教育振興基本計画部会(第8期~)(第20回) 議事録

1.日時

平成30年1月22日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 「第二講堂」 (旧庁舎6階)

3.議題

  1. 第3期教育振興基本計画について(答申(素案))

4.出席者

委員

 北山部会長,小川副部会長,明石委員,石田委員,大竹委員,金子委員,川端委員,白井委員,田邉委員,柘植委員,戸ヶ﨑委員,中井委員,永田委員,丸山委員,無藤委員,百瀨委員,山脇委員

文部科学省

 伊藤文部科学審議官,常盤生涯学習政策局長,義本高等教育局長,川端国際統括官,藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官,塩見生涯学習総括官,下間大臣官房審議官,矢野大臣官房会計課長,里見大臣官房国際課長,佐藤初等中等教育局初等中等教育企画課企画官,蝦名高等教育局高等教育企画課長,堀野高等教育局高等教育企画課高等教育政策室長,有松国立教育政策研究所長,氷見谷生涯学習政策局政策課長,内田生涯学習政策局政策課教育改革推進室長,寺坂生涯学習政策局政策課教育改革推進室長補佐 他

5.議事録

【北山部会長】
 ただいまから第20回教育振興基本計画部会を開催いたします。お忙しい中,お集まりいただきありがとうございます。
 この教育振興基本計画部会では,今年度中の答申取りまとめを目標とし,昨年9月に,「第3期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過」を取りまとめました。その後,総会や各分科会,計画部会での議論,それから関係団体からのヒアリング,一般からの意見募集,そのほかの部会等における検討などを踏まえて,第3期教育振興基本計画(答申(素案))を作成しましたので,本日は,この第3期教育振興基本計画(答申(素案))に関して意見交換を進めたいと思います。答申素案が総論の第1部と各論の第2部に分かれておりますので,意見交換も,二つに区切って進めていきたいと思います。
 それでは,文部科学省さんから配布資料の確認と内容の説明も併せてお願いします。

