教育制度分科会(第37回) 議事録

1.日時

平成25年11月18日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

三田共用会議所 1階 講堂

3.議題

  1. 今後の地方教育行政の在り方について
  2. その他

4.議事録

【小川分科会長】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから中教審第37回目の教育制度分科会を開催させていただきます。
 本日もお忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 なお、本日の会議には、上野文部科学大臣政務官にも御出席いただけるとお聞きしております。後ほどお見えになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、まず、今日の資料について、事務局から確認をお願いいたします。

【堀野企画官】  本日の配付資料につきましては、議事次第にございますとおり、資料1から資料3-2まで4種類の資料がございます。不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。

【小川分科会長】  よろしいでしょうか。
 それでは、今日の議事に入っていきたいと思います。
 これまでの審議の状況を整理しておきますと、去る10月11日に、本分科会の審議経過報告を取りまとめました。その後、10月15日には、中教審の総会で、この審議計画報告を報告し、中教審の総会の委員からいろいろな御意見を伺いました。
 また、この間、2回の分科会では、17団体に及ぶ関係団体からヒアリングを行うとともに、意見募集も実施し、幅広い御意見を頂戴いたしました。
 今日の会議では、今述べた総会や意見募集等々に関する御報告をしますとともに、より詳細な制度設計の議論をするために、事務局と相談しまして、別途、資料3-1、3-2のような資料をまとめましたので、この後、この資料1から資料3-2をベースにしながら少し議論を進めていきたいと思っております。よろしくお願いします。
 まずは、この間の総会や意見募集等々の内容を報告してもらうとともに、資料3-1、3-2についても、事務局の方でまとめて御報告いただければと思います。

