学習成果活用部会(第13回) 議事録

1.日時

平成28年4月25日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15階特別会議室

3.議題

  1. 答申(素案)について
  2. その他

4.議事録

【菊川部会長】
 おはようございます。定刻となりましたので,ただいまから第13回中央教育審議会生涯学習分科会学習成果活用部会を開会いたします。
 本日は大変お忙しい中,お集まりいただきまして,誠にありがとうございました。去る3月14日の学習成果活用部会において,審議経過報告(案)について御審議いただき,また,パブリックコメントを4月18日まで実施いたしました。本日は,前回の学習成果活用部会,その後の生涯学習分科会総会での御意見等を踏まえ,答申(素案)について御審議いただきたいと思います。これまで12回にわたり御審議を頂きましたけれども,今回の会議で,学習成果活用部会として取りまとめを行った上で,生涯学習分科会,さらには総会で審議し,御了承いただくという流れとしたいと思いますので,皆様どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,議事に入る前に,人事異動がありましたので,その御紹介と配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【大類生涯学習推進課課長補佐】
 おはようございます。4月から生涯学習推進課課長補佐に着任しました大類と申します。竹下の後任となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速ですが,配付資料の確認をさせていただきます。まず座席表,議事次第,そして,資料1として,答申(素案)をお配りさせていただいております。

【菊川部会長】
 それでは,本日の議事に入ります。これまでの議論を踏まえ,答申(素案)について,まず事務局よりお願いいたします。その後,意見交換を行いたいと思います。
 では,助川室長,どうぞよろしくお願いいたします。

