教育振興基本計画部会(第8期~)(第15回) 議事録

1.日時

平成29年8月8日(火曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階)

3.議題

  1. 審議経過報告に向けた議論の状況

4.出席者

委員

 北山部会長,小川副部会長,明石委員,大竹委員,川端委員,菊川委員,白井委員,高橋委員,柘植委員,戸ヶ﨑委員,永田委員,羽藤委員,丸山委員,無藤委員,百瀨委員,山内委員

文部科学省

 戸谷事務次官,小松文部科学審議官,常盤生涯学習政策局長,高橋初等中等教育局長,義本高等教育局長,山﨑技術参事官,塩見文部科学戦略官,下間大臣官房審議官,瀧本大臣官房審議官,柿田大臣官房会計課長,里見大臣官房国際課長,萬谷生涯学習政策局生涯学習推進課長,矢野初等中等教育局初等中等教育企画課長,蛯名高等教育企画課長,堀野高等教育局高等教育企画課高等教育政策室長,内田生涯学習政策局政策課教育改革推進室長,寺坂生涯学習政策局政策課教育改革推進室長補佐 他

5.議事録

【北山部会長】
 ただいまから,第15回教育振興基本計画部会を開催いたします。これまで,8月末に審議経過報告を取りまとめる方向で議論を進めてきましたが,これまでの議論の状況を踏まえ事務局とも相談し,今回は総論,各論についての意見交換をした上で,次回の8月末の部会において審議経過報告の素案を議論し,9月に審議経過報告を取りまとめる方向で進めたいと考えております。答申の取りまとめは,引き続き12月を予定しておりますが,8月から9月に掛けての流れが少し変わるということになります。
 本日の意見交換は,2回に区切って,総論に当たる資料1‐1を議論した後で,資料1‐2,1‐3について議論するという流れで進めたいと思います。
 それでは,まず配付資料の確認を事務局からお願いします。

【内田教育改革推進室長】
 それでは,配付資料を確認させていただきます。資料1‐1から1‐3でございますが,第3期計画に関する審議経過報告に向けた議論の状況をまとめた資料でございまして,総論,各論,指標の例の三つがございます。資料2が生涯学習分科会における主な意見,資料3が今後の日程,資料4が委員提出資料といたしまして村岡委員からの御意見でございます。過不足等ありましたら,事務局までお知らせください。また,タブレット端末に関係資料を入れておりますので,適宜御参照いただければと思います。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは議事に入ります。まず事務局から,総論部分の資料1‐1について御説明をお願いいたします。

【内田教育改革推進室長】
 それでは,資料1‐1について御説明させていただきます。こちらは総論で,これまで委員の皆様から様々な御意見を賜ってきたところでございます。これまでの御意見を踏まえ,飽くまでも現時点版ということでございますが,まとめさせていただいたものでございます。
 2ページ目を御覧ください。まず「第1部 我が国における今後の教育政策の方向性」ということで,ローマ数字1,「教育の普遍的な使命」でございます。平成18年に教育基本法が改正されましたが,その改正基本法の目的・理念を踏まえまして,今後更なる取組を進めていく必要があるといった総論的なことを記載しております。特に教育の目指すべき姿といたしまして,「個人」に関しましては,「自立した人間として,主体的に判断し,多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材の育成」,「社会」といたしましては,「一人一人が活躍し,豊かで安心して暮らせる社会の実現」,「社会(地域・国・世界)の持続的な成長・発展」といったことを記載しております。
 4ページ目を御覧ください。ローマ数字2,「教育をめぐる現状と課題」の「1.これまでの取組の成果と課題」でございます。これまで,第1期計画,第2期計画を進めてきたわけでございますが,これまでの成果といたしましては,初等中等教育段階におきましては,PISA2015やTIMSS2015において我が国が引き続き世界トップレベルであり,全国学力・学習状況調査におきましても下位県の成績が全国平均に近づく状況が見られ,学力の底上げが図られてきています。
 一方,課題といたしましては,読解力低下への対応,自己肯定感の向上,子供の体力,朝食欠食への対応など,健康の確保という部分,大学教育の質保証と学生の学修時間の増加,社会人の学び直し,グローバル化への対応,それらに対応していく必要があるとしております。
 「2.社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ,取り組むべき課題」といたしまして,まず「(1)人口減少・高齢化の進展」のところで,我が国の人口が平成20年をピークとして減少局面にあるといった少子化という課題,また「(2)急速な技術革新」のところで,2030年頃には第4次産業革命ともいわれるSociety 5.0の到来が予想されていることや,日本の労働人口の相当規模が人工知能やロボット等により代替できるようになる可能性が指摘されていると記載しております。
 また,「(3)国際的な地位の低下とグローバル化の進展」が進んでいる,さらに,「(4)子供の貧困など社会経済的な課題」では,家計所得が高いほど4年制大学への進学率も高くなっているような格差の問題,「(5)地域間格差など地域の課題」といったことを整理させていただいているところでございます。
 最後に,「(6)教育をめぐる状況変化」といたしまして,「子供の抱える課題」でございますが,二つ目の丸の辺りに,学習したことを活用して,課題の解決に主体的に生かしていく面に課題があると考えられると記載しております。
 その次の段落ですが,高等学校の生徒の学校外の学習時間に関しまして,特に下位層は低い水準で推移しているという課題や,地域コミュニティの弱体化,家庭の状況変化,教員の負担といったもろもろの状況の変化があります。
 10ページ目を御覧ください。「国際的な教育政策の動向」でございます。前回の部会でも御報告させていただきましたが,四つ目の丸にあるとおり,OECDによる我が国の教育施策レビューによれば,OECD各国の中でもトップクラスの成績であると評価すべき点はありますが,その一方で,教員の労働時間が長いことを考慮し,負担の軽減に取り組むことが課題であるということ。加えて,学習指導要領改訂に合わせて児童生徒の評価を充実していくことなどが求められています。さらに,社会人にも大学・専修学校等での学びを可能にすることや,労働市場のニーズに応えられるようにすることに取り組む余地があることについて記載がございます。
 12ページ目を御覧ください。ローマ数字3,「2030年以降の社会を展望した教育政策の重点事項」でございますが,柱を三つに整理させていただきました。まず「人生100年時代を豊かに生きる」ということで,今後,生涯に二つ,三つの仕事を持つことが一般的になるようなライフサイクルの中では,若年期において,知識・技能の習得,思考力・判断力等・表現力等の育成,学びに向かう力・人間性等の涵養(かんよう)といった基本的な資質・能力を身に付けることに加えて,人生100年時代をより豊かに生きるため,生涯にわたって学習し,自己の能力を高めることの必要性が一層高まっているということを記載しております。
 また,二つ目の柱では,「超スマート社会の実現」ということに対応していく必要があること,そして,三つ目の柱では,「教育を通じた一人一人の『可能性とチャンス』の最大化」を図っていく必要があることを記載しております。これまで,このページで述べてきた様々な社会の大転換を,我が国が抱える諸課題に本格的に挑戦し,解決する好機と捉えまして,これを教育が牽引(けんいん)していくとの気概を持って,今後の教育政策を推進していく必要があると考えております。したがって,12ページの一番下のところには,一人一人の「可能性とチャンスの最大化』を今後の教育政策の中心課題に据えて取り組む必要があると記載しております。
 13ページ目を御覧ください。AIの発展によって多くの職種がコンピュータに代替されるということでありますが,人間ならではの感性や創造性を発揮しつつ新しい価値を創造する力が一層重要になってくるということ。また,人口減少・高齢化の中で我が国が競争力を維持し,持続可能な社会を実現するためには,一人一人の能力の一層の高度化が不可欠であると記載しております。
 全体を貫くテーマといたしまして,点線のところに記載しておりますが,「これからの時代を生きる力,次代を切り拓(ひら)く力の育成に向けた教育の質の抜本的向上」,「教育と社会との連携強化による個人と社会の不断の成長」,「真(しん)に国民に開かれた教育の実現」といったことを位置付けていく必要があるのではないかと考えております。
 14ページ以降は,これまでも部会や,1月に取りまとめた「第3期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方について」の中でもお示ししている,これまで御議論いただいた五つの基本的な方針でございます。これらに,今までまとめたものを若干整理させていただきました。基本的な方針1,「夢と自信を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」として,「確かな学力,豊かな心,健やかな体の育成等」ということで,三つ目の丸にありますが,主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善(「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善)の推進などを記載しております。
 また,基本的な方針2,「社会の持続的な発展を牽引(けんいん)するための多様な力を育成する」では,17ページの真ん中の辺りになりますが,「イノベーションを牽引(けんいん)する人材の育成」ということで,例えば文理の枠を超えた分野横断的な知識の修得,技術や情報を取捨選択して課題解決のために使いこなす力や,18ページの上段になりますが,「スポーツや文化芸術分野の人材の育成」ということで,平成32年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを見据えた人材の育成,子供のうちから質の高い専門家に出会う体験の機会の充実ということを記載しております。
 また,基本的な方針3,「生涯学び,活躍できる環境を整える」という生涯学習の環境作りですが,二つ目の丸のところで,年齢を重ねるにつれ,一般的に体力や短期的な記憶力は低下するが,日常の問題を解決する能力は伸びていくとの研究もあるので,伸びる力を伸ばしていくことが重要だということ,また「地域課題解決のための学びの推進」,「社会人が大学等で学べる環境の整備」,「障害者の生涯学習の推進」といった項目を記載しております。
 また,基本的な方針4,「誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する」につきまして,例えば20ページの上から二つ目の丸には,困難を抱える親子の増加に対応するため,地域の多様な教育資源を効果的に活用し,きめ細かな対応を行っていくことが重要であると記載しております。
 最後に,基本的な方針5,「教育政策推進のための基盤を整備する」につきましては,「学校指導体制の整備」ということで,新しい教育課程の実施への対応,障害のある子供や日本語能力が十分でない子供への対応をはじめとした個々の課題に適切に対応しつつ,社会に開かれた教育課程の実現等を図っていく必要があると記載しております。
 「ICTの利活用」や, 22ページの真ん中,「高等教育の基盤整備」として,こちらは,現在中央教育審議会の将来構想部会においても議論がされておりますし,内閣官房に置かれる予定となっております人材育成の構想会議の議論なども今後踏まえながら,更に書き足していく必要があろうかと思います。現時点のもので記載させていただいているものでございますが,18歳人口の減少に伴って教育研究の基盤強化に向けた高等教育のシステム改革ということで,特に創造的な教育研究の高度化,社会の変化,地域や産業界の多様な要請を踏まえた実践的な教育の充実,さらに,ユニバーサル・アクセスを進める上で,障害の有無など多様な学生,社会等の多様なニーズにこれまで以上に的確に対応していくことが求められるということをまとめさせていただいております。
 説明は以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 ここで一旦区切りますので,資料1‐1について御意見,御質問がありましたら,御発言をお願いします。なお,この後の資料1‐2以降各論に入っていきますので,当然ながらその辺りと少しオーバーラップする部分もあろうかと思いますが,ひとまずこれまでのところで御意見がある方は,お願いいたします。
 それでは,菊川委員,お願いします。

