教育制度分科会(第33回) 議事録

1.日時

平成25年9月26日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 「第二講堂」 (旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 今後の地方教育行政の在り方について
  2. その他

4.議事録

【小川分科会長】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第33回の教育制度分科会を開催させていただきたいと思います。本日も、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 後ほど義家政務官も御出席いただけるかと思います。
 まず、本日の資料について事務局から確認をお願いいたします。

【堀野企画官】  本日の資料につきましては、資料番号はございませんが、「今後の地方教育行政の在り方について(審議経過報告)(案)」ということでございます。不足等ございましたら、事務局までお知らせください。

【小川分科会長】  よろしいでしょうか。
 では、議事に入りたいと思います。これまでの分科会の審議の内容をまとめまして、審議経過報告の案を今日、御用意させていただきました。今日の会議では、この審議経過報告案を基に議論を深めていただければと思います。
 今日の会議の進め方ですけれども、前半、そして後半に分けて議論をしていきたいと思います。
 まず前半については、審議経過報告案のうち前半17ページぐらいまでの教育委員会制度の在り方について議論していきたいと思います。その後、後半、審議経過報告案の18ページ以降、教育行政における国、都道府県、市町村の役割分担とそれぞれの関係の在り方についてと、学校と教育行政、保護者・地域住民との関係の在り方についてということで、前半、後半に分けて議論させていただきたいと思います。
 また、審議経過報告の説明についても前半、後半に分けて事務局から説明させていただきます。よろしいでしょうか。
 では、まず前半の議論に入っていきたいと思いますけれども、事務局から説明をお願いいたします。

【堀野企画官】  それでは、審議経過報告の説明に入ります前に、まず昨日、朝日新聞に、この審議経過報告の案の内容が事前に報道されたことにつきまして、これは事務局の資料の管理が徹底されていなかったということでございまして、皆様におわび申し上げます。以後、資料管理に気を付けたいと思います。失礼いたしました。
 それでは、資料の内容について説明をいたします。審議経過報告案の1ページを御覧ください。
 この報告案でございますけれども、教育委員会制度等の制度設計について、最終案ということではなく、これまでの議論が行われた内容について議論の経過をまとめたという位置付けでございます。
 まず1ページ目の「はじめに」という部分ですけれども、冒頭の段落で、教育委員会制度が教育の政治的中立性、継続性・安定性の確保を制度的に担保していく、また、地域の多様な人材の視点を反映する観点から重要な役割を果たしてきましたけれども、この制度の中には責任の不明確さという制度上の課題があるということが書かれております。
 そして、4月15日に教育再生実行会議の提言を受けて、教育長を責任者とすることを柱とする改革が提言されました。
 特に現行制度の中で、3段落目ですけれども、教育委員の中には、事務局が行う行政事務や所管の学校等の状況について、常勤の教育長と同じだけの情報を得ることができない中で、どのような事項について、どこまで強く意見を言ってよいものかという戸惑いがある一方で、重要な決定については教育長と同様に行っていることへの違和感があると、こうした問題があったわけでございます。こうした状況で50年以上の間続いてきたということについて、その解決のためには、属人的な努力による運用の改善に期待するのではなく、教育委員会制度の抜本的な改革を行う必要があるという前書きをしております。
 2ページ目から教育委員会の現状と課題ということでございまして、この初期の会議の議論において、現行制度のメリット・デメリットを十分に検証する必要があるというところから議論が始まりました。そのために、この委員の方々から意見発表を頂きました。その内容について、教育委員の意見、教育長の意見、首長の意見ということで分けて整理をしたものでございます。
 4ページを御覧ください。こうした現状と課題を踏まえて、4ページ目に検討の視点を、教育再生実行会議の提言を具体化していくための検討の視点として、大きく3点に整理をしております。
 1点目が(1)教育長及び教育委員会の権限と責任の明確化ということで、2段落目ですけれども、基本的に非常勤の委員の合議体である教育委員会が、常勤の専門家である教育長と一体の責任を負うことによって、教育長とは異なるべき教育委員の役割が不明確となっている。こうした状況を改善するために、教育長、教育委員会の権限と責任を明確化するため、教育長が地方教育行政の責任者として個別的、具体的な事務の執行を行うこととし、教育委員会は地域のあるべき姿や基本方針など大綱的な事項を審議する。そして、教育長による事務執行を住民目線による第三者的立場からチェックすることを柱として制度設計を検討するということでございます。
 (2)政治的中立性、継続性・安定性の確保という観点ですけれども、2段落目にございますとおり、引き続き、政治的中立性、継続性・安定性を確保する必要があり、そのために合議制の教育委員会が教育の基本方針や教育内容に関わる事項について、教育長による事務執行に必要な歯止めが掛けられるような制度的措置を講じることを前提として制度設計を行う必要があるという視点でございます。
 5ページ目、3点目として、首長の責任の明確化ということで、現行制度においても、首長は教育委員の任命権及び予算に関する権限という意味で、公立学校等の教育についても一定の権限を現在でも有している。ただし、首長から独立した執行機関として教育委員会が置かれている中で、首長がどの程度の関与をすべきかということが明確になっていない。そういったことで、スピーディに地方公共団体が一体となって迅速に対応することができない場合もある。このため、首長が教育長を直接任命、罷免を行うことによって、任命責任を明確にするとともに、首長がどのような形で教育長あるいは教育委員会に関与できるのかと、こういったことを明確にする方向で制度設計を行うべきである。こうした3点にまとめております。
 6ページから各論点別の内容ですけれども、四角囲みの上に、まず大きな総論といたしまして、教育行政の責任体制を明確にするため、常勤の教育行政の専門家である教育長を地方公共団体の教育行政の責任者とするよう、抜本的に改革をすべきであるとしております。
 そして、(1)新しい教育委員会の組織と役割。この黒丸、四角囲みの部分が後ろの事項の要約です。黒丸の部分ですけれども、一つ目は、教育委員会が審議すべき事項を、特に政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映が必要とされる事項に限定し、地域の教育のあるべき姿や基本方針をじっくり議論できるように改める。
 2点目は、教育委員は、一歩離れた立場から教育長の事務執行をチェックできるようにする。
 3点目に、教育委員については、単に一般的識見があるというだけでなく、教育に深い関心と熱意を有する人物が登用される必要がある。
 4点目に、教育委員の選考の過程について、例えば議会同意の過程で教育委員の所信表明の機会を設けるなど、選任方法を工夫していく必要がある。
 5点目に、教育の政治的中立性、継続性・安定性の確保という観点から、教育委員については、首長が議会の同意を得て任命をする。任期については引き続き4年とするとともに、委員の交代が一部ずつ行われる現在の仕組み、また厳格な罷免要件による身分保障という制度は維持することが適当であるとまとめております。
 次、8ページを御覧ください。教育の政治的中立性の確保の仕組みを残すことが必要であるとまとめておりますが、その下の二つ目の丸、教育の政治的中立性の確保について、教育行政においては、法令や学習指導要領等が詳細に定められており、現在では、政治的中立性が脅かされるような事態はほとんどないのではないかという意見が出された。
 一方で、教育内容や教職員人事など、政治的中立性が脅かされるおそれがある場面はあるという意見が多数出された。また、教育委員会制度があるために首長は教育内容等に関与することを控えているという意味でセーフティネットとして機能しており、余り問題が顕在化しないからといって中立性が必要でないわけではない等々の御意見が出されたということを示しております。
 次に、(3)の首長と教育長の関係ですけれども、一つ目の黒丸。首長の任命責任を明確にするため、首長が教育長を直接任命することとするとともに、議会同意を得ることとすることが適当である。
 2点目に、責任者が首長ではなく教育長であるという教育再生実行会議の提言の観点から、教育長は首長が任命するものの、一定の独立性を持った存在とするという前提で制度設計を検討する必要がある。
 3点目に、罷免要件については、現行の教育委員としての厳格な罷免要件より広げることも検討をする必要がある。また、教育長の任期を現行の4年よりも短縮するといったことも検討する必要があると定めております。
 4点目に、首長の責任を明確化するため、重大な事案が生じた際の首長の関与の在り方について、引き続き検討する必要があるということでございます。
 そして10ページ目、(4)ですけれども、こうしたそれぞれの考え方を前提として、A案、B案、大きく二つの案を出しております。
 A案については、教育長を首長の補助機関とし、教育委員会を首長の附属機関とする。前回の資料でのパターン1でございます。B案は、教育長を教育委員会の補助機関、教育委員会を性格を改めた執行機関とする。前回の資料のパターン2でございます。
 11ページを御覧いただきたいと思います。11ページの四角の下の部分ですけれども、現在の地方教育行政は、首長から独立した「執行機関」である教育委員会が全ての執行責任を負い、「教育委員会の補助機関」である教育長が、教育委員会の指揮監督の下で全ての事務を執行するという制度となっている。新しい制度についてはa、教育長を責任者とする。b、教育委員会は政治的中立性、継続性・安定性の確保の役割を果たすとともに、チェック機能を担うと。こういう条件の下で教育長、教育委員会の位置付けを中心に複数の案を基に審議を行う。
 いずれの案にも解決すべき課題が残っており、引き続き、丁寧に審議を行うことが必要であるが、改革の必要性についての国民の期待に応えるという観点から、最も抜本的な改革案として、次のA案が考えられると位置付けております。
 A案が、先ほど申し上げました教育長は首長の補助機関、教育委員会は首長の附属機関という案でございますが、12ページの一つ目のぽつにありますとおり、教育長が責任者であることを明確にするため、首長は、教育長の事務執行について日常的な指揮監督を行わないこととする。教育長に委任する事務は法律で規定する。そして最終的な権限、教育についての最終的な権限が教育委員会から首長に移るため、教育長の事務執行に問題があるなど特別な場合には、首長が教育長に対して必要な指示を行う法律構成になることが考えられますが、責任者としての教育長の独立性を踏まえ、どのような場合に指示が行えることとするか、その際どのような手続を踏むのか、こういったことを検討する必要があるということでございます。
 次に、教育委員会は首長の附属機関として、教育長から諮問を受けて答申を行うとともに、自ら教育長に対して、建議、勧告等を行う機関とする。
 この場合において、教育委員会は、教育の基本計画や教育内容、人事等の基本方針、学校の統廃合、教科書の採択、教育長の事務の点検・評価、条例案・予算案等の重要事項について審議し、教育長に対して答申をするといったことが書いてございます。
 次のぽつで、この際、政治的中立性、継続性・安定性を確保するためには、単なる諮問機関というだけではなくて、例えば、一定の事項については教育委員会の同意を必要とするなど、教育委員会が教育長の事務執行をしっかり拘束できる権限を持つ制度とすることが考えられます。しかし、地方自治法上の附属機関は執行機関の決定を拘束しないのが一般的であるため、附属機関という位置付けでそのような拘束力のある権限を持つことが可能であるか法制的な検討を行う必要があるとしております。
 そして首長と教育長との関係では、首長の教育行政への関与が強化されることを踏まえ、教育長の独立性を担保する観点から、教育長の罷免要件については、十分に検討しておく必要があるとまとめております。
 13ページを御覧ください。上記A案については、教育の政治的中立性、継続性・安定性の確保に関して課題があるという意見もあることから、B案についても検討が行われました。ただし、この案については、現行制度との違いが分かりにくいという課題があるという位置付けで、B案の説明がございます。
 B案は教育長を教育委員会の補助機関、教育委員会を性格を改めた執行機関とするということで、図の下のぽつですけれども、A案よりも教育委員会の審議結果の尊重がより担保されるものとなる。継続性、中立性、安定性の確保のため、教育長の事務執行を拘束する決定を行うことが可能である。
 この案では、教育委員会は現行の全ての事務執行に責任を負う執行機関という性格を抜本的に改め、教育委員会は基本方針等の限られた事項についてのみ審議決定を行う。そして教育長のチェックを行うという機関とする。
 次のぽつですけれども、やはり、この場合も教育委員会は、教育長の事務執行について日常的な指揮監督は行わないこととする。教育長に委任する事務は法律で規定する。この場合、教育の本来的な権限は教育委員会にあるため、教育長の事務執行に問題があるなど特別な場合には、教育委員会が教育長に対して必要な指示を行うという構成になりますけれども、一般的には会議を開いて意思決定を行う機関であるため、スピーディな対応ができるかについて検討する必要があるということでございます。
 この場合、教育委員会は、そこに書いてある事項について、限られた事項についての審議、決定を行う。
 14ページでございます。ただし、このように基本方針等についてのみ決定を行い、自ら個別具体的な事務について指示や執行を行わない執行機関を設けることについて、公安委員会等の前例はあるが、法制的な課題について検討する必要があるとしています。
 そして、首長と教育長との関係では、教育行政への首長の意向を反映しやすくするために、例えば罷免要件を現在より拡大する、あるいは教育長の任期を現在の4年よりも短縮するといったことも検討する必要がある。また、教育長の事務執行に問題があるなど特別な場合には、教育長に対して調査又は勧告といった一定の関与ができるようにすることも考えられる。
 そして、この案については、現状がどう変わるのかが分かりにくく、現状との違いを明確にする必要があるとの意見が多く出されたとしております。
 その他、二つの案について前回まで議論が行われましたけれども、二つの案については、ここに示してあるとおり、法制的課題が大きいということが示されております。
 14ページ下から(5)首長と教育行政部局との事務分担の在り方についてということでございますけれども、一つ目は、学校教育や社会教育については、引き続き、知事部局、市長部局ではなく教育行政部局が担当すべきである。
 2点目に、文化財保護を除く文化や学校体育を除くスぽつについては、首長から独立して執行する必要があるものは何かを明確にする観点から、どちらで所管するのか引き続き検討する必要があるとしております。
 文化財保護につきましては、新しい制度における教育委員会や教育長の位置付けも踏まえながら、公立学校の管理等の教育行政と併せて教育行政部局が担当することについて検討する必要があると書いております。
 16ページの(6)の上にありますとおり、文化財保護につきましては、その際、地方文化財保護審議会と教育委員会の関係、文化財保護における教育委員会の役割は何かという観点について整理をする必要があるということでございます。
 (6)教育行政関係者の資質能力の向上等について。1点目は、教育長について、常に自己研さんに励んでいただくという観点から、国、都道府県、大学等は積極的に研修を実施すべきこと。2点目に、事務局体制の強化のため、教育職、行政職双方の職員の資質向上に努めること。また、小規模の市町村においては、指導主事の配置が進むよう、国や県の財政的な支援が求められるということを示しております。
 長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。今の説明にあるとおり、前回、四つの改革の選択肢について議論してきましたけれども、前回までの議論を踏まえまして、この審議経過報告案としては二つの案に絞って検討をお願いするということになっています。
 今日の議論ですけれども、A案とB案、どちらかという議論もあるかと思いますけれども、分科会長としますれば、このA案、B案、それぞれに課題とされている点、引き続き検討する必要があるとされている課題について、どうしていくのかということに関して御意見を伺えれば幸いかと思っています。
 残り1時間ぐらい、この前半の議論に時間を取りたいと思いますので、どなたからでも質問を含めて、御意見があればお伺いいたします。
 では、露木委員、どうぞ。

