制度問題小委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成19年7月13日(金曜日) 14時~17時

2.場所

霞が関東京會舘 「エメラルドルーム」(35階)

3.議題

  1. 論点の整理(主に生涯学習法制に関する事項)
  2. その他

4.出席者

委員

 山本委員長、菊川副委員長、糸賀委員、井上委員、清國委員、興梠委員、讃岐委員、鈴木委員、高橋(守)委員、土江委員、山重委員

文部科学省

 加茂川生涯学習政策局長、関口大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、清木生涯学習総括官、川上生涯学習政策局政策課長、上月生涯学習推進課長、平林社会教育課長、佐久間調査企画課長、湊屋男女共同参画学習課長、椿参事官、安間青少年課長、濱口民間教育事業振興室長、栗原地域学習活動推進室長、岩佐家庭教育支援室長、今野生涯学習調査官、水畑政策課専門官

5.議事録

【山本委員長】
 それでは、定刻よりちょっと前なんですが、おそろいでございますので始めたいと思います。
 本日は中央教育審議会生涯学習分科の第3回になりますが、制度問題小委員会でございます。これから開催したいと思います。
 お忙しいところ、ご出席くださいましてまことにありがとうございます。
 議事に入る前に、事務局のほうに人事異動がありましたので、ご紹介いただきたいと思います。

【上月生涯学習推進課長】
 それではご紹介させていただきます。大臣官房審議官生涯学習政策担当の関口でございます。

【関口大臣官房審議官】
 関口でございます。よろしくお願いいたします。

【上月生涯学習推進課長】
 初中局視学官の関でございます。

【関初等中等教育局視学官】
 関でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【上月生涯学習推進課長】
 生涯学習政策局政策課長の川上でございます。

【川上政策課長】
 川上でございます。よろしくお願いします。

【上月生涯学習推進課長】
 同じく、私、生涯学習推進課長の上月でございます。よろしくお願い申し上げます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、きょう初めて出席してくださっている委員がございますので、ご紹介お願いいたします。

【上月生涯学習推進課長】
 それでは委員のご紹介をさせていただきます。
 興梠委員でございます。

【興梠委員】
 よろしくお願いいたします。

【山本委員長】
 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 では、早速議事に入りたいと思いますが、きょうは3時間取っておりまして、長丁場ということになっております。論点の整理を行うということでございます。生涯学習法制に関する事項の論点整理でございますので、時間を取っていただいております。したがいまして、審議のほうは途中で休憩を入れるということで、前半と後半というようなことでいきたいと思っております。その点、資料のほうは後で説明がございますけれども、切れ目のところで、5つぐらい項目があるようでございますから、頭の2つぐらいのところで切れ目を入れられればと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは早速ですが、まず資料について、資料1-1でございますけれども、これの項目1、2について事務局のほうから説明をお願いできますでしょうか。

【濱口民間教育事業振興室長】
 それでは失礼いたします。民間教育事業振興室長の濱口でございます。資料の説明をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 皆様のお手元に配付されている資料でございますが、大きく分けて、本体資料で青い封筒に入っているものが一かたまりございます。それとともに、卓上配付資料という形で、本日ご出席ではございますが清國委員からいただいている資料と、それから山本委員長名でお配りをしております第4回の開催案内がございます。
 本体資料のほうでございますが、幾つかございますので、まずご確認をさせていただきます。まず1枚目、本日第3回のこの制度問題小委員会の会議次第がございます。2時から5時までとなっておりまして、議事として論点整理、主に生涯学習法制に関する事項ということでございます。
 資料は以下になりますが、この次第にもありますとおり、まず資料1-1が「生涯学習法制の在り方に関する論点案」というものがございます。そのあと資料1-2といたしまして、その論点案にかかわる参考資料の一群が、クリップどめで先生方のところにお届けしているものでございます。そのあと資料2といたしまして、「生涯学習法制の在り方等に関する主な意見」ということで、これまでいろんな意見を出していただいたものをまとめたものが資料2でございます。これらが本体の部分でございまして、これに関する参考資料1、2として、前回第2回の議事概要の紙と、それから参考資料2が今後の開催予定ということになってございます。それら以外、卓上配付ファイルとしてグレーとピンクとグリーンの部分は毎回配付をし、それからこれまでの分科会等の資料につきましてもハードファイルで皆様方の机の上に置かせていただいているところでございます。
 まず、以上のところで欠落しているものがございますれば、今ご指摘をいただければと思いますが、特にございますでしょうか。
 特にないようでございましたら、今、委員長からお話がありましたとおり、論点案の、まず資料1-1、2枚紙がございますけれども、こちらをごらんください。ここのところで前半部分、全部で5項目ございますけれども、1枚目の頭の1.と2.の部分でございます。
 まず、1.の部分「生涯学習の理念」、それから「学校教育・社会教育の関係の明確化等」という部分、その部分が1つと、それから2.は「国・地方公共団体との役割等」がございます。それぞれ(1)から(2)等々までついてございます。
 まず、1.生涯学習の理念等との関係でございますが、小論点といたしまして(1)から(3)までございます。まず(1)の部分で、教育基本法の新しい3条の中に生涯学習の理念というものが規定されましたけれども、このことと生涯学習振興法を改正したとき、それから社会教育法、学校教育法等との関係はどういうふうに整理すべきかという部分がございます。これは前回の小委員会の中でもご指摘いただいた点でございます。またそれとともに、生涯学習、生涯学習行政、社会教育、社会教育行政の相互の関係はどのような形で整理をすべきかという部分が(1)でございます。
 この(1)の部分につきましては、資料1-1の次にクリップどめをさせていただいている資料1-2のところで、ページ数をふってなくて恐縮でございますけれども、関連する資料を一まとまりにしてございます。資料1-2の1枚紙のところは目次になっておりますが、その目次を1枚置いておきますと、2枚目のところでA4横長の図が出てまいります。こちらのところで基本法と生涯学習・社会教育関連法等とのイメージ、あくまで暫定版でございますが、こういうイメージでとらえられるのではないかというものを1つ提示をしてございます。
 新しく成立いたしました教育基本法というのは、一番上の四角のところでございますけれども、そこの中には第1章の教育の目的及び理念という、教育基本法の中でも総則部分に当たる部分の中に、第3条として生涯学習の理念というのがあると。これを受ける形で、同じく教育基本法の中の右横のほうになりますけれども、第2章の教育の実施に関する基本という部分の中では、6条のところで例えば学校教育というものがあり、12条のところで社会教育というものがございます。
 こういう教育基本法の構造を踏まえまして、下のところには生涯学習関連法と学校教育関連法、社会教育関連法という部分で3つ出てまいりますが、左から、生涯学習関連法のほうは3条を一つの根拠といたしまして、中味をどういう形で規定するかというのはこれからのご検討になりますけれども、基本法に規定をされた生涯学習の理念を受け、法律を整備するということになるわけでございます。
 その際に、その下のところで例というふうに出てまいりますが、国及び地方公共団体が、例えば学校教育・社会教育に関する施策を講ずるに当たって生涯学習の理念が具現化されるように必要な配慮がされなければならないといったようなことを書いたという前提に立てば、当然のことながら、そのことは学校教育関連法、社会教育関連法のほうにその影響を及ぼしてくると。当然、学校教育法、社会教育関連法等々につきましては、教育基本法からはこの6条なり12条なりという部分を受けての基本的な方向が展開されているというのが一つのイメージとしてあるわけでございます。
 それから、資料1-1に戻っていただきまして、大きな1.の中の(2)では、今の部分と若干かぶりますけれども、生涯学習の理念の実現に当たって、学校教育・社会教育を行うに当たっての配慮をすべき事項というのは、一体何があるかといったようなものが(2)でございます。
 それと、(3)としては、生涯学習の振興と他の行政分野との連携といったようなものをどう考えるかという部分も、一つの論点としてはあろうかと思ってございます。ここでポイント数を下げておりますが、この下のところに、現在の生涯学習振興法における他の施策との関係という部分につきましては、この2条のところに規定をされてございます。そのまま読み上げます。
 「国及び地方公共団体は、この法律に規定する生涯学習の振興のための施策を実施するに当たっては、学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとともに」の後ですけれども、職業能力開発及び向上、それから社会福祉等といって、その他にもいろいろあるわけですけれども、これらに関して「生涯学習に間接的にその資するための別に講じられる施策と相まって、効果的にこれを行うよう努めるものとする」ということで、きちっと連携を図るべきだというのが現行法の建前でございます。
 以上のところでございますが、次に2.のところも続けていかせていただきますけれども、国、地方公共団体等の役割等という部分でございます。これは大きく、1ページ目の最後のところまで、(1)と(2)、2つございます。(1)のところでは、生涯学習の理念を実現するために国や地方公共団体が実施すべき施策には一体どのようなものが考えられるか。それから、現行法の3条というのはまた別紙がございますけれども、これを踏まえ、見直すべき事項があるかどうか。これらの施策に関して、国、都道府県、市町村の役割分担はどのように考えたらいいかという部分がございます。
 これもポイント数を下げた下のところに書いておりますけれども、2つ目の例のところは振興施策として、例えば生涯学習の理念に関する普及・啓発とか、あるいはもろもろの学習機会や学習情報を提供すること、人や指導者に関する例えば研修を実施すること、学習成果の評価をし、これをきちっと活用すること、あるいは頑張った方々に対する顕彰といったようなものを、一つ例として挙げさせていただいてございます。
 それと、別紙参照とありますけれども、現行法の3条のところはどうなっているかというのは、先ほど見ていただいた資料1-2の、先ほど見ていただいたイメージ図の次のページになります。3枚目のところで、現行法から引っ張っておりますが、3条のところで、生涯学習の振興に資するための都道府県の事業という形で都道府県の教育委員会の仕事の中味が書かれているというものが、この3条でございます。
 とりあえずここをかいつまんで申し上げますと、都道府県の教育委員会がやるべき業務として各号、1号から6号までございますけれども、これらを相互に連携させつつ、推進するために必要な体制の整備を図り、なおかつ、これらを一体的かつ効果的に実施するよう努めるということになってございます。
 例えば1号のところですと、学校教育・社会教育にかかわる学習、ここの中には当然、社会教育法に定義をする社会教育の中味ともかかわってきますが、括弧書きで確認的に入れておりますけれども、こういったもろもろの学習あるいは文化活動の機会に関して、そういった情報を収集、整理、提供することですとか、住民の学習に対する需要やニーズ、それから学習の評価、こういったものに関する調査研究を行う。あるいは地域の実情に即した学習の方法の開発。4号では指導者・助言者に対する研修。5号では、さまざまな地域における関係機関というものがございますけれども、これらの機関の相互連携に関しての紹介、相談、助言等々の援助。6号としては、社会教育のための講座の開設や住民の学習の機会の提供に関し必要な事業をすることというのが書かれてございます。
 2項のところでは、こういった1項の事業を行うに当たっては、社会教育関係団体、その他の地域において生涯学習に資する事業を行う機関や団体との連携に努めるということが書かれてございます。
 ここのところをもうちょっと申し上げますと、皆様方のファイルでいうと紙ファイルでとじているほうがあるかと思いますが、グレーのファイル、卓上に配付してあるものを見ていただいて、生涯学習振興法、現行法の全体構造を再確認しておきたいと思います。
 グレーの紙ファイルにとじられているものの表紙を開けていただきますと、生涯学習振興法、社会教育法、博物館法、図書館法の概要及び条文というものが出てまいります。このページを1枚めくっていただきますと、参考資料1というところで生涯学習振興法の概要というものが出てまいります。先ほど申し上げた3条も含めてそうですけれども、現行法の構造自体は、2.のところに出てまいりますけれども、大きくいって3つの事項を定めることによって、目的としては生涯学習振興施策の推進体制の整備ということと地域における学習機会の整備を図るということをもって生涯学習の振興に寄与するということになっておりますが、その3つの事項というのは、その下の規定内容の1から3に出てくる部分でございます。
 今、別の資料で申し上げた都道府県教育委員会がやるべき事業の中味を定めているのが1です。2番として、地域の生涯学習振興基本構想をつくるということの都道府県に対する権限という形で規定をしてございます。その中味は、ここにも書いてありますが、各都道府県がその域内の中の特定地域を限って、民間事業者の能力を活用しつつ学習機会を総合的に提供するというような基本構想をつくることができると。現在はなくなっておりますが、これをつくって国と協議をして、認められれば税法上の優遇措置が適用されるというメリットがございました。それと都道府県の中で生涯学習審議会をつくるというものの、大きな3点でございます。
 すなわち、生涯学習振興法というものは、実質的に平成2年の段階において、特に都道府県に関する規定を集中的に書くことによってそれを振興していこうというのが当時の考え方であったという部分でございます。
 これが現行法の構造で、これからまた基本法を踏まえた新しい法制なり制度設計を考えていくときに、国や地方公共団体の役割というのは、先ほどのところに戻りまして、どういったところがあるべきかというのをご検討いただければと考えます。
 それとともに、資料1-1の中の2.(2)でございますが、今申し上げたような現行の振興法の中にある都道府県の生涯学習審議会の在り方をどう考えるか。あるいは、地域の生涯学習振興基本構想に関し、これまでの評価と今後の在り方についてはどう考えるかという部分でございます。
 こちらの部分も、行きつ戻りつで大変恐縮ではございますが、資料1-2のほうでさらに附属の資料をつけております。先ほど見ていただいた、現行法の第3条の資料の1枚紙以降をめくっていただきますと、4枚目のところに出てまいりますものが、A4横長の「都道府県生涯学習審議会と社会教育委員の会議について」ということで、対比的な図をつけさせていただいてございます。
 これらはそれぞれ現行の生涯学習振興法と、それから現行の社会教育法から引いてきているものでございます。それぞれ、生涯学習審議会は生涯学習振興法に根拠があり、社会教育委員の会議につきましては社会教育法のほうで、当然のことながら、別々に規定をされてございます。こういう審議会や会議の設置につきましてはおのおのありますけれども、振興法のほうでは都道府県に都道府県生涯学習審議会を置くことができるということになっているのに対しまして、社会教育委員の会議というのは都道府県、それから市町村にそれぞれ社会教育委員を置くことができ、その会議を構成するということになってございます。
 委員の性質というか、委嘱ないしは資格の部分でございますけれども、振興法ではここに関する規定は特段ございません。社会教育委員会議のほうは、社教法15条の中で、学校教育及び社会教育の関係者、家庭教育の向上に資する活動を行う者、それから学識経験のある者から教育委員会が委嘱するということになってございます。
 それぞれの職務に関しましては、生涯学習審議会のほうは都道府県の教育委員会、それから都道府県知事の諮問に応じまして、都道府県の処理する事務に関する生涯学習に資するための施策の総合的な推進に関する重要事項を調査・審議し、これらを都道府県教育委員会あるいは諮問された知事に建議をするというのが職務・権限でございます。これに対しまして社会教育委員の会議につきましては、こういった、いわゆる諮問・答申といったもののほかに、社会教育に関する諸計画を立案するということが冒頭の権能としてございます。
 それから、両者とも任意設置にはなっておりますが、特に社会教育委員の会議は、職務の一番下の・にもありますけれども、地方公共団体が社会教育団体に対して補助金を交付しようとする場合は、この社会教育委員の会議の意見を聞いておかなければならないということで、必要的付議がなされておるというのが大きな特徴でございます。
 その他につきまして、黄色いところにありますけれども、組織及び運営に関する事項ということで、これはどちらとも必要な事項は条例に定めるということになっております。
 というのが制度的な建前でございます。
 これら両会議の活動の現況につきましては、さらに1枚おめくりをいただきまして、平成17年、18年度における都道府県生涯学習審議会と都道府県の社会教育委員の会議の開催状況ということで、詳しい資料はそれ以下のA3のところに出てまいりますけれども、概略はこの1枚でございます。それぞれ、ざっと表を見ていただければ概況がわかりますけれども、会議を設置しておる都道府県の数ということでいえば、生涯学習審議会は38、社会教育委員の会議のほうは46でございます。うち知事部局に設置されているものは、これは当然、法律の制約があるわけでございますが、生涯学習審議会はどちらに置いてもいいということになりますので、38のうち5の県が知事部局に設置をしており、社会教育委員の会議のほうは、当然のことながら社教法の建前に従ってすべてが都道府県の教育委員会に置かれているということになるわけでございます。
 平均の回数で見ますと、平成17年、18年のそれぞれ全国平均で1.5と2.9ということになっておりますが、実際に開催をしておるところの平均でいいますと、年間の平均開催数というのは1.3と2.9ですので、あまり遜色がない状況になってございます。18年のほうも見ていきますと、全国平均では1.9、3.0でございますが、開催地平均という形で取りますと、おおむね両方とも3回程度ということになってございます。
 その下、最大の年間開催件数というのは、18年に東京都では12回やり、社会教育会議のほうは17年、18年ともに静岡県が7回ということでトップになってございます。最小開催件数というのは、両方とも年間に1度も開かれなかったところもございます。
 17年以降答申が提出された都道府県数というのは、それぞれ19と33になっておりまして、17年度以降に出された答申の数自体は21と42ということで、大体1対2という割合でございます。
 中身的に何をやっているかということでございますけれども、その次の資料のA3横長のところで、全国の都道府県の状況、どういった検討、答申なり建議なりをまとめているかというのが出ているのが、この2枚紙の表でございます。いろいろありますけれども、例えば一番冒頭の北海道におかれましては、生涯学習審議会では昨年12月に「21世紀の本土をひらく生涯学習推進施策の展開に向けて」といったものがされ、他方、社会教育委員の会議では「家庭の教育機能を高める方策についての提言」ということで、北海道はこういった視点から市町村の取り組みをどう支援すべきかといったようなことが18年3月にまとめられているという例が一つございます。
 その他、いろいろありますけれども、例えば真ん中あたりの神奈川県ですと、これも18年2月になりますけれども、「生涯学習かながわの方向性 生涯にわたる自分づくりと魅力ある地域社会づくり」といったことを審議会でやり、他方で社会教育委員の会議の中では特に公民館に着目し、「子供たちのために今公民館が果たす役割」といった指摘がされております。それから次のページをめくりますと、冒頭、兵庫県では生涯学習審議会では、ことしの3月になりますけれども、「実践に学び成果を社会に生かす生涯学習」といったようなことを言い、社会教育委員の会議のところでは「新しい社会教育のグランドデザイン」といったことが、やはり同じく19年3月にまとめられるといった状況でございます。
 タイトルからでもそれなりの違いなり、あるいは同じようなことをやっているという部分も、各県によってさまざまあるかと思いますが、一例で示しますと、次の資料になります。典型的に生涯学習審議会で何をやっているかということの一つのイメージとしましては、次の資料のA4縦長1枚紙になりますけれども、例えば宮城県の中では第3次宮城県生涯学習振興計画というものを行政的につくっていて、これを生涯学習審議会で議論し、承認をいただいているスタイルを取っております。概要にありますとおり、いろんな時代背景、変化として情報・技術の革新ですとか情報化の進展、少子高齢化等々いろいろなことを踏まえた中で、宮城県の課題として多様な学習機会の提供、生涯学習施設の有効活用、学習情報の発信と活用だったり、指導者・支援者の活用・充実といったような課題が挙げられてございます。
 これらを踏まえまして、こんな施策があるのではないかということで1から4までいろいろございますけれども、例えば生涯にわたる健康づくりの促進ということで健康づくり運動普及事業ですとか、母子保健指導普及事業といったようなこと。2番目では青少年の健全育成ということで、放課後児童クラブ等の活動の促進事業だったり、学校教育にかかわる部分では中高一貫教育の推進事業といったものが掲げられてございます。あるいは、これらにとどまらず、宮城の特性を生かした文化の創造ということで文化創造の風土づくり事業だったり宮城県芸術祭だったりと。4番目として、新たな環境文化創造の取り組みということで、森林環境共生育成事業、あるいは自然エネルギー等省エネルギー促進事業といったものが、いろいろ包括的に挙げられているといったことが、一つティピカルな例としてございます。
 その後、社会教育委員会議の答申の例の中では、山梨県のところを一つピックアップさせていただいております。「変化する社会における家庭や地域の教育力の向上を図る方策について」ということで、基本的なバックグラウンドというものは、先ほど言った少子高齢化や核家族化、都市化といったようなあまり変わらないことだと思いますが、対応する施策として、2パラ目にありますけれども、対応する視点として3点、家庭の教育力の構築、地域社会の教育資源を生かした活動の展開、地域づくりを促進するための環境づくりといったものがありまして、具体的な対応としては、以下の1から11までございます。1のところで言えば、保護者が家庭教育の重要性を認識するための情報や学習の機会づくり、あるいは家庭教育に関する父親の意識の普及・啓発といったこともございますし、その次ではPTA活動の展開といったものもございます。もろもろございますけれども、公民館活動だったり安全・安心で暮らせる地域社会づくりだったり、最後のところでは企業の取り組みの一層の促進といったことで、社会教育に関することが取り上げられているということです。
 概況は、長々と大変恐縮でございましたが、以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、これからいろいろご意見をいただきたいと思いますが、資料1-1、それの1.というところ、(1)から(3)までございます。議論の進め方としては、これに沿ってということでございますけれども、場合によれば飛び飛びということもあるかもしれません。それはその都度、うまく整理していただければと思います。ただ、これからこういう法制の在り方についての主な論点の検討となりますので、なるべく具体的に、このところの指摘されていることについてのご意見をふんだんにいただければなと思いますし、最初に申し上げましたように、法文等々についてはちょっと我々は手が出ないので、こういうことをというようなご意見をいただいていかなければいけないのかなと思います。こういう審議会は基本的にそういうスタンスだと思いますので、そういうところのご意見をしっかりいただきたいと思っております。
 毎度でございますけれども、きょうもこれだけのメンバーでございます。それぞれいろいろご意見もあろうかと思いますので、簡潔に、ポイントをズバッと突いてご意見をいただければありがたいので宜しくお願いいたします。
 それでは、早速ですけど、1の生涯学習の理念と学校教育・社会教育との関係の明確化、これ非常に大事なところでございます。(1)で今度、生涯学習の理念が規定されているわけですけれども、生涯学習振興法、社会教育法、学校教育法等の諸法、これらの関係、どんなふうに整理していったらいいんだろうかというあたりでご意見いただければと思います。特に、そこの下にございますが、「また」ということで、生涯学習と社会教育のそれぞれの行政の相互の関係をどのように整理するかということについても、ご意見がございましたらいただければと思います。
 どうでしょうか、ここら辺から入りたいと思いますが、いかがでしょうか。どこからでも結構です。どこからというか、今の部分についてですね。

