中央教育審議会教育振興基本計画部会(第12回) 議事録

1.日時

令和5年1月13日(金曜日)14時30分~16時30分

2.場所

文部科学省会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 次期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過報告(案)について

4.出席者

委員

荒瀬委員、今村委員、内田委員、清原委員、清水(敬)委員、清水(信)委員、永田委員、村田委員、岩本委員、大森委員、川口委員、河野委員、黒木委員、黒沢委員、杉村委員、関委員、徳永委員、牧野委員、松浦委員、三好委員、元紺谷委員、吉田信解委員、吉見委員、渡邉部会長
 

文部科学省

藤江 総合教育政策局長、藤原 初等中等教育局長、池田 高等教育局長、里見 大臣官房審議官、安彦 大臣官房審議官、森友 総合教育政策局政策課長 等

5.議事録

【渡邉部会長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回中央教育審議会教育振興基本計画部会を開催させていただきます。
 本日も大変御多忙の中、御出席いただきまして本当にありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大はまだ収まらないため、本日もハイブリッドでの会議とさせていただきました。
 本日は、次期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過報告案という形で御議論いただきたいと思います。
 それではまず、本日の会議開催方式と資料につきまして事務局から説明をお願いします。
【川村教育企画調整官】  事務局の川村でございます。
 本日もウェブ会議での開催とさせていただきまして、傍聴につきましてはユーチューブにて配信をしておりますので、御承知おきください。
 御議論の時間におきましては、挙手ボタンを押していただければと存じます。部会長の御指名により順次御発言をお願いいたします。御発言時以外はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。
 本日の資料は、審議経過報告(案)に関する資料として、資料1から3、指標候補に関するデータとして資料4、また参考資料・データ集として資料5、ユースラウンドテーブルに関する資料として資料6の6つでございます。
 最後に、本日は全体30名の委員のうち、24名にご参加を頂いております。お忙しいところありがとうございます。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。それでは早速ですが、議事に入らせていただきます。
 まずは事務局から資料の説明をお願いいたします。
【川村教育企画調整官】  それでは、画面を共有して御説明をさせていただきます。
 本日、資料の1から6まで御用意しておりますけれども、まず資料の1でございます。こちら、次期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過について(報告)ということで、審議経過報告の案でございます。
 前回素案で御議論いただきました御意見を踏まえまして、今回修正をさせていただきましたのと、新しく追記をした部分がございます。
 まず、見え消しで、前回資料からの修正でございますけれども、課題、そして展望ということで、全体として前向きな要素というのを文言として盛り込むという御指摘ございましたので、修正をしております。こういった形で、見え消しで修正をさせていただいております。
 文言的な修正もございますので、主なところを御紹介させていただきますけれども、6ページでございます。6ページからのところ、教育の重要性について2040年以降の社会を展望したときに、教育こそが社会をけん引する駆動力の中核を担う営みであって、人間中心の社会を支えるシステムとなる時代が到来していると言えるのではないかという、この果たす役割の大きさ、こういったことについて追記をしております。
 続きまして、8ページのところでございます。8ページの上のところでございますけれども、前回、概要資料の方で記載をしておりましたSociety5.0に関する求められる資質・能力に関する記載追記をしております。
 それから9ページ以降でございますけれども、こちらはウェルビーイングに関する御意見、一応ございましたので、修正をさせていただいております。協調性を協働性という趣旨の明確化の観点と、それから、大学分科会で社会情動的スキル、非認知能力を追記すべきではないかという御意見ございましたので、こちら追記をしております。
 それから9ページの下のところは、これまでコンセプトとして記載をしていた内容をこちらに追記をしたというものでございます。中身自体は変わっておりません。
 それから11ページのあたりですけれども、前回、文言の整理について課題解決型学習ですとか、また内部質保証に関するところですとか、教学マネジメントの確立に関するところですとか、こういったところの文言整理をさせていただいております。
 それから、15ページでございます。この誰一人取り残さずのところ、「地域社会の国際化が進む中」ということで文言を追加させていただいております。
 それから、16ページでございますけれども、マジョリティの変容の重要性、更に記述を充実する形で追記をしております。
 それから次、19ページでございます。19ページの、地域社会の担い手のところに「当事者として」という文言の追加をさせていただいております。
 それから、25ページでございますけれども、ここからが今回新しく追記をしたところでございまして、前回、今後追記と記載しておりましたEBPMに関するところと教育投資のところ、新しく赤字のところを記載しております。
 まず、教育政策の持続的改善のための評価・指標の在り方ということで、教育政策に関する客観的な根拠を用いた行政運営の関係の記述でございます。
 こちらは現行の計画にもございますけれども、こちらも踏襲をする形でございまして、この2つ目の丸のところ、「また」のところには、研究者や大学、研究機関との連携といった内容でありますとか、また、その下のところ、PDCAサイクルの推進につきましても基本的な考え方、そして、国と地方公共団体の役割分担に関する内容を記載しております。教育政策の企画・立案につきましても、この段階において例えばロジックモデルですとか、また、政府統計を含む多様なデータ、こちらも御指摘ございましたので、そういった内容を記載しております。
 それから、次のページに参りまして、教育政策の実施の段階におきましてということでございますけれども、こちらも各政策の進捗状況の、毎年のフォローアップですとか政策評価の関係、また、2つ目のポツでは数値化できるデータ、また、それが難しい側面も含めて現場感覚を持って得られたのを反映できるような行政職員の育成についても記載をしております。
 それから、教育政策の評価・改善のところにつきましては、教育振興基本計画の、フォローアップに際しての政策評価との整合性でありますとか、下の方には、目標横断的な視点からの分析、また、この調査の重複による教育現場の負担が生じることのないような留意、こういった内容を入れております。
 客観的な根拠を重視した政策推進の基盤形成のところ、EBPMについて、国立教育政策研究所の体制整備、また、国の調査の改善、さらには大規模教育データ(ビッグデータ)の分析、利活用といった観点を記載しております。
 (2)は教育投資の在り方に関する記載の追加でございまして、こちらも現行計画にもございますけれども、まず、教育投資の意義ということで、教育、個人の社会的自立の基礎、また、ウェルビーイングを実現すると同時に、広く社会に還元され、社会の維持・発展の原動力であるという認識。
 また、この「人への投資」が成長への源泉であって、それを通じた「成長と分配の好循環」を生み出すために、教育への効果的な投資を図る必要があるという考え方。そして、この教育投資というのは未来への投資であるということ。こういった意義に関する記載をしております。
 その上で教育投資ですけれども、公財政支出、家計による負担に加えということで、寄附等、社会的な様々なその投資の在り方があるということで、寄附文化の醸成についても記載をしております。
 そして、その次のところでは、第3期計画までの教育投資の状況ということで、特にこの計画期間においては、今期の計画期間においては幼児教育の無償化ですとか高等教育の就学支援新制度の創設による教育負担の大幅な軽減、また、GIGAスクール構想ですとか35人学級といったフォローアップで御確認いただきました内容について、投資の観点で記載をしております。
 併せまして、国際的な状況に関しての記述でございます。GDP比で見た場合の就学前教育から高等教育までのOECD諸国の平均が4.4%、これは公財政教育支出の比率が4.4%に対して、我が国は3.0%というデータ。また、在学者1人当たりで割り戻しますと、OECD平均の金額に対して我が国の金額はこれだけであるというデータ。また、租税負担率に関して、OECD諸国の平均と我が国の租税負担率のデータ。こういったことを記載させていただいております。
 いずれにしても次のページでございますけれども、現下の様々な教育課題に対応し、所要の施策を講じるために引き続き必要な教育投資を確保する必要があるという認識を示しております。
 本計画期間における教育投資の方向性ということで、次のパートが次期計画における方向性でございます。
 まず、教育費負担の軽減につきましては着実な実施とさらなる推進ということで、これまで実施してきた無償化関係、就学支援関係の施策を引き続き推進するということとともに、高等教育段階においては給付型奨学金と授業料減免の拡充の方向性、こちらを記載しております。
 2は、各教育段階における教育の質向上の観点でございまして、2つ目の丸では、初等中等教育段階に関する内容でございます。指導要領の着実な実施、教員研修の高度化、GIGAスクール構想、また、教職の魅力向上のための勤務環境、ICT環境の充実、部活動の地域連携・地域クラブ活動への移行、また、働き方改革を踏まえた給特法等の法制的な枠組みを含め処遇の在り方の検討、支援スタッフの配置を含む指導体制の構築、校務DX、こういった内容をこちら投資の関係で、特に記載する形を取っております。
 また、学校施設についての長寿命化改修等という内容。
 また、高等教育段階につきましては大学改革の徹底等とともに、国立大学運営費交付金や私学助成について、質向上のため適切な措置を図りつつ、多元的な財政基盤の確立を進めるということ。
 また、デジタル、グリーン等の成長分野をけん引するための新たに創設する基金を活用した支援に関する記載。10兆円ファンドの支援、さらには優秀な博士課程学生に対する支援、こちらについても記載しております。
 また、人生100年を見据えたライフサイクルの中でのリカレント教育の環境整備。
 大学キャンパスに関しての長寿命化・脱炭素化の施設整備等という内容についても記載をしまして、以上を踏まえということで、本計画期間内においては、上述の、教育の姿の実現に向けて、OECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を参考とし、本計画に掲げる目標の達成や施策の実施に必要な予算について財源を措置し、真(しん)に必要な教育投資を確保していくことが必要であるという形で記載をしております。
 その下のところには国民の理解醸成ということで、教育投資に当たっての広く国民の理解醸成する必要性についての記載をしております。ここまでが今回新しく記載した内容ということでございます。
 これ以降、各論でございます。各論の記載でありますけれども、34ページでございます。高等学校教育の改革のパートにつきまして、高等学校教育の質保証を行うという形の記載の修正を行っております。
 それから、36ページでございますけれども、学校段階間の接続、中高の接続について記載を追加しております。
 更に37ページのところ、文理横断・文理融合に関する御指摘もございましたので、主専攻・副専攻制を導入する大学の割合の増加、こちらを指標として追加させていただいております。
 それから、38ページでございますけれども、体験活動・交流活動ということで、こちら、異なる組織や集団の境界を越えた交流活動についての重要性に関する指摘がございましたので、様々な体験交流活動の充実を追記しております。
 それから少し飛びまして、45ページでございます。45ページ、在外教育施設の関係でありますけれども、所在国の実態に即した教育資源の活用、ICTを活用した国内外の教育機関との交流、御指摘を踏まえて追加をしております。
 続いて47ページでございます。この理工系分野をはじめとしたということでございましたけれども、文型分野を含めまして全体でこういった社会課題解決に向けた教育の必要性についての御指摘ございましたので、文理を問わずという形で追記をしております。
 続いて48ページでありますけれども、アントレプレナーシップ、起業家教育の関係でありますけれども、こちらもこの事業だけではなくて、各学校段階における教育活動全般での、推進の必要性の御指摘がございましたので、その御指摘を踏まえた修正をしております。
 続きまして48ページでございます。平和に関する教育の重要性について御指摘ございましたので、「平和で民主的な国家・社会の形成に向けた」という文言の追加をしております。
 続いて50ページでございますけれども、多様な教育ニーズのところ、柱書きに「ウェルビーイングの向上」、こちらを追記すべきという御指摘を踏まえた修正でございます。
 それから、51ページでございますけれども、不登校児童生徒への、支援の推進のところ、御指摘を踏まえまして学校におけるということで整理し、多様な学びを実現するというところ。また、不登校特例校につきまして、各都道府県や政令市での1校以上の設置を本計画期間内において進め、将来的には、希望する児童生徒が居住地によらずアクセスできるよう、全国で300校の設置を目指すという目標の記載でございます。
 それから、次の52ページの上のところでありますけれども、不登校児童生徒本人等の声も踏まえつつ、近年の長期欠席者数や不登校児童生徒数の増加に係る要因分析を行い、今後の調査設計の改善も含め、要因分析の結果を踏まえた取組を推進するという形で修正をしております。
 続いて53ページでございますけれども、日本語指導の関係、学級だけではなくて学校全体でという御指摘ございまして、そちらを踏まえた修正でございます。
