教育振興基本計画部会(第8期~)(第13回) 議事録

1.日時

平成29年7月10日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 「第二講堂」(旧庁舎6階)

3.議題

  1. 第3期教育振興基本計画における指標・施策群の考え方等について

4.出席者

委員

 北山部会長,小川副部会長,明石委員,石田委員,大竹委員,大橋委員,金子委員,川端委員,菊川委員,近藤委員,白井委員,田邉委員,柘植委員,戸ヶ﨑委員,永田委員,丸山委員,山内委員,山脇委員,渡邉委員

文部科学省

 小松文部科学審議官,有松生涯学習政策局長,藤原初等中等教育局長,中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官,山下文教施設企画部長,神山大臣官房審議官,藤井文教施設企画部計画課長,萬谷生涯学習政策局生涯学習推進課長,矢野初等中等教育局初等中等教育企画課長,木村初等中等教育局参事官,塩見高等教育局高等教育企画課長,堀野高等教育局高等教育企画課高等教育政策室長,氷見谷生涯学習政策局政策課長,内田生涯学習政策局政策課教育改革推進室長,寺坂生涯学習政策局政策課教育改革推進室長補佐 他

【北山部会長】
 おはようございます。第13回教育振興基本計画部会を開催させていただきます。お暑い中,またお忙しい中,お集まりいただきまして,ありがとうございます。
本日は,第3期基本計画の五つの基本的な方針のうち,1,3,5に関して,その指標や施策群の考え方についての意見交換を行います。それぞれ内容が多岐にわたりますので,意見交換は,1,3,5の順番で,三つに区切って進めていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 まず,事務局から配付資料の確認をお願いしたいと思います。

【内田教育改革推進室長】
 配付資料の確認をさせていただきます。
 机上に,まず資料1から4,5‐1,5‐2,5‐3,6がございます。また,去る6月1日に教育再生実行会議第十次提言が取りまとめられておりますので,参考資料としてお付けしております。そのほか,関係資料については,机上の端末に入れておりますので,適宜御覧いただければと思います。
 配付資料に関しまして,不備などございましたら,事務局までお知らせください。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,早速議事に入ります。先ほど申し上げましたとおり,まず基本的な方針1について,事務局から御説明をお願いしたいと思います。

【内田教育改革推進室長】
 それでは,資料1から資料5‐1まで説明させていただきたいと思います。
 まず,資料1ですが,この資料に関しては,まずPDCAの流れや,今回の目標,指標の設定の考え方を示しているものでございます。
 1ページ目を御覧ください。第2期教育振興基本計画の進捗状況や社会の変化を見据えた課題を踏まえ,3期計画を策定しまして,PDCAサイクルを回していくという簡単な流れ図でございます。
 2ページ目を御覧ください。検証改善サイクルとして,一つ目でございますが,「今後の教育政策に関する基本的な方針」,「今後5年間の教育政策の目指すべき方向性」,「主な施策(群)」の関係性をロジックモデルとして可視化していくということがございます。二つ目として,特に今後5年間の目指すべき方向性の中で,政策の大目的・方向性を明確化していき,そして,今後5年間の教育政策の目指すべき方向性の状態をしっかりと把握していくために,次の考えの下で指標を設定していくということで,丸1,丸2,丸3がございます。
 まず,丸1として,現在の水準等を踏まえ改善の方向を明記することが必要かつ適切なものを「目標」として設定すること,丸2として,大きな数値変動の有無を確認すれば足りるようなものや今後水準を把握していくものについては「測定指標」とすること,最後に丸3として,定量的な把握が難しいような場合については,定性的な目標を設定することもできるということで整理しております。
 米印にありますが,指標はアウトカム指標を基本としておりますが,困難な場合はアウトプット指標を設定することとして,指標については,明確化かつ精選したものを設定することとします。また,その下ですが,数値目標の達成が自己目的化されて,本来の目指すべき状況の乖離(かいり)や望まざる結果を招かないようにすべきだという考え方を示しております。
 ここは,以前,目標設定の考え方について,どのような考え方にのっとって行うべきかということをきちんと整理した方がいいという意見が委員の皆様からございましたので,整理しております。
 資料2を御覧ください。こちらは後ほど詳しく見ていく五つの柱,本日はそのうちの三つの柱について議論していただきますが,その柱ごとに,それぞれの方向性や指標,施策の例を簡単に,全体像が分かるように一覧にしたものです。後ほど詳しく資料5で御覧いただきますので,ここでは参考程度に御確認いただければと思います。
 資料3を御覧ください。具体的なロジックモデルの姿を示したものです。以前も,ロジックモデルのイメージを示させていただいておりますが,今回の資料5‐1から5‐3に合わせて修正しているものでございます。
 1ページ目は,既に1月に示しております3期計画策定に向けた基本的な考え方のところで,総論的に記述させていただいた全体像でして,2ページ目以降で,今後,議論の中心となってきます各論を,柱ごとに記載しております。
 一番左の赤い囲み部分が五つの柱のそれぞれでございまして,その隣の緑色の囲みの部分が今後5年間の教育政策の目指すべき方向性ということで記載しております。例えば,一つ目の柱は,「夢と自信を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力の育成」ですが,それに基づきまして,「確かな学力の育成」,「豊かな心の育成」,「健やかな体の育成」などがあるわけですが,その下に,大きな目的を囲みの中に記載しております。さらに,その下に,様々な指標を挙げておりますが,この指標部分が本日の議論の中心かと思っております。また,一番右側にある紫色の囲み部分を「主な施策群(例)」として記載しております。
 そういった構造が柱ごとに続いていくわけですが,本日の議論の対象にならない基本的な方針の2,4に関しては空欄としております。
 資料4を御覧ください。資料4は,それぞれ基本的な方針1から5までに掲げている目標候補や測定指標候補を,便宜的に抜き出して一覧に整理したものです。それぞれに関しては,次の資料5以下で確認してまいりますので,これも御参考程度にとどめておいていただければと思います。
 それでは,本日の議論の中心となります資料5について御説明いたします。
 資料5‐1を御覧ください。前回の部会におきましても,今後PDCAサイクルを回していくに当たり,2期計画中の取組や現状認識をきちんとした上で,3期計画をどのように設定していかなければならないのかを考えるべきだという御指摘がございましたので,整理させていただきました。まず,1ページ目ですが,この方針1の理念に基づき,社会の現状や2030年以降の変化を踏まえた課題ということで,技術革新,グローバル化,子供の貧困,子供を取り巻く状況の変化などについて記載しております。
 特に,この白丸の三つ目でございますが,以前,大分議論があったところでございまして,委員からも御指摘が具体的にございましたが,大人が様々な場面で,子供の良いところを積極的に褒め,叱るべきところは叱るなど,愛情を持って子供に接することが大事であって,そういったことを通じて,夢や希望を持って積極的に行動し,主体的に社会に参画していくための力を育成していくことが必要でございます。「夢」や「自信」というようなことを言っても,内実が伴ったものでないといけないということで,しっかりとそれに至るような道筋もここで書かせていただいているところでございます。
 2ページ目を御覧ください。実際,2期計画中にどのような施策に取り組んできたかということを記載しております。学習指導要領等の改訂や,高大接続改革,小中一貫教育の制度化などの学校制度の改革,一人一人の課題へのきめ細かな対応の充実などがございます。
 3ページ目を御覧ください。2期計画中のそれぞれの指標の状況でございまして,「確かな学力」に関しましては,成果指標は,国際的な学力調査の平均得点を調査国中トップレベルにするということでございました。平均得点は上位グループに属しているのですが,読解力については統計的に有意に低下しており,上位層についても統計的に有意に低下している状況でございます。
 また,「豊かな心」に関しましては,自分には良いところがあると思う児童生徒の割合の増加を指標に掲げております。平成24年度から28年度の結果を比較すると,中学校は増加しているのですが,小学校は横ばいでありまして,諸外国と比較しても低い状況にございます。
 4ページ目を御覧ください。「健やかな体」のところでございます。ここは2期計画の成果指標でも,昭和60年頃の体力の水準を目指すことを掲げております。年齢によっては,向上しているところもございますが,大体横ばいでございまして,競技種目によっては大きく低下しているものもございます。また,朝食を欠食する子供の割合を減少させることを成果指標に掲げておりましたが,増加傾向にあるという課題が残っている状況でございます。
 以上のように2期計画中の課題がございますので,それらも踏まえながら,3期計画中に何を目指していくかをお示ししたのが5ページ以降でございます。
 まず,丸1の「確かな学力の育成」に関しましては,引き続き,PISA調査などを基に,平均得点や習熟度レベル5以上(上位層)の割合などを測定指標の候補にしております。測定指標としておりますのは,これまで一定の成果が出ており,また,どれぐらいの値までの改善が適切なのかを出しにくいためでございます。
 それに加えまして,全国学力・学習状況調査の結果における,児童生徒の学習状況や,習得・活用及び研究の学習過程を見通した指導方法の改善や工夫を行っている学校の割合を指標として掲げております。
 丸2,「豊かな心の育成」といたしまして,引き続きですが,自分には良いところがあると思う児童生徒の割合の改善を目標の候補として掲げております。同時に,いじめの認知件数を目標の候補として挙げているほか,全国学力・学習状況調査などで悉皆(しっかい)調査しているものを指標の候補として挙げているところでございます。
 6ページ目を御覧ください。丸3,「健やかな体の育成」でございますが,ここは,子供の体力水準を昭和60年頃の水準まで引き上げることを目指すということを引き続き掲げておりますとともに,近年の傾向で,肥満傾向,痩身傾向といった課題もありますし,先ほど申し上げましたが,朝食の欠食も,2期計画中の課題として残っておりますので,引き続き目標として挙げているところでございます。
 また,むし歯の治療の状況も,委員の御意見なども踏まえまして,どのように改善していくべきか,方向性を示しながら,目標として挙げているところでございます。
 7ページ目を御覧ください。丸5,「課題探求能力の修得」ということで,主として,高等教育機関におきまして,大学生の学習実態に関する調査研究に基づき,大学における授業が学生の能力形成に役立ったかについての肯定的な評価の増加や,アクティブ・ラーニングを促すような形態を取っている学校の割合などを指標として入れているところです。
 8ページ目を御覧ください。「社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成」ということで,中学校以上でのインターンシップの実施状況や,高等教育機関でのキャリア教育などを指標に挙げております。
 また,9ページ目ですが,家庭・地域の教育力の向上,学校との連携・協働の推進ということで,子育てに悩みや不安がある保護者の割合,地域において子育ての悩みや不安を相談できる人がいる保護者の割合など様々な指標を挙げております。
 最後に,10ページ目以降でございますが,これまで述べたそれぞれの目標や指標を具体化するための施策群を掲載しております。この辺りは,今後,夏に向けて審議経過報告をまとめる段階,答申に向けて文章化していく中で,更に委員の皆様の御意見も踏まえながら膨らませていくことになろうかと思います。
 資料5‐1までの説明は以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,基本的な方針1について時間を取ります。全体をカバーする部分ですので,この議題に時間を一番多く取りたいと思います。
 それでは,丸山委員,お願いします。