【堀野企画官】  それでは、初めに資料1を御覧ください。10月15日に行われました中央教育審議会総会における委員の意見の概要でございます。
 初めの丸でございますが、A案については、地方自治法上、附属機関として拘束力のある権限が持てるのかどうかしっかり確認する必要がある。B案については、多様な地域の声を反映していくという観点から、委員会の人数構成、増員についても、地方自治体の判断に委ねるとか、教育委員長を常勤化したり、教育長と教育委員の兼務を廃止して事務局長と位置付けるといった工夫もできるのではないかという御意見でございます。
 二つ目は、現在、教育委員会がほとんど形骸化しているという現実に目を向けると、B案は性格全体がファジーな感じがする。A案の方が非常にすっきりしてよいという御意見でございます。
 次に、A案とB案の中間的な制度設計の可能性もあるのではないか。例えば、教育長の罷免要件の拡大や教育長の任期の短縮でリスク管理ができるのではないかというような、両者の中間的な色合いを作ることによって、首長の外的な関与は今より増えるが、内的に必要最小限の教育の中立性については守られるという制度設計があってもいいのではないかという御意見でございます。
 次に、今の日本の教育の問題は、首長の暴走による継続性・安定性の問題ではなく、改革が進まない方が問題ではないかという観点から、A案で進めるべきではないか。首長が暴走しているかどうかは住民の判断に任せたらよいのではないか。また、校長の責任と権限を明確にする必要があるといった御意見もございました。
 最後の一番下の丸ですけれども、仮にA案になった場合に、教育委員会が学校教育だけを所管するということにならないように、例えば、社会教育ですとか、文化や文化財保護などについてもしっかり整理をしていただきたいと。社会教育と生涯教育の関係も曖昧になりがちなので、正確な整理をする必要があるという御意見でございます。
 裏面でございますが、「公教育」という言葉の定義をはっきりする必要があるとして、私教育にあたる家庭や地域の事柄についても学校教育に委ねようとしているのではないか。公教育における国の責任の果たし方については、公教育は法律に基づいているかということであって、「政治的中立」という言葉が出てくると、いろいろ誤解が生じるのではないか。
 最後の丸ですが、責任と権限とは一体のものであるべきで、最終的に責任をとれる者が最終的な責任者であるべきだと。具体的にどういう仕事をして、誰がどう責任をとるのかと、例えば教科書の選定にはどういう仕事をするのかという地に足の着いた議論をお願いしたい。Aがいい、Bがいいといった観念的な議論をするのではなく、教育に国も地方もどれだけお金を使っていい政策をしていくかと、そういう観点からの議論が必要であるといった御意見がございました。
 資料1については以上でございます。
 次に、資料2を御覧ください。審議経過報告に関する意見募集の結果の概要でございます。
 10月16日から11月5日までの21日間、郵送、ファクス、メールにて一般からの意見を受け付けたところでございます。総意見数673件、1人から複数の意見があった場合には、それぞれ別個に計上しておりますが、合計673件でございます。
 内訳といたしましては、諮問事項1の教育委員会制度の在り方について599件、国、都道府県、市町村の役割分担等について115件、学校、教育行政、保護者・住民の関係の在り方について15件、その他となっております。
 主な意見の例でございますけれども、2ページ目を御覧ください。
 教育委員会制度の在り方については、まず一つ目が、二つの案は、共に首長と教育長という個人の権限を強化するものであり、教育の継続性・安定性・政治的中立性の確保からの問題をじゃっ起させる。
 この(同旨多数)と付いているものについては、同様の趣旨のものが多数寄せられたものということでございます。
 次に、教育委員長を常勤化し、教育委員の互選で選出するとともに、教育委員から教育長を選出することを廃止することが望ましい。
 また、A案については、政治的に特定の党派に偏りのある首長の考えが直接教育を左右することも考えられ、首長が代わるたびに方針が変わるようなことになれば、学校現場は混乱するという御意見でございます。
 次が、選挙で選ばれた首長を中心に指揮命令系統と責任の所在を明確にすべきである。
 その次が、A案はまさに現行の機能を大きく変える抜本的な案である。分かりやすいのはA案、B案はますます分かりにくくなる。
 次に、B案は実態に近いと思われるが、二つの改良が求められる。第一に、教育委員は市民・現場の意見をしっかり聴取すべきである。第二に、教育委員会が常設に近いものに変わるか、独自の事務局を持つ必要があるといった御意見がございました。
 3ページ目でございますが、教育委員の人選の在り方につきましては、学校現場をよく分かっている人を任命してほしいといった御意見。
 また、「合議制教育委員会がしっかりしていない」という声があるが、責任は首長と議会にもある。首長は、教育委員選任の際の説明責任を果たすこと、また、議会も同意する際に委員候補者に所信を聞くなど十分にチェックする必要があるといった御意見でございます。
 教育行政関係者の資質能力の向上等につきましては、事務局職員の増員を図ること、小規模市町村教育委員会の体制の充実を図ることが必要である。
 また、教育委員が直接、学校の意見・要望を聴取する場を設定する。住民とのタウンミーティングを開催するといったことが重要であるという御意見でございます。
 その他、教育委員会制度の在り方についてということですけれども、首長の教育長に対する罷免権について、罷免権を持たせつつ歯止めをかけることが必要であるということで、議会は、首長と同一の会派が多数派になっている場合も多く、必ずしも歯止めになるとは考えられない。そこで、「教育委員会の同意を教育長罷免の条件とすること」を提案するといった御意見。
 また、一番下でございますが、教育委員会に関する名称を変更すべきであると、こういった御意見もございました。
 次に、4ページ目でございます。
 社会教育については、社会教育と生涯学習施策が混在している。教育長が所管するのは社会教育では対象を就学児童・生徒に限定する。成人については首長でと。社会教育施設の在り方についても、教育長が所管すべきものは、専ら学校教育に資する施設に限定するとともに、成人向けのものは首長で所管すべきという御意見がございました。
 次に、公教育における国の最終的な責任の果たし方については、地方教育行政に対する関与は自治事務であることを踏まえて、限定的とすべきという御意見。
 また、国の関与は、正常な教育の実現のために必要不可欠と考えるという御意見がございました。
 県費負担教職員の人事権・給与負担につきましては、人事権については中核市等の同等規模の自治体や、希望する市町村に移譲することが必要であるという御意見。
 給与負担の指定都市への移譲については、財政的な裏付けがなければマイナスの影響が出るのではないかと。
 そして、教職員の人事等における校長の意向の反映については、教職員の配置に対する校長の意向を反映させる取組や予算面における学校裁量を拡大して、校長のリーダーシップが発揮できるようにすることが必要という御意見がございました。
 教育現場の士気を高める方策については、人事評価は、毎年見直しが行われると混乱する。また、教員の評価を処遇や表彰とセットで制度化すると、短期間で結果の出せることに努力が集中してしまうため、反対であるといった御意見がございました。
 5ページですけれども、学校の第三者評価につきましては、教育効果が上がらない学校を予算面や人事面で支援するような評価にしてはどうかという御意見がございました。
 最後に、コミュニティ・スクール等々につきましては、コミュニティ・スクールや学校支援地域本部等の活用を通じ、学校現場の声を最優先に尊重し、地域総がかりで学校教育の質を高めることが重要。コミュニティ・スクールは、小規模自治体にとってはすぐに取り組める土壌があるが、改めて組織化を考えると、地域の人材不足は否めない。学校運営協議会を基盤とした協働体制の構築は喫緊の課題である。こういった意見がございました。
 資料2については以上でございます。
 次に、資料3-1を御覧ください。これまでの議論を踏まえまして、これまでの制度化に向けて具体的な法律の条文をイメージして制度化の案を考えたものでございます。これで全て法制的に成り立つということが確実なわけではありませんけれども、これまでの議論を踏まえて、こういった条件が必要ではないかということを並べたものでございます。
 まず、制度改革案その1についてですけれども、左の上にございますように、首長が執行機関であるという案ですけれども、教育長のところにありますように、教育長は首長の補助機関であると。執行機関は首長なんだけれども、法律で教育に対する権限を教育長に任せるということでございます。
 教育長の下に書いてあります箱ですけれども、教育長が管理・執行する事務というものを並べておりまして、こういった事務を列挙いたしまして、これについては教育長が管理・執行するというふうに執行権限を法律に書き込むということでございます。
 そして、首長が執行機関であるところ、法律で教育長に任せるということですので、ただ無条件に任せるというのではなくて、大きな方針は首長が示した上で、実行は教育長に任せるという意味で、一番上の首長の横に、「大綱的な方針の策定」と書いてございます。大綱的な方針を首長が策定するわけですけれども、これを策定する際には、教育委員会の議を経てと、右から矢印が伸びていますけれども、教育委員会の議を経て大綱的な方針を作成するということでございます。
 この議を経てと言った場合に、法的拘束力はかなり強いということになりますが、最後、ぎりぎり従わなければ違法かと言えば、そこまではないけれども、法律上の表現の中では教育委員会の審議結果を尊重する度合いがかなり強いという表現でございます。
 こうして大綱的な方針を定めて教育長に任せるわけですけれども、教育長に任せた結果、現に問題が生じていると、うまく機能しなかったという場合には、指示をする必要があるだろうということで、特別な場合のみ指示するという矢印があります。
 その特別な場合の指示ですけれども、この右側に書いてありますが、「教育長が行う事務の管理及び執行が著しく適正を欠く場合や、児童、生徒らの生命又は身体の保護のため緊急の必要がある場合など」としてございます。この要件は更に詰める必要がございますが、教育長に任せては実際に現場がうまく機能していないということが明らかな特定の限られた場合に指示をできることとしてはどうかということでございます。
 そして、一番上のところに、また大綱的な方針の策定に矢印が伸びているところに、もう一つ、「勧告」という言葉がありますけれども、首長又は教育長の事務が大綱的な方針に反する場合ですとか、政治的中立性の確保のために必要がある場合には、教育委員会が首長に対して勧告ができるということでございます。
 次に、教育委員会と教育長との関係でございますが、教育委員会から真下に矢印が伸びて直角に曲がっているところですけれども、まず一つは、「教育委員会の議を経て毎年基本施策を策定する」とあります。これは教育長が毎年、翌年度の基本施策を定めるということといたしまして、それは教育委員会の議を経て決めるということでございます。
 イメージといたしましては、教育委員会会議で年度の後半、秋から冬にかけて翌年度の首長に対する予算要求なども教育長がにらみながら、教育委員会が数か月間かけて、翌年度何をすべきかということを徹底的に議論をしていただく、こうして毎年、翌年度の施策を定めていく。その下に点検・評価、勧告とあります。教育長がやっている事務を年度が終わった後、点検・評価をいたしまして、必要な勧告を行うということでございます。この二つを合わせたPDCAが、この案では新しい教育委員会の中心的な事務となります。したがいまして、年度の前半は前年度の点検・評価を徹底的にやる。年度の後半は、翌年度に向けて、どういうことに取り組むべきかということを徹底的に議論するということが教育委員会の仕事になりまして、執行機関でなくなれば、細かい決裁事務のような議案というのはかなり少なくなるということでございます。
 もう一本、教育委員会から斜めの矢印が伸びておりますけれども、これは特に中立性・継続性・安定性が必要な事項、人事ですとか、教育の内容、教科書、こういったものについては、教育委員会の議に基づいて基本的な方針を策定すると、「議に基づいて」と書いた場合には、法的拘束力があるということでございます。人事についての基本方針というのは、人事異動方針ですとか、懲戒処分の基準、それから教科書採択であれば、教科書採択をスタートする際の採択の基準といったものを作っておりますけれども、そういったものは教育委員会で議論していただきまして、具体的な人事異動ですとか、教科書の採択事務そのものは教育長に任せるといった分担でございます。
 それから最後に、教育委員会のところに、5人の絵が描いてあるところに点々が入っておりますけれども、附属機関となった場合には、教育委員の人数も5人が原則というわけではなく、場合によっては7人、8人、10人といてもいいのではないかということで、人数は今より多くなって構わないのではないかということでございます。
 以上が3-1でございます。
 次に、資料3-2、制度改革案その2を御覧ください。こちらにつきましては、右上の教育委員会を執行機関とする場合の案でございます。
 教育委員会を引き続き執行機関とした上で、その下に書いてあります事務、教育委員会が決めるべきこと、こういったものを法定いたしまして、これ以外の事務、下に書いてある教育長の担当となる事務ですけれども、教育委員会が決める以外のことは教育長が管理・執行するというふうに権限を法律で書き分けるということでございます。
 そして、この場合に、教育委員会から教育長に点線で指示のところがありますけれども、日常的な指示は行わないというふうに書いております。これは先ほどの案のその1の場合と違いまして、政治的中立性は保たれている教育委員会からの指示ですので、その指示の要件を限定的に細かく書き出すといったことは必要ないかもしれないというふうに思っております。この教育委員会と教育長の権限を書き分けただけでよいのか、もう少し緩い指示の要件を書くのかといった選択肢があろうかと思います。
 そして、右側の教育委員会が執行する事務が上に書いてありまして、下に教育長が執行する事務が並んでおりますけれども、縦に見ると厚さが薄くなっております。こういった意味で、教育長が管理・執行する事務の下の枠に書いてあるようなことについては、教育長がほとんど決裁していただければよいのではないかということで、教育委員会が個別に決裁する事務というのは、上の箱の三つに書いてあるような事項に限られるのではないか。こういった意味で、決裁事項は減るという意味で限定的な執行機関になろうかと思います。
 その右の方に三つ、縦書きの四角がありますけれども、この基本施策の策定と事務の点検・評価というのが、案のその1と同様でございまして、毎年度、年度前半は点検・評価、年度後半は基本施策の策定というのが新しい教育委員会の中心的な事務になるということでございます。
 そして、その教育委員会の事務の一番上に「大綱的な方針の策定」というのがございます。これも教育長に基本的に法律で任せるに当たっての大綱的な方針を定める必要があろうということですけれども、これについて首長の方から矢印が伸びておりまして、この方針の策定に対して首長が協議を求めることができることにしてはどうかということでございます。
 首長が新しく選挙で当選をして、教育についても様々な施策を掲げて当選をした場合に、教育委員会の大綱的な方針に新しくこれを加えてはいただけないかという協議を持ち掛けることができるということでございます。これにつきましては協議ですので、基本的に教育委員会が駄目と言えば駄目なわけですけれども、公の場で教育について首長と教育委員会がしっかり話し合う場ができるということでございます。
 その上にもう一つ「協議して決定」というのがありますが、条件整備に関すること、学校の統廃合ですとか、施設・整備の整備、教職員定数、少人数学級をするとか、そういったことについては、もともと予算の側面が強い事務でありますので、こういったことについても余り直接話すという関係ではなかったですけれども、協議して決定していくというプロセスを入れてはどうかということでございます。
 そして、斜めに矢印が二つ伸びておりますが、首長から教育長に調査・勧告と、教育長の事務執行に問題があるという特別な場合には、調査あるいは勧告をすると、指示するというところまでの権限はありませんが、こういった調査・勧告の権限はあってもよいのではないか。そして、任命と罷免についてですけれども、こちらの場合には、教育委員会が執行機関であるということを踏まえまして、教育長の罷免要件は、現在の教育委員よりはやや広げると。
 教育長の任期についても、現在、4年のところ、例えば2年に短縮するといったようにいたしますと、新しい首長さんが当選してから教育長を任命するまでの期間というのは、これまでは最大4年待たなければいけなかったのが、最大2年程度の間に新しい教育長さんを任命できるということになるということでございます。
 以上が制度改革案その2の内容でございます。
 説明は以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 私の方からも少し付け加えて補足の説明をさせていただきたいんですけれども、従来は、A案、B案ということで二つの主要な制度改革案については説明させていただいていたんですけれども、今、事務局から御説明があったように、制度改革案その1、改革案その2、それぞれ見ていただければお分かりのように、従来のA案、B案の考え方は、一応ベースにはしていますけれども、この間の様々な議論の中から出てきた御意見を、この制度改革案の検討に付け加えまして、例えば、従来のA案でもかなりB案に類するような様々な制度の仕組みを組み込んでいますし、従来のB案においても、A案のような考え方を組み込んでいるということで、従来のA案、B案の原型そのものとはかなり違ってきていますので、今日以降、誤解のないように、A案、B案というふうなことはやめまして、制度改革案1、制度改革案2というふうなことで議論をさせていただければと思います。よろしくお願いします。
 これからの議論ですけれども、分科会長からのお願いとしては、制度改革案1がいいとか、制度改革案2がいいという、1か2かというどちらがいいかというふうな話ではなくて、そういう議論だけではなかなか議論が収れんしていきませんので、この二つの改革案、その1、その2に伴うそれぞれの課題というものがありますので、その課題を改善していくために、どういう仕組みがいいのかということを更に踏み込んで議論していただければと思います。例えば、教育行政における責任をより明確にしていくためにはどうしていくかとか、あと、これまでも議論があった政治的な中立、公平性をよりよく確保していくためにはどうかとか、そうしたものをベースにしながらも、例えば、制度改革案1であれば、首長が教育長に指示をする場合、この資料3-1では、簡単に特別な場合というふうに書いていますけれども、果たしてこれだけの要件でいいのかとか、あと、罷免要件をより具体的にどう考えていくかとか、教育長の任期というのを首長と連動して、首長が代われば教育長も即代わるような仕組みがいいのか、やはり首長と教育長の任期はずらして考えた方がいいのかとか、あと、先ほど、事務局からも説明がありましたように、従来の執行機関としての教育委員会ではなくて、改革案1の場合には、首長の附属機関となるわけですから、そうなった場合に、教育委員の数というのは、これまでは執行機関であるということで教育委員の数を5名を原則ということで、ある意味では少なく設定していたわけですけれども、それが執行機関ではなくなって附属機関というふうになった場合には、そういう従来の考え方を踏襲する必要もなくて、先ほど、事務局から説明あったように、7人とか8人とか10人というふうな形で、より専門的な委員を入れるとか、地域の各界各層の委員を入れるという形で、新たな教育委員会に求められる役割によって、教育委員の選び方とか、数というものも柔軟に考えていくということはどうなんだろうかとか、あと、教育委員会の論議、審議事項というのは、こういう案でいいのかどうかという、そうしたことも含めて少し踏み込んでいろいろな意見を頂ければと思います。
 また、改革案その2においても、今、その1と共通する問題はいっぱいありますけれども、例えば、改革案その2で言えば、以前から言われているように、やはり教育行政上の責任体制というのが改革案その2では不明であるというふうなことは、これまでも指摘されてきているわけで、より明確化していくためにどういうふうな工夫が必要なのかとか、あと、教育委員会が教育長を指示できるということになっていますけれども、指示をする場合はどういう状況、要件なのかというふうなこととか、首長の教育長に対する調査・勧告という場合も、どういう場合なのかというようなことも更に吟味が必要に思います。改革案1、改革案2、それぞれ制度設計で更に踏み込んで検討するような課題がそれぞれにありますので、できましたら、そうした議論を今日この後、残り90分ほど残っていますので、皆さんから広く御意見を頂ければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、これから、事務局からの説明も含めて、皆さんから御意見、御質問を受けたいと思います。
 では、どうぞ。露木委員からどうぞ。