【山重委員】
 イメージの図をつくっていただいたのが私には参考になっています。分類としてはこのような分類でいいんだと思っているのですが、イメージとしては、私はどちらかというと社会教育関連法というのが学校教育関連法を内包するようなイメージを持っています。つまり、基本的に生涯学習に対しては社会教育関連法で対応するんだという構造の中で、学校でできることは学校で対応していくとイメージするほうが、イメージとしては私はわかりやすいなと思います。行政的な観点からいくと、結局、学校で対応する部分とそれ以外で対応する部分に分けるのですから、ここに書いてある図として表現できると思うんですけれども、ただイメージとしては、社会教育というのを広くとらえて、その中に学校があるというような形でとらえたほうがいいのかなというのが、ちょっと思っていることです。

【山本委員長】
 どうですか。いいですか。もしご意見があればどうぞ。いいですか。
 清國委員のペーパーは、後でご意見発表のときに使っていただけばいいですね。
 今の点はどうですかね。学校教育と社会教育の関係のところは、何かご意見ございますか。

【讃岐委員】
 あんまりおっしゃるみたいに広くすると生涯学習と一緒にするとまた混乱が起こるような感じがするんですね。今でもそういう状態がちょっとあるような気がするものですから。

【山重委員】
 私自身は、生涯学習というのは学びの需要だと思っています。それをどうやって促進していくか、どうやってみんなに学ぶ意欲をもっと持ってもらうかというのが生涯学習の視点であって、社会教育の問題というのは、そういう需要に対して、どのように適切な教育の機会を与えるかという供給側の問題というふうにとらえています。そういうふうにとらえれば1対1で対応していて、かつ、生涯学習と社会教育の間に極めて密接な関係があるというところが明確になるのではないかと思ったので、先ほどのような形で整理させていただいてもいいのかなと思っていました。

【山本委員長】
 どうぞ。

【菊川副委員長】
 現行の生涯学習振興法についてですが、資料1-1の(3)の2条のところにも、「この法律に規定する生涯学習の振興のための施策を実施するに当たっては」というところで「別に講じられる施策と相まって」という限定が現行2条であって、そして3条で、資料の1-2「生涯学習の振興に資するための都道府県の事業」ということで1項目から6項目まで挙がっているという構成になっています。
 それで、この3条の1項目から6項目なんですけれども、特に2、3、4あたりは社会教育行政の中でもやっている、あるいはやれることであるということ。あるいは、1とか6の広い分野の情報提供とかそういう形は、総合的に提供するという方法もありますけれども、それぞれの分野で提供していっても特段の不都合はないというようなこと等も考えた場合に、現行の生涯学習振興法的なイメージというのは、何といいますか、どうしても社会教育法のイメージと、そのあたりで重なってくるのかなというふうな感じを持っております。
 それで、教育基本法3条に生涯学習の理念ということが規定され、それからまた、資料の図にありますような学校教育関連法、社会教育関連法を下支えする生涯学習関連法という観点からいうと、生涯学習の理念的なものをきちっと言っていただく法律のほうが、現場サイドとしてはわかりやすいのかなというふうな感じを、今のところ持っております。

【鈴木委員】
 いいですか。

【山本委員長】
 はい。どうぞ。

【鈴木委員】
 初めの山重委員のお話のあれでいきますと、この図のところの生涯学習関連法と書かれているものと学校教育関連法ということが書かれている、そこの関連は一体具体的には何であるかという話だと思うんですが、多分、そこのところはあまり考えられてない、現行のものではほとんどないわけですから、そこのところを何か考えると。改正教育基本法のほうでの学校・地域・家庭の連携というようなことなどもあるわけですから、そのあたりのところで何か考えられることが一つあるのではないかということが1つ。
 もう1つは、これは菊川委員のお話のところでもあるわけなんですが、現行の生涯学習振興法の都道府県がやるというようなことは、あれは多分、その前に出た中教審の基盤整備についての答申で、当時は生涯学習推進センターと言っていたので、生涯学習推進センターの仕事として想定されていたものだったのではないかと思うんですが。そこのところが、現行の社会教育法第6条の都道府県の仕事のところと、ダブるわけではないんでしょうが、かなり重なる――重なるもダブるもと同じだと思うんですが、ダブるような感じがして、そのあたりの整理というのも必要なのではないか。
 なるほど、生涯学習振興法というものが都道府県の仕事、実際に地域に根ざしたなんていう言葉で基礎自治体が重要だ、それを技術的にやっていくのが社会的行政の原理だと言われるけれども、実際のところを見てみると、やはり都道府県の力というのは極めて重要な状況にあるわけなので、都道府県の仕事に注目したことは結構なことなんだけれども、それが果たして意味ある形になっているかどうか、社会教育法でも足りるようなことになっているのではないかというようなところがあるので、そのあたりの整理が必要ではないか、そんなふうに思いました。

【山本委員長】
 それではちょっとコメントをさせていただきます。
 最初のところですが、グレーの表紙のもののラベルの2のところで社会教育法が出ていますけれども、社会教育法の第2条の定義で、「この法律で『社会教育』とは、学校教育法に基づき、学校教育の教育課程として行われる教育課程を除く」ということになっているんですね。山重委員のお話は、近代になって、もともと社会教育しかないというか、そんな名前はなかった、そこから近代国家をつくるために学校というものをこしらえて抜いたものですから、そこの部分というのはこうなっているわけなんですね。多分、これはずっと踏襲されるところかなとは思うんですけれども。これを変えろということでやっていきますと、その根拠がどうのこうのという話になってきて、近代から逆行して前近代へ行くのかという話にまでなってくるかと思いますが。
 それから、2番目の鈴木委員から出た話は、ちょうど私はそこにかかわっていたので申し上げますと、社会教育と重なる部分があるんじゃないかというのは、これは不純な部分で後から入ってきたもので、最初は生涯学習推進センターというものをこしらえてネットワーク的なシステムをつくって、その中で必要な機能というので、要は連絡・調整をしていくとか、すべてにかかわる学習成果の評価とかですね。これは学校教育・社会教育にかかわり、さらに他行政のものにかかわりますから、ほかじゃできないというのをこういうところでやるという話だったんです。
 このときは議論が紛糾しまして、前にもちょっと申し上げたことがあるかもしれない――ここでは言っていませんけれども、分科会で申し上げたことがあるかもしれませんけれども、県に生涯学習推進センターをつくるというのは県立公民館をつくるのか、屋上屋を重ねるものじゃないかということでものすごく紛糾しまして、どこか見にいくところがないかという話になりました。ちょうど群馬県で新しい生涯学習センターをこしらえたんですね。つまり、機能中心のセンターをこしらえたので、それを見にいきましょうということで見にいったときに、そこのセンターの管理者から、前の教育長さんですけれども、機能的な部分、新しく生涯学習の視点、観点からいろいろつないでいったり、それから学校教育、社会教育その他にかかわるすべてのところにかかわるような機能はこちらでやるといっても、施設ができてもお客さんが来ないと元気も出ないし、それから行政的な評価でやられてしまうというか、だめになるよという話があって、そういうお客さんが来る部分を入れてほしいという話があったんです。それが今の部分なんです。そのかわり、それは先導的にやるもので、それを地域に下ろしていけばいいのではないかということで入っている部分がございます。
 それで、ここのところはほんとうは生涯学習推進センターって書けばよかったんでしょうけど、その当時の行革の関係で、箱物とか新しい国家資格を入れることはあいまかりならんとなったものですから、中教審で審議していたのを途中でもって変えまして、そこは弱めることになって、これは通牒だか通達だか覚えてないんですけれども、それが別に出ていまして、その中で例えば中教審の答申で言っている生涯学習推進センターをこしらえる、社会教育の施設としてつくっていくことでこの機能を果たせるのではないだろうかというのが入っているというような、非常に入り組んだ複雑な構造になっています。
 以上、ちょっとお伝えしておきます。

