制度問題小委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成19年7月20日(金曜日) 14時~17時

2.場所

ホテルフロラシオン青山 「芙蓉(東)」(2階)

3.議題

  1. 論点の整理(主に社会教育法に関する事項)
  2. その他

4.出席者

委員

 山本委員長、菊川副委員長、糸賀委員、井上委員、興梠委員、鈴木委員、高橋(興)委員、高橋(守)委員、土江委員、水嶋委員、山重委員、米田委員

文部科学省

 合田総括審議官、関口大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、清木生涯学習総括官、川上生涯学習政策局政策課長、上月生涯学習推進課長、平林社会教育課長、佐久間調査企画課長、湊屋男女共同参画学習課長、椿参事官、安間青少年課長、濱口民間教育事業振興室長、栗原地域学習活動推進室長、岩佐家庭教育支援室長、今野生涯学習調査官、小林生涯学習推進課課長補佐

5.議事録

【山本委員長】
 おそろいでございますので、ほんのちょっと定刻前なんですけれども、始めたいと思います。
 ただいまから中央教育審議会生涯学習分科会の第4回制度問題小委員会を開きたいと思います。本日はご多忙のところおいでいただきまして、まことにありがとうございました。
 議事に入ります前に、事務局のほうに人事異動があったようでございますので、ご紹介をお願いいたします。

【上月生涯学習推進課長】
 それでは、紹介させていただきます。大臣官房の合田総括審議官でございます。

【合田総括審議官】
 合田でございます。よろしくお願いいたします。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思いますが、きょうは、もう既に前回ご案内申し上げましたようなことで、社会教育法関係のことになるわけでございますが、かなり量がありますので、4つぐらいに区切れればと思っているんですけど、1つは、社会教育法に関する論点、現状等々のことがございます。あと、資料がございますので、それに沿ってですが、社会教育の目的とか、国・地方公共団体についての議論ですね、これは当然あると思いますが、それが一固まりであるかと思います。それから、社会教育主事とか社会教育委員ですね、施設もかかわりがありますから、この3つぐらいをまとめてご意見をいただいてもいいかなと思っておりますが。それで最後に、家庭教育の支援とか学校・家庭・地域の連携協力とか社会奉仕体験活動の推進等々がありますので、これらもまとめてというようなことで区切っていければというふうに思っております。
 途中でまた今回も休憩10分程度挟みたいと思っておりますが、それは皆さんのご意見をいただいている中で区切りのいいところでとりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは早速ですが、まず資料説明をお願いいたします。

【平林社会教育課長】
 それでは、まず、お手元の資料をご確認いただければと思います。資料1から資料3、それに参考資料として1から3と、3種類をそれぞれつけておりますので、もし不備等ございましたら、事務局のほうにお知らせいただければと思います。よろしゅうございましょうか。
 それでは、資料の説明をさせていただきたいと思います。
 資料1に「社会教育法の見直しの方向性について(論点案)」というものをお配りしております。こちらは、基本的には教育基本法を受けて社会教育法の見直しが必要だろうということで整理したものでございます。それにこれまでの意見、それは資料2にまとめておりますが、これまでのご提言とか意見、あるいは資料3に現行の現状等のデータをつけておりますけれども、そういうところでの問題点等を入れまして整理したものでございます。
 それでは、ご説明したいと思います。
 まず、1として社会教育法の目的でございます。こちらは今回、教育基本法の改正の中では、ここにございますように、生涯学習社会の実現という基本法の3条の規定であるとか、あるいは基本法第12条に個人の要望や社会の要請にこたえる社会教育の振興といった規定が入れられたこと、さらに、10条には家庭教育の支援といったものがある。そして13条には、学校・家庭・地域が教育に関しまして連携協力を行うといったような規定があります。このあたりを基本的に社会教育法の中でどう具体化していくか、入れ込む必要があるのではないかという問題意識でございまして、これはそれぞれの条文の中に入れていったときに、社会教育法自身の目的なりもそれを勘案して規定をし直すといったとも考えられるのではないかといったような問題意識でございます。
 2番目の国及び地方公共団体についてでございます。社会教育法におきましては、5条の――参考資料3に、1枚目を概要にして、後ろに実際の条文をつけておりますけれども、3条には国・地方公共団体の任務と。そして、具体的に5条には市町村の教育委員会の事務を1号から16号まで列記しておりまして、第6条には都道府県の教育委員会の事務を、これは構成上は市町村の事務に加えて1号から5号の事務という形で整理しておりますが、それぞれの事務を明記しております。こちらに今回の教育基本法を改正した、今申し上げたような条文を明記するということが必要ではないだろうかといったようなことでございます。またあわせて、時代の変化等がありましたら見直す事項もあるのではなかろうかといったこともご意見をいただければというふうに思っております。さらに、昨今、青少年関係のいろんな問題なりも出ておるといったことを考えますと、この点についても何か考える必要はないだろうかといったような問題提起でございます。
 続きまして、3項目めは社会教育主事についてでございます。皆さんご案内かと思いますけれども、社会教育主事、資料3に、右下のほうにページ番号を入れておりますが、まず表の2を見ていただきますと、社会教育主事はいわゆる行政職でございまして、都道府県及び市町村の教育委員会の事務局に置かれる専門的職員でございます。そこにおきまして専門的な指導・助言を行うと職として置かれているわけでございますが、その社会教育主事の現状は、ここに出てございますように実は年々配置数は減っておりまして、直近の平成17年の調査におきましては4,119名と。その前の調査は3年前、平成14年ですが、それと比較しても1,000名近く減っておるという状況でございます。また、市町村教育委員会における配置率を見ていただきますと、61.3パーセントというようなデータになっている。こちらのほうも配置率が下がってきているという状況でございます。
 次の3ページ目のところに詳しく人口規模別の社会教育主事の配置率の比較というのを載せておりますけれども、これはざくっとした言い方では、やっぱり人口が多い教育委員会におきましては配置率が高いということが言えると。逆に、低いところについては配置率が低いということでございます。一応、細かいんですが、規定上は人口1万人未満の町村につきましては、当分の間、社会教育主事を置かないことができるというようなことが法律上書かれておりまして、それも反映したような数字になっておるというものでございます。
 それから、実は社会教育主事には派遣社会教育主事という制度もございまして、そちらは8ページのところに現状と書かれておりますが、この派遣社会教育主事というのは、市町村教育委員会からの求めに応じて都道府県の教育委員会から市町村に対して派遣される社会教育主事のことを言っているものでございます。現在におきましては32の道府県におきましてそういう制度をもって市町村に対して社教主事を派遣しているのが現状でございます。こちらのほうも実はあわせて減っている現状でございますが、実は以前には、この下のほうにございますように、国のほうで財政措置というのを国庫補助あるいは交付金という形で行っておりましたが、平成9年度限りでそういった交付金というものは廃止されました。現在は一般財源化いたしまして、地方交付税におきましてその派遣社教主事の分の経費が計上されているという現状になっているところでございます。
 そういう派遣社教主事を含めて社会主事の配置率が低下しているという現状において、社会教育主事の専門性を高めて、さらにより一層、活躍の場を拡大するために制度を見直すということが必要なのではないかといった論を立てております。
 特に、まず1つ目の○でございますが、これは基本法でも学校・家庭・地域の連携協力という規定も入りましたが、またちょっとあちこち行って恐縮ですが、資料3の7ページ目に、実態調査で聞いたところ、社教主事については求められる能力として学習課題の把握と企画立案能力であるとか、あるいはコーディネーターとしての能力といったようなものが求められている割合が非常に高いと。また、職務としては、やっぱり企画・立案なり、あるいは運営といったような職務というものが重要であるというふうに認識されているといったようなことを踏まえて、社教主事の役割として学校・家庭・地域社会のコーディネーターであるといとったことを明確化する。また、職務としても、専門的技術的な助言・指導といった現行の規定に加えて、それだけでなく、企画・立案であるとか、あるいは連絡・調整業務といったものを追加するというのはどうだろうかというのが1つ目の○でございます。
 それから、社会教育主事の有資格者について、現在、職でございますので、教育委員会だけに社会教育主事が置かれているわけですけれども、その社教主事の資格を持った方が、学校であるとか、あるいは首長部局等でも活用できるような、それを促進するような方策といったものも考えられてもいいのではないかといったような意見でございます。
 それから3つ目でございますが、社会教育主事の経験者といったものの活用というものも1つ考えられるのではないかといったこと。
 あるいは、社会教育主事に民間からの人材活用といったことも促進してはどうだろうかといったような論点を立てさせていただきました。
 続きまして4番目でございますが、社会教育委員でございます。この社会教育委員でございますが、こちらはもともと学校教育あるいは社会教育及び家庭教育に関する知識・経験がある者を委嘱しまして、教育委員会等に対して助言を行うといった職を担う方でございまして、こちらもちょっと条文を見ていただいたほうが早いかと思いますが、参考資料3の条文に、ちょっとページ数がなくて恐縮ですが、第15条以下に社会教育委員の規定がございます。こちらは、都道府県と市町村に社会教育委員を置くことができると。これは非常勤として置いているものでございまして、先ほど申し上げましたように、学校教育、社会教育、家庭教育あるいは学識経験者の中から委嘱した者でございまして、職務として17条にございますが、社会教育に関する諸計画を立案する、あるいは教育委員会の諮問に応じて意見を述べるといったようなことを職務として担っているというものでございます。さらに、ちょっと戻ってもらいまして13条、国あるいは地方公共団体が社会教育関係団体に補助金を交付する場合におきまして、あらかじめ、国におきましては審議会――これは実は本審議会ですけれども、地方公共団体にあっては、教育委員会が社会教育委員の会議の意見を聴いて行わなければならないといったところにも、社会教育委員といったものが出てくるわけでございます。
 現状でございますが、また資料3をごらんいただければと思いますが、その9ページ、10ページでございます。都道府県あるいは市町村にこの社会教育委員が置かれているわけでございますが、いずれも設置率自身は、都道府県で97.9パーセント、市町村でも97.7パーセント、非常に高いという状況でございます。ただ、会議自身の開催状況というものをそれぞれ右側に掲げておりますが、大体年2回以下の開催といったものが半分を占めているという状況でございます。そういう意味では、活動がどこまで活発なのかどうかといったようなところは確かに議論があるところでございます。
 そこで、ちょっと論点に掲げておりますが、15条では任意設置になっているわけでございますが、結局、13条、先ほどの補助金の関係の規定ではこの社会教育委員の会議の意見を聴かなければいけないといったことから、逆に必置と同じような効果を持っておるのではないかというようなことが指摘されておりまして、そちらについての見直しを考える必要がないんだろうかといったことを1つ論点として挙げさせていただいております。
 これにつきましては、また資料3の11ページのところに、実はまさしく13条についての要望というものがトップの提案でございまして、それぞれ意見を聴かなくてもいいようにできないだろうかというようなことが提案でなされておりました。行政的には、社会教育委員の会議あるいは生涯学習の生涯学習審議会等々類似の会議と委員が重なっているといったような場合には、弾力的に運用するということで対応は可能ですよといったようなことで通知をしたところでございますが、その点でさらに検討する必要はないだろうかといったようなことが掲げられております。また、その生涯学習審議会とこの社会教育委員の会議との関係といったもの、これは先週の生涯学習に関する議論においても論点として提出いたしましたけど、同じように提出させていただいているところでございます。
 続きまして、1枚めくっていただきまして社会教育施設についてでございます。今回、教育基本法第12条ですが、これは赤いほうのファイルに教育基本法を載せておりますが、その3番目に基本法全文を載せております。その12条に社会教育の規定がございますが、その第2項でございますが、「国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設」と。以前、この辺は「公民館等」という書き方になっておったんですけれども、そこに新たに「社会教育施設」という文言が入ったということがございます。そういった改正を受けまして、社会教育施設の機能や役割を整理・明確化というようなことが必要ではないかと。あわせて、社会教育施設における活動の活性化といったものが図られるように関係規定を見直してはどうかというような問題点を整理させていただきました。
 社会教育施設については皆さんご案内とは思いますが、資料3の12ページに現状としてそれぞれの性格というものを掲げております。社会教育法の中におきましては、公民館について規定がなされているというのが現状でございます。その公民館につきましては、現状といたしましては16ページにございます。年々、やはりこちらのほうも公民館数というものは減少しておりまして、平成17年度におきましては約1万7,000館といったような状況になっております。それから、同じく職員数も次の17ページにございますように、やはりこちらも年々減少しておって、平成17年度は約5万2,000人というようなことになっております。ただ、活動自身は利用者等も横ばいになっておりまして、下の18ページのところをごらんいただければと思いますが、大体横ばいで推移しているという状況でございます。
 社会教育法の中には公民館が中心に規定されておるんですけれども、まず1点目の論点として、公民館のあり方を見直して、あまり用いられていない規定等を整理・簡素化してはどうかといったこと。公民館を活性化する一方で規定の整理も必要ではないかということでございまして、実は社会教育法の中には基金の規定あるいは特別会計といったような規定がございます。社会教育法の33条あるいは34条といったところにございます。こちらのほうの規定の活用例というのは資料3の24ページにございますが、公民館を設置している市町村はもちろん多いわけでございますけれども、基金なり、あるいは特別会計といったものをそれぞれ社会教育法に基づいて設けているといったようなところはほとんどないというような状況でございます。いずれも、基金なり特別会計にしても、現行の地方自治法上、措置できるというようなことがございますので、その意味で、あえてここでこの条文について根拠をもって措置する必要もないのではないかといったような問題意識でございます。
 それから2つ目として、自ら改善を図る仕組みというものも活性化としてはあり得るのではないかといったようなこと。
 それから3つ目の論点は、これは次の6の家庭教育支援といったようなこともございますが、その活性化といった意味で、こういった家庭教育支援といったものも公民館なりの機能として明記してはどうだろうかといったようなことでございます。
 それから4点目につきましては、これは公民館だけに限らずに、図書、あるいは博物館資料、今、ネットワークといったようなことも言われておりますので、そういった資源を活かすといった観点から何か措置あるいは何か規定なりを考えることはできないだろうかといったような論点でございます。
 それから、6番目は家庭教育の支援についてでございます。基本法10条に「家庭教育」ということが新設されたといったことから、親に対する学習機会であるとか、あるいは情報提供といった家庭教育支援といったものを規定してはどうかといったものです。実は平成13年に社会教育法が改正されておりまして、その際に家庭教育の支援といったような規定が入れられたという経緯はございます。具体的な条文で申し上げますと、参考資料3の社会教育法の条文で言いますと、第3条第2項の規定を1つ入れました。社会教育が学校教育及び家庭教育との密接な連携を有することにかんがみて、学校教育との連携の確保とともに、家庭教育の向上に資することとなるような配慮をするものとするといったようなこと。それからまた、次のページで第5条の第7号、こちらに家庭教育に関する学習の機会を提供するための講座の開設、集会の開催、また、その奨励に関することといったような規定を平成13年に入れ込んだというような経緯がございます。またさらに、基本法第10条というもので「家庭教育」というのが新設されたという状況もございますので、その点でさらに社会教育の行政の責務として規定するものはないかといったような問題意識でございます。
 それから7点目、学校・家庭・地域の連携協力でございます。これは冒頭申し上げましたように、基本法13条におきまして「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力の促進」といったものが新設されたということで、これを社会教育行政としても責務として規定するといったことを考えてはどうかといったものでございますし、これだけでは抽象的ということもございますので、それをどういうふうに具体化していったらいいんだろうかといったことも考える必要があるのではないかというものでございます。
 1つには、皆さんご存じのように、今、放課後等における子どもたちの安全で安心な活動拠点づくり、いわゆる放課後子ども教室といったようなことを私どもも実施しておりますけれども、それの関連規定といったものも1つ考えられるのではないだろうかと。
 それから、昨今、各地でいろいろな地域の人材を用いて、学校支援をはじめとした学校・家庭・地域が連携するというような事例が幾つかあります。「早寝早起き朝ごはん」運動といったものも1つそうかと思いますし、また、ここにございますように、地域において総合学習の実施の支援であるとか、あるいは部活動とか生徒指導への協力とか、あるいは学校・地域における子どもの安全確保といったようなことを取り組んでいる例もあると。こちらはまた資料3の28ページに、地域の人材を学校支援等に活用している特色ある取組例といったものとして、青森県と大阪府あるいは東京都の杉並区といったような例がございます。それぞれ学校の支援といったことでボランティアが活躍されたりといったようなものでございます。そういう取り組みもあるといったものを参考にして、何か具体策というものも考えられるのではないか、そういった活動を奨励するといったこともあってもいいのではないかといったような問題意識でございます。
 それから、8番目として奉仕・体験活動の推進でございます。実はこちらも平成13年の社会教育法の改正におきまして条文が1つ追加されております。またあちこち行って申しわけございませんが、参考資料3の条文の第5条の第12号でございます。「青少年に対しボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の機会を提供する事業の実施及びその奨励」といったような文言。こちらはご存じのように教育改革国民会議等々を受けて、奉仕・体験活動が重要であるということで、学校教育と同様に社会教育としてもそれを奨励するといったことでこの条文を設けたという経緯がございます。その奉仕・体験活動についてさらに一層推進するといったようなことは考えられないだろうかといったようなこと。この最後の部分は、ボランティア関係の重要性というのは資料3の36ページ以降に幾つかデータをつけておりますけれども、これまでの意見等も踏まえますと、非常に抽象的な部分にとどまっておりますけれども、何らかやはり検討する必要があるのではないかといったことで、一応項目として掲げさせていただきました。
 以上、ちょっとわかりにくかった点もあろうかと思いますが、その辺はご質問していただければと思います。
 説明は以上でございます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 そのほかに机上配付の資料がございますね。