【丸山委員】
 お聞きしたいことがあります。資料5‐1の5ページ,「豊かな心の育成」の目標候補に,いじめの認知件数が各都道府県でかなりの差があるということですが,その都道府県格差の倍率の縮小という意味と,それから,それがいじめ等の対策にどのように関連するのかについて,教えていただければと思います。

【北山部会長】
 では,文部科学省から御説明お願いします。

【内田教育改革推進室長】
 いじめに関しましては,過去にいじめの件数を取り上げて,多いところは問題があるとしていた時期もございました。しかし,近年の方向性といたしましては,まず,いじめの状況をまず掘り起こしをして,きちんと学校として組織を挙げて解決していくという対応を行う方が適切ではないかということで進めております。
 1,000人当たりのいじめの認知件数も,ある県では92人であるのに対して,ある県では4.5人と,20倍ぐらい差が出ている状況でございますので,まず掘り起こしをしっかりやりながら,組織的に取り組んでいくという意味の指標でございます。

【北山部会長】
 丸山委員,よろしいですか。

【丸山委員】
 はい。

【北山部会長】
 それでは,渡邉委員,お願いします。

【渡邉委員】
 最初に,全体に関わることなのですが,第3期計画における成果目標や成果指標についてロジックモデルを用いて,エビデンスに基づきPDCAを回して改善していくというような視点で精力的に整理していただいたことに対して,事務局に感謝を申し上げたいと思います。
 指標には,従来の教育の強みを維持していこうという視点や,新しい時代にどう対応するかといった,様々な視点が入りますので,今回のように,どうしても数が多くなりがちなのだろうと思います。それを絞り込もうとしている精力的な姿勢はよく伝わってくるのですが,新しい時代に対応すべき指標は何なのかという視点で絞り込む努力を引き続き行っていく必要があるという印象を持ちました。
 次に,各論に関して,まず,5ページ目の「確かな学力の育成」ですが,確かに指標は絞り込むべきなのですが,目標値をどう考えるかというときに,「確かな学力の育成」というのは,全体的には一丁目一番地の課題なのだと思います。したがって,このような視点については,やはり目標値を明確に定めるべきではないかと思います。
 例えば,この中で測定指標に入っているOECDのPISAの調査は,様々なところで注目される新しい時代の指標ということですから,こういった指標こそ,やはり目標値として明確に示していくべきではないかと思います。それから,先ほども御説明がありましたような,従来行っている悉皆(しっかい)調査で,せっかく行っている全国学力・学習状況調査等がこの中では出てこないというのは非常に残念な気がします。したがって,そういったものを測定指標に入れて,PDCAの中で明確に見ていくなどといった整理はしてもいいのではないかと思いました。
 それから,7ページの「課題探求能力の修得」は新しい時代に対応する視点ですから,アクティブ・ラーニングを取り入れて,PDCAを回すことの難しさは非常に分かります。一方で,もしこのようなアウトカムを測定困難という整理をするのであれば,例えば,アクティブ・ラーニングの好事例というものをしっかりピックアップして,その要素は何なのかということをPDCAの中に入れて,その好事例を全体の標準化に向けていくという考え方の整理をしていく必要があるのではないかと思います。そうでないと,冒頭に,資料1で御説明いただいたPDCAが同じ平面で回ってしまって,次のステージになかなか移っていかないのではないでしょうか。らせん階段的に向上していくためには,そのような好事例を拾って,アクティブ・ラーニングのような新しい要素については,前に進める必要があるのではないかと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,戸ヶ﨑委員,お願いします。

【戸ヶ﨑委員】
 まず,随分整理していただいたことについて,事務局の方にも大変感謝を申し上げたいと思います。
 私の方からは,少し細かい視点になりますが,資料5‐1の5ページの「確かな学力の育成」と「豊かな心の育成」について,感じていることを申し上げたいと思います。
 まず,「確かな学力の育成」の測定指標候補の中にあります,「習得・活用及び探究の学習過程を見通した指導方法の改善及び工夫を行っている学校の割合」についてなのですが,これは全国学力・学習状況調査の経年変化を見ているという項目で,いわゆるアクティブ・ラーニングの主体的・対話的で深い学びとある中の,深い学びの視点による指導法の工夫,改善であるというように認識をしているところでございます。
 一方で,平成28年度の全国学力・学習状況調査の学習状況調査の中に,正に,「主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善の状況調査」という項目があって,現在,この項目の実現に向けて,どの自治体も大変熱心に努力をしているのではないかと認識しています。
 そのような意味でも,是非,この「主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善の取組状況」を指標として掲載できないものかと思っています。この指標は,子供の意識調査ではなく,ある意味学校の指導に関することですので,今後継続していくということになれば,経年変化も見られるのではないかと思っています。
 しかも,PISA調査の指標よりも,先ほどの目標というようなお話もありましたが,私もPISA調査の方は目標でいいと思いますし,できれば,「主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善の取組状況」は先頭に記載してもらいたいと思っています。その理由は,このOECDの平均点や,いわゆる習熟度のレベルなどというのは,そもそも各自治体が自らの地域における取組の状況との比較に活用できるものではありません。一方で,この指標は,努力すれば確実に数値が上がっていくものであり,今後の日本の学校の目指すべき授業スタイルになり得るのではないかと考えているからです。
 先ほどの「習得・活用及び探究の学習過程を見通した指導方法の改善及び工夫を行っている学校の割合」の成果を残すかどうかというのは,また改めて御検討いただければと思っています。
 併せて申し上げますと,OECDのPISA調査の平均点や習熟度レベルなどというのは,既に御案内のとおり,日本は大変高いわけで,それを維持するという意味での測定指標として,又は目標として示しておくというのは十分理解できます。
 ただ,一方で,先日,OECDのシュライヒャー氏もおっしゃっていましたが,PISA調査の学力を維持,また育成するという過程で,日本の大きな課題,つまり,OECDの平均よりかなり低いというのは,子供の科学に対する態度の中の項目なのではないでしょうか。具体的には,科学関連の職業に就くということに納得している割合や,科学の楽しさ,科学に関連する活動などといったものが国際平均よりもかなり低くなっています。これらは,ある意味,学力を支えていくためのモチベーションの意味からも,意欲の観点からも,何らかの測定指標ということで示しておくべきではないかと感じました。
 2点目,「豊かな心の育成」ですが,目標候補に「自分には良いところがあると思う児童生徒の割合」について記載があります。これは全国学力・学習状況調査で自己肯定感の経年変化を取っているものです。まず,少し細かいことになりますが,資料では「良い」と漢字で書いてあるのですが,実際には,その調査の方は平仮名で記載されていると思います。また,これは諸外国と比べて,我が国の子供たちが学力はトップレベルであるにもかかわらず,自己肯定感が低い状況にあるということから,これを目標の一つとしていくというのは大変理解ができます。
 しかし,その下の測定指標の候補について,何でその指標なのかというのをよくよく見ていくと,理解できなくなります。つまり,この測定指標というのは,先ほども申し上げましたが,各自治体が自らの地域における取組状況との比較に活用できるようにするというものなので,多く掲げる必要はないと思いますが,その掲載理由やストーリーがもう少し明確になっている必要があると思います。
 例えば,全国学力・学習状況調査の平均正答率が高い傾向が見られる項目というのは,そこにあります「学校のきまり・規則を守っている,友達との約束を守っている児童生徒の割合」のほかにも,物事を最後までやり遂げる,人の役に立つ人間になりたいと思うなどといった項目もありますので,改めて掲載した理由が各自治体等で納得できるようにしてほしいと思いました。
 最後ですが,「確かな学力の育成」のところにPISA調査を掲載するのであれば,「豊かな心の育成」のところでも,PISAの生徒の生活満足度や学校への所属感などを計った,いわゆる「生徒の健やかさ・幸福度の調査」結果などもあってもいいのではないかと思いました。
 少し長くなりましたが,以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
それでは,一度ここで区切りまして,文部科学省からこれまでの御意見に関して,御説明をお願いします。

