教育制度分科会(第31回) 議事録

1.日時

平成25年8月28日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 地方教育行政の在り方について
  2. その他

4.議事録

【小川分科会長】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第31回目になりますけれども、教育制度分科会を開催したいと思います。本日は、お忙しいところ、御参加いただきましてまことにありがとうございます。
 会議を始める前に、本分科会に初めて出席される委員がおられます。
 公益社団法人日本PTA全国協議会の会長の尾上委員でございます。尾上委員、何か一言御挨拶あればよろしくお願いします。

【尾上委員】  はじめまして。おはようございます。お世話になります。先ほど御紹介いただきました尾上と申します。どうぞよろしくお願いします。
私たち保護者は社会でいえば責任世代でもあり、地域でいえば本当に中核的な役割を果たす立場でもあります。もっともっと地域での中心的な役割と、架け橋の役割という自覚を持って保護者としての責任を果たしていくべき、地域の一員として責任を果たしていくべきと思っておりますので、是非ともそういった視点から意見を述べさせてもらえたらと思います。どうぞよろしくお願いします。

【小川分科会長】  よろしくお願いします。
 森委員が10分から15分ぐらい遅れて参加ということの連絡が入っております。その他は全員、今日の出席予定の委員は参加されております。今日もよろしくお願いします。また、義家政務官にも御出席いただくことになっております。後ほどお見えになるかと思います。
 続いて、本日の資料について事務局から確認をお願いいたします。

【堀野企画官】  配付資料を確認させていただきます。議事次第にございますように、配付資料として資料1から資料4、また、参考資料がございます。不足等ございましたら事務局までお申し付けください。
【小川分科会長】  資料はよろしいでしょうか。
 それでは、議事に入っていきたいと思います。1週間前ですけれども、前回の会議では諮問事項1の教育委員会制度の在り方について具体的な制度設計をどうするかという点について、主に新しい教育委員会の位置付けを中心にしながら議論してきました。
 今日の会議では前回の議論を引き続き議論する時間はとりますけれども、しかし、もう一方で、前回の会議で十分議論できませんでした3以降の、例えば教育委員の任命の在り方とか、新しい教育委員会の審議を必要とする事項などの論点について、前回はあまり時間がとれませんでしたので、そちらの方に時間を大幅にとって進めさせていただければと思います。最後に、後半の方では、諮問事項の2、教育行政のおける国、地方の関係の議論もできればやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、今日の議論に関わって、資料を事務局の方から説明していただきたいと思います。事務局の方からは今日の配付資料を一括して説明いただいた後に、あと時間が七、八十分あるかと思いますので、少しテーマに即して2つか3つぐらいの時間帯に分けて議論を進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、事務局の方から説明をお願いいたします。

【堀野企画官】  それでは、資料1を御覧ください。資料1は基本的に前回配付した資料と同じでございますが、1ページ目の上の段、教育委員会が現在執行機関であるところ、改革の方向性というところで、2の性格を改めた執行機関といった場合に、前回の資料では「審議やチェック」と書いてありましたけれども、執行機関であれば、審議だけではなくて、決定もするのではないかという御指摘がございまして、資料を訂正しております。「審議・決定」を加えております。
 前回につきましては、この1ページ、2ページについて議論を多々頂きましたけれども、本日は3ページ以降の部分について重点的に御議論いただければと思っております。3ページの部分、前回欠席の委員も多かったので、若干説明いたしますと、首長と教育長との関係ということで、再生実行会議では、教育長を首長が議会の同意を得て直接任命する、あるいは罷免するという提言となっておりますが、その場合に、まず、任命の方でいえば、任期を首長と連動させるのか。新しい首長さんが当選したときに教育長をその場で、今いる方に辞めていただいて、新しい教育長を任命できるようにするのか、あるいは現在と同じように、教育長は任期を最後まで全うしていただいて、その後に新しい教育長を任命するのか、そういった論点が1つございます。
 もう1点目は罷免の方ですけれども、首長が議会の同意を得て教育長を罷免できることとする場合に、どういう要件で罷免できるようにすべきなのかという点ですけれども、おさらいいたしますと、この参考条文にございますように、現在の教育委員につきましての罷免要件は、この第7条にありますように、「心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合」、あるいは「職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合」ということで、その他、様々な行政委員会と同様に、非常に限られた罷免要件となっておりまして、一定の身分保障がなされているというのが現在の制度でございます。
 その対極にあるものとして、副知事や副市町村長については、任期中いつでも解職できるという制度でございます。これは首長との一体性を重視して、独立というよりは、首長と一体ですので、いつでも解職できるという制度があります。
 その間ということでいいますと、ここに地方公営企業法とありますけれども、いわゆる東京都でいえば、都営バス、都営地下鉄、あるいは水道、下水道、こういったものを管理している公営企業管理者につきましては、この罷免の要件が「心身の故障のため」というものに加えまして、「管理者の業務執行が適切でないために経営の状況が悪化したと認める場合」という要件が加わっております。これに類する要件を教育長の場合にも何か設けることができるのか。教育状況が悪化したというだけですと、様々な、いつでも悪化したとも言い得るしというところもありまして、限定の仕方というのは難しい面があろうと思いますが、こういった要件について御議論いただきたいということでございます。
 次に、10ページでございますけれども、どのような制度にした場合であっても、教育委員にどういう方を任命するかということが重要な条件になってございます。教育委員の任命については、任命の手続は教育再生実行会議では特に示されていない。誰がどうということは示されておりません。現在の教育委員は首長が議会の同意を得て任命しているというこの手続についてどう考えるか。あるいは教育委員になっていただく方、レイマンだけでいいのかという問題ですとか、ただ有識者というだけではなくて、何かしら教育に関わってきた、あるいは教育に高い関心を持ってきたという方を選ぶ必要があるのではないか等々の意見がございました。この点についても本日深めていただければと思っております。
 次に、11ページですけれども、新しい教育委員会において審議をする必要がある事項は何なのかという点でございますけれども、これについて、前回の議論で新しい教育委員会が諮問機関なのか執行機関なのかという議論についても、具体的にこの合議体で何を決めるべきなのかということを議論していただいた上で考えるということも重要ではないかという御指摘がございました。この点につきまして議論を深めていただくために資料2を用意しておりますので、資料2を御覧ください。
 教育再生実行会議の提言を受けた新しい教育委員会というものは一般的にどういうことを期待されているかということをまとめてみますと、上の段にありますように、教育再生実行会議で示された2つの役割というものがございます。1点目は政治的中立性、継続性・安定性を確保するために教育の基本方針を徹底的に議論して教育施策に反映させるという点がございます。2点目といたしまして、教育の事務の執行、教育長が行う事務執行を厳正にチェックする。現行の制度においては教育委員会と教育長の権限と責任が一体化しているということでございますけれども、これを教育長との緊張関係の中で、一歩離れたところから教育委員会がチェックする。それによって、とかく閉鎖的と指摘されがちな体質についても抜本的に改めるということでございます。
 現行制度は非常勤の委員と常勤の教育長が同じ責任だという制度になっておりますけれども、この点について、教育長がとるべき責任、教育委員会がとるべき責任ということを明らかにしていただくべく御議論いただきたいと思っております。
 その際に、2点目として、どのような人選ということですけれども、これまで議論され、指摘されてきたことが大きく4点あろうかと思っております。個人の資質能力と関わりなく、充て職や首長選挙の論功行賞などで委員が選ばれるということであってはならないということ。それから、非常勤であっても、強い責任感を持って会議等に時間を割いていただけるような人物と登用すべきであるということ。3点目に、委員の任命に当たっては、その資質を十分担保できるように、議会同意の際に教育に関する識見がしっかりあるということが十分確認できるようにすべきである。4点目に、コミュニティ・スクールや学校地域支援本部で活動しているといった方を含めまして、児童生徒の教育にしっかりと情熱と識見を持っている、こういった人物を任命する必要があるという御意見がございまして、こういった点についてどのように実効性を担保していくかということを御議論いただきたいと思っております。
 さらに、上の教育委員会の役割について1枚めくっていただきまして、具体的に新しい教育委員会の責任で行う事務のイメージというものをまとめております。上段は基本方針、下の段は教育長に対するチェックという2段構成でまとめておりますけれども、上段の教育方針につきましては、例えば教育行政の基本方針あるいは主要施策の実施方針、あるいは教科書等の取扱いをどうするか、議論するのか、採択までするのかといった論点がございます。また、教育委員会規則の制定、重要なものについては当然規則制定というのはするのでしょうけれども、形式的な規則改正をすべて議案にかけるということで随分時間をとられているのではないか。むしろ実質的な議論ができない、形骸化の原因になっているのではないかという御議論もあったところでございます。
 教育機関の設置・廃止、学校の設置や統廃合、あるいは高校であれば学科の設置や改編、募集停止、こういった重要事項も議論の材料に挙げられると考えられます。また、教職員人事につきましては、人事は取り扱う必要があるという御意見もあれば、教職員一人一人の人事異動まで、顔も分からないのに決定するということが非常勤の教育委員にできるのかという御議論もございました。どこまで本当に教育委員会ができるのかという点でございます。また、教育長、教育委員会自身の点検・評価、予算案の提出、こういった様々な事項がこれまで議論になりました。この○×というのは、これまで議論に上がったことを挙げておりますけれども、こういったそれぞれ一つ一つの事項について、非常勤の委員の合議体で判断し、決定して、その責任がとれることなのか。あるいはプロの教育長に委ねるべきことなのかということについて御意見いただきたいと思っております。
 また、下の段ですけれども、教育長の事務執行をチェックするといった場合に、具体的に何がチェックかということで、想定されることを挙げてみますと、近年問題となっている児童生徒のいじめ、自殺の問題。こういった場合に、自殺事案が生じた場合に教育長に速やかに報告を求めて、非常勤の委員の方々ができることとしては、今のやり方で本当に大丈夫なのか。生徒へのアンケートとかというのは実施したのか。あるいは遺族とうまくいっていないようだけれども、第三者委員会を設置して調査を進めた方がいいのではないかとか、そういった観点から教育長に指示なのか助言なのかといったことをやるという役割が期待されているのではないかと考えられます。
 また、教職員の不祥事、体罰についても大きな報道がなされており、問題となっておりますけれども、こういったことについても日頃の状況についてチェックを求め、どのように再発防止を進めていくかということについて、ただ通知を出すだけでよいのか、これぐらいの割合で必ずこの期間内に校内研修で徹底しなさいということですとか、あるいは委員会を作って不祥事防止の方策を考えなさいとか、そういった観点からの指摘というのが非常勤の方々に期待されるのではないかと考えられます。また、重大な交通事故といった場面においても、児童生徒が死亡するといったような事故が地域で起こることもありますけれども、その際の再発防止策というのは、その事故が起きた場所だけでいいのか、あるいは市内全箇所をきちんと点検した方がいいのではないかとか、そういった観点からの指摘というのが教育委員会の合議体で、例えば考えられるというふうに思われます。
 こういった観点から個別には教育長が実施するわけですけれども、教育長に対して住民目線でそのやり方でいいのかとチェックする、指摘する、ということが期待されている役割の例として挙げられると考えました。この点について、具体的に教育長がやるべきこと、教育委員会の合議体がやるべきことという観点から御議論を深めていただければと思っております。
 次に、資料3でございますけれども、前回の議論の中で公安委員会というのを例示に挙げたことに関しまして、その解釈はどうなのか。公安委員会が管理するということの解釈はどうなのかという質問がありましたけれども、警察庁に確認いたしましたところ、この3つ目のところに書いてあるとおり、やはり警察白書に書いてあるこの内容が警察法の所管官庁である警察庁の公式見解であるという回答を頂いております。都道府県公安委員会が都道府県警察をチェックする、管理するという意味は、事務執行の細部について個々の指揮監督は含まないが、大綱方針を定めて、即しているかどうかを監督する。大綱方針に適合していない場合は必要な指示をするという意味の管理を行う執行機関であるという例でございます。
 その他、執行機関様々あるという御説明をいたしましたけれども、例えば人事委員会でいいますと、給与とか勤務時間、そういった勤務条件について人事委員会で人事委員会勧告を行うということ受けて、首長部局で勤務条件の決定は行う。あるいは採用試験等の試験選考は人事委員会で実施して、実際に採用するのは首長。また、逆の話で言えば、首長が分限処分、懲戒処分をした際の不服申立て等々について審査を行う。人事委員会の方で不服申立ての審査を行う。こういう関係の役割を負っている執行機関もございまして、監査委員については、御案内のとおり監査をするという役割の執行機関もあるということでございます。
 以上、補足でございます。
 最後に、資料4でございますけれども、もう1つの大きな重要な論点といたしまして、国と地方の関係、いわゆる是正の要求と是正の指示についての論点でございます。御案内のとおり、平成19年の法律改正によって、ここにある地教行法49条、50条の条文が設けられております。49条の是正の要求につきましては、平成19年当時、特に高校の世界史が必修であるところ、それを授業でやっていないということが大きな問題になりまして、それを教育委員会がきちんとチェックしていないということが問われたわけでございます。
 これを受けまして、この49条にありますとおり、都道府県教育委員会、市町村教育委員会の事務が法令の規定に違反している、あるいは事務の管理執行を怠っているというときという要件と教育を受ける権利が侵害されていることが明らかである場合。このような場合に地方自治法に定める是正の要求を行うという趣旨の条文が平成19年に設けられております。それ以後、まだ一度も発動はされておりません。
 その間、過去にも説明いたしましたが、沖縄県の八重山地区での教科書採択におきまして、八重山の採択地区協議会の協議の結果に基づく教科書とは異なる教科書を竹富町教育委員会が採択したということで、その違法状態が2年にわたって続いているという状態がございます。そして、これについて是正の要求を発動できるのかというときに、現在教育を受ける権利を侵害されていることは明らかという2つ目の要件がありますけれども、協議の結果に基づく教科書、無償措置される教科書ではない教科書ですけれども、違う教科書が篤志家の寄附によって配付されているというときに、教育を受ける権利を侵害されていることが明らかだといえるのか。そう解釈してよいのかという疑義があります。そういったことも含めて、現在是正の要求を発動していないというのが現状でございます。
 もう1点目の是正の指示、50条でございますけれども、50条につきましては、平成19年当初の改正の際には、平成18年のいじめ、自殺事件、北海道の滝川市ですとか、福岡県の筑前町で起きたいじめによる自殺事件の際の教育委員会の対応が適切ではなかったのではないかということが随分と問題になったことを受けまして、都道府県教育委員会や市町村教育委員会の事務の執行が、ここにある3つの要件、法令に違反している、又は、事務の管理・執行を怠っているというときであって、生徒等の生命、身体の保護のため、緊急の必要がある場合。さらに、他の措置によっては是正を図ることが困難である場合。この3つの要件を全て満たした場合に初めて文部科学大臣が是正の指示をすることができるという条文が作られたわけでございますけれども、この点についても平成19年以降も大津におけるいじめの事件、その他、現在でもいじめによる自殺と見られる事件について、多々問題が起きておりますが、この指示が発動されたことはないということでございます。
 特にこの2つ目の要件、生命、身体保護のため緊急の必要がある場合といった場合に、自殺事案が起きてしまった後であっても、緊急の必要がある場合といえるのかどうかという疑義があるということもあって、これまで発動するきっかけがなかったという状況でございます。
 このような状況がございまして、この地教行法49条、50条という条文は平成19年に、いざという場合には国が関与できるという条文が作られましたけれども、基本的に地方公共団体への国の関与は最小限度のものとするという原則が地方自治法にあったということから、極めて限定的な要件、発動要件として規定せざるを得なかった。そして、国会審議等を通じても、抑制的に運用すべきということが指摘されているところでございます。ただ、その後においても様々な問題が現場で起きているという状況を踏まえて、これをしっかり使えるように何かしら進めていくべきではないかということで実行会議から提言がなされているところでございまして、この点についても御議論いただきたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。今、事務局の方から今日の審議に関わる関係資料を1から4まで、説明いただきました。先ほど説明したように、今日は諮問事項1の教育委員会制度の在り方で、前回十分時間をとることができなかった、先ほど事務局が説明してくれた資料1の3ページ以降と、あと、資料2、資料3を使って、少し諮問事項1に関する議論を行いたいと思います。前半に諮問事項1に関する教育委員会制度の在り方、そして、後半の方で資料4に基づいて、諮問事項2に関わって、国と地方の関係についての議論を少しやらせていただければと思います。
 前回御欠席の方も若干いらっしゃいますので、前回、議論をした教育委員会の位置付け等についても何か御意見があればお受けはいたします。では、森委員からどうぞ。

