資料2 中央教育審議会教育制度分科会地方教育行政部会主な意見のまとめ(案)

1.総論

(1)地方教育行政を取り巻く社会状況の変化

  • 教育に対するニーズの多様化、地方分権・規制改革の進展、市町村合併の進展、地方自治体の変化など、地方教育行政を取り巻く社会状況が変化。

(2)新しい地方教育行政の在り方

1.全国的な教育水準の確保と市町村や学校の自由度の拡大

  • 学校教育とりわけ義務教育については、国はナショナルスタンダードを示し、全国的な教育水準を確保していくことが必要。
  • 同時に、住民のニーズに対応した多様な公教育が展開されるためには、地域の実情に応じた教育行政が実現されるよう、制度をできる限り弾力化するとともに、教育の直接の実施主体である市町村や学校の裁量を拡大することが必要。それに伴う市町村の行政体制や学校の組織運営体制の強化も必要。

2.説明責任の徹底

  • 市町村や学校の自由度の拡大と同時に、情報の公開と評価を徹底することが時代の要請。市町村や学校は、評価・公開を通じ、自らの説明責任を果たすとともに教育の質を向上させることが必要。
  • また、教育行政制度全体について、責任の所在を明確にすることが必要。

3.地域住民の参画の拡大

  • 教育は、地域住民や保護者の意向を十分に把握し、それを反映して行われることが必要。
  • また、地域住民や保護者が、学校運営も含め一定の権限と責任を持って教育に積極的に関わっていくことで、学校教育の改善充実や地域全体の教育力の向上を図っていくことが必要。

2.各論

〔1〕教育委員会制度の現状と課題

(1)教育委員会制度の沿革

  • 戦前において教育は国の事務。戦後、「教育委員会法」により教育委員会制度を導入。予算、条例の原案の提出権を持つとともに、委員は公選。
  • 昭和31年、政治的中立性の確保と一般行政との調和の理念に基づき「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」を制定。教育委員は首長が議会同意を得て任命することとするとともに、教育長の任命承認制度を導入。
  • その後、地方分権改革や教育改革国民会議を受け、任命承認制度の廃止や教育委員会活性化のための制度改正。

(2)教育委員会制度の今日における意義・役割

1.教育に求められる要件
ア 政治的中立性の確保
  • 教育は、個人の精神的な価値の形成に直接影響を与える営みであり、その内容は中立公正であることが求められる。
  • とりわけ国民として共通に必要なものを身に付けさせる学校教育においては、学校の基本的な運営方針の決定や、教育に直接携わる教職員の人事について、中立性の確保が強く求められる。
イ  継続性、安定性の確保
  • 教育は、子どもの健全な成長発達のため、学習期間を通じて一貫した方針のもと安定的に行われることが必要。また、結果が出るまで時間がかかり、その結果も把握しにくい特性があることから、学校運営の方針変更などの改革・改善も漸進的なものであることが望まれる。
ウ  地域住民の意向の反映
  • 教育は、地域住民にとって身近で関心の高い行政分野であり、また、特定の見方や教育理論の過度の重視など偏りが生じないようにする必要があることから、専門家のみが担うのではなく、広く地域住民の意向を踏まえて行われることが必要。
2.教育行政に求められるもの
ア 首長からの独立性
  • 教育の中立性、継続性、安定性を確保するため、学校などの教育機関を管理する責任は、首長から一定の独立性を持った機関が負うべき。
  • 現在の地方自治制度は、首長や議会のほか、執行機関として首長から独立した様々な行政委員会を設け、首長への権限の集中を防止し、中立的な行政運営を担保する仕組み。
  • 教育に関する事務は、処理すべき事務量が多く内容も専門的であることから、安定的に行うため首長とは別個の執行機関が担当することが必要。
イ 合議制
  • 様々な意見や立場を集約した中立的な意思決定を行うためには、多様な属性を持った複数の委員による合議が必要。また、地域住民の幅広い意見を代表することにもなる。
ウ 一般住民による意思決定(レイマンコントロール)
  • 専門家の判断のみによらず、広く地域住民の意向を反映した教育行政を実現するためには、教育の専門家や行政官ではない一般住民が専門的な行政官で構成される事務局を指揮監督する、いわゆるレイマンコントロールの仕組みが必要。
3.教育委員会制度の必要性
  • 教育委員会制度は、教育機関の管理運営における首長からの独立性、合議制、レイマンコントロールを実現する制度として、今後も必要。
  • 教育委員会を設置するか否かを自治体の判断に委ねるべきという、いわゆる任意設置の考え方については、都道府県教育委員会と市町村教育委員会の持つ権限の相違や、自治体の規模、学校運営協議会制度の導入状況等を踏まえつつ、教育の政治的中立性等を担保するためどのような代替措置が可能なのかも含め、検討することが考えられるのではないか。

