ここからサイトの主なメニューです

学習成果活用部会(第11回) 議事録

1.日時

平成28年2月24日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 審議経過報告(素案)について
  2. 有識者からの意見発表
  3. 教育・生涯学習に関する世論調査について
  4. その他

4.議事録

【菊川部会長】
 では,定刻となりましたので,ただいまから第11回中央教育審議会生涯学習分科会学習成果活用部会を開催いたします。
 本日も大変お忙しい中,お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。本日は,検定試験の活用について,ヒアリングを前半行いますとともに,検定試験の質の向上等に関する審議経過報告(素案)を審議していただきたいと思います。
 最初に,本日発表いただく有識者,3名の方を御紹介いたします。
 まず,世界遺産アカデミーの猪俣事務局長でいらっしゃいます。

【猪俣事務局長】
 よろしくお願いします。

【菊川部会長】
 それから,ANAセールス株式会社の石井主席部員でいらっしゃいます。

【石井主席部員】
 石井と申します。どうぞよろしくお願いします。

【菊川部会長】
 それから最後に,アップコン株式会社の松藤代表取締役でいらっしゃいます。

【松藤代表取締役】
 松藤です。よろしくお願いします。

【菊川部会長】
 それでは,事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【竹下生涯学習推進課課長補佐】
 それでは,お手元の資料を確認させていただきます。議事次第,座席表及び資料1から資料4まで,及び参考資料を配付させていただいております。資料1の関係が,本日御発表いただく発表資料,資料2につきましては,その議題2の関係の審議結果報告の関係の資料となります。資料3が,その次に発表いただきます,審議させていただきます生涯学習の調査の関係の発表の資料,資料4が今後の審議スケジュール案となります。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,議事に入ります。3名の発表者の方々に15分ずつということで御発表いただきます。その後,短くて恐縮ですけれども,15分程度,全体について質疑応答という予定をしております。
 では,最初に世界遺産アカデミーの猪俣事務局長から,よろしくどうぞお願いいたします。

【猪俣事務局長】
 御紹介いただきました世界遺産アカデミーの猪俣と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。また,このような機会をお与えいただきまして,非常に光栄に思います。
 私ども,世界遺産アカデミーは,ユネスコの平和理念及び世界遺産の保全や重要性に関する啓発活動を行っております特定非営利活動法人,NPO法人でございます。
 そのNPO法人世界遺産アカデミーの事業の大きな一つとして,世界遺産検定という検定事業を実施しています。世界遺産検定ですが,2006年にスタートをいたしました。現在までで累計12万人の方が受検をされ,約半分の6万人の方が認定されておられるという形になります。
 試験の目的ですが,人類共通の財産,宝物であります世界遺産についての知識・理解を深め,学んだ内容を社会に還元するというところを目指しております。試験内容の方は,4級から3級,2級,1級,最上級はマイスターといいまして論述試験でして,この5段階方式になっているということになります。
 世界遺産で学べることをここに上げてみました。非常に裾野が広くて,幅が広くて,いろんな角度から学習ができるということが世界遺産学習の特徴だと思っています。例えば,世界遺産の基礎,文化遺産,自然遺産,この三つに分類しただけでも,これはほんの一部ですが,グローバルな視点でありますとか,異文化に対する理解でありますとか,そういったものを学ぶことができる。また,学んだ知識,教養は,生涯を通じてのその人の基礎にも,その人の土台になる財産であると私どもは考えておるわけでございます。
 現状の世界遺産検定の申込みの推移ですが,かなり増えてまいりました。昨年,平成27年度におきましては,約2万7000人の受検者がいましたが,平成25年度に富士山が登録されました。この富士山の登録を潮目にいたしまして,日本で誰もが知っている,誰もが愛している富士山が世界遺産になった,日本の宝物から世界の宝物になったということで,世界遺産に対する関心,興味を持つ方が増え,それ以降,受検者が順調に増えたと私どもの方では分析をしております。
 また,世界遺産検定の活用について,御紹介させていただければと思います。まず,中学,高校ではどのように活用されているか。中学,高校におきましては,社会科の選択授業でありますとか,世界史,地理,総合的な学習の時間,異文化理解学習といったところで,団体受検で導入されているケースが多いです。また,認定者には全国200を超えます大学,短大等の入試におきまして優遇措置がとられる。例えばAO入試でありますとか,推薦入試でありますとか,そういったものの優遇措置を受けることができるということもございまして,受検者が増えてきております。
 また,大学,専門学校においては,観光分野でありますとか,国際分野,外国語等々の学部やコースで授業導入や団体受検を実施しておるところが多いということになります。
 また,就職活動では,観光,国際,外国語,こういった学部,コースの中には,将来旅行会社に入って活躍をしたいとか,観光業に従事したいと思っておられる学生も大勢いらっしゃいます。例えば旅行会社の,JTBでありますとか,近畿日本ツーリストでありますとか,日本を代表する旅行会社の新卒採用のエントリーシートの資格の欄には最初から世界遺産検定が刷り込んであるという措置もとられておりまして,旅行業,観光業を目指す学生が世界遺産検定を受検することも多いということでございます。
 また,旅行業,観光業に限らず,世界遺産でございますから,就職活動においては海外,その他,幅広い分野,例えば私は海外関係に興味がありますとか,国際的なことに関心を持っていますとか,こういったところの自己アピールをするために世界遺産検定を受検して,面接等々の自己PRに使っていらっしゃる学生さんも多いということで,受検者が増えてきております
 また,大学,専門学校におきましては,受検するばかりではなくて,受検後に修得した知識を深めるためにテーマを設定いたしまして研究発表を行ったり,グループ学習を行ったり,あるいは討論を行ったりという形のアクティブ・ラーニングを実践している大学,専門学校もあります。
 それから,通信制の学校というものがございますけども,通信制学校は随分と昔から世界遺産検定の団体受検を導入していただいているところが多くあります。なぜかということを先生方に聞いてみましたが,まず,世界遺産というテーマが学生にとって非常に興味,関心を引きやすく,意欲的な学習の取組が見られるということがありました。
 また,もう一つは,通信制の学校におきましては世界遺産検定の3級を最初にお勧めしますが,今,全世界に世界遺産というものは1,031ございます。その1,031のうちの100物件の世界遺産をきちんと勉強すれば合格できるというラインが,世界遺産検定の3級となります。ですから,適度な時間,適度な労力できちんと勉強すれば合格できる検定ということがございまして,きちんと勉強して認定された学生にとりましては,自信につながったという声を聞くことが多くございます。また,検定を通じて学生同士のコミュニケーションが図れ,社会を生き抜く力の養成にもつながっているという評価を頂くことも多いです。
 それから,企業での活用ですが,旅行会社等々でここに例を挙げさせていただきます。本日,私の後にANAセールスの石井さんの御発表がありますが,実はANAセールスも世界遺産検定の団体受検を導入していただいている企業様です。現在の旅行業界の現状といいますと,インターネットの普及によりまして宿泊や交通機関を自分で手配する人が増加しております。そうなると,旅行会社に求められているものは何かということになると,旅行先の多様かつ高度な提案になります。多様かつ高度な提案の中に世界遺産が必ず入ってくる形になりますので,この世界遺産検定の知識,そこで学んだ教養等々が旅行会社の添乗業務,カウンター業務,コールセンター業務,あるいは旅行企画,そういったところで生かされるということになっています。
 次に,地域での活用例といったものを挙げさせていただきます。実は認定者の方々が,文化財・異文化交流関連のサークル活動を行っているというケースがございます。また,生涯学習の観点から,各拠点におきまして世界遺産の講師をしているところもございますし,世界遺産に限らず,地元の文化財,地元にある大切な財産,そういったものの観光ガイドをなさっている方も認定者の方には多いです。
 私ども世界遺産アカデミーも,こういった地域での活動を認定者の方に後押しをするために,世界遺産アカデミーの認定講師制度という制度を作っております。こちらは最上級のマイスターを取得いたしますと,世界遺産アカデミーの主催する認定講師研修を受講していただくと,世界遺産アカデミーの認定講師として登録をされることになります。登録された先生方というのは,当然のことながら,世界遺産の学習をずっと続けていかなければいけない,新しい物件ができれば,それも勉強しなければいけないというところで,学習を継続することになります。また,活躍する場を私どもの方でも提供しているということもございまして,認定講師制度を活用されておられる方もいらっしゃいます。
 実は,仕事を終えられた御年配の方というのも非常に多いのですが,そういった御年配の方に関しましては,日常生活の励みとなったり,あるいはリタイアした後のライフワークになったりと,世界遺産学習を続けておられる方も多いです。
 ここで大きく話は変わりますが,今回与えられたテーマの一つでもございます,今非常に話題にもなっている検定試験の評価について,私どもなりの考え方を述べたいと思います。飽くまでも私ども事業者としての立場から述べさせていただくということですので,それを踏まえてお聞きいただければと思います。
 私ども,検定試験を行っている事業者といたしまして,いろいろな形で期待をすることがございますけども,こういう形で分けてみました。
 まず,企業や自治体の方に期待することということがございます。これは検定に関する正しい知識を身に付けていただきたいということでございます。そうしますと,人事や採用担当者の方が適正な人材のマッチング,この人はこういう知識を持っている,世界遺産検定を勉強するとこういう知識か身に付くということを理解していただけるということを期待しております。
 また,学校現場に期待することとしましては,個性が多様化している現在の社会におきまして,単に学力試験だけでは測れない,その個人個人の個性,適正,才能,あるいは得意分野,そういったものを発見するツールにもなることができるのではないかと思っております。また,検定の成果も含めた学習成果のパーソナルポートフォリオも形成することができると思います。
 また,国や地方公共団体の方に期待することということがございまして,検定の活用事業を発表する機会等々を私ども検定事業者にお与えいただければ,ますます活用が広がるのではないかというところもございます。また,個人情報や現金の適正な収集・管理を国が定めたガイドラインを策定していただく。実は,これは団体受検を実施する際に障害になっているところもございます。個人情報を触りたくない,現金を触りたくないということで,なかなか団体受検を実施してくれないという団体もございます。ただ,正しくルールを守って個人情報や現金を扱えば何も怖いことはないということがクリアできれば,団体受検の方も大分増えますし,検定を活用していただくケースも増えるのではないかと思います。
 それから,評価の意義につきまして,自己評価,関係者評価,第三者評価と分かれておりますけども,まず私どもが考えますには,自己評価は継続的に事業を行っていく上で十分に役に立っていると思っております。ただ,更新については頻度が決まっていないということでございます。世界遺産アカデミーでは,文部科学省の後援申請の際,年に1回という形で頻度を決めて更新をしています。
 関係者評価ですが,御存じのように,検定をほかの検定の方が評価するという形になりますが,これは検定の内容とか運営への理解が必要だということもございますので,なかなか難しいと思っております。ただ,検定同士の情報交換の場を作っていただくというのは非常に有り難いと思っておりますので,そういった形で是非情報交換ができればいいと思います。
 第三者評価ですが,第三者評価というのは,基本的に,私ども検定の普及に当たっては非常に効果的と考えております。客観的な評価制度がありますと,まず受検者の方が安心して受検ができますし,かつ,私ども事業者の方も安心して,自信を持って検定受検を勧めることができるという大きなメリットがあります。つきましては,その評価基準のサンプルとか実施方法,コストの目安などを今後提示していただければ,より具体的な議論が深まるのではないかと思っております。
 最後になりますけども,自己評価,関係者評価,第三者評価を含めた評価全体の体系ですが,それぞれの目的や役割を明確にして体系化したガイドラインを作るべきだと思います。我々が考えるガイドラインといたしましては,自己評価は,飽くまでも検定の質的向上や改善を目指して内部で実施するもの。第三者評価は,社会的な保証を求め,活用を促すということで公開を前提とするものだと思っております。
 以上,駆け足でございましたけども,御説明をさせていただきました。私どもは世界遺産検定を行っておりますが,世界遺産検定に限らず,各種検定,今たくさんありますが,そういった検定がそれぞれの興味,関心,そういったものに分かれている中で多様化して,かつ,より受検者が増えて社会で活用されるということを心から願って発表を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【菊川部会長】
 猪俣事務局長,どうもありがとうございました。
 では,続きまして,ANAセールスの石井主席部員からお願いいたします。