【平林社会教育課長】
 申しわけございませんでした。資料のほかに机上配付資料として、本日ご欠席でございますが、明石委員からの資料と、それから興梠委員からの資料と、それと土江委員からの資料というふうに配られております。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございました。
 では、今の机上配付の資料は、ご発言いただくときにそれに触れていただくということで扱っていただければと思います。
 ありがとうございました。事務局からの説明がございました。質問等ございましたら、これからご意見をいただく中で出していっていただければと思いますので、早速、この資料1の論点案に基づいてご意見をいただいていきたいと思います。前回もそうでございますけれども、やはりこういう小委員会で専門家の方々が集まっていますから、非常にポイントをついたご意見をいただいているので、私どもとしては運びとしては大変助かっているんですけれども、多分きょうもそうなると思いますが、それぞれ項目ごとに○がございますので、それらについてご意見、問題点等々出していただければと思います。たびたび申し上げますように、条文をどう構成していくかとかつくっていくかというのはちょっと私の手に負えませんで、事務局のほうで法制局とか他の省庁とか文科省の中の他の局とかのいろいろな調整もあるでしょうから、我々としては、こういうところがこうだとか、こういうふうにしてほしいとか、いろんな意見を出してまとめていけばいいんじゃないかと思っております。
 それでは早速ですが、この資料1の1.と2.ですね、社会教育法の目的と、それから国及び地方公共団体のところ、これはおそらく相互に関連するところが出てきてしまうと思いますので、この2つについてまずご意見をいただいていきたいと思います。ご質問もありましたら、どうぞその中でということで始めたいと思います。それでは、ご意見等ございましたらどうぞ。どこからでも結構ですが。1と2のところですね。1の目的のところもこういうような整理をしていただいておりますけれども。

【山重委員】
 論点案の中には入っていないことなんですけれども、2条のところで社会教育がきちんと定義されるところがあって、その点に関して、どう書いたらいいのかわからないんですけれども、2回前の会で、この社会教育を行うときの社会教育のイメージは、教える、教えられるという関係が主たるもので、個人が自分で勉強するということにかかわるような、いわゆる学習支援というんですかね、その部分に関しては何か除外されているようなイメージだったような記憶があるんですけれども、ここは定義の中で学習支援というものまで含めて社会教育をとらえるということを明確にしておいたほうがいいのではないかという印象を持っています。そうでないと、なかなかここで、資料1の論点案に入ってくる例えば家庭教育の支援とか連携協力、そういったものが社会教育の範疇に入ってこないと思うので、どういう形で法律に落とすのかちょっとわからないんですけれども、やっぱり、いわゆる教える、教えられるという教育だけではなくて、学習支援ということまで社会教育に含めるという方向で構成していくほうがいいのかなというのをちょっと今思っているところです。

【山本委員長】
 それについてはどうでしょうか。この部分、少しご意見をいただいておいたほうがいいかもしれませんが。ございますか。
 じゃあ、土江委員のほう、資料も出ていますから、もしご意見あればどうぞ、今のうちに。

【土江委員】
 私も、この社会教育が、この前も申し上げたように生涯学習を支援するというふうな形できちっと明記されたほうがいいのじゃないのかなというふうには考えますけれど。

【菊川副委員長】
 私も同意見でございます。理由としては、前も申し上げたと思いますが、市町村あるいは県の課の名前が生涯学習課や社会教育課といろいろまじっております。いろんな会議をするときに、「生涯学習・社会教育行政担当者会議」という形でいたします。また、新任の市町村職員の研修会等をしますと、ワークショップをして生涯学習のイメージ、社会教育のイメージということでやりますと、生涯学習は「楽しい、明るい」、社会教育は「義務的、暗い」というような答えが多く見られます。ですから、社会教育法の中にきちっと、学習活動を支援する中核的なものが社会教育行政なんだということをきちっと位置づけていただきますと、生涯学習課と名乗っているところも社会教育課と名乗っているところもいいのではないかというふうに思っております。
 それから2点目として、2条の法律の定義ですが、「組織的な教育活動」ということですが、「組織的な」ということが絶対要るんだろうかという気持ちを個人的に持っております。と申しますのが、例えば社会教育施設、公民館、博物館、図書館等々のことを考えますと、組織的な教育環境の整備ではあるんですが、やっている人は限りなく生涯学習活動的なイメージで自分の活動をとらえているんじゃないのかなというふうに思いますし、また、青少年施設で、家族受け入れをどうするかとかいうような話になったときに、やはり社会教育は、組織的な教育活動というところで家族受け入れは必ずしもそぐわないんじゃないかというような意見も一方であるものですから、私は、自然の家等で家族受け入れを教育プログラムをアトランダムに提供しながらやっていくというのはとてもいいと思っていますけれども、そういうときの議論の中にも何かそういうところが見え隠れするものですから、この「組織的な」というのが要るのだろうかという疑念を持っております。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございました。
 どうですか、今のあたりのところでこ意見あれば。

【鈴木委員】
 菊川委員のご意見に賛成のようで何か疑問があるような部分もあるんですが、初めのほうのところで、いろんな方がいろんな考え方を持っておられるという誤解だとか何かいろんな意見がある。だから、この法律レベルでも変えていこうというような発想がもしあるとしたら、山重委員もそうだったと思うんですが、それは逆だというふうに思うので、きちんと考えられている理念をきちんと浸透していくような方向の努力をすべきだと。法レベルの話ではなくてもすべきだというふうに私は考えます。それが1点。
 それと、今のお話も、「組織的な」というふうに言ったときに、家庭での利用云々って、それは施設の側が組織的にやっている話であって、利用者の側が単発的にやるような話ということではないのだというふうに思うんですね。図書館の側は組織的に多分いろんな活動をやっているわけで、そのときにたまたま我々はある本をそこで読むというようなことがあるというようなことだと思うので、これはやる側のというか、教育する側、される側というのは何かここのあれでは一部評判が悪いわけだけれども、しかし、その構図としてはそれが教育ということであるわけだから、する側のというか、学習の機会を意図的に提供する側、そちらが組織的だということをやはり入れておくべきであって、組織化、組織的なという、どういうふうに組織するかというのは、やはりいろいろあるのだというふうなことだろうというふうに思うんですね。学校教育のようにやるやり方もあれば、そうではない組織的なやり方というのが意図されているというふうに私は理解するのですけれども。やはり「組織的な」というのはあっても私はいいんじゃないかというふうには思います。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございます。

【菊川副委員長】
 「組織的な」というのを法律的にどんなふうに解釈するのかというのは、私は正確にはよくわからないので、先生方にお尋ねしたかったということでございます。
 それから、1点目のことなんですが、私もそうは思うんですが、ただ、現実問題として、例えば組織の名前、あるいは後で施設のところで出てくると思うんですが、例えば生涯学習センターみたいなものはなぜ社会教育施設でないのかと。位置づけてないとすればですね。そういう問題もあるものですから、また現実に、課の名前が都道府県ではおそらく一、二の県を除いて全部、生涯学習課になっている。市町村のほうが社会教育課が残っていて、福岡県の場合は4割が社会教育課なんですね。そうした場合に、法律で再定義したからといって社会教育課に戻らないのではないかと。その場合、戻らないのは、市町村あるいは県レベルでも生涯学習課と名乗って、8割方の社会教育行政と2割方ぐらいの生涯学習行政を一緒にしてやっているからという理由もありますけれども、住民の中にすっかり生涯学習という言葉が定着しているから戻れないということもあるのではないかと思いますので、そのあたりのところ、皆様がどうお考えになるかなという問題提起でございます。

【山本委員長】
 どうですか、何か。

【山重委員】
 鈴木先生がおっしゃることはごもっともだと思うんですけれども、ただ、教育という言葉が何を意味しているかというのは、やっぱりかなり人によって違っていて、私の印象では、日本では少なくとも教育というと、教える、教えられるという関係をもって教育と呼びましょうというような印象があるものですから、その点、そうじゃないんだ、もっと広義な意味で考えていくんだということを普及させるという、それが大事だというのはわかるんですが、その一方で、やっぱり法律に広義の教育というか、学習支援を含む教育というのをここでは考えますということを明記するのはいいのではないかというふうに思っています。例えば第2条のところで「組織的な教育活動」の後に(体育及びレクリエーションの活動を含む。)というふうに括弧書きであえて書かれているところからも、教育内容について明示することの意義というのが感じられるので、その中に、例えば学習支援及び体育、レクリエーション活動を含むといった形で、学習支援というのも明示的に社会教育の中に入っているんだということを出すことは、やっぱり混乱を避けるというか、社会教育のあり方についての議論を進める上で役に立つのではないかという意味で、やっぱり何らかの形でここに入れていただいたほうがいいのかなというのを印象として持っております。

【山本委員長】
 ありがとうございます。ちょっと参考までに申し上げますと、この括弧の中の体育とレクリエーションのことなんですけれども、ちょうどこの法律をつくっているときに、体育局がなくて、体育関係が全部この中に入っていたので入れたんだそうです、ここのところに。という行政的なくくりでなっていた。今もう社会教育局はないわけですよね。それで生涯学習政策局になっていて、体育のほうはそっちへ行っちゃっていますから、この中はもう意味がなくなっちゃっているという状況のようなんですけどね。

【興梠委員】
 1点ちょっと疑問があるんですが、生涯学習社会そのものに関してはすばらしい理念だと思うんですね。これは、個々が自己の実現だとか社会の実現を目指して主体的に学んでいくという、そこでいいと思うんですが、じゃあ、一方で社会教育ということを考えていったときに、やっぱりある種の教育目的というものが当然あった上での社会教育だと考えるわけです。そうしますと、やはり個々を表現していくときに、いわゆる学ぶ側が何をやってもいいんだと。その環境を用意すればいいんだというような誤解を与えられないような配慮というのはきちんとやっておかないと、どうもやっぱり私自身が現場へ行くとそういう混乱が起こっているような感じがいたしますので、そこは意見として述べます。

【山本委員長】
 ここのところで第2条と第3条第2項のところの関係もあるので、その辺も、第3条第2項は、「社会教育が学校教育及び家庭教育との密接な関連性を」というふうに書いてありますね。つまり、「学校教育及び家庭教育」となっているんですね、ここのところは。それで、第2条のほうは学校教育を除きとなっていますので、その辺のところもどういうふうに――土江委員がきょう出してくださった資料の1枚目の一番下のところで、局長の発言、答弁がありますよね。それだと、家庭教育、学校教育、社会教育というふうに分けていますよね。ですから、そこら辺のところもどうなのかというあたりですね。これは、特にご意見なければ、事務局のほうで整理していただくときに整合性を持たせればいいだけのことではあるんですけれども。家庭教育支援と家庭教育とは違いますからね。今の体育とかレクリエーションは多分外れちゃうと思うんですよね。それに「組織的」というのはひっかかっていたと思うんですけれども、ここら辺のところは、つまり、あえて教育活動の内包までいろいろ言うのか、外延まで言うのか、それとも内包だけで何にも中身を言わないというだけでいく手もあると思うんですね。それは、その時代、時代で解釈が違ってきますから、あるいは使い方によってどうにでも使えるようにしておくとか、いろいろあると思いますので、ご意見をいただいておいて、あと整理をしていく段階でまた詰めてもらえればと思うんですけどね。ですから、ご意見、もし今ありましたら出していただいたほうがいいとは思うんですけれども。

