制度問題小委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成19年9月3日(月曜日) 10時~12時

2.場所

虎ノ門パストラルホテル新館 「ロゼ」(6階)

3.議題

  1. 平成20年度概算要求(生涯学習政策局)について
  2. 制度問題小委員会における検討状況について
  3. その他

4.出席者

委員

 山本委員長、菊川副委員長、明石委員、井上委員、糸賀委員、興梠委員、讃岐委員、鈴木委員、高橋(興)委員、高橋(守)委員、山重委員、米田委員

文部科学省

 加茂川生涯学習政策局長、関口大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、清木生涯学習総括官、関初等中等教育局視学官、川上生涯学習政策局政策課長、上月生涯学習推進課長、平林社会教育課長、湊屋男女共同参画学習課長、椿参事官、安間青少年課長、濱口民間教育事業振興室長、岩佐家庭教育支援室長、小林生涯学習推進課課長補佐

5.議事録

【山本委員長】
 全員おそろいということですので、定刻より二、三分早いですが、始めさせていただきたいと思います。
 きょうは9月に入ったばかりで、いろいろお忙しいことも出てくる時期かと思いますが、ご出席くださいまして、ありがとうございました。
 お手元の会議次第にございましたように、きょうは2つほど議事がございます。一つは、20年度の概算要求のことでございます。もう一つは、我々のほうの検討してきました制度問題小委員会における検討状況のことでございます。
 それでは、まず1の平成20年度の概算要求についての資料がございますので、時間をいただきまして、事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。
 では、川上政策課長、お願いいたします。

【川上生涯学習政策局政策課長】
 おはようございます。生涯学習政策局の概算要求は、きょうほとんど全部の課長が来ておりますので、ほんとうはそれぞれの課で主張するところがあるかと思いますけれども、時間の制約もありますので、まとめて私のほうからご説明いたします。
 資料1でございますが、今度の20年度の概算要求でございますけれども、教育基本法の改正がなされ、教育三法が成立するなど、今、教育改革は順調に進展しているわけでございますが、伊吹大臣の言葉を借りますと、制度をつくり、それを実行するための予算をとり、あとは現場の意識改革で、3本の柱があるわけでございます。
 言ってみれば、1本目については、まさに動き出したわけでございまして、そういう意味で、今2本目になる予算をとることは、今年度、20年度に向けてというのは非常に大切な節目の時期であるわけでございます。ということで、今度の予算要求は非常に重要な節目のタイミングであるということで、この秋、頑張って財政当局と調整をしていくつもりでございます。
 文部科学省全体といたしましては、現在、厳しい財政状況ということで、厳しいシーリングがかかってございますけれども、要望額20パーセントというのを裁量経費に対して要求が認められている上に、重点施策推進要望というものが今回、成長力の強化、教育再生、生活の安全・安心といった内容で4.5パーセントの積み増しが認められておりますので、そういう要求・要望枠全体を丸々使って予算要求をしてございます。
 また、教育関係につきましては、教員定数の改善、国立大学法人の運営費交付金及び私学の助成金について、新しい状況を踏まえた増額要求というものが中心になるわけでございます。全体として非常に大きな増額要求になってございます。
 本日お配りしております資料1は、その中で生涯学習政策局に関するものをお持ちして、きょうはこれをご説明させていただきたいと思うわけでございますが、生涯学習政策局としては、教育基本法の改正がなりまして、家庭教育が条文に位置づけられたこと、それから地域、家庭、学校の連携が13条に位置づけられたこと、この2つが最大の焦点になった予算要求になってございます。
 1枚開いていただいて、目次がございますけれども、「家庭教育力の向上」「地域の教育力の再生」「放課後子どもプランの推進」、この3つが強調されているものでございます。とはいうものの、社会教育、生涯学習全体も底上げをやっていこうということで、ページのついている1ページ、2ページは総評でございますが、2ページ目の一番最後のトータルのところをごらんいただきますと、前年度19年度に対して62パーセント増という概算要求になっているわけでございます。
 強調しております新規の事業として、「家庭の教育力の向上」のところで、3ページ目から始まりますが、家庭の教育力向上に向けた総合的施策の推進を図っていこうということで、これまでやっておりました家庭教育に関する支援策、14億円に対して25億円の概算要求を行うということをしてございます。特に、その中で新規といたしまして、地域における家庭教育支援基盤形成事業、家庭教育支援指導者養成標準カリキュラム開発事業、この2点を新たに要求をしているところでございます。
 4ページ目に、新規の事業を中心に、かいつまんで概要を記しているポンチ絵があるわけでございますが、これまで家庭教育の支援のために子育てサポーターの養成などを進めてきたわけでございますけれども、今度20年度モデル事業600カ所におきまして、家庭教育支援チームをつくりまして、子育てサポーターリーダーを育成し、それを配置するとともに、子育てサポーター、民生委員など、いわゆる地域で子供とかかわっているさまざまな人たちを糾合しまして、チームとして活動していくことを考えてございます。
 特に、「様々な状況の子育て中の親への支援」と書いてあるとおり、通常、学校ないし、こういう支援チームなどをつくったときに、かかわってくる一般的な家庭のみならず、左側にありますように仕事などで学習機会に参加できない、いわゆる共働きの家庭、それから右側にありますように家庭教育へ子育てに無関心、あるいは地域とのかかわりがなくて孤立化しているような親、こういった親たちへも支援の手を差し伸べていくということで、いろいろな手段を工夫いたしまして、例えば企業や団体等へ出向いての家庭教育講座を実施するとか、保健師、民生委員等の訪問に合わせて、訪問をできる限りやる。ITを活用して情報を提供していくという、きめ細かな多様な方法をとって支援していくことを考えていきたいと思ってございます。
 モデル事業、当初20年度は600カ所ぐらいを考えているわけでございますが、最終的には小学校区全体、すべてのところでこれが実施できるように広げていくことを考えていきたいと思ってございます。
 5ページでございますが、2の(1)「学校支援地域本部事業」というものでございます。「1.要求の要旨」のところに青少年の凶悪犯罪、いじめ、不登校など、青少年をめぐる様々な問題が発生している背景として、地域における教育力の低下があるという指摘がされていることを前提に置きまして、一方、学校教育がそういういじめの問題だとか多様な問題に教員がとらわれるということで、教育活動以外の業務に教員がスポイルされていくことが問題となっているという、この背景、そして問題点を踏まえまして、地域から学校をサポートしていくことによって、教員が子供一人一人に接する時間を増やしていくことをやっていこうということで、学校支援地域本部を設立していくことを考えていきたいと思ってございます。
 そのための要求として200億円を20年度の概算要求とし、全中学校区の4分の1になりますが、2,500億円で地域本部を設立し、最終的には全中学校区1万校区に展開していくことを計画していきたいと思ってございます。
 この地域本部事業の概要が6ページのポンチ絵になってございますが、今申し上げましたようなところで、1万校区までというところがございますが、下のほうに大体どんな支援をしていくかということでございますけれども、学習支援、部活動、登下校の安全確保、合同行事など、多様な支援になるわけでございます。
 その次に、7ページに「地域ボランティア活動支援センターの在り方に関する特別調査研究」を、新規で2億6,000万円で概算要求してございます。地域ボランティア活動の拡大をするために、地域においてボランティア活動支援センターをつくっていくということで、その在り方に関する調査研究を実施していくということを考えていきたいと思ってございます。
 9ページ目に、(3)「『学びあい、支えあい』地域活性化推進事業」、19年度6億円のところを11億円への増額要求をしてございます。既に行われているものでございますけれども、住民同士が学びあい、支えあう、この地域のきずなづくりを推進するということで、20年度、小規模1,800カ所、大規模64カ所ということで、多様な試みを支援していきたいと思ってございます。
 10ページ目に、真ん中の「事業の実施」という箱の中で、事業例としていろいろな活動、こういったものを拾っていきたいということで記載されているところでございます。
 11ページ目に、「放課後子どもプランの推進」という項目を書いてございます。もうご案内のとおり、厚生労働省がやっております放課後児童クラブ事業と文部科学省でやってまいりました放課後子ども教室推進事業、これを一体的、あるいは連携した形として総合的に実施していくということで、19年度から進めているわけでございますが、19年度1万カ所に対して、20年度は1万5,000カ所で拡大していくことを目標に事業を進めていくことにしてございます。
 大体、新規で目玉としておりますのは、今申し上げましたようなことでございますが、もう一回、1ページ目に戻っていただきますと、例えば「子どもの生活リズム向上プロジェクト」でありますとか、「NPOを核とした生涯学習活性化プロジェクト等」、それから「生涯を通じた学習機会の拡大」として、専修学校を初めとして生涯学習の機会を設けていくこと、2ページ目の最後、「生涯学習政策局所轄・所管機関」の事業を適切に展開していくことなど、すべてあわせて、先ほど申し上げましたように62パーセントの増という概算要求になっている次第でございます。
 以上でございます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。それでは、これについて何かご質問でもあれば、いただいておきたいと思います。ごらんになってみて、どうでしょうか。

【高橋(守)委員】
 それでは1点だけ、現状でのお考えをお聞かせいただければと思います。
 学校支援地域本部事業と放課後子ども教室推進事業は、重なるようにも見えるし、全然違うところをねらっているようにも感じられるのですが、その辺の整合性についてはどうでございましょうか。

【上月生涯学習推進課長】
 確かに、地域から学校の場というところに行っていろいろなサポートをするという意味では似通ってみえるのですが、学校支援地域本部のほうは、中身として学校教育活動を支援する。つまり、ポンチ絵にありますけれども、総合的な学習の活動であるとか、部活動であるとか、まさしく教員とか校長が責任を持っている範囲内について地域の人がいろいろ支援していくという趣旨のものでございます。
 一方、放課後プランのほうは、学校教育ではなくて、学校が終わった後に子供たちの居場所を確保して、それは学校内の場合もありますし、場合によっては学校外の場合もありますけど、そういう安全な居場所を確保した上でさまざまな活動をしていきましょうというもので、趣旨、目的は違うものでございます。場所は時々似た感じがしますので、ちょっと似て見えますが、趣旨、目的は違うとご理解いただければと思います。