【木村初等中等教育局参事官】
 ありがとうございます。全国学力・学習状況調査について,幾つかコメントを頂きました。全国学力・学習状況調査は,御案内のとおり,学力調査の本体の部分と,質問紙を使った,子供たち,そして学校への質問の部分,二つに分かれております。今回,指標の候補を挙げさせていただくに当たって,やはり経年的に追跡可能なデータが取れるということを考えれば,質問紙調査の方で,よりアウトカムに近いようなところを経年的に,質問紙調査なので,質問の設計によって経年比較が可能になるということもありますので,この方法を挙げさせていただきました。
 一方で,御指摘を頂きました学力調査本体の方の経年比較の話でございますが,この調査自体の目的が,そもそも児童生徒への教育指導の充実,あるいは,その学習状況の改善ということで,それぞれの年度で,全ての子供たちに同じ問題を出題して,それを公開するというところが1点,それと,調査の問題を解ける,解けないということだけではなくて,どこでつまずいているのかが明らかになるような形で問題を作っているということで,毎年,平均正答率が変動するという要因もあって,なかなか経年比較が難しい状況にあります。したがって,平均正答率を使って,この指標を作るというのが,今の段階では困難な状況にあるということは御理解いただければと思います。
 もちろん,経年変化を見ていくということは重要な課題だと思っておりまして,文部科学省でも,これまでのデータも踏まえて,過去のデータからして,あるいは将来的に,どのような形で経年比較が可能になるのかという調査研究を始めているところでございます。その結果も見ながら,なかなか難しい面がございますが,その結果も見ながら今後の検討課題とさせていただければと考えております。

【北山部会長】
 次に,菊川委員,お願いします。

【菊川委員】
 今の目標と測定数値の違いなのですが,いずれにしろ数字が出てきますので,調査が継続的にずっと行われる,あるいは客観性があるということが原則になるのだろうと思います。
 その中で,資料1の2ページ目辺りに,改善の方向を明記することが適切であるものについては「目標」,水準を把握していくものについては「測定指標」と,仕分けられているわけですが,そのような意味では,もう一つの視点として,目標を目指して努力していく主体は関係ないのだろうかという意見でございます。
 具体的に申し上げますと,例えば,学校教育等々は施策として行われていますが,家庭教育については,かなりの部分が,親が努力をし,その親の努力を支援するということが施策になってくると思います。そのような意味で資料を見たときに,例えば,資料5‐1の6ページに,肥満傾向,朝食の欠食,それから起きる時間等々というのがあり,これは目標候補なのですが,一義的には親が努力をする,あるいは,ひょっとすると肥満傾向児も,様々な体質等がありますので,親が努力をしても,なかなか改善されないということもあるかもしれないと思います。
 個人の意見としては,より施策的なものを目標に置くということを考えた方がいいのではないかと思いますが,そのような観点からは,これは目標にすると,親御さんにとっては,少しきついのではないかと思っております。
 それから,9ページ,同じく家庭のところなのですが,この辺りも目標と測定指標の違い,具体的に言いますと,例えば目標候補に,家庭教育支援の充実のための実態等把握調査研究から,「子育ての悩みや不安を相談できる人がいる保護者の割合」を出しておりますが,そのことと,測定指標候補の「地域で子育てが支えられていると感じている保護者の割合」というのは,似ているような感じもするわけでございます。一つの例でございますが,やはり目標と測定数値を,客観性や継続性,あるいは主体,施策との位置関係等々できちんとチェックを掛けていくことが大事ではないかと思っております。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 川端委員,お願いします。

【川端委員】
 今の菊川委員の御意見にも少し関連する部分なのですが,私も子供を取り巻く状況の変化というところから,これからの日本を担う子供たちが夢や目標を持つということはとても大事なことなのですが,目標を持てるということは,身近な親や先生を見て,こういうふうになりたい,こういう夢を持ちたいというところなのですが,やはり,ひとり親家庭が増えていたり,親が共稼ぎになったりすると,金銭的な余裕や時間的な余裕がないということからも,朝食を欠食している児童の割合は増えていると感じています。
 その目標等々を立てられているのですが,実際に,朝食を欠食している児童の割合で考えますと,この数字から,改善のために必要と考えられる事項は挙げられているのですが,これがどのように実際に各家庭で改善されていけるのかとなると,なかなか難しいところなのではないかなと思っております。
 基本的な生活の安定がなければ,ここに書かれているものはなかなか難しいとも思いますし,そして,親御さんたちがどれだけ努力できるかということも,各家庭でやはり状況が違っておりますので,その辺りをどのように一つ一つの家庭に寄り添って,子供たちが健やかに育っていくのか,この目標に近付けるのかということを考えていただければと思っております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 ここで,また一度区切りまして,文部科学省から御説明をお願いします。

【内田教育改革推進室長】
 御指摘ありがとうございます。
 まず,菊川委員から御指摘がございました指標の考え方ですが,先ほどから議論になっておりますとおり,確かに,現時点では,なかなか絞り込みができていない状況もございますので,今後,絞り込みと精査に向けて調整したいと思います。特に,指標を考える上で,どのように目標の達成に向けて取り組んでいったら良いのかを考えるべきだという観点も御指摘いただきましたので,その辺りも考えていきたいと思います。
 また,川端委員から御指摘いただきました欠食の家庭に関しまして,具体的にどのように進めていくかは,なかなか難しい部分ではございますが,今後,最後の施策群のところで具体的にどのように取り組んでいくかを文章化していく作業がございまして,欠食や保健指導のような部分ですと,早寝早起き朝ごはんのような国民運動や,それぞれの学校で行っている保健指導をどうしていくか,食育をどのように行っていくかなど,文部科学省としてどのような支援をしていくかも,やはり考えていかなければいけないと思います。そこは指標ではなく施策群の部分でございますが,御意見を踏まえまして,また考えさせていただければと思います。

【北山部会長】
 次に,小川副部会長,お願いします。

【小川副部会長】
 簡単な質問を二つほどさせてください。一つは,「確かな学力の育成」にしても,「豊かな心の育成」にしても,「健やかな体の育成」にしても,「1.社会の現状や2030年以降の変化を踏まえた課題」の2番目に,「子供の貧困など格差の固定化」が重要な課題の柱にされていますので,例えば,所得階層間での成果分析は必要だと思っています。
 基本的な方針4が「誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する」なので,恐らく,例えば,子供の貧困,所得階層別の学力等に関係した分析を詳細に行っていくのであれば,この方針1のところでは包括的な分析にとどめ基本方針4で詳細に記述するということでもいいと思うのですが,その辺りをどのように扱うのかということと,今,述べたような所得階層別の分析,成果の様々な分析等々についてのデータ,経年的なデータとして活用できるものがあるのかどうかということが一つ質問です。
 二つ目は,8ページの「社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成」のところで,アウトカムについては,なかなか定量的に把握するのは困難ということで,アウトプットで,幾つかの目標候補を挙げていますよね。その中身は,大体,各教育機関におけるインターンシップや授業科目等々の現状を把握するということになっています。これも質問なのですが,社会的・職業的自立の基礎となるような基礎的,汎用的な能力をチェックするような資格試験というのはないのでしょうか。
 例えば,今度2020年頃をめどにして,高校生の学力をチェックするために学びの診断といったようなものを導入すると,確か文部科学省の方針案で出ていまして,その高校生を対象とした学びの診断の中身については,民間の様々な職業分野の資格試験を活用するという方向性も出されていますので,恐らく高校生レベルでは,そのような基礎的,汎用的な能力をチェックするような民間の試験もあるのではないかと思うのですが,そのような高校生を対象としたものや社会人を対象としたものの中に,基礎的,汎用的な能力をチェックするような資格試験等々があるのであれば,例えば,そのようなことも活用してみるということも一つの考えかと思うのですが,その辺りは私も全然分かりませんので,教えていただければと思います。

【北山部会長】
 こちらは御質問になりますので,文部科学省から簡単に御回答をお願いします。

【木村初等中等教育局参事官】
 今,御質問いただきました所得階層別のデータのお話については,今の段階で活用できるデータがあるかと言われれば,今の段階ではないという状況です。
 3年に1度,全国学力・学習状況調査の中で保護者を対象とする調査を行いながら,3年に1回ではありますが,所得と学力の関係に関する調査研究もしておりますが,まだ十分なデータが集まっていないような状況であります。
 予算的な問題もありますし,サンプル数をどうするのかも含めて,今後,経年変化を見るにはどうしたらいいか,状況の変化を見るにはどうしたらいいかということは,引き続き調査研究を行いながら検討していきたいと考えております。

【北山部会長】
 資格に関する御質問についても,文部科学省から御回答をお願いします。

【内田教育改革推進室長】
 もう一つ御質問がございました,社会的・職業的自立に向けたテストの活用でございますが,確かに,民間の教育事業者などで試行的に行われていると伺っております。特に,PISA型のコンピテンシー能力を測る取組の開発が進んできていると聞いております。学びの基礎診断に関しましても,来年度からの運用に向けて,今,検討中でありますが,そちらとの連動等も含め,議論がまだ途上の段階で,指標として挙げることはなかなか難しいという状況でございましたので,今回は入れておりませんが,今後,実際に計画が動き始め,1年目,2年目,3年目とフォローアップしていく過程で,そういったものももちろん視野に入れながら検討していくことになろうかと思っております。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 山脇委員,お願いします。