【糸賀委員】
 この1番というのは生涯学習の理念と学校教育並びに社会教育との関係という非常に大きなところで、まだ、正直言って私自身、頭の中がきれいに整理できているわけではないんですけれども、今ご指摘があったような学校教育や社会教育との関係については、今、山本委員長が言われるように、学校教育と社会教育はちゃんとすみ分けがあって、それ全体を生涯学習という観点から生涯学習の体系にどうやって再編していくか、取り込んでいくかという視点で、私もいいんだろうと思います。
 ただ、きょう配られた資料で絵になっているものですね。わざわざご丁寧に右上に暫定版と銘打った上で、さらに一番下には、これは生涯学習、社会教育、学校教育との関係を示すものではないと。あくまで法律の関係を示したものであって、実態としての生涯学習や社会教育、学校教育の関係を示すのではないというふうにわざわざご丁寧に断り書きを入れていらっしゃいます。
 ただ、そうはいっても、法律がこうであれば実態もおおむね、私はこういうふうな位置づけでいいんだろうと。ただし、もちろん、山重委員が言われるように、学校教育と社会教育はかつて以上に連携を強めるといいますか、友好関係というのはつくっていかなくちゃいけない、それは間違いないだろうと思います。
 ただ、法改正ということに関連して申し上げると、今の生涯学習振興法の中で具体的な社会教育施設の在り方についてはほとんど書かれていない。先ほど説明があったように、どちらかというと都道府県における生涯学習計画だとか、あるいは生涯学習の振興を考える審議会の在り方について書かれているだけであって、具体的な個々の施設ですね。つまり、社会教育関連法の中で例えば社会教育法、図書館法、博物館法ということを考えたときに、そういった施設についての個別法がある。さらに言うと、社会教育法の第9条の中には、博物館、図書館は社会教育のための施設というふうにうたっているわけですね。しかし、じゃあ、生涯学習のために公民館や図書館や博物館が何をやるかについては、実はどこにも書かれていない。これは今度、仮にですよ、生涯学習振興法を改正するのであれば、その辺の具体的な施設図書のかかわりについては明記していく必要があるのではないかと思います。
 この生涯学習振興法が制定されたのが平成2年。実にもう17年ばかりたつわけですが、この間の中での大きな動きはやはり地方分権なんだろうと思います。もちろん、市町村合併というのはかなり現場にとっては大きな影響をもたらしていますが、制度上はやはり地方分権。そう考えたときに、これからの生涯学習の行政単位としての担い手は都道府県というよりは、やはり市区町村ということになっていくのだろう。市区町村の中での個々の施設について、生涯学習体系の中でどのように位置づけられるのかについては、この生涯学習振興法の中で明記していく必要があるのではないかと思います。かつてのものはあくまで都道府県についての役割しか明記されてなかったけれども、地方分権の趣旨に立てば、それは市区町村の公民館、博物館、図書館の在り方についても――どう法律の条文に書くかはともかくといたしまして、何らかの形で触れる必要があるのではないかと思います。
 それからもう1点、現行の生涯学習振興法の第2条。先ほども紹介がありましたけれども、この中で「学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するよう配慮するとともに」と、ここまではいいんですが、この後に「職業能力の開発及び向上、社会福祉等に関し生涯学習に資するため」と、ここだけ例示が明記されている。これは当然この時代、平成2年のころの時代背景を映したものだ。ほかの省庁の政策、特に当時の通産省、今で言う経済産業省のことがこの条文の中に随分書かれております。そのような時代背景があったんだろうと思いますが、逆にこうやって例示をすれば、それ以外のことについてはどうしても優先順位が下がるような気がいたします。
 今の時代に、もちろん職業能力の開発、これも必要ですけれども、例えば団塊の世代が地域に帰ってきて地域の中でいろいろ活動すると。そういうふうな、もう少しコミュニティー活動みたいなものを重要視するという視点も必要だろうと思いますね。つまり、例示をするということは、相対的にそれを浮かび上がらせるわけなので、ほかのものが、ややもすれば埋没してしまう可能性がある。
 そういう意味では、これからの時代にあえて職業能力だとか社会福祉といったことを明示する必要があるのかどうか。あるとすれば、もっとほかに明示するものもある。それを優先順位で考えるよりは、ここの場合にはもっと総合的な生涯学習の推進ということだけをうたえばいいのではないかという気もいたします。私自身不勉強で、なぜ職業能力や社会福祉がこのときに明示されたのかについては、必ずしも正確に理解しているわけではありませんけれども、これからの時代を考えた場合に、もう少し幅広く考えたほうがいいような気がしております。

【山本委員長】
 はい。大事な点なのでちょっとご意見を伺いたいんですが。これは確かに暫定で、急いでやったものですから都道府県のことしか言ってない。そのときの弁明は、市町村は社会教育法がある、それから市町村の状況があるので審議会をつくれといったって、できるかどうかわからないとか、いろんなことがあってそのままになっていますけど、今のお話で、やっぱり市町村まで下ろすべきというようなご意見がありましたけど、その辺はどうでしょうか。つまり、都道府県だけじゃなくて、市町村まで生涯学習のことは下ろしていくべきだという、これは大事なポイントだと思うんですけれども。

【土江委員】
 先ほど糸賀委員がおっしゃったように、やはり市町村まで具体的に落としていくということは非常に大切なことだということです。
 私も振興法の改正に期待しているところでして、特に5条等でも学校教育との関係も社会教育というのをうたっているんですけれども、まだまだ、特に学校教育との連携とかそういう部分は非常に弱かったんじゃないのかなと。ですから学校教育、社会教育、また家庭教育にも踏み込んだ中で、この振興法によって横の連携を深めていくということは極めて重要なことじゃないのかなと考えます。

【山本委員長】
 これは、もしそういうスタンスで検討してもらうとなると、大きな変更点になると思いますね。

【興梠委員】
 今のに関係することですけれども、私は上野の国立社会教育研修所から頼まれて、今、市町村で文科省が新しく始めた放課後児童プランに関する助言だとかお話に地方へ行っているんですけどね。実際、これよく考えてみると画期的なことで、学校教育施設というものに、ある面では社会教育がそこに入り込んで、学校教育施設を活用しながらそこで社会教育をやっていくという分野が、実際起こっているわけですね。
 そうしますと、1つは、いわゆる社会教育施設というイメージは現行の法律でいいにしても、生涯学習という観点から、学校教育に関係する施設ももっと含んだ上での生涯学習という概念があっていいんじゃないかというのがあるのと、今のお話のとおり、市町村ではもう具体的にそういうものが起こっているわけです。実際に事業として行われているし、国もそれを奨励しているわけですから、それに合わせた形できちんと法律もやるべきじゃないかと思います。

【山本委員長】
 清國委員。資料もついでにしていただけると。関連する部分ですが。

【清國委員】
 関連あまりしないのですけれども。

【山本委員長】
 じゃあ、後ほどで結構です。

【清國委員】
 今までの議論の中で、私自身は、どこまで具体性を持たせるか、市町村まで下ろして明記する必要があるか、というところについては確信を持てていません。地方分権の流れの中で、本当にそこまで踏み込んだ内容を振興法に書き込んでいいのかについては整理できていません。けれども生涯学習の理念がおぼろげであることは間違いないので、整理する必要はあろうかと思います。
 生涯学習というのは、ある意味、広義の教育の定義に通じていると思います。つまり、生涯学習は究極には学習環境の整備であり、教育的な配慮の行き届いた社会をつくっていくということだと思います。その姿は学習社会であったり、教育社会であったりということなのかもしれません。学習社会、教育社会と、言葉はどちらでも構いませんが、過去の経緯から考えますと、教育社会には抵抗がもたれるのかも知れませんが。
 教育というのはどちらかというとサプライサイドの視点であって、学習というのはデマンドサイドの視点でしょうから、その辺をうまく整理する必要があると思います。最終的に、学校教育も、社会教育も、より広い学習概念をも大きく包み込んでいくような、そのような考え方というか理念が生涯学習になろうかと思います。まずもって、社会教育との区別がつきにくい状況に対して、また学習概念を整理するような文言を検討して、法律の最初の条文に入れ込むことが必要ではないかと思います。その後に、具体的なものをどこまで入れるのかを検討する。市区町村まで、あるいは施設まで含めて書き込んだほうがいいのかというのは、ちょっと今、判断しかねているところです。基本的な理念を整理することについてはみなさんと同じ意見です。

【山本委員長】
 ありがとうございました。どうぞ、井上委員。

【井上委員】
 今のお話で、生涯学習振興計画の中に市町村まで定義するということは非常に私も賛成なのですが、ただ、市町村の状況を見ると、ほとんどの市町村で生涯学習推進計画がつくられている状況だと思いますので、市町村まで定義した場合に、市町村でどのような変化があるかということを整理する必要があると思います。それと、社会教育が生涯学習に埋没してしまう可能性があるので、その分、社会教育の定義を一方できちんとする必要があるのではないかと感じました。

【山本委員長】
 はい。ありがとうございました。どうぞ。

【山重委員】
 私自身は、本来は生涯学習関連法と社会教育法というのは、先ほど申し上げたように需要サイドと供給サイドの話なので、本来、一本化して議論するほうがいいのではないかと実は思っています。ただ、それは相当大きな改正になってしまうので、そこまでは多分、現実的には望ましくないんだろうなというのが基本的な視点です。
 それを踏まえた上でですけれども、今、例えば市町村にまで生涯学習への対応というのを求めると、また市町村が社会教育との関連で混乱してしまうのではないかという印象を持っています。本来、同じことの裏と表なので、1つのところで対応すればいいんだけど、それをまた生涯学習も市町村でもやってくださいというようなことになると、対応が逆に混乱してしまうところがあるのではないかというような気がしています。それよりはむしろ、基礎自治体に関しては社会教育ということで、私は、これは具体的なアクションプランを伴う中期計画とか、アクションプランを伴うような計画を策定すべきものだと思っているんですけれども、それを市町村ではやってもらう。むしろ学びの意欲を持ってもらうというような観点から、都道府県レベルで広域的に少し生涯学習という観点に重心を置いた行政をやっていただく。そのようなすみ分けは、ある程度混乱を避けるという意味で、一つのやり方かなという印象を持っています。
 機能としてどういう役割を果たすべきかということに関しては、市区町村で生涯学習を促進し、振興し、それからそのための社会教育の仕組みをきちんと整えていくということは当然のことだと私は思うんですけれども、法律とか仕組みとかということを考えたときに、生涯学習の中にも市区町村の役割を持ってくると、やや混乱させてしまうのではないかという印象を持っています。

【糸賀委員】
 私、先ほど生涯学習振興法の中で、地方分権も踏まえて市区町村の生涯学習の在り方についても触れるべきではないかと申し上げたのは、市区町村における学校教育や社会教育を生涯学習体系の中に明確に位置づけてあげるということなんですね。社会教育そのものが埋没しちゃうんじゃないかというご懸念も今ありましたけれども、私は別に、社会教育を生涯学習に置きかえようとかというつもりは全くないです。このイメージ図どおりでして、学校教育は学校教育として現に存在する、一方、社会教育は社会教育として現に存在する。それらを包含するように生涯学習体系ということが言われているわけなのだから、その生涯学習体系の中に市区町村の社会教育がどう位置づけられるのか、そして生涯学習審議会のようなものを都道府県だけではなくて、今後、政令指定市なり市レベルでつくっていったときに、そこの中で学校教育と社会教育のすみ分け、そして融合、連携、協調、パートナーシップというふうなものをちゃんと位置づける。そういうふうにすることによって、むしろ学校教育と社会教育のそれぞれが、生涯学習という最終的な目標に向かってどのように走ればいいのかが描けるんじゃないかと思うんですね。
 そういう意味で、繰り返しになりますが、社会教育を生涯学習に置きかえようというのではなくて、ちゃんと社会教育を市区町村の生涯学習体系の中に明確に位置づける。それを奨励するようなことを、法律として書き込むべきではないかというふうな趣旨です。本来なら、こういう条文をというふうな具体的なところまで提言できればいいんでしょうが、まだそういう準備もきょうのところではできておりませんので、先ほどのような表現をとりました。
 それから、関連してもう1つ、先ほどの事務局の説明でお尋ねしたいことがあるんですが。都道府県生涯学習審議会と社会教育委員の会議、これの役割分担といいますか機能分担なんですけれども。1つは、単純にこれ委員の重複というのはどれぐらいあるんだろうかということ。それから、先ほど宮城県と山梨県の例が出ておりましたけれども、表を見ますと、宮城県の場合には生涯学習審議会と社会教育委員の会議が両方置かれている。この場合、それぞれに答申とか報告のようなものが出されているんですが、それの内容的な重複はどうなんだろうか。一方、山梨県のほうは生涯学習審議会はないんですね。これ社会教育委員の会議だけである。したがって、ここではなぜ生涯学習審議会が置かれていないのか。特に私は委員の重複と出された報告書の重なりといったところが気にはなりますので、もしも事務局のほうで確認できていればご教授いただきたいと思います。

【山本委員長】
 よろしいですか。

【濱口民間教育事業振興室長】
 今のところ、全国津々浦々見た中の詳細なデータは、実は持ち合わせておりません。ただ、いろんなところでいろんな機会に聞くと、必ずしも完全に重複しているというよりは、それぞれはそれぞれ存在していて、委員もそれなりに分けているというふうには聞きます。ただ実際に、定量的なデータが今はないので、それはあればまた別途、お示しをしたいと思います。
 その関係で、内容部分も一応いろんなものは拾ったりするんですが、今、全部ここで提示ができません。基本的に、社会教育委員の会議ですから、生涯学習の理念を踏まえた上での社会教育の在り方、あるいは社会教育としての家庭教育支援のようなものは社会教育委員の会議で提言していますけれども、生涯学習審議会のほうはそれも含め――場合によっては含めですが、もろもろのことを言っているというのが一般的なイメージだろうと思います。

【山本委員長】
 高橋委員、どうぞ。

【高橋(守)委員】
 では、新潟県の状況をお話しさせていただきます。新潟県の場合は生涯学習審議会と社会教育委員の会議と完全に分かれております。メンバーも完璧に違います。どちらかというと現行法にのっとり、生涯学習振興に関する答申ないしは生涯学習に関するプラン立案等に関しては完全に生涯学習審議会で行う。それから社会教育委員の会議は、どちらかといいますと県全体の地域課題とか、県が抱えている大きな問題、解決していかなければならないものに焦点付けて審議をして、方向付けていく。
 したがって、社会教育委員の会議で揉んでおりますことは、生涯学習審議会で進めている中の一角を占めているというような構造でここ数年やってきているという状況ですが、全国津々浦々がそういう状況ではないということを、今日、一覧を見て認識したりしたところです。
 少し先ほどの話に戻させていただきまして、市町村レベルで今一番混乱しているのは、やはり生涯学習や生涯学習推進と社会教育というのはどう違うのだということです。かぶっているものがたくさんある。単純に言うと、生涯学習関連施設と呼んでみたり社会教育施設と呼んでみたりしているという実情は、糸賀委員が先ほどおっしゃった問題点と非常に重なるところだろうと思うので、そういう意味では、これから恐らく生涯学習振興は市町村レベルでかなり配慮されていかなければならない問題を持っていると思います。
 特に私は学校、家庭、地域、それに、この前から非常に考えさせられているのですが、ワーク・ライフ・バランス。これはまた後で申し上げさせていただこうと思ったのですけれども、この問題に少し切り込んでいかないと、地域というのはちょっといい方向に行かない。企業に勤めるお父さんたちがどう地域とかかわっていくかという問題などを抜きにしては、今、考えられない状況に来ているのではないかなと。
 ということを考えますと、生涯学習というものの振興と社会教育の課題をきちんと整理しながら、糸賀委員がさっきおっしゃったような視点で少し進めていくほうが、私はいいのではないかなと、今、感じております。

【鈴木委員】
 よろしいですか。

【山本委員長】
 どうぞ。

【鈴木委員】
 ちょっと戻ってしまうんですが、生涯学習、糸賀さんのことで思うところがあるんですが。この法律が生涯学習振興法であって、文部科学省の所管の法律であるということは、多分、そこに置かれている会議だから意識しなきゃいけないんだろうと思うんですね。生涯学習全般ということであるんだったら、生涯学習の支援は別にどこの省庁がやったっていいわけだし、民間の営利的な企業だろうと何がやったっていいわけです。それを教育行政としてどうやるかという話なわけなので、生涯学習の支援を教育という形でやっていくのだという話でしかないのですよね、ここで考えようとしているのは、多分。
 生涯学習の支援を教育でというのはどういうことかというと、生涯学習の支援を教育という形、社会教育という形、図書館でという話になる。生涯学習の支援を別のことでやっていって、図書館じゃなくて本屋さんがやるということはあるわけですね。本屋さんは教育をやっているわけじゃないですから。それが我々は考えないのだという話でいくしかないわけじゃないですか、ここで。いくとしたら、教育で、社会教育で、図書館でというところの中で、この間の会議のときに横浜の方の話がありましたね。図書館の中で本を売ってもいいかというと何か変な話なんだけれども、フェスティバルみたいなことを一緒にやってもいいかと。そういうようなほかのところとの連携をどういうふうにつけるか。教育の中でほかのところの、営利的な企業もそうだし、他省庁の行政もそうで、それとどういうふうに関連をつけていくのか。教育の中味では、家庭教育、学校教育、社会教育のそれの連携をどういうふうにするか。ほかのところとどういうふうにするか。そういうようなところで生涯学習の振興ということを考えるというのが、法律をいじってというか、抜本的に考えるときのキーになるのではないか、そんなふうに思うんですけどね。