【菊川委員】
 私は生涯学習分科会に所属をしておりますので,社会人の大学入学の倍増ということに関連して,申し上げたいと思います。
 確かに総論の中でも生涯学習をこれまで以上に,量だけではなく,質を変えていく,あるいは,大人に対してもイノベーション人材を図っていくということですが,今までの手法の延長では,この倍増というのは達成できないのではないかと思っているところでございます。
 公開講座等の受講者人数を増やすことも大事だと思いますが,今求められていることは,社会の現役層が最新の知識・技能をずっと学び続けるための条件整備をしていくことだと思います。一方,先ほども御説明がありましたように,地方の大学等は少子化が進んでおります。ですから,このようなものを地方の大学,それは国公私立含めてなのですが,それと,例えば私どもの例で恐縮でございますが,放送大学のような学びやすい通信制の手段を連携させることで,今までにない制度が設計できるのではないでしょうか。例えば生涯学習政策局と高等教育局が組織的に連携して,何か新たな社会人に対する学びの制度を作っていくようなことが可能ではないかということが1点です。
 それから,もう一点ですが,「一人一人の『可能性とチャンスの最大化』」という言葉が出てきました。再度恐縮ですが,放送大学といいますと,一般にはお年寄りが多いというイメージがあるかもしれませんが,実は10代,20代の学生さんも同じ比率でいらっしゃいます。それは,学び直しです。例えば,高校を中退して,多少家に引きこもっていた,あるいは大学を中退してしまって,働いているけれども,やはり学位が欲しいという方々がいらっしゃいます。
 そして,初めて学ぶことの楽しさに触れられて,中には卒業研究等にチャレンジされる方もいらっしゃいます。そうしますと,初めて大学の先生から教えていただくということで,非常に伸びる方がいらっしゃいます。そのような方は卒業した後,大学院を目指したり,あるいは就職に向けて本気になっていったりといったことがございます。
 ですから,今回の計画の中で障害者の生涯学習が新たな視点として出てきて,すばらしいと思いますが,同じように,例えば高校中退者や,大学中退者といった方々の学び直しのチャンスの最大化のようなものを制度としてお願いできたらと思います。個別の各論に入っているかもしれませんが,よろしくお願いいたします。

【北山部会長】
 ありがとうございます。後ほど御紹介があるかと思いますが,本日,資料2として「生涯学習分科会における主な意見」という資料が配られております。その資料にも,今,菊川委員がおっしゃったような内容が入っています。
 次に,白井委員,お願いできますか。

【白井委員】
 まず,本日は働く母親としての課題が露呈した形です。小6の長男だけ一緒に連れて来させていただきまして,御配慮を頂きまして本当にありがとうございます。思った以上に目立つので非常に動揺が止まらないという状況なのですが,本当に皆様の御配慮,有り難く思っております。
 その中で,それこそ,子供,若者がこれをもしかしたら読むかもしれないという前提で考えたときに,少し気になったところを2点だけ申し上げたいと思います。
 まず8ページの中段に「子供の抱える課題」という表現がありまして,その中にいじめや不登校といったような課題が挙げられています。全くそのような意図があって記載されたことではないということは承知しているのですが,「子供の抱える課題」という表現になってしまうと,課題の根源を子供に帰するような形にとられかねないということで,何かもう少し誤解を招かないような表現をお願いしたいと思います。例えば「子供をめぐる問題」とか,「子供をめぐる課題」などといったような形で記載してもいいのではないかと思っております。
 それから,もう一つ,12ページの一番下の丸の,「これを教育が牽引(けんいん)していくとの気概をもって今後も教育政策を推進する必要がある」というところなのですが,この気概は,誰が持つのでしょうか。主体が誰なのかというところがないと,それだけ浮いた表現になってしまうと思いますので,そちらの書きぶりを少し工夫していただいてもいいのではないかと思いました。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 無藤委員,お願いします。

【無藤委員】
 21ページ辺りで,学校教育の課題が触れられております。特に21ページの「学校指導体制の整備」というところについて,そこに記載されているのは全くそのとおりだと思います。それに加えてなのですが,教職員の多忙化などの背景は様々ありますが,その一つとして,「学校」という枠の中で様々なことをやってほしいというたくさんの要望が社会から届いているということもあると思うのですね。
 それに対応して,チームとしての学校はもっともですが,チームとしての学校というのは,やはり家庭・地域・関係機関と連携し,協力してもらいながらも,学校の中でやるというのがイメージでしょう。それは必要ですが,それとともに,特に小中高ですが,学校教育としての使命,あるいはミッションというものを改めて見直すということを,地域,また関係機関の連携の中で行っていく必要もあるのではないでしょうか。
 あるものは,もしかしたら社会教育機関なり,地域の何らかのそういったところに任せたり,また,例えばインターネット,その他での学習機会に委ねたりするということも必要ではないか。例えばたまたまニュースでやっていましたが,プログラミングについて,日本の高校生が世界的に優れた成果を出したそうですが,そのような高校生を学校教育の枠で指導することはなかなか難しいわけです。
 むしろ,恐らく社会の中で広く学ぶ場をつくりながら行うということになっていると思います。生徒指導面や部活動もそうだと思うのですが,様々な面について学校の在り方を検討するということも考えていただければと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,お隣の百瀨委員,お願いします。

【百瀨委員】
 今,無藤委員からもお話がありましたが,これまでの御議論の中で,教員の多忙化,あるいは児童生徒の実態を踏まえた記載があるかと思います。その中で一つ,20ページ以降の基本的な方針5,「教育政策推進のための基盤を整備する」について,意見を申し上げたいと思います。昨年度の議論の中では,「教育投資」がずっと盛り込まれていたかと思うのですが,ある段階から,直接的な表現としては出てこなくなってきています。様々な要因があろうかと思いますが,学校現場としては,チーム学校,あるいは,どうしても様々な教育が足し算で学校に付加されています。
 それでも,できるだけ学校・家庭・地域の連携の中で分担といいながらも,実はかなりコアになるのが学校となったときに,やはり教員が調整役をやらざるを得ません。そう考えたときに,単純に人を増やせばいいというものではありませんが,様々な意味合いでの人的な基盤整備というのは大きな意味合いではないかと思いますので,何らかの形での20ページ以降のところに盛り込んでいただければ,大変有り難いと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。教育投資については,先生方に関する問題以外のいろいろな論点を含めて,諮問事項の大きな柱の一つになっております。本日の資料としてお配りしております「第3期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方(概要)」においても,下の方に横長の形で記載しておりますが,この部分については秋以降,集中的に議論する予定です。
 なお,教育投資に関しては,党や政府でも様々な動きがありますので,その辺りもよく踏まえつつ検討していこうということで進めております。答申に向けた議論から落ちてしまっているわけではございませんので,秋以降にまた御議論いただければと思います。
 それでは,柘植委員,お願いします。

【柘植委員】
 2点あります。まず1点目ですが,14ページのローマ数字4,「今後の教育政策に関する基本的な方針」のところの一番下の二つの丸についてです。1年前の諮問の二つの重要なポイントの一つの根拠に基づいた教育政策というところで,とてもいい感じの文章にまとめてくださっておりますので,とてもうれしく思います。
 このように明記することによって,今後,各自治体がそれぞれ教育振興基本計画を作っていくときも,やはりこのような流れでやっていく時代になったのだということを分かりやすく説明していくことが必要かと思いました。ただ,基本的な方針5の「教育政策推進のための基盤を整備する」のところにはこれらの記載がないのですが,これについて,半年ほど前にどなたかが御意見されていたかと思いますが,よろしいのですか。
 もう一つ,これは細かいことですが,先ほど障害のある方の生涯学習に関する話がありましたが,障害のあるお子さんのことについて何か所か記載がございます。9ページの一番上を御覧いただきたいのですが,いきなり「就学先が」と出てきているのですが,もしかしたら国連の権利条約を批准し,それに基づいて中央教育審議会がインクルーシブ教育システムを構築するといったことが状況の変化であったといったように記載しないと,いきなり「就学先が本人」といった書きぶりは唐突な感じがします。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 川端委員,お願いします。

