社会教育推進体制の在り方に関するワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成25年6月4日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省9階 生涯学習政策局会議室

3.議題

  1. ヒアリング
  2. その他

4.議事録

【浅井座長】  定刻でございますので,今から中央教育審議会の生涯学習分科会社会教育推進体制の在り方に関するワーキンググループの2回目を開催させていただきます。本日は,お忙しい中,お集まりいただきまして,ありがとうございます。
 それでは,本日の議事の確認をさせていただきます。お手元の議事次第を御覧いただきたいんですけれども,最初にヒアリングということで,北海学園大学社会教育主事課程委員長の内田先生と関委員から,御発表いただいて,その後で,今後の社会教育推進体制の在り方について,論点に沿って議論をさせていただきたいと思います。
 議事に入ります前に,事務局から資料の確認と前回欠席された委員の御紹介をお願いしたいと思います。

【新木企画官】  それでは,生涯学習政策局社会教育課の新木でございます。お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。
 本日,資料1から4まで,それから,参考資料として1から3までお配りしております。資料1が内田先生からの資料でございまして,「地域づくりの担い手育成における大学の役割」でございます。
 資料2が,関委員からの御発表資料でございまして,「自分たちのまちは自分たちの力で…」という資料でございます。
 資料3でございますけれども,前回,第1回のワーキングにおける主な意見でございます。
 資料4ですけれども,ワーキンググループの今後のスケジュールでございます。
 そのほか,参考資料1として,中教審における諮問文。参考資料2-1が「現行制度と教育再生実行会議第二次提言のポイント」。参考資料2-2が,「地方教育行政の現状等に関する資料」。参考資料3が「社会教育推進体制に関する基礎資料」でございます。
 それから,机上配付資料といたしまして,前回,何名かの委員の方から頂いた質問に対する回答として,「社会教育主事の設置率等について」という資料をお配りしております。
 資料の不足,その他,お気付きの点等ございましたら,事務局までお知らせいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 続きまして,第1回の会議で欠席されまして,御紹介できなかった委員につきまして,御紹介をさせていただきたいと思います。
 50音順でございますけれども,東京都杉並区の教育委員会教育長の井出委員でございます。