【助川民間教育事業振興室長】
 それでは,資料1に基づきまして,御説明を申し上げたいと思います。資料1をごらんいただきたいと思います。
 昨年の4月に文部科学大臣から中央教育審議会に諮問がございました。「個人の能力と可能性を開花させ,全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について」というタイトルで諮問をさせていただきまして,その中で二つの事項が諮問されていたところでございますけれども,その中の一つの「生涯を通じた学びによる可能性の拡大,自己実現及び社会貢献・地域課題解決に向けた環境整備」という部分について本部会で御議論いただいたところでございます。
 そして,3月14日,先ほど部会長からもお話がありましたが,学習成果活用部会で審議経過報告を御議論いただきまして,その後に3月25日に生涯学習分科会,更に3月30日から4月5日まで本部会の委員,生涯学習分科会の委員にも意見を聞きながら,また,3月30日から一般の方へのパブリックコメントを募集したところでございます。
 また,総会の意見や,あるいは部会,分科会の委員の意見を踏まえまして,前回の3月14日の資料から主に以下の修正を加えましたので,修正点を中心に御説明申し上げたいと思います。
 まず資料1の3ページを開いていただければと思います。ここは第1章,生涯学習を取り巻く状況のところでございますけれども,その中で,3ページの下の四つ目の点として,昨年4月の諮問を受けて,学習成果活用部会で検討が進められた経緯を明確にするために,検討の経緯を追記しているところでございます。この4の検討の経緯のところ,平成20年の中央教育審議会の答申では次の丸にございます二つの大きい方向性を示していただいたところでございます。
 第一が国民一人一人の生涯を通じた学習を支援すること,もう一つが次の段落にあります,第二に社会全体の教育力の向上ということでございます。
 ページをおめくりいただきまして,学校地域協働部会の方で精力的に御審議いただいた成果が昨年12月に答申としてまとまっており,学校地域協働答申という通称をすることがございますけれども,こちらの答申では今申し上げました第2の指摘というのは,社会全体の教育力の向上,こちらも踏まえまして,学校地域の連携協働による地域の教育力の向上ですとか,地域課題の解決の在り方に重点を置いて議論を重ねていただいたものでございます。
 これまで学習成果活用部会で御審議いただいた成果,こちらの報告は,第一の指摘である国民一人一人の生涯を通じた学習の支援,こちらと共通するような,一人一人の生涯を通じた学習機会の充実と,その学習成果の適切な評価活用の促進について具体的な手法を含めて検討いただいたものであるという旨を新たに書き加えさせていただいたところでございます。
 次に,第2章の学習成果の活用の課題についての,主な修正点でございますけれども,ページをめくっていただいて6ページをごらんいただければと思います。
 6ページの最後の丸のところです。3の学習機会提供者における課題の最後の丸,「また,検定試験は,」のところでございますけれども,これは第1文と第2文の関係が明確ではないのではないかという御指摘を頂いたところでございます。そこで,第1文が,「検定試験で測る知識・技能と活用の場面で必要とされる知識・技能の関係が明確でない場合がある」という指摘がございますので,これを受けて,第2文の終わりに,「学習の成果の証明に有効な検定試験は,更なる社会的な活用の拡大が課題であり」というのに続けて,その後ろの「課題であり,活用の場を意識した取組の充実が期待される」という文を追加させていただいたところでございます。
 また,ページをめくっていただきまして,9ページをごらんいただければと思います。こちらは第3章,今後の施策の方向性の章でございます。9ページは,今後の施策の方向性の中の二つ目の点の「『学び』と『活動』の循環」の形成のところでございますけれども,その中で,9ページの二つ目の丸,「また,放送大学や」の段落を追加しているところでございます。この報告書では,もともとICTの活用というのが,例えばマッチングを効果的に行う観点が強調されており,ICTを活用した学習ということについては,特に余り論じられていなかったのですが,ICTを活用した教育コンテンツの活用が学びの場の整備充実に役立つという旨の御意見を頂戴いたしまして,生涯学習におけるICTの活用を進めていくことの重要性を追記させていただきました。
 また,この次に,この二つ目の点のところの2の「『学び』と『活動』の循環」の形成について大きく変えたところが10ページになります。ここの「『学び』と『活動』の循環」の形成というのが今後の方向性のキーとなると考えておりますけれども,この9ページ以降の記述を整理させていただきました。さらに,10ページの二つ目の丸のところ,「このように「『学び』と『活動』の橋渡し」を行う上で」という段落ですけれども,人材の育成の必要性というのを特に追記させていただきました。
 三つ段落ございまして,まず一つ目のところが,「『学び』と『活動』の橋渡し」を行う上で,社会教育関係者が,「顔の見える」関係の中で学習者と様々な人々・地域活動・学習機会をつなげるということが期待されているので,そうしたつなげる役割を果たす人材の育成が求められているということ。
 二つ目のところが,先ほど申しました昨年の学校地域協働答申において地域コーディネーターの育成ということに加えて,地域学校協働活動に関する統括的なコーディネート機能の強化すること,そのための人材を育成することが求められているということ。
 また,三つ目の段落といたしまして,こういう地域学校協働活動に参加した方ですとか,地域学校協働活動によって支援を受けた方が,その学習・活動自体を通じて学習成果を蓄積し,そして,将来の地域を支え,地域の課題を解決する人材に育っていくことが期待されることというのを追記しているところでございます。
 その上で,この最後の段落,10ページの一番後の段落でございますけれども,今後の施策の方向性,本答申案の位置付けというのを述べているところでございます。本答申案では,生涯学習を通じて得た成果を評価する方策として検定試験を中心に,また,学習と活動を効果的につなぎそれらの活性化を図る方策として,ICTを活用したプラットフォームの在り方を中心にまとめているということを述べておりまして,また,さらに,次の段落のところで,「個人の学習活動が一層盛んになるとともに,その成果が様々な場面で活用を発揮されて,学びにつながるということで,個人と家庭,職場,学校,地域を,これらを総合的に捉えた生涯学習が一層進展することが期待される」と述べているところでございます。
 続きまして,11ページ以降の第4章の検定試験の質の向上のところでございますけれども,検定試験の質の向上,社会的活用の促進につきましては,部会の中で,専門的なことも含めて,技術的なことも含めて御議論いただいたところでございます。そのため全体のページ数が非常に多くなっておりました。そのため趣旨を変えない範囲で分量を短くしております。以前,制度のポイントとなる箇所を枠で囲っていたものを本文の中に入れておりましたけれども,枠で囲った記述は削りまして,その代わりに検定試験に関する情報公開,評価等のポンチ絵を本文の末尾に追加しております。ページ番号で申しますと,30ページのところに検定事業者に求められる情報公開,評価の概要の資料を付け加えているところでございます。