(3)教育委員会に対して指摘されている問題点とその要因

1.指摘されている問題点
  • 教育委員会は、事務局の提出する案を追認するだけで、実質的な意思決定を行っていない。
  • 教育委員会が地域住民の意向を十分に反映したものとなっておらず、教員など教育関係者の意向に沿って教育行政を行う傾向が強い。
  • 地域住民にとって、教育委員会の役割や活動が余り認知されていない。
  • 国や都道府県の示す方向性に沿うことに集中し、それぞれの地域の実情に応じて施策を行う志向が必ずしも強くない。
  • 学校は、設置者である市町村ではなく、国や都道府県の方針を重視する傾向が強い。また、教職員の市町村に対する帰属意識も弱い。
2.問題点の要因として考えられるもの
  • 教育委員会で十分な議論がなされておらず、適時迅速な意思決定を行うことができない。
  • 教育委員に対して事務局から十分な情報が提供されない。また、教育委員が、学校など所管機関についての情報を得ていない。
  • 教育委員の人選に首長や議会が関心を持たない場合、適材が得られない。
  • 教育長や教育委員会事務局職員の学校教育関係ポストが、教員出身者によって占められているため、行政運営にあたって教員の立場を強く意識することとなっている。
  • 教育の政治的中立性を強く意識する余り、教育委員と首長との意思疎通が十分に行われず、相互に理解がなされていない。
  • 教育委員が職務を遂行する上で地域住民と接する機会が少なく、また委員会の広報活動や会議の公開も十分でない。
  • 小規模の市町村教育委員会では、指導主事を配置できないなど事務体制が弱く、学校指導などが十分にできない。
  • 教育委員会に財政的な権限がないため、財政支出を伴う施策は、教育委員会が独立して企画・実施することができない。
  • 小中学校が市町村立でありながら、その教職員の人事権は都道府県教育委員会の権限とされている。

〔2〕教育委員会の組織及び運営の改革

(1)教育委員会の組織等の弾力化

  • 指摘される問題点については、各自治体において状況が様々であり、また制度の運用を改善することによって解決が図られるものも多い。このため、教育委員会制度を弾力化し、各自治体の自由度を高めることにより、それぞれの状況に応じた制度運用の改善を促すことが必要ではないか。
  • 現在の教育委員会制度は、自治体の種類や規模等にかかわらず基本的に一律。自治体の人口規模や行政資源に応じ、教育委員会の組織や運営について各自治体が選択できるようにすることが必要ではないか。
  • 現在の教育委員会制度について、教育機関の管理運営における首長からの独立性、合議制、レイマンコントロールといった基本的な事項は国が定めた上で、その他の事項についてできる限り弾力化し、自治体がそれぞれの実情に応じて教育委員会の組織や運営について決定できるようにすることが考えられるのではないか。

(2)地方自治体における運用の改善

1.教育委員の選任の改善
  • 委員候補者の公募や、住民の推薦、選考過程の地域住民への公開といった選任方法の改善などにより、教育委員に適材を確保するよう努めることが必要ではないか。
2.教育委員会議の運営の改善、公開
  • 開催回数を増やすとともに、夜間開催など開催時間を工夫し、委員による議論の機会を最大限確保すること、また、十分な審議ができるよう案件の内容を事前に教育委員に説明するとともに、事務局の説明資料を簡潔で分かりやすいものとすることが望ましい。
  • 会議開催予定を積極的に広報するとともに、開催時間や開催場所についてできるだけ傍聴しやすいよう配慮すること、また、会議の開催後できるだけ速やかに会議録を作成し、インターネットなどにより公開することが望ましい。
3.地域住民の意向や所管機関の状況等の積極的な把握
  • 住民広聴会の開催や移動教育委員会議の開催など、教育委員自身が地域住民の意向を把握するための工夫を行うことが望ましい。
  • 学校等教育機関への訪問等により、所管する機関等の状況を把握したり、警察など教育関係以外の機関・団体、PTA、経済団体、大学等と意見交換することも望ましい。

〔3〕教育長、教育委員会事務局の在り方の見直し

(1)教育委員会の使命の明確化

  • 教育委員会の使命を明確にし、地域の教育課題に応じた基本的な教育の方針・計画の策定、教育委員会事務局の事務執行状況の監視・評価としていくことが必要ではないか。
  • 日々の教育事務の執行を専門的な行政官である教育長と事務局に委ねつつ、教育委員会と教育長及び事務局が適度な緊張関係を保ちながら教育事務を執行するようにしていくべきではないか。