 続いて、飛びまして59ページでありますけれども、社会教育人材の養成のところ、社会教育主事講習に関する記載、デジタルの技術の発展、記載を厚くする形での修正をしております。
 続いて60ページでございますけれども、情報活用能力の関係で情報の真偽を吟味する力というところで追記しております。
 それから少し飛びまして、65ページでございます。事業に関する中期的な計画での意見を聞くという指標の方に入っているもの、本文に記載がないという御指摘がございましたので、それを踏まえた修正をしております。
 それから、次、66ページでございますけれども、通信速度の関係に関する記載を追記しております。
 それから、67ページでありますけれども、経済的、地理的状況によらないというところの指標のところでございますけれども、若干書き方の整理もございますけれども、高等学校の中退者数減少のこと、ここも記載の整理です。下の2つでありますけれども、ICT機器を使った学校外施設にいる人々とのやり取り、また、遠隔教育に関する指標を追加しております。
 続いて69ページでございます。NPO、企業等との連携に関する指標について、地域における学校と団体との連携状況の指標を検討としておりましたけれども、こちらは学校に対する地域や保護者の理解が深まったと認識している学校の割合ですとか職場体験等に関するもの、また、法務相談の体制の整備、こういったところを指標候補として追加をしております。
 最後71ページ、最後のページでありますけれども、ステークホルダーのところ、少し具体的に記載すべきではないかという御指摘ございましたので、それを踏まえた修正ということでございます。
 以上、資料1、本文についての修正を御説明させていただきました。
 それを踏まえまして反映をしたものが資料2で、これは溶け込みの資料でございますので、説明は省略いたします。
 資料3でございますけれども、こちらは先ほどの修正を踏まえて、概要資料についても若干修正をしております。教育に関する重要性の記述の追加、また、地域社会の国際化への対応ということで、この上3つの横の関わりをより明確化すべきという御指摘ございましたので、その観点から下のところ、人生100年時代に複線化する生涯にわたって学び続ける学習者というこの3つに関わるようなところ、こちら追記をしております。
 2枚目につきましては、今回新しく追加をしましたEBPMと教育投資のところに関するこの記載の概要を追加するとともに、各教育政策の目標と基本施策のところについては、指標を新たに例として追加をしております。スペースの関係上、全部は載せておりませんけれども、抜粋という形で概要として作成をしております。
 それから資料4でございますけれども、資料4は、指標候補の現状のデータがどうなっているかという資料で、前回の資料でもおつけをしておりましたけれども、今回指標候補、追加をしたものについて現状のデータを追加しまして、直近5年程度の状況について御覧いただくための資料ということで御用意しております。
 それから資料の5ですけれども、こちらは審議経過報告の参考資料ということで、教育基本法の抜粋ですとか教育振興基本計画のフォローアップで御覧いただきましたデータを資料集的に御用意したものでございます。こちらは既にお示し、御覧いただいたものがございますけれども、新しく御用意した資料として32ページでありますけれども、今回全般的な内容でございますので、この人口に関するデータにつきましてお示ししておりまして、各学校段階に相当する年齢の人口の推移が2000年から2040年にかけてどうなっているかというところにつきまして記載しておりまして、御覧いただければ2040年にかけまして2020年比で3割から4割、児童生徒、子供の数が減ってくるというような推計がなされております。
 それから、この辺りのデータは既に御覧いただいているものでございますので、説明は省略をさせていただきまして、ウェルビーイングですとかそういった内容についても記載を入れております。
 49ページ以降が、今回EBPMと教育投資に関して追加をした内容に関わる資料でございます。文部科学省におけるEBPMの推進の体制、そして、標準的な進め方に関する資料、また、教育分野のEBPMの取組につきまして、最近の取組事項ということで21世紀出生児縦断調査を用いたといった具体的な内容ですとかデータ利活用の関係、また、コンソーシアム体制の構築といった形で取組を御説明する資料でございます。
 それから、次のページ以降は公財政支出等に関するOECDとの比較データでございます。たくさんございますので、本文中に記載しているものだけ御紹介しますけれども、こちらは先ほど御説明をさせていただきました初等教育から高等教育までのOECD平均、このGDP比で4.4%に対して、日本は3.0%というデータでございます。
 それから、学校段階別の資料もございますけれども、54ページでありますけれども、54ページにつきましては、在学者1人当たりに割り戻したときの公財政支出が、OECDの中で日本はどの程度の状況にあるかというデータでございます。
 それから、58ページにつきましては租税負担率、先ほど御説明した日本の状況、租税負担率はこの青いバーでありますけれども、25.8%ということでございます。こちらはOECD諸国の租税負担率、それから黄色のところは社会保障負担率、合わせまして国民負担率になりますけれども、租税負担率の状況というものを資料としております。
 それから60ページも新しく分析をしたデータでございまして、2000年、2020年、2040年で生産年齢人口に対して高齢人口がどれだけの割合になるかということで、日本は2040年には突出して高齢人口の割合が高くなるというのが他国と比べても、状況としては進むということが予測をされております。
 抜粋で、かいつまんで恐縮でございますけれども、データについての説明は以上とさせていただきます。
 最後でありますけれども、ユースラウンドテーブルの御説明をさせていただきます。ユースラウンドテーブル、12月10日に子供たちから意見を聴く機会ということで、ウェブ会議システムを使いまして、意見交換を行いました。ご参加いただいた先生方、誠にありがとうございました。
 23名の子供たちに参加をしてもらいまして、小学校、中学校、高校、大学という学校段階別に分かれて議論をしてもらいました。グループワークで出された主な意見ということで、かいつまんで御紹介させていただきます。
 まず、論点1、学校で楽しいと感じている、悩んでいることのエピソードから入ろうということで、小学生グループ、例えば友達と遊ぶ、またクラブ活動、体育、休み時間、こういったところ、それから、先生と近い目線ということで、こういった形でやや羅列的ではございますけれども、子供たちの生の声ということで記載をしております。
 中学生グループになってまいりますと、この部活動というものが入ってきますし、高校生グループでも同じように部活動、また、勉強、リフレッシュというようなこと。大学生になりますと自分で資料を作って発表するですとか、やりたいことにアクセスできる、こういったところが楽しい内容として入ってきております。
 悩んでいることにつきましては、いじめの関係、それから、朝だるくて登校したくないですとか、そういった内容ございます。それから、中学生になってきますとやはりこの受験の関係の内容が出てまいります。高校生でも同様でございます。また、高校生になってまいりますと校則についての意見も出ておりました。大学生、オンライン授業での課題に関する意見もございました。
 そして、論点2ではこれからの学校教育で大切すべきことということで、カテゴリー分けまして、まず、授業・教育関係でありますけれども、例えば小学生グループではいろいろな境遇の人への共感を高められるような教育があればいいという意見も出まして、これは共生社会の実現に向けた計画の中のパートに対応するような内容であろうかと思います。
 中学生グループになりますと、この授業が将来何につながるのかということを分かるような形の授業にしてほしいということで、これは知識を活用していくというような方向性、また探求といった活動、こういったことにつながるような意見であろうかと思います。また、グループ活動に関すること等について意見が出されておりました。
 高校生グループでは、情報に関することで負担が増えて、先生も新しい技術に対応してほしいことですとか、大学生グループも、振り返って自分の小中高でどうだったかということで、例えば知識詰め込みになっているですとか、先生の考えで入試に必要な知識を覚えていい大学に行くことがいいと思っているといった課題感に関する意見がございました。
 それから、デジタル関係でありますけれども、中学生グループ、パソコンも教科書もあってリュックが重いということですとか、アクセスブロックがあって必要なところにたどり着けないということですとか、他方で、使用について制限がないことは問題だという意見、また先生の操作の不慣れな先生がいるというような指摘もありまして、この辺りICTに関する指導力の向上というところを計画の中に盛り込んでおりますけれども、そういったところに対応する意見であろうかと思います。それから、高校生でもICTに関する意見ございました。
 それから学校関係、学校全体の関係でありますけれども、小学生は先生と気軽に話したいということですとかジェンダーやプライバシー、また、中学生は校則の意見が出ております。高校生では外部の方の意見を聞く、体験できる機会、学校間の交流というようなことで、こちらは体験交流活動のパートにつながるような意見であろうかと思います。
 それから最後のところ、教師の関係でありますけれども、学校の先生が忙し過ぎるということについては、子供たちも感じるところがあるようでございます。余裕がある方がいいということですとか、他方で、この子供の意見をもっと聞いてほしいというような話も出ておりました。
 中学生グループでも先生、いい先生というのは生徒と普通に話せる先生であるということですとか、一クラスの人数が多過ぎるというような御意見、また、ICTに関する様々な連携、不登校の子一人一人の話をよく聞いて対応してほしいというようなこと。
 高校生グループ、生徒会で出た意見がなかなか聞き入れられないということもありましたので、この辺り、子供の権利利益擁護ですとか意見表明に関する内容、計画に盛り込んでおりますけれども、そういったところにつながる意見であろうと思います。
 大学関係でも授業のデジタル教材の関係で意見がございました。
 こちら12月10日の概要の資料として御説明をさせていただきましたので、こちらまた意見交換の参考としていただければと存じます。
 長くなりましたが、説明は以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。それでは、冒頭申し上げたとおり、次期教育振興基本計画の審議経過報告案について御議論いただきます。とりわけ今回の資料1で新たに加わった部分や追加された部分について、どう整理したらいいのか。それから、最後のユースラウンドテーブルの扱い等について、御意見を伺えると助かります。
 それでは、御意見のある方はいつものとおり、挙手ボタンで教えていただければと思います。いかがでしょうか。それでは、大森委員からお願いいたします。
【大森委員】  ありがとうございます。大森でございます。今日少し早めに退出をさせていただくものですから、一番に手を挙げさせていただきました。申し訳ございません。大変な分量を追加も頂きまして本当にありがとうございます。
 今回追加された教育投資の部分で質問というのか、私が不勉強なのでなのですけれども、OECDとの比較というのはいろいろなところで出てくると思うのですけれども、大抵そのOECD平均との比較がなされていると思います。なかなかその平均にも到達していないというところで、平均がこうなのに日本はこうだよという比較なのだと思うのですけれども、これ、やはり平均でいくのがいいのか。つまりもっとトップクラスと比べたらこれだけ差があるのだよという表現の仕方もあるのかなという、つまり平均値に行けばいいという目標になってしまいやしないかというようなこともあって、一般的には平均と比べるのが普通なのだよと、トップクラスのところはまた特殊事情があるのだからということなのか、何となく慣例として平均と比べているのか。もしそうだとしたらもう少し上位と比べてこんなに差があるという書き方もありなのかどうかというあたり、質問も含めてなのですけれども、教えていただけたらと思いました。
【渡邉部会長】  本質的な御意見をありがとうございます。事務局からも後でコメントいただきたいと思いますが、おっしゃるとおり、従来はOECD平均と比べて、就業前の投資がかなり低いとか、高等教育は特に及んでいないといった視点で、比較されてきましたが、日本の初等中等教育あるいは全体の平均値がOECD平均とイコールでいいのか、日本の教育の将来を考えるときそれでいいのかということを、この資料ではある意味、課題提起をしているのではないかと私は受け止めております。
 人への投資から始まって、教育への投資の重要性がこれだけ言われる中で、平均値でいいのでしょうかという課題意識を今回の基本計画は投げかけていると思います。
 事務局の方で何か追加はありますか。
【森友総合教育政策局政策課長】  失礼します。政策課長の森友です。
 先生、ありがとうございます。御指摘、一般的なほかの教育以外の資質の関係でも、基本的には平均値というのはやはりその比較の対象になるというのは一般的な取扱いだと思います。大森先生が御指摘のような、そのトップを狙うのだったらトップの方を比較にすべきじゃないかという御指摘も、そういった御指摘もこれまでもございましたのでごもっともだと思うのですけれど、そういったことも加味しながら、最後の記述のところで、ページで申し上げますと31ページの上から3つ目の白丸ですけれども、ここはOECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を目標としてとかは書いていないわけです。いろいろな状況があるので、そこを参考としてしっかりやっていくのだと。その上でここの部分では、先ほども川村から申し上げましたけれども、本計画に掲げる目標の達成や施策の実施、ここの施策の実施というのは、これまで委員の先生方に御議論いただいて、膨大な施策が後ろに計画としてついているのですけれども、その施策それぞれを実施するために必要な予算について財源を措置すると書いてありますので、それをてこにしっかりこれから予算獲得をしていくことになるのだろうとは思っております。
 直接のお答えになっていないかもしれませんが、そういうことでございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。それでは、引き続き、吉田信解委員、お願いいたします。