【露木委員】  おはようございます。事務局の方でこれまでの議論を丁寧に、その1、その2にまとめてくださったのかなというふうに感じております。
 やはり今説明の中でもあったように、赤い字で書かれているような部分が特に議論の中でも、これまでの論議の中でもいろいろ出てきて重要なポイントになっているのかなというふうに感じています。
 例えば、その1の方で言いますと、今も御説明がありましたけれども、教育委員会の議を経て作成するとか、議に基づいてうんぬんと、その議を尊重するというあたりが大変重要なのかなと、今、拘束ではないけれども尊重するという御説明がありました。
 併せて言うと、例えば、その1の案の下の方に、「点検・評価し、勧告を行う」というふうにありますけれども、例えばそういう議論がなされているということが市民が知らないと意味がないわけで、やっぱりそういうものは公開の下で、あるいは公開しながらそういった点検・評価した結果の公開だとか、勧告をしたら、こういう勧告をしていますよということが住民に分かる、そういうような制度にしていくことが大切なのかなというふうに思います。
 あわせて、これは当然、地教行法になるのでしょうか、よく分かりませんけれども、この赤い文字で書いてあるようなことが法律の文言として示されるのか、ただ趣旨としてこうですよと今ここで示されているのか、どこまでが法律の文言として示されるのかということがこれまでの議論の中で、通常はないんだけれども、首長さんがいわゆる暴走してしまった場合にこそ教育委員会というものの意味があるわけですから、通常はどうでもいいと言ったら言い過ぎですけれども、何かあったときにしっかりとその勧告が生きるというのは、やっぱり法に基づいてですから、法にどういう文言を示していくのかということが大事なんじゃないかなというふうに思っています。
 これはあともう一つ、質問といいますか、どういう考えなのかなんですけれども、その1の場合に、教育委員会というのは、これは、ここには委員、委員となっていますけれども、当然、委員長がいると思うんですが、教育委員会というのは、通常、定例でいうと月2回ぐらい開いているようですけれども、何かあったときに教育委員会を開催するというのは、誰が発議して開催するというような制度にするのかということと、当然、5人から10人ぐらいまでいいですよというお話でしたけれども、その中でどういうふうに決定するのかとか、それから、今までは教育委員会事務局の方で教育委員会の議論については、それこそ資料も含めてほとんど準備している中で議論をしていたのではないかと思うんですけれども、これからは教育委員会の事務をするのは一体どういう制度を作るのか、それも今までと同じように教育委員会事務局の中にあるのでは、何かちょっと違うのかなというような気もしますし、その辺のことと、これまでは当然、教育委員というのは議会の承認を得て委員さんが決まっているわけですけれども、例えば、8人、9人、10人と決めるときも、やっぱり議会の承認を得て教育委員が決まっていくのか、教育委員の人選の方法というんでしょうか、そのあたりについても明確にしていく必要があるのかなと感じました。
 以上です。

【小川分科会長】  今、露木委員がおっしゃったものは、まさにこの場で、こうあるべきではないかというふうなことで、皆さんからいろいろ議論を出していただいて詰めていただきたいテーマですので、ですから、事務局に対する質問というよりも、ここで今言ったような議論はしていきたいと思うんですが、何か事務局の方で考えているようなことがあれば、お答えいただける範囲で構いません。そこで一つ、地教行法の条文の改正うんぬんという話もありましたけれども、当然、今出てきたような制度の見直しというのは、地教行法改正の条文の見直しまで踏み込んで書く部分は当然出てくると思うので、そのことも含めて、つまり、首長の附属機関として新たに組織化される新しい教育委員会の場合には、恐らく中教審と同じように、主査とか、審議会の会長とかというふうな形でやると思いますし、また、それらの様々な審議に関わる資料準備等々は、やっぱり事務局がやるという、そういうスタイルは変わらないというふうに私自身は受け止めているんですが、事務局の方で何かあれば。

【堀野企画官】  附属機関となった場合でも、合議体の委員会ですので、委員長という役割の人は、会議を招集したり、議事を主催、整理をするという方は必要になろうかと思いますので、委員長という立場の人はいると思います。
 そして、議案の内容については、これまでですと、執行機関であった場合には、執行機関であるので、最終決定をしなければいけない決裁事項として機械的な規則改正もしなければいけませんし、何とか図書館や何とか委員会の委員の任命で、PTA会長の充て職の人が代わったのでということも全て議案として出して決裁しなければいけないというような議案がかなりあったんですけれども、そういったものはなくなりまして、来年度の政策の在り方、これまでの政策の検証、こういったことが議題に上げられていくというと、かなり今、中教審で議論していただいているような政策的な議論が中心に変わっていくとは思います。議案については、当然、事務局がいて、事務局が資料等を用意しますけれども、取り上げられる議案の内容はかなり変わってくるのかなというふうに思っております。
 そして、赤い文字で矢印のところに書いた部分については、法律に書き込むという前提で考えております。指示のところに書いてある独立性の担保といった、こういった独立性という言葉は出てこないと思いますけれども、指示をする、それはこういう内容になる、議を経て誰々が策定する、議に基づいてどうこうすると書いてある部分については、全て法律に規定するという前提で書いております。

【小川分科会長】  あと、二つ目の質問で、新しい組織としてスタートする教育委員会の委員の選び方については、従来どおり議会同意でするというようなこととか、そうしたこともまさにこの分科会で、どういうふうな方法がいいかというのは、皆さんから御意見を伺えればと思います。
 よろしいですね。
 では、梶田委員。

【梶田委員】  いろいろと工夫していただいて、その1、その2にしていただいて、今もいろいろと御説明もありまして、何とかその3を作って、それでまとめてもらうといいなと私は思っているんですけれども、そのときに考えていかなければいけない、このその1でも、その2でも、教育委員会というのを、その1では附属機関となっています。その2が執行機関となっていますけれども、ただ、その1もこれは純粋な附属機関ではないわけですね。純粋なというのはおかしいけれども、例えば、福祉を扱う部局がいわば首長部局にあってやっていくというのと、これ、教育委員会というものをこういう形で置くとすれば、その1であろうと、これ、純粋の附属機関ではなくて、いろいろな意味で首長さんと緊密な連携を持ってという、これがあるだろうと思います。その2も、執行機関とはいえ、これ、いわゆる独立した執行機関というよりも、やはりこれも首長さんと緊密な連携を持ってやるということでありますから、私は、教育委員会は附属機関なのか執行機関なのかということには、はまり込まない方がいいんじゃないかと、それをやるから話がややこしくなるという気がします。これはもう最初から多分出ているのでしょうけれども、その町の行政の、あるいはその都道府県の行政の全体の中にある意味では、これはその2であろうと、組み込まれているわけですよね。当然ですけれども。純粋に首長さんから独立してやるわけではないんですから。ですから、これは説明の仕方、それから物の言い方の話になるでしょうけれども、その1でいようが、その2でいようが、その町、あるいはその都道府県の全体の行政の中で、従来、教育とか文化とか、あるいは生涯学習とか、そういうような部分については、少し行政の仕方が違っていたという、行政の役割が違っていた、つまり、首長さんがストレートでやっている部分もあれば、大きな方針なんかについては、レイマンコントロールでいろいろな委員の方の意見を、しかも、その委員というのは議会の同意を得てやっていたということがあって、その良さは、私は、その1でも、その2でも両方で出てくるのではないかと。
 ですから、私は是非、そういう言葉の、これはもうかなり近付いてきているなと思いますので、是非執行機関、附属機関という言い方はもうやめてもらって、どこの点で、どこのところを首長さんと新しい教育委員会が協議する、あるいは、新しい教育委員会の議を経てでもいいし、議を尊重してでもいいですけれども、やっていくというような、これにしていくということが大事ではないかというふうに思います。
 いずれにせよ、ここで見ていると、教育長が管理・執行する事務というのは、余り両方とも変わらないわけですよね、そういうことがあります。
 先ほどからお話がありますけれども、その中でも教育委員会の審議が公開されるということですね。透明性を持つということはこれは非常に大事なので、何かの形できちっと書いておいてほしいということと、もう一つは、教育委員、これ、あんまりたくさんになってはいけませんので、もし増やすとしても何人から何人までという、やはりそうしないと、いろいろな意味で責任感が分散すると困りますので、それも書いておいた方がいい。
 それから、先ほどから出ておりますように、いずれにせよ、議会の同意を必要とするという、そういうこともやってほしい。
 それからもう一つだけ、先ほど出ましたけれども、定例の委員会というのも書いておいてほしいんですが、臨時の委員会を開く要件です、私は、「教育長の要請に基づいて臨時の委員会を」とか、あるいは、「委員の過半数の求めに応じて」という、両方の方向からの臨時の委員会を開けるようにしておいてほしいと、そんなことを思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 門川委員、お願いします。