【山本委員長】
 ほかにはいかがでしょうか。

【山重委員】
 今の点、大変興味深くお伺いしたんですけれども、学校というのが、ある意味で地域の連携をつなぐ核になる視点というのは、今後ますます大事になってくると思うんです。そういう意味では、おっしゃられることはよくわかるのですが、その一方で学校で責任を持つ時間と、そうではない時間と、制度上、設けることは構わないのですけれども、意識的にあまり分けないで、これからの教育政策を進めていったほうがいいのかなと、私個人的には思っているのです。そういう意味では、2つの事業を全く別のものとするよりは、むしろ関連があるわけですから、それはある程度、一体的に事業が行われることも視野に入れられて、いろいろな制度の設計をしていただいたほうがいいという側面もあるのかと思っているのです。
 例えば私の娘が小学校に行っているんですけども、放課後にPTAがあるのですが、そのときに、PTAでお父さん、お母さんが学校に来られるわけですから、子供の居場所が逆にないということで、ぜひPTAのほうとしては、子供の居場所を、学校の中に設けてほしいと要求したのですけども、校長先生は、放課後で私の管理下以外のところなので、そういうことはできないということをおっしゃられて、それはちょっと違うのではないかという意識を持ったことがあるのです。
 そういう意味では、学校というのは放課後もある程度機能してもらう場所として今後進めていっていただかないと、なかなか地域、家庭、学校の連携は進まないような気がします。個人的な思いも入って申しわけありませんけれども、やっぱりトータルに政策を考えていっていただければいいなと、個人的な要望として出させていただきます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。実は、私も地域本部のほうのもともとの試行的あるいはモデル的と言ったらいいのでしょうか、よくわかりませんけど、杉並区の和田中学校へお伺いしたのですけど、やはり学校というのは今ほんとうに気の毒で、無力なんです。ですから、地域の方々が集まって、それを何とかしようというのでやってきているのですけど、さっき課長がお話ししていたように学校のほうのサポートと、それから連続的に地域でいろいろなことをやるというのはあるわけです。
 その辺のところは、社会教育と学校教育の関係で、いつも問題になるのですが、学校教育が中心になると、社会教育がどっちかというと遠慮してしまうのです。社会教育をやるとなると、また学校教育のほうはちょっと入りにくいというのがあって、それで大分前ですけれども、学社連携に対して学社融合というのをやったらというので、ここのところをつなごうとした。今回の場合には学校のほうのサポート、何もないものですから、それでこういうのを出していただいたので反響も大きいかと思うんですけども、多分そのあたりは地域の方々とか学校も経験があるから、うまくつないでくれるのではないかと思うのですけど。ちょっと余計なことを言いました。

【菊川副委員長】
 感想ですけれども、教育基本法で家庭教育の問題とか、学校、家庭、地域の連携が新たに規定された後の初めての予算ということで、非常に骨太で、面としての取り組みがよくわかる事業だと思いました。
 放課後子ども教室や子どもの生活リズム向上プロジェクトにしても、それから今度の家庭教育支援や学校支援本部にしても、基本的で基幹的な骨格となる事業ですので、根づくのに5年ぐらいはかかるのではないかと思います。そのかわり、根づくとほんとうに学校や家庭を変えていく事業になると思いますので、できれば長期に構えていただけるとありがたいと思っております。

【山本委員長】
 どうもありがとうございます。はい、どうぞ。

【高橋(守)委員】
 今のご意見に、まず大賛成なので、その辺はお願いしたいと思っております。放課後子どもプランですが、今年度からかなり力を入れて動いているということで、私の所属でも県内のコーディネーター、安全管理委員等の研修にかなり力を入れ始めているところです。お集まりいただいたコーディネーターの皆さんの現状を聞きますと、今一番難しいと思われますのが、厚生労働省の放課後児童クラブと文部科学省が推進している放課後子ども教室の兼ね合いが、1つの地域の中で動いていると非常に難しいと。もともと目的が微妙に違うのです。それで、保護者のほうの捉えも、そのねらいによって選んでいますので、なじまない面が非常に出てきている。研修の中でも、その難しさが表に出てきている現状がありますので、放課後児童クラブと放課後子ども教室の、一体的または連携した取組ということで進めていくのがほんとうにいいのか、あるいはきちんと整理をして進めていくのがいいのか。その辺が今年度の私どもの県内の状況を見ていて非常に悩むところです。参考までにということで話をさせていただきました。

【上月生涯学習推進課長】
 ありがとうございます。今の点は、厚生労働省ともいろいろな検討をしているのですけど、とりあえず今年度初めてやった事業ということで、今お話になったようなことも含めて、実態をよく調べてみようということが第1点ございます。その際には、単に文部科学省と厚生労働省だけではなく、地方自治を所管している総務省、あるいは予算を所管している財務省の方にも一緒に入ってもらって、どういうやり方がいいのか。国の事業の進め方、地方の事業の進め方を含めて、その在り方を今検討しているところでございます。
 具体的には、先月も関係4省の補佐レベル、企画官レベルですが、一緒に実態を見にいったり、そういうことから今、調査検討を進めているところでございます。今後ともいろいろとご指導をお願いいたします。

【山本委員長】
 よろしいですか。ありがとうございました。
 予算の説明をいただきましたので、続きまして、きょうの本題ですが、制度問題小委員会の検討状況についての検討に入らせていただきたいと思います。
 これは皆さんからいただいたご意見を生涯学習分科会のほうへ報告していくことになるわけでございます。小委員会のほうは、もう5回開催してきたわけでございますけれども、この前、最後に申し上げたように小委員会のご意見を事務局からご協力いただきまして整理して、きょう資料としてお配りしてあるわけでございます。
 この委員会では、生涯学習、社会教育関係の法制の在り方を含めていろいろご意見いただきました。最初に申し上げましたように、ご意見をいただいて、それがすぐ法律となるわけではございませんけれども、この委員会での議論を分科会に報告していく。これをきちんとまとめて残していく必要がございますので、一応まとめ案を作成したわけでございます。これについて後ほどご意見をいただいて、なおブラッシュアップをしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、事務局のほうから説明をお願いいたします。

【上月生涯学習推進課長】
 それでは、資料2をお願いします。
 このペーパーの構成ですが、最初に、この検討のきっかけとなった経緯を1として書いています。2ページ以降が、この小委員会における主な意見。最初に、ほんとうの大まかな概要を書いて、最初に生涯学習関係、次に社会教育関係、図書館関係、博物館関係と法律事項ごとに意見を整理させていただいています。
 次に、関連の資料をつけております。これは山本小委員長から分科会に報告するという性格を持ったペーパーでございますので、一応をこれも見ればおおむね議論の検討の様子がわかる形ということで、比較的かかわりの深い関連資料もつけてございます。
 それでは、最初に戻りまして、1ページ目の検討の経緯からですが、最初の丸は中教審、平成17年6月の諮問から開始したということが書いてございます。平成19年1月に中間報告が出ました。
 3つ目の丸は、教育基本法が改正されたということに触れています。教育基本法改正の中には、生涯学習の理念、あるいは家庭教育、社会教育、学校・家庭・地域の連携ということが具体に理念として触れられているということが示されております。
 4つ目の丸は、この2月から、第3期から第4期の中教審になったわけでございますが、その分科会においても法制度を含む生涯学習・社会教育の在り方について議論がありまして、もう少し法律を含む制度の在り方について具体に検討するために小委員会の設置が求められまして、6月から開始したということを書いております。
 2ページ目をお願いいたします。最初の丸は、この小委員会の経過が書いてあります。初回に、幅広くフリートーキングをいただきまして、第2回目は大学、地方公共団体の行政担当者、民間教育事業の関係者の3名の方からヒアリングを行っております。3回目が生涯学習関係、第4回目、第5回目は社会教育関係について具体的なご議論をいただいております。
 これまで小委員会における主な意見を以下、論点を追って示しますが、生涯学習・社会教育は非常に幅の広い、例えば学校教育と比べますと、性格も含めて非常に多様でございまして、そういったことから、必ずしもこの小委員会におきましては、法律事項に限定されることなく幅広い多様な立場からご意見が示されたと書いております。
 また、特に社会教育施設、図書館、博物館については、この小委員会の前に既に検討協力者会議が行われていまして、その議論も踏まえて、特に制度に関連して議論を行ったということを書いております。
 次に、生涯学習関係から入りますけれど、ここでは議論を整理させていただいておりますが、論点によっては必ずしも1つの意見に集約されたわけでなく、いろいろな立場から多様な意見が示されたことを、できるだけそのまま掲載させていただいております。
 生涯学習関係、最初に(1)「生涯学習の理念・定義等の明確化」でございますが、最初の丸は、教育基本法第3条に「生涯学習の理念」が規定されたので、教育基本法と生涯学習振興法、社会教育法との関係の明確化ということのご指摘でございます。
 次の丸は、生涯学習の理念が明確になっていない。法律上、明確にすることによって、現場を仕事がしやすい環境にすべきではないかというご指摘がございました。
 また、次の次の丸ですが、生涯学習振興法においては市町村の扱いが非常に少ない。もう少し市町村ということを明確に位置づけた在り方が大事ではないかというご指摘がございました。
 最後の丸は、生涯学習の支援はいろいろな省庁、民間企業で非常に幅広く行っておりますが、教育行政としては生涯学習をどのように支援するかという視点が大事だというご指摘もございました。
 その次が、(2)「生涯学習と社会教育、学校教育、家庭教育等の関係」ですが、3ページ目をお願いします。
 現在の生涯学習振興法が、学校教育と社会教育の連携についての部分が非常に弱いので、学校、社会、家庭の横の連携を深めていくことが重要とのご指摘。
 その次の次の丸についても、生涯学習というものが学校教育、社会教育、学習活動を大きく包み込む考え方、理念ということで成立すべきではないかというご意見。
 あるいは、その下の丸は、生涯学習に対する需要に応える組織的な対応として、広く社会における教育として社会教育をとらえ、その中に学校も含まれているというイメージを描くことで、社会教育の役割をむしろきちんと理解できるのではないかというご意見。
 あるいは、その次の次の丸は、社会教育施設のイメージにつきまして、生涯学習という観点からも学校教育に関係する施設も含んだ上で、生涯学習の概念を構成してはいかがというご意見もございました。
 3つ置きまして、社会教育を生涯学習に置き換えるのではなく、これはよく課の名称とかにありますが、社会教育課が単純に生涯学習課になったりする場合も含めたご意見でございますが、生涯学習体系の中に明確に位置づける、つまり社会教育を生涯学習体系の中に明確に位置づける概念構成が必要である。
 あるいは、その次の丸について、生涯学習であるとか、生涯学習行政、社会教育、社会教育行政の4つの概念を、現場の人たちがわかるように整理することも必要であるというご指摘もございました。
 1つ置いて、生涯学習は総合行政であり、必ずしも教育委員会にとどまる必要はないという意見は、一見正当性を持っているけれど、首長の意向に大きく影響を受ける可能性も考えられるから慎重にすべきという意見と、その次の丸のご意見は、それはむしろ各地域の判断であり、実情を踏まえてそれぞれの地域を後押しする仕組みも必要というご意見もございました。
 その次、大きな(3)「国・地方公共団体等の役割」でございますが、国・地方公共団体等の役割、あるいは都道府県と市区町村の役割等についてのご議論でございます。
 最初の丸は、現在の振興法の都道府県教育委員会の事業に関する規定が、社会教育法に規定されている都道府県教育委員会の事務と重複している部分があるため整理が必要であるというご意見。
 その次の丸、市町村の生涯学習行政の在り方についての議論、あるいは、その次の丸も同様の趣旨のご意見でございますが、生涯学習振興の行政単位としての担い手は市区町村であり、その観点から位置づけ等について検討すべきというご意見がございます。
 1つ置きまして、生涯学習と社会教育との混乱を防ぐために基礎自治体、これは恐らく市区町村ということを指していると思いますが、社会教育行政を行い、広域的に都道府県レベルで生涯学習という観点に重心を置いた行政を行うというご意見もございました。
 大きな(4)「地域生涯学習振興基本構想・都道府県生涯学習審議会」についてでございますけど、最初の丸は、地域生涯学習振興基本構想の規定は、実際には活用されておらず、見直しが必要というご意見でございます。
 その次の丸でございますが、また生涯学習審議会につきましては、大所高所からの審議・提言を行うべき機関というご意見もございます。
 2つ置きまして、生涯学習審議会、社会教育委員の会議、教育委員会の役割等の関係の整理が必要というご意見もございました。
 また、生涯学習審議会と社会教育委員の会議との混乱が見られるのは事実だが、廃止・統合すべきではないというご意見と、その次の丸は、地方分権時代に沿った制度設計が必要とのご意見もございました。
 なお、この件については次の社会教育関係のご議論の中でも関係の審議がなされております。
 次の(5)「学習成果の評価・活用」につきましては、生涯学習における学習成果の評価の在り方の基本というのは、自己評価ではないかというご意見とともに、1つ置いて、3つ目の丸ですが、主体的に行った学習に対して社会的な評価を得ることを、どれだけの人が必要としているかについて、これは同様の意見でございますが、次の丸については、各検定のために学んだことが社会的・公共的な意味を持つようなことになれば意味があるというご意見もございました。つまり、自己評価中心なので、それに各個人の判断、評価に任せたらいいのではないかというご意見と、何らかの社会的な評価の仕組みというものが必要ではないかというご意見、両論がございました。次の5ページ目の上の1つ目、2つ目というのは、そういうご趣旨のご意見と考えられます。
 (6)「学習を支援する人材の育成」につきましては、学校教育や家庭教育等について、地域に根ざした学習支援、教育支援を担う人材が必要とのご意見、あるいは生涯学習を振興するにあたっての中核的な人材についても考える必要があるのではないか。これも次の社会教育関係の中でも、社会教育主事等についてのご議論に関連するご審議がございます。
 そのほか、まちづくりと生涯学習の関係でありますとか、教育による学習だけでなく、自己学習の部分の充実、これは評価ともかかわりがあると思いますが、そういうご意見。
 あるいは、最後の丸でございますが、NGO・NPOということも踏まえた生涯学習法制の在り方についても議論すべきというご意見もございました。
 生涯学習関係としては、以上でございます。