【川端委員】
 15ページの基本的な方針1,「夢と自信を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」とありますが,中身を読んだときに,私としてはどれが夢なのかなと感じてしまいました。三つ目の丸のところで,「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか」と記載されているのですが,子供たちが,「一体自分はどう生きていきたいのか」がとても私は大事なのではないかと考えております。
 前にもお話がありましたが,大学に行くための勉強ではなくて,自分がどう生きたいか,そのためには何を勉強するのか,何を学ぶのかということに重きを置いたものが多くの子供たちに伝えることができればいいと考えております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 委員の皆様から様々な御意見を頂いておりますが,この時点で文部科学省から何かコメントされますか。

【内田教育改革推進室長】
 様々な御指摘を頂きましたので,持ち帰りまして,それぞれの御意見についてどのように対応できるか,検討させていただきたいと思います。
 1点,柘植委員からエビデンスの関係で,基本的な方針5のところに記載がない旨のコメントがございました。冒頭の基本的な方針1から5を14ページに記載させていただいておりますが,これが1から5まで全体を貫く考え方として整理させていただいております。それぞれの1,2,3,4,5の5というのは,ソフト・ハード面で1から4までのそれぞれの方針を支えるための基盤という作りになっておりますので,当然全体に掛かってくる点として整理させていただいております。
 また,エビデンスの論点も,諮問のときに一つの重要な論点として入っている事項でございますので,今後,教育投資を御議論いただくと先ほど北山部会長からもお話がございましたが,客観的根拠に基づく教育施策について,こちらに総論的には記載しているのですが,更に深堀りして,また論点として出させていただきたいと思っているところでございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 今,明石委員はじめ4名の方が御発言を希望されております。前半部分はそこで一旦切りたいと思います。
 それでは,明石委員,お願いします。

【明石委員】
 21ページの真ん中辺りの,「学校指導体制の整備」の三つ目の丸について,「学校現場における業務の適正化を通じて」とさらっと書いていますが,私は大事なところだと思っています。2点あるのですが,1点目は,小規模校,中規模校,大規模校の学校における教員の配置や,先生方,個人個人の負担の問題というのは余り研究が進んでいないのですが,このようなことをエビデンスに基づいて証明しない限り,適正化が難しいだろうなということです。
 もう一点は,ICTの利活用といっていますが,学校現場における業務の適正化といったときに,どこまでが人工知能でカバーできるのか,どこが人工知能ではカバーできないかという視点で業務の適正化を深堀りしてほしいということです。したがって,この2行でさらっと書いていることを,もう少し深めていただきたいというのが私の意見でございます。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,大竹委員,お願いします。

【大竹委員】
 先ほど事務局からも回答がありましたが,基本的な方針5の「教育政策推進のための基盤を整備する」に,エビデンスベーストの政策を推進するための基盤整備という形で何とか盛り込んでいただければと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 高橋委員,お願いします。

【高橋委員】
 17ページの基本的な方針2,「社会の持続的な発展を牽引(けんいん)するための多様な力を育成する」の「イノベーションを牽引(けんいん)する人材の育成」のところで,「高等教育の果たすべき役割は極めて大きく」と記載いただいていることは,重要だと思います。しかしながら,5ページの「2.社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ,取り組むべき課題」には,高等教育の課題が余り記載されていないと思います。
 Society 5.0,超スマート社会の実現,そして持続発展を展開するためには,本当に高等教育が社会の持続的な発展を担って,変化に対応してイノベーションを牽引(けんいん)する人材を育成するというところを強調していただきたいと思います。高等教育への財政支出は,この間余り日本は増えておりませんので,実際にどれだけの大学がこれから力を発揮できるのだろうかと思うと不安なところがございます。
 したがって,「2.社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ,取り組むべき課題」に高等教育の状況の変化なり,課題ということを整理していただきたいと思います。そして,17ページ以降の「イノベーションを牽引(けんいん)する人材の育成」について,実は地方大学にいますと,本当にこのような高度なグローバル化の社会だからこそ,地方においては,むしろグローバル化の影響は大きく,地方の企業は否応(いやおう)なく既にグローバル化されていることを感じます。地方大学にこそ,世界に通用するような人材育成や研究開発を通して地域を発展させるといったことの重要性が求められていることを日々実感するものですから,そのような点を書き加えていただきたいと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,前半部分の最後になりますが,永田委員,お願いします。

【永田委員】
 各論については,資料1‐2,1‐3を見た後に申し上げたいと思います。最初に,全体について意見を述べさせていただきますが,資料1‐1,1‐2,1‐3を通じて,キーワードが統一されていないことが気になります。つまり,資料1‐1の総論と資料1‐2の各論の書きぶりはもちろん違って当然かもしれませんが,キーワードが統一されていないためうまくつながらないのです。
 KPIは更にその傾向が強いのですが,総論を読んだ後に各論を読むと,非常に接続が悪くて分かりにくいです。総論に理念が述べていて,これを受けて各論がある,という構成だとすれば,理念を述べるところに各論に出てくるキーワードをきちんと頭出ししないと,各論が理解しづらいと思います。
 また,資料1‐1の中で,22ページの「高等教育の基盤整備」の二つ目の丸を御覧いただきたいのですが,ここには,丸1,丸2が記載されています。これは,基盤整備をする理由付けを記載しているのかもしれないですが,この2点が真の目的ですので,これを本文にしないといけないのです。重要な内容であるにもかかわらず,このように記載してしまうと,基盤整備のための理由付けにすぎないという位置付けになってしまいます。将来に向けて,価値創造の基盤たる創造的な教育をより高度化することが重要なのでありますし,社会の地域や産業の要請に応える,ということも重要です。
 したがって,この2点は本文に移していただきたいと思います。

【北山部会長】
 様々な御意見ありがとうございました。次に資料1‐2,1‐3等の説明をお願いして,その後,議論に入りたいと思います。
 それでは,内田室長,御説明お願いできますか。