【石井主席部員】
 改めまして,本日はこのような会議にお招きいただきまして誠にありがとうございます。私はANAセールスの総務人事部というところにおります石井と申します。本日は一企業の立場で,検定試験をどのように活用しているかということを簡単にお伝えできればと思っています。
 まず初めに,ANAセールスとANAについて,簡単に触れさせていただきます。御存じのとおり,ANAは航空運送事業をしている航空会社です。航空会社の中で航空券の販売なり旅行を販売する会社ということで,ANAセールスという会社がございます。ANAセールスは2002年にできた比較的新しい会社で,従業員が1,600名ほどおります。1,600名のうちの半分がANAの航空券を旅行会社や企業に販売する会社です。この中の800名ぐらいが,ANAの航空券を使った旅行商品を作っている会社になります。この旅行商品を作るときには,先ほども猪俣事務局長からありましたとおり,世界遺産を盛り込んだ旅行商品を数多く作っておりますので,そういう面では,世界遺産検定を受けるということが事業に直結するような形にもなっております。
 その中で,検定試験の受検の経緯ですが,まず,2009年ぐらいまでは実は体系はありませんで,一部の職場で散発的に勧めたりして受けていたケースがありました。2010年から受検料と教材の還付を実施するようにしています。こちらは合格したら受検料を免除するということで,受検を全社的に周知するようになっていきました。2011年からは,具体的に,直接お客様と接するカウンターの担当者,旅行に出掛ける添乗員やツアーを作る担当者などに積極的に会社から働きかけをしています。また,合格者については,社内報などで,合格しましたということや合格のポイント等を掲載するようにしています。また,社長はじめ,経営者からも受検をするように働きかけをしました。
 それが具体的に数値として出てくるのが,2013年からになります。経営指標の中に検定合格者を何名達成するといった目標値を入れるようにしております。
 2014年からは,世界遺産検定の団体受検ということで,弊社の沖縄支店等で事業所内に場所を設けて受検をするようにしています。このような形になってくると,大分職場間でも,自分のところが頑張ってほかの職場に負けないということで受検者がかなり多く増えてきました。そういった結果も評価いただきまして,昨年度は世界遺産検定において文部科学大臣特別賞というのを企業として頂くことができて,大変感謝をしております。
 検定試験の合格者数を簡単に御説明しますと,今,2015年で,単年度ですけれども,世界遺産検定で85名の合格者が出ました。今のところ,累計で289名の合格者がいます。弊社の特徴としては,マイスターから3級まで幅広く合格者がいます。残念ながらこのマイスターの方は定年退職を迎えられて,今,会社には所属をしていませんが,引き続き1級の受検者からまたマイスターに出ていくように今会社では努力をしています。社内では,このマイスターの方が大分活躍されて,社内ガイダンスということで,エリアを超えてでも,その方が出張して,全社で世界遺産検定の勉強会を実施するなど,社内で積極的な取組を実施してまいりました。
 また,このマイスターの方は,独自で過去問題から今年出る問題集も作られて,非常に社内でも対策をとってきたところでございます。
 弊社では各地に事業所がございますので,その地域ごとのご当地検定も受検するようにしています。今のところ比較的多いのが富士山検定ですとか,大阪のなにわ何でも大阪検定ですが,各地域の支店が積極的に受検するようにして,なるべく地元の商工会などとも密接に関係を持って,地域でプレゼンスを向上して結び付けようとしているということで,こちらもかなり評価しております。
 経営指標の目標達成状況ということで,2015年度,世界遺産検定,ご当地検定,旅行業界のJATAという組織がありますけれども,そちらのエリア・スペシャリストという検定のようなものがありますが,それも含めて目標値516名は合格者を累計で出していこうということで取り組んでおります。今のところ,今年は順調で635名の既に合格者が出ております。1,600人ぐらいの会社で世界遺産検定なりこういった検定を持つ人が635ということで,3分の1以上,半分に近づいておりますので,こういうところは16年度以降も目標を更に高めていきたいと考えております。
 最後に,検定試験に対する一企業としてのコメントでございますが,検定事業者の方に対しては,世界遺産検定様は非常に先進的で,各メディア等にも取り上げられていますので,こういったメディアの取上げがあると社内でも非常に認知度が高まって,受けてみようという気持ちが強くなりますので,是非そういうところは意識していただければと思います。ご当地検定では,比較的地域で実施するケースが多いので,そこの場所に行かないと受検ができないことが多く,大阪でも福岡でも沖縄でも検定がありますが,基本は現地に行かなければいけないということがありますので,現地に駐在している者にとってはいいですが,なかなかほかの地域から受けに行くのが難しいという課題があると思っています。そういうところは是非インターネット上での受検など,工夫をしていただければと思っています。
 ご当地検定は,かなり濃淡があって,地元の自治体がすごく強く押しているところと,そうではないところがありますので,是非自治体と商工会議所等が一体となって取り組んでいただければと思っております。
 評価にもつながる点だとは思いますが,検定試験がひと目で分かるリスト等があると非常に助かると思っています。評価の結果を一つ一つ見て分析するのもいいですが,なかなかボリュームも多くありますので,ひと目で見て分かりやすいリストなり評価一覧表というのがあるといいと思っています。
 そういう中で,是非リストに含めていただきたいのが検定試験の内容,テーマ,分野,もし可能であれば例題ですとか,過去問題集,どのぐらいの点を取ったら合格するかといった合格率などが受検の目安になると感じております。
 生涯学習という点でいくと,先ほど世界遺産検定様にもございましたとおり,シニア人材を講師として活用できれば良いと思います。マイスターの方が講習を受けて,各地域での講師になれるといった制度は生涯学習の点ではメリットが非常に高いと考えております。残念ながら弊社を退職した1人のマイスターの方も,今,世界遺産検定にもお世話になって,一部,講師のお手伝いなどもしていると聞いております。退職後もこれからも勉強していこうという気持ちがかなり高くあって,必要に応じて,会社に戻ってきていつでも先生をしていただけるとおっしゃっていますので,そういったところはうまく循環をしているのではないかなと思っています。ですから,検定事業者の方には,再雇用ではないですが,退職後の講師制度というのも是非幅広く作っていただければと考えています。