【糸賀委員】
 教育基本法が改正された中で生涯学習の理念が明確になったと。だけれども、やっぱり生涯学習の目標だとか具体的な教育とのかかわりについては、正直言ってあんまり書かれていない。そのことがこの社会教育法の見直しの段階になって、社会教育法の目的及び社会教育と生涯学習の概念をどうとらえるかといったときに、やはりどうしても最初に問題になってしまうわけなんですね。この辺、私は前々から懸念はしていたし、指摘もしてきたつもりではあります。何回か前のこの会議できちんと事務局のほうから概念図が示されて、それで私はおおむね了解が得られたんだというふうに受けとめていました。そういう意味では、この社会教育の定義のところにあえて生涯学習との関係を書き込むと、これ以降のこの法律のほかの部分、さらに言うと、社会教育法の精神を受けて図書館法や博物館法というのはでき上がっていますよね。そういう意味で、今の「組織的な教育活動」というところもかかわるんですが、この社会教育法や図書館法や博物館法は、やはり社会教育施設としての公民館あるいは図書館、博物館がどういう考え方でどういう事業をやっていくべきかということがうたわれているわけなんですよね。だから、私はやっぱり、これ、先ほど鈴木委員が言われるように、組織的な教育活動をやっている立場からの視点でこれらの法律は貫かれているんだろうと私は理解しています。一方、当然、今度は学習する側の立場、そういう立場に立ったときに、それらの関係がどう見えるのかはまた別の話になるんだろうと思います。私、その部分はむしろ生涯学習振興法だとか、あのあたりで学習者に対する視点で条文が書かれればよろしいのではないかというふうに思っております。ただ、私も、社会教育法、図書館法、博物館法の全面にわたって詳細にそれぞれの内容を理解しているわけではないので、ひょっとしたら誤解があるかもしれませんが、それぞれの立法の趣旨からすると、ここは社会教育の領域、そして社会教育施設のあり方について明示しているのがこの法律だと思いますので、全面改正をするというのであれば話はまた別ですけれども、部分的な修正を加えていくということであれば、これは社会教育の考え方をうたったものであって、この部分で生涯学習との関係を明確に書き込むということは難しそうに私は感じております。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございます。
 大体ご意見いただいているかと思いますので、また戻っていただいても結構ですが、国と地方公共団体の任務のところはどうでしょうかね、これは。

【鈴木委員】
 すごく大きなことなんですが、この例えば第3条のところなんですが、定義とか目的などとも関係してくると思うんですが、「実際生活に即する」というような文言や「環境を醸成」というようなスタンス、それをどうするのか、私は別にいじる必要はないんだろうというふうに思うんですが、そういうようなスタンスでやるのかどうかということがやはり論点としては大きなものだというふうに思いますので、そこを1つ考えていただきたいというのは、私はそんなに問題はないというふうに思います。
 それとあと、国、市町村の関係なんですが、現行の第5条、6条なんですが、それが「当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において」って、やらなくてもいいよ、やらなくてもいいよというふうに言っているわけですね。やるわけないのでというか、そういうようなことがあるので、そこのところはどういうふうにするのか。より積極的にやれというふうに言うような規定――積極的にやれというのはどういうふうに書くのか知りませんが、そういうふうにするのかと。そのあたりのところはかなり大きなことだろうというふう思いますが、そのあたりもきちんとしておいたほうがいいんじゃないかというふうに思います。私は、この「当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において」、これも立法時のさまざまな経緯が多分あったんだろうというふうに思うんですけれども、そのあたりは、なるべく今やめておいて、むしろ、求めに応じてという全体の基調が、スタンスがある中で、積極的に自治体はやっていくべきだというふうな方向に変えるようなことがあったほうがいいと私は思います。
 以上です。

【井上委員】
 やはり地方公共団体関係なのですけれども、市町村の役割と県の役割ということでいろいろ議論されておりますけれども、やはり一番感じるのは、地方分権になってから、結局、地域格差が広がったと思います。社会教育を熱心にやっているところと、なかなかそうはいかないところがあります。その場合に、今お話があったように、理想的な姿を書き込むことはいいと思うのですが、これだけは絶対やってもらいたいという、ある意味でミニマムスタンダード的ものをきちんと提示するときが来たのではないかと考えております。
 さらに、県の役割を考えた場合に、市町村が県に何を求めているかということも考え合わせる必要があるのではないかと思います。以前、社会教育実践研究センターで、市町村が、県の生涯学習センターに何を求めるかということで調査をしたのですが、求めているものの第1が情報の提供です。社会教育に関する情報の提供をしてほしいということです。それと2番目として、社会教育関係職員の養成をきちんとしてほしいということがあげられました。その辺が都道府県の事務の中に入ってくることができないでしょうか。なかなか市町村では研修に出すお金もなかなかないという状況ですが、やはり社会関係職員の資質向上というのは不可欠なものだと思います。今、eラーニング等で社会教育実践研究センターでも研修教材を開発しておりますけれども、だんだん研修の仕方もいろいろ多様になってきております。そこで、県の職員が市町村の職員の間に入って域内の関係職員を資質向上を図るということは重要な役割になっていくと思いますので、そのようなところも盛り込むことができないかと考えております。
 以上でございます。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございました。

【高橋(守)委員】
 基本的に今の井上委員のお話に賛成するんですが、市町村合併が進んで、今、何が懸念されているかというと、例えば学習機会一つ見ますと、非常に格差が進んでいるという向きがあります。例えば新潟県の例で言いますと、中山間地が非常に多くて、それがますます零細になっていく方向で歩み続けていて、その中で市町村がどうやって元気を出そうかというときに、やっぱりより豊かな学習機会の提供とか、皆さんのニーズにこたえ得る学習機会をできるだけ十分届けたい。ところが、規模からいってとても追いつくレベルではないという市町村がでてくる。それに対して、県は何ができるかという問題が出てきます。そのときに、例えば、近隣の市町村で持っている学習機会の財産をお互いにうまく情報提供し合いながら広げていく。それから、県全体の力をそういう中山間地に生かしていく。そこにいろんなネットワークの拡充といった発想が出てくる。そのような流れの中で、今、ちょっと細々としていく中山間地支援という視点から、県と市町村の関係というものをしっかりと押さえていく。県と市町村のとらえが、ここでは地方公共団体というふうに十把一からげの表現になっておりますけれども、もう少し切り込んだとらえ方がこれから必要なんじゃないか。そういう意味で、今の井上委員の意見に賛成しながらということであります。

【土江委員】
 国、それから地方公共団体の責務というところで、青少年教育振興について規定することを検討したらということでございますけれども、ここにも示されていますように、青少年を取り巻く現代的な課題あるいは社会の要請とされるさまざまな問題が山積している中では、特に社会教育における青少年の振興が極めて重要だというふうに思っておりまして、この法改正も含めて、青少年教育の振興について学社融合あるいは協働といいますか、そうした観点から少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 ご案内のように、教育再生の関係の3法案が成立いたしました。学校力とか、あるいは教師力という形で、今後、教育課程が見直されるという中で、特に総合的な学習の時間の削減が予想されているというふうに思っております。また一方で、この教育再生会議の第2次の報告では、小学校での自然体験あるいは中学校での社会体験、そして高校での奉仕体験の必須という形で、この体験活動の重視ということが提言されていると。こうした中で、実際の学校現場にありましては授業時数の確保と、また一方では体験活動の重要性が指摘されているという、この限られた教育課程の中での知・徳・体を目指していかなきゃならない。こういう現状があるわけですけれども、やはり私は、今、そしてまた今後の青少年に今一番必要なのは、生きる力ということではなかろうかなと。その生きる力を学校教育ではすべての教育活動で培っていくということですけれども、特に総合的な学習の時間は、私はこの生きる力というテーマでは大きな役割を果たしてきたんじゃないのかなと。そうした時間が削減されるということで、学校教育の中では特にこれから体験活動の時間の確保ということが重視されますでしょうし、それだからこそ、社会教育での体験活動の時間の確保ということは重要視されるというふうに思っておりまして、こうした中では、やはり地域社会における青少年教育振興が極めて重要であるというふうに思っております。そうした中で、現行の社会教育法では、青少年教育の振興の重要性が主として青少年に対して行う教育活動と定義しながらも、きちっと規定されていないということでございまして、社会総がかりで青少年の育成が叫ばれる中でありますので、またさまざまな体験学習の振興のためにもぜひ青少年教育の振興の重要性というものを規定していただきたいというふうに思います。
 以上です。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございます。
 今のところで、実は最後のところに奉仕・体験活動の推進ということでご議論いただこうと思っているんですが、大体こういうのは最初のうちはじっくり構えていますが、終わりに来るとバタバタ、バタバタして大変、言うのはいいんだけど、時間がなくなっちゃうということがあります。興梠委員、きょう、資料が出ていますよね。あわせて今の8のほう、ついでに意見をいただければありがたいんですが。

【興梠委員】
 はい。ペーパーで意見を出しております。今お話がありました青少年教育の振興についても、具体的に欠落している部分に関して箇条書きに説明をしておりますので、またこれ、取り入れていただきたいと思うんですけれども、と同時に、ご承知のように、文部科学省は、体験活動・ボランティア活動の振興ということで3年計画でそれを進めて、その後、市町村及び都道府県が独自の予算で環境整備していくということで進めているわけですけれども、先週末でしたか、私たちは地域型ボランティアセンター、例えば世田谷でやっているんですけれども、とにかく参加者が年々増えていくわけですね。この前、台風のさなか、1日で250人も中学生が来るというような状況で、どんどんどんどん今、学校教育も含めて、東京都は、奉仕等体験学習、奉仕に関する必修科目もやって、今夜もまたその検討をやるわけですけれども、とかにく学校教育も含めて地域にどんどん青少年を押し出していくということになっていくわけですね。当然、地域では、ボランティアセンターというのは1975年以降、厚生労働省が社会福祉協議会にそういうコーディネーション機能を持つセンターを置いているわけですけれども、しかし、あくまでもそれは地域福祉の観点からそれを進めていくということであると。それからまた、98年にNPO法ができたことによって、自治体は首長部局にNPOセンターを設置し、むしろ福祉協議会に対するボランティアセンターの予算提供をカットしていくという傾向があったりというようなことで、実際の現状は、ボランティアセンターと看板を出しても地域福祉の振興すらなかなかままならないと。そういう中で今、例えば大きな災害が起こって、私たちもコーディネーターを派遣していますが、現地のボランティアセンターはほとんど機能ができないぐらいスタッフの数がいない。でも、一方で、教育はどんどんどんどん学校教育、社会教育を押し出していくわけですね。これは、この法律の中の第5条で、この件に関してはいろいろ議論があって知ってはいるんですが、第5条の12に何で青少年に特化しているのかが私はよくわからないので、経緯はわかりますけど、つまり、今や団塊を含めた形でボランティアというのはあらゆる世代が自己実現ということと社会に参加していくということを求めて活動していくわけですから、これもちょっと考え直していかなきゃいけないだろうと。何か青少年に特化する理由があればなんですが。ということで、具体的に教育委員会の役割として、このような体験活動・ボランティア活動を支援していくセンターを含めて、やはり明確にそれを推進していくための機能というものはきちんと明示していかないと、結局はそれは進んでいかないというようなことになるんじゃないかと思いますので、そこもご議論いただければと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございました。今、現行の法律は、平成の2けたになってからの途中の改正で、そのときそのときで重要だと言われて突っ込んだところがありまして、例えばさっきの家庭教育にしても、基本法のほうでは家庭教育、社会教育に含まれるようなあいまいな書き方になっている、こっちに来ると別だとなっていて、矛盾するんですよね。「これでよく法制局は黙っていたな」という話が聞こえてきているんですけれども、ただ、これは、家庭教育を特にそのとき重視すべきだということで特化したというふうに解釈をしておさまっているんですけれども、今みたいなところもそういうところがいろいろありますので、今、言ってくださったのは、意見を出しておいていただければ、それでうまく整理していってくれると思いますので、気がつきましたら、どうぞ遠慮なく出していただければと思います。
 それでは、今のところ、国、地方公共団体のところですけれども、ほかにご意見いただければと思うんですが、今は青少年のところのご意見をいただいていますが、その上の「公共の精神に基づき」云々というのと、社会教育法の目的のところで個人の要望と社会の要請というところは連動してくるところがあるんですよね。ここら辺、何かもしご意見があればいただいておきますが、ご意見なければ、これでずっと押していくことになりますけれども、ありますか。

【高橋(興)委員】
 私は、この論点案の学校・家庭・地域の連携協力を規定してはどうかというふうなことは、大変大事なことで、ぜひ推進してほしいと考えます。また、今ありました奉仕・体験活動についても、学校や家庭・地域との連携なしに社会教育だけでは、ほとんど実質的な成果を上げることはできないと思うんですね。そういった意味で、せっかく基本法の13条にも盛られていることですから、これを社会教育法の中でもきちんとした形で条文として明示するということがとても大事なことではないかというふうに考えております。
 以上です。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございます。

【山重委員】
 井上委員のご発言にちょっと戻ってしまうんですけれども、地方公共団体の役割というか、責務ということで、皆さんここでおっしゃられているとおり、私も、社会教育、特に重要になってくると思って、この法律というのは非常に重要な位置づけを持つものと考えているんですけれども、その中で、この前、横浜市の方がおっしゃっていたんですけど、教育委員会に任せていても、何か学校のことで忙しくて、社会教育というところに手が回らないみたいなことがあって、その一方で、行政もなかなかタッチできないようなところもあるというのをちょっと話を伺って、それはやっぱりまずいと思うんですね。特に私自身は、この社会教育というのは教育委員会が進めることに法律上なっているので、そこにきちんとやってもらうような、最低限のことはやってもらうような仕組みというのをやっぱりつくっておいたほうがいいのかと思っています。具体的には、前後ちょっと申し上げたんですけれども、行動計画というか、例えば中期計画という形で今後何年間、この市町村ではこういう社会教育をやる計画だということを、内容については特に制約を設ける必要はないと思うんですけれども、それはきちんとつくっておいてくださいというような仕組みを設けておくということがミニマムになるのではないかというような印象を持っています。例えば国立大学法人なんかも中期計画というのをきちんとつくるようになっていて、それが法律上どういう仕組みでなっているのかよくわからないんですけれども、類似のものを社会教育に関しても各市町村でつくっておくということを何か制度化できれば、最低限のことが確保できるのかなという印象をちょっと持っています。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございます。
 ご意見、ほかに。よろしいですか。今のご意見、評価ともかかわります。また評価のこともありますが、それとして、皆さんよければ、その次のところがここで時間かけなくちゃならないかなと思っていたんですけれども、社会教育主事と社会教育委員と社会教育施設と、ここら辺はいろいろ課題もあるところだと思いますので、いつも申し上げることですが、ここに入ってきて、また前のところに戻っていただいて構いませんので、少し進めてみたいと思いますが、この3つですね。これについてご意見いただきたいと思いますが、3つあちこち飛んでもいけませんので、社会教育主事はいかがでしょうか。社会教育委員まで絡めて、その辺のところでご意見はあるんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう。