【森委員】  欠席いたしましたので、少し意見を言わせていただきますと、まず、村上委員の調査をずっとよく拝見いたしまして、感じたことを1つ申し上げますと、通常の場合ですと、市町村長と教育長は極めて良好なコミュニケーションを保っているケースが多くございます。予算をめぐってもそうですし。そういう市町村長から見れば、現状のままでいいというのは当然のことでありますから。私どもが主張しているのは、教育委員会制度をとるかとらないかの選択制を主張しているわけで、大半の方が現状のままでいいと言ったからといって、それはどちらかに統一しろと言っているわけではありませんから、村上先生の御努力に関して特に私は矛盾するものとは考えてはおりませんが、それはそれとしてちょっと置きます。
 それで、非常に大事なことを申し上げますと、いじめ問題とか、そういう緊急な問題が起きたときにどうするかというのがこの委員会のテーマでございましょう。そうしますと、例えば大津市が典型的な事例でございますが、大津市長の意見書、これは文部科学大臣に提出されておりますけれども、やはりもう一度よく精査する必要があると私は思います。つまり、一たび市町村長と教育委員会あるいは教育長とが対立するような関係になったときにどうするかという問題なんでしょう。良好なところは余り問題にはならないわけです。そのときに大津市長がおっしゃっているのは、訴訟の対象は市町村長です。損害賠償請求とか、そういうのも全部市町村長が受けます。それから、条例等の制定も市町村長がやるし予算もやる。そういうふうに現実には最終責任を負わざるを得ない体系になっているのに、制度がそれに伴っていないという問題点を大津市長は指摘されているわけです。そのことをもう一度かみしめる必要があるのではないかというふうに思います。
 しかし、これは大幅な制度改正につながる問題でありますから、拙速にやるかどうかということはまた別の問題なんだけれども、そのことをやはりしっかり頭に置いておく必要があるというふうに私は思います。
 前回の議事録で私は辻先生の意見が最も近いと思いましたけれども、今回出てきた案は、基本的には規則制定権と人事権を教育長に移すというのは、事実上の独任制だと私は判断いたします。規則制定権と人事権というのは最も基本的な権利でありまして、細部が分かるとか、顔が見えるとかという問題ではありません。そうではなくて、誰が責任を負うかという問題であります。これは教育委員会という幅広い見識を持った人たちがいて、そこでの合議制だから規則の制定権も認めているのであるし、人事権も、個々のことに口を出すとか、そういうことではなく、問題が起きたときに最終的に誰が責任を負うかという問題だというふうに捉えるべきなのであって、教育委員が非常勤だから、顔が見える見えないなどという矮小(わいしょう)化された議論ではないはずであります。そのことだけ申し上げておきます。
 それで、私は一地方公務員ですから、市町村長が任命しようが罷免しようが一地方公務員であります。教育委員会はしっかりした行政委員会であります。それとは全く違うということを申し上げたいというふうに思います。ですから、地方自治の根幹に関わる問題でありますから、規則の制定と人事権については承服いたしかねます。これは事実上の独任制になります。一地方公務員が実に強大な権力を持つことになります。これは我が国の法制において、そういうことはないはずでありますので、よくお調べになっていただきたいと思います。
 それから、もう1点です。公安委員会の最大の問題は、県の県警本部長は国家公安委員長が任命するのです。全く違うのです。新潟県の県警本部長は国が任命するのです。そういう仕組みになっている。だけれども、それでは個々の細かいところが行き届かないから都道府県に公安委員会を設けて管理するというふうに規定が置かれているのであって、教育長は国が任命するなんてとんでもない話であって、そんなことを前提としたような議論はやはり私はおかしいと思います。
 ですから、やはり地方自治の根幹に関わる問題として、少なくとも私はまだ選択制にこだわっておりますけれども、規則の制定権と人事権については絶対に容認できないということだけ申し上げておきます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかに。では、比留間委員、どうぞ。