【内田教育改革推進室長】
 配布資料の確認をさせていただきます。1-1が答申の素案でございます。1-2が,審議経過時点からの変更点を示した資料でございます。1-3が,以前の部会でもお配りしております客観的な根拠(エビデンス)を重視した教育政策の推進に関する資料でございます。また,タブレット端末に過去の資料等を入れておりますので,不備等ございましたら事務局までお知らせいただければと思います。
 続きまして,資料の御説明をさせていただきます。資料1-1が答申(素案)で,原案をまとめたものでございます。同時に別添として,赤字の見え消しという形での資料も配布しております。9月に部会で審議経過を取りまとめ,総会や各分科会に報告し各御意見を頂いてまいりました。また,関係団体ヒアリングや一般からの意見募集も踏まえ,かつ関係省庁にも更に盛り込んだ方がよい施策があればと確認いたしまして,今回お示ししたのがこの資料でございます。本日御意見を賜りまして,今月31日の総会でも御意見を賜ることとしております。それらを踏まえ,次回は答申(案)の形で御審議を賜れればと事務局としては考えております。
 資料1-2として,審議経過からの主な変更点を簡単に記載しております。一つは前回の御審議を踏まえ,指標を精選しました。もう一つが,大学分科会将来構想部会での議論の進捗を踏まえ追記している点でございます。別添の資料が詳細にわたる変更箇所でございます。そちらを中心に御説明したいと思います。様々な修正箇所がございます。恐縮でございますが,お時間を頂いて御説明したいと思います。
 全体の修正の考え方としては,審議経過までの記載をベースとしながら,今後答申や閣議決定を念頭に置いて書きぶりを整理していく状況でございます。例えば,全体的に詳細なデータについては注釈に落とすなど,章立てや構成についてもより明確になるように整理しております。
 まず,資料の2ページ目が「はじめに」でございます。ここは答申を念頭に置き,時点更新をした形での書きぶりにしてございます。部会でも御意見がございましたが,冒頭です。明治5年の学制公布から150年目を計画期間中に迎えますので,我が国の発展の基礎を培った学校教育制度について触れております。3ページ目の一つ目の丸として,今後の大きな社会の方向性,「可能性」と「チャンス」の最大化というコンセプトを記しております。最後の丸でございますが,地方公共団体における取組の期待などについて触れております。
 それでは,赤字見え消しの資料に沿って,御説明したいと思います。まず,4ページ目以降でございます。こちらは後ほど出てきますが,4ページ目の一番下から5ページ目に掛けて,整理上別の箇所に移動しております。これは削除ではなく,場所の移動でございます。
 6ページ目,1のタイトルでございます。「成果と課題」というタイトルを「成果」という形で書くことといたしました。「課題」に関しましては,7ページ目以降を整理し,そちらに書かせていただきました。7ページ目の中段でございます。こちらについても,次のページ以降に「課題」の形で整理しており,場所の移動をさせていただきました。
 7ページ目の下から10ページ目に掛けてでございます。まず,全体の構成として,人口減少・高齢化の進展や急速な技術革新に関しては,(1)「社会状況の変化」として整理しました。根拠となるデータについては細かい部分もございますので,本文から注釈に移す,又は,注釈に新たに追記しているものもございます。そういう整理を7ページから10ページ目でしております。
 11ページ目からが「教育をめぐる状況変化」で,教育上の課題として整理しております。11ページ目では,読解力の低下に関すること,ICT利用の増加やSNS利用に関する最近の新たな問題,そして,次のページでは,体験活動の減少,体力・健康・安全など諸々(もろもろ)の課題について,少し文章を膨らませて記載しております。
 13ページ目でございます。答申や閣議決定を意識し,データについてはできるだけ注釈に落とすと先ほど申し上げましたが,そういう趣旨で注釈に大分データを落としている整理でございます。14ページ目でございます。部会でも議論になりました「高大接続を含む高等教育を取り巻く状況変化と課題」について,加筆しております。
 次に,16ページ,17ページ目は「教育をめぐる国際的な政策の動向」でございます。こちらも部会での御意見を踏まえ,以前参考として載せておりましたが,一つ(3)と柱立てをしております。あとは文言の整理がございます。
 18ページ目は「2030年以降を展望した教育政策の重点事項」です。部会でも御意見がございました経済界の皆様をはじめ,様々な領域で精力的に取り組まれているSDGsについて,冒頭で書き足しております。また,このページでは先ほど冒頭で申し上げました,個人や社会の目指すべき姿についてここに入れた方がすわりがよいので,場所を移動いたしました。そういう意味での追加となっております。
 19ページ目からは,「人生100年時代」「生産性革命」のコンセプトなどについて,書き込んでおります。それ以降,文章を明確化するという趣旨での修正がメインでございます。
 20ページ目の一番下の丸です。内容としては,次の21ページ目につながっているものでございます。初等中等教育から高等教育まで,どのような流れ,つながりを持って教育を進めていくのかといった趣旨や,生涯の様々なステージに必要となる能力を身に付けるという意味でリカレント教育の充実について,その重要性を改めて記載しているものでございます。
 21ページ,22ページは今まで説明した箇所で大分触れておりますので,削除の形で整理しております。
 23ページ目以降が基本的な方針の部分でございます。24ページ,「1.夢と自信を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」でございますが,この「自信」という文言に関してです。以前の部会で大分議論になったところであります。希薄な自信や自信過剰では意味がないという御意見もございましたので,夢の実現に向けてより主体的,能動的な心を持てるようにすると,そういう意味も込め,「夢と志を持って」という文言を追加で記載しております。
 さらに,25ページから26ページ目でございます。こちらも総会や部会において,追加すべきという意見が出たものを反映しているものでございます。特に,26ページから下でございます。下から二つ目の丸に関しては,整理の上で次のページに移動したものでございます。まず,家庭教育の意義や実態から触れる整理の方が明瞭かと思い,順序を入れ替えております。
 27ページ目にまいりまして,「2.社会の持続的な発展を牽引(けんいん)するための多様な力を育成する」のところです。総会において,グローバル時代の人材には強い精神力が必要といった意見もございましたので,そういった文言を反映しております。
 28ページから31ページまでですが,それぞれの文章の趣旨を明瞭化する意味での修正が中心でございます。
 31ページ目の下の丸でございます。先ほど27ページにおいて,学校と地域の協働について触れた箇所があります。内容が重複して,27ページに書き込んでいるので,ここは整理の上での削除です。
 また,32ページ目,二つ目の丸でございます。ここは団体ヒアリングにおいて,性的指向,性自認に関する記述の必要性があるという意見がございましたので,追記しております。
 33ページ目,「5.教育政策推進のための基盤を整備する」でございます。最初の白丸の最後の部分については,次のページの二つ目の白丸として移動しているものでございます。33ページの三つ目の丸ですが,こちらはもともと「教員」という言葉を記載しておりましたが,「教師」という言葉に代えております。
 ここについて若干説明させていただきたいと思います。実際上,学校の先生を意味する言葉としては,「教員」や「教師」などがございます。「教師」という文言の意味するところとして,児童生徒を教え導く,主導するなどといった意味がございますし,児童生徒から見たときに恩師としての尊敬の念を抱くといった意味が込められております。そういった意味も踏まえ,最近の「教師」の担う重要な職責に対する社会における理解醸成を図っていく観点から,「教師」という文言に統一しているものであります。
 なお,次の34ページ目のICTの箇所に,「教職員」という言葉が出てきます。ここは「事務職員」も含まれているという意味で,そういう場合は「教職員」と使っております。
 34ページ目の三つ目の白丸部分については,前のページから整理の上移動しております。その下は,関係団体ヒアリングや初等中等教育分科会での御意見を踏まえ,合理的配慮について追記しているものでございます。
 35ページ目でございます。下の方ですが,高等教育の性質や地方創生の観点を追記しております。これは総会での御意見を踏まえたものでございます。このページ以降は表現の明瞭化を図ったという趣旨で,36,37ページ目の修正をいたしました。
 38ページ目のローマ数字の5です。「今後の教育施策の遂行に当たって特に留意すべき視点」として,こちらは,前回まで御議論を賜りました客観的な根拠を重視した教育政策の推進や教育投資の在り方について,今後記載したいと思っております。このページに関しては,論点のある箇所かとも思いますので,次回までに一定のお時間を頂き整理した上で,次回の部会でお時間を頂いて御議論を賜りたいと思っております。
 39ページ目にまいりまして,こちらからは第2部の各論となっていきます。39から40ページですが,目標と施策群の考え方でございます。39ページ目の真ん中ですが,ロジックモデルを活用しつつ政策の全体構造を体系的に整理したこと,また測定指標や参考指標の考え方を改めて整理しております。
 40ページ目でございます。こちらは削除になっているところもございますが,審議経過までで書かせていただいた文章の趣旨を大きく変えるものではございません。その後,事務局で文章がより明確な表現になるように整理をしいるものでございます。
 42ページ目以降が各種施策に関するところでございます。前回までの御審議を踏まえ,指標はかなり精選をさせていただきました。
 42ページ目の二つ目の白丸です。研究開発学校の記載に関しては,初等中等教育分科会での御意見を踏まえたものでございます。
 44ページ目でございます。教育振興基本計画部会で,自己有用感の育成の必要性といった御意見がございましたので,それを反映したものでございます。45ページ目以降は,関係省庁からも更に必要な施策を確認させていただき,省内各課からもその後必要な施策を更に追記しているものでございます。
 50ページ目でございます。ちょうど最後の方の目標(20)に,大学分科会将来構想部会の御意見を踏まえ,文章化したものが出てきます。「学生の学びの質を向上させるための基盤整備」の趣旨をそちらに整理して記載しているので,ここでは削除しております。
 52ページ目でございます。「学びを通じた地方への新たなひとの流れの構築」です。こちらも教育振興基本計画部会での御意見を基に,追記をしたものでございます。
 56ページ,一番上の箇所でございます。大学入試の英語に関して,4技能の評価を記載しております。
 60ページ目,真ん中のところです。昨今のスポーツ界の様々な問題がございましたが,スポーツ・インテグリティについて,新たに追記しております。また,その下の部分ですが,委員の御意見も踏まえ,アスリートのキャリア形成の趣旨を追記しております。
 68ページ目でございます。関係団体ヒアリングでの御意見を踏まえ,図書館等の環境整備について追記しております。
 69ページと70ページ目でございます。こちらは前回も紹介した政策パッケージの閣議決定を踏まえた追記をしております。
 その後は文言の整理が中心です。75ページ目の中段ですが,こちらは前回御紹介させていただいた初等中等教育分科会の働き方改革の中間取りまとめを踏まえた書きぶりとして,追記しております。
 最後に,82ページ目でございます。先ほども若干触れましたが,昨年末に大学分科会の将来構想部会において,論点整理がまとまったところです。「持続的な高等教育システムの構築」に関する議論を踏まえて,追記をしております。
 一つ目の丸でございます。「教育研究の質向上に向けた基盤の確立」として,学長のリーダーシップ,外部人材の活用,情報公開等を進めるとしております。運営費交付金や私学助成などの確実な措置,メリハリある配分などについて記載がございます。
 二つ目の白丸です。「高等教育機関の連携・統合等」として,各地域の将来推計を踏まえた経営戦略の立案について記載しております。また,大学が産業界や地方公共団体との連携において構築する「地域連携プラットフォーム(仮称)」ついて記載がございます。さらには,国公私立の枠を超えた連携・統合などについて,記載をさしております。最後が,地方創生の推進のための取組と福島県に「知」を集積するための取組についての記載でございます。
 説明は以上でございます。本日賜りました御意見を踏まえ,次回以降,答申(案)として改めて御審議を頂きたいと思っております。次回におきましては,繰り返しになりますが,客観的な根拠を重視した教育政策の推進や教育投資の在り方についても御審議を頂く予定としております。
 説明は以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,別添資料の38ページまでの第1部について,意見交換並びに質疑の時間を取りたいと思います。
 まず,中井委員,お願いできますか。

