学習成果活用部会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年6月4日(木曜日)10時30分~12時30分

2.場所

中央合同庁舎4号館1階 共用123会議室

3.議題

  1. 部会長の選任等について
  2. 部会における主な検討事項について
  3. 委員からの意見発表
  4. 自由討議
  5. その他

4.議事録

  1. 事務局より、挨拶が行われた。
  2. 事務局より、各委員及び文部科学省出席者の紹介が行われた。
  3. 委員の互選により、学習成果活用部会長に菊川委員が選任された。副部会長については、菊川部会長から今野委員の指名があった。
  4. 生涯学習分科会学習成果活用部会運営規則について了承された。

【菊川部会長】
 失礼いたします。それでは、改めまして、今期の学習成果活用部会長に就任いたしました放送大学福岡学習センターの所長菊川です。
 今回は学習成果の活用ということがテーマですけれども、実はこの学習成果を幅広く生かすということについては、平成11年6月に生涯学習審議会の方から答申が初めて出ております。そのときに個人のキャリア開発に生かす、あるいはボランティア活動に生かす、地域社会の発展に生かすということで、考え方を整理いたしまして、そのとき、私も地方の県の生涯学習課長として審議に参加させていただいた思い出がございます。
 今回、生涯学習分科会としては、平成20年の中教審答申以来の諮問ということですが、この15年の間に学習成果を活用するということについて、考え方としては幅広く定着しているわけですが、この間、ICTの非常な進展、一層の少子高齢化、あるいは社会の成熟化等々、この学習成果を活用するための具体のシステム作りがますます求められている状況になっているのではなかろうかと思っております。
 委員の皆様の御協力、あるいは事務局の御尽力を頂きながら、具体に学習成果を活用するというところの施策が進むことを期待申し上げて、冒頭の御挨拶としたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、副部会長の今野先生からも一言お願いします。

【今野副部会長】
 副部会長を仰せつかりました政策研究大学院の今野といいます。今お話に出ました平成11年のときの答申にも関わっていた者です。それ以降、現在の生涯学習推進行政の中でも、学習成果の活用をいかに進めていくかということがなお一番大きな課題の一つになっていると思います。社会全体的には、学びと社会参加の循環ということを進めていこうということは共通理解になってきております。特に市民社会がどんどん進んでくるという中では、生涯学習による学びと社会的な参加ということが一層重要になってきますし、市民をつくるという意味でもとても大切なものになってきていると思います。
 そういう重要な時期で、こうしたテーマでまた関わらせていただける、大変有り難いことだと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 続きまして、事務局を代表されまして、河村生涯学習政策局長の方から御挨拶をお願いいたします。

【河村生涯学習政策局長】
 文部科学省生涯学習政策局長の河村です。皆様方には、大変お忙しい中、この部会の委員をお引き受けいただきまして、心よりお礼申し上げます。また、日頃からいろいろなお立場で私どもに御指導、また御助力を頂いておりますことに、改めましてお礼申し上げます。
 今年4月の中央教育審議会におきまして、「個人の能力と可能性を開花させ、全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について」、下村文部科学大臣から諮問が行われました。今日は、実は委員の先生方、全員御出席です。初回から全員参加型の課題解決を目指していただきますことに併せてお礼を申し上げます。
 大臣の諮問を受けまして、中央教育審議会生涯学習分科会の下に新たに学習成果活用部会が設置されました。この部会の中では、幾つかある諮問事項のうちの特に生涯学習によって自己実現及び社会貢献、地域課題解決に向けた環境をいかに整備するかということについて御審議を頂くこととなっております。部会長のお話にもありましたように、昨今の情報通信技術の進展は大変目覚ましくなっております。例えば世界の大学による講義がインターネットで視聴できるMOOCの取組、家庭におけるタブレットを利用した学習の広がり、あるいはスマートフォンによっても移動中でも様々な時間を活用して学ぶことができるなど、人々の学習スタイルは非常に急速に、劇的に変化をしてきております。
 また、ICTやeラーニングの発達によりまして、学習成果の効果的な活用の可能性も大きく拡大をいたしております。一方で、このような多種多様な学習機会、これはICTによるものだけではなく、従来の伝統的なものも、また様々な参加者も増える中でいろいろな学び方ができていると思っておりますけれども、こうした様々な学習の信頼性や質を確保するということもまた今日の課題ではないかと認識しております。
 この部会では、こうした現下の状況に応じまして、一つには、個々人の学習履歴を記録し活用できる仕組みの構築、二つ目には、学習成果を地域課題解決などの活動に結び付ける方策、三つ目には、学習成果の証明に資する検定試験が今社会の中で様々行われておりますけれども、この質保証の仕組みが構築できないかということについて御審議をお願いできればと考えております。
 この一つ目の学習履歴の記録・活用の仕組みについては、できますならば、学校になぞらえて言えば3学期制の1学期もしくは夏休みにちょっと食い込むかもしれませんけれども、その当たりまでに、もし一つの方向性をお示しいただければ大変有り難いなとも思っている次第です。お忙しい先生方とは思いますが、どうぞよろしく御協力、御尽力のほどをお願い申し上げまして、冒頭の挨拶とします。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。まず事務局から、部会の設置に至る経緯、今後の論点について御説明いただきます。なお、最後に自由討議の時間をできるだけとりたいものですから、質問については後ほどまとめてということでお願いしたいと思います。では、どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤生涯学習推進課長】
 では、まず私の方から、資料4-1、2及び資料の5を用いまして諮問に至るまでの経緯と、今後の検討の進め方について御説明します。
 資料4-1では、内閣官房に置かれた教育再生実行会議の第六次提言におきまして、「国は、大学等の学修に加え、大学等の公開講座、各種の検定試験、通信教育など個々人が学んだ成果を蓄積し、その後の就業や更なる学修に生かせるような学習成果の評価・活用の仕組みや、それらが社会的に認められるようにその質、内容を保証する仕組みを構築する。例えばICTを活用し、学習履歴を記録し、活用できる基盤となるような仕組みを整備する。」といった提言を受けました。
 これを受けまして、文部科学大臣から中央教育審議会へ「個人の能力と可能性を開花させ、全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について」の諮問がされました。このうち、二つ目の「生涯を通じた学びによる可能性の拡大、自己実現及び社会貢献・地域課題解決に向けた環境整備について」に関しましては、生涯学習分科会で審議をしていただくことになりました。4月27日に生涯学習分科会が開催され、より専門的な視点からの審議を本学習成果活用部会においてお願いすることとなった次第です。
 では、具体的には資料4-2にあります諮問文ですけれども、2ページに記載されております「第二に」以降が審議の対象となります。職業においても、仕事以外においても、様々な機会を通じて学びを深め、自身の可能性の拡大、自己実現、社会貢献、地域課題解決に取り組むことは今後ますます重要になってくると考えられ、人と人のネットワークを構築し、地域の人の力を結集することで、地域が自立的に発展していくことが求められ、全員参加による課題解決の時代になっていくと考えられるとあります。
 その後に、こうした考え方の一部は、中央教育審議会が平成20年に答申したとありますが、「新しい時代を切り開く生涯学習の振興方策について」を御覧いただきたいと思います。8ページを御覧ください。
 「3.目指すべき施策の方向性」として、ここに重要な諸点が触れられております。「(1)国民一人一人の生涯を通じた学習の支援」では、学校教育外で各個人が行う学習というのは自発的な意志に基づくものであるが、行政が限られた資源を投入して生涯学習振興施策を講ずるに当たっては、我が国社会全体の知識基盤を強固にするという観点や、社会や地域からの要請を踏まえた重点的に国民の学ぶ意欲を支えていくという視点が必要であることと触れております。
 また、二つ目の丸の後半のところでは、生涯学習を振興する目的や対象をより明確にし、そのための学習機会の充実や、学習活動の成果が適切に評価・活用されることを可能とすることを通じて、生涯学習社会を実現していくことが重要と述べられております。このように学習機会の充実と、学習活動の成果を適切に評価・活用するという、二つの事柄を掲げてございます。
 充実すべき学習活動の具体例として、10ページを御覧いただきますと、マル2に「『学び直し』や新たな学びへの挑戦」、二つ目の丸のところには、自己の充実や実社会のニーズ、社会の要請が強い分野、地域社会、産業界の要請など、多種多様な学習機会といったものを挙げております。
 また、11ページのマル3を御覧いただきますと、学習活動の成果の適切な評価と活用については、これは平成2年の生涯学習政策が始まって最初の答申から、必要性、重要性といったことが指摘をされながらも、二つ目の丸にあるような学習成果の評価や、その社会的通用性の確立に向けた具体的な方策といったものは不十分であったとされております。
 そして、22ページを御覧ください。平成20年の答申前後には、大学における社会人向け課程の修了を証明する履修証明制度ができたり、職業訓練の分野では、ジョブ・カード制度が開始されたりしております。また、民間の事業者に向けた施策として、民間の検定事業者の質保証の確保のためのガイドラインを策定したり、民間自身においても質向上のための団体を設立したり、国際的にはISOなどのサービス規格化などの動きといったものが始まっています。
 資料の4-2にお戻りください。この間も人々の学習スタイルが劇的に変化をしておりまして、MOOCの登場、タブレット端末を使用した学習サービス、スマートフォンによる移動中のすき間時間を利用した学習。かつては情報通信技術を効果的に活用することが有効で、そうしたことを充実させていこうと言われていた時代から大きく進展しまして、情報通信技術が急激に社会に浸透して、そこから様々なサービスが生み出されて人々のライフスタイルも変化していくという中で、先ほど御説明させていただいた学習機会の充実と学習活動の成果を適切に評価・活用すると。この両面において、この間の大きな変化など、今後の展開を展望した政策を立案していく必要があると考えております。
 諮問文3ページにあります三つの丸について、具体的な検討をいただきたいと思います。
 今後の本分科会の検討の進め方ですが、資料5を御覧ください。基本的視点等々ありますが、これはあくまでも事務局の案としてのたたき台ですので、今後どのような視点で進めるべきかを含めて、今日は委員の皆様に御意見も頂戴したいと考えております。
 基本的視点としては、1点目が「情報通信技術の進展を踏まえ、様々な活用での学習の成果を適切に記録・管理・活用することで、これらを個々人の地域課題解決につなげられるような仕組みの構築を目標として、検討を進めてはどうか。」ということで、本来、情報通信技術があろうとなかろうと、学習機会の充実と成果の評価・活用といったこと、また、地域社会での活動やさらなる学習に結び付けていくということ。これは当然のことですが、これだけ社会に浸透してきたこうした技術を利用することによって、これまでできなかったことも容易になると。例えば学習履歴といったものを記録・管理していくといったことは、これまでできなかったわけですが、技術革新がもたらした恩恵といったものを教育分野こそ受けていこうという発想で、生涯学習振興策を講じていきたいと思っております。
 二つ目の丸の検討対象としては、「現在、学校教育段階においてICT活用の様々な試みが多方面で行われていることも考慮しつつ、学生から社会人までの幅広い学習活動を対象とするが、諮問の内容を踏まえ、特に生涯学習の場面での推進方策に重点化し、検討してはどうか。」ということです。
 学校教育段階では、一定情報通信技術の活用が先行しておりますけれども、逆に生涯学習や民間の側が進んでいる分野もありますので、そうしたものを、また学校教育の政策の方にも取組を促すといった視点もあります。今まで民間などの事業者が中心に行われていた生涯学習の場面での推進方策、ここについても更に御検討を進めてはどうかと考えております。
 三つ目の丸ですが、「学校教育におけるICT活用や、地域人材(地域コーディネーター等)の育成、大学入学者選抜等での検定試験の活用など、現在進められている他の教育施策への影響等も充分に考慮に入れて、教育全般への波及効果を持つ横断的な施策を目指してはどうか。」というところです。学習活動の結果を地域活動で活躍したり、また、後に出てまいりますが質保証を進めた検定試験を大学入学者選抜など、就職の場面で活用するといったことが、ここに出てまいります。
 主な検討事項・課題として、1、2、3と掲げてあります。1点目が「個々人の学習履歴を記録・活用できる仕組みについて」です。これまでも生涯学習パスポート構想といったものが繰り返し出てまいりましたけれども、情報通信技術を活用すれば、電子版のパスポートなど、eポートフォリオといったことが可能になってくるというものです。
 それから、二つ目の丸にありますが、個人情報の扱いです。セキュアな情報の管理と、学習者の同意の下の流通といったことをどのようにしていくか、ここはしっかり検討していきたいと思います。
 それから、今後推進すべき施策として、例えばですが、生涯学習のプラットフォームを構築して課題解決に資する学習歴の活用を推進していくというところについては、今日御発表いただきますが、レコメンドといった新しい技術なども登場しています。
 2点目が、「学習成果を地域課題解決活動等に結び付ける方策について」です。これは従来、人材データバンクといったものが、なかなかうまく機能せず、ミスマッチが起きていたのですけれども、そこについて実際に地域等で求められている学習内容と、提供される教育プログラム、個々人の学習活動とをマッチングさせるため、教育機関や学習者の側の視点のみでなく、学習成果を活用する場面からも、その視点にも重点を置いて望ましい学習歴の評価・活用の在り方について検討してはどうかと考えております。
 次のページが、個々人の学習成果を評価する主体ですが、地方自治体や資格認証を行うNPOなどが想定され、これらによる公的に近い評価に加えて、SNSなどを活用した学習者主体の評価、第二者、関係者評価といったことになろうと思います。そういったものも対象としてはどうかというものです。
 今後推進すべき施策として、今後、地域課題解決活動に学習成果を活用していくために、先進地域でのモデル的な取組、また地域コーディネーターなどの育成など、具体的な地域人材の育成に向けた取組と連携をしていくということが有効ではないかとしております。
 三つ目が、「学習成果の証明に資する検定試験の質保証の仕組みについて」です。検定試験については、個々人の学習成果を客観的に証明し、様々な社会参画の際に活用されるなど、生涯学習のインフラとして重要な役割を果たしておりますが、現在、大学入学者選抜等での活用も課題となっています。一方、民間の検定試験には多種多様なものも含まれることから、その質の保証・向上のための具体的方策について検討してはどうかとしております。技能や技術を証明するものから、検定試験というのは趣味、教養まで様々ありますので、どういった辺りを施策の対象としていくかというのも論点としてあります。
 今後推進すべき施策としては、各種検定の質保証・向上を図っていくためには、検定事業者の自己評価の取組の支援、民間の第三者機関による認証制度の構築といったことを進めることが有効ではないかというようにさせていただきました。
 この進め方についても、是非また御意見を頂き、個々の課題について御示唆を頂戴できればと思います。
 続けて、補足で説明いたします。