【吉田(信)委員】  いつもお世話になります。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず1点は評価というか、39ページで、私が申し上げたこの我が国や郷土の伝統や文化を受け止め、日本人としての美徳やよさを生かしと、これが入ったのは非常に高く評価をしたいと思っております。それが1点でございます。
 もう一つ、これは49ページなのですけれども、「国家・社会の形成に」というところの枕言葉に「平和で民主的な国家・社会の形成に」と書いてあります。これは全く間違いではなくそのとおりなのですけれども、であれば、もう少しここは文章をきちんと長くしてもいいのではないかと。それはなぜかというと、平和というのはやはり主体的にしっかり関わって構築していくべきものだと私は思うのです。平和と唱(とな)えて平和が来るというよりもやはり平和な世界をみんなでつくろう、つくっていこうという主体性がなければ、主体的な関わりがなければ平和というのは生まれないわけでございますので、例えばですけれども、その平和な世界というのは、我々人権であるとかあるいは自由であるとか民主主義であるとか、そういうものがしっかりとなければ、いかにその平和な世界であっても抑圧されている国であるとか、そうであってはいけないわけなので、例えばですが、私のここ少し長くなりますけれど、「自由で平和な世界を構築し、民主的な国家・社会の形成に主体的に参画する主権者として」と、少し枕言葉は長いですけれども、そのぐらいしっかりと打ち出してもよろしいのではないかと思うのです。
 主権者というのは正に我々が国家を形成し、そしてその平和で自由で、そういう世界をつくっていくために主権というのは行使していくべきものでございますので、平和で民主的な国家という言い方だと何というか曖昧というかぼやっとしてしまう。自由で平和な世界を構築し、民主的な国家・社会の形成に主体的に参画する主権者というぐらいに大きくしっかりと示した方が私はいいのではないか。
 今のお子さん方と話をしてみると、ウクライナの情勢にどう対応したらいいかということ学校で教えてくれませんと、はっきりある小学生が言いました。やはり非常に小学生も危機感を持っているわけですね。私たちどうやって、どうしてやっていったらいいのだろうかという、今、教育に求められているのはやはり世界の平和を積極的につくり上げていくために一体日本として何が必要なのか、こういったことも小さいうちから教えていく、主権者教育の中で教えていく、そういう姿勢が私は大事なのだろうと感じておるところでございますので、1点指摘をさせていただきます。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。こちらも大変本質的な御意見だと思います。前回も少し触れさせていただいたように、本文の冒頭に教育の普遍的な使命が記載されています。改正教育基本法の前文と1条の教育の目的、2条の、教育の目標のところで、日本の教育全体の視点が明示されていますが、その目的として、「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」と書いてありますので、御指摘のような精神はこの教育基本法に表れており、本質的なものとして位置づけられていると思います。
 御指摘の主権者教育の推進は、主権者としてもその認識をしっかり持ち、主体的に参画する主権者になりましょうということですので、御意見の趣旨は今の捉え方で要素は入っているのではないかと思いますが、御意見として受け止めさせていただきます。
 事務局、何かございます。それでは次に、村田委員、お願いいたします。
【村田委員】  ありがとうございます。非常によくまとめていただきまして、ありがとうございました。今日、私の方からは特に新しくつけ加わった教育投資のところについて、一言お願いといいましょうか、御意見を言わせていただきます。
 28ページのところなのですが、先ほど部会長からも少しございました平均のところでお話が出たのですが、教育投資の国際的な状況についてのところで、特にこの文章のところ、脚注には全部データが出ているのですが、あるいは参考資料のところでも言いますと55ページ、56ページの参考資料のところに当たるのですが、例えば就学前の段階から高等教育段階までについてはOECDと平均と比較して云々(うんぬん)とあるのですけれども、実際問題、これは55ページの初等のところ、初等中等教育段階はほぼ平均と同じぐらいなのです。ただ、高等教育段階は後ろから数えて4番目か5番目で平均の半分ぐらいしかない。
 特に、これから知識集約型社会と言われている中で、もちろんその基盤としての初等中等教育になるのはよく理解をしておりますし、そのとおりだと思いますが、やはり高等教育段階での公財政支出というのは、これから極めて重要になってくると思いますので、少しここは例えば具体的に高等教育段階の公財政支出が平均について半分ぐらいであるというような、全体像を書くのではなくて、個別にここが特に足らないのだということを強調しておく必要が特に今後R&D、いわゆるイノベーション等々が重要視されている中で、高等教育の重要性というのはますます増してくるわけで、その辺り少しお願いできればなと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。思いは全く同じでありまして、30ページで、財政基盤確立が特に高等教育段階で重要だと記載しております。事務局より何かございますか。ありがとうございました。
 それでは次に、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  ありがとうございます。私も新たに書き加えられたところについて申し上げたいのと、あと修正していただいたところも少し細かいことですが、気になることがありますので、そちらも発言させていただければと思います。
 まず、この教育政策、教育投資のところを本当に大変丁寧に書き起こしていただいて、特に数値化されないところにもきちんと目配りをしてデータ等を集めていくということを書いていただいたことはとても重要かなと思います。
 それから、教育投資なのですが、今平均のことが何度も出ていますけれども、額が多いことがいいことなのか。それともやはり投資というからには果実というか、投資した結果どういうものを得るのかということがもう少し何か言及されてもよいのではないか。最終的にはウェルビーイングということになると思うのですけれども、OECD平均を指標とするにしても、平均というのも在学者1人当たりで見るのかそうでないのかによっても変わってきてしまうと思います。要は目標とすべきところがその投資によってどれぐらいウェルビーイングがうまくいくことにつながるのか。
 投資はたくさんしたのだけれど、結局余りうまくいっていないというところもあるのかもしれないので、一体、我々この投資によってどういう成果を目指すのか。単純なマンパワーポリシーでなければ、やはり金額や経済的成長にとどまらない価値の創造であるとか、未来への指向性とか、そういう金額では測れない意味や価値というものをリターンとして目指していって投資をしていく、というようなところのニュアンスも、少し何らかの形で加えていただければ有り難いかなと思いました。
 それとも関わって、やはりお金を教育にかけていくというのは大切で、寄附文化の醸成ということがありまして、これもとても大切なことですし、私のような私立学校・大学に関わっている者としてはとても切実なのですが、ただ、この寄附文化の醸成もどうしたら寄附文化を醸成できるのか。私どもの学校法人も長い歴史の中でようやく醸成できているようなところもありますので、もう少し社会全体としていろいろなところから資金を集めていくということに何か具体的な指針のようなものがあると分かりやすいのかなと思いました。
 以上が政策投資のところなのですが、もう一つ、この修正していただいた11ページのところの主体的・対話的で深い学び、アクティブ・ラーニング、大学教育の質保証というところです。これは恐らく前回、私が発言させていただいたものを大変丁寧に直していただいて、基本的にこれでいいのかと思うのですが、少し気になったのは「3つの方針」に基づく教育課程の編成、となっているのは、3つの方針の中の一つに既に教育課程の編成というのは含まれているので、少し3つの方針に基づく大学教育の構築であるとか、あるいは3つの方針に基づく学修者本位の教育の実現、後でも学修者本位は出てくるのですけれども、教育課程に限定しない方が今の高等教育政策の動向としては沿うのかなと思った次第です。大変細かいことですが、このことを指摘させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。2つ目の御意見について、確かに3つの方針と教育課程、カリキュラムポリシーのところは、少し重なっている感じもしますので、少し工夫をさせていただきます。
 1つ目の御意見は、おっしゃる趣旨はほとんどそのとおりだと思いますし、教育政策の評価・指標の在り方の冒頭に記載している、長期性のことですとか因果関係が難しいこと、ゆえにEBPMが重要だということと重なるのではないかと思います。この辺の反映がどうできるのかについては検討させていただきたいと思います。何かございますか、よろしいでしょうか。
 
 それでは次に、黒沢委員、お願いいたします。
【黒沢委員】   いつもお世話になっています。よろしくお願いします。
 私からはシンプルに1点だけです。27ページの教育投資のところで、2つ目の丸で「人への投資」というところがあって、まさしく人へ投資していくべきだと考えます。その、人というところが教職員も含めた人として捉えていきたいなと思っています。子供たちだけ投資するのではなくて、それを支える教職員にも投資をしていただければなと思うところです。
 以上です。
【渡邉部会長】  御指摘のとおりだと思います。大変貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは次に、牧野委員、お願いいたします。
【牧野委員】  よろしくお願いいたします。お世話になります。
 取りまとめ、どうも御苦労さまでした。事務局のみなさんには、お正月休みはなかったのではないかと思って心配をしておりますけれども、とてもいい形にまとまってきたのではないかと思っています。ありがとうございます。
 特に教育が社会を引っ張っていくといいますか、これからの社会では、教育こそが大事なのだということが前面に出ているということと、それから、新しく書き加えられた政策の在り方や評価、財源確保といったことについても、とても充実してきたと受け止めております。
 その上で、皆さん今、議論されましたけれども、教育投資について、少し違う観点からなのですけれども、気になっています。どういうことかといいますと、投資という言葉がこの振興計画案では一般的になっているのですが、投資という議論ですと、予算を何としても確保しなければならないという議論にはならないのではないかと思ったりするのです。
 投資についての議論、これは、内容を読めば、きっちりと予算を確保して、子供たち又は国民に対して教育機会をきちんと保障するのだと読めるかもしれませんけれども、例えば今の御議論の中でも、投資ということになると効果がどうなるのかとか、そういうことになっていってしまっていて、当然これは政策をつくるときにEBPM、またPDCAを回せと言われていて、きっちりと評価をしなければいけないということから出てくる議論なのかもしれません。しかし、例えば今回のこの基本計画の大きな方向性として、教育基本法の理念があって、更にウェルビーイングということがあって、ある意味では指標化しにくい理念をベースにして、人間中心の社会をつくっていくのだということが基本で書かれてきたはずであったものが、何かここで突然投資論になってしまうと、役に立つ、立たないとか効率性がどうのみたいな議論になりかねないようなところを感じざるを得ません。やはり、私たちが今まで議論してきましたように、全ての子供たちが例えば家庭の経済状況にかかわりなく、又は障害があるなしにかかわりなく、又は外国籍の子供たちもきちんと教育を受けることができて、自分の将来を自分でつくっていく力をつけていく。そうしたことが結果的に社会を発展させ、また国を豊かにしていくといったような筋道があるはずなのですが、そのためにはどうしてもやはりこれだけの予算は確保しなければならないというような議論というのはできないものかと思っています。私の意見は、少しナイーブ過ぎるかもしれませんけれども、むしろ投資論には解消できないところこそが大事なのだというような議論をどこかで財政論としてやっておかなければいけないのではないかと思っていまして、その辺りを少し何か御議論いただけないかというふうに思います。
 それから2つ目としましては、それと関わるのですけれども、特に大学の中にいますと、私の本務校もそうなのですけれども、それ以外に私が関わっているいわゆる中堅クラスの大学が今、特にそういう傾向が強くなっていると感じるのですが、先ほど申し上げたEBPMとかそういう評価との関わりで行われている改革の在り方や、質保証といったことが、どこかで何か合成の誤びゅうを起こしているような感じがして仕方がないのです。
 簡単に言いますと、先ほどユースラウンドテーブルの報告で、大学生の方が授業以外にいろいろな学びができて楽しいとおっしゃっていたのですが、むしろ何かどんどん逆に今、大学の中では管理が強くなってきてしまって、学生を授業に出させろ、出席を取れという話になってしまっていて、その結果、学生に何が起こるかといったら、出席を取ってもらうことが目的になってしまって、大学に来て出席を取られたら安心して、授業以外で勉強しなくなるということがどんどん起こってしまっているのです。
 更に教員に対しても、例えばこうせよ、ああせよというある種の命令又は指示が多くなっていて、管理が強くなっていくということが起こってしまっています。本来そういう命令とか指示ではないような形で、人々が主体的に新しい社会をつくっていく、主権者として彼らが育っていくようにしようと思っているのに、そのためによかれと思ってやっていることが、気がついたら何かそれこそ合成の誤びゅうが起こってしまっていて、管理主義的になっていってしまっている。そして、多くの大学生たちがどちらかというと小中学校で授業を受けているような感じで授業に出てくるようになってしまっているのが現実ではないかと思うのです。
 その意味でやはりこの計画の中に、そうならないようなロジックをどこかに埋め込めないのかと思っていまして、その辺りをもう少し御議論いただけたらいいのではないかと思っています。
