教育関連3法改正に関する主な検討事項についての意見

平成19年2月26日

中央教育審議会
初等中等教育分科会・教育制度分科会
分科会長 梶田 叡一 様

全日本中学校長会会長
高橋 秀美

 貴審議会初等中等教育分科会・教育制度分科会が、教育関連3法に関して精力的に審議を進められていることに敬意を表します。今後、次の点に関して検討されるよう希望いたします。

1 学校教育法改正に関する主な検討事項についての意見

(1)学校種の目的及び目標の見直しについて

 学校教育法の目的・目標は、教育基本法と学習指導要領をつなぐ大綱的な基準とし、従前の学習指導要領の経緯等を踏まえて規定するよう検討していただきたい。

(2)義務教育の目標の創設について

 義務教育の目標は学校教育法に規定することとし、教育基本法改正を受け、現行学校教育法の小・中学校の目標規定をもとに検討していただきたい。その際、教育基本法第6条第2項が規定した、規律を重んじ、学習意欲を高めることに関する目標を、生涯学習の基礎を培う観点に立って設けるよう検討していただきたい。なお、到達目標は、各校種別に指導の方向性を示すものとして学習指導要領に明示するよう検討していただきたい。

(3)副校長その他の新しい職の設置について

 様々な教育上の課題に迅速適切に対応するため、「副校長」「主幹」「指導教諭」を、都道府県教育委員会の判断により、校長のラインとして配置できるよう検討していただきたい。その運用においては、給与面の処遇とともに、授業時数の軽減を図るなどして、実効性のある制度となるよう検討していただきたい。

2 教育職員免許法等改正に関する主な検討事項についての意見

(1)教育職員免許制度の改善について

 教員免許更新制の導入に当たっては、その運用において、受講者の経済的負担の軽減を図ること、勤務実績等に応じて教員の受講免除・軽減ができること、管理職等はその職として教員の指導に当たっている実績を踏まえ受講の全面免除とすることなどについて検討していただきたい。

(2)指導が不適切な教員の認定等について

 指導が不適切な教員の認定にあたっては、任命権者が、指導力不足教員の認定基準を作成し、教育や医学の専門家からなる判定委員会を設けることを検討していただきたい。

3 地教行法改正に関する主な検討事項についての意見

(1)教育委員会の責任体制の明確化・体制強化について

 教育行政を公正・適切に行うため、合議制の教育委員会が、事務の管理・執行状況を自己点検・評価する機能を高める方向を検討していただきたい。また、市町村教育委員会に指導主事を配置する場合は、その条件整備について検討していただきたい。

(2)教職員人事について

 県費負担教職員の人事に関する権限を市町村教育委員会に委譲することは、条件整備が必要であり、条件整備なしに委譲することは延期を含め慎重に検討していただきたい。また、教職員人事に関する市町村教育委員会と校長の意見の反映については、都道府県教育委員会が既に行っている実情を踏まえ、それに委ねる方向で検討していただきたい。

(3)教育における国の責任の果たし方について

 義務教育は国全体を通じての最重要事項であり、必要な財政措置を講ずるなど国の責任において水準確保に努めるとともに、国と地方とが考え・行動において一貫していることが、国民・住民の信頼を得ることにつながります。教育基本法改正を踏まえ、国の地方への新たな関与の仕方について、地方分権の視点を重視しつつ、必要な調査や支援を含めて検討していただきたい。

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初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室)