【露木委員】  これまでの議論を、今日のでいうとA案、B案という形でお示しいただいて、随分議論が整理されたなと感じております。私は、やはり最初に戻って言えば、この分科会に諮問された文面から考えると、教育長を地方公共団体の教育行政の責任者とすると、そういう改革の方向の中で議論してきたのではないかなと思います。
 そういう意味で言えば、教育長は最終的に、その教育行政の責任を取るという立場。ただ、やはり教育の中立性ですとか、継続性ですとか、安定性というものを考えたときに、教育委員会が行うのかどうか、これは決まった問題ではないと思いますけれども、どの程度チェックできるのかということが重要な問題なのかなと。
 そういったことを考えたときに、それは法制的な検討をA案においても行う必要がある、B案でも、教育長が教育委員会の補助機関となってしまうと、やはり、そういったことが可能なのかということを法制的に検討しなければいけないとなっているわけなんですね。
 ただ、方法としては、教育長がかなりの権限を持つけれども、何かあったときには教育委員会がしっかりチェックする制度でありたいと私は考えています。その辺の、それが法制的にできるとか、できないという問題ではなくて、政治的中立性、継続性・安定性を求めるときに、そういう制度の方向になったらいいなと感じました。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、梶田委員、どうぞ。

【梶田委員】  まず結論的には、今、露木委員がおっしゃったのに非常に同意します。賛成いたします。
 その前に、これを見ていて、ちょっと気付いたことを、申し訳ない。最初、1ページ、「はじめに」のところで、5行目に「多様な人材の視点を反映する」と。私は、こういう人材という言い方は、経済学の議論ではいいんですけれども、教育を議論するときは、人は材料じゃないものですから、これは「多様な立場の人たちの視点を」というぐらいにしていただけたら。
 それから、下から5行目ぐらいですかね。「属人的な努力による運用の改善に期待するのではなく」でなくて、どういう制度にしようと、やはり人ですよ。
 私はここで何回か発言させてもらいましたけれども、やはり教育委員になっている方、あるいは教育長さんになっている方、あるいはそのときの、私は8年、地元の教育委員をしまして、そのときの市長さん。これの識見といいますか、力量といいますか、これで同じ町でも大きく変わってくるわけですよね。まず属人的な努力は必要なんだと思うんです。ですから、「属人的な努力による運用の改善に期待するのではなく」ではなくて、「期待するだけでなく」という、「だけ」ぐらい入れてもらうといいかなと。これを、まず最初に申し上げておきます。
 私、今の本体の方、A案とB案どちらがいいかということで、今、分科会長も早急に、それを振るうわけじゃなくて、それぞれの案について議論を深めるという御発言もありましたので、もうそれで良いと思うんですけれども、そのときに、例えば14ページのところで、三つ目のぽつのところに、「現状がどう変わるかが分かりにくく、現状との違いを明確にする必要がある」。これはA案でもB案でもそうなんですよ。教育委員会というのはあるわけだから、B案だけが分かりにくいわけはなくて。これは現状と違いがあるわけです。教育委員長というのは、なくなるわけですから。教育長と教育委員長が一緒になるわけですから。そしてB案でも、限定されたある事項について教育委員会が決めると、こういうふうになっておりますからね。今のに比べて非常に限定的になっておりますから。
 ですから、こういうことは、やはり余り書かない方がいいんじゃないか。しかも、意見が多く出されたというんですけれども、私は、それも出たけれども、そうでない意見も出たと思っております。したがって、この辺の表現、ちょっと改めていただいたらどうかなと。
 最後に一言、露木委員の意見にフォローして申し訳ありません。今は私、政治的に安定していますから、これから3年、5年の間に首長さんが政治的な何かで教育委員会を思うように引きずり回すということはないだろうと思うんです。ただ、制度というのは、万が一のときのことを考えて、やはり、そこに歯止めをどう組み込むかは非常に大事で。
 私は古い人間ですから、70年代の東京、大阪、京都が共産党知事であった頃をすぐ思い出します。あの頃の京都府の教育委員会がどういうことだったかというのは、若い方が多いですからね。是非あの頃の、今日も話が出ましたが、朝日新聞の縮刷版でも見れば、すぐ分かりますから、是非見てください。あのときに、私どもからいうと、極めて政治的な偏向があった。当時そういうことを京都府で発言すること自体は、言わば、教育界の人は、ほとんどできなかった。隠れキリシタンみたいな感じだったんです。そうなんですよ。私は国研におりまして、私は京都府、いろいろと関わりがありますから、時々呼ばれて行ったんですけれども、見つからないように話合いをしないといけないわけです。どれだけの、今考えても考えられないぐらいの政治的な圧力があったかということは、是非あの頃の新聞をお読みいただければ、はっきりします。
 そして、その後が、また大変なんですよ。その蜷川府政が潰れた後、京都府教委の人は全部、総入替えになり、つまり、1回も行政に携わったことのない人が教育委員会へ入ってやらざるを得なかったんです。それまでは、府教委で出世するためには入党しなきゃいけないということが言われていたわけです。党員資格を持たなきゃという。
 皆さん、東京におられる人が多いから、こういうこと、想像もつかないかもしれませんが、是非あの頃の新聞の縮刷版を、いろいろな新聞を御覧になってください。
 私はいろいろと申し上げてきたのは、例えばだけれども、そういうことが起こるか、起こらないか知らないけれども、ただ、やはり地方選挙ですから、いろいろなことを考えなきゃいけない。東京と大阪と京都が共産党系の知事だったと、これは共産党が悪いという意味で言っているんじゃないですよ、一つの党派性が表に出た。そういっても私、党派性はありませんのでね。ただ、党派性が極めて強烈に出ていた、そういう時期があるということ。それが教育行政に、きちっと隅々まで浸透していた時期があるということ。それで、じゃあ、どのように作ったらいいかということを私は考えなきゃいけない。
 ごく最近のことで言いますと、やはり大阪で、ある時期に、橋下さんが知事だったときに、大阪府の教育長さんが府議会で、幾つも、当時の中西教育長が、知事さんの方針に対して異を唱えた。これは偉い。もちろん橋下さんも偉い。すぐ首にしませんでしたから、これは偉いんですよ。だけれども、これができるような仕組み。
 例えば、首長さんがいろいろなことをおっしゃる。それはそれで大阪府民のことを考えておっしゃっているわけだけれども。だけれども、それに対して、教育行政を背負っている教育長としては、こういう極めて根本的な問題がありますよということを幾つもおっしゃったわけです。これは言えるような仕組みは残さなきゃ。
 これはごく最近の話ですから。これも皆さん、お忘れになっているかもしれませんので、是非、新聞の数年前のものを見ていただきますと、当時、いっぱい出ておりますので。是非そのことを、今、露木委員がおっしゃってきたことをフォローする意味で申し上げさせていただきました。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょう。貝ノ瀨委員、どうぞ。