【菊川部会長】
 石井主席部員,どうもありがとうございました。
 では,三人目のアップコン株式会社の松藤取締役,よろしくお願いいたします。

【松藤代表取締役】
 アップコンの松藤と申します。よろしくお願いいたします。
 検定試験の活用等に関する発表ということで,私たちが利用しております日本語検定の活用について発表させていただきます。タイトルは「報告書の「文章能力」を上げるために」です。
 まず始めに,私たちのアップコン株式会社の概要を簡単に説明させていただきます。そして,その後に,日本語検定をどのように利用し,どのような成果があったのかを,御紹介したいと思います。
 私たちの会社は,地盤沈下や地震などが原因で沈んだコンクリート床を,特殊ウレタン樹脂を使って,短時間で修正する施工会社です。工場や倉庫,店舗,学校,住宅から,道路や空港などの公共工事まで,幅広く対応しております。
 私たちのような施工会社が,なぜ日本語検定が必要になったのかをお話します。仕事のフローとして,まず始めに,お客様より引き合いがきます。その現場が,私たちで対応できるかどうかを,お客様から頂く情報(図面や写真など)から判断します。お役に立てる可能性がある場合,どれ位沈下しているのかレベルを測量するために,また,施工する場合,工期はどれ位かかるのかを調査するために,現場にお伺いします。その結果を「調査報告書」にまとめます。その報告書を基に,施工になる場合の見積書を作成し,お客様に報告書とともに提出します。金額や条件が合えば,受注・契約となり,施工となります。
施工後,工事内容や考察,レベル測定結果図(施工前後のレベルがわかる図面)や写真を添付した「施工報告書」を作成し,お客様に提出します。私たちの成果物とは,調査や施工をやることではなく,「どういう状態だった建物をどういう状態にした」という記録を残すことです。例えば,建物を10年,20年,100年と長く使うときに,それまでの期間,どの時期にどのような補修を行ったか,記録が必要になります。それをお客様の手元に残していただくために,施工後,「施工報告書」という成果物をお客様に渡します。そして,私たちは報酬を頂くのです。
 「調査報告書」「施工報告書」は,現場に行った調査・施工責任者が作成します。しかし以前は,日本語検定を利用する前は,この報告書の文章の訂正が多くあり,完成までに非常に時間がかかっていました。具体的には,誤字脱字,わかりづらい文章になっている,などですが,極端なケースでは,違う意味合いの文章になっていることもありました。対応策として,社内で何段階かのチェック体制を作りましたが,チェック段階で修正が何度も入ることがあり,また最終的に,代表の私が内容を確認・押印をして,お客様に提出するのですが,それまでのチェック回数が多く,作成に時間がかかっていました。結果,お客様への報告書提出が遅くなるケースもありました。この問題を打開させるには,私たち個人個人の文章能力を上げる必要があると考えていました。
 ここで少し,日本語検定に出会った頃の話をしたいと思います。五,六年ほど前に,会社や現場紹介などをするために,私と社員数名がブログを開設しました。会社のホームページにリンクさせたのですが,投稿したものがそのまま公開されてしまいますので,当たり前ですが,正しい日本語で文章を作成しなければなりません。誤字脱字はもちろん,ブログ閲覧者に分かりやすい文章で書かなければ,会社自体のレベルが低いと思われてしまう可能性もあります。そこで,日本語検定が,本当に文章能力を上げることに役立てるのかを見るために,ブログを開設した私と社員数名で,まずは3級を受検しました。結果は,全員合格しました。
試験では,文法や語彙,言葉の意味,敬語,表記,漢字など,日本語に関するあらゆる出題があり,それぞれの領域から幅広く出題されます。各領域には基準点があります。全ての領域で基準点以上を取らないと合格点をもらえず,非常にわかりやすい基準になっています。また仮に,基準点に達しなかったときの理由も明確になっているので,これは勉強もしやすい。ブログを担当している者だけではなく,社員全員で利用すべきではないかと考え,再度日本語検定の受検をさせることにしました。検定は,6月と11月の年2回ありますので,まずは,6月から受検をさせることを,平成26年の当社の期の始まりの日である2月1日に発表しました。3級の場合,高校卒業程度のレベルの出題とあり,私たちの会社は,ほとんどの社員が大学卒業者ですので,3級は全員合格すると思っていました,結果は予想通りにはならず,社員にとって,しっかりと勉強をしないと合格は難しいとわかりました。よって,昨年の11月の検定までに社員全員3級合格を目標にしました。
 当社には,資格手当があります。建設業ですので,建設関係の資格,一級建築士や一級土木施工管理技士など,様々な種類の資格に手当を出しています。合格したら,受検料も会社が負担します。2年前の2月から,日本語検定も資格手当の対象にしました。1級を合格すれば,一級土木施工管理技士と同じ手当にしています。文章能力を上げるために,それだけこの検定に会社が力を入れているということになります。
 次に,日本語検定資格取得数についてお話します。グラフにあります通り,平成26年6月14日が,検定を受検させることを発表した2月1日の直後の検定日になります。発表前までは,2級と3級の受検者は合計3名しかいなかったのですが,この平成26年6月14日は,21名もの社員が受検をしました。合格者は,2級が1名,3級が7名でした。その後の検定も,受検者,合格者が徐々に増えていき,昨年の11月の検定が終わった地点で,2級取得者が6名,3級取得者が31名になりました。社員総数は39名ですので,全員3級合格の目標は達成していないのですが,現在,合格していない社員は,次の検定に向けて勉強をしています。受検する社員が増えたことは,資格手当の制度を設けたことも成果になっていると思っています。
 実は,この人数で受検し合格者を輩出していることが,日本語検定委員会の方に評価をされ,「東京書籍賞優秀賞(団体)」という賞を会社で頂きました。また平成26年11月8日の検定で,社員が3級で全国のトップで合格し,「文部科学大臣賞」という賞も頂きました。
 ここから,日本語検定を利用したことにより,報告書の文章能力がどのように上がったのかをお話しします。
 こちらのグラフですが,「図面作成時間の推移」「報告書作成時間の推移」「報告書確認回数の推移」の3種類を作成してみました。
 「図面作成時間の推移」は,半年ごとで,約150から200のサンプル数の平均値を取りました。それなりに数がありますので,そんなに振れない数字ですが,御覧の通り,日本語検定の合格者が増えても,図面の作成時間は変動がないことがわかります。実は,あえて最初に,このグラフを御覧いただきました。
 次の「報告書作成時間の推移」を御覧ください。統計を取るとき,成果が出ていれば良いなと思っていましたが,その通りの結果になりました。日本語検定の合格者と反比例して文章にかかる時間が減少しています。最初の半年間は,一つの報告書を作成するのに,平均7.87時間かかっていました。これは,約1日間の勤務時間とほぼ同じです。つまり,以前は,報告書を一つ作成するのに,図面作成もプラスされますので,1日では完成しないということになります。ところが,日本語検定を受検することで,文章能力が上がり,作成時間が半減しています。
 もう一つの「報告書確認回数の推移」を御覧ください。最初のころは,一つの報告書の確認回数が平均2.8回でした。これは約3回どこかのチェック地点で報告書の誤りがあり,修正していたことになります。報告書作成時間も,平均7.87時間かかっていました。それが,日本語検定の合格者と反比例しその回数が減少され,2.8回から1.4回に半減しました。
 最後にまとめになりますが,日本語検定という制度を利用させていただくことによって,私たちは社員の個人個人の文章能力が上がると同時に,会社の全体の効率化につながります。お客様に正しい日本語で,分かりやすい文章での報告書を提出することができますし,作成に何日もかかっていたのが1日,2日で,施工が終わればすぐ報告することができる。これは,お客様に対してのサービス向上にもつながるという,非常に良いスパイラルにつなげることができました。
 これからも,私たちは日本語検定を通して,当たり前のことのように思っていた日本語を見直して,きちんと利用させていただければと思います。ありがとうございます。

【菊川部会長】
 どうも松藤代表取締役,ありがとうございました。
 三つのすぐれた活動の取組を御報告いただいたと思っております。では,それぞれ今の御発表について御質問,御意見等,自由にお願いいたします。では,清原委員,お願いいたします。

【清原委員】
 三鷹市長の清原です。本日は3名の方から大変意義ある御発表を頂きまして,心から感謝します。
 3名の方の発表の中から浮かび上がってきたのは,この検定試験というものがそれぞれの皆様の学習意欲を喚起していることと同時に,例えば入学試験,AO入試において意義を持っていること,あるいは就職の際にその人の努力を評価するものとして効果があること,またさらには,就職後働く上でこの検定試験が一定の能力向上に影響があるということが明らかになったと思います。
 松藤代表取締役に質問をさせていただきます。先ほどは,例えば一級土木施工管理技士の資格手当と同じ金額を日本語検定1級資格手当にも出されているというように,正に社長のリーダーシップの中でこの検定試験への意欲が喚起され,実際に最後の方で,「報告書の作成時間の短縮や確認回数の減少」という,量的な効果というものが顕在化しました。これは量的な効果で明らかだと思いますが,会社を運営しているに当たり,例えば社員の皆様のチームワークであるとか,あるいはお客様との対応におけるクレームの減少というような質的な面での効果についてお感じのことがありましたら教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