【山本委員長】
 どうぞ。

【菊川副委員長】
 確かにそうだと思うんですけれども、一方で地方レベルでなぜ混乱しているかというと、職員は行政職員なので、いろんなところを経験しての行政職員だと思うんですね。ですからそういった意味で、法律ができたときに、これは例えば生涯学習振興に関する法律といったときに、文部科学省が提出した生涯学習に関する法律であるというふうな読みとりは、恐らくしないと思うんです。
 そういう観点から言うと、先回の会議のときに佐々木先生が、教育行政は教育を真の目的とする行政で、一般行政は結果的に教育や生涯学習振興につながり得る施策を実施し得る行政であるという話をなさいましたが、その2つが生涯学習振興行政の中にまじってきていると思うんです。だから、まじってきているので、そのまじってきているというのをどういうふうにわかりやすく整理するかということだと思います。
 さらに言うなら、まじってきているので、それをするかしないかの判断というのは、地方によって随分違いが出てくると思うんです。先ほど高橋委員さんがおっしゃったように、するかしないかの最終的な判断をするのは首長や議会ですので、例えば、結果的に教育や生涯学習振興につながり得る一般行政というのはたくさんあるし、そこを振興していかないといけないんですが、それを教育を真の目的とする行政と一緒にして総合的に振興・管理しようとするかどうかというところは、各地域の判断だと思います。そういう各地域の多様な実情を踏まえて、それを全体として整理をして、そういう意図があるところを後押ししてあげるような仕組みが要るんじゃないのかなと思っているところでございます。

【山本委員長】
 はい。どうぞ。

【土江委員】
 今の菊川副委員長さんのおっしゃったとおりだと思います。先ほど高橋委員さんからありましたように、市町村としても私どもとしても非常に混乱している部分もありますし、また市町村としては、例えば一般行政、それから教育行政、それぞれ異同等もありますので、そういう中できちっとした形で整理していく、そのための仕組みというのはとても大事ですし、それは市町村の独自性があってもいいんじゃないのかなと。
 私は勝手な解釈をしているんですけれども、基本法が出たときに、教育基本法の中にしか生涯学習の理念というのが規定されてないということで、教育という一つのとらえ方というのが重要じゃないのかと。学習を支援するのが教育というふうに考えたときに、生涯学習行政と社会教育行政の相互の関係というか、ありますけれども、この関係の中で生涯学習というのは主役がだれなのかというときに、市民じゃないのかなと。市民がさまざまな機会で学習し、それが正しく評価されていく、そういう社会をつくっていく。これは市民がということ、それから社会教育行政については行政がということ、ここら辺をはっきりした場合に、学習を支援するのは教育ということで、教育行政がしっかりと支援していく。そうしたときに、一般行政等ではさまざまな機会があったり、あるいは提供されたりして、いわゆる生涯学習の振興であるとか推進はされるわけですけれども、その大部分というかその中核部分を支援しているのが社会教育行政という形で、今後、整理していきたいなと考えているところです。

【山本委員長】
 ありがとうございます。

【山重委員】
 糸賀委員と多分、基本的な考え方、認識が違うので、そこですれ違いが起こっているのかなと思っているんですけれども、私はずっと社会教育法の2の第2章のところにこだわっている。つまり、ここで社会教育が明確に定義されていて、この法律で社会教育とは、先ほども委員長が読まれましたけれども、「学校教育法に基づき、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動」と定義されている。組織的な教育活動というのを守備範囲にしているんだというのがこの法律ではないかと思います。
 そういう観点から2点申し上げたい。まず、先ほど申し上げたこと、あるいは山本委員長がおっしゃられたことと対応するのですが、最初に社会教育というのがあって、そこから抜かれる形で学校教育というのが出てくるというふうに法律がつくられていることです。したがって、イメージとしては――あくまでもイメージですけれども――二本柱ではなくて、社会教育というのがあって、その中に抜かれた部分として学校教育関連法があるんだと考えられます。客観的に見るとそれは二本柱になっているわけですね、学校教育と社会教育。その仕組みはここに書かれている図のとおりなのですが、あくまでイメージとしては、やはり生涯学習への需要に応える組織的な教育活動として社会教育をとらえる。社会教育の領域は学校の近くまで行っているんですよというイメージを持つのが、やはりいいのかなということです。法律を変えるわけではなくて、イメージを、さっき言ったような形で持つことが大事じゃないかなというのが1点です。
 もう1つは、そういう広い形で社会教育というのをとらえると、それが生涯学習への対応という形につながっていくということです。その点で混乱があるとすれば、多分、認識に混乱があるためで、きちんと整理できることであるような気がしています。
 まず、社会教育に入らないで生涯学習に入るということがあると思います。例えば旅に出るというようなことは、そのプロセスでいろんなことを学んでいくという意味で生涯学習に入るわけですね。ただ、それに対して社会的な教育活動を行う必要があるかというと、そうではないでしょう。この点は糸賀委員と同じなんですけれども、生涯学習というのがベースになっていて、それに対してどうやって組織的な教育活動を社会で提供していくかというのが社会教育の部分だと思います。生涯学習を振興していこうという観点から、旅に出るということを振興すべきかどうかというのはちょっとわかりませんけれども、そういう社会教育にかかわらないものまで含めて生涯学習を振興していくという政策は考えられます。
 当然、社会教育にかかわる組織的な教育活動も生涯学習を振興する上で重要になってくるわけですから、生涯学習の振興に関する審議会が、社会教育をつかさどるところに対してもきちんと要望なり、提言なり、評価なりをしていくということは重要です。逆に、社会教育をつかさどるところが生涯学習の振興計画をつくる審議会に、こういう計画を立てたんだけれども、それはいいかと問うような関係づけができるような気がしています。
 生涯学習の問題というのは学び者の立場に立って、国民一人一人の立場に立ってどう学習を促していくかであり、社会教育の問題というのは、どうやって組織的な教育活動を整備し、生涯学習の促進に貢献していくのかということを扱うような問題だろうと私は思っています。
 その意味では、現行の法律は比較的よくできていると思います。ただ、ちょっと微修正みたいなものが必要なような気はしているんですが。そういうふうに私は生涯学習と社会教育を位置づけているので、もし共感していただけるとありがたいなと思っています。

【山本委員長】
 どうぞ。

【糸賀委員】
 この小委員会の上に親委員会もありまして、親委員会でもいろいろと議論して、いつも委員の方々がそれぞれ意見を述べるだけで、なかなかかみ合った議論になってなかったんですが、きょうは、そういう意味では大変かみ合った議論ができて有効だと思うんですが。
 今、山重委員が言われたようなイメージに関しては、程度の差はあれ、私も同じように考えております。ただ、学校教育と社会教育で、いわばはみ出した部分というんですか、生涯学習ということを考えた場合に、学校教育や社会教育の枠だけでおさまり切れないものが当然あるわけですね。これは何回か前のこの会議でも私申し上げましたが、むしろこれからの時代を考えたら、学習する人が主体的に学ぶ。つまり教育主体があって教育客体があるような関係の学習より、むしろ学習主体しかない、だれか教えようとする主体がいなかったりあいまいだったりするような学習形態のほうが増えていくだろうと。これは私、そう思っています。そういう意味では、きょうのこのイメージの中で、たまたま法体系の関係を示すから学校教育を1つの枠でくくり、社会教育も1つの枠でくくり、その外側に生涯学習関連法という位置づけになっていますが、学習の実態からすれば、社会教育と学校教育の間はむしろ重なりがあったり、点線だったりするわけですね。さらに言えば、その枠におさまらない生涯学習が今後、さらに量的にも質的にも増えていく、充実、拡張していくだろうと思います。
 先ほど鈴木委員が言われたように、そう考えると、それをやるのは教育委員会所管だけではなくて首長部局であったり、あるいは民間の事業者だったりするわけですね。私は、生涯学習振興法を――仮にですよ、改正するのであれば、そういう首長部局や民間で行われているものについても言及し、それらを位置づけてあげて、それぞれが主体的に動きやすくする。それがむしろ地方分権なり、あるいは官から民への流れといったものを後押しすることになるのだろうと思います。
 ただ、現行法規ではそういったことがあまり書かれていない。さらに言うと、さっき申し上げたように、市町村の役割についても触れられていない。あまり書き込むと、これはむしろ法律で、市町村の生涯学習かくあるべしのようになっちゃうから、そういうつもりは私は全くありません。ただ、どういうことを市町村が生涯学習として考えていかなければいけないのか、それについては後押しするようにこの振興法の中で触れてあげるべきだろう。あくまで地方分権ということは尊重する。それで主体は学習者であり、地域、市区町村です。それを奨励するような法律が、まさしく生涯学習振興法の在り方じゃないか。こういう意味で発言させていただきました。

【山本委員長】
 ありがとうございます。高橋委員、どうぞ。

【高橋(守)委員】
 市町村が取り組み易しという方向に配慮し、要するに、非常によくわかったという形をつくっていくためには、私はやはり、しっかりと教育基本法ができて生涯学習の理念が提示されており、この生涯学習の理念というものをどう落としていくか、どう市町村のレベルに見えるようにして、イメージできるものにしていくかというのが、すごく大事な仕事なのではないか、それが法体系の基本にあるのではないかなと思っています。
 そういう意味では、「あらゆる機会に」とはどういう状況なのか、あるいは、「あらゆる場所において」とはどういう状況なのか、それから「自己の人格を磨き豊かな人生を送る」というのをもう少し突っ込んで言うと何なのかという問いかけがあると思うのです。あるいは、「その成果を適切に生かす」というのがどういうことなのか。その辺をせめてイメージできるようなところに落としていけるといいなということです。いろいろ読んでみますと、中間報告の中に、今後重視すべき5つの視点というのが明確に出ています。キーワードだけ申し上げますと、人間力の向上、成果を生かすという視点では公共の視点の重視、成長段階に即した選択肢の提供、あるいは実社会のニーズに生かす多様な学習機会の提供など、これらの視点もかなり踏まえながら法制度を考えていってもいいのかなというふうに考えております。

【山本委員長】
 ありがとうございます。今の点も含めて。
 先ほど土江委員が言ったことは、ずばり言ってるんですけど、社会教育行政の今後の在り方の答申では、まさにおっしゃったように、学習を支援するのは教育だと。その中核を担うのが社会教育行政だというようなことを言っているわけですね。
 そこは議論もいろいろあったんですけど、一番最初に糸賀委員が言ったので1つ残してあるんですが、何かというと、資料1-1の(3)の中の、職業能力の開発とか福祉、これに関して生涯学習に資する別の施策があるわけですね。これはご存じのようなことで、先ほどちょっと事情があるとおっしゃっていましたけど、実はこの法律は産業省と文部省が結んだわけですね。それで各省庁に了解を取りにいったらものすごくやられて、全部課長が念書を取られたんですよ。その中でも重要だというのは、これは法律の中で入れざるを得なくなって、それで厚生省と労働省のが入っているというだけのことなんです。
 ですからさっきお話しのように、これは全部にかかわるというので総合的に書いちゃうか、それとも関係するところを全部並べるのかとか、そういうことがあると思うんですね。
 それは今のお話が出てきたので議論していただきたいんですけれども、そういうほかの省庁でやっているのも生涯学習に資する施策であり、教育訓練と言っているわけですね。それと学校教育と社会教育というのがありますから。それに絡んで、今の教育委員会はどうなんだという問題が出てくるわけですね。そのあたりご意見をいただいておくと非常にありがたいんですが、いかがでしょうか。どういうご意見でも結構ですけれども、どうぞ。

【高橋(守)委員】
 今のお話は、どちらかというと市町村レベルを意識されたお話かと受け止めました。
 やっぱり実情はまさにそのとおりで、委員がこの前おっしゃったように、学校教育委員会という呼び名があるとおり。問題は社会教育委員の会議、ないしは公民館の運営審議会というものが教育委員会をどこまで通過しているのか。つまり、社会教育課の中で、あるいは生涯学習課の中で事が進んで処理されていくことが多い。学校教育、社会教育両方に踏み込んでいかなければならないであろう教育委員会の中に、なかなか入り込んで浸透していかないという現実が全国的にはかなりあるんじゃないかという危惧を私も持っております。社会教育委員の会議でいろいろと練った内容が、きちんと教育委員会の中で重要な案件としてどこまで扱われていくか、バランスよくいっているかというあたりが、問題としてあるのではないかということです。

【山本委員長】
 なるほどね。その辺、とても大事なことで、もしご意見があれば。どうぞ。

【興梠委員】
 私の経験ですと、今50代ですが、20年ぐらい前に東京都の社会教育委員を4期8年やったんです。最年少だったんですが。その後、今度は生涯学習審議会の委員をやったわけです。4期8年、たしか天城議長だったと思いますが、おまえたち書けというので、若手で全部の答申の原文を我々書いたんです。随分勉強になったんですが。しかし、何一つそれで実現されたものはないんです。その後、生涯学習審議会の委員もやりましたけれども、何一つ具体性のあるものが出せなくて、しかも、やった結果、その違いもわからない。いわゆる学校教育に踏み込んだ議論はできない。その実態をあらわしていると思うんです。
 ですから、生涯学習審議会そのものの在り方――社会教育はちょっと置いておいて、そのものの在り方というのはかなり強い関心があるわけです。その辺はきちんと議論しておくべきではないかと思いますけど。