 更に最後ですけれども、今回の資料の1が審議経過の報告になっているのですが、これが将来的には振興計画として決定されていくのだと思いますけれども、誰に向けてこれをつくっているのかといったことも、やはり問わなければいけないのではないかと思っています。例えば、教育振興基本計画は、改正教育基本法でつくることが決められているのでつくっているのですが、私が関わっている自治体では、昨年度ほとんどの自治体で教育振興計画や教育ビジョンがつくられていて、5年から10年は変わらないものになってしまっているので、今回、国がつくってもそれを反映するというふうには動かないのです。
 そうなってくると、この国の振興基本計画はどこに向けてつくられているのか、政府に対して出しているのか、又は国民に対して語っているのか。ただ、国民も住民ではあるわけで自治体の住民ですから、そうなると、この振興基本計画が提示される先というのは国民なのか住民なのか、それがどういう関係になるのかといったところがまだ私自身も十分捉え切れてないところがあるのです。先ほどの財源のところで、国民の理解を得ると書かれているところがあったのですけれども、むしろ国民に対して分かりやすく国がこう考えていて、これからこういう教育を実施して、そして子供たちがこういう人生を歩むように国がきちんと保障するのだといったことを分かっていただくためには、どういう書きぶりにしたらいいのか。中身はこれで細かいところまで書かれていますからいいのかもしれませんが、例えばポンチ絵が出ていますけれども、それに基づく形で最初に概要がきっちり書かれていて、重点でこれを見て国民の方々が、これならすばらしいと思ってもらえるものにしていくということも、これから書きぶりを検討しなければいけないのではないかと思っています。その辺りも含めて少し御議論いただければと思いました。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。今の御意見に関しては、もともと教育基本法から始まり、第3期計画まで進めてきて、次の5か年計画を閣議決定に向けてまとめているステージですが、おっしゃるとおり、日本の教育の予算配分からしても、自治体がほとんどの予算を抱えているわけなので、第一義的には各自治体に響いて動かないことには効果が上がらないと思います。
 したがって、閣議決定の後にどう自治体と国が連携を取れるのかといったことが非常に重要になると思います。ただ、それを支えてくれるのは国民の理解ですので、今回の最後に国民の理解と書いてあるのは、この計画が決まった後に、どう国民にもこういった考え方が響いていくのか、それを自治体との連携の中で響かせてほしいということだと思います。
 かなり本質的な御指摘で、すぐには解のないことですが、この閣議決定後の展開が非常に重要だと思います。事務局から、何かありますでしょうか。
 貴重な意見、ありがとうございました。
【牧野委員】  ありがとうございます。
【渡邉部会長】  それでは、内田委員、お願いいたします。
【内田委員】  このたびは大変なお取りまとめをどうもありがとうございました。非常に分かりやすく、かつこれまでとは違う形での斬新な資料になっていると思いました。
 私からは2つなのですけれども、1つ目は、日本発のウェルビーイングというものを国際的にも展開していこうというのがこの議論の中でも出てきたと思います。一方でOECDとの比較という話が最初に出てきていて、そうすると日本で一体何がしたいのか、それをどのように世界に展開していくのかというような指標に対する考え方について必ずしも明らかではないというか、従来的なとらえ方となっていると感じました。OECDの平均を狙っていくというよりは、むしろ質の側面に注目し、日本で展開したい政策が伝わるようなものになると良いのではと思いました。これが1点目です。
 2点目は、教育投資の最初にもウェルビーイングを実現するものであるということが明確に打ち出されていると思いますし、今回の計画の中で中心的な概念としてウェルビーイングが何度も出てきていたと思います。一方で実際にEBPMの話になってくると各論的だなという感じもしていまして、受け手の側(がわ)からすると、各論からどのように全体的なウェルビーイングにつながっているのか、全体的なそのストーリーラインがなかなか見えづらいかもしれないと思います。
 ウェルビーイングへのルートもいろいろあり、全て大事ですけれども、個別の施策であるとかそれに対する評価というものが、ウェルビーイングのどういう側面に関連しているのかというのは、ある程度ストラクチャーが見える方が分かりやすいと思いますし、今回の計画全体を統括するような部分になっていくのではないかと思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。御指摘のとおり、今回、指標例として多岐にわたる項目を挙げていますが、恐らく多くの項目がウェルビーイングの関連指標ということになるだろうと思います。
 その体系やストーリーラインは、今回の計画の中では整理し切れないものと思いますし、更にウェルビーイングの概念自体が、教育だけで管理・到達できるものではなくて、もう少し他省庁の要素も含めて形成されることになります。教育として、どこまで体系だってストーリー化できるのかは、評価、指標の在り方のところにあるような、アジャイル型の政策形式、評価の在り方といった形での整理が必要です。5か年の間で試行錯誤も続き、日本政府の中での、ウェルビーイングの指標の在り方とも関連しますので、一旦、指標群の体系だった整理を今後参考資料のような形で示すにしても、アジャイル型でいくという整理をしておいた方が良く、確立させてからスタートは難しいと思います。今回の評価、指標の在り方のところで、留意事項として記載させていただいていますが、その辺の理解を頂きながら、今後、弾力的な取扱いをさせていただければと思っています。
 事務局としてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、今村委員、お願いいたします。
【今村委員】  今村です。かなり、よいまとめになってきているような実感を持ちながら全体を拝読させていただきました。ありがとうございました。
 私からは皆様が大きな議論をされている中で、各論に入ってしまうのですけれども、目標7の多様な教育ニーズへの対応と社会的包摂という項目、50ページからの項目について、明記していただいたところを含めて発言させていただきます。
 まず、こちらの項目の中では、障害、不登校、日本語能力、特異な才能がある子供からヤングケアラー、困窮している子供の家庭、様々な教育ニーズに対して触れていただいている項目になっています。その中で、前回から不登校のことについては、今年、激増したという前提を踏まえたときに、もっと踏み込んだ書きぶりをすべきなのではないかということ、また、調査のし直しということについて、又は、調査の追加調査でもいいのですけれども、要因分析をきちっとすべきということについても、52ページにきちんと明記していただいたことは、すごく前に進んだ書きぶりにしていただいたということに感謝をしたいなと思いました。
 ただ1点、少し違和感を持ちましたのは、目標7の全項目の中で、かなり明確に数字目標が本文の中に入っているのが、不登校特例校300校という数字なのです。ほかのところは連携を進めるとか推進するとか、そういったどこまでやるということは書いていないのですけれども、不登校特例校が、今回の本計画期間内において、各県1校進める、これを明確に書かれたということはとても大きなことだと思うのですけれども、将来的には300校の設置を目指すと書いてあって、これがいつ出てきた数字なのか、私が存じ上げないので、どうしてこう書かれたのかなというところに違和感を持ちました。というのは、不登校特例校というのはかなりすばらしい取組がなされているのですけれども、それは飽くまで、困難を背負った子供たちに対する特例措置として、教育課程の弾力化等を進めたり、教員の加配もかなり手厚くされていると把握していまして、そこでなされていることというのは、将来的には、本当に全ての学校で、全ての子供たちに届く教育価値に転換していかなきゃいけないようなことも、特例校の中で今、実証的になされていると認識しています。
 なので、特例校を300校増やすというよりは、通常の全ての学校が不登校の子供たちを生まないというか、全ての子供たちに学びが届くような支援があるような形にしていくというところに重きを置いていくべきだと思うのですけれども、将来的には300校という数字が、コスパを含めて、ここにわざわざ明記する必要があるのかということが、増やしていくということはもちろん必要なことだと思うのですけれども、増やすんだったら、1,700の市町村全てに設置するとかということをしないと、300と言っても、それは非常に中途半端な数字が書かれているというのがすごく不思議に思ったので、この経緯を教えていただきたいと思いました。
 あと、ここの目標7に関わっている全項目の中の、54ページにスクールカウンセラーについての表記があるのですけれども、多分今、全ての学校で、全ての自治体で、全ての子供たちが一応、括弧付きの一応になってしまうのですけれども、アクセスできるのは心のケア資源としては、スクールカウンセラーさんが各校にいるということだと思います。ただ、これが名古屋市のように、年収700万のフルタイム人材がスクールカウンセラーとしているところもあれば、1か月に1回、5時間ぐらい来てくれるという学校もあるという格差が現状ありますので、まず、もちろん特例校を増やしていくというコストのかけ方もいいのですけれども、全ての子供たちに機会をつくっていく。スクールカウンセラーさんの在り方、スクールカウンセラーさんの増員、若しくはオンラインも活用したスクールカウンセラーへのアクセシビリティーの改善みたいなことも、この項目の中にきちんと入れていくことは、もしかしたら不登校特例校300校よりも先に検討しなければいけないことなのではないかと思いましたので、そこのところをも検討いただきたいです。
 それをすることによって、指標のところに明記されている、4万6,000人の何の指導も相談もアクセスできていない子供たちにきっと届くという未来になるということだと思いますので、そこを検討いただきたいと思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。目標7の社会的包摂について、御自身のいろいろな経験から大変貴重な御意見を頂いた結果、こうした項目で整理することができましたので、感謝申し上げます。社会的にも指摘されている不登校やヤングケアラーの問題ですとか、そういったことについての御指摘を頂いて、こうした記載ができたということは大変意義のあることだと思います。
 不登校の問題等については、行政の方でも有識者会議等で今までいろいろな議論をされてきたと思いますので、その辺の経緯について、少し説明いただけますでしょうか。
【川村教育企画調整官】  初中局の方、いかがでしょうか。
【安彦大臣官房審議官】  初中局審議官の安彦です。
 今、御質問いただきました、まず、不登校特例校300を目指すというところですけれども、今現在、各都道府県、また、政令指定都市をということで、ここの目標は明確になっているのですが、その中間的な目標として300、この数なのですけれども、例えば衆議院の小選挙区が300ぐらいだということもありますが、あと、学校でいうと、教職員の人事でよく単位となる教育事務所というのが、以前は260と、プラス、政令市だとか都道府県を入れると300ぐらいというような数字がもともとありまして、要は、通える範囲で、子供が通う、そういった学校に行けるというようなことを考えたときに、そういった中間的な目標として300という数字がありましたので、それを、今回の不登校の重要性に鑑みて、都道府県に1つで終わらないのだというようなことも含めて、そういった中間的な数字をこちらの方に書かせていただいているということでございます。
 また、スクールカウンセラー、御指摘のように、充実を図ってきておりますけれども、来年度の予算案の方では、オンラインを使って、これまでアプローチできなかったような児童生徒に対してもアプローチできるようにということで取組が始まったところということでございまして、当然スクールカウンセラーは、先ほど時間数の問題もありましたので、こういったところ中心となるような格好に時間数を増やしていくというのも段階的に進めているところでございます。
 また、先ほど言ったように、これが必ずしもゴールではありませんので、その次のゴールについても、御指摘いただいているようなところの不登校の要因分析、そういったものをしっかりと調査をしながら、データを取ったものを基に、調査研究協力者会議を立ち上げて、しっかりと検討して、その先の対策、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。今村委員、よろしいでしょうか。
【今村委員】  では、この300という数字については今後検討して、更に検討を深めるのだけれど、一旦書いたという、要は、各県1校ではとどまらないということを表すために一旦書いた300という数字ということなのでしょうか。
【安彦大臣官房審議官】  飽くまでも中間的なところで、必ずしも300できたらゴールなのかというと、御指摘のとおり、そういう別の形で、しっかりと支援体制が必要になってくるというようなことになれば、こういった数字のところも、どういうふうにしていくのかというのは、また変わってくるとは思うのですが、中間的な、かなり意欲的な中間目標ではあるかと思いますけれども、こういったものを示させていただいているところでございます。
【今村委員】  分かりました。とにかく全ての子供たちに支援が届くということのために何をすべきかということ、どの政策も一緒にコスパを含めて検討していくのが今後、重要かと思いましたので、発言させていただきました。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。恐らく、他の特例校の位置づけもそうだと思いますけれど、ノウハウを蓄積して、それを横展開するという意義もあると思います。したがって、ICT活用や教育支援センターとの連携、スクールカウンセラーの、関与の仕方等についての好事例を横展開するといった視点での特例校の活用ができればと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
 それでは、次に、徳永委員、お願いいたします。
【徳永委員】  ありがとうございます。大変充実した資料になっていて、取りまとめの方、本当にありがとうございました。
