学習成果活用部会(第3回) 議事録

1.日時

平成27年7月3日(金曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省 13F1・2・3会議室

3.議題

  1. 中間まとめに向けた論点整理
  2. その他

4.議事録

【菊川部会長】
 ただいまから第3回中央教育審議会生涯学習分科会学習成果活用部会を開会いたします。
 大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、これまでの部会での議論を踏まえた中間まとめに向けた論点整理の審議を行うこととなっております。
 また、生涯学習分科会より平田委員、山崎委員、横尾委員、生重委員にオブザーバーとして御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、人事異動があったようですのでその御紹介と、配付資料の確認をお願いいたします。

【竹下生涯学習推進課課長補佐】
 平成27年7月より生涯学習推進課課長補佐に着任いたしました、竹下と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料を確認させていただきます。
 議事次第、座席表、及び次第にありますとおり資料1‐1の「中間まとめ構成(案)」、資料1‐2の「論点整理(案)」、資料1‐3のそれに関する参考資料、資料2の「『生涯学習プラットフォーム(仮称)』イメージ」、資料3の「今後の審議スケジュール(案)」、以上、資料1‐1から資料3まで御用意いたしております。もし何か不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
 

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、議題1に入ります。本日は、前回までの議論を踏まえ、本部会の中間まとめに向けた論点整理について審議をすることとなっております。
 事務局において資料1‐1から1‐3として、これまでの会議で頂いた御意見を踏まえた中間まとめに向けた論点整理を準備いただいております。本日は、こちらについて御意見を頂くこととなっております。
 それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

【楠目民間教育事業振興室長】
 資料1‐1を御覧ください。こちらの資料は中間まとめの構成の案になりまして、全体で大きく六つのまとまりに分けています。まず一つ目の点と二つ目の点におきましては、「生涯学習を取り巻く状況」や、「学習成果活用の課題」につきまして、各種のデータや、これまでの御議論を踏まえて整理をしております。その上で、三つ目の点の今後の施策の方向性におきまして、基本的視点に加え、「学び」と「活動」の循環のサイクルの形成という視点から、これまで頂きました御議論についてまとめております。
 次に、四つ目、五つ目の点では、具体的な施策の提案として、4で「ICTを活用した『生涯学習プラットフォーム(仮称)』の構築」、5で『人材認証制度』の活用の推進」を掲げております。四つ目、五つ目の点につきましては、中間まとめに向けまして更に記載を充実させることが必要になりますので、本日重点的に御議論を頂ければと思っております。
 最後の六つ目の点でございますが、今回、中間まとめであることを踏まえまして、「今後の検討事項」として、中間まとめ以降に本部会の御審議で御議論を深めていただきたい内容について挙げております。
 具体的な内容につきましては、資料1‐2で中間まとめに向けた論点整理の案としてまとめております。
 1が「生涯学習を取り巻く状況」でございまして、「(1)我が国の抱える様々な課題として、超高齢社会の到来やグローバル化・技術革新等の急速な社会の変化によって各種の社会的課題が高度化・複雑化していること、また、行政サービスの縮小等により、各個人の参画による自立した地域社会の形成の必要性が高まっていることを挙げております。
 「(2)学習環境の変化」といたしましては、民間を含めた多種・多様な学習機会が存在し、大学等の公開講座数も高水準で推移していること、また、情報通信技術の進展により、学習スタイルが劇的に変化していることを挙げております。その一方で、地域に根差した学習活動の機会は減少しているといった状況について記載しております。
 (3)では、「社会の変化の中で生涯学習に求められる役割」といたしまして、一人一人の可能性の拡大や生きがいづくりにつながる、自己実現を目指した生涯学習活動は、社会の活力を維持する基礎として、また予測不可能な将来の変化への社会的な対応力を高めるという予防的な観点から重要であるということをまず掲げております。また、その次の二つの丸においては、社会の様々な変化に対応し続けるための学習機会としての生涯学習や、地域づくりの支え手、担い手を育成していく生涯学習の役割の重要性について挙げております。
 二つ目の点の「学習成果活用の課題」ですが、「(1)生涯学習活動等の現状」といたしましては、多様な学習機会が各地で提供されており、学習機会は一定程度充実していること、またeラーニング等により、24時間学べる環境への実現も期待をされることを掲げております。しかし、その一方で、2ページでは学習成果の評価や通用性確立のための方策は必ずしも十分ではないということ、また、次の丸になりますが、近年、公民館等における地域に根差した学習活動等は縮小傾向にあるといった状況について整理しております。
 「(2)学習者の視点からの課題」といたしましては、いわゆるインフォーマル教育では、学習自体に価値を置く学習者が多く、成果を活用しようとする際に困難が生じやすいといったことや、個々人の学習活動の世界から、学びや活動の範囲を広げていくための仲間づくりが重要であるといった課題について挙げております。
 「(3)学習機会提供者の側の課題」といたしましては、地方自治体における公的な学習機会や、大学等の社会貢献活動の一環としての公開講座等におきましては、地域の課題解決を目的とした講座がより充実することが重要であるといったことや、大学等と地方自治体・NPO等との連携による実践的な講座等の開設が期待されるといったことを記載しております。
 続きまして、「(4)地域活動に関する課題」では、地域に根差した学習機会の減少などにより、「学び」と「活動」の循環のサイクルが機能しなくなっている状況にあること、また、地域の団体が「顔の見える」活動を展開し、自然な形でのコーディネート機能を発揮していくことが困難となっており、より意図的な仕組みづくりが必要となっていることを記載しております。また、地方自治体等において、地域課題の解決に求められる知識や技能が必ずしも十分に示されてはおらず、地域課題と学習需要とのマッチングが困難であるといったことを記載しております。
 3ページの、三つ目の点の「今後の施策の方向性」でございますが、以上のような課題等を踏まえまして、基本的視点といたしましては、各種の課題に対応する多様な学習機会の充実と、学習した成果が適切に評価・活用される環境の整備等、両輪で進めていくことが引き続き重要であること、また、地域における課題が高度化・複雑化し、自立した地域社会の形成が求められている現状からは、地域における「学び」と「活動」の循環のサイクルを持続的なものとして形成することに重点を置くことが必要であることを挙げております。
 次に、(2)では、「『学び』と『活動』の循環サイクルの形成」といった観点から整理しております。まず、「『学び』の場の整備・充実」に関しましては、地域の課題や社会のニーズに対応した学習機会の充実が図られ、成果活用の場面を意識した学習が展開されることが必要であることや、次の丸になりますが、地方自治体と大学等との連携を図ることにより、実践的な課題解決型の講座等の充実が図られるようにすることが重要であること、さらに、学習者への情報提供に関して、三つ目の丸にございますが、社会教育施設や大学等の講座のみではなく、首長部局や民間団体、民間教育事業者等の様々な主体によるものを含め、多様な学習機会が学習者に提供されることが重要であるということを挙げております。また、このほか、下の二つ目の丸では、学習コミュニティの形成促進に向けた学習者同士のネットワーク化の重要性や、「学び」と「活動」のサイクルをスパイラルな動きとして発展させていくことが有効であるといったこと等を記載しております。
 次に、「『活動』の機会の整備・充実」に関しましては、学習者が学習成果を有効に活用するためには、まずは自らの学習履歴を把握し、過去の学習活動を振り返って将来の活用を考えることが必要であることや、学習履歴の正確性や客観性の確保という課題につきましては、ICTを活用した仕組みの構築が有効であること等を掲げております。また、学習履歴の記録に関しましては、証明が可能な学習成果のみではなく、様々な学習活動の記録等も重要であること、4ページの一つ目の丸になりますけれども、原則として幅広い学習機会を対象としつつ、場面に応じて適切に対象を設定するなど、記載の客観性と自由度のバランスのとれたものとして運用していくことが重要であるといったことなどを整理しております。また、地域課題の設定と、これに対応する人材ニーズを地方自治体が明らかに示して、学習者との共有が図られることの重要性や、最後の丸になりますが、一定の講座の学習等を地域での活動の参加要件として位置づけること等によって、「学び」と「活動」をセットで推進するような取組も有効であるといったことを挙げております。
 四番目が、具体的な施策の関係になりますが、「ICTを活用した『生涯学習プラットフォーム(仮称)』の構築」につきまして記載しております。
 まず、「(1)ICTの活用によって広がる可能性」といたしまして、学習者と「学び」の場のマッチングに関して、学習者のニーズを踏まえた系統的な情報の提示や、学習履歴に応じたレコメンド機能、またSNS的な機能による学習者同士のネットワーク化などが期待できることを挙げております。
 次に、「学習者と『活動』の機会のマッチング」に関しましては、これまで課題でありました客観的な学習履歴の記録・管理・証明について、機械的な正確性によって学習者の支援が可能であることや、オープンバッジ等の最新の技術の導入や学習者同士の相互保証の仕組みの構築の可能性、さらに、「人材認証制度」との連携による、より効果的な学習機会の提供等の可能性について記載しております。
 5ページにおいては、(2)の「当面取り組むべき事項」といたしまして、生涯学習プラットフォームの構築に関しましては、民間でできることは民間に委ねることが基本ですが、公平性・信頼性・客観性が担保されたモデルを当面、国として示すことが重要であること、また、高度のセキュリティーを保つための仕組みや、扱っていくデータの範囲や項目等の標準化、データをやり取りする際のルールの確立等について、パイロット事業等を通じて実証的な検討が必要であることなどを掲げております。また、実証研究を行う際には、先行している諸外国の実例を参考とすることや、ある程度の実績や学習情報の基盤を持った主体において行うことが効果的かつ効率的であるといったことを記載しております。
 「(3)将来的な活用可能性」といたしましては、学習者を軸とした学習履歴のデータ等の流通や分析によりまして、様々な場面での活用が可能となることや、世界的に進行しております先進的な取組に対応することで、我が国の生涯学習活動全般の発展にもつながることが期待されることを記載しております。
 次に、五つ目の点の「人材認証制度」の活用の推進について、期待される役割・機能につきましては、6ページ目の地方自治体等の先行事例におきましても、いわゆる「人材認証制度」の取組によって課題に対応した学習機会の充実と学習成果の活用の推進をしている事例が見られることや、次の丸にある人材認証制度の活用によって地域が求める人材の可視化やそれぞれの地域課題と人々の学習需要とのマッチングの推進が期待されるといったことを整理しております。
 「(2)当面取り組むべき事項」といたしましては、現在の取組につきましては一部の地方自治体・大学等に限られていますことから、更に取組を拡大し、効果的な推進を図るためにモデル的な事例の共有が必要であることを挙げております。特に、生涯学習プラットフォームを活用した「人材認証制度」のモデルの構築・普及が有効であると考えられること等を記載しております。
 「(3)将来的な活用可能性」といたしましては、プラットフォームのSNS的な機能を活用して、人材認証を受けた者のネットワーク化を図ることで、課題意識を持った一定レベルの学習者の組織化が可能となることや、これらが将来的に地域の活動を担う新たな主体として発展することへの期待等を記載しております。
 最後の、六つ目の点の「今後の検討事項」ですが、こちらは中間まとめ以降に本部会で御審議いただきたい事項をまとめているところでございます。まず、生涯学習プラットフォームにつきましては、就業による社会参画の場面や大学入学者選抜での学習成果証明の場面等での活用、将来的にはマイナンバー制度との連携など、今後の審議においてもさらなる活用の可能性に向けた課題等を御検討いただきたいということを挙げております。また、「人材認証制度」につきましては、複数の地域の連携による通用性の向上や、大学やNPO等との連携方策など、今後の審議におきましてもより幅広く活用方策について御検討いただきたいことを記載しております。最後に、検定試験については、大学入学者選抜等での活用可能性も現在課題となっており、その社会的使命が一層重大なものとなると考えられることから、今後の審議におきまして、その質の保証・向上のための具体的方策について御検討いただきたいということを記載しております。
 なお、資料1‐3につきましては、論点整理の関連の資料となります。論点整理の本文中に、資料1‐3の関連ページを記載してございますので、是非御参照していただければと思います。
 御説明については、以上でございます。よろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 本日は、栗山委員、大畑委員より、これまでの議論を踏まえた生涯学習プラットフォームのイメージ図を御準備いただいておりますので、資料2に基づいて栗山委員の方から御説明をお願いいたします。