【山脇委員】
 一つ,提案をさせていただきたいと思っております。測定指標を決める上で一番難しいのが,この「豊かな心の育成」ではないかと思っています。これは定量的になかなか言いにくいものですし,何をもって豊かな心の育成が図られているか図られていないかというのは非常に難しい問題だと思うのですが,例えば,読書の量は,この指標の一つになり得るのではないかという気がしております。
 私は従来,人の心を育むものの大きな要素に読書があると,信念を持っておりまして,それが今,減少しているような傾向に危惧を抱いております。人と話す,音楽に触れる,美術館に行く等,豊かな心を育むことは様々ありますが,これは貧困層であろうが富裕層であろうが,人がいようがいまいが,どんな親であろうが,読書というものは自分の心と向き合えるすばらしい機会だと思っておりまして,読書をどのぐらいしているか。それは「確かな学力の育成」の読解力にも関わってくるとは思いますが,指標の一つとしていかがかなという提案でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 次に,永田委員,お願いします。

【永田委員】
 ありがとうございます。簡単に述べさせていただきます。最初に,主として高等教育段階のところの「課題探求能力の修得」に記載してある内容は,「確かな学力の育成」に含めるべき内容であると思います。課題探求能力をもっと恒久的な能力として捉えるべきという観点から申し上げると,アクティブ・ラーニングや肯定的な評価は,「確かな学力の育成」に含めるべきではないかと思います。
 実際,高等教育段階において課題探求能力をどのようなやり方で高めるか,というのは難しい課題です。例えば,ティーチング・アシスタントやティーチング・フェローというのは,学生が学生の前に立って授業をするわけですが,その緊張感たるや,全て授業のバックグラウンドが分からなければ立てません。方法論はこれら以外にも幾らでもあるかと思いますので,ここに記載してあることだけでは,とても課題探求能力の修得にはつながらないかと思います。
 それから,施策について,初等中等教育,高等教育,全部通じて言えることの一つは,現在,課外活動など,正課ではないと言われている活動を,ほんの一部でも,課外ではなく正課という扱いができないか,ということです。例えば,ボランティア,スポーツや文化活動など,課外活動として行っている部分が相当あります。こういった活動を一部,大学であれば単位化になりますが,何とか正課の一部として扱えないかと考えています。これらは豊かな心や健やかな体の育成にも関係あるだろうと思います。昔から議論されていることかと思いますが,これから数年間の取組の中で,2030年に向けた議論をしていければいいかと思っております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 では,金子委員,お願いします。

【金子委員】
 一つ申し上げたいことは,この計画全体を見ていると,計画の基本的な性格の問題もあるかもしれませんが,超一般的に様々なことが書いてあるわけです。ただ,もう一方で,ターゲットというものが余り明確になっていないのではないかと思うのですが,今のお話にも出てきましたが,学力が低い生徒がかなり年齢の低い段階から出ているというのは非常に大きなターゲットで,今,日本の社会は多様化,流動化しているわけですから,一定の教育政策もターゲットを明確にせざるを得ません。そのようなところは,やはり,今までの振興計画と非常に違ってくるべきところではないかと思います。そのような意味でも,ターゲットを明確にするべきだと思います。
 実際,振興計画ができたときの一つの経緯は,義務教育費国庫負担法の改正があって,2分の1補助がなくなったわけです。そのときの問題は,地域格差ができるのではないかということが非常に大きな懸念で,そういった意味で,私は,地域格差ができているのかどうかということは,指標としても重要な点であると思います。
 さらに,そのときには都道府県の財政能力による差ができるのではないかということが問題だったわけですが,どうも最近の動きを見ていると,それより細かいところで大きな差が生じていて,しかも,それが教員の数など,そういった問題ではなくて,むしろ政策的にカバーしなければならない,社会的,あるいは個人,家庭の問題が生じており,それが低学力と結び付いているという状況が明らかになりつつあるわけです。しかも,それはかなり低学年で形成されて,小中高,あるいは更にその上まで,その問題が続いているといった非常に大きな問題になっているわけです。
 ターゲットがはっきりしていて,しかも,どこに問題が生じているかということをデータ的に明らかにするのは,私は非常に重要だと思うので,そのような意味で,地域の観点,あるいは学年を通じた観点などといったものが非常に重要だと思います。
 それに関連して一つ申し上げたいことは,先ほどからPISAの問題が出ていましたが,比較的日本は学力が高いと言われていますが,学力が高い一つの理由は,日本は,移民等,社会的にブレーキになることが非常に少ない国だからです。韓国を見ましても,そのようなことはございません。したがって,これはある程度高くなるのは,当然と言えば当然のところもあります。
 もう一つ,これは前回も申し上げましたが,この指標によると2未満は1割くらいということで,2未満というのは1b帯だと思いますが,これは問題の趣旨を理解していないということであり,低学力という問題以前の問題で,低学力というのであれば2くらいまで入れなければいけないのですが,これは2割くらいあります。この2割くらいが小学校の低学年くらいでほとんど形成されてしまって,上の方までずっと続き,勉強時間を確保しても回復しないという研究も最近あります。そういった意味では,PISAの使い方も,学力のどこで問題が生じていて,どのような手当てがあるのか,ターゲットを明確に意識した指標の使い方ないし分析が必要だと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
では,大橋委員,お願いします。

【大橋委員】
 まず,資料1の2ページで記載いただいている内容は大変いいことが記載してあると思っていました。とりわけ,米印の三つ目は,是非,念頭に置いて今後も進めていただきたいなと思いますし,単なる留意事項ではなくて,きちんとした大きなことが記載されていると思います。
 その中で一つ,記載している内容で重要だと思うのは,これは目標値であれ,指標であれ,その数値の達成自体が自己目的化されるべきではないということです。本来,何を目指すのかというところはきちんと押さえておかなくてはいけないと思います。ここを間違えると,その数値目標,数値の置き方とインセンティブの与え方によっては,本来の目的とは全く違う望まざる結果を招く可能性があると思います。例えば,先ほど議論にあるテストのスコアをどうするのかという話がありますが,これも学校や教員に対するインセンティブの与え方によっては,例えば,教員が答えを教えてしまうなどといったことが,実際に海外で事例としてあったのではないかと思います。そのようなことを考える意味でも,数値目標の考え方というのは,大胆に考えるべきところも重要ですが,慎重に考えていくべきところもあると思います。
 2点目ですが,その数値目標が達成されない場合に,PDCAの観点から,政策の方向性をどのように変えていくべきなのかということが分かるような数値目標を入れておくべきなのではないかと思います。
 今回,主観的な問いについては,何人かの委員からもコメントがありましたが,仮にこれが達成されなかった場合に,教育政策として何をするのかということがきちんと分かるような数値目標の尺度を入れておかないと,達成されない以上のこと,つまり今後の方向性が出てこないということになってしまうと思います。そのような意味でも,PDCAを回す観点から,ロジックモデルというのは,正にロジックを結び付けることで数値目標を考えられるということなので,そこのロジックモデルのところをきちんとしっかり考えていくことというのは,やはり従前どおり重要だと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
それでは,田邉委員,お願いします。

【田邉委員】
 資料5‐1の6ページ,「健やかな体の育成」の点についてです。「健やかな体の育成」を考えるには,運動,栄養,休養,食事と睡眠といったバランスが非常に大きく関係してくるのではないかと考えます。したがって,下の米印のところに記載してありますクロス集計等による指標の関連性というのは重要になってくるかと思います。
 ここで,体力のテストでは,9歳,10歳,13歳,16歳という年代で数字が出ていますが,今後,肥満であったり痩身であったりというところでも,できれば,同じ年代でのデータを取ることで,体力と体型という関係が,クロス集計等によって見えてくるところもあるのではないかと思います。
 体力となると,現在,幼児期の肥満傾向や痩身といった問題が数字で取れないということもありますが,この体型に関しては,小さい年代から取っていくも必要があるかと思います。したがって,体力測定ができる年代からは,この肥満と痩身の方も併せていくということも,一つの方法かと思っております。
 以上です。【北山部会長】
 ありがとうございます。
では,白井委員,お願いします。

【白井委員】
 ほかの委員の先生方と大分かぶるところもあると思うのですが,いわゆる数値目標,客観性がある指標というのが非常に大事だと思っています。以前の委員会でも恐らく御意見が出たかと思うのですが,5ページにある「自分はダメな人間だと思うことがある高校生の割合」について,日本とアメリカの数値が大分違うのは,お国柄の違いというのも十分あるのではないかと思っています。アメリカだと,「自分は駄目だ」と言ってしまうと,周りから「本当に駄目なのだな」と思われますが,日本の高校生で,「自分に駄目なところは1個もない」と言うと,「少し変わっているな」という扱いをされがちだと思うので,そのような意味で,生徒や児童の性格に影響されるような設問の仕方というのは少し控えるべきではないかと思います。
 そのような意味では,8ページにある「将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合」についても,現在,話題になっていますが,例えば,「ユーチューバーになることが夢」でいいのかどうかという話ですよね。10年後,ユーチューブがどうなっているのか分からない状況の中で,夢を持っていればいいというのではなくて,やはり,現実的な職業の指導を受けて,現実的な手段が考えられているかどうかということをしっかり測定していくことが大事かと思います。
 もう一つ,やはり話題になっていますが,6ページの「健やかな体の育成」で,菊川委員もおっしゃっていましたように,私も体験的に,親に対して,「こういうことをきちんと改善していきなさい」というようなメッセージになってしまった場合に,どうしても課題がある子供の親御さんも,実は課題を持っており,それも先天的な課題であることもあり,余りにプレッシャーを掛けてしまうと,逆効果になるようなケースが必ずあるということを体験してまいりましたので,やはり,望ましい子育てがしたくてもできない親が一定数は必ずいるということを前提にして,このような数値を取ったことで,これを改善していくために,最終には,どうしてもそれができない子供たち,どうしてもそのような環境が得られない子供たちに対するセーフティネットをきちんと施策として整備をしていくということが前提の調査だということが分かるような形にするべきではないかと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
それでは,近藤委員,お願いします。