【門川委員】  ありがとうございます。
 絞られてきたなと、練られてきたなというようには思うんですけれども、大事だと私が思う点を幾つか申し上げたいと思います。
 一つ、地方自治体は、首長と議会の二元代表制であって、これが国の議院内閣制と大きく違うところであると思います。議会改革も全国で様々な形で模索され、実行されていますけれども、議会の関与ということが地方自治体をよくしていくかどうかという大きな要素であるだろうと思います。
 そして、教育という営みは、その自治体にとって最も重要な施策でありますので、住民参加ということが非常に大事だと、こういうことは当然のことです。それでもう一つが、教育再生実行会議でも、また今回の世論調査等々でも言われています政治的中立性、継続性、安定性、これが重要であります。同時に、危機管理をしっかりとやっていく。そして、国民、保護者の信頼を得ていく、こういうことが今求められているのではないかなと思います。
 そこで私は、教育委員会について,性格を改めた上での執行機関という位置付けはやはり守るべきだというように思います。
 そして、教育長を責任者として、市長が議会の同意を得て直接に任命する、これで大きく教育長の位置付けが変わる、このように思います。
 また,教育委員会が附属機関であるかどうかというのは、梶田先生のおっしゃる趣旨も分かるんですけれども、法的にどうであるかは非常に大きな問題であると思いますので、首長の附属機関というのは、とるべきではない。最高責任者についてやはりレイマンコントロールの趣旨を生かすこと、これは非常に大事なのではないかな、このように思います。
 一方で,首長が非常に重要な教育という分野にしっかりとした関わりを持つということは、大事であります。全国の首長が教育についての理念を語る、大綱的な方針を語る、これは当然でありまして、それぞれの首長が選挙の公約で教育振興の基本をしっかりと示している、これは当然のことであろうかと思います。
 そこで、その2の案をベースにしつつ、その1の案にある首長が教育委員会の意見を聞き、そして議会に諮って、その都市の教育振興計画を定めることを盛り込む、その下に予算も決めていく,これが大事ではないかなと。幾つかの自治体では、自治体ごとの教育振興計画が議会の同意を得て定められている。更に言えば、その町の基本計画というようなものがきちっと首長が議会の同意を得て定めているわけですから、5年とか、10年とか、いろいろな期間はあると思いますけれども、これを補強していくこともできるわけであり、首長が管理・執行するという意味において、大綱的な方針、その町の基本計画は、教育委員会の意見を聞き、首長が議会の同意を得て定めることは義務化したらいいのではないか、このように思います。
 そして、教育委員会が大綱的な方針を策定するのではなしに、その都市ごとの基本方針を決定していく、その下に予算要求もする、首長は予算を編成していく、こういう仕組みがいいのではないかと思います。
 そうしたことで、梶田先生のおっしゃったその3みたいな案になるわけですけれども、首長が教育の方向性をしっかりと示せる、議会の同意を得て定められる。同時に、政治的な対立から、あるいは政党間の対立から教育について一定の距離を置くことができる。さらに、学校運営の方針等について、首長が代われば変わるというようなことは避ける、そういうことが大事ではないかなと思います。
 現行制度でも首長が暴走しているではないかという発言があったように聞いておりますけれども、首長の附属機関とした場合には、より暴走が止められないのではないか。それを止められたのは、教育委員会制度、教育委員の見識等ではないか、やはりしっかりと歯止めをしていく必要があるのではないか、このように思います。
 また、教育委員のレイマンコントロールの趣旨も生かしつつ、最終責任者としての教育長の独任制にもならない、そうした制度設計、これが教育再生実行会議の意見ではないかなと思います。教育長任期について、4年というのは確かに長いと思いますので、短くしたらいいなと思いますが、2年はちょっと短いかなという感もいたします。首長が代わって直ちに辞めるというのもよくないとは思いますが、4年は長いのではないかと。しかし、通常、2年ごとに教育長が一定の結果を出していかなければならないというのは、なかなか仕事をしづらいと思いますので、この辺はちょっと微妙なところで、私自身、定まった考えはございません。
 最後になりますが、教育委員会は開かれた行政ができていない。民意をしっかりと反映できていないという批判があります。しかし、同じ自治体で知事部局、市長部局においてそれができているという自治体は、私は余り知りません。だから、いじめや虐待などいろいろな問題がありますが、これらがもし知事部局、市長部局であっても、その自治体の首長の下の行政の進め方に問題がある。教育委員会だけが非常に閉鎖的である、民意を反映しない。市長部局はしっかりできていると、こんな行政があるとは余り感じない。したがって、教育行政だけでなく、市長部局も、知事部局も含めて、そこに優れた行政マンを育てていく、そんな役割も大事ではないかなと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、貝ノ瀨委員、そして今田委員。ほかに。では、辻委員ということで。
 最初に、貝ノ瀨委員。

【貝ノ瀨委員】  ありがとうございます。現行の制度においても、うまく行っている教育委員会というのは、事例も出されましたけれども、それは教育委員会若しくは教育長と首長さんが絶えず協議をして、相談をしながら納得ずくで進めているところはうまく行っているというわけですよね。実態としても、ほとんどの自治体は多分そういうふうにしていると思います。そういう実態も踏まえまして、私は同時に教育再生実行会議の方の委員もお引受けしているので、その中でしっかり確認されていることは、教育長を教育行政の責任者とするということ。それから、教育委員会制度は今までどおり存続し、政治的中立性・継続性・安定性も維持するということ。そして、首長の役割というのも非常に大きいですから、その位置付けもちゃんとした上で責任を果たしてもらうというふうなことですよね。それから同時に、教育行政に民意をしっかり反映させるという意味で、教育委員さんの人選についても、失礼ながら、単なる地域の名士とかいうような形ではなくて委員さんを選んでもらうというような、そういうことは押さえられているわけであります。そういうことを考えますと、その1、その2にしても、いろいろ課題がまだ残っているわけで、そういう意味で、首長と教育委員会が協議してとか、相談をしてとかいうことを大事にしていくということもベースに考えたときに、どうしても梶田先生がおっしゃるように、執行機関だとか補助機関とかというのは余り使いたくない、そうなんですけれども、しかし、どうしてもそれも避けざるを得ないんですが、結局集約すれば、首長を執行機関にするのか、教育委員会を執行機関にするのか、教育長を執行機関にするのか。教育長を執行機関にするというのは、これは独任制の問題があって、これは、私も一定程度、例えば特任制とかいう形で条件付、限定的で教育長が教育行政の責任者として位置付ける。そういった位置付けで考えるということもどうだろうかとも考えましたけれども、だんだん集約されてくる中で、首長が執行機関として、又は教育委員会が執行機関としてというふうなことに一応大きな案は出ているわけです。例えば教育委員会が執行機関というふうなことになりますと、職務が教育長に相当に寄せられるというふうなことであっても、やはり今まで執行機関としてスピーディーにリスク管理が十分できていなかったというようなこともありますので、これから新しい組織で頑張るというふうな想定もできないことはありませんけれども、課題が残っているわけであります。また、首長さんがということになりますと、これもいろいろな方から御指摘がありましたように、今でさえ首長さんが教育に内容面で介入するような形の場面が見られるというようなことがありますので、政治的中立性について心配があるというふうなことであります。その2、その1のどちらをベースにするにしても、事実上、首長が執行機関、教育委員会が執行機関と、両方執行機関としてあってもいいんじゃないかなというふうにも考え出しているんですね。教育長は教育行政の責任者という位置付けですけれども、首長が執行機関的な立場であるにしても、教育長に対する指揮監督は限定的であると。ですから、内容がその1についても限定されていますが、その2にしても、教育委員会が執行機関として教育長に指揮監督する場合でも限定的であると法定されていると。ですから、両方の立場からの法律で位置付けを教育長が教育行政の責任者としてしっかり法律で定めるということ。しかし、大事な大綱的な方針の策定などについては、今までもそうであったように、教育委員会と首長が協議をして、そして納得ずくで今までうまくいっていたわけですから、納得ずくでやれるような、そういう在り方に持っていくというのはどうだろうかというふうにも考えているんです。
 そういう面で考えますと、双方執行機関的な立場になると、対立するところも出てくるのではないかというふうなことがありますけれども、それぞれ内容を法律で特定するということにより、大綱的なものは協議をするということの中で解決していけるのではないかなというふうに思います。
 細かい話ですけれども、教育長2年というのは、私も2期8年やったことがありますけれども、2年ではほとんど仕事ができない。例えば、三鷹でコミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育というのはちょうど5年掛かったんですよね。やっと全校、わずか22校しかないんですけれども、それでも5年掛かって、4年で終わってというふうに思っていたんですけれども、そういうふうにうまくいかない。もっと早くやれるという人もいるかもしれませんけれども、ちょっと2年はきついんじゃないかなというふうにも思います。
 その3というようなことで、また何か蒸し返すみたいな感じでございますけれども、そのようなことも考えないと、なかなかこれは打開が難しいのではないかなというふうに思います。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 今田委員、どうぞ。