【貝ノ瀨委員】  ありがとうございます。所用があってしばらく欠席をしておりましたんですが、今日ここで、このようにA案、B案と整理されて、大変集約されてきたということで、良かったなと思いつつ、やはり、ここに一貫して流れる、今、梶田委員もおっしゃいましたけれども、例えば、この政治的な動きということの中でA案を出されて、政治的な中立性について、しっかりとこれは、仕組みとして、きちんと担保しなきゃならないというような御意見について、私も賛成です。
 当初、この会も一部、やはり、この政治的中立性なんて今どき何だという御意見もありましたけれども、しかし、このようにまとめの案でありますが、その中で政治的中立性についてしっかりと書き込まれていることは大変、我が意を得たりというところでございます。
 物好きで、ちょっと政治的中立性について数えましたら23か所ありまして、相当に力が入っていると。でも、これは当然のことでありまして、先の6月に閣議決定されました教育振興基本計画、これは御覧になっていると思いますけれども、ここの69ページに、教育委員会制度は政治的中立性、継続性・安定性をしっかりと押さえていくんだということを明記されているわけです。これは閣議決定ですので、大変重いことでありまして、また、この中央教育審議会での答申を受けての閣議決定、振興計画でございますので、やはり、これは当然のことだと思います。
 それを前提にしながら、このA案、B案を考えたときに、例えばですが、A案につきまして少しコメントさせていただきますと、教育長が首長の補助機関ということで位置付けられております。ただし、この※印で小さく「教育長の事務執行について日常的な指揮監督は行わない 特別な場合のみ、指揮監督」と、こういうことでありますが、そういう意味では、補助機関ということであっても、いわゆる首長が指揮監督を日常的に行わないと、そういう特別な補助機関ですよね。ですから、これをどう考えるか。
 法律的に私、よく分からないんですが、補助機関なのか、執行機関なのかと、こういう二者択一しかないのかどうかですね。こういう条件付の補助機関を、また別な呼び方というか、位置付けはないんだろうかなとも思うんですね。
 そうしませんと、いわゆる教育再生実行会議のまとめが出されたときもそうでしたけれども、あのときもマスメディアは一斉に、やはり、この首長と教育長が非常に独走するのではないかと、こういうこと、各紙そういうふうに書かれたわけです。ですから、国民の心配は、やはり、この教育委員会制度を変えていくときに、政治的中立性はきちんと担保されるのかということが国民的な懸念としてあるわけで、そういうことを踏まえますと、ここのところは、いわゆるラインとして、首長の直のラインとしてというふうに受け取られないような、何か日常的に指揮監督は行わないということでの存在なんだと、そういうことが国民に分かりやすいようなものが必要ではないかと思います。
 また同時に、この教育委員さんたちが首長の附属機関ということでありますが、その附属機関ということになりますと、事務局のお話でもありましたように、案件によっては、この教育長に同意権、同意をするか、しないかと、そういう権限を持たせることが、法的に可能かどうか。これは確かに、それはそのとおりだと思います。
 ですから、そういう意味では、なかなか難しいところもありますが、場合によっては、この首長の附属機関というよりは、これも首長の補助機関ということで、法的に委任されていると、そういうことでの非常勤の職が考えられないかということですね。
 それから、やはり、この首長の日常的な指揮監督がないんだということで、法律でもって、こういうことについては指揮監督、場合によっては事後的に勧告なり調査なりということができるとか、そういったことをきちんと明記することによって、政治的中立性がきちんと担保されるということが明確になる必要があるんじゃないかと思います。
 B案の方は、これは教育委員会の在り方が性格を改めた執行機関ということに位置付けられておりますけれども、現在の教育委員会自体が形骸化、そして危機管理能力が非常に低下していると、そういう声の中での、こういう見直しということでありますので、性格を改めても、同じように執行機関ということになりますと、これは一体何のための改革で、ここに集まっているのかという話にもなりかねませんので、やはり、ここは、どちらかというと、私はA案の方がと思いますけれども。
 ただ、やはり、幾つか留保をさっき付けましたように、その辺のところを明確にしておかないと、ここは誤解を受けて、また国民から指摘されると思います。
 やはり、この政治的中立性というのは、つい最近も、どこかの小さな教育委員会を頭越しかどうか分かりませんが、今のルールを無視して、この学力調査についてのランキングを出すとか。今のルールは、それは出さないとなっていますので、そういったこともままあるわけで、権力を持つ人というのは、やはり、そういう意味では、これは宿命的にチェックされなきゃいけないと思いますね。
 ですから、そういうことを考えますと、もう一息、このA案にしても、きちんと法制的に詰める必要があると思いました。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょう。では、橋本委員、どうぞ。

【橋本委員】  いろいろ今、議論をお聞きしておりました。私も、ちょっと所用で少しの間欠席していましたので、まず、その点についてはおわびを申し上げたいと思います。
 今、いろいろ御意見をお聞きしていまして、やはり、もともと何で今回こういう中教審、あるいはまた教育再生実行会議の議論が起きているのかということに戻ってみる必要があるんだと思うんですね。中立性とか、継続性とか、安定性、これはずっとやってきたと。しかし、その中で、教育委員会の形骸化とか、機動性が欠如しているとか、対応がうまくいかないとか、いろいろなことが言われる中で、地方制度調査会、あるいはまた地方分権改革推進会議からも、今の教育委員会制度は問題があるということを指摘された。それを文部科学省の方では、さっぱり対応してこなかった。そういう中で大津の事件が起きて、教育委員長、教育長が十分機能したかというと、私は、さっぱり機能しなかったと思っています。例えば訴訟を継続したいという話をした。市長の方が出ていって、和解にまで持っていった。
 結局は、教育委員会がうまく対応できなかったから、今回の教育再生実行会議での議論が出てきているわけでして、安定性、継続性、中立性というのは今までずっと守り過ぎるぐらい守ってきたけれども、その中で、今申し上げたような事件が起きていることに対しての対応が求められているということを原点として、まず考える必要があるのではないかなと思っております。
 ややもすれば教育長、特に市町村の場合は教育界出身の人が多いですから、身内主義、あるいは事なかれ主義、隠してしまう、そういったことは日常茶飯事でありまして、ここにおられる方々も十分その点については御存じのことと思いますけれども、そういうことをどうやってなくしていくかが大きな課題であるということを、原点に立ち返って議論していく必要があるのではないかなと思っております。
 それから、もう一つは、地方行政全体の中で教育というものを考える必要がある。どうしても教育の観点からだけ考えられますけれども、いじめの問題一つとってみても、教育だけに関する問題ではない。あるいはまた最近は、学校の通学路の安全ということで、子供の通学路の安全をどうやって確保するか。こうなると、警察も、道路行政も絡んでくる。いろいろなことが絡んでくるわけで、総合的な行政をやっていく必要がある。その場合に、教育委員会だけ特別な形をとる必要があるのかどうか。
 先ほどから、中立性の問題でいろいろありました。例えば首長が独走するという話もあります。これは、しかし議会での不信任決議というのもあるわけですし、マスコミも当然それなりの反応をしてまいります。そして、梶田先生に選挙のときに来ていただいて大変助かったんですけれども、私も共産党相手に戦ってまいりました。
 それはともかくとして、私もその頃、大阪で勤務していましたので、いろいろ知っておりますが、これはどこに問題があるかというより、やはり選挙民がそういう方を選んでしまっていることが一番の課題なんだろうと思っております。
 例えば、国の場合どうなのか。文部科学省、準司法的でも何でもありませんが、行政委員会でも何でもありません。そうなると、政権が替わって共産党になれば、文部科学省も当然、共産党の影響を受けることになってまいります。それは国も地方も同じなわけでして、地方だけが暴走するとかいうことはないわけであります。
 そういったことについて十分考えていかなければいけないし、安定性という意味では、前回も申し上げたんですけれども、文部科学大臣、毎年替わりました。行政のトップは毎年、ここのところ替わっていて、安定性がちゃんと続いているんですよ。それは指導要領その他で、しっかりと守っているから続いているわけでして、それは安定性、中立性というものを確保するための方法は、別な方法が幾らでもあるのではなかろうかなと思っております。
 そういう点で私は、このA案というものについて基本的には賛成の立場でありますけれども、一方で、このB案については、責任の所在が不明確であるという点で、従来指摘されていることが何ら解決されていない。そういう点で課題が多いし、何のためのこの間の議論だったのかなということになってきてしまうのではないかなと思っております。
 そういった点では、今日、ここの中で12ページに「日常的な指揮監督を行わないこととする」と書いてありますけれども、教育長の事務執行について、どういうふうに首長が関与するかということを十分に検討した上で、このA案を採用していくことがいいのではなかろうかなと思っております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 高橋委員、そして門川委員の順でお願いいたします。