【近藤委員】
 まず,5ページについて,先ほど小川副部会長の方も,学力と経済的な問題をクロスした方がいいのではないかというお話がありましたし,前回の部会でもお話ししましたが,生活保護や就学援助のデータ等はぶつけられますし,本当に想像以上の格差が出ているというような状況もございますので,ここに入れ込むのか,セーフティネットの方に入れ込むのかというお話はあるかと思いますが,この経済的な数値と学力のクロス集計の指標というのは,やはりどうしても入れるべきではないかということが1点です。
 次に,様々な改善及び工夫を行っている学校の割合は,学力テストの成績を分析してみますと,確かに学校についても差が出てきますが,それを更に突き詰めて分析していくと,担任の先生の力量によってもかなりの差が出てきています。ですから,単に学校だけでいいのか,教職員等の力量もどこかに指標として入れ込むべきではないかと思います。
 それと,先ほど白井委員もおっしゃいましたが,目標の中で肥満や朝食欠食を入れるに当たっては,家庭だけでは改善できない子供たちに対しても国として極力コミットして数字を改善していくという覚悟といいますか,横串に刺した他の省庁との連携でこの数字を上げていくというお考えがないと,問題の解決にはならないと考えています。
 9ページ,目標と測定指標についてはこれから精査されるというお話がございまして,特にこの辺りについては先日,発言させていただいたところなのですが,例えば「地域において子育ての悩みや不安を相談できる人がいる保護者の割合」に関することが「目標」で,「地域で子育てが支えられていると感じている保護者の割合」に関することが「測定指標」だと,先ほども菊川委員がおっしゃってくださったとおり,全く理論的に違うような状況になってきていると思います。これは,仮に「地域において子育ての悩みや不安を相談できる人がいる保護者の割合」について「目標」を立てるとするならば,「測定指標」はむしろこの前まで出ていたボランティア数や窓口数といった活動指標を入れて,その活動の成果としての「目標」が相談できる相手がいる保護者となってくれば理論的に合うと思いますし,同じようなことがほかのところでも見受けられると思います。
 最後に,12ページ,施策については全くこれからだとは思うのですが,どうしても入れていただきたいことがございます。ここは「健やかな体の育成」ということで,「子供たちの保健管理の推進等」とございますが,私どもの足立区が少々遅れているのかもしれませんが,学校の保健管理でいえば,身体検査の結果や体力測定の結果が必ずしもデジタル化されておらず,紙ベースで積み上がっていっている中で,小学校を卒業して中学校を卒業するまでの9年間の体力や学力,身体的な問題等が一つもデータ化されていない部分があります。
 何を申し上げたいかというと,データヘルス計画にのっとって,学力と経済的なぶつけもそうですし,健康の問題の数値もそうですし,体力的な数値もそうですし,全てが相関関係にあるわけなので,クロス集計でと欄外には書いていただいておりますが,これをきちんとデータヘルス計画との連携という形で,将来的には全てぶつけられる,その子供の全てが見渡せるようにして,学力だけの問題や経済的な問題だけでなく,様々な問題がリンクしてきているところを,その家庭家庭においてどこに基本的にコミットしていくのか,地域として関わっていくのかを「見える化」していく必要があると思います。したがって,データをぶつけるということについては,単に経済,学力だけでない,学校が持っている全てのデータをきちんとその子の一生を通じたライフステージごとに整理できるような将来像を持って,是非まとめていただけたら有り難いと思います。

【北山部会長】
 ありがとうございます。委員の方から様々な御意見を頂きました。事務局からのコメントはここでは省略しますが,今後,内容を更にこれからブラッシュアップしていく際に十分に踏まえていただきたいと思います。では次に,基本的な方針3,「生涯学び,活躍できる環境を整える」について,事務局から資料5‐2の御説明をお願いしたいと思います。

【内田教育改革推進室長】
 資料5‐2について御説明いたします。
 資料の構成に関しては,資料5‐1と同じように,2期計画中の現状分析と今後の3期でどうしていくかという構成になっております。ここは基本的な方針3のところでありまして,「生涯学び,活躍できる環境を整える」という,生涯学習の観点に立った方針でございます。
 1ページ目でございますが,社会の現状や2030年以降の変化を見渡しますと,少子高齢化の進展に伴う就業構造の変化や,Society5.0,第4次産業革命といった技術革新やグローバル化の進展・加速化への対応,長寿化への対応,障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実の必要性ということが今後,求められてくると考えております。2ページ目には,第2期計画中にどういったところまで取り組んできているかを記載しております。全員参加による課題解決社会の実現としては,例えば,高齢者の生涯学習に関する研究協議会の開催などを行っております。また,学びを通じた地域づくりとしましては,社会教育の観点に立ち,様々な方々,団体が参画して地域の課題解決に向けて取り組んでいくような取組を行っております。また,社会人の学びの推進としましては,大学におきまして職業実践力育成プログラムを認定する取組を行っております。最後に,障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実としましては,29年度から生涯学習政策局に室を設置いたしまして,今後,総合的に支援するための体制を作っていくというところまで進んできております。
 3ページ目は,2期計画中のそれぞれの指標はどうであったかということでございます。左側が2期計画中に掲げられていた主な指標でございまして,身に付けた知識・技能や経験を生かしている人の割合,情報公開などを実施している民間教育事業者の割合,大学等の正規課程への社会人入学者数を挙げておりますが,右側に記載しているとおり,数値的に大きな改善には至っておらず,幾つか課題がございます。例えば,学習成果を活用するに当たっての課題としては,今後,その成果が蓄積,評価され,企業・学校などでの活用に適切につながるようにしていくことや学習者同士のネットワーク化が重要でございます。また学び直しの更なる普及という観点ですと,学費や資格取得に役立つプログラムの拡充などの課題があろうかと思っております。
 4ページ目以降は,今,申し上げたような課題も踏まえながら,今後,どういった指標を設けさせていただくかの例を記載しております。
 まず,丸1,「人生100年の時代を見据えた生涯学習の推進」として,例えば内閣府の世論調査にあります「生涯学習をしたことがない」と回答する者の割合や,生涯学習をしたことがあるとする者のうち,その経験を生かしている者の割合,高齢者の教育文化,地域行事への参加による満足度などでございます。
 丸2,「地域課題解決のための学びの推進」の目標として,身に付けた知識・技能を地域や社会での活動に生かしている者の割合の増加,また,本当は人々の暮らしと社会の発展に貢献する社会教育システムの構築度合いを測ることができればいいのでしょうが,なかなか難しいので,アウトプットの目標候補として二つ,都道府県や社会教育施設が民間の社会教育事業者と連携・協力した件数や社会教育施設におけるボランティア数の増加などを挙げております。
 丸3,「社会人が大学等で学べる環境の整備」として,社会人受講者数を100万人にするということを挙げております。
 最後に,6ページ目,丸4,「障害者の生涯学習の推進」は,今回,新たな観点での取組でございますので,今,実態把握をしているところでございますが,それを踏まえながら,障害者の生涯学習に関する窓口を設置している市町村の割合や,ウェブサイトで障害者の生涯学習に関する情報を提供している都道府県・政令指定都市の割合など,例としてここに掲げているようなものを検討中という状況でございます。
 7ページ目以降は,先ほどの資料5‐1と同じように,今後に向けての施策群ということで,夏の中間報告や答申に向けて,また御意見を頂きながらブラッシュアップしていきたいと思っております。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,基本的な方針3について,御意見のある方はお願いします。
 では,金子委員,お願いします。

【金子委員】
 社会人の大学教育参加に関しては,もう20年くらい同じことが言われていますが,全く進んでおりません。大学,大学院等への社会人の入学者は5万人ほどでずっと低迷しています。特に3ページを見ていますと,ほとんど何も改善がない状況です。これをこのままのフレームワークでやっていくことについて,私は非常に疑問に思っていまして,これまでの体制を考えると,ここに記載してあることで何か事態が転換するのかどうかに関して,やはりもう少し何か議論が必要なのではないかと思います。
 これは,高等教育機関側,特に大学側の要因と企業側の要因の二つありまして,大学側の工夫が足りないこともあります。特に,単位累積によって修士ないし博士に通じるという学習履歴の累積について十分な体制ができていないことは非常に大きな問題だと思います。履修証明制度が社会人の学習を促進するためにできたのですが,それが学位とほとんど結び付いていない状況で,しかも取りにくい様々な条件が付いています。これは非常に大きな問題であり,供給側の問題は非常に大きいものがあるのです。
 ただ,需要側の大きな問題として,やはり企業がどのように対応するかということで,私がこの間,行いました調査だと,社会人で大学院での再教育に興味がある人は8割ほどいます。さらに,適当なものがあればやってみたいという人は3割ほどいます。今,働いて日本の大学を卒業した人は2,000万人近くいますから,非常に膨大な潜在的な需要はあるわけです。
 これがなぜできないかと申し上げますと,その調査で人事担当者に聞きましたところ,8割ほどは通学を認めていないとのことでした。そういった意味で,これは教育の問題だけではなくて,社会がどのように動いてくれるかが問題であり,教育振興基本計画にどのようにそういった事項を入れるのかについては様々な問題があるだろうと思いますが,少なくとも計画として,やはりそういったものができるべきだという主張がなければいけないのではないかと思います。考えてみれば,今の企業は40歳か50歳くらいでかなり辞めさせるような人事政策を取っているわけですから,いわゆる「キャリア権」といったような,その後に備えるための準備をするのは一種の権利だと思います。そのようなことができるようにしないとまずいのではないかと思うのですが,そういったことが一種の提案としてこの中に組み込まれることは何らかの形で必要なのではないかと思います。