【井出委員】  おはようございます。井出でございます。よろしくお願いいたします。

【新木企画官】  佐賀県多久市長の横尾委員でございます。

【横尾委員】  横尾でございます。よろしくお願いいたします。

【新木企画官】  なお,本日は,明石分科会長,山本委員,野島委員が御欠席となっております。
 以上でございます。

【浅井座長】  ありがとうございました。
 それでは,議事の(1),ヒアリングに入らせていただきたいと思います。それでは,内田先生からお願いいたします。

【内田氏】  皆さん,おはようございます。涼しい,涼しい札幌からやってきました北海学園大学の内田と申します。きのう参りましたので,きのうの夜は涼しかったですが,今日こちらへ来ましたら,すごく暑いので驚いています。それから,30年ぶりラッシュに遭遇して驚いています。皆さんのお手元に資料がありますけれども,同じものですが大きい方が見やすいと思いますので,スクリーンを見ていただきながら,お話を聞いていただければと思います。
 頂いたタイトルは,「地域づくりの担い手育成における大学の役割」ということで,この間,私どもの北海学園大学の社会教育主事課程で取り組んでいる取組についてお話しするとともに,北海道全体の主事課程を持つ大学が今,ネットワークを作りまして,そこで取り組んでいること。それから,その会も含めて,道内の179の市町村の教育長さんに,この間,社会教育主事に対してどういう実態であり,どういう考えを持っているかということを少しアンケート調査をしました。まだ分析が途中なのですが,それについてお話しできればと思っています。
 「はじめに」のところ,自己紹介と書いていますが,私自身は,大学卒業後8年ほど,神奈川県の相模原市教育委員会に勤務しまして,市内の公民館2か所で社会教育主事として勤務した経験があります。その後,大学院に入りまして,短期大学,そして北海道教育大学,そして現在,北海学園大学というところで教員をしております。北海道教育大学にいた時代に,学部で社会教育主事を養成するとともに,北海道教育大学が毎年行っています社会教育主事講習を10年近く,今も関わっていますが,担当しました。5年前,2008年から北海学園大学に移りまして,経済学部と経済学研究科に所属しながら,社会教育主事課程を兼担しているという状況にあります。
 それから,今回のことにつきましては,去る5月18日に,社養協(全国社会教育職員養成研究連絡協議会)の大会で,「地域づくりを担う社会教育主事の養成」ということで報告させていただいたのですが,そのときに,今,司会をしていただいています新木企画官が御参加くださり,声を掛けていただいて,今日,報告するということになりました。
 それから,北海道では,私,昨年度まで8年間,北海道社会教育委員の会議の議長をしていました。それで,昨年6月に,「社会教育行政としての家庭の教育力の向上を図り,学力・体力向上に向けた子供の望ましい生活習慣づくりを推進するための方策について(答申)」というのを30年ぶりに答申させていただきまして,そこの中で社会のつながりを促す地域の担い手(ファシリテーター)の養成の必要性と,そのためにコーディネーター及びコーディネーターのコーディネーターとしての社会教育主事の資質,能力の向上が必要だということを指摘させていただいて,道教委としても取り組んでいただくように提言したところであります。
 そんなことを踏まえて,今日話をするということになります。しかし,皆さんのところに,コピーで申し訳ありませんが,一昨日できてきた本学の今年の大学案内の中に,社会教育主事課程についてどのように紹介しているかということで,拡大コピーをして持ってきました。ここに書いてあるように,本学では,「自治体社会教育」の創造の担い手を養成するのだ,ということで取り組んでいます。下の段に,実際に社会教育主事になるためには,自治体職員として採用されなければなりません。協働のまちづくりを担う自治体職員を目指す人にとっても,社会教育主事課程で学ぶことは有意義な資格である,という形で新入生に向けたパンフレットの中に書いているところです。そういった取組の具体的な流れを紹介していきたいと思います。
 実は,私は2008年から北海学園大学に移りましたが,翌年にカリキュラムを大幅に改正しました。というのは,前任の先生が一生懸命されていたわけですけれども,3年生の私が担当した学生に聞きますと,社会教育って何だか分からないという学生が大半だったのです。その問題点を考えたときに,実は学生たちは学校教育の中で学習者であっても,社会教育若しくは非定型,不定型の教育における学習者になっていないということに気付いたわけです。
 それで,社会教育の場での学習者としての訓練を,まず先に行うべきではないかということで,1年生に実習1,2年生に実習2を導入することで,それを乗り越えようという取組を2009年から始めたわけです。私のもともとの考えとして,「すぐれた学習支援者は,自らすぐれた学習者でなければならない」と思っていますので,そういった「すぐれた学習支援者」を育成していくためには,まずは「すぐれた学習者」になってもらわなければならない,ということで実習から取り組みました。それが1年生での実習1です。市内の生涯学習施設で実習を行っています。2年生は,国立大雪青少年交流の家で5泊6日の実習をしています。3年生には,社会教育演習で,自治体での調査実習。昨年と一昨年は,中富良野町で調査合宿を行いました。また,札幌市生涯学習センター「ちえりあ」で「さっぽろ市民カレッジ」を学生企画事業ということで企画・実施しています。
 さらに,実習室兼資料室を設けて,そこで自由に学生たちが資料や本をとり,学習し合うことができる環境を作りました。さらに,縦の関係を作ろうとしまして,北海社会教育の会という卒業生を中心とした会をつくり,これは1年生から4年生も入るわけですが,そのフォーラムを年に1回,また北海社会教育サロンというのを毎月月例で定点定時に行っています。これについては,3年生が運営する。そして,4年生では,これまで4年生に授業というのは,主事課程ではほとんど行われていませんが,4年の後期に,「現代社会と社会教育2」という科目を作りまして,これは演習形式で行い,卒論的なものを書いていくというように行っています。その間,適宜,希望者には,自治体などで短期間のインターンシップなど実習を行うという形で,実質的には学生たちは4年間継続して実習を行っていくというカリキュラムをとっています。
 簡単に見てみますと,これが実習1の様子で,実際は,「だいどんでん!」というお祭りが9月にあるのですが,それを実行委員会組織で行う「街創造スタッフ」に学生たちが参加するという形で,自分たちが学習者としての自分を発見するというようになってきます。それは授業としての実習なのですけれども,2年生になってもほとんどやめずに,実際には主事課程の3年生が「街創造スタッフ」のリーダーになっていくということが,この間見られています。実習から実践への発展がそこに見られると思います。
 実習2は大雪で行うものですが,今度は学習者を観察するという視点と,学習支援者としての職員の役割を体験するという二つの面を持っていて,その後,施設の職員や道教委の担当者から様々な場面での誘いがあり,地域での通学合宿などに関わっていくということが見られます。それで,「地域づくり」の視点を持つようになっていくということです。
 3年生の演習,これは中富良野の実習の状況です。これが,「ちえりあ」での「さっぽろ市民カレッジ」の企画・実施のときの様子です。こういう形で,学習支援者としての力量を磨いていくというプロセスがあります。
 これが,実習室兼資料室という部屋です。そこで社会教育演習を行ったり,資料がありますので,これらを使って学習をするということが行われています。
 これが北海社会教育フォーラムの様子で,毎年9月の第3土曜日に行われています。その年卒業した卒業生が実践を報告しています。9か月間,自治体で働いている実践を報告するのです。それから,実習・演習の報告や学年を超え,先輩,後輩を超えて交流をするということをやっています。
 北海社会教育サロンは毎月行っていますが,第3金曜日の7時半からです。ルールは,参加者全員が必ず質問するということで,卒業生や現職の社会教育主事などがゲストに来ています。ここに今,国社研にいる濱中調査官が写っています。
 4年生になりますと,先ほど言いましたように,最終的に自分たちの4年間の成果を総括する,そういった授業としての「現代社会と社会教育2」を行っています。これが今年の様子ですが,お配りしている年報の中の54ページから108ページが,卒論と言うほどのものではありませんが,新カリキュラム1期生の彼らが今年,総括として書いたものがそこに載っていますので,御覧いただければと思います。
 2009年度の入学の新かり1期生が,今年,全員卒業していったわけですが,その成果として,最終的に修了した13人のうち,社会教育主事として,専門職として沼田町教育委員会に1名,一般職として中富良野町,豊浦町,北海道生涯学習協会の専任の職員,指定管理者ですが,道立足寄青少年自然の家の指導系の職員。実習でもお邪魔した札幌市の生涯学習センター「ちえりあ」で契約職員として1人。正規ではありませんが,自治体で1人,臨時司書として入ることができました。また,警察にも行政職として1人ということで,8人ほどが社会教育主事の資格を取って,学んだことを生かした地域での担い手としての仕事に就いています。民間とか未定者はいますが,未定者も次年度の採用を目指して,今,勉強しているところです。
 次に,北海道では,社会教育主事養成をしている大学が連絡会を作っています。これが,その会則です。経緯としては,私どもの大学から呼び掛けて,2011年3月に設立準備会を開いて,準備会の名前で全道の大学に調査をしました。その結果を,たまたま,その年の5月に行われた,先ほど御紹介した社養協の大会が本学で行われましたので,そこで報告しました。それらを踏まえて,2011年9月に設立総会を開きましたが,参加したのは7大学です。参加しないところもあり,それから,課程を廃止するところも出ています。役員の名前はこのとおりです。
 何をしてきたかといいますと,具体的には,昨年の4月に1回目の研究協議会を行いまして,私が「今,なぜ社会教育主事養成か!?」という基調講演をし,その後,もともと社会教育主事をされていた大学教員や道教委の局長なども含めて,「北海道の社会教育主事像を語る」ということでシンポジウムをしました。それについては,この年報の中に,109ページから,このシンポジウムの記録が出ていますので,何かのときに見ていただければと思います。私の講演については別刷りであるのですが,冊数が足りなくなったので,今日はお配りできません。
 10月には,今度は学生同士の交流会を開きました。そこに,現職の社会教育主事の方にお話をしていただいて,このようなワークショップをしながら,みんなで職業としての社会教育職員というのはどういうものなのかという意見交換をしました。大学を超えての交流です。
 今年は先日,4月21日に3回目の研究協議会ということで,後で報告します調査報告については私からさせていただいて,その後,「地域社会から求められる社会教育主事をどう育てるか」というタイトルのシンポジウムを,社会教育主事を専門職で採用した沼田町の町長も登壇者として招いて行っています。
 4回目の10月の学生交流会は,その前に,北海道富良野市で公民館の全国大会が開かれるのですが,そこに福井市の公民館の嘱託職員の方が見えられるということで,私も今,福井市といろいろ付き合いがありまして,その日,その後来てくださいということで,この学生交流会に福井の嘱託主事の方が見えられて,交流しながら,昨年のような職業としての社会教育職員について意見交換を行う予定になっております。
 ここまでが大急ぎで来ましたが,全道での連絡会の取組ということで,北海道全体で,一つの大学ではできないことを取り組もうということでやっているところです。
 最後に,179の市町村の教育長さんに,今年の1月にアンケートを送付し,3月上旬までで全ての町から提出し,回収させていただきました。ぱっぱっといきますが,人口については,北海道,非常に人口が少ないのですけど,179のうち122の市町村が1万人以下ということです。10万人以上の町は,札幌を入れても9市しかありません。非常に人口が減っている状況が分かります。
 その中で社会教育主事がどれだけ発令されているかということで,179の市町村中133の市町村に社会教育主事が配置されていて,その総数は245人でした。複数配置が9人いるところは北見市。7人,新ひだか町。6人,遠軽町。5人,恵庭市,八雲町,日高町ということで,恵庭以外は平成の大合併で合併してきて,恐らく各旧町村にいるのだと思います。ほとんどが兼務という位置付けだということも分かります。
 それから,教育委員会にいて,資格を持っていながら発令していない人は何人かという質問に対しては,合計で347人でした。その中で多いのは,市が多いのですが,きちっと集計したわけじゃありませんが,当分の間置かないことができるとした社教法の附則で,1万人以下なら任意設置のためと答えたのが74%いるということです。
 次に,分かる範囲で,首長部局にいる社会教育主事有資格者は何人ですかと聞きました。これは必ずしも正確な数じゃありませんが,509という数が出ました。その1,2,3を全部足しますと,北海道には1,095人を超える社会教育主事有資格者が勤務しているということになると思いますが,データを見ていくと,全くいないのが奥尻町という島ですが,ここには1人もいないということになります。それから,教育委員会に社会教育主事や有資格者が全くいない町も15市町村ありました。
 これは本学のこととして,本学の卒業生が何人いるかという質問をしたことですが,47人いて,31の町に本学の卒業生がいるということも分かりました。
 さらに,社会教育主事の有資格者のうち,大学で資格を取った人は何人かということを聞いたのはこれです。大学で資格を取っているのは合計が188人でした。586人のうちの32%が大学で取得でした。主事講習でと聞いたら404人なので,実はここに誤差がありますので,そういったところは,今後,アンケート票を見ながら精査していかなきゃいけないと思っているところですが,こんな割合です。3割と7割ぐらいという感じになります。
 さらに,専門職採用をしているかどうかということで,していると答えたのは14,以前はしていたが34,今後する予定が1,その他3ということですが,実際は,これがしていると答えたところですけれども,こっちを見ていただくと,赤く付いている町は,本学の北海学園大学の卒業生が就職した町です。由仁町,中札内村,沼田町。それから,黒く付いているところが,私がかつて教育大学にいたときの卒業生が現在,社会教育主事をしている町です。それから,いろいろ伺っていきますと,それ以外に,社会教育主事として大学で資格を取った町と,主事講習で取った町も分類することが可能だなと思っていまして,今それをやっているところです。
 過去を含めて,専門職として別枠採用した経験のある市町村は51あって,全体の28%だということが分かりました。
 社会教育主事に対する評価について聞きました。教育長さんの評価ですが,満足な点は,地域社会における人づくり,絆(きずな)づくり,地域づくりに専門性を発揮してくれているところが満足だと。不満足な点は,社会教育主事,専門職だけの仕事しかしないということを言っているところがあります。
 それから,大学の主事課程取得者の満足度については,先ほどの全体の満足度に比べると高いと思っています。それも正確な分類が必要かと思いますが,高いのではないか。特に,即戦力とか一般行政職にも異動が可能だということも含めて,かなり高い評価をされていると思いますが,個人差も大きいということも事実です。
 不満な点では,『社会教育の終焉』を読んでないぞ,というようなことが書いている方もいましたが,往々にして,不満な点よりも満足な点の方が多かったと思います。
 今後,市町村で実習などをやることを強化してほしいという意見が6割以上超えていまして,具体的な町から,うちでやってほしいというところも実は出ています。ですので,そういったところと今後連携していきながら実習を強化していきたいと思っています。
 全体の感想で,専門職というのは,まちづくりや地域の全体の中で能力を発揮してほしいのだ,という考えがこの中で多く見られるような気がします。
 結論ですが,私がこの間,こういった主事養成をしながら,特に北海道でという言い方が通じるかどうか分かりませんが,少子高齢化と一極集中によって急激な縮小化,限界集落,限界自治体などと呼ばれる状況が進んでいます。地域社会が成り立たない状況になっているのです。そういった意味では,大学としては,地域づくりの担い手を育成するということが大学の使命だと思っていますし,その地域づくりの担い手同士をつなぐ担い手を更に作っていかなければならない。社会教育主事というのは,そういった地域づくりの担い手をつなぎ,ネットワークを結びながら,人育ちの支援を行っていく仕事だと思いますので,まさに大学が地域に根差して育成していく人材の要となるのが社会教育主事の資格ではなくて,力量を持った人間ではないかと思っています。そういった若者を多く,全道179市町村で輩出していきたいと思います。
 「おわりに」ですが,社養協という話を先ほどしましたが,社養協でも,今,この資格について,地域の人々の学習や活動に関わる職に関して,新たな資格,例えば,コミュニティ学習支援士などが必要じゃないかということで,そういったことを提言していこうという議論がされています。
 また,私が入っている学会,幾つかありますが,日本社会教育学会でも,3月に職員問題対策委員会というのを設置して,社会教育主事の在り方を検討しています。その主たるメンバーが社養協のメンバーですので,社養協と連携しながらコミュニティ学習支援士などの新しい資格や認証制度などを提案していきたいということが,今,議論されている最中ですので,こちらのプロジェクトとも協力しながら,是非そういったことも利用していければと思っています。
 時間,少しオーバーしましたけれども,以上です。

【浅井座長】  ありがとうございました。
 それでは,議論は後でしていただくとしまして,今の御発表に対して質問だけお受けしたいと思いますので,質問がありましたら,お出しいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。

【糸賀委員】  簡単な質問なんですけれども,今のお話を伺っていて,私,やっぱり社会教育主事のキャリアパスとかキャリアデザインというのを見直さなくちゃいけないと感じたんですね。それで,先生のところで,社会教育主事の資格を取っているのは,先生御自身が経済学部の所属ですね。この卒論を拝見すると,地域経済学科だったかな,の学生が多いんですが,さっき,13人資格を取ったと。その学生の専攻はどういうふうになっているんですか。全部,地域経済なんですか。