【栗山委員】
 栗山でございます。
 私は部会に出席させていただきまして、いろいろ学んでおります。生涯学習は幅広く奥深いということです。そして、フォーマル教育、インフォーマル教育、あるいはノンフォーマル教育ということで分類ができるということも前回お話を伺っております。学習履歴を可視化することで、自らの役に立つだけではなくて、そのようなスキルを持った人を探している人にとっても役に立つということも学ばせてもらいました。そこで、生涯学習パスポートを意識したプラットフォームについて、アイデアを整理したものが資料2です。可視化することの一つのメリットとして、議論が可能になるということもあるだろうと思います。
 趣旨のところですが、三つほど挙げております。情報通信技術の進展による学習スタイルの変化も踏まえ、様々な形での学習機会を提供するということ、学習履歴等を記録・可視化、体系的に把握し、客観的に学習成果を証明するということ、学習者同士のつながりや、個々人の学習等と地域活動とのマッチングを促進するということで、三つの機能に分けております。
 真ん中の四角のところを御覧いただければと思います。四角の中に(電子版)生涯学習パスポートというのがありまして、各個人がこのパスポートを管理・運用します。これが学習履歴管理機能ということになっておりまして、個人の判断で生涯学習パスポートに登録する内容を決めるというふうに考えております。では、その生涯学習パスポートに登録するデータはどこにあるかといいますと、左上の四角にありますように、様々な講座提供者のところです。そこから発行された学習履歴、成果を活用することを想定した絵になっております。それから、そのデータを活用することで、左下側にございますように、学習機会提供機能としてのサービスというものが考えられます。それから、認証基盤というのが下の方にありますが、利用者は様々な講座の受講であるとか学習履歴を見るために、何種類ものIDとかパスワードを覚えるのではなくて、ワンストップでログインが可能になるような仕掛けができないかということで、シングルサインオンというものを挙げております。
 技術的なところの説明は、この後、大畑委員からしていただこうかと思っております。生涯学習パスポートの利用の例として、右の方にユースケースを二つほど挙げております。ユースケース1は、進学・単位認定・就職時等ということで、進学・単位認定・就職時に学習パスポートに格納している合格証や修了証を電子的に学校や企業に提出する。電子証明機能が教育サービス提供者等の発行者が発行した内容が改ざんされていないことを証明するということで、この電子証明機能ということを付けております。右側の下の方に、ユースケース2、マッチング促進ということで、学習者ネットワーク機能を通じて学習した履歴と求められている人材等をマッチングさせて、学んだ内容を地域に還元しやすくするということ、それから学習者に対しては求めている人材や同様の学習を行っている仲間などのお勧め情報を提示することによって、情報の場を増やすことができるであろうということで整理させていただいております。
 これをまとめるに当たりまして、大畑委員、それからJAPET&CECの片岡さんに御協力いただきましてまとめたものでございます。
 この後、大畑委員の方から技術的な部分の説明を、補足をお願いいたします。