【北山部会長】
 社会人の学び直しに関しては,高等教育局における「高等教育の将来構想」の検討の中でも議論されると思います。その議論との兼ね合いもあろうかと思いますので,その進展も踏まえつつ,連携して考えていきたいと思います。
 次に,菊川委員,お願いします。

【菊川委員】
 今の金子委員の御意見に関係するのですが,大学側の事情と企業側の事情はあると思いますが,私からはあと2点,申し上げたいと思います。
 1点目は,大人の学習能力の証明が常識になっていないことです。何となく,学習して伸びるのは大学生まで,若年期までというイメージを一般的に持ちがちですが,決してそうではなくて,特に働いている大人は,課題意識をしっかり持っているので,きちんと基礎的なトレーニングと両立して車の両輪でやっていけるということを,私は放送大学に行って身近に見聞きしているところです。今,脳科学など,様々な科学が発達していると思いますので,大人の能力も子供と同じように,トレーニングさえ加えれば伸びていくということを科学的にきちんと検証することが必要なのではなかろうかと思っているところでございます。
 2点目は,教育方法の工夫として,やはりICTをどのように使っていくかは非常に大きく,大人にあるものは能力かもしれませんが,ないものは時間だと思いますので,放送大学も含めてですが,ICTの利用を進めていくということが施策の土台にあると良いと思っております。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 永田委員,お願いします。

【永田委員】
 金子委員の御意見にもありましたとおり,社会人の学び直しを促進するためには,学びの成果としての単位集積システム見直しは是非とも必要であると思います。
 例えば,ITのような流れの速い分野は,大学で4年,大学院で修士課程を含め6年やりました,というだけでは通用しない世界です。ですから,学び直しの機会が重要なのです。職場を離れて大学で1年も勉強していたら現場から取り残されてしまいますので,半年ぐらい最先端の勉強をしてすぐ職場に戻る必要があります。こうした学び直しを可能にする単位システムや学位認定システムを考えないといけないだろうと思います。
 また,先ほど金子委員が「キャリア権」とおっしゃっていましたが,これを実現するためには有給の「学び直し休」のような仕組みを作らない限り難しいだろうと思いました。
 それから,大学の対応として休日や夜間における授業の拡充との記載があります。しかし,これを実施するためには教員の勤務体制をどうするのか,という問題があります。当然,事務職員も夜間,10時まで勤務する体制になるわけで,現状でも極めて多忙な中では,容易に実現できるものではありません。ですから,拡充するためには,相当な覚悟が必要であることを御理解いただきたいと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。柘植委員,お願いできますか。

【柘植委員】
 6ページ,丸4の「障害者の生涯学習の推進」について意見を申し上げます。新たに取り組むことにもかかわらず,既にこのような箱を用意し,本年秋頃までに指標の設定及び調査の在り方を設定されるということで,とてもうれしく思います。
 そのときに,幾つかの例があるのですが,ポイントとして二つほどあると思います。一つは,障害者だけが種類や程度,ニーズによって集まってきて生涯学習をするものと,既に一般成人向けに多様な生涯学習の機会が広がってきております。したがって,そこにどうアクセスするか。また,必要な合理的配慮があるか,どこまでアクセスできるのかの両方の目標が必要なのだろうと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 社会人の学び直しのところについて,文部科学省から何かコメントがあればお願いします。

【堀野高等教育政策室長】
 高等教育政策室長の堀野でございます。
 社会人の学び直しについて,北山部会長から御指摘がありましたように,今後,大学分科会でも取り上げていきたいと思います。御指摘のとおり,大学側の事情の問題もありますし,企業側についても,どのような条件だったら大学で学びたいのかについて,特に,大企業であればある程度,休暇も有休も与えて,学費も出してということはあろうかと思いますが,中小企業になるほど,そもそも学び直しで会社を空けるということについてルールすらないところも多々あります。また,仮に実際に学位を取ったとして,それが会社に戻ったときに人事,給与にどう反映されるのかというと,特段変わらないというところもあるだろうと思います。大学は大学で,社会が求めるようなメニューが用意できているのかという観点からすると,そこにもミスマッチがあるなど,多々課題があろうかと思いますが,今後,働き方改革,更にその先が議論されていく中で大きなテーマとなってくると思いますので,ある意味,社会と教育界でどのようなテーブルを作って話をしていくかも含めて,今後の在り方を大学分科会でも議論させていただきまして,またこの場でも御報告できればと思います。

【北山部会長】
 もう1点付け加えますと,今,専門職大学の設置基準を作っていますが,この新しい大学は,早ければ平成31年,再来年からの開校が予定されています。社会人の学び直しという観点では,この枠組みがどのようにワークしていくかという点も重要な論点ですよね。

【堀野高等教育政策室長】
 御指摘のとおり,新しい専門職大学については,最も早いものが平成31年開学で,2年制の課程であれば33年に初めての卒業生が出るということでございます。これについても,4年制であっても2年間で学位が取れる,社会人の過去の経験も一定期間の学びに通算して,フルに4年間あるいは2年間,来なくても卒業できるようにするといった配慮もしておりますので,こういったものも学び直しを進めていく一つの材料になるだろうと考えております。

【北山部会長】
 様々な論点がありますが,この学び直しは非常に大きなテーマですので,最終的な答申に向かって引き続きブラッシュアップを続けていきたいと思います。
 明石委員,お願いします。

【明石委員】
 実は,今週金曜日に生涯学習分科会がございまして,今の委員の皆様の意見を踏まえて議論したいと思います。
 例えば,永田委員がおっしゃった単位の修得システムをどうするか,また,菊川委員がおっしゃったように,社会人の成長に関するデータが余りないのですよね。学校の教員でいいますと,教員の方が社会教育主事を3年,5年され,成長したというのですが,エビデンスがないのですよね。また,企業の方が大学に行ったときに,本当に成長したという証明書がない。一つのヒントは,教員がデパートやNTTといった民間の企業に勤めたときに,半年間で帰ってきてどう成長したかというエビデンスも余りないのですよね。そのようなエビデンスを出さないと,企業も教員も,お互いのいい交流は見えてこないと思うので,そのようなことも踏まえまして,今週,生涯学習分科会で議論を深めていきたいと思っております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 では,本日最後の議題,基本的な方針5について,まず事務局から御説明お願いします。

【内田教育改革推進室長】
 資料5‐3につきまして,御説明いたします。
 基本的な方針5,「教育政策推進のための基盤を整備する」ですが,基本的な方針1から4の全てに通じるソフトやハードの基盤を作っていくというように,ほかの方針に共通に係ってくるものでございますので,資料5‐1,資料5‐2にございました「社会の現状や2030年以降の変化を踏まえた課題」は,省略しております。したがって,資料としては,2期計画期間中における取組から出発しております。
 幾つか柱がございまして,まず教職員等指導体制の整備として,教職員支援機構への改組を行ったほか,「次世代の学校・地域」創生プランに基づき,チーム学校という方針を打ち出しております。また,「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」を改正いたしまして,これまで加配措置してきたものを基礎定数化する制度改正などを進めてきております。
 次に,ICT活用による学びの環境の革新と情報活用能力の育成として,「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」を策定しておりまして,地財措置も実施してきております。
 また,教育委員会の権限と責任の明確化として,「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」を改正いたしまして,教育委員会制度のもろもろの改正を行ってきました。
 2ページ目を御覧ください。安全・安心な教育研究環境の確保として,国公立学校の耐震化につきましてはほぼ完了し,私立についても向上している状況がございます。一方で,公立学校施設に関しまして,非構造部材を含む耐震対策など,社会の変化に対応した教育環境の確保が求められています。
 大学のガバナンス改革,機能強化に関しましては,こちらも将来構想部会と並行して議論が行われておりますので,そちらの議論も踏まえてでございますが,ここに記載しているとおり,第3期中期目標期間より三つの重点支援の枠組みを創設するなど,様々な機能強化を進めてきました。
 あとは,私学の振興のほか,日本型教育の海外展開と我が国の教育のグローバル化として,海外展開官民協働プラットフォームの立ち上げといった取組などを進めてきたところでございます。
 3ページ目を御覧ください。第2期計画中の指標の状況でありまして,左側にございますとおり,学校管理下における事件・事故災害で負傷する児童生徒等の減少,死亡する児童生徒等のゼロ化,またICT環境の整備として,括弧内の数字は目標,その前にある数字が実数でありまして,右側に記載のとおりの現状となっております。学校安全の更なる推進のために必要と考えられる事項としては,学校安全に関する組織的な取組の推進,教職員の資質能力の向上などが,ICT環境の更なる整備のために必要と考えられる事項としては,新学習指導要領を踏まえた環境の整備,先生,生徒の利活用能力の向上といった部分があろうかと思います。
 4ページ目以降は,今後,第3期に向けてどういった指標が考えられるかの例として挙げているものでございまして,まず丸1,「学校指導体制の整備」としては,教員の資質能力の向上をアウトカムで測定できればいいのですが,なかなか困難ですので,アウトプットといたしまして,こちらに掲げているような指標を挙げております。また,小中学校の教諭の総勤務時間数や事務時間数の改善,学校の組織マネジメント力として,こちらに掲げているような目標を検討しております。
 「ICTの利活用の促進」では,目標候補といたしましてコンピュータの整備,無線LANの整備,全ての学校種での統合型校務支援システムの整備を挙げております。さらに,教員のICT活用能力や学校における生徒のICT活用状況などの指標をこちらに挙げております。
 次に,6ページの丸3,「教育研究環境の整備」といたしまして,ハードの目標が中心でございますが,老朽化対策や公立学校の長寿命化,国立大学等について幾つかのアウトプットを挙げております。
 丸4,「高等教育の基盤整備」も,今,将来構想部会などで検討が進んでいる動きもございますので,そちらの動きも踏まえながら,今後もブラッシュアップしていきたいと思っております。
 丸5,「児童生徒等の安全の確保」としましては,学校管理下の事故発生件数や死亡する児童生徒の数,最後に丸6,「日本型教育の海外展開と我が国の教育のグローバル化」ということで,日本型教育をどのように世界で展開していくかの尺度といたしまして,海外に対する教育事業に参加した日本側,相手国側の関係者の数といった指標や,海外留学者の数,外国人留学生の数,大学間協定の数などの指標を幾つか挙げております。
 8ページ目以降は,今御説明いたしました指標の実現に向けた施策群を記載しております。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 では,この論点も範囲が広いのですが,皆様から御意見があればお願いします。
それでは,大竹委員,お願いします。

