資料3 今後の放課後等の教育支援の在り方に関するワーキンググループにおける主な意見

●社会で求められる人材像と放課後・土曜日等の教育への期待

【学校での学びが深まる学習、体験の機会の充実】

○ 教育課程と放課後のリンクというのは、授業と生活のリンクに近い、本当に生きる力というもの自体を本人の中に定着していく意味で非常に大きなところだと考えている。  

○ 行政は学校の範囲だけで考えていることが多い。よく「社会総掛かりで」という言葉を使うが、実情としては縦割り感が否めない。子供は学校以外で過ごす時間が圧倒的に長く、子供を中心にグランドデザインできないかと考えている。

○ 学びや遊びの連続性に着目している。子供の時間は平日だけでなく土日にもつながっている。例えば、「平日学校で学んだことを土日に図書館で調べたい。」と思うような、生涯学び続ける子供を育てたい。

○ 個別性や選択制等について、学校教育の中での限界がある中で、放課後に期待するところである。子供が過ごす時間は、学校教育よりもそれ以外の放課後、土曜、休日、家庭の時間が非常に大きい。学校教育に対して何かというよりも、放課後なり、土曜なり、学校休業日、そこでの環境をどれだけうまくリンクするかというのは、当然のことながら大きい問題だと思う。

○ 放課後が子供たちに与える効果の一つは、動機付けという点であると思う。また、子供たちが付いていけない点をフォローしていくという点でも非常に効果があるなと思う。そして授業で理論を学んで、放課後で体験をするという組合せも非常にいいものがあるなというところで、この3点では放課後は非常に効果が高いと思っている。


【実社会で役立つ力の育成】

○ 「子供の自立」を教育の目的と捉えると、実社会で役立つ経験をたくさんするということが重要。日本人は「自分で決めて自分の考えに責任を持つ」という自らの職へのアイデンティティというものが弱い。放課後や土曜日はもっとそうした力を育める機会にできればと考えている。

○ 生の体験、本物の体験を社会の中で経験していくこと、とりわけどうやっても思うようにならないことを発達段階ごとに積み上げていくことで、子供の育ちが体系化されていくのではないか。

○ 単なる体験ではなく、本気で社会で力を試す経験が重要。


【学力向上・格差対策の観点からの教育機会・内容の充実】

○ 諸外国の動きでは、学校だけでなく、放課後等も組み合わせて教育の生産性をどう高めるかという議論がある。また、格差の縮小という視点も強く、経済的に恵まれた子供だけが塾に通えるといったことをなくしてこうという視点は強調されている。

○ 諸外国の研究の中で、欧米や韓国などは、放課後を格差是正の観点から取り組んでおり、大事な視点だと思う。


●今後の放課後・土曜日等の教育活動の充実に向けた基本的な考え方

学校と放課後・土曜日等の学びがつながる仕組みづくり

【学校・家庭・地域の連携協力による教育支援の発展的展開】

○ イギリスでは、拡大学校という形で、学校を放課後も活用し多様な団体と連携して様々な学習機会を提供する仕組みや、親が学校理事会の理事として意見を言う仕組みがあるが、日本では、まずそういう仕組みが十分でないのではないか。

○ 日本でも、コミュニティ・スクールや学校支援地域本部が全国的に広がりを見せてきており、学校運営について地域やPTAが関わって話し合い、学校の教育活動に関わる仕組みが広がりつつある。

○ 拡大学校の考え方を受け入れるようなニーズを地域のエリアにもっと起こすことができたら、コミュニティ・スクールや学校支援の発展版として、子供たちの本来の多様なニーズを捉えた活動ができるのではないかと思う。

○ 子供の放課後が消えたと言われる。家庭と学校は縦と横の関係が多いが、放課後というのは縦と横もあるが、一番必要なのは中間の斜めの関係である。

 


【学校施設の活用、複合化・多機能化の促進】

○ いかに学校教育に社会リソースを融合させるというか、取り込むかというところから当初スタートしたが、考え方が変わり、学校中心というよりも、子供を中心に考えたときに、その生活全体を社会教育の中で捉えて、その中で学校教育がどういう機能を担うべきなのか、また、学校という施設を含めてどういう機能があるのか、という視点に変わった。

○ イギリスの拡大学校では、学校の施設を最大限活用することで財政負担なく教育の質を高めたいという考えがある。学校の授業だけでなく、放課後や休暇も含めて、地域住民が利用でき、コミュニケーションが取れることによって、地域住民がもっと学校に協力的になり、多機能化していき、地域社会全体も高まっていくというもの。

○ 福祉的な意味、それから教育的な意味、両方を前向きに捉えて学校の多機能化を図っていく。学校の児童生徒とは違う年齢層の高齢者や幼児、乳児などが来ることによって経験の幅も広がり、そこで得られる教育的効果も高い。


教育と福祉の連携による放課後・土曜日対策の充実

【学校や放課後子供教室等と放課後児童クラブの連携強化】

○ 放課後児童クラブの基準に関する専門委員会の中でも、教室とクラブの関係については一体又は連携について、どういうやり方がいいのかという議論もあった。留守家庭児童とそうではない子供とも一体的に触れ合いながら放課後の時間を過ごすということは、決して悪いことではないと思っている。

○ 放課後児童クラブは約40人という単位を一つの単位だが、もう少し、大きな子供同士の関係性での触れ合いというのも非常に大事なことだと思うので、連携あるいは一体的な取組の推進も必要。


【教育と福祉の連携による教育機会の格差の解消】

○ 子供の時間や空間はつながっており、教育や福祉を始め、あらゆる分野の関係者が関わり、連携することが大切である。

○ 諸外国の動きでは、学校だけでなく、格差の縮小という視点も強く、経済的に恵まれた子供だけが塾に通えるといったことをなくしてこうという視点は強調されている。


実社会につながる学習機会・内容の充実

【企業等との連携による実社会につながる教育機会・プログラムの充実】

○ 「子供の自立」を教育の目的と捉えると、実社会で役立つ経験をたくさんするということが重要。日本人は「自分で決めて自分の考えに責任を持つ」という自らの職へのアイデンティティというものが弱い。放課後や土曜日はもっとそうした力を育める機会にできればと考えている。

○ 実社会で役立つ力の育成という表現があるが、必ずしもすぐにこれを目標として設定するかという議論もあると思う。重要なのはプログラムの多様性や幅広い体験であり、長い目で見て、子供たちの楽しみ、遊び、関心、試行錯誤を引き出しながら児童の参画を図っていく、そんな仕組みが必要ではないか。