【大畑委員】
 リアルグローブの大畑です。技術的な説明をしたいと思います。
 このシステム全体のプラットフォームですが、基礎となっているのは認証基盤と信用基盤になります。各サービスや各機関のことを基本的にはサービスと呼んでいますが、別々のサーバーで提供されているようなものが乱立していてもプラットフォームとしてうまく機能するよう、またできるだけ既存のものをきれいに取り込めるように、新たなものを全部作り直すのではなくて、既にもう活用されているものを横につないでいくようなプラットフォームをイメージしています。
 その基礎となるのが認証基盤と信用基盤で、認証基盤は、簡単に言うとクラウドやインターネットをまたがったときに、ユーザーが誰かということが分かるものです。信用基盤というのは、そのユーザーがログインした先のサービスがどういう人か、どんなサービスか、これはよく分からない誰かではなくて、間違いなくある大学とか、ある民間機関とか、そういうことを保証する仕組みです。それをベースとした上で、機関を横断した個人の学習履歴の記録や、本人同意に基づいたその活用、また発行元を特定した上での第三者機関によるデータの内容証明、本人の同意に基づいたデータ活用によるネットワーキングやマッチング、これは学習者同士や自治体、NPOなど、そういったものがマッチングできるということを実現する仕組みを描いております。
 このアーキテクチャーによるメリットは、基本的にはプラットフォーム自体のコアをものすごく小さくできることです。基本に証明書の運用や内容証明の機構、身元保証の仕組み、あと認証の仕組みも基本的に全部中央管理する必要はなくて、認証もばらばらに管理することも可能です。そういった分散管理ができる上で中央が小さくできる。今後学習形態がITによって多分どんどん変遷していくと思いますが、そういった変遷にも耐え得る柔軟性、拡張性を備えているということです。コアが小さい分、様々な機能がプラグイン・プラグアウトできます。世の中がどんどん変わっていったとしても、できれば100年続くようなシステムというものが実現できるのがいいと思います。毎回このようなものを作り直すのではなく、基礎が長く引き継げるものと考えると、できるだけコアを小さくシンプルにしていくことが重要です。あとは、既存のシステムを柔軟に取り込めるというメリットがあります。
 以上です。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 事務局からの今までの審議の説明に加えまして、栗山委員と大畑委員のプラットフォームの説明でした。
 御質問、御意見等、御自由に御発言いただければと思います。もし発言された内容で是非今聞きたいとかいうことがありましたら、すぐに手を挙げていただいて御質問いただくことも結構でございます。
 では、どなたからでも、いかがでございましょうか。
 どうぞ、加藤委員。

【加藤委員】
 最後に御説明いただいた生涯学習プラットフォームのイメージのことですが、この中でインフォーマルラーニングの学習の履歴というか成果というか、そういうものはどのように扱っていくのでしょうか。

【大畑委員】
 あのマトリックスに関しては、かなり議論させていただきました。インフォーマルラーニングに関しましては、今、公的な証明自体をするかしないかということが第一の議論としてあって、それに関しては新証明の度合い、程度があって、その程度に関してはインフォーマルラーニング、ノンフォーマルラーニング、あとフォーマルラーニングによって、制度的な証明なのか、それとも相互の認証による、承認による説明というか、ネットワーク機能を活用した相互証明なり認証なのかというところで議論させていただきました。インフォーマルラーニングに関しては、そういう相互の証明でもいいものがあるのではないかというところで、お話しさせていただきました。
 どういうデータをどこに入れるかですけれども、それに関しては、基本的には同じように学習履歴の記録としてここの中に入れていくようなイメージでいます。

【加藤委員】
 分かりました。

【菊川部会長】
 どうぞ柴山委員。

【柴山委員】
 コアの部分ですが、認証基盤のところはすごくよく分かりましたが、信用基盤の概念が分からなかったのでもう一度御説明いただけますか。

【大畑委員】
 ユーザーがブラウザでクラウドサービスを使っている場合の認証で例にすると、まずブラウザを認証します。あるサービス、これをAと呼びます。このAのサービスにログインしました、シングルサインオンでログインしたときに、Aというサービスにログインしました。Bというサービスに対してまたログインしましたといったときに、私がAにログインしてBにログインしたときにシングルサインオンは、Aというサービスに対してもBというサービスに対しても私であるということを教えてくれます。ただし、例えばサービスAとBが連携しようとしたときに何が起こるかというと、例えば既存の認証基盤だけでやった場合は、一旦ブラウザのキャッシュやcookieみたいなものに入れてからBにデータを持っていくというような、ブラウザを介さないといけない。直接AとBが、これは私のデータですといって直接連携できない。なぜなら、Bの方からはAが確かにプラットフォームの参加者であることが分からないからです。それを解決するのが信用基盤です。

【菊川部会長】
 では、益川委員、藤田委員の順番でお願いいたします。

【益川委員】
 先ほどの加藤先生のコメントにつながると思いますが、例えばそういうノンフォーマルの情報や、SNSでのやりとり、学習者のネットワークをつくったときのデータが、こちらの図ですとマッチング促進などの出口の話になっていると思います。しかし、これ自身がまた講座選択傾向データの元になったりですとか学習履歴の元になるので、そこのプラグインの場所がこの左側にあると、いいサイクルになると思いますが、いかがでしょうか。

【大畑委員】
 確かに、ものすごく有用なデータだと思いますので、個人側のストレージの方に何らか反映するなりし、参照機能を付けて、後の今度の講座と講座をつなぐことや、次の学びにつなげることにどんどん使っていくというのはとてもいいアイデアだと思います。是非そうしたいです。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 藤田委員、どうぞ。

【藤田委員】
 この場合、個人が登録するという形になると思いますが、実際のところ、ノンフォーマル、インフォーマルな範囲は、今、既存のデータを入力するという話になっていると思います。しかし、実は個人というよりは、今あちらこちらの県でも実行されているように「県民カレッジ」とかそういう形のいろいろな学習履歴とかというのは、個人の方ははっきり記録しておらず、公開講座についてもそうですけれども、やはり講座を提供している側がデータを多く持っています。ですから、今、例えば富山大学にしましても、やはり個人が組織にお尋ねになり、「私は今までこういうことを学んだ」というのを振り返りながら、そして「次の学びをどうするか」ということを考えるというような学習者の方がとても多いです。となりますと、この個人が登録するというところをあくまでも原則としていくのか、それとも今まで学習講座を提供している履歴のデータを持っているところは、個人がそこに問い合わせ、それをもとに入力するというシステムにしていくのかという、スタートの地点、そこの部分をどのように考えたらいいのか。もう一つは、そういう学習履歴を多く持っていらっしゃる方がシニア層に多いということです。そうしますと、果たして使い勝手のいいものなのかどうかという説明を、スタートの段階でどのように理解していただくのかというのが課題だと思います。分かりやすく何か図解を用いて説明するとか、言葉についても一つ一つが片仮名になってしまいますといろいろな受け取り方が生じるということもありますので、そこをどう分かりやすくしていくかというのが今後の登録の段階の課題と考えております。

【大畑委員】
 後者のシニア層に関しての使いやすさに関しては、まさに今後のこの生涯学習プラットフォームに関してはとても重要になってくる論点だと思いますし、きちんと活用してもらわなければ意味がないので、そのためにどうするかというのはとても重要だと私も思います。
 既にデータが各機関にあって、それをどのようにこのプラットフォームの中に取り込んでいくのかについては、かなりケースバイケースのこともあると思います。基本的にデータを個人が問い合わせて、もう一度個人のもとにデータを再構築するというプロセスをどう作れるかということだと思います。しかし答えが出なくて、どういうふうに実行するのかをシステム的に、短絡的にやってしまえば簡単ではありますが、スクレイピングの能力を使ってみるとか、既にあるデータベースとかの形式の変換であるとか、そのようなことをしていく必要がある可能性はあります。けれども、基本的に個人が入力していくような形でいけるのが一番システム的なコストは低くなると思っております。
 ただ、これに関しても、やはり普及が第一だと思うので、そこに関してその手続が障害にならないかということに関して、いろいろ試してみないといけないと思います。かつ、そのデータを横に流通させるとなったときに、やはり各機関に置いてあるデータ自体はもちろん各機関が保存することは重要ですけれども、それを機関の間で、民間事業者、大学、放送大学や検定団体などでデータを横断するときに、現在個人情報保護法などの様々な法的な問題点というところをクリアする目的でも、一旦個人の管理に落とすことが流通の基礎になると思っております。ですので、これを低コストで実現するためには、個人の元にデータを落とすことはものすごく重要ですが、その方法論については少し検証が必要だと思っています。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 資料1‐2につきましても、御意見をお願いしたいと思っております。いかがでございますしょうか。
 どうぞ、加藤委員。