【内田氏】  先ほどの図のところに,学部名が書いてあります。

【糸賀委員】  何ページですか。

【内田氏】  私のやつでいうと,小さい文字のページでは13ページにあります。上の方に。例えば,「沼田町教育委員会(女性・法学部)」と書いています。学部しか書いてないのですが,法学部は政治学科と法律学科があります。人文学部というのは,本学では英米文化学科と日本文化学科。経済学部は経済学科と地域経済学科。それから,工学部の学生が1人います。工学部の学生は,いわゆる土木系・都市計画系です。全学部にわたっています。全学で取れます。

【糸賀委員】  そうすると,これは教職課程を取っている学生の中で社協主事も取ろうというのか,本当に社協主事だけを取ろうとしているのか。

【内田氏】  教職と両方取っているのは少ないです。何人かはいますけど,この年は教職を取っている学生は13人中3人です。

【糸賀委員】  私自身は図書館司書の養成に関わっているんですけれども,こういう多様な専攻を持つ学生が集まってきて一つの資格を取るということは望ましいと思うんです。将来的なことを考えた場合に,例えば,法学なら法学を取った後,大学院課程で社会教育主事だとか博物館,学芸員とか図書館司書の資格を取った方が視野が広がるだろうと思うんですね。そういう意味で,多様な学部あるいは専攻から構成される学生が主事の資格を取ると。将来の展望として国際的なことを考えたときに,大学院レベルでの養成というのはお考えにならないんでしょうか。

【内田氏】  社養協としては,議論しています。私も,その議論には一緒に関わっていますが,本学でそれをしようと思うと,大学院自体が縦割りの大学院でしかないので,今度,横につなぐ大学院を新たに作らなきゃいけないので,それが本学ではなかなか実現するのは難しいなと一方で思っています。

【糸賀委員】  そうですか。例えば,現職の社協主事が学び直そうと思ったときに,社会人大学院とか夜間大学院を設けると,かなり需要があると思うんですよ。実は私のところでも,図書館司書の現職者の社会人大学院のコースを設けたら,当初,50人以上の応募があるんですよね。だから,将来的にはキャリアパスということを考えた場合に,大学院での資格取得。その前提は,つまり,多様な専攻,多様な興味・関心を持った人たちを集めて,その人たちを社協主事としてまちづくりの中核に据えていくということなんですけどね。

【内田氏】  それは是非やりたいことなのですが,その際には,先ほどの大学間ネットワークの方で大学院レベルのそういった……。

【糸賀委員】  例えば,連合大学院なんて……。

【内田氏】  そんなイメージが,私のイメージとしてはあります。

【糸賀委員】  ありがとうございました。

【浅井座長】  議論は後で,またお願いします。
 質問,もうよろしいですか。簡単にお願いいたします。

【井出委員】  社会教育主事の資格を取っていくわけだけれども,社会教育主事になろうという動機付け,いつ頃から,例えば,4年生になって,行く所がないから,どこかないかなというような,そのレベルから,むしろ早い時期から,法学部であったり人文学部であったり,所属している学部はそれぞれだけれども,固まってくる時期というのはどれぐらいなんですか。

【内田氏】  私が移ってきた頃の学生たちは,実は,何かよく分かんないけど取っていたという学生が多かったです。ところが,新カリにしたときから,先ほどのように,PRの段階で,「自治体社会教育」の担い手とやりましたから,まず,公務員志望者が来るようになってきました。でも,初めは公務員一般だったですが,実習をやりながら,特に2年生,そして3年生,この時期に多くの社会教育主事の方たちや,関係の職員の方と出会うので,そこで具体的になってきますので,4年生になると,多くの学生が社会教育若しくは自治体で働きたい,という気持ちになるのです。

