制度問題小委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成19年7月27日(金曜日) 14時~17時

2.場所

ホテル虎ノ門パストラル新館 「ミント」(4階)

3.議題

  1. 論点の整理(主に図書館法、博物館法に関する事項)
  2. その他

4.出席者

委員

 山本委員長、菊川副委員長、明石委員、井上委員、糸賀委員、興梠委員、鈴木委員、高橋(興)委員、高橋(守)委員、水嶋委員、山重委員、米田委員

文部科学省

 加茂川生涯学習政策局長、合田総括審議官、関口大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、清木生涯学習総括官、関初等中等教育局視学官、徳久大臣官房総務課長、川上生涯学習政策局政策課長、上月生涯学習推進課長、平林社会教育課長、湊屋男女共同参画学習課長、椿参事官、安間青少年課長、濱口民間教育事業振興室長、岩佐家庭教育支援室長、今野生涯学習調査官、小林生涯学習推進課課長補佐

5.議事録

【山本委員長】
 それでは、時間になりましたので始めたいと思いますが、興梠委員は15分ほどおくれるという連絡が入っておりますので、いずれお見えになると思います。
 ただいまから、中央教育審議会生涯学習分科会第5回制度問題小委員会を開催いたします。
 本日は、お忙しいところ、また大分暑くなりましたが、ご出席くださいましてまことにありがとうございます。
 きょうは、お手元の資料のほうの議事にございますように、論点の整理ですが、図書館法、博物館法が問題になるわけで、きょうはその2つのところについての議論をしていただくということになりますが、例によりまして、3時間の長丁場でございますので、2つに区切りたいと思っております。
 まず最初に、博物館法のところでございます。それを取り上げたいと思いますが、これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議の報告が出ておりますので、それを事務局のほうから説明いただいて、その後審議ということで、その審議に50分ぐらいとれるかと思いますが、その後休憩ということです。
 続いて、図書館法ですが、きょうは、元鳥取県立図書館長で現在鳥取県の自治研修所長をしております齋藤明彦氏をお招きしてご意見いただくことになっております。よろしくお願いいたします。その後、これからの図書館の在り方に関する検討協力者会議の委員でございました糸賀委員のほうから、その会議の報告がありますので、その報告書の内容の紹介というようなことをやっていただき、続いて、事務局のほうから論点メモ等についての説明をいただいて、残り時間を審議ということにさせていただきたいと思っております。
 それでは、早速でございますが、まず博物館法について、事務局から説明をお願いいたします。

【平林社会教育課長】
 それでは、まず資料のご確認をしていただければと思います。お手元の資料、まず資料1-1から博物館法関係の資料、論点案、それからその関連資料、そして「新しい時代の博物館制度の在り方について」、これは概要と冊子をおつけしております。それから、資料2のほうは、図書館法についての一連の資料でございまして、こちらも論点案、それからそれの関連資料、そしてこちらも「これからの図書館像」という報告書が出ております。それの概要と冊子をつけております。それから、資料3として、これまでの主な意見ということでございます。それから、参考資料として、1、2、3をつけています。
 それから、机上配付といたしまして、米田委員、また水嶋委員からは「ミュージアム・マネジメント・トゥデイ」という冊子の配付をいただいております。それから、清國委員、山重委員から社会教育関係の資料をいただいております。それから、後ほど図書館法の関連でお話しいただきます齋藤先生と糸賀先生からの資料をお配りさせていただいております。
 それでは、博物館法につきまして、資料1-1、1-2、3の冊子をもとにご説明をしたいと思います。
 博物館法の見直しの方向性、先ほどの山本委員長のお話にございましたように、法改正を念頭に報告書、博物館の在り方に関する検討協力者会議というもので議論されておりますので、それをたたき台にしていただければ、今までの小委員会等の意見等も大体こちらのほうに入っているのではないかと思っておりますのでいろいろ整理させていただきました。
 まず、博物館の現状について、資料1-2を開いていただければと思います。
 まず、ページ数、下の番号2というところで、博物館の制度的分類ということであります。博物館には、博物館法上の位置づけを持つものとしての「登録博物館」と「相当施設」というものがございます。登録博物館というものが博物館法では規定されておりまして、参考資料3を1枚めくっていただきますと、博物館法の条文が書かれておりまして、定義というのが第2条としてございます。ここで博物館法における博物館とはということで、歴史、芸術云々の資料を収集、保管し、何行か飛ばしていただいて、地方公共団体、あるいはこれはまだ施行になっていませんが、社団法人、財団法人、宗教法人または政令で定めるその他の法人が設置するもので、「第二章の規定による登録を受けたものをいう」というように規定されているところでございます。
 資料1-2に戻っていただきますと、登録博物館は、一応登録を受けるために設置主体というものが限定されておりまして、ここにございます教育委員会、これは教育委員会所管の地方公共団体という意味でございます。それから、民法34条法人、宗教法人、それから政令で定める法人としてNHKと赤十字が定められております。
 それから、登録の要件といたしまして、館長、学芸員を必ず置くということ。それから、年間150日以上開館といったようなこと。これは主として、外的な認定基準が置かれるところでございます。そして、実際に登録を行う主体としては、都道府県教育委員会というように定められておりまして、それを受けて登録を受けた博物館は、現在、17年度の調査によりますと865館となっております。
 それから、博物館法におきましては、もう1つ相当施設という概念を設けているところでございまして、こちらも実際の条文をあけてみますと、先ほどの参考資料3の8ページの第29条でございます。博物館に相当する施設として博物館の事業に類する事業を行う施設で、国または独立行政法人が設置する施設にあっては文科大臣、その他の施設にあっては都道府県の教育委員会が相当する施設として指定したものというような規定がございます。
 こういう相当施設というものを設けて、資料1-2に戻っていただきますと、この相当施設につきましては、設置主体の要件について特に制限はございません。また、登録の要件といたしましては、登録博物館に準じて学芸員に相当する職員の必置ということ。それから、年間100日以上開館といったような要件が定められております。こちらのほうの現在の館数としては331館となっておりまして、合わせて1,196館が博物館法上の博物館となっております。
 それから、一番下、博物館類似施設というものがございます。こちらは、一応統計上把握しているものでございまして、博物館法上の位置づけは特にございませんので、したがって、いろんな要件等々についても制限がないというものでございます。博物館という名称自身、法令上特に制限や禁止等もございませんので、そういうものをとらえているというふうなものは一応博物館と名乗ることは残念ながら簡単じゃないというのが現状でございます。
 その類似施設として私どもが把握しているものが、基本的に4,418を占めているというものでございまして、次の3ページの推移を見ていただきますと、全体として博物館は増加しているんですけれども、特にこの類似施設というものが増加している。今申し上げた登録と相当施設というものが博物館法上の根拠を持つわけですが、この施設の割合は全体の約2割にとどまっているものでございます。
 現状を簡単に説明しますと、下の4ページ目、入館者総数の推移につきましては、これは館種によって非常にばらつきがあるというものでございまして、歴史あるいは美術については増加の傾向にありますがというような現状であると。
 それから、5ページ目でございますが、資料購入予算の状況を見ますと、公立の博物館については、ここにございますように、100万円以下というものが4分の3というように、状況として非常に厳しいということでございます。
 それでは、論点に入らせていただきます。資料1-1でございます。
 まず1番目、博物館法の目的等について。こちらのほうの問題意識といたしましては、基本法の改正がございましたので、それを受けて目的というものを見直す必要があるだろうということです。報告書におきましても、この冊子でいいますと4ページでございますが、基本法の改正を契機として、生涯学習社会の実現に向けて博物館の役割を果たす必要があるだろうと。これによって見直しが必要になるだろうといったことを挙げております。
 それから、博物館法では、学芸員制度についての規定もございます。こちらの現状をまず説明したいと思いますが、先ほどの関連資料、資料1-2の11ページをごらんいただきたいと思いますが、先ほど博物館自体は登録であれ、相当施設か、あるいは類似施設であっても、博物館の数は増えているわけですが、それに対応いたしまして、学芸員数自身は総数としては増加しているということが言えると。1館当たりの学芸員数は、特に登録・相当において増加しているということでございます。
 12ページ、学芸員の配置状況ということでございますが、ここに平均的な登録博物館、あるいは相当施設については、1館当たり平均3.2人の学芸員が配置されているということでございますが、類似施設につきましては、特にそういう規定もないということから、1館当たり平均0.5人ということで、この点は十分ではないということが言えると。
 それから、論点に戻っていただきますと、今回、博物館の見直しということでございますが、そういった現在の課題として現代社会の変化や利用者のニーズに対応して、学芸員の専門性を高めるということ、あるいはその配置を進めるということが必要ではないか。その場合に、大学における学芸員の養成課程や学芸員資格をどのように見直すべきかということが課題としてあろうかと。
 報告書の提言といたしまして、学芸員の養成段階のあり方として、まず大学と博物館が協働して学芸員を養成する体制づくりが必要ではないかということ。特徴として、黄色い冊子でいいますと、4ページに提言として、大学におきます博物館に関する科目について、経営・教育・コミュニケーション能力の育成を重視し、それによって見直しをしたらどうだろうかと。そして、科目を修得した者について学芸員基礎資格(仮称)を付与してはどうかというようなこと。それから、博物館での一定期間の実務経験というものを学芸員資格の要件に位置づけたらどうかということ。それから、新しい養成段階として大学院レベルの専門課程も検討してはどうかということ。
 現状は、また資料1-2の関連資料に戻っていただきますと、15ページに、社教主事、司書、学芸員等の資格の比較というものをつけてございます。この一番右側の欄が学芸員でございます。現在、学芸員につきましては、条文上は、主として大学による養成といったものがルールとしてございまして、ほかの職種の場合には講習制度というものが制度化されているんですが、それはないということで、基本的に4年生の大学で学士の称号を得てもらって、大学において博物館に関する科目を修了していただくと。その単位数として8科目12単位を修得していただくと。そういった方に学芸員の資格が与えられるものでございます。
 その科目の中には、博物館実習というものがございまして、在学中に博物館で実習して、それを単位として取得するということが一応科目として認めていく、そういった制度を変えていこうではないかというのが報告書のほうで出されておりまして、変更のイメージとして、報告書の中の32ページに学芸員資格取得までの流れというイメージ図がございますが、ここにございますように、ちょうど真ん中のルート、大学を想定した場合に、大学で博物館に関する科目、それ自身も拡充すべきであるというようなことが提示されています。そこで修了した方について、学芸員の資格を与えると。それにプラスいたしまして、博物館において1年以上の実務経験を得た学生さんについて、その登録博物館の学芸員となる資格を付与するというような制度改正をしたいというような仕組みであります。というのが養成段階でございます。
 それから、もう1つの柱は、現職学芸員の段階的な専門的資質・能力の向上というものでございます。この研修につきましては、資料1-2に戻っていただきますと、13ページ目、14ページ目に研修プログラムへの参加状況等々がございます。館外の研修プログラムに参加した方というのが全体で6割となっております。実際に参加できない理由としては、場所、時期等々が合わない、あるいは仕事が忙しいという内容が多いということです。
 一方で、研修法について、14ページ目にございますように、資料の収集、整理等々を希望する声が多いということでございます。
 そこで、そういった現状等も踏まえて、一応論点として学芸員制度、学芸系職員を対象に、現職研修の体系化、あるいは現職学芸員が受講しやすい多様な形態による研修といったものを工夫することが必要であろうと。
 大学、博物館とのネットワークの構築によって、相互の自治体で協力し合うということ、情報交換をして人材育成を資する場をつくることが必要。こちらは、先ほど1年間の実務経験というものを言う以上は、大学側あるいは博物館側がちゃんとケアする必要があるだろうというような形でございます。
 それから、学芸員の上級資格、一定の経験なりを積んだ者についての上級資格をつくってはどうかというような意見がございますが、こちらのほうについては、なおも検討すべき点が多いということで、引き続き検討するという意見がございます。
 それから、3番目として、博物館登録制度についてでございます。先ほども現状で報告申し上げましたように、博物館法上の登録博物館が全体の2割程度にとどまっているといったような状況でございます。その中で、登録博物館が我が国の博物館活動の基盤を形成して、中核制度として発展していくためにどういった制度を構築したらよいかというような問題意識を持っているものでございます。
 さらに、若干現状を説明しますと、資料1-2の6ページ目をごらんいただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、設置主体は非常に多様化しておりまして、登録博物館、左側においては、教育委員会所管のものが6割、あるいは民法34条法人で30パーセントとなっておりますが、相当施設になりますと、そういった要件もなく、実質の制限がなくなってくるということから、首長部局のものであるとか、あるいは国・独法といったものも対象に入ってきますし、類似施設となりますと、同じような傾向で、そこでも教育委員会所管が52パーセントといったような状況になってございます。
 類似施設の現状が次の7ページ目にございまして、これは建物の面積とか開館日数状況について、それぞれどれぐらいの館数であるかというものを表にしたものでございますが、左側にございますように、類似施設の80パーセント以上が、実質的な登録博物館の基準である165平米以上といったような建物の面積を持っているということ。あるいは、右側の類似施設の90パーセント以上が、登録博物館の基準である150日以上の開館を実施しているということでございます。
 また、博物館における事業実施状況というのが8ページにございますが、教育普及事業、各種講演会とか講座といったものについての実施率を各館種ごとに調べたものでございます。一般に登録相当施設のほうが、概してその実施率は高いということが言えるかと思います。といっても、類似施設であっても、そこそこでやはり事業というものが行われるということでございます。
 それから、もう一度戻っていただいて報告書の提言でございますが、ここで論点として、まず登録制度の範囲でございます。新しい登録制度につきましては、博物館の質の向上を促すような制度にすべきであるといったことが、この検討会の報告書では基本的な考え方として持っておりまして、それをそれぞれどういうふうに具体化していくかということの提言をいただいております。
 登録制度の範囲につきましては、それぞれの博物館にふさわしい活動の内容面を重視する観点から、登録申請資格の設置主体の限定というものを撤廃してはどうかということ。それから、その場合には相当施設の指定制度をなくしまして、登録制度に一本化してはどうかということ。
 登録基準の中身でございます。先ほど申し上げましたように、現行の登録基準は、主として外形的な基準、150日以上開館、あるいは司書を置く等々の外形的な基準を使っておりますが、その辺についてを見直すべきではないかということを言っておりまして、博物館館種さまざまございますが、この多様性を尊重し、自主的な運営改善を促すような制度設計にしてはどうかと。その場合、やはり館種の違いがございますので、すべての館に適用する共通基準と、館種あるいはそれぞれのミッションの違いに配慮した特定基準という双方を組み合わせるようなものにしてはどうかということでございます。
 それから、審査基準の中身としては、多少抽象的ですけれども、経営(マネジメント)、資料(コレクション)、交流(コミュニケーション)といったようなことを重視してはどうかと。非常にわかりにくい点もございますが、こちらのほうは報告書で申し上げますと、10ページから11ページにかけてございます。最後のコミュニケーションという部分は、施設と利用者の関係、展示を中心にして、利用者側のさまざまな学習活動に還元していくといったようなことから進んで、地域で地域住民等、利用者も含めて博物館なりを支えていこうというような趣旨でございます。
 それから、登録審査についてでございます。現在、登録博物館の登録審査は、都道府県の教育委員会で行っているところでございますが、関連資料の資料1-2の9ページをごらんいただきますと、左側、登録博物館についての定期的な要件を充足しているかどうかといったような確認調査をしている都道府県は、全体で15パーセントにとどまっているところでございます。当事者といたしましては、右側にございますように、定期的な状況確認については、確認・指導が必要だとお答えいただいたところが半数を超えているという状況にございます。
 そういったことを踏まえまして、登録審査につきまして、報告書におきまして実質的な博物館活動の審査を行うものに変えていくためには、博物館であるとか、資料、学習支援の専門家の協力といったものを仰ぐ必要があるというような趣旨でございます。
 それから同時に、一定期間ごとに報告書を提出していただく等々を行って、登録博物館としての水準が維持されているかどうかを確認しようというようなこと。
 それからもう1つ、情報公開と名称独占につきましては、審査に関する情報を公開するということ、あるいは登録を受けた場合に、他の博物館と区別されるような仕組みが必要だろうということで、名称独占であるとか、何らかのプレートを掲示するといったようなことを考えたらどうかということ。
 それから、この登録制度自身も制度改正した場合にふさわしい名称というものを、例えば認定制度、あるいは認証といったようなより適切な名称も検討してはどうかというような趣旨を書いてございます。
 それから、4番目、入館料規定についてでございます。現行におきましては、公立博物館の入館料につきましては、原則無料というように規定されているところでございます。現状といたしましては、資料1-2の16ページでございますが、公立博物館のうち、入館料を有料としているものが実は登録・相当施設の82パーセントに上っていると。逆に、類似施設のほうは55パーセントにとどまっているというような現状であります。ただ、有料にした博物館についても、ほとんどすべての場合に何らかの減免措置、高齢者について無料にする等々の減免措置をとってという状況でございます。
 続きまして、報告書におきましては、登録博物館おいては、入館料について無料ないしできるだけ低廉な額に設定すべきだというような提言でございます。
 それから、その他の論点、5番目でございます。1点目、博物館運営に関し、指定管理者制度あるいは地方独立行政法人についてどう考えるかというようなことです。これも、資料1-2に戻っていただきますと、17ページ、18ページに関連の資料をつけてございますが、現在、博物館におきましては、指定管理者制度が全体で16.2パーセント、登録・相当施設で14パーセント弱、類似施設では16.7パーセントというように、指定管理者制度の導入が進んでいるという現状がございます。
 一方、地方独立行政法人制度につきましては、博物館というものは適用はないというのが現状でございますが、関係者の中には、そういう地方独法化といったものについての要望を持っているという方々もいらっしゃるというのが現状でございます。
 そこで、提言等においては、指定管理者制度のもとでは、博物館活動が適切に行われているかどうか審査する上で登録制度の役割が重要になるのではないかということ。
 それから、運営の選択肢を増やすといった観点から、地方独法の博物館を認めることは有意義ではないかということでございます。
 それから最後に、学芸員の研修では、博物館における自己評価について規定することはどうかというのを報告書に書かせていただきました。こちらにつきまして、報告書提言におきまして、博物館の運営を改善するためには、自己評価等のプロセスも重要だというような提言を書いてございます。
 以上、説明が長々として恐縮です。よろしくお願いいたします。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、これからご意見をいただきたいと思います。博物館法の見直しの方向性ということでございます。資料1-1ですと、ここに5つに分けて区切りがありますけれども、頭の目的とか学芸員制度ですが、学芸員制度、登録制度は入り乱れるかもしれませんけれども、まず目的のところはどうでしょうか。これは見直す必要があるかということでございますけれども、改めて言うまでもないことになってくるのかですね。
 水嶋委員、どうですか。どうしてもここのところ……。