【加藤委員】
 この資料1‐2の二つ目の点の(2)の当面取り組むべき事項の一番初めの丸ですけれども、当面、公平性・信頼性・客観性が確保されたモデルを国として示すことが重要と書いてある。私は、これはまさしくそのとおりで、やはり国がこういう形で生涯学習プラットフォームがあるべきだということを示すのは非常に重要だと思います。ただ、将来的にはこれを民に移管するか売却するか分かりませんが、民営にすることを初めから想定をしておいた方がよいのではないかなと思います。これはリコメンデーションの機能を持つようになると、どういうふうにリコメンデーションをするかということで、どうあっても序列が付くわけです。そうなると、やっぱりこれを提供する側にとってはなるべく上の方で紹介してもらいたいということが生じてきて、結局のところ、ビジネスになり得る話なのではないかなと考えています。容易にビジネスに近付く話になっていく。もう一つは、インフォーマルな情報まで集めることになると、官がやっていると、例えばそれは思想の検閲ではないかとか、そういう意見が出るおそれもあります。ですから、もしこれが本当にうまくいくようになれば、官よりも民で運営した方が適切かつ柔軟な運営ができるのではないかなと私は思っているので、そういうことも御考慮いただければと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。
 民にもいろいろあるかと思いますけれども、関連して何か御意見ございますか。
 どうぞ、横尾委員。

【横尾委員】
 意見というより、私が最近知っている範囲での情報提供だけさせていただきます。一つは、民間の一部による、スマホを使った映像配信です。活躍中の貴重な方々のインタビューとか講演の一部、エッセンスを配信するのが実際もう始まっています。会費はたしか高くはないはずです。ですから、ビジネスとしては十分可能なのかなと思いますが、そういったのが実はもう出回っている状況が片方にあるということは、文科省でいろいろ取りまとめられながら、把握した方がいいのかなというのが1点目です。
 もう一つは、SNS関連です。FacebookとかTwitterとかいろいろありますけれども、同じようにSNSに近いものとしてニコニコ動画とかYouTubeがございます。YouTubeでは多くの方々が再録されたものを見たりアップされたものを見ていたりすると思います。今まだアイデア段階で近々動き出すという情報ですが、そういうサイト、電子上のネットワークを使ってキャリアアップ教育をやろうとか、高校に準じた教育をやろうとか、そういうふうなアイデアもあるようです。これは一つ遠隔教育が可能になります。北米のアラスカ、カナダ、フィンランドやスウェーデンにおいては過疎のエリアに当たるところでは――ちなみに日本では過疎と言っても向こうでは過疎と言いませんが――衛星回線を使っての教育を受けている子供たちもいます。まさにそれが可能になる。もう一つは、メンタルの課題を抱えている、発達障害等の課題も抱えているお子さんたちにとっても、若い人にとっても集中的に学ぶことができます。
 それをどう認定するかは次の課題ですが、取り組むべき事項については平たんな道を真っすぐ行くのではなくて、随分バリエーションが出てきたということを是非お互いに知って、ではどうするのかということも考えられるといいと思います。それをパブリックがやるのだから規制しなければいけないという発想も一つの方法ですが、もっとオープンにもっと多くの方々が利便性、安く使えるのが必要だと思います。
 三点目で申し上げたいのは、超高齢化社会に今突入しています。100歳の方は、私の市でも毎年10名以上出てこられます。ついこの間見たテレビでは、104歳の方が今世界100メーター走の世界記録保持者です。日本人です。始めたのは92歳からだそうです。我々はまだまだひよっこです。そういう長寿が可能な時代になってくる。そうすると、よく医療費の問題とかで75歳以上は何かと負担という議論がありますが、そうではなくて、100歳まで、1世紀生きられるというのはとてもハッピーなことです。では、そのときに、昔話ばかりしたり、孫の世話ばかりしたり、ひ孫の世話だけで生きるわけはないので、やっぱりクリエーティブなものに出会うとか、クリエーティブな社会活動に参画するとか生きがいを感じるとか、あるいは知らなかったことを学んでそのことを生かしていくとか、そういうことが当然必要だと思います。そういう意味では、こういった学習ということがとても大事だと思います。
 先日お目にかかった方はちょうど100歳になった方でした。私どもの佐賀県多久市には孔子廟(こうしびょう)がありますが、その方も論語を学んでいる方で、長寿の秘けつはと言ったら論語と生涯学習と言われました。いろいろな出会いもあってその人も活性化しているということでした。そういう学びを共有しながらいい年長者、年配者、長寿者、お年寄りになるというライフスタイルも格好(かっこ)いいということも是非発信できるようなモードを広げていただきたいなと願っています。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。横尾委員は佐賀県の多久市の市長さんでいらっしゃいます。ありがとうございました。
 
 今のお話に関連して、この資料1‐2の3ページの「今後の施策の方向性」というところですが、諮問が学習成果を生かすという内容で、今後の基本的視点として適切なことだと思いますが一方、生涯学習が始まったのは、生きがい学習として、どちらかというと個人の楽しみ、生きがいということで始まっています。それを施策として社会の発展に生かすというような機能面に重点を置いた流れになっていっていると思います。しかし、同じ機能という観点からも、この生涯学習が自分のためでもあるが、高齢者の増加とか労働人口の減少などを考えると、国民の能力の維持向上が社会の活力を維持する基本的な基盤であることを、今後においても基本的な視点の中で踏まえていた方がいいと思います。目に見える、活動に生かすということだけではなく、自立・創造・協働という国民が育っていくことの強調は、最初のところの、生涯学習に求められる役割というところにも書いてありますが、「今後の施策の方向性」として切り分けて書いたときにも、目に見えるものだけではなくて見えないものも含めて、施策の基盤にあるということを確認していた方がいいと思います。
 
 どうぞ、萩原委員、お願いいたします。

【萩原委員】
 気になるといいますか、考慮して欲しい点ですが、イメージ図を拝見しまして活用履歴が明確にあるといいと思いました。今、菊川部会長からもお話がありましたが、生涯学習のキーワードというのはやはり喜びだと思います。学ぶことに対する純粋な喜びがあって、それを達成できる喜びがある。その次に、やはり他者のために何かして、人が喜ぶのを自分の喜びと感じること、それが喜びと思えるような流れになってくるのではないかと思っています。そうすると、このプラットフォームは喜びを自分だけのものから他者のものに変えていける場でもあると思います。
 私は日本語検定に携わっていて、受験する人たちと接しているとそれがすごくよく分かります。本当に学ぶことが大好き、日本語が大好きという気持ちです。けれども、その後いろいろ話を聞くとやっぱりそれ以上の欲求があって、人に教えたいなどという気持ちに人は必ずなると信じています。その際に学習者がほかの人たちの活用履歴を見られることが非常に大事と思います。活用したことによって、活用した人たちが、そこでいろんな喜びを得ると思うのですが、それが何か伝わるようなプラットフォーム、場であってほしいなと感じました。そのことが学びと活動を循環させることにもつながると思います。以上です。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 では、高見委員、お願いいたします。

【高見委員】
 菊川部会長のお話を聞いていて思いましたが、どこまで目指すのかというところが非常にまだ曖昧な状態だなと思っておりまして、それは学ぶ側と学んだ人のスキルを利用する側という、例えば二つの観点があるときに、議論を学ぶ側の自己実現であるとか貢献感を得ることに置きましょうといった方が、非常に論点が整理できると思っています。これが例えば企業側からそういうスキルを持った人が探せるプラットフォームという、イメージで言うとLinkedInのようなことを考えた瞬間に、軸が変わってくると思います。それが換金化できるのかとか、すぐに成果につながるのかとか、弊社で言うと売上げにつながるのかという見方をする切り方と、自分の実力が少しずつでも上がっていった、それが誰かの役に立ったという貢献感という、言葉を選ばずに言うと自己満足というところの切り方では、軸の置き方がすごく変わってきます。システムの構成も全然違ってくると思いますし、どういう登録をするのかという作り方も変わってくると思います。論調を聞いていると、学びたい人の学びたい気持ちに応えていく、それが学びたい人同士でのチアアップにもつながっていく。その後、だれかが自分の学び若しくはスキルを使ってくれるということが分かって、貢献感につながるというふうな、学ぶ側というふうに目的を置くのであるとすると、私は非常に発言が今後しやすいと思うので、そこの目的はある程度決めておくといいと思っています。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 では、西辻委員。