【高橋(守)委員】
 生涯学習振興のところでもかなり社会教育主事とのかかわりといいますか、生涯学習振興を一体だれがプランニングしたり枠組みを進めたりするのだというような意味での話し合いがあったと記憶しております。基本は社会教育を進めるのが社会教育主事であるにしても、現段階で生涯学習振興にかかわれる人的枠組みがなかなか見えてこないということから、現状の中では、社会教育主事の学びを十分やった人が生涯学習を振興する立場にも立っていくというのが一番自然体なのではないかなと思います。その辺について、少しご意見いただきたいなと思います。例えば、かつて視聴覚教育主事というのがおりました。視聴覚教育を進めるために、情報教育時代のもうちょっと前に視聴覚教育推進のための主事というのを都道府県では派遣制度をもって進めているところもありました。そして、社会教育主事講習を受けていることを前提としているところがかなりありました。社教主事講習を受けているということが大変生きて働いて視聴覚教育主事の仕事に機能していたわけです。そういう考え方から見ると、生涯学習振興にかかわる一つの大事なキーパーソンも、社会教育主事の勉強をされた方がそれを生かしていくことがいいのではないか、現状から見るとそれが自然かなというところを今考えているのです。いかがなものでしょうか。

【山本委員長】
 どうぞご意見、遠慮なく出していただければと思いますが。

【水嶋委員】
 社会教育主事の論点案のところで、「学校、家庭、地域社会のコーディネーターであることを明確化するとともに」というふうに書いてあります。また「企画・立案や連絡・調整業務を追加してはどうか」。賛成であります。幾ら学社融合というような話をされましても、私は博物館のことぐらいしかわかりませんけれども、博物館と学校を総合学習の時間で利用しようというふうに言っても、そのコーディネーター役がいないんですね。学校の先生方は学校だけで忙しいですし、また、博物館の学芸員は学芸員だけの仕事に視野が狭いといいますか、その地域あるいは家庭まで入っていく、あるいは学校との連絡・調整という機能はどうしてもできないのが現状です。そういう意味では、社会教育主事の役割として、その地域の全体を見渡すことのできる、ここに書いてありますように学校や首長部局等でも活用できるようにしていただいて、なおかつ、全体のコーディネーター役になるような仕組みをつくらないと、幾らかけ声だけ学社融合というふうに言ってもできません。以前、私は、司書教諭に倣って、学芸員教諭のような学校と博物館を結ぶような仕組みはできませんかという話をしたんですが、なかなかそういうことも難しいように思いますし、既存の社会教育主事をもう少しうまく活用して、また、先ほどの事務局のご説明の資料によりますと設置している地方公共団体も少ないというようなこともありますので、やはり法律に明記して、その役割を拡充というんでしょうか、強化していくような方策のほうが現実的ではないかというふうに思います。

【山本委員長】
 なるほど。ありがとうございます。

【興梠委員】
 この事務局案に賛成なんですが――このコーディネーター的役割と、特に最初の○のところの企画・立案や連絡・調整業務を追加するという。生涯学習と社会参画というのは表裏一体のものになってきているわけですね。そうしますと、ボランティアとは言いませんが、さまざまな形で社会に参画していくということでのいわゆるコーディネーションですね、調整的な業務というのは、そういうことを含めて大事だと思っております。
 それからあと、一番下の「社会教育主事の経験者を有識者として活用したり」、この「有識者として活用したり」という、この活用の道が、私、ちょっとよくわからないので、事務局にお伺いしたいんですが、その後の「民間からの人材活用を促進」する、ご承知のように、今、3万をはるかに超えるNPO法人が誕生して、ダブルで認証申請しますから比較にはならないんですが、いわゆる社会教育的な活動を行っていくNPOというのは数的にいうと一番多いわけですね、カテゴリー的にいえば。それだけやはり民間でも豊富な市民による活動というのが盛んになっていて、たくさんのノウハウやスキルを身につけたところが出てきていると。そういった人たちも含めて、もちろん企業の経験者もそうなんですが、そういった人々がある一定の研修を経て人材として活躍の舞台を与えられるということをしますと、より一層のパートナーシップでしょうか、民間セクターとのパートナーシップが進んでいくのではないかというふうに思いますので、ぜひここは生かしていただければと思いますね。

【山本委員長】
 なるほど。じゃあ、有識者の質問も後でちょっとお答え……どうぞ、ご意見いただいちゃいましょう。

【米田委員】
 実際、現場で学校との連携をいろいろやっています。最近では、長崎の県立高校とうちの美術館で遠隔地授業ということで、インターネットで映像で結びまして、向こうにもうちの学芸員が行き、こっちにも学芸員がいて、学校の先生と両方で協議しながらやっているわけです。しかし、今、この場合に、社教主事というのがいてくれればいいなとは思っておるんですけれども、実際は現場の学芸員とうちのエデュケーターと学校の先生のやりとりだけでやっていますから。この話でいつも思いますことは、学校との連携というのもそれぞれの館の人脈だとか経験でやっていますけれども、こういうのをほんとうは市町村を含めて地域の中の社会教育計画を立案して、受けとめて調整してくれるような者というのは、実際はまだちょっと見当たらないように思うんです。それぞれの館が独自で開発していますから、こういうのがあればいいなと1つは思っております。
 それから、社会教育委員についてもなんですけれども、実は私、千葉県におりましたときに、県立博物館が10館ありました。そして、これは博物館法で言うべきかもわかりませんけれども、各館には法に基づいて協議会委員という学識経験者と学校教育と社会教育の人たちによる地域の声を反映しながら民主的に運営していくシステムがあるわけですけれども、これは館長への諮問機関になっていますから、実は県や市の段階での教育長には届きにくいわけですね。そうすると、一番いいのは社会教育委員会とか生涯学習審議会の中で博物館の活動が反映すればいいんですけれども、そういうところに博物館のほうから代表って入っていなければ、社会教育委員の中に博物館の問題を反映することが難しいわけです。ですから、博物館の側でいけば、博物館の協議会委員とはどうあるべきかということになりますけど、こういうところに学校との連携とか社会教育施設との連携といったときに、社会教育委員とか社教主事が果たす役割というようなものをもうちょっと広く組織的に動けるようにしてくれればありがたいという意味で、ここで書かれていることが具体化されればいいなと思っております。
 以上です。

【山本委員長】
 なるほど。

【土江委員】
 従来の社会教育主事の職務を見直しまして、より専門的な資質を求めて、そして地域課題を解決するための学びを支援する担い手としての社会教育の専門家の役割を果たすという意味で、この見直しというのは非常に重要かなというふうに思っています。こうした社教主事の機能をはっきりさせるためには、やはり以前から出ています学習コーディネーターですとか、あるいは学習サポーターとか学習相談員、こうした地域人材とのネットワークの中でいかに総括するかという、そうした意味では、この社教主事は地域の総合的なコーディネーターとしてきちんと位置づけるべきだろうなというふうに思います。
 それと、先ほど高橋委員がおっしゃったんですけど、私も、そうした、より専門的な役割を持つ社会教育主事の名称といいますか、こうしたものが、生涯学習をにらんだときに、生涯学習の生涯学習主事というのが適当かどうかわかりませんけれども、何かそういうポジションもあってもいいのかなと思いながらも、現段階では社会教育主事のより充実を図っていくと。コーディネーターの資質をより高めていくことが大切ではなかろうかなというふうに、今のところ思っているところでございます。従来の社会教育主事の資格要件をできるだけ、例えば学習コーディネーターですとか、あるいは公民館主事でありますとか、こういった一般市民の皆さんが取得しやすいような資格要件に落としていくということも考えられるのかなというふうに思っています。
 それと、私は、特に学校あるいは首長部局、また、図書館、博物館等、こうしたところへも配置できるようにということを強く望んでおります。特に家庭・学校・地域住民の相互連携・協力ということについては、やはり学校の中に社会教育主事がいると、これは随分と違うというふうに思っておりまして、学校配置するという意義は、教職員に対しても社会教育をしっかりと理解していただけると。また、そういう社会教育主事の存在といいますか、そうした意義・役割を地域住民にきちっと認知させることができるというふうに考えております。
 それと、これはここの場で議論するものではありませんけれども、学校教育法が改正されて、今、主幹教諭という制度が、これから設置してもいいという形になっていますけれども、私は、学社連携・融合を深めるときに主幹教諭に社会教育主事の資格要件、任用に当たってぜひとも社会教育のほうから学校教育のほうへアプローチできればと思っています。これは職務として、ですから、転任してもきちっと肩書としてついて回るわけですから、そういった意味では、学校の中で司書教諭でありますとか、あるいは学校栄養の教諭とか、そうした教諭を総括するコーディネーター的な役割もこうした教諭が担ってくれればなというふうに思います。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございます。

【鈴木委員】
 今、土江委員のお話をお聞きしていて、ほぼ同じようなことなんですが、私も、社会教育主事のところの論点の「企画・立案や連絡・調整業務を追加」するとか、あるいは「学校や首長部局等でも」というところ、そこのところはほぼ同意見でございます。ただし、現行の社会教育主事の考え方というか、現行の全体的な法律の基本的なトーンなわけですが、専門的技術的な助言と指導を与える、ただし、命令及び監督をしてはならないという、これも過去との関係での立法時の話なわけでしょうが、そういうところの問題、どういうふうにするのかと。さらには、これは先ほども出たんですが、社会教育委員の職務のほうに、「社会教育に関する諸計画を立案すること」と。計画の立案ということと企画というようなことでは話が違うといえば違うわけなのですが、社会教育委員に計画の立案というようなことを職務として考えていると。そのあたりのところでどういうふうな振り分けを考えたらいいのかというのが、1つ大きな問題になっているだろうというふうに思います。ただ、現実を見れば、社会教育実践研究センターの、いただいた資料3の6ページのところで見ますと、社会教育主事は法によれば事務局に置かれるということになっているわけですが、これで見ると、勤務先が、都道府県の場合、青少年教育施設が12パーセントとか、市町村の場合には公民館がって、想定外のことなんですね。だから、社会教育調査では絶対にこの数字は出てこないわけですが、実態で見るとこういうふうになっているんですね。この調査はなかなかいい調査だというふうに、私、思っているんですが、ともかく、そういうような実態も既にあるわけで、そうすると、現行の社会教育を行う者が自分であってということになるわけですよね。極めて矛盾したことが起きているわけなんですが、そこのところはどういうふうに振り分けていくのかと。ということになると、やはり糸賀委員にはあれはよくないのかもしれないけれども、別な支援者・指導者を考えるというようなことがあっていいのかどうか。社会教育主事というのは、都道府県、市町村レベルにおけるヘッドクオーターで何かをする人で、命令とか監督はしないというような人でありといったようなこと。そうでないところを何か考えていくということが必要になってくるのか、なってこないのか。ちょっと私自身、詰め切れていないからわからないんですが、そのあたりも整理しなければいけない。すごくいろいろ絡んでくるなというような気がして、そんなに簡単なことではないな、大変だなというふうに思います。だれが大変だか知りませんが。

【高橋(興)委員】
 私は、論点案の「社会教育主事の役割として、学校、家庭、地域社会のコーディネーターであることを明確化する」というところに大変賛成です。ただ、今、社会教育実践研究センターの調査が、鈴木委員からもいい調査だというお話がありましたけれども、私も大変興味を持って見ておる調査です。その中に、先ほど平林課長からもお話がありましたけれども、社会教育主事の前職というのが資料3の4ページにあるんですね。それを見ると、市町村の社会教育主事は行政官出身が多いけれども、都道府県の社会教育主事は教員出身が多いと。私は、この社会教育主事をどこから持ってくるかというところが、実は当面とても大事なことだというふうに、実務をずっとやってきた者としては考えているわけです。と申しますのは、学校、家庭、地域社会のコーディネーターたり得るのは、私は簡単ではないと思っているんです。つまり、それぞれの市町村にいる社会教育主事が行政官出身者であればあるほど、学校の実情を理解するのは私は容易なことではないと思っているんです。学校のことをそう簡単に感覚的に理解できないと思います。ですから、一方で、そういった方々にもいろいろ研修を積んで、そういう能力を身につけてほしいという気持ちは切なるものがあります。と同時に、やはり学校に社会教育の経験を積んだ方が戻るなり、あるいはそういう資格を取った教員がいるなりして、社会教育の動きをよく理解する学校教員もいるということがとても大事なことだと思うんです。学校・家庭・地域の連携を、教育基本法に規定されたことを具体化していくためには。
 そういった意味で、実はこの資料でははっきりしないんですが、実践研究センターでは平成13年度にも調査をしているようなんですけれども、平成13年度と比較しますと、前職が教員の割合が下がっているんですよ。これは私は大変重要なことだと思っております。と申しますのは、私どもの県の動きを考えても腑に落ちるんです。つまり、学校の教員が暑い盛りに社会主事講習で苦労して資格を取ってきても、実は登用される場面というのはぐっと減っちゃっているわけです。そういたしますと、これはわざわざそういう講習を受けて「社教主事資格を取ってもな」というふうなことが全国的にかなり先生方の間に広まっており、すぐれた人材を得にくくなっているのではないかということを強く懸念しているわけです。ですから、こういう規定を盛り込むのも大事ですけれども、社会教育主事をどこから連れてきて養成し、あるいはそういう力量を持った人を育てていくかと、そういう仕掛けもセットになっていないと、こういう規定を設けただけではなかなかうまくいかないのではないかということを申し上げたいと思います。