【浅井座長】  よろしいですか。質問は,後でもまた受けることといたしまして,次に参りたいと思います。
 それでは,関委員にお願いしたいと思います。

【関委員】  それでは,この後,愛媛県の新居浜市の泉川という地域で行っております活動につきまして御報告をさせていただけたらと思います。
 ここに書いておりますように,この地域では,「自分たちのまちは自分たちの力で」という思いで,今,地域の活動を進めております。もともと公民館の活動に昭和30年代から熱心に取り組んできた地域なんですが,いつの間にか,地域づくりというよりも,むしろ,いろいろな生涯学習というか,グループサークル的な活動の方に,地域全体,公民館が流れておりまして,それを何とかしようじゃないかということで,ちょうど公民館が新しくなりました平成15年頃から,いろいろ地域作りのムードが変わってきた,そんな地域の活動でございます。できれば,草創期の公民館に戻そうという思い。ここに書いておりますように,郷土を興す喜びをみんなで実感しようというふうな地域づくりに今取り組んできておる,そういう地域の事例発表でございます。私,その中で,地域の住民として動いている部分が多いので,ここにはあえて行政の職員としての立場ではなくて,一住民としての立場も交えさせていただいて話をさせてもらえたらと思っております。
 初めに,新居浜というまちなんですが,人口は約12万6,000人のまちでございます。平成9年に生涯学習都市宣言をしまして,その翌年,平成10年には企画調整部の中に生涯学習課を設けて取り組んできました。その時点で,一度は生涯学習とまちづくりをつなげて,総合行政の中に社会教育的な活動,公民館活動などを位置付けようとした取組にチャレンジしたことがございます。しかし,15年前の時点では,それが円滑に動けなかったという経緯もあります。
 平成15年には,平成の合併で別子銅山で縁のあった別子山村と合併した経緯もあり,現在は市内に18の小学校区があって,そこに公民館も設置しています。
 その中の泉川という地域なんですが,人口は11万6,000人,ほぼ市内の11分の1ぐらいですか。ここに示しております写真は,校区の真ん中を通っております道路なんですけれども,非常に中央分離帯が大きい道なんですが,この場所でいろいろ地域の活動も進めております。こういったことも,この後,説明をいたします。
 地域の活動としては,学校支援地域本部事業であったり,放課後子供教室であったり,先ほど言いました,この道路の国土交通省との連携による里親制度,そういったものに熱心に取り組んで,新しいまちづくりに徐々に住民の思いが高まってきておるような地域でございます。
 ここで活動を始めようとしたときに,幾つかの問題提起がなされました。先ほど申しましたように,平成15年に新しい公民館ができたときが一つのきっかけになったのですが,それまでの公民館を見たときに,果たして公民館が地域に必要とされているか否か,そこに非常に疑問を感じた人がおり,その後にはなりますけれども,新しい公共というムード動いていた中で,本当は公民館こそ公共の原点であって,そこに戻るべきではないかという話が持ち上がってまいりました。
 公民館を単なる公共施設として,利用する人数が多ければいいというものではなくて,公民館そのものの機能をもっと考えていくべきではないかという話がなされました。また,個人の要望に応えるだけの公民館で果たしていいのか。今の世の中,もっと必要なことはいっぱいあるんじゃないかという議論など,公民館が本当に必要なものは何かということを住民も一緒になって考えていくような場がたくさん持たれるようになりました。
 そのきっかけになったのは,新居浜市が地域主導型公民館ということで,公民館の原点に回帰しようという動きに平成18年あたりから動いたことでした。その中には,はっきり言って,これは人によれば,公民館活動の衰退ではないかという判断をされる方もあろうかと思うんですが,行政改革そのものではないんですけれども,公民館の職員,それまで正規職員であった正規職員を公民館から引き揚げました。その方向性を目指したのが平成18年ぐらいからなのですが,正規職員は引き上げるがその代わりに,地域が力を付けて,自らが地域を作っていくような方向性を志向しようという動きになったものでございます。
 この背景には,新居浜市の公民館というものが,どちらかというと,単に学びの場に終わってしまうきらいが非常に強かったことがありました。公民館は,グループサークルの集まる拠点にいつの間にか変わっていました。それをできれば地域をみんなで地域を創っていく,その拠点施設に切り換えていこうという思いが持ち上がったのです。今まで,どちらかというと,行政に何かをしてもらうというイメージが強かったものを,住民自らが何かをしていこうという動きに切り換わっていったのがこの時期でございます。
 新居浜市には,このような祭りがあるんですけれども,太鼓台という,重さ3トンほどの太鼓をかくという祭りが10月に行われます。みんなが協力し,3トンのみこしを担ぎ上げるという地域特性があるまちでございます。この心意気をできれば公民館活動に生かしていこうという思いがございます。
 その背景には,公民館主事の意識と処遇があります。新居浜市の場合,主事に正規職員を配置しておりました。しかし,いつの間にか,公民館主事が早く行政の中に戻りたいというふうな,左遷とまでの意識を持っておるかどうかは人によって違いますけれども,公民館を自分の自己実現の場として仕事の中で位置付けていけるという職員が減ってきておったような傾向が強かったのです。
 公民館にいて,パソコンに向かうということが自らの仕事であるという思いが,いつの間にか主事の中に強くなりました。それを住民も,いつの間にか感じ取りまして,それではやはり,本当の意味で公民館にはなり得ないという思いがいつの間にか生まれておったものでございます。
 泉川の場合は,住民意識が強い地域であったので,一番先に,地域主導型公民館に名乗りを上げた地域で,この地域の住民の中には,ここにあるような思いが非常に強うございました。自分たちでできることは自分たちでやろう。地域作りは自分から始めよう。行政の命令ではなくて,地域自らが動こう。人材を見つけて,人材を育てていこう。最終的には,地域全体が受皿になって,公民館,地域をみんなで担いでいこうという思いが強い地域でございました。
 その背景,どうしてこういうふうな気持ちになったかというと,泉川の場合は,非常に逆境といいますか,地域全体がいつの間にか厳しい状況に置かれておったような地域というもの背景にあったかと思います。一つは,新居浜市が従来,社会教育関係団体であったり公民館等に補助金をある程度潤沢に出していた土壌がございました。しかし,新居浜が平成16年に災害に遭いました後,補助金を公募制度に切り換えて,新居浜の補助金制度の中で泉川が従来持っておった補助金の枠というものが全部なくなってしまいました。そのときに,この後説明するような寄附金制度が生まれるんですけれども,マイナスの状況をプラスに転じていこうという思いが生まれたのです。
 先ほど見ました道路にしても同じで,校区の真ん真ん中を国道のバイパスが抜けるということで,地域全体が分断されるという状況に陥りました。そのときに,その道を逆に,みんなで,いい道にしていく,みんなが,その道をきれいにしていく。そのことによって,地域の一体感を見いだしていこうという方向に流れました。
 あるいは,中学校ですが,中学校が荒れて非常に厳しい状況に陥ったときがございます。朝,学校に行くとガラスが割れているような状況の学校になってしまった。そのことを地域のみんなが力を合わせて,何とかしようという方向に動いた。そういったものが,この時期,公民館の状況を変えていこうという方向に動かしていったのではないかなと思っております。
 その具体的な事業展開として非常にプラスになったのが,平成19年度の文部科学省の学びあい支えあい地域活性化推進事業でございました。この地域の中で,泉川では新しい地域づくりの組織を作っていこうということで,一番初めに,地域の本当の生の状況を知ろうということで,地域のマーケティングリサーチのためにアンケート調査を行いました。今まで,なかなか住民の声を本当に聞いた上で社会教育事業を展開するということは少なかったんですが,このことによって,本当は公民館側が思っておったよりも,住民の地域に対しての意欲が高い。あるいは,お金を出しても地域のために何とかしていきたい,そういう人が多いということを,我々,知ることができました。
 そして,そのアンケートを基に,その次の段階では,ここにおられる香川大学の清國先生を交えて,まちづくりのワークショップを行うという流れになりました。その中で,自分たちの地域の課題は何かということを住民自らが話し合って,地域福祉,環境美化,安全・安心,健康作り,子供の育ちを支えるという五つの,住民がこれから取り組むべき課題を見つけることができました。
 そしてさらに,先進の事例からいろいろな学習を深めることもできました。地域のみんなが先進地である高松の三谷という地区を訪ね,そこの住民と腹を割って話をすることで,自分たちの地域が今まで取り組んできたことを見直す機会を与えていただきました。その後,三谷地域とは,今に至るまで,いろいろな関係性を続けております。
 そういう流れの中で,地域作りの新しい組織を作っていこうということで,まちづくり協議会という組織を作ります。今,いろいろな地域で包括自治組織ということでコミュニティ協議会とか,まちづくり協議会というものが生まれていっております。泉川の場合は,行政側から言われて作ったのではなく,自分たちでこの組織作りを進めていったことは非常に大きな意義があったかなと思います。
 ここにありますように,一気に全てをやるのではなくて,できる分野から無理をせずに,横につないでいく。さらに,その中には,NPOや大学の力を頂く。そういう流れの中で,ゆっくりと組織づくりに取り組んでまいりました。
 最終的には,去年の4月,ようやく本当の意味の組織ができたという経緯で,初めからいうと,5年をかけて,この組織を作っていったというのが泉川でございました。このまちづくり協議会では,従来の組織を壊してしまうのではなくて,緩やかなネットワークをつなげて,先ほど申しました五つの課題を解決していく。そして,まずは自分たちから始めていこうという補完性の原則を守る。そして,今までは特定の地域の住民が活動に関わってきたという経緯がありますが,できるだけ新しい事業を作って,若い世代や人材を組み込んでいこうという人材登用策をとりました。また,従来,権限と責任が割と不明確,そして,予算についても,それぞれに本当に委ねてしまうという形態をとってなかったんですが,それをここでは明確にしたものでございます。
 ここで,公民館とまちづくりの協議会の関係についてでございますが,泉川校区では,「地域をよりよいものにしていこうとする活動全てが公民館活動である」という大前提を掲げております。従来,個々の団体の事務局を担当するということは,公民館は引き受けてなかったんですが,このまちづくり協議会の活動,これは全て地域を良くしていこうとする活動でございます。だから,それはイコール公民館活動であるという自己規定をこの地域では行いました。公民館は,このまちづくり協議会の総合事務局であり,住民が主役で,公民館がそれをきちんと支えていく,支援していく,そういう体制を作りました。本当の意味での住民との協働,対等の関係での協働の関係を作っていきたいというのが公民館の職員の思いの中にもございます。
 また,先ほど,市の補助金が切れたと言ったんですが,泉川校区では,そのときに,「大好き泉川まちづくり寄附金」という制度を作りました。補助金がなくなったら,当初は自治会費を上げて,それを乗り切ろうという思いもあったんですが,自治会の反対もあり,自治会長自らが地域の中の商店や事業所を訪ねて,そこで地域づくりの必要性を説明して,寄附金を募るという制度を作りました。市からもらっていた補助金とほぼ同額の100万ほどの補助金が集まって,現在もそれを基に地域作りの活動を進めておるところでございます。この協議会の会議の仕組みは,従来は各部会をそれぞればらばらにやっておったのですが,現在では毎月12日をこの協議会の定例日として,公民館を借り切って,その中で活動,協議をすると。そのことによって,お互い,横の部会の連携もとれるという仕組みの中で,今,動いております。
 それぞれの部会でございます。安全安心部会,環境美化部会,地域福祉部会,健康づくり部会,子ども支援部会ということなんですが,今の五つの部会を見て,今回のこの写真,私も改めて見て,全て子供というものの関わりの中で,この地域の活動が成り立っておるということを改めて感じたものでございます。子供たちとの関わりの中で地域が変わっていくということを,我々,本当に感じております。
 先ほどの生涯学習部会という部会なんですが,この部会では,それぞれの課題解決していく上での各部会から持ち上がったテーマを取りまとめて,生涯学習部会の中で講座をプログラム,作りまして,広く住民に「泉川ふるさと塾」という事業を実施する,そういう役割を担っております。
 あと,この事業の評価と成果ということなんですが,先ほど申しましたように,自分たちの地域は自分たちの力でという思いが地域の中に浸透してくる。その中で,子供から大人まで,みんなが共に触れ合う場が増える。さらには,受益者の感覚だったものが,自らが何かをしなければという当事者の意識が芽生えてくる。縦割りではできなかったものが,横につながることでできるということを実感していく。また,新しい事業にチャレンジすることで新しい人が地域の人材として生きる場が増えてくる。さらには,最終的には学ぶことが結果的に実践に結び付いていくという仕組みがこの中で生まれつつあると感じております。
 今後の課題としましては,これは我々,いつも感じるのですが,まだまだ校区の中の果たして何%の人間が地域づくりに関わっているか,より多くの住民を巻き込む必要があるということ。さらには,分かりやすい,将来自分たちが目指すべき場所というものがなかなか地域の人に共有できてない。具体的な目標をどこに置くかということをもっと定めようということ。地域の将来の夢といいますか,どういったものが自分たちの目指すべき地域の風土なのか,それをもっと考えていこうということなどが課題になっております。
 公民館というのは,やっぱり特別な存在ではないかなということを,常々感じます。公民館であれば,みんなが無条件の信頼を持ってくれるという気がいたします。公民館のために何かをやっていこうという住民が60年の歴史の中で生まれてきたこと,それは非常にすばらしいことじゃないかなと思います。多分これと同じものは,学校ぐらいしか持ち合わせてないのではないかなというのが我々の思いです。
 今後,首長部局への移行ということもいろいろ議論されておりますけれども,果たして,そこで,今まで公民館が持ち得た信頼感がこれから先も継続できるのかというものに,我々,正直,非常に不安を感じています。
我々が今,感じているのはこの写真に象徴されます。これは泉川の小学校でございます。小学校の校舎の壁に,つい先日なんですけれども,我々のこの地域の「大好き泉川」というキャッチフレーズが掲げられました。学校と地域の連携というものは,初めのうちは,正直,余りスムーズに入っておりませんでした。しかし,5年,6年と年期を重ねていく中で,学校と地域が一体化されて,いろいろな活動を展開する。そういう風土にいつの間にか変わってきた気がします。子供たちは,地域の道路を歩いていても,大人に挨拶ができる子供にいつの間にか変わってきました。それはやはり,この地域の活動の中で,大人と子供が一体で活動に取り組む機会が増えてきた,それゆえの成果ではないかなと思っております。
 私どもは,公民館の「公」の字を「幸い」の「幸」に切り替えようという運動を今進めようとしております。幸せな地域,それを作っていく場所を公民館にこれから転じていくことで地域を変えていく,その拠点にしていきたいというのが思いでございます。
 社会教育主事の現状ということでは,これは先ほどの内田先生のものと重なるんですが,新居浜市では現在,13人の社会教育主事の有資格者がおります。この人達は,今,それぞれ役所の中で動いておりますが,公民館,社会教育とのつながりは,現在少なくなっています。あと,公民館職員から正規職員を引き揚げましたので,そこに専門性を付与するために,現在,社研のB日程のインターネット配信での受講をさせていただいております。この中で,公民館,18分の13人,現在,有資格者を配置することがかないました。こういったものは,今後も充実させていきたいと思います。
 あと,社会教育主事,今後の在り方ということで触れさせていただいております。これは,もう閉じさせていただきます。時間をオーバーしてしまいまして,申し訳ありません。

【浅井座長】  ありがとうございました。
 それでは,質問だけお受けしたいと思いますので,どなたか,いかがでしょうか。

【今野委員】  まちづくり協議会と公民館がタイアップして,すばらしい活動をしているというので非常に興味を持ってお伺いしました。このまちづくり協議会というのは,全く独自の,いろんな地域の団体が集まって自立的にできたもののように聞きましたけれども,行政の方の関わりというのは制度的その他でないんでしょうか。