 私からは短く、新しく付け加えていただいた評価と指標の在り方のところについて、意見を申したいと思います。資料1の25ページと26ページのところで、研究者や大学研究機関など、多様な主体と連携協力しながら、数値化できるデータや調査結果のみならず、数値化が難しい側面についても情報収集、分析すると書いていて、この点、とても重要だと改めて思いました。今回は計画という性質もあって、ウェルビーイングとかDE&Iなど、抽象的な理念や提言が書かれているので、是非とも研究者や研究機関など、専門家と協力したり連携をするなどして、定量的、そして、定性的な方法で、信頼性、妥当性のあるデータを収集、分析して、緻密な政策検証をしていく必要があると改めて思いました。
 指標としては、数値化できる項目が中心に入っていると思うのですけれども、数値化が難しい点と書いてありますが、その点についても、インタビューとか、あとは観察など定性的な方法でデータを収集して分析するということができると思います。
 特に、子供や教員のウェルビーイング、外国につながる子供など多様なニーズのある子供の教育実態というのは、なかなか数値だけではリアルな実態というのを十分に把握することができないと思いますし、アクセスが難しい子供たちもいますので、定性調査というのが本当に重要だと思います。その定性調査も含めて、定性と定量、両方でやっていくということを、きちんと明記、強調していただきたいと思いました。
 関連して、今回、ユースラウンドテーブルで子供たちの声を紹介していただいたのですけれども、子供たちの声も重要なエビデンスとなると思います。現在、こども家庭庁の設立準備室の方で検討委員会が設置されて、海外の事例なども含めて、様々な議論がなされています。そことの連携も含めて、また、様々なステークホルダーや専門家の研究者とも連携して、今後、より体系的に子供たちの声を聞いて、丁寧にデータを分析して、政策に反映していく、そういう仕組みづくりをやっていくということを今回、書いていただけるといいと思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。まさしく、この評価、指標の在り方、の記載のとおり、ウェルビーイングのように新たな指標として、EBPMを実行しなくてはいけない項目については、御指摘のような形で研究者等の連携やデジタルによるデータ活用といったものを組み合わせていくということが大変重要だと思います。
 そういった意味では、先ほど申し上げました、常に弾力的でアジャイルな対応をしていくということが非常に重要だと思います。徳永委員も含めて、研究者の方との連携というのは、今後とも非常に重要になります。ありがとうございます。
 それでは、清原副部会長をお願いいたします。
【清原副部会長】  ありがとうございます。清原です。今年もよろしくお願いいたします。
 最初に、資料1の「次期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過について(案)」でございますが、この計画は法定計画であり、大変重要な計画でございますので、幅広い皆様に、パブリックコメントとして意見を集める必要があり、今そういう段階に達しているのではないかなと私は認識しています。計画行政の中で極めて重要なのは、こうした審議の過程について、適時に公表して、皆様から、例えばヒアリングをさせていただくとか、あるいはパブリックコメントで意見を寄せていただくとかということだと思いますので、私としては、12月までの議論をまとめていただいた案が、なるべく早く公表されるということが必要ではないかなと、改めて委員の皆様の御意見を伺っていて、確認させていただきました。
 その上で、今回新たに25ページ以降を付け加えていただきました「Ⅲ.今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき事項」について、幾つか意見を申し上げます。1点目に、「(1)教育政策の持続的改善のための評価・指標の在り方」として、先ほどは徳永委員も御指摘されました、3つ目の〇の記述というのは極めて重要だと思います。すなわち、教育政策を持続的に改善していくためには、担い手が多様でございますし、その実態を的確に把握するには、やはり行政担当者だけではなかなか追いつかないところもございます。そこで、幅広い実践者、そして、それを散逸しないように収集していただく研究者の活躍というのが極めて重要であると思います。
 さらに、資料6で報告していただきました「ユースラウンドテーブル」というのは、正にこの取り組みの中に位置づけられるのではないかなと思います。子供・若者は専門家でないけれども、正に教育の実施者であり、担い手であり、当事者である、そういう声を反映するということが評価にも必要ですし、企画立案段階でも必要だと思います。また、「次期懇(ジキコン)」ということで、文部科学省の若手職員の皆さんも参画されてきたということでございますので、この計画を担当する人だけではない、幅広い職員の参画というのも今後も継続していただければと思います。
 次の「教育政策のPDCAサイクルの推進」というところの〇の2つ目でございますが、全国的な教育の機会均等や教育水準の維持向上と併せて、「各地域において異なる実情やニーズに応じて最適な対応がなされるよう、国と地方公共団体が適切な役割分担の下に互いに連携・協力をしたり、それぞれの地方公共団体が相互に情報交換等をしたりしながら、取り組んでいくことが重要である」とあります。これは正に、先ほど渡邉部会長もおっしゃいましたように、教育政策の最前線は自治体であるということを、ここでしっかりと明示しています。
 昨日、実は吉田委員、そして岩本委員にもご参加いただいて、「『令和の日本型学校教育』を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議」が開催されました。その中では、教育委員会の機能強化・活性化のための方策、教育委員会と市長部局との効果的な連携の在り方、そして、特に小規模自治体への対応・広域行政の推進のための方策ということが検討されています。今後、学校運営の支援のために果たすべき役割についても検討が行われる予定ですが、正に地方公共団体が地域の実情に応じて、政策を具体化していく際に、適切な国の支援、インセンティブが必要であるということも確認をしています。パートナーであると同時に、やはり、国の政策として自治体の政策を支援していくということが、適切なPDCAサイクルに必要だということが明記されていると思います。
 さて、今回は、国が「行政評価」のターニングポイントを迎える中で、この計画がつくられているということを実感しています。26ページの注釈に、「行政改革推進会議アジャイル型政策形成・評価の在り方に関するワーキンググループ」の提言が紹介されています。これは昨年の5月31日に提案されたもので、単にPDCAを回せばよいということではないということです。行政評価の目的は環境変化に対応して、政策効果を上げることを追求することであり、実はこのグループだけではなくて、各府省庁の行政評価を担当する総務省の行政評価局の中に設置されている政策評価審議会も、同じく5月末に、「政策の見直し・改善を行うためには、効果検証、EBPMをしながら、柔軟に軌道修正することが必要、政策の特性に応じた評価を推進することが必要」と示しており、そのことが昨年の骨太方針に反映されたわけです。27ページの注釈の22というのは、正にそれを紹介していることになります。
 あわせて、昨年末、12月21日に総務省の政策評価審議会の答申が出されていて、その答申のタイトルは、「デジタル時代にふさわしい政策形成・評価の実現のための具体的方策」、副題が、「政策評価をより政策の見直し・改善に反映させるために」となっています。要するに、成績表をつけるような行政評価をするのではなくて、もし効果が上がっていないのであるならば、その原因をしっかりと探究をして、積極的に改善をしていくということこそ、本来の行政評価ではないかということを打ち出しているわけです。そのためにも公的統計の充実を図るとともに、ここにも、27ページの「客観的な根拠を重視した政策推進の基盤形成」の4つ目の〇に、「更に児童生徒1人1台端末環境の実現が進む中で、大規模な教育データ(ビッグデータ)の分析に基づいた政策の評価、改善等を行うなど、教育データの利活用を促進するための方策について検討を進める必要がある」とあります。すなわち、いわゆる調査疲れを防ぐということも大変重要ではないかということも提案をしてくださっていると感じています。
 したがって、国では行政評価が正にターニングポイントを迎えており、本当に効果があるかどうか、つまり誰のために、国民のために、そして一番困っている人のために、その行政サービスを真(しん)に必要としている人のために、適切に、有効に働く政策こそ望ましいわけで、それがもしうまくいかないことがわかったら、きちんと方針転換をして修正するという、そのことも含めているというわけです。26ページの「教育政策の評価・改善段階」であるとか「客観的な根拠を重視した政策推進の基盤形成」と書かれているところは、正に一般に批判される場合に、「計画はつくったけれど、一体、それ本当に実現するのですか」と、絵に描いた餅ではないですかと言われないように、しっかりと計画を政策として推進していくときに、行政評価の適切なPDCAサイクルを、根拠を持ってEBPMでやっていくということを示しています。評価のための評価ではなくて、何のための評価かということを、ここでは書いていただいていると受け止めまして、是非正にアジャイル型ということを意識して、適切な軌道修正もできると考えます。しかし、一番大事なのは、先ほど来ありますように、本当に教育政策によって効果を受けなければならない当事者の声をいかに反映していくかだと思います。
 この計画では、非常に重要な取り組みとして、「計画の実効性確保のための基盤整備・対話」であり、「各関係団体、関係者、子供を含む対話を通じた計画の策定等」が提起されています。「計画の策定等」の「等」の意味は、実施においても、評価においても、例えばユースラウンドテーブルを実施していくとか、あるいは、適時適切な当事者のヒアリングをしていくとか、そんなことも含めた記述ではないかなと期待しているところです。
 そして、もう1点だけ申し上げます。27ページ(2)の「教育投資の在り方」についてです。牧野先生が懸念を示されましたように、確かに「投資」という言葉が持つ不安というのがないわけではないのですが、今回、国としても、明確に「人への投資」ということを打ち出しており、「人への投資」を具体化する1つの重要な政策の柱が教育政策であるならば、その教育について、税の投入はもちろん第一義的に必要でございますけれども、しかし、それだけではなくて、27ページの、教育投資の意義の3つ目の〇にありますように、「教育投資は個人及び社会の発展の礎となる未来への投資であり、必要な教育投資については、学習者本人のみならず、社会全体で確保することが必要」とあります。学習者だけに費用負担を求めないということが明確にうたわれており、29ページでは、「①教育費負担軽減の着実な実施及びさらなる推進」があるとともに、30ページには、「②各教育段階における教育の質の向上」と、量だけではなくて質の向上がうたわれています。
 1つだけ市長経験者としては切実な課題として、②の3つ目の〇なのですけれど、「学校施設は、児童生徒等の学習生活の場であるとともに、災害時には避難所ともなることから、安全・安心を確保しつつ、新しい時代の学びを実現することが重要である」という指摘が重要です。今、施設の長寿命化改修ということが本当に多くの自治体で課題になっております。全国的に耐震化は大体済んでいるのですけれど、更に課題なのは、タブレット端末も更新していかなければならないので、その費用を保障していくということも、大きな財政的な根拠がなければいけないことでございます。このところは31ページの「国民の理解醸成」が、子供たちのために、あるいは学ぶ大学生、あるいは社会人のリスキリングのために、どれだけ費用負担や投資を理解して、そして必要な寄附であり、あるいは支出を確保していただくかということが大切なのだろうと思います。
 今回、ウェルビーイングを全ての人に保障していくために、適切な計画づくりや政策づくりはもちろん必要ですが、それは常に適切な、公正な評価というものを伴うとともに、必要な財源については、幅広い国民の皆様に行政の責任が果たしやすいような環境をつくっていただくということを理解していただかなければいけないのではないかと思いました。
 以上、追記していただいたところから特に重要と感じたことを申し上げました。いずれにしても、幅広い国民の皆様に、この案が公表され、多くのレスポンスをいただければと心から願っております。以上です。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。特に留意すべき事項について、意味合いをむしろ解説していただく形になりました。本当にありがとうございました。
 冒頭にありました、多くのステークホルダーの中でも、学習者、子供という視点とそれを支える教師という視点がステークホルダーの中で特に重要であることは間違いないですので、こういった声を反映していくことは大変重要だと思います。ありがとうございました。
 それでは、引き続き、関委員、どうぞ。
【関委員】  関でございます。本当に取りまとめ御苦労さまでございました。すばらしい計画に練り上がっていると思います。
 2点発言させていただきます。1つは31ページの真ん中、人生100年を見据えたマルチステージの時代の中で、リカレント教育が生涯学習の中の大きな柱になっていることを改めて感じております。この中では、社会人がターゲットであり、職業生活、あるいは人生の諸問題に対して、いろいろな高度な教育を実現していくような場をつくっていくという定義がなされております。できれば、こういったものを推進するに当たって、誰がそれを担うか、従来の公的社会教育領域ではなかなか難しいかと思いますので、大学等の高等教育機関が、そういったものにも積極的に関わっていく、従来の学生だけではなくて、社会人に対して行うべきリカレント教育の場を、ある程度、きちんと計画の中で明示していただけるような方向になればいいのかなと思っております。
 4ページの下の欄にあるリカレント教育の定義に対して、これらを結びつけたときに、従来のリカレント教育のイメージを超えた新しいステージに移っているような気がしていますので、それを誰が担っていくのか、より明確に知らせる方がいいのかなと感じているところでございます。