【井上委員】
 社会教育主事に関して2点お話しできればと思うんですが、まず、事務局案に「企画・立案や連絡・調整業務を追加して」ということが出ておりますけれども、これは賛成でございまして、専門的助言よりもむしろ今の社会教育主事にとってここが重要ではないかと、ずっと1回から3回目で申し上げております。やはり社教主事は地域の状況をちゃんと分析して、施策を立てて、それを地域に展開していくというようなことがほんとうに必要になっているのではないかことを考えると、特にこの追加のところが重要ではないかと思います。専門的助言につきましては、逆に、民間とかNPOの方と連携してできる部分もこれからは可能性としてありますので、追加部分が必要なのではないかと思っております。
 もう1点としましては、社会教育委員についてですが、これは社会教育委員だけじゃなくてセットで考える必要があると思います。社会教育主事と社会教育委員の関係です。やはり社会教育委員と社教主事のパートナーシップでいい答申とかいい計画というのもはできてくるものだと思います。ですから、今、本当に社会教育主事が減っている状況を、すごく危惧しているのでが、社会教育主事がいないところで社会教育委員会議を開いてどのような展開になるのか。やはり社会教育委員会議を開くにあたっては、きちんと社会教育主事がいて、その社会教育主事のおぜん立といっては言い過ぎかもしれませんけれども、パートナーシップで、今後のそれぞれの地域の社会教育を考えていくということが、今まで行われてきた効果的な方法だと思います。社教主事の減少をどうにかとめられないかとほんとうに危惧しているところでありまして、規定するか他の方法かわかりませんけれども、社会教育主事の減少をとめられればというふうに考えております。

【山本委員長】
 なるほど。

【糸賀委員】
 今、皆さんからも出ているように、社教主事が学校教育、家庭教育あるいは地域社会のコーディネーター役を果たしていくということについては、それはもちろんそういう方向を目指したほうがいいんだろうと思います。ただ、私もこの調査結果でやっぱり気になるのは、現状で社会教育主事の配置率がだんだん下がってきているという、これは結局、現在の社会教育主事の評価ということがどうなっているんだろうと。この下がってきたことの原因といいますか、理由というのは、やっぱりきちんと分析するべきなんだろうと思います。先ほど前職が重要だというご意見もありましたし、一方で、この調査の――これは多分スライドになっていて、それの7枚目と言うべきなんでしょうかね。

【山本委員長】
 ええ、そうですね。

【糸賀委員】
 スライドの7枚目のところで、「社会教育主事に求められる能力、専門性」という調査項目があります。この中で一番高いのが、今、盛んに話題になっている学習課題の把握と企画立案能力、それからコーディネーターとしての能力。私、一番気になるのは、これはだれが答えたんですかね。だれが指摘したんですかね。それによってやっぱりこの解釈は大分変わると思うんですよ。つまり、当事者がこう言ったのか、それとも周囲の人間、場合によっては教育委員会の外側の人間から見て、今の社会教育主事に、逆に言えばこれが欠けているというふうにも見えていることになりますね、これが求められているということは。だから、先ほど高橋委員が言われるように、こういう提案をするだけじゃなかなか実質化できないのであって、じゃあ、そういう社会教育主事をどうやって育てるのか。それから、自分たちでこういう能力が欠けているというふうに見ているのか、それとも、周囲から見てこういう能力が欠けているから配置率が下がってきているのかというふうな関係は、やはりきちんと分析する必要があるんだろうと思います。そうした上で、ここで今提案されたような生涯学習全体をコーディネートできるような人材、それが社会教育主事が果たすのか、だれが果たすのかはともかくとして、可能性としては、現行の社会教育主事がやはり一番可能性が高いだろうと私も思いますので、ぜひその養成・研修のあり方を含めて検討していくべきだろうと。そうしないと、確かにこれは絵にかいたもちに終わってしまう可能性があると思います。

【山本委員長】
 じゃあ、ちょっと事務局のほうで、先ほどの有識者と今の調査対象ですね、もしわかっていましたら。

【平林社会教育課長】
 この「経験者を有識者として」というのは、意見等にも出ておるんですけど、実は学校の教員とか、今も前職では特に県の場合には教員が社教主事を務められて、また現場へ戻るといったようなケースを一応想定して、それをさらに一般化していろんなところでその能力を活用できることはないかといった趣旨で「有識者」というふうに書かせていただいたものでございます。
 それから、ちょっと調査のほうは手元にないんですが、これは多分当事者に聞いている調査だと思います。

【糸賀委員】
 当事者というのは、社会教育主事に聞いている?

【平林社会教育課長】
 教育委員会なりですね。

【山重委員】
 私も、ここで書かれている案のスピリッツには全く賛成するんですけれども、具体的な提案に関しては、ちょっと別な方向を目指したほうがいいのかなというふうに思っています。具体的には、鈴木先生がおっしゃっていたように、主事という資格とは別に社会教育を地域で行う人の資格というのを設けて、やっぱり分けて考えるほうがいいのではないかと。それを全部の役割を主事に任せるというのはやや無理があるし、その上のほうのコーディネーターとか調整とか企画とか、そこまでの能力を持ってもらうためにはやっぱりそれなりの前提が必要だと思うので、やっぱり分けて考えるほうがいいのかなというふうに思っています。具体的には、教育主事に関しては今の法律で定められているようなもの、これにこういうのが加わってもいいと思うんですけれども、基本的には今のもので認識し、その一方で、私は、仮なんですけれども、社会教育士でもいいかなと思ったんですが、ただ、今回、改正で、学校・家庭・地域というふうに地域というのが特に重要視されているので、そこにこたえるような制度づくりとして地域教育士というような資格というのを設けて、この人たちに関しては社会教育主事に求められる必要な条件よりもはるかに、イメージとしては半分ぐらいの教育等を受ければなれるというようなものをつくるというのがいいのではないかと思うんですね。具体的には、単にコーディネーターだけではなくて、例えばリーダーと呼ばれる人たちもやっぱり地域で学習支援をしていく上では必要になってくると思うんです。つまり、現場でほんとうに子どもたちだったりボランティアの人たちだったり、そういう人たちをリードしていく。で、実際に自分も指導していくというような人たちというのが多分あったほうがよくて、そういう人たちをどんどんどんどん育てていくというのが必要だと思うんですね。例えば念頭に置いているのは、家庭の主婦で子育てが終わって、子どもたちも卒業したんだけれども、そういうコーディネーターなりリーダー的な役割をやってもいいという人たちもなれるとか、団塊の世代、退職後、そういうことに加わってみたい、指導力もあるのでそういうところに積極的に参加してもらう、そういう人たち。今まではボランティアだったんだと思うんですけれども、もうちょっときちんとした報酬を与えられるような仕組みができれば、資格・制度を持たせることでできれば、もっと継続的になっていくのではないかというふうに思います。そういう意味で、もう一つ分けて考える。そのアイデアは、これはちょっと出たんですけれども、介護の世界でヘルパーという資格があると思うんですけれども、今までボランティア的に無報酬でやっていた人たちに、ヘルパーということで有償で働いてもらうという形をつくって、そんなに難しい資格ではないので頑張って取ると。そういう形でうまく回っている仕組みではないかと思うので、同じようなイメージなんですけれども、私も、地域教育士みたいな、名前はともかくとして、ちょっと社会教育主事とは違う、現場で活躍してもらえるような人たちが育つような資格というのを設けたらいいんじゃないかというふうに思っています。

【興梠委員】
 先ほどの説明で有識者は教員を想定しているというお話だったんですが、そこに関連してなんですが、言おうか言うまいかと思っていたんですが、多分、私、少数意見だと思うんですが、やっぱり言わなきゃいけないだろうと思っているんですけど、学校の先生方に怒られそうなところはあるんですが、これ、社研の調査で約8割が教員出身だというのを見て、私、びっくりしたんですね。つまり、私、現場を歩いてみますと、極端なことを言いますと、教員をどんどん社教主事にしていくということになれば、ますます私は評価が厳しくなっていくと思っているんですよ。つまり、教える、学ぶという、その両方のサイドから往復できる感性を持っていなきゃいけないわけですよね。DNAの中まで教え導かなきゃいけないというところで、地域の社会教育計画が失敗しているところがかなりあると思います。実際これ、例えば学校・家庭・地域社会って、この地域社会の中にはNPO・NGOを含む市民セクターが入っているということであるとするならば、教員を社会教育主事にしていくんだというようなことを常態化していくようなことであれば、私は、地域社会のニーズを拾い上げていきながら計画化していくことは難しいとすら思うわけです。したがって、一遍やはり毒抜きをしなきゃいけないというのはありますけれども、ですから、さまざまな、もちろん企業で仕事をなさった方とか、NPO・NGOで活躍した方とか、家庭・子育てですごく経験のたくさんある方とか、つまり多様な人たちがある面では社会教育行政に関与していく道を開いていくというのが私は大事な視点だと思いますので、あまり教員というようなところで強調するのは反対ですね。

【米田委員】
 私も言うか言うまいか迷ったのは全く同じところだったんですよ。私は、基本的には今も学芸員の気持ちではいるんです。あるときから自分は館長になって、全体的によくしたいと思ったものですから館長になったんですけど、私、生涯一学芸員でいいという野村みたいな気持ちでおったんです。一捕手でいいと思っていました。私が教育委員会のときには文化課ですから、社会教育課、今は生涯学習課と言っていますけれども、名前もいろいろ変わりましたけど、そこに社教主事の先生がおられるわけです。その方たちはほとんどは教員から来られて、もちろん優秀な人もたくさんおられましたけれども、資格を持っていない人が社教主事補で来て、社会教育実践研究センターで社教主事の資格を取ると、社会教育主事は身分が高いですから本庁の課長待遇の身分になります。そして校長で帰るわけです。それはつまり、私たち学芸員の――私も本庁の課長をやりましたけど、最終目標は美術館とか博物館長になりたいと思うわけです。司書の人は図書館長になりたいと思うんです。しかし、社会教育主事の到達目標が最後は高等学校とか中学校の校長で帰りたいという思いを実際には感じました。先生方は優秀な人で、一緒に組んでやりましたけど、やっている先生がしばらくすると校長で帰っていくというのは非常に寂しかったです。私の高等学校のころには、山谷だとか釜ヶ崎に入って、社会教育をほんとうにやるんだという社会教育運動家がいました。今やっぱりこの数字で教員が多いということは、いいことだというご意見もありましたけれども、学校教育とのバーターみたいな形になっていて、今、こちらの先生がおっしゃったみたいに、社会教育計画とか社会教育実践のコーディネーターとか計画をずっとやって、その人が結局、社会教育だと公民館とかいうことが到達点かもわかりませんけれども、何かもう一つ、そういう社会教育運動をして地域と家庭と学校と社会教育施設とをつないでいくような人というのは、今の先生方だから地域がわかるということは、そこはわかりますけれども、何か別の言い方をすれば、校長で帰るための一つの手段のシステムみたいになっているのではないかなという思いがありまして、言うか言うまいかと思っていましたけど、やっぱり言おうと思ったら先に言ってくれましたけどね。

【山本委員長】
 この際、何でも言っていただいたほうがいいので、遠慮なく。

【土江委員】
 私も、社会教育主事につきましては、やはり多様な人材を登用したほうがいいというふうにも考えております。実は私ども雲南市内ですけれども、7つの中学校へ教育委員会の職員7名のうち2名が社教主事の資格を持っているんですけれども、実際に配置して1年過ぎた段階で、学校現場からも非常に好評いただいていると。これは自画自賛で申しわけないですけれども。そういう中で1つ、学校の先生方にはできない役割というのが非常に大きいですね。人事異動等で先生方が配置されても、まず、地域がなかなかわかって――ほとんどが地元出身の先生というのは少ないわけなんです。それとあと、さまざまな、例えば総合的な学習の時間等で活動する場合に、どうしても行政の横の連携というのは非常に重要なわけでして、そういったときに即行政のノウハウを生かしながら活動部に対して貢献できるという形でも、また違った観点からそういう学習を支援できるということが非常によかったんじゃないのかなというふうに考えています。当初、この職員を出すに当たって、社会教育主事として教員が行政の中に入る、これは抵抗がないわけでして、逆に、行政の職員が学校へ入ってくる、これ、学校もさることながら、行政自体も非常に抵抗が最初あったわけですけれども、実際にやってみると、ほんとうに民間あるいは行政、こうしたところが門戸を開いていただければ、まだまだ社教主事の活性化というのは図れるんじゃないのかなと。ただ、私、先ほど申し上げた主幹教諭等については、やはりせっかく派遣社教主事として行政に携わって、あるいは社会教育に携わって、それが生かし切れていない現実があるんですね。管理職で帰ればまだ一つの方針として打ち出せるわけですが、教諭として帰った場合にはほとんどそれまでの経験が生かされていないという現状があります。そうした中では、やはり準管理職的な主幹教諭等がそういう社会教育主事の要件を持ちながら学校にいるということは、社会教育・生涯学習推進には非常に役に立つんじゃないのかなという観点から申し上げたところです。
 以上です。

【菊川副委員長】
 非常にそれぞれにそうだなと思いながら聞いておりました。それで、2つあるんですけれども、1つは、社会教育主事制度の任用としての社会教育主事、これは教特法で指導主事に並ぶものとしての社会教育主事という任用上の位置づけがありますよね。その問題と、それから社会教育主事の資格の問題がいろんなところでごっちゃになっていると思います。例えば今の土江先生のところの地域教育主事さんというんでしょうか、学校におられる方ですが、前の職場で社教センターにもよく研究会にはお見えいただいていました。決して社会教育主事の資格を持っていらっしゃらない行政職員ですが、感覚的には社教主事の機能を十分にお持ちの方だなという感じなんですね。ですから、そういった観点から、社会教育主事の資格とは何だろうということなんです。ですから、ここ2ページに、だんだん資格を取る人が減っていっていると。これは、派遣社教主事制度が国庫補助制度がなくなっているから減っているという客観情勢があると思いますけれども、それだけではなくて、やっぱり社会教育主事の持つ力量の証明として、あるいは力量のイメージとして、弱いのかなというふうに思うわけです。例えば、学芸員、司書、社会教育主事って並べたときに、学芸員と司書は一つの膨大な知識・技術のコアがあると思います。例えば学芸員であれば、自然系の学芸員では自然系の知識、美術系の学芸員であれば美術系の知識、それから、司書であれば少なくとも分類をちゃんとできる能力みたいなコアがあるんですね。それに対して、社会教育主事の、先ほど井上委員がおっしゃった企画・立案や連絡・調整業務が非常に重要になってきているというのは一方で確かなんですけれども、一方で、改めて社会教育主事のコアの技能・専門性とは何か、あるいはそのための養成とは何かというのをちょっと整理するといいんじゃないかなと思います。そしてそれは、その整理するときに、任用資格を目指すのか、それともほんとうの流通資格を目指すのか。流通資格を目指すのであれば、それを学校とか図書館とか博物館とか民間とか、あるいは民間からもいろんなところからもというような流通資格を目指すのであれば、多分その社会教育主事のコアの専門性というのは、例えばやっぱり一定程度の学校教育や家庭教育に対する理解とか、教育問題に対する理解とか知識とか、あるいは野外活動の技能ですとか、あるいはワークショップの技能ですとか、何かそういう流通資格のコアを示し切ったときに首長部局からも欲しがられる社教主事になるのではなかろうかというふうに思っております。

【山本委員長】
 なるほどね。はい、ありがとうございました。
 いろいろご意見いただいて、時間的に休憩の時間かなとも思うんですが、今の資料1の一番下の社会教育委員の会議と生涯学習審議会の関係って、これは最初のころ井上委員もおっしゃっていたことがあったと思いますけど、これ、もしご意見があればいただいて、それで休憩というふうにしていきたいと思いますが、どうでしょうか。

【鈴木委員】
 社会教育委員のことで?