【楠目民間教育事業振興室長】
 失礼いたします。それでは、今回の検討事項の背景となりますデータ等につきまして、資料6の方を用いて御紹介をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。資料6ですけれども、1枚おめくりいただきまして、1ページから3ページまでは、スマートフォンやタブレット端末が国内的にも、国際的にも急速に普及しているというデータです。1ページは、パソコン、スマートフォンなど、情報通信機器の世帯保有状況です。パソコンは世帯の8割、スマートフォンは、こちら平成22年に統計に登場したばかりですが、急速にその後6割に普及、タブレット型コンピューターも2割に普及しているという状況です。
 次の2ページはスマートフォンの契約数です。左の図ですが、2014年以降は予測となっているところですが、今後、年1,000万件の伸びで増えていくということが予測をされているところです。
 次のページをお願いいたします。3ページ目はスマートフォンの出荷台数です。世界的にも割合が増えておりまして、2014年現在では世界で12億台のスマートフォンの端末があるということです。なお、この図表中のフィーチャーフォンとありますのは従来型携帯電話のことということです。
 次の4ページですが、国内のeラーニング市場に関するデータです。教育産業全体では約2兆円の市場規模で、全体では横ばいということですが、成長している分野の一つとして、eラーニング、映像教育市場というものがあるということです。こうしたことの背景の一つには、大手教育事業者を中心にタブレット端末を使用した学習コースの導入が進んだことが背景にあるとの分析がなされているところです。
 次のページをお願いいたします。5ページ目ですが、具体的に情報通信技術を活用した学習機会の提供の例です。近年注目をされているMOOCについてのものですが、これは以前からありました大学の教材や講義のオープン化の動きに加えまして、近年の高速ブロードバンドやスマートフォンなどでの動画視聴ができるようになったことなどから世界的に大きく広がったということです。
 右側では、日本でのMOOCの取組としてJMOOCについて記載をしてございます。JMOOCの事務局次長は本部会の栗山委員がお務めになっていらっしゃいますので、併せて御紹介します。
 次の6ページですが、放送大学の資料です。テレビ・ラジオ放送による通信制の高等教育機関でございまして、約8万人の学生が学んでおります。年齢層や職業を見ても、多種多様な学生がこれまで累計で140万人以上学んできておりまして、我が国の代表的な生涯学習機関とも言えるのではないかと考えております。
 次のページをお願いいたします。7ページです。放送大学では、学生の利便のためにインターネットの配信についても平成20年から取り組まれております。また、情報通信技術に積極的に取り組んでいく一方で、全国57か所の学習センター、サテライトでは面接授業等も行っておりまして、こうした地域貢献の拠点となり得る環境も持っているということも特徴の一つではないかと考えております。
 続きまして、8ページからは生涯学習の意向に関する調査です。ICTを用いて生涯学習を行いたいという意向が、左側ですけれども、若い世代ほど多くなっております。また、右側の方ですが、生涯学習の内容については、趣味、教養というものが多くなっておりまして、職業や仕事に関することは、ここでは5番目に出てくるということとなっております。
 次のページをお願いします。生涯学習の今後の意向に関しての調査の続きでございまして、ICTによる生涯学習を行うに当たっての課題について尋ねたものです。端末の扱いが難しそうな印象があるなど、費用が掛かる、講座が少ないといったような回答がなされているところです。
 続きまして、大学の公開講座などの状況です。10ページにございますように、公開講座の開設数、受講者数については近年は高水準で推移をしているところです。これまで社会教育におきまして公開講座を振興してきたことなど、教育基本法の改正を受けまして、大学がその成果を広く社会へ提供するといった取組が進んでいることなどが背景にあるものと考えているところです。
 次のページをお願いいたします。11ページは、インターネットを活用した大学の公開講座についての資料です。こちら、全対数から見ますと、多い数とはまだ必ずしも言えませんけれども、約800の講座がインターネット視聴が可能なものとして提供されているところです。また、そのうち7割については、タブレットやスマートフォンに対応しているということです。
 次の12ページからは検定試験の関係です。様々な学習の成果をどう評価・活用するかということに関しまして、学習成果を測定するツールの一つとなります検定試験については、こちらにございますように現在幅広い分野にわたる民間の検定試験が存在しているところです。これらの中には、小規模な検定試験も多くあるところでございまして、いわば個人的なものから社会で活用できるものまで、非常に多種多様なものが存在しているという状況があるところです。
 次のページをお願いいたします。13ページにございますように、文部科学省では、これまでも検定試験の質を確保するということに努めてきておりまして、そのための一つの方策として、検定実施団体自身による自己評価の実施について推進をしてきております。受講者数が5,000人以上の大規模事業者にもアンケートを行いましたところ、こちらの資料ですけれども、自己評価の実施割合は約7割と一定の進展が見られるところです。更に右側にございますが、第三者評価の必要性につきましても肯定的意見の割合が約6割ということでございまして、これらについては今後政策的にも推進していく必要性の高いところではないかと考えているところです。
 14ページについては、大学入試における民間の検定試験の活用状況についての資料です。
 次のページをお願いいたします。大学入試での活用状況の続きの資料です。15ページにございますように、語学以外にも多種多様な検定試験が現在も活用されているところです。今後更に活用を進めていくには、一定の質の確保ということも課題となってくるのではないかと考えているところです。
 最後、16ページですが、教育再生実行会議の第六次提言で貝ノ瀨委員に提出をいただいた資料でございまして、学習履歴の活用についての一つのイメージを描いていただいたものです。こうしたものも御念頭に御議論をいただけるのではないかと考えているところです。
 資料6については以上です。
 続きまして資料7の方をお願いいたします。資料7ですけれども、前回の生涯学習分科会における本部会に関する主な意見についてまとめさせていただいたものです。時間の関係もございますので、一部について御紹介をしますが、まず学習履歴の蓄積と活用については、一つ目の丸のところにございますように、学習履歴の蓄積の取組は、生涯学習パスポートや、eポートフォリオなどの整備と併せて進めていくことが非常に重要であるという御意見や、二つ目の丸にありますように、潜在的な地域の人材が生涯学習を通じた学びの中で主体的に自己の学習の履歴を把握し、それを社会的な貢献の機会に結び付けていくことが極めて重要であるといったような御意見があったところです。
 また、課題とは、一番下のところにございますように、実際に学習成果を評価する企業や社会のニーズを踏まえることの重要性などについての御意見を頂いているところです。
 次のページをお願いいたします。次にICTの活用についてございますが、そちらのICTの活用の欄の一つ目の丸にございますように、社会人や育児中の人など、学習時間や場所に制約のある人々にとって、ICTを活用したeラーニングは非常に有効な手段であるといった御意見や、一つ飛んで三つ目の丸にございますように、例えば絵を描くといったようなことについても、ICT化が進んでデッサンをYouTubeで学習するようなことも現在では行われていることから、幅広い学習活動を対象としていくことが重要であるといった御意見を頂いております。
 また、その下の丸ところにございますように、ICTの普及のスピードはここ二、三年でも非常に速いことから、技術革新に後れないようにスピード感を持って議論し、提案し、実践していくことが重要であるといった御意見を頂いているところです。
 一方、課題とは、そちらの下の方にございますけれども、eラーニングが普及する中でも、最終的に人間との関わりによる学習ということが引き続き重要であるといった御意見等を頂いているところです。
 次のページをお願いいたします。前回の分科会では、生涯学習をめぐる状況等についても様々な御意見を頂いているところです。一つ目の丸の2行目からのところですけれども、各個人の学習を保障して、さらには各個人が自ら社会参画をしていく中で自己実現ができるというような取組を進めていくことが有効であるといった御意見。
 二つ目の丸にありますように、これからの成熟した社会では、職場で仕事をする中での学び以上に育児休業中など、組織から一度出たときに学ぶという視点が、組織にも大きな付加価値をもたらすのではないかといったような御意見を頂いているところですので、また御議論の際の御参考としていただければと思います。
 御説明については以上です。よろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。1学期のうちにという、先ほどの河村局長の御挨拶にもございましたように、たくさんのテーマが提示されているようです。今から2名の委員の方に15分ずつ、意見発表、事例提供をお願いすることになっております。質問はそれが全部終わったところでお願いします。
 では、情報通信技術の進展を踏まえた学習履歴の管理・活用ということで、益川委員と藤田委員に15分ずつということでお願いいたします。資料は8と9です。