【関委員】  この泉川の中では,はっきり言って,行政からは,一番初めの組織をつくる段階での関与というのはなかったです。1つ,行政的な関与ということで言えば,この地域には昔から,地域の市役所の職員が,地域づくりに関与する雰囲気がありました。私もその1人なんですけれども,小学校のPTAの会長を市の職員が多くやっておったという経緯があって,そのメンバーがPTAを退いた後も,地域のいろいろな団体の中で活動をしてきたという経緯があって,みんなが日常的に話をすることが,この地域づくりのために反映されていったというきらいはございます。しかし,行政側から何かをしなさいというコントロールはなかったものと私は思います。

【今野委員】  山形県の天童市で同じように,公民館がまちづくりの拠点になっているという活動があるんですけれども,そのときには,市の規則,条例か何かで,地域の住民たちをまちづくり委員に任命して,それで地域ごとに委員会ができていて,そこでその人たちが地域のまちづくりについていろいろ議論をする場が公民館になっていて,あれこれ議論するときに,まちからも行政の人がどんどん入ってきてもらって,行政と住民が公民館でいろいろ議論をして,そして,一定の年数たつと,自分たちの案を作ると。それができたら,必ず市の方では処置をしなければいけない。予算に入れるとか,条例化するとか,必ずそういう義務を負っていて,着実に進んでいこうというような仕組みになっているんですけれども,そういう行政が仕組みとして作ったようなものではないんですね。自立的にやられているという感じですね。

【関委員】  はい。今の段階では,そういうふうなところ,制度化までには至ってないというのが正直なところです。

【浅井座長】  ほかにいかがですか。

【糸賀委員】  今のまちづくり協議会と社会教育主事,あるいは公民館主事との関わりというのは,そうすると,余りないんですかね。どっか,やっぱり接点があるんだろうと思いますが,そこがあれば教えていただきたいというのが1つ。
 新居浜市の場合に,市民活動推進課が出前講座というのをいろいろおやりになっていますよね。例えば,行政編だとか市民団体編だとかで,いろんな講座をやっているのを拝見するんですが,あの出前講座と今のまちづくり協議会との関係はどうなっているんですか。

【関委員】  出前講座から言えば,出前講座を始めたのは,新居浜市の場合は企画調整部の中に生涯学習課を置いておいたときに始めたのが出前講座だったんですが,総合行政で地域づくりを進めていく。それを地域に出ていって,いろいろ展開していこうというので動き始めたんですけれども,正直なところ,地域展開はまだまだ不十分であるというのが我々の認識でございます。それを公民館,あるいは,その下にある,新居浜市でいえば自治会館という組織があるんですけれども,そこにもっと広げていきたいというレベルが今ではないかなと。まだまだ不十分だとは感じています。

【糸賀委員】  社会教育主事は……。

【関委員】  社会教育主事の立場というのが非常につらいところなんですが,自分も社会教育主事の有資格者の1人であるが故に,あえて言いにくい部分なんですけれども,行政の中にいる何人かの社会教育主事の有資格者,そこがそこに入っていった,たまたまできたのが泉川であったかもしれないです。我々も,一社会教育主事としての思いで,地域の住民として動かなければいけない。たまたまそこに住んでおって,地域の人間といろいろ,PTAの会長をやったときからの関係性がそこにつながっていったというのが本音のところかもしれません。

【糸賀委員】  個人的なつながりであって,制度的なつながりでは……。

【関委員】  そうです。制度的なものではないです。先ほど言いました,市内に13人いる社会教育主事の有資格者が,本当は地域の中につながっていって,それぞれの地域で動いていけるようなものを,今,ようやく模索できるような段階になってきたというのが本音のところです。

【糸賀委員】  ありがとうございました。

【生重委員】  じゃあ,割と偶発的な成功例みたいな感じで,今,聞いていて思ったんですが,特に私自身は,この中で一番画期的なのは,行政からの予算が打ち切られたときに,自らの意思でお金を作らなければ,結局,活動の持続ができないということに気付かれた上で,浄財集めという選択をなさって,自分たちの活動を自分たちでという,まずお金の面からもフォローできたというのがかなり画期的だなと思うんですが,これは,管理はどこがやっているのかというのと,それから,毎年,売上げのようなものがそこに入ってきて,次の年に緑化推進のための苗とか種を買ったり,子供たちのイベントなんかのものに使われていく,繰り返してお金が回っていく仕組みなのか,1回こっきりなのか,その辺は今後,これを泉川のまちが画期的にこれを続けていくために,どう組織化していこうと,どこが管理するとか,そういうところは大分話合いは進んでいるんですか。

【関委員】  管理そのものは,地域のコミュニティ組織である自治会が実際は担当しております。自治会長が,さっき言いましたように,自らの選択において,自治会費を上げるという選択肢をとるか,自分たちが地域の中で生業を立てておる事業所に行って,そこに地域に協力してくれというふうな趣旨説明をするか。いずれの選択をするかというときに,後者をとった。そして,そのことによって,自分たちが集めてきたお金を各部会の人間が,自治会の役員の前でプレゼンテーションをして,自分たちの予算分配合戦をしています。その上で,1年間活動をやった成果を報告して,それを「まちづくり新聞」という,お手元にも新聞を配らせていただいておるんですが,多分,3枚のうちの一つが,一番後ろかな,この一番後ろのページなんですけれども,こういった活動に今年1年使いましたという紹介をすることによって,また,この新聞を広く全住民に提供することによって,1年間こんな活動をしたということを浄財を寄附していただいた方にもPRをして,それをまた,次の年にも回していくような,次にお願いをしに行ったときにも,割と同じような額が,少しずつは増えてきておるみたいなんですが,毎年,確保できるような仕組みは作っています。

【生重委員】  町内会費を値上げしない代わりに,こっちに,まちの活性化のための別予算としての基金という形で,コミュニティファンドのような形で,住民が参画してくるお金も一部払うみたいなところを立ち上げたということなんですか。

【関委員】  そうですね。

【生重委員】  それに社会教育主事を今後どう絡ませれば,より良くなる……。

【関委員】  当然,そういう人材を,我々,先ほど言いましたような社会教育主事が公民館にも今生まれておりますので,その横のつながりの場をきちんと作って,今,全部で30人ぐらいの社会教育主事の有資格者ができましたので,そのネットワークをまた地域につなげていくような新しい仕組み作りをやっていかなければいけないと今は思っておる段階かなと感じます。

【生重委員】  ありがとうございます。

【浅井座長】  よろしいですか。ありがとうございます。非常に興味深い事例でもありましたので,ヒントはいろいろありますので,質疑を越えて中味にもかなり関わってきているのではないかと思います。
 そこで,次の議事の(2)の今後の社会教育推進体制の在り方に入らせていただきまして,議論を進めたいと思いますが,ここでは2点,論点がございまして,1点は,社会教育主事の在り方の前回の続きになりますし,もう1点は,まさに教育委員会制度の問題があるのですけれども,まず,事務局から,論点ということで整理していただきましたものを御説明いただけますでしょうか。

【新木企画官】  資料3を御覧いただきたいと思います。前回,第1回ということでしたけれども,皆さんから非常にかっ達な御意見を頂きまして,非常に様々な御意見を頂いておりますので,それを幾つかの論点に分けて整理したものとなっております。
 まず,論点1ということで,社会教育主事の在り方についてでございますけれども,まず,役割・位置付けという観点で,一つ目の○,社会教育主事の役割・位置付けの捉え方が地域ごとにまちまちであるということで,そのことが必要性に対する認識を低下させている,あるいは設置率の低下を招いているといったような御意見を頂いています。
 その下の○ですけれども,社会教育主事,指導主事と比べて,指導する対象が非常に見えづらい。どういった立場で,どのような能力が一番強みなのか,あるいは,その能力をどのように育成するかということについて徹底的に考える必要があるといったような御意見。
 あるいは,その二つ下ですけれども,社会教育主事1人の力に限界があると。他方で,地域で様々な人材が育ってきてますので,そういった地域人材の意欲を高めるという観点で,人材間のネットワークを広域的に結んでいくというようなことが重要であるといったような御意見を頂いています。
 それから,主事の資質・能力ということについてですけれども,三つ目の○ですが,様々な能力が必要であるということが言われているんですけれども,他方で,具体的な養成方法については確立されてないということで,特にファシリテーション能力の育成について徹底的にやるべきであるといったような御意見ですとか,その下の○,学んだことを実際に事業の展開に生かしていくというようなことが求められるといったような意見。さらに,その下ですけれども,これも様々な能力について,一定の知識・技能のパッケージとして資格,専門性とすることを検討すべきであるといったような御意見を頂いています。
 2ページ目ですけれども,養成・研修について。1か月という養成,主事講習の期間がございますけれども,非常に長期間になりますので,なかなか送りづらいということで,実際送られてくる方というのが若い方が多いんですが,講習を修了しても能力が十分に形成されていなくて発令しづらいといったような意見がありました。
 それから,育成については,やはり現場と座学との往還を具体化していくといったようなことが必要であるといったこと。あるいは,現在の社会教育主事講習の時間数では不十分であるといったような御意見がございました。
 それから,配置についてですけれども,社会教育主事の数については,地域において差があるんではないかといったような御意見がございました。これについては後ほど,資料を用意しておりますので,簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 それから,任用資格以降,二つ目から五つ目までについては,任用資格については必要だけれども,教育委員会に置かなきゃいけないのかといったような観点での意見,あるいは学校との連携で教育委員会に置かなきゃいけないといったような御意見等々ございました。
 その次のキャリアパスですけれども,有資格者というのが非常に多いので,こういった有資格者を活用する制度があるといいのではないかといったような意見。あるいは,派遣社会教育主事として派遣された教員というのが,学校に戻るとネットワークを生かせてないということで,放課後の学びの場を用意するのが社会教育の役割であるということを明確化してネットワークを構築していくことが必要ではないかといったような意見がございました。
 四つ目の○ですけれども,社会教育主事というのは任用資格ですので,社会教育主事でなくなってしまうと,その資格が活用されなくなるということで,任用資格を独立した資格として,能力を証明することに使えないかと。これによって,その能力が,まちづくりを含めた,いろんな行政分野あるいは民間の活動に活用できるといったような意見がございました。
 3ページ目,教育委員会と首長との関係の在り方ですけれども,一つ目の○,地方自治法において,現在でも委任や補助執行で社会教育行政について移管している自治体が多いんですけれども,平成19年に地教行法が改正されまして,文化・スポーツが条例によって委任できるということになりましたので,それと同じように,自治体の判断で移管できるようにした方が現場はやりやすいのではないかといったような意見がございました。
 他方で,その下の○ですけれども,成人教育あるいは高齢者教育においても,やはり政治的中立性,継続性・安定性の観点からチェック機能は必要ではないかといったような意見がございました。
 その他ですけれども,一つ目の○で,社会教育主事の在り方を考える上で,日本において望ましい地域の姿をまず描いて,その実現に必要な人材,あるいは制度を議論した上で,どういった人材を確保するか,その任用資格,養成方法を考えるということが議論を進めていく上で必要ではないかといったような意見ですとか,その下の○,学びを通じて市民性を高める必要がある,それこそが社会教育の役割であるといったような意見等々がありました。
 以上です。