 それに付随しまして、58ページの指標の部分なのですけれども、リカレント教育の領域の指標、この中の丸の3つ目です。例えば学習を通じて得た成果を、仕事や職業の中で生かしている、そういった形の評価指標になっておりますが、できれば、大学等の教育機関の中で学んだ経験が、そのまま数字として出る指標の方がいいのではないかなと感じます。
 本当にじっくりと学ぼうとしている人はどれぐらいのパーセンテージで国民の中にいるのか、そういったものが示すことができれば、これから先、じっくりとリカレント教育に関わっていこうという人を増やしていくきっかけづくりになるのではないかと感じます。
 もう一点は、目標9の中で、前回もお話しましたが、まちづくりといった課題解決のためのプラットフォームにもなり得る学校を核とした地域づくりというものがここに出ています。その次の目標10の中では、社会教育施設の機能強化、あるいは地域課題の解決に向けた関係施設、施策との連携の中で、公民館等の社会教育施設がそういったものの核になるべきであるという指摘があります。その両者が、共に手を携え合いながら、一緒に進めていくような状況が最善のスタイルだとは思うのですけれども、場合によると、お互いが他者に対して依存するような関係になってしまう気がして、そうなるとなかなか難しいような気もしますので、その辺に何らかの手当てができればいいのかなと思います。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。今回の計画では、人生100年時代の生涯を通じた教育という概念の中でも、リカレントやリスキリングの視点が、強調されています。これらは政府も、明確に打ち出していますので、従来の生涯学習に加えて、14ページでも、「リカレント教育を通じた高度専門人材育成」の項目を設けており、御指摘のとおりの趣旨だと思います。ありがとうございます。
 それでは、次に吉見委員、お願いいたします。
【吉見委員】  ありがとうございます。取りまとめをされた皆様、膨大な作業を丁寧にやってくださいまして、本当にお疲れさまでございました。
 私の方からは、やや全般的な意見になってしまって恐縮なのですけれども、1点だけ申し上げさせていただきます。今回の答申の一番大きな柱がウェルビーイングになってくることは了解しておりますし、ウェルビーイングという言葉が何を意味しているのか、その中身については丁寧に説明がされていると思います。
 ただ、全般的に感じますのは、なぜウェルビーイングなのかという理由の部分の説得力が足りないのではないか。なぜウェルビーイングがここまで中心的な課題になってくる必然性があるのかの説得力が、背景になじみのない普通の国民にとって、ややわかりにくのではないかという印象を持ちます。
 例えば、ポンチ絵で、1つは次期計画のコンセプトとなっているところで、2040年以降の世界を見据えた持続可能な社会のつくり手の育成という項が左手にあって、右手に日本社会に根差したウェルビーイングの向上となっています。その別の間に黄色い矢印が書かれていますけれども、この黄色い矢印は一体何を意味するのか、これはよく分からないのではないかと思うのですね。
 多分、ロジカルに言えば、矢印の向きは逆なのでしょうけれども、つまりウェルビーイングが向上していくことによって、イノベーションですとか人への投資、あるいは新しい主体性とかリーダーシップとか、右に書かれているような持続可能な社会とか、そういうものが実現するのですから、論理的には恐らくこのベクトルの向きは逆なのでしょうけれども、だけれども、もう少し詰めていくと、ウェルビーイングが3つの柱で左の方に書かれていることにどうつながっていくのかということを、もう少しクリアに説明する必要が、ここに関してあるのではないかと思います。
 同時に、先ほど牧野委員が少しおっしゃったことですけれども、ウェルビーイングの向上が、一番上にある教育基本法の基本理念ですとか、そうしたことと実は対応しているのですけれども、これがどう対応しているのかも、もう少し説明可能だろうと思います。そうすると、ポンチ絵で特に気になるのは、なぜウェルビーイングなのかということを言っていくときに、一番上の、つまり背景として言われていることが羅列的で、むしろここでは教育におけるウェルビーイング、一人一人が知的に育っていく場でのウェルビーイングこそが非常に重要なのだということに焦点化されていない、何かぼう漠しているというか、まだ少し弱いような印象を持ちます。
 もう少し踏み込んで言えば、今日、御説明いただいた資料の中で、やはりショッキングなのは、先ほどの基本データの中の32ページと33ページに、これ、繰り返し出てきますけれども、生産年齢人口が2050年には現在の3分の2になる、社会は崩壊しますよね。現在の3分の2の生産年齢人口になって、日本は、社会全体がもうもたないのですね、普通に考えたら。それから教育についても、33ページの青と緑と赤のグラフですけれども、こんな勢いで、それぞれの学齢段階において、人口の基盤がすごい勢いで減っていくわけです。これ、普通に考えれば教育システムももたないのです。そうすると、そういう状況に私たちがあって、しかも1人当たりの生産性というのは全然高くないというか、むしろ低い。この危機的な状況の中で、正にそうした状況だからこそウェルビーイングが非常に重要であるということは、かなりロジカルに結びついているのだと思います。
 ですから、本当は、私たちはもっと危機的な状況にいるわけです。その辺のことは、恐らくポンチ絵で言えば、一番上のところに、非常に重要なポイントとして示していくと、皆さん、もっとウェルビーイングがなぜ重要なのかということがお分かりになるようになるのではないか。普通の方、普通の国民が分かるような示し方、バックグラウンドの必然性というのが示せるのではないかと思います。
もちろんウクライナ侵略とか、いろいろな世界情勢はそれはそれで重要なのですけれども、しかし、我々が今ここで議論していることに関して言えば、日本の人口減少と止まらない少子化、人口構造のこういう危機的なすう勢と、それから労働生産性の問題とか、そういうことで予測される未来が、むしろウェルビーイングの背景としてメインなのではないかという気がします。ここでの議論のバックに、何が未来の重要な状況としてあるのかということを、もう少し説得力をもって示せるのではないかという気がしております。
 以上でございます。
渡邉部会長】  ありがとうございました。この部分は、7ページ、8ページにある総括的な基本方針を、ポンチ絵にしていますので、御指摘の趣旨で考えると、2つの要素というのは、相互循環的な取組が進められるような教育政策につながっていくので、確かに、両方の矢印がいいと思います。
 事務局より、もしそれ以上の解説がございましたら、お願いします。
【川村教育企画調整官】  御指摘いただきまして、総合循環的だということになりますと、やや形も変えた方がいいのかなと思いますので、今後検討させていただきます。
【渡邉部会長】  特にウェルビーイングについて、全く今まで聞いたことのない人、認識のない人に、いきなりウェルビーイングが最上位的な概念というのは、確かに最初は驚かれるかもしれません。したがって、閣議決定のときにはこういう文書だと思うのですけれど、都道府県や国民に理解してもらうステージでは、ポンチ絵や全体の関連図で整理したものを工夫して出していくことが必要かもしれません。特に初めて聞く人には、重要だろうと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、次に、清水信一委員、お願いいたします。
【清水(信)委員】  ありがとうございます。私から1点だけお話しさせていただきたいのですけれども、今回が第12回の部会、そして、もう3月8日には最終な答申が出て、4月以降いよいよ歩き始めます。非常にうれしく思っています。
 私個人、障害児教育に四十数年携わってきていまして、この四十数年の中で、やはり障害のある方への理解不足によっていろいろな問題もありました。また、だんだん法整備がされて、障害のある方たちもしっかり見ていただけるようになってきました。そういった中で、今回は次期振興基本計画、Society5.0とウェルビーイング、そして、共生社会を実現していくのだという議論の中に入れていただいて本当にうれしく思っています。ですから、本校の学んでいる子供たち、また、卒業生、また、全国の障害のある方、ない方、みんなが幸せになってくれれば本当にうれしく思っています。
 事務方でまとめていただいた審議経過の報告書の中には複数回しっかり書き込んでいただいていているにもかかわらず、資料3のポンチには書き込んでいただけていない言葉があります。何回かお話しさせていただきましたけれども、共生社会の実現のためには、やはり幼児期からのインクルーシブ教育が重要であると私は思っています。しかし、報告書の中には書き込んで、当然いただいております。ただ、これを今度現場の先生が見たときに、まず、概要、ポンチからどうしても現場は見ます。ですので、概要、ポンチの中にインクルーシブ教育という単語がないというと、イメージが湧かないと思っております。ですから、資料3を見ていただきますと、真ん中に共生社会の実現に向けた教育の推進というのがございます。その真ん中の段落の中に、共生社会の実現に向けた教育を推進するという言葉があります。できるかどうかは、また事務方の方で御議論いただきたいんですけれども、もしできるのであれば、共生社会実現のところにインクルーシブ教育とか、そういった形で入れ込んでいただきたいと思っております。現場の先生が新しい振興基本計画の概要を見たときに、例えば左にはリカレント教育があります。そして、インクルーシブ教育があって、そして、その上にはウェルビーイングがあるというところで、インパクトのある言葉を是非、この中に書き込んでいただいて、現場の先生が新しい基本計画の概要が、インパクトがいい形で入っていき、そして、実行に移していただけたら有り難いなと思いますので、もしできましたら、インクルーシブ教育という言葉を入れていただけたら有り難いなと思っております。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。同じ思いで聞かせていただきました。これはポンチ絵ですので、全てのワーディングを入れることは難しいのですが、真ん中にある「支援を必要とする子供の長所、強みに着目する視点の重視」のところにある「多様性、公平・公正、包摂性」が、DE&I、ダイバーシティーエクイティーアンドインクルージョンとして整理されていますので、インクルーシブ教育は非常に重要な位置づけとしているということでございます。言葉として、それが出せるかどうかというのは、また検討させていただきます。
【清水(信)委員】  よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  次に、川口委員、お願いいたします。
【川口委員】 非常に丁寧に取りまとめていただいて、ありがとうございます。特にEBPMについて、厚く書き込んでいただいて感謝したいと思います。
 それで、先ほど来、話題になっている教育投資の話なのですけれども、投資をするかどうかというところで、はっきりと投資の効果というものが個人だけ帰属するわけではないので、その分に関しては、公的な負担を求めるというロジックになっていて、それは非常にすばらしいことだと思います。
 それで、その上で理解を求めるというときに投資をした方がいいのかどうかという判断をするに当たって、収益という話は避けて通ることができないと思います。それで、収益がどのような形で上がるのかというのは、いろいろな見方があると思うのですけれども、イノベーションを通じて、経済成長を実現するというのも1つの目標でしょうし、社会的に不利な立場に置かれている人に重点的に投資をすることによって、社会的な不平等を解消するといったことも目標なのだと思います。ですので、必ずしも経済成長だけが収益ということを反映しているものではなくて、コンテクストに応じていろいろな目標というものはあるのだと思うのですけれども、目標をしっかりと投資が達成しているのだと。収益が様々な広い意味で提示したときに、収益が十分に上がっているということを示していくということが、国民からの理解を得るためには最も近道なのではないかなと思いました。
 その観点から見ると、EBPMについて書き込んでいただいているのですけれども、EBPMから得られた結果を、どのように生かしていくのかというところで、投資へのフィードバックの部分が余り書き込まれていないかなという印象を持ちました。ですので、EBPMと教育投資のところは並びになっているのですけれども、EBPMの結果を、それは、いろいろな形の評価というのがあり得るので、成長の促進であったりとか不平等の是正であったりとかいろいろなものがあるのですけれども、そういったEBPMから得られた結果というものを答申の収益を計るというところに反映させて、それを予算配分に反映させていくといった部分が、もう少し教育投資の、在り方の部分の基本的な考え方として書かれていてもいいのかなと思いました。御検討いただければ有り難く思います。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。この計画だけで帰結できるかどうかは難しいですが、教育政策の成果というのは、御指摘のように、教育だけではなくて、社会の安定、安寧にもつながっていくわけで、それは長期性や因果関係の不明瞭さから、従来のデータベースでは証明できていないということだと思います。
 ただ、評価、指標の在り方のところで記載しているように、因果関係や証明が非常に難しいものを、先ほど申し上げたような研究者や大学、研究機関などが連携して、データベースを今後そろえる中で、それを立証していこうということだと思います。今まではどうしても定性的な部分多かったので、社会的な説得力が弱かったのかもしれません。特に今度、ウェルビーイングを掲げたときに、効果や影響というものが、より広範になりますので、その因果関係を測るのはかなりチャレンジングだと思います。
 ただ、これは日本における先駆的な研究で証明されているものもあると思いますので、是非御指摘のような視点を踏まえて、行政としてそういうチャレンジをしていただけたらと思いました。今の御意見、全く同じ気持ちで受け止めさせていただきました。
 よろしいでしょうか。それでは、次に元紺谷委員、お願いいたします。
【元紺谷委員】  ありがとうございます。1年間関わらせていただきましたけれども、知の結集といいますか、本当にここまで完成度の高いものができたということで、私自身もここに関わることができて感無量です。
 それでは、大きく2点、お話しさせていただきます。