【比留間委員】  すみません。私も前回欠席させていただきましたので、ちょっと自分なりに考えていることをお話しさせていただきたいと思いますが、基本的に今回教育行政の在り方を変えていこうということでいろいろな議論をしているというふうに理解しておりまして。ただ、その中でここだけは押さえておかなければという点があるだろうというふうに思っています。
 その1点は、教育行政の権限を地方から独立させておくということが1点と、それから、教育委員会の性格を改めるにしろ、これを合議制で物事を決定していく機関で残しておくべきだろうというふうに考えております。
 教育について、現状ですけれども、その教育の内容の中には価値観とか、あるいは歴史認識とか非常に意見が対立する分野がある。これは現実にある。そういう物事をそういう状況の中で教育行政の方針を決めていくという場合に、社会的な経験を持った識見の高い、そういう委員が集まって、合議制で一定の方向性を定めていくというやり方というのは非常に納得性を得やすいし、妥当なところに結論が落ち着いていくだろうというふうに考えております。是非この仕組みというか、やり方については残していくべきだろうというふうに考えております。
 首長と教育長の関係について。これは資料の中にもありますけれども、任命、罷免、あるいは罷免の要件というような内容で提示されておりますけれども、教育再生実行会議であったように、任命、罷免の権限は首長が持つというのは実態に即していますし、それが無理がない形なのではないかというふうに考えております。
 もう1点。首長が教育委員を任命する、あるいは教育長を任命するときに、この4年という任期は若干長いのではないかという感じを持っております。例えば3年とか、ほかの行政委員の例でもありますけれども、新しい首長が自分の考え方に沿った教育行政を教育委員会を通じて実現していくという意味で、教育委員の任期について少し検討してみる必要があるのではないか。もう少し短くていいのではないかという考え方を持っております。
 それから、もう1点。首長が教育行政について何らかきちんと関与できる仕組みというのはあってもいいのかというふうに考えております。今現実に教育行政の運営に当たっては、首長とのコミュニケーションなしではあり得ないので、これは実態的にはかなり密な形でやられているわけですけれども、それはあくまで実態上の問題でありまして、制度の上で、例えば意見を述べるとか、そういうのを制度として担保するような何らかの方策があっていいのかというふうに考えております。
 それから、資料2に関連して、新たな教育委員の関係で、先ほど申し上げましたように、教育委員に求められるものというのは、私は基本的には識見だろうというふうに考えております。教育に対する、それから、社会一般の常識に対する識見だろう。その中で複数の方たちが集まって議論して、そこで一定の方向性を見いだしていくというそのプロセスが重要なんだろうというふうに考えておりまして、そういう意味で、現実に東京都の中で、例えば充て職とか、それから、議会の会派の推薦とか、いろいろな話を聞きますけれども、これに歯止めがかけられるかどうかというのは非常に難しいところだろうと思いますけれども、やはり委員の人選については、個人の資質というところで基本的に考えていくべきだろうというふうに考えております。
 そういう意味で、教育行政は独立性が担保されているということと、それから、合議制で物事を決めていくというこの2点だけは大事にしたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
 もう1点。今、森委員から人事権の問題が出ましたけれども、私は人事権は教育長に移してもいいのではないかという意見です。現に都道府県の行政運営の中で、公営企業管理者には人事権が、任命権が付与されておりますし、この点については、教育委員会と、それから、教育長の関係を整理する上での、ある意味象徴的な内容になるのではないか。人事の基本的な方針とか大綱とかというのは教育委員会で決めるとして、具体的な内容、任命権というのは、私は移してもいいのではないかというふうに考えております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、二見委員、そして早川委員という順でお願いします。

【二見委員】  すみません。前回欠席させていただきました。現在の教育長と教育委員会は決してそのままでいいと私は思っておりません。ただ、基本スタンスとして、教育委員会は現状の行政委員会として、やはり首長との距離を持つということと、それから、教育長に対して教育委員会が一定のセキュリティーができるという考え方でまずお話しさせていただきたいと思いますけれども、実際に教育委員会議で規則あるいは人事等々、あるいは様々な提案、報告をさせていただくのも教育委員会事務局の長として教育長が出すわけです。それを議論、審議し、最終的に決定するときに、教育長も投票権を持っている。
 正直なところ、事務局のスタッフが説明し、質疑応答するときに、実際に提案する元になった私が質疑できる状況にないわけです。自分が作っているわけですから。そういう中で、5人のうちの1人は形式的な立場でやっているというふうに言わざるを得ないと思うんです。
 もう1つは、ですから、私は5人のうちの1票を持っている。そういう点では、正確な教育長をセキュリティーとして押さえることができるかといったら、私はそこは今後は教育長と教育委員会は一定の距離を持つということも必要なのではないかと思います。
 それから、もう1点。これは全ての地方自治体というふうには言えないと思いますが、私の町では、時折議会に委員長の出席を求められることがあります。これは基本的には委員長が説明員でありますけれども、委員長は日頃私たちに委任して私たちが出席しております。しかし、時折委員長に答弁を求められることがありますけれども、事務局でやっている詳細な業務内容について委員長が非常勤の立場で全てについて答えることは私は極めて難しいと思います。そういう中で、委員長の答弁は極めて大綱的なもので、あるいは基本的なものにしか限りません。
 こういう点では、議会の方でも本当のところをどう聞くのかという点では、私は全て教育長で済むと思うんです。しかし、ルール上は委員長が出てくるという点ではそう。やはりここも最高責任者として明確に教育長を位置付けて、更にその教育長の執行内容について教育委員会として距離をとって的確に審議し、非は非、是は是として決定できるという形が必要なんだろうと思います。
 それから、任期の問題ですけれども、実際に教育長をやっていて、首長の選挙があって、対立候補が出て激しい議論の中で新たな首長が出た場合に、私の友人たちの多くはやはりその首長との緊密な関係が継続できるかどうかという点では疑念を持つ場合が多々あります。そういう点では、教育委員とは別に、教育長というのは首長との親密で緊密な関係を保つ意味でも、やはり別途に考えていくことも。これは現実論からしてもあり得るのではないかというふうに思っております。
 以上です。

【小川分科会長】  では、早川委員。

【早川委員】  
 非常勤だからこそ非常勤であることのよさが生きる教育委員会というのがあると思っています。非常勤だから責任が軽いということではなくて、自らの仕事もしながら、教育の重要性を常に深く認識して、問題意識を持って社会的責任を持った人たちにやっていただくということは、非常勤だからこそでしかできないわけで、やはりそういう方に教育委員はやっていただきたいという強い願いがあるわけでして。よって、非常勤だから、イコール責任が軽いという、そうした捉えというのは私は間違っていると思います。
 片手間でなく、全力で取り組んでいただいている多くの教育委員さんたちがいらっしゃって、責任のとり方というのも常に考えていらっしゃると思いますが、もし常勤ということになれば、やはりどうしても無職の人が増えてしまうというのは目に見えていると思います。
 しかし、その範囲では、非常勤だからという、時間的な制約はやはり当然あるわけです。その責任をとる範囲ということについては、通常の事業についてはやはり多くを教育長に委任して、限られた内容の方針や異常事態に対する対応等を、今やっているような教育委員会全般に対して物申すではなくて、精選化、焦点化して効果的に発揮されるものを1つずつ明らかにして、どの部分について効果的に非常勤のレイマンが発揮し得る教育委員会になるのかということで明らかにして精査していくということは教育委員会制度の最も根幹の大きな自主的な変革になると思います。各自治体でもそれを国が明らかにすることによって、教育委員会の会議のありようというのは変革されていく大きな改革になると思っています。