【山本委員長】
 委員の会議とそこにありますよね。社会教育委員の会議と生涯学習審議会との関係をどうするんですかというのが一番下にありますよね。これがもし何かご意見があれば。

【鈴木委員】
 社会教育委員そのもののことですが、いいんですか。

【山本委員長】
 それで言っていただいても結構ですが。

【鈴木委員】
 社会教育委員の会議と生涯学習審議会の関係というのは、この間からいろいろと出ていたわけですけれども、私、その上の「規制緩和要望も強いことから見直してはどうか」というところにややひっかかって、それはそうだというふうに思うんですが、何か特区のあれで三鷹市の要望のあれって何か微妙なんですね。これ、市長のあれなんかも入っているのかもしれないのですが、13条の部分というのは、社会教育の領域はわかるわけですが、その歴史が、やっぱり経緯があって、そんなに簡単な話ではないわけですよね。項目としてないんですが、社会教育関係団体についての項目をどういうふうに整理し直すかということがあるわけでしょうし、そこのところでどういうふうに――実際、意味ないから、これ、切っちゃおうというような話で、これもいいのかどうか。原理原則のところを考えないといけないのではないかと。それは要するに、全体として社会教育法というのはいいか悪いかわからないけれども、昭和24年とかにできた法律にしては、住民というか、市民の参加みたいなものがトーンとして出ていると。その一つの部分で、さっきの社会教育委員の仕事として計画の立案なんていうようなこともあると。それ、ほんとうはできるわけがない。さっき言われた社会教育主事がサポートしてやっとそこの関係でうまくできるのに、そういうふうな理念みたいのだけ先行している。その実態が伴わないというところで、その実態部分をやめてしまおう、理念の部分もやめてしまおうというふうにするのか、それを何かきちんとできるような形で別な体制を整えようとするのか。そのあたり、少し制度の設計の仕方で考えなきゃいけないのかなというふうに私は思います。だから、やめてしまえというお話ではないというふうに私は思うんですけれども。

【山本委員長】
 今の点はどうでしょうか。何かございますか。ここら辺は大変厄介で、戦後、法律をつくる――これ、ほかのもそうなんですけど、今みたいにやれませんから、占領軍がいるわけで、占領軍がこうしろと言ったら絶対なんですね。それがこういうところに全部入ってきているということのようなんですね。
 ちょっと変な話で、これで休憩にしますけど、例えば今の6・3制にしましても、私のドクター論文と同じテーマの人が、今、コロンビア大学の教授なんですけれども、女性なんですが、その方が資料をとりに来て、大分前の話ですけど、私に言ってくれたんですけれども、その6・3制ですけれども、占領軍のほうで来たのはジャパノロジストという日本研究の第2世代なんですけれども、来て、どうするかという話なんです。うーんというので、何か一晩、ホテルでペーパー1枚書いたんだそうです。それで翌日持っていったらば、占領軍のほうで「じゃあ、これで行こう」となったというから、その6・3制の背景になるところの詰めというのは全然ないんだそうです。多分、図書館で調べていただければわかると思いますけれども、それ、全くのブランクのままで、それでぱっと動いているというところがあるらしいんですよね。「そういうことで決まったんですよ」と。その人はゼミでその人から直接聞いたというから、確かな話だろうと思うんですけど、例えばそういうところがあちこちたくさんあるんですよ。ですから、その辺のところはやっぱり、今、鈴木委員がおっしゃったように、いろいろ考えてみなくちゃいけないところだろうなと思います。
 それで、休憩に入りたいと思うんですが、社会教育施設のところは、実は、今までのお話を聞いていると、連携や何かのことと施設はかなりかかわりが出てきそうなので、後ろのほうへ持っていって、奉仕活動のところは先ほどご意見を聞いたんですが、ほかにあればまたいただくということで、学校・家庭・地域の連携協力と施設のところと家庭教育の支援と、この3つぐらいを休憩後にいろいろご意見をいただくということにして、それで、先ほど興梠委員が奉仕活動とかいろいろ言ってくださいましたので、それについてもなおあれば、その際いただくというふうにして進めたいと思います。
 では、一たん休憩で、今、時間が中途半端なんですけれども、この後、4時5分から始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(休憩)

【山本委員長】
 それでは、大体お戻りでございますので、再開をしたいと思います。
 先ほどのようなことで、資料1の2枚目から社会教育施設のところから入っていって、連携のところがどうしても出てくると思います。それと家庭教育の支援と、この3つについてご意見をいただきたいと思いますが、まず施設のところはどうでしょうか。ここもいろいろあるかもしれませんので、どうぞ遠慮なく。

【水嶋委員】
 5の一番下のところですが、「図書、博物館資料、地域の人材の経験・知識等、社会の中にある資源を活かす拠点という観点」、賛成です。観点を盛り込めないか、ぜひ盛り込んでいただきたいと思うんですけれども、しかし、資源を活かす拠点というのは一体だれが資源を活かすのかというと、やはりそこは人の問題に戻ってきてしまいます。それで、先ほどの休憩前の議論を聞いていますと、総論は賛成で、若干各論反対の意見もあろうかなというふうに聞いていたんですけれども、私は逆に、社会教育主事の役割というのはまさに資源を活かす拠点の推進者だというふうに思うわけです。それで、菊川副委員長がおっしゃっていましたように、司書、学芸員というのはある意味でスペシャリストではありますけれども、しかし、全員がスペシャリストであると、じゃあ一体だれがゼネラリストなのかということになりますので、そこの連携も必要でしょうけれども、一方でゼネラルなゼネラリストの養成も必要でしょうし、スペシャリストとしてのことも必要だろうというふうに思います。この2つのバランスがよくできて社会が成り立っていくのではないかと。それで、ちょっと変な言い方ですが、防災、新潟のような地震のあったときには2つの目が必要だというんですね。1つは鷹の目なんだそうです。空の上から全体を見渡すような鷹の目。それから、個々の事例について対応するのは虫の目というんだそうですね。小さな目先のことと言っちゃ何ですが、目の前のことを見る虫の目。ですから、この鷹の目の役割をする社会教育主事も必要でしょうし、それから、図書館のスペシャリスト、博物館のスペシャリストとしての虫の目を持ったスペシャリストが必要なんじゃないかなと。この2つのバランスがあわさって初めて図書館なり博物館なりが活きてくるのではないかというふうに思います。
 それから、その上、2つ目の「社会教育施設が自ら改善を図る仕組み(評価制度など)を検討してはどうか」と。これはぜひ検討していただきたいんですけれども、といいますのは、今まではある意味で高度成長期あるいはバブルのときには、博物館なり年間330館ぐらいどんどんできてきたそうなんですけれども、それである程度の社会的なインフラができたわけですけれども、博物館は、「博物館行き」というような言葉のように、人間が博物館行きになっているようなところもあるんですね。何にもしないで済んできたような学芸員も中にはいるように聞いておりますし。そういう意味では、やはり大学の評価であるとか、同じように評価制度というのはぜひ検討していただきたいなというふうに思います。そういう評価があれば、人材が、またある意味で外圧もあるでしょうし、内部自己改革もあるでしょうし、そういう評価というようなものはこの時代の流れでどうしても避けて通ることができないものだというふうに思いますので、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございます。

【糸賀委員】
 すいません、私、あんまりこの部分に関しては発言するつもりはなかったんですが、今の水嶋委員の発言を聞いていて、今の論点案にあるところの最後の箇所の解釈はちょっと違っていたので、そういう意味なんですかということの確認なんですが、ここに「図書、博物館資料、地域の人材の経験・知識等」云々で、その拠点はここでは公民館を指そうとしているのではないんでしょうかね。それとも、今言われるように、博物館は博物館、図書館は図書というよりは図書館資料であって、本に限りません。これは雑誌、新聞もあれば、行政資料もあれば、地域資料もある。最近では当然デジタル化された資料もある。そういうふうな話については、今のスケジュールではむしろ次回に図書館法とか博物館法の議論になるので、私はそのときにいろいろと発言すればいいのかとは思っていたんですが、この最後の部分、「社会の中にある資源を活かす拠点」というのは、地域の中にある社会教育施設全体を指して総称的にとらえようとしているんでしょうか。それとも、図書館、博物館というふうな個別の拠点なのか。それとも、この部分、関連しているのは社会教育法の第20条から42条関係だというふうになっていて、例えば社会教育法の第22条ですね、ここは公民館の事業というふうに書かれています。これ、やっぱり法制定当時の時代背景を映しているんだと思いますが、例えばその中に「図書、記録、模型、資料等を備え、その利用を図ること」というのが第22条の3号に書かれていますが、かつて図書館とか博物館の設置がまだ十分でないときに、公民館にも図書室を設けて、そこに本を置いて貸し出しをしましょうというふうな時代だったわけだから、当然こういうのが書かれたんだと思います。しかし、今や、欧米に比べると決して十分ではありませんが、図書館はかなり設置されてきて、むしろ公民館で図書の貸し出しをやっているがために、小さな町村では「そこがあるから図書館をつくらなくてもいいんじゃないか」というふうに言われてしまうことも間々あるわけですね。一方、図書館ができたところでは、今度は公民館の図書室は衰退するというか、図書館のほうが十分な数の本があって、専門的な職員、司書も配置されているということもあって、公民館の図書室はあまり使われない。中には全然本も置いてない、倉庫に変わっちゃっているというところもあります。そういう意味で、これが図書館とか博物館といった社会教育施設を地域の中の例えば情報拠点というふうに考えるというのであれば、私も賛成です。しかしながら、私、これ、ちらっと読んだときには、むしろ公民館がやはりこういう意味での地域の人材や社会の中の資源を活かす拠点だというふうに社会教育法の20条から42条あたりに盛り込むという趣旨であるならば、ちょっとそこは疑問だなというふうに思いますが。

【米田委員】
 それはそうだよね。

【水嶋委員】
 確かにおっしゃるとおりだと思います。ただ、教育基本法の第12条第2項には「国及び地方公共団体は、図書館、博物館その他の社会教育施設の設置」云々と書いてありますので、両方の意味が含まれているんじゃないかとは思いますけど、ちょっと事務局にお聞きしたいと思います。

【米田委員】
 私も、水嶋委員のおっしゃったスペシャリストとゼネラリストの両方の面が――これ、美術館、博物館を中心にして言えば、その両方がなければ運営できない時代になっています。きょうはちょっと置いておきますが、学芸員の視点とか幾つかの先輩から言われてきたことは、広く世の中の動きとか精通してとかいうことは入っているんですけれども、特に私が学芸員になった1971年(昭和46年)当時は、東京とか大都会じゃなくて、中部地方の山村に入って社会教育をやろうとしている人がこう言いましたね。学芸員の資格よりは、農村に入ったときには社教主事のほうが何でもできるんだと。図書のこともできるし、郷土館の活動もできるし、それから青年団運動もできるしという形。ですから、その当時の社会教育主事というのは、地域の中であらゆる生活、それから青年団の中に入って、非常に有効な働きをしていたわけなんですね。
 しかし、今のお話のように、図書館の郷土資料室とか公民館の図書室とかという形からどんどんどんどん専門的に特化していきましたよね。そうすると、社教主事のほんとうにやるべきことというのがちょっとぼやけてきたような感じが――僕、さっきの言い方も、学芸員は仕事の舞台、司書には仕事の舞台が、はっきりコアとなるものがあるということは思っておるわけなんですけれども、そういう意味でいうと、時間がありますから簡単に言いますと、今、日本の博物館、美術館は第3世代への移行期だと言っています。これは第1世代の博物館というのは帝室博物館なり陽明文庫のようなもので、そこでプリンシプルとしているのは保存なんです。本音は見せたくない。そこで働く人は番人、学芸員を指す。キュレーターとかキーパーという言葉は全部、番人という意味なんです。そのころは、展示品の目録を名前だけ書いて、文字だけの棒目録(線だけで図がない)といいます。第2世代の価値観というのは展示・公開なんです。見てもらいたいと思ったんですね。そこで専門職として学芸員が登場するわけです。たくさん市民と交流したいと思うわけです。しかし、学芸員数人では十分できないですね。今、たしか文部科学省の社会教育調査では2.3~2.4人でしたよね、1館に。しかも、非常勤を除くと1館に1人もいないような人数ですから。今、第3世代というのは、市民参加・体験活動ということです。そこには働く人はもちろん学芸員と学芸員補のほかに、エデュケーターとかコンサベーター(保存科学者)とかデザイナーとかミュージアムライブラリアン(司書)とか、あらゆる分業の時代になっていくわけです。ですから、そのときにスペシャリストとゼネラルの部分という形では両方ないと運営できなくなってきているわけです。現に私の館もエデュケーターもいるし、学芸員もいるし、コンサベーターもいるし、編集の人もいるし、広報の専門家もいるしという形で、実は分業してきています。ですから、その中で水嶋さんおっしゃったみたいに全員がゼネラルになる必要はないわけです。スペシャリストを育てていく必要があるわけです。
 ただ、ここでやめます。私がこれまで見てきた中で、もちろん公民館も図書館もそうですけど、社会教育施設で頑張ってきた人にはスリー・オーと呼ばれる3つのOがありましたね。3つのOと言われているのは、よくない言葉にとられますけど、おっちょこちょいなんです。おっちょこちょいであるから、どんな時代でもプラス思考で未来思考で頑張れる人。2番目は、何だっけな。