【内田教育改革推進室長】
 それでは,資料1‐2に基づきまして御説明させていただきたいと思います。まず,基本的な方針の1から3まで御説明をさせていただきまして,その後,御質問を頂きまして,また基本的な方針の4と5を御説明させていただきたいと思います。
 資料1‐2の2ページ目を御覧ください。「第2部 今後5年間の教育政策の目標と施策群(案)」と記載しておりますが,第1部で示した五つの基本的な方針の実現に向けまして,方針ごとに施策を総合的かつ体系的に示し,その実現のための道筋を明らかにする目的で,教育政策の目標や測定指標,参考指標,目標を実現するために必要となる施策群を資料1‐2と1‐3で整理させていただいております。
 教育の実施の多くが地方公共団体や民間でありますので,そういったことに留意しまして,国全体として,国自身が取り組む施策を整理させていただいております。そうした目標も参考にしながら,各関係者が自主的に目標の設定などを行っていくことが期待されると,2ページに記載しております。
 3ページ目以降が,基本的な方針1でございます。まずは「目標(1)確かな学力の育成」として,施策群を網羅的に記載しております。「幼児期における教育の質の向上」,「新学習指導要領の着実な実施等」,「全国学力・学習状況調査の実施・分析」として,新学習指導要領や中学校における英語調査の導入,保護者に対する調査等を踏まえまして,教育施策・指導の改善・充実を図っていくこと。さらに,「高等学校教育改革の推進」として,「高校生のための学びの基礎診断」制度の創設などを記載しております。
 5ページ目を御覧ください。「目標(2)豊かな心の育成」でございます。「子供たちの自己肯定感の育成」として,多世代交流や異年齢交流の活動の重視,乳幼児期からの自己肯定感の育成に向けた家庭教育の支援を記載しております。また,「いじめ等への対応の徹底,人権教育の推進」,「道徳教育の推進」といたしまして,「特別の教科 道徳」の実施により,「考え議論する道徳」への転換を図るとしております。
 また,6ページ目には,「体験活動や読書活動の充実」として,自然体験活動や集団宿泊活動など,様々な体験活動の充実に取り組むとしております。
 7ページ目を御覧ください。「目標(3)健やかな体の育成」でございます。「学校保健・学校給食・食育の充実等」として,食に関する指導を充実させるため,学校給食の実施率向上を図るとともに,地場産物を活用する取組を促すような施策に加え,「子供の基本的な生活習慣の確立に向けた支援」として,「早寝早起き朝ごはん」国民運動などを記載しております。
 8ページ目を御覧ください。「目標(5)問題発見・解決能力の修得」として,学生本位の視点に立った教育の実現のため,教員一人当たりの学生数(ST比)などの教育環境の水準の改善,課題解決型学習(PBL)による教育内容の改善,大学ポートレートなどを通じた情報の公開の推進,教育の質向上と効果的な運営のための高等教育機関間の連携強化,地域でコンソーシアムを形成するなど,他機関等と連携した教育課程編成等を推進することに加えまして,「高大接続改革の着実な推進」という施策を記載しております。
 10ページ目を御覧ください。「目標(6)社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成」として,「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化」ということで,「専門職大学」及び「専門職短期大学」の平成31年度開学に向けて必要な準備を進めるということ,また,「各学校段階における産業界とも連携したキャリア教育・職業教育の推進」として,専修学校においては企業等と密接に連携した「職業実践専門課程」を中心に,質保証・向上を推進するなどの取組を進めると記載しております。
 11ページ目を御覧ください。「目標(7)家庭・地域の教育力の向上,学校との連携・協働との推進」として,家庭の教育力の向上のための,妊娠期から学齢期以降までの切れ目のない支援の実現,家庭教育支援員となる人材の育成について記載しております。また,地域の教育力の向上,学校との連携・協働の推進のため,全ての公立学校においてコミュニティ・スクールの導入を目指し,全小中学校区において地域学校協働活動の全国的な推進を図っていくといった施策を記載しております。
 12ページ目を御覧ください。基本的な方針2,「社会の持続的な発展を牽引(けんいん)するための多様な力を育成する」でございます。まず「目標(8)グローバル人材の育成」として,「英語をはじめとした外国語教育の強化」ということで,小学校外国語教育の中学年への早期化や高学年での教科化をはじめ,コミュニケーションを図る資質・能力の育成,ALTの配置,各都道府県等の「英語教育改善プラン」の策定,記載しております。また,「国際化に向けた先進的な取組を行う高校・大学等への支援」として,英語での授業の実施,外国人や海外で学位を取得した若手の積極採用などに取り組む大学への重点的な支援といった施策を記載しております。
 14ページ目を御覧ください。「目標(9)イノベーションを牽引(けんいん)する人材の育成」でございます。「優れた才能・個性を伸ばす教育の推進」として,児童生徒が科学技術や理科・数学,ものづくりに対する関心・素養を高めるための取組を推進することや,15ページの下のところになりますが,「IT・データ活用能力の育成」ということで,初等中等教育におけるプログラミング的思考を含む情報活用能力の育成,文系理系の枠を超えて数理的思考やデータ分析・活用能力を持つ人材育成の推進といった施策を記載しております。
 16ページ目を御覧ください。「目標(10)スポーツ・文化等多様な分野の人材の育成」でございます。「次世代アスリートを発掘・育成する戦略的な体制等の構築」,「芸術家等の養成,文化芸術振興策の推進」,「我が国の多様な成長分野の発展を担う専門人材の育成」ということで,多様な分野の発展を牽引(けんいん)する専門人材の育成に向けて,関係省庁,産業界とも連携した実践的な教育プログラムの開発といった施策を記載しております。
 17ページ目を御覧ください。基本的な方針3,「生涯学び,活躍できる環境を整える」でございます。「目標(11)人生100年時代を見据えた生涯学習の推進」では,「現代的・社会的な課題に対応した学習等の推進」として,18歳以上の若者が投票や選挙運動ができるようになったことも踏まえ,国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質や能力を育むことを記載しております。また,「生涯を通じた学習の成果の適切な評価・活用のための環境整備」,「生涯を通じた文化芸術活動の推進」についても記載しております。
 18ページ目を御覧ください。「目標(12)人々の暮らしの向上と社会の持続的発展のための学びの推進」として,二つ目の丸になりますが,「社会における人づくり,地域づくりを担う中核人材の育成」,「民間の資金とノウハウも活用した持続可能な社会教育施設の運営」といった施策を記載しております。
 19ページ目を御覧ください。「目標(13)社会人が大学等で学べる環境の整備」として,「教育機関における産業界と連携した実践的な教育カリキュラムの編成・実施」の下の方に社会人のニーズに応える教育プログラムの開発・実証を推進することでございます。先ほど菊川委員から御指摘いただきましたところが,この二つ目の丸の「働きながら教育機関において学べる学習環境の整備」辺りに,若干関連してこようかと思います。放送大学で放送授業等に加えてオンライン授業の充実を図るなど,ICTを活用した教育を行う大学・専修学校等の活用を促進すること,また,複数の教育機関による単位の累積による学位授与の拡大に向けた検討について記載しております。
 また,「経済的な支援の実施」として,若者等の学び直しの支援のための奨学金制度の弾力的運用や,職業教育訓練給付なども含めて,関係省庁が連携して経済的な支援制度の利用促進を図るといったことを記載しております。
 20ページを御覧ください。「目標(14)障害者の生涯学習の推進」でございます。「学校卒業後における障害者の学びの支援」,また四つ目になりますが,「大学等における学生支援の充実」として,大学等と関係機関とが連携した取組を促進することで,各大学等における障害のある学生の修学を支援するなどの施策を記載しております。
 基本的な方針1から3までの各論の施策群が今申し上げたとおりになりますが,お手元にございます資料1‐3が今御紹介させていただいた施策群に対応する指標の例で,これまで委員の皆様から御意見を頂きましたものを踏まえまして記載しております。また,指標をもっと精選すべきという意見も多数ございましたので,整理させていただいているものでございます。
 例えば基本的な方針1の「目標(1)確かな学力の育成」ではPISA調査の指標,「目標(2)豊かな心の育成」では自己肯定感,「目標(5)問題発見・解決能力の修得」では,学生の学修に対する取組・態度といったことを記載しております。
 6ページ目を御覧ください。基本的な方針2の「目標(8)グローバル人材の育成」では,英語力に関しまして,英検などの指標を入れております。
 また,海外留学生数については,以前の案では数値まで入れていませんでしたが,委員の皆様からより具体的な目標があった方が良いという御意見なども踏まえまして,数値を入れさせていただいております。
 7ページ目を御覧ください。「目標(10)スポーツ・文化等多様な分野の人材の育成」でございます。こちらについては,前回も文化芸術関係の指標が少ないという御意見がございましたが,文化審議会の議論が先日開始されたと伺っております。そちらの進捗も踏まえ,今後,追記していくことになると思っております。
 次に,基本的な方針3でございます。8ページの「目標(13)社会人が大学等で学べる環境の整備」に,社会人受講者数を100万人にするという指標,また,「目標(14)障害者の生涯学習の推進」の測定指標については,現在検討中ですが,秋頃までに実態調査なども踏まえ,測定する指標を書き込んでいきたいと思っております。
 また,資料2として「生涯学習分科会における主な意見」をお配りしておりますが,簡単に御紹介だけさせていただきます。こちらは,7月14日の生涯学習分科会の主な意見の概要でございます。
 基本方針1の「豊かな心の育成」に関しましては,自己肯定感に関する内容,また,「家庭・地域の教育力の向上,学校との連携・協働の推進」に関しましては,家庭教育支援チームを広げていくこと,コミュニティ・スクールを導入すべきこと,また,子供たちが生まれてから幼児期,児童生徒へと成長していく過程が非常に重要なので,成長した大人も含めて生涯学習を高齢者世代までオールマイティで対応していくことに対する御意見がございました。
 2ページ目を御覧ください。基本方針3についてでございます。「人生100年時代を見据えた生涯学習の推進」に関しましては,上から二つ目のぽつでございますが,自分の可能性を発見するための生涯学習だと位置付けることが大変重要であるといった記載でございます。また,下から六つ目のぽつですが,人生100年時代は道が一つではなくて,高齢者にとっても第1,第2の人生という区分がなくなる時代にしていったら良いということや,その二つ下,市民社会における学び直しの基盤を作っていくため,高等教育機関の位置付けを理念的にしっかり描く必要があるという御意見がございました。
 3ページ目を御覧ください。「地域課題解決のための学びの推進」ということで,社会教育主事の存在意義を高め,「学びのオーガナイザー」の役割を担うべきということ,また,四つ目のぽつのところですが,多様な活躍をしている人たちが持っている多様な経験値や専門知を照らし合いながら,学び合うコミュニティを作る必要があるといった御意見がございました。
 また,「社会人が大学等で学べる環境の整備」として,一つ目のぽつの最後になりますが,何をすれば自分のキャリアが再び光り輝くのか,自分に投資するとどのようなリターンが得られるのかが分かるような学習を促進していきたいという御意見がありました。
 最後に,基本方針5についてでございます。「ICT利活用の促進」に関して,最後のページの二つ目のぽつになりますが,社会人が学習する際のいつでもどこでも手軽に学びたいものを学びたいという純粋なニーズに対応するためにICTをどのように活用するのかが非常に重要だという御意見がありました。
 最後に,「教育研究環境の整備」について,廃校となった学校施設等を全ての世代が学び合うことのできる生涯学習拠点として再生していくことの意義が大きいという御意見がございました。
 説明が長くなって大変恐縮でございますが,以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,ここで一旦区切りまして,委員の皆様から御意見,御質問があればお願いします。なお,基本的な方針の4と5については最後に時間を取ります。
 それでは,白井委員,お願いします。