【多様な大人・ロールモデルに出会う機会の充実】

○ 小・中学校の段階からロールモデルに触れる機会を増やすことが大事。

○ 社会を知ってもらうということと、企業経営者は、様々なビジネスの現場でいろんな体験をしてきており、過去の経験を語りながら、働くということの意義・喜びを語りかけ、多くのロールモデルに触れ、夢を持ってもらい、学生の皆さんの心に火をつけるといったようなことを重視している。こういったことを通じて、目的意識を持って学ぶきっかけにしてもらうということが大切だ。

○ 企業に入ってから企業が教育するのではなく、企業が出向いて小さい頃から教育に関わることも重要である。


【子供たちの主体性・企画力を引き出す学習機会の充実】

○ 与えられたものをこなすというのではなく、子供の主体性に重点を置いた考えは、諸外国でもなされており、例えばノルウェーでは、乳幼児でも保育所の計画づくりに子供の意見を聞いて保育計画を立てるということが入っている。

○ 児童クラブは指導員という呼び方をするが、子供は指導される、という受け身ではなく、子供が放課後等をつくる主体としての取組、体験を多くすることが、ひいては将来の市民社会をつくることにつながるのではないか。

○「子供の主体性」ということが重要なキーワードだと感じた。また、土曜日は子供たちがやりたいなと思うことが少しずつ違うので、そうした個性や多様性があるものであってほしい。

○ プログラムの計画、展開、評価の全ての段階に、子供たちを主体として位置付けていくという考え方を日本は今後大切にしていくべきである。


学習習慣の形成・“落ちこぼれゼロ”の実現に向けた学習機会の充実

【学習塾や民間教育事業者等との連携による補充・発展的な学習機会の充実】

○ 学校外の民間教育との連携というのは非常に大きなポイントだと考えている。学習塾も含めてスポーツクラブ、お稽古事、そういった機会を放課後の中に作る上で、子供にとっては多様な選択肢になり、民間教育側にとっては、そういったものを学校に提供しているということで、今まで余り学校教育含めて御一緒する機会が少ないところが多いかと思う。


“全国どこでも学べる”地域の取組の活性化

【「地域ならでは」のリソースを生かした教育機会の充実】

○ 多様性もいいが、全てに多様性ではなく、地域によって、学力の底上げとかグローバル教育とか故郷教育とか、国がどういう子を育てたいかのベクトルから外れない範囲で何を強化するのかはっきりすることも必要である。地域で一貫のテーマと個別のテーマがあると、より放課後は盛り上がっていくと思う。

○ 全国一律ではなく、各地域が自律的に選択できるような内容をこのワーキンググループでは提案できれば良いのではないかと考える。
 
○ 取組の地域間格差があるというが、どんな地域でもやる気になれば、その地域なりの取組はできると考えている。第2期教育振興基本計画に沿って、全ての地域が地域なりの取組をやる気になるような提言がここではできると良いと思う。

○ 地域がどのような子供たちを育てたいかが大事だと感じている。地域がそのメッセージを発信した上で、国がバックアップできるような体制があると良い。


●社会総掛かりでの教育支援の充実に向けた具体的方策

放課後等の教育支援の充実にむけた具体的な仕組みづくり

○ 学校・家庭・地域の連携協力による教育支援のための発展的仕組みづくり


【学校と放課後・土曜日の学びがつながる“横の連携”の仕組みづくり】

○ 学校支援本部を中心にして様々なノウハウが蓄積されてきているため、これを更に広げるとすれば、学校支援本部のパワーアップと同時に、新しい経営資源、新しい社会教育資源を取り入れていくことが必要である。それにより、更に有効な強力なものになっていくだろうと考えている。

○ 放課後の子供たちの様子を教員に報告することは重要である。家庭と学校と放課後と三つの顔があるといわれるが、放課後は、先生方が想像もし得ない顔や家庭でも見せない顔を見せるときがある。

○ 放課後も学校教育との連携が大切だと考えている。例えば、授業で星座について学んだ後に星の鑑賞のプログラムを入れる、法律について学んだ後に、模擬裁判の学習をするなど、学びのつながりが大切である。

○ 教育活動との連携では、授業の単元と放課後がリンクし、授業で枠組みを学んで、その後に放課後を体験の場としたい。

○ 平成20年から学校支援地域本部を置き、事務局として四つの学校をサポートしており、大事にしていることは、情報の共有と思いの共有とアクションの共有である。情報の共有はコミュニティカレンダー、思いの共有は、教育目標や子供像は共有や、シンボルマークを公募して作った。アクションの共有をするときに必要なのが、コーディネーターである。

○ 学校教育の立場から学校外教育を考えると、教員は放課後には関わらず、地域住民が関わった方が良いのではないか。

○ 地域の教育力の向上が学校の教育力の向上にも影響していると感じている。

○ 学校支援、放課後支援、コミュニティ・スクール、いずれか一つあれば良いという考えもよく聞くが、それぞれの機能がやはり必要であり、そのためにもコーディネーター機能は大切である。


【就学前と小、小中、中高など“縦の連携”が生まれる仕組みづくり】

○ 小中一貫教育に取り組んでいるが、各小学校の特色を中学校が拾い上げきれないということがある。一方、PTA同士というのは割と横でつながっている。

○ 学校間連携という点では学校よりも、おやじの会のネットワーク、PTAのネットワーク、放課後キッズクラブの運営団体のネットワークを通して広がっていくというぐらいのスピードでしかまだ進んでいない。

○ 四つの小学校があって一つの中学校、小中一貫校をやる場合に必ず問題になってくるのは、A小学校は英語活動をして、B小学校はボランティア活動をして、C小学校は環境をやってきたと。同じ中学校に行ったときに、そのずれをどうやって保証するかという、小中一貫校で一番ネックになる問題がある。次の中学校とのつながりをどうするかという問題を考える場合に、非常に大事な問題である。

○ 学校を中心とした地域のぶつ切りというのをよく感じる。学校区という地域だけで閉じてしまうので、中学校になると全然つながらないということがある。前回小中一貫校の話をしたが、市全体で取り組むという一方、各校区で個性を出すようにという話があり、結局何をやっているかわからないということもあり、基本スタンスをしっかりすることが大事。

○ 平成23年度からは、奈良市では、「放課後子供教室」と「地域で決める学校予算」を学校・家庭・地域が連携と協働した取組に位置付け、地域全体で子供を守り育てる体制作りの推進に向けて取組を進めている。この事業では、縦のつながりと横のつながりをキーワードにし、1.中学校区を単位とする組織作り、2.教育活動の充実、3.地域の教育力の再生、4.地域コミュニティの活性化の四つの事業目的を打ち立てている。