【益川委員】
 では、資料8の紹介をします。静岡大学の益川といいます。よろしくお願いします。
 僕自身ですが、学習科学という研究領域を専門にしています。海外では結構今広がっている研究分野ですが、人はいかに学ぶかという、学習の理論をベースに学校での学び、そして学校外での学び、両方見通しまして、どの人もより賢く生きていけるような、そういう支援というのはどういうものがあり得るのか、みたいなことをやっている研究領域です。そういう視点から、どういう形で学びが広がっていくのがいいのか、自己実現につながっていくのがいいのか、そして、そういうところにICTというものがどういうふうに役立ちそうかという話をさせていただきたいと思います。
 こちら、北米のデータですけれども、LIFEと呼ばれているセンターが調べた、生涯にわたってどういう学習環境で人が学んでいるかというのを概略として示した図です。縦軸が1日16時間起きているという前提で、左から幼稚園、小、中、高、大学、大学院、そして就職、そして定年退職というラインになっています。
 オレンジ色の部分は、いわゆる教える人がいるという、教師がいる中での学ぶ機会です。それに対して、青色の部分というところは、その人が自ら判断して行動して、趣味でもいいですし、仕事についてもいいですし、いろいろな日々の活動についてでもいいんですけれども、そういう学習可能な機会のところを示します。これまで、義務教育など教師がいる、また社員研修みたいな機会ですと、そこで学んだものを使って青色の部分で有能に活躍してほしいという話だったと思いますが、例えば今回のような学習成果の活用となったときには、この青色の部分も何らかの形で支援をして、より知的好奇心をくすぐったりなど、学びを広げていき、より、さらに高めていくような機会を提供していく、そういう話なのではないかなと思います。
 学習関係者でアラン・コリンズという方がいらっしゃるんですけれども、翻訳タイトルで「デジタル社会の学びのかたち」という本を出版されています。三つの時代ということで時代を整理していまして、産業革命前時代はいわゆる徒弟制と呼ばれている時代で、そこの中で学んで、そこの中で成長して、でも有能に活躍する人だった。それが、工業・産業時代では公教育ということで、できるだけ先ほど示したオレンジ色の中で保障して、じゃ、あと、青のところで頑張ってくださいという時代でした。
 それに対して、今の知識基盤社会は、まさにここのテーマである生涯学習時代で、いろいろ教育自身もすごくいろいろな人との相互作用など、その人が学びたいものをきちんと深めていけるような機会の提供であるなど、さらにいろいろな年齢層の人がミックスした中で学んでいくと。そういうものにシフトしていまして、実はそういういろいろ、先ほどのオレンジ色の部分も、いわゆる生涯学習に近い形で、より接続する形で変わってきているのではないかなと思います。
 こちら、私が翻訳の方も担当した本ですけれども、21世紀型スキルの教育と評価プロジェクトというのが2009年に、世界規模で、世界中の研究者が250名以上、それからOECDやユネスコなどが集まりまして、これからの社会に必要なスキルとはどういうものがあるのかということを整理した本になっています。この10個のスキルを調べてみますと、いろいろなテクノロジーも活用しつつ、他者とともに対話しながら、新たな知識、そういうものを生み出して貢献していくような資質、能力が大事だと言われています。まさにこういう知識を生み出していくためには、生涯にわたっていろいろな分野に対して豊かになって広げていく。そして、そういうところにもテクノロジーが関わっていくことがすごく大事なのではないかなと思っています。
 私、学習科学、それから認知科学を専門にしているのですが、そういう研究からの示唆としまして、これからいわゆる何をもっていい形で学習できたとみなすのかというところについて、三つの学習ゴールというのが示されています。一つは、可搬性です。学んだ場所からちゃんとほかの場所へ持って行けるということです。ですので、いろいろなところで、例えば資格もそこで取ったから満足ではなくて、ちゃんと使える形で持っていく必要がある。
 それから、活用可能性ですね。いろいろ持っているのは構わないんですけれども、それがちゃんと世の中にアクションとして使える形になっていくのかという、そういうDependability。そして、持続可能性です。だんだん忘れていっちゃうというのでは困るわけで、ずっとそれを使い続けて、さらに世の中はどんどん変わっていくので、必要なときに学び直すことができるというのが大事かなと思います。
 そういう視点から、生涯学習パスポートみたいなものを検討していくことになるという話ですので、例えば可搬性という視点では、単なる資格や修了書の寄せ集めで、こんなに持っているんだではなくて、それを知識基盤社会に貢献していけるような、そういう学び方を支えていく必要があったり、あとは、学習成果を踏まえて一人一人が新たな知識創造を実際に実践していき、地方創生につながるように支えていくこと。
 あとは、自分の世界の殻の中で、これだけ知っていれば十分だという殻を破る機会がきちんとあって、継続的に学びを広げていくために学習成果というものをちょっと客観的に見ることができたり、学習のコミュニティー、そういう形成を支えていくことが大事なのではないかなと思います。
 じゃ、そういう生涯学習を通して何かいろいろなものに詳しくなっていくんですけれども、どういうふうに専門性を高めていくかという考え方のヒントになるのが、これは発達心理学者の波多野誼余夫先生がおっしゃっている、二つの熟達の方法があるという話です。それが定型的熟達化と適応的熟達化です。
 定型的の方は、効率的にあることを間違えず、確実に、何度でも実行できるというようなタイプの熟達です。これは案外簡単で、必要な知識を確実に覚え、その後が大変なんですけれども、この使い方を訓練して、ここは熟練となってきますと、すごい時間が掛かります。ですけれども、マニュアル化しやすく、テストで測定しやすいような専門性の方です。
 それに対して、適応的熟達化という方は、世の中ではいろいろな場面が生じます、そういう状況の変化に合わせて常に新しい革新的な方法というものを生み出しながら、柔軟に実行できるタイプの熟達者です。そういう人は、その専門領域で何か重要な考え、核になる考えというものを基にして構造化された知識というものを持っていまして、それを日々の経験を通して常に更新し続けるタイプの熟達者です。これは実はマニュアル化しにくいですし、テストといっても単純に何か事実を知っていればいいという話ではないので、その人がどういうふうに学んで、実際にどう使っているかというような学習プロセスなど、パフォーマンスの測定というのが重要になってきます。
 そういうような適応的熟達者が育つ条件とプロセスというのをまとめていらっしゃいまして、例えば学習環境なんですけれども、皆さんの職場もこの四つが全て当てはまっているかというところを考えていただければと思うんです。絶えず新規の問題に遭遇すること、対話的な相互作用に従事すること、切迫した外的必要性、とにかくやらなければいけないというふうに走りまくるのではなくて、ちょっと振り返れるような余裕がある、解放されていること、そして四つ目に、できればいいではなくて、それってどうしてなのということが問えるような、理解を重視する集団に所属していることという、四つの条件を示しています。こういう四つの条件を支えられるような学習成果の活用ができるといいのかなと思っています。
 学習プロセスなんですけれども、こちらのグラフになるんですが、右軸が効率性、上が革新性という形でまとめています。左下の部分が初心者で、いわゆる定型的な熟達者というのは、ひたすら右側の効率性を求めるという方です。両方満たしているのが適応的熟達者というラインなんですけれども、この矢印が真っすぐ右上に伸びているのではなくて、上の方にカーブしてから右に行くという形になっています。
 とにかくいろいろな知識や資格を積み上げると、有能な統合的に使える生涯学習者になるというイメージがあるんですけれども、実は積み上げていくとぱっと開けるというようなパスはなかなかないとおっしゃっています。そうではなくて、その一つ一つの積み上げ自身も何か目的を持ったり、それに対してどういう意味があるのかというふうに使い道を考えながら蓄積していくということが、将来的に花開く生涯学習者になるのではないかなと思います。
 今までの話をちょっと整理しますと、こんなイメージでいけるといいのかなというのが、私からお話ししたいところです。ICTに支えられた生涯学習パスポート活用のイメージとして、まずそういういろいろなICTに支えられることで自分の強みが客観的に把握できると。それから、自分の強みと同じ強みを持つ学習仲間と学習コミュニティーができる。そして、そこから自分が今まで気づかなかった周辺分野への学びが開ける。地域・空間を超えた学習コミュニティーが仕事や趣味の質を変え、そこのところに住んでいる場所の地方創生につながると。