【小川分科会長】  帯野委員。

【帯野委員】  冒頭、森委員の方から現状のままでよいことはないという趣旨の発言がございましたが、大切なことなのでこれから中間報告をまとめるに当たって、もう一度我々の任務というのを再確認しておきたいのですが、今までこの審議会に知事会、市長会、それから、教育長会でしたか、いろいろな要望書を頂きました。しかし、我々が要望書を頂いていないのは国民、市民であって、もともと大津の自死事件、それから、桜宮の体罰事件、このことはありますが、その背景にはもともと国民が、教育委員会は形骸化しているのではないか、何をしているのかよく分からないという、この強い疑問があって我々に教育委員会制度をもう一度見直せということを付託されたということです。
 これを再確認して、ここで成功している教育長さん、頑張っている首長さんの間で議論を進めて、現状のままでよいということはあり得ないし、また、部分改良でよいということもあり得ない。教育委員会制度を抜本的に見直すのが我々の役目であるということを再確認したいと思います。
 その上で、ごめんなさい、私は何回も申し上げている意見の繰り返しの整理になりますが、大切なことなのでもう一度言わせてください。教育長をまず専任にするということ。教育委員会の中に教育長と教育委員長がいるということ。それで、教育委員の互選で教育長が選ばれるというようなことはもはや、多分どのポンチ絵にも出てこないので、教育長を専任するということは前提で進んでいると思うのですが、先回私が御質問した議会の承認が得られるのか、特別職にできるのかということについては、事務局の方は、結果的には努力の限りではないということであったと思います。ここは政治に頑張ってもらわないといけないと思うのですが、万が一にも特別職を置けないということになって、一般職であっても教育長は教育委員会から外す、専任化するということ、これは死守していただきたいと思います。
 それから、教育委員会の方ですが、これは基本、政策や大綱方針などを審議するということで、教育委員会事務局に対する指揮監督権は持たない。これもはっきりしておきたいと思います。それで、その次にですが、それでは教育委員会はどういう組織にするのかということでありますが、先回の資料では審議会というのがあったかと思うのですが、執行機関であるか審議会というのですか、であるのかという、ちょっとそこの法律上の位置付けはよく分からないのですが、執行機関というのは現在地方自治法で普通地方公共団体の事務を自らの判断と責任において誠実に管理し執行する義務を負うというふうになっておりますので、日々の執行、指揮管理権を持たない教育委員会が性格を改めた執行機関を位置付けられるのかどうか。これは専門家の意見を聞きたいと思います。
 ただ、大綱方針を決めて、日々の行政の責任は首長が任命した教育長が責任を持って執行するということであれば、やはりこの教育委員会というのは審議会という位置付けではないのかというふうに私は考えてまいりました。ただ、もし教育長が議会の承認も得ない、教育委員会は審議会になる、では、レイマンコントロールはどうするのだという御意見もあろうかと思いますので、むしろ審議会として形を変えた教育委員会、教育審議会に議会と知事に対して報告義務を課せるとか、今日の1のところにありますように、首長に対して勧告権を与える。そして、首長は最大限この勧告を尊重しなければならないという条例設置義務を与えて新たな審議会にするのがよいのではないかと思います。
 最後に、その場合の首長の責任でありますが、教育長が日々の事務の管理責任者であるとすれば、やはり教育長は教育行政の統括責任者というような位置付けでよいのではないかというのが私が意見で、繰り返しになりますが、今回教育委員会のマイナーチェンジでおいてはならないということをもう一度申し述べたいと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。前回からの議論の続きを欠席された委員の方から中心にお話ありました。さらに、その意見についてもお受けしますけれども、できましたら3ページ以降の、前回十分に時間のとれなかった首長、教育長の関係、教育委員の任命、あと、教育委員会の審議すべき事項等々も少し議論を進めさせていただければと思います。櫻井委員、どうぞ。

【櫻井委員】  すみません。先に行く前に、私もちょっと印象論ですけれども、述べておきたいと思います。これは先回も申し上げたことと本質的に同じことなのですけれども、私もこの委員会の1つの役割というのは、これまでどう見ても、多くの場合、教育委員会制度が機能してこなかったという問題点があると思うんです。
 今の帯野さんがおっしゃいましたけれども、ここにいらっしゃる首長の方々、いろいろなポジションの方々はかなり一生懸命なさって成功しておられる事例をお話になっておられます。教育の在り方というのは北海道から沖縄まで極めて変化に富んでおりますので、一律論で片付けることは無理なのは承知しておりますけれども、教育委員会の改革は、基本的なところから見直しをしていかなければ教育再生実行会議の要望にも応えることができません。今私たちが必要としている教育改革にも不十分だと思っております。
 その意味で、今までの議論、時々欠席しましたので、余り胸を張って言えることではないのですけれども、どうも議論のまとめ方がちょっとよく分からないところがある。曖昧なところでそのまま通り過ぎていっているようなことはなるべく避けていただければ非常にうれしいかというふうに思います。
 『はだしのゲン』の問題がありました。私は実はあれを読んだことがなかったので、至急取り寄せて、あれは10巻ぐらいあるので、かなりの量なのです。『はだしのゲン』というのが漫画であるということ、それから漫画だけであるということも知らなくて、秘書が持ってきたのがみんな漫画でしたので、漫画じゃない、普通の本当の本を持って来るように言ったら、いや、これは最初から全部漫画なんですと言われました。そうかと思って、正直随分忙しい日程をこなしておりますけれども、1巻から読みました。最初の方はまあまあいい内容なのです。ところが、後ろの方に行くに従って、私が親ならば、やはりこれは子供には絶対見せたくないというような残虐な場面がたくさんあるわけです。
 それを私は教育委員会が先生の許可を得て初めて子供が読めると決めたのは極めて適切だったと思うのですけれども、教育委員会制度の様々な人々の都合もあったんでしょうけれども、手続に瑕疵(かし)があったということで、結局これは元に戻ってしまう。
 このような決定をしたけれどもお父さんやお母さんは一体この漫画を見たのか。果たして自分の愛する子供に日本軍がこんな残虐なことをやったという、しかもそれは事実ではないと思います。あれは絶対に事実ではないと思うような残虐な場面を、漫画ですから絵入りです。物事を考えるよりも印象論を植え付けるというような次元で子供に与える決定が現に私たちの前で下されているわけです。やはりこういった事例を見ますと、教育委員会制度の在り方をかなりしっかり見直さないといけないだろうということを感じました。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、3ページ以降の、今日の新たな論点も含めて皆さんから御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。森委員、どうぞ。

【森委員】  余り私だけしゃべってはいけないかと思って遠慮していたのですが、私は皆さんの意見を伺って、基本的には各教育長さんの意見も帯野さんの意見も余り違和感を持ちませんでした。というのは、特に帯野さんの意見が一番大事だと思うのですけれども、例えば大津市のようにいじめの問題が起きて、そのときに首長と教育長と教育委員会がどういう関係であったのかと物すごく悩んで悩んだ末に、大津市長が訴訟とかいろいろな権限が最終的には首長に来るのに今の法体系はおかしいのではないかという意見を文部科学大臣に提出されているわけです。
 それで、その御意見を詳細に見ると、多分帯野さんのおっしゃったこととほとんど一致しています。選択制にすべきだということはおっしゃっていますけれども。全ての自治体に同じ制度を与える必要はないということはおっしゃっていますけれども、責任と権限は一致させなければいけないという点で大津市長の意見は一致していると思います。
 ただ、教育委員会の役割というので、いろいろな教育の専門家ではなくて、いろいろな幅の広い、会社の役員とか主婦だとか、女性の感覚とか入るのは私はいいことだと思っています。そのときに、事実上はうまくいっているところはほとんど、東京都の教育長さんがおっしゃったように、比留間さんがおっしゃったと思いますけれども、日常でコミュニケーションをとっていますよね。実によくとっていますし、指導監督なんて言えないほどよく密接に打合せをしてうまくいっていると思うのです。だけれども、それがうまくいかないときにどうするかという問題を考えるべきではないでしょうか。
 それで、そのことで言うと、いろいろな案があるのだけれども、私が1つだけ申し上げたいのは、特別職だろうが、一般公務員だろうか、一地方公務員には変わりないのです。特別職だろうが、副市長だって公務員なのです。その人が規則の制定権とか人事権の権利を持つというのは地方自治の根幹に関わる問題だということだけ申し上げたわけです。それは比留間さんの御意見では、実質的にはやはり教育長さんがおやりになります。ですけれども、最終的に誰が責任を持つかという問題だから、制度の問題と実態の問題は違うと思います。
 ですから、制度として人事権を、例えばです、これは私が選択制と言っているから、それは教育委員会は残すとしても、私はやはり教育委員会は制度としては残すべき。だけれども、実質的に教育長さんがおやりになる、原案作ることまでは別にやらないということではないのです。それが1つです。
 それで、前回の案の1で私は議事録をいろいろ見たときに、なかなか支持が得られない根本原因は、首長が余計な口出しをするのではないか、細かいところまで口出しするのではないかというその問題に尽きるのではないかと思うんです。世の中に現実にあるし。だけれども、それは私は制度で補える。どなたかがおっしゃったけれども、基本的な事項と実質的な事項をきちんと分けるとか、首長が教育長に指示するときに、きちんと公表する義務を課すとか、そういう問題ではないかというふうに思っているものですから、ここにいらっしゃる教育長さんと私は矛盾するとは思っていないのですけれども。
 最後に申し上げます。少なくとも1人の公務員が大きな権限を持つというのは、極めて地方自治法上いびつな制度になります。それで、皆さんに申し上げたいのですが、実は今議論しているのは地方自治法の問題になるのです。残念ながら文部科学省の専管事項ではございません。ですから、私は地方自治の根幹に関わるということをしっかりと今日は申し上げたい。そこを踏まえた上での議論をしていただきたい。実態がどうのこうのという話ではございません。それから、首長が余り細かいことに口を出すことは私はしませんし、それは何か歯止めをかけるというのはあり得るのではないかという気がしておりますので。教育長さんと仲よくやれると思います。よろしく皆さん、お願いします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 どうでしょうか。3以降の今日の新たな論点に関わって意見をお聞きしたいと思います。首長と教育長との関係、教育委員の任命、あとは教育委員の審議を必要とする事項等々を含めて、資料2にある新教育委員会についての論点なども含めて広く御意見を伺いたいと思います。はい、門川委員、どうぞ。