○ 幼稚園から中学校まで、地域の実態に応じた特色のある教育活動を展開するとともに、学校の運営を地域が補完し、学校と地域が協働して学校・園の活性化、地域の子供は地域で育てることで、地域の教育力の向上と地域の活性化を目指している。

○ 奈良市では、これまでの事業ごとの組織を整理した。市内22中学校区全てに、自治会や社会福祉協議会を始めとする地域の各種団体の代表とPTA、教職員で構成される、「地域教育協議会」を組織し、中学校区を単位とすることで、校区全体が見渡せるとともに、学校と地域及び各学校間の連携と協働が促進すると考えた。

○ 各中学校区にある幼稚園、小学校、中学校にも、それぞれ「運営委員会」を設置し、放課後子供教室の事業についても、各運営委員会が中心となり、地域住民の参画と協力を得て、体験・交流・学習活動に取り組んでいる。更に各地域教育協議会に総合コーディネーター、運営協議会に代表コーディネーターを位置付け、学校と地域の窓口となり、事業における連絡と調整を担っている。

○ 中学校区を単位とした仕組みづくりを進めてきたことの効果は、これまで小学校区で行われてきた祭りなどの行事や、各自治会単位で行われていた防災訓練などが、地域教育協議会が主催することにより、中学校区全体の取組となってきているところである。また、小学生や中学生がその場に参加する機会が更に増え、地域住民との出会いの場ともなっている。

○ また、地域や各学校園の現状や課題が共有化され、取組内容について共通理解を図れることにある。そのことにより、幼稚園と小学校、小学校と中学校の接続がスムーズになるとともに、協議会と学校園にコーディネーターを配置したことにより、校区間でのコーディネーターによる協力体制もできており、小中一貫教育に向けた、校区の基盤づくりとなってきていると考えている。

○ PTAの会長は取組の情報を持っているわけではなく、やはり教育委員会からの発信力、学校からの発信力が本当に大事かなと思っている。いろんな事業をやっていく中で、情報を共有したい。

○ 放課後子供教室を中学校版にという意見があったが、いわゆる月曜日から金曜日の教育を充実させる、放課後を充実させるという意味において、小学校ばかりではなくて、中学校もいい視点ではないか。


【関係者間の理解促進とエビデンスの重要性】

○ 校長が理解することが重要である。そのためには、取組によってこんなふうに子供が変わっていくという事例をたくさん発信することによって、学校自体も変わっていくんじゃないかなと思う。

○ データ、エビデンスを出していかないと学校も地域も変わらないのではないかと思う。

○ 子供がどう変わるかということとあわせて、教員や学校がどう変わるかということに関心を持っている。昨年度、全国小学校教員調査をサンプリング調査で行った結果、放課後子供教室や学校支援地域本部が入ってうまくいっているところの教員は、自分自身の職務に対してやりがい感や同僚肯定感が高く、負担感やマンネリ感が低いという観念が統計的にも出た。また、抑鬱性も低いという関連が出ている。放課後子供教室を実施しているところは、教員は子供を肯定的に見るという、子供の見方も変わってきているという統計的有意差が出ている。

○ 学校を開くと校長、教員の負担が増えるという、多忙感がもっと増えるというのが一般的な受け止め方であるが、そうではなのだというデータを出してくれると、地域の方、教員も助かるのではないか。 

○ 子供がどうプラスの方向で変わるかということと、教員や学校にとってもどうプラスの効果があるかということを学校側に説明していかないと、いつまでも学校は負担が増えるという意識ばかりが高くて、開かないのではないか。

○ それぞれの学校が、学力が上がってきたという実感をどんな形で測られたのか。先生方からの見解なのか、あるいは生徒からの見解なのか、あるいは地域の方からの見解なのか。

○ 子供たちの態度における変化は十分具体的にありえる。未来の目標のためにキャリア的な意味合いも込めて、今やっている学習に対して、ただ受験のためにやらされているのではなくて、子供の中にそれの価値付けなりが積み重なってきているような感覚はある。

○ 名古屋ではトワイライトスクールに通っていた子が大学生になって指導してくれている。児童館に中学生のジュニアリーダーが指導に来てくれたりすることもある。それから、近所の高校生がトワイライトの企画を持ってきてくれたりする。中長期で考えればそれも成果といえるのではないか。

○ 数字で表せる量的なエビデンスと、体験した方がどう成長していったかというフォローアップの質的なエビデンスの両方が必要である。

○ 児童の調査から得られた知見は、日本の児童の場合は、放課後を子供のみで過ごす割合が他の国に比べて特に高く、放課後子供教室への参加は、児童の日常の遊び人数を増やし、児童の関心・意欲、人間関係能力、文化的作法・教養の意識を高めるといった傾向がある。

○ 教員対象調査では、学校内での放課後子供教室の実施は、教員の児童・生徒への肯定的評価を高める傾向がみられ、学校支援地域本部では、小学校教員の仕事負担感を軽減するという関連が出てきている。

○ 特に学校・家庭・地域の連携を重視する小学校教員は、職務上のやりがい感・同僚肯定感と正の相関があり、反対に、仕事負担感・マンネリ感と負の相関があるという関係が出ている。

○ 放課後子供教室を学校内で実施する学校に勤務する教員は、子供を学校内で活動させる安心感が高く、教員以外の人が学校に入る抵抗感が低く、また、中学校教員において学校内で放課後子供教室を実施しているが、生徒の友人関係、規範意識向上、学習への積極性等に肯定的評価が高いというものが出ており、放課後子供教室を中学校でやる意味もあるのではないか。

○教育と福祉との連携促進のための仕組みづくり


【学校や放課後子供教室等と放課後児童クラブの連携強化】

○ 放課後は放課後児童クラブに通う子供とそうでない子供で交流が進んでいない印象を持っている。

○ 放課後は放課後児童クラブについて一体化の事例もあるが、違うニーズもあり、連携の在り方を議論できればと思っている。

○ 放課後支援は、間接的に家庭教育支援にも役立っている。


○ 放課後の児童学童クラブ、あるいは放課後の子供教室というようなものの運営も民間とタイアップして、NPO等ともタイアップしてやっていくことが望ましいと考えている。