【白井委員】
 何点かございます。まず資料1‐2の5ページです。いじめ等への対応の徹底についてかなり詳しく記載していただいています。その中で,2点目になりますが,問題行動を起こす児童生徒について,いじめられている生徒の立場に立った取組を促進するということで,出席停止や懲戒等の措置も含め毅然(きぜん)とした指導が挙げられており,これは非常に大事だと思うのですが,加害児童の方のケアの部分がこちらに記載されていません。そこをきちんとせずに,ただ排除することになってしまうと,懲罰期間が終わったとき,また同じことの繰り返しになってしまうといったことが考えられます。
 あるいは,いじめる側(がわ),いじめられる側(がわ)の逆転ということも簡単に起こりますので,ここについて,もう少し触れていただいた方がいいのではないかと思います。
 それから,もう一点が,16ページ,「目標(10)スポーツ・文化等多様な分野の人材の育成」についてです。芸術家等の養成,文化芸術振興策に関して,かなり詳しく記載いただいて非常に有り難いと思うのですが,前回も,いわゆる貧困の状態にある子供たちの格差がかなり開いていく原因として,文化に触れる機会がないといったお話をさせていただきました。
 「子供たちに一流の文化芸術に触れる機会を提供し」というところまではいいのですが,その先が「将来の芸術家や観客層の育成を図る」ということになってしまうと,ただ単に芸術産業の振興に聞こえてしまい,少しもったいないと思っております。いわゆる憲法で保障されている,最低限の健康で文化的な生活をきちんと実現するために,文化に触れる機会を作るのということで記載いただいた方がいいのではないかと思います。
 23ページの「特別支援教育の推進」,それから「不登校児童生徒の教育機会の確保」の中で,何回か配慮という言葉が出てまいります。障害のある子供と障害のない子供が共に教育を受けられるよう配慮することや,不登校児童生徒の実態に配慮した特色ある教育課程を編成するということで,「配慮」という言葉が出てきます。それこそ,教育機会確保法ができる二,三年前であれば,「配慮いただいてありがとうございます」と話が終わっていたような気もするのですが,大分時代が変わってきたと感じております。法律もできましたので,配慮をするというよりは,いわゆる集団の中での教育になじまないという子供が一定数いるという前提の下に,その教育課程自体をしっかり編成することが必要ではないかと思います。
 したがって,「配慮」というと,少し問題があると聞こえてしまうかなと思いますので,ここの表現も少し工夫していいのではないかと思います。
 最後に,基本方針4についてなのですが,21ページの「教育へのアクセスの向上,教育費負担の軽減に向けた経済的支援」のところで,「子供たちの誰もが」と記載していただいている割に,資料1‐1の19ページの中で,「意欲と能力のある全ての子供」という表現が出てきます。
 これについては,私からも3回ほど意見を申し上げておりますし,ほかの委員からも何回か御指摘があったと思いますが,意欲と能力のない子供って誰なのだという話ですね。この限定は要らないと思いますし,1‐2の方で書かれている「誰もが」というような表現と齟齬(そご)が出てくるかと思いますので,ここは特段の理由がない限りは,この限定表現は除いていただいた方がいいのではないかと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,菊川委員,お願いします。

【菊川委員】
 個別の表現で何点か申し上げます。まず,3ページでございます。全国学力・学習状況調査について,ここに,「毎年度・悉皆(しっかい)での実施」を入れていただいて良かったと思います。これは,感想でございます。
 それから,4ページでございます。「創造的復興を実現する人材の育成」というところが,頭から読んでいると,少し分かりにくいと思いました。この「復興」というのは福島の復興のことなのでしょうか。
 それから,7ページです。「子供の基本的な生活習慣の確立に向けた支援」のところなのですが,「早寝早起き朝ごはん」運動は,もう始まって10年以上になります。そして,PTAとの連携で非常に大きな成果を上げている運動だと思います。ただ,新たな段階として,例えば子供が情報機器に接する時間が長過ぎるなど,恐らく新たな課題もあるのではないかと思いますので,少し詳しく記載いただいた方がいいのではないかという感想でございます。
 それから,14ページでございます。「優れた才能・個性を伸ばす教育の推進」というところで,児童生徒の科学技術や理科・数学,ものづくりの関心を深める取組を推進するということなのですが,特に小学校段階等で具体的にどうやっていくのかということがもう少し分かるといいと思います。小学校の先生は全部の教科を受け持ちますが,どちらかというと女性の先生が多いこともあって,文科系の先生の方が多いと思います。ですから,この小学校段階からいかに科学の芽を育てるかというのは,人材も含めて検討した方がいいのではないかと思います。
 最後に,17ページの冒頭の「人生100年時代を見据えた生涯学習の推進」というところなのですが,実はこの100年時代を見据えるのは,19ページの社会人が大学等で学べる環境の整備とも非常に大きく絡んでいる,総論的な考え方だと思います。更に言えば,生涯学習を推進し,「学び」と「活動」の循環を形成すると記載してあります。仕分的にはここの項目はそうなのですが,本当は,「学び」と「活動」と「労働」の循環だと思います。そして,「労働」の方が,どちらかといいますと19ページの方に出てきているという関係がありますが,この辺りのところは,本当は理念的には,「学び」,「活動」,「労働」だと思いますので,整理ができないだろうかと思いました。これは意見でございます。
 それから,最後に18ページですが,社会教育主事の位置付けについて,長年の懸案だったと思いますが,社会教育主事の見直しや研修の充実だけではなくて,有資格者の活用促進ということが,これからチーム学校等の施策を進めていくのに非常に大事だと思っております。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。「復興」という言葉についての御質問がありましたが,資料1‐1の8ページの上から二つ目のところに,先ほどの菊川委員の御指摘に対応する記述があります。事務局の意図としては,この部分を受けての記載ということですよね。

【内田教育改革推進室長】
 はい,そうです。菊川委員からの御指摘は,創造的復興という言葉について分かりにくいという御指摘だったと思います。表現について,また検討させていただきたいと思いますが,趣旨に関しましては,今北山部会長がおっしゃったように,東日本大震災の復興に関連しまして,震災後に東北を中心として未来志向の教育の実践ということで,環境教育や,防災教育といったことが教科横断的に地域と連携したり,あとはOECDなどとも連携してグローバルな形で展開されたりしておりまして,そのような取組を進めていくという趣旨でございます。

【北山部会長】
 次に,山内委員,お願いできますか。

【山内委員】
 「ICT利活用の促進」に関しては,資料1‐2と1‐3,セットになりますので,セットでコメントさせていただきます。1‐2が27ページで,1‐3が11ページになります。1‐2の方だと,本日お話ししたのはインフラの件です。インフラの件に関しては,1‐2の方に,学習者用のコンピュータの整備など,学校のICT環境整備の加速化を図ると,1行しか書いておらず,余り詳細がないので,1‐3でお話をさせていただければと思います。
 資料1‐3の測定指標候補を見ると,学習者用コンピュータを3クラスに1クラス分程度整備という話と,恐らくセットになっているのが普通教室における無線LANの100パーセント整備だと思うのですが,恐らくそのような順番にしていただいた方がいいと思うのです。ただ,実は普通教室における無線LANの100パーセント整備するだけでは足りないのではないかというのが,本日のコメントの趣旨です。
 実は,私はNHKの放送文化研究所の委員もしているのですが,そこでこの間,ちょうど放送文化研究所が行っている「進む教師のメディア利用と一人1台端末時代の方向性」という研究をレビューしました。ここで,小学校のみなのですが,全国3,600名の教師に,教室で実際,具体的にどうメディアを使っているかという調査をしているのですね。これは,私が常々この委員会で申し上げてきた,インフラを整備するだけではなくて,教員がどう使っているかという情報が必要だと言ったのは,正にそのような調査を実はNHKの放送文化研究所でされているからなのです。
 その中で結構重要だと思われる知見がありまして,一つ目はもう既にテレビよりはパソコンの方が使われているのですが,それでも実は週1回以上使っているという教員は40パーセント未満です。恐らくこれが,前回指摘した児童生徒のICT活用状況がある種余り伸びない一つの理由だと思います。
 次が本日のお話に直結している部分で,インターネット接続形態について有線が57パーセントで,普通教室の無線LANの整備率が26.1パーセントの3割未満。したがって,この無線LANの100パーセント整備というのが出ていること自体は実は妥当なのです。もう一つ,実はこの研究で実際に分かったことがあります。それは,自分の教室で動画視聴を問題なくできると答えているのが教師は35パーセントしかいないのです。つまり,インフラの基になる接続速度が非常に遅いということです。
 これは,文部科学省で行っている「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」でも示されており,平成27年度で学校の高速インターネット接続100Mbps以上が36.6パーセントしかないのです。恐らくこれとほぼ対応していて,つまり高速インターネット接続はないために動画視聴ができないので,教材の利用が進まないし,例えばアクティブ・ラーニングでそういったものを使うことも低いといったような循環が実は起きているということです。
 ですから,測定指標の中に学校の高速インターネット接続について,実は先ほどの資料1‐2の学校のICT環境整備の教育ICT環境整備指針には,超高速インターネット指針として,30Mbps以上を100パーセントにするという目標がございます。これは第2期の指針なのでしようがないのですが,先ほど申し上げたように30Mbpsでは足りませんし,一人1台の体制になったら,明らかに100Mbpsないと少し無理だと思いますので,測定指標候補の中に学校の高速インターネット接続100Mbpsを100パーセントにするということを加えていただいた上で,この二つに関しては測定指標にしているのですから,資料1‐2の方にも施策として是非記載をしていただきたいと考えております。
 あと,結局総論はかなり非常に深いことを言っていて,施策評価していくに従って,だんだん対応関係がとれてこないという御指摘が永田委員からあったと思います。私も同様の感想を持っていて,この最大の理由は,限られた資源の中で施策,特に評価であっても,評価指標を文部科学省がどれだけリソースを掛けてとれるのかというと,なかなかとれないので,結局とれるものから選んでくるから対応関係が悪くなるのだと思うのですね。
 これは提案なのですが,民間の調査も活用しながら,きちんと教育データクリアリングハウスのようなものを作って,民間のエビデンスで信頼できるものを集約し,それも含めて参考指標を検討するという体制に,中長期的には持っていった方がよろしいかと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 最後におっしゃったエビデンスやデータの整備については,以前から,文部科学省内の体制整備だけではなく,外部の大学等,様々な機関を利用するべきだとおっしゃっていましたよね。そのような理解でよろしいですか。

