地教行法改正に関する主な検討事項(資料4‐1)に対する意見

平成19年2月28日

日本私立中学高等学校連合会

 「地教行法改正に関する主な検討事項」のうち、(3)に示されている「首長と教育委員会の連携により、私立学校に対しても教育内容等について専門的な指導・助言ができるようにしてはどうか。」について、以下の意見を申し上げたい。

 現在、私立中学校・高等学校には、高等学校で全生徒数のうち約30パーセント、中学校には約7パーセントが学んでいる。各私立中学校・高等学校は、それぞれが自らの教育方針に基づき、生徒や保護者の要望等を十分に配慮した上で、学習指導要領を基準として私立の公教育学校に相応しい教育課程を編成し実施している。私立中学校・高等学校は同学校種全体に占める割合は「少数派」であるが、これまでも中高一貫教育、国際理解教育、体験学習等の先駆的な実践が公教育の中に取り入れられているなど、公教育の発展に貢献している。
 私立学校は、公教育を担う学校であると同時に、各学校が「建学の精神」に基づく独自の教育理念・方針の実現を目指す学校であり、それを通じて公教育の多様で健全な発展に寄与する使命を担っている。私立学校は、公教育を担う学校として維持すべき教育内容・教育環境等の水準は公立学校と同じでも、それに至る方法は公立学校とは異なり、私立学校間でも一様ではない。もし仮に、教育委員会が私立学校に対しても指導・助言等をすることになれば、管理・監督権に基づく公立学校の場合とは違い、個々に異なる私立学校の場合は適時適切な対応が求められることになるが、現在、そのあり方自体が検討の途上にある教育委員会ではそれが可能とは思えない。結局のところ、やがて公立学校に対するのと同様の指導・助言等に集約されることが危惧される。
 私立学校に係る地方教育行政が知事部局所管とされるのは、教育委員会が教育に関し都道府県内を管轄する機関というより、むしろ実際上は管下の公立学校の設置・管理機関であり、しかも、多くの都道府県で私立学校は少数派であることから、私立学校の自主性を尊重しその発展を図るため、私立学校に係る地方教育行政については知事部局所管とし、監督庁とせず敢えて所轄庁としたという歴史的経緯がある。
 今回、当面の事態の打開のため、これらの経緯と現行制度の中で私立学校が果たしてきた役割、更には、今後の公教育における公私立学校の役割等を検討することなく、私立学校に係る行政に教育委員会の関与を強めるのだとしたら、極めて慎重さを欠く対応という他はない。
 以上を要すれば、私立学校に係る地方教育行政については、私立学校の振興と公教育の健全な発展のため、教育委員会の指導・助言・援助を受けることなく、現行通り知事部局が所轄すべきである。

以上

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初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室

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