【今田委員】  ありがとうございます。
 日本語は難しいなと思うんですが、前々回、中立性が問われる事例で、イベントの後援なんていう話を申し上げましたけれども、私が「コウエン」という言葉を言ったのは、サポートしてもらうという意味での後援、レクチャーという意味ではなかったんですけれども、議事録を見ましたらレクチャーの講演になっていました。そういうことで、いろいろな役所のお墨付きをもらいたいということがあって、そこでこれはちょっと待てよというふうな意味での、少し次元が低いかも分かりませんけれども、政治的判断を求められることがあるということなので、議事録の方には修正をお願いしておきましたけれども、そんなことがありました。
 それで、私はこのその1、その2の中で、これは、今、我々は教育委員会の活性化の議論をしているわけなんですけれども、私は協議の合議制の委員の人たちの中での、それは自主的な議論が高まるような点というのが少し、これはその1、その2にも必要だろうと思うんですが、これで十分なのかな。
 例えば、私の経験でいきますと、教育長と教育委員とのある意味でのコミュニケーションというものがどの程度あるかによって、入ってくる情報の量、質というものが随分変わります。そういう意味で行くと、この中にしっかりとした前提にはなっているんだろうと思うんですが、情報をしっかり伝達すること、それからまた、勤務条件、僕は非常勤というのは、ある意味で、首長からの独立性を確保する上に必要なことだと思うんですが、非常勤ということは、毎日来てはいけないということか、あるいは隔日勤務してもそれは全然構わない、非常勤という位置付けというのが何かあんまり行ってはいけないみたいな感じにどうも受け止められているのではないかな。だから、勤務条件の話、僕はこの辺のところを、少し次元が低いのかも分かりませんけれども、ある程度明確にすることによって、さっき、人選の話がありましたけれども、これはもう一番大切と思いますけれども、狭義の委員会が活性する方策というものも忘れないで是非御明記いただきたい、この辺のところにある意味で大切なことが隠されているのではないかなと、そういうふうに拙(つたな)い経験の中で思いますので、このことも是非また皆さんの議論の中に入れていただければというふうに思います。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 辻委員、どうぞ。

【辻委員】  今回、今までの議論を踏まえまして、より具体的な資料が出されまして、大分論点もはっきりしてきたかなと思います。
 この二つの案を通してみますと、教育委員会の今後の役割と、首長と事務局との関係、これをどうするかというのが大きな課題ではないかと思っています。
 先ほど、梶田委員が指摘されましたが、最終的に自治法になると執行機関かどうかで章も変わりますので、それは重要は重要ですが、執行機関か附属機関かで議論するよりも、具体的な事務、これを本当にどうすれば一番いいのかということを中心に議論を詰めていく方が、無駄な空中戦がなくていいと、私は思っています。
 これを前提に3-2を見ると、私はこの3-2で一番恐れているのは、執行機関として銘打っていますので、教育委員会の力が強いように見えるんですけれども、実際上は予算事項は首長がやり、日常的な執行は教育長がやり、しかも日常的な指示は行わないということで、名ばかりの大綱的な方針を決めただけで、それで意味があるのかということです。これを執行機関と称しても、もともと法制的に執行機関と言えるのかどうなのかということばかりではなく、余りにも教育委員会の権限が弱過ぎるのではないか。これが私は課題だと思っています。
 したがって、今後の教育委員会の役割だとか、それから首長、事務局の役割関係を見たときに、むしろ3-1で考えた方が、具体的な課題も含めて見えやすいのではないかと思います。
 教育委員会の今後の役割を考えると、この3-1の方向に書いていますとおり、首長が定める大綱的方針の審議にしっかり重要な役割を果たす。この際、予算事項もにらみながら、しっかり議論をする。前回までは教育振興計画に言及されましたし、先ほど、門川委員も指摘されましたが、この教育振興計画の議論を踏まえて、大綱的方針等が決定されると思いますので、教育振興計画の策定を義務付けると同時に、教育委員会がしっかり大きな役割を果たして、首長と一緒にビジョンを共有して大綱的な方針を定めて、それに基づいて首長が指示監督していくという大前提を作ることが重要だと思います。あわせて、首長の指示事項については、窓口としては教育長に一本化して、なおかつ教育長に対する指示も全て公開するというのを最低限のルールとしてやっていくべきではないかと思います。
 そして、この場合の教育委員会は、委員数や勤務時間等について、かなり各団体で柔軟に考えることも可能ではないかと思います。
 こう考えた場合に、最後に課題として出てくるのは、首長と教育長との間の関係です。今回の提示だと、特別な場合にのみ指示ということになってます。しかし、この図中でも、もともと大綱的方針に基づいて首長が指導関与することになるので、この大綱的な方針に反すること、このことに関しては一般的に首長に指導権が出てきます。また、「著しく」というところまで限定すべきなのか。これは国の関与とは違いますので、「適正を欠く場合」ぐらいでいいのではないかと思います。
 さらに、日常的な行政の管理運営に関する指揮監督に関する件です。政策内容については特別な場合でいいと思うのですが、服務管理を含めた管理運営について、だれが教育長を監督するのかということが、課題として残ると思います。
 それから、予算事項は基本的に首長にありますので、その予算事項を考えた場合に課題になってくるのは、学校給食ですとか、事務局職員数の問題です。これをこの中でどう考えていくべきなのか。さらには、社会教育のような問題もあります。これを首長と教育長との間でどう分担していくのか。ここのところをトータルにより具体的に詰めていったらいいのではないかと思いました。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ちょっとお待ちください。順番で、高橋委員、竹原委員、橋本委員、比留間委員、二見委員、村上委員、そして早川委員という、そういう順番でやらせてください。
 では、高橋委員からどうぞ。

【高橋委員】  教育委員としての私の経験の中で考えていることですが、今回、何のための制度改革かということで、形式的な独立性の担保ではなくて、実質的に教育行政が民意を反映しながら振興していくためには、私はまず一番に、首長と教育委員会が公の場で、その大綱的な方針の策定、予算に関すること等を含めて協議する場を持つことが大切ではないかなと思います。
 制度改革案その1の場合でも、その2の場合でもそのことは指摘されていませんが、これまで教育委員会は独立した執行機関ということで、首長さんと話合いはするけれども、それは非公式であって、公開された会議ではありません。そうではなくて、大綱的な方針並びに予算も含めて、首長と教育委員と教育長が定期的にといいますか、定期的にと言っても何回もということはできるかどうか分かりませんけれども、定期的に会議をするということを、いずれの制度改革案においても考えていただけたらと思います。
 そういうことがとても大事で、中国地区のある県では、知事さんと教育委員会で大綱的な方針について協約を取り交わして公開しているとお伺いしたことがございます。(平成24年3月28日に鳥取県知事と鳥取県教育委員会委員長は、両者が連携協力して子供たちの未来のための教育振興に取り組んでいくことを目指して、「鳥取県の子供たちの未来のための教育に関する協約」を締結しています。)
 それから2番目の教育委員会の制度改革案の3-1のときに、首長さんの附属機関とした場合ですけれども、この場合には、教育長は会議には入らないということになれば、決してそれはいいことにならないと思います。教育長は当然そこの教育委員会の会議に入って、そして審議に参加して責任を持っていただきたい。そうでないと、教育委員会の議論とか、基本施策の審議とかいうことがよく伝わらないと思います。
 それからもう一つ、ここには書いてございませんけれども、基本施策を審議する上において、教育現場の実態についてどれだけ情報を得るかということは、先ほどもお話がありましたように大変重要な問題です。そういう実態については、教育委員会、この首長の附属機関だとしても、この教育委員会で把握する、情報収集できる仕組み、あるいは、情報を上げさせる仕組みが必要だと思います。
 それから、罷免についてですが、首長さんが罷免すると言えば、議会の同意があれば罷免するということだけではなく、それが本当に適切かどうかということで、教育委員会は罷免について承認する、否認する、そういう権限を持つべきだと思います。任命のときは、それは首長さんと議会の任命でいいかもしれませんけれども、罷免のときには、やはり評価を担当する教育委員会がそれを認めるということが大事ではないかなと考えます。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  先ほどから市長と教育長は日常的に信頼関係を持っていらっしゃるというお話がありました。 高橋委員や今田委員のおっしゃったこととも重なりますが、市長と教育長、教育委員会の関係も、情報が共有され、課題が共有され、良い関係であり、役割が違うという、そういう状態が保てるようにと考えています。その場合、今の図の中には、法的な関係、いざというときのために必要な事項が書いてありますが、日常的にどういう関係を保つかということが図の中にあると分かりやすいと思います。
 それから、教育委員会は、会議だけではなくて、対話を重ねる部分が必要ではないか。インフォーマルかもしれませんし、会議という位置付けにするかもしれませんが、事務局職員や学校現場、それから地域の人との対話を重ねるなど、教育委員会が現場を知った上で役割を果たすような案ができればと思っております。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 橋本委員、どうぞ。