【山内委員】
 はい,そうです。

【北山部会長】
 では次に,永田委員,お願いします。

【永田委員】
 最初に述べたいことは,高等教育に関して,様々なところで引き合いに出されているのですが,全体を通じて内容が不十分ではないか,という印象です。特に,「研究」の強化の目的を「イノベーションのため」という捉え方をされていると思いますが,本当にそれでいいのか,という点については大いに疑問があります。
 大学の教育というのは初等中等教育段階と若干違い,研究力を背景とした教育であり,真実を見付けるとか,新しい学問領域を創り出す,といったような本質的な研究なしに教育に向かうことは,高等教育の正しい姿ではありません。したがって,イノベーションのための研究ではなくて,高等教育を授けるためにはエッセンシャルな研究力が基盤となる,という捉え方をしないと,研究力を強化する目的を正確に伝えられないのではないかと思います。
 だからといって,もちろん産学連携の試みやイノベーション創出が必要ないと言っているわけではなくて,その要請に応えていくことは当然です。こうした視点では,産学協働の研究や教育の具体的な取組として,KPIを設定する必要があります。それは,インターンシップなどではなく,教育については教員や職員,あるいは企業人がより緊密に連携して教育に取り組む,いう観点ですが,KPIに余り含まれていない気がします。
 研究についても,個人の発想で行うことが基盤であるとしても,最終的に教育課程に反映される研究は,当然組織対組織の研究が中心である,という考え方をしないといけないだろうと思いますが,こうした観点がKPIにはありません。さらに,基礎科学や人文社会科学が重要であるという認識が第3期教育振興基本計画の中にないように思います。
 先ほど申し上げたように,高等教育は研究を背景とするものであって,それは豊かな人間性が伴われなければなりません。さらに,既存の価値だけではなくて,人文社会学も含めた新しい立ち位置から生み出した新しい視座や新しい観点からの教育が必要不可欠です。文系も理系も強くならないと文理融合につながりませんので,人文社会科学や基礎科学の重要性の観点が抜けている今の書きぶりでは,文理融合につながりません。この点をもう少し見据えて記載いただけるといいと思いました。
 また,基本的な方針1の具体的な記述で一つだけ言わせていただきます。先ほども御説明がありましたとおり,小学校や中学校は比較的修得レベルが分かるようなシステムがありますが,高等学校にはあるでしょうか。高大接続の議論を見ていると,高等学校の修得レベルの達成度を大学の入学試験に任せてしまっていないか,という懸念があります。この問題点はどこにも触れられていませんが,それでいいのかという問題は,やはりもう一度議論して考えなければいけないだろうと思います。
 つまり,修得レベルと大学が欲しい学生が同じかどうかは別問題です。だからこそ,どこまで学習がきちんと行われているか,ということを正確に把握する必要があるだろうと思います。当然ながら,大学においては成績管理システム,あるいは評価システムは教育の根幹です。いかにアクティブ・ラーニング云々(うんぬん)と言っても,それは適切な成績管理や評価の裏付けなしに成立しないので,そのようなKPIが作れないだろうかと考えています。
 次に,基本的な方針2のところで,日本人の英語力の問題が出てきます。一方で,留学生の受入れに関する部分では,特に日本で就職をしたい,あるいは帰国して日本の企業で働きたい,という希望を持つ留学生に対しては,日本語や日本文化事情等についての教育はある程度の必要性があるだろうと思いますし,それは留学生のニーズでもあるだろうと思っています。幸い,大学院生の経済的な支援については若干触れられていますし,アントレプレナーについても触れられているので,そこは問題ないかと思います。
 次に,基本的な方針2の最後の目標である「目標(10)スポーツ・文化等多様な分野の人材の育成」のところで,メダリスト育成と前回議論にもなりましたアンチドーピングの問題が最初に述べられているのですが,少し観点が不足していると思います。メダリストというのは,一流の芸術家や作家と同じで,その分野で卓越した存在です。
 したがって,もう一つの観点として,メダリストを育てるシステムが必要です。これは基本的にはサイエンスも関わる世界ですから,メダリストとドーピングだけではなくて,チームドクター,コーチングできる人,マネジャーなどの育成の観点も含めて,スポーツの持つ価値をもう少し高めていく必要があると思います。できれば博士号を持った方々がスポーツの世界で働ける時代にならないと,我が国のスポーツの未来というのは描きにくいかと思います。
 最後に,基本的な方針3で述べられている中でもっと強調してほしいことは,地域,あるいは地方における大学の意義です。現在,都市集中型,あるいは一部集中型の産業が中心ですが,今後ICTがより進展することによって,ほどなく,地方分散型の産業形態に変わります。例えばアメリカでは,日本のように東京と大阪だけではなくて,ほとんど全州に大手の企業の本社がある,という状況であることに鑑みると,それぞれ得意な地域に本社があって当然です。
 我が国の課題として,東京への一極集中を何とか解決しようとしていますが,やはりそれはそれぞれの地域が,学生が定着する施策を打たないといけないわけです。そのような意味で,流入と流出のバランスがとれること,それから,卒業後にその地域に学生が定着するといった点について,具体的な施策をいいか悪いかという問題はまた議論するとしても,KPIとしては設定し得るのではないかと思います。当然,それに対して,教育のコンテンツをどうするかという観点も必要になります。
 全般的に高等教育に関する内容が薄いという印象がありましたので,申し訳ございませんが時間をかなり使わせていただきました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 戸ヶ崎委員,お願いします。

【戸ヶ﨑委員】
 資料1‐3の3ページの「目標(1)確かな学力」の参考指標候補の「習得・活用及び探究の学習過程を見通した指導方法の改善及び工夫を行っている学校の割合」指標について,何度目かになりますが意見を申し上げます。
 全国学力・学習状況調査では,確かにこの質問をしているわけですが,これを「主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善の割合」と変更できないでしょうか。
 指標というのは,国がリーダーシップを発揮してどんどん引っ張っていこうというものと,地方自治体の教育委員会や学校がボトムアップで創り上げていくものとがあるのではないかと思うのです。そのときに,この指標として挙げられている文言よりも,正に全国どの学校でも授業改善のキーワードになっている,主体的・対話的で深い学び,つまりアクティブ・ラーニングの視点による学習指導の改善の割合を指標とする方が,前回,常盤局長もおっしゃっていましたが,それぞれ地方自治体の教育委員会や学校でも,主体的に新たな指標を生むのではないかと思います。
 全国学力・学習状況調査でも,「主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善に関する状況」というタイトルで結果を公表しているわけですし,この指標を出すことによって,国レベルではできないような経年変化を見ていくという調査を独自にしたり,新たな指標が生まれたり,さらには,何らかのエビデンスが出せるようなものが作られたりする可能性があります。そういった意味で,ここは是非,アクティブ・ラーニングを想起する今申し上げた指標を掲げていただいた方が良いのではないかと考えます。
 以前も申し上げましたが,指標には,経年変化を見る動的指標,その都度の達成率を見る静的指標などが考えられ,特に,動的な指標をしっかりと見ていくとなると,なかなか国レベルでは予算の関係等で難しいものがあります。そのようなものを地方が主体的に積み上げたり補完したりしていくというような視点を持って指標を設定するというのは非常に大事なことだと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,川端委員,お願いします。

【川端委員】
 資料1‐2の6ページなのですが,上から三つ目の丸,「青少年の健全育成」というところで,インターネットに関するルールが青少年を有害情報から守るためという記載があります。もちろん,有害情報から守ることもとても大事なことだと思うのですが,先ほど菊川委員がお話をされていました「早寝早起き朝ごはん」の国民運動と関わっているのですが,今PTA,そして教育委員会では,地域とアウトメディアという活動をして,子供たちをまず,早く寝かせて,朝,おなかがすいて起きるという活動を行っておりますので,そういったことにも触れていただけたらいいのではないかと感じました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 今,無藤委員と羽藤委員が御発言を希望されていますが,先に事務局から基本的な方針4と基本的な方針5について説明していただき,残された時間で基本的な方針1から基本的な方針5までを通して審議を行いたいと思います。では,内田室長,お願いします。