【平林社会教育課長】
 続きまして、6ページ、社会教育関係につきまして、簡単にご説明いたします。議論を思い出していただければと思います。
 まず、社会教育法関係でございます。(1)「社会教育の目的」について、こちらにも数々のご意見をいただきまして、例えば公共性の観点であるとか、学校支援、学習支援、あるいは奉仕活動とか体験活動といったようなことを勘案すべきではないかというご意見を賜りました。
 また、最後の丸では、生涯学習と社会教育といった観点、その両者の区別は維持すればいいのではないかといったご意見をいただきました。
 (2)「国・地方公共団体等の役割」につきましては、社会教育のナショナル・ミニマムというものを明確にできないかという意見をいただきました。
 (3)「社会教育主事」について、こちらも多様な意見をいただきました。社教主事の専門性について、あるいは養成段階についてのご議論。例えば、職務については学校、家庭、地域社会のコーディネーターといったようなこと、あるいは企画・立案、連絡・調整。あるいは、学習を組織化する力が必要だというご意見もいただきました。
 また、社教主事、あるいはほかの司書、学芸員との資格間の共通性もあるだろうといったこと。逆に、専門性もそれぞれ異なるのではないかというご意見もいただきました。
 また、実態として、有資格者は多いけれども、採用がなかなか難しいといったものがあるというご指摘もいただきました。
 また、1枚めくっていただきますと、社教主事の出身といいますか、教員出身の場合のメリット、あるいは教員以外の多様な人材を登用することも重要だというご指摘も賜りました。
 それから、配置につきましても、事務局だけでなく、ほかの部局への配置といったことのご要望もいただきました。
 それから、(4)「社会教育委員」についてでございますが、社会教育委員の会議の意見がなかなか活用されていないというご意見であるとか、あるいは補助金交付の際に意見を諮問するという規定がございますが、それについては十分検討する必要があるといったようなこと。
 それから、(5)「社会教育施設全般」についてでございますが、社会教育施設全体での総則的規定を設けてはどうかといったようなこと、あるいは青少年教育施設をちゃんと法律上、明確にしてはどうか。
 それから、社教施設の所管といった点について、これも両論的なご意見をいただいているところでございます。
 それから、最後のところでは施設間のネットワークづくり、あるいは資源の有効活用といったことが重要であるというご指摘をいただいております。
 それから、(6)「公民館」でございますが、特に営利事業への利用について規定した23条の規定についてのご指摘であるとか、あるいは実態をよく踏まえて議論をすべきであるというご意見もございます。
 それから、(7)「家庭教育支援」についてでございます。教育基本法10条を受けて、ちゃんと社会教育行政の責務として位置づけたらどうかといったようなこと。
 1枚めくりまして、8ページ目でございますが、公民館の活用であるとか、あるいは行政とか各種幼児教育、保育施設等の連携の重要性をご指摘いただいております。
 それから、(8)「学校、家庭、地域の連携・協力」でございますが、こちらも学校教育と社会教育の連携、あるいは学校支援の重要性をご指摘いただいております。
 また、社会教育とか民間の人材について明記されていないといったことから、そういった仕組みの制度化のご指摘もいただきました。
 それから、ここでも教員籍の社教主事の活用ということ。
 それから、ほかは放課後子どもプランをちゃんと法律で規定したらどうかといったご指摘もいただいております。
 それから、2番目は「図書館法関係」でございます。
 まず、(1)「図書館法の目的等」についても数々のご意見をいただいておりまして、例えば読書の奨励、あるいは地域の課題解決の支援といったことを設けてはどうかといったようなこと。
 その他、メディア関係であるとか、あるいはレクリエーションといったこともご指摘をいただいております。
 また、家庭教育を支援する場としての位置づけも考えてはどうかという多様なご意見をいただいております。
 それから、1枚めくっていきまして、9ページ目、(2)「司書及び司書補の資格」についてでございます。上級資格であるとか上級司書、そういったキャリアパスを検討してはどうか。あるいは、専門司書といったことのご指摘をいただいております。
 その他の部分、これは一つには経費、費用負担について、17条の無料原則の問題、あるいは実態ではどうなっているかといったようなご指摘もいただいております。
 また、図書館設置率から全域サービスの重要性であるとか、館長についてのご指摘、あるいは学校図書館との関係の整合性なりを考えるべきではないか。あるいは、高校の図書館ももっと活用したらどうかといったご指摘もいただきました。
 それから、3番目、「博物館法関係」でございます。
 まず、(1)「博物館法の目的」について、社教法の精神といったこと、あるいはレクリエーションといったことも、いろいろとご議論をいただきました。
 また、定義について調査・研究というものをまず置いて、その次に資料なり情報といった順番にしてはどうかというご指摘もいただきました。
 それから、2番目「芸員の資格」についてでございます。こちらも学芸員の養成の在り方についてのいろいろとご指摘いただきましたし、また上級資格の検討といったこともご意見いただきました。
 また、他方、下のほうでは新規採用が非常に難しいときに養成を変えることがどれだけ効果があるのかといったこともご指摘いただきました。
 また、キャリアパスがないということも問題であるということもご指摘いただきました。
 最後、(3)「博物館登録制度」でございますが、登録制度が質の維持、向上に役割を果たしているのではないか。他方、なかなかメリットがわかりにくい。登録によって何が変わるかといった制度設計をちゃんと明確にすべきである等々のご意見を賜ったところでございます。
 以上でございます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。それでは、これにつきまして、ここのところは発言したことがうまく出ていないのではないかと、いろいろご意見もあるかと思います。
 まず、生涯学習のところについてのご意見をいただいて、それから社会教育関係のご意見いただく。大体これまでご発言いただいたことが入っておりますので、その部分についてはそれぞれ見ていただければわかると思います。
 そのほかに、検討してきた中で落ちているところがあるのかもしれないのです。そのあたり、気がつきましたら発言しておいていただければと思います。
 これは資料として残っていきますので、とても大事だと思います。どんな細かなところでも結構ですから、ご指摘いただければと思います。
 それでは早速ですが、最初に生涯学習関係、2ページから5ページのところまで、これにつきましてお気づきの点、ご指摘などございましたら、いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【山重委員】
 最初に、この整理についてちょっと疑問があるので、その点を教えていただければと思います。私は、この小委員会では、今後の方向性、特に1ページ目の最後にありますように、関連法制の在り方に関する事項について集中的に審議することが設置の目的ですので、どういう方向が望ましいかということについて、ある程度方向性を示すことが最終段階かと思っていたのですけれども、どうも今回のお話の進め方だと、こういう意見があったということを整理しておこうということであるようですので、今後の進め方について、具体的に今から法律を変えていくという手続があって、そのためにあるビジョンが明確に共有されている必要があると思うのですけど、少しお話をいただいて、きょうの位置づけを理解させていただければと思っております。

