中央教育審議会 教育制度分科会・初等中等分科会意見資料

平成19年2月28日
財団法人全国高等学校体育連盟
専務理事 梅村 和伸

1.学校教育法改正に関する主な検討事項

1.学校種の目的及び目標の見直し

(5)高等学校の目的及び目標の見直し(「学習指導要領」の改訂)

 「新教育基本法」第1条「教育の目的」では「教育は(略)心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」、第6条では学校において「(略)教育を受ける者が学校生活を学ぶ上で必要な規範を重んじるとともに、自ら進んで学習に取り込む意欲を高めることを重視して行われなければならない」ことが示されています。
 教育再生会議第一次報告の「7つの提言」の「3」では「すべての子供に規範を教え、社会人としての基本を徹底する」また、体験活動の充実を指摘し、その中で規範意識の育成を述べています。
 「教員の質の向上」4の(2)では部活動の指導でがんばっている教員の評価、教員が生徒と向き合うことに専念できる時間の確保の重要性が述べられています。
 「今後の課題」では多様な教育の在り方の中で、スポーツ等の活動機会の充実が示されています。
 これらの目標及び内容は現在まさに各学校で日々行われている部活動が求めているものであり、また求めていかなければならない課せられた目標・内容であると考えます。
 しかし、その部活動が学校教育全体にかかわる基準を示す「学習指導要領」に明確に位置づけされていないことは重大なことと考えます。
 従って、是非とも「学習指導要領」の「総則編」と「特別活動」の中で部活動が明確に位置づけられるための審議が行われますよう強く要望いたします。
 部活動の位置づけが明確になされることによって、職務としてのありようも明確になり、そのことが指導者の責任感と指導意欲を高める上で極めて大きな役割を果たすものと全国の教育関係者、部活動指導者そして高体連関係者は確信しております。

3.学校の評価に関する規定について

 教育再生会議第一次報告の<教育システムの改革>の中で示されているように、信頼される学校づくりを行っていくために、また学校を真に開かれた学校にしていくために様々な形式・内容での評価が行われることは極めて重要なことと考えます。
 公教育を担っている学校が、示されている学校の教育目標に向かって進んでいるか、その過程・方法等が適切なものであるかを評価する事は目標に向かって学校を刷新し、改革していく上で必須のことであり、このこと自体は論を待たないものであると考えます。
 またその評価は、学校自らが行う自己評価(学校評議員、生徒、保護者、地域住民等による)と第3者機関が行う評価の両側面から行い、その結果は合わせて公表されなければなりません。

4.副校長その他の新しい職の設置について

 教育再生会議第一次報告に示されている、マネジメント体制の確立は早急に構築しなければならない内容であると考えます。
 従来の学校はいわば平面的組織でありましたが、そのような組織体制では責任の所在が定かではなく、様々なニーズに対して迅速・適正に対応することはできません。今後は、重層型組織となるべきであり、そのことによって校内での責任体制の確立、迅速かつ適正な対応が可能となります。この組織体制は既に東京で実施され着実に効果を上げています。

2.教育職員免許法等の改正に関する主な検討事項

 教育再生会議第一次報告にも示されているように、「真に意味ある教員免許更新制度の導入」「不適格教員は教壇に立たせない。(略)」との内容には基本的に賛同いたします。

1.教育職員免許制度の改善(教育職員免許法の改正)

  • (1)教育再生会議第一次報告では真の学力向上策として、基礎・基本の反復・徹底と応用力の育成をあげています。
     そのためには、教員に意欲もって一人一人の個性に応じた教育が柔軟に行える能力が身に付いていなければなりません。指導する内容の精選や、その合理的な指導法を修得するためには、常に研修に励み、適切な対応力や指導力を培っていかなければなりません。そのためにも、10年を節目としてそれらの資質を点検する免許更新制度は是非とも必要な制度であると考えます。
     免許更新の講習等を受講しない場合は免許を無効にする。また、講習等の評価が不十分で改めて講習を受講したがそれでも評価が基準を満たさない場合等でも免許を無効とする等、強くかつ毅然とした姿勢がなければこの制度は効力を発揮しません。
  • (2) 新規採用の際、広く人材を求めることは意味があると考えますが、その際、教員としての専門性や適格性については厳格な評価が行われなければなりません。また、採用後の研修制度の充実、継続的な研修も考えておかなければなりません。

2.指導が不適切な教員の人事管理の厳格化(教育公務員特例法の改正)

 まず、指導力不足の教員が生じないために、大学の教職専門課程では大学3、4年次で2年間各1ヶ月以上の教育実習を行い、一定の評価以上の者が教員採用試験を受験することができることとします。
 新規に採用された1年間は、その期間を厳格に仮採用期間とし、仮採用1年後であっても不採用があり得ることを事前に明確にしておきます。なお、不採用とした場合はその理由を本人に明らかにする必要があります。

3.地教行法改正に関する主な検討事項

 教育委員会が健全に機能していくために、教育再生会議第一次報告に示されている内容、またそれらに関連する事柄の内、以下の内容について早急に検討し、実施すべきであると考えます。

  1. 教育委員会の職務権限を改めて明らかにするとともに、職務遂行に関して第3者による監査を行い、その結果を国民・市民住民に報告をしなければなりません。
     また、適切でない教育委員の人事については早急に思い切った是正を行い、その説明責任をきちんと果たさなければなりません。
  2. 都道府県教育委員会に属する職務権限を市町村教育委員会に思い切った権限委譲を行う。
  3. 国の将来にかかわる教育の大綱及び基準については国が決定することが大切であると考えます。特に、その中でも国の教育の根幹を形成する義務教育に関することは国が決定し、それを保障する必要があると考えます。

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初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室)