○ 民間も導入したものも模索はしているが、なかなかそれが機能していかないというのが現状である。


○ 学校内に放課後児童クラブもあれば、放課後子供教室もやっているという現状はある。


○ 学童クラブは学校の中にある場合や、児童館と学童クラブが同居している場合もあり、いろんな形でやっている。


○ 放課後子供教室と児童クラブとの違いが何点かあるが、集団の規模として、児童クラブには定員が設けられており、今回の基準の中でも約40人というラインが示されているが、複数のクラブに分割することや、待機児童の受入れについても柔軟に対応し、定員を超えて受入れを行っているという現状がある。


○ 対象の年齢について、小学校の6年生まで児童クラブで受け入れるという拡大が示された。児童クラブと放課後子供教室とで対象年齢がそろった。今後、プログラム、施設・設備、職員の指導の在り方、内容等々、必要になってくるだろうと思っている。


○ 実施場所について、同一施設を使用している場合とそうでない場合もあり、時間や場所や設備、あるいは地域の人材資源といったことの活用・共用・情報の交換も含めて、更なる連携に当たっての整理をしていく必要がある。


○ 学童の保育は学校とのつながりが重要。諸外国では、子供の権利オンブズマンというのが国レベルで設置されているところもあり、親のニーズからでなく、「子供の権利」からの議論が中心であることが多いが、日本では子供のニーズが余り反映されないと認識している。


○ 奈良市の例では、保育園については、今のところ別部署、教育委員会ではないので、運営委員会というのは組織されていない。また、放課後児童クラブについても、この運営委員会の中には、今のところ入っていない。


○ ニーズに対応した放課後施策の変遷として、実施する日にちを増やしてほしい、勉強を見てほしい、開設時間を延長してほしいという御要望が非常に多い。


○ 日本では、学校や放課後はどういう場であるべきかという考え方をしがちだが、諸外国では、むしろ自分が子供だったらどんな放課後を過ごしたいか、という視点から、子供に優しいまち、子供がどこにでも行けるようなまちづくりなどが検討されている。


【困難な状況にある子供たちへの学習支援のための仕組みづくり】

○ 数の拡大から質の向上ということで、教育のプロではない地域のスタッフの方も多いことから、発達障害などの支援を要する児童への接し方などの研修に力を入れている。


持続可能な仕組みとするためのコーディネーターの育成・機能強化

○学校と地域をつなぐコーディネーターの役割や位置付け


【コーディネーターの役割と効果的な配置・位置付け】

○ 学校と放課後をリンクするといったときに、ここでもコーディネーターの位置付けというのが非常に大きい。


○ 杉並区の場合、学校支援本部の活動を支えているのはコーディネーターである。学校のことはコーディネーターが見ており、職員室に机を置き、職員会議に参加し、運営協議会に参加をするなどして、両方のすり合わせをやっていく。まさにマネジメント、コーディネートを行うスタッフを置くようにしている。


○ コーディネーターの役割が非常に大事ではないか。学校支援地域本部が複数の学校を見て、そこにアドバイサリーボード(監査役会)を設けて地元の声を吸い上げ、NPOが支援しながら、コーディネーターの人が継続的な取組をしていくことが重要。小中学校だと、人事異動があり、親も一人っ子が増え、親も学校に関わる時間が短くなっているので、地域全体で統一的なことをやっていくのなら、学校支援地域本部が中心となってコーディネーターがしっかりと長期にわたって取り組んでいかざるを得ないのではないか。


○ いいコーディネーターの条件は、1.アンテナが高く2.フットワークが軽く3.公平性があり4.ITが得意であることだと思う。


○ 単にこれまでの放課後子供教室を拡大していくのでは質の向上は期待できない。やはり人材の確保が重要であり、ボランティアベースでは限界がある。


○ 事業をより充実させるためにも、コーディネーターや学習アドバイザーなど、地域人材の発掘・確保、平日において安全管理を図るために、保護者などの協力者を確保する必要があり、事務処理に関わる担当者の負担軽減を図る必要がある。


○ コーディネーターは、PTA、OBの方が、プロセスが大事で、やったことの結果よりも、どういうふうに工夫して先生方と地域をつないだか、学校と地域をつないだかということが大事であるが何よりも大事なのは、下請でもなし、活用されるものでもなし、イコールパートナーとしてどういうふうにしたらうまくいくかである。


○ 地域に学校が支えられていくというのに、やっぱり三つ大事なことはあるかなと思う。一つ目は、校長先生のリーダーシップである。二つ目は、良質なコーディネーター組織が必要である。三つ目に市民の応援である。この三つがそろうと、三種の神器のように、非常に強く学校が支えられていくんだろうなと思った。


【学校のコーディネーター(地域連携担当教員等)の位置付けの明確化】

○ 課題としては、学校園における管理職以外の教職員の理解がまだまだ不十分であることや、コーディネーターに対する負担などであり、課題に対する今後の方向性としては、学校の窓口となる地域連携担当教員の位置付け等検討して進めていきたいと考えている。


○ 校長や教務主任が人事異動で変わると、継続性が担保されない。一方で、地域のおやじの会やPTAは継続して行いたいと感じている。その辺りの課題を解消するためにはどうすればよいか。


○ 横浜市立東山田中学校は、平成17年、学校の開校と同時に、コミュニティ・スクールとして開校。セレモニーのような会議を重ねるのではなく、学校の最大の応援団になること、あるときは学校評価に関わる辛口の友人という存在になることとし、何ができるのかということを試行錯誤してきた。
 
○ 教職員が年間何かしらこの学校運営協議会に関わることで、話したことが少しの変化につながるとか、問題解決に役立つという実感を持つようになった。


○ 学校側がイニシアチブをとるのか、社会教育側がイニシアチブをとるのかが重要。人事異動で変わらない保護者や地域がイニシアチブを持っていれば、学校のスタッフが変わっても、取組の根底のスタイルは変わらないだろうという仮説のもと活動している。


○ 木更津は、学校支援ボランティアを14年間続けており、校長が変わっても続くような仕組みを作った。その一つが、全校の小中学校に校務分掌で学校支援ボランティア担当教員を置いたことである。


○ いろんな問題が学校内にあるので、それに対して、学校がどれだけオープンにできるかと、オープンされたことに対しては、とことん解決しようとしていくと、地域を巻き込まざるを得ない。巻き込んでくると、いろんな人が参画し、子供たちがいろんな人から見られている意識が出てくる、地域性を感じてくるというような、そういった流れができて、本当に学校が変わっていく。


【校長の役割】

○ 学校経営と学校の教育活動を校長の能力の限界にとどめてほしくない。つまり、学校にはそれを超える課題があるから、校長の持っている経営力で足らなかったら、外からの資源、あるいは新たな資源をそこに加えることによって、課題に対応できるような体制を作ってほしい。