【水嶋委員】
 博物館の現状と博物館法の、前回もご指摘ありましたけれども、乖離していることと、それから生涯学習社会の実現に向けてということも含めて、ぜひ改正をすべきであろうというふうには考えております。
 以下の論点で、学芸員制度であるとか、あるいは登録制度の見直しについても絡んでくる問題ですので、博物館の定義も含めて、あるいは法的には設置主体のことも含めてご議論いただければと思います。

【山本委員長】
 どうでしょうか。
 はい、どうぞ。

【鈴木委員】
 簡単なことだけなんですが、現第1条、「この法律は、社会教育法の精神に基づき」という、そこがあるわけです。それは、社会教育法のときにもあれしたんですが、社会教育法の第9条のところで博物館や図書館が社会教育の機関だと。それに基づきということであるので、ここのところは図書館のほうもなんですが、きちんと押さえておくように私はしたほうがいいと。生涯学習の振興という、その中では当たり前のお話なんですが、社会教育法の精神にのっとりというのは、そこはもうそれしかということはきちんとしておいたほうがいいと思います。

【山本委員長】
 わかりました。ありがとうございます。
 ほかにはいかがですか。はい、どうぞ。

【糸賀委員】
 これは、きょうの後半で図書館について言及するときのものも重なるんですが、その目的と同時に、博物館法の第2条の定義がありますよね。この中で、「この法律において『博物館』とは」で始まって、目的を掲げるような内容で「その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い」というふうになっています。この中が、実は図書館法も全く同じなんです。「教養、調査研究、レクリエーション」と。前回の会議のときに、たしか山本委員長が、社会教育法の第2条社会教育の定義の中のいわゆる組織的な教育活動の後に、「(体育及びレクリエーションの活動を含む)」という、このレクリエーションという表現、これが昭和20年代半ばのレクリエーションという意味合いと、現代社会におけるレクリエーションというもののとらえ方に私、大分違いができているように思うんです。
 その一方で、スポーツ・青少年だとか、それが別にあるというふうなこともあって、前回の会議で山本委員長がその括弧の中の最後の「レクリエーションの活動を含む」というところが変わるようなことをたしか発言されたように記憶しているんですが。それとの関係で、博物館のほうのレクリエーション等に資するというくだりがあることの適切性をどうお考えになっているのか。別に、私、直ちにこれを削除したほうがいいとか、表現を変えたほうがいいとは思いませんが、やはりレクリエーションの施設というとらえ方と、生涯学習施設というとらえ方がうまく整合性がとれればこのままでもいいだろうと思いますが、図書館でも同じような問題を抱えておりますので、このレクリエーションというもののとらえ方について、改めて確認なり、どういうふうに山本委員長や水嶋委員が考えているのかお聞きしたい。

【山本委員長】
 水嶋委員、何か今のことについてありますか。いいですか。

【水嶋委員】
 ええ。

【山本委員長】
 レクリエーションは、この前申し上げたのは体育関係のレクリエーションですけれども、文化庁とも関係あるんですよ。生涯学習の定義のときも大分問題になったんですが、ですから、そちらのほうで娯楽とかレクリエーションとかそういうのが出てくるんです。それとの関係があると、先ほどの社会教育法のほうだけではなくて、そちらとの整合性も考えなくてはいけないので、そのあたりは事務局のほうで詰めてもらわないといけないかなと思っているんですけれども。
 つまり、そこまで含める、含めないというのは、例の文化とかスポーツを一般首長部局でもやってもいいとかいう、あれが絡むわけですよ。そこら辺があるので、一応地方教育行政の法律のほうではそんな議論をしていますから、その辺のところを絡んでということになるので、皆さんからご意見をいただいておいたほうがいいかという感じがするんですが。
 どうぞ。

【米田委員】
 私は、後でまたご説明しますけれども、博物館法の定義のところもそうですけれども、博物館法は社会教育法を受けていますね。これは図書館法と同じ親から生まれ出ましたから、図書館と博物館は兄弟だと思っています。大事なことは、「社会教育の機関とする」と書いてありますよね。つまり、施設と言っていますけれども、施設は箱ですけれども、機関ですから、組織をもって任務を達成する組織ということですから、私たちは箱ではなくて、人の組織だということですよね。
 博物館の仕事を、美術館、博物館、動物園おしなべて言いますと、4つの機能があるわけです。今までは、4つの機能のうち3つばかり先行しました。1つは、調査研究の研究活動。それから、収集・保存の保存活動。それから、展示及び教育の教育活動。国際博物館会議、ICOM(イコム)と言いますけれども、その提言もそうだし、イギリス博物館協会もそうですけれども、みんなこの3つの機能のほかに娯楽とかレクリエーションなんて入っているわけです。
 しかし、戦後の博物館運動の中で、資料の収集とか展示とかは頑張ってきましたけれども、教育というものが重視され始めるのが、広く重視されるのは80年代だと記憶しております。ですから、1960年代に、私がまだ駆け出しのころには、博物館の中で資料の研究をしている学芸員が一級学芸員で、教育普及をやっている学芸員はB級だという差別がありました。しかし、今、エデュケーターというものの地位が高く上がってきております。しかし、もう1つ、法に書いてありながらレクリエーションとか娯楽という部分について言えば、教育の一環ではありますけれども、市民の日常生活の中でレクリエーション、娯楽としての役割、つまり美術館で学習するだけが市民の経験じゃなくて、さまざまな、多様なニーズと経験があっていいわけですから、これのエンターテインメントの専門家というのはまだいないんです。私は、これは重要だと思っております。
 もとに戻ります。憲法の精神、教育基本法の精神を受けた社会教育法、そして博物館法と貫いている考えは、市民の自主的な学習活動を支援していこうという思想ですよね。強化とか、変なふうに持っていくということじゃないです。そういう点では、とてもいい精神だなと思っております。ここの中で、一番まだこれからやらなきゃいけないなと思うのは、レクリエーションとか娯楽というものを教育の範囲だけではなくて、今おっしゃいましたもっと広く文化的役割とか市民生活の中にこれから拡大すべきではないかというのが私の意見です。
 以上です。

【山本委員長】
 どうでしょうか、ほかに。ここのところは博物館の図書館の両方にかかわりますよね。だから一緒に議論していただいていいかなと思うんですけれども。どうぞ。

【糸賀委員】
 今、米田委員が言われたように、レクリエーションの本来の語源からすれば、リ・クリエーションなんです。新たな創造をするために一たん息抜きをするというか、一たん狭い概念での教養や学習から離れて、そういうものを意識しないで文化活動的にやる中から新しい成果、新しい創造に向かっていくということであれば、生涯学習の中に含めて考えることはできるだろうと思います。
 ただ、その一方で、いわゆる偶発的な学習に近いだろうと、レクリエーションの概念は偶発的な学習に近いので、結果として何も学ばなかったようなレクリエーション、娯楽、レジャーに近いような概念でレクリエーションをとらえられがちなんです。だからその辺、博物館や図書館はそういうレジャーや娯楽のためにあるのかという誤解を招きやすいので、レクリエーションについての社会学的な観点からのとらえ方というものも一方で明確にしておいて、条文として仮に残すのであれば、その辺の意味合いを明確にしておいたほうがいいように思います。
 わりと刹那的、消費的なレジャーと結びつけてレクリエーションとらえられると困るので、むしろ創造的に、再生産的なレクリエーションなんだというふうなとらえ方がはっきりしていたほうが私もいいと思いました。

【山本委員長】
 ほかにはどうでしょうか。
 先ほど、米田委員のほうから、学習だけではなくて、文化、もうちょっと広いところまで含めて考えるべきだというお話です。その辺が文化庁とか、あるいは一般行政部局とかもかかわりが出てくる部分になってきますよね。非常に大事なところです。

【米田委員】
 博物館の役割ということを考えていけば、もちろんそれは国民の生涯学習とか文化活動にかかわっていくわけですから、しかし博物館は生き物ですから、社会の中で生きています。そして、今、世界的に美術館、博物館に光が当たってきました。これは私たち、2年に1回、「21世紀ミュージアム・サミット」というのをやっております。これは日経ホールでやって、それから葉山の湘南国際村センターでやっているんですけれども、毎年世界から4館の館長を呼んで日本の我々と3日間討議するわけです。
 去年のときに、ビクトリア・アンド・アルバート美術館のジョーンズ館長がおっしゃったんですけれども、ヨーロッパは今バブルだと。文化、これは美術だけじゃなくて、音楽や演劇やオペラ、さまざま盛んになってきていまして、そしてフランスはセーヌのほとりに美術館がどんどんできています。それから韓国は、国立中央博物館が世界第8位の規模です。中国は、1998年の上海博物館のオープンをきっかけにして、21世紀になって2005年6月には三峡ダムの重慶に大規模な国立中国三峡博物館が開館しました。以後北京で35館、上海で75館、北京オリンピック開催もあり2010年までに中国全体で1,000館の開館を目指して建設中です。空前の博物館ブームです。孫の負担がなくなるわけです。
 そして、日本も片方では冬の時代、氷河期と言われながら、九州国立博物館、国立新美術館、それから全国各地に県立美術館、そして六本木地区にいっぱいできていますよね。つまり、片方では市民生活の中で多様な、教育学習だけじゃなくて、市民生活の中で私たちが地域おこし、まちづくりというものの中で期待されているということがありますので、教育だけに特化しなければ、さまざまな期待がされているということが言いたいんです。21世紀は、文化・芸術が人々を救っていくのだと思います。

【山本委員長】
 はい、わかりました。
 どうぞ。

【明石委員】
 明石ですけれども、私も、米田委員とかなり意見が近いので、文化的な側面という視点から残していってほしいなと思います。ということは、8月は結構夏祭りがありますよね。秋田の竿燈まつりでは、練習場にいろんな方が集まって伝統芸術を継承しているとか、阿波に行けば阿波踊りの既設の博物館、ここで言うと博物館類似施設か知りませんけれども、そういう地域の伝統的なものを継承していく文化的な側面の博物館というのも無視できないと思っていて、認めるべきだと思っております。

【山本委員長】
 今のところなんですけれども、いろいろご意見出たんですが、実はこれについて、第2条の定義のところで「レクリエーション等」となっていますけれども、実は、このこと、今の文化活動とか生涯学習の学習とかありますね。これはちょっと厄介なことがありまして、臨教審は旅行まで生涯学習だという話で来たんですよね。それで、中教審では、旅行はちょっととしても、娯楽は生涯学習だというので、定義はしていないんですけれども、範囲はこうだと出したところが、照会をかけたら文化庁がノーと言ってきたんです。プロの落語家がやっている公演、あれは学習ではない、文化活動であるという話から始まって、文部省と文化庁の間で線引きをめぐってにっちもさっちもいかなくなったんです。
 それで、朝8時から専門委員会じゃないけれども、起草委員を3人ほど、加藤秀俊さんと石井威望さんと私とそれに三浦朱門さん(委員長)とかが集まって、結局、ファジィ概念でとらえたらどうでしょうということにしたんです。ある活動の中に学習性がどれだけあるかということでファジイ概念というのはできています。二分法でクリスプ概念でいけばどっちかしかないんですよ。これでいく限りは、争うしかないわけです。
 ですけれども、それに対してファジイ概念でいけば、例えば娯楽といったら学習性が2割か3割か、―それは調べ方があるんですけれども、それで調べてあれば、学習に入れるということでやったらどうか。ただし、行政がそれを支援するときには、レベル集合で、学習性が例えば0.5以上だったらやるとか、0.6以上だったらやるとかというふうに切ることができるわけです。そういう考え方を持ってきて、行政の支援する範囲をある程度限定していったらどうですかという話をしたんです。学習性の度合は専門家に調査をするか、世論調査をやるかなんですよ。両方やるのが一番いいんですけれども。そんなことはできなかったので、そのときは議論をして、いや、文化活動、趣味、レクリエーションまで入れようとか、スポーツ活動、ボランティア活動とかを入れよう、しかし、娯楽は落とそうという案をつくって出してそうなったんですが、後で文化庁から国民娯楽だってあるという話がきたりしたんです。
 ただ、そのときに娯楽を入れなかったのは、娯楽というとへ理屈をつける人がいまして、パチンコですっちゃったら、パチンコの練習をしていた学習代をよこせといわれても困る、娯楽が入っていればお金を寄こせと言われたら困るとか、つまらんことなんですけれども、いろんなそういうようなこともあって、娯楽は落とそうというので落としたんです。それで今の範囲の例示がそのぐらいになっているわけです。
 ですから、そういう点でいくと、学習性とか文化性とか、そういうものが入っているものについては、こういうところの議論である程度コンセンサスが得られれば、入れていってもいいんだろうと思います。ただ、文化性との問題というのは我々だけでは手に負えないというか、先ほどのようなほかの領域とのことがありますので、それはもう事務局に見てもらうしかしようがないとは思うんですけれども、少なくとも、学習性とか文化性のことを考慮すべきだという議論はここでして、皆さんがそれでいいんじゃないかという話になったとすれば、それでいいと思います。

【米田委員】
 今、国立社会教育実践研究センターが出している「博物館に関する基礎資料」の中に入りますけれども、数年前に出たときには、文化芸術振興基本法ができていても、博物館の資料として入っていなかったんです。文化芸術振興基本法の基本方針、これが文化だというのは、全部は定義しないけれども、ファジィですけれども、国民のそういう文化活動はきちんとなっていますね。
 それから、基本方針の中では、博物館や図書館に対して非常に期待していますね、文化芸術振興基本法。つまり、私たちは社会教育機関であると同時に、文化の場でもあるわけです。これは、今どこで線を引くかという話をしていくと、私もよくわからなくなりますけれども、国民の中で一生懸命やられている生きる喜びがあるような事業に対しては、博物館はかかわっていきたいと思います。博物館の諸事業の中で、銚子出身の日本画家の展覧会では、無形文化財の「はね太鼓」のライブをしたり、マグロの解体ショーなどもやったりいろいろしましたよ、千葉県立美術館の開館30周年のときに。それは娯楽じゃないですよ。ちゃんとその画伯の絵の中にマグロ解体があったからやったんですけれども。市民ととにも対話して連携していく中で、さまざまな芸術文化のアーティストとのコラボをしていくということですから、何でもできるようにしておいたほうがいいと思っているんです。

【山本委員長】
 広くとらえていくということあたりで、それはあんまり反対意見はなさそうなので、今のようなことでとらえていってもらうというか、そういう方向性でよろしいですか。何かよさそうな感じがしますので。はい、ありがとうございました。
 それでは、大事なところは、いろいろご意見を出してくださったので、ある程度合意が得られていると思いますが、2の学芸員制度のところに移ってみたいと思います。これはどうでしょうか。