【西辻委員】
 学ぶ側が、特にICTなどを活用するような学びになると、一人一人が学んでいるという状況もでてくることになります。高見委員もおっしゃったように、学ぶ側も連携していく必要があると思います。お互いに同じ学びの意欲を持っているとか、同じような学びたい内容を持っている人たちが、このプラットフォームの中で交流できるような形ができればいいと思います。今はそれぞれが独立した形、大学の公開講座でも一つ一つの大学が独立した形で運営されていることが多いと思います。今日の資料1‐3の14ページのように、教育支援人材認証協会という形で全国的に展開している例もありますが、どちらかというと、このような形は今のところ少ないのではないでしょうか。それぞれが独立して様々な活動をされていますが、その中によく似た活動をしているというのはたくさんあるのだろうと思います。学習した人がいろいろ交流していく中で、今日の資料2のプラットフォームのイメージでいくと、一番左の上のところの民間事業者であれ大学等であれ、連携していける、協力していけるところから、連携・協力を進めていけるとより良いものになると思いました。そうすることで、それぞれの実施主体の生涯学習の中身の質が向上していくのではないでしょうか。それぞれが単立であるよりは、お互いが連携をしたり大きくなったりすることで質が高まっていくのではないでしょうか。そういう形で質が高まると、ユースケースの2になりますが、マッチングというものもより促進されていくと思います。こういうプラットフォームというものができたときに、フレームを作ったらそれで終わりということではなくて、こういうフレームの中でいかに生涯学習の質を不断に高めていくのか、そしてそれぞれが生涯学び続けていくというところにこのプラットフォームがどのようにうまく機能していくのかというところが、将来的な活用の可能性ということになるのではないかと感じました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。

 では、藤田委員、お願いします。

【藤田委員】
 今の御発言にも関わることですが、このプラットフォームの機能と役割というところをどうしていくのかということが重要です。実際のところ、今学習機会を提供しているところが、プラットフォームの役割を担っていることが多々あると思います。その担い方が学習機会・プログラムを提供するだけのところと、活用実践までつなげていくプラットフォームになっているところと二通り存在しています。
 顔の見える関係ということを中心に考えていった場合に、既存のプラットフォームが今後発展していくためには、プラスアルファで活用実践の役割を担っていくという模式図を作っていかなければならないと思います。そうした場合、そのノウハウや職員の研修制度などをどのようにしていくのか、それからそのプラットフォームを今後どのように発展させていくのかという点で、各自治体によっても差が出てくるでしょう。それから、各大学の公開講座がどういう形で展開されているのかというところで、私学・国立、各大学いろいろ差があると思います。ですから、プラットフォームに今後どういう役割と機能を持たせるのか、それから今後に向けてどういう取組が必要かというのを具体的に示す必要があります。そうでなければ、いくら仕組みを作っても、顔と顔の見える関係というところが一歩進めない気がします。活用実践というところまで、どういう形でノウハウを積み上げていくのか。最初はうまくいかなくても2年後、3年後、うまく活用実践につなげるように考えていかなければなりません。その仕組みを作ることもとても大切だと思います。また、ノウハウを示してあげることもやはり大切だと考えます。

【菊川部会長】
 そういう仕組みを作るという観点から、このプラットフォームのイメージで言いますと、もう少しこういうのがあったらいいのではということはございますか。

【藤田委員】
 学習フェーズ、活用フェーズというところがあります。学習フェーズはイメージ的にも具体的にもつかめると思います。その活用フェーズをどうしていくのかが問題だと思います。ですから、この部分も見える形にしていくとか、他からもアクセスできるような形にする、また見える形にするというところをもう少し詳細に示すことができたらいいのでは、と考えます。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 生重委員、どうぞ。

【生重委員】
 資料1‐2の最後にありますが、「大学入学者選抜等での活用の可能性」という記載があります。私はこのプラットフォームに先ほどの仕組みが今後イメージとしてあるならば、幾つくらいから、学びの履歴というのはエントリーが可能になるのかが気になります。また、もちろん学習履歴なので学びの中で資格を取っていくというのは一つの―英検、漢検、日本語検定、歴史検定、検定は多々あり、自分の嗜好(しこう)で学びたいところを学ぶという面はあります。例えば大学の入学者の選抜等については、もちろん学習の資格についても問われます。それよりももっと大事なのが、地域課題を解決するという前半にも出てくる文言と同じように、体験知を積んでいくことで自分たちが一人一人、例えばグループで何ができるのかということを体験していきながらということの方が価値ある活動履歴となることです。それによって大学で求められているグループディスカッションができたり、自分のプレゼンテーションができたり、小論文が書けたりということにつながっていくかと思います。ここの部分をもし入れていくとしたならば、そういう想定というか方向性というか、どういう可能性を考えていらっしゃるのか。もし何か見えるものがあったら、今答えられる範囲で教えていただきたいです。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。
 大畑委員、栗山委員、プラットフォームの機能としてこのように整理していただいているわけですが、何かございますか。

【大畑委員】
 例えば体験知については、今後こういうふうに電子化していくことによって、ウエアラブルデバイスや、様々なセンサーデバイスみたいなものが設備の中にどんどん入っていく、そういったセンサーの情報や、ウエアラブルデバイスからの情報を統合して、その子の発言やその子の場所など、その子がどの人と関わったかのようなところまで記録する方法は無いわけではありません。ただ、それが許されるかどうかという問題がありますので、どの程度まで行くのかというのは分かりません。
 ただ、そういうことを活用できる世界に、もちろん安全性を十分に考慮した上で活用できる世界になれば、またその人の評価の仕方というのもきっと変わってくると思います。学習データというものを使っていくときの可能性としては、そういう人への評価の仕方というのが変わってきます。

【菊川部会長】
 どうぞ、益川委員。

【益川委員】
 ここで示している学習履歴というものが今後多様になっていく可能性があるかなと思っています。今回のこのプラットフォームのデザインというのが、単にこの資格を取りましたというものだけではなくて、もっとリッチな情報が入っている形にきちんと拡張できるようなプラグインのシステムにはなっていると思います。その多様なものというのを電子化しておけば、いろいろな体験知、考えていることや学びの具体的な情報などをどのような形で取り入れるかは、もしかしたらプラグインに入る前の段階の処理の問題かもしれない。そこはまた別枠で検討していきながら、いろいろなものを受け入れ可能なようにする。もうすでに固まったものだけしか入らないというわけじゃないので、そういう余地をしっかり残したベースになっているのではないかと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。私はこのイメージ図を見ましたときに、ちょうど真ん中のAさんの学習履歴がパスポートに登録する内容を選択する、個人が選択するようになっています。資料1‐2の中にも、4ページの一つ目の丸ですけれども、「原則として幅広い学習機会を対象としつつ、場面に応じて適切に対象を設定するなど、記載の客観性と自由度のバランスとれたものとして運用していくことが重要である」とこの間のまとめがあります。これはとても大切なことだけれども、具体化するにはどうしたらいいのかと思っておりましたが、この個人がパスポートを登録するという仕組みを見て、なるほどと思いました。それはそういう意図でございましょうか。

【大畑委員】
 まさにそういったことのために個人にかなりそういった権限というか、自分の情報について自分がちゃんと名乗れるようにというところのお話を入れさせていただきました。

【菊川部会長】
 どうぞ、西辻委員。

【西辻委員】
 資料2のプラットフォームのイメージの真ん中のところに、学習履歴からパスポートに登録する内容を選択するというのがあります。このことについての質問なのですが、右下のユースケース2のところで、マッチングして、5.で活動へ参加した、そういう活動履歴というのもパスポートに登録するということを想定されていますか。

【大畑委員】
 想定しております。データの型については、かなり今後議論が必要だとは思います。けれども、仕組みとして柔軟にそういう様々なデータの型、今後恐らくいろいろな型に対応していかないといけないとは思います。そういったところを柔軟にやりつつ、一つのフレームワークできっちり管理していくというのが指針になっております。