【浅井座長】  ありがとうございます。
 それでは,一つ目の論点でございます今後の社会教育主事の在り方についてということで,先ほど,いろいろ御発表を頂いたりもしておりますので,御意見をお伺いできればと思います。いかがでしょうか。
 先ほどのお話に関わることでも結構ですし,違う観点でも結構です。

【竹原委員】  先ほどの2例のお話を聞いて,とても興味深かったのですが,現役世代が社会参加をする中に,市民として,市役所職員だった方も入られているということがあります。グラウンドワーク三島など,様々なところで二足のわらじを履いた人,つまり両方の局面を持っている人がまちづくりの核になっていることあると思います。もしかしたら多くの人が担い手になるためのヒントがその中にあると思います。
また社会教育主事が何をするかというと,従来どおりのままでいいのかというと,全くそうではなくて,市民社会を作っていくときのコーディネーターのコーディネーター,ネットワークを作る人のつなぎ手の更につなぎ手でもあるという言い方をされていたんですが,時代とともに変わっていく機能があるんだろうなと思って聞いております。
指導,助言という時代ではもちろんないので,何を学び,どういう資質が必要とされ,その後も学び続ける姿とは,と議論する必要があります。

【浅井座長】  ありがとうございます。

【清國委員】  関連すると思うのですが,先ほど,関委員の御報告の中に,地域人材はどこで育つのかといったときに,PTAという言葉が象徴的に出ていたと思うのです。PTAに限らず,社会教育関係団体とか,NPOも含めてのことですが,実際にはそういう現場で人材は育っているのだと思います。とするならば,社会教育主事が直接的に人材を育成するということではないということがわかります。PTAなり子供会の育成会なり,そういった人が育っていく場となるようなところを,いかに持続可能な形で人材育成の場となるよう整備していくかということが重要になります。現在はPTAも任意加入を主張する人がいるなどの難しい局面を迎えていると聞いていますが,そういう中で人が育つ機能を維持し,いかにそういう団体を育てていくかということが,社会教育主事のとても重要な仕事だということを改めて感じているところです。
 ところで,社会教育主事をどこに置くか,教育行政か一般行政かという問題が出されたと思います。そうしたときに,公民館であれば信頼が寄せられるとか,地域住民のシンパシーを感じさせることを考えると,教育だから力を貸そうといったことも大きいのではないかと思います。教育行政だから全体を巻き込んでいけるというか。例えば,生涯学習行政が総合行政だというのですが,一般部局の目的のはっきりとした,縦割りの政策じゃなくて,教育だから全体を関連づけて見通して,どことどこをつなげたらよいのか,という発想が大切だと思うのです。「シンパシー」などという情緒的な言葉を使うのは余り適切ではないのかもしれませんが,そういう部分が日本人の精神性の中にあるとするならば,そこが社会教育主事なりコーディネーターの位置付けを考える際に無視できないことではないでしょうか。教育行政の役割という中に,一つそのような積極的な意味を見いだしていってもいいんではないかと感じました。

【浅井座長】  それについては,泉川の事例では子供を対象にした事業が多いですよね。大人を対象にすることでも,その辺は大丈夫ですよね。

【清國委員】  大人でも十分大丈夫だと思います。まちづくりと教育は当事者性が発揮しやすい領域だと思います。それが,例えば,地域振興になってしまうと,関係者が限定されて局部的な関心や取組になってしまいます。私の利益に沿わなければ他人事になってしまうのです。例えば,環境とか経済とかというような言葉では人は寄ってこないけれど,そこに教育という言葉を付ければ協力くださる人が出てきます。教育はみんなの問題だからです。

【浅井座長】  そうなんですよね。そのようなところへ持っていくことができればと思うのですが。

【井出委員】  私,ちょっとほかのことを言おうと思っていたんですけれども,清國さんのお話を伺っていて,そっちを先に言います。私は,前にも言いましたけど,「学校づくりはまちづくり,いいまちはいい学校を育てる」というのを,ずっと教育委員会のキャッチフレーズにしているんです。なぜ,いいまちはいい学校を育てるかというと,いいまちというのはコミュニティのこと,学校というのは教育の総称で,別に学校って建物のことを言っているんじゃないんですけれども,人間関係,社会資本の豊かなところには,いい子育て,いい教育,あるいは地域コミュニティの豊かさというのが具体的に出てくる。そこでそこに関わってきている人たちの次の矢印をまちづくりに向けていく。これは行ったり来たりの関係です。杉並区の社会教育委員の会の前の答申のときに,「やりとりの復活」というテーマで答申を頂いたんですね。
 やりとりというのは,まさに人間関係ですから,そのやりとりをする対象の中に,子供とか教育とか,あるいは老後のこととかという非常に生々しいけれども,みんな,一度どこかでひっかかってきたネタです。老後のことは,年寄りをいじめるなんて,おまえたちも行く末は年寄りになるんだぞという例の教えと同じように,生きていく上で避けることができないけれども,考えようによっては非常に優しく関わることができる。そういうふうに考えると,まちづくりのネタに,子育てとか教育,老後とか介護というのを入れていくと,非常に当事者意識を持って関わりやすい。それで,学校づくりはまちづくりにつながるんですよということを,ずっとこの間言ってきて,区長部局の新しい10か年の基本計画を作るときに,やっと持ち込んだのが,支え合うという考え方ですね。共に作るという。これを10年計画の基本に置いたんです。本当は区の行政の基本計画から教育の方に引っ張ってくるのが順番なんですけれども,体裁はそうなっているんですけれども,実は,私たちがこの間,作ってきた教育ビジョンの骨格にある,「共に学び,共に支え,共に創る」という理念を区の10年の基本計画の中に持ち込んで,共に作る,共に支えるというのが行政の計画としても表現されるようになった。だから,今,清國委員のお話を伺っていて,そのとおりなんだな。
 ただ,問題は,先ほど御指摘のように,確かに,いずれ年寄りにはなるけれども,今の興味,関心は子供のこと。確かに,昔,子供ではあったけれども,今の関心は自分の老後のことというふうに,そういう区別は必ず出てくるけれども,接点として用意する題材としては非常に分かりやすくて取っ付きやすい,そんなふうに思って伺っていました。

【浅井座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

【菊川座長代理】  この間開かれました生涯学習分科会で,『生涯学習政策研究』という御本を配っていただきました。第6期の生涯学習分科会の議論の整理に当たってということで,関係された方,あるいは,それ以外の方がシャープに論評をまとめてありまして,今野先生の原稿も読ませていただいたところです。最後に,前の文部科学省社会教育課長の伊藤さんが,社会教育主事についての論点をまとめていらして,なるほどと思って読ませていただきました。
 3点指摘がありまして,社会教育主事資格の汎用化の可能性があるのではないか,社会教育主事講習の能力獲得を何らかの形で公的に認証し,その修了者に様々な場面で活躍してもらう,一種の資格試験にするという方策が考えられるということですとか,2点目に,カリキュラムを多様化しないといけないのではないかということ。一方で,もっと詳しくという流れと,一方で,詳しければ,そういう講習には出られないよという層があって,多様化しないといけないのではないかというカリキュラムの多様化の問題があるということです。
 3点目に,社会教育主事の配置の問題ということを書いてあります。加えまして私個人としては民間からの登用という観点があるのではないかと思います。ネットワーク行政というのが,ここ10年以上にわたって言われているわけですけれども,平成10年のときのネットワーク行政と今のネットワーク行政というのは,違うんじゃないかと思います。平成10年のときは,ネットワークに対し,現在は,行政間をつなぐというよりは,また上からつなぐというよりは,いろんな活動を下から支えていくという立場のネットワーク行政ではないか。もしそうであるならば,社会教育主事を,行政とか教員からだけではなくて,たくさんの社会教育主事の資格を持っている人をベースにしながら,その中から途中採用していくとか選んでいくとか,そして,一番そのまちにふさわしい,例えば,まちづくりが必要なところはまちづくり,学校との連携が必要なところはそういう人というのを選んでいくという,その選んでいくベースの中に民間からの登用というのも,進めていっていいのではないかと思ったところです。