【松藤代表取締役】
 質的というか,チームワークというか,例えば営業担当者が,会社にかかってくる電話をとります。その際,周囲の同僚が,きちんと話ができているのかと,その対応を聞くようになりました。そして,電話終了後に,対応について気付いた点を指摘します。例えば,「弊社の社長は」のことを「弊社の社長様は」と間違った対応のときなどです。このことで,営業担当者は,次の電話対応のとき,言葉に注意するようになります。社内の雰囲気は良いですので,この指摘は,半分楽しみながら行うこともあります。仲間のミスをみんなで共有して,これからみんなで間違わないようにしようと確認し合う。良い社風の中で,様々な対応の修正ができるようになりました。

【清原委員】
 ありがとうございます。正に業務改善の真髄といいますか,単に効率が上がるとか,業務が正確にいくということだけではなくて,業務の中で社員が日々向上していくという意味で活用されているように感じました。ANAセールスも恐らくそうしたことを念頭に置いて取組をされていると思いますので,こうした検定試験の活用について,より一層,この部会での検討を踏まえてPRがなされれば望ましいと感じました。どうもありがとうございます。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。ほかはいかがでございましょうか。藤田委員,お願いいたします。

【藤田委員】
 貴重な御報告,ありがとうございました。
 二つございまして,世界遺産検定の方に御質問したいのですが,義務教育の中で使われているということの御報告がございました。中学校レベルというところで,何級の方を目指されているかということと,指導に対しまして学校の教員が関わっていると思いますが,教師に対するトレーニングや研修等のシステムがおありなのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
 それから,最後に御報告されました松藤代表取締役に質問ですが,実際のところ,企業内教育といいますか,企業の中で人を育てるというところで御利用なさっているという検定の御報告だったと思います。今後に向け,この検定をお持ちの方を採用されるということを視野に入られているのか,それとも現状のように,検定の有無に関わらず今の採用基準で採用されて,その後,人を育てていくための検定という形の活用方法を目指されているのかというところをお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
 猪俣事務局長の方からお願いします。

【猪俣事務局長】
 まず一つ目の御質問がございました中学校に対して,私どもの検定は先ほど申し上げました,5段階になっておりますが,一番土台になります4級というものが中学,高校向けと位置付けております。これは世界遺産44物件を扱っておりまして,入門編,まず世界遺産に触れてもらおうという位置付けです。
 中学,高校に団体受検を勧めていく場合は,まず社会科の主任先生にアポイントを取りまして御説明に上がるということがあります。ですから,もともと社会科で世界史とか日本史とか現代社会とか,そういったところを教えておられる先生にまずお勧めに上がりますので,特に教えるとか,そういう研修を開くということは,中学,高校ではやってはいません。ただ,その先生方に世界遺産をこういう形で教えてはいかがですかとか,こういう形で教えた方が効果的だと思いますといった形の資料等は作りまして,それを配付するなり,ホームページに上げるなりして対応しているというのが現実でございます。

【藤田委員】
 重ねてお尋ねしますが,中学生では,団体受検と個人受検,どちらの方が今多い状況でしょうか。

【猪俣事務局長】
 中学生ですと,これはもともと団体受検の4級を始めたのが一昨年の7月でございまして,まだ1年半ぐらいしかたっていないということもございますので,それまでは基本的には個人受検の方が多かったということになると思います。ただ,1年半たちまして,文部科学省の後援も頂きまして,徐々にではございますけれども,中学,高校の団体受検が確実に増えているということは自信を持って言えます。

【藤田委員】
 団体受検の費用面ですが,団体受検と個人受検では,費用面は相当差が出るのでしょうか。

【猪俣事務局長】
 団体の方は,団体受検割引制度といったものを適用しておりまして,団体受検である一定の人数以上をお集めいただきますと割引を適用させていただいて,準会場としてその学校内で受検をしていただいているという仕組みになっております。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。では,松藤代表取締役,お願いいたします。

【松藤代表取締役】
 検定資格を持っている人を採用のときに優先するのか,あるいはその有無に関わらず,入社してから取得してもらうのか,という意味の御質問だったと思います。選考のとき,日本語検定を3級以上取得している人は,優遇としています。ただし,取得していたとしても,必ず採用になるとは限りませんが。私は,今いる社員や採用した新しい社員に対して「勉強しなさい」とは言いません。しかし常に伝えているのは,会社はみんなの親でも先生でもない。ただ,努力する人は会社が資格支援などでバックアップするということです。これは日本語検定だけの話ではないのですが,資格試験を受けるときは,そのことをまず宣言してもらいます。受検することを宣言せずに,合格した後に,その報告をした人には,支援はしません。事前宣言することで,合格してみせるという勉強をするモチベーションを上げ,合格を目指してもらうためです。その頑張りを会社が評価して,支援を行っています。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。では,高見委員。

【高見委員】
 株式会社イトクロの高見でございます。御発表,ありがとうございました。
 お二人にお伺いできればと思っておりまして,まず石井主席部員に,成果があるとお考えなので,この世界遺産検定を選んでおられるかと思いますが,それ以外の検定を取り入れようとお考えになったことがあるかどうかということと,この検定を取ることの意義を,それは知識の量が増えるから成果が出ているという捉え方なのか,その取組姿勢,何らか検定試験を受けるという姿勢が変わるからここの検定試験に意義があるという捉え方なのか。評価の軸というのが何かというのと,冒頭に申し上げました,もし検討をされている試験の中で同様の効果があるとお考えでいらっしゃる検定があるのであれば,それはどういう検定で,どういう理由によるものなのかというのをお教えいただければと思っております。
 続きまして,松藤代表取締役に質問です。私も企業でメンバーの赤入れを毎日していますので,日本語検定をやらせようと思いましたが,その資格取得の支援をされるときの値付けというのをどのような試算をされているのでしょうか。それはこれだけ手戻りが少なくなる,若しくはそれにかかる時間,校数が減るので,それが会社にとってはこれぐらいの収益を生み出すので,それを逆算すると年収のアップになったとしてもペイするという取組なのか,それ以外に資格の支援も,資格手当はすごくたくさん出しておられますので,何をどう見比べてこの金額を決めておられるのかということをお伺いします。よろしくお願いします。

【菊川部会長】
 では,石井主席部員からお願いいたします。

【石井主席部員】
 まず1点目の検定試験を受ける意義ですが,そこは実は両面あるような形になっていて,どちらのみという形ではない。知識が増えてお客様に幅の広い旅行商品の提案ができ,旅行商品を作るということでは,知識面を豊かにするということの意義で受検を推奨しています。
 あともう一つは,姿勢が変わるというのもあります。当社の普遍的な目標では,チャレンジ精神の豊かな人を支えていこうということがございまして,何でも自分で考えて自分の意思で挑戦してみるというところからいくと,こういった検定試験をあなたが受けたのだったら,私も受けてみようとか,この部署が10人受かったのだったら,うちは11人を目指そうとか,そういった自発的な競争がありますので,知識の面と姿勢の面,両方ともあると返答したいと思います。
 もう1点の世界遺産検定以外でどういった検定を受けているかということで,具体的な検定の中で,世界遺産検定ほど集中して検定を受けるものは今のところない状況ですが,各地にありますご当地検定というのは,日本国内の旅行商品を作ったり,案内したりするときには必要なので,散発的ですが,自分で探して受けてみたらどうかというような形になっています。東京では比較的受検者も多いですが,東京で仕事をしている人が沖縄のことを知るとか,北海道のことを知るという面では,各ご当地検定も自分で探して受けてというような形で,余り会社として何を受けなさいというような指定にはなっていませんが,自主的にそこは考えてやっているというところになります。

【菊川部会長】
 では,松藤代表取締役,お願いします。

【松藤代表取締役】
 資格手当についてですが,対象になるのは仕事に関係のあるものです。
 また,何で資格や検定試験を取りなさいと言っているかというと,建設業における我々の位置付けというのは,非常に狭い範囲の仕事をやっています。ところが,対応するお客様は,逆にありとあらゆる建物を所有しているので,そういう建物はどういう形で建っているとか,どういう構造なのか,そういうことを知るために,自分たちの仕事を一生懸命やるだけではなくて,例えば一級建築士の勉強をすれば,ダムはどうやってできているとか,ビルはどうやってできているとか,そういうところまで勉強することによって,それがお客様との会話のときに直接役立つということで,資格を取ることを推奨しています。
 また,会社に入社すると,井の中のかわずのような状態になって,会社の中で普通にやっていれば普通に暮らしていける形になると,資格を持っていない人間がどんどん増えてしまう可能性がある。そうすると,建設業というのは資格の数で評価点が付けられますので,そのときに不利になる。そうならないように,会社がバックアップして,資格手当に価値を見いだして額を設定しております。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。非常に魅力的な話でございますが,次の議題に移らせていただきたいと思います。お三方,本当にどうもありがとうございました。
 では,今までの議論,あるいは本日の事例も含めまして,次の議題に参りたいと思っております。
 では,事務局から資料2について御説明お願いいたします。