【門川委員】  ありがとうございます。今回のこの会議がいじめあるいは体罰等々について大変な問題が起こっているにも関わらず教育委員会がその責任を果たしていない、これでは駄目だという危機感のもとに設置されて、教育再生実行会議の議論を経てこの中教審の部会に委託されているという、そこはしっかりと押さえなければならないと思います。
 それで、最も混迷しているのが教育委員の中から互選で教育長を任命している。一般的な国民は教育委員長と教育長との関係も分からない。この辺が1つあるのだろうというように思いますので、実行会議でも示唆していただいているように、首長が議会の同意を得て教育長を任命する。そして、限りなく教育長に権限と責任を持たせる。これは大事なことだと思います。これが今の実態であります。正常に機能している教育委員会、教育長の実態であります。レイマンコントロールという市民の代表、様々な人の非常勤の方々の見識でもって、合議制で執行機関としての役割を果たしながら、日常の課題はしっかりと教育長が対応していく。こうなっているところはうまくいっている。これをより明確にしていく。新しい教育長制度を作るということであります。
 したがって、森会長がおっしゃるとおり一公務員の独任制とならないように非常に難しい問題がありますので、教育委員会というのは首長から離れた合議制の執行機関としてしっかりと位置付ける。そこで教育委員の任命もより適切な方が任命される方策を深く議論して答申に入れ込むということは大事だと思います。そして、人事権も基本的に教育委員会の権限にすべきであって、教育長の権限にすべきでないと思います。
 私が京都市の教育長をしている当時でも300の学校、五、六十の教育機関の長の人事を教育委員会で説明し、議決していただくときに、形式的な審議にならざるを得ない部分もありましたが、これはやはり必要な手続であったと思います。手続を簡潔にしていくことは検討の余地がありますが、決定しているのは教育委員であるという自覚と責任感を持っていただくことも重要です。以前、PTAの全市の会長が教育委員になられることがあったのですが、その際に、「あなたが校長の人事を決めるんです。その自覚を持ってください。」ということを私は言いました。「教育長で決められないんです。」と。こういうことは教育委員として形式責任を含めてやっていくことはいいことだと思います。
 そういう意味において、より権限と責任を明確にする。一方で、公安委員の例がありましたけれども、私はこのように思っています。公安委員と教育委員は全く別であります。しかし、公安委員が警察行政の民主的なコントロールのために役割を果たす。しかし、1つの事件が起こったときに公安委員は現場に駆け付けない。また、一つ一つの事件についての見解は言わない。しかし、警察行政をコントロールする上で最大限公安委員が責任を果たす。こういう制度設計ができている。これが1つの参考になるのではないかということで、私は聞かせていただきました。
 なお、選択制の問題ですけれども、これだけ狭い日本でいろいろな制度があるというのは私は余りよくないのではないかと考えています。先だってもアメリカから来られた教育関係者にお話を伺う機会がございましたが、州によって教育制度が随分違っている。これは非常に問題がある。いい面ばかりが日本で言われているけれども、非常に問題がある。日本が1つのまとまった国家として方向性を出しながら教育をやっていくということは非常に大事だということを私は思います。
 そういう意味において、これまでから教育基本法や地教行法の改正の際に、いじめとかいろいろな問題が起こったときの適切な対応について議論がなされてきましたけれでも、やはり実際に発動できる国の権限をしっかりとした方がいいのではないかというように思います。1人の人間が命を落とす、そんな事案が起こっているにも関わらず、地方の教育委員会が責任を果たせないときに、文部科学大臣が勧告する、措置を要求する。これは当然のことだと思いますし、それを適切にできるようにすべきではないかというように思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかに。では、今田委員、どうぞ。

【今田委員】  それでは、ありがとうございます。私も10年教育委員のお役目を頂いて、その間8年近く教育委員長という職務を頂いておりますけれども、その中で、教育行政について、もちろんまだまだいろいろな足りないところがありますけれども、やはり在り方としては独立性を担保して、合議制である。この今の制度の中にかなりいいものがある。しかし、もちろん改めていくべきものがいろいろあろうと思いますけれども、選挙の勢いで教育委員会制度を根本からというのは、より慎重であっていいのではないか。日本人の先人の知恵の中には、かなりすばらしいものがいろいろあるというふうに思っております。
 そういう意味で、先ほど比留間教育長の方からお話がありましたけれども、私は社会的識見の高い人をどう選ぶか、就任していただくときにどういうふうなしっかりとしたインフォメーションをするか、この辺のところが大事ですし、志のある人になっていただくということが大事だろうと思います。
 そういう意味で行くと、横浜の場合も、議会で教育委員長として答弁を求められることはもちろんあります。しかし、それは議会の人たちも心得をして、余り細かな部分を聞く、そういうことはやはり、ある意味では議員の豊かな人たちはそういうことはなく、ある意味で本質的なことをしっかりと聞いてくるというふうな土壌が横浜の場合はなっております。
 そういう中で、今回の制度改正の中で、私は最初の6月13日のときにも申し上げたんですけれども、教育長の在り方、選任の仕方というのは少しまた法制度上、執行機関の中の一部だけを議会の同意というのはどうかというような御議論もありましたけれども、議会の同意を得て教育長を選任する。そこで議会の人たちも教育長の位置付けというものに対してかなり高い関心を持っていただくということは大事ですし、同時に、その任命はやはり市長がなった時点で教育長については、ある意味で交代させることができるというふうな位置付けに私はしていく。そのことが一方で、首長の政治、直接、ダイレクトでは教育行政の細かい内容には関わらない。しかし、間接かも分からない、教育委員を任命する時点でより首長の主体性を発揮できる仕組みになるのではないか。
 そういう意味では、ほかの委員はともかくも、教育長は首長が代わった時点で任命できるというふうな制度にしていくべきだというふうに思います。
 以上です。

【小川分科会長】  辻委員。

【辻委員】  皆さんの方でそれぞれ前回もいろいろな意見がありましたし、今日もいろいろな意見が出ていると思うのですが、森委員の意見、それから、門川委員の意見を聞きますと、表現上は違っているのですけれども、実態的には大分同じようなことを言われているのではないかと私は思います。この新教育委員会のところのイメージと、今話題になる教育長と首長の関係は、私は密接不可分につながっていると思いまして、きょう資料2で提起されました新教育委員会の事務のところで、このバツのところを除いて議論をしていくというのは、多分一定の経験則からこれが出てくることだと思うのです。
 これで仮にいくとなると、先ほど森委員が言われたとおり、人事権や規則制定権は果たして誰が執行するんだという根本問題が出てきて、それを解決するためには、この首長と教育長の間に任免関係以前に、この資料1の2ページのところにあるように、首長と、それから教育長の間に一定の指揮監督権が関わらなければ駄目だということだと思うのです。
 この指揮監督権というのが、先ほど言われていますとおり、普通の市長部局の管理職とは違って、法定的にかなり限定された特別の場合に、しかし指揮監督権は発揮できて、しかも教育長にのみ主に発動されるという制限をかけます。こうした一定の指揮監督権を持たせて、事実上教育長に委ねるという制度を作っていくという形にすれば、今までの議論は、大方、収束されると思います。教育委員会がさまつな規則改正をやるべきかどうか、個々の人事異動もやるべきかどうかという問題についても、解決されるのではないかと私は思います。
 国家公安委員会との関係で前回も質問しましたが、警察本部長その他を指揮監督しているのは道府県の公安委員会ではなくて、警察庁長官なのです。それから、国家公務員が管理職の一部を占めているという形になっています。今の地方自治の王道を行く教育の制度と、地方自治と国家警察のぎりぎりのところで制度設計している警察とでは、根本的に発想が違っています。
教育長もいわば執行機関であるかのようになり、なおかつ教育委員会も執行機関であるかのように動く。それに首長にも最終責任が残ってくるということになれば、今だったら、まだ首長と教育委員会の話で済むものが、今度は、教育長も首長も教育委員会も、三者による責任分担になって、更に混迷を深めると思われます。
 少なくとも最終的な責任については一定の限定を付けながら、首長なら首長に一元化して、そうした中で強い審議会として教育委員会の権限を残すというのが私は妥当ではないかと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、白石委員。そして村上委員ということで。すみませんでした。