 こういうつながりが出てきますと、一人一人の学習機会、これまで余り生涯学習に興味がなかったような人や、自分の思っている範囲内で勉強して満足していた人が、そうではなくなって、どんどん加速度的に増えていく。増えていくことで、多様な内容や手法による学習機会の提供がそこでまた生まれて、それぞれの学習機会の質というのが保証されていくと。一人一人が知識基盤社会における知識貢献者となり、持続可能な社会における貢献者として、グローバルな視点でローカルでも活躍するという形がいい姿なんじゃないかなと思っています。
 これは、生涯学習プロセス想定の例です。例えば、ある地域の過疎に悩んでいる農家の視点でちょっと考えてみました。それで、例えば自分の学習履歴を見てみると、自分の強みというのは無農薬農法での効率的な生産技術なんだということが可視化されると。そして、その地域の外にいる同じ強みを持つ仲間と生涯学習パスポートを介して学習コミュニティーができ、無農薬農法の質を高める学習機会が増えると。
 それが大事だと思っていたんですけれども、いろいろコミュニティーでつながってくると、それだけではなくて、付加価値の高いものを売るネット販売やビッグデータの統計学や農業体験ワークショップや生産を通した環境保全活動など、そういった過去の自分では関連しないと思っていた周辺分野への学びが開け、仲間と学習する楽しさを得るとともに、その成果が生涯学習パスポートで可視化され、もっともっと学びたくなる。地域・空間を超えた学習コミュニティーに支えられ、生産者農産物の販売方法、生産過程でのイベント開催など、仕事や趣味の質が変わり、その地方ならではの付加価値となり、地方創生につながると。
 こういうふうに広がっていくと、学習機会を提供する学校・団体・会社も、多様な内容・手法が提供されて、そのよしあしが生涯学習パスポートで共有され、学習者がその質を保証していくという形になると。生涯にわたっていろいろ学んでいくため、この知識基盤社会全体の視点からでも、持続可能な社会のために、いろいろな物事を見て実際に行動できる賢い市民となるという、そういうふうになっていけるといいのかなと思います。
 そういうふうな形で実現していくとなると、このICTの活用どころなんですけれども、単に誰がどんな資格を取ったなど、そういうものを集積して、その結果を提示できるだけのステップ・バイ・ステップの積み上げ型生涯学習というふうにならずに、目的を共有した学習コミュニティーを構築した、学んだ後の活用可能性を意識しながら得ていく生涯学習というのを支援するような技術的側面というのが、大きくこの二つかなと思っています。
 一つ目は、ビッグデータの解析であるなど、あとLearning Analyticsというふうな、学習の分析法みたいなものもいろいろ進んでいますので、そういうような技術の利用です。資格や履修修了証の取得結果のデータだけではなくて、もうちょっと、例えばその資格というのはどういう形で取っていくものなのか、どういうふうにして取っていたかみたいな、一人一人の学習プロセスや、SNSみたいなところでいろいろな情報を共有していくのであれば、そこでどういう気持ちを持った、どういうところに役立ったみたいな記述データの記録などを使って、豊かな学習成果記録を活用することで、一人一人の状態を可視化したり、次にはどういうところを学べばいいですよ、こういう学習コミュニティーに入ってみたらどうですかみたいな、そういうお勧めするようなレコメンド機能などというのが一つ、可能性としてはあるかなと思います。
 あとは、ソーシャルネットワークサービスの技術なんですけれども、例えばMOOCなどでも、こういういろいろディスカッションする場所、そして、それが中身だけではなくて、もうちょっと周辺的な情報交換をする場所みたいなのも用意されています。そういうものがあることで、継続的な学習コミュニティーの形成であるなど、趣味や仕事の質を上げて地方創生につながる支援を提供する機能などが考えられるかなと思います。
 こうしてしまうと、一見、地域を超えてつながるので、地域には戻ってこないのではないかみたいな話があると思いますが、例えばいろいろなMOOCみたいな話を見ていますと、ネット上でつながりができると、やっぱりそこで飽き足らなくなって、実際に会おうという行動する機会につながるんです。それぞれの地域にお互いが集まり出して、そこの根差した課題に対してどうしようというような、外の知も得る中での新しい解決であるというところにつながっていくのかなと思います。
 これら技術を組み合わせることで、学習者の視点から学習資格や履修内容の質保証を支えるデータも抽出可能になるかなというふうになります。
 あとは、私、今、教育学研究科で教職大学院ということで現職の先生といろいろ仕事をすることが多くて、そこでの学習履歴の評価というのはどういうものがあり得るのかということを考えています。それは、何点とりましたではなくて、そのクラスの子一人一人が次の時間の授業でさらに伸びていくような、将来の学びに向けた評価方法の研究です。そういう、次にどうすればよさそうかというのが見えてくると、授業の質も変わりますし、支援のしかたも変わってきます。例えば、これは、掛川市立大須賀中学校での実践で、授業開始前、授業中、そして授業の終わりに、各生徒がどんなふうに知識を作り上げたかというのを可視化している図です。
 次のスライド、これは海外のトロント大学オンタリオ教育研究所の附属校の事例なんですけれども、例えばいろいろな学習成果のデータがウェブの上に記録で残っていくことで、そこのクラスの生徒の一人一人がどんな形でつながったのかというのも可視化できるようになっています。この先生、右側が1年目、2年目、3年目なんですけれども、教師がコントロールしていた授業から、2年目、3年目となってきますと、一人一人が主体的にそこの単元の中の自己実現のために学ぶようなネットワーク構造になっていまして、そういうところを例えば可視化することで、自分がどういう位置の人とつながりながら学んでいるのかというのも見える可能性があるかなと思います。
 更に、こちらの伊東市立東小学校の方なんですけれども、これは、1班から6班までどういう内容を話し合ったかというのを可視化した図です。これは、一つの算数の授業の中での分析なんですけれども、こういう意味分析みたいなものを導入していくことで、例えばどういう資格を取り合って、どういう内容について議論した人たちが、どういうふうに成長していくか。似たような構造を持った人は、次の自分の学習につながるかもしれないから、ちょっと相談してみようなど、その人の持っている資格を自分は次に取りにいってみようという、そういう学習可能性を広げるためのツールとしても使えるのかなと思います。
 この事例はすごく細かいデータをとっていて、実際に発話データを、これはKBDeXと呼ばれるフリーのツールなんですけれども、それで自動分析した結果になっていたりします。
 そういういろいろな技術を使ってできる推薦機能、システムの方から、これを学んでみたらどうですか、こういう人とつながってみたらどうですかという機能に2タイプあるかと思いまして、これをうまく組み合わせるといいかなと思います。
 一つ目は、先ほどから言っていますような、似たような学習履歴などプロセスの記録を持っている人と比較する方法です。これは、例えばAmazonで本を買うと、この本を買った人はこの本も買っていますというような、インターネットの販売をしている民間業者のサービスでも行われているように、大量の学習者の学習履歴データを参考に、似たような興味であるや、活動をしている人と比べて、さらに学習するとよさそうな講座など、資格等を提示するような機能というのが、一つ考えられるかなと思います。
 もう一つは、そうすると、すごくボトムアップ的にいろいろな広がりが出てくるんですけれども、例えばもうちょっと、今国として世界として全体で向かおうとしている知識基盤社会における賢い一市民として成長し続けるなど、そういう資質・能力を開花させるとためにお勧め機能というのを活用していくという方向です。
 そういうふうになってきますと、例えば何らかのベンチマーク基準というものがデータベースとして入っていって、それと比べるというようなイメージです。それで意味分析技術やメタタグ情報等を用いて、例えばそれぞれの資格がどういう資質・能力の育成につながるかという、事前にデータをデータベースに入れておきます。そういうものを使ってベンチマークとなるようなネットワークの構造データベースと、一人一人の学習履歴の状態というのを照らし合わせて、さらにこっち側を学べると、より持続可能な社会に応えられるようないろいろな趣味の広げ方になり、そういうような講座や資格というのを提示していく、そういうレコメンド機能というのもあり得るのかなと思います。
 私の方からは以上です。ありがとうございます。