【水嶋委員】
 おせっかい。

【米田委員】
 うん、おせっかい。おせっかいだから、面倒くさい教育普及事業に一生懸命頑張ります。最後は、お人よしであるから、夜遅くまで献身的に働ける。大体これがないと社会教育は成り立ちません。これは精神主義だと思われるかもしれませんが大切なことです。ただ、スリー・オーのない施設は、どれだけいい言葉を書いていてもだめだと思っています。それはチームワークでつくっていくものだと思っております。ちょっと余談になりました。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございました。

【興梠委員】
 公民館の重要性、社会教育施設の中で、これはだんだんコミュニティセンターじゃないですけど、逆に言えば、公民館の役割が少しずついろんな形で俯瞰していくような傾向があるんですが、改めて魂が入るようにきっちり位置づけておいていただきたいと思うんですけれども、一方で、これ、ずっと見ますと、延々と公民館が続いていって、そして図書館等に関しては別の法律でやると。だけど、具体的には、例えば青少年教育施設なんか全然入ってないんですよね。きのうも学校でやっていたんですが、学生が「夏休みどうする」、「いや、国立の青少年交流の家とか少年自然の家が全国ラインナップしてこんなプログラムをやっているぞ。ホームページをのぞいてみろ」と言ったら、「そんなところあるんですか」って。逆にだけど、行ってみればすごくおもしろいプログラムがあると。実際に利用率もどんどん上がっているわけですね、データでも。もちろん、県や自治体でもそういったものを運営しているんですけれども。ただ、一方で、法律にきちんと書き込んでおかないと、「こんなもの要らないや」という形になる可能性があるので、そこはやはりきちんと明確にしておくということをぜひお願いしたいというふうに思います。
 以上です。

【高橋(興)委員】
 私も公民館についてお話をしたいと思います。公民館は、言うまでもなく地域社会の中では大変大きな役割を果たしてきたし、今も果たしていると思っています。ただ、一方、資料3の中でご説明もありましたけれども、14ページのところでは公民館は微減の傾向だと、こういうふうな分析でございますけれども、私は激減していると思っています、実態は。つまり、建物はあるけれども、市町村合併が進行する中で、公民館の機能を失ったものが激増したと認識しています。一方で、存続している公民館も二極化が進んでいるのではないかと。これは私どもの県の例ですけれども、青森市は今、中核市を目指しているわけですけれども、ここは公民館はゼロになりました。そのかわり全部市民センターになりまして、公民館的な機能を持ったものが、場合によっては小学校と一時はやった合築というんでしょうか、そういう複合施設になりまして、プール、図書館などを持った施設になっております。かと思えば、これは十和田市の例ですけれども、ここでは、ある公民館は民間の学習事業者に丸投げをしております。全館丸貸しをしている公民館もあります。従来の公民館に対する考え方からすると何をやっているんだというふうなイメージを私どもも実は持つわけですけれども、しかし、青森市も従来の公民館よりも非常に活発に動きがあります。人の出入りも激増しました。それから、十和田市の民間の教育事業者に丸投げしているところも非常に活性化しました。このような状況がありますので、文部科学省のほうでもそこら辺の実情は把握されていると思いますけれども、この法規の見直しは、私はそういう実態を踏まえてどうしてもやらなければいけない時期に来ているというふうに思っております。
 以上です。

【山本委員長】
 先ほどちょっと質問もあったんですが、5.の一番下の○ですけれども、ご質問ありましたが、これは私が発言したことがもとですので、私のほうから意見というか、お答えをしたいと思いますが、ここは実は先ほどからご指摘があるように非常に重要なところで、ここでは申し上げてないのかもしれない、分科会で申し上げたんですけれども、日本の社会教育行政というのは、戦前は団体中心主義で、戦後は施設中心主義で来たけど、もう無理でしょうと。今のお話にもありましたけど、もう無理でしょう。これからはネットワーク行政ではないですかと。ネットワーク行政は平成10年の社会教育行政のあり方で出ているんですけれども、ネットワークというのは連携の規定をつくれば動くかって、動かないんですよね。一番大事なのは資源の交換。お互いに得するように資源を動かさない限り無理なんですよね。それをやっているところはうまく動いているんですよ。ですから、そういう点で、拠点と言っているところはネットワークで言えばノードですから、それぞれになりますよね。それでお互いに、資源は違う種類かもしれないけれども、うまくそれを交換して、お互いにプラスになるようにしていくというところがこれからの社会教育行政の目指すべき方向かなというので、そのところをやはりどこかで入れていかなくちゃいけないかなと思って申し上げたら、こんなところへ入ってきているということなのでございます。

【糸賀委員】
 今、山本委員長から説明があって、私はそれで納得できるんですが、そうだとしたら、それを置く箇所は、現行の社会教育法の第20条から42条は、わざわざこれ、第5章、公民館という章になっていますから、それ以外のもっと前のところにそれが置かれるべきなんだろうと思います。今の第5章20条以下では、これは公民館をそういうふうに位置づけるということなので、それはむしろ、この時代、難しいですね。お互いの資源、まさに学習のためのリソースを学校教育を含めてどういうふうに地域の中に整備していくかという観点ですから、それはお置きいただくのは結構ですが、もっと前のほうにそういう位置づけがなされるべきだと思います。

【土江委員】
 先ほど興梠委員から、青少年施設を法的に明記するということがございました。明石先生のこの意見書にもありますけれども、私も全くそのご意見には賛成でございまして、先ほども申し上げましたように、この青少年の教育の振興ということは極めて重要なことだというふうに認識しておりまして、ますます体験活動が重要視される中にあって、青少年教育施設が社会教育法上明確に位置づけられるということは非常に重要なことだなというふうに思っています。特に青少年教育の中核施設であります少年自然の家とか、あるいは青年の家等、これまですばらしい実績を上げているわけですけれども、明石先生もここで述べられていますように、この施設が現在、経済的な理由とか、あるいは法的にきちっと位置づけないために閉館あるいは閉鎖する傾向が強いというふうな状況にあります。こうした実態を見るに、今回の改正を契機に法的な明記をきちっとすべきであるというふうに思っているところでございまして、社会教育法上、この青少年教育施設を明記していただきたいというふうに思っています。
 それから、先ほど高橋委員のほうから公民館の激減ということがございましたけれども、確かに、市町村合併が進む中ではどうしても公民館の再編・統合ということは避けて通れない現状もあります。こうした中で、やはり公民館機能というものは担保されないといけないと。そのために、やはり職員の資質の向上ということが重要課題かなというふうに考えております。現行法では、公民館主事につきましては必置ではないと。職名があっても、社会教育主事等の資格要件、任用の要件が規定されていないと。こうしたところで、公民館に主事という名称がいいのかどうかということもまた考慮すべき点ですけれども、こうしたきちっとした資格要件を持った方を設置することが望ましいというふうな規定も必要ではなかろうかなというふうに考えます。
 以上です。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございました。
 青少年関係の施設のことですが、先ほどスポーツ・レクリエーションのことを申し上げたんですけれども、今、こちらですと生涯学習政策局があって、スポーツ・青少年局があるわけですよね。そうすると、そこら辺のところで文部科学省全体としてそれをどこにどういうふうにするかという座りの問題とかありますから、これはちょっと事務局預かりにさせていただいて、きょうは青少年の課長さんも来てくださっておりますのでですね。いや、全体として振興を図らなくちゃいけないというのはそのとおりですから、それはいいんですけれども、どう扱うかはちょっとそんなようなこともあるので、ご意見だけいただいておくということにさせていただきますが。
 どうぞ遠慮なく。

【高橋(守)委員】
 公民館についてなんですが、これも市町村合併の流れの中で、いわゆる地域づくり協議会とかいろんな絡みの中で、公民館なのかコミュニティなのかというあたりで全く別の施設を持っているところももちろんあるんですけれども、コミュニティセンターというのを持っているところもあるわけですが、やっていることはほとんど同じですね。同じ市町村で公民館とその隣にコミュニティがあって、お互いに事業を出し合いながら調整してやっていると。中には、さらに一歩進んで公民館というものの姿は全部消して、コミュニティセンターを各地区につくり始めていると。だから、公民館のあり方としてはその辺を少し、少しどころか、かなり踏まえてこれからのラインを出していく必要があるんじゃないかというのが1点です。
 それから、公民館の運営要綱でしょうか、設置要綱でしょうか、たしかこの会のものにあったと思うんですが、公民館の設置要綱ですね、たしかね。設置要綱ですね。数年前の改定があったように記憶しているんですけれども、その中身に家庭教育関連とか、開館時間の流動的な運用とかというものがかなり入り込んでいる。その辺との整合性から見ると、これはかなり見直していかなきゃならない面があるんじゃないかと。だから、公民館の持つ機能の中に家庭教育もかなり入り込んでくるんじゃないかというのが実感です。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございます。

【鈴木委員】
 同じようなことなんですが、現行の公民館に関する規定というのを社会教育施設というふうに変えて、公民館の規定も中に入れていくというような話だと思うんですが、いわば社会教育施設の通則みたいなものを書いていくということなんだろうと、私はそんなようなイメージをしているんですが、ところが、なかなかそれが山本先生がおっしゃるように役所の所管の問題等で難しいわけですが、いただいている資料3の12ページの一番下、「その他の社会教育施設として、青少年教育施設、女性教育施設、社会体育施設等がある」と。先ほど菊川委員のほうからもあった、生涯学習センターというのは何だ、あるいはコミュニティセンター等と言われるものは何だと。それらとの関係というのか、私は生涯学習センターというのは社会教育施設という概念でその範疇に入るんだというふうに思うんですけれども、何かその振り分けをきちんとしないと、この通則にせよ、難しいことになるだろうというふうに思うんです。その通則をつくるときに、そこには例えば専門的な職員みたいなものがやっぱり必要であるのだというようなことを書いてみたりとか、個別には図書館法、博物館法等でいけばいいという話になるけれども、例えば青少年の指導系職員というふうに言われる人だとか、そういうような人たちが必要であるとか、何かそのあたりの全体を縛るという言い方はいけないかもしれないですが、全体共通になるような基礎的なものを何か書いておかないといけないので、そこのところに評価だとか機能だとかということが出てくるというふうに思いました。
 ただ、もう1つは、博物館のやつが来週ですか、あるわけですが、そこのところに一番出てくると思うんですが、民間の問題ですよね。ほかの公民館や図書館というのはほとんど行政がということであるわけでしょうが、博物館の場合は民間のということがある。これは生涯学習振興法のほうの話かもしれないけれども、民間のカルチャーセンター等みたいなものをどういうふうに考えていくのか、いかないのか。博物館の場合は登録というようなことで行政との関係というのを考えるわけだということなんですが、そういうふうなものもここで考えることが必要なのか、必要でないのか。あるいは、民間の、もとへ戻るけれども、施設の職員などについてもここで考えるのか、考えないのかというようなことも検討の論点になるんじゃないかというふうに思いました。
 以上です。

【山本委員長】
 なるほど。ありがとうございました。

【菊川副委員長】
 今も先生方がおっしゃったとおりなんですが、私も青少年教育施設についてきちっと位置づけるというのは賛成です。それから、家庭教育支援を担うということですが、子育て中のお母さんたちに聞きますと、やっぱり公民館が詰まっているというんですね。高齢者のおけいこごとで詰まっていると。だから、せめて週1日ぐらいは自分たちのフリースペースが公民館にあるといいなと。公民館というのは大体小学校区単位ぐらいにはありますので、「公民館が子育ての親たちにとって使いやすいといいんだけれども」というお話をよく聞きます。
 それから、生涯学習センターの件なんですが、例えば公民館が市町村でコミュニティセンターとか生涯学習センターという名称に変わっている。中身は同じようなことですし、また、活発化しているところもあるし、少しわからなくなっているところもあると思いますけれども、こういう施設をどういうふうに位置づけていくのか。例えば社会教育施設とまでは言わないけれども、社会教育関係施設とか関連施設とか、何か少し位置づけていただかないと困るなというふうに思います。例えば県レベルでも、私ども福岡と青森は社会教育センター、それ以外は生涯学習センターなんですね。そして、生涯学習センターが市町村の社会教育行政の指導をしております。ですから、この辺のところの整理はやはり要るのかなと。
 それから、公民館に絡んでもう1点なんですけれども、県で公民館大会なんかやりますと、小規模の類似公民館のいわゆる地区公民館、自治公民館というんでしょうか、の方々が半分近くお見えになります。ですから、公民館という名前は古いようですけれども、一方で、ここに載っている1万7,000以上に非常にすそ野の広い通用力のある施設名でもあるようにも思いますので、その辺のところをどう考えるかと思っております。
 以上です。

【山本委員長】
 なるほどね。今、家庭教育のことも出てきておりますので、家庭教育支援、6ですね。それから、7のところでは具体的に、例えばということでそこにございますような放課後子どもプランで今やっていますけど、そういうものに関する規定を設けてはどうかというあたりもございますので、ご意見があれば。

【興梠委員】
 6の家庭教育に関しては、社会教育的視点から家庭教育を支援するというところを踏まえられていれば、この原案で賛成です。
 7なんですが、少し外れるかもしれないんですけれども、先ほど委員長は、戦前は団体中心、戦後は施設、これからはネットワークと。実は私たちNPO関係の世界では、広義にネットワークの中に入ると思いますけれども、コラボレーションとか協働というのが非常にはやっているわけですね。つまりNPOとの協働というのが入っているわけですけれども、特定非営利活動促進法の認証申請を受けた団体のリストを見ていただくとわかるんですが、社会教育的な活動をやっている団体が一番多いと。しかし、全部それ、ダブってカテゴリーを選択しているわけですね。国際協力と社会教育とかですね。そうしますと、やはり社会教育関係団体というのが、だんだん多元多重の活動領域によって進めていくという傾向になってきているだろうと思うんですよ。つまり、じゃあ海外協力NGOは社会教育じゃないのかとかですね。ちょっと極端な話ですけれども。そうなったとき、この10条の社会教育関係団体というのは、公の支配に属しない団体で社会教育活動を行うことを主たる目的と書いてあるわけですけれども、そういう面では、社会教育団体――きょうはちょっと触れられていませんが、これそのものに対して議論をきちんとしておくべきではないかということと、それから、今や、公がこのような団体に対する支配をしていかないというような消極論だけではなくて、やはりもっとコラボレーション、要するに協働ということなんかをきちんと打ち出していく必要が、まず前提としてこの7の項目のところで必要なんじゃないかと思います。