【米田委員】
 ちょっとすいません、定義のことをお聞きしたいんですけれども、私、お手元にお配りしましたのは、全日本博物館学会ニュースに会員から寄せられましたもので、博物館の課題ということなんです。これは、三戸幸久さんという日本モンキーセンターの学芸員だった方が、後に東海大学出版の『サルとバナナ』という本の中におさめておられたんですが、そこを抜粋したわけなんですけれども、私たち学芸員がずっと疑問に思ったことは、ここに書いてありますこの法律において「博物館とは」と書いてあって、要するに博物館が集めた資料の研究をするのが学芸員だったわけで、それは順序が違うんじゃないのかと。
 これは、三戸さんのご意見は、最初に収集が来るというのは変じゃないかと。つまり、粗大ごみの置き場じゃないんですから、何を集めるのかという、この博物館はどんな博物館かという基本方針を立てて、何か必要かという目的で集める。もしくは、あったコレクションを受け継いでやるということで言えば、おそらく物の研究だけでは済まなくなったから、今博物館経営論とか情報論というのを大学で教えるように追加したわけですから、学芸員の問題にもかかわりますけれども、研究の根幹のところで私たちの分野は大きく2つに分けられておりますが、研究活動と保存活動と、それから教育活動というものが、ミツワ石鹸の3つの輪っかのように考えていて、この重なったところが博物館なんだと言っていましたけれども、研究だけなら研究所でいいわけだし、保存するだけなら県立の美術品倉庫をつくればいいわけだし、教育ならば、県立美術学校か美大をつくればいいわけですから、この3つどれ1つが欠けても博物館でなくなるわけです。
 すると、どういう順序かと考えますと、根幹に調査研究という機関車があり、この活動が活発になれば、資料と情報が集まってくる。たくさんの資料と情報を持っているところが豊かな教育とか普及活動ができると考えていけば、これは貫く棒の中に研究はなければならないということだと思うんです。
 しかし、これは読んでもらえばわかりますけれども、三戸さんが言っていることは、私たちの博物館学の流れというのは欧米から来ましたから、それは植民地を持った欧米の諸国は集めてきてから後で分類すればいいから。彼はここでロゼッタストーンとか、ギリシャ神殿のレリーフなんかは本来の国に返すべきであるとかという現地保存です。それに対して、彼の優しいところは、博物館法をつくった昭和26年という時点は、日本が戦争に破れて自然も荒廃し、またいろんな文化財が産出するときに、まず集めて保護するということが先行した時代ですから、やむを得ないというのがありました。しかし、今はそういう時代ではありませんよね。
 そういう意味で、もう1つあるのは、その当時の博物館学のレベルが分類学者が多かったということですから、ですけれども、これからは、今言ったレクリエーションまでひっくるめて、市民生活の中に私たちが対話をし、連携していくとしたら、それはさまざまな調査研究、それからそこで必ずしも学芸員だけではなくて、エデュケーターや、ミュージアムライブラリアン(司書)とか、保存・修復の人だとか、レジストラーなど資料管理の専門家とか、デザイナーとか、さまざまな人でこれから共同していくようになるとしますと、やっぱり貫く棒のような博物館の調査研究という指揮棒がなければバラバラになるし、先ほどのレクリエーションも、そういう調査研究を貫いた博物館の目的であり得るのは、やっぱり研究に貫かれたレクリエーションだと思います。
 そういう点では、収集から始まっていくというところをもう一度見直したらいかがかなというのが1つ提案です。

【山本委員長】
 それは非常に重要なところですね。昭和26年というのでお考えいただきたいのは、日本が独立したのは昭和27年なんですよ。それ以前だというところです。この前申し上げたことで、その辺のところは、日本の自由意志に基づいてつくることができなかった時期だということも1つございました。
 今の研究の云々というところは、やはり考えなくてはいけないと思うんですけれども、というのは、博物館の所管をどこに持っていくかという話ですよね。登録、類似といろいろありますからいろいろあってもいいんだけれども、そのあたりのところで研究というのが入ってくると、一般行政部局もちょっと手が出ないところがあると思います。
 というのは、おととしだったか、地方教育行政のことを検討する部会がありまして、そこでこれが問題になったことがございます。そのときに質問したんですけれども、例えば博物館で文化財を扱いますね。それの専門的な研究とかそういうのはどうするんですかということを聞いたらば、そのときいた当時の片山鳥取県知事がすぐに言いましたよ。「それは先生方にやってもらうしかない。ですからそれを一般首庁部局へ持っていくことはできない」とはっきりおっしゃっているんですよね。研究というのは、今のことにかかわるわけですよ。ですから、日本の博物館のこれからのあり方にかかわってきますので、その辺はほんとうに大事な点だと思います。

【米田委員】
 わかりました。

【山本委員長】
 それでは、その次のところで、先ほどの学芸員のほうに少し移ってみたいと思います。いかがでしょうか。学芸員制度ですね。
 はい、どうぞ。

【山重委員】
 私、この分野についてほとんど知らないので質問させていただきたいんですけれども、基本的にいろいろなことが提案されているんですが、どういう問題があるからこういう提案になろうとしているのか、ちょっとよくわからないので、一番どこに問題があるということなのかを最初に教えていただければと思っております。

【山本委員長】
 これは、今の水嶋委員とか米田委員に聞いたほうが生々しいお話が聞けるんじゃないかと思います。

【山重委員】
 そうですね、そこをちょっと教えていただきたい。

【山本委員長】
 どうぞ遠慮なくご発言いただいて。

【水嶋委員】
 生々しい話なのかちょっとわかりませんけれども、問題は、乱雑というのがよく指摘されております。この文科省の資料1-2の11ページだったでしょうか。まず、学芸員資格という資格が取りやすいんです。それで、15ページのスライドのところですけれども、学芸員は12単位で取れると。しかも、330大学で、細かい数字はわかりませんけれども、年間1万人弱、7,000人、8,000人、9,000人というような資格は出ているけれども、就職口がないとか、あるいは大学の授業も、12単位ですけれども、実習もやることになっていますけれども、実習もなおざりに、いいかげんにやらされているといいますか、博物館、美術館にお任せなんです。
 ですから、司書とか社会教育主事なんかに比べて、養成が非常に安易である。それから、実践力がないまま資格を与えて、仮に就職できたとしても、また博物館の中で再教育をすると。ですから、人の養成に関することについて申し上げると、大学側の養成のことも再検討しなければいけない。それから、博物館実習で受け入れる博物館、美術館側もそれなりの人材を養成しているんだという覚悟といいますか、精神がなければいけない。それから、社会全体として見れば、学芸員の社会的な位置づけというのもそれほど認識されていないんです。そういうようないろんな問題があるので、今回、何回も指摘はされていますけれども、上級資格についても検討したらどうかというような話はされています。
 じゃあ、一体どういうようなカリキュラムでどういうふうに養成していけばいいかというのは、これもご議論いただきたいんですけれども、1つの大学だけで養成することは現実的に不可能でありまして、社会全体、あるいは前回の図書館司書とか、社会教育主事との共通性についても検討していただくとか、それから比較的、そのとおりですけれども、博物館は開かれた博物館というような言い方をされるんです、最近では。逆にいいますと、開かれていないということの裏返しだと思うんですけれども、そういう意味で、先ほど米田委員がおっしゃったように、研究ばっかりしているのが学芸員だというような誤解もありまして、やはりこういった生涯学習社会に対しては、国民の学習支援をするんだという立場に立って、コミュニケーション能力というのも必要ではないかという、教育とか、そういうようなことを見直してこの学芸員制度を考えなおしていただいたらいかがでしょうかという報告書の提言になっております。

【鈴木委員】
 行政の仕組みなんかが問題があるというのは、それはわかるんですが、何で学芸員のスタッフ等について問題にされなきゃいけないかと、そういうふうなお尋ねだったと思うんですけれども、私がわからないのは、行政の仕組みを変えるというのは私も賛成だし、そういうことを考えるべきというのは賛成なんですが、今博物館の状況がどうであって、状況が学芸員の有無、あるいは学芸員の能力等によっていろいろ規定されるから、そういう困った問題があるからということでないと、話ができないんだろうと思うんです。というのは、要するに学芸員の養成と学芸員の採用とは話が違うわけです。
 ところが、優秀な学芸員、有能な学芸員を博物館が採ればいいわけです。毎年何千人とか1万人とか資格を待っている人もいっぱいいるわけですし、たまっているわけですから。それができればそれでいいわけです。行政の問題とは話が別だと思うんです。だから、そこのところがまず前提にあるとは思うんですけど。だから、学芸員の制度を変えてみて、そこは行政にも関係してくるし、もしそうでないとするんだったら、研修のところだけを充実させればいいんだという話にもなるのではないかとも思うんですけれども。そこのところはどういうふうに、この検討協力者会議の報告は、あまりここのところは出てこなくて、行政を変えようという話だけになると、ちょっと話が……。

【山本委員長】
 どうですか。水嶋委員は、何かその辺でありましたらどうぞ。

【水嶋委員】
 今のご指摘のとおり、採用と養成とはまた違うと思います。ただ、今、社会での仕組みが全然違ってきています。例えば指定管理者の問題であるとか、採用のことについても問題でありますし、それから、今までの求めていたものが、レクリエーション1つとってみても、文化的なことをとってみても、あるいは、先ほど委員長がおっしゃっていました文化継承というかお祭りというか、そういった文化財関係のことも違いますので、求められている学芸員の資格といいますか教養というか能力といいますか、それが昭和26年当時とはまた違っていると思うんです。ですから、確かに現代の社会と学芸員に求められるものが違ってきていますから、そこを議論するべきだろうというふうに私は思います。

【鈴木委員】
 そうすると、それは養成のところで問題にするのではなくて、登録などのところで問題にするというか、そういう方法も考えられないわけではないかもしれないですね。こういう有能な人を置けと、そこが登録の基準になっているのだと。養成のほうは、言葉は悪いかもしれないけれども、旧態依然たる養成があっても、そんなことでは今の博物館はそういう人は必要ありませんよ。これこれこういうふうなものが必要ですよというふうな話になって、そこから養成のほうも変わってくるというのがまず筋道だろうと思うんですけどね。まあ、養成のほうからという理屈もわからないわけではありません。

【水嶋委員】
 今の学芸員養成のところなんて、登録には入っていなかったので入れなかったんですけれども、登録の学芸員の採用率というのは少ないんですね。ここでは、1館あたり3.2~0.5人というふうになっていますけれども、登録の基準というのもこれから考えていかなければいけないと思うのですが、その登録基準の中に学芸員を必置というんでしょうか、必ず置くようにするためには、0.5人の類似施設というのも少ないでしょうし、おっしゃるとおりだと思います。登録制度の中に学芸員をきちっと資格として与えることは必要だと思います。

【山本委員長】
 どうぞ。

【糸賀委員】
 今の話を聞いていて、ほんとうに図書館司書以来の同じような話だなというふうに伺っておりました。前回の社会教育主事にしても、養成段階で非常に多くの人たちが資格を取る。だけど、実際にはなかなか採用されない。さらに現場のほうを見ると、社会教育主事は減っている。図書館司書のほうも、正職員による司書はどんどん減っているんですね。この悪循環といいますか、これをどういうふうに断ち切るのかということは、もう3つの資格通じての共通の課題なんだろうと思います。
 それで私、単純に素朴な質問が。まず1つは、じゃあ養成を変えれば現場は採ってくれるんですか。養成の仕方を、仮にですよ、今、単位数が12単位という話がありました。これを少し単位を増やすということをやると、それでほんとうに現場は採るんでしょうか。図書館司書も実は同じような話でして、もっと現場が必要とするような教育をするべきだということは、しばしば指摘されます。むしろ私は、博物館の今回の報告書のすぐれている点は、大学で科目を取得した段階では基礎資格だと。むしろその後、1年間なり一定の実務経験を積んで、これで本来の学芸員という実務経験をいわば必須にしたという点は、私は高く評価したいと思う。ただ、それにしても、そこまでやったら、じゃあ現場で採用する人間がほんとうに増えるのでしょうか。増えるんだったら私は大変ありがたいし、いいことだと思います。
 ところが現場を見ると、これはもう皆さん、よくおわかりだと思いますが、そう簡単に新規に職員を採用することができない状況に置かれていますよね。この状況の中で養成を変えていくことがどれだけ効果的なのかというのは、私にはよくわかりません。
 その一方で、ちょっと私は矛盾することを言うかもしれませんが、資格を取る学生なり人が世の中に増えること自体は決して悪いことだとは思っていないんです。例えば学芸員の資格を取って実際に博物館に勤めていない、これは問題だという言い方がありますが、でも、その人たちは多分、博物館の本来のあり方をそれなりに学んでくれているんですよね。実は図書館司書も同じでして、司書資格を取って図書館に勤めてはいないけれども、その人たちは、実は図書館にはレファレンスサービスというものがあるとか、本来図書館はこういうことをやるということを学ぶんですよね。私は決して、だから博物館の学芸員課程は賢い博物館利用者を育てるのが目的だと言うつもりはありません。それは、やっぱり博物館で働く人を育てるのが主眼であるべきですよ。図書館の司書も同じです。図書館で働く専門的職員を育てるのは司書の養成課程ですよ。でも、結果的に世の中に博物館や図書館の理解者を増やしている、あるいは社教主事で言えば社会教育や公民館というものがどういうものかを理解してくれている。それだけ生涯学習のすそ野は間違いなく広がっているのだろうと思うんですよ。
 問題は、その中で、ほんとうに博物館で働く学芸員のプロ、図書館で働く司書のプロ、それを育てるキャリアパスがちゃんとできていなんですよね。だから、さっきの一定の単位を持ち、場合によっては実務経験を経た人も学芸員、でも、博物館で10年、20年勤めて、かなり経営感覚の備わってきた人も同じ学芸員、これはやはり私はおかしいと思うんです。そういう意味で、ちゃんと上級学芸員への筋道というんですか、キャリアパスをつくる、図書館の世界でも、資格を取って卒業したての人間も司書、何年も勤めてかなり図書館のこともよくわかってきた人も同じ司書という資格はやはりおかしいでしょうと。1級建築士、2級建築士の世界があるのと同じように、やはり上級へ結びついていく、経営感覚を持った人を育てるような道を育てるのが必要なんだろうと思います。
 そういう意味で、さっき言った粗製とか乱造というふうな、これは司書の世界でも同じように言われておりますが、私は、単純に多いことが即悪だというふうには思っていないんです。問題は、きちんとしたキャリアと本人の意欲に応じたキャリアパスをつくってあげることが必要なんじゃないかと考えます。

【山本委員長】
 米田委員。

【米田委員】
 糸賀先生の考えは基本的に私も賛成なんです。大学で博物館学講座をとって出ていく人がほんの一握りしかなれないのが現状です。ただ、その方々が会社員になったり各地に移ったりお母さんになったりしながら、博物館を理解する人が増えていくということはとても結構なことだと思っています。
 そのことと、もう一つ、私は養成の話の中でも12単位は少ないと思っています。ただ、養成の問題は養成ですけれども、次は研修の問題ですかね。私は、ルーブル美術館大学みたいに、つまり各大学のほかに、さらに上級の博物館学の現場の人を育てていくような機関が必要だと思っています。ただ、大学を出たから経営感覚がすぐれているとかということではないと思っています。私は古い学芸員に育てられたから、「学芸員の心得」という5カ条があるんです。ちょっと読んでみますね。この間はスリー・オー(3O)をお話ししましたよね。
 学芸員の心得として教わったのは、1番目は学芸員は企画を立てなければならない。2番目は、学芸員は資料を借りださなければならない。3番目は、学芸員は文章を書き、話術に優れていなければならない。4番目は、学芸員は広い知識を持っていなければならない。5番目は、学芸員は優れた研究者であることが望ましい。
 つまり、研究者になるために学芸員になる人は、大学に残ったほうがいいかもわからない。研究だけして市民とつき合わない学芸員は、博物館の世界では「タコつぼ学芸員」と呼んでいます。その研究はすばらしいんですよ。研究は否定しません。だけど、市民に還元されない研究ではいけないなということが言いたい。
 それで、「学芸員の視点」というのがあります。これは4カ条です。1番目、いろいろなものの見方ができること。2番目は、人々の求めているものを発見できること。3番目は、時代を先取りすること。4番目は、モノの新しい価値を見出すこと。
 それで、博物館の施行規則の中で、経営論と情報論が加わったときに、私らの先輩の世代の学芸員は、当時反乱軍青年将校と言われた、今80歳ぐらいになっている学芸員は、大学出たての学芸員に経営論よりは、もっと職人としての学芸員の基本を重視して最初育てるべきだろうと。学芸課長とかになるときに経営的な面や情報の活用などを学ぶこと。だから、段階を踏んでという糸賀先生のおっしゃっていることもよくわかります。
 そういう意味で言えば、しかし一番大きな問題は、私らの世界で、高階秀爾先生という大原美術館の館長さんが国の文化審議会の分科会の会長さんだったんですけれども、『文化庁月報』に「文化と行政」と書かれました。日本は世界第2、アメリカを除けば第1の経済大国だけれども、欧米と比べると嫌になりますけれども、日本の国立美術館、博物館の学芸員職員を合わせても、オルセーとかポンピドゥー1館に及ばないわけですから、この国の文化を進めるために、全体として底上げしていくような形になっていかないと、コップの中の嵐のような形だけでやっていたのでは、経済はすばらしいけれども、国民も求めているけれども、それにこたえられるような文化国家になるためにも、図書館も博物館も、もっと充実した職員と、さまざまな仕事を分業していけるような、そして学芸員や学芸課長や館長が指揮棒を持って社会教育計画を立てて推進できるようにしていくためのシステムとして、この制度を見直す必要があると思っております。