【白石委員】  今整理していただいたような感じなのです。先ほどから自治体の長もお話ししていますけれども、基本的なこれまでの議論を踏まえて、この資料2の新教育委員会についての論点というところで、(1)も(2)もこういう方向だろうと思うのです。前から言っていますように、やはり曖昧さというのが一番今の教育委員会制度の問題点であって、そこははっきりできるものならすればいいと思うんです。今でも首長はこの人を教育長にという人間を選んだ上で、教育委員として議会に諮っているわけですから、任命という制度にしたからといって何も問題はないんです。
 当然責任は任命権者にあるわけですから、そうなってくると、やはり教育行政の責任者も首長になるわけです。それで私は何ら問題はないと思うんです。
 ただ、私は松前町ですけれども、ほかの町長部局の中でも部長、課長がいるわけですから、実際の行政をやっていくのはやはり部長の責任であって、課長の責任なのです。しかし、最終的には、当然町長が全て責任をとるわけです。その中に教育委員会もしっかり位置付けて、やはりトップの市長や町長、そして、教育委員会がしかるべき教育行政の責任をとる。そしてその代表になるのが教育長です。
 やはり今教育長も教育委員なのです。ですから、教育長と教育委員会の関係云々(うんぬん)というのは非常におかしな話なのです。つまり、教育委員会で決めることは、教育長も教育委員なのですから、教育長の考えでもあるわけなのです。それをもし別にするのであれば、教育委員と教育長を別にしてやるのならいいんです。そうなってくると、教育委員会というのはやはり教育長の諮問機関的な、あるいは首長の諮問機関的なものになるのです。それでいいのか。それとも、今のように、教育委員の中に教育長も含めて、定数はいろいろあるでしょうが、私のところは5人ですけれども、その中に教育長があるわけですから、教育委員会が決めたことは、つまり教育長が決めたことなんです。残りの4人の教育委員は非常勤ですから、それを実践するのは日常的には教育長がやる。
 そういう意味では、執行の責任者であるわけです。執行機関というよりも、教育長は執行する責任者。しかし、あくまでも町長の意向、町長との協議のもとで執行するわけですから、最終責任は町長が持つ。その辺のところをしっかり系統立ててやれば、基本的な教育委員会の性格というのははっきり分かってくるというふうに思いますので、資料2の中で2番目の、教育委員会と教育長の権限と責任が一体化している現状を改める、そして、両者の責任範囲を明確化する。この改めるというのは、今言ったように、教育委員の一人としての教育長なのか。教育委員は教育委員で教育委員会を作って教育長は別にするのか、その辺のところをやはり明確にしないと、今と同じような形になるのではないかというふうに思います。
 (2)で、「教育長との緊張関係の中で一歩離れたところからチェック」するとなっているが、それはつまり、教育長と教育委員会は別になるということですよね。そうなってくると、教育長は当然町長や市長が任命する。教育委員は一委員ですから、議会関係なしに、教育長の諮問機関として、あるいは町長の諮問機関として教育委員を任命する。審議会的な役割を果たすか、その性格はきちんと位置付けないと、ちょっとごっちゃになるかなという感じがいたします。そういう意味で、その辺のところをしっかり整理していただければ、おのずと結論が出てくると思います。
もう1つ、人事権についてでありますが、教育委員会というのは、都道府県の教育委員会と市町村、特に大きな政令市であるとか、単独でも人事がやれるような大きな市と、いわゆる町村とは違うんです。町村の人事権ということになってくると、例えば3,000人とか5,000人の町で採用し、異動しということになると、1か所にとどまって閉鎖的になりはしないかというような問題があるわけですから。
この前大阪で広域的なことをやっているという事例がありましたけれども、そういうことも一応念頭に置いて、人事権とか採用権とかを考えていかないといけないと思います。
今は県が採用、異動、全部人事権を持って、市町村の学校の先生を任命しますが、その学校のあるところの町長が責任者になるわけです。つまり職員になるわけですから、県が採用しても、私の町の先生になれば、松前町の職員になるわけです。それがいいのか。私は全く採用もしなければ、異動もしないですから、これは形だけなのです。ただ、たまたま異動で松前町の先生になれば、松前町の職員だという位置付けになるわけです。
 その辺が制度としてそれでいいのか。いいのであれば、先生が何か起こしたときの責任は町長がとるのかどうか。採用したのは県教育委員会ですから、そういうところの責任体制をしっかりしないと、たまたま松前町の学校の先生になったからといって、私はその職員を一々管理、監督することはできないわけですから、その辺の責任体制は都道府県の教育委員会としてどうするかを考えてもらわないと、とても町村の教育委員会ではそこまでは責任を持ってやれないと思います。
 、教育委員会も最終的には都道府県の教育委員会、そして、市町村、市も今言ったように、大都市と一般市に分けるかどうかは別として、その辺のところも含めて考えてもらわないと、ただ、全国にある全ての教育委員会が同じような制度でやれということになると、地域によってはかなり混乱が出てくるだろうと思います。
 教育委員の人数もそうだと思うんです。5人がいいのか、8人がいいのか、2人がいいのか。こういったものはやはりその規模によって違ってきますので、その辺はどういうふうに制度として位置付けるか。それも審議してもらえると非常に有り難いというふうに思います。

【小川分科会長】  はい。では、村上委員、どうぞ。

【村上委員】  はい。大きく2点申し上げます。1点目は、冒頭の森委員の御指摘に関してなんですが、大きく3つありまして、1つは、まず、調査結果についてなのですが、コメントを頂いたとおりの面ももちろんあると思うのですが、ちょっと誤解を生んでいる面があるので、前回も申し上げたのですが、もう一度。これは首長さんが現状維持を求めているということではないので、飽くまで教育委員会は一定の独立性を保ちつつ、しかし、やはり制度改革は必要であるというのが市長さんの調査結果から見たデータの真意だと思いますので、現状維持というふうにはお考えにならないでいただきたい。データは現状維持とは言っていないということを申し上げておきたいと思います。
 2点目なのですが、緊急のときにどうするかということはもちろん重要な論点でございます。これはもちろん何らかの対応が必要で、その1つの考え方として、辻委員が先ほどおっしゃった首長に指揮監督権を制限付きで認めるということもあると思うんですが、一方で、それとちょっと矛盾する要素として、継続性とか安定性とか中立性というのは、これはある種両立しにくい側面があって、つまり、緊急のときというのは、1人に権限を集めて速やかにやらないといけないわけです。これはやはり継続性、安定性、中立性というのと、ある種矛盾する要素があって、それをどういうふうに制度の中で調和するというか、バランスをとるというか、両立するのかというところがやはり一番難しいところだと思います。緊急のときだけのことを考えるのであれば、1人で全部権限を集めて、それこそ全部専決処分でやってしまえばいいわけですが、そういうふうにはもちろんいかないわけで。
 もちろん緊急のときの対応も重要なのですが、それと同時に、継続性、安定性ということをどういうふうに両立するのかという視点から制度を考える必要があって、そのときに、例えば指揮監督権を首長に与えるかどうかというのはもちろん大きな論点で、もちろん与えるという考え方も1つなのですが、いじめ対策基本法にあるように、指揮監督ではないけれども、事後的に勧告なり調査なりの権限というのを首長が持つというやり方もあり得るので、確かに森委員と門川委員の考え方は連続的なところもあると思うんですが、やはり指揮監督権の所在ということはかなり決定的な要素だと思います。1つのやり方としては、指揮監督権ではなくて、いじめ対策基本法のように調査とか勧告とかという形で緊急時に対応するという考え方も1つあり得るのかというふうに思います。この辺はどのように緊急の対応と継続性、安定性を両立するかということを我々が知恵を絞らなければいけないと思います。
 3つ目なのですが、公安委員会が不適当なアナロジーではないかという御意見もあるのですが、これは飽くまで執行機関の役割をどういうふうに捉えるか。教育委員会みたいに細かいことまで決定するのか、大所高所からの決定とそのチェックにとどめるのかということに関する例えであって、いろいろな見方があり得る。例えば、民間企業でいう取締役会とCEOみたいな関係と見ることもできるし、公営企業管理者のような位置付けで執行機関が合議制であるというような制度と見ることもできるかもしれません。公安委員会というのは、ある種参考にはなるんですが、事務局については、やはりいろいろ違う面もあるので、いろいろな例えはできる。その1つであるというふうに捉えればいいのかと思います。まずそれが大きな1点目です。
 2点目なのですが、ちょっと長くなっているのですが、最初の資料1についてなんですが、教育委員会制度の改革に関する論点メモのところで、教育委員会が選択肢1、2、3、教育長の選択肢が1、2、3というふうにあります。今のところ1同士の組み合わせ、2同士の組合せ、3同士の組合せというのが恐らく選択肢として3つ想定されているのだろうと思います。
 つまり、首長のラインをベースとした改革、合議制執行機関をベースとした改革、独任制執行機関をベースとした改革というふうに3パターンぐらい今あると思うんですが、それがベースにはもちろんなると思うんですが、例えばそれ以外の組合せが本当にないのかということも一度ちょっと中間まとめの前には考えてみる必要があるのではないかと思っていて、例えば教育委員会で、仮に2番だったとした場合に、では、必ず教育長の方は2番でないといけないかというと、例えば1番もあり得るかもしれない。教育委員会は執行機関で教育長は首長の補助機関という考え方もあり得るかもしれないし、あるいは3番もあり得るかもしれない。つまり、両方執行機関というのも、これはもちろん反対も賛成もあるかと思いますが、両方執行機関という考え方ももしかしたらあり得るのかもしれない。
 申し上げたいのは、1同士、2同士、3同士という3パターンはもちろん今までの議論で軸にはなっているのですけれども、それ以外の組合せが本当にないのか、可能なのか、不可能なのかということもやはり一度立ち止まって考えてみる必要も、理論的な可能性も含めて考えてみる必要があるのではないかというのが大きな2点目です。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。そろそろ諮問事項1に関わる議論・・・

【森委員】  ちょっとだけよろしいですか。

【小川分科会長】  ちょっと待ってください。資料1、2、3について、そろそろこの辺で終わりたいんですが、ほかに関わって議論、意見ある方。

【森委員】  1つだけ申し上げたい。

【小川分科会長】  では、森委員、どうぞ。

【森委員】  私は、首長が細かいところまで口を出すのはよくないと思っております。特に思い付きでマスコミを意識して何か発言するのはよくないと思います。だから、その思いが、例えば門川さんは非常に強くていらっしゃるわけです。そこは賛成なんです。だけれども、よく考えますと、選挙のときに私が教育に関して公約するのは違法ではないでしょう。ですね。マニフェストに教育を書くのは違法ではございませんね。これは確実ですね。
 それで、恐らく門川さんも白石さんも選挙のときには教育の方針はきちんと公約されていると思います。それが社会常識ではないですか。だけれども、それに対して本当に実行に伴うような細かいところまで、つまらないことに口を出す首長がいないかというと、そうでもないかもしれない。だから、辻先生が言われたように、私は教育長の権限を強化するのであれば、基本的な事項は首長がきちんと、指揮監督というと、教育長さんは反発するから言えないけれども、きちんとコミュニケーションをとるべきだということは決めるべきだと思います。
 それで、組合せもいろいろあるんだけれども、私は少なくとも独任制だけは勘弁してもらいたい。独任制に近いものも勘弁して。これは根幹に関わります。これは実態とかそういう問題ではなくて、地方自治法上の根幹に関わる問題だということを提起しておきます。よろしくお願いします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。教育委員会制度の新たな制度設計する際のいろいろな論点や実際に制度を固める上での詰めるべき作業というのは、前回、今回でかなり出てきたのかというふうに私の方としては考えます。
 ほかに諮問事項1、今日の資料1、2、3に関わって何か一、二ございましたら、受け付けたいですが。では、門川委員。ほかにございますか。では、露木委員のお二人でよろしいですか。では、お願いします。