【橋本委員】  私は、先ほど、辻委員のおっしゃったことにほとんど賛成の意見であります。教育長を独任制の執行機関とするということには無理があるということは、もう皆さん認めておられる。そうすると、教育委員会にするのか、首長にするのかということでありますけれども、例えば、教育委員会、この改革案その2でも、教育委員会を執行機関と書いてあって、委員長というのは書いていないんですけれども、今回いろいろ問題になってきているのは、機動性、弾力性に欠ける、迅速性に欠ける、こういったことが原因でこの教育委員会制度を見直そうということが論議されているわけですけれども、今の改革案その2では、やはり非常勤で何日間か勤務するだけということになってしまうので、機動性、弾力性というのは無理だと思います。
 それから、我々は教育委員を選ぶときに、やはりどうしても知っている範囲、あるいは、教員から選ぶということになってしまっていまして、レイマンコントロールとは言っても、地方自治体全体の意見を代表するほどの人を選べているかということが問題になりますし、特にそういう人を常勤で教育委員会の委員に頼めるかというと、そういうしっかりしたというか、大変な人をなかなか常勤で5人もお願いするわけにいきません。ですから、実際問題としては、この改革案その2では、やはりこれまで問題となってきている点は、そのまま残されてしまうのではないかなという感じがいたします。毎日執務できるわけではありませんし、この改革案その2ですと、執行機関ですから、やはり教育委員長に責任がいく。しかし、教育委員長はたまにしか出てこないわけで、できるわけがないと思っております。
 それからもう一つは、先ほど来、いろいろ話が出ていますけれども、やはり我々地方自治体から見ると、この教育行政というのは、皆さん方が考えているほど特別なものではない。庁議のメンバーとして教育長も出席して、あるいは警察本部長も出席して、地方行政全体として議論している。国においても、まさにそのとおりでして、文部科学大臣は一般行政の中の一人としてなっているわけでして、国の文部科学行政は行政委員会がとられているわけでもないが、それでも、中立性、継続性、安定性が保たれているという話になっているわけですけれども、これはもう仕組み的にそういう仕組みを文部科学省を中心に作られているから、指導要領もそう簡単に変えられないとか、いろいろできているからいいわけでして、先ほど来、いろいろ暴走という話が出ていますけれども、教育委員長、教育長だって聖人君子ではないわけでして、場合によっては暴走するかもしれない。そういうものがきちんと止められるような仕組みを作っていかなくてはいけないわけでして、前々から申し上げていますように、指導要領その他、これだけしっかりしたものができている、教科書も検定制になっている。そういう中での自由ということでありますから、辻委員が言われたように、改革案その1の中身を少し直していけばいいのではないかと思っております。
 特に、この特別な場合のみ指示という話がありますけれども、先ほど来お話が出ていますように、この指示ばかりではなくて、教育長と首長との協議という関係を作り上げればいいんだと思います。指示と強くなるときには特別にして、これではちょっと絞り過ぎだと思いますけれども、これを少し緩めるぐらいにして協議を常時行っていくという体制でも作ったらどうかなという感じを持っております。
 以上です。

【小川分科会長】  比留間委員、お願いします。

【比留間委員】  その1、その2という具体的な案というか、絵を出していただきましたので、その1の方から申し上げますと、この教育委員会について、線が引っ張って赤字で書かれていて、資料に書いてある機能を設けたのは、独立性の担保ということを具体化するためだろうと思いますが、この教育委員会を運営するのはかなり難しいだろうなという感想を持っています。附属機関は、やはりしょせん附属機関でしかないと私は思っておりますので、この附属機関に重みを持たせたとしても、ここに書かれたような運営をしていくというのは相当難しいだろうなと思います。全国に2,000ある自治体によって、恐らく、運営にかなり差が出てくるのではないかなという危惧を持っております。
 じゃあ、どうすればいいのかという対案については、そもそも指摘した内容が附属機関という性格に由来する部分がかなり大きいので、対案のようなものはなかなか考えにくいのですが、例えば、回数、このぐらいの回数をやらなければならないとか、この事項についてはこの時期にやらなければいけないとかというようなものを置くことも考えられるのかもしれません。しかし、いずれにいたしましても、恐らく案1にあるような教育委員会を運営することは、なかなか難しいだろうなという感想を持っております。
 したがって、その1に示されている制度案は、首長と教育長のダイレクトな関係の中で運営されていくというところに、多分帰着するのではないかなと感じております。
 次に案の2について申し上げれば、私は基本的に、先ほど門川委員がおっしゃったことに賛成です。案の1の大綱的な方針とかそういう内容を、この案の2の中に取り込んでいきながら、もう少し案の2を責任の所在の明確化などに向けて強化をする必要があるのではないかなと感じています。
 あわせて、教育委員会の役割の中で、案のその1もその2も同じですが、教科書の採択というのは、実は自治体の教育行政にとって極めて難しい事務なわけですけれども、その2で教育委員会を執行機関としたときに、委員会の役割を「教科書の採択の基準」の策定とすることには、どうも違和感が残ります。もし執行機関としての教育委員会を残すならば、教科書の採択はやはり教育委員会の役割とするべきではないかと思います。この点については、教育委員会の役割をもう少し強めた方が良いという考え方に基づくものですけれども、そのような感じを抱いております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 次は、二見委員。

【二見委員】  私は、教育長と委員会の委員という部分のところで少し意見を述べます。
 先ほどからお互い意見交換して見ていますと、教育長と委員は兼ねないという雰囲気に今受け止めております。私も実際に今、委員のメンバーとしてやっておりますけれども、前にも言いましたが、自分で議案を提出して、自分で手を挙げていくというふうな状況になっています。そういう意味では、これからの教育委員会というものは、やはりきちっと教育長の仕事ぶりをチェックするという意味では、これは分離するべきだろうと。
 それから、教育委員会の附属機関としても、例えば、定例というのは、今やっているように毎月きちっと教育長からの報告の義務を持たせるというふうなことは教育委員会の役割の一つとすべき。でないと、事が起こって招集するような状況ではなくて、必ず定例で教育長の報告をさせるというふうなこと。
 それから、次の人事の問題なんですけれども、これは別の項目のところで、人事権の移譲という問題については、なかなか全ての小さな市町まで人事権を移譲することは、私はまだかなり難しい状況だと思っています。そういう中で、役場、市役所の職員と違って、公立学校職員というのは、今は自分の町の職員であっても、次は違う町で働く。逆に、違う市町の人が来て働くということになれば、この教職員の人事については、やはりそれぞれの市役所、役場の職員の人事とはそう同じにはならないと、他市町との協調性を持ってやっていく必要という点では、これはかなり独自性のある人事だというふうに思いますので、ここらあたりは、やはり教育委員会がしっかりと管理するということ。
 それから最後に、教育長と教育委員会との関係をやはりしっかりと強めていって、首長とは円滑で、しかも緊密にやっていく必要がありますが、関係性としては、教育長と教育委員会の関係性を強めておくことが大事ではないかというふうに私は思いました。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 村上委員、どうぞ。

【村上委員】  それぞれ課題があると思うのですが、具体的なところで申し上げます。
 まず、その1についてなんですけれども、附属機関か執行機関かというのは、そこにこだわると確かに議論が難しくなるんですが、しかし、これはどっちかにしないといけないという問題でありますので、やはり重要なところだと思います。
 この場合、その1で一番危惧されているのは、政治的中立性、安定性、継続性の確保ということです。そうしますと、首長の附属機関というのは、やはりなかなか中立性、安定性、継続性の確保が難しいということだと思います。
 例えば、その1の場合に、両方執行機関というのはできないのかと。つまり、審議経過報告の中で、A案、B案以外の案で首長、教育委員会、両方執行機関にする、教育長は首長の補助機関とするというような案も併記されてあったと思いますが、例えば限られた事項に関しては教育委員会は執行機関として機能する。その他については審議会的な機能を果たす。教育委員会の事務については教育長に補助執行させるというような形もあり得るのではないかと。つまり、その1の場合に、必ずしも首長の附属機関でなければいけないというわけではなくて、教育委員会を執行機関とするような形も政治的中立性、安定性、継続性の確保という意味ではあり得るのではないかと思います。
 ほかにも幾つか具体的な点があるんですけれども、例えば、特別な場合にのみ指示をする場合に、教育委員会の意見をあらかじめ聞くであるとか、あるいは、今まで出たところでしたら、教育長を罷免するときに教育委員会の承認を義務づけるということも必要だと思います。
 それから、大綱的な方針の策定のときに首長と教育委員会の協議を義務付けるということもあっていいのではないかということと、あと、門川委員がおっしゃったように、やはり議会の役割を強めるという意味で、例えば、大綱的な方針で首長と教育委員会が協議をしたときは、議会にそれを報告するであるとか、特別な指示を行うときに教委の意見を聞いて、その結果を議会に報告するとか、議会の関与を増やす、特に報告というところを議会で行うということにするというのは、一つのやり方ではないかと考えております。
 次に、その2の方なんですけれども、その2の方は、政治的中立性、安定性、継続性は一定程度確保されるが、緊急時の対応が問題になるというふうに、先ほど、橋本委員の方からもありましたが、この点については、教育委員会の責任というものが、事務というものが今よりもずっと絞られるわけなので、これは緊急時の対応は教育長に任せるということでクリアできるのではないかと思います。つまり、教育委員会と教育長の役割が今までと大きく変わりますので、その点で緊急時の責任というのはクリアできるだろうと思います。ただ、幾つか改めた方がよいかなと思うところがありまして、一つは門川委員がおっしゃったように、大綱的な方針というのは首長の事務にするということであるとか、あるいは、振興計画についても首長の事務ということもあると思いますし、あと、協議して決定とか、協議を求めるというところは、やはり議会の報告を課すであるとか、それから、首長の調査・勧告については、これは教育長に答えさせる義務を与えると。大津の事件のときに、前回、ヒアリングがありましたけれども、市長が資料を出せと言いながら教育委員会が出さなかったと。これは今の制度でもそんなことができるのかなというのはちょっと不思議だったんですけれども、例えば、仮にそういうケースが起こった場合に、つまり、首長の調査・勧告にもかかわらず教育長が答えないという場合は、それは罷免要件に入れていいだろうと。そういう形で今回の大津のような事件は防ぐことができるということで、罷免要件については、首長の調査・勧告については、教育長あるいは教育委員会は真摯に答える義務があるとして、それに答えない場合は罷免ができるというような形でもいいのではないか。そういう形で首長の関与をきちっと義務付けて、それを議会に報告する。そして、その2についても、できるだけ公開の場でオープンに議会に報告するということで、政治的中立性、安定性、継続性と緊急時の担保というのは保てるのではないかというふうに思います。
 それから、すみません、長くなっていますが、国と地方の違いというのは、以前も私、申し上げたのですが、国の方が政治的中立性、安定性、継続性が保たれているのかということとか、あと、国は学校の管理は直接やっていないんですが、自治体はやっているので、その点でやっぱり求められる政治的中立性、安定性、継続性に違いがあるということとか、あるいは、首長は権限が集中しているけれども、国は分担管理をとっているというところとか、そういった理由がありますので、国が独任制なので地方もという議論は、やはりちょっと難しいのではないかというふうに思います。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 その後、早川委員、門川委員、そして白石委員という順でお願いします。
 では、早川委員、どうぞ。