【山本委員長】
 山重委員。

【山重委員】
 私も、学芸員に関しては糸賀委員と全く同意見だと感じています。実は、ちょっときょう配付していただいた資料、もう見ていただいても何なんですけれども、社会教育士というものをつくったらどうかということで、キャリアパスということで言えば、先ほど糸賀委員がおっしゃられたように、社会教育主事というのを上級の位置づけにして、そこへのパスも含めて現場で社会教育を行う専門家を育てるということで社会教育士ということを提案しています。ここでも、ひとつキャリアパスをつくることが、インセンティブの観点、それから本気になってもらうために必要ではないかということで提案させていただいています。
 もう一つのポイントは、ここでの問題点の1つではないかと思うんですけれども、何か科目を履修して、それを取得すれば資格がもらえるよというのは実効的ではないと思うんですね。例えば大学で、この科目をとったらこの資格がもらえるよというのは、大体、教員も学生も低いほうに落ちると思うんですね。やっぱり上を目指して頑張ろうということにはなりにくいんだと思うんです。その意味で、きちんと試験をするということが大事だと思います。だから、ある場をやるということを要求しないと本気でやってくれないし、要求されることで、そのための勉強を一生懸命やるという動機づけにもなるわけですから、きちんと試験をする。やはり科目というかペーパーでの試験とともに、実地の試験も必要ではないかと思います。
 私の案では、一番近いのが、車の運転免許で実地試験というのが最後にあるわけですよね。それで通るか通らないかということで、資格がもらえるかもらえないかということが決まっているわけですから、そういう仕組みはここでも必要ではないかと思います。
 今回、学芸員の養成のところの提案、それ自身は多分意味がある改革ではないかと思うのですが、その一方で、実務経験というので一定期間の実務経験があることというのを置いても、ただ、また先ほどと同じように、何もしないでというか成果をおさめないで実務経験があるという人と、すごくいい成果を出した実務経験の人はやっぱり違うわけですよね。だから、そこは実務経験を求めても、それで急に何かレベルがアップするということはないように思うので、実務経験ではなくて実地で、実務経験を踏まえて、どれぐらいのスキルが身について、どれぐらいの経験が生かせるのかという試験をきちんとやる必要があるのではないかと。それも含めて、やっぱり上級の、学芸員に関しては、今、司書の方もそうなのかもしれないですけれども、現場で専門家の方がいらっしゃるので、上に行くパスということで新しいランク、資格あるいは職種を設けられる改革を進めていくのが本質的には重要ではないかと思います。

【水嶋委員】
 糸賀委員のおっしゃることに全く同感です。この文科省の資料ですと、約1万人が資格取得と書いてありますけれども、私もこれを否定しているわけではございません。もちろん、こういった博物館ファンと言うんですか、あるいはサポーターと言うんでしょうか、こういう人たちが社会に散らばっていくことは非常に大事だと思っています。
 逆に言うと、今までこの博物館法が施行されてから、毎年このレベルかどうかはわかりませんが、相当な数が出ているわけですので、今回の制度改革においては、皆さんがおっしゃったように上級の資格をつくるという、キャリアパスを目指すという話を議論していたわけです。それで、この黄色い報告書の16ページにも、キャリアパス、これは館長まで含めたことですけれども、それから、24ページのところにも指摘されております。そして、32ページのような全体のキャリアパスのイメージというのも考えているわけですね。右側に博物館を支える多様な人材養成確保ということで、ミュージアム・エデュケーターの人材の育成、あるいは学芸員資格取得者の活動の場の整備、活動に対する情報提供というような、今までの1万人ぐらいの資格を持っている人たちをいかに社会の中で、活用という言い方は失礼かもしれませんけれども、生かしていくのかということも同時に考えなければいけないのだと思います。

【山本委員長】
 わかりました。
 話が今のようなところへ来て、先ほどもちょっと水嶋委員から出たんですけれども、登録制度ともかかわりが出てきそうな話になってきたので、資料1-3の博物館登録制度ですね。そこと、そのほか指定管理者制度等いろいろなことも、おそらく、そこで出てきてしまうんだろうと思うんですよ。入館料のことも出てきてしまうと思いますので、3から5まで広げてご意見を。
 はい、どうぞ。

【鈴木委員】
 多分そうなっていくというふうに思うんですけれども、まず学芸員の制度なのですが、学芸員の資格の取得では、大学で養成するものだけがクローズアップされていますが、そのほかに試験認定といわゆる無試験認定というのがある。このいただいている資料1-2の15ページですと、学芸員は、その他の資格取得方法で国家試験等というのがありますね。そこで、無試験認定と試験認定がある。それらがどの水準で比較を出しているのかというのもきちんと把握して、試験だけパスすればそれでいいという話ではないとも思うので、そこのところの3つのやり方の整合性をとるということが必要だと思うし、さらに研修で出てくる国家試験等というところが、多分、国社研で、社会教育研究実践センターでやっているあの講習は、試験認定の一部を免除しているということですよね。そういうやり方があるわけですよね。
 そういうやり方だと、実際きちんと仕事をしている中で、きちんとした実務的な経験もある者について試験を行うような形の、講習を受けて試験を行う、私は一番丁寧なやり方ではないかとも思うのですが、いろいろなところでこう考えられて、そういうことを登録や何かのところに反映させて、あるいは評価のところに反映させていくということも考える必要がある。大学の養成のことだけではなくて、そちらのほうの研修などのところもまじえて考える必要があるのではないかと思います。

【山本委員長】
 どうぞ、それでは、今のようなこともありますので、資料1-1を見ていただいて、そちらのほうも含めて、今の広がりが出てくると思いますので。登録制度はどうですか、新しい基準でという話がございますけれども。
 はい、どうぞ。

【山重委員】
 ここも、ちょっと私はよくわからないので教えていただければと思って、質問なんですけれども、ここの提言を見ると、何か登録してもらうように促そうという改革をやられているような印象があるんですけれども、なぜそうしなければいけないのかがよくわからない。つまり、民間でもいろいろな事業をやっていて、博物館的な機能を持つところがあって、それは登録しなくても別にいいのではないかと。なぜ登録させるような方向に改革を進めたいのか、その背景がちょっとわからないので、質問で恐縮ですが教えていただければと。

【山本委員長】
 どうぞ、もし水嶋委員、米田委員からあれば。水嶋委員、代弁して。

【水嶋委員】
 資料1-2のデータ集の制度的分類ですけれども、現在では登録制度というのが登録博物館となりまして、それは「登録又は指定主体」というのを都道府県の教育委員会が持っております。865館、それから、類似施設が4,000館、これは博物館法上の位置づけはないですね。それで学芸員の必置義務もありませんし、現状では、この相当施設というのも法第29条で設けておりますけれども、館数でいくと331館、それから、学芸員も職員の必置というのがありますけれども、若干、開館日数が減ってと、いろいろこういうことを設けているんですけれども、例えば水族館で、いい教育活動をしているようなところなんかは、株式会社がやっているんですね。そうしますと、設置主体というのは、昭和26年当時は、今と違っていて、博物館を日本に全国的にもっともっと増やそうという振興策の一環だった部分もあります。
 ところが、これだけできてきますと、もう少し質のレベルを一定に保つ必要があるのではなかろうかとか、地方のお土産売り場、お土産屋さんのようなところも博物館と名乗って、観光客を招いて、お土産を売りつけるようなところをほんとうに博物館と呼ばせていいのかとか、いろいろなことがあるので、やはり日本の国全体として見れば、あるいは米田委員がおっしゃったように日本の博物館の品質向上ということを考えてみれば、一定の基準を守ってもらうようなハードルと言うんでしょうか、インフラと言うんでしょうか、そういうふうなベースはきちっと持っておいたほうが、日本の博物館の質が維持できるんじゃないかという考え方があるわけです。
 ですから、私がこの検討委員会の中に入ったとき一番最初に言ったのは、民主国家ですから、登録制度を全部撤廃して自由にやったらいいんじゃないですかと。つぶれるところはつぶれてもいいし、お客さんが入るところはどんどん入っていただいていいんじゃないですかなんていう、かなり乱暴な意見を言ったんですけれども、ただ20年先、30年先を考えたときには、やはり一定の基準というのも必要でしょうし、しかも生涯学習社会に移行するんだという日本の全体の方向性を考えると、やはり博物館の社会における位置づけというのも非常に必要なのではないかと。
 そういう意味では、がちっとした登録ということなのか、あるいは、先ほど事務局の説明にあった認定あるいは認証制度というふうな名前も含めて、ご議論いただければなと思います。答えになっているでしょうか。

【米田委員】
 ちょっと、じゃあ関連して。
 私は、千葉県教育委員会で登録と相当の担当をしていましたので、それは先ほど社会教育課長がおっしゃったように、学芸員がいて館長がいて、特に学芸員は必置ですね、それから、年間150日開館にして、資料が十分あって、そして、展示や教育や管理、収蔵のスペースがあるということが最低基準ですよね。たしか50坪というのが登録基準でしたから。
 もう一つ、博物館の世界が図書館、公民館と何が違うかというと、ずっとこの博物館を引っ張ってきたのは私立博物館なんですね。おそらく、私立図書館もありますし私立の公民館もあるんでしょうけれども、圧倒的に私立が優位だったのは終戦までなんです。そして、今の日本の博物館の大半は公立博物館で主に戦後に生まれたもので、特に60年代後半、70年代から博物館ブームですよね。ですから、例えば年間150日の開館というのを考えてみますと、例えば、私がサラリーマンをやりながら自分の美術館をつくったとします。週休2日制ですから、年間250日仕事をします。そうすると120日ぐらいまでが休日、有給休暇を入れて150日確保するということは、株式会社とか大きい財団は別にしてですよ、個人でも博物館はつくれるわけですから、そうすると、その年間150日という数字は、実は県や市や大きな私立から見たら、個人でつくる限界点が150日ですよね。それからスペースもあります。私たちは、大きいことはいいことだという価値観で育ちましたけれども、今や小さくても行列ができる美術館、博物館になりたいと思っているわけです。
 そういう意味では、先ほどの登録博物館の数が860数館でしたよね。数え方によったら、4,000とも5,000とも、6,000とも言う人もいますけれども。それで、この生涯学習社会と日本を文化国家にしていくときに、この860館だけが頑張っても、この国はほんとうに文化国家になるだろうかどうかという話です。そうすると、このときに相当施設とか類似施設――類似施設は、先ほどお話がありましたように、登録よりもすばらしい規模があるけれども、知事部局にあったりして、登録できないだけのもいっぱいありますから。
 ですから、今、水嶋さんがおっしゃったように、もうちょっと自由にしたほうがいいんじゃないかという思いは私もあるわけなんです。これは、例えばホテルの「適マーク」のように、ちゃんと機能しているかどうかということがチェックできればいいけれども、逆に、僕は先程「タコつぼ学芸員」と言いましたけれども、50人、100人の学芸員がいる組織だけれども、大学のほうに論文を書いて早くここをやめたいと思っている人が50人いるところと、5人の学芸員と200人のすぐれたボランティアが、地域の文化財や資料保護を頑張っている館ならば、どちらが地域に貢献しているか。こういう活動でもって評価していく。大きければいいというんじゃなくて、地域でいい活動をしているところをちゃんと評価していくような意味で言えば、それを登録と言うかという話は私も同じです。別の言い方の中で、いい活動をしているところをちゃんと認めていく。大きいけれども昼寝しているようなところは、これじゃだめだと思いますね。

【山重委員】
 背景について、一定の知識をいただいてありがとうございます。
 ただ認定することで、いいところを認定する、あるいは登録するということで、それは何か博物館のレベルアップにつながるんでしょうか。そこがよくわからない。登録とか認定とかそうすることで、例えば情報が一般に伝わらないので、どれぐらいの質かわからないので、一定の認定をして、このグループの人たちは、認定されたものについてはこれだけの質がありますよと保証をやる意味で認定とか検定とか資格というのがあると思っているんですけれども、何かここで、ある頑張っているところを認定して、それで人々が行動を変える、ここは認定されているから行きましょうとか、そういうことを変えることにつながるのかがよくわからないので、これをきちんと提案されているような形でやったときに具体的に何が変わるのかが少し見えないので、その点をもし教えていただければ。例えば補助金がつくとか、そういうものの対象として考えるのであれば、認定するとか、それは十分レベルアップにつながるような気がするんですけれども、頑張っている、あるいは一定のクオリティーを満たしているから登録してもらうということで、何か具体的に変わるのかがよくわかりません。その点をもうちょっと補足して説明していただければと。

【山本委員長】
 どうぞ。

【水嶋委員】
 この黄色い8ページのところにも細かく書いてあるんですけれども、これも後で読んでいただければ、そのメリットがわかると思うんですけれども、この報告書とは離れて、ちょっと私の考えを述べさせていただきます。
 例えばイギリスの例で言いますと、イギリスとしての博物館の質を一定にしましょうといったときに、最初は登録制度にしていたんです。登録しなさいと。ところが、あるときに認定制度に変えたんですね。それは、認定基準というのを3年とか5年ぐらいで変えているんですね。1回目の基準は、資料を保存していますから、資料がちゃんとあるんだったらば、きちっとケアして保存も修復もして、そういう資料を重視しているところですか、そういうハードルを越えたところは認めますよと。それがイギリス全体にわたって認められたら、今度は次の基準をまた設けるわけです、次のハードルを。今度は教育活動をやっていますかと。そうすると、今まで教育はあまりやっていない、資料重視だったところが、今度、その教育基準の認定基準、ハードルを越えるために、教育活動にシフトするわけですよね。そうすると、そういうハードルが設定されると、国の方向として博物館がだんだん教育重視になっていくわけですね。ですから、今度は目録とか情報化だとか、インターネットに載せていますかとかというふうないろいろな基準を設けて、ハードルを越えさせるようなことをしていくわけですね、この博物館振興もそうだと思いますけれども、そのようなことが、大所高所に立てば1つの大きなメリットではないかなという気はします。
 今、山重委員もおっしゃったように、税制云々というのは、また別のテクニカルのこと……。

【山重委員】
 いや、というか認定されることで、多分イギリスの場合はメリットがあるので認定されるように頑張るという構造になっていて、多分、補助金が与えられるとかそういうことではないかと思っているんですけれども、それがないときには、認定されようがされまいが、頑張るところにはお客さんが来てくれるという構造があるわけですから、認定するという仕組みをつくっても、全然頑張ることにはかかわらないので、むしろその認定されるかどうかで補助金が与えられるかどうかという、そこのところと一体で改革が行われないと、ただ認定とか登録とかそういうものをやっても、何かインセンティブがないし、クオリティーが上がっていく方向に行かないような気がするので、イギリスの場合も認定されるから補助金がつくとか、そういうわけではないんです。