【助川民間教育事業振興室長】
 続きまして,議題2,資料については2‐1と2‐2を準備しております。2‐2は総会にお配りした資料からの変更点を見え消しにしたもので,資料2‐1が審議経過報告の素案のうちの検定試験に関する部分だけを抜粋したものでございます。それから,本日御欠席されておりますが,柴山委員から事前にお送りいたしました資料に関しまして御意見を頂戴いたしました資料を机上配付しております。
 それでは,資料2‐1,溶け込んでいる方に基づいて,大きく変更された箇所,特に御議論いただきたい箇所について御説明申し上げたいと思います。
 ページをめくっていただいて,1ページ目でございます。検定試験の意義として,一つ目と二つ目の丸において,国家資格,国家試験等のほかの枠組みと比較して,民間による検定試験が,例えば,それに合格していることが特定の職業等に従事することの要件とはされていないけれども,学習の成果を評価するものとしてさらなる活用が期待される旨を追記しております。
 また,1ページ目の一番後の丸でございますけれども,民間の検定試験を実施することには特段の制限がなく,そのために民間の検定試験は極めて多様であること。そして,次のページ,2ページ目の一つ目の丸でございますけれども,そのため,民間検定試験を適切に活用するためには検定試験の質の向上を図り,検定試験の社会的認知,社会的活用が進むことが重要であることを追記いたしました。
 それを踏まえまして,特に御議論いただきたいものとして,次の丸のところ,本報告書で取り扱う検定試験について,二つ目の丸の下のところでございますけれども,「本答申で扱う「検定試験」は,特に,学習者の学習成果を測定するもののうち,法令等に基づかずに,民間の団体が実施するものを指すものとする」と限定したものを資料としてございます。
 続きまして,2の「検定試験の評価及び情報の公開」でございますけれども,ページをおめくりいただきまして,3ページに「検定試験の自己評価」というのがございます。こちらについても,前回の御発表いただきまして表現を膨らませておりますけれども,項目として,墨付き括弧「評価する項目」というのと,4ページの冒頭の「評価の実施回数」と分けております。4ページの「評価の実施回数」でございますけれども,こちらは全く新しく追加させていただきました。検定試験の自己評価シートに基づく自己評価については,「1事業年度に少なくとも1回は実施することが求められる」と書かせていただきました。後ほど申し上げます第三者評価の実施回数とともに,併せて御議論をいただければと思います。
 続きまして,(2)の「検定試験の外部評価」の丸1の「第三者評価」でございます。ページをおめくりいただきまして,5ページ目の冒頭の「評価結果の公表」のところをごらんいただければと思いますけれども,2行目,第三者評価の評価結果につきまして,検定事業者,第三者評価の実施機関において公表することが求められること,その次の段落で,国におきましても,検定事業者・第三者評価機関が公表する評価結果が,広く検定試験の受検者・活用者に周知されるよう促すための取組が求められる旨を追記させていただきました。
 続いて,5ページからの次のところから6ページに掛けて,「評価する内容・項目」については大きく書き加えさせていただきました。こちらについては,幅広く御示唆を頂戴できればと思います。5ページ目の下から四つ目の丸のところでございますけれども,2行だけある段落,評価の項目は「検定試験の運営・組織に関する項目」と「検定試験の試験問題に関する項目」と大きく分類しております。
 それで,その次の丸,下から三つ目の丸でございますけれども,こちらにおきまして,「検定試験の運営・組織に関する項目」については,検定事業者の規模・目的等に関わらず評価の対象とすべきではないかとしております。こちらの点については,前回の案から変更はしておりません。
 最後の丸,5ページの一番後から6ページにかけての丸でございますけれども,こちらにおきまして,検定試験の活用者にとって検定試験が測定する知識・技能が重大な関心事項であることと,一方,様々な分野の専門家をそろえて専門的な知識・技能の妥当性を適切に評価することはなかなか困難を伴うことを,まずこちらで書いております。このため,6ページの一つ目の丸でございますけれども,試験問題の知識・技能の専門性に関しては,まず第一義的には検定試験の実施者において,検定試験が測定しようとする知識・技能と,その活用が想定される場面に合わせて,例えば,学習指導要領,特定の職業で必要とされる知識・技能等,こういうものの関係について,自ら点検して積極的に情報を公開することが求められるのではないかということを書かせていただきました。
 その次のところで,「その際」としておりますけれども,試験問題の作成に当たる体制等の状況につきましては,検定試験の試験問題に関するものとも言えるのですが,作成体制につきましては,先ほどの分類で,「検定試験の運営・組織に関する項目」の一環として,全ての検定試験について第三者評価の対象とすることが考えられるのではないかという旨を書かせていただきました。
 続きまして,その次の二つの丸でございますけれども,例えば,前回御意見発表いただきましたけれども,テストに関する理論に基づく評価というものが,その分野,検定で測ろうとする知識・技能の専門性と独立してテスト理論に基づく評価はできるのではないかという考え方,及びテスト理論に基づく評価も分野の専門性とリンクしているのではないかという考え方がある旨を,まず第1文で書かせていただきました。また,第2文といたしまして,現状,多くの検定事業者,第三者評価機関において,この理論に詳しい人材を得ることはなかなか困難ではないかということを追記いたしております。
 これを踏まえまして,特に御議論いただきたいのですけれども,6ページの墨付き括弧の「評価者」の1個上の段落でございます。こちらにおいて,検定試験の試験問題に関する部分のうち,試験問題で測定する知識・技能の専門性の評価ですとか,テストに関する理論に基づく評価,こちらにつきましては,各第三者評価機関の方々が第三者評価機関としての専門性を発揮して,競争する部分として位置付けることが適当と考えられるのではないかとしております。
 続いて,6ページの一番後の「評価者」のところですけれども,次のページの7ページの冒頭のところにおきまして,組織・運営の評価については,会計と法令の専門家を必ず含めるべきではないか。また,試験問題の評価につきましては,テスト理論の専門家あるいは当該分野の専門家などを必要に応じて加えるということが考えられるのではないかということを追記しております。
 続いて,その次の墨付き括弧の「評価の対象とする検定試験」でございますけれども,この一つ目の丸におきまして,文部科学省の後援をお受けになろうとする検定試験ですとか,就職,進学,社会参画等広く社会で活用されることを目的とする検定試験については,第三者評価を受けることが必要であるのではないかという旨を追記させていただきました。
 また,併せて次の丸におきまして,検定試験の特性に配慮した基準を設けることの必要性とともに,負担が過大にならないようにする必要があるのではないかということについて追記しております。
 続きまして,8ページの一番初めの「評価の実施回数」,こちらも新たに項目を起こさせていただきまして,特に御議論いただければと思います。評価の実施回数につきましては,この段落の4行目,「そのため」のところですけれども,検定試験の評価を有効に行う観点からは,「検定試験の運営・組織に関する項目」の評価は2事業年度につき1回実施して,試験問題で測定する知識・技能の専門性の評価ですとかテストに関する理論に基づく評価については1事業年度に1回は実施することが考えられるのではないかとしつつ,ただし,評価の実施回数については,検定実施者の円滑な業務運営ですとか負担への配慮も必要ではないかとさせていただきました。この実施回数については特に御議論いただきたいと存じます。今,机上配付いたしました柴山委員からの御意見でございます。柴山委員から,ここについて御意見を頂戴いたしました。先ほど申しました「検定試験の運営・組織に関する項目」については2事業年度につき1回と原案は書いておりますけれども,例えば,基本的には3事業年度に1回として,検定事業の規模,目的,特質等に応じて,その頻度に幅を持たせてはどうかということが1),1点目です。
 2)といたしまして,もう一つの試験問題で測定する知識・技能の専門性の評価やテスト理論に基づく評価を行う場合については,1事業年度に1回としつつも,ただ,通常は検定事業者がそれに関する統計指標を文書として公表すれば足りることとして,ただ,何年かに一度は抜取り調査的に第三者評価機関がテスト理論に基づいて,その試験問題が十分な品質を有しているかを評価することとしてはどうかというようなコメントを頂戴しておりますので,御紹介申し上げます。
 続きまして,その下の「第三者評価の機能」のところでございますけれども,8ページ目の真ん中あたりからでございます。まず,その中の一番下の丸を見ていただければと思います。こちらで,第三者評価の位置付け,これまで明確に書いてきませんでしたが,「検定試験の自己評価の上に,直接の利害関係を有しない専門家等が検定試験の評価を行うことにより,検定試験の質の向上や改善を図る検定事業者の自律的な取組を促し,また,検定試験を担う人材を育成することによって検定試験を育成する取組」と検定試験の第三者評価を位置付けております。
 この人材の育成ということに関わりますが,恐縮ですけれども,二つ上の丸に戻っていただければと思います。「第三者評価の機能」の二つ目の丸の,「また」で始まる段落でございます。こちらも御議論,御示唆を頂ければと思うポイントですけれども,第三者評価を行うに当たり,第三者評価を行うチームができると思われますけれども,第三者評価を行うチームに検定事業者自身のスタッフにも,その評価者のチームに入ってもらうことが考えられるということを前半で申し上げておりまして,ただ一方,評価者のチームには検定事業者のスタッフは入らずに,第三者評価機関が第三者評価を進めるに当たって,検定事業者のスタッフと協議しながら進めることも考えられると,両論併記という形で書かせていただきました。こちらについて,どのような形で検定事業者が入っていくのか,入っていかないのか,どういう形で評価のチームを作っていけばいいのかということについて御示唆を頂ければ幸いでございます。
 続きまして,丸2の「関係者評価」,8ページ目の終わりからですけれども,関係者評価につきましては,これまでの議論で課題が多く指摘される一方,ただ,もちろん関係者評価のメリットも御指摘いただきましたけれども,関係者評価の利点は,自己評価あるいは第三者評価の取組によって,ある程度達成できるものではないかと考えさせていただきました。そこで,9ページ目の二つ目の丸のところでございます。試験問題の内容等を評価することが考えられるとの指摘がありましたけれども,三つ目の丸のとおり,この点につきましては,検定事業者自身が自ら公表することが求められている。そして,その際に,検定事業者の方々の御判断によって,例えば,他の検定事業者の評価を受ける,あるいは自己評価の中で当該分野の,その分野の専門家の評価を受けることをされながら,検定事業者自身が自ら公表することが考えられるのではないかとしております。
 これを踏まえて,(3)の二つ上の段落でございます。「これらを踏まえ」のところでございます。検定試験の評価の体系においては,国としてのガイドラインのようなものを作るときの体系においては,関係者評価を位置付けないとしつつ,ただ,同じ丸の後段のところでございますけれども,検定事業者の自主的な判断によって取り組むことは当然有意義であること,及び,その次の丸におきまして,他の検定試験との情報交換等の自主的な取組はやはり期待されることを書かせていただきました。
 続いて,大きい3番の「検定試験の社会的活用の促進」でございます。こちらにつきましては,10ページ以降,まず,(1)の「検定試験の活用の意義」につきましては,先週の金曜日の御発表を踏まえまして,冒頭の活用事例を大きく追加させていただきました。さらに,10ページ目の下のところから始まる「検定試験の活用の促進方策」といたしまして,ページをおめくりいただいて,11ページのところ,こちらの活用方策は,「検定事業者に期待すること」「企業・地域等人材を活用する側に期待すること」「学校に期待すること」「国・地方公共団体に期待すること」を分けて書いておりますけれども,「学校に期待すること」のところ,一番下の方でございます。こちらについて,前回の御発表も踏まえまして,検定試験の結果を学校での指導に役立てることも期待されること,あるいは,基礎的な知識・技能を把握する上での役割も期待されることを追記させていただきました。
 また,最後のページ,12ページの冒頭,「国・地方公共団体に期待すること」といたしまして,以前の案では,最初の1行目の,国においては,検定試験の意義や活用の促進について広く周知・啓発することが求められるということだけ記述しておりましたけれども,例えば,以下のようなことが考えられるのではないかと考えまして,追記しております。まず,一つ目の丸の後段ですけれども,検定事業者と活用者が協働して検定試験を作り上げていくといいますか,質の改善,社会的活用をなさる,そういう取組を促すことが期待されるのではないかということが1点目。
 2点目といたしまして,二つ目の丸,この対話・協働の成果も踏まえまして,例えば,地方公共団体においては,学校の設置者として,各学校に活用のために必要な情報を提供するなどによって,各学校が検定試験を活用しやすくなる,そういうふうに適切な活用を促すことが考えられるのではないかとさせていただきました。
 駆け足で恐縮でございますけれども,資料2‐1は以上のようにさせていただきました。引き続き御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。今までの数回の議論を踏まえて,事務局でまとめていただいております。今後のスケジュールを考えますと,細かい表現等は,また個別にペーパー等でお出しになっていいと思いますが,幾つか確認いただきたいということで,今御説明いただいたように思います。
 繰り返しになりますが,一つは,2ページぐらいの,ここで扱う検定試験の定義の問題です。それから,6ページぐらいの第三者評価の内容,項目,8ページぐらいの評価の実施回数の問題,同じく評価の実施体制の問題,9ページぐらいの関係者評価の問題等々あるかと思います。時間が30分ぐらいということで恐縮でございますが,どこからでも,気付いたところからで結構でございますので御意見をお寄せいただければと思いますが,いかがでございましょうか。

