教育三法の「改正の方向について」に対する意見発表文

社団法人日本青年会議所

学校教育法の改正の方向について(初等中等教育関係)

1.学校種の目的及び目標の見直し

(1)義務教育の目標に関する事項

「学習指導要領」について
  • 学校において、実践される教育の具体的指針となり、授業内容の基準や学校外で行われる教育、教科書作成の基準となる「学習指導要領」が、今回の改正案では法的な位置づけが明確にされず、どのように扱われるのか不安です。
義務教育の目標について
  • 教育基本法改正で「公共の精神」などの教育・指導が法令上明記されたので、これを学校教育法でしっかりと位置付けていくことが大切であると考えます。

(2)幼稚園に関する事項

  • 幼稚園の役割や存在が、万能で完全な幼児教育の全てではないので、親が幼稚園に関わり、共に子育てしていく提案が必要です。幼稚園の意味は「サービス」「商売」ではないことを預ける親に理解してもらう必要があります。
  • 幼稚園はより地域社会、近隣小中高等学校とふれあいなどを通じて関わる必要があると思います。

3.学校の評価に関する事項

  • 内閣官房教育再生会議や中央教育審議会において第三者機関の設置について明記されていますが、改正案には明記されていません。学校の評価制度自体の透明性や信頼性を持たせるには、第三者機関における定期的日常的な監査が行われ、速くわかりやすい方法で情報公開がされることが盛り込まれる必要があると思います。

4.副校長その他の新しい職の設置に関する事項

  • 副校長、主幹、指導教諭の人数は、全校生徒数、教員数に対する一定の割合で設置する必要があると考えます。

地教行法の改正の方向について

4.教育における国の責任の果たし方

  • 文部科学省や内閣などの国が県・市教育委員会に対して是正の勧告や指示ができるよう制度化する必要があります。未履修問題やいじめのゼロ報告など、現在の教育委員会がもつ隠匿体質を変える必要があります。

5.その他

  • 地方分権や現場重視は重要ですが、それはあくまで「法令を守ったうえ」で主張できること。法令違反、ルール違反は、教育においてはもってのほかであり、子供達に対して示しがつかないと思われます。仮に法令違反、もしくは著しく不適正な状態が出てくれば、放置することなく、直ちに、国も責任をもって、毅然とした態度で明確な指示を出して改善を図り、子供や国民を守るべきであります。これは当然のことであり、国の義務であると考えます。
  • 教育委員、社会教育委員を選ぶ基準方法を見直す必要があり、年齢層が偏らない配慮や他業種、地元の教育制度を体験した卒業生であることなど更なる考慮が必要です。

教育職員免許法等の改正の方向について

  • 不適格な教員をしっかり見分けて、早く手を打って、教壇に立たせないこと。
     これが教育の信頼を確立していくうえで最も重要であると考えます。
  • 教員免許更新が十年単位というのは長すぎ、時代・教育現場・世界の変化への対処は簡単ではなく、3年ほどの短縮で検討し、教員の評価制度と合わせて導入する必要があると考えます。
  • 免許が一律、三十時間の受講により更新されるということであれば、教員としての適正、指導力、人格の変化などを総合的に判断する上で足りないと考えます。受講修了の際「認定試験」「過去の認定試験結果参照」「勤務態度報告書」「生徒の親の評価表」などの措置が導入されれば、その目的をさらに達成できると考えます。
  • 教員養成制度は医師や弁護士などと同じく全国一律の国家資格試験を行い、より切磋琢磨する機会をつくり、制度的にも教員の質を保証するよう考える必要があると思います。

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初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室)