1点目です。先ほど清原委員からもありましたように、主語は子供たちということで、ユースアンドテーブルはすごいいい取組だと思います。これは子供たちの総意ではありませんが、こういった声を拾うことはとても大事です。これは、都道府県でも市町村でも、そして学校やクラスでも、こういった意見を拾う取組は必要です。このたびの取組はモデルケースになるのかなと私は思います。今回の子供たちの声で、注目した箇所があります。
 資料6の3ページの「論点② これからの学校教育で大切にすべきこと」の中学生グループのコメントです。「この授業が将来何につながるか、どういう場面で役に立つのかなど、その授業の意義を言ってから授業をしてもらいたい。」とありました。これって今から20年ぐらい前に教育現場におりてきたキャリア教育がいまだうまくいっていないということですよね。
 今回の計画においても、キャリア教育の項目としては、資料1の35ページにありますが、最初のポツの3行目に、「児童生徒が学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら」と書いてありますが、しかし実現されておらず、いみじくも子供たちが課題として言ってくれているのですよね。私としては新しいカタカナ言葉「ウェルビーイング」にそうなってほしくないのです。
 このことについては、先ほど、正に吉見委員から鋭い御指摘があったところです。私もずっと思っていました。実は私、12月から勝手に自称ですけれども、「文部科学省非公認ウェルビーイングアンバサダー」を名乗っています。ということで、生徒の前でもウェルビーイングを使い、校長講話、校長の巻頭言とか生徒会機関紙にも必ずウェルビーイングを入れています。そのときに、何でウェルビーイングが大事なのかという理由をしっかりと説明しないと相手にはすとんと落ちません。
 要は簡単な話なのですけれども、会社では、社員のウェルビーイングには家庭のウェルビーイングが必要で、だから、会社は家庭のウェルビーイングを大事にしようという目標を掲げて、それが最終的に企業成績につながるというようなことなのです。今後、この計画に謳(うた)った「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を実現させるためには、学校現場において子供たちにウェルビーイングを考える機会をたくさんつくる必要があると思っています。主語は子供たちなので、自分のウェルビーイングとクラスのウェルビーイングを探究学習のテーマにしてほしいと思うのです。それで、要は、主権者教育もそうですけれども、社会参画ということが今、言われていますけれども、社会参画というのは、いきなり自分の町の政治にというよりは、まずは自分のクラスは、自分の学校は、という身近な社会を、本当にリアルな社会のウェルビーイングを考えることによって、恐らく将来的に自分の地域、住むところ、ひいては日本のウェルビーイングと、子供たちが政策提言をしてくれるのではないかなと思っているので、こんな動きになればと思いまして、お話ししました。
 最後に、少し耳の痛い話をしたいのですけれども、答申を読むと、必ず思うことがあるのです。1文が長く、重文や副文で書かれていることもあり、主語と述語までの間が長いために、読んでいくと分からなくなり、途中まで読んで、また戻って読み返すということがよくあります。できれば、なるべく短文で表現していただけると、読み手としては前に戻らないですっきりするのかなと思っています。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。ウェルビーイングの、教育現場への反映の仕方ですが、例えばSDGsも最初、定着するのかなと思ったのですが、今や学校教育の中で、ほとんどの子供たちがSDGsを普通に使っていますよね。SDGsのその先にあるものがウェルビーイングとも考えられますので、SDGsと同じようなテーマに設定してもらうとか、次の学習指導要領改訂の際に入れるように検討するといったことも必要だろうと思います。行政の御努力が求められますが、是非そこはよろしくお願いします。文章については、いろいろな御指摘をまんべんなく入れようとして、長くなっていると思いますので、留意いたします。
 それでは、黒木委員、お願いいたします。
【黒木委員】  ありがとうございます。今のを楽しく聞かせていただきました。ありがとうございます。
 私自身、1年間ここに関わらせていただきながら、大変学びになっております。また、書きぶりも、お願いするたびにちゃんと手を加えてくださって、本当に川村さん、ありがとうございます。ステークホルダーのところを、もう少し書いていただければということをお願いしておりました。
 それで、1点だけです。どうでしょう。先ほど来、自治体、行政がしっかりできるのかという話になっていますので、教育大綱とか総合教育会議とか、いわゆる根拠が違うのですけれども、もう一つの仕組み、そこを動かすような、そこと関連付けるような、それこそ最後のステークホルダーのところに書けばいいのかもしれませんが、必要なのかなと思います。御存じのように、教育基本法ができて、この計画ができました。その後に、地教行法が改正されて大綱をつくることになったので、最初の頃にはお調べいただきました。特に、市区町村に至っては、計画は先につくっていたので、大綱をそれに読み替えているとか、大綱を自治体がつくりなさいとなったので、大綱を以(もっ)て計画としているとか、その割合が都道府県に比べると大きかったですよね。どうやって市区町村まで届けるかというところには、ひょっとするとその部分が非常に大きいのかなと感じております。
 先ほど牧野委員が問題を提起されて、渡邉部会長の方が、正に自治体がどう動くかですねという話なのですが、今村委員がおっしゃったように、恐らく小中学校では不登校とか長期欠席が非常に大きな課題、特にコロナの後に増えてきていることをどう対応するかということにどう予算を使おうかということが一番、頭の痛いところなのだろうと思うのです。しかし、話の中心に最近よく出てきているのが、リスキリング、リカレントですよね。となると、資料の3を見ても分かりますように、それは大学であるとか高等教育機関であるとか、ほかのものもそうです、幾つかあるのですけれども、1つの例です。関わりが、どうしても市区町村ではない部分に、どうするのということもありますから、市区町村の側(がわ)に立つと、あるいは県の方でも少し都道府県でしっかりやりなさいということになったときには、総合計画とか総合の部局でありますとか、まちづくりの部局でありますとか、そうなると総合計画ができていたり、教育総合計画があったり、会議の中で議論したり、大綱を基にして進むということが必要なのではないでしょうか。
 そんなことを思いますので、読み落としかもしれませんけれども、最後のステークホルダーのところにこそ、教育大綱との関わりとか総合教育会議への働きかけとかを書いたらどうでしょうかと少し思っております。
 以上です。1点だけです。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、県レベルでは基本計画を作成するようになっていますが、市町村レベルになると大綱で終わっていることが多く、なかなか概念が浸透しない市町村も出てきています。これも行政の今後の御努力をお願いしたいところですが、今までも恐らく全国知事会や市町村会でお願いするということもあったと思います。これは重要な計画ですので、そういった重要なステークホルダーとの関係については、是非これからも御尽力いただけたらと思いました。ありがとうございます。
 それでは、杉村委員、お願いいたします。
【杉村委員】  ありがとうございます。杉村でございます。また、今回の取りまとめについては、心から御礼(おんれい)申し上げます。
 私からは、先ほどからたくさん御議論が出ています、資料1、25から27ページのところについて、内容はもう全く問題ないと思うのですが、記載の順番について、このようなことはどうだろうかという提案を申し上げたいと思います。
 今後の教育政策の遂行に当たって留意すべき事項の最初に、まず、評価、手法の在り方が書いてあり、ここに、前回も大変議論の中心になりました質的な指標、そして量的な指標を両方加味するということが改めてうたわれている点は、とても良いと思います。
 一方、最初の丸2つのところなのですけれども、最初の丸で、まず、企画立案の観点や取り組んでいくことの重要性をうたった後に、2つ目の丸に、正に一人一人の教育的ニーズを踏まえた質的な観点を入れていこうということが書かれています。この2つの事項の関係性についてですが、2つ目の丸が「教育政策は」から始まっていますけれど、例えば1つの提案として、教育政策はこうしたことも踏まえて行うことを考慮し、1つ目の項目と若干性質が違うことを言っているということがわかるように記述するとよいのではないかと思います。要するに、最初の項目は通常の量的な指標、しかし2つ目の指標、丸のところは、どちらかというとニーズを踏まえた量的には測りにくいものも多角的に分析するということを含めることができると、私たちの議論の細かな部分が反映されるのではないかと思いました。
 それから、2つ目の点ですが、正に今のことと関連するのですが、続きの3つ目の丸なのですけれども、ここには、これまで御議論があった、いろいろなステークホルダーや研究者、大学や研究機関などの主体と連携、協力しながらデータや調査結果を分析するということが書かれています。実は、このことは次の27ページの客観的な根拠を重視した政策推進の基盤形成というところと同じ内容が、二重に繰り返されているようにも読み取れます。
 そこで提案なのですが、政策推進の基盤形成というのは当然ですが、これは政策推進を進めるためにデータをどのように取るかということの基盤という意味だと思うので、論の展開からいくと、27ページのこの部分というのは、出だしの評価、指標の在り方の、最初の丸の後に持ってくるのはどうでしょうか。そうすれば、量的、質的という2つの指標があって、その後に、その指標をどうつくっていくかというところで、基盤形成として、いろいろなステークホルダーや機関を巻き込んで行うということに繋(つな)がるのではないかと思いました。少しややこしいことを申しましたが、もう1回申し上げますと、ローマ数字3、(1)の指標の在り方、最初の丸2つはそのままの並びとして、「一方」ということでつなぐことで、2つの指標の特徴をハイライトし、その次に、3つ目の丸というものを、あとの基盤形成のところと一体化させる形で、指標をどのように取っていくかということを提示するのはどうかと思います。
 更にもう一つの提案ですが、その次にある教育政策のPDCAサイクルについてです。先ほどアジャイル型が大事であるという御意見が出て、実はこのことは既に26ページの注にきちんと書き込んでいただいているわけですけれども、質と量の指標を取るということと、コンテクストや環境変化に対応しながら政策効果を上げる。そのために指標を常に読み替えたり、見直しながら、持続可能な解釈をしていくことが大変重要であるということだと思います。そうだとしますと、どうしても表題にPDCAサイクルの推進と出てしまうと、何となくアジャイル型よりもPDCAサイクルだけを押すというイメージが強調されるように思います。これまでも、私たち大学においても、あるいは企業などでも、PDCAサイクルをつくって、ロジックモデルをつくって事業や活動を実施していくということがあるわけですけれども、それとは異なり、アジャイル型で、いろいろな時期や段階によって読み替えをしたりしながらやっていくことが、政策遂行の大事な点であるのだということを、もう少しうまく反映できないかなと思いましたので申し添えさせていただきます。せっかくここまでまとめられていますので、文章の組み換えというのは大変になるかもしれませんが、少し移動する形で、論旨を考えるとよいのではないかと思いました。
 最後に、27ページの、先ほどの基盤形成の項目にもう一度戻るのですが、ここの4つ目に、一人一人、児童生徒に端末が配られてビッグデータを取っていくという話があります。この話というのは、具体的なデータの取り方についてです。その意味では、これは基盤形成をどう進めるかという観点から、ステークホルダーが環境や情報分析をするということの中に一緒に含めてもいいですし、あるいは、それこそビッグデータを扱うのは、別に生徒さん一人一人の端末だけではないと思いますので、そこはもう少し広く書き込んでもよいのではないかという気もいたしました。
 すみません、時間もない中で、挑戦的な提案かもしれませんが、いずれにしても、2つ、質的、量的というデータの大事さと、もう一つは、基盤形成をどうするかといったときに、PDCAサイクル、プラス、アジャイル型というのを打ち出せると、いろいろな多角的な指標を考えることを重視するというメッセージになるかと思いまして提案させていただきます。
 もっとも、これからの取りまとめプロセスとの関係もあると思いますので、御無理がない範囲で御検討いただければと思います。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。文章表現というよりも、むしろ行政のEBPMの具体的な回し方の方法論の話だろうと思いました。御指摘のように、データを使い、どう回していくのか、新しい試みも記載しているので、御指摘のような視点は非常に重要だと思います。何かコメントございますか。
【川村教育企画調整官】  検討させていただきます。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。
【杉村委員】  ありがとうございました。
【渡邉部会長】  それでは、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。よろしくお願いします。本当にどんどんよくなってきて、しかも丁寧に意見を拾っていただいて本当にありがとうございます。私からは、今回、新しく追加された部分に関して、意見させていただけたらと思います。
 1つ目が、評価の在り方の項目というか事項のところです。ここに関して、小さいですけれど3点ありまして、1つ目は、書かれ方全体が、データだとか情報の使い手側、行政がこういうふうにやっていくということのみになっているように見えて、これはデータだとかエビデンスが、行政側だけではなくて、例えば学校でいえば、学校側も使っていくだとか、調査される側(がわ)とかデータを集められている側(がわ)にも、ちゃんと分かりやすく還元していく、フィードバックしていく。こちら側というか、政策側が使うだけではなくて、調査された側(がわ)も全体の中で自分たちの位置が分かるだとか、メタ認知できるようになるだとか含めて、現場でも、それを基にやっていくという、そちら側の視点とかの部分が入っていないなと思いましたので、1つ目は、現場というか調査された側(がわ)に分かりやすく返していく、フィードバックしていく部分だとか、あと、学校現場も含めて、それをしっかりと自分たちのよりよい改善に使えるように、そういった使い手の育成というか、もう行政職員だけではなく、教育関係者ができるようにしていくという部分も必要ではないかというのが1点目です。