【萩原委員】
 日本語検定委員会の萩原でございます。まず,検定試験の定義ですが,少し違和感がございます。定義が少し広過ぎるのではないかと思います。資格といった場合に,一般的には,国家資格,公的資格,民間資格と分かれると思います。資格という言葉でくくってしまうと,公的なものや国家資格も含んでしまいます。また,認定試験というと,高校卒業程度認定試験や教員資格認定も含んでしまいます。そのような点から,この定義では,今回検討している検定試験の範囲を超えてしまうのではないかと思います。平成22年6月の評価のガイドラインの試案にも定義が掲載されています。そこでは,検定試験というのは「一定の基準に照らして,合格,不合格,価値,資格などを決定する試験」とされています。例えば,「合格,不合格,価値,資格などを決定する民間事業者が主催する試験」などと変更して,もう特定すべきかと思います。
 別件で,第三者評価の実施回数ですが。8ページ目のところの実施回数のところで,実際に自己評価を実施している事業者の立場から,柴山委員の御意見に賛成です。3年に一度ぐらいのタームで第三者評価を受け,試験問題の内容に関しては,毎回又は毎年度,検定事業者が検定試験の実施結果を文章として報告する。そして,3年に一度は,しっかりと評価を受けるという方法が非常に現実的かと思います。
 関係者評価ですが,恐らく,最初にこの評価を考えたときに,まずは自己評価を実施して,それを広めて,その先にゴールとしては第三者評価があるが,その前にまず関係者評価でやっていこうという段階的に実施していくということだったのではないでしょうか。しかし,既に第三者評価の議論がここまで来て熟していますので,関係者評価というのは,答申案にもございますが,情報交換ができる場というオプションとして考えた方がいいのかと思います。
 それと,7ページ目のところの「評価の対象とする検定試験」というところで,最初の丸の3行目ですけれども,「特に,文部科学省の後援を受けようとする検定試験や就職・進学・社会参画等」とありますけれども,ここの第三者評価を受ける検定はどこまでかという,そこの範囲をどう決めるのかというところが気になります。例えば,先ほどのANAセールス様の発表の中でも,ご当地検定を社内でしっかり活用されていますので,そうすると,この範囲をどのように決めるのかという点は配慮が必要かと思います。

【菊川部会長】
 確認ですが,最初おっしゃった定義ですけれども,もう一度おっしゃっていただいていいですか。

【萩原委員】
 平成22年6月の検定試験の評価ガイドラインの試案の中に表記されています。そこには,「検定試験とは一定の基準に照らして,合格,不合格,価値,資格などを決定する試験」と定義されています。例えば,これを,「~を決定する民間事業者が主催する試験」と言う表現ではどうかと考えます。第三者評価の対象という点で考えると,公的資格とか認定試験まで入れると,非常に範囲が広くなってしまいます。この定義については,委員の先生方から,いろいろと御意見をいただければと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 藤田委員,お願いします。

【藤田委員】
 藤田でございます。今の意見にということではないですが,範囲の問題で,「学校に期待すること」というところで少しばかり危惧するところがございます。と申しますのは,今,検定についていろいろ御報告,御発表を受けているところで,義務教育機関でも検定を活用している面がございます。そのときの費用面ですが,自己負担という形を取られていると思います。となりますと,高等教育機関であれば,また話は別だと思いますが,義務教育機関の中で,学校に関わるお金のほかに学校の中で支払う費用が学習効果を上げる必要性から発生することになります。そのときに検定を推奨していく面,それから活用について期待していく面は今の社会において否めないと思いますけれども,小中学生たちが今,学校が団体として参加ということになってきますと,費用面で社会の中では,6人に1人が貧困状態にあるといったことが,様々なデータ指摘されているところです。少なくとも,学校というくくりのところですが,義務教育機関も「学校に期待すること」という中に含んでいるのか,というところです。ここの定義はとても難しいと思いますが,どのような形にしていったらいいのかというところは危惧するところでございます。

【菊川部会長】
 問題提起ということですね。
 ほか,いかがでございましょうか。先ほどの検定試験の定義ですけれども,22年6月には,このように書いてあります。「本有識者会議においては,用語の厳密な定義に関わらず,社会一般で通称的に使用されている検定や資格,認定試験などの用語も含め,広く学習者の学習成果を測定する,いわば物差しとしての役割を果たしているものを包括的に「検定試験」という用語で整理することとする」。事務局の方でどうぞ。

【助川民間教育事業振興室長】
 机上配付資料に,「「検定試験の評価ガイドライン(試案)」について(検討のまとめ)」をそのまま入れております。そちらをごらんいただければと思いますが,二つだけ丸がありまして,今,部会長がおっしゃっていただいたもの及び私どもの御提案の中に引用しているところが二つ目の丸でございます。「本有識者会議においては」のところでございます。
 先ほど萩原委員がおっしゃっていただいたのは,その一つ上のところで,広辞苑の定義を,検定試験,資格検定試験,検査というものについて引用させていただいておりまして,それの中の検定について広辞苑上の定義は,「一定の基準に照らして検査し,合格,不合格,価値,資格などを決定すること」となっております。平成22年のものの補足をさせていただきました。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。平成22年の用語の定義については,会議の中でも確認する必要があるという意見を私も言ったように思いますし,そのことを踏まえて,少し狭めて御提案いただいていると思います。
 益川委員,お願いいたします。