【山本委員長】
 わかりました。委員長のほうから先に申し上げますが、今回のものは、今ご指摘のように、いただいた意見を全部並べたのですけども、これから先、分科会に上げていきます。その分科会でいろいろなご意見をいただいて、さらには、これは法律ですから事務局のほうに大分ご苦労いただかなければならないのですけども、最初にちょっと申し上げたように、我々で議論しても法制局がだめと言えばそれまで。ほかとぶつかっていて、これは矛盾する、考え直せと言われればそれまでなんです。
 今までの経験ですと、かなり厳しいことを言われるものですから、できれば今回第1ラウンドというのでしょうか、このところは大きく網をかけて、いろんなご意見をいただいておく。一方に絞って、後でだめと言われると困ってしまうこともあるものですから、あれもこれもいろいろ議論しましたということでまとめておけばどうかなと思ったのです。
 昭和24年ごろの社会教育法関係の資料もそうなんですが、法律になるとこうなっていますけど、やはりそのところでわからないことがあったりすると、当時のいろいろ議論したことを調べるのです。例えば、これはこうなっているけど、そのとき、こういう反対もあったんだとか、それを生かさなければいけないとか、いろんなことが言われておりますので、今回は第1ラウンドとして大まかな皆さんのご意見を全部入れるということで進めたらどうかと思ったわけなんです。ですから、1つに絞らないで、両論併記のところもあります。まずはこれでやってみたらどうかと考えたのですが、事務局のほう何か補足があれば。

【上月生涯学習推進課長】
 今、山本委員長がおっしゃったとおりでございます。これをいただいて、事務局のほうでは法の素案のようなものをつくって、それも幾つかつくって、法制的な整理ができるのかどうかということをやる必要があると思います。
 もう一つは、法律というのは、そういう法制的な整理とともに、いわゆる政治的なものも含めたことも必要ですので、そういったことを眺めながらいく必要があるかと思っています。
 それから、これは分科会に1回報告させていただきますが、分科会から、これまでの議論では、もしかすると気づかないご指摘もあるかもしれませんので、そういうことも含めながら、あまり決めきっても法律の作業としては、委員長がおっしゃったようにうまくいかないこともありますので、できればある程度柔軟性を持った形で、とりあえず議論の論点という形で整理をしていただければありがたいと感じております。

【山重委員】
 ご趣旨もわかるのですが、ただ今回、「決めきっても」というほどにも全くなってないわけですよね。ただ意見を述べただけであって、こういう方向にいきましょうとか、そういうビジョンの方向性も全くないわけで、ここで何か具体的に法律を決めましょうという話をしているわけではないのは私もそのとおりだと思います。ただもう少し、これだけ話をして、こういう方向性があるのではないかと意見を交換して、私はある程度方向性が見えてきているところもあるし、まだ残っているところもあると思うんですけれども、そういうものが少し見えたほうが、分科会のほうでも、それを基準に考えるということがあり得る気がしています。そういう意味では、ここで法律を決めるということよりは、もう少しこういう方向でいったらいいのではないかという提案という形で、少し共有できる部分については、意見が一致している部分については、ある程度まとめておいたほうがいいのかなという気もするのですけれども、その点は特に今の段階では必要ないということなのでしょうか。

【山本委員長】
 ご意見はわかるのですが、ただ、これを読んでいただくと、皆さんがそうだなと言っているところは、あまり異論がないような形で書かれていますので、その辺は素直に読んでいただければわかると思うんです。
 ですから、性格としましては、先ほどお話があったように、この在り方に関する事項については集中的に審議するために、これを設けましょうということで、この小委員会は、答申の案を検討しなさいということではないのです。方向性についての検討ということになっていますから、今お話のように、ある程度方向性を出したらというのはもっともですけど、それについては皆さんのご意見が大体一致しているところは、そういう形で書かれていて、両論併記的なところは、まだそういうふうにはなっていないということなんです。
 分科会のほうへ持ち上げていって見ていただくときにも、こういう多様な意見があったということを、このような形で出したほうがいいのではないかということと、それから先ほど申し上げたように、今は我々こうやって議論していますけど、10年、20年すると、あるいは5年するとわからなくなってしまって、後でどうだったんだろうということがあるわけです。そのときに、こういうご意見をきちっと書いておくというのは非常に役立つのです。
 そんなこともあって、一応こういうご意見があったという形で整理させていただいてはいるんですけれども、分科会に報告するときには、先ほど課長さんたちからの説明でもありましたが、ここら辺は両論がありますとか、ここら辺は大体こんなことですというので報告しますから、方向性としては、おっしゃるように見えていると思うんです。多分大丈夫だろうと思いますが。

【糸賀委員】
 今、山本委員長が言われるように、きょう出されている資料2を拝見しても、おおよその方向性は私も出ているように思います。複数の意見があって、必ずしもコンセンサスが得られていない部分もありますが、おおよそどういう方向で法や制度を見直していくべきなのかということについての意見は出そろっているようにも思います。ただ、私としては確認したいのは、我々、つまり小委員会の任期は多分第4期の生涯学習分科会の委員の任期と同じだと思うんです。
 そういう意味では、先ほど山本委員長が、これは第1ラウンドだと言われました。そうしますと、単純に、これは第2ラウンド、あるいは第3ラウンドがあるのかどうか。つまり、先ほど課長が言われたように、ある程度これで素案みたいものをつくってみる。そうした上で、その後いろいろと法制局のほうの意見もあるでしょう、ほかからの意見もあるでしょう。それをもとに我々小委員会委員は再度招集されて、もう少し具体的に。それは先ほど山重委員が言われた、もっと具体的に突っ込んだ法の提案となっていくのでしょうか。私、第2ラウンドがあるのであれば、きょうのところは、こういう方向でいいように理解しておりますが。

【上月生涯学習推進課長】
 おっしゃるような方向で考えております。

【山本委員長】
 これで上がっていって、分科会で検討して、法制局でまた検討してきて、分科会でいろいろやってみて、やっぱりこれは小委員会で見てもらわなければだめじゃないということになれば、ここへおりてくると思うんです。ですから、その辺のところは、いつどうなるのかはわかりませんけれども、うまくいけば、そのままいくかもしれませんけれども、第2ラウンド、あるいは第3ラウンドがあり得るということで考えております。

【糸賀委員】
 今の点は、それで私も納得いたしました。その方向で、ぜひお願いしたいと思います。
 それで、きょうの資料2の具体的な内容ですが、分科会が始まった当初にも私は発言させていただいたし、きょうのとりまとめを見ても、生涯学習の概念と言ったほうがいいと思いますが、つまり理念そのものは教育基本法の第3条にうたわれているので、理念に関してはこれでいいのだろうと思います。ただ、やっぱり社会教育とほかに学校教育、家庭教育も含めて、どういうふうに概念が整理できるのかということは、この委員会の中でもしばしば議論になりましたし、広く社会教育関係者とか生涯学習関係者に聞いてみても、それぞれとらえ方は違っているわけなのです。
 ここで、私、その議論を蒸し返すつもりはありません。ただ、きょうの素案を見ても、いろんなところで誤解を招くもとは、生涯学習というものと社会教育や学校教育というのは、包含関係でとらえられないのではないかと思うのです。つまり、単純に社会教育と学校教育と家庭教育をあわせれば生涯学習だとは絶対ならないわけなので、それぞれの教育活動やそれぞれの施設で行われている事業展開の方向性といいますか、ベクトルという便利であいまいな言葉もありますが、それが生涯学習体系のほうに向かうのであって、伝統的な社会教育、学校教育、家庭教育という領域は残されているのだろうと思います。
 その辺のきちんとした整理がないと、今後いろいろと施策を展開したときにも、常にこの問題に戻ってきてしまうといいますか、何となく私たちは振り出しに戻されてしまうような気がするので、そういうことのないように、やはり概念規定についてはきちんとやっていったほうがいいと思います。
 そうした上で、特に生涯学習振興法の見直しをやり、市町村が主体となって地域の生涯学習を振興していく。そのときに社会教育施設や学校教育施設、あるいは家庭との連携がきちんと図られる、そういう法体系なり制度設計をしていくべきだと思います。改めて、きょうの案を見ても、その辺の混乱がやや見られるので、そこだけは早く整理をして、もう振り出しに戻ることがないようにしていただいたほうがよろしいかと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございます。それはそのとおりですので、この小委員会の報告につけるというよりも、分科会のほうで資料として常に見ておいていただかなければいけないと思いますが、答申類とか審議経過の報告、あるいは概要とか、そういう中で折に触れて言われておりますので、その部分を何らかの形で資料でつけていただいたらどうでしょうか。
 この前、ここでは申し上げたと思いますが、文部科学省のほうが都道府県にご説明なさるときには、資料の中で今の概念のところ3つぐらい、生涯にわたる学習ということをとらえる、地域の中でのさまざまな学習をとらえる、理念としてこれを見るということとか、さまざまな考え方があると。その例として今の3つぐらいということで言っていますので、そのあたりも含めて、答申類や何かで整理していただいたらどうでしょうか。糸賀委員の言うとおりだと思います。毎回ここへ来て延々とやっていて、むだですよね。ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。