【菊川部会長】
 貴重な情報を、ありがとうございました。
 では、引き続きまして、お願いいたします。

【藤田委員】
   富山大学の地域連携推進機構生涯学習部門で仕事をしております、藤田です。本日は、学習成果の活用を図る富山における取組について、富山県でどのように大学が取り組んでいくのかということ、そしてもう一点、皆さん御存じの「インターネット市民塾」についてどのような展開をしているのか、ということをお話しさせていただきたいと思います。
 地域連携推進機構は、生涯学習教育研究センターが改組された組織です。学部とは全く違った仕事形態で、生涯学習に関する調査・研究・開発に日頃取り組んでおります。ですから、公開講座、オープンクラス、地域との連携ということで、地域のニーズに対してどのように応えていくのか、ということを探究しているのが本分です。
 戦略的な地域連携を目指して、大学では社会貢献の領域で地域イノベーションを重視し、大学の多様な資源活用を図り、大学が持っている知的資産を活用してどのように地域を支援していくのか、また開放していくのか、ということを追求しています。また、その中で、富山大学がどのようにイノベーションを起こしていくのか、ということをキーワードにしております。私のセクションは生涯学習を中心に考えながら仕事をしております。
 まず、生涯学習プラットフォームについては、本学では、公開講座数とオープンクラスという正規授業公開の事業数が、非常に多いのが特徴です。また、富山県は小さな県で、車で端から端まで1時間圏内です。1時間で端から端まで行ってしまいます。東京でいいますと通勤時間と同じ範囲内、となると思います。
 また、車社会であるという点と、もう一点は、教育県であるという自負心が県民の中に強く根付いている、ということに触れておきたいと思います。したがって、生涯学習でも学校教育の面でも、教育県ということで、県民のどなたにインタビューしましても、「富山県は教育県ですごいところだよね」という回答があり、その評価の定着ぶりが出てきます。
 また、共働き率が高い。女性が職業を持つのは当然という意識が非常に強いところです。保育所の待機児童ゼロで、女性の就業率が高い県です。したがって、共働きが多いので、生涯学習に関わるところでも、事業を企画する際に曜日や時間が規定されてきて、若い子育て世代の方たちを対象とする場合は限られた時間の中で展開しなければならない、ということになります。
 学習者とひとくくりに言いますが、現役世代から子育て世代まで幅が広く、親子、大学生、高校生、ニートなどを事業の対象者・ターゲットとし、どのような学習機会を提供するか、ということを探究することが本分となっています。その中で、今展開しているのは、ニーズに対してどのように応えていくのか、ということです。生涯学習相談ということで、学習者の話・要望をよく聞く、ニーズも聞く、それから、何を求めているのかいとうことも、コミュニケーションをとりながら一歩一歩進めています。
 ニーズに対応したプログラムの開発・知の公開を追求する上で、他機関との連携ということで、本学は「県民カレッジ」と連携しています。この「県民カレッジ」は非常に歴史が深く、自由塾としての性格があり、そこで学んだ人たちが学習成果の活用ということで県民教授を担当しています。資料・パンフレットには、自己の学習歴について今年で何年目、と必ず書かれています。したがって、例えば「県民カレッジ」の県民教授であれば、今年21年目、そして「インターネット市民塾」は17年目、というように書いてあります。そのように、様々な活動や学びの場があります。NPOは、小さな県ですが1,000以上あります。そのような住民の活動の場も広く存在し、活動を展開しています。
 もう一点、公民館活動も充実しており、地区公民館が長年現役で極めて幅広い活動を展開しており、学習成果の活用と学習機会の提供ということについては、本当に住民の幅広いニーズに対して応えている地域です。その中で、本学は公開講座やオープンクラス、サテライトなど、様々な形の事業に取り組んでいますが、本学は一発花火的な事業をしません。単発のイベントよりは、継続した学びを作り上げていくことに取り組んでいます。したがって、1回の、単発限りという事業はしていない、というのが特徴です。
 生涯学習の拠点を目指すということで、地域に対して十分ニーズに応えられるようになることを目指し、昨年、10年後の姿・目標を掲げましたので、資料として載せました。後でお時間のある時にでも御覧いただければ、と思います。
 オープンクラス、これは大学の正規授業を公開しているものです。本学では強制的に教員に対して公開することを課しておりません。実は私、着任して6年目ですが、着任した当時は1,000科目公開していました。ところが、年々少なくなってきていますが、専門的な分野の公開が次第に難しくなってきた、という事情があります。本学では様々な領域で研究者たちが最先端の研究をしており、どこまでその内容を公開していくのかとなると、学生教育と市民に対する公開、すなわち正規授業の公開等と、そこでどこまで公開するのかということは、先生の判断に委ねられますので、現在少し数が減っています。 しかし、生涯学習部門では1,000を目指して仕事をしています。現在、815科目を公開しており、284名が受講しています。受講者の中には、本学の教員退職者もおります。したがって、シニア世代から若い世代まで幅広く、また、専門的な知識を持った人も受講しているという特徴もあります。
 授業公開の受講者に、インタビューやアンケート調査を繰り返し実施しておりますが、図に示したように、「リフレッシュの機会になった」という回答が最も多くなっています。受講者にとっては、一番の成果は、「リフレッシュの機会になった」ということです。その他、複数で学びたいということです。しかし、ここで考えていただきたいのが、これはオープンクラスや公開講座でも受講者の意向として出てきていますが、講座それだけの受講で終わるのではない。「インターネット市民塾」でも、学んだ方たちが公開講座などに参加する、いわば「両輪掛け」している状況にあります。
 「インターネット市民塾」では、受講者が一人で学ぶことが多いようですが、それでも他者と共に複数で学ぶ、一人よりも複数で学ぶ方が良いということで、輪を求める、という場合もあります。従って、そうした要望は、ICTの活用とフェイス・トゥ・フェイスの学びと、いわば「両輪で」ということを求められています。
 公開講座の方でも同様の傾向があります。本学では全科目有料講座で無料講座はないのですが、以前の国立大学公開講座授業料が基準なので安くはなく、そうした価格帯で昨年公開講座を71講座実施して、645人が受講しています。その中でも、「知り合いが増えた」という回答が多く、一人よりも複数で学びたいという意向が示されています。本学の講座受講者には「インターネット市民塾」受講の方も多く、いわば「両輪」志向が強い、と言えると思います。
 「インターネット市民塾」は、17年目に入り、様々な事業が展開されてきています。図の模式図ですが、私が6年前富山大学に赴任した時、専門が生涯学習・社会教育で情報教育ではありませんが、「インターネット市民塾」を自分なりに理解しようと、様々に図にして理解しようとしたのですが、その中でこれを作り上げたものです。極めて単純化しておりますので、市民塾の方から見ると実際にはより複雑であると言われそうですが。
 「インターネット市民塾」は、eパスポートが非常に魅力的なものとなっています。その「eパスポート研究協議会」という協議会を立ち上げて、申請に基づき認定するというところ、そこに大きな魅力を感じていると言えると思います。しかし、今は「インターネット市民塾」も成熟してきましたので、「市民塾」の参加者の中にはこのeパスポートに余り魅力を感じない人々も増加してきているように思います。
 現在、次のステージの移行を図り、昨年から「出番づくり応援プログラム」が始まりました。これは相談会からスタートということで、「インターネット市民塾」が、「フェイス・トゥ・フェイスで相談会を開きます」と公募し、相談会に来ていただき、どのような活動をしたいのか、地域の活動でどのようなことができるかということを把握し、これまで積み上げてきた学びの成果の活用を図る、というものです。相談を1回、2回、3回と繰り返しながら、応援プログラムを作り上げています。まだ数は少ないのですが、とても良い実践例ではないか、と捉えています。
 このプログラム開始のきっかけは、成果の活用をどのように図るのかということが課題になってきていたのですが、多くの学ぶ場があった中で、その場に「インターネット市民塾」の方も参加していて、「こういうプログラムが必要だよね」という意見が出され、それを具体化するということで実現したものと伺っています。
 言うまでもなく、インターネットは、家庭、地域、職場、県外、様々なところからアクセスができます。しかし、富山県内の方たちは、「出番づくり」となると、地域に求める、地域での成果活用を望んでいる、と言えると思います。
 最近の傾向をまとめてみました。学ぶ場所は身近な場所で、という方が多いと思います。「インターネット市民塾」の受講者で、本学の公開講座やオープンクラスを受講している人も、身近な場所が良いとよく話しています。この他、夜間の時間帯に開講していた講座が多かったのですが、最近は平日の午後に開講してほしい、という要望が多いです。特にTOEICの講座を本年度からスタートしたのですが、受講者は職場から本学に来ることになります。職場から直接参加したいから、平日の午後に開講してほしい、という希望もとても多くなってきています。また、一般的なシニア層の方たちも非常に人数が多くなってきていますので、午前中は病院の時間、午後は学びの時間ということで、午後を希望される方が非常に多いです。
 インタビュー調査やアンケート調査では、学ぶ上でも楽しく学びたいということで、体験型と参加型を開発してほしいという要望が多いです。また、仲間作りや、スキルアップの要望も出されています。学ぶことを目的とするというよりは、学習機会を活用しながら別の目的、例えば、外に出たい、何かしたい、話す機会を求めたい等で、一歩出たい・踏み出したいと、人と会いたいということで、学ぶだけでなく学ぶことを理由にして、別の目的も併せ持ちながら、という要望がインタビュー調査やアンケート調査の結果から読み取ることができる、と考えています。
 このような状況の中にあって、連携が必要であると考え、本学では「県民カレッジ」や「市民大学」と連携した県内のコースを立ち上げており、短期大学、専門学校とも連携をとりながら、成果活用に取り組んでいます。
 本学では、地域の現状を把握するため、フェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションをとろうと、参加・参画型ワークショップを2年続けて開催しています。これは、地域の要望があり、自分たちがどのような学びをしたいのか、また、同じように学んでいる方たちが何を求めているのか、ということを聞きたい、交流したい、という声があり、協議の場を大学に設けています。
 その中から、地域活動のコーディネートをしたということで、そのためには自己の学習履歴を見える形にしたい、という要望が出されています。まさにポートフォリオですが、自分でどのような形に「見える化」していくのかということと、地域活動のコーディネートをしたい、という要望です。図では、この部分をあえて空白にしています。この部分ですが、ここをコーディネートするのは御自分では難しく、単独で何かの組織・機関に所属してみたがうまくいかない、ということで様々に模索しているところです。
 そこで、「インターネット市民塾」の言葉を借りると、人材マッチングという言葉になります。これは、先ほどの益川先生のお話では、Dependabilityということではないか、と考えています。学習成果の活用をどのようにしていくのか、ということだと思います。その部分を現在大学で取り組んでいます。受講者との協議の場を活用し、今後の事業のあり方(とりわけ学習成果の活用をいかに図るのか、ということを視野に入れて)を探究する場として位置づけ、新しい取組を展開しています。
 学習成果の活用を図る上では、情報共有が重要です。生涯学習機関と連携し、具体的にできるものとして地域課題解決型の人的ネットワークを構築する、また、コーディネートを養成する、ということを考えています。このコーディネートを養成する役割も大学が担おうと考えています。「何々ができる」「何々がしたい」という学習者の気持ちに応え、新しい活動の場・環境の創造ということを考えた場合、ICTを活用した取組はきっかけになり、個々人の学び方の選択肢の一つとなる、と思います。しかし、その後については、「学習相談」が重要です。ICTは「インターネット市民塾」が得意とするところですが、住民の全体の学びについては大学で捉えていこう、と考えて取り組んでいます。
 学習成果ということでは、学習成果の評価や認証が問題になりますが、若い世代では認証や評価が注目され、それを目的に学習が積み重ねられていきます。しかし、シニア層、70代、80代の方たちの場合、90代の学習者もいらっしゃいますが、評価や認証という問題は卒業してしまっています。その方たちは、認証を受けるよりは、毎日楽しく学べれば良いとなりますから、この認証評価を手にして次のステップ・目標が具体的になります。すると、これができるようになった、この認証を手にすることによって次の活動ができるようになったということになれば、この認証や評価に対して大いに積極的になり、目的意識が生まれてくるのではないか、と感じています。
 現在、このような様々な取組を展開しています。今、地域生涯学習の拠点になることを目指し、住民・受講者と大学の双方向での取り組みを追求し、そして学ぶ場づくりを模索しています。既存の学ぶ場には、また、既存の活動の場には、様々な点で満足していないという方たちが、生涯学習歴20年の方たちの中にいますので、その方たちと共に作り上げていこうと、今年度から生涯学習セミナーに取り組んでいます。
 そうした取り組みを進めながら、大学が受講者と双方向でできることを追求しながら、地域の生涯学習機関とも情報を共有しています。したがって、そうした情報共有・連携の中で、各機関ができることを大学が提案しながら、新しい形の生涯学習社会に一歩でもステップアップできるような富山県を創っていきたい、大学として地域貢献していきたい、と考えています。以上です。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。15分という短い時間で、それには本当に中身があり過ぎて恐縮でございました。
 できるだけ御意見を全員の方に御発言いただきたいということもありますので、今の発表、あるいは事務局の御説明等々でもよろしゅうございます。質問を交ぜていただいても結構です。どなたからでも、御発言いただきますと幸いです。
 では、山本先生の方からお願いいたします。