【内田教育改革推進室長】
 そうしましたら,資料1‐2と1‐3に基づきまして,基本的な方針4と5に関しまして,御説明させていただきます。資料1‐2の21ページからが基本的な方針4,「誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する」でございます。まず,「教育へのアクセスの向上,教育費負担の軽減に向けた経済的支援」として,子供たちの誰もが家庭の経済事情にかかわらず,それぞれ夢に向かって頑張ることができるよう,教育費の負担軽減を進めるということがございます。
 また,「学校教育における学力保障・進路支援,福祉関係機関等との連携強化」では,家庭環境や住んでいる地域に左右されずに学力が保障されるよう,きめ細かな指導を推進すること,また,全国学力・学習状況調査も参考にしながら,家庭の社会経済状況と学力との関係の分析方法の在り方について調査研究を進めることを記載しております。
 また,次のページを御覧ください。「子供の食事・栄養状態の確保」についても記載しております。
 「目標(16)多様なニーズを持つ子供等への教育機会の提供」につきましては,「特別支援教育の推進」,また,「不登校児童生徒の教育機会の確保」といたしまして,例えば特色ある教育課程を編成し,教育を実施する学校や教育支援センターの設置促進などがございます。また,「夜間中学の設置・充実」ということで,夜間中学の設置を促進するとともに,教育活動の充実や受け入れる生徒の拡大を図るといった施策を記載しております。
 25ページ目を御覧ください。25ページから基本的な方針5,「教育政策推進のための基盤を整備する」について記載しております。「目標(17)学校指導体制の整備」ですが,教職員指導体制・指導環境の整備ということで,二つ目のぽつになりますが,教員に加え,事務職員や専門スタッフが学校運営や教育活動に参画し,連携・分担して子供たちに必要な資質・能力を身に付けさせることができるチームとしての学校の実現に向け,取り組んでいくということを記載しております。
 また,同じ項目の最後のところになりますが,学校における働き方改革に関する総合的な方策について検討し,早急に所要の施策を講じていくということも記載しております。
 27ページ目を御覧ください。「目標(18)ICT利活用の促進」では,「情報利活用能力の育成」ということで,新学習指導要領におきまして,各教科等,横断的な視点に立った資質・能力として位置付けられておりますので,その育成に係るカリキュラム・マネジメント事例を創出して展開を図ることを記載しております。
 その二つ下ですが,校務のICT化による教員の業務負担軽減及び教育の質の向上を図っていくことを記載しております。また,その下でございますが,「教育ICT環境整備指針」は29年度までで終わる指針ですので,現在リバイスをするために年度内をめどに検討を進めているところであります。そうした新しい指針も策定しますが,今後そうした指針に基づきながらコンピュータの整備など,学校のICT環境整備の加速化などを図っていくという施策を記載しております。
 29ページ目を御覧ください。「目標(19)教育研究環境の整備」でございます。「安全・安心で質の高い教育研究環境の整備」のため,長寿命化改修を中心とした計画的な老朽化対策の実施に加え,非構造部材の耐震対策等を推進,私立学校の教育研究基盤の強化といったことを記載しております。
 また31ページ目を御覧ください。「目標(20)持続的な高等教育システムの構築」ということで,先ほど来,高等教育に関する意見も出ておりますが,地域における高等教育機関間の連携,各地域において必要な人材を育成するためのプラットフォームづくりについての検討,また優れた学長のリーダーシップによる大学運営の促進,国立大学の一法人一大学制の見直し,国立教員養成大学の統合,さらには,改革が進まず学生確保ができない大学については,早期の経営判断の促進,また,教育研究の質向上に向けた私学助成の拡大・重点配分等を行うことについて記載しております。
 32ページ目を御覧ください。「目標(22)日本型教育の海外展開と我が国の教育のグローバル化」に関する施策でございます。
 同じように資料1‐3に指標がございます。9ページのところが,基本的な方針4,「誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する」の最初の目標であります,「目標(15)家庭の経済状況や地理的条件への対応」ということで,指標の候補として,「経済的な理由による大学等中退者・高校中退者の減少」,「大学進学率の地域間格差」に関するものを記載しております。
 また,「目標(16)多様なニーズを持つ子供等への教育機会の提供」として,「特別支援教育に関する個別の指導計画・教育支援計画の作成率の向上」などを記載しております。
 10ページ目を御覧ください。基本的な方針5,「教育政策推進のための基盤を整備する」でございます。「目標(17)学校指導体制の整備」として,現職教員に占める専修免許状保持者の割合の改善,小中学校の教諭の1日当たりの授業準備にかける時間の勤務時間に占める割合の指標を記載しております。
 11ページ目を御覧ください。「目標(18)ICT利活用の促進」として,学習者用コンピュータを3クラスに1クラス分程度整備すること,普通教室における無線LANの100パーセント整備することなどを記載しております。
 12ページ目を御覧ください。「目標(19)教育研究環境の整備」として,主にハード面の指標を記載しております。
 12ページ目の下からが,「目標(20)持続的な高等教育システムの構築」ですが,ここは今後の検討を踏まえて指標等を設定していく予定でございます。
 最後のページ,13ページ目を御覧ください。「目標(21)児童生徒等の安全確保」,また「目標(22)日本型教育の海外展開と我が国の教育のグローバル化」に関する指標でございます。
 先ほどコミュニティ・スクールの説明をするときに併せて御紹介する予定だったのですが,村岡委員から御提出いただいた御意見を資料4としてお手元にお配りさせていただいております。村岡委員から,現在検討している基本計画に向けた議論に対する御意見ということで,コミュニティ・スクールに関する御意見を幾つか頂いておりますので,後ほどまた御覧いただければと思います。
 説明は以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,基本的な方針1から基本的な方針5までを通じて,何か御意見あればお願いします。まず,無藤委員,それから羽藤委員という順で御発言をお願いします。

【無藤委員】
 それでは,私からは資料1‐2の25ページ以降の基本的な方針5,「教育政策推進のための基盤を整備する」について,先ほどから北山部会長,また何人かの委員の方々も,エビデンスをより集めるべきであるというお話がありましたが,それを受けての御提案をさせていただければと思います。
 教育政策推進のために学術情報としての基盤整備のようなものとして,もっと表に出した方がいいのではないでしょうか。恐らく幾つか項目があり得ると思いますが,私が思うことの一つは学術情報のデータベースが確実ということです。これは,もちろん高等教育なり,普通の意味での研究としてはたくさんあって,様々な問題はあるでしょうが,国立レベルでもやっているわけです。
 例えば初等中等教育については,小規模のものを民間ベースで行ってはいますが,大規模で網羅的なものはないわけです。これは非常に不便だと思っております。
 また,それとも絡むのですが,もう一つは,先ほど申し上げたエビデンス構築ということです。これは,やはり漠然とエビデンスを作ろうということを超え,例えばですが,文部科学省が行うような事業の一定規模以上については,その予算の1割をエビデンスのために調査研究に使うなど,そのぐらい強い規定が要るのではないかというのが一つです。もう一つは,その場合のエビデンスというのは,専門的にエビデンスというのも強いものから弱いものまで様々あるわけですが,例えば小学校に今度英語が教科になりますが,英語活動を入れてきたわけです。
 これは,実は20年以上様々な学校現場で試行を重ねて,やっと教科まで来たということではありますが,その事象的評価を見ると,大部分は要するに生徒に「楽しいか」,「よく分かったか」というアンケートか,又は,担当する教員がうまくいっているかなど,前より良くなったかというレベルが大部分なのですね。
 例えば英語である以上は,一番直接的評価は,読んだり,書いたり,聞いたりという力を個人ごとに測るべきですし,その技法は幾らでもあるわけですが,そこに予算は付いておりません。要するにエビデンスとしては,そのようなより直接的な測定とともに,必ず比較群を設けて比べるべきだというのは,数十年前から世界的に言えば常識でありますが,そのような意味でのエビデンスの教育研究は,日本では極めて少ないです。
 ですから,評価を義務付け,エビデンスを作るようにすることとともに,より強いエビデンスに対する研究資金の提供を組織的に行うべきで,これをただ科学研究費で適当に申請しなさいではなくて,私はもっと行政的に誘導すべきだと思います。
 また,先ほど山内委員も触れておりましたが,強い,弱いはともあれ,評価に関わり得るもののデータを集める場所としてのデータベース構築について,これは国として責任を持つべきではないかと思います。そのようなことを目標とすれば,目標レベルを上げるとともに,幾つかの指標をとることができますので,それを是非進めたらどうかと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,羽藤委員,お願いできますか。

【羽藤委員】
 全体的には構造が結構分かりやすく,非常によく分かったという感じと,エビデンスベーストで進めていこうということで,非常に新しい取組なのではないかという印象を持ちました。
 ただ,3点ほど意見がございます。1点目は,KPIが非常に乱立している形になっていますので,この指標は良くなった,この指標も良くなったのだけれども,全部足してみると足元のところはぐちゃぐちゃになっているといったことはあるような気もしますので,KPI同士の見取図のようなものは必要だと思います。
 要するにアウトプットとしては,エフェクトの部分の指針は出ているのですが,教員など,そういった方々のリソースをどのように配分しているのかといったようなところを理解するためのKPIは少し不足しているようにも思いますので,そのようなところで実際の運用がうまくいっているのかどうなのかが判断できません。このような教育改革的なものが本当に可能なレベルなのかどうかということも含めて,判断できるような足元の指標,見取図が必要ではないかと思いました。これが1点です。
 次に2点目です。KPIを見てみますと,文部科学省の側(がわ)から少し調査を掛けていくような印象も持ったのですが,一方で,私は教員をしておりますので,自分の授業を改善していくということを考えると,やはり自分で指標を作ってチェックしているところがありますので,教員側(がわ)から自分でボトムアップ型の指標の提案といったものを受け止めることで,教員の側(がわ)の意識改革を促すといったようなこともありますし,そのようなやり方で,逆に指標がボトムアップで上がってきて,その中からいいものを敷衍(ふえん)していくといったような逆流させるやり方もあろうかと思いますので,そうしたことも少し考えてはどうかという気がいたしました。
 最後,3点目ですが,「目標(9)イノベーションを牽引(けんいん)する人材の育成」に関してです。高等教育に関する言及は少ないという言い方はあったのですが,この辺りを見ていますと非常に大きな改革というか,イノベーション人材の育成ということで,やることが非常に多いという気がいたします。
 ということは,新しい制度を作って,新しいやり方で,限られたリソースの方々が動いて実現していくということになりますので,これは本当にできるのかという気も現実にはするわけです。したがって,例えばですが,科学研究費のような既存の仕組みがございますので,そのような枠組みの中で研究協力者という形で,学生さんと一緒に研究をしているということであれば,そこに企業の側(がわ)とマッチングしていれば,プラスの予算を少し見積もったり,そこからKPIとして学生さんがどのように成長したのかをチェックしていったりなど,新しい仕組みを作るのではなくて,既存の仕組みの中でこのような新しい目標を実現していくという形でやるべきだと思います。新しい仕組みをどんどん作っていくと,限られた資源の中で相当無理があると思いますので,その辺りは現実に回していく際によく気をつけていただきたいと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。羽藤委員から,ロジックツリーに関する御意見がありましたが,指標がどの目標につながるかといった点については,最後に整理する予定ですよね。

