中央教育審議会 教育制度分科会・初等中等教育分科会への意見

平成19年2月28日

中央教育審議会教育制度分科会御中
初等中等教育分科会御中

全国特殊学校長会会長 神尾裕治

 全国特殊学校長会です。この4月からは全国特別支援学校長会と名称変更をいたします。特別支援学校の校長会としてこのような意見発表の機会をいただいたことに感謝いたします。また、中央教育審議会におかれましては、教育基本法の改正及び教育再生会議の報告を受け、精力的に協議を進められておられることに敬意を表します。

 特別支援教育の制度の在り方に関しましては、すでに答申をいただき学校教育法等の改正がなされました。新たな特別支援学校という枠組みの下、センター的機能等が位置づけられたところです。また、特別支援学校教員免許状の新設についての免許法の改正もいただきました。校長会としても現場において特別支援教育の推進に努めているところです。
 さて、ただいま審議をされている事柄について以下のとおり本会の意見を述べさせていただきます。

2‐1 学校教育法改正について

 特別支援学校の目的及び目標に関しては、学校教育法に「特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることとを目的とすること」と規定されているが、目標は学校教育法に示されていない。特別支援学校における準ずる教育の目標を明らかにするためにも、特別支援教育を含む義務教育の目標を示すことが望ましい。
 学校評価等については、保護者や地域からの評価を活用する学校が多い。信頼される学校を目指すという点からますます説明責任が求められる。第三者評価についても評価基準を明確にするとともに、結果を学校運営や条件整備に生かせるよう教育委員会等の支援策を併せて検討していただきたい。
 盲・聾・養護学校には、分校や分教室を設置する学校も多く、また、養護学校の中には、教職員数が100人を超える学校がたくさんある。副校長や新しい職の設置により、管理スパンが大きい学校の管理体制を構築することは重要である。
 副校長や新しい職を設けるにあたっては、その監督権限や困難な職務に対する十分な待遇を検討することが必要である。

3‐1 教育職員免許法等の改正について

 免許の更新制については、基本的に賛成である。現実的な講習の在り方を十分に検討し、実のある制度とすることが重要である。また、指導が不適切な教員等への厳格な対応とともに優秀教員の表彰制度、給与への反映等の措置が効果的である。
 優秀な人材を確保し、全国の教育水準の向上を図るためには、義務教育費国庫負担制度の国の負担率を上げること、また、人材確保法の堅持など教員の待遇の改善を図ることが重要である。

4‐1 地教行法改正について

 改正された教育基本法に示されている国と地方公共団体の適切な役割分担と協力により進められることを明確にし、さらに教育進行基本計画や地方教育行政の組織及び運営に関する法律において具体化する必要がある。その際、国は全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることが求められており、義務教育費国庫負担制度等の財政上の措置を確実に実施することや教育課程の基準を定めることが重要である。また、地域における教育の在り方については、できるだけ地方分権化を推進することが望ましい。
 しかし、地方公共団体によって規模の相違があり、小規模な自治体への体制強化策を検討し、手立てをとることが必要である。
 特別支援学校や特別支援学級をはじめとする特別支援教育は、今後ますますその対象となる幼児児童生徒が増加することが考えられ、教育において重要な位置を占めるようになってくる。しかし、小規模な市区町村における特別支援教育を推進する体制は十分とはいえない。それぞれの障害種に対応した専門的な教育や特別支援教育の理解を推進することなど、国や都道府県等における特別支援教育についての支援体制を十分に整備することが重要である。

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初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室)