(2)教育長の選任方法の改善

  • 教育長は、現在、教育委員の中から教育委員会が任命することとされている。このような選任方法については、教育委員会と教育長との関係を不明確にしている、教育長の選任は実質的には首長が行っており実態と制度が乖離しているという指摘がある。
  • これらを踏まえ、教育長の選任方法について、教育委員会と教育長との関係をより明確化する観点から、見直すことも考えられるのではないか。

(3)教育委員会の自己評価

  • 地域住民や議会、首長に対する説明責任を徹底するともに、教育委員会自体の活性化を図るためには、その活動について目標を設定し、実施結果を公表することが必要ではないか。
  • このため、教育長が、教育長以下の業務の状況について自己評価を行い、教育委員会に報告するとともに、教育委員会自体も、毎年、委員の活動の状況を評価し、その結果を公表することが必要ではないか。

(4)地方自治体における運用の改善

1.教育委員会事務局の体制強化
  • 指導主事や社会教育主事などの専門的職員の配置を充実すべきではないか。県費負担教職員の中から、指導力の優れた者を市町村教育委員会の判断で指導主事に充てることや、学校に勤務しつつ当該市町村の学校全体に対する専門的な指導にあたらせることも必要ではないか。
  • 事務局職員の人事について、教育行政に精通した人材を育成するとともに、首長部局との人事交流を行い、財政、人事、市町村指導などを経験した人材を含めバランス良く配置することが必要ではないか。
2.市町村教育委員会の事務処理の広域化
  • 市町村合併が進展してもなお小規模である市町村については、都道府県が積極的に支援していくとともに、指導主事の共同設置など教育事務の共同処理に積極的に取り組むことが望ましい。

〔4〕首長、議会と教育委員会との関係の改善

(1)首長と教育委員会の関係を見直す際の視点

  • 首長と教育委員会の関係を見直すにあたっては、教育に関する事務の中で首長から独立して意思決定を行う必要があるものは何かを明確にすることが必要。
  • そのような事務としては、教育の政治的中立性の確保及び教育の自主性の尊重のために必要なものとして、1.学校や社会教育機関における教育内容に関すること、2.教科書その他教材の選択に関すること、3.教職員の採用その他人事に関すること、4.教員免許状の授与に関すること、5.学校や教員に対する評価に関すること、また、首長部局の行う開発行為との均衡を図る観点などから必要なものとして、6.文化財の保護に関することなどが挙げられるのではないか。

(2)首長と教育委員会の権限分担の弾力化

  • 首長と教育委員会との権限分担については、政治的中立性の確保等の観点から、学校教育及び社会教育に関するもの並びに文化財の保護に関するものは、引き続き教育委員会の事務とすべきではないか。
  • 生涯学習、文化、スポーツに関わる行政分野については、教育委員会が担う場合、学校教育との連携や事業の継続・安定といった面でメリットがある。一方、これらの行政分野は、地域づくりにも大きく関わるものであり、首長部局との関係も深く、首長部局が担う場合、新規事業の企画や予算確保の面でメリットがある。これらを踏まえ、地方自治体の判断により権限分担を変更できるようにすることも考えられるのではないか。
  • 幼児教育は、保護者を含め地域住民にとって身近で関心の高い課題であり、また市町村の実施する小学校教育との接続も視野に入れた体系的な取組が必要。このため、幼児教育については、公立・私立の幼稚園、保育所等を通じ、義務教育との接続も視野に入れた総合的・体系的な施策を展開する上で、市町村教育委員会が積極的な役割を果たしていくことが重要ではないか。
  • また、私立学校については、私学としての自主性の尊重や公立学校との交流連携なども勘案しつつ、教育委員会の関わりについて検討することが必要ではないか。