【高橋委員】  今日、こういうふうにまとめていただいて、問題点がはっきりしたと思いますが、私も抜本的な改革というのは、これからの教育行政の課題を改善していく、乗り越えていくということなので、これまでの反省の上に立って、法制上の課題を、A案にしても、B案にしても様々出てくるんですが、それについては、法制の方を必要なら変えていくという態度で取り組まなければ、解決は難しいと感じました。
 その中で、このA案に対しまして申し上げますと、新教育委員会のところで、首長の附属機関も、どういう性質を持つものかというのは、今後検討する必要があると思いますが、この12ページの上から二つ目のコロンのところですが、「教育委員会は首長の附属機関とし、教育委員会は、教育長からの諮問を受けて答申を行うとともに、自ら教育長に対し、建議、勧告等を行う機関とする」とありますが、これは、諮問を受けて答申を行うというときに、私は首長ではないかなと思います。
 また私は新教育委員会のところに書いてあります、「方向性を示すとともに執行状況をチェックする機関」と、そして左側に「限られた事項」と書いています。限られた事項と書いておりますが、新教育委員会は教育振興の根本的な事項を検討することにならなければいけないのではと思っております。
 限られた事項というのではなく、言ってみれば、教育行政のマネジメントサイクルに責任を持つんだと考えます。非常勤であるからこそ得られる多様な立場の人が議論をして、学校教育関係者だけによる閉鎖性とか視野の狭さなどを克服して教育を振興していくことが重要だと思います。そのようなマネジメントサイクルに責任を持つことであって、限られてはいるが根本的な事項であるという認識がなければ、私は根本的な改革にならないと思います。
 そういう意味で、しっかりと検討をしていただければと思います。

【小川分科会長】  門川委員、どうぞ。

【門川委員】  ありがとうございます。課題は明確になってきたなと思います。
 このたびの議論の発端は、教育行政に対する信頼を取り戻す、いじめ、自殺、虐待、そういうことに対して的確に教育委員会が対処できる制度をつくる、ここが一番大きな原点だったと思います。こうした改革を実行するときに政治的中立性、安定性、継続性はどう確保するのか。こういうことをしっかりと大事にしなければならない。そのために教育長を最高責任者にしようというのが教育再生実行会議の答申であったと、このように思うわけです。
 そこでですけれども、私は結論から言いますと、B案がいいと思います。教育長を首長の附属機関にするというのは良くないと思います。
 極端に言いますと、ある町の教育委員会が極めて閉鎖的であるが、首長部局は極めて開かれている。一般的に、そういう状況は生まれにくい。いじめ、不登校の問題が大問題になる一方で、首長部局の行政は生き生きとやっている。教育委員会だけ駄目だ。こういう自治体は聞いたことがない。大きな問題が生じる場合、両方に問題があるわけです。今の体制の下でも、首長が責任を持って教育の課題に真剣に向き合えば解決します。交通事故の問題等々、教育委員会と首長部局が共に取り組むべき課題がありますけれども、こういった課題への対処も、現行制度下で何ら支障はありません。また、教育行政と保健福祉行政、医療と福祉と教育というのは一体ですから、みんな一体感持って日々の業務に当たっています。このように、総合行政を進めるという点について、現行制度でも大きな問題はありません。緊急対応ができるかどうか、ここが一番の問題ではないかと思います。
 ただし、緊急対応についても私はB案でできるだろうと思います。もちろん法制的な課題を一つ一つ解決する必要はありますが。
 もう一つ申し上げたいことがございます。首長は選挙で選ばれます。民意を反映する上で大切なプロセスです。しかし、選挙を経るということは、必ず対立軸を明確にして、激戦を勝ち抜いて当選してくるわけです。一方で、学校教育を進めていく、その町の子供をどんな子供に育てていくか、この点について、余り対立軸は必要ないんです。対立軸を作るよりも、教育に携わる多くの大人の共通基盤をしっかりと確保し、そして一致点を拡大して、みんなが行動していく。これが大事なんです。できるだけ、いろいろな政治的な主張のある人も含めて、多くの大人が教育に関わることは望ましいことです。しかし、どんな子供を育てたいか。そのために親は、地域はどんな協力をしていくのかこうしたことを共に考えるために開かれた学校にしていこう、こうした学校づくりに、対立軸は必要ないんです。
 したがって、できるだけ、首長選挙の対立を学校教育の中に持ち込まずに、ワンクッションを置こう。このことを政治的中立性と安定性と呼んでおりますが、みんなで子供のために汗かこう、そういう仕組みが望ましいのではないか。そのためには、首長の附属機関であるというよりも、見識のある立派な教育委員を首長が責任を持って議会の同意の下に選ぶ。そして首長が責任を持って議会の同意の下に教育長を選んで、限りなく教育長に責任を持たせる、そういう体制を作る。私は、その方が教育が良くなると思います。
 4年ごとの選挙で選ばれる人間は直ちに結果を出す必要がありますが、教育はそれだけでは良くならない。やはり後伸びする力や、道徳心などは安定性や継続性が重要。4年に1回選挙がある首長では主張できないようなことも言うというようなことが教育の世界には必要です。ある自治体の首長さんが突然に全国学力調査の校長別成績を発表すると、文科省の指針を逸脱する方針を発表されたケースがある。あの件はたまたま新聞に載って話題になったけれども、新聞に載らないような同様のことは幾らでもあると思うんです。
 こういった形で首長が教育行政に関わることによって、校長が首長の顔色を窺いながら学校運営をする。こんなことになってしまったら、私は教育の最も大事なところが死んでしまうのではないかと思います。こうした理由から、私はB案をもう少し強化することが大事じゃないかと思います。
 そのときに、何度か申しておりますが、教育委員と教育長だけの問題ではなく、教育行政にしっかりと責任を持てるプロパーを育てていくことが重要です。この点をしっかりと検証し推進する、そんな文部科学省の責任もあるのではないかと、このように思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかに。では、今田委員、竹原委員、辻委員、村上委員、そして二見委員、櫻井委員、及川委員の順でお願いいたします。

【今田委員】  たくさんあるようですから、余り長くしゃべれませんけれども、政治的中立性の話がありました。最初のところに教育の政治的中立性、継続性・安定性の確保を制度的に担保してきたということを書いてあって、そのことをはっきり否定するわけじゃありませんけれども、私のまずい経験でいくと、教育の政治的中立性というものが、ある意味で、言葉を悪く言うと、隠れみのにして文部行政の中に、もう一段、毅然としっかり業務を深めていくべきであったものがあったんじゃないか。これは教科書採択の問題なんかも、そうですね。基本法が変わっても、やはり検定の基準が必ずしも、それにきちっと踏まえたものになっていなかった。そういう部分。あるいはまた道徳教育の在り方なんかについても、もう少し深い議論がなされてしかるべきだったんじゃないか。
 中立性は大事だということを思いつつも、やはり、その辺のところの部分が、私は今回、この提言の中に出てきた、ある種の首長に投げようという強い発言の中に、提言で出てきたところに、政治家の人たちが決めたゆえんのところに、そういうところもあったのじゃないのかな。
 だから、そういう意味でのしっかりした反省が一方でなされ、道徳教育の問題は今、議論されていますし、そういう中でいくと、教科書の問題も、これはいずれまた政府で検討するというようなことですから、そういう問題がクリアされれば、私はここで、ある意味で大きな課題をクリアして、政治的中立性というものを文部行政の中でも、文部科学省の方でも、堂々と主張していくことが可能になるのではないのかな。その前段のものを是非、やはり、その分の反省いうものは少し、長い歴史の中で、あってしかるべきではないのかな。
 ほかにもたくさん言いたいことはあるんですが、次の方がおられるようですから、その分だけで。今回は残念ですけれども。

【小川分科会長】  時間があれば、また後で発言、お願いします。
 では、竹原委員。

【竹原委員】  今日まとめていただいたことで視点が定まりまして、課題も分かりました。学校現場、教育現場は児童生徒、それを取り巻く保護者、地域社会、たくさんの人が動いている。そして、日々円滑にすすめることだけでも相当なエネルギーやマネジメント力が必要で、この制度づくりは現場を見据えた形でやっていただきたい。
 先ほどお話があった人材ということですが、人材活用と言われて、地域の方は活用されているつもりはなく、それぞれが対等な担い手であり、制度が変わることで、さらに教職員も地域もやる気になり、みんなで改革ができればいいと思っております。
 幾つか質問させていただきますが、A案、B案それぞれの課題が出されましたが、自ら建議をし勧告をすることは、どんな具体的なイメージであるのかということ、それから、市長部局の局長との違い。ラインではないというところは、どういう違いがあるのかということも、よく分からないので教えていただきたいと思います。
 更にA案で勧告、答申をした場合、B案で審議を決定した場合、その事項に対して教育長はどういうふうに返していく義務があるのか、どこまで拘束力があるのかということを、教えていただきたいと思います。

【小川分科会長】  質問というか、その内容を深めるための質問、集約すると2点なんですけれども、事務局の方からお答えいただけますか。

【堀野企画官】  今の点について、自ら建議、勧告といった場合です。諮問、答申の場合は教育長なり首長さんの場合もあるかもしれませんが、受け身で諮問されたものに答えるわけですけれども、建議といった場合には、自らどういう事項を審議するかを決めて、自主的に審議した内容について教育長に対して提案をしていくという形になります。
 勧告といった場合も、特定の事項、そのときそのときに必要な事項を勧告することもあれば、毎年1回、何か審議事項を決めて、定例的に勧告をするというやり方もあろうかと思います。やり方は、かなり様々あり得ると思います。
 そして、その結果が教育長をどこまで拘束するかというのは制度設計次第でありまして、こうして教育委員会が答申、教育委員会の同意がなければ丸丸については決定できないというルールを作れば、必ず教育委員会側に決める権限があるという形になります。法律的にはいろいろな書き方がありまして、教育委員会の議を経てこれこれを決定するとか、教育委員会の議に基づきこれこれを決定すると。「基づき」になるほど拘束力は強いという感じがあると思いますけれども、そういったところが、附属機関である場合には、どこまで書けるのかということを検討していくことになります。
 そして教育長の位置付けですけれども、議会同意を得た職ということが教育再生実行会議で提言されていますので、議会同意を得る職というのは自動的に特別職という扱いになりますので、一般的な局長、何とか局長さん、何とか部長さんといった方よりは、イメージとしては若干上の、どちらかというと副知事、副市長に近い特別な位置付けになるということでございます。