 第4章の大きい変更点は以上でございます。
 続いて,第5章,ICTを活用した「生涯学習プラットフォーム(仮称)」の構築についてでございますけれども,23ページ以降にこの第5章がございます。
 23ページの二つ目の点,大きい2のところ,求められる役割・機能というのがございまして,そこに三つの機能を記載しております。第1の機能が学習機会の提供機能。第2の機能として学習活動履歴の記録・証明機能,第3の機能として,その次の段落の学習者等のネットワーク機能を挙げております。
 ただ,3月14日にお出ししたものがここの二つ目の点の求められる役割・機能の記述と,25ページ以降の三つ目の点の機能により実現されることの記述が,どの機能とどの機能が対応しているのかというのがやや不明確であるという御指摘いただきまして,三つ目の点のところの記述を丁寧に書かせていただきまして,どの部分がどの機能と対応するかを明確にいたしました。それに合うように三つ目の点の方も記述の順序は若干変えさせていただいているところでございます。
 また, 26ページ,四つ目の点の当面取り組むべき課題の一つ目の丸でございますけれども,ここで第1文のところ,これまでも強調いただいたところですけれども,個人に関する情報が保護されることが重要であることを書いてございます。もともと第2文のところが,そのため情報セキュリティポリシーの在り方,標準化などの実証的な研究が必要であるということを書いていましたが,これにつきまして御意見として,個人情報保護の話と標準化の話は別の問題であるという御意見を頂いたところです。それを受け,第2文の冒頭,もともと「そのため」という記載でしたが,冒頭,「このことも踏まえ」と修正させていただいております。
 また,27ページのところをごらんいただければと思います。二つ目の丸,「このことから,『生涯学習プラットフォーム(仮称)』の検討に当たっては」で始まる段落でございます。もともと生涯学習プラットフォームの実現のために標準化の技術的検討を進めることが求められる,という記述になっておりました。ただ,ここにつきまして御意見を頂戴いたしましたのが,これについて重要なのは標準化ではなくて,どのような生涯学習社会を実現したいかというのを描いて,そのためにどのような機能が必要なのかを明らかにして,初めて標準化が論じられるものであるという御意見を頂戴いたしました。
 そこで,丸の「このことから」で始まる4行目,この辺りを少し変えさせていただきまして,「ノンフォーマル教育及びインフォーマル教育を包含する生涯学習全般に拡張する」,ここから変わっているのですが,拡張するための検討が必要であり,それを踏まえて,付加的な標準化等の技術的検討を進めることが求められると,若干,記述を変えさせていただいたところでございます。
 本文の修正は大体以上でございますけれども,更にもう一枚の机上配付資料としてお配りしております,パブリックコメントにより提出された意見というのをごらんいただければと思います。
 先ほど御紹介申し上げましたとおり,3月30日から4月18日まで,合計20日間,一般の方々からの意見募集を行いました。その間,3件の御意見を頂戴しております。
 御意見の一つ目を簡単に御説明申しますと,「検定事業者が第三者評価を受ける際の補助金について」というタイトルでくくらせていただきました。頂戴したのは,本文の記述の中で,第三者評価を受けて,それで初めて国の後援名義を使用できる,文部科学省の後援名義を使用できるというようなことが見受けられる記載がございます。第三者評価機関は第三者評価をするための審査に掛かる費用というのはどれだけ掛かるかというのはまだよく分からないが,比較的規模の小さい検定事業者にとっては,かなり大きな負担になることが考えられるという御意見です。ですので,規模の小さい検定事業者には,国による補助金の制度,審査料を一部負担するなどの補助金の制度というのを設けてはどうかということを提案いただいたものでございます。
 二つ目の意見のマル2のところ,学習意欲がある者が学習を行うべきというものでございますけれども,全体を通じて,学習意欲がある者が生涯学習を行えればいいのではないかという御意見を頂戴しているところでございます。
 この一つ目,二つ目の御意見は,本文自体の修正を求めるものではございませんでしたので,本文には,ただいま私が御紹介申し上げました本文には反映させてはおりませんけれども,今後,施策を進める上で参考にさせていただきたいと思います。
 今の1枚紙,裏を返していただきまして,意見の3として,パブリックコメントの意見募集様式に係る技術的な意見でございます。こちらは補足で申しますと,この意見募集をするとき,ホームページ上で意見を募集しますが,全省庁が行っている全てのパブリックコメント,あるいは意見募集が一覧できるページがございます。そこに私どもの今回の意見募集も掲載しておりましたが,そこで提出手段として,「郵送ファクス,電子メール(電話による意見の受付は致しかねます)」ということを書いておりました。ですので,そこの全省庁を通じ,そのサイトから意見募集を行っていても,そこの投稿フォームから提出した意見は採用されないのかというような御質問を頂きまして,当然そのフォームから提出いただいた意見はパブリックコメントの意見としてカウントさせていただいております。
 今後私ども意見募集をするときは,提出手段のところ,郵送・FAX・電子メールという書き方は誤解を招くので,この電子政府の総合窓口,意見募集のサイトからの意見ももちろん可能であるということをきちんと書かせていただきたいと思います。
 以上が御説明でございますけれども,本答申(素案)というのはまとまり次第,生涯学習分科会にお諮りいたしまして,その後,先ほど申しましたように,今回の諮問が二つの事項で成り立っておりますので,もう一つの事項と1冊にまとめて答申として,おまとめいただく予定でございます。
 私からの説明は以上でございます。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。3月の先の分科会の原案から少し加味されているところがあるかと思います。これは今,御説明がありましたように,生涯学習分科会や総会で御意見を頂いて,それを反映したものでございます。本部会にも生涯学習分科会のメンバーの方がいらっしゃいますが,私の感想ですが,生涯学習分科会は,今までの施策との接続とか,あるいは位置関係を少し明確にしてほしいというような御意見だったと思います。また,それ以外にも各委員の先生方から個別に有効な御意見を頂きまして,きょうの素案になっております。
 ただ,今お話がありましたように,今後これをまた生涯学習分科会に掛け,それから,最終的にもう一つの部会と一緒にしながら最終的な答申という形にされるようでございます。本日はまだこれで完成ということでもありませんので,細かいところでも結構です。御意見や御質問,この表現はどうかみたいなところがございましたら,御意見を賜れればと思います。
 考えてみますと,6月から12回ということで,この間,事務局の方にもたくさん事例を出していただきまして,私どもも勉強しながら審議に参加したような感じがしております。
 どなたからでも結構ですが,いつものように札を立てていただいて,いかがでございましょうか。