【鈴木委員】
 何がということではなくて、感想でしかないのですが、きょう概算要求の事項の説明を伺っていて、このまとめを見て、何かそれがつながらないような気がするのです。例えば「学びあい、支えあい」でしたか、あれはかなり重点的に進める的なことであるわけですが、こちらの法律レベルに来ると、これはどこに関係してくるのだろうか。生涯学習支援、全体的なことを考えるのか、公民館というものはどこへどうなってということになると、何かそこのところがよくわからなくて、危ない発言なんですが、この法律の体系全体と具体的な施策の体系とが、どこかで齟齬があるのか、それを結びつけるのはどういう手法でやればいいのかということが、何となくわからなくなったというのが正直なところで、きょうは何も発言しないで帰るかなと思ったのですが、何となく不安になったということだけ一言申し上げておきたいと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございます。事務局のほうでご説明いただければと思います。間に、教育振興基本計画というのが入っているのです。そこのところが我々すっぽり抜けてしまっているからわかりにくいので、ちょっとご説明いただけますか。つまり5カ年計画での振興計画が一方で検討されて、そのあたりと法律と、具体的なそういうところとの関係みたいなものが何かあれば説明していただければと思います。

【上月生涯学習推進課長】
 今の点は、今回の生涯学習政策局の予算は、教育基本法が改正されて、それから教育再生会議を踏まえた骨太方針の中で主張されていることを踏まえて重点事項にしておりますので、社教法でいきますと、50年、60年間の体系でございますから、そういうことと必ずしも密接にリンクするわけではないと思いますが、全くかかわりないわけではないことは、家庭、学校、地域との連携でも触れられていることにもあると思います。
 それから、今後の予算について、予算をどうしていくか。それから制度をどうしていくかについては、教育振興基本計画において議論は進められて、その中で1点整合性が図られて進められていくというふうに理解をしているところでございます。

【加茂川生涯学習政策局長】
 ちょっと補足をしますと、今の課長の説明で大分尽きていると思うんですが、今回の概算要求は、冒頭、川上政策課長の話にもありましたように、教育基本法の改正に伴って必要になる法令の改正というのは十数本あると言われているのです。国会でもそういう議論があったのですが、当面、第1弾として、いわゆる教育三法、学校教育法を中心とする4つの法律の改正が終わって、今度の概算要求は、教育基本法の改正と教育三法を受けた当面の予算措置になっているのです。もしくは法律の改正前から課題であったもの、法律改正を踏まえて、さらに拡大する、または充実するという予算要求になっています。
 きょうお話した概算要求について言うと、それにリンクしているものとリンクしていないものが含まれています。これは概算要求の時点ですから、実はきょうのお話ではあまり出なかったかもしれませんが、2割増し、正確に言うと24.5パーセント増しで、かなり積極的な予算要求になっていて、これから査定を受けますから、いろいろなことがあって、ゼロになることはないかもしれませんが、ゼロになる可能性もないではないという、これから大変難しい作業があるのです。そうすると、予算がとれて、これは法律事項になるということもあるのです。
 ですから、今の概算要求と、おっしゃられた今検討している関係する社会教育、生涯学習の法律事項で言うとリンクしていない部分がありますけれども、予算がとれて法律事項が増えることも、これから審議をお願いすることがあり得ますし、もう一つは、ここで打ち出していただいたことで、21年度の概算要求で審議をお願いし、改正が実現した後での予算の肉づけというのは、次の作業として起こってくる。ですから、少しタイムラグがありながら、物事は総合的に進んでいるんだということを少しご理解いただけると、ちぐはぐな弁があることもご理解いただけると思います。

【山本委員長】
 どうですか。

【鈴木委員】
 いや、そういうようなもので、中間にクッションが入ってというか、そういう段階であるということは全体的としてすごくよくわかります。ただ、やはり抜本的なことを考えなければいけない、社会教育といって社会教育関連の法制、生涯学習といって関連の法制、社会教育法、図書館法、博物館法と。社会教育施設みたいなものを中心できているわけです。ところが、「学びあい、支えあい」というのは、別に施設とか何かということでなくて、個別の事業であるわけです。
 だから、これまで法律の体系というのは施設中心で、図書館、博物館、社会教育法も公民館だというふうに考えれば、あと青少年教育についての施設を、あるいは青少年教育の施策についての法律をという発言もあったわけですし、そういうようなことで考えるのか、事業みたいなものを中心に、全く組みかえていくのかということは、今回の事項ではないのかもしれませんが、そういうかわりみたいものも何かあるのかなという気がして不安になったのですが。

【山本委員長】
 どうぞ。

【菊川副委員長】
 私は現場から見ていて、法律に書いてあることも、先ほどの予算も違和感があまりなかったのです。今おっしゃられていて、なぜかと考えてみると、地方レベルでも社会教育の課題がかなり子供の教育に特化してきている情勢があります。公民館の活動とか、社会教育委員の活動とか、図書館の活動とかいろいろあるのを、大人の問題はともかく、やはり子供が最優先、重点課題という理解で、地方レベルでは進んでいる実態があるものですから、両方そのまま素直に聞いたのだと思います。社会教育委員の答申も、かなり子供の教育に特化しているところが増えているのではないかという感じを持っております。

【山本委員長】
 ちょっと補足的に、鈴木委員の話、今の具体的な現場の話とあわせてみますと、先ほど申し上げた教育振興基本計画の部会のほうでは、必ずしも予算に結びつかなくても計画としていろいろ考えていく必要があるということは議論しているのです。それはすぐ来年度の概算の要求に入るとか、そういうことではなくて、基本的なスタンスとしてどうなんだ、理論的にどうなんだということを検討していますから、計画と予算との間にちょっと差があるというか、まだ熟してないものは予算までいってないとか、そういうこともあると思うんですけど、それの議論をしていますので、ここでいただいたものは恐らくそういう中で具体的に予算というよりも計画とか、そういうところに反映されてきて、だんだん予算のほうになってくるのではないかと思うのですが、スタンスとしては、そんなスタンスで検討しています。よろしいですか。

【糸賀委員】
 今の鈴木委員のご指摘とも重なるのですが、一方で我々この場では、法律に関して、例えば生涯学習振興法とか社会教育法とか、図書館法、博物館法という、どちらかというと施設を中心としたような法体系について順次検討してきたわけです。だから、それを仮に縦糸のようにして考えると、いわば縦割りで考えると、こういう施策というのは、どちらかというと横断的といいますか、横糸でこういう政策が出てきているのだろうと思います。だから、この政策の中に、例えば図書館にしても博物館にしても、場合によっては学校まで巻き込んだ上で地域の生涯学習なり、社会教育の在り方を見直していこうという政策なのだろうと思います。
 そういう意味で、縦方向で見るのか、横方向で見るのか、我々は従来どうしても施設中心で縦方向で考えてきたので、なかなかこういう施策の実質的な意味合いがつかみにくかったのだろうと思うんです。同じようなことは、多分今後こういった国の会議だけではなくて、市町村の生涯学習の現場でも起きてくるのだろうと思うんです。例えば、今言ったように生涯学習と考えたときに、学校も協力してください、場合によっては幼稚園、保育園もかかわりましょう。もちろん従来の社会教育施設である図書館だとか博物館だとか公民館もかかわりましょうということになってくるわけです。
 そういったことを考えたときに、私はきょうの資料2で言うと、4ページのところのある、今議論している1の(4)地域生涯学習振興基本構想、あるいは都道府県生涯学習審議会、そういったところでの関係者を巻き込んだ議論というのは、すごく重要なのだろうと思うんです。だから、働いている人たちは、私は公民館で働いています、私は女性教育センターで働いています。そういう人たちが地域の生涯学習全体を視野に入れて、自分たちの役割、位置づけを見直していくことが求められるわけなので、この(4)に書かれている内容は、一方で私は極めて重要だろうと思うんです。
 ちょっと具体的な提案をさせていただきますが、この中で生涯学習審議会や社会教育委員の会議、あるいはほかの教育委員会の会議との関係の整理が必要だというご指摘があります。これはこれでそのとおりですが、一方で、実は私、この7月から東京都の八王子市の生涯学習審議会の委員を仰せつかったのです。ところが、それは従来の、例えば公民館運営審議会だとか、図書館協議会、博物館協議会を全部廃止してしまうわけです。全部なくしてしまって、市としての生涯学習審議会を設ける。その中に分科会を設けて、例えば図書館は図書館の分科会を設けます、公民館は公民館の分科会を設けますというやり方なんです。私はそのときに、つまり地域の生涯学習全体はそれで見通しやすくなる。だけども一方で、それまで図書館協議会は10人でやっていたのが、図書館を担当する分科会の委員は当然人数を減らされるわけです。当然、公民館について検討する人たちも、人数そのものは減らされてしまうわけです。そうすると、全体は見渡しても、今度は個別の施設について従来よりも充実した提言だとか政策が打てるのかどうかは、やや疑問になってくるわけです。
 そういう意味で、見直しというのは必要ですが、総合性といいますか、地域の生涯学習全体を見渡す総合性と、一方で、博物館は博物館で固有の問題を持っている、図書館は図書館で固有の問題を持っていると。そこの専門性とか個別性のバランスをきちんと図っていくことも求められているのではないかと思います。それがさっきの縦糸と横糸をちゃんと紡ぎ出す一つの視点になるわけなので、単純に生涯学習審議会を地域の中でも設けましょうという提案と同時に、それぞれの学校は学校としての存在意義、博物館、公民館、図書館といったものの存在意義も一方で確保しつつ、地域全体の生涯学習の政策立案、あるいは構想というものを立てていく。その両方の視点が必要なので、ぜひここには総合性と専門性、あるいは総合性と個別性、そこのバランスを図ることも重要だというご指摘もぜひ入れていただきたいと思いました。

【山本委員長】
 ありがとうございます。ほかにどうでしょうか。

【山重委員】
 縦糸と横糸の話、そのとおりだなと思いながら伺っていたのですけど、その文脈で、例にもなると思うのですが、概算要求の中で家庭教育力の向上ということで、4ページにポンチ絵があるものですけれども、これを支える組織は何なんだろうと考えてみたときに、従来の社会教育の制度ではなかなか対応できないものだと思うんです。この辺の施策がどのような組織で支えられるのかというところが、ある意味で明確でないので、法律との関係もあいまいになっているところもあるような気がします。例えば家庭の教育力の向上は非常に大きな課題だということで、チームをつくりましょうということになっているんですけれども、一言で言うと、この責任者はだれになるということが、ちょっとわからなくなってきてしまいました。市町村なのか、教育委員会なのか、学校なのか、地域という何かよくわからないものなのか、その点ちょっとイメージを、法律との関連も出てくる気がするので、ちょっと教えていただけますか。