【早川委員】  ありがとうございます。
 論議が深まっている中でちょっとかみ合わないかもしれないなと心配しつつ発言します。首長さんや教育委員会の方々ら、今この論議に関わっていらっしゃる方は、ほとんど自分のところはうまく行っていると考えていらっしゃるわけです。そうした中で、前回、越市長のヒアリングをさせていただいたんですが、そのときに職務命令を拒否する場面が想定できるかという私の質問に対して、越市長が想定できないというふうにおっしゃったんですけれども、それはそうした危機的な状況の中では実感だっただろうということは思うわけですけれども、首長の指揮監督権が強化された場合、私はこの職務命令というのは具体的な場として表れてきたときに、教育委員会、教育長はノーと言うことができる仕組みや制度が担保されていなければいけないということを思うわけです。それは他の部局と違うのであって、恐らくノーと言わなければならない場合というのは、中立性や継続性において重大な局面であると推測されます。以前、論議もありましたけれども、では、中立性というのは具体的に何を指すのかという問いに対して、もちろん教科書のこともそうだけれども、事態が生じたときに相対的に中立性ということが出てきて、それはフィクションであるというようなお話もあったわけですけれども、重大な装置としてそういうものを教育委員会は担保しておかなければいけないということを思うわけです。
 そうした中で、今日の1案、2案というのは、いずれも首長と教育委員会の関係が深まるというような種々の工夫がある中で提案されたということは、大変いい提案だというふうに思いますし、こういうことが教育委員会制度に対する大改革だということとして受け止めるということが重大なことだということを思うわけです。
 私はちょっとイマジネーション不足なのか、読み込み不足なのか、楽観的過ぎるのかよく分かりませんけれども、その1もその2も、恐らく執行上、ふだんはほとんど変わらないのではないかということを思うわけです。今までいろいろな形を御指摘いただいた細かいことについては、もっと精査していく必要があると思いますが、やっていく上ではそんなに変わらないと思います。もちろん私は教育委員会の独立性はより強固に残した方がいいと思いますから、執行機関として存在する案を支持します。
 そうした中で、一つは、大変評価できるということは、教育委員会で話し合うべき内容が整理されて、焦点化されて、その分、教育委員会の会議で話し合うべき内容が政策的論議ということになれば、やはり非常勤の良さが生きる可能性があるわけですし、その話合いの仕方というのは、かなり市町村、都道府県によって違うかもしれないんですけれども、そこは工夫が必要なんだろうと思います。
 それから、教育長の任期については、私も教育長として具体的な成果を表すには2年間では短いと思いますが、逆に、教育長としての世間的な評価というのは、2年間でほとんど決まってしまいます。ですから、2年間でもいいかなという感じを持っているわけですが、ただ、市長の任期と合わせるということは、教育長が非常に政治的に大統領、副大統領みたいになると困りますので、それはやっぱりずらしていった方がいいのだろうということは思います。
 以上でございます。

【小川分科会長】  門川委員。

【門川委員】  ありがとうございます。
 現行でも首長の権限は教育についても極めて大きいと思います。覚悟を決めれば、大抵のことができると言っても過言ではない。教育委員を任命し、更に予算を決定していく、そして更に、教育委員の意見を聞きながら教育の大綱計画を議会に諮り、決定する。更に教育長を直接任命する。危機のときには、危機対応の体制をきちっと公開の下にする。これで危機対応ができなかったという課題もクリアできる、このように思います。
 同時に大事なのは、教育委員を附属機関にした場合に、やはりさらなる形骸化が進むだろうということ。随分全国で差が出るだろうという意見もありましたが、審議会で立派な役割を果たしておられるところもあるので、こういう言い方をしたら失礼ですけれども、審議会と変わらない形になると,やはりその都市の、その自治体の教育の最高責任者である見識のある人がレイマンコントロールの下で大綱の方針、年度の基本方針を決めていく。審議するだけでなく、決定するということがなければ、形骸化が加速するのではないか。教育委員会そのものの根本的な役割について大きな批判はなかった。問題は、危機管理ができていなかったということ。もちろん改革についてのエンジンとなれなかったという批判もある。これらについては、首長が教育委員会の意見を聞いて大綱を決める、教育振興計画を決め、それに基づく予算も措置していく、そういうことでできるのではないかなと思います。
 教育というのは国家百年の計でありますので、様々な時代の変遷に耐え得る制度にしておかなければならない。そのときそのときの首長の都合のいい制度にしてはならないと私は思います。
 私の教育長時代に、こんなことがありました。PTAの代表が教育委員になられた。そのときに、その方に、教育長の上司ですよ、あなたが決定するんですよ、それだけの覚悟をしてください、その方は侃々(かんかん)になって勉強して、現場を回り、見事に役割を果たされた。単なる審議会ではない。こういうことが非常に大事ではないかな、このように思います。
 政治的中立性ということでよく言われるのは、教科書の採択や、国旗、国歌の掲揚、斉唱でありますが、こんなものは政治的中立と関係ありません。文部科学省が採択した教科書についてどれを選ぼうと、これは政治的中立であります。国旗、国歌についても、法律や学習指導要領で決められているものをきちっとそのとおりやるのは当然の話であります。そんなことではなく、政治的対立から、政党間の対立からちょっと距離を置こうということであります。首長というのは、49対51で決まります。51だった人が全ての権限を持つということでは、学校教育に対する信頼が薄まるのではないか、その部分を大事にしながら、この制度設計というのは誤りなきようにしなければならない。私は長年、京都の教育界を見ていて、京都の極めて厳しい政治的対立の中で教育委員という見識ある方々が、どれだけの役割を果たして今の教育を築いてきたかということを実感している。そんな時代は過去の時代ということでもない。政治的意識がますます高まれば、政治的対立が高まるのは民主主義のいいことです。それとちょっと現実の学校運営とか教育内容は距離を置くべきだ、このことを私は声を大にして訴えたいと思います。

【小川分科会長】  白石委員、どうぞ。

【白石委員】  今、私が言おうと思ったことを門川さんが全部言ってくれましたけれども、まず、今回の問題が起きて、こういう教育委員会制度を考え直そうというふうになったそのきっかけの部分が一番大事だろうと思うんです。従来も教育委員、教育長も首長が任命を実質的にはしています。任命権とか罷免権ということであれば、教育委員の間で選ぶという形になっていますけれども、改革案その1もその2も、教育長は首長が任命、罷免するとなっています。教育委員もそうですよね。もし教育委員を首長が任命しないのであれば、これは公選制になってしまうわけですから、全然話が違ってきますよね。ですから、その1、その2ともに、教育委員も首長が任命するという前提ですよね。
そうであれば、私はこれまでも議論に出ているように、首長の政治的なことで教育の政治的中立性が侵されるということになると、これはもうどうやっても首長が任命するわけですし、議会の同意を得るためには、議会の多数派の同意がなければできないわけですね。そういう意味で、決定のところから政治的に全く関与がないということはあり得ないわけですよね。政治的中立性というのは、教育の中身に政治家がずけずけ入っていくことであって、決して一般的に言う政治的中立性が侵されるということは、私はあり得ないと思います。
 そういう意味で、首長が任命、罷免権を持つ、当然、議会の同意を得るということをはっきりさせた中で、じゃあ、教育の責任者は誰かというと、教育長にすると。教育委員については、附属機関であろうと、執行機関であろうと、とにかく首長としっかりと連携を持って地方の教育方針、学校の教育方針ということをしっかり決めていく。それを教育長を筆頭に教育現場に反映させるということをしっかりと位置付ければいいのだろうというふうに思います。
 やはり任命する以上は、当然、責任があるわけです。今までの教育委員会の中で、決して全ての教育委員会が責任感を持っていなかったということではなくて、事があったときの責任の取りようが非常に曖昧だというところが制度を見直そうというきっかけになったわけですから、そういう意味では、首長が最終的な責任者、現場の責任者は教育長、そして当然、市や町の教育行政のありよう、大綱を決めるのは、教育委員の意見を中心にやっていくと。決して、教育委員の地位が落ちるとか落ちないということではないと思うんです。そんな気持ちでなるのであれば、もともと教育委員になる資格は私はないと思うんです。教育委員になる以上は、やっぱり自分の責任というものをしっかり教育行政の中で果たすべきであって、附属機関だから力がないとか、執行機関だから力があるという話ではないと思います。それは教育委員個人の資質の問題だというふうに思いますので、そこは選び方によって変わってくるというふうに思います。
 今回の制度では、とにかく責任を誰が持つのかということをしっかり位置付ければいいのではないかというふうに思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 では、細谷委員、そして橋本委員ということでお願いします。
 細谷委員から。