【菊川部会長】
 清原委員,お願いいたします。

【清原委員】
 三鷹市長の清原です。
 この間,生涯学習分科会及び学習成果活用部会で議論をしてきたことを本当に丁寧にこの答申案にはまとめていただいたと思います。実は私たちが求められている諮問の内容というのは,この参考資料の65ページにあるとおり,生涯を通じた学びによる可能性の拡大,自己実現及び社会貢献・地域課題解決に向けた環境整備についてとありますが,具体的な例示としては,各種教育プログラムや検定試験の信頼性や質保証の仕組みづくり,これからの様々な場面での活用とありまして,2点目に,情報通信技術の進展も踏まえて,民間事業者や大学等における各種教育プログラムや検定試験について,学習履歴を安全に管理するとともに,適切に活用し,より高度な学習や幅広い活動等につなげる仕組みとなっております。
 それぞれこれまでの生涯学習分野での検討を基礎にしつつ,やはりかなり個別具体の答申を期待されていたものを受け止めています。そのためにこの分科会,学習成果活用部会でも検定試験についてもかなり時間を掛けて具体的な事例,それも大学や,あるいは民間企業との関係でも実態を把握させていただきました。
 また,情報通信技術というのは,私たちが約1年間議論している間にも,正に急速な技術革新が進んでいて,私たちが想像している以上に,実態社会の中では普及や変革が進んでいます。そうした中で,余りにも先取りし過ぎてもいけませんし,しかし,国民の皆様の実態と懸け離れてもいけませんので,そういう意味では,かなり私としてはこれまでの実態を尊重しつつも,近未来に向けてどうしていったら,より国民の皆様の生涯学習活動が充実し,地域活動が具体化するという点について一定の方向性を示すことができているのではないかと思います。
 私の立場としましては,自治体の立場でございますので,今回も自治体に,こうあるべきだというような箇所もございます。21ページの国,地方,公共団体に期待することという部分です。これは検定試験に係り,特に際立って方向性を書いているところですが,幾つか重要な部分があります。すなわち,21ページの国,地方,公共団体に期待することの丸の二つ目です。
 「さらに例えば産業界や学校と検定事業者が協働することにより,検定試験の質の向上や活用の促進が見込まれる。また,複数の検定事業者が協働して関連する複数の検定試験を有機的に連携させることにより,学習者にとって,より高次な活躍の場が広がると考えられる」とされております。この「協働」という言葉が大変重要な意味を持っていると思います。丸の三つ目にも,「対話・協働の成果も踏まえて,地方公共団体においては,公立学校の設置者として,学校における検定試験の適切な活用のために必要な情報を各学校に提供することなどにより,各学校における適切な活用を促すことが期待される」とされております。
 「また,義務教育段階を中心に」とありまして,「地域との連携・協働による学習機会の提供や,検定試験の受検に要する費用負担について,特に経済的に困難な家庭に十分に留意した支援を行うことが期待される」とされております。それぞれ地方公共団体,自治体の実情に応じて,創意工夫が必要ですから,何も横並びにする必要は全然ないとは思うのですけれども,私としては,連携・協働というキーワードが生涯学習の場では非常に親和性がありまして,私たちが活動を市民の皆様と行政が,各団体が協働して進めていく上で,とりわけ市民の皆様にこうした学習機会を保証していく一つに,今まで余り関連付けがなかった検定試験も入ってくるという道筋が示されたことが有意義だと思っています。
 最後に一つだけ。24ページのところで,これはICTを活用した生涯学習プラットフォーム(仮称)の構築のところで,機能がきちんと書かれているわけですが,特に私がこの答申に配慮を感じたのは,第2の機能のところです。学習者が希望する場合に,その学習活動の履歴を客観的に記録・管理・証明する機能(学習・活動履歴の記録・証明機能)があげられるとされております。この「学習者が希望する場合に」という挿入部分は,極めて意味があると思います。すなわち,全ての国民,市民が必ずしもこのような履歴をICTのプラットフォームで求めていないことにもきちんと目を配るということ。しかし,必要な人にはしっかりと個人情報を保護し,情報セキュリティを保証しながら実現していくということが,大切な部分だと思います。
 私としましては,この答申案につきましては,これまでの経過をきめ細かく反映していることと,章ごとの分量についても配慮がありますので,私としては,一定程度,微修正を皆様の御意見を反映しながらすることによって,生涯学習分科会にお届けしてもよろしいのではないかなと感じております。
 以上です。どうもありがとうございます。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 加藤委員,どうぞお願いいたします。

【加藤委員】
 私はこの答申案を拝見して,非常に残念なところがあります。というのは,ここで扱っている学習というのが特に今,清原委員の御指摘にあった第2の機能のところを見れば分かりますが,大学,例えば放送大学のようなところで受講した内容,あるいは検定,あるいは各種の顕彰だとかボランティアの参加等そういったものが具体的な例として挙げられています。でも,そういったものというのは大抵のほとんどの国民にとって,余り縁のないものであることは今までの中,再三申し上げてきて,そういうものを使ってプラットフォームを作っても,誰にも使われなくなるいうことは申し上げたはずです。
 生涯学習というのは決してそういうものだけではなくて,我々は日頃からそういう大学の講座とかそういったものを受けなくても,いろんな形で学習をしている。そういったものを拾い上げないといけない。生涯学習がそういう公的な学習,講座のようなものだけではないということは話の中で合意が取れたと思っておりましたけれども,どうやら話の中で,それが全くの元のように差し戻されてしまったようで,そこのところが大変に残念な点であります。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 今,清原委員,加藤委員がおっしゃったことで,事務局の方から何か補足,御意見等ございますか。お願いします。

【助川民間教育事業振興室長】
 生涯学習というのは,もちろん大学だとかフォーマルなものだとか,あるいは顕彰されるものに限られたものではないというのはおっしゃるとおりでして,生涯学習プラットフォームは,当然それに限らず,様々な学習,例えば通信教育だとかそういうものも入りますし,あるいはそうでもなく,ふだんの活動なり,ふだんの学び,そこまできちんとしたものではないものも含まれて,プラットフォームになるような形で検討していきたいと思っております。

【加藤委員】
 答申の中にそれが読み取れませんが。

【菊川部会長】
 ノンフォーマル,インフォーマルの記述がございますが,少し具体的に御説明をお願いします。

【助川民間教育事業振興室長】
 以前御指摘いただいた生涯学習の分類として,5ページをごらんいただければと思います。5ページの2,二つ目の丸のところ,生涯学習というのがフォーマル教育,ノンフォーマル教育,インフォーマル教育の学習を総合的に捉えるべきであって,全ての学習活動の成果が評価されることが求められると,インフォーマル教育についても当然含めるような形で書かせていただいてはおります。

【加藤委員】
 その前の丸で例示として挙がっているのが,受賞だとか,それから,その他の教育プロセスとなっておりまして,やはりこれでは全然カバーし切れていない。

【岸本生涯学習推進課長】
 基本的に御指摘いただいた部分でございますとか,あるいは先ほど御指摘のあったところの部分につきましては,基本的に中間まとめのときから余り大きく記述は変えておらないかとは思っておりますが,もしその過程の中で,先生御指摘の,特にここは大事だと思われる部分がもし落ちているということがございましたら,個別に具体の修文案等いただけましたら,またそれを御相談させていただければと思いますけれども,どうぞよろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
 それから,27ページの二つ目の丸のところにもそういう配慮,フォーマル教育,ノンフォーマル教育,インフォーマル教育を包含する全般に拡張するということで,課題の指摘がされているようにも思います。
 では,藤田委員,お願いいたします。