【西辻委員】
 なぜこういう質問をしたかというと、ユースケース1で、例えば企業への就職の際には、学ぶだけでなく、それを生かして活動したということを、特に学生時代に様々な生涯学習に係る学びをして、地域での活動もしていたというのは大きな判断要素になってくると思うからです。そこで、ここのところは学習履歴の記録機能だけではなくて、学習・活動の履歴も含めたいというように考えたものですから、御質問いたしました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 先ほど生重委員から進学等の証明もというお話の御質問も出ていたかと思いますが、事務局の方で何か御発言なさることがあればお願いいたします。

【佐藤生涯学習推進課長】
 生涯学習というのは、子供から大人まで大変幅広い年代が含まれまして、その年代全て対象としていきたいと思っています。ただ、何を学ぶとか、自分が学んだことをどのように成果を他の方に見せていくかとか、それはその個人が自由に選択していいものだと思います。例えば大学入試との関係でいけば、大学がこれからどのような人材を求めていくかということは、大学自身がそういったものを掲げると思います。それに対して個人が、自分はこういう人間であると、そこで大学入学者選抜としては多分マッチングがされるのであって、自分が学んだことをどう披露したいのかということもやはりその人の選択であるかと思います。そういったものがこういったプラットフォームに選択性を持たせて、自身が載せたいものがそこに載っていく、それからそれを活用したいと思う人がここの中で希望する人材を探せる、そういう形の基盤として必要な機能が大切だと思います。必ず全員ここに何かデータを載せなければいけないとか、企業や大学が必ずこれを活用しなければいけないというものではないと、個人的には考えています。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 高見委員。

【高見委員】
 ありがとうございます。高見でございます。
 もう一度整理いたしますが、目的の大きなところは登録する側の自己実現で、たまたま企業が使えたらラッキーという整備で進めるのであれば、話は進みやすいと思います。両方を目的にするというのはかなり厳しいように思いまして、もし地域の課題解決のためにどんな人材が欲しいのか、企業はどんな人材を必要としているのかを主眼に置くと、登録していただいても使えませんということになります。そこは一旦はっきりしないと、なかなか議論が前に進まないと思います。
 そのプラットフォームについても、どういうデバイスを使ってどういうデータベース構造で、何を記録して何を入れられるようにするのかは、データベース構造でどういうシステムを組みますかということにしかすぎません。大畑委員は詳しいと思いますが、登録する側に中心が置けるのならば、そこに置いて議論を前に進めてもいいのではないかと思っています。

【菊川部会長】
 どうぞ、宮井委員。

【宮井委員】
 私も今議論の中心になっているところが気になっているところでしたが、今回のようなプラットフォームは利用する個人が自分で登録したいものを自由に登録できるということは大変重要だと思います。しかし、その後ですけれども、やはりアウトプットの形がはっきりしていないと結局活用できないものになって、登録もしてもらえなくなるような可能性もあるので、ある程度の形は出した方がいいと思います。例えば、大学入試に利用できるようなもの、それから企業に提出できるようなもの、それから地域活動に出せるようなものとか、興味を一つにする同志を集めるようなネットワークを作るものとか、ある程度そういう形を作らないと、利用者も、作る側もよく分からなくなってしまうのではと思いました。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。アウトプットに重点を置いたプラットフォームのイメージをということですが、これは一応両方ということを前提としつつアウトプットに前提を置いたということで作られたのではないかと理解していますが、そこはいかがでございましょうか。

【大畑委員】
 基本的には、活用フェーズから逆算してやはり個人に中心を置いておくし、個人が自分で選べるようにした方がいいという逆算で決まっているような状況です。

【菊川部会長】
 そうだと思いますが、高見委員は、先ほどどっちつかずになるのではないかというところで、どういう御懸念がアウトプットという観点からございますか。

【高見委員】
 誰がその人の価値をどう計るかというとき、企業からすると欲しい情報はすごく限られています。その情報がなければどんなに長いレジュメがあったとしても企業は読み飛ばします。企業が求めているものと、自分はいろいろな学びをしていって去年よりも今年の方が知識は付いたとか、仲間が増えたということは、なかなか一緒にはなりにくいところがあると思います。企業も利用できるテンプレートは用意をしますというのはあっていいけれども、そこに主軸を置こうとすると個人が成長実感を得る、学んで楽しいと感じるというところとのギャップは出てきそうだなと思っております。

【菊川部会長】
 地域における学びと活動の循環のサイクルということですので、企業のところまでは必ずしも想定していないという理解でよろしいでしょうか。

【大畑委員】
 企業だけを想定しているわけではなくて、全体を活用してみんなから喜んでもらえてまたやろうと思うというシンプルなことがすごく重要だと思っています。その喜びをベースにしながらも、その中に企業から評価されることも入るし、大学から認められることも入る。それぞれの認定や就職の全てではないにしろ、やはり部分としてきっちり評価できるものになっていくし、活用していけるものだから、そこにデータを置いておくことに価値があるという循環ができればいいと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 益川委員。

【益川委員】
 どのようにアウトプットを出していくかというところは、いろいろなタイプの学習、活動履歴が残っているので、仲間がどれだけ増えたというのも確かに数値のデータではありますが、確かにそれだけでは企業のデータとしては使えないと思います。ただ、そこでどういう中身のことをやったという記録も合わせてきちんととれていれば、そういう証拠というものをアウトプットとして出すことができる。具体的なデータ中身の話になりますが、ターゲットとして出す場所に合わせて、データをどういうふうに料理して出すかという工夫が入って入れば実現可能だと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。
 プラットフォームの話に集中しておりますけれども、資料1‐2の、例えば「追加や補足の御意見をお願いいたします」というところで、5番の「人材認証制度」ですとか、あるいは今後の検討課題等もございますので、その辺も含めて何か御発言がありましたら、いかがでございましょうか。

【高見委員】
 私はプラットフォームについてどうこう言いたかったのではなくて、この今から進めていこうとしている全般について、これから私たちが進んでいくその目的は、学びたい個人なのか、学びたい個人を活用したい側なのかというところをある程度明確にしておかないと、やり方もぼやけるなということなので、プラットフォームだけを照準にした意見ではないです。

【菊川部会長】
 分かりました。ありがとうございました。
 事務局の方で何かございましたらどうぞ。

【楠目民間教育事業振興室長】
 今回の諮問でございますけれども、諮問文の中で大きく二つに分かれております。全体としては「個人の能力と可能性を開花させて、全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様性と質保証の在り方について」ということで諮問がなされていますが、その中で、一つ目の事項としては、社会・経済の変化に伴う人材需要に即応した質の高い職業人の育成ということがあり、こちらについてはまさに企業側が求めるものが主として念頭に置かれているかと思います。
 もう一点が、「生涯を通じた学びによる可能性の拡大、自己実現、社会貢献・地域課題解決に向けた環境整備」ということで、こちらが本部会の方で検討いただいている事項になります。諮問文では、生涯学習による「可能性の拡大、自己実現」及び「社会貢献・地域課題解決」ということが併記されていますので、どちらか一方ということではなくて、自己実現、可能性を拡大させるということと、地域課題の解決に向けてそれを活用することという両方が大事なことと考えております。
 また、冒頭申し上げたように諮問の中の一つ目のものが職業ということを想定しているのと比べますと、本部会の方で議論にしているものは、地域のいろいろな団体が自然な形で地域の人材を育成して活用につなげていくようなことが、なかなか今機能しなくなっている状況なども踏まえながら、学習成果の社会貢献・地域課題解決への活用ということが第一義的には考えられていると思います。
 また、今回、資料2で成果活用に向けてこういうシステムを検討していただいたわけですが、一番メリットになる部分というのが、これまでは完全に手書きで記録して自己申告でしかなかった学習成果の記録が、機械的な正確性を持ち、証明機能が格段に上がったシステムとして可能になるわけです。そうした中で例えば入学者選抜での活用でありますとか、就業の際の活用といったことが将来的な可能性としてあるという整理だと思っております。ですから、高見委員の御質問に直接お答えするのは難しいのですが、企業による活用などは、主として目的としているところよりも、更に先の活用可能性ということで、そうした観点からまたいろいろ御知見を頂ければ議論も深まるのではないかと思います。
 あと一点文言的なことで整理が不十分であったかと思いますので補足させていただきます。学習履歴と言ったときに、今回中間まとめの論点整理においては、どこの学校を卒業しているとか検定試験に合格したとかいう学習成果の証明といったものと、あと個々人の学習活動の記録といった両方を含めて学習履歴という形で整理しております。学習活動の部分については、例えば履歴書等でも自己申告でボランティアに参加したなどと記載することが普通でありますが、学習成果の部分については、例えば検定試験の合格証書を付けるといったことを、紙媒体の場合でも行っているわけですが、それが今回のシステムでは機械的な形でもできるようになるものでございます。学習履歴というと、成果の部分だけに焦点が当てられていると感じておられる方々もいらっしゃるかと思いますが、どちらか一方というだけでということではなくて、先ほど部会長にまとめていただいたとおり、用途に応じていずれにも使えるということかと思います。もしまた整理が必要でしたら文言の方は調整させていただきたいと思っております。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 来ていただいた全員の方に感想も含めて御発言をと思っておりますが、山本委員、いかがでございましょうか。