○ 初期の段階では、校長先生のリーダーシップというのは非常に大きなものがあり、いろんな制度の導入期は、校長の腕次第ということもあるが、成熟してくると、校長先生も学校経営の一部であり全部じゃない。つまり、学校運営協議会や学校支援地域本部が機能し始めると、校長はよき援軍ではあるけれど、校長が全て振り回すわけじゃないという関係まで醸成されてくる。


○ 校長が変われば学校が変わるというのは一つの哲学だけれども、校長が変わっても学校は変わらないというのも哲学だと思っている。それは、いい意味で変わらないという意味であって、そうすると、ほかのところで校長を必要とする場面が出てくるので、いいのではないか。


○コーディネーターの育成・機能強化に向けた研修の充実


【研修の充実】

○ 学校支援に取り組む団体は増えてきているが、コーディネーターの育成が大事だと感じている。


○ コーディネーターの育成、コーディネート機能が大事。全くのボランティアでは難しく、「人、もの、金」を公的資金だけでなく民間資金も含めて、いかに放課後に集めていくのが大事だと考えている。


【持続可能な仕組みづくり】

○ 持続可能な対応をしていくために三つ考えた。一つは、大人の学びのコミュニティ化である。これは、人材の独自育成システムを作っていくということで、いろんな事業に関わる人は、最初はいるのだが、だんだん枯渇していく。この関わる人間、つまり学校や地域が展開しようとする事業に関わっていく人材を育成するには、大人の学びのコミュニティが必要である。次にサポートシステム、つまり外部の教育機能を持ったところと連携することによって、サポート体制を十分なものにしていく。そのためには、その連携協働を進めるコーディネーター能力を持った人が必要である。三つ目は、教員の理解、つまり、これは校長も含めて、抵抗勢力としての教員組織から協働の相手としての教員組織に育てていくこと、これをやっていけば、持続可能な仕組みとして自力で動き始める。


○ サポートシステムの重要性、それは校長先生に限らず、教頭先生、社会教育主事、そういった者が一体となって機能していくということが大事である。そこの中に地域の資源、それからNPOの力が加わっていくと、本当に鬼に金棒である。


○ 子供に関わる大人の学びのコミュニティ化と地域の活性化


○ 社会総掛かりで教育に関わるということで、その中で私たちに何ができるかということを考える必要がある。子供の成長は、時間軸と空間軸があって、空間軸は、学校だけではなく家庭や地域、もっと広い世界で子供たちは24時間を過ごし、これからの人生を過ごしていく。そして、時間軸は、成長する中で関わるいろいろな施設や学校や企業や大人のつながりの中で子供が育つということ。その中で大人が、できることや担うことを、知恵を出しエネルギーを使ってやっていくとともに、大人がつながらなければ、子供の成長は円滑にはいかないのではないか。


○ そういう大人の学びのコミュニティというのをもっと作っていくことが子供の未来でもあり、また、まちの未来でもあると考えている。


○ 「いいまちはいい学校を育てる」、つまりコミュニティが学校を育てるのであり、学校当事者だけでやっているわけではないということは、かなり定着をした。


○ 昨年作った区の基本計画、10年計画のメインは、地域の共同体が住みよい町を作っていくということで、その一つの核に学校を置いていくということで、学校作りやまちづくりという、反対のメッセージが出てきた。


多様な関係者の連携のための学校施設等の活用

○ 子供に関わる関係者の連携のための学校施設の活用促進、学校施設の複合化・多機能化


○ 施設再編を検討する中で、児童館を単独で存在させるのではなく、保育事情もあるし、高齢者施設の問題もある。そういった多機能化、複合化を図っていく一つの対象として学校を選んだ。現在も学校の中に高齢者施設もあるし、児童館も学童クラブもある。


○ ただし、学校で多様な団体の経営や運営するには無理がある。現在、児童館は区の福祉部局がやっているが、更に拡大していくとすれば、公設民営型、あるいは民間委託型、あるいは指定管理者型というような、そういうことも思考していく必要がある。


○ 東京の千代田区が、一つの空間の中に幼稚園と保育所、認定こども園を作って、その上に小学校があり、放課後子供教室があり、夜は公民館の役割という事例がある。トップレベルが月に1回ミーティングをやって、お互いが連絡し合うという取組をしている。


○ 中学校内にコミュニティハウスが併設されており、地域施設としての機能を果たしている。赤ちゃんから小学生、お年寄りまでが、用がなくても来られる施設でもあり、講座をして、お茶を飲んでいたら、ふっと見たら、中学生が後ろで合唱の練習をしているという光景が常に学校の中にある。学校の中に“地域の縁側”が、学校と地域をつなぐ一つの場として重要な役割をしている。


全国の取組のボトムアップのための中間支援機能の強化

○スーパーバイザー等の配置によるコーディネーターへの助言体制の構築


【スーパーバイザー等の配置の必要性や役割、社会教育主事の効果的な活用】

○ 名古屋では社会教育主事がおり、大分削減はされてしまったのだが、社会教育主事講習に行って、学んだ人たちが、校長会の役員にもなっている。そのような中で、トワイライトスクール、放課後学級を大事にするということは、地域を大事にすることであり、ひいては地域の人が学校を大事にしてくれる。社会教育主事は仕組みの一つではないか。


○ 社会教育主事から、教頭になり、地域との連携担当をしていくというような仕組みがあり、理解者が多く、効果も何となく分かっている。エビデンスを出していただくと、また説得しやすい。


○中間支援組織の創設


【全国のコーディネーター、教育支援人材のネットワーク形成】
【財源確保も含めた持続可能な支援体制の構築の必要性】

○ コーディネーターは、養成講座もあり、学校にもコーディネート機能を持つ先生方がおり、企業にも窓口はあり、大学や行政にもそういう方がいる。様々な組織のコーディネート機能を持った方たちをつないでいくというのも一つ必要であり、広域的な学校支援の地域コーディネーターのネットワークにつなげる中間組織も必要。


○ 地域住民のコミュニティの場として、地域教育協議会や運営委員会の構成員が活動するための支援室の常設を進めていきたいと考えている。


○ 大事なのは、継続性であり、学校ファンドを設立している。


○ 校長会と地域の様々な活動組織をつなぐ窓口として教育委員会の生涯学習支援課、あるいは学校支援課に担当者を配置し、定期的に学校や地域の活動組織と打合せに出向いてお互いの意見のすり合わせを行っている。