【小川分科会長】  竹原委員、よろしいですね。また、この後の議論で、それに関連して議論があるかと思いますので。
 では、辻委員ですね。よろしくお願いします。

【辻委員】  今回はなかなか大作で、私も目を通すのに時間がかかりましたが、大分、自分なりに頭も整理されてきました。
 全体としては、特に8ページぐらいまでのところは、今までの議論を尊重しながら、どういうところに課題があるか、うまく共通事項を導き出してきているという気がします。特に今回は、教育長を、最高責任者というよりも、責任者としてしっかりやるとしたときにどういう課題があるかということです。政治的中立性が必要なので、そこに一定の独立性を担保する仕組みができないかというのが一方の課題であると同時に、独任制にはしないということなので、この中立性、独立性を担保しながら、しかし、この教育長に対する指揮監督をどういうふうに規定すればいいかというのが、今回の最大の難しさだと思います。
 これはこれからの検討課題になりますが、ちょっと気になるのは、今回、事実上、教育委員会から教育長に権限が移るものが多くなりますので、相対的に教育委員会が弱くなるということです。その中で教育長に対するコントロールをどこまで担保するかというところが課題になりますが、前から気になっているのは、まず9ページの首長と教育長の関係です。任命要件をいろいろ考えていかなければならないという問題提起はここに出されていて、任命するときに議会の同意が必要だというのは、そのとおりだと思いますが、罷免するときも議会の同意が本当に必要かどうなのかということは疑問です。議会同意が必要になると、罷免するタイミングが遅れます。罷免のときまで議会同意を求める必要があるかどうかというのが、疑問のひとつです。
 それから、10ページのところで、これは前回も指摘しました。今日も別の委員の方が指摘されましたが、教育長と教育委員会の関係を考えると、諮問は教育長というよりも首長からではないかと思います。これは法定委任が前提になるとの話だったので、どっちでも実質的には差異がないかもしれませんが、法制的にいうと、この首長からの諮問の方がいいのではないかと思います。
 それから、12ページのところで、日常的な指揮監督は行わないということを規定しています。しかし、誰かが教育長を指揮監督しないといけないわけです。公安委員会はそれを国がやっているのですが、教育の場合は、自治制度の中で、日々細かいことには干渉せず、教育長の意向は尊重するけれど、最終的な指揮監督は首長が果たすという規定を、別途、考えなければならないと思います。
 それから14ページのところで、これは先ほど議論が出ていましたが、B案の課題について総括した文書があります。私は今回のこのB案の問題点は、やはり現行の教育委員会制度と同じか、それとも、仮にそうでないとすれば独任制に近くなってしまうというところあると思います。そうした中で下手をすると、教育長も責任を持って、それから教育委員会も責任を持って、首長も責任を持つという乱立状態になるというところに大きな課題があります。もともと、いじめ問題への対応という命題に対して、どこまでストレートに応えているかという課題があると、私は思いますので、この程度の記述は、ここで残していた方がいいと思います。
 それから最後に、これは余り議論していなかったのですが、16ページに小規模市町村に関する指摘があります。確かに財政的に支援して指導主事をおくということは解決の一つかもしれません。しかし、今後、少子高齢化が進んで、町村人口自体が減ってきますし、その中でも児童の数は顕著に減っていきます。こうした中で、市町村合併も仮に念頭に置かないとすると、単に財政的支援を求めるというよりも、昔のように機関等の共同設置を活用するなど、いわゆる広域行政の仕組みも活用して、教育の内容を高めるかという記述も必要だと思います。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 村上委員、どうぞ。

【村上委員】  いろいろあって、なるべく簡潔にお話ししたいと思います。
 まず、さっき梶田委員の方からありました、現状を前提にすべきでないというのはおっしゃるとおりだと思いまして、やはり政治というのは水もので、これは首長の皆様は選挙がありますので、特に記憶に新しい委員の方もいらっしゃると思うんですが、政治というのは先々どんな変化があるか分かりませんので、それに柔軟に対応できるような、対処できるような制度を設計することが重要で、現状だけではなくて、先々の政治の状況も併せて、そういった変化も前提にした制度にするべきだと思います。
 それと、もう一つ大きな話としては、A案が国民の期待に応えるという観点から最も抜本的な改革案であると11ページに書かれてあって、A案がまずあって、A案に問題があるのでB案というふうになっているんですが、本当に国民の期待がどこにあるのかは、なかなか測るのが難しいんですけれども、少なくとも教育再生実行会議の案というのは、A案でもB案でも、実はそのままではなくて、その間のどこかなんじゃないかなと。
 国民の期待というのは、現実にサンプルをきちっと決めて世論調査をすれば、ある程度分かるので、マスコミの方でそういう世論調査をやっていただければ、国民の期待がどこにあるのかというのは、概要は分かるような気もするんですけれども。A案が国民の期待そのままなのかなというと、本当にそうなのかなと。B案そのままでもないかもしれないとも思うんですけれども。もう少しA案とB案のどちらでもない、もうちょっと違うような中間的な形態が国民の期待の近似値になっている可能性はないのかなという意味で、A案が国民の期待に最も応えているかどうかというのは、留保が必要なのかなと思いました。
 2012年にベネッセが調査をしたときに、教育目標を首長が決めるのが望ましいか、教育委員会が決めるのが望ましいかというのを、東京都の公立中学校2年生の保護者に対して調査をしたんですが、このときは、教育委員会が決めるのが望ましいが7割、首長が決めるのが望ましいが2割という結果だったんですね。これは教育委員会制度を直接聞いたわけではないんですけれども、A案になると当然、今よりも首長の権限は強丸わけです。今でも大阪の基本条例だと、教育目標を首長が決められるというふうになっているわけでして、本当に首長の関与をより一層強めることが国民の期待に添うかどうかというのは、もう少し慎重に考えてもいいのかなと思いました。
 A案とB案の課題なんですが、もちろんそれぞれ一長一短あって、それぞれ課題があるんですけれども、A案について、まず2点ほど思うところがあります。
 一つは、やはりA案は首長に非常に権限が集中してしまうんじゃないかということです。今の地方自治制度では強い首長制度で、そのために執行機関の多元主義という考え方がとられているんですけれども、A案を採った場合は、執行機関の多元主義という原則にとって、かなり重要な変更になるんじゃないかなという気がしまして、教育だけの話にならないのではないかと。もちろん教育にとっても重要なんですが、首長の権限集中をどういうふうに緩和するかという視点から、やはり問題がいろいろあるのかなと思います。
 その点でいいますと、やはり執行機関が多元的であることで首長へのチェック機能が働いて、中立性、継続性・安定性が確保しやすくなるという側面もあるのではないかとも思っておりまして、例えば先般でいうと、静岡の事例がありましたが、静岡の知事が下位校を公表するという動きが出て、結局、上位校を公表するというふうになりつつあるわけですけれども、そのときに、教育長さんが動いたわけですけれども、これは、やはり独立した執行機関があるからこそできることで、仮にA案だった場合に、静岡の事例で、果たして教育長さんが、そこまで積極的に動くことができたのかということも考え合わせると、首長さんへのチェック機能という点で、執行機関が多元的であることの意味は、やはり大きいんじゃないかと思いました。それが一点目です。
 二点目です。教育長は首長の補助機関ということになっているわけですが、これ、日常は指揮監督権を持たないということが11ページに小さい字で書かれてあるわけですが、地方自治法上、補助機関で日常は指揮監督権を持たないということは、究極的には、それが本当に可能なのかということは、ちょっと考えないといけなくて、つまり、補助機関であるということは、究極的にはラインであることを否定しようがないんじゃないかということがあります。
 先ほど貝ノ瀨委員からも御指摘があったとおり、自治法上、執行機関でも補助機関でもないような類型を何か自治法の中で設定しないと、なかなかA案の中で教育長は首長のラインではないということを出すのは難しいんじゃないかと。つまり、地教行法をいじっただけでは難しくて、地方自治法の枠組み自体もかなりいじらないと、執行機関でも補助機関でもない第3の類型みたいなものがないと、結局首長のラインに教育長が置かれてしまうことにはならないのかなということをちょっと考えましたので、地方自治法上の新しい類型というものがA案では必要なんじゃないかと思いました。
 次にB案です。B案は簡単に3点ほどなんですが、現状と代わりばえがしないというのは確かにA案と比べるとそうなんですけれども、教育委員会制度の歴史的な経緯を見ると、やはり教育委員会と教育長の関係というのは、1956年の任命制になったとき以来の大きな改革で、時系列的に見ると、やはり、これは大きな変化だとは思います。しかし、やはりA案と比べると代わりばえがしないと言われると、そうなのかもしれません。
 そこで、どのように改善する必要があるのかなということなんですが。13ページの図の中で、B案の制度改革後のイメージという図があるんですけれども、どうも首長さんが切り離されているようなイメージを持たれがちなんですけれども、実際は、もちろんそんなことはなくて、現状でも教育委員の任命をしていますし、予算を持っていますし、中長期計画を通じて影響力を発揮することができるわけです。例えば、この首長さんから、もうちょっと矢印をいっぱい出す。例えば首長さんが教育委員会とか教育長に対して調査勧告権を持つであるとか、あるいは限定された範囲で一定程度、首長に委任ができるようにするであるとか、そういった、この図の中で、首長と教育長と教育委員会の間で、もう少したくさん矢印を付けて、首長さんの関与をもう少し強めると。しかし、多元的な執行機関は維持して、首長と教育委員会でしっかりチェック・アンド・バランスを保って、お互い、それから教育長もきちっとコントロールできるようにするということが必要なんじゃないかなと思いました。この図の中で、もう少し首長さんの関与を強める、しかし指揮監督権は直接には持たないという形ですが、しかし、いろいろな矢印が出るようなイメージで図を変えてもいいのではないかと思いました。
 それから関連して、教育長の罷免要件というのが先ほど辻委員の御議論の中であったんですけれども、これ一つ、教育委員会を任免に関わらせるいうやり方もあり得るのかな。議会の場合、選挙で首長さんの野党側が半数とっちゃうと、もうデッドロックになっちゃうんですけれども、教育委員さんは基本的には、議会同意は必要ですけれども、任期がありますので、教育委員会が教育長の罷免に関わる。例えば同意権を持つとか、そういう制度設計もあり得るのかと思いました。
 それから最後、すみません、三点目です。社会教育とか文化財保護の扱いなんですが、これは以前の議論で出たように、何が問題かというところがまだ明確になっていませんので、ここは、やはり問題点をきちっと検証してから制度設計に取り掛かるということで、今回については現状維持がいいんじゃないかなと思いました。
 すみません、ちょっと長くなりましたが、以上です。

【小川分科会長】  この後、三人ぐらい御意見を伺いますが、ちょっとその前に、この間、諸事情で欠席が続いている帯野委員から、どうしても文書発言を、簡単にでもさせてほしいという依頼がありましたので、事務局の方で簡単に御紹介いただけますか。その後に、二見委員、櫻井委員という順でやらせていただきます。