【山本委員】
 今、教育改革論議、あるいはいろいろな新しいシステムの開発の議論がここだけではなくていろいろ行われておりますけれども、ここの議論で言うと、Aさんにどれだけのリアリティーがあるかという問題だと思います。私も長くこの世界で仕事をしてきて、この論点整理で言えば、前半ぐらいは付いていけますが、後半になってくるとこのシステムにどれぐらいの市民の人が参入するだろうか、あるいは必要としているのだろうかということは疑問です。やはりリアリティーのあるレポートにしないと徒労に終わってしまうと思います。
 私自身がこういうシステムができました、では、あなた参加しますかと言われたときに、恐らく参加しないと思います。なぜならば、右側にユースの例が書いてありますが、とりあえず私の人生においては必要ない、あるいは私がいろいろやってきた活動には必要ない。しかし、それは私が特殊なのかもしれないので、この辺は普遍性を持ってこういうところで議論をしていただく必要があるのではないかと思います。
 もう一つは、教育改革論議には私も何十年か付き合ってきて、この間もここの役所を退官されたOBの人と話をしました。いろいろなシステム開発をやっても、その理念は市場社会で具体化していくので、必ずしも理念がそのまま実現していくわけではない。だから、その辺のシミュレーションというかコントロールを専門家の中ではしっかり議論しておく必要があると思います。
 先日も総務省のビッグデータに関与している研究者の方とお話ししましたが、個人情報は際限なく累積されている。これをどう使うかということが、マイナンバー制、年金のデータも含めて非常に深刻な事態になっているところも一方である。学習履歴というのはそういう意味で言うと、ある意味人格丸ごと表現しているデータにもなるかもしれないので、レポートを作るときには留意をしていく必要があると思いながら聞いておりました。
 それぞれ専門家の方が集まれば、こういうシステムを組むのは恐らく、簡単というと変ですが、できると思いますが、それがどれだけリアリティーを持つものになるか。是非リアリティーを持つものに仕上げていただきたいと思っております。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。100年使えるシステムをという御発言もありました。100年使えるシステムというのは普段着のシステムじゃないといけない。でも一方できっちり信用できる、証明できるところがあるとそれは非常に有り難いなと思っています。
 左京委員、いかがでございましょうか。

【左京委員】
 山本委員がおっしゃったとおり、私もこのAさんのイメージにリアリティーがまだありません。どの様な人がどういった目的で使うのかまだ分からないというのが正直なところです。なので、Aさんにリアリティーを出すために、このAさんという主人公を具体的に幾つか置いて見て、そこからシナリオを作り、実際のケースの中でどういった状況でどのような機能を持つそれが必要かを考えてみて、それらをもう一回抽象化していくといったアプローチをとるのも一つの方法かと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 どうぞ、栗山委員、お願いします。

【栗山委員】
 今、左京委員からお話がありましたが、リアリティーという部分で、実は大畑さんともお話ししているときに、ペルソナという実際に使う人を何人か想定してみたら具体的な話ができるのではないかということで議論をしました。議論をしていくこともすごく大切ですが、例えばプロトタイプを作って実際に動かしてみて評価することも大事ではないか、ということも併せて話しましたことを御報告申し上げます。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 いかがでございましょうか。
どうぞ、益川委員。

【益川委員】
 栗山委員の御発言に関連して、そのところがこちらの5ページの(2)の当面取り組むべき事項のいろいろなプラットフォームの構築とか実証研究とか、そういうフェーズになってくるのかなと思います。そこである程度そういうペルソナ、想定ユーザーのようなものを検討して、そういうときにどういうプロセスを経そうであるとか、そういうのは見ていく必要はあると思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 どうぞ、藤田委員。

【藤田委員】
 富山県では「インターネット市民塾」がポートフォリオというので学習履歴を構築しております。そういう中の活用を見ておりますと、個人がまず登録するということにとても意味が生じています。自分の履歴が増えていくことに対して、自分が学んだという達成感が一点あります。また、その活用についてです。御本人がどういう活用の場を求めていくのかというところで、自分なりのプランニングがあればいいのですが、それがない場合と、活動の場を模索している状況にある場合が多々見受けられます。そういうところで一番必要なのはコーディネートです。プラットフォーム的なところにアクセスして、「私はこういうことを学んだのだが、これに対しての活用の場はありませんか」といった問い合わせに応える、またそういうコーディネートする役割の方が次の学びのプログラムを設定する、という模式図ができていることが大切です。そこで、この学習履歴というものがとても役立つのです。私が先ほど発言させていただいたプラットフォームというところがとても大切であるということと、顔と顔の見える関係のコーディネーターというところが重要であると、富山にいてとても感じるところです。その部分を、今私が富山大学の地域連携という形の窓口を担当しておりますので、その部分で仕事としていかなければならないと、日々取り組んでいるところです。
 今後に向けてというところで、登録するときの登録しやすさがまず一点重要です。それから意味があるというところで、自分が積み重ねてきているところが見えるということを、どういう形で情報伝達するかということです。「できました、登録してください」というのだけでは不十分だと思います。どういう形で伝えていくのかということがとても大切になっていくと思います。
 また、リアリティーの問題です。活動の場として、既存の場では満足していない方たちがとても多いと富山では感じております。ですから、活動の場を、参画型で一緒に考え一緒に作っていくということが大切であると思っています。この部分もプラットフォームの役割、担わなければならないものと、日々の仕事の中で感じております。ポートフォリオというものを実現している中で、今私が仕事の中で感じていることです。

【菊川部会長】
 どうぞ、お願いいたします。

【柴山委員】
 資料1‐2の5番の「人材認証制度」の活用の推進、それから6ページの6の今後の検討事項に関連するかと思います。それから、資料2に関しましては、ユースケース2の、マッチング促進。活用方策というのを考えるときというのは、ポジティブな面というのが先行して発想が出てきます。しかし例えばユースケース2の場合に、上の方で認証がきちっとされていても実際にマッチングするといろいろなトラブルが生じてきます。そのとき、このシステム全体、あるいは制度全体がどこまで責任を持つのかといったあたりも論点の中に入れておいた方がいいのではないかということが気になりました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょうか。
 Aさんのリアリティーですが、この生涯学習社会、あるいは振興法ができたときは、いつでも学ぶことができ、そのことが正当に評価される社会というのが生涯学習社会の定義、理念、理想でした。ですから、そういう方向に向けて、現実を一歩進めるためにICTの発展の中でこういう形ができるのではないかというところに来ているという感じを個人的に持っているところです。
 お願いいたします、山崎委員。