【山本委員長】
 では、担当のほうから。きょうは全課来てくださっているので心強いです、ありがたいです。

【湊屋男女共同参画学習課長】
 ただいまのご指摘でございますけれども、4ページにあります地域における家庭教育支援基盤形成事業について申し上げますと、これはそれぞれ市町村の協議会をつくっていただきまして、そこに委託をするという形のモデル事業になっておりますので、基本的に委託を受けた市町村レベルの協議会がこういった事業をやると。したがいまして、その協議会が、そこにありますような原則小学校区レベルでチームをつくって、その中に子育てサポーターリーダー等が中心になってチームをつくって、地域で家庭教育支援をしていくということになりますので、そういった意味では事業を進めていく主体は市町村レベルの協議会、さらには、そこから委嘱をされたチームの子育てサポーターリーダー等が中心になってやっていくということになってございます。

【山重委員】
 ということは、今後、家庭の教育力向上、家庭教育を充実させるというのは、教育委員会というよりも市町村という発想でいくということでよろしいのですか。それとも、これはとりあえずの方向性であって、今後、教育委員会も家庭教育の在り方について、ある種の責任を持つという考え方で社会教育を考えていっていいのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

【湊屋男女共同参画学習課長】
 基本的には、家庭の教育力を含めて、行政レベルでいえば市町村の教育委員会が責任を負っていくことになると思いますけれども、今、市町村レベルの協議会と申し上げましたけれども、当然それは行政も入り、教育行政の立場でも協議会に参加をし、それから福祉部局とか福祉行政の方も協議会に参加をして、全体で横のつながり等も連携を図りながら運営していくような協議会のことを考えておりますので、事業の実施主体は確かに委託事業ですので、その協議会が中心になって運営していきますけれども、今後、家庭教育については市町村が責任を持たないということではなく、市町村の教育委員会もしっかりやりながら、具体的な事業については、モデル事業としては個々の協議会、教育委員会そのものではないですけれども、協議会が支えていくという形で今考えているところでございます。
 ですから、ほかの市町村が、この事業に限らず家庭教育を支えるための事業をみずから組んでいくことは、これまでどおりやっていくわけですし、それ以外の家庭教育とか学校教育、それから地域全体を連携していく事業も教育委員会そのものとしてやっていくということについては、従来と何ら変わっていないというところでございます。

【山本委員長】
 ほかにどうぞ。

【井上委員】
 現場で生涯学習振興行政に携わる者として意見を述べさせていただきますと、やはり他部局との連携なしには生涯学習審議会も本当の意味をなさないということで、そこが一番難しいところであり、充実しなければならないところです。生涯学習の概念がしっかり明示された場合に、一般行政で行われている生涯学習に関するものについてもきちんと規定されると思うのですけれども、国で言えば他省庁と連携していただいて、この法律ができるのかどうかだと思います。今までのように文科省が中心となって行っていくのかどうか、その辺で今後の展開が変わっていくのではないかと思っております。
 放課後子どもプラン等で厚労省と連携の体制がしっかりできてきたということですが、それを生涯学習振興法の中でお互いのテリトリーというか、ベクトルをきちんと振興法の中で明示できれば、都道府県におりてきたときも教育委員会、また他部局とのそれぞれのテリトリーがきちんと区別されて、生涯学習振興行政がより拡充、また進んでいくのではないかと考えておりますので、ぜひ他省庁も含めた形の法律になっていただければありがたいと考えております。

【山本委員長】
 ありがとうございました。ほかには、ご意見どうでしょうか。よろしいですか。もしありましたら、戻っていただいて結構ですので、では6ページから社会教育関係のところについてご意見ございましたら、いただきたいと思います。

【興梠委員】
 意見の内容が十分反映されていると思いまして、感謝をしているわけですが、現行の法律や今回整理した中に入っているとは思うんですけれども、改めて強調しておきたいことが1つあります。それは何かと言いますと、やはり社会教育そのもの、また生涯学習そのもの、社会そのものというのが、地域住民や国民の参加・参画によって担われていくんだということを、表現は法律上難しいところもあるかと思いますが、やはり強調していくことがとても大事なのではないかと思います。地域住民の自主的、主体的な参加、もしくは参画によって担われていくんだということを改めて強調しておきたいわけです。
 特に、学びとか、いわゆるボランティア活動などの社会参加活動が自己完結的な傾向といいますか、そういったものはやはりあると思うわけです。しかし、学んだり、参加を通して豊かなライフスタイルを身につけたものが、やはり社会の中に反映されていくことがとても大事なことだと思うわけです。
 先ほどの説明の中に、来年度の地域ボランティア活動支援センターの在り方に関する特別調査研究ということで、かなり大がかりに調査をやるということで、これは大賛成なんですけれども、しかし実態は、3年間文部科学省が都道府県を通じて市町村で支援センターを整備していくということをやったわけですが、現状は、市町村は財政的にも非常に厳しいものがあって、コーディネーションシステムに関するサポートに関する資金的な支援がなくなった段階で、よくこれだけ残っているなというぐらい厳しい財政の中で、いわゆるボランティア活動等に関する学校教育や社会教育に関する支援の整備は続けているわけですけれども、やはりこういった試みというのが国や都道府県、市町村の相互の連携によって持続可能なものとして、きちんと社会システムをつくっていかなければ、社会教育自体も一番大事な参加・参画というところが欠落していくところがあるのではないかと思うわけです。
 また一方で、ご存じのように東京都が高等学校における奉仕の必修化というものをやって、私たち自身は世田谷の地域のボランティアセンターとして、それをサポートしているわけですが、現状は、特に教育をつかさどっていく都道府県や市町村が、強力にこういった学校教育を支援していくシステムがまだまだ整備されていないために、やはり教師の個人的な努力のところで、かなり厳しい状態で進めていくということがあって、これからある面では、あらゆる世代のボランティア活動や社会参加を育てていくとか支援していくとか、学校教育における取り組み、また大学でも取り組みを進めていくということになれば、それを総合的に推進していくための育成やコーディネーションをしていく社会的な環境の整備をきちんとやっていくということが大事になっていくと思うんです。
 そういう面では、目的のところに、既に法律でも書かれているところではあるのですが、あえて地域住民の参加、それから国民の参加によって社会教育は担われていくんだということを明確にきちんと共通しておくと同時に、その役割というところで、国、都道府県、市町村がそういった社会環境の整備を恒常的に進めていくんだということを強調できる形で反映させていただけるとありがたいと思います。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございました。ほかにはどうでしょう。

【高橋(興)委員】
 私の意見は感想に過ぎないのですけれども、全体をまとめたものを見て、やはり学校教育との関係をどうつくっていくかというところが、古くて新しい、最大の課題ということを改めて痛感しました。
 と申しますのは、私自身も学校と公民館、学校と図書館、学校と博物館ということで折に触れて発言してまいりましたけれども、やはりここのところをきちんと考えて、法制度もきめ細かく改めて検討することが今必要なのではないかということを感じました。それが1点でございます。
 もう一つは、先ほど来、議論になっております概算要求の事業についてですけれども、私どもの県でも学校支援ボランティアということで数年前から具体的に取り組んでまいりました。今県内でもかなり市民権を獲得しつつあるのですけれども、まだ残念ながら、やはり点に過ぎないということで、この学校支援地域本部事業は、そういった意味では大変心強い事業でいい事業だと思っております。ぜひ予算獲得に頑張っていただきたいと思います。ただ一つこれに関連して申し上げたいのは、私は以前もこの会で話をしたのですが、ちょっと過激な発言をしますけれども、今、地方では成人教育が壊滅状況です。とりわけ高齢者教育というのは、まさに細々とやっている状況なんです。そういった中で、やはり成人教育の充実ということをいま一度考えないと、私は学校支援も強力なものにはならないだろうと思っているわけです。
 ただ一方では、学校支援という取り組みの中で、私どもの県の例ですが、地域教育コーディネーター養成講座という事業を実施しているのですけれども、この中に実はかつて成人教育の受講者として活発に活動していた人たちが今、入ってきているわけです。そういった意味で、学校支援地域本部事業を具体的に始めていけば、ある部分、成人教育も少し活性化するところがあるのかなという意味でも、この事業に期待をしております。
 ただ、学習支援活動の中に教科指導の支援、これは先進的な取り組みをしているところでもかなりやっているわけですが、このペーパーではあくまで例示でしょうから出てこなかったのかもしれませんけれども、総合的な学習の時間の指導者だとか、豊かな体験活動の指導員という例示しか学習支援活動のところには出ていません。私どもの県でも学校のほうが教科指導の支援には最初は強く抵抗するけれども、やがて学校に支持されて喜ばれるのは、実は教科指導の支援なんです。ですから、そこら辺のところも積極的に取り組んでいかないと、この事業に対する学校の期待度をちょっと下げてしまうのかなということを感じました。
 以上でございます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。では、どうぞ。