【堀野企画官】  それでは、海外出張中で帰国がかなわないということで、書面で参加させていただきたいとして送られた意見です。読み上げます。
 頂いた資料のうちでは2-1。2-1というのは前回の資料で、今回の資料は、まだ届いたばかりで目を通されていない。2-1、今回ではA案ですけれども。
 2-1が最も適切であると考えます。ただし、首長の附属機関である限りは、首長から必ず諮問を受けるべきです。そして、教育長や事務局の執行に問題がある場合は議会、首長に勧告を行うことができるように考えていただきたいと思います。そうして最終責任が首長にあることを明確にする必要があります。
 政治的中立性については、余りこだわる必要はないと考えます。むしろ教育委員会が機能を果たせなかった理由の一つに、首長の教育への関心が薄く、それが故に適切な緊張感が保たれなかった自治体もあると考えます。また、中立性にこだわれば、議会すら中立であるか否か、様々なケースもあります。
 皆様の意見にもありましたように、委員を常勤で置くのは難しく、志ある人であれば非常勤でも十分に務丸と考えます。ただし、その場合、事務局の問題があります。御参加の教育長、それに率いられている教育委員会事務局のような場合であれば問題ありませんが、数多くある事務局では、組合との仲介役のような存在も見られます。その中で教育委員が適切に職務を果たせるか否かは保証の限りではありません。
 制度と運用の問題の御指摘もありましたが、運用は飽くまで人に基づきますので、やはり制度として確立し、繰り返しになりますが、最終責任が首長にあることを明確にして、教育委員会は大綱を議し、答申に対して事務局の執行に問題がある場合、首長、議会に勧告、報告を行えるよう改革すべきと考えます、ということでございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、二見委員、櫻井委員、そして及川委員の順でお願いします。

【二見委員】  それでは、時間がありませんので簡潔に。
 私、A案については、教育長が補助機関ということであれば、副知事や副市長等とほぼ同じような位置付けになるわけですけれども、じゃあ副知事、副市長などに、教育委員会のようなものが諮問機関あるかといったら、ないわけです。そうすると、やはり直接に管理している首長についてチェック機能を果たさなければ、なかなか、そこらあたり、首長の指示を受けてやっている教育長を幾らチェックしても、首長チェックできていなきゃ意味ないと。そういう点では、そこにちょっとA案としては問題が残るかなと思っております。
 もう一点、B案であれば、まさに抜本的な改革、あるいは国民から分かりやすく、しかも教育長の教育行政に対する最高責任者というものがはっきり見えないということであれば、表現的に、もう少し教育長の権限を強くするとかいうことも考えられるのではないかと。いずれにしても、それらのチェック機能を果たす教育委員の選び方も、もう少し改革しなきゃいけないかなとも思いました。
 そういう意味では、中間的な意見でありますけれども、Aの良い部分とBの良い部分が残るような形のものができればといいますが、いずれにしても私、前にも言いましたけれども、執行機関が多元的であるということの方が大事じゃないかなと思っております。
 以上です。

【小川分科会長】  櫻井委員、お願いします。

【櫻井委員】  多くの論点が出されました。今帯野さんの報告を聞いていて、私の考えに非常に近いものがあると思いました。
 さっき梶田さんが京都の蜷川府政の頃の話をなさいましたし、門川さんの指摘もありました。それから橋本さんが、有権者が責任を持つべきじゃないかという声もありました。けれども、そもそも、なぜこのようなことを私たちが議論しているかというと、戦後数十年の教育の歴史の中で、様々な問題が起きてきて、日本の教育に、抜本的な間違いがあるんだということに今みんなが気が付いているわけです。
 アメリカも、イギリスも、レーガンさんの教育改革、それからサッチャーさんの教育改革で随分、国家そのものが力強く変わってきたという実態があります。今、日本がそういったところに差し掛かっているという位置付けで、私はこの会に出ております。
 その場合、政治が変であれば、例えば、共産党員でなければ教育委員にもなれないようなことが起きるのでしょうけれども、では、それを防ぐにはどうしたらいいか、国民が教育にもっと関心を持って、政治家や教育に対する考え方を論議する。教育が非常に重要だというのが今の政権の位置付けでありますからには、どういった教育を目指すのかという議論は当然なされるわけですね。そこで選んだ首長が変なことをすれば、これはもう選んだ側の、まさに橋本さんおっしゃるように、責任なんですね。
 例えば蜷川府政で行われていたような教育が、教育委員になる方が共産党員にならなければならないような実態があることを京都府民が知れば、蜷川府政を支持したかどうかは、疑問ですよね。多くのことが分からない、表に出ない。日教組の方々の教育の実態も、なかなか報道されない。したがって、親は学校で子供がどういう教育をされているかも分からない、いじめがどうなっているかも分からないようなことを今、変えましょうということです。政治的中立性というのは、これ、今田さんでしたか、隠れみのにされている側面は非常に強いと思うんですね。
 ですから、私は、首長の政治家の指導といいますか、考えの下に教育長を選び、その教育長に責任を持たせる形で、つまり教育長の責任は首長の責任という同義でありますけれども、そのような形の中で教育を進めていくのがいいんだろうと思います。
 そう考えますと、やはり、これはA案なのかなと。教育における首長の権限と責任を大きくする。しかし、そこにどうしても必要なのは情報公開です。有権者、親たちが何が起きているかを知ることができるような仕組みをもう少し担保すればいいのではないかと思います。
 ここに書いてあることの細かい言葉の説明や、説明要求がございましたけれども、大本のところを押さえておけば、それほどいろいろな問題は起きないのではないかなと感じます。
 以上です。

【小川分科会長】  では、時間がないので、及川委員で最後にさせていただきます。及川委員、どうぞ。

【及川委員】  最初に露木委員がおっしゃった内容と重なりますし、それから、これまで多くの委員の方が指摘されていることと同じことなので、大変申し訳ないんですけれども、一言言わせていただきたいと思います。
 1ページの三つ目の段落の最後の方に、「教育長及び事務局、学校という専門家集団の対応を住民目線からチェックするという役割を果たせない場合もある」ということで何か書いてあります。これ、現行の教育委員会制度で、住民目線からチェックするという役割を果たせない場合もあると書いてあります。
 それで、4ページ目に参りまして、(1)の最後の段落です。(1)そのものはA案を前提にした記述になっているわけですけれども、その(1)の三つ目の段落の最後の方に、「教育長による事務執行を住民目線による第三者的立場からチェックすることとすることを柱として」と書いてあるんですけれども。A案を前提にすれば、教育委員会、教育委員の権限というのは現行よりも弱丸わけですけれども、先ほどの1ページ目に書いてあったように、現行においてすら住民目線でチェックすることができないことがあるという中で、A案にのっとった形で書いたときに、住民目線による第三者的立場からチェックすることを柱とするとあるんですが、ここの部分をどう担保するかということで、やはり、非常に大事なことなんだろうと思います。
 そういう意味で、じゃ、どういうふうに担保するかというところでいえば、例えば6ページに書いてありますように、出ていますように、教育に深い関心と熱意を有する人物を登用するであるとか、議会、所信表明の機会を設けるなどということも、もちろん、これは大切だろうと思うんですが、先ほど来いろいろな、皆さんが指摘されているように、12ページの、やはり法制的な面からチェック機能を強化するということは、これは欠かせないことだろうと思いました。
 その12ページの、事務局から説明ありましたけれども、下から二つ目の黒ぽつのところにある「附属機関という位置づけでそのような拘束力のある権限を持つことが可能であるか法制的な検討を行う」。本当に、ここのところを検討していただきたいなと思います。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 まだ御意見あるかと思いますけれども、また、今回の議論を整理して、次回のところで時間をとりたいと思いますので、前半の議論は、大変申し訳ありませんけれども、これで終わらせていただきたいと思います。
 あと、後半の18ページ以降の議論を、残りの30分で説明含めてやらざるを得ませんので、すみません、すごく時間が窮屈になってしまいますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、また後半の議論を進めたいと思います。18ページ以降、簡潔に事務局から説明をお願いいたします。