【益川委員】
 11ページの「学校に期待すること」の一つ目ですが,現在の書き方ですと,「多様な学習成果の測定のための一つの方法として」というような活用方法で出されています。是非ここを並列的に,測定とか評定のためだけではなくて,生徒の学習を促進する目的,測定と生徒の学習を促進する目的という両方併記の書き方にした方が良いと思います。今,こちらの視点ですと,教師がどうするかという視点ですが,生徒自身が高校とかそういう中でも活用しながら伸びていくためのツールという役割も入れていただければ良いと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。そのほか,先ほどの定義についての意見,あるいは評価の内容についての意見等ございましたら。

【高見委員】
 高見でございます。考えてはいたのですが,今回の検定試験の定義は一旦置いた方がよろしいと思っておりまして,平成22年の議論で言いますと検定の定義が非常に広いですが,国家資格や国家試験といったものは,ほかの力が働きそうな気がします。私どもが何らか意見を述べなくとも,ほかの何らかの制約なり向上しなければならないというような力が働くので,それはそちらにお任せする形でも良いと思います。ですから,生涯教育という中で,国民の方々がより活用しやすくするためにフォーカスを当てなければならないのは,ほかの力がなるべく働きにくいところに,私たちの限られた時間であるとか工数を掛けるというような考え方も一つあると感じております。
 あとは,実施回数についてですけれども,5ページの下から四つ目の丸に,評価の項目は,大きく「検定試験の運営・組織に関する項目」と「検定試験の試験問題に関する項目」に二分をされるというようなことがあります。私も賛成でございまして,このような分け方をするのであれば,「検定試験の運営・組織に関する項目」は毎年でも良いと思います。マーケットも変わりますし,改善もたくさん出てくるかとは思いますので,そこを定点観測して,毎年,運営・組織を改善していく。ただ,検定試験の試験問題は非常に時間も掛けて作り込まなければならないところでもありますので,これは毎年というのは非常に難しく,受ける側の方々の戸惑い等もあるので,こちらは3年なのか4年なのかというような,それ以外の様々なものの見直しが入っているかと思いますが,そちらをベンチマークして考えていくのが良いと考えております。
 最後に,8ページの「第三者評価の機能」の二つ目の丸で,第三者評価に検定事業者のスタッフが入った方がいいのか,入らない方がいいのかという議論がまだ不明確というお話があったかと思います。意見としては,個別事情であるとか,その検定試験ならではの何らかの特別な考え方もあるかと思います。全く関係者が入らないと,そちらがキャッチアップしにくいこともありますので,どう測るかということを決めていく,どう評価をするか決めていく段階においては意図が働きにくいので,検定事業者のスタッフの方に入っていただいた方が,より効率的になるのではないかと考えております。

【菊川部会長】
 質問ですが,一つは,今の回数について,萩原委員の方で御意見があれば,もう一度お願いしたいということと,先に私の方で,スタッフが評価に入るかどうかというところですが,評価をすることは評定をすることになりますが,通常,第三者評価というのは客観的に評価するという,通常はそうなので,評価者と評価される者が一緒に評価をすることについて一般的な評価として違和感があるのですが,いかがでしょうか。

【高見委員】
 評価項目を決めるというのと,その項目に照らし合わせて,A,B,Cなりの評価を行うことを分けて,評価項目を決めることに関しては,ある程度そこに明るい知識があった方がいないと適切な評価項目にはならないので,そこに入るべきではないかなという意味で申し上げております。

【菊川部会長】
 そうしますと,評定の場合は別だと考えてよろしいですか。

【高見委員】
 評定の場合は,企業の場合は当事者で評価をします。例えば,J‐SOXなり内部監査は会社の人間が評価をいたします。ただ,それでも不正が起こらないような評価項目で,イエス,ノーしか付けられない項目であれば,当事者が行っても問題はないのではないかとは考えております。ただ,どんな評価項目になるかが今見えない中で言うと,絶対に大丈夫ですと言うのは,少しリスクもあると考えております。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。回数について,今の御意見に対して御意見がございますか。

【萩原委員】
 本来であれば,両方とも2年か3年に一度の方が良いですが,ただ,テストの品質は,やはり担保することが実は検定事業者にとっては非常にプライオリティーが高いので,毎年やってもいいだろうと思います。ただ,その場合には,先ほどの柴山委員からの御意見のような,報告書という形で提出させていただいて,2年か3年に一度,またきちんとした形で評価を受けるというのが一番運用しやすいと思います。事業者の負担というところも考えますと,やはりそのぐらいが,様々な検定事業者がいますが,やれる範囲ではないかというのが現実だと思っております。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。では,宮井委員と加藤委員の順番でお願いいたします。

【宮井委員】
 ありがとうございます。私どもも検定事業者なので,実態と,そうあるべきではないかということについて,御意見を申し上げます。まず,先ほどの運営・組織の面から見ますと,通常は組織体制や規模はそんなに変わるものではないと思いますので,3年程度が適当と実感しております。短くて2年かとも思います。逆に試験については,本来,試験回ごとにやるべきものだと思います。実際に行っている検定事業者は,すぐにでもそういうものを,報告書という形で自己点検の結果を出せると思います。しかし,まだ取り組まれていないところは多いと思いますので,そういったところについては,猶予期間ではないですが,まず組織としての評価をした後に,そういう方向付けを示して,実際にそれに取り組んでもらって,徐々に自己点検をやっていっていただくとするのがよいと思います。やはり試験回ごとにやられる方がいいと考えます。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。
 加藤委員,お願いいたします。

【加藤委員】
 実施回数について,少し疑問があるのですが,第三者評価は,これは必ず受けなければならないというものでもないと理解をしていますが,そうであれば,片や,全く受けない検定事業者もあり,片や,何年かに一度必ず受けなければならないという,二つの制度が矛盾するような感じがします。そうすると,必ず受けなければいけないものというような印象を受けてしまうのですが,第三者評価を受けたら,その有効期限が,例えば2年,あるいは3年ということを決めれば,あとは事業者に任せればいい話なのではないかと私は思いました。

【菊川部会長】
 有効期限という概念は初めて出てきたように思いますが,今までの議論の中で,事務局で何かございますか。

【助川民間教育事業振興室長】
 回数についてですけれども,御提案は,運営・組織に関する項目を2事業年度に1回として,知識・技能の専門性については1事業年度に1回としておりますけれども,そこのもともとの考え方の一つとしては,先ほど,宮井委員がおっしゃったと思いますけれども,試験問題については比較的変わり得る,運営・組織については比較的永続性があることもあって,それで御提案では,運営・組織について試験問題よりも長いスパンにしていたところでございます。ただ,今,その他いろいろ御意見を頂いたところですので,また調整させていただければと思います。

【菊川部会長】
 どうぞ。

【岩本生涯学習総括官】
 今の評価の実施回数については,やはり具体的に評価を実施する事業主体の方で,システムの設計をする際に,評価を受ける検定事業者とかなり調整をして制度設計する必要があるかと思います。ですから,ここでこうと頻度を決めてしまうのはなかなか難しい面があるのかと私は思っておりまして,ですから,ここの文章のところでは,「ただし」ということで,評価の実施回数については,検定事業者の円滑な業務運営や負担への配慮も必要ではないかということを,文章はまだ良くないですが,そういうことにも配慮しながら評価実施者の方できちんと決めていく。詳細は委ねるという形にさせてもらった方が,実際どういう評価をするかによって,また,評価を受ける側も,どういう評価をするかによって,評価を受ける側の都合とかにもよって結論は変わってくると思います。

【菊川部会長】
 どうぞ。

【今野副部会長】
 大学の場合には認証評価という制度が法律でできていて,あれはたしか7年に一度でした。大学ということですので,組織的にもしっかりしているということがあって,自己点検評価は毎年やりますけれども,認証評価として第三者機関がやるのは大学の場合は7年ごとなので,今言われたように,どういう仕組みでやるかということによると思いますけれども,毎年とか2年に一度とかそんなに頻繁にやらなくてもいいのではないかと直感的には思いました。

【菊川部会長】
 ほかにいかがでございましょうか。
 宮井委員,どうぞ。

【宮井委員】
 一つ,第三者評価の機能のところで,先ほどお話も出ていましたが,検定事業者のスタッフと協議しながら,というところですが,実際に第三者評価をやる場面であれば,協議をしながらやることはおかしなことです。評価を受ける側の立場のいろいろな役割の方を指定する。その組織の役員とか検定事業の責任者とかスタッフとか,そういう役割をある程度指定して,そういう方たちに参加してもらって,評価者がその方達に質問をしてその方達が回答していく。そういうことを体験しますと評価を受ける側は必ず勉強になるはずです。ですので,評価を受ける側の,様々な立場の方々を指定するというのがいいのではないかと思いました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 益川委員,それから今野委員。