○ 様々な支援活動に取り組むためには、予算処置が大切である。そのために、今後も継続的に国からの財政支援をお願いしたいが、その一方で、予算に関わらず、地域教育協議会による学校・家庭・地域の連携した仕組みづくりは必要であり、地域教育協議会として自立した活動ができないかと考えているところである。


○イギリスには、エデュケーション・ビジネス・パートナーシップという組織が各地にあり、組織間のネットワークもある。また、そうした組織の基準や助成金を国が出しており、コーディネートの質が高い組織には資金が入る仕組みがあり、日本でも参考になるのではないか。


新たな学校と地域の連携の提案 ~“あったらいいな”を形にする夢の学校~

○ 理想としているアフタースクールは、1.学校の中にできること2.学童の預かり機能があること3.市民が放課後の先生になってたくさんやって来ること4.1年生から6年生まで、親が働いていても働いてなくても誰でも使える5.異世代がなるべくみんなで一緒に交流6.学校と連携をして運営をしたいという6点があるのが理想のアフタースクールというふうに思っている。


○ 提案として、こんな学校があったらいいよねという学校を、できればこのチームでまとめてみたら面白いと思う。大人も学びに来ている学校、あるいは土曜日も活用され、企業の方も来ているし一般市民の方も来ている、先生たちも頑張っている、学力で足りない子たちは地域の人がフォローもしてくれているみたいな、こんな学校があったらいいよなというのをこのチームで提言もできたらと思った。


●土曜日の豊かな教育環境の実現に向けた新たな方策

土曜日の豊かな教育環境の実現に向けた仕組みづくり

○ 土曜日の教育活動の形態と実施に当たっての工夫


【学校の教育課程外で行う場合の工夫、留意点等について】

○ 土曜授業というと、従前のように土曜日の授業を復活させるというイメージだけで捉えてしまう可能性があるので、多様な土曜日の教育活動のパターンをもう少し全国的にきちんと発信してほしい。


○ 土曜日を教員による授業とするのか、(教育課程外)の教育活動とするのかは、設置者の判断か。子供の育ちは学校の授業以外のところに多くあるともよく言われ、考え方を引き出し、遊びを通じた学びは非常に重要なので、設置者ごとの汎用性の高さをきちんと担保してほしい。


○ 土曜日の取組は、地域の多様な人材が企画し多様な取組ができるとても重要な日と認識している。


○ 土曜日は、月に1回しかないというわけではなく、実際には4回あるわけで、様々なパターンの学習プログラムがたくさんあってよい。


【学校施設だけでなく、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設等の活用】

○ パナソニックでは、次世代育成支援の取組として、1.直接学校へ出向いていの出前授業、2.校外での学習体験、3.施設・ショールーム・工場等への子供たちの受入れを実施しており、自社のリソースを生かした形で従業員が参画しながら、社会総掛かりでの教育のうちの企業の役割として貢献したいという考えをもっている。


○ 土曜日の場合、ショールームでの実験教室に、若手の講師・研究者にも来ていただき実験ラボなどもしているため、子供の来館も多く、実際に見て楽しむ、体験して楽しむという形で、楽しく理科が体験できることを展開している。


○ ドイツなどは、多世代の交流、自然に触れあう青少年農場、職業体験のための少年鉄道員、キッチン付きの小屋のある公園に公園おばさんが配置されていたり、図書館も子供の居場所として活用されていたり、多世代の様々なアイディアが活用されている。


○ 企業・団体等のリソースを教育に生かす仕組みづくり


【学校等と企業等のニーズをマッチングする仕組み】

○ 東京都では、平成17年度より、企業と学校の連携を進める仕組みづくりの一つとして、「学校と企業、NPO等との連携に取り組む地域教育推進ネットワーク東京都協議会」を設けている。


○ 経団連の教育と企業の連携ワーキングの座長をしたが、企業は教育支援を一生懸命やっているが、個々の活動にとどまっており、なかなか点が線や面で見えてこないという課題があり、経団連として、2年前に企業の教育支援プログラムポータルサイトを開設したが、このポータルサイト自体がなかなか表にでないというのが課題。


○ 経団連等の取組と学校をつなぐというのも重要だが、授業では難しくても、放課後の子供たちの居場所ではできる体験などもあり、例えば学童保育や児童館とつなぐということもあるのではないか。


○ 企業側も学校の授業の時間だけとなると受入れも限られたスタンスとなってしまうので、広く地域教育にも関わっていくスタンスとなってくれば、もっと踏み込んだ連携ができるのではないか。


○ パナソニックの事例では、現状としては、学校への参画が主体になっており、児童館からの問合せもあるが、恐らくマッチングできていない。


○ 経済同友会では、企業経営者が出張事業、講演、懇談を行うという活動を行っており、企業経営者が個人の資格で参加している団体であって法人で参加していないという特性を踏まえた活動、仕組みになっている。


【企業の人材が教育に参画するためのプログラムや研修】

○ 講師となる社員は多様な職種、事業場から登録しており、半日程度の研修を受けてもらい、自社で独自開発した教材を学習し、それを使って学校へ出向くという形式をとっている。


【ワーク・ライフ・バランス等の職員の参画に向けた職場環境づくり】

○ 企業の参画では、トップが自ら動くことも重要であり、トップの地域教育、社会教育に関する理解が進めば、その会社の社員にそういった経験をさせる。社会貢献に取り組んでいけば、本当にいい形ができるのではないか。


○ 産業界の視点から考えると、ボランティアやCSRだけでは限界があるように思う。持続性の観点からも、実務の中でもう少し子供の教育に関わる仕組みが必要。


○ 企業としては、今は従業員が平日の就業時間を使って出前授業を実施しているが、プロボノという考え方で、自分たちのスキルを社会貢献に生かすため、土曜日、日曜日に活動したいという社員も増えており、多様な教育の場に参画する機会提供は増えていくように思う。


○ 企業のボランティアの参画によってここの分野は随分変わっていく可能性がある。経営者であれば、結構時間も自由になるが、イギリスでは、学校に関する活動についての休暇制度が保障されており、経営者だけでなくてもっと広げていくためのワークライフバランスなども、何か議論してはどうか。


○NPO・民間事業者等のリソースを教育に生かす仕組みづくり


【NPO、学習塾などの民間教育事業者と連携する際の工夫】

○ 大阪府大東市では、「学力」に着目した取組として、市と公益社団法人全国学習塾協会と連携している事例がある。特定の学習塾事業者との連携という話もあったが、自主基準を設けて講師の指導技術検定等を行いながら、客観的な物差しをつくっている学習塾協会に打診があり、講師は多数の学習塾の中から協会の方で選定して派遣、教材も協会の指導用の教科書を利用している。