【山本委員長】
 そうですね。じゃ、順番で清國委員から。

【清國委員】
 失礼します。社会教育と学校教育、両者の連携・融合といった場合、圧倒的に学校教育のほうが課題といいますか、融通がきかないといいますか、そんな関係ではないでしょうか。それは学校が制度としてかっちり定まっているのであって、どうしても社会教育が踏み込んでいけるところが領域的に少ないというのがあると思うんです。一方で、今現実に起こっていることで、不当な要求をしてくる保護者に対してどのように学校が対応していかなければならないのか。つい先日の新聞を見ると、教育委員会や何か第三者機関をつくってそこで対応するというようなことも出されていました。そうすることは問題を制度化することにつながります。起こった問題はそこに託してしまって、学校の中で予防するようなことはしなくなります。対症療法で、出てきた問題に外部機関が対応することで、結果的に学校自体に力がつかないということが起こってきます。
 話が広がりますが、例えば授業参観があったその後に必ず学級PTAがあります。私もよく出るので実感があるのですが、それが形骸化しているというか、出てきた人たちがめいめいに普段感じていることを発言して、一周するとチャイムが鳴って終わっていくというんですか、不完全燃焼なんです。そこの中でワークショップなどを挟んだらいいのにと思ってしまいます。子供たちその時期時期に応じた問題を取り上げたり、家庭で関心をもたれていそうな問題を取り上げて、学校の教員がワークショップを通じて保護者相互の交流を図ったらいいのではないかと。家庭に入っていって、親の指導をすることは難しいですが、学校に出てきている人たちに対して効果的に話し合い活動をするのは大切なことではないでしょうか。もっとも、不当な要求をしてくる社会化されていない親たちはそこには出てきはしないんですが、でも一方で、出てきてくれるマジョリティの社会化を支援する機会を学校が設けていければ、保護者も変わっていくんではないでしょうか。学校も保護者の行動を予防しようとするなら必要なことでしょう。そこに社会教育や成人教育のノウハウが生かせるわけですし、実際にそういう動きも出てきています。
 そういうふうになると、社会教育の存在自体も学校に対して高まることになります。子供たちに対しては、圧倒的に学校の方が経験豊富ですし、まずもって学校のテリトリー内ですから、社会教育が踏み込んでいくといっても限界がある。そうしたら、学校がほんとうに今問題を抱えている保護者のところに社会教育が貢献できるというふうになれば、事態は随分変わってくるのではないかと思うのです。そのようなことを見つけ出していくということが、学校と社会教育のより踏み込んだ関係づくりにおいては重要ではないかなと思っております。
 それと、私が作った資料、十分な時間をかけるにはいたっておりませんが、参考程度に3枚物の資料をつくってまいりました。2枚目のところの4)と2の1)あたりが、今までの話に関連するかなと思います。
 生涯学習というのを総合行政として考えるというのは、学習者の視点に立てば、提供者はあまり関係なく、学習機会はすべて生涯学習と受け止められるということです。でも、一方で、学習に一番近い概念は教育ですから、受け止め方としては現実的には教育行政というふうな認識にしかなっていないと思うんです。市町村においても県においても、そういうのが現実だと思います。でも、生涯学習が総合行政を目指す意味というのもあるだろうと思います。市民社会とか市民の成熟とかいうようなめざすべき状態が言われるわけですが、世の中の変化はさまざまな問題を引き起こしています。個人主義で利己的な現代人が本当に公共の担い手になれるのかというと、とても怪しいわけです。
 教育社会という言葉は一般には抵抗を持たれる方もいらっしゃると思うので、教育的な配慮に基づいた社会と置き換えてみます。そんな社会をつくることが重要になってくるのではないでしょうか。その観点からいうと、行政の体質改善も含めて、生涯学習、実は教育社会の実現が、大きく世の中を変えていけるのではないかと思うのです。その考え方が行政全体に広がることが大切ではないかと。
 あと生涯学習審議会と社会教育委員の会議の違いについて述べたいと思います。ここにイメージ図でお示しいただいているんですが、委員構成からみた私の感覚になりますが、社会教育委員の会議というのは、比較的当事者を中心とした構成になっているということです。婦人会や青年会、子ども会等の社会教育関係団体などですね。ですから、計画や提言をつくるにしても、自分の団体もそれに応えなければならないという意識が強く見えます。生涯学習審議会のほうは、実際に自分たちがやるということではなくて、大所高所から、あるいは行政の全体の計画の中で生涯学習をどう位置づけたらいいかというような審議をして、提言をしていくというような形になるかなと思います。
 1人が長くしゃべってもいけませんので。あと、先ほどの何を並べるかというところで、コミュニティ政策と社会教育の関係が非常に密接になってくるだろうということを感じているということだけ述べて、後からでも何か話題になったら触れさせていただこうと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 今までずっと議論してきていただいて、生涯学習のイメージはみんな違うんだと思うんですが、きょうはいろいろ、生涯学習の支援だとか生涯学習の振興というふうにして、生涯学習というのは学習者がやることだというようなことでお話が進んでいたり、とにかく多義的ですよね。教育という言葉が多義的だというのと同じで、生涯学習もその中に振興、推進とかそういうのも入っていれば、学習者の学習だけを言う場合もあるしいろいろなんですけど、それは使い方がみんなまちまちですから、こちらがそのコンテクストを理解すればいいと思うんですけど。
 いずれにしましても、これから諸関係の法をつくっていくときに、生涯学習関係の法というのはどこを範囲にするのかというか、何を中心にするのかというのは、大事なところかと思います。お話を伺って、はみ出すところもたくさん出てくる。それから、学校教育、社会教育、その他すべてに共通するところというのがあるでしょうというのが、最初のころ、平成2、3年ごろに出ているんですね。そのころには要するに臨教審の影響がありまして、社会教育という言葉を消して全部生涯学習にしてしまえというのがあったんです。それの流れが強いものですから、そこから混乱が起こっているわけです。しかし、それはその後、生涯学習というのを生涯学習の推進とか振興というような言葉をつけて、それは幅広いんですとした。学校教育も社会教育も生涯学習を支援するということでいえばそうだし、ほかのも入って幅広いものだというふうにしていったけれども、これは実際には市町村にまで浸透してないということなんじゃないか。
 それでもう1つ、やはりお考えいただきたいのは、今のままの振興法の中で、地域基本構想がありますね。これで見ていただくとわかるんですが、生涯学習振興法のところの、長いというか非常に大きな部分。第5条からですけれども、地域生涯学習振興基本構想というのがございますね。これが経産省とのかかわりであるんですけれども、実際にはこれはほとんど生きてない。
 たまたま広島県でこれをやろうとしたんです。それで振興室を設けて動いたんです。そのときに文部科学省から担当の室長が行きまして、これは民間の活力を使おうということで企業を回りましたが、振興室と言うと、おたくは何をやっているんですかと言われるんですね。そのときの説明で総合的な調整をやっていきますと言うと、お金を出してくれないんです。具体的に何かやってないと、企業はお金を出してくれないんですね。1万円ぐらいは出してくれますけど、100万とか200万は出してくれないというようなことがあります。
 ですから、すべての教育関係とか、さっき言った学習関係に共通するようなものを生涯学習の振興行政は取り上げていくんですよというのは、それでいいと思うんですけど、そのほかに、ここのところでなければできないというようなものを考えておかないと。つまり、具体的に固有領域といいますか、そういうものを考えておかないと成り立たないんじゃないかと思うんですね。
 そういう点でいくと、その後出てきたのは、学校教育とか社会教育、両方一緒にやったほうがいいということがあるじゃないかと。連携じゃなくてですよ。例えばキャンプをやるんだったら、学校教育、社会教育、別々にやってるけど一緒にやって、社会教育ではそれは社会教育のキャンプだとしてしまう、そのほうがはるかにいいでしょうというようなこととか。それは学社融合で融合領域と言ってますね。それから、さっきのように、共通じゃなくてすべての領域にわたる、例えば学習成果の評価と活用というときに、いろんな領域の評価を集めて一本にまとめて認証すれば、これはその地域の人たちにとって非常に強力な武器になるじゃないか。自分の学習成果を活用していくときに非常に強力な武器になるだろう。そういうようなものをほかで扱えるかといったら、扱えない。だったら、教育の観点じゃなくて、生涯学習というほうに視点を移して、そこで生涯学習振興ということで支援していけばいいじゃないかというような整理ができていたと思うんですけれども、そのあたりのところは、今まで断片的に来ているものですからわかりにくいんですね。この際、少しその辺を整理していただいて、この法律をどう改正していくかというのを事務局あたりで検討してもらえればどうかなと思っているんですけれども。
 時間がちょうど半ですが、もうちょっとしたら休憩にしたいと思いますが、なお最後に何かあれば。あるいは休憩後でも結構ですけれども。どうぞ。

【山重委員】
 教育委員会の役割について正しく認識してないかもしれないんですけれども、法律を見ると、例えば先ほど来見ている社会教育法で、教育委員会の役割として、第5条なんですけれども、「市町村の教育委員会は、社会教育に関し」「予算の範囲内において、次の事務を行う」という形になっていて、法律上は教育委員会というのは、この言葉が適切かわからないですけど、執行機関だという印象があるんですね。教育にかかわることを執行するのが教育委員会の役割で、その監督というか計画・政策立案等をやるのが市区町村というふうに位置づけられるのかなと思っています。もちろん、教育委員会にある種の独立性を与えるということも大事だと思うんですが、組織的にそのような関係としてとらえるとすると、例えば次のような仕組みを考えることができると思います。まず、生涯学習審議会というのを知事部局、つまり自治体の中枢、ヘッドクォーターのところに置き、そこで社会教育の在り方も含めて生涯学習支援がどうあるべきかということを議論してもらう。その上で、特に社会教育の部分に関しては教育委員会の中に置かれる社会教育委員に委託して実際にやってもらう。そこでは具体的なアクションプランとか中期計画を策定してもらい、それがきちんと成果を上げているかどうかを生涯学習審議会が見る。そのような仕組みとすると、かなり大胆な改革になるかもしれませんけれども、組織的にはわりとすっきりするのではないかなとの印象を持っています。どこまで法律で書けるのかわからないですけど、仕組みとしてそんなイメージを持っていてもいいのかなとちょっと思ったものですから、最後にちょっと述べさせてもらいました。

【山本委員長】
 なるほど。ありがとうございました。
 それでは、どうでしょうか、一たんここら辺で休憩しますか。10分ぐらい休憩を入れて、またお考えもその間にいろいろ出てくるかもしれません。今、3時35分になろうとしているところですので、10分間、3時45分まで休憩で、45分から再開したいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 では、休憩に入ります。

(休憩)

【山本委員長】
 それでは、お集まりでございますので再開したいと思います。
 資料1-1ですけれども、前半の部分、1.のところについてはいろいろご意見をいただきましたので、きょういただいたご意見とか、今までの答申類とか、審議会での議論等整理していただけば少し進むのではないかと思いますが、そのあたりは事務局にお任せしたいと思います。
 それで、2.のところですが、これについてはきょうは大きな成果が――まあ、1.のところもそうなんですけれども、随分すっきりしてきたと思うんですが、2.のところに関して言うと、市町村までおろすということは、これは大きな変革みたいになると思う。変革というか、法律の上でも大きな点だと思います。それで、1.と2.についてもまた後でご意見もあるかと思いますが、それは出していただいて構いませんが、話としましては、その次のところ、1-1という資料の2枚目のところで、今度は具体的になってまいりますけれども、3.、4.というのがございます。これについて後半のほうはまたご意見をいただければと思いますので、事務局のほうで説明いただけますでしょうか。