【山本委員】
 山本です。所属は一般社団法人国立大学協会となっておりますが、3月まで38年間、和歌山大学で社会教育の研究と教育をやっておりました。最後の5年半は学長をやりまして、出てこいと言うので東京に出てまいりました。66歳で学び直しをしているという感じで日々を送っておりますが。
 国立大学協会は、5年前に国民への約束というマニフェストを出しています。そのときは、生涯学習ということは一言も書いてありませんで、私も専門家としてじくじたるものがありましたが、来る6月15日に新たなものを出すことになっておりまして、これには里見課長などもこの間奮闘されたこともあると思いますが、学び直しへの国立大学のコミットということが強く書かれております。その点では、この分科会で私も議論を聞きながら国立大学全体の改革に反映したいと思っております。
 もう一つは、今東京に出てまいりまして、学術、研究振興、高等教育に係る様々な会議に傍聴者としてずっと出ておりまして、そこでは、本当に日本の良質の良識ある方々が様々な論点で非常に豊かな議論をされているということを痛感しております。そこには、本当に今政策のトレンドを一定の方向にかじを切らざるを得ないわけですけれども、本当に多様な対立点を含んで、非常に豊かな良識が表現されているという点では、日本の民主主義が成熟しているなというふうに感じております。
 ただ、心配なのは、これは基本的な視点ということになると思いますが、生涯学習の奨励を認証、評価も含めてやっていこうということですが、今、社会教育の現場では、例えばさいたま市の例にあるように、俳句を書かれた方がその講評は拒否されるということや、あるいは美術館や博物館への展示に様々な干渉があります。そういう、学習した成果を表現する、その自由の拘束というものが、地域においては生じているということは大変心配すべきことだと思っております。
 その点では、様々な学習を激励する、奨励するという観点、その技術化とともに、その前提になるような基盤についても十分関心を払って議論をしていく必要があると思っておりますので、一言述べさせていただきました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 では、清原委員、加藤委員の順番でお願いいたします。

【清原委員】
 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。本日は、河村局長のお話、そして、資料5におまとめいただいた「検討の進め方」についての案、そして、益川先生、藤田先生からのプレゼンテーションをお聞きして、キーワードとして、やはり「生涯学習プラットフォーム」をいかに提案していくかということが、私たちのまず最初の責務なのかなと受けとめております。
 何よりも、学習を自己管理するための支援のシステム、そして二つ目に、それをどのように社会参加に循環させていくかというときに、相談者とのやりとりの中で客観的な成果、履歴として保障していくこと。いわゆるコーディネーターの皆さんが個人に寄り添った支援をできるときの根拠となるようなプラットフォーム像というのが重要ではないかなという問題認識を持ちました。
 そこで、実は5月中に内閣府の福田大臣補佐官から示されたいわゆる「マイナンバー制度のロードマップ」を見ますと、例えば三鷹市のような自治体は今年の10月5日以降、通知の責務が生じ、来年の1月からはマイナンバーカードの交付の責務が生じるのですけれども、政府のビジョンとしては2017年度には、例えば「資格試験や入学試験の受験票」にマイナンバーカードを使うことによって、括弧付きですが「替え玉受験の防止」をすることができないのか、あるいは教員免許等の「公的資格証明」に使えないのかなど、あるいは2018年以降は「学歴証明」、いわゆる「卒業証明書」として使えないかとか、そういう広範囲の活用について御検討をされているということが示唆されました。
 私たち自治体としては、このような方向で様々な利便を国民、市民に提供する制度にすることが、基本は社会保障と税に関する番号制度ですが、サービスの充実につながると思いますが、他方で、「生涯学習プラットフォーム」ということで、個人個人の皆さんが御自身の学習の履歴等を主体的に把握しながら、どうそれを地域課題の解決に結び付けていくかというときに、このマイナンバーカードが使えるのか、使えないのかということは、やはり重要な方向性かなと思いました。
 生涯学習プラットフォームや、あるいはいわゆるパスポートというものの形がICTと関係するとするならば、非常に個人情報が保護され、セキュリティー度高く、公的認証制度などを活用して、個人が安心して自分の履歴を保存できる、あるいはそれが個人の思い込みではなくて客観的な学習の場の皆さんの保障や、検定試験の合格のリストと連携しているとか。そういうことを考えますと、学びの方法でタブレット型端末や、スマホや、MOOCの学びが普及していくでしょうが、併せてどのようにプラットフォームを作っていくかというときのICTの使い方が重要だと思います。
 そこで1点だけ質問ですけれども、いわゆるマイナンバーを進めていらっしゃる本部と、それから文部科学省のこの生涯学習の成果活用の部門とは、何らかの情報共有とか、連携がおありになるのかを教えていただければと思います。以上です。

