中央教育審議会 教育制度分科会・初等中等分科会における意見について

全国町村教育長会会長
内田 弘之

資料2‐1 学校教育法改正について

1 学校種の目的及び目標の見直しについて

  • ア 教育基本法が改正されたことにより、学校教育法の目的・目標は見直されて然るべきである。
  • イ 教育基本法には義務教育が規定されている条項があり、学校教育法の目的・目標を設定するに当たり、義務教育段階の大括りとしての目的・目標が必要である。
  • ウ その後の条項には、小・中学校の目的・目標が必要である。また、幼児教育の重要性に鑑み、幼稚園教育の目標を更に具体化する。
  • エ 義務教育段階でどんな能力を育成するかについては、一つは児童生徒が将来家族生活、地域での生活、職業生活において成功を収めることができる能力としてのコンピテンシーを考慮に入れる必要がある。二つは、日本人としての立ち居振る舞い・伝統・文化を身に付ける必要がある。これを簡潔かつ明確に盛り込みたい。

2 義務教育の年限を9年とする規定について

  • ア 基本的には義務教育期間は、現状の9年が適切であろう。
  • イ 少子化や小1プロブレム等を考えれば、幼稚園教育要領と学習指導要領の橋渡しをする期間があることが望ましい。財政的には困難と考えるが。

3 学校評価等に関する規定について

  • ア 義務教育段階の小・中学校は、地方公共団体が設置する公的機関という性格から国が保証する学力の達成状況を公開する必要がある。
  • イ 学校運営には、小・中学校教育の根幹を押さえつつ可能な限り地域住民等が参加することは必要であるが、地域住民等が「参画」するには、人事権、予算権等について校長の権限が極めて制限されていること、また地域住民等が主体的に関った経験がないことにより、今後十分研究する余地がある。
  • ウ 学校教育で成果を上げるには、家庭教育の充実抜きにしては考えられない。従って、家庭教育にあらゆる角度から切り込んでいく必要があるが、学校から様々な情報提供をとおして意識啓発を図ることは重要である。
  • エ 学校の説明責任が求められている今日、保護者や国民にわかりやすい規定がよい。
  • オ 第3者評価などの組織は、小規模町村では財政的に無理がある。

4 副校長その他新しい職の設置について

  • ア 学校のマネジメントシステムの確立、人事評価制度の適切な運用を考えると、校長を補佐する副校長、主幹を置くことが必要である。特に、主幹については、学校の規模によって配置する人数を設定してほしい。20学級を越える大規模学校には、主幹は3名必要であり、小規模学校には、不要である。
  • イ 主幹については、その職務と責任に応じた処遇をしっかり位置づけるとともに、予算が許すならば定数外で配置をお願いしたい。

資料3‐1 教職員免許法等の改正について

1 教育職員免許制度の改善

  • ア 教育職員免許法の改正は最小限の免許更新とすべきである。
  • イ <主な制度設計>にある「講習を修了できない教員」をどのように拾い上げるか、講習の評価テスト等の実施を意味しているとすれば、現職にある教員に負担過重なものとならないよう留意する必要がある。
  • ウ 指導力不足教員の排除は、分限処分を厳格に適応するよう早急に検討をすべきである。
  • エ 教員としての適格性を欠く者に対して研修を行っても意味がない。免許更新とは別の視点から考えるべきだ。
  • オ 免許状更新講習は、大学での開設が考えられているが、離島・山村等近くに大学等がない町村においては、講習場所・講習内容等代替の配慮がほしい。
  • カ 「任命権者は‥‥‥第三者からなる判定委員会の意見を聞いて」とあるが、小規模な町村は、町村立の職員に対して判定委員会を設置すること自体困難な状況にある。緩やかな移行を希望する。

資料4‐1 地教行法改正について

  • ア 教育委員会の責任体制の明確化において、教育委員会が教育長等の事務執行の監視・評価を行うと意見にあるが、既に議会が教育委員会のチェック機能を有するのに教育委員会だけダブルチェックをする必要はあるのか。
  • イ 敢えて教育長の事務を監視する制度を設計するには、根本的に制度を見直しし、予算権をも付与する必要はないか。
  • ウ 教職員人事に関する教育委員会と校長の意見の反映方法
     現在も当初人事異動においては、教育委員会は校長に意見聴取を十分して人事異動をしているが、中には校長との意見調整を十分果たしていない教育委員会もあるので、現行の地教行法第38条の校長の具申をより具体的に示すことは可能である。
  • エ 人事権への移譲は、町村教育委員会に対しては人事権全体の移譲は難しい。
  • オ 県費負担教職員の人事に関し一定の人事に関する権限を市町村教育委員会に移譲することは、無理がある。人事権は一括して行うことが適切であり、分断することによるアンバランス人事執行になると考える。
  • カ 教育長の任命については、文部科学大臣が一定の関与を行うことは、地方不信や地方分権を推進しにくくなる。

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