【藤田委員】
 24ページ辺りのところになるかと思いますが,生涯学習プラットフォームというのは,今回のとても要になる部分で,今後,生涯学習を進めていく上でもやはり具体的にどのようにこの生涯学習プラットフォームが動いていくのかというところが相当要になってくると考えています。その上で,顔と顔の見える関係とかいろいろな言葉が並んでいて,とても整理されているものと思いますが,キーワードとして一つ入れていただきたい部分がございます。
 やはり情報とか履歴を構築するということはとても大切ですけれども,やはり既存の生涯学習機会を提供しているところは,学習相談を窓口として今も行っておりますし,今後もやはり継続した学びを組み立てていく上でも,学習相談というところが大きな役割を担うと考えます。
 そうしますと,やはり様々な大学と様々な機関で横断的に情報を共有することが必要であるとともに,学習相談の窓口的役割も担う必要がある等,何かその辺の言葉というのは大切ではないかと思います。
 既存の学習機会を提供している自治体の,例えば県民カレッジ,生涯学習センター,そして既存の公開講座を提供している公立,国立,私立の大学も機能を今,担っているので,このまま継続してできると思います。ですから,この部分はやはり明記していただきたいと思います。

【菊川部会長】
 どうぞ。

【岩本生涯学習総括官】
 これは案文を作りましたときに,私も非常にそこのところが重要だと思いまして,23ページの一番初めのところに,その後の関係を作らせていただきました。この節を作ったのはまさしくそういう趣旨でございまして,こういう対面による交流や相談,情報提供が持つ効果は大きいというところを書かせていただいて,これらを引き続き取組を推進することが重要であると大前提にした上で,その後のICTの文も書かせていただいたということですので,私どもそのように考えております。なお,具体的な修文等を頂いて,非常にそれが,より趣旨が明確になるようであれば,また御相談させていただければと思っています。

【藤田委員】
 なるべく,やはり具体的にそこに明記しているのは分かっていますが,やはりどこが担うのかというところを見える形で記載していただいた方が使えるというか,動けるものになると思います。お願いいたします。

【菊川部会長】
 ほかにいかがでございましょうか。
 今回,検定試験のところがかなり前に進んだようにも思いますが,萩原委員,何かございませんか。

【萩原委員】
 全体として非常に分かりやすい内容になったと思います。きちんと方向性が出て,それに対する方策という面でも,とても分かりやすくまとめられています。また,検定試験の章の形式が他の章と統一されているので,全体としても非常に見やすいと思います。
 11ページの下から二つ目の白丸の段落のところですが。高大接続改革のところで,2行目の後半,「高等学校基礎学力テスト(仮称)の導入に加えて,校長会等が実施する検定試験の活用を促進すること,各種民間検定の質的な充実を前提として,活用を促すことが提言されている」という表現ですが,校長会が実施する検定試験というのも質的な充実が必要かと思います。民間検定の方は質的な充実を前提として活用するということで,区別されているような印象を受けました。ただ,この文書が,最終報告の中で表現されているのであれば,現時点では仕方がないと思います。ただ,これだけ読むと,校長会の方は質的な向上というのはもう既に十分だが,民間の方はそこを充実させないといけないと読めてしまいます。

【菊川部会長】
 どうぞ。

【助川民間教育事業振興室長】
 高大接続システム会議の報告は大体このような書き方になっておりまして,恐らく各種の民間の検定試験は,後ろに書かれておりますが,本当に様々なものがございまして,よく活用されている,あるいは質的に,現時点で十分に,ほかのものと比べて,はるかに充実されているものというのも非常に多いことは承知しております。しかし,かなりまちまちなものがございますので,それで民間検定の方だけこう書かれているとは思っておりますけど,最終報告では大体このような書き方になっているところでございます。

【菊川部会長】
 もう一度御確認というか,もちろんこれは高大接続改革の報告書からだと思いますけど,多少民間の側から見ると困るというところもあるかもしれませんので,もう一回確認いただいてよろしゅうございますか。

【助川民間教育事業振興室長】
 書いた趣旨が誤解されないような形で確認したいと思います。

【菊川部会長】
 はい。お願いいたします。
 益川委員,お願いいたします。

【益川委員】
 23ページの1番の節に関わるところですが,このICTを活用した生涯学習プラットフォーム,先のページを行くと,例えば24ページの一番下であるとか,その学習者が自らの意思で流通させるという点であるとか,あとは学習者自身がそのネットワークを使って,いろいろ活動を広げていく,そういうICTの効果もあります。是非この23ページの1の節の中で,例えば先ほど藤田委員がおっしゃっていたようなこれまでの取組の支援を充実するためということに加えて,より一人一人の学習者が主体的にコミュニティを広げるためにICTを活用したプラットフォームの構築に向けてというような形で,間に挟んでいただけるとうれしいです。

【菊川部会長】
 いかがでございましょうか。

【助川民間教育事業振興室長】
 具体的な書き方はまた御相談させていただければと思います。

【菊川部会長】
 はい。ありがとうございました。
 具体的な御意見をいろいろ伺っておりますけれども,ほか,いかがでございましょうか。今回がこの答申文については最終的な議論になると思いますが,よろしゅうございますか。
 様々な御意見を頂き,ありがとうございました。この答申文についての審議はこの辺りにしたいと思います。今も幾つか頂いた御意見で,また今後,少し修正,最終的な取りまとめ等を事務局から御意見を頂いた先生方に逐次御照会等がありましたときには,どうぞよろしくお願いいたします。
 また,今後,来月の生涯学習分科会に出していきますので,その最終的な取りまとめにつきましては,事務局とも相談の上,部会長である私に一任いただくということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【菊川部会長】
 ありがとうございます。
 今後のスケジュールですけれども,また後で事務局の方からもあるかもしれませんが,諮問をもう一つの課題と一緒に頂いておりますので,この答申につきましては,1番目の高等教育段階の職業教育の課題と一緒に中央教育審議会の方で答申するということになっております。今後のスケジュールや,あるいはそれに伴うもののことにつきましては,また事務局の方から再度紹介あるいは御説明等があるかと思いますので,そういう形で御理解を頂ければと思っております。
 本部会だけのスケジュールではいかないところもあるようでございますので,どうぞよろしくお願いしたいと思います。会議は一旦終了になりますが,今後ともいろんな照会や御連絡の可能性があるということを御理解いただきたいと思っております。
 それでは,もう少し時間がありますので,昨年6月以来,大変お忙しい中,皆様には御尽力いただいたわけですけれども,議論に携わっていただいた感想あるいは事務局への具体化に向けた期待等も含めまして,できましたらお一人ずつ感想,コメント等を頂いて,部会を締めさせていただければと思っております。