【菊川部会長】
 生涯学習分科会の中でも同じ話が出ていたと思いますが、事務局、いかがですか。

【佐藤生涯学習推進課長】
 現時点では直接的な連携はありませんが、IT本部の議論の方に、私どももオブザーバーという形で会議への参画をしております。先般も会議の配付資料の中に一つの今後の活用の方向性として、医療、福祉への分野の応用や、教育の分野への応用といった提案がなされてきたということは、これは非常に大切な視点と受けとめて、これから私どものこの審議会の中でもマイナンバー制度がこれから普及していくのにあわせて、それをどのように私どものまた行政の中にうまく取り込んでいくのか、はたまたそうでない、違う方向をとるべきなのか、そこはしっかりと議論していく必要があるのかなと思っております。

【清原委員】
 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。夏までにとりまとめたい学習履歴を記録、活用できる仕組み作りに絞って、アットランダムで結構ですので、御意見がある方、お願いします。
 では、加藤委員、それから高見委員、お願いいたします。

【加藤委員】
   放送大学の加藤と申します。先ほどの清原委員の御意見とも重なるんですけれども、この分科会のポイントというのは、生涯学習のプラットフォームと生涯学習パスポートをきちんとイメージ固めするということだろうと、話を通して認識しました。そうなると、どういうものとして生涯学習パスポートというものをイメージするかというのを、そのイメージ合わせが委員の中でこれからとても重要になってくるだろうと思っております。
 その中で、先ほどの益川先生と藤田先生のお話というのは非常にイメージを明確にする上で参考になりました。その中で、まだちょっとどうするのかが不明確なものとして、インフォーマルラーニング。大体3分類があって、フォーマルラーニングという、いわゆる普通の学校での教育と、ノンフォーマルラーニングという、学校ではないんだけれどもちゃんとした教育機関で行うような教育、それからインフォーマルラーニングというのは、例えば博物館に行くとか、本を読むとか、そういうふうな自主的な学習。その三つの分類があるんですが、インフォーマルラーニングの学習履歴というのをどう扱うかという当たりは、一つ、鍵になるのではないかなと思いました。以上です。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 では、高見委員、栗山委員、お願いいたします。

【高見委員】
 株式会社イトクロで取締役をさせていただいております高見と申します。よろしくお願いいたします。一旦の整理をもう一度お伺いしたいんですけれども、下村文科相が出しておられる諮問があり、そこの中に第一にというところと、第二にというところで、丸が四つと三つ、全部で七個あり、その諮問を受けて、普通プロセスとしての資料5にあるこういう基本的視点と課題を私どもで話し合えばいいよねと、そういう流れだという理解でよろしいですか。
 だとすると、考え方として非常にプロセスが重視されているなと思っています。それがいいとか、悪いとかということではなく、このプロセスを通じて何を目指すのかというのをある程度明文化しておかないと、多分迷いが出るなと思っています。なので、ゴールは何で、そのゴールに向けて歩んでいったときにどういう成果を目指すのか。例えば下村文部科学大臣の出しておられる、例えば2ページの丸1個目であると、「産業・経済の状況により変化が激しい社会の多様な人材ニーズに対応し、各職業分野の特性を踏まえた質の高い職業人養成を行うことができる制度設計について」。これ、産業界で思うと、本当に窮迫したところで感じているところです。
 じゃ、これを目指すのだというふうに決めたときに、このツールをどう使っていくんだと。このツールを使うことでどこまでの成果を期待するんだという話合いがあれば、じゃ、何は選択し、何は今回は検討しないという取捨選択ができると思います。限られた時間ですし、限られた工数かと思いますので、そこの議論もはっきりしてくるかなと。やりたいことは多分たくさんあって、やるべきこともたくさんあって、ただ、限られた中で言うと取捨選択をする。やらないことも決めるということをしていかないとなかなか議論は進みにくいなと思っておりますので、一旦そのゴールが七つもあるので、七つともというのは難しいのであれば、優先度を決めて、一旦フォーカスをして、そこのフォーカスをしたことに対してここまでの成果を求めることをしましょうというのを決めると進みやすいのかなというのを、お聞きしていて思ったので、その議論ができるといいなと思っております。以上です。

【佐藤生涯学習推進課長】
 ちょっと説明の方が足りずに申し訳ございません。今七つとおっしゃいましたが、前半の四つは、中央教育審議会に特別部会を設けまして、新たな職業教育を行う高等教育機関の制度化に向けに別の検討がなされておりますので、第二に以降の部分で、具体的には、3ページの丸の三つ、こちらに焦点を絞ってこの部会では御検討をお願いしていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

【高見委員】
 承知しました。

【菊川部会長】
 では、栗山委員、三瓶委員、それから西辻委員の順番でお願いいたします。

【栗山委員】
 失礼します。学研教育総合研究所の栗山です。よろしくお願いいたします。今お二人の先生のお話を伺って、生涯学習といっても幅広い、様々な学びや、学び方があるんだなとお伺いしております。また、可視化することの重要性というのも改めて感じたところです。
 今後、ICTを活用して学習成果を残していく、あるいは活用していくということを考えますと、扱っていくデータについて何らかの形での標準化ということを考えていくことが大切なのではないかと思っているところです。意見です。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 では、三瓶委員、お願いいたします。

【三瓶委員】
 ありがとうございます。桜の聖母短期大学の三瓶と申します。ずっと生涯学習分野以外ほとんどやっていない人間で、今回の発表の二つ、勉強させていただきました。
 それで、意見として二つあります。整理したいなと思っているんですが、私も学習プラットフォームというポートフォリオ、福島県も人材バンクというようなものをやっては消え、やっては消えというか、うまくいっていないというのがどうしてなのかというのをここで議論しないと、学習プラットフォームはずっとうまくいかないのではないかなというのがあるんです。
 どうしてかというと、生涯学習の公開講座も含めて、教える人と学びたい人というのをお互いに探さないとうまくいかないとなったときに、今藤田先生がおっしゃっていたのはシニア向けなのかなというか、シニアをある程度想定した感じで、私がふだんから関わっているようなところだなという感じがしたんです。そうすると、ある意味ICTではまだまだちょっと難しい。スマホもなかなか使えないような世代の方々には、やっぱりフェース・トゥー・フェースで学習相談をしたい。私は何を教えられるのか、私は何を学びたいのか、あるいはどんな講座をどこでやっているのかというのを直接聞きたいという世代があるわけです。
 もう一つは、益川先生がおっしゃっていたようなレコメンド機能とかいうような簡単にできる、私も最終的にAmazon式のようなものがあったらいいなと、本当に常々思っています。クリックして、こういうものがあります。こんな方はこんなことを学んでいます、なるほどという、そうか、それは沖縄に行かなきゃ学べないのか、でも、行こうかなというようなものですね。というような形ということで、ICTでやれるものと、それからICTではなかなかできないものと、どういうふうに場合分けをしながらやっていくかというのはすごい大事だろうなというのを感じています。
 結果的には、プラットフォームというふうになるのか、私は学習相談ハローワークのようなもので、それがあちこちに拠点になればいいなと思っています。残念ながら、今の地域公民館というのは、そこは機能していないというのを私は批判的に見ているものですから、本当は地域公民館がそのような拠点になりつつ、インターネットでもできればいいなと、意見として言わせていただきました。
 その中で、やはりインフォーマルラーニングです。習い事とか、個人的には、この本に関しては本当に読んでいるとか、いわゆる試験ではないんですけれども、自分の一般的な言い方でするとオタク度というか、それに関してはすごく夢中になって、それに関しては専門家ではないですけれども、教えられるというような人をどういうふうに発掘させるかというふうになると、見える化するにはちょっと議論が必要だろうなと感じました。以上です。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 西辻委員、お願いいたします。

【西辻委員】
 はい。この学習成果などをいろいろと蓄積していって、履歴をデータベース化していくということになるんだろうと思いますが、そのときに、例えば検定試験などでも、同じ内容、例えば英語であれば、英語に関わる検定試験というのはたくさんあるわけですね。そういうのをそれぞれ蓄積していっても、横のつながりというのが今のところない。
 したがって、共通の物差しがないのではないかなと思うんです。日本語に係るようなものとか、いろいろあると思いますが、それぞれ大きなグループの中で学習履歴というものを判断するような共通の物差しを作っていかないと、どれぐらいできるのか、何がどの程度できるのか、それをどのように学んできているのかということが判断できないのではないかと思うんですね。
 英語に関しては様々な検定の主催者が集まって、そういうことを考えようというのが始まっていると伺っています。それはきっかけは大学入試にどのように活用するかということですけれども。ここは生涯学習ということになりますが、活用する側からすれば、それぞれの検定であったり、それぞれの学習歴であったりというのをどのように判断していいのかというところは、一定、これはかなり労力の掛かることですし、時間も掛かることなのかも分からないですけれども、そういうことを決めていく方向性というものは出す必要があるのではないかなと感じました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。検定の質保証の仕組み等々については秋以降、審議することになると思います。
 

【大畑委員】
 リアルグローブの大畑と申します。今日、すごい濃い内容のお話をお伺いさせていただいて、やっぱり学習成果の活用や発表の場が、すごくサイクルとして生涯学習を継続して意味のあることにしていくに、とても大事なんだなというのがすごい勉強になりました。
 そういったときに、学ぶフェーズがあって、評価されるフェーズがあって、活用とか共有の場があって、そこの場で次の学びにつながっていくという、そのサイクル自体が生涯学習プラットフォームというものの目的というか、そういう将来像というか、そういったものになっていくのかなとちょっと感じています。
 それについてかなり課題が列挙されていたと思いますが、そもそもプロセスを評価するといったときに、どういうデータをまずとるかであったり、あと、そのデータをどう解析して、それをどう使うのか。単純にテストの結果ではないとおっしゃっていたので、その辺のところのITがあれば、もしかしたら見える化ができたり、評価の指針が統計的に見えるかもしれませんけれども、そういったところの課題もあるのかなと思いながら。
 あと、セキュリティーであったり、質の保証みたいなところというのは、かなり大きめの課題なのかなというのを感じました。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。今日は初回ですので、共通認識をするという回だと思いますが、御発言をお聞きになって、益川先生、藤田先生、いかがですか。