【中井委員】
 ありがとうございます。
 初等中等教育の部分でございます。言うまでもないことですが,初等中等教育でこの答申,あるいは今後策定される基本計画で記載される諸課題,それを十全に実行していく。また,教育の質の向上を更に図る上で,教員の果たす役割は非常に大きいと思います。そういう中で,学校における働き方改革特別部会の方で検討されてきたものを,従前これまでの審議経過の中では,学校における働き方改革特別部会の検討状況を踏まえて基本計画を策定していくという趣旨で「はじめに」のところに書かれていました。
 今回,それらについては時間の経過で整理したということでしょうが,この答申を踏まえて基本計画を策定するという構図になっていて,学校における働き方改革特別部会のことは特に触れられていない状況に見受けられます。そうしますと,この答申の中でしっかりと教師の働き方について,従前やってきたものとは次元が違う形で取り組むことが書かれないと,多少の改善をしても,また新たな課題がどんどん降ってきますので,実際のところ現場では改善が実感されないということになってしまうのではないかと懸念しております。
 本日説明していただいた中にも,基盤整備のところなどに書かれてはいますが,初等中等教育のこれから実施していくいろいろな課題の一つ,ワン・オブ・ゼムという形でしかないです。これで教員の負担が軽減されて,子供たちにより十分に接し,授業の準備を十分にして,そしていろいろな新たな課題にも対応していくことが本当にできるのかが懸念されます。
 そういう意味で,例えば,留意すべき視点といったところにしっかりと書いて,諸々(もろもろ)の課題とは次元が違うところでしっかり取り組まなければいけない形を示していくべきではないかと思います。どこにどのように位置付けるかはありますが,諸課題の中のワン・オブ・ゼムという形ではない位置付けを是非お願いできればと思います。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 今の中井委員の御意見にあった学校における働き方改革について,最終的な答申のタイミングは,今年の6月前後のイメージだったと思いますが,そのスケジュールを考えると,今後,そちらの議論も踏まえて,この計画の書きぶりをもう少し充実させることなども可能ですよね。