【大竹委員】
 5ページのICTの利活用の促進のところで,先ほどの近藤委員からの御提案と同意見なのですが,近藤委員のお話の中に,学校のデータにはICTによる整備がなされてないところが多く,健康情報は紙ベースのものが多いとありましたが,生徒や学生の情報,学校の取組,そして先生と生徒の対応関係を一元的に電子情報化することをICT化の中に入れていくことは,今後,PDCAを回して教育成果を図っていく上では非常に重要ではないかと思います。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,山内委員,お願いします。

【山内委員】
 同じくICTの利活用の促進で3点,お話しさせていただければと思います。
 まず,アウトカムの目標候補の丸1についてです。「学習者用コンピュータを3クラスに1クラス程度整備する」とありますが,1クラスだけ整備して2クラスには整備しないわけではないと思いますので,「3クラスに1クラス分程度」という意味かと思います。これは全然意味が違ってくるので,訂正していただいた方がよろしいかと思いました。
 2点目,目標候補のICT活用能力と,同じくPISA調査の結果を入れるというところで,特にPISA調査の結果を入れるのは非常に重要だと思います。2015年で,該当の学校で生徒がICTを活用しているかどうかは九つの項目があるのですが,五つが47か国中最低です。これはnめてまずい状況なので,これを入れて改善するのはいいと思うのですが,「児童のICT活用を指導する能力」は既に6割以上あると上には記載されています。6割以上あるにもかかわらず世界最低なのです。したがって,実はこれは目標に掲げるだけでは数値が上がらないおそれが非常に高いので,「授業中にICTを活用して本当に指導しているか」など,もう少し軽めに,実態調査に近いところを教員のICT活用能力に加えて取っていただく方が,ある種,目標の進行状況がきちんと見えるかと思いました。
 3点目,測定指標候補の「児童生徒の情報活用能力」について,実は平成25年に小中学校,平成27年に高等学校に対して調査が行われていると思うのですが,ここでは「現段階で状況を把握できていない」と記載されています。この辺りの関係がよく分からないので,御質問させていただければと思います。
 以上,3点です。

【北山部会長】
 3点目の御質問について,文部科学省からすぐに御回答できますか。

【内田教育改革推進室長】
 申し訳ございませんが,今,手元に詳細がございませんので,後日改めて御回答いたします。

【北山部会長】
 では,後日,御回答をお願いします。
 それでは,小川副部会長,お願いします。

【小川副部会長】
 3点ほど意見を申し上げます。
 「学校指導体制の整備」のところに関わって,目標候補として,ようやく先生方の1週間単位の総勤務時間の縮減や事務時間の短縮等々も記載されており,それでいいと思うのですが,やはり基本の授業関係の業務や研修等々に関わる時間がどれほど増えたかということも当然,今の指標に絡めて検討すべきだと思っています。これは,昨年度に行った勤務実態調査の内容を再整理すると活用できるデータです。欧米などの先生と日本の先生の授業に費やす時間を比較すると,例えばアメリカやイギリスの場合には総勤務時間に占める授業に費やす時間の割合が50パーセントを超えているにもかかわらず,日本の場合には三十数パーセントという状況で,その辺りが日本の教師の働き方がほかの国と比べて非常に大きな問題にもなっている点です。授業時数等についてはある程度,法律や学校規模で決まって,なかなか動かすことはできないのですが,授業準備や研修等に関わる時間が勤務時間の短縮の中でどれほど割合が増えているかについても非常に大きな視点なので,是非そうしたことも付け加えていただければと思います。
 二つ目は,目標候補として組織マネジメント力の強化,教員と事務職員等との役割分担など組織としての学校を作ると記載されていますが,4ページを御覧いただくと分かるとおり,学校の組織マネジメント力の強化に取り組んでいる教育委員会の割合は,直近のデータでも都道府県97パーセント,政令市100パーセント,市区町村79.6パーセントと,余りめりはりのある数字では出ていません。これは,恐らくマネジメント研修をやっているかと問えば,ほとんどの教育委員会はマネジメント研修はやっているので「イエス」という答えになるかと思うのですが,評価の指標は,組織マネジメント力の強化という包括的な項目ではなく,もう少し内容を分節化して,より個別具体的なものを設定した方がめりはりある評価ができるのではないかと思っています。例えば,学校のマネジメント力の強化の中心はやはり管理職,特に副校長,教頭で,今でも先駆的な自治体の場合には副校長や教頭に対するサポートのための人員的配置をきちんと行っているところもありますし,経営企画会議などを設けてマネジメントをチームとして取り組んでいくというところもありますので,そのような具体の指標を設定する方がむしろいいのではないかと思っています。教員と事務職員との役割分担等についても,やはり同じように評価の視点を具体の取組としてもう少し分節化して行った方がいいのではないかと思っています。
 最後はICT活用のところです。目標候補に様々なことが書かれているのですが,学校現場で要望を聞くと,やはり校内のICTのシステムを実際に運用,修繕し,必要なプログラム開発や,先生方への研修指導を学校に合った形で行ってくれるICTの専門スタッフの派遣や配置が一番強い要望なのですよね。今,アウトカムの目標候補をいろいろ見てみたら,そのようなICTの専門スタッフの派遣,配置という項目が入ってないので,それは入れるべきではないのかと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
次は戸ヶ﨑委員,お願いします。

【戸ヶ﨑委員】
 まず,今もお話が出ていましたが,4ページの「学校指導体制の整備」において,「教員の養成,採用,研修の充実や,魅力ある優れた教員の確保・資質能力の向上を進めるとともに」とあって,その目標候補丸3の,「特別免許状の授与件数」のところに「小中学校」の文言を入れていただいたことは非常に有り難いと思っています。また,先ほどもお話がありましたように,目標候補の中で業務改善に関する記述が大変多くなってきたことについても,国としての本気度が伝わるのではないかと思いました。
 一方で,先ほどの文言の中に「魅力ある優れた教員の確保」という,ある意味,大変光るフレーズがあるわけですが,それが目標候補の中でどの文言が当たるのかというと,なかなか見当たらないので,例えばですが,一例として教員養成大学への志願者,社会人の経験者を含めた教員の志願者の数を多く確保するといったように目標の倍率を示すようなこともできるかと思います。どんどん志願してくるということが可視化されるような何らかの指標が必要であり,重要なのではないかと思いました。
 あわせて,研修について,可能であれば,教職員支援機構の研修に加えて,各学校における教員の学び,学び合いを基調とするレッスンスタディという授業研究や校内研修といったものにもやはり触れてほしいと思いました。全国学力・学習状況調査などの中にもこの指標に使えるもの,参考になるものもあるかと思いますので,是非,校内研修,授業研究といった指標もあるといいと思いました。
 もう一つ,ページで申し上げると13ページの「日本型教育の海外展開と我が国の教育のグローバル化」の中に「EDU‐Portニッポン」の話が出てきており,これはすばらしい試みだと私は思っているのですが,まだなかなか認知度がございません。可能であれば是非このようなことは前面に出していただけると,認知度も広がり,参加してみたいというところも増えてくるのではないかと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
大橋委員,お願いできますか。

【大橋委員】
 2点だけ申し上げます。
 まず,6ページ目の「教育研究環境の整備」で,このような観点はどうかという御提案なのですが,学校の施設管理を国全体のストック管理という観点で見たときに,学校開放を一つ位置付けることはできないかということであります。これは施設管理の観点から難しい面もあるとは思いますが,学校の内外における教育環境等の観点からプラスの面があるのではないか,あるいは,自治体の財政の観点から見ても,社会教育施設と社会体育施設との連携は一つの論点としてあるのではないかということから,そのような点を観点として入れられないかというのが一つ御提案でございます。
 2点目は,7ページ目の「日本型教育の海外展開と我が国の教育のグローバル化」のところでございますが,重要な論点だと思います。現状の指標を拝見すると,どんどん行っていくべきだという方向性なのですが,これはもう少し慈善活動ではなくて国益の観点から眺めることはできないだろうかと思います。例えば,日本経済の成長戦略という観点からも,このような教育の海外展開は非常に重要なのではないでしょうか。ほかの部局との連携という観点もあるかもしれませんが,そのような点からも海外展開は非常に重要なので,そういった指標も入れていただけるとよろしいのではないかと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 石田委員,お願いします。