【門川委員】  ありがとうございます。大津の例が森会長から出ました。大津は隣の市でして、頻繁にいろいろな議論をするのですけれども。
 首長は教育行政に関する権限がないため責任をとれない、訴訟の対象となるのに権限がないという話でしたけれども、ここのところは首長と教育長との関係の非常に難しいところだと思うのですけれども、結論から言えば、首長の任命責任だと思うのです。大津の越市長は就任早々の事件だったので、御本人が任命されていないということなのです。ただ、前任者が決定されたことの責任を求められるのは行政機関として常にあることなのです。また、首長のマニフェストに教育施策を掲げることは教育長、教育委員の任命を通じて、あるいは予算措置を通じて実現していくということになろうかと思います。
 そこで、首長が代わったときに任期が連動するのかという点ですけれども、私は教育委員が一度に過半数は代わらないということは大事にしなければならないと考えています。一方で教育長の任期については、就任直前に教育長が任命されていて、ほぼ4年間教育長は代えられないというのも望ましくないと感じます。先ほど教育長の任期を3年にしてはどうかという案がありましたけれども、1つの面白い案ではあるという気がします。3年というのも1つの面白い案だというように先ほど聞かせていただきました。
 今問題になっていますのは、教育委員会に危機管理能力がない。これは実感します。その場合にどう対応するのか。しっかりしなければならない。ただ、同時に、教育というのは人格の陶冶を目指していくということでありまして、危機管理能力のある校長がすばらしい校長とも限らないのと同じように、教育の最も大事な安定性、継続性、そして、ときどきの政治の流れに流されない中立性というのを大事にするためには、危機のときに首長が、あるいは文部科学大臣が勧告することはいいと思いますけれども、日常的な仕事の大事なところを首長が直接指揮監督というのはよくないというように思います。

【小川分科会長】  露木委員。

【露木委員】  前回欠席させていただいておりまして、今日いろいろお話を伺って、学校の思いということでお話しさせていただきたいと思います。先ほどから出ていますけれども、学校の現場というのは、教育が首長が代わったことによって、あちこち急に変わるというようなことがあると非常に困るわけで、そういう意味で、先ほどから政治的中立性、継続性、安定性ということが言われているのだと思います。
 そういう意味で、教育長が云々(うんぬん)というよりは教育委員会というものがしっかり物事を決められる機関としてあって、これで言うと、性格を改めた執行機関として審議・決定、チェックをしていくということがやはり大事なのかというふうに思っています。
 今日の資料2に新たな教育委員会のイメージというものがありますけれども、教育委員会が教育長の事務執行の厳正なチェックという、チェックという言葉はまだまだ大変曖昧な言葉かというふうに思うわけですけれども、教育長に対して指示できるのか、あるいは助言でとどまるのか、そういったあたりも新たな教育委員会の性格として大事なのではないかというふうに思います。
 残念ながら、中教審で答申を出しても、これはあくまでも答申であって、実際行われるかどうかというのは全く関係ないわけですので、やはり教育委員会はただの諮問機関ではなくて、しっかりと教育長なら教育長に対してこうやれよと言える機関にすることが大事なのかというふうに思います。その内容の範囲については、こういうふうに御提案いただいているわけですけれども、その辺をしっかり明確にしていくことが大事なのかというふうに思っております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、生重委員。

【生重委員】  私が今までの議論の中できちんと分かりかねているのかもしれないのですが、もともと首長1人に全ての権限が行かないために教育委員会という独立した組織を作って、教育が一つきちんとした方針を立てた下の中で行われていくということで教育委員会があるのだというふうにずっと思っていたのですけれども、教育長に権限を持たせ過ぎると独任制になってしまうのかという。今、実はあれから教育委員会制度というのをもう一度読み直してみたのですが、健全に運営されていれば、非常によくできた仕組み、組織、体制になっているものなのだというのがよくよく分かりまして、では、健全に推進されないポイントはどこなのかということと、前回も議論の中で様々な項目が出されてきているのですが、もう一度教育委員会制度を国民全員が、どういう機能でどういう制度でということをきちんと分かっていないことも問題があるのだというふうに思うわけなのです。
 それがきちんと読み直せば非常に分かると私が思ったのと同じように、等しく皆さん読んでいただければ、教育委員会というところはこういうことをやるところなんだというのは分かっていただける。ずっと私が申し上げているのは、細かい事務局がやることまでを教育委員会の中で合議しなければいけないということではなく、今日、今回ここの新教育委員会の責任で行う事項に示されたような、教育の基本方針ということをしっかり捉まえた上で、それが遂行されているのかということを柱としてきちんと合議していくということが必要なのです。
 それと、ここも審議会なのですけれども、審議会というのはあくまでも意見を述べる権利を有している、権限がある。でも、教育委員会は合議して執行する機関であるというところを大事にすべきというふうに思っていて、細かいところなのですが、私自身は、大体ここに出ているイメージだと、かなり整理された形になるのだというのはよく分かる。できればチェックのところに、児童・生徒のいじめ、自殺以外に給食の異物混入とかアレルギーの子も問題も今すごく大きく問題になっているので、その後に続けて、生命に関わる全てのことというふうに入れていただいて、とりあえずここが、何かが、悲しいことが起こるのは嫌ですけれども、でも、起こった場合の速やかなアクションにつながっていくということを明確に打ち出すということが大事なのではないかというふうに思います。
 私も先月大津の研修の講師に行ってまいりましたら、私はもちろんフィールドが地域、社会教育なので、学校支援、地域、放課後、それから、大津では、今、あれ以降家庭教育支援チームというものが生まれました。6つの支援チームが母親の子育ての孤立化を防ぐ、個別の相談に応じる、出てくる場を作る。そういうことで町自体が立ち上がっていくという住民サイドの努力、もちろん教育委員会の働きかけ、そういうところが合致してスタートしているという事例を見て、こういうふうにやはり私たち一人一人、市民として何かできることに参画していくということはすごく重要なのだということを、大津があのまま放置されているわけではなく、学校支援地域本部もできました。
 そういう、今まで県内ではいっぱいあったのですけれども、大津市内にはなかったのです。それが、あれを踏まえて大津はやはり学校支援地域本部ということで、地域が関わっていくことの大切さというものをきちんと改めて再認識してくださったことと、それとはまた別に、行政所管のものを超えて、家庭教育支援チームというものが出来上がっていたということは、やはり速やかなアクションというのは、そこの、こういうことをやっていますということは、いけないことはたくさんニュースになりますが、頑張っているところは聞こえるところにはなかなか出てこない。
 だから、そういうことをお互いに速やかにアクションできるのだということを打ち出すことで、私は最初の根本の、今のままだとスピーディーな感覚がない、何か事件、事故が起きたときに教育委員会は何をやっているんだという中傷にさらされる。それを防げる要件として、明確な打ち出しができたならば、ここの部分での議論というのはかなり実り多いものになるのではないかというふうに思っております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 最後、吉田委員が先ほどから手を挙げられていたようですけれども、ちょっと気がつきませんで、すみません。

【吉田委員】  私、実は立場上私学ということもあるので、この件については一切今までお話しさせていただいていなかったんですけれども、今日いろいろなお話を伺っていく中で、やはり今生重委員の教育委員会の原点みたいなお話があったので、ちょっとその辺で気になることをお話しさせていただきたいんですけれども、やはりこの教育委員会の、今責任体制というようなことが言われておりますけれども、要は、今この場で話されている原点というのはいじめ問題にもあったと思います。その基本に何があるかといったら、やはり責任体制の問題だと思うんです。
 そういう中で、私立学校と置き換えて考えてみても、私立学校でいうと、理事会という学校を設置する組織があります。その下に各学校があって、その各学校の校長がその権限を委譲されて、理事会から言われて責任を持った運営をするわけですけれども、教育委員会制度で見ると、基本は文部科学省が学習指導要領を作ります。それに基づいた教育をやるということは全ての学校同じわけです。ところが、各学校という立場で今度考えてみると、校長は任命されてきます。ただ、教員の人事権も何もありません。では、それが今度もう1つ上の市区町村ではどうかといえば、それは都道府県によっても違うかもしれませんけれども、教員の人事権その他は都道府県の方にあって、そして、それが市区町村に来て。任命体制その他1つとっても、責任の所在というのが私ははっきりできないというか、自分ができない。
 これはすごく失礼な言い方かもしれませんけれども、そういう中に、校長先生にしても、教員の方にしても、それから、教育委員会の方にしても、みんな出世という問題があります。ですから、そういう意味では、責任逃れというと言い方が変ですけれども、しないといけない部分も出てきてしまう。
 それで、現実問題として、今回の問題というか、いじめの問題でもそうなんですけれども、私立学校ですと、例えばいじめで何か訴訟が起こったとした場合に、教員も訴訟対象となります。それから、学校長もなります。それから、学校も理事会もなります。だから、国の場合というか、公の場合には、基本的にはそこの行政というか、都道府県なり市区町村。そこで、もし本当にその個人に責任があったと思った場合には、賠償など市区町村なり都道府県なりがその教員に責任を求めるという形になるわけですから、そういう意味でいうと、全ての責任が曖昧になっていく可能性がある。
 やはり戦後のことを考えますと、教育委員会ができて、そういう中で学校の数も何もどんどん莫大に増えてきた。それで、巨大化してきた。だけれども、組織としては変わらなかったわけですから、本当に大き過ぎるという部分の問題はあるのも事実だと思います。ただ、やはり公教育の基本というのは、日本が戦後日本の教育力を上げようということで、義務教育、小中学校は親が子供に教育を受けさせる義務があるのであって、国がそれを提供する義務がある。それは共通の教育をしている。そして、高等学校も学制を敷いて、少しでも多くして教育レベルを上げようということで、とうとう今では98%まで進学状況が来た。
 そういう巨大化する中でやはり誰がどう責任を持つかといったときに、それぞれの権限が幾つもばらばらになっているということに私は基本的には問題があるのではないか。実際私は東京都ですので、東京都の状態などを見ていても、教育長に責任がある、なしとかいうよりも、最終的な責任は当然首長にあると思います。ただ、教育長がその責任感で、自分の責任の下で、今度は各教育委員会の中を指導していくという、そういった責任。そして、教育長の下でまた校長が自分の学校に対しての責任を持つというような、そういうそれぞれがうまく連携さえとれればそういう問題は起きないし、やはりいじめの問題とかそういうものを見ていても、最終的にその責任がばらばらだし、隠蔽体質と言ったら失礼ですけれども、自分たちのことを考えると、なるべくその中で分からないうちに何とかいい方向で片付けようとしたことが、結果として大きなことになっていくということなわけですから、これが私立学校だったら、もう1校単位ですから、その場で責任を持ってやらなかったらどうしようもない。
 そこにはやはり私は責任というか、そういう権限みたいなものが大き過ぎることによる難しさもやはりあるのではないかという気がしますので、ちょっとその辺だけ、人事権も含めて、本当に僕がもし公立の校長で今うちの学校でやっているようなことができるかといったら、それはできないと思っています。我々は私立ですから、うちの教員がもし何かトラブルあったときに、父兄と何かありますね。そういうときに保護者の皆さんに、うちの学校の教員が正しいと思っていることだったら、絶対に通せ、押し通せ。それはなぜかといったら、うちは正しいんだから、最後の責任は俺がとってやると言えます。でも、公立の校長先生たちは言えないと思います。そういう意味では、そういう難しさがあると思うので、是非そういう点ももう1回整理しないと、ちょっと教育委員会制度で、ただ教育長に責任を与えればという問題ではないのではないかという思いでお話しさせていただきました。すみません。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 まだ委員の方から御意見あるかと思いますけれども、今日の諮問事項1で資料1から資料3をベースとした議論は一応ここで一旦切らせていただきます。残りの時間、本当に10分ほどしかありませんが、諮問事項2に関わるテーマの1つで、教育における国、地方の関係ということで、資料4に関して、御意見があればお受けいたします。このテーマについてはこれまで何度か第1ラウンドのところで皆さんから御意見は伺ってきたわけですけれども、再度2ラウンド目というふうなことで皆さんの方から何か御意見があれば、またこの場でお話しいただければと思います。いかがでしょうか。では、二見委員。