【内田教育改革推進室長】
 初等中等分科会の明確な最終取りまとめの時期はまだ未定であると伺っております。あちらも今議論が並行して動いているところでございます。反映できる部分に関しては,また検討させていただきます。先ほど中井委員から,より充実した記述を盛り込む方法として,例えば,留意すべき視点の箇所に盛り込むことを御提案いただいたかと思います。そういったところにどういう書きぶりができるかも含め,担当部局とも調整したいと思います。

【北山部会長】
 そのほかいかがでございますか。
 それでは,無藤委員,お願いします。

【無藤委員】
 ただいまの中井委員の発言と連動するのですが,学校における働き方改革特別部会の結論はまだ先にしても,今の段階で言えることはあくまで緊急提言で明らかなように,初等中等教育の場合に教員の労働時間が極めて長くて,それを短くしないといけないという答えが一つあります。同時に,そのことで教員が授業に集中する,授業の準備に時間を掛けるなど,そういったことが十分にできないと思われるわけです。そういう意味では,初等中等教育の授業を挙げ,より生徒に対する指導で十分な時間が掛けられるような体制作りの意味で,記せることがあるのではないかと思います。
 それと同時に,そのためには授業そのもの以外の様々な仕事が,学校の教員にはあるわけです。そこを考えると二つのことが求められると思います。
 一つは初等中等教育における学校のミッションをどう捉えるかを見直す必要があることです。平たく言えば,引き受け過ぎではないかということです。それは機械的に減らせばいいことではないので,本当に学校のすべきこと,あるいは家庭,地域,その他に任せるべきこと,あるいは連携することをはっきりさせることだと思います。もう一つは,教員において校務と呼ばれるところの比重が非常に高くなってきています。そこにおいての効率化をいろいろな形で果たすことが必要だと思います。
 要するに私が申し上げたいのは,働き過ぎなので時間を減らしましょうということが実際的には大事ですが,もっと積極的に教育の水準を上げていく,そして学校としての本来の使命をより高く果たせるような体制作りという積極的な考え方ができないか,そういう意見を持っております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,百瀨委員,お願いします。

【百瀨委員】
 ありがとうございます。
 まず1点,先ほど御説明がありましたが,24ページの一番初めから議論をされております「夢と自信を持ち」という「自信」という言葉が,本文には「志」という表現になってきています。根拠のない自信こそ空虚なものはないわけです。「志」という表現を使っている以上は,大きな方向性についてもこの方が合っているのではないかという感じを受けました。
 それから,この第1部の1番から4番までの基本方針に基づいて,5番の基盤整備があるのだろうと思います。1から4までの基本の具体の方策が必ずリンクして5番に反映されているべきではないかと。具体的に言いますと, 32ページに外国人児童生徒あるいは海外からの帰国児童生徒への対応に関して,基盤整備の部分になると,実は十分には触れられてはいないのではないか。全部記載するのは難しいことは承知しておりますが,1から4と5とのリンクがより図られると良いと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 それでは,川端委員,お願いします。

【川端委員】
 ありがとうございます。
 11ページの(2)の丸の四つ目で「スマートフォン」という言葉が使用されています。「スマートフォンなど」と大きくくくられているので問題はないかと思いますが,どうしてもスマートフォンだけではなくて,子供たちの周りにはゲーム機器やインターネット・カフェ,いろいろなところでそういう情報を得る機会が大変増加しております。その辺りが含まれて,皆さんに御理解いただけていればいいと思っております。
 以上でございます。

【北山部会長】
 白井委員,お願いします。

【白井委員】
 ありがとうございます。
 本当に多様な意見をまとめていただいて,事務局には御礼(おんれい)申し上げます。特に子供の貧困について,学校を貧困対策のプラットフォームと位置付け,かなり書き込んでいただいている印象を受けております。
 誤解を招かないように表現の問題です。まず,31ページの一番下のところです。「経済的困難を抱える家庭の子供が」とありますが,ここはくくり出すべきではないのではないかと思います。「子供」の中の「貧困家庭の子供も」というような表現になると思っております。それから, 26ページの一番下の丸です。「近年の家庭環境の多様化」とも書き込んでいただいていて,これは「子育てについての不安や孤立を感じ」と「社会性や自立心などの育成などに課題を抱える家庭も増加する」と。ここは並立で書いていただいていますが,実感としてこの前半と後半は別ではないかと思いました。必ずしも全てが並立であるわけではなくて,逆に不安や孤立を感じている場合にはもう少し何とかしようという場合があったり,何も不安がないからこそ課題があったりというケースもたくさんあります。ここの前半と後半を分ける上で,「感じる家庭や」という形にするべきではないかと思っています。細かい点ですが,ありがとうございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。そのほか,第1部に関して御意見はありますか。
 それでは次に,第2部も含めた全ページについて,質問や御意見を賜りたいと思います。
 戸ヶ﨑委員,お願いします。