【水嶋委員】
 補助金というよりはロッタリーファンド(宝くじ基金)だったと思います。国の指導で、その資格の質に合っているところに補助金を出すと。

【山重委員】
 わかりました。

【山本委員長】
 どうぞ。

【糸賀委員】
 今、ここで手を挙げて質問すると、図書館法について議論する時間が……、心配して、すみません。
 今の点は、私も若干気にはなったんです。この報告書の27ページの別紙2というところで、新しい博物館登録制度に期待されるプラス効果がそれぞれ列挙されております。私も最前から、これをずっと拝見していたのですが、ただ、やはり大事なことは、学習者、生涯学習をする人間にとって、博物館をいろいろ利用する、そのモチベーションが上がるということだと思うんです。ですから、ここに行ってみようという気になってくるという、それは大事なことだと思います。
 ただ一方で、先ほどから水嶋委員の説明を聞いていると、そんなことは多分、今、博物館の利用者のほうが自分たちで格付けをやるだろうと思うんです。つまり、ここの博物館に行ったら、すごく展示が見やすかったとか、ベビーカーで行ってもすごく抵抗なく入れるとか、車いすの人の対応がよかったとか、トイレがきれいだったとか、さらにレストランが快適で食べやすかったとか、そういうふうなことで、どんなにこちらで登録云々がいいというよりも、お客さんのほうが格付けして、三ツ星博物館というふうなことをやるんじゃないかと思うんです。多分、お客さんからしたら、そういうところのほうが、ある意味では信頼できる。
 登録はどこがやるのかわかりませんが、国、文科省がやるのか、それとも第三者機関、博物館協会がやるのかわかりませんが、私は、それはそれで自分たちの業界としてのクオリティーコントロールが必要だろうと思います。その一方で、利用者がみずから自分たちの視点に立って使いやすい博物館、行ってみたい美術館をつくっていく、そういうふうな環境づくりも大事で、やはり友の会づくりですよね。欧米の博物館に行けば、必ず友の会がそこでミュージアムショップをやっている。そこでボランティアがやっている。そういうところから、地域の博物館、地域の図書館という視点が生まれてくるのだろうと思うんです。そういうふうな視点も一方でないと、いかにも官製というかお役所がつくった登録博物館制度では、利用者みずから、住民みずからが身近に感じるような博物館の評価といったことと、その両方が必要なんじゃないかと思いました。

【山本委員長】
 どうでしょうか。いろいろ、ほんとうにいい言及をいただいているので、登録のところ、さらに入館料や何かのところは、提言どおりでいいですかね。最後に自己評価を入れていくことはどうか、これも重要である今の話を聞いていると必要になってきますから、後段の4、5、その下の丸、その他は2つありますけれども、これは大体この報告書のような線でいいですかね。そうすると、今の登録のところ、議論がありましたので、そのあたりを参考にしていただいて。メリットもそうですけれども、さっき出てきて、米田委員が言ったのではっとしたんですけれども、登録するとなったら、審査基準の柱の3つの3つ目のところあたりを少し膨らませてもらって、生涯学習支援活動とか、何か入れていったほうがいいのかもしれないなと思いますし、前のほうの学芸員のところは、ほんとうに白熱した意見をいただいたので、私が繰り返すことはしませんけれども、定義のことも含めて、目的のところも、先ほど議論がありましたので整理していただければいいと思います。
 そうすると、大体、これからの博物館のあり方としては、このいただいた黄色い表紙のものをもとに、先ほど来ご意見がありますので、整理していけば、方向は何とか見えそうな感じが――見えそうというのは、要するに整理をしたらきちんとこうなるということなんですけれども、そんなところでよろしいですか。非常にいいご意見をいただいたような気がしますので。
 それでは、ここで休憩を入れたいと思いますが、3時45分まで休憩ということでよろしゅうございますか。一旦休憩させていただきます。

(休憩)

【山本委員長】
 それでは、時間になりましたので再開したいと思います。
 博物館のところでは、図書館のことも出していただいたので、非常に話がおもしろくなって進んだと思うんですけれども、これからは、図書館のほうだけのことになりますが、まず元鳥取県立の図書館長、7月の前でしたら前鳥取県立図書館長となるところだったのですが、かわったらしいので、そうなってしまったのですが、齋藤明彦氏からお話をいただきたいと思います。課題解決の支援に取り組んでこられた鳥取県立の図書館の館長としてのご経験がございますので、これからの新しい図書館サービスの取り組み等についてお話をいただけるのではないかと思います。
 それでは、約20分ぐらいお願いいたします。

【齋藤講師】
 齋藤でございます。よろしくお願いします。
 私は、先ほどちょっとご紹介いただきましたけれども、鳥取県立図書館の館長を3年やっておりました。基本的には行政の人間です。財政を10年ばかりやっていまして、その間に自治省の交付税課というところにもおりました。あるいは教育委員会の高等学校課の課長補佐、それから、今回に関係することで言うと、美術館開設準備室長を2年やって、結局、美術館はできなかったんですけれども、そんなこともやっております。
 なぜこういうことを言うかというと、図書館というものをどう見るかということで言えば門外漢です。本は好きですけれども図書館はあまり利用していない。財政で教育委員会担当をやったり、さまざまなところで図書館というものとかかわってはきましたけれども、実際に勤めたのは、その3年間です。その3年の間に司書資格なども取ってやりましたけれども、その際に、これまでの図書館の状況と、行政やいろいろな別の立場から見たときの図書館の可能性というものは随分違うような気がして、そういった点を変えてきた、ちょっと口幅ったいですけれども、そういうつもりはあります。そういう意味で、私なりの図書館の再発見だと思っております。
 きょうは、幾つか資料も準備させていただきました。まず「図書館を巡る法・制度・考え方についての意見」という2枚ものがメーンのレジュメでございます。それから、もう一つ、「資料リスト」という、多分一番最後のほうに置いてあるんじゃないかなと思うんですけれども、特に使うのはこの2つです。それから、バラで提供してあると思うんですけれども、「図書館も地域の経済に貢献したい」というようなものと、それからパンフレットはちょっとだけ使います。お手元にそれを準備してやっていただければありがたいです。
 資料を結構たくさん準備していて、20分しか時間がないので、かなりはしょったり、最後のほうのところは、コメント「説明しない場合があります」なんて書いていますけれども、それはお許しいただきたいと思います。
 それでは本題に入ります。まず、ごく簡単に今の図書館を取り巻く状況、これは社会教育施設にある意味共通した部分ですから、くどくは言いませんけれども、そこを確認したい。それは、1つは地方財政がもう本質的に窮乏状態になっている。大都市近辺は、今、大分もとに戻ってきましたけれども、大都市近辺以外のほとんどの自治体はどういう状態になっているかというと、三位一体の改革と16年度地財ショック、ちょっと言葉を説明する時間がないのですけれども、要は16年度以降に相当厳しい状態に追い込まれている。それはどういう状態かというと、かつては景気がよくなれば地方財政は改善されると思っていましたけれども、もう今はそうじゃないんです。どんどん貯金が、基金と言いますけれども、それが食いつぶされている。それで、食いつぶされていく中で、最後に行き着くところは財政再建団体になるんじゃないかという恐怖を抱えながら、財政当局は毎年毎年査定をやっている、これが現状です。したがって、かつてあった箱もの、公共施設の建設、そういったものによる住民満足というのは、もう提供できませんというのが1つの状況です。
 もう一つの状況は、地方分権というものが分権法以降どんどん進んできている。それは一方で、自己責任という個人のことでもある。そこで自己判断を求められる。県、市町村というのは、国や県からのサポート、あるいは何かあったときの手助けみたいなことはあまり期待してはいけないよ、自分たちのところで施策を考えてやりなさいということです。
 そうなってくると的確な情報が必要になってくる。だから、本来は、1つはそういったハード事業で住民満足を提供するということができなくなった時代に、ソフトで提供するということにほんとうは移行すべきなんだけれども、それが実はスムーズにできていないということがありますね。かつてのようにハードで箱もので提供できない。だったらソフトでといって、普通、施政者は考えるはずなんですけれども、そこがうまくいっていない。
 それから、そういった的確な情報を持たないと非常にリスクが高くなるという時代だったら、図書館というのは、それなりに重要視されなければいけないと思っているんですけれども、実際に起こっていることというのは、資料費や人件費ががんがん削られていって、館数は増えているけれども、資料費を総合計したら減り続けている、これが図書館の実態です。
 2番のところに行きますが、最大の問題は何だろうかと考えたときに、私が自分のところの図書館を経営・運営しているときの考え方で言うと、じゃあ図書館というものは、その地域に対してどんな貢献ができるのか。逆に言うと地域全体の戦略の中で、図書館というのはどういう働きを要請され、あるいは実現できると考えるのか。そのような大きな立場でそれで何が起こっているかというと、貸し出しというものを非常に重視している。それ自体は僕は間違いじゃないと思います。かつてのように、貸し出しというもののハードルが高いという時代は30年ぐらい前はあったわけですけれども、そういったものを取っ払って貸し出しを重視して、お客さんがどんどん増えていって、みんなのための図書館という形になっている。これ自体は間違いではないと思うんですけれども、その結果、何が起こったかというと、趣味的なイメージが非常に強くなっている。これも本当は悪いことじゃないですよ、趣味的なことというのは。だけれども、さっき言ったような今のお金のない、もう貧乏で、それこそ地方公共団体がいつずっこけるかわからないというような状況の中で、趣味的なイメージが強いものは、どうしても抑制さぜるを得ないということが出てきちゃうわけです。
 そこのところにちょっと書いていますけれども、図書館は、本来持っている地域戦略上の情報・活性化センターとしての役割を果たせると思うんですよね。今、図書館の世界は、例えばビジネス支援だとか健康情報だとか法律情報だとか、かつて取り組まなかったような情報に取り組むような図書館が増えてきたんですけれども、本来、図書館はそういったジャンルを超えて、要はいろいろな分野に対して、さまざまな情報提供をして役に立てるはずなのに、まず図書館自体も怠っているし、そういうことを認めてもらってきていないということですね。
 特にこれが怖いのは、まだ情報提供施設が整っている大都市圏の場合は、このリスクは大したことがないといったらちょっと言い過ぎですけども、地方においては、きちんとした情報を提供してくれるところというのは、実は図書館ぐらいしかないんです。
2のところで書いていますけども、一方で今のままの戦略というか、図書館のやり方でやり続けた場合には、もともとこれまで築いてきた文化的、教育的、趣味的だとかいった機能さえも、もう多分守られなくなってしまうだろう。極論すれば、私は財政課が長かったですから、財政課の感覚でいったら、貸し出しを重視するんだったら、1冊幾らで貸し出しするか。要はお金、コストですよね。いかに1冊貸し出すコストを下げて、たくさん貸し出す図書館が優秀な図書館だと財政的には見るわけです。でも、それはほんとに正しいかといったら、この中で失われていくものは、文化的、教育的なものに対して投資をしていくという部分が結果的に削られちゃうわけです。そうなってはならないということで、情報提供機関としての事業展開をやって、我々はこれだけ地域に対してきちんとした貢献ができるんだということをアピールしなきゃいけないというのが、今、置かれている図書館の状況だと思っておりますし、それから、必要なことはそういった、地域戦略上の位置づけというのをきちんと図書館が得ることだと思っています。
 本県は、具体的にどういうふうにやってきたかということですけども、私は平成14年から館長になりましたので、その直後ぐらいですけど、そこに2つ書いています。「役に立つ・役に立つと認めてもらえる図書館」。役に立つというのも非常に平たい言い方ですけども、実際に役に立つこと。それから、来られた方に対してきちんと情報を提供できますよというのが「役に立つ」図書館だと思うんですけども、例えば、その図書館に普段来ない人たちも、図書館に行きさえすれば何かいい情報をくれるという期待を持ってもらえるところが、「役に立つと認めてもらえる」図書館だと思います。だから、「役に立つ」だけじゃだめなんです。我々のところでいうと、全県の県民に、県立図書館は我々のために役に立つと思ってもらって初めて役に立つと認めてもらえる図書館だと思っています。
 それから、もう1つ。「教育機関の枠を超えた情報提供機関」。社会教育とか、生涯教育を話し合う場でこんな言い方がいいのかどうかわかりませんけども、なぜこういうことを言ったかというと、教育機関という言葉をちょっと言いかえて、教育委員会の機関と言ったほうがいいかもしれません。そういった目で見てしまうと、例えば、ビジネス支援というものは対象にならないんです。お金もうけに対する情報を提供するということは教育機関としての使命かと言われたら、うーんということになりますし、それから、例えば、地方の大学と一緒になって、本のやりとりをしようということを考えるときに、教育委員会的な発想でいうと、大学の専門的な本を我々が手に入れるんだという発想になるんですけども、そうではなくて、県政全体の立場から見たら、独法化された国立大学の中でも、地方の大学というのは、金がない。そうしたところが十分な資料費を持たずにこれからやっていったときに、果たして地元の大学は生き残れるだろうか。生き残りのために、我々が持っている資料を的確に提供することによって、少しでもそれを支えることができないかといって考えるのが、教育機関の枠を超えた情報提供機関だと考えています。
 そんな大言壮語をしながら、ちょっと順番があれなんですけども、じゃあ、それをどんな理論でやっているかということで、今の資料集の中の資料3、4ページをごらんいただきたいと思います。わけのわからん図が出てきます。こんな箱がかいてある絵があるんですけども、これも時間がありませんから、ごく簡単に説明します。図書館というのを、今まで持っている機能からもっと大きな能力を持ったところに変えていこうというときに……、ありますか。表がこういうやつです。いいですか。四角の真ん中に何があるかというと、今の図書館の施設、それから、今の図書館の人、今の図書館が提供している情報。それは何かというと、図書館という建物の中で活字を中心として――雑誌、書籍ですね、図書館の職員がやっている図書館というのが真ん中にあるとして考えてください。それをどう延ばしていくかというと、まず、活字だけじゃなしにメディアを広げよう。デジタルメディアも広げるんだけども、一方でこれまで打ち捨てられてきた、例えばチラシとかいったものも丁寧に対応したり、あるいは、セミナーだとかいった、その場で消えてしまうアナログな情報というものも、図書館は意識して提供する。それがメディアの方向。それから、内容的にも、今までよりもより専門的な人間が使えるような図書館にしていく。これが内容の方向。それから、協力の方向というのは、これまでよりももっと、要は教育関係以外の団体や機関とも一緒になって情報提供していこう、あるいは個人とも組もう。それによって、今までの人員をそう増やすことなく、今、言ったようなメディアの拡大だとか、内容の拡大というのをやっていこう。そうすれば、図書館が提供できる全体像というのは、ずっと大きく3方向に膨らむんではないか。単純にいうと、そういう考え方です。
 じゃあ、我々が団体と組んでいろんな情報を提供しようとしたときにどんなものがあるか。資料集を1つ戻っていただいて、3ページに「図書館の資産と不足」という資料を準備しております。「提供できるもの、してほしいもの」と書いていますけども、そのところと、それから、もとのレジュメの、今の3の真ん中辺に、国機関、外郭団体、商工団体、県機関、医師会、NPO等との「30+30=150」の協働ということで書いています。これに大学何かも入るんですけども、ここで何を説明したいかというと、図書館がきちんと資産の棚卸しをすると、これまで社会教育施設として、さっき言った貸し出しを重視したりしながら、営々と築いてきたものというのは、実はよその方と組むときに非常に役に立つんです。我々が持っている資産を提供することで、よその機関は自分たちが不得意なところをやらなくて済む。それから、より専門的なところに行こうだとか、より幅の広いメディアを提供しようとしたときに、例えばビジネスの世界で、今、何が一番求められているかということを我々はわからないんですけども、商工団体に聞けば一発でわかるわけです。そういう形で我々が持っているものと、我々が組む相手が持っているものとを上手にミックスさせることによって、「30+30」というのは、100の力で100のことを今までの図書館がやっていたとしたら、それを30の力、要は得意なところだけ我々が提供して、相手が不得意なところをやってくれる。それはお互いさまなので、お互い100の力が30になって、100の結果じゃなくて、さらにそれよりも高い結果を得ることができるんだということです。
 そこで、図書館は何を提供できるか、何が欲しいかというのを整理したのが、今の「資産と不足」に書いてあります。例えば、図書館のネームバリューなんていうのも役に立つんです。労働関係の団体、国の外郭団体も非常に名前が売れていないところなんです。雇用・能力開発機構なんていっても、だれもぴんとこないですよね。だれもといったら悪いけども、例えば、一般の方にそういうところが、特に地方は雇用が大変だから、じゃあ、何かいいセミナーでもやろうといったときに、言ってはなんだけども、相当宣伝しないとお客さんが来ないんですよ。だけど、図書館と組んで、県立図書館の場所を使って、県立図書館の中でPRをいろいろやる。さらに言えば、県立は市町村立、学校等とも組んでいますから、そういったところも一緒にPRしてくれるということによって、彼らが一番不得意な、不特定多数の人を集めるということを我々はできちゃうわけです。それは社会教育施設で積み重ねてきた信頼だとか、あるいは敷居の低さというものがそこで生きてくる。それから、どこにあるかということも認知されている。そういうことをだーっと整理しています。例えば、図書館が地域の公共施設の中で観光施設を除いたら、多分一番たくさんの集客があると思うんです。うちでいうと、ちっちゃい県ですからあれなんですけども、1日1,300人、1年間で40万ぐらいですかね。大体それぐらいの延べ人数がやってくる。公共施設ではそんな施設はないんです。だから、それだけの、ある程度情報に敏感な人たちがやってくるということも非常に大きな資産。これを組み合わせるということです。
 ほんとはここいら辺まで10分でやっていないといけないんですけども。そこで、じゃあ、今度は具体的な話に入りますけども、まず、ビジネス支援と言われるもの。実はビジネス支援は、私が知らなかったので、仕事と暮らしの情報提供を何とかやりたいということを言ったんですけども、そういったものに対してどういう対応をしているかということで、すいません、今度はこっちのほうが登場します。
 図書館も地域の経済に貢献したいということで書いていますけども、それから、こっちがビジネス支援用のパンフレットです。これは数が、もしかしたら行き渡っていないかもしれません。地域の経済に貢献したいというのは、やはり図書館はさまざまな情報を持っていて、提供ができる。それを我々が単独で本を並べておくだけじゃなくて、さまざまなところ、例えば、商工会議所、産業技術センターという研究機関などと結んで、ビジネス支援事業として仕立てて提供していこうということで、講座、セミナーをやったりします。
 かなり受けたのが、これは農林と組んだんですけども、新規就農相談会なんていうのをやって、これは非常に農林サイドから喜ばれました。なぜかというと、やっぱり農林部は、農業団体を通じて農業者に対して情報提供というのが得意なんです。あっと言う間にやるんだけど、農業をやっていない人たちに対して農業をやりませんかと呼びかけするのは、すごく不得意なんです。実際は彼らのほうが我々に着目してくれました。我々が最初にビジネス支援の小委員会というのをつくって、農林部も入れたんですけども、最初はなかなかやることがなかった。ところが、彼らから預かって、大きなパンフレット置きの中に並べていた、新規就農者のためのパンフが、ものすごく売れ行きがよかったわけです。そうすると、農林部は「もしかしたら図書館と組んだら、パンフがこれだけ売れるということはお客さんも来るかもしれない。」と考えてやってみたら、実際に来たんです。
 例えば、そういうものもありますし、それから、セミナーをやる際に我々は場所も提供します。それ以外に、さっきの資料集の1ページ、2ページにつけていますけども、我々が持っているどんな情報を提供できますかというリストを、お配りします。その中にあるのは本のリスト、新聞のリスト、あるいは使えるオンライン関係のデータベースだとかいったものを並べたり、それから、こういったパンフレットを使って5分間ばかり時間をいただいて、県立図書館はどういう形のサポートができるかというPRをさせてもらったりしています。
 また、飛んで悪いんですけども、そういったものが、今の見ていただいている資料集の5ページから先にタイアップ事業、あるいははぐっていただいたところの冒頭にビジネス支援関連事業という形でどんなものをやっているのか、例えば、出前講座だとか、さまざまなものがあるんですけども、そういったものの一覧をつけています。一覧の説明はできませんけども、5ページに挙げているような内容というのは、ほとんどがよその団体と組んで提供するもので、平成14年以前にはほとんどゼロです、こういったものに関しては。実際に平成17年のリストを出していますけども、全部で100回ぐらい情報提供の場面というのを設けています。学校と組んでやったのは別なんですけども、それ以外にそれぐらいやります。できるんです。自分たちのところだけでやろうと思ったら、とてもじゃないけども、こんなことはできませんけども、お互いに相手と組むと得になると理解していますから、こういうような形で情報提供ができるというわけです。
 それから、闘病記文庫ということを中心とした健康情報提供というのも、このあとにつけていますけども、時間の関係でこれは省略させていただきます。
 そのほかに、それを支えているものとしては、例えば、発送システムを過去市町村の図書館だけしか提供していなかったのを、高校、それから、大学、あるいは県の機関だとかいったところに広げる。きょうの午前中に注文してもらった本は、基本的には翌日の午後に届く。毎日発送するというのが我々のところが持っているシステム。それ以外の大量発送用のシステムを持っていますけれども、要は欲しいと思ったら翌日の午後には手に入ります。これが大事なんです。
 提供システムというのはあるところが多いんですけれども、せいぜい週に1回だということで欲しいときに手に入らない。だから、図書館は役に立たないとなるわけです。そうじゃなくて、我々のところは、市町村の図書館なんか脆弱ですから、県立のほうからそういうような形でかなり早く資料発送がされるということで、特にビジネスだとか健康情報だとかは一刻も早く欲しいわけで、そういった人たちが遠いところでも自分の地元の図書館で明日の午後には着きますからねと言われて手に入るような形にしている。
 それから、県庁内図書室を準備いたしました。県庁内図書室というのは司書2人、1人はうちから提供したベテラン、もう1人は非常勤なんですけれども、その人たちが提供し始めたのが今から2年ぐらい前なんです。これは県庁の中で各課が資料を集めて、施策決定をするのに使われていると思っております。
 その例として、資料リスト8ページにレファレンス申込状況という一覧表をつけています。これが2週間分です。細かく読んでいただきますと結構おもしろいものも出ていまして、ほんとうはこれにどこの課が頼んだかというのを書くともっとおもしろいんですけれども、それはプライバシーの問題もあるので一応とっています。現実の問題としてかなり使われ始めたということですね。県立図書館というのは県庁の斜め向かいにあるんですけれども、実はあまり使われていなかったんです。だけど、向こうのほうにそういった拠点を設けて、我々は提供しますよという姿勢を示して、前の知事もそういうのは大好きですから使うようにという号令もあるんですけれども、それぞれのところがかなり使ってくれるようになったというのが一応これで見ていただけるんじゃないかと思います。
 それからもう1つ、レジュメの一番下に「情報収集・活用力養成講座」をやったと書いていますけれども、資料リストの9ページに実施要項を載せています。これも去年から始めたんです。図書館の司書をビジネス支援だとかができるように鍛えていくわけです。鍛えていくということは収集能力がどんどん高くなっている。その収集能力を今度は県や市町村の職員に対して、あなたたちももうちょっと勉強しなさいという形で提供していくというのがこれです。主催は自治研修所、私のところなんですけれども、せっかく図書館であれだけのものができるんだったら、このスキルをを県や市町村の職員も使えるようにしたい。だから、この講師というのは、ほとんど全部図書館の司書です。私の目論見のもう1つには、図書館のすごみを県や市町村の職員に見せつけたいというのもあるんです。
 レジュメの2ページ目に移りたいと思います。4.のところだけ説明させてください。
 そういった観点から図書館法を見たらどうなのかということなんですけれども、当たり前の話ですが、今の図書館法で我々はこれをやっていますので、活動としてはできないわけではないんです。ただ、改正していただいたほうが望ましい、あるいは我々のところに限らずやりやすくなるだろうというのがあります。なぜかというと、さっき言ったようにビジネス支援をやるのは図書館法の中では全く想定していないですよね。全くといったら言い過ぎかもしれませんけれども、目的なり何なりのところに、例えば調査研究というのが出てきていますけれども、目的のところにはそういったビジネスのものに対する感覚は多分ないと思います。さっき言ったように、お金もうけの情報を提供するというのは図書館の仕事だろうかという発想も出てくることがある。そういったことでつまづいている図書館も全国の中に結構あると思うんです。ほんとうはもっと情報提供して地域活性化できる能力を持っているのに、この法律の範囲内のことだけをやっていればいいんじゃないのと言われることだって多分あるんです。
 そういった観点からすると、先ほど図面で見ていただいたように、あらゆる情報を提供したい機関や団体や個人と結びつくことができますよ、それからあらゆるメディアを使ってあらゆる情報を提供することができるという図書館の特質を最大限に生かそうとする。しかもそれがローコストでできるということを、もっと地域のほうが認識して活用していくためには、少し目的のところに書いていただいほうがいいのかもしれないと思います。
 それら2ですけれども、それを実現するために、これはちょっと余計な話かもしれませんけれども、メディアの拡大と協働ということが必要なので、そういったことについてももう少し触れていただいたほうがいいかもしれない。メディアというのはさっき言ったように、打ち捨てられてしまうようなものから、デジタル情報から、さまざまなものを図書館は扱うんだよ、そういったものを提供することによって、住民の生活向上や何かに貢献していくんだよというような意味合い。
 それから3、これに関連して、司書についてということで書いているんですけれども、多分、上級司書については後のところでも触れられると思いますので、それ以外のことをちょっとだけ説明します。専門司書と書いてあるのは、別にそれ用に専門司書という資格をつくるとかというところまででなくてもいいんです。例えば我々のところで今ビジネス支援を中心にやっている人間は、5年目になりますが、相当できるようになりました。やっぱりそうやってできる人間を育てるには一定の年数がかかりますし、相当教育も必要です。それだけのことができるようになった人間を、民間認定でも何でも構わないですから、この人はビジネス支援ができますという認定をしていただく。また、例えば健康情報はできますという認定をしていただく。そういう人たちを何人も抱えているところがいい図書館であり、いい情報を提供できる図書館だということがそれではっきりするわけです。そうしてくると、司書をどんどん入れかえたり、あるいは行政からちょっと持ってきてすぐに返したりということではだめだということを、ここである意味発信できるような気がします。
 それからもう1つ、ほかの専門分野で一定の力を持っていらっしゃる方を図書館に呼び込むということもどうしても必要になります。研究者・学芸員、行政職員などと書いていますけれども、研究者・学芸員はわかりますよね。だけど行政職員というのは、マネジメントや何かの場合で引きずりこみたい人間もありますので、だけどそういった人たちに、今ぐらいの資格認定でいいんですけれども、最低これだけのことは知っておいてもらわなきゃいけないという形で司書資格というのを持つ。そういったものもやはり考えておいていただきたいなと思います。
 5.についてはそこに書いてあるとおりで、以下については時間がなければ説明を省略しますと書いていますので、所管と有料化と館長については若干の意見を書いておりますが、時間もございませんのでこの辺で終わりにします。
 最後に一言だけ。最初の話にも関係するんですけれども、図書館というのは私が行ってみて随分宝の山だなと思います。これまでせっかくこれだけのものが準備されていて、発掘されていないというか使い切っていないということですね。これからさらなる地方分権だとか自己責任だとかという時代になってくると、今以上に必要なシステムに図書館がなっていくんだろうと思うんです。特に地方の場合はそうです。だから、それにふさわしいような位置づけだとか活用だとか、そういったものについて盛り込んでいただく。そういうよな環境や法律を与えていただくことで動きやすくしていただくということは、図書館にとって非常に大きなプラスになると思うんです。
 延びまして、すみません。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 それでは引き続き、糸賀委員のほうからお願いします。

