かに学力は向上するが、分散型の協働学習・チーム学習をすると学習成果はよりよくなる。分散型の学習スタイルを取り入れていくべき。
  • 社会参加型の学習が、アクティブラーニングであると同時に創造的な学習である。個人の知性には限界があるため、集合的知識を取り込むことによって個人の能力をさらに発達させることができる。これらをいかに大人に身につけてもらうかが課題である。
  • PISA型読解力の延長にある「グローバル・コンピテンス」の考え方を踏まえると、これからの大人に求められる生きる力とは、「自立的に生きること」「道具を使うこと」「世界で行動すること」ではないか。
  • 学習機会を保障するという場合、障害者支援や高齢者支援の視点をもってほしい。例えば、高齢者を念頭に置くと、親和的欲求に基づく学習の在り方や移動手段の確保に配慮することになり、ひいては大人全体の生涯学習支援につながっていく。

現代的・社会的な課題に対応した学習について

  • 首長部局においても、防災や福祉などの地域課題を解決するための、あるいは自助・共助のための学習機会を提供する事例が増えている。このように現代的・社会的な学習は公民館以外にも行われており、教育委員会所管以外の行政や企業、民間団体等による学びの取組にも視野を広げてはどうか。
  • ボランティアやNPOなど市民が地域のガバナンスに主体的に関わるようになっている中、市民性の高い積極的な人材の育成が求められており、社会教育や生涯学習を通じて市民性の教育を推進することが大事。
  • 生涯学習は「趣味や教養」というレベルではなくなっている。民生委員等の地域で活動している人々はもっと学んだことを活かしたいと思っているが、生かせる場面がない。地域課題の学習者と、その人材を求める側をうまくマッチングさせ、学んだことをうまく地域に生かす仕組みづくりが大事。
  • 地域の活動で学ぶ、人とのネットワークの中で考えるということが大事になっている。「現代的・社会的な課題に対応した学習」は、地域の様々な課題、活動、と連動した学習というように広げて考えるのがよい。

少子高齢化社会における生涯学習について

  • 高齢化社会を迎えて社会の持続可能性を維持する観点から、高齢者に対する教育施策として何ができるかを考えるべき。
  • 健康寿命を延ばす政策はできないか。高齢化社会において、人生の最後まで元気でいるような新しい人間像・社会像を出さなければなければならない。その際、食・運動(スポーツ)・ボランティアの3つの視点で考えたい。
  • 地域の学び、社会の学びにおいては若い人と高齢者が出会う多世代交流という視点が大事になる。
  • 自治体の現場は少子長寿化の中で動いており、保育士や介護に関する人材の確保が喫緊の課題である。介護支援員を養成する研修を公募したところすぐに定員が埋まった。60歳以上の方も積極的に応募する。コミュニティに必要なサービスを担う人材育成は、職業的自立だけでなく地域課題の解決にもつながるものだ。

学び直しに関して

  • 「生涯学習」や「学び直し」、「学び続ける社会」など生涯学習の用語をめぐるニュアンスに違いがあり、今後、位置づけをどうするか。
  • 「学び直し」という言葉には、一定の学びを再び学ぶこと、付加価値をつけるために学ぶこと、職業に関して学ぶことなど様々なイメージを含む。包括的な良さがありつつも、整理していく必要がある。
  • 「学び直し」の概念を詰める必要がある。新たな学びとして、例えば人工知能に負けない学びというのもあるし、複数の学び直しもある。さらに故きを温ねて新しきを知る(温故知新)という観点もある。

その他

  • 現場の活動に専門家や専門性が欠如している。リーダー的人材を育成するため、社会教育主事の資格を含む資格制度の在り方を改めて考える必要がある。
  • これからは家庭教育、青少年教育、社会教育、福祉などそれぞれの分野での事業を一緒にやっていくべき。
  • 放送大学では、高校卒、短大卒、専門学校卒、大学卒と多様な学歴の学生が入ってくるが、いずれも同じように学習することができる。これは学校教育における成果と思う。

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