【山崎委員】
 今、菊川部会長がおっしゃったように、ICTがあるからできるようになったことというのは一点あるし、その前に藤田委員がおっしゃったように、全てICTでやろうと思うと結構難しくなってくるので、コーディネーターなどの間をつなぐアナログな部分というのも引き続き、ICTで進めようと思えば思うほどすごく必要性が高くなってくるような気がします。特に、今ICTの社会の過渡期なので、それがアクセスできないという人の数が比較的多い。この数は、これからは減っていくだろうと思いますし、インターネットにアクセスできる人の数が減ることはないので、これから増えていくと思います。しかしいきなりすべてをLinkedInのようにとかFacebookのようにして、先ほど柴山委員が指摘されたように、このシステムにどれぐらいの責任を持たせるのかというようなことになって、全てシステムで回していこうと思うとかなり大変というのが印象です。このことを進めようと思うとき、過渡期だからこそコーディネーター的な人、あるいは我々はそれをコミュニティデザイナーと呼んでいますが、デザイン発想で物事を考えられる人たちが、地域の人たちが動きたくなるような、気持ちを揺さぶるような働きをすることが大事な気がします。
 ちなみに、デザイナーという言葉にしたのは、自分がこの仕事を選んだときにコミュニティディベロップメントという言葉もありました。これはコミュニティをハードで開発するのもそうだし、コミュニティの方々の能力開発をするのもディベロップメントです。コミュニティオーガナイゼーション、これも悪くないです。コミュニティを組織化していく。でも、そこに何か美しさ、楽しい、おいしい、格好(かっこ)いい、かわいい、何かそういう要素が入らないと、人の気持ちが動かないかもしれないと思い、デザインの立場でこういう仕事をやり始めるようになりました。そうしたら、社会教育と近いのではということでこういう場に呼んでもらうことになりました。
 確かに履歴がたくさんあるのもいいし、こんな活動をしましたというのが並んでもいい。けれども、我々のような社会教育とか生涯学習の分野に入ってみたいと思うような人たちが、どういうアウトプットがあればみんな震えるのか。スマートフォンの最初がiPhoneでよかったと思う、それと一緒だと思います。スマートフォンの最初がiPhoneでなくてものすごくダサかったら、みんなまだスマートフォン使ってないかもしれない。瑣末(さまつ)なことのように見えるけれども、美しさとか人々の心が動くとか共感するとか、この部分を仕組みの中に入れていこう考えたとき今の段階ではICTですべてやろうと思うとリテラシーが問われることになりますので、魅力的に誘う人、語る人、その人の評価ができる人、地域に何かこういう人たちがいたらいいと思います。社会教育主事がデザインの勉強をするべきなのか、地域の中にそういう人材をもっと増やすべきなのか、それは我々の課題でもあります。
 しかし、この学習成果をどう活用していくかといったときに、やっぱりいいことをやっていても、「あの団体ダサい」では参加したくないと思います。それぞれの団体、活用したいと思っている団体のところに、私も行きたいと思うようなコネクションは、ICTももちろん大事だし、それから間をつなぐコーディネーターの役割というものの比重も相対的に高くなるということを感じていました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 この中間まとめの素案も今後生涯学習分科会に提案していくということで、そういう意味で小さなことでもアトランダムでも結構ですが、御意見等ございましたらお願いしたいと思っております。
 最初に私から、小さなところですけれども、2ページの二つ目の丸ですが、「近年、公民館等における地域に根ざした学習活動は縮小傾向」というのがあります。それから、同じ2ページの下から三つ目ですけれども、「『学び』と『活動』の循環のサイクルが機能しなくなっている状況にある」というところですが、26年の社会教育調査がまだ速報も出ていないので分かりませんが、間違いないかどうかというところは、確認が必要だと感じます。23年だけきゅっと落ちていますので、本当に縮小傾向で今後も行くのかというところが気になったところです。
 何かお気付きになるところがありましたら、御指摘いただければと思います。

【加藤委員】
 5ページの二つ目の学習成果活用の課題の(2)の当面取り組むべき事項の二つ目の丸です。
 「扱っていくデータの範囲や項目等の標準化」とありまして、この標準化というのがどのレベルの標準化のことを言っているかが分からないですが、最もきついレベルの標準化、ISOのような標準化のことではない気がします。ただ、いろいろなステークホルダーの意見を聞きながら標準化をしていくというようなプロセスが入ってしまうと、なかなか進まない。むしろここでは、もちろん既に標準化されているものに関してはそれに従っていくことは当然のことですが、まだ標準がないものに関して言えば、自分たちがデファクトスタンダードを作ってという気概で進めていってはどうか思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 栗山委員、お願いします。

【栗山委員】
 実は、ICT CONNECT21という新しい協議会ができておりまして、そこの中には技術標準ワーキンググループというのがあります。ICT CONNECT21というのは、教育の情報化をオールジャパンで推進していこうということで、産官学が連携していこうということで動いている組織です。ですから、是非とも今の加藤委員の標準化という部分に関しましては、そことの連携ということも考えていくとよいと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 お願いいたします、益川委員。

【益川委員】
 冒頭の資料2の方でコメントしたところではあるとは思いますが、この文面の方にもそのSNSとか学習者間のネットワークの情報をまた学習履歴として活用していくというのを入れていただけるとよいと思います。

【菊川部会長】
 具体的にはどのあたりでしょうか。

【益川委員】
 この4の「学習者と「活動」の機会とのマッチング」の後になるかと思います。そのデータを使ってまた学びの場とのマッチングにつなげていくというような、そういうイメージのものが入っているといいと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 どうぞ、横尾委員。

【横尾委員】
 先ほど、楠目室長から説明があったのでよく理解はできました。それまでいつ聞こうかなと思っていたことを説明いただきましたが、それは参考資料で言うと12のスライドがパワーポイントにありますけれども、今回の生涯学習パスポート的なデータをストックできる端末にはフォーマル学習、ノンフォーマル学習、インフォーマル学習、全て入るわけです。仮に要約版のレポートを国民の皆様が見た場合に、これを早めに前段の方でぽんと出していただいて、それをもとに色々な展開を行いますということを明らかにした方が、国民の皆様も理解しやすいと思います。
 それと、先ほども部会長からでも出ましたけれども、公民館の活動とかが減っているというお話でしたが、24年、25年というのはまだデータがないのですね。是非将来はマイナンバーができるとリアルタイムで分かるようになるかと思いますが、適宜的確な対応ができたらいいなと思います。
 それで、一つお願いがあるのは、このように標準パターンが出てくると全市町村1,700以上にこれがパターンだからやりなさいという話になりがちです。そうではなくて、自由度を残して、選ぶのも自由、あたらしいことを作ることも自由、もっといいものをやってもいいというふうな状況を作ることが重要です。車のハンドルの遊びのようなものを是非持っていただいて、それぞれの地域にある独特の学びを生かしていただきたいと思っています。そうすることで、柔軟でかつしなやかな学びというのが各地でできるし、ICTを使った非常に効率的な作業、仕事、役割分担ができると思います。特に、2035年問題になっている団塊の世代の人たちは、私は逆に期待していますが、お一人お一人がICT端末を使い込める人がかなりいらっしゃる世代になります。東大の先生の研究によると、一人一人がネット上の放送局になれるぐらいの技量を持つことも可能であるということですから、今は想定できないような情報交流が始まるかもしれないので、生涯学習というのは大きな支えになると期待しています。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。
 ほか、いかがでございましょうか。

【西辻委員】
 事務局への御質問ですけれども、中間まとめには一定の「注」を付けられる予定ですか。

【菊川部会長】
 付けられるということで、よろしゅうございますか。

【楠目民間教育事業振興室長】
 はい。

【菊川部会長】
 ほか、いかがでございましょうか。
 様々な御意見を頂きましてありがとうございました。本日頂きました御意見を踏まえて、中間まとめ等を取りまとめていただきたいと思います。
 なお、7月23日に予定しております生涯学習分科会には、本部会の委員の皆様にも御参加いただき、合同開催としてこの素案を審議いただくことになっているということでございます。そのあたりも含めて、今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いいたしします。

【竹下生涯学習推進課課長補佐】
 資料3をごらんください。
 本日は第3回、7月3日という形で開催させていただきましたが、次回、第4回につきましては、7月23日木曜日15時から17時に、今御説明いただきましたとおり、生涯学習分科会との合同開催を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。
 その後、8月20日にもまたこの部会が開催されるというでよろしいですか。

【竹下生涯学習推進課課長補佐】
 はい。第5回、第6回について資料3にあるとおり開催を予定しております。次回第5回において、中間まとめの案についてまた議論し、まとめていくような形で進めさせていただければと考えております。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。
 では、次回は7月23日ということで、本日はこれで閉会とさせていただきます。
 お忙しいところ御出席いただき、まことにありがとうございました。

―了―

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