【糸賀委員】
 時間もありませんので、手短かに済ませます。きょうたくさん資料があるんですが、最後のほうに私の名前が入りまして、意見発表と書かれた両面刷りのものが1枚あると思います。それを見ていただきたいと思います。それからお手元に、「これからの図書館像」という製本された冊子があるかと思います。94ページもある、やや厚いものです。それを随時参照しながら話を聞いていただきたいと思います。
 レジュメに書きましたように、1.わが国の「図書館」を考える枠組み、もちろん図書館法が基本ですけれども、そのほかに望ましい基準、これは平成13年に告示されました。それから今、皆さんのお手元にあります「これからの図書館像」、これは昨年の協力者会議でまとめたものです。実はこの報告書には別冊付録といいますか、CD-ROMが付録でついていたんです。残念ながら皆さんのものにはついておりませんが、これには全国各地22の事例を集めた事例集が入っております。この報告書の中に随時コラム的に事例が織り込まれております。見ていただくとわかるんですが、例えば14ページのところに、今、齋藤講師からも出ましたけれどもビジネス支援サービス、これは静岡県静岡市立の御幸町図書館の例ですが、事例の1番として書いております。こういう感じでコラム的にいろいろな事例が入っております。
 さらに「2005年の図書館像」という、これは平成12年、当時はまだ文部省でしたけれども、近未来的な図書館を予測した報告書があります。はっきり言って、読んでおもしろいのはこれですね。この「2005年の図書館像」は通常の報告書と異なりまして、一家4人が2000年の時点で2005年にどんなふうに図書館を使っているかという物語風に仕立てた報告書であります。多分、この手の報告書はほかに文科省の報告書であまりないかもしれませんが、小学校5年生の女の子がお母さんと一緒に2005年の図書館にやってきたらこうなっていたという話になっております。申しわけありませんが、これは皆さんのお手元にはありません。文科省のホームページでアクセスすることができます。
 「これからの図書館像」、今お手元のものについて少し説明しようと思ったんですが、時間がありませんので割愛しますが、背景とかはここに書いたとおりです。大事なことは、よく言われるように、そこで働く職員の意識の問題なんですが、ここに書きましたが、「意識改革」というのはどこの職場でもどこの施設でも言われることでして、これを念仏のように言っていてもなかなか人は変わらないんですね。人を変えるにはそういうふうに意識を変えなければいけないような仕組みづくり、制度設計をやるほかないと思います。とかく人間はあまり変わらないほうが楽なんですね。でも、そう変わらざるを得ないような制度をつくっていくほかないと思います。
 「これからの図書館像」の特色は、この冊子の87ページに図が入っています。折り込んだ図なんですが、これで概要がつかめるんですが、大きくいいますと3点あります。1が課題解決を支援するということ、2がハイブリッド図書館、これは鳥取の事例でもありましたが、ハイブリッドというのはご存じのように新しいものと古いものを組み合わせる。極端にいいますとアナログの資料とデジタルの資料を組み合わせた図書館。今、大学図書館なんかはほとんどハイブリッド型に変わってきていますが、公共図書館もそうなっていくだろう。3学校・行政機関等との連携・協働。こういうことも考えていき、新しい図書館のイメージを描き出したのが「これからの図書館像」になります。この図の一番右側に縦書きで、地域や住民にとって役に立つ図書館として存在意義を確立するというふうにうたっているわけであります。細かい点につきましては、ぜひ報告書を読んでいただきたいと思います。
 実はこの3点なんですが、私のレジュメの一番下に参考として書きましたように、これまでの生涯学習分科会での審議経過の報告が平成16年に、3年ほど前に出ております。それから同じような項目につきまして、今年1月にこの分科会の中間報告がまとめられましたが、その中でもここに書いてあります3点挙げられています。「生きがい・教養」だけでなく「職業的知識・技術」の習得支援、このあたりは図書館の課題解決の支援ということにつながってまいります。ビジネス支援でありますとか医療・健康の支援、あるいは団塊の世代にとって図書館が1つの居場所になるということで、職業的知識・技術についても図書館で少し意識しましょうということであります。あるいは、これまでの知識・技術・経験の「継承」と「創造」ということが言われておりますが、これはハイブリッド図書館という形で実現することが可能にもなってまいりました。そして、「個人の要望」と「社会の要請」のバランス、このあたりは先ほどの課題解決にも結びつきますし、学校・行政機関等との連携、地域の中のほかの機関と連携していくことで社会の要請にもこたえようと。学校、それから商工会議所、公民館、博物館、そういったところとの連携も「これからの図書館像」の中でうたわれております。
 裏へ行っていただきまして、これらを踏まえまして、「これからの図書館像」の実現に向けて法と制度をどういうふうに変えていったらいいかについて、3.でまとめました。まず、3.1司書の養成と研修のあり方、これにつきましては実は現在、協力者会議で継続しておりまして、ここで検討しております。いずれ、この協力者会議の報告がまとまれば生涯学習分科会の席でもご報告できるだろうと思います。主たる審議の論点はそこの2つです。
 次に、3.2司書のレベルアップ、これは先ほどの学芸員と同じようなことになりますが、底上げ、ボトムアップも必要ですし、デジタル資料を扱い、ハイブリッド化を目指すのであれば司書のスキルアップも必要です。同時に、経験の長い司書が新しい情報環境や地方分権といったような自治体環境の変化に伴って、それに追いついていくという意味でのキャッチアップ、こういったものがいずれも必要になってまいります。そういう意味では司書もアップアップしているといいますか、いろんなことを考えなきゃいけない。ですから、今までどおりの仕事をしていていいということにはなりません。先ほども出ましたように、その意識を変えるためには意識改革につながるような制度設計をやってあげる必要があるだろう。具体的には高度な専門性を評価する名称の付与制度、先ほどの上級学芸員と同じような考え方で上級司書といった制度を考えていく必要があるだろうと思います。これは平成8年の当時の生涯学習審議会の報告でもうたわれておりました。これがまだ実現できておりません。
 さらには欧米での標準に合わせ、私、欧米と書きましたが、実はアジアも同じことなんですが、韓国、中国、シンガポールあたりでは図書館司書の養成は大学院の修士課程でやっていくのが基本であります。大学院修士課程を中心に据えたキャリア・パスづくりといったことを日本でも考えていく必要があるだろうと思います。例えば、私ども慶應義塾大学大学院では、図書館現職者向けの修士課程、これは夜間大学院ですね。夜間と土曜日の午後に授業をやる大学院を4年ほど前から開設しております。そのために私は毎週木曜日夜9時20分まで授業をやっているわけなんですけれども、文字どおり教えるほうもアップアップしているような現状です。そのようなことでとにかく現職者の方が修士号をとるために自分のスキルアップ、キャッチアップで勉強し直している。こういう環境を整えていくことも必要だろうと思います。先ほど学芸員のときも私は発言しましたが、ただし、すそ野は広く保ち、現行の司書養成制度は維持していくべきだろうと思います。これをピラミッド型にしてほんとうのプロと言える人たちをきちんと一方で育てていく。その人たちが図書館のマネジメントをやったりビジネス支援といった新しい企画を考えていくという制度が必要だろうと思います。
 3.3、では具体的に図書館法改正に向けてどんなことが考えられるのかを5点にまとめました。1、生涯学習に対応した図書館の「定義」の見直しが必要だろうと思います。第2条、あるいは第3条あたり、先ほど私はレクリエーションという表現はちょっとどうなのかなという疑問を投げかけましたが、図書館法第3条では、「さらに学校教育を援助」として学校教育に特化した表現がされております。ぜひ後で図書館法第2条、第3条を見ていただきたいんですが、このあたりに生涯学習という文言を使うことができないだろうかと個人的には考えております。第2条の例といたしまして、そこに抜き出しました、先ほど博物館も同じように言いましたが、教養、調査研究、レクリエーションの前に、例えば「その生涯学習」という言葉を入れることも考えられるだろう。レクリエーションについては、文化だとか文化振興という言葉のほうが、今の時代にはしっくりするのかなということも個人的には考えております。
 2番目、これも先ほど齋藤講師から話があったように、情報通信技術(ICT)の進展に対応した「図書館奉仕」、第3条の見直しが必要ではないかと思います。具体的にいいますと、データベース、インターネット、こういったデジタル資料抜きではもはや図書館は成り立ちません。そういう意味で、外部にある情報源を使うと同時に、図書館がホームページをつくって、そこでいろいろなコンテンツを発信しております。皆さんおわかりだと思いますが、今、図書館で本の検索をしようと思ったときに、図書館に行ってもコンピューターですし、今や自宅や職場からも図書館のホームページにアクセスして、図書館に行かなくても本の検索ができる、こういう情報発信をしております。そういうふうなことが図書館法の今の第3条には盛り込まれておりませんので、その辺も対応しないと実態との乖離がますます大きくなってしまうと思います。
 第3番目に読書の振興が挙げられます。子ども読書活動推進法や文字・活字文化振興法の趣旨を生かせるように読書の奨励をうたうべきではないかと思います。残念ながら現行法規には読書については読書会といった表現しかありません。この辺も少し考える必要があるだろうと思います。
 4番目に司書の研修の法制化ということがあります。協力者会議で研修のあり方について現在、見直しをしておりますが、その一方で研修を受けられるような環境になかなか現場の司書がないということがあります。社会教育法第9条の6や第28条の2では、公民館の職員は国が行う研修について受けられるようにするという法の規定がございます。社会教育法第28条の2では、第9条の6は、公民館の職員の研修について準用するとなっておりますが、同様の条文は図書館法や博物館法にはございません。このあたりについてもぜひご検討いただきたいと思います。
 最後、5番目に司書資格の更新制度。教員免許法が改定されまして、教員免許についても10年で更新するということが言われております。図書館の司書もスキルアップ、キャッチアップを図るのであれば、やはり10年に一度ぐらいの更新をしていかないと、学生時代にとった資格が生涯にわたって通用するというのも今の時代おかしいように思います。これを例えば先ほど申し上げた上級司書制度を第三者機関が認定することによって、実質的に10年更新を実現すると。必ずしも法改正とか法制化を伴わないやり方でも実現できるように感じております。
 以上、手短かですが、私の意見をまとめさせていただきました。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 続いて事務局のほうから、本日の論点案、資料を用意してくださっておりますので、その説明をお願いいたします。