【米田委員】
 まず最初に、今回これまでのをまとめたのは、いろいろな意見を出して、しかも大雑把な方向性ということでは賛成なんです。それから、今の社会教育法とか生涯学習のところですが、私は前のときに文化芸術振興法と社会教育とか博物館の関係も申し上げました。生涯学習社会の中で個別に見れば、図書館や公民館や博物館となっていきますけども、生涯学習、社会教育法全体の中で見ていきますと、恐らく図書館もそうだと思うんですが、美術館・博物館は、あらゆる年齢層の市民に開放された研究と保存、教育とレクリエーション(娯楽)のための機関です。生涯学習社会を迎える現在、僕たちは結構昔から「美術館は市民の学校であり大学」と言ってきました。美術館が学校であるならばどんな学校であるべきか、かつて、数学者の遠山啓先生は、将来の学校は自動車学校型と劇場型に二極化するのではないかという言葉を遺しています。ある一定の技術を習得し、ライセンスをもらうことが目的の自動車学校型と、お金を払って感激する劇場型は面白ければ見るし、面白くなければ見ない。本来、人間を育てる学校は後者の劇場型だという。つまり、学校はドラマとしての性格を強く持っていて、そこで子どものエネルギーを結集して、若いエネルギーを発散させる、いわば祭りの場になるだろう、というのです。
 そうすると、私たち美術館もまたそういうことをやっているわけです。この夏は、佐賀大学と組んで遊木展という木と遊ぶワークショップを行いました。木をくり抜いて滑り台をつくったり、いろいろなことをやりました。この1カ月でお母さんも子供たちも、1万7,000人が来てくれました。私は前の会議でレクリエーションとか娯楽の重要性を申し上げましたけども、こういうときに学芸員や司書や社教主事、つまりドラマチックな劇場として、コーディネートしていく人を学芸員だ何だと切るのではなくて、社教主事の専門性として加わるとよいと思います。教員に帰るためのステップとしての社会教育主事であってはならないのではないかと思います。だけど優秀な先生がいるという話をしましたけれども、まとめにくい話をしてしまいましたけども、今もっと大きく見ていくと、20世紀は科学技術の世紀でした。その科学技術が人類の生活を無限に豊かにしてくれると信じたが、21世紀に大きな宿題を持ち越しています。地球の環境問題、人口問題、エネルギー問題、食糧問題、これらを解決する「新しい文明のシステム」がまだできていないという問題。この状況下で人類は葛藤しています。この葛藤とは、政治的・経済的にはEUやASEAN(アセアン)など「地域の統合」と「民族の独立を目指す個別化」との対立であり、文化的には「合理的な考え方」と「非合理又は合理を否定する考え方」の対立です。未来に向かって克服すべき状況にあって、矛盾する相対立力(勢力)の中から「新しい文明のシステム」を作り出そうとしているのです。しかし、この中で美術館・博物館は、すでに環境問題や自然保護、文化による国際交流の面で具体的に事業展開を始めています。小さな美術館・博物館の大きな使命があります。私は、日本の美術館・博物館が長年収集・蓄積してきた文化芸術や、日本の伝統技術を生んできた社会システムに潜在する価値を、もう一度見直す中に新しい文明のシステムを考えるヒントがあるように思っています。こういう総合的な生涯学習の立場から文化や国際交流を考えていくときに、生涯学習振興法だとか社会教育法とか、いわゆる社会教育では何ができるのか。それをするためにどうすればいいのかというところがあって、総合的な共通理解がないといけないと思います。内科と外科と産婦人科と全部あるというアパートのような病院ではなくて、1人の患者にすべての専門のお医者さんが問診して協議して、この人はこういう治療法をしていくように、1人の顧客の満足度を高めていくような社会教育をどうすればいいのかという話をしていくと、ここは非常に重要だと思っています。
 もう一つは、5回やってきまして、博物館法だけ見れば、図書館法と博物館法で1日でしたから、とてもこの中でこの法律の改正の話は、まだだと思います。総論としてはこれでいいと思っていますけども、大きなことを言いましたのは、この世界の中で、日本の中で生涯学習は今何をするのか。その中に家庭とかありますけども、最初だから大ぶろしきを広げたほうがいいかなと思っていまして、ちょっと意見を言いました。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございます。

【菊川副委員長】
 7ページですけれども、2点申し上げたいと思います。(4)の社会教育委員の2つ目の丸、社会教育法13条の審議会等への諮問の件ですけれども、確かに規定の趣旨を十分に検討してということで、憲法との関係もあると思いますが、その観点と、もう一つ、地方では社会教育委員を任命する大きな根拠になっているのが、この13条なんです。
 うちの県でも予算がないから社会教育委員、少しの謝金ですけど、任命しないというところが出てきております。ところが社会教育委員というのは、あまり審議しませんでしたけれども、社会教育主事とセットの仕組みだと思うんです。どちらかというと、都会ではあまり活動が活発ではないかもしれない。あるいは、市町村に比べて県のほうは審議機関になっているかもしれないけれども、少なくとも市町村の、どちらかというと地方の社会教育委員というのはよく働いています。社会教育委員というのは、たしか昭和7年からの設置だったと思いますが、何十年という歴史があって、そういう歴史の重みみたいなものは大事にしたほうがいいのではないかと思っております。
 そういった意味で、13条の問題は技術的に解決できるところがあるのかもしれないのですが、それにしても、それをきっかけに社会教育委員というせっかくのお宝が地方でなくなるというのはいけないのではないかというのが1点です。
 それと2点目ですが、(5)の社会教育施設全般の下から2番目のコミュニティセンターや生涯学習センターをどう位置づけるか検討が必要ということですが、同じ生涯学習センターと名乗っていても、条例上は公民館で、名称を生涯学習センターとしているところもあるし、条例上も生涯学習センターであるところもあります。実態は、今のところ条例上、位置づけていなくても公民館と同じ活動をしているわけです。ですから、法律の中に、公民館、図書館、博物館と位置づけたときに、実態は公民館で、名前だけ生涯学習センターというのを何らかの形で位置づけないと、ここもお宝が落ちていくのではないかと思っております。
 それから、先ほどの予算の件で補足ですが、一つは家庭教育の標準カリキュラムの検討が入っているのが大変画期的だと思ったのと、それから先ほどおっしゃったように、学校教育本体の中に、教科の中にもきっちり位置づけていくほうがよいと思います。ただ、そうするためには校長先生のリーダーシップを初め、学校の経営力みたいなものが問われてくると思いますので、その辺は今から主幹教諭とか指導教諭とか、学校のほうの体制が整っていくと思いますので、それと歩調を合わせる形で、こういうものがきちっとじっくり位置づく、これは個別事業というよりも制度だと思ったところです。

【山本委員長】
 ほかにはどうでしょうか。

【讃岐委員】
 特別というあれはないのですが、最初、施設論ですね。学校にしても、公民館にしても、博物館にしても、法体系が施設論でずっとやってきたと思うんです。ところが、今は機能的に見直していく段階で、今起こっている問題ではないかと。といいますのは、従来の社会体系の中で公民館内にあって、学校内にあって、ずっと来た。それが専門性でもあったし、場合によると自己完結型にもなってしまったし、閉鎖化している。これで社会に対応できなくなったものだから揺さぶりをかけようというか、それが今起こってきている。機能論から入って、いわゆる公民館は何をやったらいいのか、青少年施設の組みかえが何とかかんとかという形で、どんどんと。そういう形の社会教育なり生涯学習の点から見て、今後はそれぞれの施設が閉じこもるのではなくて協働していくのか、あるいは住民の側からの参画をどう動かしていくのか、あるいは新しいマネジメントをつくっていくのか、そういう体系の中に位置づけていくことが今求められているのではないかと思いますので、その辺の形で施設の位置づけ等を検討していただくとはっきりするのではないかという思いがしました。

【山本委員長】
 ありがとうございました。

【明石委員】
 かなりよくできているという感じがいたしまして、その中でキーワードは何かなと。今回、小委員会で3回やってきましたが、社教法が60年たって、讃岐委員がおっしゃるように機能的な問題も出てきた場合に、一つは、ここにありますけど、地方の分権社会において社会教育の在り方をどう組み立てればいいかということで、明記されていますけども、地方分権といったときに法律と条例とありますよね。今後、国としては法律を改正していくけども、地方においてはどういう条例をつくれるのかとか、そういう示唆があると、地域の見合った生涯学習の基本計画ができるかなと思っています。
 2点目は、興梠委員がおっしゃったように、参加と参画を促すような仕組みづくり、これは戦後60年間、非常にそういう動きがあった。その辺をもう少しキーワードとして、この中で出していければというのがありました。その辺の検討を、今度は分科会でもしていきたいと思っております。
 最後、つけ加えですけども、学校と社会教育の学社連携から融合という、昭和46年の連携の中から来ていましたね。これも機能論的なことでやっていかないと難しいと思っていまして、それは永遠のテーマでしょうけど、やっていきたいのですが、そこで一つ、学校といったときに大学がどうも視野にないと思うんです。今回の場合も、高等学校の図書館はいいのだから、もっと活用しましょうとありましたけども、もっと言うなら大学の図書館はもっといいんです。最近、各大学は地域貢献ということをキーワードにしています。そういう視点から考えると、学校の中に大学も視野に入れてくれると地域の活性化もつながるかなと。あの財産は貴重だし、大学も地域貢献ということを銘打っていますから、一つそういう視点がほしいと思いました。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございました。欠けているところということで幾つかご意見をいただいておりますが、私もちょっと気がついたのですが、情報関係のことは教育基本法では社会教育の条文と家庭教育の中に情報の提供のことが書いてあるのですが、今回の小委員会のほうでも施設のほうはかなり情報関係を言っているのですけれども、社会教育全体として情報関係のところが出てきてないところがあるので、やはり教育基本法を受けて法改正となると、今の高度情報通信技術の積極的な活用を考えて、学習の機会の提供とか情報の提供を行うことを言っておく必要があるかなと思いますので、ちょっと申し上げておきます。
 ほかにどうぞ。

【高橋(守)委員】
 2点お願いいたします。1点目は、先ほど成人教育がおくれているというお話がありましたが、もう少し厳密に見ていくと、働く世代の社会教育が少し困難な状況にあるというのが1点。それを、法制度の中でどこまで落としていけるのかわかりませんけれども、何らかの形でスタイルをつくっていけるといいなという気がします。
 それから、私が一番おくれていると感じていますのは、青少年教育の中の中学、高校、若者世代です。果たして社会教育や生涯学習の中でどこまで意識されて進められているのか。確かに、興梠委員がおっしゃるようにボランティアという視点は、その中の一つの中核的な意味を持っていると思いますが、もう少しトータルに若者の育ちというものが社会教育なり生涯学習の中で位置づけられていく必要があるのではないかと。特に、そこが落ち込んでいると、私は強く感じております。
 それから、2点目は、社会教育主事の問題ですが、いろいろ議論されてまいりまして、ここに挙げてあるとおりですが、もう少し突っ込んでみますと、社会教育主事は対症療法的な仕事ばかりやっていないか。そこにかなりウエートがいっていて、もう少し根本的な問題を見据えて仕事を進める力が必要ではないだろうか。そういう意味では、ここに企画力とか企画立案、コーディネート、連絡調整というものも出ておりますけれども、それに加えて、もう少し地域社会の仕組みづくりとか、場合によっては青少年が活躍する仕組みづくりや仕掛けづくりなどが必要ではないか。仕組みづくりの能力も企画力といえばそうなのですが、もう少し基本的な問題が解決できる力が社会教育主事に求められるのではないかという気がしております。加えていただければ幸いです。