【濱口民間教育事業振興室長】
 それでは、先ほどに引き続きまして少しお時間をいただきまして、参考資料とあわせまして論点の部分についてご説明を申し上げたいと思います。
 資料1-1の論点の部分では、今、山本委員長からご指摘いただきましたように3.、4.として2枚目になります。3.で学習成果の評価・活用ということと、4.で学習活動を支援する人材ということがございます。3.のところでは(1)(2)でございますが、まず(1)のところで、個々人の学習成果を評価する検定試験の活用方策として、全国レベルで一定の基準を満たすものを登録する「登録生涯学習検定制度(仮称)」は、どのようなスキームが考えられるか。また、仮に考えた場合にどういったことに留意をしないといけないかという部分がまず大きな1つとしてございます。
 これについては別紙参照ということで申し上げておりますが、先ほど来見ていただいておりますこの資料1-2のほうですけれども、先ほどまでの時間で申し上げました生涯学習審議会、あるいは基本構想に連なる部分の次に、ページというか、紙の枚数で言うと9枚目以降にA4の横長のものをごらんいただければと思いますが、中ほどでございます。「登録生涯学習検定制度(仮称)」に関する論点についてということで、まあ、1つのイメージというものをたたき台として提供させていただくと。これでごらんいただいてまたご審議を賜れればと思ってございます。
 まず、資格とか検定試験とかいろいろな呼び方をしておりますけれども、広辞苑で、例えば「検定」とか「資格」とかいうのを広げると、検定のほうは、特定の資格を与えるべきか否かを検定するということが書いてあって、そのための試験というのが検定試験というイメージでございます。もちろん、口語的に書いてあるものでございますので、ここは相対分類です。資格試験、資格というのは何かということなんですが、資格獲得の際、それにふさわしい力量を持っているかどうかを調べる試験といったようなことで、まあ、言ってみれば、広くこれらをざっくり言うと、その矢印の下の(例)というところに書かせていただいていますが、学習の結果、身についた知識とか技能を評価をする試験というぐらいの感じで、とりあえずとらえられるものかなとイメージをしてございます。
 登録生涯学習検定制度の中で1つイメージを持っているものは、この1の、さらに下からブレークダウンしていって1.以下になるんですが、世の中に資格とか、試験とか、検定とかいってもものすごくさまざまあるということは、この委員会が始まってからもずっとご指摘のあるところなんですけれども、大ざっぱに分けると3つぐらいの分類があるのかなと思っておりまして、(1)から(3)がありますけれども、まず(1)で、実務経験を積めばきちっと評価ができますよといったような実務経験のみによる検定といったようなものがあるかと思います。
 2番目として、講習の受講をすればきちっとはかれますよいったような検定も中にはあるかと思います。3番目として、試験で――いわゆるペーパーみたいなものですね。試験で検定をするといったようなもの、これが多分一番多いと思いますけれども、こういった形態があって、試験の検定という部分の中には、またやっぱり1から3のように、相対区分をするとこんな分類のカテゴリーの仕方があるのかなと思ってございます。
 1つは国家試験として法令できちっと国あるいは国が定めた実施機関のようなところがやるような試験といったようなものがあるのと、2として公的試験で、必ずしも国自身、あるいは国からの実施機関がやるものではないけれども、国際機関がやっていたり、外国政府が実施、関与等々、監修のような形をやるものもございます。
 それら以外に幅広く民間試験、民間が実施する試験というようなものがあって、基本的にはこういうところがスコープになってくるのかなと思いますが、それぞれ対象外とすべきか、すべきか、すべきかというふうにずっと外して書いていっておりますけれども、民間試験の中にも幾つかの特色があって、特定の職を念頭に置いて、そこにつくためにその能力を見るといったような試験もあれば、その下の黒ポツのところにもありますけれども、特定の職業の人々とか、特定の組織に所属する人のみが受験できる、例えば特定の企業の中とか、そういったような試験というのがあったりもする。
 あるいは次のページをめくっていただくと、さらにもう一つ黒ポツがあって、例えば特定の商品等々に関する知識とか能力をはかる試験、例えば何かのコンピューター製品を使ってこういった作業ができますよといったような能力をはかるものがあるかと思います。
 こういったもろもろというのは、矢印にもずっと書かせていただいていますが、実務経験に基づくものであれば、目的を持った学習活動の成果を評価するという形でなかなか難しいのかなというところもあり、やっぱり対象外とすべきなのかなと。講習の受講によってというのもやっぱり同上かなという感じもしております。もともとこの登録制度を仮につくるとなると、何らか国のほうできちっと品質保証するという形の観点が出てまいりますので、国家試験の中というのは、当然、どこかの国のしかるべきところがやっているものですから、これはそこのところが質を保証していると考えられますので、やっぱり対象外とすべきかなと。公的試験も同様な形できちっとしたところが保証しているんじゃないかというふうに見られるんじゃないかと思ってございます。
 逆に、民間試験の中で特定の職につくためというようなものというのは、国がそもそも質を保証する必要があるかどうかといったようなところが議論がございますし、特定の職業の人々、あるいは特定の組織に所属するといったようなものであれば、要するに汎用性という問題で言うと一部の人たちのみ利する。それは特定の商品という部分でも営利事業に結びつくと特にその色彩が強くなってきますので、こういったようなものを除いていったところというのが基本的には広く国が質の保証に資するというところで対象になるのかなというふうに1つの考え方としては思ってございます。
 そこが2ページ目の※の基本的な考え方で出ておりますが、1という形で国家試験等、既に国が質の保証を行っているもの、2民間試験のうち特定の者のみのためにあり、広く一般に開かれていないというようなもの、3特定の営利事業を利することになるような資格試験・検定試験というのはなかなか対象にはなじみにくいのかなというのが基本的な考え方かなと思ってございます。
 いろいろな分類の観点というのがあって、その次の2.の部分で言えば、その試験の分野による分類というのは、一体どうすべきかというものが、当然、論点として挙がってきて、仮にこの検定制度、登録制度というものをつくって、文部科学大臣が登録するということになった場合、人々の学習活動を振興し、その成果をきちっとはかるといったような観点で考えたときには、それなりの分野の検定というのもあるかもしれない。この辺のところは自由闊達にご議論いただきたいと思ってございます。
 こういった対象を考えていったときに、具体的なスキームとしてどういうイメージのものがあり得るかということでございますが、一番後ろのページ、今のこのホチキスどめになっているかと思いますが、一番後ろのページのポンチ絵を見ていただくと、「登録生涯学習検定制度(仮称)のスキーム【参考イメージ】未定稿」と書いておりますが、1つ材料の提供のイメージとしては、こういうものがあり得ると思っております。このホチキスどめをしているものの一番最後のページの横長のページです。紙で言うと13枚目になるんですけれども、ここの中で1つ思っておりますのは、これまでも特別委員会、あるいは中間報告の中で得られているイメージというのは、この文部科学大臣というものと一番下の検定事業者の部分でございます。
 検定事業者から申請をいただいて一定の要件を満たすものを登録をするといったようなものを前回の中間まとめの中では言っているわけでございますが、今回はその議論の材料として、その右側のほうにありますけれども、評価機関というものを1つ加えたものをイメージとして出させていただいております。これは言ってみれば、1つのモデルは大学の評価のところにも学校教育法なんか書いてありますけれども、あれが1つのイメージでございますが、ここの場面では文科大臣の登録を受けたその検定事業者について、もちろんそれ以外の方でもいいんですが、第三者的に設置をされた評価機関による事業評価というのを定期的に受けていただく、何年かに1回みたいなイメージでございます。
 その評価機関というのは、ここにもありますとおり、複数のものがばらばらあって、当然、その評価機関については幾つかあるわけですが、文部科学大臣が認証を与えてきちっとした活動をやってもらうというようなことが広い意味でのこの全体のスキームのイメージでございます。
 こういった参考イメージを1つのイメージといたしまして、先ほどのページのところに戻っていただきますけれども、2登録生涯学習検定制度のスキームについてという部分で言えば、検定事業者が登録してくるとき、それから、その後、認証評価機関が評価をするときといったようなもので、一体どういうものをそれぞれ見ていくかというところが1つ論点として出てまいります。
 その審査の対象として考えられる事項というのは、この両者についてという意味で言っておりますけれども、1.のところで○が2つあって、正確に言うと次のページまでわたるんですけれども、○が3つございます。まず1つは、資格とか検定の実施主体(事業者)に関する事項というものがあるだろう。例えば組織はどうなっているかとか、財務はどうなっているかとか、事業とか専門性はどうなっているかといったような事業者に関する事項というくくりがまず1つございます。
 それから、○の2つ目として、資格・検定試験の目的とか内容とか、社会的にどれぐらい認知を得ているかといったような、そういう社会的通用性の事項といったようなものもあるだろうと思います。あまり具体的ではありませんが、例としては、検定の内容と中身がきちっと整合しているかどうか。それが学習活動の振興に資しているかどうかといったようなことですとか、社会的にこの検定の成果は、ここでこうこうこういうふうに使われていますよといったような通用性、あるいは活用状況といったような事項が例えばという形で考えられると思ってございます。
 1枚おめくりいただきますと、○の3つ目の論点としては、そういう事業者とか、あるいは検定の内容といったようなこと以外に、今度は実施そのものにかかわっての事項というものがあろうかと思ってございます。ここはなかなかわかりづらいと思いますけれども、例えば実施規則とか要綱とかというのをきちっと備えているかどうかとか、問題を作成する体制はどうなっているか、試験の実施体制はうまくいっているかどうかとか、細かく言えば、ここのところは非常にイメージが出やすいと思いますけれども、審査体制とか採点体制がうまくいっているかどうか、受験料は適正かとか、過去の実績はどうかといったようなもろもろのことがあろうかと思ってございます。
 こういった大きく言うと○3つの事項について、2.と3.という部分でそれぞれ分かれておりますが、大臣によるいわゆる登録、あるいは認定といったようなものと3.の評価機関による審査・評価といったようなことで、どういったような区分けなり役割分担というのが考えられるかというのを書かせていただいているものが今の部分でございます。2.のところでは、例として書かせていただいておりますが、一定の質の保証といったような学習者保護、もちろん学習者保護というよりは利便性の向上と言ったほうがいいかもわかりませんけれども、そういった観点から、事業者が健全な事業者として一定の要件を満たすかどうか、あるいは公序良俗に反するといったようなことがないか、そういう不適当なことがないか等々を例えば審査・登録をするといったようなことが考えられるのではないかと思っております。
 具体的な事項例としては、実施主体に関することとして財務とか組織とかというのがあって、実施体制に関することの中では問題作成、試験実施、審査、評価の観点での採点はどうかとか、受験者対応でうまくやっているかどうかとか、検定の内容とか目的とかというのはきちっとそれなりのものを備えているかどうかといったようなことが考えられるだろう。
 3.として評価機関による審査・評価の部分については、こういった国が行う、例えば登録といったようなものをある程度補完をしていただいて、資格試験の一層の充実の向上を期するという評価をやってもらう。具体例ということの中では、なかなかそれぞれの分野について大臣自身が専門性に立ち入って細かく見るというのはなかなか難しい点もあろうかと思われますので、そういう試験問題とか、実際に検定をしたときにこの級は何々に相当するとかというような、そういう検定基準が専門的な分野、見地から見て適切なものかどうかとか、あるいは検定や資格試験についてきちっと情報公開が広くなされているかどうかとか、自己点検・評価のあり方、その見直し検討・改善がどのように行われているかといったような観点。
 それから、成果の活用促進という部分にかかわりますけれども、例えば上級学校とか、企業とか、もろもろ社会においてこういった資格試験とか検定試験の活用促進というのをどのようにやって、なおかつどのように改善されているのかといったようなことがあり得るのではないかというのがおおよその区分でございます。あくまで1つのイメージですので、何も詰まっているわけではありませんので、議論の素材という形で提供させていただきたいと思ってございます。
 それとあと、附属のその資料のところにありますけれども、論点のところで言えば、前回、山本委員長からご指摘をいただいていた高等学校卒業程度認定試験、中学校卒業程度認定試験の活用方策という部分もきちっと説明をというご指示がございました。それは今の資料に引き続きます資料1-2の資料の続きのところで概略、提供させていただいておりますけれども、高等学校卒業程度認定試験の部分だけ、とりあえず切り出してございます。
 A4の2枚のペーパーでございますけれども、趣旨としては、これは学校教育法に基本的な根っこがございますが、いろいろな理由がありますけれども、高等学校を卒業していないといったような理由があって、大学等を受験できない者に対して高校卒業者と同等以上の学力があるかどうかというものを認定する試験というのが基本的な性格でございます。この試験に合格した方々には大学、短大、いわゆる専門学校の一部などもありますけれども、受験資格を付与するということになってございます。
 今のそれ以外の制度的な取り組み以外に、こういった試験を合格した方々に就職とか、資格試験等においても高校卒業者と同等に扱われるようにいろいろなところに働きかけをして社会的通用性を高めて学習成果の活用に資したいという部分の試験でございます。
 受験試験としては、16歳以上でございますが、既に大学入学資格を持っている方々は、これはご遠慮いただいているということで受験ができないという制度になってございます。この試験は、以前、前課長も申しておりましたが、昭和26年当時から始まった試験の中ではご存じのとおり、いわゆる大検という形で大学入学資格検定と言われておりました。それが一昨年度、17年度から制度変更されて高等学校卒業程度認定試験となっているわけでございます。
 試験科目・合格要件は、この表のとおりでございまして、基本的に主要教科の部分について受験をいただくという形で、合格者は、18歳未満でも当然受けられるわけですが、合格者となるのは18歳の誕生日からという形になってございまして、合格科目については学校長のそれぞれの判断にはなりますが、卒業単位として単位認定するということも制度上許容されているわけでございます。
 試験実施回数は年2回ということで、これは毎年決まっておりますが、来月8月と11月ということでやっておりまして、各都道府県ごとに1会場設けて、受験料は以下のとおりで、基本的な予算は大体2億5,000万ほど積んで実施させていただいているという部分でございます。
 1枚おめくりいただきますと、出願状況等というのが棒グラフで出てまいりますが、出願者数は平成13年にググッと上がって、そこから漸減傾向にはありましたけれども、16年度からまた上がってきてまいっております。それに伴って合格者数も大体それに比例するような動向になっておりますけれども、平成17年度からこの制度改善をしたときに、全日制の高等学校の在学者の方々にも受験できるようになっておりますので、こういった傾向になっていて、合格者、出願者とも7割が20歳以下という形になってございます。
2のところを見ていただくと、実際に全日制在学の方々が平成16年と18年のところで完全に異なっておりますが、棒グラフのところで言うと、全日制在学の方々が全体の9.2パーセントという形で入ってきているわけでございます。先ほど申しましたとおり、3のところで、出願者・合格者の年齢別割合というところで言うと、大体20歳以下のところで7割となっておりますが、それをもうちょっと増やして20代前半といったようなところまで広げますと、ほぼ9割方といったような形での受験者層になってございます。
 この制度改善をした心は何かというところは次の資料になりますけれども、「大学入学資格検定の在り方について(答申)のポイント」という色刷りの1枚紙が出てまいります。この答申は平成16年8月に、いわゆる中教審答申の中で出ている考え方でございますが、社会において広く通用する高等学校卒業程度認定試験という形でやりたいというものでございます。
 きっかけはいろいろありますけれども、大検を取り巻く現状の変化ということで、受験者層が変化してきているといったようなことがございます。その他、大学入学資格の弾力化ということで、いわゆる大学で個別入学資格審査というものが設けられるようになって、後期中等教育にかわる唯一の高等教育への経路ではなくなったといったような契機があったり、あるいは大検の社会における活用といったようなところでいろいろな状況の変化が出てきている。
 基本的な考え方として、全くガラガラポンにしたというよりは、大学入学資格付与の機能を与えているということについては維持をしつつ、より広く活用される試験にしたいといったようなことで、試験の内容をある程度改めて社会的認知度を高めるための方策もあわせてやるといったようなことがこのときの制度改善の趣旨でございました。
 実際、1つ、また新たな取り組みで最近出てきているのが、次のページの資料を見ていただきますと、これは平成19年4月13日付のプレス発表資料だけ、1枚紙で抜いておりますが、いわゆる矯正施設(刑事施設、少年院)におけるこの試験の実施というものを今年度からやっていこうということで、いろいろな機会の拡大を図っているわけでございます。これまでのいわゆる高卒認定試験というのは、矯正施設におられる方々についてはどうしても外に出ていただく、あるいは教育委員会から試験監督者を派遣していただくといったような必要性がございました。
 これを何とか都合改善して、できる限り受験する機会を増やしたいといったような希望があって、ここ数年におきましては幾つかの矯正施設でモデルケースとして試験監督者の派遣を受けずに、施設内でこの試験を実施するといったようなことを実績として積み上げてきて、ある程度いけそうだといったようなことになりましたので、このたび法務省さんとの間で協議を重ねまして、受験をしたいという希望がおありの方がおられる施設の中では、この試験をきちっといろいろなところで実施していただくといったような形での運びになったといったようなことでございます。
 受験実施については、日付はほかの試験と同様に、今年、全く同一日で8月8日、9日、それから、11月のところは17日、18日という形で実施をするということで、実際の実施場所については、全国約130の刑事施設や少年院の中から、きちっとやっていくというようなことで1つ考えてございます。
 こういったところで努力はしているんですが、次のページになりますけれども、これまで大検、大検と、我々もつい大検と言ってしまいがちになるんですけれども、そういったことが非常に周知されていた、かなり浸透していたこともあって、17年に制度改正をしてから、じゃあ、認知度が今どうかというと、特にこの上の表のところにありますけれども、企業さんのところを見ると、「知っている」といっているところが大体6割程度といったことで、2割ぐらい下がってございます。「名前は知っているが内容は知らない」といったところは多少増えておりますけれども、よく知らないとおっしゃっているところが大体15~16パーセントあって、まだまだこの認知度を上げて、この普及状況を改善していくといったようなところは1つ大きな課題として思っておりますので、ここら辺でもいろいろなご知見を賜れればと思ってございます。
 それと、論点のところでは、学習活動の支援をする人材といったようなことがございます。大分長く説明しておりますのではしょりますが、附属の資料1-2の資料で言うと一番最後のページになりますけれども、この学習支援人材の役割と機能(概念図)といったような部分を出させていただいております。この図は、以前からこの委員会に所属していただいている方はご存じかとは思いますけれども、1月30日の中間報告の中に附属させている資料でして、社会全体でいろいろな学習活動があるわけですが、その人材養成にある意味1つこたえ得る制度として、こういったものが考えられないかといったようなご検討をいただいた中での概念図でございます。
 学習相談員でいろいろな相談をしていただくですとか、あるいは団塊世代や高齢者の方々に学校とか青少年施設に行っていただいて、その知識、知見を生かしていただいて、いろいろなことを教えていただくといった教育サポーターといったものが考えられないかとか、そういったもろもろの学習活動の場とか、こういった相談員、サポーターを支援する人たちとして、いろいろなところの橋渡しをする学習コーディネーターといったようなものが考えられないか。もちろん、これは社会教育主事のあり方とも結びつきますので、次回、社教法の審議もありますけれども、1つご紹介としてさせていただければと思ってございます。
 長々大変恐縮でございますが、以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございます。
 ちょっと最初に、これはたしか中学校卒業程度の認定試験というのもあるんですよね。簡単で結構ですが。

【濱口民間教育事業振興室長】
 中学校卒業程度認定試験というのは、これもかなり古くからやっておりまして、中学校はご存じのとおり義務教育ですから、基本的な対象者としては、義務教育に何らかの理由があって通えなかった方々に対して、要するに高校入学するときには、その高校入学資格というのが必要ですので、そのために中学校卒業程度と同等以上の学力があるかどうかというものをはかっていただくための試験でございます。これも都道府県教育委員会のご協力を仰ぎまして国のほうで実施をしているという試験です。規模的には、正直申し上げて高卒認定試験というのは何万人も受けておられますが、中学校卒業程度認定試験というのは、それよりもけたが3つ違うぐらいの、かなり小規模でやられているものでございます。
 実際の対象者としては、就学義務の猶予免除者等になりますので、例えば通っていたけれども、どうしても体調がすぐれなくて学校に通えなかったとか、あるいはずっと外国に行っていて戻ってきたとか、そんないろいろなケースがございますけれども、基本的に普通に中学校に通っていただいている方は対象ではなくて、あくまでも義務猶予免除者等が対象になっている非常に限定された試験だということでございます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 そういうことでございますので、2つほどポイントがございますが、まず学習成果の評価・活用のほう、人材のほうは今回は少し性質が違うので後に回しまして、学習成果の評価の活用にかかわって、大検が高等学校卒業程度認定試験になってしまいまして、認定試験が2つ、中学校、高等学校のところにありますので、それらも含めてこれについてご意見をいただきたいと思います。なかなかいきなりというのでわかりにくいところもあるかもしれませんので、その点はご質問いただいて確認をしていただければと思います。先ほど生涯学習の理念が入って、学習成果を社会で活用していくということがうたわれていますが、そのための資料としてこういうものがないと、社会で学習成果を活用できない人が多くなっているものですから、それでこんなようなことが出てきているというわけでございます。
 では、質問とかご意見がありましたら、どうぞご自由に。どうぞ。

【糸賀委員】
 質問なんですけれども、今の学習成果の評価で登録生涯学習検定制度、これについては前期の分科会で、たしか私の記憶ではやはり同じように小委員会を設けて、この制度について検討したと記憶しております。それが今年の1月に出た中間報告にも反映されている。先ほどの濱口室長の説明で、対象外というのをずっと挙げられました。対象外のほうはわかるんですが、そうすると対象になるほうのイメージは、どういうふうに描けばいいのかが逆によくわからなかったんですね。
 逆に言うと、これ、対象にするのは、当然、そういうニーズがあるものということになると思うんです。つまり、生涯学習をやって、自分はその成果を評価されたいという人が対象となりますよね。それは一体どういう領域なんだろうかというのを私はずっと考えていたんです。つまり、対象外のほうはわかったんですが、対象内というんですか、どういう人たちが生涯学習を実践し評価されたいというニーズを持っているのか。この辺について、もしもおわかりでしたら教えていただきたいんですが。

【山本委員長】
 どうぞ。

【濱口民間教育事業振興室長】
 もちろん個々の一般国民と直接対話しているわけではありませんが、普通、対象になるものということでここを除いていくと、抽象的な基準としては、そこの基本的な考え方に出ていましたが、世の中の人が基本的にだれでも受けられるものということがまず1つあると思います。分野に関してとか中身に関しては、特に今の段階でこれというふうに限っているわけではありませんが、普通に考えると世の中に出回っている検定の中では一般的な教養の向上を図るみたいなものが1つのイメージかなとは思いますけれども、例えば語学だったり、日本語だったりというようなものはあるかと思いますけれども。

【山本委員長】
 どうぞ。

【糸賀委員】
 今、語学と言われましたが、例えば書道――お習字ですね。お習字だとか、お茶、お華なんていうのは代表的なものとして出てくるんですが、それはそれぞれに民間の団体があって、英語だったら英検というのもあるわけですよね。言ってみれば、それぞれに認定していますよね。それについて、国がその団体について登録を申請してきた場合に、その登録したものを認定しようというわけですか。既にそれぞれの団体で行われているような何らかの段位を与えたり、初段だとか何か段位を与えたりしているもの、そういうものを改めて国として、これは一定の要件を備えた登録団体がやっているものですよという、いわばお墨つきを与えると、こういうふうにとらえてよろしいんでしょうか。