【平林社会教育課長】
 資料2-1に簡単に提起させていただきました。時間もございませんので、簡単に説明いたします。
 まず1つ目、図書館法の目的について、あるいは図書館奉仕、図書館サービスについての規定が第3条にございますが、それについて規定し直すべきことはないだろうか。今までのヒアリング、あるいは糸賀委員からございましたように、図書館についてのいろいろなご提言なりがございますように、文字・活字文化振興法もあれば、子ども読書活動の推進に関する法律も制定されています。簡単な概要を資料2-2の13ページ、14ページ目に載せてあります。
 また、「これからの図書館像」という報告でも課題解決の支援であるとか、あるいは今お話がございましたハイブリッド化、そういったような新しい機能とかを取り上げてございます。こちらについての議論を踏まえた目的なりサービスについて規定し直してはどうかということです。この1月の中教審の中間報告は、主として「これからの図書館像」といったような内容を踏まえたものになっているということで紹介させていただいております。
 それから2つ目、司書及び司書補について、この辺は今まで課題になっていたという意味で挙げられたものを記述的に載せたものでございます。資料15ページに現行の司書の資格取得方法として大学課程、あるいは短大課程など、それぞれの状況を掲げております。参考資料2の4ページ、司書及び司書の資格、第5条でございますが、司書になる資格の1つ目には、大学または高等専門学校を卒業した者で司書の講習を修了した者、2号として大学を卒業した者で大学において図書館に関する科目を履修した者。大学において図書館に関する科目というのは、実は省令等の根拠がございませんで、実務上は上の司書講習の科目に相当する科目というふうに認定するということを行っておりまして、それをちゃんと省令で定めることを明記してはどうかというのが1つ目でございます。2つ目といたしまして、司書及び司書補となる資格、学歴要件によって、同じく第5条の2項に司書補となる資格がございますが、第2号に、高等学校もしくは中等教育学校を卒業した者、あるいは高等専門学校第三学年を修了した者で、司書補の講習を修了した者とございますが、例えば高卒認定試験の合格者といった方々が、なかなかここでは読めないということも従来から課題になっているということもございまして、そういった点について拡大してはどうかという趣旨でございます。
 それから3番目はその他ということで、実は古い法律でそのままあまり改正もされていないということでございまして、時代とはそぐわなくなっているような用語もあるといったことについても整理する必要があるんじゃないかということ。あるいは、博物館等の並びで整理はしておりますが、研修とか自己評価といったことも考える必要があるんじゃないか。それ以外の公立図書館の一層適切な運営を確保するためにいろいろ改善すべき点はないだろうかといったことを一応課題として挙げさせていただきました。
 簡単でございますが、以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 それでは博物館に引き続きまして図書館の議論になりますが、先ほど糸賀委員が整理してくださったので、かなりはっきりしていますよね。ですから、その辺のところと、今の資料2-1とをあわせてご検討いただければと思いますが、図書館法の目的は先ほど博物館のところでやったのとほとんど重なっていました。ただ、糸賀委員のこれを見ていてなるほどと思ったんですが、今回、教育基本法が改正されて第3条に生涯学習の理念が入りましたよね。そうすると、今度はそれも使うことができるわけですよね。今までですとそうはいかない。今ここで議論している社会教育の規定のところと、それから今度、社会教育法が改正されるでしょう。その辺を受けて、図書館法も博物館法もと言っているんですが、その中に生涯学習の観点を入れることができる、それをうまく使ってもらうということが大事かなという。それを糸賀委員が言ってくれているので、その辺のところはこれから先、条文をつくっていくときの非常に大事な観点ではないかと思いました。
 それから、先回りして申しわけないんですけれども、齋藤講師からもお話しいただいたりしたので、博物館もそうなんですが、結局この前の社会教育法の検討のところで、ネットワーク行政でこれからいかなくてはならないということでしたが、きょうの話はまさにネットワーク行政の話でしたね。その一番いい例を鳥取のほうで出してくださったわけですから、そのあたりのところもうまく観点として取り込んでいただいて、これからのあり方を規定していただければ非常にいいものができるんじゃないかと思います。
 人の問題というのはどうしても、専門職とか出てきますから、その辺はまた議論を深めてもらえればと思います。
 そんなことをちょっと先に申し上げた上で、資料2-1の目的等、目的等はもし意見がございましたらということでいいと思いますが、司書及び司書補のところとか、その他のところ、特に人の問題、先ほどの博物館の学芸員のこともありますから、その辺でご意見があればいただきたいと思います。

【明石委員】
 齋藤講師にお聞きしたいんですが、博物館の学芸員の上級学芸員とか上級司書という言葉が非常に大事かと思っているんですね。そこでお聞きしたいんですけれども、きょう山重先生が提案されて、ベースは学部卒程度で社会教育士あたりで、そのベースがあるから、次に社教主事とか学芸員とか図書司書とか。3年間、館長をされてみて、ご自分も司書の資格をとられて、お言葉をかりれば、素人だったんだけれども、館長をやっていただけると。そうすると、ベースさえしっかりしておいて、マスター程度で、タコつぼも、煙突を3つ出していっても大丈夫なのか。いや、それはだめだと、最初から煙突は3本ないとだめなのかということをお聞きしたいんです。

【齋藤講師】
 僕が受けた司書の講習や何かを考えてみると、社会教育というところである程度できる部分がないわけではないと思うんです。ただ、実際には量的には少ないですね、そんなに多くないと思います。どちらかというと、今、司書って、教えられることというのはテクニカルな部分が結構多いんです。図書の整理をどうするかとか、そういった部分は今言われた煙突の部分になると思うんです。ベースの部分というのは、例えば社会教育のありようだとか、それから例えば一般教養的な話じゃなくて、例えば対人サービスがありますよね。社会教育って対人サービスができない人が来てくれると困るんですね。例えば対人サービス的なものだとか、公共的な中でさまざまなものを運用していくということについて、まずベーシックなものを持つということ自体は、それは結構なことだと思います。ただ、そこの部分が大きくなっちゃうと、テクニカルな部分はそうはいっても図書館に来たときに使いますので、そこのところさえきちんとやっていただくんだったら、それは十分可能性はあると思います。

【山本委員長】
 ありがとうございます。

【菊川副委員長】
 感想も含めてですが、お三人のお話はそのとおりだと思っております。齋藤所長が言われたことは、同じように私も3カ月前、行政職員から図書館に来て、おっしゃることが本当によくわかります。私も図書館の第一印象は宝の山だと思いましたし、イメージからいうと海の中に氷山が浮いているようなイメージで、1割だけ頭が出ていて9割隠れている。図書館でずっとやってきた方というのは、9割隠れているということにあまり気づかない。ですから、この9割を、例えば行政支援であるとか、ビジネス支援であるとか、生活課題支援に役立てていくことが本当にできる、進化する図書館が地域と住民を守り発展させるというのは、行政をやってきた者からはそのとおりだと思います。事実、今年度から新刊書の回転率の分野ごとの進行管理を初めてみたんですけれども、私の予想では文学書の回転率が一番いいのかなと思っていましたら、今のところ一番は医療関係。それから2番目がビジネス。そういう意味では進行管理してみたら求めるものがわかるのではないかと思っております。
 それから司書ですが、やはりずっとそこだけにいるとマンネリ化もしますし、また専門職ということであれば、例えば学芸員さんとの整合性、社会教育主事との整合性、あるいは教員との整合性が考えられてよいと思います。教員は例えば大学院の場合は専修免許状が出たりとかいうこともありますので、大学院卒の司書さんの処遇、あるいは現職で再度レベルアップするために再教育をする。それが単に研修ではなくて、何らかの形の資格証明となって専門職が育つような専門職制度が要るのではなかろうかと思っております。
 それから上級ということとどう絡むかはわかりませんけれども、先ほど齋藤さんがおっしゃった中に、例えばビジネス支援とか、行政支援とかで、専門分野を持つ司書さんが必要だというのも、同じ印象を持っております。
 また、法律の関係でいうと、用語の問題ですが、ここに出ている閲覧所、配本所、自動車文庫、この辺のところは、私は来たばかりでちょっとわかりませんけれども、例えば貸出文庫とか地域でなじんでいるところもありますので、もし変える場合は図書館の関係者の方によく意見を聞いてみられたらいいんじゃなかろうかと思っております。
 それから最後にもう1点、相互貸借なんですが、私は図書館法に相互貸借が昭和26年の最初から入っているというのはびっくりしました。図書館界というのはほかの領域に比べてお互いのネットワーク、助け合いの精神がすごくあるところだと思います。例えば市町村相互でお互いに持っているものを貸し借りするというのは、ほかの行政分野では自分のところの施設は自分のところの住民だけが使うものというところがあるんですけれども、図書館は本当に相互貸借をする。
 1つ例を挙げますと、びっくりしましたけれども、私ども福岡県の例ですが、県と市町村では、年間一万件相互貸借しているんですね。これは平均的な数字だと思います。また、市町村相互で10万件ぐらい相互貸借するんですね。これも普通なんですけど、今、調べかけているのですが、広域利用というのがありまして、8割方、ブロック・ブロックで広域利用の協定を結んでいるんですね。その広域利用の利用数なんですが、福岡県の場合の図書の貸出冊数は2,400万冊ぐらいなんですが、今、集計があがってきていて、相互貸借じゃなく、他市町村へ貸したのが1割以上、258万冊という数なんですね。こういう行政領域というのはおそらくあまりなくて、これの土台はやっぱり図書館法だと思うんですね。図書館の相互貸借だったり、17条の無償制だったり、そういうものが図書館相互のお互いのネットワーク、もちろん必ずしも100パーセントいい面ばかりじゃないわけですけれども、本をすべての人に届ける、すべての本をすべての人へという精神が図書館法から来ているなと思います。これは感想です。

【齋藤講師】
 短いコメントですが、医療情報とかビジネス支援の本が、非常に回転が高いということですけど、我々のところも、医療情報が去年ぐらいから強調されています。そうすると非常に関心が高いですね。特に我々のところは地方ですから、例えばセカンドオピニオンの問題にしても、それから難病でほかにだれかいないかというような場合でも、頼るところが非常に少ないんです。そういうところではそういったものがよく利用される。だから、最初のところで少し言いましたけれども、情報を提供することによって住民にさまざまな満足を提供する、あるいは向上させるという意味合いのことが図書館法に書いてあると、もっとそれがそれぞれの図書館で取り組めるようになるんじゃないかなと思います。
 それから専門の司書というお話がありましたけれども、県立や中央図書館みたいなところはそういう人がたくさんいてやってくれるんですけれども、我々のように小さな県ですと、小さな図書館でもっと少数の司書しかいない。だけど、その人たちもそれぞれが専門を持って全体でうまく組み合わせてやっていくというシステムにして初めて、やっぱり専門の人は必要だということも理解されますし、よりよい情報が相互に提供できるというような、ほんとうのネットワークシステムというのがそうやってできるんだろうと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございます。

【鈴木委員】
 今、齋藤さんに、私が言おうと思っていたことを最後に言われたような気がしたんですが、館長さんのお話を伺って、横浜の方もそうだったんですが、館長さんがやっぱりユニークで、館長さんのリーダーシップのような気がするんです。齋藤さんの場合には、行政職のほうで何もご指示がなかった。それが、来たときに司書の資格をおとりになった。そこのところはすばらしいことだと思うのですが、じゃあ行政職におられたときに図書館のほうは何をやってきたかという話なわけでして、それはきちんと考えなければいけないだろう。図書館がどうするかということではなくて、図書館のサービスがどうなっているかということをきちんと、博物館も同じだと思うんですが、絶対それをやらなきゃいけない。
 そこのところで考えてみると、館長のリーダーシップ、これは博物館も同じなんですが、館長の資質をいかに保証していくのか。もうやめた、例の図書館法何条でしたっけ、13条ですか。昔のあれですね。そこのところの問題を蒸し返すわけにはいかないだろうと思いますが、何らかの形で館長も専門職的な知見を持つ人でありたいというようなことが図書館法や博物館法ではできないか。しかし、それを考えてみると、今度は図書館や博物館というのは、規模が大きいものから小さいものまで。公民館の場合は全然違うわけですね、市町村立なわけですから。だから、こちらのほうは専門職の話をしても、それはネットワークでという話になってしまうのかもしれませんが、県立レベルのようなもの、博物館では国立、独立行政法人立があるわけですが、それと専任の職員がいるかいないかぐらいわからないような小さなところと一緒にしていいのかどうか。そのあたり、県立、市町村立を分けて考える必要があるのかないのかという気がいたしました。

【山本委員長】
 非常に大事なところですね。

【井上委員】
 現場に近いところの話でございますが、糸賀委員の読書の推進・奨励に関する図書館奉仕の見直しについて非常に賛成でございます。具体的には子どもの読書活動の推進に関する法律で子どもの読書計画を定めるように今推進しているところですが、計画の策定は、有効だということは明らかになっています。栃木の例でも推進計画したところはいろいろな活動が盛んになっており、計画策定の有効性はわかっているのですけれども、市町村がなかなかつくってくれない。なぜかというと、やはり計画をつくるのは主管課なのですね。生涯学習課とか、場合によっては学校教育がつくる場合もないわけではありません。そういった場合に、図書館が主体的にかかわれるというような状況ではないという気がいたします。そのような面でも、読書に関して図書館法で定義づけるというのも非常に有効であると思っております。
 もう1点は、先ほど鈴木委員からあったように、県と市町村の役割ですね。社会教育法ではきちんと市町村の役割、県の役割が明記されているのですが、図書館法についてはないと思います。やはり県立図書館が市町村と同じステージで頑張ると、結局脆弱になっていくわけですね。県立図書館の役割というのをきちんと踏まえて、予算取りをして、きちんとやっていくというのがこれから必要になっていくのではないかと思います。