(3)地方自治体における運用の改善

1.首長と教育委員会との連携
  • 生涯学習、文化、スポーツについては、首長のリーダーシップの下での自治体全体としての取組が必要。また青少年の非行防止や就職対策など、教育委員会だけでは処理しきれない分野横断的な行政課題が多く生起。このような中、青少年教育等について首長と教育委員会が連携していくことがますます重要。このため、教育委員と首長との協議会を定期的に開催し、十分意思疎通を図ることが望ましい。
  • このほか、教育に関する審議会の設置や、地方自治法上市町村が策定することとされている基本構想の活用なども、首長と教育委員会の連携を深める上で有効な方策。
2.教育財政における教育委員会と首長の関係
  • 教育委員会が独自の判断で特色ある教育行政を行うためには、予算に関する権限が必要。しかし、歳出についてのみ教育委員会が独立した権限を持つことは実際には困難。
  • 今後、教育関係予算の編成・執行にあたって、首長部局が教育委員会に対して総枠を示し、その枠内で教育委員会の判断に委ねるなど、首長部局が教育委員会の独自性を尊重するとともに、現行の意見聴取制度を活用するなど十分な協議を行い、共通理解を持って進めることが望ましい。
3.教育委員会と地方議会の関係
  • 教育委員会は、地方議会における質疑・答弁を通じ、住民に対する説明責任を積極的に果たしていくことが望ましい。
  • また、首長が教育委員を選任する際の議会の同意は、教育委員に適材を確保する上で極めて重要。

〔5〕都道府県と市町村との関係の見直し

(1)国、都道府県、市町村のそれぞれの役割と関係

  • 国、都道府県、市町村は、それぞれが役割を分担し責任を負いながら、義務教育を実施。この役割分担を基本としつつ、近年、地方分権のための制度改正。
  • 今後さらに国から地方へ、都道府県から市町村へ権限委譲を進め、住民に近い自治体が権限と責任を持って地域の実情に応じた教育を実現できるようにしていくことが必要。
  • また、国の方針が、都道府県、市町村、学校と進むに従って強く受けとめられ、教育が画一的となることのないよう、国は地方の、都道府県は市町村の自主性を最大限尊重するとともに、市町村も主体的に教育行政に取り組むことが必要。
  • なお、政令指定都市については、原則として都道府県と同等の権限と責任を与えることが必要ではないか。

(2)市町村への教職員人事権の委譲

  • 子どもや住民に最も身近な市町村が責任を持って教育行政にあたることができるよう、市町村に可能な限り権限を委譲していくことが必要。
  • 教職員人事権については、できるだけ市町村に委譲する方向で見直しを検討すべきではないか。一方、採用や懲戒処分も含めた人事関係事務を市町村の事務体制で処理することが可能かどうかや、一定水準の人材を県内全域で確保するため広域人事を行う必要があることについても、留意すべきではないか。
  • 当面の方策として、中核市や一定規模以上の市町村に教職員人事権を委譲する方向で検討すべきではないか。また、同一市町村内における人事異動については、基本的に市町村が主体的に行えるようにすべきではないか。

(3)都道府県教育委員会の在り方

1.都道府県の役割
  • 市町村の規模等は様々であることから、県域全体における教育水準の維持向上を図るためには、都道府県が市町村の自主性を尊重しつつ、市町村に対する支援を積極的に行うことが必要。
  • 特に、小規模市町村の小中学校や、指導主事の配置が難しい教科における学校指導については、都道府県教育委員会が指導主事を派遣したり、充て指導主事を市町村教育委員会に配置するなどの支援が必要。
  • 一方、市町村がより主体性を持って学校運営の責任を負う体制が整うに従い、都道府県の役割を限定する方向で見直し、最終的には、学校評価や児童生徒の学習到達度評価のセンター機能に重点を移していくことが必要ではないか。
2.教育事務所の在り方
  • 教育事務所については、小規模市町村に対する支援や、域内における情報交換、教育研究団体の育成など、市町村相互又は市町村を越えた教育活動への支援に重点を置く方向で見直すことが必要ではないか。

〔6〕学校と教育委員会との関係の見直し

(1)学校と教育委員会の関係の在り方

  • 学校が生徒・保護者のニーズや地域の状況に応じた教育を主体的に行い、保護者や地域住民に対して直接に説明責任を果たしていくためには、学校に権限を与え、校長のリーダーシップの下で自主的に学校運営ができるようにすることが必要。

(2)学校への権限委譲、裁量の拡大

  • 教職員人事については、学校間の異動の担保や人事関係事務を学校が処理する際の負担、現在の職員の資質向上の重要性に留意しつつ、配置に関する校長の権限を拡大していくことが望ましい。
  • 教育委員会の学校に対する承認事項については、さらに学校管理規則等の見直しを進め、教育内容等に関する学校の裁量を拡大していくことが望ましい。
  • 学校予算については、学校の企画・提案に基づいた予算の配分や、使途を特定せず総枠内で予算の使途を校長に委ねる裁量的経費の措置など、裁量の拡大をさらに進めることが望ましい。
  • 学校の裁量の拡大に伴って、教職員の配置の見直しや学校組織の強化など条件整備が必要となるのではないか。