【内田教育改革推進室長】
 はい,整理させていただく予定です。

【北山部会長】
 それでは,丸山委員,お願いします。

【丸山委員】
 資料1‐2の25ページの三つ目のぽつについて話します。以前も話題には出てきたのですが,本県の実態から申し上げたいと思います。経済が困難で高校を続けられない生徒への行政サポートシステムはあると捉えております。そして,多くの生徒が利用していると,実際に仕事に携わって感じております。
 しかし,そこからどうしても漏れてしまう生徒がいることも事実としてあります。その理由に,保護者が書類の整備ができない,書けない,申請ができないというのが大きな割合であります。その問題を解決するための一つに,SSWの配置があります。この資料にSSWの配置が積極的に述べられているのが非常にいいと感じておりました。義務教育段階においても,教育費の行政的なシステムというのは,整っていると感じています。
 問題は,配置するSSWの数が足りない状況です。資質向上や配置の推進と記載いただいておりますが,それに加えて養成も必要なのではないかと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,戸ヶ崎委員,お願いします。

【戸ヶ﨑委員】
 大きく二つございます。一つが,資料1‐2の26ページに教員の処遇のことが記載されています。もう少し前に話をすれば良かったと思ったのですが,現在,全国的に校長や教頭など管理職選考の倍率の低下が課題となっております。責任が重くなり特に教頭や副校長は仕事も非常に増え大変な割には,給与面でも教諭に比べてさして変わらず魅力が感じられないようです。要は,校長や教頭になりたがらないのです。これらのことが,最近の管理職選考の倍率低下の一因となっており,優秀な管理職の育成の視点からも,教員の処遇に加えて「管理職の職責に見合った処遇改善」ということも一言触れておかないと,どんどん管理職不足が生じてきてしまう危惧がありますので,この26ページの中にそのような文言を触れておく必要があると思いました。
 それから,27ページの「ICT利活用の促進」についてなのですが,第2期計画のときには児童生徒数3.6人にPC1台という指標があったり,LANの関係のものがあったりしました。先ほど山内委員もおっしゃっておりましたが,その目標が現実にはかなり課題があるということがあって,今回,第3期計画の中では資料の1‐3の11ページにありますように,3クラスに1クラス分という数字になっています。これは各クラス最低1日に1回はコンピュータを使えるという環境の下で出てきた数字なのだろうと思っているところです。
ただし,この数字というかハードルをいかに上げたところで,実態が果たして付いてくるのだろうかという危惧があります。なぜかというと,財政が厳しいというだけでなく,どのような授業にICTを活用すべきかについて目標とされる水準等が明確に示されていないことなどから,整備の必要性に差が生じ,現在,整備状況の大きな格差につながっているのではないかと思います。したがって,この資料の1‐2の27ページのところで,教育の情報化の効果に関して,何らかのエビデンスを示すなど「多面的な効果測定について検討する」などの文言が必要かと思います。
あわせて,1‐3の資料の11ページですが,第2期計画の中に確かあった大型提示装置の記載が消えています。PCにばかり目が行きますが,電子黒板や最近はプロジェクタを含む大型提示装置については,PC以上に活用場面があります。引き続き,第2期計画で定めていた「普通教室100パーセントに向けた取組」の記載を第3期でも継続すべきと考えます。
あわせて,先ほど山内委員が言われていた動画のことについて,私も全く同じことを考えておりまして,LANに関しては設置されていても問題はそのスピードで,それが遅いと動画視聴に支障が出るので,その辺りの整備も非常に重要だと思います。
最後ですが,今後,ICTが補充的な学習,また一時期言われていた反転学習,さらにはBYOD(Bring Your Own Device)というような使い方をしていく中において,ICTというものが教具のままでよいのか,それとも,学用品として考えていくのかということについても今後考えていかなくてはなりません。
また,各教科等の学びにどのようにICTを活用すれば学びが深まるのか,学習指導要領の趣旨が具現化できるのか,さらには,情報ネットワークの光と影についての指導など,それらの計画がなければ実践が進みませんので,それぞれの自治体が「ICT環境整備計画」をきちんと位置付けるべきであるという文言を,この11ページの中に入れるべきではないかと考えます。
以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 柘植委員,お願いします。

【柘植委員】
 まず,資料1‐2の23ページの「特別支援教育の推進」についてです。先ほど白井委員から配慮という言葉に関する御意見がありましたが,特に「特別支援教育の推進」のところは,権利条約との関係で合理的配慮という世界共通用語が使われるようになりましたので,むしろ合理的配慮という言葉が使われていないというのが奇異に感じます。
 それから,「特別支援教育の推進」の2行目,「可能な限り障害のある子供と障害のない子供が共に教育を受けられるよう配慮しつつ」と記載がありますが,確かにそのとおりです。ですが,障害のある子もない子も十分な教育が受けられないといけないと思いますので,「十分な教育を受けられる」というタームも入れておいた方が誰もが幸せになれると思います。
 それから,もう一つは,先ほど無藤委員がおっしゃった総論的なことの各論の一つという意味での発言なのですが,1‐3の9ページ,「目標(16)多様なニーズを持つ子供等への教育機会の提供」の測定指標候補について,計画の作成率の向上,それから通級による指導の普及。それから,参考指標候補の一番下に「通級による指導を実施している高等学校がある都道府県数」と記載がありますが,これはシステム構築の話で,これも大事なのですが,正に障害のある子とない障害のない子が共に学びながら,障害のある子供がどこまで学んだのかということがちらっと見られるような指標があると良いと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 百瀨委員,お願いできますか。

【百瀨委員】
 21ページの基本的な方針4,「誰もが社会の担い手となるためのセーフティネットを構築する」に関して,1点申し上げます。ここには,中途退学の多い高等学校への指導,あるいは支援ということが書いてあります。定時制通信制教育については,申し訳ないですが,24ページにさらっと書いてあるだけで具体策がなかなか見えてきません。しかしながら,実は定時制通信制教育,それから,進路多様校が,実は一番学力的にも,経済的にも厳しいです。さらには,学びの基礎診断というテストを受けて学力保障をしようということですが,実は有料であるということを考えますと,なかなか厳しいです。
 学力の厳しい生徒への支援に関する施策を少しでも挙げていただくと,指標の部分ももう少し多様になるのではないかなと思いましたので,一言申し上げました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,菊川委員,お願いします。

【菊川委員】
 先ほども申し上げましたが,資料1‐2の23ページの「高校中退者等に対する支援」なのですが,学力が不足して高校を中退しているという場合もありますが,学力はあっても,コミュニケーション能力が足りず途中で辞めている方々もいます。そういった意味で,こちらに地域若者サポートステーションやハローワーク等と記載がありますが,もう一度学校という選択肢を示す意味でも,放送大学等大学も入れていただきたいと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。そろそろ時間ですので,本日の議論はここまでとしたいと思います。本日,様々な御意見を頂きましたので,それらを踏まえて修正を行い,また8月の終わり頃に素案を御提示して議論していただきます。
 なお,教育振興基本計画は,その名のとおり基本計画でありますので,別途,分科会,部会で議論が行われております高等教育の将来構想や,学校における働き方改革等についても十分に踏まえる必要がありますので,そうしたことも勘案しながら皆さんの御意見も取り扱いたいと思います。
 それでは,今後の予定について,事務局からお願いします。

【内田教育改革推進室長】
 今,北山部会長からお話しいただきました高等教育の将来構想や学校における働き方改革などについても,ほかの様々な議論の流れも見ながら,連携してこちらの議論に生かしてまいりたいと思います。
 今後の日程ですが,資料3を御覧ください。次回の第16回計画部会は,8月28日,月曜日でございます。審議経過報告の素案について御審議いただきたいと考えております。その次は9月19日を予定しておりまして,また再度,御審議いただきたいと考えております。
 本日の資料に関しまして,更なる御意見等ございましたら,事務局まで改めてまたお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【北山部会長】
 それでは,本日の部会はこれで終了でございます。ありがとうございました。

‐了‐

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