【柴山委員】
 私はテスト理論の専門家ですから,検定の質保証というところですごく勉強させていただきました。本当に生涯学習政策局というのはこんなに幅広いところでやっていらっしゃって,その中で今,話題の高大接続システム改革なども視野に入れられながら,全体をまとめていかれるというのに正直,感心しながら,参加させていただきました。
 そのテスト理論に関係する検定試験の質の向上等のところなども本当にすっきり書いていただけて,なかなか良い答申(素案)になったのではないかと思っております。どうもありがとうございました。

【左京委員】
 私が日頃取り組む活動は,インフォーマル教育,中でも学習者の方々がICTプラットフォームを必ずしも必要としないと思われる活動ということもあり,ICTプラットフォームの内容に関し,最後まで具体的なイメージが描けなかったという想いがあります。一方,このような会議の場に初めて参加させていただき,個人的には非常に勉強になりました。また参画する機会があれば,より有益な意見が出せるよう明日からまた精進したいと思います。今回は本当にお世話になりました。ありがとうございました。

【栗山委員】
 栗山でございます。貴重な機会に参加させていただきまして,ありがとうございました。
 資料の28ページの一番上のところにありますが,今後の検討を進めていく上で,諸外国における先進的な事例を研究すると記載されております。当然,諸外国のことをいろいろ学んでいくというのは大事だと思いますが,逆に,私どもがやろうとしていることを諸外国が見に来てくれるというか,見てみたいと思うぐらいのことをやっていきたいと考えております。是非またよろしくお願いいたします。貴重な機会をありがとうございました。

【清原委員】
 ありがとうございます。清原です。実は三鷹市では,コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育が初めて開設されたのが平成18年の4月でございまして,同じく参加と協働を規定する三鷹市自治基本条例が制定されたのも平成18年の4月のことでございました。
 その自治基本条例には,学校を核としたコミュニティづくりということが明記されているわけですが,平成27年の12月にこの学校地域協働の答申が出されて,正に学校教育と生涯学習,社会教育が文字通り密接な関連性があるのだということが改めて明示されたということは大変意義深いことだと思っています。その中で,学習成果活用部会で議論してきた経過の中では,全ての皆様が誰よりも学習者本位,学習者にとってどういう条件整備をすることが望ましいのかという共通点を共有しつつ,しかし,それぞれの皆様の御経験や視点の多様性の中から幅広い提案をまとめることができたのではないかなと大変感謝しています。
 学習成果は,自分の暮らしのためにも活用していいわけですから,全て他者や地域や社会のために活用するということではなく,純粋に知的好奇心から学ぶということも尊重されたと思います。しかし,それとともに様々な地域の活動に学習成果が活用されるとき,次なる学習への意欲や,あるいは課題が見えてきて,更に一人一人が向上していけるというようなことがかなり見える化されたのではないかと思います。
 真(しん)に学習成果を皆様が本当に無理なく個性豊かに活用していただけるような条件整備について,自治体の立場でも更に重い課題を頂いたと思っておりますが,文部科学省の皆様がより一層,各地域を連携して,情報を各地域に,自治体にお知らせいただくことによって,それぞれの地域が生き生きとすることを願っています。本当にありがとうございました。

【加藤委員】
 こういう審議会はなれていないもので,いろいろ失礼もあったかと思いますけれども,大変勉強させていただきまして,どうもありがとうございました。
 じくじたるところといえば,生涯学習観,生涯学習をどう捉えるかというところをもっと議論して,その根っこのところの共通理解を深めておけばよかったというところはあります。
 あと,こういう審議のやり方というのは,大勢の方がそれぞれ意見を述べなくてはいけないということもありますので,一つしゃべったら,もうそれは終わりというか,議論がぶつ切れになってしまって,一つの議論を深めていくということがなかなかできないと感じました。しかしそれは私の方でなれていくしかないのかと思いましたが,一つの意見を拾い上げて,それをもっと深めたり,いろんなほかのアイデアを出したりというような議論ができれば,これも時間の問題ですけども,もっと良かったと思いました。
 以上でございます。

【大畑委員】
 こういった機会を頂くのは初めてなので,非常に勉強になりました。
 一人で考えただけでは全然分からない観点から,様々な御指摘とか,様々な見方とか文脈があって,これだけ意見が形成されていってというところが非常に僕としては,それに関わらせていただいたことがとても勉強になりました。どうもありがとうございました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。では,益川委員。

【益川委員】
 僕自身も生涯学習と呼ばれている,いろいろな人の立場からの視点というところが知ることができたので,いろいろな学びにつながったと思います。
 この会議でまとまった,こういう答申というものがゴールではなくて,やっぱりスタートとして,その先,どうしていくかというのがとても重要だと思いながら,本日も文面を読ませていただいていました。大事なのはこういう仕組みをとにかく全員が参加できるような,そういう学習環境を社会に実装していく,そういう大きな取組だと思っています。そういう中で,それは枠組みとして入れているだけであって,それが学習者を拘束するのではなくて,逆に学習者が主体的に様々な人たちと対話しながら学びを広げていくというところにきちんとつながっていくというところまで見届けてみたいという思いもあります。
 そういうときには,どのように使われたかという結果の,点で評価するのではなくて,どのようにみんなが参加して,そして,学びが広がっていったのかというプロセスを見ていって,そこの中で随時改善しながら,前向きに進んでいけるような,そういう形で実現していけると良いと思いました。