【浅井座長】  ありがとうございます。どうぞ。

【井上委員】  今の関委員の事例をお聞きして,社会教育主事と議論したときのことを思い出したのですけれども,社教行政,何が一番の目的かというのを突き詰めていくと,結局,組織化支援だろうというところに落ちついたのですね。関委員の事例も,組織作りというところに事業のゴールがあるように見受けられました。その組織化支援のために社会教育主事はどういう役割を果たしていくべきかということを考えた場合に,そのためにコミュニケーション能力であったりとかファシリテーション能力,それはあるのですけれども,それより,先ほど,清國委員からあったように,他の部局との関係を考えた場合に,やはり社会教育主事は計画策定をきちんと行っていくことが重要だと思うのです。それは,この中にも,その要素が入っているのですけれども,地域の状況を的確に吸い上げて,何が必要か,何が足りないのか,そういうものを精査して,社教行政としてはこれを求めていくのですよという計画を立てる。社教行政の計画を立てれば,それが部局の計画の中に食い込んでいく形になりますので,社会教育行政の役割が明確になり,自分たちの足元がきちんとすることになります。なかなかこの計画策定の部分がここのところ,社会教育行政として弱かったのではないかと思うのです。その結果,社教行政は一体何をやっているんだ,よく分からないというところにつながってきたと思うのですけれども,計画を立てる中で,文科省の中間まとめでも書いてありましたけれども,社教行政は社会関係資本をどんどん増やしていくことを目標として計画的に取り組んでいくことが必要だと思います。それが計画なしに行き当たりばったりで目先の事業に追われている状況になっていた場合には,社教行政がどれだけ何を蓄積していくのか,何を地域として根づかせていくのかというところが不明瞭になってしまっていたのではないかと思います。そのような意味からもやはり社会教育主事の役割の本当にコアのところは計画作りだと思うのですね。それができていれば,実践者の活動のよりよい支援にもつながっていきます。社会教育主事は,ファシリテートすることが目的じゃなくて,ファシリテートできる人間を育てていく。指導者としての,メタの人間を育てていくというところが社会教育主事なので,それをちょっと取り違えて,現場でファシリテートすることが社会教育主事の主な役割だと取り違えられていたところがあったと思うのです。やはり計画作りをコアとして,それで指導者をどう作って,メタな人間をどう育てて,社会関係資本をどう蓄積していくかという計画を立てていくというところが,社会教育主事の本当のコアなところだったのではないかと思います。
 以上です。

【浅井座長】  ありがとうございます。
 次の論点に入らなければならないのですが,社会教育主事のことでお願いしたいのは,ある方がいわれたのですが今までのように,イワシの頭を拝むみたいな形での社会教育主事が大事だとかいいましても,またそういう社会教育主事を前提に養成の仕方を考えても,もう通用する時代ではないと思います。ですから,具体的にどういうスキルを身につける必要があるのかということを,そこをきちんと押さえていかねばなければならないと思います。例えば,ソーシャルキャピタルの関係でしたらそれをどれだけ増やすことができるかとか,これはちゃんと把握できると思います。目に見える形で示すことができるようにする。そのために社会教育主事はどういう技術を身につけるのかという,そのようなことを押さえていただくということを是非お願いしたいと思います。それだけは申し上げて,次にいきたいと思います。
 次も重要なのですけれども,時間が余りなくて……。すみません,私のやり方が悪くて。論点の2ですが,教育委員会と首長の関係の在り方についてということで,もう随分お話は出ておりますが,改めて,そのことについて御意見をお伺いしたいのですけれども,事務局から,まず資料を説明していただけますでしょうか。明石分科会長から,教育制度分科会において開始された教育委員会制度見直しについての議論を踏まえてほしいというお話もございましたので,そのあたりのことで説明をお願いいたします。

【新木企画官】  参考資料1,2-1,2-2を御覧いただければと思います。御承知のとおり,4月25日に開催されました中央教育審議会総会におきまして文科大臣から諮問をされました。内容につきましては,参考資料1の3ページを御覧いただければと思いますけれども,具体的な諮問事項としては3点ございまして,1点目が,教育委員会制度の在り方ということで,政治的中立性,継続性・安定性を確保するために教育委員会がどのような権限を持って,責任を負うべきかといったようなことについての具体的な制度設計等々について検討を頂きたいというのが1点目。2点目としては,教育行政における国,都道府県,市町村の役割分担と,各々の関係の在り方についてということ。3点目として,学校と教育行政,保護者・地域住民との関係ということで,3点について諮問がされたところです。
 これを受けまして,5月20日に教育制度分科会が開催されまして,参考資料2-1,参考資料2-2に基づきまして,現行の教育委員会制度等について事務局から説明の後,自由討議が行われました。教育制度分科会の方,教育委員会制度全般についての在り方について検討するということになっているんですけれども,具体の検討の中味については,どうしても学校教育の方が中心となるということもありまして,教育委員会制度,学校教育と社会教育という重要な2つがございますので,そのうちの社会教育につきましては,生涯学習分科会の方で議論いただくと。その中でこのワーキングの方で特に議論いただくということになっております。
 教育制度分科会の方は,20日に1回目が開催されまして,6月以降,月2回程度開催するということで,秋頃に中間まとめ,更に年内に答申をすると。最終的には,教育委員会制度全般の見直しということで,次期通常国会に法律改正案を提出するということになっております。第1回のこのワーキンググループを開催した際のスケジュールでも申し上げましたけれども,こちらのワーキンググループにつきましても,基本的には教育制度分科会と並行して議論していくことになりますので,8月ぐらいに,こちらのワーキングの方向性をまとめるということで議論を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。

【浅井座長】  ありがとうございました。今の御説明も踏まえまして,教育委員会と首長の関係についてということで,御意見を頂ければと思います。

【坪田社会教育課長】  一つ補足していいですか。本当は分科会長が言うべきことなんですけれども,参考資料2-1の4ページを開いていただければ。「制度改革後のイメージ」という図が付いていて,新聞報道でも,実行会議の報告が出た後は,これを引用して,この図を載せたので,あたかも,ああ,もう教育委員会は審議会になるんだと。で,首長の下に,教育長という名前ですけれども,教育部長みたいなものですね。ほかの産業労働部長とか総務部長の並びになるんだという理解が一般的になったんですが,ただ,先日の教育制度分科会を開けてみると,それは実行会議の方向性であって,中教審で改めてそういうことを詰めるということで,それは必ずしも結論ではないと。

【浅井座長】  そうなんですか。

【坪田社会教育課長】  ええ。ということになっているので,このイメージ図を見ながら議論していいのか,それとも,今の教育委員会制度が続くという前提で議論するのかで,全然話が,どっちにいくということにつながってくる。もうなくなってしまって,首長の下に付いてしまうんだな,どっちがいいという議論ではなくて,首長の部局に入っちゃうけれども,どうやって担保していくか,図書の選定なり政治的中立性なりのために仕掛けをどう作るのかという,次へいく議論になるんですけれども,まだそれが分からないところがあるので,場合分けをした議論をしないとということが必要かなと思っています。

【浅井座長】  分かりました。

【坪田社会教育課長】  逆に混乱させて,すみません。

【浅井座長】  本当に分からないので,どう考えるかが一番難しいのですが,ですから,いかようにでもなるよう,柔軟にしておかなければならないのですよ,こちらも。

【坪田社会教育課長】  そうですね。並行して走るというので,向こうの様子も見ながら走っていかなきゃならない。

【浅井座長】  どのようになるかで,全然発想が違うのですけれども。でも,ここはとにかく自由に御議論いただいて結構です。いかがでしょうか。

【糸賀委員】  私,さっきの新居浜の事例,面白かったんですけれども,1点確認なんですが,さっきのまちづくり協議会ですけれども,この後の議論とも重なるので確認したいんですが,まちづくり協議会を所管しているのは市の教育委員会なんでしょうか。

【関委員】  基本的には,どこが所管というものはないです。あくまでも,まちづくり協議会というもののベースは,そこに暮らす住民でございますから,それを役所の部局が所管しているという感覚は,我々,持っておりません。

【糸賀委員】  分かりました。ありがとうございます。そうしますと,結局は,まちづくり,あるいは福祉,商工労働とか産業振興というところに関わって地域の活性化を図っていくということが,今,地域の人材に求められる。そのうち,自治体側が用意する人材としてどういうものがあり,地域の中に自主的に生まれてくるような主体性を持って登場してくるような地域人材,それを社会関係資本,ソーシャルキャピタルと考えることもできるんですが,それをどういう制度設計をしたら生まれやすくなるのかと考えればいいんだろうと思うんですね。
 そう考えたときに,私は,今の新居浜の例で,社会教育主事が何をやっているのかが見えてこないというのが大変つらいんですよね,その中で。その人たち,いなくても,そういうのが育つんだったら,極端なことを言えば,なくてもいいんじゃないかとも言えちゃうんですよね。今,この場ではいいですか。

【浅井座長】  いいです。でも,他の方も御発言いただきたいので,簡潔にお願いします。

【糸賀委員】  分かりました。だから,こちらから首長部局に働き掛けるときの戦略的には,子供とか教育なんですよ。これは向こうに訴えるというのは分かっているんですよ。一方,首長部局から,こういう人たちをやってほしいといったときには,やっぱりまちづくりで,お年寄りで社会福祉で産業振興だというふうに教育委員会に持ってきた方が,教育委員会も,そっちないですから,そういう材料は。逆に,首長部局にないのは,今言ったように子供とか教育なんですよ。だから,それはそれぞれ戦略的に,そういうところで持ち寄れば,向こうも手を組みやすいというか,さっきのネットワーク型行政は多分やりやすくはなるんですよ。でも,制度設計として,これだけ広いあれを持ったときに,そして,現状では,さっきも再三指摘があるように,社会教育主事の発令が増えないんですよね。ということは,やっぱり私は,制度を見直すというところと,あとは社会教育主事の資質をどう育てるか,その二つしかないと思うんですよ。だから,私はそれは両方やらなくちゃ駄目だろうと。制度設計を見直して,同時に社会教育主事の育て方,さっきのキャリアデザインですよね。それはもう完全に見直して,仕事を持ち,民間で会社勤めした人でも,場合によっては社会教育主事の道が開けるというような制度設計に変えていって,そういうふうな人材を育てていくほかないと思います。今日のところは,そこまでにしておきます。