【二見委員】  今の第1ラウンドでもちょっとお話しさせてもらいましたけれども、今回のこの我々が議論している大本はやはり大津市に、あるいは大阪市、高等学校の問題とかいろいろありましたけれども、そういうところをどう改善していくかというところだと思います。今日もいじめ防止対策推進法というのがちょっと出ましたけれども、この中には、地方自治体の長は、いわゆるいじめ対策のための連絡協議会を置くことができるとか、自治体の長にもいろいろと関わりが深い。これはやはり大津市から端を発している。
 そういう中で、いじめの問題、また、それから関連して自殺。さらには自殺は子供たちには連動していく非常に怖いものがあるわけですけれども、そうした場合に、県教育委員会や国レベルで早めの対策を講じることができるということが、やはり私は大津市を振り返っても必要だったのではないか。
 ただ、今日の資料を見せていただいても、余りにもロックかかり過ぎて、二重三重のロックになっている。3つの鍵を用意しなければ開かないというふうな状況というのは、そこに子供たちがいて、更にその次の子供たちに危険が及ぶかも分からないというふうなところまで想定すれば、国の関与をやはりもう一度考えてみなければいけないのではないか。
 今地方分権という考え方の中で、常に地方へ地方へというのもありますけれども、そういう中で、それぞれの自助努力によって解決できればいいのですけれども、残念ながらそれができない部分があるから大津のような問題、あるいはかつて、十数年前の広島県の教育の問題があるわけです。そういう中で、国や県の支援を受けながら市、町の教育が改められていくということはこれまでたくさんあったわけです。
 そういう点で、今反省に立って、ロックが多過ぎるという点はやはりもう一度是非検討していただきたいというふうに私は思っています。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかによろしいですか。はい、明石委員。

【明石分科会長代理】  私も二見委員と同じ意見でございまして、実は平成8年に千葉県の流山でいじめ自殺がありました。それまでは千葉県はいじめ自殺がありまして、市町村の教育委員会と県で面倒を見たのだけれども、どうしようもない。当時の初中局長の方にお願いして、千葉県の次長さんと相談して、文科省、当時の文部省の行政指導を受けて日本で初めての第三者委員会を作ったのです。それで私は委員長をさせてもらったことがあるのですけれども、市町村とか都道府県に任せていい場合もありますけれども、万やむなしの場合はやはり国的な視点でそういう第三者委員会を設置しましょう。日本初でやったのです。
 同じことで出席停止というのがあります。これは伝家の宝刀なのです。めったに抜いてはいけませんけれども、抜けるのです、大変な場合は抜くということも、国は返り血を浴びます。だけれども、そういう責任体制ということを作っていかないと、ただあります。だから、本当に精神的にも我慢していくんですけれども、抜けるということをどこかで明示しないと、国が収まらないという感じがします。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかに。辻委員。

【辻委員】  この点は、先ほどの議論とつながるものがあると思うのです。というのは、もちろん国の指導、いろいろな関与を強化しなければならないという側面もありますが、まず第一に、先ほど吉田委員が言われたように、これは学校現場が適切に対応できるかどうかということなので、ここの強化なくしてこれを考えてもしょうがないと思うのです。
 それから、2番目に、これはやはり先ほど出てきた教育長や教育委員会に対する指揮監督の問題になります。各自治体の中で、首長がいざというときにスムーズに指揮監督できるかどうか。この体制を整えるのがその次です。そして、その後で、国の関与がこれでどうなのかという話になってくるのだと思います。
 そこで、国の関与については、例えば住民基本台帳の話で言うと、住民基本台帳はネットワークにつながなければ駄目だ、違法だと分かっているんだけれども、それでも確信犯的につなげない団体があり、是正できないでいたということがありました。それは幾ら勧告しても、強制執行できないので、是正できないのです。それで、今日、違法確認訴訟の制度ができました。学校の現場レベルでしっかりやるということと、自治体レベルでしっかりやるということとがあって、それから、今できた違法確認訴訟の制度を含めて、更に国がしっかり関与としていくことが位置付けられます。この3つを大前提に、さらなる関与の必要性を検討していく必要があると私は思います。

【小川分科会長】  森委員、どうぞ。

【森委員】  お二人の、二見さんと明石さんのことに根本的に反対しているわけではなくて、私はそのとおりで賛成いたしますが、要するに、その手段のことを申し上げているわけです。先ほどおっしゃったロックが地方自治法の改正で3月に外れたわけです。つまり、地方自治法はもちろん総務省の所管ですけれども、文部科学大臣が地方自治法の根拠に従って指導することは可能なわけですから。そこに新しいものを作る必要が本当にあるのかということを申し上げたいのです。
 それで、この議論を深めるためには、事務局から、こういうことではないですか。文部科学大臣が地方自治法の根拠規定を使って指導することが可能かどうかが1点。可能とすれば、それがどういう効果を持つのかが2点。つまり、私の理解では、今回の提案とは違って、地方自治法の方が強くて、言うことを聞かない場合には訴訟まで持ってくるはずなんです。今回の提案はそこまでないんです。ですから、既に強い規定があるのに、それより緩い規定を作る意味がどこにあるのかということを申し上げているだけで、国の関与を否定しているわけではございません。
 緊急の場合には文部科学大臣が地方自治法の根拠規定を使って訴訟まで持ち込める権利が既にあるというふうに申し上げているわけだから、それができるのかどうかは次回きちんと報告してください。お願いします。

【小川分科会長】  はい。では、最後になりますか。竹原委員、どうぞ。

【竹原委員】  1番目と2番目の議論と重なりますけれども、教育委員会制度についてマイナーチェンジではないという意見が出ましたけれども、現場でも行政でも、それから教育に関わる人みんなに分かりにくいと言われない制度にしたい、そしてできたものは必ずそれが動くように、実効性があるようにと願っています。
 危機管理に関してですが、この新しいイメージ図に教育長の事務執行の厳正なチェックと書かれています。その前提として基本方針の審議の中に、危機管理体制の確認というのも含まれているのかもしれませんけれども、ここをきちんと明記しておかないと、日常的にその体制を整えて動けるようにはならないのではないでしょうか。その上で何かあったときの教育長の役割、そして国がどう関与するかということも整理できたらと思います。
今は国が直接関与しなければいけない状態もあり、いじめ事件のときにも国が口を出すことが必要になるほど、何か緩かったんだと思いますが、まずは教育委員会、教育長、事務局の体制が明確になり機能するようにと思っています。【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。
 時間がほぼ終わりに近付いていますので、では、今日の議論はこれで終わらせていただきたいと思います。
 今後は、前回、今回皆さんから頂いた御意見を踏まえて、例えば資料1にあるような制度設計のより踏み込んだデザイン、ある意味ではバージョンアップしたものを少し出して、また引き続き皆さんにもんでもらうという作業が今後続くかと思いますので、またよろしくお願いいたします。
 次回の予定としては9月10日火曜日、10時から12時まで。場所は、一度開催したことがありますけれども、三田共用会議室の1階の講堂ということになっています。また場所が変更になりますので、御注意いただければと思います。議題等々の詳細については、また後で事務局の方から御連絡が行くかと思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。
 事務局の方から何か報告ございませんか。
 事務局の方から特に御連絡はないようですので、今日の分科会はこれで。はい。

【森委員】  簡単なことです。私、次回長岡市議会の本会議があって、どうしても来られませんし、それから、橋本知事さんは今選挙の真っ最中で、無事当選されますと、8日なのです。その翌々日は多分無理なのではないかと思うので、少なくとも決定的なことだけは次回決めることはちょっとやめていただきたいということで。私の都合ではなくて、個人の都合ではないものですから、よろしくお願いしたいと思います。

【小川分科会長】  次回で制度案を審議して、そこで中間報告案の決定をするというふうな審議は、そういう予定ではございませんので。

【森委員】  ありがとうございます。

【小川分科会長】  御安心いただければと思います。
 では、ほかになければ、今日の分科会はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

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