【藤田委員】
 私はこの現状の生涯学習プラットフォームの最先端のところにいると思っております。実際のところ,地方国立大学で学習機会を提供し,また,活躍の場を一生懸命,地域と連携しながら作り出し,そして,次のステップへという形で継続した学びを提供しているというのが私の日常の仕事の立場でございます。ですから,今回この部会に本当に参加させていただくことによりまして,近未来のあるべき姿が見えてくるというところでとてもわくわく感があり,また,自分の仕事の内容をどのように変化させていかなければならないのかというところを昨年から随分考えさせていただいたような気がしております。
 その中で,私が最初に富山の事例ということでお話しさせていただいたことが,結局,私の中で,富山という地域を見つめる機会にもなりましたし,また地域の生涯学習機会を提供しているところ,活躍しているところ,また御存じのとおり,インターネット市民塾やNPOとも密接に情報交換しながら,本当にこれから先,どう考えていったらいいのか,どう仕組みを作っていくのかというところも相談させていただくきっかけとなりました。富山の全体像というところが,この1年間で見えてきていると思います。部会の1回目にお話しさせていただいたとき,間違った情報は伝えられないので,すごく緊張感を持って調べながら,大学の授業に使うような資料,そのパワーポイントを作りながら見つめられたような気がしております。ですから,今回,この次の生涯学習プラットフォームの姿というところを,私は自分の仕事の中で目指していくというところで,私も一つ一つステップを上っていきたいと考えておりますし,また今回,委員の皆様からいろいろなお話を聞かせていただきました。
 それから,私が一番弱かった部分,検定というところで様々なものが見えてきたというところがあります。ですから,そういう見えていない部分,それから,地方国立大学の中ですごく狭い視野に立っていたというところも今回反省点ということが分かりましたし,このような機会を頂けたところはとても大きな宝物を頂いたようにも思っております。
 また,私も一学習者として今後も学ぶ機会,チャンスというところを学ぶ機会をいろいろな範囲に広げていけたらと思っております。
 どうもありがとうございました。

【萩原委員】
 どうもありがとうございました。本当に貴重な機会を頂きまして,私にとっても大変勉強になりました。これまでの会議で,個人的には,人はなぜ学ぶのか,学びたいと思うのかを,ずっと考えておりました。自己実現というのは,実は難しいと思っていたところもあり,私もこの年齢で自己実現できているか自信がありません。しかし,学びたいという気持ちは何だろうとずっと考えていまして,それは幸福感みたいなものだろうと思いました。知的幸福感というものがあるのだろうと。そのように学ぶことが楽しいという気持ちは,わくわくして幸せな気分になれます。それが学びだろうと思いますし,学びの核だと思いました。そのことを,委員の先生方の御知見を拝聴して,実感いたました。
 それと,委員の先生方のお話を拝聴して,地域での様々な活動のお話は,初めて聞くことも多く,特に,菊川部会長,藤田委員,三瓶委員のお話から,学んだことを更に活用していくことの重要性を教えていただきました。早速ですが,日本語検定に置き換えて,いろいろ考えまして,全国に日本語を教えられる講師を増やしていくことで学びと活用の循環が図れないかと思いました。スモールスタートですが,今年から1級に合格した方を対象に,公認講師制度をスタートすることにいたしました。1級認定者は,一定水準以上の日本語力はございます。あとは教える力,教授法を学んでいただければ,講師ができると思います。今年の8月からスタートしますが,これも,今回の部会に参加したおかげで気付いたことです。これからも学びと活用の循環を図ってまいりたいと思っています。
 本当にいろいろとありがとうございました。

【高見委員】
 株式会社イトクロの高見でございます。まずは生涯学習というところが非常に広範囲で,かつ,ゴール設定も非常に多様であるというところを粘り強く事務局の方がおまとめいただいたことに本当に感謝申し上げます。
 あと,これは余談,感想といいますか,うれしかったことですが,私が何を言ったわけでもないのですが,私の部下が,1人は日本語検定1級を取ると言いまして,1人は日本語検定2級を取ると言いまして,もう本当に私に上がってくるドキュメントの程度がひどかったのでずっと指導しておりましたら,日本語検定を取ると言っていますので,私にとっての副産物といいますか,励ましていきたいと思っております。
 今後の申し送りといたしまして,この生涯学習プラットフォームをどう構築していくかというような議論に次はなっていくと思うのですが,システム構築も過去,会社の中で,CRMとかBPRというようなことをしていく中で言いますと,システムというのは何でもできそうに見えてしまう。きっと何でもできるようには設計できると思います。ただ,重要なのは,本当に小さく産んで育てていく。一次開発ではそんなにいろいろな機能を全部積み込まないで,例えば履歴をどう入れて,どう取り出すのか。その取り出す活用をある程度イメージして,本当に小さく作り,その後,そこの効果検証等しながら,二次開発,三次開発と積み上げていくことを非常にお勧めしたいです。予算的なこともありますし,納期もありますし,使っていただく方々が非常に広範囲にわたる方々というところもあります。こうしておけばよかったということが後々,絶対たくさん出てくるので,本当に小さく産んで育てていくというところを,そういう開発をしてきた側からすると,申し送りをしておきたいと思います。
 ますますの御発展をお祈り申し上げます。