【浅井座長】  ありがとうございます。簡潔にお願いします。

【生重委員】  短く言います。極端な話,私,こっちの方の委員もやっているんですけれども,5月20日,お休みしちゃって全く状況が分かってないので,ここのところには触れません。ただ,例外なく言えるのは,教育委員をやっている人も社会教育委員をやっている人も,いい人が入っている場合が多いんですけど,何だろう,この人,誰だろう,この人という人たちがやっていて,何をやっているのか分からないというのが,今の全県における,市町村における現状なんです。
 関さんの例が良かったのは,ボトムアップしていく地域住民の意欲とかその気というのが,まず現場に入って,自分たちもそれを体感なさった,資格保持者が。内田先生がやっている養成段階で,1年,2年,3年でフィールドワークに出していき,自分自身が企画するというところにいける育ち方をしている育て方をするというのも,これから絶対必要で,今,全部がそうとは言いませんけれども,社会教育主事が1校受けたら,それしかできないという1県1校主義みたいな,僕は放課後やっているから学校支援本部はできませんというような,そういう守りの社会教育主事は要らないんですよ。もっとフィールドに出ていって,自分がまちを作り,人をつなぐという意識が持てる人に社会教育主事になってもらいたい。そのためには,もっともっと考え,さっき井上さんがおっしゃったように,企画立案もでき,なおかつ,それを回していける能力というものや,誰がやっていくのかという担い手を見抜く力を持っている。そのためには,経験値を上げていくしかないですよね。だから,学びの観点で両方やらなきゃいけないんですよ。企画立案ができ,それから,自分のまちはどうなんだというフィールドをマーケティングする能力があり,人の話を聞け,なおかつ自分自身がアクティブに動くという,その能力全てを身に付けて1校しかやりませんという人じゃない人が雇用されていくという,そういう養成をお願いしたいなと。すみません,過激なことを言って。

【浅井座長】  ありがとうございます。

【井出委員】  その続きが問題なんですよ。社会教育主事というのはラインを持ってないんです,制度上,組織上。だから,仕事が単発になるんです。特任特命でやることが多い。だから,今後,社会教育主事の仕事を発展,継続させていくというときに,首長部局に置くか,教育委員会に置くか,それは今後考えればいいとして,要は,組織の中にどう位置付けるか。つまり,ラインを持った管理職になれるかどうかということも考えていかないと,有能な人を幾ら育成して採用しても,それは単発主義になっちゃう。これは今,切実な問題です。

【浅井座長】  ありがとうございます。
 松田委員,お願いします。

【松田委員】  最初の内田先生の報告の中で,養成ということで,実習ということを組み込まれようとされていますね。理論と実践の往還というようなことを,よく言われるわけですけれども,今の話とちょっと絡むんですけれども,社会教育実習なのか社会教育主事実習なのかという区別が,やっぱり曖昧な気がするんですね。ロールモデルみたいなものが実習の中で学習されるという関係になってこないと,専門性を伴った育成って難しいと思うんです。ところが,その前提になる社会教育実習というのが,これはやっぱり必要なものになっているから,そのあたりの系統化みたいなものが多分課題であるんだろうというのが一つです。
 もう一つは,今の社会教育主事の専門性といいますか,何かないものを外から持ってくるという形にならないと,専門性ってなかなかオーソライズされていかないと思うんですけれども,そのときに,例えば,これだけ情報化とかグローバル化というような問題があるときに,地域の在り方とか,まちづくりといった,そのイメージ自体が実は非常に古いイメージのような気がするんですね。ですから,先進事例といいながら,実は本当にそれでまちづくりは成功しているのかみたいな評価観があって,そういう中で,もっと新しいまちづくりを,あるいは新しい地域づくりを提言できるというところに,もう少し目線を合わせた方がいいんじゃないかなという気が少しします。
 最後に,主体者の形成というところが教育のポイントだと思いますので,その区別が鍵になるというお話は本当にそうだなと思うんですが,地域の方側からの目線で考えたときに,学習というのは,基本的に狙いが持たれて初めて学習になりますよね。ただ活動しているというんじゃなくて,その活動に狙いを持って取り組むことが変化を促すきっかけになりますから。そうすると,個人のレベルでも地域のレベルでも,活動において狙いを形成していくとか,狙いのコンセンサスを図っていく能力というのは,恐らくそれが人をつなぐということで言われている一つの要素になっている気がするんです。ですから,そこの部分において,もう一度元に戻ると,養成のプログラムとして,その辺も併せて整理していかないといけないんだなと。

【浅井座長】  ありがとうございます。今野委員がおっしゃったことで,新しい資格って,すごく気になっているのですが。どのようなものかをまだ伺ってないんですけれども,教育委員会と首長部局との関係では,どちらでも可能なものをお考えなのでしょうか。それとも,やっぱり教育に関わる資格でしょうか。

【今野委員】  趣旨は,独立した資格化にすると,職と関係なく,いろんな人が活用できるでしょうと。それは教育委員会でも必要なものだし,まちづくりとか一般首長部局,あるいは民間でも,そういうものが非常に有効なんじゃないかと。だから,職の基礎資格として今なっていますけれども,それだとなかなか使い勝手が悪いと思いますのと,それから,もう一つ,議論が出ているように,今の教育指導的な側面が非常に強い内容から,今言われたような幅広いつなぐ,いろんな人たちと話し合いながらコンセンサスを作るような,そういうダイナミックな能力に少し衣替えをしていかなきゃいけないんじゃないかな,そんなふうには思っているんですけれども。

【浅井座長】  それは,文部科学省が中心になって作る資格なのですよね。しかも,かなり汎用性のあるものですよね。

【今野委員】  そうですよね。でも,基本には,人作りとか学びとかいうようなことがあるので,応用的には,いろんなものが含まれると思いますけれども。

【浅井座長】  ありがとうございます。よく分かりました。

【内田氏】  今の話で,実は,さっき,終わりのところでちょっとだけ述べたのですが,社養協という団体で,今,コミュニティ学習支援士というものを議論しています。これは,地域の人々の学習や活動に関わる職という新たな資格で,まさに汎用性のある資格です。これを,大学の今の主事課程に代えた一つの資格科目としてカリキュラムを作ろうと考えています。これは,行政に就職しようが民間に就職しようが社会教育主事になろうが,どこにでも対応できる。ただし,社会教育主事になるためには,更にプラスした教育の専門的な研修なり科目が必要だというような,そんな議論を今行っているところで,そういうのを提案していきたいなと思っていますので,今のこととは非常につながるのではないかなと思っていました。

【浅井座長】  ありがとうございました。
 まだまだ言い足りないところがあると思うのですけれども,十分時間がとれなくて,私のやり方が悪くて申し訳なく思っております。メモで結構ですので,御意見を事務局に是非お出しいただきたいと思います。
 菊川委員,座長代理ということで,ちょっと,今日のところについて最後に一言お願いいたします。

【菊川座長代理】  まとめる能力はないのですけれども,座長がおっしゃった,イワシの頭ではいけないというところは,ここにおられる,長年携わってこられた方の共通認識だろうと思います。だから,やっぱり具体的に証拠を出して,こういう業務をこういうレベルでということを提案していくのが,多分求められていると思います。
 そのときに,やはりこれについては,多分,平成の1桁の終わりぐらいから,ずっと長い議論がありまして,先ほどの資格の話が出ましたけれども,社会教育主事制度を汎用資格化するというときに,それをそのまま汎用資格化するという方法と,社会教育主事制度とは別に資格を作るという2通りのやり方があります。別に作るというのは,平成10年ぐらいから,幾つか提案をしてきているのですね。その辺も踏まえて,それから,制度というのは,できるだけ根付かないといけないので,シンプルにしないと機能化しないんじゃないかということも思います。何よりも,御苦労されている事務局としては,ここだけの議論で大きな制度設計は決まらないのではないかという思いもございます。文科省の事務局の方に御努力いただいて,ここまではというフレームをできるだけ御提示いただく。御提示いただいたフレームの中で,より現場に即した知恵をどう出したら本当に有効なものになるのかというのが,このワーキングに求められているとの感想を持ちました。

【浅井座長】  ありがとうございます。
 それでは,そろそろ時間にもなってきたんですけれども,今後のスケジュールについてということで事務局からお願いいたします。

【新木企画官】  資料4を御覧いただきたいと思います。「今後のスケジュールについて(予定)」という形になっておりますけれども,次回ですけれども,1週間後の6月11日10時から12時ということで,同じようにヒアリングをさせていただいて,議論という形を考えています。ヒアリングの対象ですけれども,2名の方からヒアリングを頂く予定で,1人目が福岡県宗像市の子供部というところになります。こちらの方は,機構改編によって,青少年教育,家庭教育,母子保健等を伴う子供部というのを創設しまして,25年4月から社会教育主事を併任発令して,社会教育主事の資格を持つ教員を配置しているということで,社会教育主事の活用等々を首長と一緒にやっていくという観点で,お話を頂くということを考えています。
 それから,今野委員にも同じようにお話を頂く予定で,今いろいろ議論がありました資格制度の話ですとか,首長への移管の話も含めてお話を頂きたいと考えています。
 それから,以降,第4回,第5回等々,第4回が7月5日,第5回が7月18日という形でセットしておりまして,そのほかに予備日という形で書いてございますけれども,こちらの方は,ヒアリング先と今,日程調整等々しておりますので,その調整がセットできれば予備日の方も入るという形になります。いずれにしても,こちらはセット次第,御連絡を差し上げたいと思います。

【浅井座長】  
 今日も活発な御意見を頂きまして,ありがとうございました。まだまだ御意見がおありかと思いますので,それは是非,事務局にお出しいただきたいと思います。事務局も1週間後までにまたまとめていただくので,いろいろ大変だと思いますけれども,よろしくお願いいたします。
 それでは,今日はありがとうございました。

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生涯学習政策局社会教育課