【戸ヶ﨑委員】
 量が若干多くなりますが御容赦ください。資料1-1の方で申し上げていきたいと思います。
 最初に,43ページです。「学校保健・学校給食,食育の充実等」と書いてあるところの一番上の丸です。学校保健委員会の設置と書いてあります。これは,一つの課題になっていると思います。これからは設置というよりも求められているのは活性化というか,設置はしたが活性化していないのが大きな課題なのではないかと思います。是非これは「活性化」という言葉にならないかというのが一つです。
 それから,次に49ページです。49ページの「目標(6)家庭・地域の教育力の向上,学校との連携・協働の推進」のところです。参考指標に「保護者や地域の人との協働による取組や活動が学校の教育水準の向上に効果があると思う学校の割合」と書いてあります。これは今すぐというわけではないのですが,結果的には学校の割合ですから学校に聞くことになるわけです。この計画そのものは混同するわけではなくて,次回の計画部会等では是非外の声も入れていくと。学校の中だけではなくて地域住民や保護者などの参画意識や協働に関する意識の高揚を直接聞く形のものが取れないかと思いました。今回はこれであったとしても,次回以降は是非そういったことも考えていくべきなのかと。
 それから,次に67ページです。67ページの特別支援教育の推進のところです。これは今特別支援学級の指導において専門性が強く求められています。通常学級から特別支援学級に所属替えを希望する教員の中には,はっきり申し上げられませんが,なかなか容認できないような中身のことも実はあります。何が必要かというと,専門性を,指導を高めるという意味では,本来的には特別支援学校の免許というよりも特別支援学級の免許があってもしかるべきだと思います。あわせて,特別支援学校の免許を持っている教員の取得率をもっと向上させていくべきではないかと思います。どこかでその辺りのことを触れられたら有り難いと思いました。
 続けて,68ページです。地域における外国人に対する日本語教育の推進です。この「地域における」という言葉ですが,これは「各自治体の学校」という捉え方をされるのではないかと危惧しています。自治体として一番苦労しているのは,学校任せでは外国人に日本語を丁寧に指導していく時間がないということです。できれば,「外国人に対する」という言葉の後に,せめて「学校内外の」という言葉を入れれば,中だけではなくて自治体の外での指導も,となると思っています。
 それから,69ページです。教職員指導体制・指導環境の整備のところです。「教師に加えて事務職員や」の後です。実は,これは働き方改革のところでもそうですが,よく言われる学校での「一人職」,正式な言葉ではないかもしれませんが,「一人職」がいかにモチベーションを上げて学校の中で活躍するかは非常に大事な視点です。そういうことを考えたときに,「一人職」というのは事務職だけではなくて養護教諭や,学校栄養職員・栄養教諭が孤立したり,また組織の一員として生かされていない課題があります。是非「チーム学校」という視点では,この事務職の後ろに例えば「養護教諭や栄養教諭の力も組織の中で十分生かし」など,そういう文言を入れていただけるといいと思いました。
 最後ですが,70ページです。これからの学校教育を担う教師の資質能力の向上です。以前にも申し上げたかもしれません。教師のところは養成・採用・研修という視点では述べられていますが,近年の教員採用試験等の倍率の低下などを鑑みたり,それぞれ資質能力がどうなのだろうかと考えていったときに,大事なのは養成の前段階として,いかにして優秀な生徒又は学生が教職を目指すかについて,もっと先に真剣に考えていかないと,なかなか養成段階,研修の段階でそれを伸ばしていくのは厳しいのではないかと考えます。そんなに甘いものではないと思っています。是非,教職に憧れを持って強い使命感や意欲を持った多くの優秀な生徒学生が教職を目指すことの方策について,どこかに記載すべきではないかと思っています。
 今回の,特に学校の働き方改革については,いかに学校が大変だ,ブラック化されていることが前面に出ていっただけでは意味がないと思います。この計画の中でも教師の意欲というかモチベーションが高まり,自信と意欲を持ち,教師はいかに魅力的であるかということがこの中に記載され,どんどん伝わっていく形になっていくとよいと思いました。
 長くなりましたが,以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,田邉委員,お願いします。

【田邉委員】
 ありがとうございます。
 私からは,46ページのオリンピック・パラリンピック教育の推進のところで確認です。こちらの文言を読みますと,スポーツ及びオリンピック・パラリンピックの意義や活動に関する国民の理解などが書かれております。これを読む限りではオリンピックまでのようなイメージがあるので,ポストオリンピックのところも今後この計画が5年間目標と施策で行くのであればオリンピックの後,オリンピックが残したレガシーという言葉も入れていく必要があるのではないかと思っています。
 オリンピック・パラリンピックは,国にとって世界にアピールする非常に良い機会だと思っています。スポーツの価値やインテグリティが,国内の子供たちにとってもオリンピックを契機にその後続いていくようなポストオリンピックでも書いていく必要があるのではないかと思っております。この文言を見ると,プレイだけのイメージが非常に強いと感じます。もちろん,含まれているかと思いますが,ポストオリンピック,オリンピックレガシーも必要かと思っております。
 以上です。