【濱口民間教育事業振興室長】
 基本的にはおっしゃっているイメージだと思います。もちろんお茶とか、お華とか、その流派みたいな世界をどう評価できるかというのはありますから、そういったものがそもそも技術的に不可能であれば、当然、対象から外れていくでしょうけれども、概念的には今の段階で別に外しているわけではないと思います。

【糸賀委員】
 私、ちょっとよくわからない。そうだとすると、そういうのが既にあるから、それはそれでいいんじゃないかというふうに私は思っていたんですが。

【濱口民間教育事業振興室長】
 そうすると、例えば語学なら語学1つをとってみて、例えばここしかないとかいうのではなくて、語学の中にも調べてみるといっぱいあって、実は調べ切れないぐらいいっぱいあるんですけれども、その中で学習者の利便性の向上ということを考えたときに、どれを受けたらいいのかというような1つのガイドラインみたいなものを示すという意味で、質の保証をしていき、文部科学大臣の登録の検定として、これは1つ登録されているねということを1つの目印にしていただくといったようなことが1つのイメージだろうと思います。

【糸賀委員】
 私ばっかり聞いても――これでやめますが、そういう場合に、そういう学習者にほんとうにニーズはあるんでしょうね。つまり、例えば既に民間の団体がそれぞれ認定してくれている。それ以外に、その団体に対して国がちゃんと登録してくれるということのニーズがどれほどあるのかというのが私はよくわからないんですね。これは前のこの会議でも言ったと思いますが、自己学習をやる方にとって自己実現というのはすごく重要ですよね。こういう方にとっては、自分がこれだけのことを学べたという満足感があればいい、そういう人も私が知る範囲では結構多いですよ。
 そのほかにそれぞれの団体が、あなたはこれは3段を認めますとか、あなただったら、例えばこれはどういう称号にするかわかりませんが、そういうのを与える。そのほかに、殊さら国がそういうものをやることのニーズというのがどれほどあるのかが私はよくわからないんです。そういうのがあるのでしたら、ぜひこれはお進めいただいたほうがいいとは思いますが、具体的な領域のイメージと、果たしてどれだけそういうニーズがあるのかについて、私も確たる自信というか、証拠がないものだから、今、お尋ねしたような次第です。ありがとうございました。

【山本委員長】
 その点ですけれども、今まで生涯学習に関する世論調査をやりますと、高齢者とか教養的なところはあまりニーズがないんですよ。それは平成2年のときもそうだったんですけれども、今でもそうなんですね。しかし、職業に関する知識技術とか、そういうことで言うと非常にニーズがあって、しかも、若い人に多いわけですね。ところが、それに関して言うと、言葉は先ほどお墨つきと言いましたが、今、内容的なお墨つきを国が与えることはできないんですね、規制緩和で。だから、それはだめとして、例えば職業的な必要があって履歴書を書くというときに、何かわけのわからないところの検定を取ったと言ったとしても、相手が信用してくれないということがあって、信用されるものを取りたいというニーズはすごくあるわけですね。
 生涯学習振興行政としてはサービスしなければというけれども、内容について言えないものですから、さっきの形だけというか、形式で、文科省のホームページに登録されていると言えば、出したときに相手の企業、雇い主のほうが、ああ、なるほどと言ってもらえる。中身を見ようと思ったら、そこに出ているというようなことがあるかと思いますね。

【糸賀委員】
 わかりました。

【興梠委員】
 私は大学でボランティア論やNPOマネジメントを教えているんですが、98年にNPO法ができて、これで、ここでも同じ言葉、「認証」という言葉をお使いになっていますよね。NPO法とちょっと似ていますね。

【山本委員長】
 似ている。

【興梠委員】
 別に内容の善し悪しを決めるわけではないけれども、しかし、ある一定の基準を満たせれば、それを認証していく。そうすれば経団連も援助しやすい。いろいろありますから、そういう必要性はあるんだろうと思うんですね。問題は、認証していく際の手続だとか要件をどうするかというところだと思いますけれどもね。

【山本委員長】
 そうそう。

【興梠委員】
 ただし、生涯学習の難しいところは、よくどこどこの資格を持っているから自分を認めろという、そういうのも横行していますよね、教育委員会でですね。だから、やっぱりその辺のところはかなり、どういう概念で限定的にやるのかというのは、その辺が問題だろうと思いますが、私は認証していくというのはあり得るだろうとは思いますね。

【山本委員長】
 なるほど。
 どうぞ。

【山重委員】
 仕組みについて教えていただきたいんですけれども、まず、申請が行われて認定が行われた場合に、直感的には取り消しがあると思っています。定期的にチェックして、それを取り消すという仕組みがあるということでいいのかというのが1点です。
 それから、評価機関を設けるというのは、補助的な役割ということで位置づけられていると思うんですけれども、それが認定に、あるいは取り消しに何らかの影響を与えるようなものとして考えられているのかという点。つまり、このスキームの中で、そういう関連がなければ、この評価機関というのはあくまでも外の組織になってしまうので、念頭に置いているのは、国の認定のプロセスと何か関連を持たせることだと思っているのですが、そのような理解でいいのか。この2点を教えていただけますか。

【濱口民間教育事業振興室長】
 今回お示ししているのは、参考イメージ図という形でお示ししておりますので、中身について何か固まったものを提示しているというものではございません。そういう意味で、今おっしゃった、取り消しは一般的にあり得るかと言われたら、行政制度としては当然あり得ると思います。ただ、それをどの要件に当てはまったときに、どういう状態になったときに取り消すかということまでは何も決まっているわけではなくて、それを認証評価機関によるその評価とリンクさせるのかどうか、させないのか、あるいは全く別に考えるのかというのは、そこはある意味、更地と言えば更地でございます。

【山本委員長】
 ほかにはどうでしょうか。どうぞ、順番に。鈴木委員から。

【鈴木委員】
 私もまだ具体的にどういうようなものかというのがよくわからないでいますが、糸賀委員が言うように民間のものが既にあるんだから、それを何も言わなくたっていいので、そこをだれかが、人々が信頼するかしないかの問題だということにもできるのだろうと思います、内容によっては。ただ、私、先走るようなことかもしれませんが、次の学習活動を支援する人材のところと関連するような、内容が、社会的なというか、公共的なところへ意味を持つような内容を持つような能力であるんだったら、それについて、そういうところで学んだことは意味があることなのだ、そうでたらめなことをやっているわけではないよというようなことはできるのかなと。
 やはり内容のところに少しかかわってくるような気がするのですが、それは国家資格とかというふうにはできないものであるのだったら、そういうようなところで考えてみるということもありかなと思います。ただ、例えば静岡県なんて富士山検定だとか何だとか、そういうようなもので、それはよかったねというのは、それはみんながよかったねってニコニコしていればいいわけなので、みんなでニコニコしましょうとかというような組織でもつくって、それを支援すればいいだけの話だというふうに私は思いますけれども。

【山本委員長】
 今の点は、先ほど糸賀委員が言った前期のワーキンググループができたときに議論になりまして、おっしゃるとおりですね。そこの部分をどうするんだということがありまして、それは内容にまで踏み込めないという話なので、さっきの形式だけになっていますけれども、今回、参考イメージですけれども、外のところに民間でもってそういう――民間というか、第三者機関でそういうのをつくってくれれば、規制緩和云々というところからすると逃れられるところがあるというので認証の機関みたいものを置いていますけれども、それはどうなるか、今、濱口室長が言ったようにイメージはまだ全くありませんが、ただ、さっきおっしゃったとおりです。それは後ろの人材とかかわるというところは、そのとおりだと思います。
 どうぞ。

【興梠委員】
 基本的には鈴木先生と同じなんですが、ちょっと気になるのは、例えばNPO法で言うと、イギリスがチャリティー法があって、チャリティー委員会があって、そこが客観的にいろいろと判断していくところがあるんですが、ここの評価機関というのは難しいですよね。

【山本委員長】
 そうですね。

【興梠委員】
 だから、かなり慎重に考えないと難しいでしょう。要するにNPOのチャリティー委員会をつくるのと同じですから。ただ、問題は手続上のところで報告義務だとか、そういうことでカバーできる面はあるだろうとは思いますけれども、どこまで、評価機関はかなり簡単ではないと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございます。
 ほかにどうでしょうか。どうぞ。

【讃岐委員】
 確かに勝ち組、負け組と言ったら妙な言い方かもしれませんけれども、矯正の問題と卒業認定という、そこのところの資格はどうしても要りますね。そういう形の資格をどんどん出していくのは生涯学習社会をつくっていくことだろうと。それともう一つは人材とのかかわり、2つに分けていかないとごったになるような感じがしますね。

【山本委員長】
 そうですね。おっしゃるとおりだと思いますね。
 ほかにどうでしょうか。今の評価機関をどうするかというのは、まだわかるわけじゃないですけれども、大分前、これは審議会で何度か議論がありまして、生涯学習審議会と言っていたころから議論があったんですけれども、そのまま今日に来ちゃっているんですが、そのときにあったのは、この評価機関に当たるところというのは、大学評価・学位授与機構、あれぐらいのものをいずれはつくっていかなくちゃいけない。国際的に通用する――外国でもこういうのはいろいろあるわけですから、外国で認証されたりしているもの、同じように日本で認証されたものは外国でも使えるというぐらいの権威あるものにしていかなくちゃいけないんじゃないかと。その当時の先ほど申し上げた審議会の会長は、そのとおりだという話まではいったんですけれども、その後、具体的にこういうようなところをつくっていったらという話までは少し出たんですけれども、そのまま流れて今日まで来ているという状況がございます。
 どうぞ。

【糸賀委員】
 そうしますと、これは確認なんですが、個々の学習者を評価するのは、この場合の検定事業者なんですね。でもって、この評価機関ないし認証機関は、その検定事業者を評価するわけですよね。しかも、これは登録と言っていますので、原則としては申告があったものの登録を受けつける。これは、私、イメージで言っていますが、多分、そんなに厳しく検定事業者は評価できないんだろうと思いますね。つまり、外形的に見て一定の要件を備えていれば、それを基本的には登録をするという趣旨の制度というふうに私は理解しました。
 だから、これはちょっと混乱していますが、学習成果そのものの評価というのは、あくまでこの事業者がやるということですよね。そうなったときに、これは質問なんですが、そうすると、今問題になっているこの評価機関、この未定稿となっているこの図の中の右側にある評価機関、これは1つの機関が複数の事業者を漏れなく評価するのか、その検定事業者の事業別に複数の評価機関が同時並行で行われるのか、どちらなんでしょうか。生涯学習の中では、もう既に評価機関は1つであって、それがいろいろな生涯学習の分野の検定事業者を登録受けつけ、あるいは評価していくんでしょうか。

【濱口民間教育事業振興室長】
 イメージだけで言えば、それはいろいろあっていいというイメージです。だから、複数ということを括弧書きで書いているんですけれども、複数といっても、それは多分意味がいろいろあって、私はこういう分野のところの評価しかしないという評価機関があってもいいし、いや、全般的に来たものは何でも大体評価しますよといったような、そういうジェネラルな評価機関があってもいい。そういう意味でも1つのモデルイメージとして言うと、大学の評価機関、認証評価機関みたいなものが、あくまで1つのモデルとしてのイメージでございます。

【糸賀委員】
 わかりました。

【濱口民間教育事業振興室長】
 もちろん、実際、それができるかどうかというのは、具体のニーズに応じてそれができるかもしれないし、できないかもしれないということが当然あります。

【山本委員長】
 何しろこの分野というのは、日本では全く未成熟と言ったほうがいいかと思うんです。国によってはこういうのがたくさんあって、そのところで認証されたりしているものの機関の評価を受けたものを――まあ、日本では履歴書ですけれども、パスポートとかポートフォリオで出していきますね。そうすると、雇う側の企業のほうは、それを見て知らない機関だと調べるそうですね。そこまで発達しているところもあるようですね。
 どうですか。どうぞ。

【土江委員】
 質問、よろしいですか。先ほど糸賀委員からございましたけれども、客観的なこの外形基準については、文科省なら文科省がという形で申請を受けるということなんですけれども、その評価は検定の事業者ということになりますと、学びの保証といいますか、質の保証とか、そういったところがどうなのかなというところなんですけれども。

【山本委員長】
 それは先ほど言った前期のワーキンググループで出たんですけれども、外形的な審査だけなんだけれども、その中に例えば検定では、試験をする試験委員というのがいるはずですよね。その人たちの名前を出してもらうと。全員を出すというのができなければ、委員長だけでも、こういう方がその審査をしていますというのを出してもらったらどうかというところまでは一応話はしてあるんです。そうすると少し内容にかかわって信頼できるとか、できないとか、そういうことがわかるかもしれないという程度までですね、それ以上踏み込むと、先ほどの、別のところからまかりならんとやられてしまうという状況だと思います。
 どうぞ。

【清國委員】
 私は、もう少しおろして考えてみたらどうかなと思っています。結局のところ、その資格なり何なりというのが社会的に有効であって初めてそれは生きてくるじゃないでしょうか。幾ら学習して、その結果登録したって使われない限りにおいては何も意味をなさないと思うんですね。
 そういう意味で、この例が正しいかどうかはわからない、適切かどうかわからないんですけれども、例えば臨床心理士なんかは学会の認定資格ですよね。そうなんですけれども、学校カウンセラーが各学校に配置されることによって、実際にその資格を取った人たちが活躍できる場ができているわけですね。このあたりはいろんな動きを含んでいるとは思いますが。それは社会的なニーズが高まることによって、実は学習者や登録者の個人ニーズも高まっていくということが相乗的に起こってくると思うんです。生涯学習の分野はそれが少し見えにくく、分かりづらさがあるような気がいたします。
 あと、学校サポーターもボランティアがたくさん登録されて、学校から声かけてくれないなんていう話はよくちまたでは聞かれることです。どの分野で、どのような支援が欲しいのか、何人ぐらい必要か、などの具体的な状況が見えてこないと、なかなか難しいんでしょうね。すごく感想的なことで申しわけないんですが。

【山本委員長】
 どうぞ。

【菊川副委員長】
 質問ですが、民間試験の(3)の3のところで、特定の職につくための試験とか、特定の職業の人々や組織に受験できる試験とかということで、それは対象外ですよというのが書いてありますが、特定の職業とかは対象外だと思うんですけれども、文部科学大臣が生涯学習の振興及び生涯学習成果の活用の観点から登録する資格認定試験、これの対象には特定の職業は対象外だけれども、職業的知識・技能の習得についての資格認定は対象内という理解でよろしいでしょうか。

【濱口民間教育事業振興室長】
 いろいろ説明不足のところがありまして大変恐縮なんですが、今、副委員長がおっしゃったような、何かの知識・技能とか、職業的な技術とか、そういったようなものをガサッと抜くというつもりは全くなくて、あくまでも特定の企業に結びついた、企業がやっているような何とか士とか、そういったようなものだと、いかにも特定の企業だけを振興しているような話になって、それは国が出ていってまで品質を保証する、あるいは役立つような制度をつくるというところとは趣旨が外れるだろうというところで抜いていっているということなので、先生がご指摘になられたようなことをガサッと抜きたいというふうに思っているわけではありません。

【菊川副委員長】
 先の生涯学習分科会でその辺の審議をたくさんしましたものですから、確認いたしました。

【山本委員長】
 それでは、清國委員から先ほど出ましたが、結局、検定ということで職業につくときに必要なもの云々というようなところと、それから、先ほど出てきたように人材にかかわる部分ですね。そこのところを分けて話を進める必要があるということだったので、そのことも含めて4番目の学習活動を支援する人材というところについてご意見をいただければと思うんですが、どうでしょうか。これはきょうだけでは済まないと思うんです。この次、社会教育に関する法制のところの議論をしますが、そこはまさにそういうものが出てきます。社会教育主事をはじめですね。きょうからご意見をいただいておいて次へつなげていきたいと思っておりますので、自由に出していただければと思います。
 どうぞ。