【益川委員】
 6ページの検定試験の試験問題に関する項目ですけれども,第三者評価の試験問題の内容についての評価で,テストとしての妥当性や信頼性を評価する方針はとても大事だと思います。
 ただ,1点,留意する点として記載していただけるとうれしいと思うのが,余りにも,この妥当性と信頼性を厳密に評価しようとすると,例えば,この文章の頭に書いてある,測ろうとする受検者の知識,技能等を妥当性,信頼性の高い範囲に狭めてしまうという逆の働きもできてしまうかもしれないので,6ページ目の上の丸にあるような,検定試験の主な活用目的をねじ曲げないような留意をしつつ,でも,妥当性や信頼性を上げていく評価が必要だという意味合いのことを入れていただけるとうれしいと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。どうぞ。

【今野副部会長】
 先ほどの第三者評価のときにスタッフに入るかどうかということですけれども,これはやっぱり評価される者とする側は全く別なので,中に入ってしまうのはまずいのではないかと思います。前回,どなたかがおっしゃっていましたが,大学なんかの場合もそうですが,どうしても第三者評価をする側は,一定の自分たちの基準の中で一方的に質問をし,答えを得て,評価をする傾向になりがちです。評価を受ける方からすると,もっと様々な事情を聞きながら評価してほしいということで,相互対話的な,協議的な評価の運営の仕方をしてほしいというのは大学側からすればよくあることです。恐らくそういうことで前回も出たと思います。ですから,対話的に,よく立場を見ていただきながら評価をしていただければいいので,担当者が評価する側,あるいは一緒に作業というのは,少しどうか思いました。
 あと,定義のお話が出ていましたが,私は,実際上,検定,認定,資格等いろいろな名前で出ていますけれども,事柄としては非常に似通った範囲に入るものですから,今までの考え方のように,なるべくそれは吸い上げて,議論の対象にしておいた方がいいのではないかと思いました。
 それからもう一つ,関係者評価で,ここの結論に賛成ですけれども,既に学校評価の場合に,学校の利害関係者で,父兄だとか地域の人たちの評価ということで,一応確立したものがあるので,同業者の自立的な,相互的な評価を従来,関係者評価と位置付けていたのかもしれませんが,少し紛らわしい感じがするので,結論的にここにあるようなものの方が良いと思いました。
 それから,本日の事例発表も聞いていまして,今現在,企業の中でこういう個人の検定の活用がきちんと位置付いて活用されているということを聞いて,面白いと思いました。一般的には従来,日本の社会では企業内教育でしっかり企業が面倒を見ながら資質・能力を測るということが,時代が変わって,個人の生涯学習に主体が替わって,企業はそれを応援する形になっています。応援の仕方はいろいろあると思いますが,大きく変わっている中で,しかも,本日のお話では,企業の業務改善に直接的に役に立っているという分析までありまして,そういうやり方で企業の業務改善にじかに役に立っているような使われ方が現にいろんなところでやられてきているというのは,何か,とても心強いような感じがしましたので,そういうことも意義の一つにはあり得るのと思いました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 私からは1点ですが,やはりこういう答申は啓発の側面も持つと思いますので,是非順番も含めて,分かりやすい表現をお互いに工夫するようにしていくといいのではなかろうかと思っているところでございます。
 では,最後に,興味深い教育・生涯学習に対する世論調査の結果が出ておりますので,質疑の時間は取れませんが,御説明をお願いしたいと思っております。

【井上文部科学戦略官】
 恐れ入ります。戦略官をしております井上と申します。
 資料3‐1と3‐2でございますが,内閣府の方で発表いたしました「教育・生涯学習に関する世論調査」につきまして御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず,資料3‐1の表紙をごらんいただければと思います。本調査でございますが,20歳以上の3,000人を対象に有効回収率55%ということで,昨年の12月に実施をいたしました。現在,第2期の教育振興基本計画が平成25年度から始まりまして3年目を迎えているということで,フォローアップをしているということもございますので,この調査を実施したところでございます。教育への関心,学校と地域との連携・協働,グローバル人材,社会人の学び直し,生涯学習の現状と振興方策について聞いております。従来も生涯学習に関しては6回ほど世論調査を実施してきたところでございますが,教育に関しては約30年ぶりということで実施をしております。
 本調査の概要につきましては,お手元に,詳しい内容につきましては,こちらに冊子等もございますが,本日は時間もないことでございますので,本調査から分かります示唆につきまして,資料3‐2に基づきまして簡単に御説明をさせていただきたいと思います。横長の資料3‐2を1枚お開きいただければと思います。
 本調査におきまして,教育への関心に関するニュース・話題への関心について聞いております。8割の方が,関心があると答えておられますが,その中でも,小学校就学前から高校の教育で関心のあるテーマについて,子供がいらっしゃる方に限りますと,やはり,いじめなどへの対応でございますとか学力の向上,豊かな心の育成というところに関心が高い。そして,特に小中学生の子供がいる方になりますと,学力の向上に一番関心があるという形になっております。
 また,大学や大学院,専門学校の教育・研究において関心のあるテーマということについて,大学生の子供がいる人に限って見ていきますと,家計の教育費負担を軽減するための支援策,社会人の学び直し,学生の学力,そのあたりに関心があるところでございます。
 続きまして,2ページをごらんください。学校と地域との連携・協働についてでございます。グラフ2‐1をごらんいただければと思いますが,実際に参加したことがある人の割合は女性の方が若干高いということでございますが,今後参加したいと意欲がある方は男性の方が若干高いということになっております。
 また,教育についてのニュース・話題に関心がある人の方が,やはり学校支援活動に参加したいと考える割合が,2‐2のところにございますように,高いということでございますので,やはり教育への関心を高めていくことが地域活動の参加につながっていくことが改めて確認できたところでございます。
 その際の環境整備につきまして詳細に調べてみますと,参加経験のある人に限って見ますと,地域住民と協力して積極的な広報や勧誘を行うことというようなことでございますとか,経費への支援を行うことを挙げる人の割合が,参加した経験のない人につきましては,土日祝日にも参加できる活動を行うということで,参加した経験のない人に限って見ますと,やはりきっかけが必要ということがこちらでもよく分かると思っております。
 続きまして,3ページをごらんいただければと思います。グローバル人材につきましては,若い方,お年寄りの方も含めて,語学力,英語教育の強化を挙げる方が多いのですが,若い方の方がそれを重視する傾向が見られます。一方で,30代から50代になりますと,幅広い教養,異文化理解,アイデンティティーや文化に対する理解ということを挙げる割合が比較的高く,ビジネス等での傾向が出てきていると思います。
 続きまして,4ページ,社会人の学び直しのところでございますが,学び直しについては,これまで学んだことがある人,今後学びたい人の割合は,年代別では,30代から50代が,男女別では女性の方が比較的高い傾向が4‐1から見て取れるところでございます。学び直しの理由につきましては,全体としては教養を深めるため,今後の人生を有意義にするためということで答えた人が多いですが,20代,30代の男性と20代から40代の女性では,就職や転職のために必要性を感じたという回答をした人が比較的多いという状況でございます。
 続きまして,5ページは,学び直したい学習の内容について年代別に整理したものでございます。赤いものが,一番学びたいと挙げたもの,2番目が青色,3番目が緑色になっております。ごらんいただくように,若い方だと外国語,だんだん年齢が上がってくると,医療や福祉,歴史や地理が上位に上がってくるということになっております。
 最後になりましたが,6ページ,生涯学習の部分でございます。生涯学習したことがある人の割合は,平成4年から見ますと,大体横ばいで推移しておりまして,年齢別では70歳以上で増加傾向が見られるということでございます。ただ,前回調査との比較では,男女別,年代別とも低下している状況でございます。
 生涯学習をした理由につきましては7ページでございますが,親睦や自由時間の活用などを回答した人の割合は前回調査よりも低下しておりまして,大体全ての年代でその傾向が見て取れるわけでございますが,一方で,現在の仕事や将来の就職,転職などに役立てるためと回答した人の割合は,全ての年代の男性,20代,30代,50代の女性で前回調査の数値を上回っているところでございまして,若干目的志向が高まってきているのかなと思っております。
 8ページをごらんいただきましても,仕事や就職の上で生かしていると回答した人の割合は,平成4年からの推移を見ると増加傾向であります。
 また,身に付けた知識で自分の人生がより豊かになっていると回答した人の割合も,30代及び50代以上で前回調査の数値を上回っている状況でございます。これ以外の調査等も踏まえまして,今回の調査結果を今後の第2期の教育振興基本計画のフォローアップ,また,今後策定をされます第3期の教育振興基本計画の検討に生かしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

【菊川部会長】
 短い時間で申し訳ありませんでした。
 では,最後に,今後のスケジュールについて事務局からお願いいたします。

【竹下生涯学習推進課課長補佐】
 資料4にございますとおり,次回の部会につきましては,3月14日を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。それでは,本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様,お忙しいところ御出席いただき,ありがとうございました。

―了―

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課

電話番号:03-5253-4111(内線3273)
ファクシミリ番号:03-6734-3281
メールアドレス:syo-bun@mext.go.jp

(生涯学習政策局生涯学習推進課)

-- 登録:平成29年04月 --