【石田委員】
 時間も限られていますので,大きな点を1点だけ,本日は申し上げたいと思います。
 基本的な方針5として「教育政策推進のための基盤を整備する」ということですので,どこに具体的に係ってくるのか定かでないのですが,全体を通して一つお願いしたいことは,データを蓄積,整備して分析していくような仕組みのようなものを考えていただくことはできないのかということです。というのは,様々な調査は既に行われていることはもう皆さん御存じのとおりで,ただ,それをどのような形で活用するのかは必ずしも明確ではありません。PISAの例で申し上げますと,PISAは確かに学力調査なのですが,先ほどお話が出ましたように,PISAには生活満足度などの質問もあり,学力と心の豊かさはどう関連しているのかということも分析できるような調査ですので,そのような分析の仕方なども検討できればいいと思います。PISAについては,日本では国立教育政策研究所が実施・分析をされているのですが,それも生かすようなことができればいいと思います。
 それから,先ほど,近藤委員が全国学力・学習状況調査と生活保護や就学援助などのデータがリンクできたらいいのではないかというお話をされていました。これも日本で様々なデータがあるのですが,それをどうリンクできるのかという可能性を考えなければなりません。個人が成長していく過程を追うためには,実は同じ個人をずっと追跡するような追跡調査を行わないと個人がどう発達しているかはなかなか分からないのですが,そのような調査は,例えば厚生労働省で「21世紀出生児縦断調査」を行っておりましたが,中学卒業以降は文部科学省が引き取って追跡されております。このような調査の蓄積をどのような形で有効に活用できるのかを考えていけるような整理をしていただくと大変有り難いと思いました。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 次に,渡邉委員,お願いできますか。

【渡邉委員】
 この整理は基盤整備という視点ですし,予算の問題もありますから,今回のような整理は致し方ないと思いつつ,あえて少し申し上げておきます。5ページの丸2,「ICTの利活用の促進」と7ページの丸6,「日本型教育の海外展開と我が国の教育のグローバル化」は,次の時代を考えたときに大変重要な視点になると思います。皆さんからの御意見もそのとおりだと思いますが,特に,5ページの「ICTの利活用の促進」には四つの目標候補があるわけですが,将来を見たときに,今の普及率という指標で本当にいいのでしょうか。将来的に考えると,アクティブ・ラーニングや情報の利活用という視点が非常に重要視されているわけですし,世の中的にはICTからIoT,AIという形で次のステージにどんどん進んでいってしまうわけですから,今の視点での目標化が本当にいいのかどうかということです。これは当然,基盤整備の現状の課題がそこにあるから仕方がないという一方で,次回の議論だと思いますが,グローバル人材,イノベーション人材を将来どうするかという視点で見たときにこの目標感覚でいいのかどうかについて,もう一度,検証する必要があるのではないかという気がいたします。
 イノベーションと対峙(たいじ)して,7ページの「日本型教育の海外展開と我が国の教育のグローバル化」のところも同じだろうと思います。ここにある英語力や海外留学者数,外国人の留学生受入れという今のレベル感,視点での目標値で本当にいいのかどうかは,次回の議論を経てからでいいと思いますが,もう少し長いスパンで見たときの目標値として,もう一度,検証すべきではないかと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
永田委員,お願いします。

【永田委員】
 今の「日本型教育の海外展開と我が国の教育のグローバル化」について,渡邉委員の御意見に関連してもう少し具体的に述べたいと思います。今回新たに設定された項目は恐らく,アウトプットの最初の上二つの測定指標候補である,「海外に対する教育事業に参加した日本側の教職員・学生・児童・生徒の数」,「海外に対する教育事業に参加した相手国側の教職員・学生・児童・生徒の数」だと思います。第3期教育振興基本計画が「2030年以降の社会の変化を見据えた課題等へ対応」するための計画であるならば,本当にこれでいいのかという疑問があります。
 グローバル化に対応する中で,教育の対象者は日本人,日本型教育を展開する現地の方々,日本で学ぶ方々の3者がおり,この中で2番目が大切です。我が国の大学の教育では,現地の初等中等教育を日本型教育システムで展開できる人材を育てる,ということが可能です。これが我が国の大学の教育系が今後果たすべき重要な役割の一つだろうと思います。
 日本で学ぶ留学生の問題については,ここに出ている問題以前に,国際的に日本の教育に互換性があるかどうかというところを見る必要があります。要するに,国際的な通用性を,以前から言われている「英語が使えるようになれば良い」ではなくて,「日本の教育システムそのものが海外と互換性があるかどうか」という視点からまず考えるべきです。
 そして,今,一番激しい競争は2か所で起こっています。一つは超トップレベルのエリートの奪い合いが,世界中で起こっており,もう一つは,社会の大部分を占める実動して働く方々です。どちらも重要なのですが,我が国としてどのような考え方で臨むのかについて考えなければならないと思います。
 また,互換性という意味合いで,留学生を受け入れるシステムの一つとしてアドミッションについて考える必要があります。日本の教育システムにおいては,高大接続システム改革が進められています。では,外国の方々にどのようなアドミッションをするのか,これからも各大学が現在行っている方法を続けるだけで良いはずがありません。そのような視点が欠けていて,やはりここに出ている指標は余りにこれまでの考えにとらわれ過ぎている,という感じがしますので,考え直すべきだと思います。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
最後に,近藤委員,お願いできますか。

【近藤委員】
 4ページの丸1,「学校指導体制の整備」のところで,教員の資質能力,学校の組織マネジメント力については,二つとも測定が困難であるのですが,その下に出ているアウトプットの指標を見てみると,この目標を定めて,これに向かってやっていくと,おのずと向上の先,マネジメント組織というのは見えてくるのだろうと思いますので,たまたま今,測定されている指標がないだけであって,決して困難ではないと思うのです。目標を決めて,行く先が見えないで何のために進めているのか,現場は混乱すると思うので,それが最終目標でないにしても,次のPDCAを回すときまでの目標として,このアウトプットを実現していった先にあるアウトカムについては,やはり一定程度のコメントをされた方がいいのではないかと思います。
 それと,最後に石田委員がおっしゃってくださった全国学力・学習状況調査と生活保護の数字をぶつけることについては,既に私どもは行っているわけですね。それに健康のデータも入れているわけですが,それを一自治体が細々とやっていくのか,国として全体的な方向性を示していただけるのかというところかと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 活発な御議論を頂きまして,ありがとうございました。本日の審議はここまでとさせていただきます。
 次回以降の日程について,事務局から御説明をお願いします。

【内田教育改革推進室長】
 本日は,貴重な御意見,ありがとうございました。お手元の資料6を御覧ください。
 次回,第14回は7月24日月曜日15時からの開催を予定しておりまして,基本的な方針2と4に関しての御意見を頂きたいと思います。本日,話題になりました貧困やセーフティネット,国際性やイノベーションについてもテーマになってくるかと思います。その次は,8月8日火曜日の第15回で審議経過報告の素案を議論させていただきまして,その次,8月28日月曜日の第16回におきまして,審議経過報告案について更に御審議を頂きたいと考えております。
 また,本日の資料に関しまして,様々な御意見を頂きましたが,更に追加の御意見がございましたら,事務局までお寄せいただければと存じますので,よろしくお願いいたします。

【北山部会長】
 本日,様々な御意見を頂きましたので,それらを踏まえたブラッシュアップをお願いしたいと思います。
 以上で本日の計画部会は終わりですが,最後に,有松局長から一言,お願いいたします。

【有松生涯学習政策局長】
 貴重なお時間を頂戴いたしまして,ありがとうございます。本日もたくさんの御意見を頂戴いたしまして,その中にも大変多くの示唆を頂く重要な御意見を賜りました。
 振り返りますと,この計画部会で第3期教育振興基本計画について御審議いただくに当たり,諮問をさせていただく前に,2期計画のフォローアップをしている段階から,明確かつ精選した指標を定めるべきだ,ロジックモデルできちんと検証しようという大変重い御指摘がございまして,第3期基本計画を諮問させていただくに当たりましても,検証改善サイクルを的確に回すための明確かつ精選した指標の設定の仕方を,あえて加えさせていただいたわけでございます。
 前半は,2030年以降の社会の変化を見据えてということで,基本的な考え方のまとめについて主に御議論を賜りましたが,今回から,具体的に指標について案を御用意させていただきました。ロジックモデルをきちんと回すための明確かつ精選した指標の設定ということは申すまでもなく非常に難しい課題だということで,この会議の前にも,それぞれの分野の先生方に個別にお話を伺ったり,小グループでお集まりいただいたりして,様々な御指摘を頂きながら本日の資料に向けて事務局でも検討させていただいたわけでございます。本日の御意見も踏まえて,また,あと残り半分のテーマについてももう一度,御議論を頂いた上で,本日の御指摘の中にもございましたが,両者の関わりも大きいこともございますし,グローバル化や将来,2030年以降の社会の変化を踏まえますと,従来型ではない更に新しい視点を取り入れた案も,本日の御指摘を踏まえて御用意した上で御検討いただきたいと思っております。
 と申しながら,私は,本日が担当としては最後になりますが,データの整理や様々なデータを蓄積しての分析といった御指摘も多くございました。そのようなことについては,各部局で協力して,また,データの整理には長い目で国立教育政策研究所なども貢献していくことができる部分もあろうかと思いますので,本日の御意見のお礼とともに,今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 長くなりましたが,大変ありがとうございました。

【北山部会長】
 有松局長,お世話になりまして,ありがとうございました。
 それでは,本日はこれで終了でございます。ありがとうございます。

―了―

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