【北山部会長】
 それでは,丸山委員,お願いします。

【丸山委員】
 第1部の方に,東日本大震災に対しての就学支援や児童生徒の心のケアの必要性について記載されています。第2部の方の施策のところに,もう少ししっかりと盛り込んでいただきたいという話をしたいと思います。
 震災直後からこれまで,震災そのものに対する心のケアや親や親しい人をなくしたことに対する子供の心のケアに対して,SSWやSC,学習支援など重点的な配置が行われてきています。これが現場にとっては非常に有効に働いております。一人一人にきめ細かな専門的な対応ができております。
 教師も被災しております。教師はどうしても自分のことよりも子供の方を先に考えます。そうすると,教師の心のケアは後回しになってしまっています。SSWやSCが長期的に配置されているおかげで,現場としては充実した教育活動が行われている。そして,元気をもらっている状況にあります。
 7年がたちまして,実は小学校にはもう震災を経験していない,それから記憶がない子供たちが入ってきている現状です。しかし,長く親が震災を我慢しているなどのため家庭のバランスが崩れている状況があります。それによって,震災を直接経験していない子供の中にはバランスが崩れ,心が不安定になっています。心のケアは,もう7年もたったからいいのではないか,10年もたったからいいのではないかではなくて,これからもっと続くと感じております。それで,第2部の施策のところに,是非もう少し書き加えていただきたいと感じております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,柘植委員,お願いします。

【柘植委員】
 ありがとうございます。3点あります。
 見え消しの72ページの最初の丸,特別支援教育の推進のところです。「障害のある子供の自立と」から,4行目の「整備するとともに」までです。これは,何年か前の中央教育審議会の報告でもありましたし,文部科学省がモデル事業等で予算配分している事業の名前にもありますが,一言で言うとインクルーシブ事業の構築です。インクルーシブ教育システムの構築がこの報告書には見当たりません。「整備するとともに(インクルーシブ教育システムの構築)」と入れ込むといいのではないかと思いました。もちろん,別立てでそれについての推進を新たに何行かで起こしてもいいのですが,例えば今言ったように「整理するとともに」の後ろに,これはインクルーシブ教育システムの構築のことだと加えるといいのではないかと思いました。
 2点目です。その上の「測定指標」です。「候補」が取れて「指標」になったのですが,特別支援教育のところは「小・中・高等学校において通級による指導を受けている児童生徒数の増加」だけになってしまっています。通級はとても大事ですが,特別支援学級や特別支援学校などいろいろな大事なことがある中で,ここだけとなってしまっています。正に,障害のある子供の全て,どこで学んでいようとその指導の設計図や活用状況を書き込んでいく個別の指導計画のことが二つとも外されています。
 10か月前の新学習指導要領でも,特別支援学校だけではなくて幼稚園・小中学校で,高等学校は1年遅れで来年書き込まれるでしょうが,個別の指導計画を書くとなってきています。そういうことも考えると,もし指標から外すのであれば,下の参考指標のところに入れておいてあげると,地方が取り組むときに通級だけではなくて,個別の指導計画に重心をおいて5年間取り組んでくださるのではないかと思いました。
 それから,最後3点目です。先ほど戸ヶ﨑委員がおっしゃったことを聞いていて,「なるほど」と思いました。見え消しでない方で言うと67ページ,特別支援教育の推進のところで,担当する教員の専門性について触れておいた方がいいだろうと思いました。細かい話ですが,欧米の幾つかの諸国や韓国や台湾と違って,日本は特別支援学校の担当する教員の免許はあるのですが,小中学校で特別支援学級や例えば通級などを担当する免許がない国です。非常に珍しい国で,合理的配慮の提供やいろいろなところからまずいのではないかと思ったりもします。ですから,「専門性の向上」を入れておくべきかと思います。
 これまた細かい話ですが,2001年か2002年に教員養成部会が開かれました。そこで,盲聾(もうろう)養護学校の免許,特別支援学校の免許にするのではなくて,特別支援教育の免許にしたらいいのではないかと議論されました。議事録に載っていると思います。でも,あれから十五,六年,そういう議論はなされておらずに,「特別支援学校の免許を特別支援学校の先生方は持とうね」と終始してきています。これから5年間,そういう議論が少しでも深まっていくように,例えば大学での養成について検討を始める,何がしか小中学校,高等学校における特別支援教育の担当する教員の専門性について触れるような文言を,1行でも,2行でも入れておくといいのではないかと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 明石委員,お願いします。

【明石委員】
 資料1-1の51ページの下の丸の「英語をはじめとした外国語教育の強化」は大分改善されていると思います。一つお願いしたいのは,英語教育を担当する教師の養成と採用と研修とあります。その一体化を推進することはいいのですが,今の現場の感覚では採用や研修はかなり都道府県で熱心にやっています。養成としてはまだ弱いです。教育学部の小学校の課程で外国語専修などが非常に少ないです。ですから,もう少し養成の方に力点を置いていかないと,後手に回る。今もう教育委員会レベルでは,採用する場合,千葉市辺りは優先的に英語の得意な方を採っています。研修もやっています。その前に,長期的な視点から養成することを本気で考えていかないと間に合わない感じがしています。少しそこを力点としてほしいのが要望です。
 以上です。