【細谷委員】  失礼いたします。
 私ども、ずっと学校関係者なので、なかなか言い出しにくいところはあったんですけれども、今までの皆様の御意見を聞いて、特に私も教育委員会に16年間おりまして、いろいろな首長さん、あるいは教育長さん、見てきて、仕えてまいりましたけれども、やはりこれがよかったな、あるいは、これはこうすればよかったなと、今はそういう思いをこの会議に出るたびに感じている次第なんですが、その中で、先ほど、高橋委員がおっしゃった、いわゆる首長さん、教育長さん、教育委員さん、この方々が常に集まって協議をし合うと、あの御意見ははっとした気がいたしました。
 というのは、当然ここにも首長さんがいらっしゃいますし、首長さんは当選する、あるいは、その前から自分の県あるいは市町村の課題というものを十分御承知されている。それをさらに、その原因がどこにあるかということを次の施策に反映させる。その原因追及のときに、是非教育専門のそういった教育委員会のスタッフの方だけ入れた会議というのは、私は必要かなと思っておりました。どうしても今までの教育委員会の制度ですと、首長さんとなかなかゆっくりと話をする、そういう機会がなかったような、私も教育委員会にいて感じをしておりました。
 それはやはり、教育というのは、学校教育とか社会教育に絞られてきますけれども、県や市町村のいろいろな問題、課題というのは、大もとをたどると、やっぱり人にあるんじゃないかと思うんです。人作りというのは、やっぱり教育の専門でありますので、ある意味では、各県のいろいろな施策、政策を考えるときに、教育の要素というものを常に首長さんは意識していただきたい。もちろん今、皆さんも意識されているのでしょうが、それを具体的な会議のような形で常に定期的に、定期的にと言ったときに、毎月1回なんていうのは、ちょっと難しいと思いますけれども、せめて半年に一度ぐらいのことをやっていただけると、そういうような組織ができやすい教育委員会制度であれば、私はよろしいかなと思っております。
 例えば今、よく話題になります学力の問題ですけれども、学力というと、とかくどうしても学校教育の方に責任を持っていきがちなんですけれども、だけじゃないということは、これは学力の低い自治体であれば、皆さんよく分かっていると思いますけれども、そこにはいろいろな問題が、経済的な問題があり、あるいは国際的な問題があり、いろいろなものの要素を含んでおります。そういったものを是非総合的な責任を持たれる首長さんが、その専門的な部分を持っている教育長さん、あるいは教育委員さん、そういった方を集めて、ある意味では聞き取るというのでしょうか、諮問するというのでしょうか、先ほどの指示でなく協議だというお話もありましたけれども、まさにそのとおりだと思いますが、そういうような組織ができるような制度であれば、学校現場も安心して学校経営に携われるかなという気がいたしました。
 以上です。

【小川分科会長】  橋本委員、どうぞ。

【橋本委員】  続きまして、ありがとうございます。
 先ほど、村上委員から、国は学校経営に関わっていないという話がありましたけれども、国立大学法人は幼稚園から小学校も中学校も全部関わっておりますので、国立大学法人をどう考えるかによりますけれども、私は関わっていると思っております。

【小川分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 では、帯野委員、どうぞ。

【帯野委員】  教育委員会を附属機関にするか執行機関にするかということについて、中身が、実態の方が先だというお話もございましたが、やっぱり制度としてこれは非常に大きなことであるかと思います。
 それで、先ほど、別の委員から、附属機関にするとますます形骸化するのではないかという御意見がございましたけれども、そもそもこういう委員会が中教審に設けられたというのは、大津のいじめ事件がきっかけであったのか、あるいは、それ以前から教育委員会に対する形骸化しているのではないかという批判からなのか、私は両方ではないかと思うのですが、今日の御意見の中にもあったのですが、委員会の公開を促進すべきであるとか、定例会を増やすべきであるとか、民意を反映してもう少し学校現場に視察などを入れるべきであるとか、しかし、これは今の教育委員会制度の中でもやってこられたことで、教育委員会、教育長にそれだけの権限が与えられていたはずなのに、そこがうまくいっていなかったということから見ても形骸化していると言われても仕方ないので、結論として、今更もう一度教育委員会を信頼して執行機関ということではないのではないかなと思います。
 じゃあ、ますます形骸化していくのではないかということについては、もし今後そのようになってくれば、私は望むところではありませんが、その次に廃止論が出てくるのではないでしょうか。そうならないために、この間、ヒアリングして驚きましたが、あれだけの関係団体があるわけですから、今回私たちの出す結論を経て、もう一度努力してもらって、次の結果を出してほしいというふうに考えます。まず執行機関というのはもう難しいのではないかというふうに考えます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 あと、時間が10分ほどしかないので、残りの方。では、村上委員。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、門川委員。では、村上委員、門川委員、そして最後は明石委員ということでお願いします。
 では、村上委員、どうぞ。

【村上委員】  なるべく簡単に。
 帯野委員と橋本委員の御指摘に対してなんですが、まず帯野委員の御指摘なんですが、やはり今まで教育委員会で一番まずかったのは、責任が余りにも広過ぎると。これはアメリカの学区の教育委員会と比べても、日本の教育委員会は同じ非常勤にも関わらず、かなり多様な責任を持っています。そこのところをいじらないままにいろいろ活性化の議論をされてきたんですが、今回の案は、その2の場合であっても、やはり教育委員の責任、職務をかなり絞り込んで、教育長との関係をきちっと見直すと。今までは教育委員会の責任が非常に多岐にわたっていた、それから、教育委員会と教育長の関係に曖昧なところがあったというところが問題だというふうに思いますので、そこのところを整理すれは、緊急時の対応と政治的中立性、安定性、継続性の確保が両立できるのではないかというのが私の個人的な見解であります。
 あと、橋本委員の御意見に対して、国はもう少し政治的中立性、安定性、継続性に配慮する必要があるのではないでしょうかというのが私の意見であります。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 門川委員。

【門川委員】  審議会のようなものに陥ったら、結局は廃止になっていくのではないかなという意見もありましたけれども、その辺が一番心配されるところであります。制度というのは、骨の部分はしっかりと守らなければ駄目です。レイマンコントロールの趣旨を、やはり守るべきことだということを、もう一遍強調しておきたい、このように思います。
 権限と責任ということで、大津の市長さんもおっしゃっているわけですけれども、首長は20年、30年前のことでも訴えられます。それから、大学の話題が出たのでいい例だと思いますが、京都市も市立芸大を持っています。市長は事実上の権限行使をしていませんけれども、訴えられることは幾らでもあります。権限と責任については、行政の仕組みの中で少しかい離がある。これは、やむを得ない部分がある、そこのところはしっかりと首長として争っていかなければいけないところだと思います。機械的に全部決定することと、責任を問われることとが一致するということではありません。このように思います。

【小川分科会長】  では、最後になるかと思うんですけれども、明石委員、どうぞ。

【明石委員】  教育委員を1年やっておりまして、首長と教育長の権限が大きいというのは今でも実感します。ですから、教育長は市長の顔色をうかがっているし、校長先生は教育長の顔色をうかがっているというのは、悔しいけれどもそういうものが現実だと思います。
 それで、だから活性化しなければいけないんでしょうけれども、いろいろな議論もお聞きしまして、事務方が作っていただいたその1、その2の、私、その1が非常に工夫されているなと思うんです。
 特に、今日は時間的な関係ではしょりますけれども、大綱方針の策定とか、赤い文字がありますね。この赤い文字をうまく機能できれば活性化できるかなと思っているんですね。
 それだけでは不十分で、ちょっと提案いたしますけれども、このその1の中の教育長の罷免権について議会の同意がありますけれども、もう一点、新しい教育委員会の同意も入れてほしい。そういう二つの縛りがあるといいかなというのが1点目。
 2点目は、露木委員が言われましたけれども、その1の場合の教育委員会に教育長は入ってはいけない。同時に、名前を教育委員長では困るので、教育委員会の代表か会長というふうにやると、執行機関と附属機関の違いが分かってくる、そういうのもやっぱり名前を変えていかないと、多くの方は分かっていただけないという。
 次にお願いしたいのは、新しい教育委員会の代表、会長は、議会で出席するし、答弁もしてほしい。
 先日、今田教育委員長は、横浜の市議会に呼ばれて答弁するらしいんですね。千葉市は答弁しない。ただいるだけなんです。あれ、苦痛でしょうね。だから、やっぱり新しい委員長も答弁する。そうすると、附属機関が実質執行機関に近付いてくるんですよ。そういうふうに活性しないと、やっぱり駄目かなと思っております。
 そうすると、もう一つは、高橋委員が言われましたように、首長と教育長と新しい教育委員会の三者の定期的な協議会は欲しい。地方の議会は年4回やりますよね。議会が始まる前か終わった後に三者の協議会を定例的に用意する。年3回か4回ぐらい用意すればいいだろうなという、そういうことが欲しい。それで、その1をうまく機能するためには、このままでは絵に描いた餅になりますから、事務方が大変だと思います。比留間委員がおっしゃるように、相当事務局が鍛えられていないと運用ができない。そういう意味では、門川市長さんがおっしゃるように、自前の事務方のプロパーを育成しないと、このその1がうまく機能しないなと思っております。そういう修正案を考えてはいかがかと思っております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 今日もいろいろ御意見を出していただきまして、本当にありがとうございました。
 本分科会としても、そろそろというか、この答申をまとめる時期に来ておりますので、次回は、今日の皆さんからの御意見も踏まえまして、そうした答申のまとめに向けて引き続き議論をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次回ですけれども、次回の会議は、11月27日水曜日、10時から12時、午前中です。場所は、文部科学省ビルの3階、特別会議室1を予定しておりますので、どうか御予定の方よろしくお願いいたします。詳細については、また追って事務局の方から開催の御案内は届くかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、今日の分科会はこれで終わらせていただきます。本当にありがとうございました。

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