「学校教育法改正に関する主な検討事項」への意見

全高長 第77号
平成19年2月28日

中央教育審議会
教育制度分科会・初等中等教育分科会
会長 梶田 叡一 様

全国高等学校長協会長 島宮 道男
(公印省略)

「1 学校種の目的及び目標の見直し」関連

1‐(5)<高等学校の目的及び目標の見直し>

 高校教育が義務教育化し、大学がユニバーサル化している現在、多様化した高校生に求められるのは、[「レベルの高い専門的な教育」に進むための基礎教育、一般教養]というよりはむしろ、「市民として必要な基本的能力」であると考える。
 その能力とは、高卒後も学び続けるための基礎知識やスキル、好奇心や探求心、持続力や応用力、人間関係構築力等であり、家庭・地域・企業等の中で各自の役割を果たしていくのに不可欠と言えよう。
 幼・小・中・高・大を通じた育成目的をまず冒頭に置き、高校教育目標では義務教育での成果を踏まえた大枠の形で述べて欲しい。

「4 副校長その他の新しい職の設置について」関連

激変を続ける「学校を取り巻く環境」対応として、学校現場では経営意志決定・執行推進力強化のため、これら新しい職への要望が高い地域もある。一方、現状システムが十分機能している地域もある。

 現在の学校教育活動は外部との連携・協働が激増中で、今後もこの傾向は継続すると考えられる。権限の分散・委譲が、教員の経営参画意識を強化する。同じく、マネジメント志向ではない指導のベテランも、教師力の向上には必須である。
 ただし、共に処遇面ではそれなりの配慮が必要である。

 地域差の存在を勘案すると、新しい職は「置くことができる」規定が適切と考える。

「教育職員免許法等の改正に関する主な検討事項」への意見

全高長 第78号
平成19年2月28日

中央教育審議会
教育制度分科会・初等中等教育分科会
会長 梶田 叡一 様

全国高等学校長協会長 島宮 道男
(公印省略)

1 教育職員免許制度の改善

1‐(1)関連

 教員の資質向上の必要性は言うまでもない。しかし条件が大きく違う各都道府県で、これを免許更新と絡めて多人数対象の校外研修が有効実施できるのだろうか。
 また10年研修とは別建てで更新研修実施が可能なのだろうか。

 実施側(大学・教委・研修センター等)の指導体制づくりと、受講側教員が30時間 程度学校を離れた場合の穴埋め等、校内調整をどうするか、実施面での課題が大きい。
 教科担任制の中・高の場合、特に小規模校では対応困難が懸念される。

 他団体や教育機関等による研修実績の読替、ICTの活用、OJTによる指導力向上等、地域実態や学校実態に見合う代替策が必要ではないか。
 この派遣・成果の記録等の事務作業を当該学校管理職に負担させるのは無理が大きい。

2 指導が不適切な教員の人事管理の厳格化

 本人の認識の甘さ改善がなく、研修等の指導効果が見えない場合、分限処分もやむを得ない。しかし、排除の論理の前に予防策が必要ではないか。

 「指導力不足」の要因はいくつもあろうが、その一つに「生徒の変化」に教師が対応しきれていない現実があるだろう。
 規範意識欠如で自己中心的、好き嫌いの感情だけで行動に移る傾向の強い子ども達を家庭や地域が見て見ぬふりをし、学校だけにその指導を依存する現状の改善策がないと、教師個人が自信を失う。その能力を育成・発揮できない。

 「学校や教師へのサポート態勢の有無」が「指導力不足」教員の増減に影響する。学校での児童・生徒実態を明らかにし、外部の意見も容れ、サポートも獲得して現状改善を図ることが、排除の論理に先行すると考える。

「地教行法改正に関する主な検討事項」への意見

全高長 第79号
平成19年2月28日

中央教育審議会
教育制度分科会・初等中等教育分科会
会長 梶田 叡一 様

全国高等学校長協会長 島宮 道男
(公印省略)

(2)教育委員会の体制強化

 「権限委譲を進めるためには、小規模市町村教委の体制強化は必要」との見解に対し:

 教員免許更新や更新研修・10年研修等の「研修」、通常の学校教育活動に対しての「指導・助言」や「人事交流」等を教委が行う場合、広域の方が効果的な場合と、地域密着型の方が有効な場合とあるだろう。「体制が強化された」との認定を誰が行うかによって、権限委譲が進捗しない場合もあり得る。
 委譲しサポートしながら、教委と学校の一層の連携推進を可能にする配慮が欲しい。

(3)教育における地方分権の推進

 教育委員会の所掌事務の整理・見直しについては実態把握が十分でないので触れないが、国は、全国均一対応ではなく、各地域事情を踏まえ首長や教育委員会との連携を進めることが必要だろう。
 多様な対応の認容が地域活性化に繋がり、将来的に地域を支える人材育成に結びつくと考える。

(4)教育における国の責任の果たし方

 教育水準確保に向けた財政支援や法令遵守の目的で国が関与するのは当然だが、国の関与は大綱部分にとどめ、執行面でのきめ細かい指導や今後の対策は、地域実態を熟知している都道府県教委等に委任するのが適切ではないか。

 また、高等学校段階では生徒の多様化が進展している。
 都道府県が設置者である高等学校への、国の責任という形での一律対応は、生徒実態に適合していない。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育課教育制度改革室)