【菊川部会長】
 副部会長として,今野委員どうぞお願いいたします。

【今野副部会長】
 これまで生涯学習行政において最も大きな課題の一つが,学習成果の活用をどう進めるか。そして,それによって人々の社会参画をどう促進していくのかということで,それぞれ国も地方も政策課題の大きなテーマとしていろいろ努力をされてきたと思います。最近も人口現象社会を背景として,国の方では1億総活躍であるとか,地方創生ということがうたわれております。国民一人一人を元気にして,そして,それを通じて,地域コミュニティも活性化していくということですけれども,考えてみれば,基盤的にはこのことに最もかなうのが生涯学習の政策だろうと思います。
 それから,最近の,今度の熊本の大地震でも,ボランティアがもう普通のように展開されるようになってきていますし,また,18歳選挙権も制度化され,あるいはローカルガバナンスの時代ということで,市民との協働型の行政スタイルが一般に追求されるようになってきています。
 そういうことからすると,日本でもいわゆる市民社会の時代になってきていると思いますけれども,その面からもやはり生涯学習というのが今後の日本社会にとっても重要な政策になっていると思います。
 ある自治体の報告書を見ていましたら,自分たちで自立して,そして,相互に連帯しながら社会的な課題を解決する力を市民力と名付け,そしてその市民力を養うのが生涯学習だと定義をして,振興しようということで,かなり踏み込んだ生涯学習の捉え方をして,施策化しているところもあります。そういう時代になりつつあると思い,改めて生涯学習での学習成果の活用,社会参加の促進ということが改めて大きな政策のターゲットになるべき時代になっていることを改めて思ったわけです。
 そういう流れの中で,今回,生涯学習成果の活用策ということで,かねてから検討が残っていたと思いますが,資格検定制度などについても,今回かなり緻密な議論がなされました。とてもよかったと思いますし,また,活用のための新たなプラットフォームという大きな構想も一つの方策として提示をされたということで,非常に大きな成果があったのではないかと思っております。
 特にプラットフォームについては,これからどう具体化を図っていくのかという問題もありますけれども,第一歩が切れたということで,これから具体に向けていろんな局面で検討されていくだろうと思いますけれども,それについてもフォローしたりなどしながら,注視していく必要があると思っております。
 皆様,御苦労さまでございました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。お一人お一人の御意見を,そうだなと思いながら聞かせていただきました。私も,社会教育行政には長く関わっておりまして,実は昨年12月の答申は46答申以来の一つの大きな帰着点だと思っております。そして,これを粛々と実行していくというのが今からの社会づくりに本当に大事なことだと思いながら,皆様の御意見を聞かせていただいたところです。
 一方,この学習成果の活用という部分につきましては,なかなか従来の施策との接続が難しいところもありまして,それは社会教育行政と生涯学習振興行政の重なる部分と離れる部分があるという感じを持ちながら,議論に参加させていただきました。
 そのときに生涯学習というのが単に楽しみとか生きがいだけではなく,個人の意思というのがベースにあるわけですけれども,生きがい,楽しみプラス,生きていくのに本人にとっても必須なものになりつつあるのではないか。それはその職業とか地域づくりの面からもそれぞれのキャリアを深めていくということでございます。社会教育行政の領域で学習を深化させていくという議論は,これまでなかなか表に出てこなかったように思います。それを検定ということを一つの例として,やはり大人が学習していく,大人も学習を深めることができる。あるいはまた違った観点から,子供も学校教育以外のところで学習を深めることができるというような,人間の発達可能性のようなものを生涯学習行政の観点からもう一度議論する必要があると思ったところでございます。
 いずれにしろ,皆様にも,あるいは事務局にも御苦労をお掛けしましたけれども,部会を終了するに当たり,少しほっとしているところでございます。本当にありがとうございました。
 最後に,御苦労いただいた事務局を代表して,有松局長に御挨拶を頂きます。よろしくお願いいたします。

【有松生涯学習政策局長】
 どうもありがとうございました。会議としては最後ということで,一言お礼を申し上げたいと思います。
 思い返せば,去年,平成27年4月に中央教育審議会に「個人の能力と可能性を開花させ,全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について」という,非常に幅広い諮問がなされまして,その中でも,学習成果の活用という,これまでのずっと持ってきた課題の部分について,これまで13回にわたって熱心な御議論を頂きました。
 私は途中から参加させていただいたにすぎませんけれども,委員の先生方から大変活発な御議論を頂きまして,様々な情報も御提供いただきまして,事務局としても走りながらいろいろな勉強をさせていただき,御指導を賜りながら何とかここまでたどり着いたという感じもいたします。厚くお礼申し上げたいと思います。
 ここに至るまで御議論をおまとめいただきました菊川部会長,今野副部会長に改めましてお礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 そして,これからの検定試験の在り方ですとか,ICTを活用した学習履歴の活用の在り方について御提言を頂きましたことで,生涯学習を通じまして得た学習成果を社会的に評価されて,そして,活用していくという,言ってみれば,これまでの長年の課題に重要な道筋をお示しいただくことができたと考えております。
 私どもとしては,今後この中で御提言を頂いたことを踏まえて,検定試験の質の向上のための評価に関するガイドラインの策定ですとか,生涯学習プラットフォーム構想につきましては,更なる研究を進めていくことなど,この結果を今後の取組にしっかりとつなげていきたいと考えております。
 大変熱心な御議論,そして,示唆に富んだ御指導を大変賜りましたことを改めてお礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様,長きにわたり,御協力いただきまして,本当に心からお礼を申し上げますとともに,まだ最後の答申まで事務局の方から照会が参りましたら,引き続きよろしくお願いいたします。誠にありがとうございました。

―了―

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