【堀野企画官】  それでは、18ページを御覧いただきたいと思います。
 まず公教育における国の最終責任の果たし方についてというところでございますが、最初の白い丸にございますように、戦後の地方教育行政については、地方公共団体自らの権限と責任で行うことを基本としておりますので、国から都道府県に対して、都道府県から市町村に対しては、「指導、助言又は援助」という非権力的な関与しか行えないこととされてきた。
 これについて、平成19年の地教行法改正によって、教育行政の最終的な責任は国にあるという観点から、国による「是正の要求」や「指示」を行うための規定が設けられた。
 しかしながら、地方自治法において、国から地方公共団体への関与については必要最小限度のものとするという規定がある中で、この「是正の要求」や「指示」の発動要件は限定的なものとなっていて、これまで一度も発動に至っていない。
 そして、この点、御意見ですけれども、教育長や事務局、学校等は、何かあったときに当事者として防御的になるおそれもあることから、国が最終的な責任を果たす立場から、必要な手段を用意することが重要という意見があった。
 また、地域固有の事情の中で、都道府県の教育行政部局や市町村の教育行政部局が自らの力で問題を是正できないという状況が続くこともあるため、迅速に対応できるためには国の関与は必要であるという意見があった。
 他方で、国が是正の要求等をした場合に、地方公共団体がこれに応じた措置を講じないときに、違法確認訴訟を提起できるという制度が25年3月に施行されたので、まずはこの制度の活用を図るべきで、地方分権の時代に国の関与を強化すべきではないという意見もありました。
 また、これに対して、違法確認訴訟は有効であるが、時間がかかるという課題があり、緊急性を要する場合には必ずしも有効ではないのではないか。そもそも是正の要求を発動できなければ、違法確認訴訟にも進めないので、是正の要求が必要な場合に適切に発動できるという環境を整えることが先決である。こうした観点から、児童生徒の生命・身体や教育を受ける権利が侵害されたりする場合には、国がしっかりと公教育の最終責任を果たせるようにすることが必要であり、その権限を明確にするための方策を検討する必要があるとしております。
 次に、県費負担教職員の人事権・給与負担についてでございますが、この丸1の二つ目のぽつにありますように、平成17年の中央教育審議会答申において、当面、中核市をはじめとする一定の自治体に人事権を移譲し、その状況や市町村合併の進展等を踏まえつつ、その他の市区町村への人事権移譲について検討することが適当。また、広域で一定水準の人材が確保されるような仕組みを新たに設けることが不可欠であると、こうした提言がなされ、検討課題として続いております。
 20ページの上のぽつにありますように、この問題について、都道府県に人事権があることによって、教職員を育成すべき市町村の当事者意識が薄らぐという御意見、また人事権を移譲して、市町村で教職員を採用することによって、責任と権限を一致させるべきであるといった御意見がありました。
 一方で、中山間地域等においては管理職の不足など広域人事が必要な状況があり、町村単独で人事を行うことは困難である。小規模な自治体で採用試験等の業務が困難なのではないか。人事異動は教職員の一番の研修の機会であるため、できるだけ広域性が必要である等々の御意見がございました。
 こうして、四つ目のぽつですけれども、県費負担教職員の人事権については、様々な意見があることを踏まえ、引き続き、小規模市町村を含む一定規模の区域や都道府県において人事交流の調整を行うようにする仕組みを構築することを前提とした上で、小規模市町村等の理解を得て、中核市をはじめとする市町村に移譲することを検討するとしております。
 そして、現行制度の中でできるアイデアといたしまして、現在、大阪府の豊能地区で、地教行法の事務処理特例を活用して、大阪府から人事権を移譲されて運用されていると。こうした取組がどこでもできるということではないけれども、当面の方策として、都道府県及び関係市町村で合意が得られる地域においては、こういった制度を活用して市町村への人事権移譲を進めていくことが適当である。
 また、事務局で書き加えておりますが、人事に市町村の意見を反映させるという観点では、例えば島根県において、石見地域又は隠岐地域に限って勤務できる者を別枠で採用している例もあり、こうした取組を進めていくことで、採用選考に市町村の意向を反映させるという方策も考えられる。
 また、次のぽつですが、19年の地教行法改正で、同一市町村内における転任については、市町村の判断で行うことができるということになっていることについて、いまだ十分な認識がないのではないか。こうしたことについて適切な運用が望まれるということでございます。
 21ページ、丸2ですけれども、指定都市における県費負担教職員については、給与負担が都道府県の負担とされている。しかし人事権は指定都市にあると。こうした状態を解消するよう要望がされてきた。
 平成17年答申においても、人事権者と給与負担者をできる限り一致することが望ましいという考え方が示されて、検討課題となってきました。
 三つ目のぽつでありますように、指定都市に係る県費負担教職員の給与等の負担、定数の決定、学級編制基準の決定については、指定都市に移譲する方向で見直すことが適当である。その際、給与負担を移管するに当たっては財源調整が必要となることから、安定的で確実な財政措置、また事務体制の整備などについて検討し、関係者の理解を得て進めることが必要であるとしております。
 丸3として、教職員の人事等における校長の意向の反映といたしまして、この会議でもいろいろなアイデアが紹介された、フリー・エージェント制ですとか教員公募制の取組、また予算面における学校裁量の拡大、こうしたことで校長の意向の反映に努めていく必要があるということでございます。
 22ページの(3)教育現場の士気を高める方策として枠囲みの黒丸にありますように、士気を高めるための給与体系という意味では、部活動など職務に応じた手当を考えるべきという意見。一方で、手当ではなくて職階を多段階化して本給で対応していくのが適切じゃないかという御意見がありました。
 また、表彰等の取組を通じて現場の士気を高める方策が有効であるという御意見がございました。
 23ページ。学校評価を通じて、家庭・地域と課題や目標を共有し、教育活動を充実していくべきであるという御意見がございました。
 24ページ。学校と教育行政、保護者・地域住民との関係については、1番目にコミュニティ・スクールや学校支援地域本部の活用を通じて、地域総がかりで学校教育の質を高めることが重要である。
 (2)番ですけれども、国は、コミュニティ・スクールや学校支援地域本部の未設置の地域に対する支援、教職員のマネジメント力向上のための研修等々を推進していく必要がある。地方の教育行政部局においては、自主・自律的な学校運営の促進や、マネジメント力を持った教員の育成、配置が重要である等々の御意見がございました。
 最後に26ページ、今後の展望といたしまして、今後は、学校運営協議会を基盤とした、学校・家庭・地域の三者の協働体制の在り方を検討すべきであるとして、これまでに出た意見を整理をしております。
 説明は以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。あと残り10分ほどしかございませんけれども、皆さんから御意見を伺いたいと思います。御質問も含めて、いかがでしょうか。
 橋本委員、どうぞ。

【橋本委員】  19ページの上の方です。「国がしっかりと公教育の最終責任を果たせるようにすることが必要であり」ということが具体的には分からないんですけれども。地教行法を改正する、そしてもう少し国が積極的な関与ができるようにするということだろうと思いますけれども、例えば竹富町でいえば、もう既に自治法に基づく是正の要求をやっているのかどうか。そして、やっているんだとすれば、その次の違法確認訴訟というものを考えているのかどうか。
 例えば今考えられているような、今の法律の生命、財産云々(うんぬん)のところを切って範囲を広げるということになるんだとすれば、それによって、どういう効果が出てくるのか。例えば代執行ができるように、そこまで持っていくのか、強制的に事務をさせたりするように持っていけるのか。そういうことは、まず考えられないわけでありますので、考えられないんだとしたら、今の制度とどう変わってくるのか。その辺について、しっかり説明をしてもらう必要があるのではないかなと思っております。
 先ほど申し上げましたように、自治法に基づく是正の要求というものは今でも利用可能なわけで、利用しないでいて、何でそういう片方での法律の拡充、拡大ばかり、地方分権の時代に、地方に国が口を出すことばかり考えているのかということについて、少し説明を頂けたらと思います。

【小川分科会長】  事務局等で今やりますか。

【堀野企画官】  これまでの審議の中でも説明、御議論があったことですけれども、先ほど説明いたしましたように、平成19年に地教行法の中に新たに「是正の要求」や「指示」といった規定が設けられたわけですけれども、この発動要件は、地方自治という大原則の中で、極めて限定的な場合にしか発動できないように、要件を非常に厳しく設計をされていると。こうした状況の中で、例えば、これまでも例示をしているのは、八重山地域において共同採択で、三つの自治体で協議をした結果に基づいた教科書とは異なる教科書を採択しているということについて、新たに作った地教行法で対応できるかと考えた場合に、教育を受ける権利が侵害されていることが明らかという要件がありまして、法律にのっとった教科書ではないけれども、地域の篤志家の寄附で配られている検定教科書があるときに、教育を受ける権利が侵害されているのか、それは明らかなのかというところに疑義が生じる。こういったところで、そもそも抑制的に発動すべき規定なので、思い切ってやるというようなやり方は、なかなか難しい。
 また、指示の条文についても、生命、身体の保護のため、緊急に必要がある場合という要件がありますけれども、大津の事件をはじめとして、いじめによる自殺事件が起きた後に、子供が自殺してしまった後で、「生命、身体の保護のため、緊急の必要がある」という要件を満たしているという解釈もできなくはないかもしれませんけれども、そこが明らかになっていないと思い切って使うことがなかなか難しい状況もございますので、新たな規定は作ったけれども、ほぼ発動できる場面がないような状況になっていて良いのかという観点から、再生実行会議でも議論がなされてきたということでございます。

【橋本委員】  一言だけいいですか。

【小川分科会長】  じゃ、一言だけ。

【橋本委員】  地教行法の規定使わないで、自治法の方では、法令の規定に違反するときはという規定があるので、それを使っていけば十分できるんですよね。そして、従わなかったら違法確認訴訟をやればいいというときに、何でそれをやっていかないのかということについて全く説明になっていない。そしてまた、1校ずつやるのは違反だと言いますけれども、片一方で、既に分権改革推進委員会からも、もう少し小さい範囲にしたらということも答申が出ているし、あるいは国立学校、私立学校は1校ずつ選んでいる。そういう状況の中で、法令違反であることは間違いないから、まずそれを片付けていく。そして、これからどういう制度にするかということは、地方分権改革推進委員会の答申なども踏まえて検討していくことが必要なのではないかなと思っていまして、今の説明では全く納得できないと思っています。

【小川分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 尾上委員、どうぞ。

【尾上委員】  22ページの教育現場の士気を高める方策ということなんですが、私ども一度、スーパーティーチャーという形で、先生の評価をする方法を問われたことがあります。そういった場合、人気取りにならないとか、しっかりした、そういう方策が持てるのであれば、本当にそういう、要は物作りであれば、たくみの技能工とか、そういった的なスーパーティーチャーの存在は必要かとは思うんですが、ともすれば、そういった基準がしっかりしていないばかりに人気取りになって、子供目線でしっかりした対応ができない、いわば、本当に自分だけのために、そういった表彰のために動いてしまうことはないかという心配事もありました。
 ただ、そういった面では、教職員同士がうまくいっておかないと、中でのひがみやねたみとか、足を引っ張りにもつながってくるということで、逆に良くない評価を受けた教職員に対してはどうするのかということの問題も出てきます。
 そういった面からすると、やはり学校全体の士気を高めないとうまくいかないという方が重要なんじゃないかなと思います。
 ただ、校長、教頭、管理職にあっては、通常の普通の教職員より給料が低い校長、教頭がいらっしゃいます。そういった面では、リーダーシップをとるべき管理者の士気も、給与という面からすると、士気が落ちていることも考えられるんじゃないかということもあると思います。
 また、24ページにも書かれていますように、やはり学校運営の促進やマネジメント力を持った教職員の育成及び配置というのは、私はすごい大事だと考えております。学校経営がしっかりしておかないと、地域とのうまく連携とか、保護者との連携もとりにくいということがありますし、地域が抱えている問題とか、地域の諸事情を分かっているのは、やはり住民とか保護者であると思います。そこに学校経営者である校長が入って、しっかりした学校経営の方向性や中長期のことが必要だと思いますが、そういったことをやっていかないことには、目先の、いわば話、問題起こったことだけの対応になりがちなことというのは多々あると思いますので、例えば少子化が進んでいる。いわば地域の人は学校があるから大丈夫と思っていることが多いんですが、どんどん、どんどん子供が減ってきて、教室が複数学級になったりということも知らずに、学校の形があれば大丈夫と考えている人が多いです。
 そういった面からすると、学校を中心に、その地域をどうしていくのかということを考えていくのには、やはり地域住民の参画は必ず必要なんじゃないかなということと、学校関係者評価が、そういった面では反映されていく形が、本当にいい形になっているということで、今実施されているのが、最終的には活用の方法がどういうふうになるのかというところは心配なところであります。
 いろいろな面で、やはり学校を中心としたコーディネーター役というのは本当に必要かと思っております。なかなか二、三年の校長、教頭の就任地域では、地域の諸事情が分からず、分からないまま、うまくコミュニケーションとれずに、地域のことも分からずに、学校経営の方針を出すといっても、やはり継続した中長期のものがあれば、そういったものを転用しながら、自分の意見も入れながら、住民の意見を聞きながら、保護者の意見を聞きながらという形の計画になっていくのじゃないかなということで、本当になかなか、私たち保護者、住民が入ってくる余地の少ないような、いろいろな面での教育制度が多いので、是非とも参画させてほしいなと思います。
 意見です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 門川委員、どうぞ。