【井上委員】
 この概念図を見て思ったことなのですけれども、第1回目の会議のときに私のほうで社会教育主事というのは非常に守備範囲が広いということをお話ししたと思うのですが、この下の社会教育主事という枠の中に加えて、学習コーディネーターというところまで全部やっている社教主事もいるわけなのですね。地域の課題を洗い出して施策を練るという職務に専念している社教主事もおり、この学習コーディネーターの部分については、やはり民間の方とか、民間の方の協力を得られるような可能性というのも探れるのではないかなと思います。
 それで、社教主事というのはコーディネーターの役割をきちんと把握した上で、施策をきちんと練っていくという行政としてのしっかりとした立場というのを確立する必要があるのではないかと考えております。先ほど教育委員会の話が出ましたけれども、社教主事の職務は、地域の課題等を洗い出して、必要な施策を策定し、それを上司に伝えて、上司が教育長に伝えて、教育長に理解してもらうことにより事業を立ち上げていくことです。ですから、土江委員さんのような教育長さんの理解があれば、その地域は活性化する、社会教育はうまくいくということになります。役割分担ということからも考えて、学習コーディネーターの部分などはかなり社教主事以外の方も参画できるような部分なのではないかと考えております。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 どうでしょうか。この人材の部分ですね。今出ているのが、今のコーディネーターと、それから、教育サポーター、学習相談員。この辺はさっきの話のように、どういうふうに質を保証するんだという話になって、さっき清國委員が言ったようになってくるわけですね。社会教育主事と。司書、学芸員は、これは別に、先でまた議論しますから、まあ、ここで出していただいてもいいですけれども。
 どうぞ。

【山重委員】
 私もこのような人材の育成を非常に大事だと思っています。特に家庭での教育、それから学校での教育、そこでうまく入らないような人たちの教育なども含めて、例えば今考えているのは移民――移民というか、日本に来られている外国人の方々――などの学習のサポートなども含めて、地域に根差した学習支援、教育支援というのを担ってくれる人が必要だなと思っているんです。問題はどういう形でその人たちを認知し、制度化するかというところで、それをどう考えるかというところが一番大事な問題なのかなと思っています。
 社会教育主事の話に戻ってしまいますけれども、司書の方というのは、例えば図書館の活動を担う専門家の方であるので、そういう方と同じように社会教育を担う人たちというのを――指導・助言が法律上は社会教育主事の役割になっていますので、実際に社会教育を担う人たち、あるいは学習支援を担う人たちというのを――法律の中に規定して制度化することで、そういう人材が育っていくし、また、学校とか地域の自治体で採用されるということにつながっていくような気がします。先ほどのような登録で認可するというより、それも1つの案ではあると思うんですけれども、もうちょっと踏み込んだ形で認知して、そういう人材育成を進める。
 さらに経済学的に言うと、きちんとした給料がもらえないと、あるいは何らかの手当がもらえないとやっぱり、いい人材が育っていかないわけですから、その意味でも単なる検定とかで認知するのではなくて、法的に何かサポートする仕組みがつくっていただけるといいなという印象を持っております。

【山本委員長】
 なるほど。
 どうぞ。

【土江委員】
 私も今、山重委員さんがおっしゃったとおり、やはり公的な形での支援、認知、そういう制度を確立するほうがいいかなと思っています。それで、今後といいますか、学習コーディネーター、あるいは社会教育主事、それぞれサポーターとか相談員がありますけれども、それぞれに役割があると思うんですね。ここら辺をしっかり明確にしながら、この生涯学習の理念に基づいてさらに今までとは違った1つの状況、例えば学校教育との連携、家庭教育との連携、そういうものがあると。
 それとあと、やはりこういう資格というのはできるだけ取りやすいといいますか、取りやすくて、実際には質の保証をしながらですけれども、そういう取りやすい環境、機会、そこら辺をどういうふうにしていくのかなということが重要かなと考えますけれども。

【山本委員長】
 順番にいきます。

【興梠委員】
 公的にきちんとした形で、その資格認定をしていくべきだという考えなんですけれども、例えば文科省が、今、アフタースクール、放課後子供をやっていますわね。その前、居場所づくりを3年、その前に体験活動、奉仕活動、全部コーディネーターが出てくるわけですね。つまり、乱立しているわけなんですよ。だから、そういったものをもう1回――それは確かに予算をつくっていく上の苦労や工夫があるということは当然わかった上ですけれども、そうするとやっぱり、現場になってくると、どんどん混乱していくわけですね。だから、きちっとした整合性を持った形でやっていくということと、やはり実際見ていますと、食えなければというか、ある程度の経済的保証がなければ、実態を伴った専門性は育っていかないですね。そこらあたりをどうするかきちんと議論をする。
 ある面では、社会福祉の世界は結構うまくいっているんですね。社会福祉主事があって、社会福祉士があって、介護福祉士があって、もちろん介護保険だとか、支援費制度が出てきたということもあるんですけれども、それはそれでまたちょっと別の話かもしれないけれども、ある程度、社会福祉の世界も参考にしながら、きっちりした形の制度をつくったほうがいいんじゃないかと思います。

【山本委員長】
 では、鈴木委員、それから、高橋委員にいきましょう。

【鈴木委員】
 話が大分細かくなってきているんですが、忘れてならないのは、多分、これは生涯学習の推進とか振興の法制をどうするかというところであるわけですから、全体的なことを屋上屋を重ねるようなことになるかもしれないけれども、社会教育主事などよりももっと上位のというか、そういうような生涯学習支援を推進するための――まあ、また本部をつくればいいんだという話でもないんですが、何か機構などを考えたときに都道府県なり市町村だとか、きょうの話が出てきたわけですが、そこのところで中核になるような、推進するような職員ということになるんだろうと思うんですが、そういうような人のことは考えなくていいのだろうか。
 社会教育主事がそれを兼ねればいいって、社会教育委員の会議とあれと生涯学習審議会と同じみたいなことで考えるのかわかりませんけれども、何かそういうようなところが1つその上のほうのことを考えてみる必要があるのではないかと思うんです。そういうときに、こんなところで冗談を言っちゃいけないんでしょうが、前からずっと思っているのは、首長さんたちが選挙に出るのにきちんと生涯学習とか社会教育のことを理解しているか、理解していないかということを判定するようなNPOとか評価機関があったっていいのではないか。これはオフレコですね。というふうに思うぐらいで、そういうようなところがあって初めてできてくるということじゃないか。
 少し現場に近づいたところでの話になっていると思うので、その上のほうのところは、社会教育主事に期待するのか、その役割ということを拡大していくのか、別なことを考えるのか、福祉、ほかの関連なども含めて。

【山本委員長】
 では、ちょっとお待ちください。

【興梠委員】
 すみません、一言だけ。そこを私は社会福祉に関するものを参考にしたらと言ったんですよ。福祉士、まあ、生涯学習士とは言わないけれども、しかし、それは簡単に言うべきではないけれども、その辺のところをきちんと議論する。

【山本委員長】
 はい。わかりました。福祉のほうはうまいんですよね。仕事を先につくって、その後から資格をつくっているから、必ず就職できるというか、仕事があるというか。
 では、高橋委員、どうぞ。高橋委員、糸賀委員。

【高橋(守)委員】
 今のお話と同じなんですが、この図からいくと、下のほうが上位になるのでしょうか。社会教育主事の下がもうちょっと上位の立場なり状況があるのかなと思われます。生涯学習推進の視点から考えたときに、果たして何がしかの資格を持った人材が必要かどうか、つまり、推進を専門的に考える、構築する人材が必要かどうか。私は多分必要だという気もするのですが、その辺のことをひとつ考えなくてはいけない。
 それから、教育サポーターの中でも、例えば福祉関係では子育てサポーターを大分前からやっている。それに対して文科省では家庭教育サポーターを施策として出してきている。そういう意味でほんとうにいろいろな役割が乱立していて、それぞれが折り合いをつけたり、重なったり、「何なのだろうね」と思いながら現状に至っている。つまり、法的に保証された役割の方もいるし、施策として定着したり、消えたりする役割もいて、その辺を少し整理していかなくてはいけないなと思っております。
 それからもう1点は、こういう役割の制度は2~3年は機能するのですが、その間に養成研修なんかがあると、その受講者がどんどん増えてくる。事実上あふれてきて、「私はこういう研修を一生懸命受けたけれども、今、私の活躍の場はない。」という具合で、家庭教育サポーターなどはその現状がとてもある。だから、あまり安易にやり過ぎてもいけないなというところをちょっと感じています。

【山本委員長】
 なるほど。
 糸賀委員、どうぞ。

【糸賀委員】
 この構想というか、案が出てきたときに、これはもう1年ぐらい前になりますか、そのときにも申し上げたことで、今、ほかの委員の方々が言われたようなことと同じようなことになりますが、私もやはりいろいろと役割、あるいは肩書といいますか、名称を設けて、それが屋上屋を重ねるようなことにならないんだろうかというところは依然として気がかりではあります。先ほど鈴木委員が言われるように、やはりこれは全体のコーディネーションみたいなものを考えておかないといけないし、一方で首長部局との連携をきちんとやれる人、この学習コーディネーターがそうなるのか、あるいは社会教育主事にそれを期待するのか何とも言えませんが、こうなると全体のコーディネーション、それこそ福祉の領域ではありませんが、生涯学習マネージャーのようなものが必要になっていくんじゃないかという気がいたします。
 その一方で、これは確かにかなり現場に近い話なので、私、こういった制度を法律で国が規定することが適切なのかどうかは、やはりちょっと疑問なんですね。これは多分、都道府県レベルで、ここで言う学習相談員や教育サポーターがどのぐらい必要で、どんな役割をするべきなのか。それは大都市を抱えるような県と、ほんとうに純粋に農村型の県で大分事情が違うんじゃないかと私は思うんですね。だから、これは基本的にはこういう枠組みでいいのかもしれませんが、実際の認定、それこそ認証といいますか、それはむしろ、さっきの生涯学習振興法に戻りますが、都道府県の生涯学習審議会とか、そのあたりで自分の県の認定をしていくというぐらいのほうが現場に近くて、現場に実際に活躍する場があるような学習相談員や学習コーディネーターが生まれていくようには思います。これは法でやることの適切さということに関しては、私はちょっと消極的ではあります。

【山本委員長】
 なるほど。ありがとうございました。
 どうぞ。

【山重委員】
 私はどちらかというと法でやることに意義があるかなと思っています。それは都道府県でやると、別の県に行ったときに同じような技能が認定されないということがあり得るからです。いろいろなメリット、デメリットがあると思うんですけれども、少なくとも資格、例えば司書みたいな資格をつくる。その人たちをどれぐらい需要するのか、そして、どういう役割で活用するのかということは都道府県レベルでいろいろ考えて実際に行っていただければいいと思います。例えばここの図で出てくる学習相談員、学習コーディネーター、教育サポーターなど、いろいろ役割になると思うんですけれども、そういう人たちが共通に持っているべき資質みたいなのがやっぱりあって、それについて一定の基準を満たしている人たちを認定し、資格を与える一方、その人たちがどういう形で活躍するのかというのはそれぞれの地域で決めていくような仕組みのほうが、全国での教育水準、あるいは地域の問題、教育、家庭、学校の問題を考えていくと、使いやすい仕組みになっていくんじゃないかなという印象を持っています。

【山本委員長】
 なるほどね。ありがとうございました。
 ありますか。どうぞ。

【菊川副委員長】
 今の話ですけれども、社教主事とか司書とか学芸員の資格とこの相談員、コーディネーター、サポーターというのを比較するとわかりやすいかなと思いますが、社教主事とか司書とか学芸員は職業にはっきり結びついているということと、それから、法律に規定されているというすごくしっかりした制度だと思います。
 それで、それに比べて、今からどうなるかはわかりませんけれども、これらの資格が職業を目指しているのか、ボランティアなのか、あるいは法律に書けるのか、書けないのかというところがあると思います。もし法律に何らかの形で書ければ、ある程度定着してくるんじゃないかと思います。その定着の仕方としては、必ずしも職業だけではなくてボランティア、あるいは有償ボランティア等、年金をもらいつつ、地域で活動していく人の品質保証的なものの制度として育つ可能性があるかなと思います。

【山本委員長】
 なるほど。
 ありますか。どうぞ。

【興梠委員】
 ちょっと以外のでもいいでしょうか。すみません、2回出ていなくて申しわけないですが、どうしても言いたいことが2つだけ。

【山本委員長】
 どうぞ、どうぞ。

【興梠委員】
 1点なんですが、社会教育法の中で議論すべきことというところで、公共ということをもう少し意識した形で議論していく、道徳的、文化的、社会的、政治的責任意識をきちんと育てていくという意図的、計画的な社会教育という点で議論すべきだと。
 それからもう一つ、生涯学習のところで、私は地域や全国や、国際的なボランティアセンターを運営していますので、もはや学習成果の還元活用がボランティアというのは古いんですね。ボランティアそのものが学びですよね。そしてまた、その結果としてさまざまな光も影もありますが、NGO、NPOが活躍している。そのパートナーとして生涯学習の、この法律の中にどう位置づけていくかとかもきちっと議論していっていただきたいと思います。

【山本委員長】
 なるほどね。ありがとうございました。
 いろいろおもしろい意見をいただきました。そろそろ時間なんですが、ここで結論を出すということではありませんので、きょういただいたような意見をもとにして、また事務局でもいろいろ検討していただければと思うんですけれども、さっき鈴木委員から出てきたところの社会教育主事の上位のという話、実は平成2年の生涯学習の基盤整備のときに箱物と人は専門性があるものを国でつくりたいというのでさんざん議論をしました。それもまたさきの生涯推進センターと同じように激しい議論になりました。社会教育主事がいるのに、なおかつ生涯学習の専門員なんて要るのかということで反対というのがものすごく多かったんですけれども、それに対しては例えばこの前どこかでも、こういうところでも申し上げたんですけれども、司書というのは図書館にある、図書館が集めているような資料、それを住民の方にサービスしていく専門職だと。博物館も同様に博物資料でこれをやっている。
 ところが、社会の中にはものすごい学習資料がある、学習資源がある。それをうまく人々に結びつける専門家がいないんですよ、そこのところを何かやれるようにしていかないと、社会にある資源の有効活用ができないし、もったいないし、また、学習する人も非常に不便じゃないですかという話をして、ようやく納得してもらったら、国のほうでそういうことをつくるのはまかりならんでバツになっちゃったんですよね。したがって、その辺も、またこの今の現場に、実践に近いところですが、その実践に近いところをうまく社会教育主事とは違う形で生涯学習全体に絡むような何かというふうに引っかけていく考え方もできるかもしれませんから、そのあたりはまた皆さんのご意見をいただきながら、事務局のほうでも検討してもらえればと思います。
 きょうのところは、この人材のところはまだ物足りないと思いますが、次回、社会教育のほうは、まさに社会教育主事のことが出てきますので、そこでまたじっくりご議論いただきたいと思います。それで、きょうのところはこのぐらいにしておきたいと思うのでございますけれども、今後の日程について事務局のほうから説明をお願いします。

【上月生涯学習推進課長】
 ありがとうございました。
 次回は、ちょうど1週間後、同じ時間帯、14時から17時まで、場所はホテルフロラシオン青山の2階「芙蓉の間」で開催させていただく予定でございます。
 今、委員長からありましたように、次回は社会教育法等に関する論点の整理を行う予定でございます。よろしくお願いいたします。

【山本委員長】
 ありがとうございます。
 毎週1回で、強行日程でほんとうに申しわけないんですけれども、ご都合もあるでしょうから、もし出席できないという場合には、先ほどの清國委員のようなペーパー、大変ご苦労――貴重なのでありがたかったんですけれども、そういうものを出していただければ、発言と同じようにいきますのでお願いしておきたいと思います。
 それでは、きょうはこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

─了─

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生涯学習政策局生涯学習推進課

(生涯学習政策局生涯学習推進課)