(3)学校評価の改善

  • 学校評価は、学校が自らの教育活動について自律的・継続的な改善を行うとともに、保護者や地域住民に対して説明責任を果たす上で重要。また、保護者・地域・学校の三者が情報を共有し、学校運営に参画していく上でも重要。
  • 学校評価については、今後、自己評価の実施とその公表を義務化することや、外部評価の実施について検討することが必要ではないか。
  • なお、学校評価については、多面的な評価を行うようにすることが重要であり、特に学校選択が行われる場合、一面的な学校評価の結果によって学校が単純に比較されることのないよう留意する必要があるのではないか。

(4)学校に対する教育委員会の支援

  • 学校が充実した教育活動を行うためには、教育委員会の学校に対する支援が重要。とりわけ、各学校の授業改善に対し支援していくことが重要。指導主事の派遣、教育研究団体の育成、カリキュラムや教材を開発するための場の提供に努めることが望ましい。
  • また、学校事故や生徒指導上の問題が発生した場合、教育委員会が学校と連絡を密にし支援を行うことが望ましい。
  • 教育委員会は、校長会等を通じて学校現場の意見を吸い上げ、施策に反映することが望ましい。

〔7〕保護者・地域住民と教育委員会・学校との関係の見直し

(1)保護者・地域住民の参画

1.保護者・地域住民の意向の反映
  • 教育に対する多様なニーズに応えていくためには、学校の管理運営や教育行政に保護者・地域住民の参画を積極的に求めていくことが必要。また、地域が学校を育てると同時に、学校が地域を育てるという双方向の関係が必要。
  • このため、学校評議員制度の全国的な設置を推進し、保護者・地域住民の意向を学校の管理運営に反映していくことが望ましい。また、新たに創設された学校運営協議会制度についても、今後積極的に活用され、協議会が置かれる学校の日常的な運営は協議会を通じて自律的に行われることが期待される。
  • 学校教育以外の分野でも、地域住民の意思を政策や施設の運営に反映するため、公民館運営審議会や図書館協議会などの制度の積極的な活用が望ましい。
  • 教育委員会の政策立案の過程において、保護者や地域住民の代表、教育関係の活動を行う団体の代表や有識者等によって構成される審議会や研究会を、必要に応じて設置することも有効な方策。
2.保護者・地域住民等の学校への協力
  • 保護者・地域住民は、地域で学校を育てていくという観点に立ち、学校の教育活動に積極的に協力していくことが必要。また、地域の企業や大学などの協力を得ていくことも重要。
3.PTA活動の充実
  • 学校は、PTAを通じ保護者に対して学校の教育方針を説明し、保護者の十分な理解を得るようにすること、一方、PTAは、保護者全体の意見を踏まえながら学校に協力していくことが望ましい。PTAが学校に協力する際には、学校の求めに応ずるだけではなく、有志の親の会や学校支援ボランティアの組織化など、保護者や地域住民の自発性を重視した取組を進めることが重要。

(2)保護者・地域住民への情報発信と要望への対応

  • 保護者・地域住民の参画については、一部のものの参画に留まってしまう場合も考えられる。保護者・地域住民が幅広く参画することができるよう様々な工夫を行う一方で、情報提供を広範に行い随時意見や要望を受ける体制をとっておくことも重視することが必要。
1.積極的な情報発信
  • 条例による「教育の日」の制定や「教育週間」の設定など、教育に関する地域住民への情報発信、「学校へ行こう」週間の設定や研究授業の公開など、学校の授業の公開に努めることが必要。
  • インターネット、テレビ、ラジオなどの各種の広報媒体を活用し、教育委員会の審議状況や学校における教育活動の現状、教育委員会の施策の情報を、積極的に発信することも必要。
2.保護者・地域住民の要望への対応
  • 教育委員会は、行政相談窓口の他、ウェブサイトの掲示板や電子メールなどにより、住民が直接教育委員会に意見を述べることができるようにすることが望ましい。

〔8〕教育委員会の在り方に関する継続的な検討

  • 将来的には、今後の運用状況を踏まえた学校運営協議会制度の改善や、人事・予算等に関する権限の校長への委譲を進め、学校で決定、処理することが可能な日常的な事項については、学校で自己完結させ、教育委員会の機能をより専門的な見地からの各学校の教育計画や域内の教育施策の企画立案、評価・支援に転換していくことも考えられるのではないか。
  • 今後、市町村合併の進展など教育委員会を取り巻く状況の変化、学校運営協議会制度の運用状況、さらに、教育委員会改革の進捗状況を見ながら、教育委員会の在り方について引き続き検討を進めていくことが必要ではないか。

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生涯学習政策局政策課