【門川委員】  3点、できるだけ簡潔に申し上げます。一つは、18ページのところですけれども、地方分権は当然大事であります。できるだけ国の関与が少なくするのは当然のことであります。ただ、せっかく作った条文が実質的に適用できない。適用できなかったら地方自治法の規定を使ったらいいと、これも一つの考え方でありますけれども、この地教行法が適用できるような強化をすることは、私は国民の理解を得られると思います。大津市で起きたいじめによる自殺事件のようなことが起こったときに、緊急に文部科学省において調査委員会を立ち上げて、オープンな下に調査し、早急な改善を図るということは大事だと思います。
 先ほど梶田先生が昔の京都府の話をおっしゃられましたけれども、十数年前まで、都道府県と指定都市の教育長は、文部大臣の承認を得て発令することとなっていました。文部大臣が教育長候補者を面接していた。これは地方分権の流れの中で廃止され、少し分かりにくい現行の教育委員から教育長を互選で選ぶ仕組みとなったんですけれども。以前、この文部大臣の承認がされなかったケースがあった。京都府で、教育委員会が岡田さんという方を教育長に任命したが、文部省が承認しなかった。多分、このようなケースは戦後1件か2件ではないでしょうか。これにより、京都市の教育委員会は政党色の非常に強い教育長が就任することを避けられました。
 だから、現行の仕組みが導入されるとき、京都市は、地方分権は大事やけど文部大臣の承認は残すべきだと主張しました。かつてはこのようなこともあったわけです。今や考えられないようなことと思われるかもしれませんけれども、そういう圧政の下で地方自治をやっている場合があるわけです。
 だから、地方自治、地方分権は本当に大事ですが国民への徹底した公開の場の下に、国が責任を果たすということも大事だと思います。今言ったような教育長の承認制に比べても、非常に限定的な、緊急時の指導についての議論であり、デメリットも少ないのではないか。
 次に21ページですけれども、政令指定都市への教職員の給与等の移譲は大事だと思います。ここに「事務体制の整備などについて検討し」と書いていただいておりますが、事務体制の整備並びに財源の確保ということもお願いしたいと思っています。
 もう1点ございます。指定都市の住民は都道府県税を払っているわけです。その前提の下で、都道府県に対する単費加配者についてですが、都道府県の裁量の下で、政令指定都市には加配されないということになりかねないわけです。非常に問題のある制度となっている。ですから、その辺についても考慮をお願いしたいと思います。
 最後に24ページですけれども、コミュニティ・スクールの導入拡大と住民参加は非常に大事であります。これこそが抜本的な教育の改革だと私は思います。親も地域も責任を持つ。学校の先生の責任だけにしない。責任を持つと同時に意見も言うと、こういうことであります。
 しかし、これを進めていくためには、非常に事務的な手続も煩雑になり、教職員が忙殺されることがあるわけですね。こうしたことに対する特別な措置もしなければ、学校の先生がコミュニティ・スクールに関する実務的なことに時間をとられているということになりかねない。こういった点につきまして、教職員の増員等の措置も必要だと思います。その点もお願いしたいと思います。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 辻委員、どうぞ。

【辻委員】  私は大きく2点なんですが、一つは、この後半の部分のところでは、割と地域なんかも含めて、学校全体をどうやってマネジメントしていくかというところも射程に入っている部分だと思いまして。今回、いじめ等の問題なんかも含めても、実際の学校教育をどうするかという意味では、やはり学校単位のマネジメント能力を強化していくというのは私、非常に重要なことだと思います。
 19ページの県費負担教職員のところにも、最後に校長のリーダーシップと書かれて、大学改革でも、最近、学長のリーダーシップとよく言うんですけれども。学長のリーダーシップも重要なんですけれども、大学全体でどうやって適正にマネジメントを果たしていくかということが重要なので、多分ここのところも、校長のリーダーシップも含めて、学校全体でどうやってマネジメント能力を発揮していくかという視点を、もう少し強化していただけたらと思います。
 今起きている問題というのは、やはり、この学校でどうやって第一次の現場にどれだけ対処するかということを考えると、18ページのところに出ている最終的な国の責任の果たし方ということに関しては、私はいろいろ考え方はあると思うんですが、この点は、先ほど橋本委員も指摘されたのと似たような疑問を私も持っていまして。それは、まず大前提で地方分権でずっと来ていると。それは、地方分権で自主的に自分たちで責任を持っていって、それに対して有効に国が助言していくと。そうしていくことの方が、自立力を持って、結果的にはうまく対処していけるという大前提があって、この大前提は、やはり、教育においては、なおさら私は有効じゃないかと思います。
 その上で、仮に地教行法の関与の要件を緩和したとしても、やはり残るんですよね。これに対して違法確認訴訟の方は、基本的に要件はないので、手続さえとれば、あらゆる分野について、この手続はとれるんですよね。しかも、何かこっちの方が強力なんですよ。
 したがって、よく例示で出されている事例からすると、それは多分、法律問題も含めてがちがちにやった上で、しかるべきところでやらないと無理な案件で、いわゆる昔ながらの行政指導でやっていくような話じゃないということを考えますと、私はまず、この違法確認訴訟をしっかり本当に使っていくと。
 日本は法治国家ですから、法律を運営するのにある程度時間がかかるのはやむを得ないんですよね。それも含めて、本当に今で不十分なのかどうなのかということについては、いま一段の検討が必要じゃないかと思います。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。もう時間もありませんけれども、あれば。
 では、白石委員、そして梶田委員のお二人で終わらせていただいて構わないでしょうか。よろしいですか。では、白石委員、梶田委員ということで、お願いします。

【白石委員】  19ページから20ページにかけて、県費でやっている教職員を地方へ移した場合、確かに中核市と大きな都市はいいんですけれども、小規模市町村にとっては、なかなか厳しい状況はあります。
 ただ、前半で議論しましたように、首長に教育に関するいろいろな役割だとか責任を持たせるということであれば、いろいろな問題はありますけれども、やはり、それぞれの市町村で基本的に教員についても採用、異動するということの方が、住民にとっては非常に分かりやすいのだと思うんですね。
 大都市の場合は分かりませんが、我々のような小さな町村では、どういう観点でその先生を採用したかというのが分からないまま、異動で町村の学校に赴任をしてくると。町内の学校の先生は町の職員であるという位置付けをしているわけですから、そうであるなら、そのあたりをもう少し、それぞれの市町村で責任持って雇用し、異動させる、育成をしていくということの方が、難しい問題はありますけれども、目指すのであれば、そういう方向も一つあるのかなと。
 確かに財政の問題とか、いろいろな問題はあります。しかし、それぞれの地域の特性を出していこうとすると、それについても我々市町村の立場から言えば、真剣に考える段階に来ているのかなという感じがいたしますので、一言申し上げておきます。

【小川分科会長】  では……。

【梶田委員】  じゃあ、私の方でちょっと簡単に。18ページですけれども、「教育の第一義的な責任は地方公共団体にあるが」と、これはちょっと誤解を招くんじゃないかなと。これ、ひょっとしたら親にあると言った方がいいのかもしれないしですね。
 ですから、教育には、例えば地方公共団体、あるいは学校法人等、設置者が直接責任を持たなきゃいけないがと、そういう言い方に改めた方がいいんじゃないか。
 これを見ていますと、教育行政というのは、公立の学校のことしか入っていないようですけれども、やはり、どこか頭に置かなきゃいけないのは、高等学校なんかになると非常に、幼稚園もそうですけれども、比重が大きいんですよね。それから、小学校、中学校、義務教育でも今、例えば関西では、私学がどんどん増えているんです。これの問題、今日は、そういう問題じゃありませんので。これも、きちっとカバーできるようなことを考えなきゃいけない。これ、一つ。
 もう一つは、これ、考え方の問題ですけれども、地方分権、とても大事です。もう何でもかんでも国が口を出して、こういう時代じゃありません。ただ、やはり、例えば義務教育というのは国の責任でやらなきゃいけない面があります。したがって、規定そのものは、私は。ここには国が口を出せるのは非常に、もちろん限定はしなきゃいけないけれども、例えば教育内容については全然書いていないわけですね。でも、今問題になっている道徳教育どうするかとか、教科書採択どうするかということについても、かなり、これ問題だなということであれば、別に命令でなくていいんですけれども、問題提起ぐらいは、やはり国がしていかなきゃいけないだろうと思います。そういうことが可能になるような整備の仕方ですね。
 それから、その整備をしていくときに、いっぱい書いてあってね。ただし私は、それは発動する必要はないと。伝家の宝刀ですから。いっぱい国は、こういう点には、例えば是正措置を命ずることができるとか、あるいは勧告することができるとか、あるいは指導することができるとか書いておいたらいいんですけれども、ただ、それは伝家の宝刀で、私は一番望ましくは、1回もそれが発動されないのが望ましいと、そういう前提で、この辺も法令の整備をお願いしたいとなと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。時間が多少過ぎましたので、今日はこの辺で終わらせていただきたいと思います。
 今日皆さんから頂いた意見については、事務局とも相談しながら、次回の提案文書に反映させていただきたいと思います。
 次回も引き続き議論を深めて、分科会としての取りまとめを考えたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 次回の会議の詳細については、また後ほど事務局から御連絡が行くかと思いますけれども、あらかじめお知らせしておきます。10月10日、午前10時から12時まで。場所は文部科学省の3階の特別会議室を一応予定しております。後ほど、また事務局から詳細な御連絡が行くかと思いますので、よろしくお願いします。日程は10月10日、午前10時から12時までということです。

【堀野企画官】  10月10日、15時から17時と。

【小川分科会長】  15時からですね。すみませんでした。
 ほかに事務局からよろしいでしょうか。
 それでは、今日の分科会はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

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