【北山部会長】
 金子委員,お願いします。

【金子委員】
 継続教育というか,社会人に対する教育は何かもう少し本当は議論が必要だったところです。入れていただいてはいるのですが,入り方は必ずしもシステム的になっていないのではないかと思います。「生涯学び,活躍できる環境を整える」ところは,29から31ページ,これは基本的には目的を述べている,あるいは必要だと述べているので,必ずしもそこのところで具体的な策の部分が必要なのかが明確になっているわけではない。35ページの辺りに「持続的な」と書いてあります。これもかなり具体的な策ではない。
 書いてあるのは,65ページの「職業に必要な知識やスキルを生涯を通じて身に付けるための社会人の学び直し」のところです。ここのところをよく見てみますと,これは論理的によく分かりません。一つ目の丸は教育カリキュラムの編成です。一つ論理的に言えば,個別の職業人に対して必要な教育カリキュラム,教育プログラムを作る。それと,それを社会人ですから一遍に学位を取るのではなくて,様々な機会を使ってそれを累積していって,長期的な履修に続けることは必要だと。そのロジックは分かるのですが,それが2番目の丸の二つの点に入ってしまっていて,その間に放送大学の話が入っています。これは十分に体系化されていないのではないかと思います。
 これは順序の話です。放送大学の話は重要ですが,ただそれは一種の例示であって,そういった教育を提供する側(がわ)が具体的なプログラムを作り,しかも個別のものを累積していくなど相互連結ができるようにするというシステム化の部分と,そのようにきちんと体系的に整備するべきではないかと思います。
 それから,65ページに「企業側の理解促進」とあります。ここのところをよく読んでみますと,「企業がただ大学に通うこともきちんとエンカレッジしよう」と書いていません。「学んだ成果の活用や仕事への接続を推進する」と書いてありますが,大学等々でオファーされるものをよく使うように,企業に対して呼び掛けるなどそういったことはよく読んでみるとそういう書き方ではない。私は,それは必要だと思います。
 それと,もう一つは82ページのところで「持続的な高等教育システムの構築」と書いてあります。これだけ見ますと,社会人の持続的な学習に必要な高等教育システムの構築になるのではないかと思います。これを見てみますと,国立大学に対するめり張りのある資源配分や高等教育機関の連携・統合の話であります。持続的な学習でないのです。だから,ここの「持続」とはどういう意味なのかというと,直接対応しないのではないかと思います。これはどういう意味でここは「持続的」になっているのか,私はよく分かりません。

【堀野高等教育政策室長】
 この場面の「持続的な」という意味ですが,一番上にございますように,今後18歳人口の大幅な減少が予想されます。特に,地方において小規模な大学が多く経営悪化が懸念される中で,質の高い高等教育機会が都会だけでなく全国各地で維持されるという観点から,大学の経営を強化していくような文脈で「持続的」と書いてあります。もちろん,これは都市部の大学,大手大学についても今後ずっと安泰というわけではありませんので,持続的に発展していくためにはいろいろな方法論が必要という意味で書いたものでございます。

【金子委員】
 私は,ここに「持続」というのは非常に誤解を与えるのではないかと思います。そういう気持ちは分かりますが。一般的に「持続的」と生涯教育について使われているので,今のであれば発展あるいは社会に出て均等性的な発展などそういう意味合いを強めて……。これは目次だけ見ていると,「持続的」といってもまた社会人教育が出てきているのかと思いますので,少しまずいのではないでしょうか。

【北山部会長】
 高等教育の将来構想部会でも,同じような議論があるのであれば,そちらと用語の平仄を取る必要があると思いますが,いかがですか。

【堀野高等教育政策室長】
 はい。大学分科会の方で,特に「持続的な」ことを中心において議論しているわけでもないので,文言については検討させていただきます。

【北山部会長】
 それでは,川端委員,お願いします。

【川端委員】
 ありがとうございます。2点ございます。
 まず,明石先生がお話をしていた英語教育の養成の部分に絡んできます。実は,小学校の現場で運動会という大きな行事がございます。これが48ページの学校や地域における子供のスポーツの機会の充実にも関係するかと思います。現場の先生方が新しいものを取り入れることでかなりの負担があると。それで,運動会を今までは保護者がお弁当を作って午後まで開催していたものをお昼でやめたいという申出が多々あるという声を,つい最近耳にしました。私も子供を三人育てておりましたので,運動会のお弁当は大変ですが,でもそれがすごく家族にとってもいい思い出にもなりますし,すばらしい行事だと思います。何かを増やすことで削らなければいけないのが子供たちに必要な行事であるのは,とても悲しいことではないかと思います。その辺りのバランスがうまくいくような方針を出していただければいいのではないかと思っております。
 もう1点です。先ほど丸山委員もおっしゃっていた,震災の件です。先日送られてきました資料では,赤文字で東日本大震災について74ページで触れてはいました。以前から私は申し上げておりまして,東日本大震災だけではなくて,熊本地震や広島の土砂災害など,いろいろな地域を含めて災害と直していただいたと思っておりました。それが今回赤になって東日本と出ていたので今回の資料はどうなっているかと思いました。頂いた資料は削除の赤線ではなくて、下線になっていたので残っているかと思ったのですが,そこが見当たらなかったです。そこは全く削除されていました。子供たちがそういった部分で取り残されないように,精神的な部分,学習面での部分,いろいろな面で,まずはそこに力を入れて健やかに成長していってほしいと,どこかに加えていただけたらと願っております。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 無藤委員,お願いします。