【益川委員】
 そうですね、どのレベルのデータを集めて分析していくかというのも、これから議論になると思いますが、逆にそれを、このプラットフォームが全て担うのか、いろいろなところからボトムアップにいろいろ出し合って徐々に構築していくとか、そのやり方もいろいろあるかなと思うんですね。領域の特性だとか、そういうものと併せて検討できればいいのかなと思っております。

【藤田委員】
 富山の「インターネット市民塾」は、むしろシニア層で浸透しています。学生たちは、私の授業で初めて聞くケースが非常に多い、という状況です。その「インターネット市民塾」、先ほど三瓶委員から発言がありましたが、富山ではシニア層ほど精通しています。
 「情報弱者」という言葉をあえて使用しますが、そういう方たちは、今潜在的学習者になりつつあるのではないか、と考えています。単に、様々なテーマ・内容で学んでいる方たちの中では、「インターネット市民塾」は当然利用できる「学習機会」として位置づけられています。その上に立って、次に「出会いを求めて」ということになっている、と捉えたい。少々言葉が足りなかったと思います。
 プラットフォームとの関わりでは、地域の国立大学として何ができるか、ということを探究することが私の仕事です。その中で日々取り組みを行い、協議の場、出会いの場を追求し、まずは苦情を聞くことが、住民の学習活動に応え切れていない部分を補うことになるのではないかと考え、様々に模索しています。
 本学では知的資産がとても大きく、900名以上の教員がいますので、その知恵を借りながら地域のニーズに応えるということで、日々奮闘しています。
 本当に今日はいろいろ自分の中で整理ができました。ありがとうございました。

【宮井委員】
 すみません、一人一言はと思いまして発言します。私は、画像情報教育振興協会の宮井と申します。私どもの協会は画像情報、コンピューターグラフィックスですとか画像処理の技術と表現、近年ではアニメーションとか、ゲームなどのクリエーターの学習環境、教科書を作ったり、検定試験を実施しておりまして、多分今日こちらのお席に着かせていただいたのは、検定試験実施団体としていろいろ経験をさせていただいているというところからだと思います。
 この当たりのテーマは秋からということでしたので、その前の段階として発言します。今日いろいろ皆様の御意見を伺って、御発表も勉強させていただきまして、本当に生涯学習というのは範囲が広く、日本国民全員に対しての環境を提供するということなので、私の中でどの辺に焦点を当ててこの議論の中に入っていったらいいかというのが、一番困ったところです。
 私の立場からしますと、専門分野の検定試験、教育などをやっておりますので、そこで実際に学習する人は社会に出て実務者になるということを目的にいろいろ学んでいきます。そうなりますと、社会側、企業側がその検定試験を本当に価値あるものというふうに認めてくださるかどうかというのが大変重要で、なおかつ学習者がきちんと教育を段階的に学んでいけるかどうかということも重要なところですので、そういったものをちゃんと客観的に評価できる仕組みを持って、それが実現したものがこのプラットフォームに乗らないと活用できないんだろと思います。
 そういうことを考えながら、大変大きな構想ですので、具体的にどういうふうに実現していくのかと、感想になってしまいましたけれども感じております。いろいろ勉強させていただきながら取り組ませていただきたいと思います。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。では、今野先生お願いいたします。

【今野副部会長】
 昔の話ですけれども、生涯学習審議会の学習成果を活用しましょうという答申が出たのが平成11年だったんですけれども、その後に、そのフィージビリティーを確かめるというのか、実際にやってみたらどうなんだろうということで、山本恒夫先生が中心になって、科研費だったんでしょうか、何人かのグループを集めて少し試行的な調査研究みたいなことをやったことがあったんです。
 そのとき私も呼ばれていまして、パスポートというのは学習の成果、記録表だということになっているんですけれども、中身的には、どんな学習をしたか、学習の実績と、それに伴って、自分がそれでどう成長したのか、成果を得たのかというのを自己評価で書いてもらうということをイメージしていました。
 実際にいろいろな方に、一般の学習者に対して書いてもらおうとしたんですけれども、なかなか書くのが難しくて、そのときには十分にうまく進まなかった思いがあります。資料が手元にないとか、最初から書くつもりじゃなかったので、そういう整理もしていないとか、あるいは学習の成果、自分はどうだったのか、深く省察する機会もなかったということで、すぐ書けと言っても、なかなか書けない人が非常に多くて、そのこと自体なかなか難しいなと思ったことがありました。
 今回、ICTを活用してということで、当時に比べると格段に進歩をしていますので、十分可能性があるのではないかなと。特に学習団体、機関などの多様な参画を行ってプラットフォームのようなものを構成するということになると、かなり実際に書けるし、それが支援システムとして機能する可能性はあるかなと思って、今日のお話を聞きながら、改めて期待を持ったところです。
 それから、プラットフォームについても、当時のいろいろな議論の中では、上野の社会教育研修所というセンター、今国研の実践研究センターになっていますけれども、あそこをネットワークの中核にしていろいろ基盤機能を持たせたらということだったんですけれども、やはりある程度の情報的な機能がないと難しいということで、それも進まなかったので、これから、今度考えるときには、実績なり基盤を持ったところをプラットフォームの中核に考えていく必要があるのかなと思っております。
 それから、今日は委員の方々からお話が出ていますように、学習の範囲、どういうものを想定していくのかということで、インフォーマルなものはなかなか難しいねということで、確かにそうだなと思っておりますけれども。生涯学習は多種多様でいろいろな学習があって、その中で様々な成長があるということですので、とても難しいんですけれども、何かそういうもの、一般的なインフォーマルな活動についてもプラットフォームで補足するというのは難しいのかもしれませんけれども、パスポートの中の要素としては是非あった方がいいかなと思いますし、段階的にでもそういうものは考えていく必要があるのかなとも思いました。以上です。

【菊川部会長】
 ありがとうございます。あとお三方、左京委員、柴山委員と萩原委員、お願いいたします。感想でも結構です。

【左京委員】
 生涯学習プラットフォームについて、二点感想になります。一点目ですが、生涯学習プラットフォームを使用する人々のニーズは、決して一つではないと考えます。使用者のニーズをセグメント化し、ターゲットを決めていく必要があるのではと思います。例えば、私たちシブヤ大学の活動に受講生として参加している方々は必ずしも必要としないと想像します。
 私たちが提供している学習の機会は、例えば個人が本を読む、あるいは旅に出る、知らない人と話すといった経験に近いものだと考えていて、その場合、それらの経験をいちいち記録し、成果として第三者や社会に伝えることは必ずしも必要ではなく、どちらかというと自らの中に蓄積していけば良いものでもあります。
 二点目ですが一方で就業やキャリアアップという個人の学習の目的の場合には、生涯学習プラットフォームに対する使用ニーズが比較的強いのではと思いました。就職、採用のシーンを想像すると、例えば、企業の採用担当も、従来の履歴書以外に、インターネット上にある個人のブログやSNSなどの情報を調べ、個人のパーソナリティーや過去の実績等を把握するといった状況がある。一方で個人の側も、例えば、ビジネス特化型のソーシャルネットワーキングサービスであるLinkedInの様なサービスを就職、転職に積極的に活用するというケースも増えてきていると思います。そこで、これは一つのアイデアですが、これから私たちが生涯学習プラットフォームを考えていくに当たり、それを概念からだけでなく、現在既に世の中に存在している例えばLinkedInという一つのサービスをベンチマークとして参照しながら、その中に仕事に関する情報だけではなく、学習に関する情報をいかに組み込めば、特にキャリア形成や企業の採用活動において機能していくのかという具合に考えを進めていくアプローチもあるのではないかと思いました。以上です。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。
 では、柴山委員、お願いいたします。

【柴山委員】
 生涯学習関係は私、初めてでございまして、今後、皆様のお話を聞きながら勉強させていただきたいと思います。以上です。

【萩原委員】
 日本語検定を実施しております萩原と申します。プラットフォームがもしできれば非常に面白いなと、わくわくしてお話を伺っていました。日本語検定でも、様々な方面から講師等で、日本語検定の1級を持っている方を紹介してほしいというお話があるんですけれども、なかなか個人情報もあり紹介できなくて、そういうマッチングできるような場があればいいと思います。
 あと、プラットフォームに検定を載せるのであれば、やっぱり検定事業として明瞭性と信頼性、そこはきちんと担保する必要があるなと感じております。ありがとうございます。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。では、今日の議論はここまでにしたいと思います。
 事務局の方から、今後の進め方について御説明があると伺っております。

【楠目民間教育事業振興室長】
 失礼いたします。今後のスケジュールですが、資料10の方に記載がありますので、御覧いただければと思います。資料10の方にありますように、次回の会議ですが、6月18日の開催を予定しております。また、3回目の会議については7月3日を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、次回以降の開催については、菊川部会長と御相談させていただきながら決定させていただきたいと思いますけれども、おおむね資料10のようなスケジュールで進めさせていただきたいと考えております。次回以降、本日お配りした検討事項「(1)個々人の学習履歴を記録・活用できる仕組みについて」の部分を中心に集中的に御議論いただきまして、夏頃までに中間的な取りまとめを頂きたいと考えておりますので、協力をお願いいたします。

【菊川部会長】
 ありがとうございました。本日はこれで閉会とします。
 本日は、皆様、お忙しいところ御出席いただき、誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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