○ NPOという組織は、行政と株式会社の両者の特徴を併せ持つところがあり、非常に巻き込み力というところでは使い勝手が良いと思う。


○ NPO法人コヂカラ・ニッポンの事例では、小学校6年生の総合的な学習の時間の授業を学校とNPOで連携して実施し、本来は中学校の授業に継続してほしかったが、中学校では引き継いでもらえず、卒業後も活動を希望する生徒をNPO単独で支援する形となった。


○ NPOでは、人的な応援に加えて、寄附的なお金の応援も集める仕組みやノウハウもある。


○学校と企業・団体をつなぐコーディネーターの役割と位置付け


【学校と企業等をつなぐコーディネーターに求められる役割・人材】
【企業コーディネーターの必要性や役割】

○ 東京都では、平成22年度で約9割の小中学校が外部団体との連携を実践しているが、学校側の課題として「外部団体がどのような教育プログラムを持っているのか詳しい情報がわからない」「事前打合せの時間を確保することが難しい」といった回答が50%以上あがっている。


○ そのため、東京都の協議会では、橋渡し機能への支援に注力しており、1.教育支援コーディネーターと教育支援プログラムの提供する企業、大学、NPO等が一堂に会する機会を設ける、2.教育支援コーディネーターの相互研鑽(けんさん)(都内コーディネーターの情報共有、事例紹介の機会を年4回、区市町村コーディネーター研修会を年8回)、3.教育支援活動(学校やコーディネーターへの情報提供、都立高校での教育課程の一つに位置付けた職業的自立支援教育プログラム。平成25年度は69プログラムを33の会社)・団体から提供)の体系的・計画的な導入を始めた。


○ 要望を橋渡しするコーディネーターと連携して、プログラムのパッケージがローカライズ、カスタマイズされることが、学校側にとっても効果が高く、企業側にも意義深いものとなるのではないか。


○ 千葉県の行徳小学校の総合学習で実施したヒロタとの連携によるシューアイスの商品開発では、コーディネートしたNPOコヂカラ・ニッポンの役割は、子供の発想を企業の実利にもメリットがあるように運ぶこと。子供の発想をそのままビジネスに転換するのは難しいが、光っている原石をNPOが見つけ、ビジネスに転換できるよう通訳し、また逆に、難しいビジネス用語を子供に通訳するという両者の橋渡しが必要であり、重要。


○ コーディネーター同士の切磋琢磨(せっさたくま)した学び合いや事例を通じた学びなど、多様な学びをしながらコーディネーターの養成をしていくことが重要。


○ 学校と地域をつなげるというコーディネーターの育成は多く実施されていると思うが、東京都の事例のように地域だけでなく、民間企業やNPOのリソースの活用の仕方まで踏み込んだ育成がされているのはすばらしい。


○ PTAの持っている情報網も重要であり、学校を中心に見つつも、同時に地域をどう見ていくかが重要だと感じる。


○ 良質なコーディネーター組織はどうしたら維持・発展されるかというと、まず、人に尽きるというのが私の感覚で、いい組織や仕組み作りの前に、まずいい人をどうやって見つけて育てるかというのが、もう少しノウハウというか、知見化されていくといいのかなと思う。


○ 本当のキーマンになるコーディネーターをどう見分けるか、次に市民をどう巻き込んでいくかというところは、手法とか仕組みとか、そういうのが出てくるのかなと思う。


○ キャリア教育で、様々な方が、企業人を含め参画してもらっている。特にプロに学ぶ職場体験、企業人の面接とか自治会の方の面接等を行い、関わった人全員と先生方とコーディネーターの交流会を毎年行っている。


土曜日「ならでは」のプログラムの在り方

○ 体系的・継続的なプログラムの考え方


○ 土曜日の使い方として、学校教育でなければ社会教育で、という丸投げや縦割りは問題だと感じる。例えば、週5日の中で教科をこなす時間がなくなってきている現状が現場感覚としてあり、総合の時間が減少したから土曜日に総合をまわす、というだけでなく、だからこそ土曜日の総合には、平日の教育課程と社会教育とのリンクした内容を取り扱えれば、非常に効果が大きくなるのではないか。


○ NPOコヂカラ・ニッポンでは、教育の目的を「子供が社会人として自立する」すなわち、「職業へのオーナーシップを持つ」ことに焦点を絞って活動しており、そのためには、1.持続力、2.向上心、3.貢献心が重要で、1.を養うには、「好きなことを続けられる環境」、2.を養うには「得意分野を優先してもいいということが許される環境」、3.を養うには「役に立つという経験をたくさんさせること」と考えている。


○ 特に都市部において、この土曜日が、もちろん基本ベースは、豊かな体験活動になり、そして児童生徒自らが遊びとか豊かな体験を通じて考える力、学習力、自然に自分の体験から身に付く、学ぶという希求、求めていく力みたいなものをどうつかみ取るかということが、この土曜日の大きな要であろうと思う。特に中学校ではもっと探求型の学習をしていく、最初の初期の段階における中学校で土曜日を有効に使われるといいのではないか。


○ 職業につながる学習としては、継続性が大事。子供が「何かになりたい」と思った時に、そのためには継続して土曜日に毎週や努力していけばかなうかもしれない、というモチベーションは大切。子供たちの個性や継続性を大事にし、「子供たちのやりたいことをできるのが土曜日」ということになってくると良い。


○ 教育は、空っぽのコップに水を注(そそ)ぐような知識を加えていく側面と、子供が持っているものを引き出し、子供の心に火をつけていく側面の両面があると思う。学校教育でも両方やっているが、地域は引き出す後者の方に得意な部分があり、地域や企業の大人が、子供の心に火をつけていける仕組みを作っていけると良い。


○ 実社会につながるプログラム


【学校の教育課程と連動したプログラム】

○ 東京都教育委員会として企業・NPO等にお願いしたいことがあるとすれば、1.学校内、教員だけでは難しい実社会の知識・経験に裏付けられたプログラムの提供、2.学校、教員の要望を踏まえ、単元の目標やねらいと合致したプログラムを充実であり、そのことが児童生徒の教育内容の豊かさにつながると思う。


○ 学校支援地域本部などでは、地域が学校の教員のニーズを捉えて、小学校なら1年生から6年生まで、中学校1年生から3年生まで体系だって、学校の教育課程も外の資源も両方意識した形で連携させていくということが可能になってきている。