【無藤委員】
 私からは幼児教育の,幼稚園などの教師の研修について意見を申し上げます。それにつきましては,見え消しで言いますと42ページに出ています。ここに要点があるとおりではあるのですが,もう少し加えられないかということです。
 私の提案といたしましては,後ろの方の75ページで「教師の資質能力の向上」があります。ここで,もう少し幼児教育にこういうことを配慮していただけないだろうかということです。
 二つあります。一つは今のところ,75ページの最初のぽつで「校長及び教員の資質の向上に関する指標」等とあります。これは幼稚園及び認定こども園についても,公立の場合には作る必要があると思います。基本的には市町村の教育委員会に任されております。現状を見てみると,組織的調査は多分まだないと思います。多少私が知っている範囲で言えば,しっかりやって作って進めているところもありますが,必ずしもそうでもないように思います。
 というのも,幼稚園の場合には民間の幼稚園が多いのですが,必ずしも従来それは教育委員会の管轄にはなかったということ,もう一つは新しい制度が始まる中で幼稚園と保育所などを合わせる形で公立幼稚園であっても,管轄を例えば子育て支援課や保育課に委ねる場合も増えております。そういう意味で,教育委員会の関わりが減っているわけです。その関わりはどうであれ,そういう指標を作ることにおいて,国や都道府県などが支援していく必要があるのではないかということが一つです。
 もう一つは,全体に加えられないかということですが,ここで加えられないかということであります。今申し上げたように,幼稚園の場合に公立とともに民間の幼稚園が多いと。それから,保育所ももちろん多いわけです。そこでの研修は公立の小中高に比べると,はるかに十分とはいえない量的な水準にあると思います。民間の場合には学校法人に委ねられてはいますが,そういう意味で法人の自由といえば自由ですが,やるべき研修をすることは大事だと思います。
 そして,本年度,特に来年度以降実際に幼稚園教諭と保育士とともに,民間に対してキャリアアップ研修と称しておりますが,経験年数がある程度以上の人たちの研修を大幅に増やそうと各都道府県が動き始めております。それについても,実情としては相当難しい。時間をつくる,どこで研修をするか,誰がするか,どういうやり方で行うかについてのノウハウがありませんので。そういう意味でも,幼児教育について幼稚園,認定こども園,保育所などを含めながら,特に民間保育に配慮して教員等の研修及び充実を行政としても支援していくようなことが書き込めないかというのが,私の意見でございます。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 白井委員,お願いします。

【白井委員】
 ありがとうございます。
 一つは,先ほど来皆様から御指摘があることで,災害のときの対応です。46ページの中段のところに「災害からの復興等」と触れられている中で,以前にも発言させていただきましたが,福島県の現場でスタッフ,カウンセラーなどが非常に厚く配置をされて,状況の深刻さに比べて不登校率が非常に低かった実例もあります。そこについてきちんと書き込むことがないと,逆にバランスが取れないのではないか。
 一方で,今現在福島県の現場を回っていて,この学年が落ち着きのない子が多いというところを見ていると,例えば災害があった年に生まれている子だったり,その年にいろいろな節目を迎えている子たちの学年だったりと,まだまだ影響が長く続いております。ですので,直後だけというのではなくて,かなり根強い支援が必要だということについても書き込む必要があるのではないかと思います。
 もう1点です。先ほど柘植先生が意見された72ページです。通級指導の増加でいいのかということについて私も同意です。逆に,一人一人の支援と計画を立ててからの通級を受けるべきかどうかという判断になるかと思いますので,優先順位が違うのではないかと感じます。ここは再考の必要があるかと感じます。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 永田委員,お願いします。

【永田委員】
 どうもありがとうございます。全体的に見て将来のことなので,ICTやAIの活用に関する文言はあちらこちらにあります。実際に現場でICTを活用する,また,そのための基盤整備を行うといった文言もあり、大変重要だと思いますが。一方で,今後の教育展開において,文部科学省を含めた施策側がAI,ビッグデータを利用することについては書かれていません。こちらの視点も大変重要であり,教育施策を実施するために日々ICTを利用していく,といった視点も含め全体として進めていくという観点が抜けていると思います。
 つまり、ここではICTの利用について「できたものを現場で使いましょう」という視点を中心に書かれています。しかし,より重要なことは,ICT,AI,ビッグデータというツールを教育内容や施策の改善に利用する,ということだと思います。現状ではこうした視点がほとんど見当たらないので,書き込む箇所は別に考えるとして検討すべきかと思います。
 例えば,ICT,AIが実装されると特別支援教育は根本的に変わります。今までとは全く違うタイプの教育課程に変わる可能性があるので,もっと積極的にこれから出てくる技術を使うという姿勢をどこかに書いておくことも大切だと思います。
 関連して申し上げますと,ICTが拡充されるということは,ネットワークの中で完全にオープンな環境下に置かれるということを意味します。こうした環境下では、「地域」におけるビッグデータの総和は「我が国」となり,我が国全体のいろいろなデータは「世界」に繋がります。ICT,AI,ビッグデータの活用については、こうした文脈を念頭に置く必要があると思います。
 以上です。

【北山部会長】
 どうもありがとうございます。
 そのほか,本日の時点で御意見のある方はおられませんか。追加で御意見があれば事務局にメール等でお出しいただければと思います。
 本日の質疑・御意見については,ここで終了とさせていただきます。最後に,次回の予定についてお願いしますか。

【内田教育改革推進室長】
 次回の予定ですが,2月の上旬から中旬に開催の方向で検討しております。現在,調整中でございますので,また改めて御連絡申し上げたいと思います。

【北山部会長】
 次回以降,財源の問題についても文案を提示させていただき,そこでまた部会の皆さんの御意見を頂戴したいと思っております。

【北山部会長】
 それでは,本日はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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