【山本委員長】
 そうですね。補助金の関係で今まで来ましたが、もう補助金はだめですから、今のようなお話のところが問題になるかと思いますね。

【井上委員】
 7番の学校・家庭・地域の連携協力というところですけれども、これから社会教育においては、やはり学校との連携がやはり相変わらず柱になっていくだろうと思います。この連携を促進するために今までだれがどう担っていたかということをちょっと振り返ると、先ほど少々批判もあったのですけれども、学校教員籍の社会教育主事がかなり大きな役割を果たしてきたわけです。栃木県の例になりますが、社会教育主事有資格者を全校配置するという方針を立てて計画的に養成しています。また、学校支援ボランティアの養成についても、この教員籍の社教主事が中心となって進めてきたということもございます。また、その学校の教員の方が学校に帰ってから、やはり窓口となるのは元社教主事の教員の方になります。そう考えると、やはり教員籍の社教主事の重要性というのも、この連携を考える上では必要になってくるのではないかと思います。実際どうかということになるのですけれども、連携協力については、ほんとうに言葉としては非常に心地いいのですけれども、具体的にどう連携するのかというところがやはり問題になると思いますので、そこはやはり明記していく必要もあるのかなという気もします。
 それと、別の視点で、この連携協力を進めるために社教主事にどういう力をつけてもらいたいのかということが出てくると思います。そこで、コーディネーション力とか、先ほど出た企画・立案能力というようなものを社教主事講習の養成科目の中に改めてこの条文を受けて考え直していく必要性というのも、先のことを考えるとあるのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございます。

【山重委員】
 6番と7番について両方なんですけれども、家庭教育を支援するということ、それから地域での教育というのを進めていくということをうたうのはいいんですが、今までない目標ですので、それをだれがどのようにやっていくのかという仕組みがないと、ただお題目になってしまうと思うんですね。だから、制度的にどういう仕組みで家庭教育をやっていくのかということが具体的なイメージがないと、ただ書いただけで終わりの法律になってしまうのは大変残念ではないかと思うんですね。例えば家庭教育の支援といって、何かパンフレットを配ればそれで終わりというわけではなくて、むしろ、いろんな子どもたちがバイオレンスに遭うとか、子どもたちに限らずドメスティック・バイオレンスがあるとか、それから教育がきちんと行われていないとか、そういうのも含めて教育的な観点から家庭できちんとやれないところを支援していくという需要は今後ますます高まっていくと思うんですけれども、それにどうやって対応していくのかというのは、これは具体的な仕組みを考えないとやはり難しいのではないかと思うんですね。そういう意味で、またもとに戻って恐縮なんですけれども、やっぱり地域教育ということで、その中に家庭の教育支援も入っているんですけれども、それを実際にやる人をもっともっと増やしていかないと対応できないんじゃないかと思うんですね。社会教育主事の方の給与はどれぐらいなのかというのを、平均でいいのでちょっと教えていただきたいなと思うときもあるんですけれども、そういう人たちがたくさん増えても大丈夫のような財政状況であれば、そうやって主事の方をどんどんどんどん増やしていくというのはあり得ると思うんですけれども、おそらくそれなりに高い給与ではないかと思うので、その方を増やすということが難しい状況が財政的にはあるので、もっと若い人だったり、定年された方だったり、主婦の方だったり、そういう方々をモービライズするような制度というのを設けないと、こういう家庭教育支援とか地域と家庭と学校の連携といったことは実際に進まないと思うんですね。だから、法律上の問題として欠けているのは、やっぱり地域教育というか、社会教育一般でもいいんですけれども、それをだれが担うのかということが明記されてないところだと思うんですね。それを担う人たちを指導・助言する人たちは明記されているんですけれども、だれが担うということを想定されているのかが見えないというのがちょっと怖いところなので、やっぱりそこのところを制度的な工夫をしていただけるのがいいのかなというふうに思っています。

【山本委員長】
 なるほど。

【土江委員】
 井上委員、それから山重委員と同じなんですけれども、この学校・家庭・地域住民の連携協力というのはこれまでもずっと叫ばれてきたことなんですが、今回の基本法に明記されたということで、これはほんとうに喜ばしいことですし、これから進んでいくだろうと。さっきおっしゃったように、具体的な仕組みをだれが実際に進めていくかというところで、やはり1つは、キーになるのは社会教育主事だと思うんですね。ただ、従来の社会教育主事が、やはりある部分プレーヤーになり過ぎていた点もあるんじゃないのかなと。やはり地域の総合的なコーディネーターとしての位置づけをきちっとして、分科会等でも議論されていました学習コーディネーターとか、あるいは教育サポーターであるとか、あるいは学習相談員、こうした人的な仕組みをしっかり構築して、糸賀委員おっしゃったように、この養成でありますとか、あるいは研修のシステム、こうしたものをきちっとしていくと。そのためにも制度化しておくということが重要なことじゃないのかなというふうに思います。

【山本委員長】
 はい、わかりました。

【菊川副委員長】
 6と7について、賛成なんですが、ちょっと違う観点からです。私が懸念しますのは、今までも学校教育と社会教育の連携というときに、いつも社会教育側からのアプローチで、学校のほうは知らん顔をしているというのが社会教育関係の愚痴でございました。そういった意味で、学校・家庭・地域の連携協力という基本法の13条を受けて社会教育法の中にきっちり規定された場合に、それは学校側から見たら「社会教育行政の仕事でしょう」というふうに言われ過ぎると、きっとうまくいかない。だから、社会教育法に盛り込むのであれば、学校教育関連のところのどこかにそういうのに該当するものを盛り込むべきじゃないかというのが1点です。
 それから、家庭教育につきましても、これは先生方が多忙だという一方の議論があるわけですけれども、私は、学校教育の仕事をしてきたときの経験から言いますと、やっぱり個々の親に具体的にメッセージが届くのは学校の担任の先生だと思います。ですから、学校の担任の先生が家庭の支援とか家庭教育というのを基礎的・基本的に理解しておくということがとても大事で、そうやっていっていると学校のほうもうまくいくと。学校だけでももちろんできませんけれども、学校が家庭教育について知らん顔をしていていいという話にはならないと思っておりまして、施策の対応が可能なのは学校教育と社会教育ですから、その両方で家庭を支援していくというのをどこか生かしていただけるといいなというふうに思っています。

【山本委員長】
 なるほどね。

【高橋(守)委員】
 いわゆる小学校学齢期あたりはほんとうにPTAの運用の仕方とかあり方を整理していくと、今のお話と深い関連のあるところがあると思います。一方、家庭教育の支援にむけて学習機会をたっぷり設けるとか、支援をするネットワークをつくるとか、関係者で応援する体制をつくるとかというふうに言うのですけれども、問題の根深いところでは父親だと思っているんです。つまり、父親が十分に学ぶ状況に現状はあるのか、というところをもっと考えていく必要がある。学びやすい環境をつくるというものの中に、学ぶ人の労働環境までどうしてもいってしまうという問題があると思っています。それはとても大きな問題です。実は、「すこやかコール」といいまして、子育てのための電話相談をやっておりますが、年間約1,000件。相談者は母親が9割、つまり900人前後が母親。そして、祖父母がその残りをかなり占めて、父親が数パーセントという現状です。それを見ますと、いかに母親のところに悩みが集中しているのかという問題がまずあるのだろうと思います。それから、母親が一生懸命最先端の子育ての脳科学の勉強をして家に帰っても、今度は家の受け皿が整っていないという非常に深刻な悩みがあるということが大分見えてきました。ですから、何歳にはこういうふうに言葉の教育をするのが適切だなど、最近は脳科学でものすごくいろいろな指摘がなされていますが、それが最後のところでうまくいかない。そういう意味では、先回も申し上げたのですが、ワークライフバランスのあたりを、企業との連携とか労働環境とのつながりの中などで、啓発活動を中心に社会教育の立場から大いにできるのではないか。そういう視点を踏まえた法整備というのも必要なのではないかというふうに思っています。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 大分いい時間にもなってきたんですけれども、7の1つ目の○のところですけれども、先ほどちょっとどうでしょうかと聞いたんですが、今、放課後子どもプランは文科省と厚労省で一緒になってやっていますよね。それで、福岡でもお話があるんですけれども、厚労省のほうは児童福祉法にちゃんと入っているんですよ。それで押しまくってこられるというようなことがあって、こちらの文科省のほうに「どうですか」と言われても手を挙げないと。もうどんどんそちらの生活のほうで押しまくられちゃって、教育とか生涯学習支援で追い込めないというか、それらのほうを出せないというところがあるので、手を挙げないというところもあるんですよ。ほんとうに社会教育とかそういう方面のベテランというか、もう隅々まで知っている人が教育長になってそれをやっているというところがあるんですけれども。そういうことを考えると、ここら辺のところはどうでしょうか、向こうも入っているんだったら、やっぱりこちらもどこかに規定を入れておいていただいたほうがいいのかなという気もするんですけれども。あるいは、そういう拠点をつくるというようなことでいうと、今、例えば地域本部をつくったらどうとか、そういう動きがあったりいろんなことがありますけど、その辺のところはどういうふうにするかは別として、何かの規定が必要かなと思うんですけど、どうでしょうかね。入れておいてまずいということがあれば別ですけど、まずいことがなければ入れたほうがいいかなと思うんですけれども。じゃあ、それはそれでわかりました。特段異論はないようですので、そんなようなこともちょっと意見として出しておきたいと思います。
 それで、きょう、いろいろ意見をいただき、じっくり時間がとれたので、根源的な問題から具体的なところまでいろいろご意見をいただいたと思います。繰り返しはいたしませんが、整理すると、大体この資料1の線で事務局に進めていただいてというようなことであろうと思いますが、その中で、ここのところはこういうという注文がついておりますので、その辺のところはまた精査していただければと思います。ただ、1つ、ここでいろいろ意見は出ていますけれども、やっぱり法律というのは長いこと使いますよね。長いこと使うものですから、あんまりぎっちり詰めちゃうと後で使えなくなっちゃうということがどうもあるようで、我々が聞いている話ですと、とにかく法律というのはざるとしてつくれと。ざるとしてつくれというのは、水が幾らでも漏れるようにしておくというふうにしないと、後、使えないよという話がありますので、きょういただいた意見などをもとにしながら、それはまさに専門家の文科省の集団でございますので、そちらの法をつくるほうにお任せしたいと思うんですが、どうでしょうか、今まできょうの議論を聞いて、いい線でご意見いただいているかなと思いますが、なおご意見があれば。奉仕活動のところも先ほどいただき、また途中でも興梠委員からもいただきましたし、それら全体を通してなおご意見があれば最後にいただいておきたいと思いますが、どうでしょう。

【高橋(守)委員】
 素朴な疑問なのですが、「青少年」という表現をするときに、青少年とは何歳から何歳ぐらいまでを想定しているのかということをやっぱりイメージとしてはつかんでおきたい。といいますのは、青少年対策とか青少年に関する施策というと、ややもすると小学生あたりに集中していくのです。私が危惧しているのは若者のほうなので、その辺のとらえ方というのをつかんでいきたいなというふうに思います。

【山本委員長】
 ああ、なるほど。これはいろんな法律や何かでいろいろでこぼこがありますよね。ですから、それはそれではっきり出てくると思いますが、これは別に青少年だけじゃないんですよ。高齢者もそうなんですけれども、もうファジー概念でいくしかしようがないんですね。大体このぐらいのところは青少年度が高いとか低いとかですね。例えば十五、六歳から七、八歳ぐらいのところは、今、成長が早いですから、国によっては若い成人という、ヤングアダルトでとらえる。それが重なっていたりとか、ごちゃごちゃになると思いますが、その辺、法的にはいろいろ規定がありますので。それはもう高橋委員がご存じのところだと思いますが、ですから繰り返しませんけれども、やっぱり少しファジー概念を入れていかないとまずいかなと。じゃないと、かちっとやっちゃうと動きがとれなくなっちゃいますよね。そんなところが社会教育と生涯学習支援はあるかと思いますが。

【土江委員】
 すいません、お時間とって申しわけないですが、1点だけ簡潔にと思いますけれども、学校・家庭・地域の連携の中で、やはり青少年関係団体との連携というのは不可欠じゃないのかなというふうに思っています。現在の法律では自主的・自立的な活動を見守るということで、これはこれとして堅持すべきだと思うんですけれども、やはり社会教育団体同士の連携強化とか、あるいは国と社会教育団体、また、地方公共団体との連携強化というふうなことが、そうしたことの推進とあわせて必要な体制の整備というふうなことに努める必要があるのじゃないかなというふうに思います。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございました。
 大体ご意見いただけたかなと思います。事務局のほうで、なお落ちがあって、こういうところは意見を聞いておきたいという点がありましたら出していただければと思いますが、大丈夫でしょうか。大変厄介なところ、従来、縦割り行政で来ているところを、それを横のネットワーク行政に切りかえるって、一番苦手とするところを切り込んでいかなくちゃいけないというふうになっておりますので、なおこれからもいろいろご意見ありましたらば、その都度いただきたいと思っております。書面等あるいはメール等で出していただいてもいいかと思いますので、遠慮なくお願いいたします。
 それでは、社会教育法関係のところは大体そのぐらいということにしまして、今後の日程について事務局のほうから説明をお願いいたします。

【上月生涯学習推進課長】
 参考資料2にもありますように、また1週間後の来週金曜日、2時から5時、場所は虎ノ門のパストラルでございます。もう夏休みに入るような時期に恐縮ですが、次回は図書館法と博物館法に関する事項の議論ということでよろしくお願い申し上げます。

【山本委員長】
 はい、ありがとうございました。そういうことで、毎週ですので、ほんとうに申しわけないんですけれども、国のため、国民のためと思って頑張っていただきたいというふうに思います。
 それでは、きょうはこれにて閉会といたします。どうも長時間ありがとうございました。

─了─

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