○ 民間側がもっているコンテンツや教材をどの単元とリンクできるか、それをうまく整理していけるかが大きなポイントではないか。


○ 学校教育と社会教育の融合は非常に重要。例えば、教員時代に家庭科の授業で全高校生が市内の保育所に保育体験にいくというものがあった。虐待とは何かなど小論文では大変立派なことを書く生徒も実際乳幼児のクラスに入ったときに、言うことを聞いてもらえない赤ちゃんと向き合って泣いてしまう高校生がたくさんいる。


【企業のリソースを生かしたプログラム】

○ 学校への直接的な教育支援の中でも、教材提供型のものあれば、講師による出前授業もある。


○ CSR目的の多様なプログラムもあるが、本気度が100%になれないと、結果子供自体も本気になり切れず、企業がCSR目的だけでなく、本業にプラスになっているプログラムというのが非常に重要。


○ パナソニックでは、企業のリソースを生かした形で、環境教育、キャリア教育、理科教育の3本柱で取り組んでいる。


○ 環境教育では、企業がどうやって環境配慮に取り組んでいるか、社員がどういう環境配慮をしながら仕事しているか、という観点から独自開発した教材を使用し、出前授業と教材提供を併せて展開、キャリア教育では、創業者の経営理念なども取り入れた教材を開発、理科教育は、LEDを使った照明器具を手作りでつくっていく「あかりのエコ教室」プログラムを、LEDを製造している事業場が主体的に実施している。


○ こうした活動は国内だけでなく、グローバルにも展開しており、エコラーニングプログラムということで、ベトナム、マレーシア、中国などで国の教育庁と連携しながら展開している。


○ 企業財団によるフォーラムや○○全国大賞といった表彰、研究助成をしている先端技術研究者を講師に招き、小中学生にわかりやすく説明する「やさしい科学技術セミナー」なども行っている。


○ 経済同友会の出張事業のテーマとしては、働くことの意義・喜び、学ぶことの大切さといったものやこれからの社会で求められる力・社会の仕組み、中高生時代に身に付けたいこと、分野別だと、国際理解・グローバル化、世界の情勢等を中心にやっている。


【子供の主体性を引き出すプログラム】

○ 実社会で役立つ力の育成という表現があるが、必ずしもすぐにこれを目標として設定するかという議論もあると思う。重要なのはプログラムの多様性や幅広い体験であり、長い目で見て、子供たちの楽しみ、遊び、関心、試行錯誤を引き出しながら児童の参画を図っていく、そんな仕組みが必要ではないか。


○ 子供たちの姿をイメージしながら常にやっていかないと、ともすると大人の満足になってしまう活動なので、社会総掛かりでやれる具体的なものが必要。


○ イギリスでは、教員の人事や採用まで子供が意見を言って、どういう人を採るかということに参画をしているというのを聞いて驚いた。日本でも、教育支援やコーディネーターにどんな人が来てほしいか、ということも子供に参画してもらう段階に来ているのではないか。


○ 社会にはいろいろな体験事業があるが、多くが与えられたプログラムを子供がこなしているだけという印象があり、子供をお客さんとして迎えているプログラムが多い。


○ 横浜市では9年間コミュニティ・ハウスの中で「土曜クラブ」をやっており、初めはプログラムを提供していたが、今は、子供が何をしたいか、1年の計画を立ててもらい、三つの小学校から1年間異年齢の子供が通ってきてみんなで運営していく。地域の大人を講師として招いたり、中学生がサポートに入ったり重層的な動きが加わりながら、自分たちで受付や設営、声かけをしつつ運営していくことにより、「土曜日は自分たちがつくっている」という感じになってくる。


○ 学年も学校も違う子供たちが主体的に参加するようなプログラムをしており、中学に来たときに知り合いがいる、違う学校の子供たちも知り合いであるという、中1ギャップとか中1プロブレムの解消に少しは役立っている。


○学習習慣形成・“落ちこぼれゼロ”の実現に向けたプログラム


【学ぶ基礎を培う就学前のプログラム】
【補充・発展的学習の充実のためのプログラム】 等

○“全国どこでも学べる”「地域ならでは」のプログラム


【「地域ならでは」のリソースを生かしたプログラム】
【ICT等の活用によるプログラム】

○ 学校によって、様々な取組があり、学年に応じたプログラムを作成している学校もあれば、プログラムは作成せず、できることをやる方がいいというところもある。ニーズに応じて取り組めることが大切。


○ コーディネーターと子供たちによる地域資源を活用した学校ブランド産品の開発を行うなど、キャリア教育の視点からの連携協働も進められてきている。


○ 東京ならではの取組の場合、多様な活動を通して、社会が参画して放課後を支えていくということの重要性を、東京の発信力という強みを生かしてメッセージしていきたい。


○ 人口の少ない地域では、学校自体で関わる教員の数が少ないので、常日頃から多様な大人が入るように仕掛けている学校がだんだん増えてきている。


○ 地域にお任せする部分の多い事業なので、どうしても差が大きくなる傾向があるので、グラウンドデザイン的なものをお示しして事業の改良改善に努めている。


○ 多様性もいいが、全てに多様性ではなく、地域によって、学力の底上げとかグローバル教育とか故郷教育とか、国がどういう子を育てたいかのベクトルから外れない範囲で何を強化するのかはっきりすることも必要。地域で、一貫のテーマと個別のテーマかあると、より放課後は盛り上がっていくと思う。


○ 全国一律ではなく、各地域が自律的に選択できるような内容をこのワーキンググループでは提案できれば良いのではないかと考える。


○ 取組の地域間格差があるというが、どんな地域でもやる気になれば、その地域なりの取組はできると考えている。第2期教育振興基本計画に沿って、全ての地域が地域なりの取組をやる気になるような提言がここではできると良いと思う。


○ 地域がどのような子供たちを育てたいかが大事だと感じている。地域がそのメッセージを発信した上で、国がバックアップできるような体制があると良い。


【長期休暇等の考え方】

○ 諸外国では、長期休暇の在り方というのは、平日の在り方とは別建てで議論されることが多い。


○ 長期休暇のプログラムの在り方は別枠で考えるというのはとても重要な視点。


○ アフタースクールだけで良いのか、という点では、諸外国では教育と福祉の合体ということで、朝の時間に着目した、ブレックファーストプログラムというのもやっている。


○ 早寝早起き朝ごはんは、小中高校生だけでなく、大学も取り組んでいるところもあり、こういう就学段階も検討の視野に入れてはどうか。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室