【山本委員長】
 では、高橋委員、どうぞ。

【高橋(興)委員】
 私、図書館法第3条関連でお話をしたいと思います。子どもたちの読書活動の推進というのは言うまでもなく大変大事で、文部科学省でも、例えば学校図書の充実ということで交付税措置をしているわけですけれども、齋藤講師のお話にもあったように厳しい地方財政の中で実はこういう交付税措置が図書の購入費には十分に回っていないというのが全国的な実態だと思います。別のほうに転用されてしまっているということです。
 ところが一方では、全国的に朝読書という大変望ましい動きが充実してきておりますし、それから地域住民のボランティアによる本の読み聞かせの活動なども充実してきております。しかし、こういう活動に連動して、例えば朝読書する本がなかなか学校図書館にないという状況や、あるいは本の読み聞かせをしたときに、子どもたちがおもしろいなと思って休み時間に、あるいは昼休み時間に学校図書室あるいは図書館に行って本を探そうしても、実は鍵がかかっているというのが多くの学校の実態でございます。
 そういったことから、図書館法の第3条には、「学校教育を援助し得るように留意し」とか、「学校に附属する図書館又は図書室と緊密に連絡し、協力し」という条文などもありますが、これと整合性を持って学校図書館法の第4条にもそういった趣旨の条文がございます。ですから、こういうふうな図書館法の見直しをする際には、ぜひ学校図書館法などとの整合性もきちんと図っていただきたいというのが1つ希望です。
 もう1つは、市町村の図書館の設置率のデータが出ておりますけれども、この設置率は市町村合併によって数字では上がるんですね。例えば青森県の場合ですと、市町村合併が推進される前は67市町村中23館しか図書館がございませんでした。ところが、今40市町村になりましたので、23館でも率でいうとぐんと上がるんです。これは数字の魔術です。
 しかし、そういった状況の中で学校図書館、とりわけ県立をはじめとする高等学校の図書館というのは、創立50年や100年なんていう伝統校の図書館もありますので、地域にとって極めて充実した、まさに宝の山なんですね。ところが、そういったところが実はまだ十分に開放されていないという実態もございます。学校図書館法には「その目的を達成するのに支障のない限度において、一般公衆に利用させることができる」という条文が第4条にあるわけですけれども、こういったところも立法技術上いろいろ難しいのかもしれませんけれども、もう少し実効性があり、高等学校の図書室などの開放がもっと進むような、そうした誘導策につながるような法の改正ができないものかということを考えております。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございます。

【水嶋委員】
 糸賀委員に質問なんですけれども、裏の2ページの3ですが、アップアップしている件です。第三者機関による認定で上級司書をと書いておりますけれども、この第三者機関についてはどのようにお考えになっているのか、現実可能なのかどうか。
 それからその関連ですけれども、大学院修士課程を中心に据えたというのは、これは慶應の例が出ていますけれども、上級資格イコール大学院修士課程の卒業なのか、その辺の関連性をちょっと教えていただきたいんです。お願いします。

【糸賀委員】
 第三者機関につきましては、日本の公立図書館、大学図書館、学校図書館を含めて、それを総括して、それこそ図書館相互の連携を図ろうとしている社団法人日本図書館協会がこの場合にはふさわしいだろうと考えております。私は当然、日本図書館協会の会員でもありまして、今から2年ぐらい前までこの上級司書制度の具体的な検討を3年間にわたってやりました。その報告書もでき上がっておりますし、日本図書館協会のホームページにアクセスしていただければその報告書も見ることができます。しかしながら日本図書館協会の諸般の事情によりまして、この上級司書制度をまだ実施するには至っておりません。それを後押しするような、この中央教育審議会の報告もありましたし、世論の動きもそういう方向ではあるんですけれども、協会の内部の事情もありまして実現には至っておりません。
 それから大学院との関係ですが、大学院で学び修士号を取得したということも当然上級司書への認定の1つの要件です。でも、それだけが上級司書ではないと思っております。制度設計の中の報告書を見ていただければわかるんですが、例えば一定の研修機会を受講している。これは国がやった研修で、上の実践研究センターであります司書専門講座といったものもあります。そのほかにもいろいろと民間や都道府県レベルでやっている研修もあります。その研修を受講しているという実績、それから司書であれば、先ほど米田委員が言われたのかな、例えば話術があってちゃんと書けると。したがって論文を図書館関係の雑誌に発表しているとか、全国大会で口頭で発表しているとか、そういった実績を含めて上級司書として第三者機関が認定するというものを想定しております。実は具体的には医学図書館の世界では、日本医学図書館協会がこの認定制度を既に実施しております。それと似たようなものを普通の公立図書館、公共図書館の世界でもやったらどうかというのが私どものやった提案になっております。
 関連して、今、高橋委員、それから井上委員からも図書館についていろいろとご提案、ご意見がございました。それに絡めて最後に発言させていただきたいんですが、読書をもう少し図書館法の中でもうたうべきだという提案をさせていただきました。その裏にはやはり文字・活字文化振興法というのが非常に大きいと思います。きょうの事務局の資料の中に文字・活字文化振興法はあるんですか。ないとすれば、「これからの図書館像」という私どもがつくったこの報告書の後ろのほうに資料として文字・活字文化振興法を掲載しております。79ページにございます。これの特に第6条、国及び地方公共団体は、文字・活字文化の振興に関する施策が円滑に実施されるよう、図書館、教育機関その他の関係機関及び民間団体との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする、それから第7条の1、2、3あたりに図書館のことが明言されております。特に第7条あたりが市町村での役割が書かれておりますので、これと呼応するような形で先ほどの図書館法の第3条も新たに改正ということを考えるべきではないかと思います。
 先ほど高橋委員から言われたように、市町村合併によって数字の上では図書館の設置率が高まっておりますが、必ずしも図書館が住民の身近に十分あるわけではありません。それは、図書館法の先ほどの第3条、図書館奉仕の中の第5号が、合併した後の地域の中のどこにいても図書館が使えるようにする、いわゆる全域サービスのことを言っているわけです。しかしながらここにある分館、閲覧所、配本所でやる時代では残念ながらないわけですね。今や地域館をつくってちゃんと固定してやっていくという。配本所というのはわずか数千冊ばかりの本を、例えば公民館の一角に置くとか、地域の集会施設の一角に置くというものなんですが、それだけでは十分でないということがありまして、事務局からの提案にあったように、もう少し時代に見合ったような表現にして、合併後も市町村での図書館の全域サービスが実現できるようにするべきではないかという提案になりました。
 以上、委員の方々の発言に重ねて補足させていただきました。

【山重委員】
 教育基本法の改正との関係で図書館をちょっと考えていたんですけど、先ほど齋藤講師からビジネスサポートを図書館でやり始めたという話を伺って、ファミリーサポートもやっていただけないかなとちょっと思い始めた。つまり、家庭教育を支援する場として図書館というのは非常にいい場所ではないかと思っています。というのも、私も娘が小学校に行くまではよく図書館に行って、年齢が上がるにつれて読む本がどんどん変わっていくものですから、本を買うというよりはむしろ図書館に行って、いろんな絵本を読ませて使わせていただいたんですけど、頻度からいっておそらく子育て、特に小学校前の親御さんというのは、図書館に子どもたちと一緒に行くモチベーションがあるし、機会が多いと思うんですね。特にしつけなんていうのは小さいときにきちんとやってもらえるとありがたいというのもありますし、また子育てに悩んでいらっしゃる親御さんはたくさんいらっしゃるので、図書館の中でファミリーサポートの機能を持っていただけると非常に効果的に家庭教育を支援することになっていくのではないか。そのようなことをもし共感していただけるのであれば、例えば図書館法第3条で、「学校教育を援助し得る」ということに加えて、家庭教育というのが教育基本法の中に新しく強調されるようになりましたので、もし可能ならば「家庭教育も援助し得るよう」というような一言を入れていただけると、教育基本法の改正に対応したような図書館法の改正にもつながるのかなと思いました。

【山本委員長】
 ありがとうございました。

【高橋(守)委員】
 いろいろなお話を総合するとすごい可能性を秘めた図書館というのが浮かんでくるのですが、地域を支えるとか、地域のさまざまな課題の解決につながる図書館ということを考えますと、目的、第2条の定義、第3条の図書館奉仕などの中に、そういう意味の力強い表現が欲しいと私は思います。それは、図書館で働く立場の司書とか、勤務するいろいろな人たちの資質を一層力強く向上させるためにも、地域に貢献する図書館ということにつながる文言がぜひ欲しいなと。これは博物館法にもいえることなのかもしれませんが強く感じました。
 それから2点目は、ちょっと細かいのですが、第3条の美術品というのがよくわかりません。それからレコード、フィルムは時代の流れでほかの表現があるかもしれない。博物館法には逆に写真、レコード、フィルムという表現があるんですが、この辺のバランスと兼ね合いが少し時代の流れの中で検討されていいのかなと。
 私は個人的に今一番危惧していますのは、各地方に優れた映像記録がたくさんあるんです。個人のレベル、団体のレベルで撮影した作品がたくさんあるのですが、市町村合併の流れの中で保管の場所がなくなったり、様々な理由で、今、失われ始めている。場合によったら廃棄され始めている。そういう意味からいうと、視聴覚ライブラリー・センターの機能、博物館や図書館の機能の中で、どこがそういったデジタルアーカイブスを本気でやるのか。ぜひ検討していただきたい問題だということを申し上げておきたいと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございます。
 では、米田委員、最後。

【米田委員】
 今、高橋委員がおっしゃって、ちょっと言おうか言わないかとも思ったんですけど、博物館法も図書館法も目的のところは社会教育法を受けていて間違っていないんですけれども、やはり久々の見直しですから、博物館だけ言わせてもらえれば、大きな館もそれから地方の小さな館も、元気を持って使命感を持ってやれるような、何か前文のようなもので、各条項に落とせないようなもので、そういうような言葉が入ると元気になるかなと思っているんです。時代に合わなくなるようなことがないようにということです。
 それからさっき糸賀先生が、すそ野を広く保ちとおっしゃっていました。これはテニスプレーヤーの神和住純を思い出しましたね。昔、もう二、三十年前に、テニスという体育会系の格闘技のようなものではなくて、同好会で楽しくやりましょうということで千葉県の九十九里浜の白子町に、テニスコートがいっぱいできました。底辺を広くすると頂点が高くなると日本人は富士山が好きですから思っていますけど、底辺を広くすると上が崩れまして八ヶ岳どまりになる。神和住純が言ったことは、自分たちは鉛筆だと。底辺は小さいけど頂点は高い。八ヶ岳と鉛筆とどちらが高いかやってみますか、と言った。つまりこの議論は底辺を広くしていく議論と、資質の向上という、鉛筆のような、さっき明石先生は煙突とおっしゃっていたけど、そういうような2つの面があると思うんです。
 勝手なことを言わせてもらうと、私は美術館、博物館の文化のほうで元気にしたいと思っていますから、そうするとほうっておいたって文化国家になりませんから、学芸員や博物館の人も、芸術家も、それから歴史家も、それから行政も、4つの汗を流さないとこの国は変わらないと思っています。4つの汗というのは、1つは「相互理解のため」。私は展覧会の方ですから、例えば北朝鮮だってイラクだって展覧会とかスポーツは交流できますから。図書もそうだと思う。それから、腹の足しにもならないけど、美術館、博物館は、図書館もそうですけど、第2は「国の風格を上げる」ことができる、県の風格を上げることができる。そういう力があります。それから、さっき企業とのコラボの話を齋藤先生はおっしゃっていましたけど、3番目はやはり「事業の創出」。ものをつくって売るだけから、医療とかいろんな情報、こちらから仕掛けていくような事業の創出、また、企業のほうもこちらのほうに歩み寄る。これはみんなピッチャーと呼んでいる。これは博物館のほうだけかもわかりません。4つ目はキャッチャーです。「観光と交流」、3つの汗だけではだめです。長崎県の人だけでやってもだめなんですね。そこに県外と国外から人が来てくれて、観光と交流、外の人とよく触れ合うことによって地域はよくなっていくと思います。それは図書館にも言えると思うし、僕らも言えると思うんです。何かこの時代に合ったような前文のようなものをみんなで考えればいいなと思っています。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございました。

【齋藤講師】
 短いコメントを1つさせてください。
 今の高橋委員と山重委員から出ていたところに関連してなんですけれども、ほんとうに課題解決をしていって、いろんなものを向上させたり展開させたりしていくという力を図書館は持っていると思います。そのことをぜひ、図書館員にもわからせてやりたい。先ほど高橋委員が言われたように、今までとは違う図書館像というのが、ああ、なるほどなと言ってわかるような力強い文言がそこに入ってくるというのはすごく大きな力になると思います。
 それからそうした流れの中で、例えば家庭サポートにしても、いろんなところと我々は組むことができるわけです。そういった専門家のところに行くということは、敷居が高いんだけれども、我々が上手に仕掛けをして、図書館のある一定の事業の中でそれがすっと入っていけるようなものを組み上げるということでいえば、それは図書館は十分できると思います。そういうふうな形で、いろんな形のサポートをして向上させるということは私は十分可能だと。そういったことがわかるようなものをつくっていただければなと。

【山本委員長】
 ありがとうございました。これからの博物館、図書館のあり方のご意見をたくさんいただいたので、非常に充実したと思いますが、資料2-1のその他のところの最初の「○」は先ほどから出ていたんですが、2番目の「○」の自己評価についても博物館の場合と同じようなことでよろしいですよね。先ほどそこでも言いましたけれども、確認ということでさせていただきます。
 ありがとうございました。それではきょうの議論はこれで終わりにしたいと思います。今まで6月の末から5回、小委員会を開催してまいりました。これからの法律のあり方等々についてご意見をいただきました。この小委員会がつくられましたときには、生涯学習分科会の田村分科会長のほうから、小委員会の審議の結果を分科会で報告するようにということを求められております。そういうこともございますので、この小委員会の意見を取りまとめていきたいと思っておりますが、少し時間をいただければと思います。それで委員長のほうで整理をして資料をつくりまして、この小委員会の皆様のほうに提示していければと思っておりますので、8月中は少し小委員会はお休みさせていただいて、8月の末か9月の上旬ぐらいに小委員会を開いて今のようなことを見ていただくというのでいかがなものかと思いますが、どうでしょうか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。さすがにこのメンバーですので、非常にいいご意見をいただいて分科会のほうにも上げていけると思うんですが、1つ残っているのは、残っているわけでもないんですけれども、教育サポーターとか学習コーディネーター、学習相談員のところの議論の後半のところで、次の社会教育法制のところでどうかといったままになっていますが、考えてみると分科会のほうで、前の3期のところで出てきたいろんなことがありますから、分科会マターで一度見ていただいて、またそこからこちらにおろしていただいたほうがいいのかなと思うんですね、今やるよりも。一応見ていただいていますからそれはそれでいいんですけれども、ここで無理して議論しても、あまり生産性がない議論になっちゃうといけませんので、この前、資料を見ていただいた範囲で、分科会へ上げていくということでよろしいですか。では、そうさせていただきます。ありがとうございます。
 そんなことで5回にわたって議論いただき、最初はどうなることかと思ったんですが、実にいいご意見をいただいたので、私どもとしては、私と副委員長も含めて助かるわけでございます。また日程のことや何かもお諮りということになるかと思いますが、ご協力のほどお願いしたいと思います。
 事務局から何かございますか。

【上月生涯学習推進課長】
 今、委員長が言われたとおりなんですが、今まで皆さんからいただいた意見を一応もう一回法制度という観点も含めて資料として整理をして、委員長にもご指導いただいて、できれば次回、皆様方からご意見をいただきたいなと考えております。よろしくお願いいたします。

【山本委員長】
 ありがとうございます。法制局との関係もあっていろいろ事務局は大変だと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 きょうは齋藤講師にはほんとうにお忙しいところ来ていただきまして、ありがとうございました。いいご発表をいただいたので、私たちの議論も進みました。
 それでは、これで本日の小委員会は終わりとしたいと思います。先ほどのようなことで1カ月ぐらい間があきますが、またよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

─了─

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課

(生涯学習政策局生涯学習推進課)