 2点目は、集めた情報だとかデータを含めて、これは社会にも還元していくという意味では、データのオープン化というか、オープンデータ化というか、そういった部分も研究者もそうですし、様々な実践者、教育に関わる関係者がそれをしっかりと活用しやすく、開いていくというような部分も、もう少し強く、強くというか、はっきりと示してもいいのかなというのが2点目です。
 3点目は、評価だとかデータだとかエビデンスが、ただそれを集めて分析して判断しましょうという、判断のためだけというか、一足飛びにそうなっているように見えて、特に学校現場もそうですけれど、データやエビデンスで誰かが、1人が判断するというだけではなくて、データ、エビデンスがあると対話が生まれてくると。多様な関係者と、それを眺めながら、何でこれがこうなったのだとか、もっとこうではないかという何もない空中戦だと、それぞれの思いで議論が関係者の中でかみ合わなかったり、深まらないのですけれど、これ、データだとかがあることによって、物すごくしっかりとかみ合いながら、その中で合意形成されたりして、政策というか、次のアクションの立案だとか、あと、振り返りもデータだけで判断するというよりは、それをもとに、間に置きながらの対話の中で、よりよい振り返りと、次への学びだとかアクションが生まれてくると、そういう、我々が言っています、データとダイアログに基づく政策マネジメントというか、データだけではなく対話的な要素というのも必要、効果的な部分がありますので、そういったポイントもどこかで記述があってもいいのかなというのが3点目です。
 最後、教育投資に関して、これは非常に重要なものだと思って見ています。教育投資も28ページですか、やはり公財政支出だけではない広い、例えば様々な形の寄附だとかも、その中に含まれているというようなことも書かれていて、寄附文化の醸成の必要性だとか、最後、社会全体で教育を支える環境をつくりながら、教育への投資の充実を図る必要があると、全くそうだという、本当にこれは大事だと思っています。
 そのときに、こういうのを進めていくに当たって、例えば寄附文化の醸成もそうですけれど、掛け声だけではこういうのはできない、仕掛けだとか具体的な方策がないと、広い意味での教育投資の充実は難しいと思っています。例えばですけれど、今、孫への教育資金の贈与とかが非課税になるという仕組みがあったりとかします。ただ、一方で、今、もうお孫さんがいない高齢者の割合というのは増えていますし、これからもどんどん増えていくと。しかし、そういった方たちも、もしかしたら子供たちや教育や、次世代に何か使いたいとかという方たちも中にはいらっしゃるわけです。今、ふるさと納税という仕組みがあるから、ふるさとというか、そういったところの自治体に寄附するという流れが大きくなっていますけれども、場合によっては、ふるさとだけではなくて、ふるさと納税というより教育納税なのか、次世代納税なのか分からないですけれども、そういう次世代のために、これを使ってほしいとかという個人や団体だとかが、そういったところに使えるような仕組み、仕掛けを、例えばつくっていくみたいな中で、新しい教育投資の流れを呼び込むとか、そういったことも考えようと思えば、いろいろ考えられるのだと思うのです。
 そのときに、この中で、31ページですか、国民の理解、醸成というところの中での丸の1つ目ですか、最後、寄附の促進や大学と企業との共同研究の促進など民間資金の活用を含む様々な方策に取り組むことが重要であるで終わっていて、重要なのだけれど、やると書かれていないというか、私は、これは寄附を含めた新しい時代の教育、多様な教育投資の在り方や具体的な方策の検討の、例えば審議会みたいなものなのかを立ち上げて、ちゃんと方策を検討し、進めていくというようなことをやっていく必要があるのではないかと思うので、例えば、ここの先ほど言った部分も、様々な方策を検討し取り組んでいくとか、教育投資の充実を図るとか、最後重要であるというより、やるよと。検討して進めていくよということが最後ないとまずいのではないかというか、是非やってほしい。これ、進める必要は本当にあると思いますので、そこは是非前向きに検討していただけたらいいなと思っています。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。エビデンスの問題はおっしゃるとおり、データベース化によって、従来以上に対話的なエビデンスの使い方が可能になると思います。匿名化技術や暗号化技術は非常に進んでいますので、そういったものを活用すれば、対話的なデータ活用は今後可能になると思います。国民の理解醸成についての御指摘は、なかなか書きづらいところもありますが、仕組みづくりという点はおっしゃるとおりです。私はトビタテ!留学JAPANにも関わっていますが、寄附文化の醸成はなかなか容易ではないと感じますので、いろいろな仕組みをつくって、文化を変えていくというのは、この後の努力が重要だと思います。非常に重要な御指摘でした。
 それでは、終わりの時間もありますので、河野委員、それから最後に永田副部会長からお願いします。
【河野委員】  ありがとうございます。最後になりましたので、手短にと思いますけれども、民間人の1人として、わくわくする基本計画の案にまとまっていると感じます。
 先ほど来出ている、誰に向けてのものかということですが、一義的には、閣議決定後、自治体が動かなければいけないと認識しますが、同時に民間の役割をもう少しハイライトをしてもよいのではないかと思いました。特にNPO、市民に近いところで活動するNPOの役割というのは非常に大きい。教育基本計画を推進していく1つの起爆剤となるNPOにもっと動いてもらうこと。民間から声を上げてもらうには、例えば12ページと13ページにNPOをプラスする、ポンチ絵の方には、一番下の基盤整備のところにNPOを大きく入れていただいているのですけれども、本文の中でもしっかりとNPOの役割を位置づけていただくと良いのではないかと思います。実効性を伴うために非常に重視していただきたいと。
 順番の問題ですけれど、産官学なのか、産学官なのかというのも読んでいて気になりましたので、もし統一できるのであれば、その辺も御検討いただくといいかなと思いました。
 それから最後に、1つだけ気になりましたのは、7ページに総括的な基本方針があって、10ページに、もう一度、下の5つの基本方針という同じ表現が2回出てきて、読んだ人が区別できるかなというのが少し疑問でした。もともと7つあったものを並べ替えて5つにしていただいたということもありますので、基本方針という言葉をもう一度、整理をしていただくと、恐らく先ほどから問題になっている黄色のベクトルの問題も解決できるような気がいたしました。
 例えばウェルビーイングというのは、社会全体のビジョン的なもの、理念的なもの、私たちが向かうべきところであって、そのための教育のミッションというのが、社会のつくり手の育成なのかと。そのために、アクションが大きく3つあって、そのアクションを可能にする基盤が2つある、そういう形で今回の基本計画を理解させていただいております。
 そうなると、NPOでも自治体でも、そこに合わせて、いろいろな計画を立てていきやすくなるのではないかと思いましたので、御検討いただければと思います。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。これからいろいろな団体からのヒアリングがありますが、NPOを含めて、計画の内容を理解してもらうという場面でもあろうかと思います。相互の関係を構築しながら、是非展開をしていただけたらと思いました。
 後半の方は、御指摘のとおり、ワーディングとして、確かに基本方針というのが両方に出てくるので、総括的な理念とかの基本方針というのは工夫が必要かもしれません。よろしいでしょうか。
【川村教育企画調整官】  はい。
【渡邉部会長】  それでは、永田副部会長。
【永田副部会長】  では、極めて簡潔に申し上げます。岩本委員がおっしゃったように、私も少し不満だったのですが、寄附マインドを醸成するということしか書いていないのです。寄附マインドを醸成するためのXをやらなければいけませんが、そのXは書きにくいでしょうから、施策なのか、誘導するのか、何かしらのことを書かないといけないだろうと思います。具体的には、本当は税制改正をしないといけません。簡単なことではないのですが。
 それから、もう1つ、もう一回頭から読み直していて、以前、清原委員がおっしゃった、ウクライナのことと少子化のことから入って、そのとおり最初の方にウクライナは生きていまして、最後の方に、最初に御発言が、吉田委員からあったように、「平和な国家と民主主義の自由の」とありました。ところが、少子化に資するところがない。少子化をどうにかするという回答はどこにも1つもなかったのです。たくさん書いてあるので何か書いたかと思ったら、次期教育振興基本計画で、少子化に対応するということについては、実は1つもなくてがっかりしながら、良くないと思って読みました。
 どのようなことを書けばいいかは分かりません。しかし、人が減りますから、個々一人一人の能力を上げていかない限り、今と同じだけの知恵の量は増えないので、ついついみんな学びができるように、幸せになるようにと書きましたが、それを実現するためには、学びの高度化をしないといけない、小中高の頃から多分、自分が将来、社会に出たときには人がいないというところで、2倍も3倍も頑張らなければいけない人間を育てなければいけないということなのだろうが、記述がなくて、少ししまったと思って、探したのです。どこかに一文でもあったら、言うのをやめようかと思ったのですが、全般にはとにかく問題として少子化も書いてあります。しかし、教育の中でどのように少子化に適用していくのかという回答はなかったので、もしどこかに1行か2行でも書き込めるならと思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。人口構造の問題は教育分野だけではなくて、日本全体の非常に大きな問題だと思います。
 Society5.0 for SDGsの社会、その先にウェルビーイングのような社会を目指して、人口減少を解決しなくてはいけないということなので、各論で書けそうかなと思いました。教育行政としても、当然関連省庁と連携しながら、グローバル化や高度人材の育成、留学制度の活性化といったものが間接的には全部絡む問題だと思います。
 前提としては、御指摘のように、人口構造の問題は、日本の大きな課題で、教育の面からも対応する必要があるとの認識を持つ必要があります。文言上、どうするかというのは、宿題とさせていただきます。
 それでは、時間となりましたので、今日の締めくくりをさせていただきます。今日も大変貴重な御意見を頂きました。特に、留意すべき事項のところに、多くの御意見を頂きました。清原副部会長はじめ皆様の御指摘のとおり、ここは非常に重要です。
 ただ、ここに記載のとおり、教育政策と成果との因果関係の評価は大変難しいです。ゆとり政策のときに経験したことですが、3年ぐらいでマイナス面が出てきたとしても、その影響の本当の効果は、ジェネレーションレベルで出てくる問題なので、5年間でEBPMが成り立つのか難しいところもあろうかと思います。ただ、そうは言っても、EBPMのためのエビデンスをしっかり整えて、データベース化し、しっかり説明できるような形にしていかなくてはいけません。
 特に、この5か年は、そういう要素が非常に問われる5か年だろうと思います。そのために、教育政策のPDCAサイクルの推進に関して、御指摘のとおり、国と地方公共団体の役割分担と連携協力は重要です。ここにまとめられているとおり、従来の基本計画が、都道府県にどのくらい響いているのか、それがどう設置者間でPDCAが回っているのか、今まではなかなか難しかったと思います。ですから、ある意味、今までの答申群の総括的な位置づけとしての本基本計画で、是非そこを高めていただきたいと思います。
 教育投資の在り方は教育の質の向上にも直接的に関わる話ですし、少子化対応のような日本の構造問題にも関わる話なので、政府としても、人への投資を打ち出しているのだと思います。人への投資を成長につなげ循環構造をつくるということです。特に教育投資の効果が個人と社会全体に及ぶため、これは正に未来への投資だと思います。ほかの投資は、短期で成果が出るものもあるかもしれませんが、先ほど申し上げたように、教育投資はどちらかというとジェネレーションで効果を測らなければいけないものです。ただ、それゆえに、米百俵の例にあるとおり、財政が厳しいときほど、未来の投資が必要です。
 今日も貴重な御意見を頂きました。文言の問題ではなくて、行政の課題となる話も多々あったと思います。今日、いろいろな御意見を頂き、その要素はこれから反映させますが、全体の方向性は、収れんしているのかなと受け止めました。
 従いまして、今後の総会等の日程も考えますと、清原副部会長からも御指摘あったように、少し急ぐ要素もありますので、できましたら、今日のこの内容をパブリックコメントに付し、いろいろな団体からヒアリングをしながら、今日頂いた御意見も併せた形で次回にお示しするという運営をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、今申し上げたとおり、事務局の方で整理していただきまして、全体を通じた議論を次回にさせていただければと思います。
 では、次回の日程について、事務局からお願いいたします。
【川村教育企画調整官】  本日はありがとうございました。
 次回は2月の7日、火曜日、15時半から開催予定でございます。次回は答申の素案について御議論いただくことを予定しております。なお、パブリックコメントにつきましては、本日、この後、開始をさせていただくという予定でございまして、1月の25日までの実施ということで考えております。
 また、関係団体ヒアリングにつきましては、1月の20日、それから23日の2日間にわたりまして、実施をすることを予定しております。ご参加の返事を頂いた先生方、ありがとうございます。この2日間で頂いた意見、また、書面で頂く意見もございますけれども、こちらはパブリックコメントの結果と合わせまして、2月の部会で、またお示しをして御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  それでは、以上とさせていただきます。今日もありがとうございました。