【山本委員長】
 ありがとうございます。大体ご意見いただきましたか。よさそうですか。
 もし、よさそうであれば、きょういただいたご意見、私のほうで預からせていただいて、整理させていただいて、今のまとめの中で強調すべき点とか、あるいは、これは欠けているようだからつけ加えなければいけないということも出てくると思いますが、そんな整理を事務局のほうとさせていただいて、分科会のほうに上げていきたいと思います。

【糸賀委員】
 8ページのところの図書館法のほうは。

【山本委員長】
 それ全部含めてと、さっき申し上げたつもりだったんですが。

【糸賀委員】
 では、当然あります。今、社会教育法の議論をしていて、失礼しました。

【山本委員長】
 失礼しました。どうぞ。

【糸賀委員】
 では、図書館法のことで発言させていただきます。
 先ほど明石委員が言われたように、私もきょうの素案の9ページ、図書館法関係の(3)「その他」の一番最後に、学校図書館の中で高等学校の図書館が充実しているとありますが、後で発言しようと思って手元のメモでは書いていたので、明石委員のおっしゃるとおりです。これはむしろ大学図書館が積極的に、ここでは開放という言葉を使っていますが、学校は学校開放なのかもしれませんが、大学ですと公開ということになると思います。
 今、大学では地域貢献、あるいは社会貢献ということが言われております。大学図書館が持っている資源を有効に地域社会の中で生涯学習に活用するということは考えられますので、ぜひその点はうたっていただきたいと思います。
 一方で、高等学校の図書室が充実しているというのは、多分私の意見ではないと思いますが、私は図書館に多少かかわっている人間としては、ほんとうに日本の高等学校の図書館が充実していると言っていいのかどうか甚だ疑問で、まだまだ改善の余地は高等学校の図書館についてもあります。
 そういう意味では、図書館に限らない話だと思いますが、従来、連携の相手、つまりパートナーとしては教育委員会が所管している施設が中心だったわけですが、もはや、これはそれに限られないと。正直言って、大学も学校教育法の中では学校の一つですけれども、小中高だけではなくて大学との連携もありますし、さらに言えば、保健所、保健センターでありますとか、子育て支援ということでは幼稚園とかとの連携も当然視野に入れなければいけません。さらには、図書館ではビジネス支援ということを、ここ数年随分うたっております。そういうことを考えると、例えば商工会議所とか、あるいは農協、漁協といったところとの連携も十分考えられる。そういう連携がしやすいような法や制度の再編をぜひお願いしたいと思います。今のが一つ。
 それから、2番目には、同じ9ページの一番上に(2)「司書及び司書補の資格」について書かれております。ここに書かれているような上級司書や専門司書についても、今後、制度化を進めていく必要があるのですが、その一方で、現在、図書館の在り方についての検討協力者会議におきまして、大学における司書の養成についても見直しを進めております。司書の資格を取る手段、あるいはルートはいろいろあります。夏に大学で開催される講習を受けて資格を取る方もいらっしゃいますが、多くの人たちは、やはり短大ないし4年生の大学在学中に資格を取ることが多いわけです。もちろん資格を取ったからといって、これが直ちに就職できない、図書館に勤められないことは大きな問題ではありますが、司書を養成する主たるルートとしては、やはり大学での養成が中心です。この養成の在り方についても見直しをする必要があるということで、検討協力者会議で検討を進めておりますので、その点についても(2)の中で触れていただいたほうが、一層制度化が進めやすくなる。これは当然、図書館法の施行規則の改正にもつながってまいりますので、そのことについても、一、二行で結構ですから触れておく必要があるだろうと思います。これが2番目。
 それから、3番目、一方でこうやっていろいろと生涯学習全体の見直しを進めていったときに、先ほど来年度の概算要求の説明の中で課長も言われましたが、次は意識改革も必要だと。法や制度を変え、次に予算をとり、最後は意識改革だということを言われました。図書館だけではなく、いろいろな生涯学習施設で働く職員の意識改革も進めていかなければ、最後の仕上げといいますか、画竜点睛を欠くことにもなります。
 そういう意味で、司書の研修の充実も図らなければなりません。先ほど2番目に申し上げた大学での養成というのは、いわば司書資格としての出発点です。その後のキャリア形成をどう考えていくかという視点がなければ、せっかく構想したものもなかなか実現できないことになります。そういう意味では、研修をきちんと制度化し、あるいは体系化し、その研修がきちんと受けられるというふうにしないといけません。
 実は、これは文科省が調査した結果わかったのですが、現場の図書館員からすると、研修を受けたいのはやまやまだと。だけれども、職場の事情でなかなか研修が受けられない。一つは予算をつけてもらえない、あるいは司書の配置が、人数が少ないので、職場をあけると図書館が店を開けなくなってしまう。そういうこともありまして、なかなか研修が受けられない。
 ところが、現在の社会教育法の中では、社会教育法の28条、職員の研修についてうたわれているところがあります。お手元の資料で確認していただければありがたいのですが、現在の社会教育法の第28条の2項ですが、ここで公民館の職員の研修についてはうたわれております。どういうことがうたわれているかというと、社会教育法第9条6の規定は、公民館の職員の研修について準用するとなっております。公民館の職員の研修について、第9条6、つまり都道府県や国が、そういった研修をやることの規定が公民館の職員の研修については準用されているのですが、なぜか図書館や博物館の職員については、これが準用するという規定がございません。
 そういう意味では、公民館の職員と同様に図書館の職員、少なくとも私は図書館の司書、あるいは博物館の学芸員については、こういうふうな準用が同じようになされて、研修を受ける機会が保障されるべきだろうと思います。そうしないと、先ほど課長がおっしゃっていたような職員の意識改革もなかなか進まないことになるのではないかと思います。ぜひ、その辺についても触れていただければ幸いです。
 以上です。

【山本委員長】
 今回の資料2の最後の2枚を見ていただきたいのですが、それぞれ図書館と博物館のほうでは制度の在り方の検討をする検討協力者会議がございまして、その報告が出ていますが、それらはこういう形でつけて、上までずっと上げていきたいということで事務局につけてもらっていますので、その点もお含みおきいただければ、またこれを活用していただければと思います。

【米田委員】
 糸賀先生のお話、学芸員と大分重なっていますので、ありがとうございました。その養成のことからいけば、社教主事、司書、学芸員、もともと兄弟ですから、その後の研修のこともしたということでありがたいと思っております。
 ただ、今、全博協という大学の博物学講座の先生方の全国組織がございまして、これが学芸員があまり使い物にならない的な言い方をされると困るという声があります。学芸員養成の中で、大学の果たしてきた役割をもう少し評価してほしいということがあるようです。
 それから、前回のお話のときに、基礎的な資格として、学芸員になる、司書になるではなくて、そういう人たちが社会の各分野に散っていくということ自体は悪いことではないと。キャリアの話はその次のステップだと思います。
 そういう意味では、現場から言えば研修になるべく出していきますけれども、職員の人数の問題とかローテーション、それから夜間開館をしていけば足らないということがありますから、それが社会教育関係職員の権利として研修が受けられることは全く賛成です。
 それから、もう一つ、学校教育との連携の中で一番おくれているのは高等学校のように思います。小・中学校はまだ何らかの形があるのですが、うちの館は遠隔地の高等学校と映像でつないで二元ではやっておりますけれども、それは点みたいな活動です。むしろ明石先生がおっしゃった大学との連携は非常に助かっています。大学も変わってきたということですよね。うちの館でいえば、毎月2回、イブニングコンサートということで、4時と6時に2回演奏会を地元の長崎大学と活水女子大学に交代で月2日やっていましたり、それから、先ほど申し上げました佐賀大学と組んでやっているワークショップは木と遊ぶ「遊木展」で、ある意味では環境問題を考えているわけです。今の子供たちがプラスチックしか触れませんから、生の木に触れて温かさとか、においとか、肌触りを遊びながら学ぶということは、来ているうちに親御さんも一生懸命遊びますから、親御さんも昔は子供ですから、こういう中に佐賀大学の学生さんたちが交代で泊まり込みながら、ずっと来てくれています。
 それから、高等学校も大学も短大もそうですけど、インターンシップということで、1週間とか研修に来るようになっていますので、むしろ大学との連携は進んでいるように思っております。
 そういう感じで、地域の中で今までよりは連携は進んできていると思いますけど、やっぱり一番の問題は高校生をどうつかんでいくかということと、ティーンエージャーをつかんでいかないと、この国はよくならないと思っていますので、その問題が大事だと思っています。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、いろいろご意見をいただきましたので、最終的に事務局と相談しながら調整をさせていただいて、分科会への報告というふうにしていきたいと思うんですが、よろしゅうございましょうか。──ありがとうございます。では、そうさせていただきます。
 今後の予定ですが、最初に議論が出ましたので繰り返しませんけれども、生涯学習分科会のほうで議論すると、また田村分科会長のほうからいろいろお話もあるかと思いますので、これはどうしても小委員会でということが出てきました段階で、必要に応じて、この小委員会を開催させていただくことにしたいと思います。その際には事務局のほうからご案内申し上げることになると思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、事務局、どうぞ。

【上月生涯学習推進課長】
 いろいろ貴重なご意見、ありがとうございました。委員長とよく整理をしていきたいと思います。
 この報告を行う分科会の日程ですが、9月12日、10時からグランドアーク半蔵門で行うこととしております。分科会にもご参加いただいている委員さんもいらっしゃいますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日はどうもありがとうございます。

【山本委員長】
 そういうことでございます。それでは、きょうはこれで閉じたいと思いますが、短期間で毎週のように議論していただいたり、大変強行軍だったのですが、改めて資料2の案を見ますと、非常に内容が充実しておりまして、さすがにそれぞれの領域の第一人者にお集まりいただいただけのことがあると思っております。そのようなことで、分科会に上げていきたいと思いますので、今後またよろしくお願い申し上げます。
 それでは、きょうはこれで閉会にしたいと思います。どうもありがとうございました。

─了─

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生涯学習政策局生涯学習推進課

(生涯学習政策局生涯学習推進課)