資料6-4 全国市長会提出資料2

「どうする教育委員会」国の改革案 課題は?        

首長に責任と権限を
大津市長 越 直美氏

教育委員会制度の見直しをめぐる中央教育審議会分科会の二つの案をどうみるか。中学生のいじめ自殺問題を機に教委改革を訴えてきた越直美・大津市長と、教委の独立性や専門性に重きを置く瀬見井久・前愛知県犬山市教育長に聞いた。(聞き手は編集委員・西見誠一)

非常勤の教育委員長が代表者という今の教育委員会制度は、責任体制が不明確だから廃止するべきだというのが私の持論。その意味で、教育行政の最終権限を首長に移す案が示されたのは理解できる。ただし「首長は教育長に対して日常的な指示を行わない」とされている部分には賛成できない。これでは責任と権限が一致しなくなるからだ。
 いじめを苦に生徒が亡くなるような重大事案が起きたとき、誰が責任を取るのか。自ら指示できないことに首長が責任を負うのはおかしいし、教育長も最高責任者ではない。責任ある人に権限も渡すのが原則。それなら、日常的な指示を含めた指揮監督権を首長に一元化するべきだ。
そもそも「政治的中立」という概念自体がフィクションだと思う。完全に中立な立場なんてありえない。選挙で選ばれた首長が、民意に沿って教育行政全般に責任を持つ方がよほど民主的だ。
 ただし、教科書採択は首長とは切り離した所で決めた方がいいかもしれない。教える内容そのものだし、専門性も必要だからだ。
 教育委員会を執行機関としたまま教育長の権限を強める案は、むしろ改悪。第三者的な目が届きにくくなり、教育長や教委事務局が今より暴走しやすくなる。大津の事件のときのように、問題を隠蔽するような体質を助長しかねない。

※中教審分科会の二つの案
首長を執行機関に位置づけて教育委員会を諮問機関化する案と、執行機関としての教委は残しつつ教育長に多くの事務を委任する案の2案が、中間まとめとして示された。年内に一本化し、文部科学相に答申する。

こし・なおみ
2012年、初当選。いじめを受けた市内の中学生が自殺した問題を受け、今年2月、教委制度改革を訴える意見書を文部科学相に出した。
【朝日新聞 平成25年10月17日 朝刊より】

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