一橋大学大学院商学研究科

伊丹敬之氏(一橋大学大学院商学研究科 教授)のプレゼンテーション(要旨)

1.「実学の象牙の塔」という基本スタンス

  • 実学とは、現実に根ざした学問、現実と深く関わろうとする学問
  • 象牙の塔とは、深い知識・論理の体系の知識を生み出す行為の象徴
  • 大学は、単純な実務知識の切り売り機関に大学がなるべきではなく、深い知識の蓄積をそれぞれの専門分野で行うこと。
  • 専門学校には専門学校の存在意義があり、「実学をきちんとする」ことと「すぐに役に立つ実務知識を教える」ことの間には、大きな差がある。

2.人文社会科学系大学院の教育研究機能の高度化

  • 研究者養成が大学院の最大の任務であり、そのためにはファカルティの育成が重要
  • 人社系大学院の国際競争力強化のためには、COEのような資源投入を増やして、ファカルティの量・質での強化が最重要

3.修士課程と専門職学位課程の関係

  • 研究者養成と高度専門職業人養成を同時に狙い、2つのコースを組織として分けないのも一つの方法であり、商学研究科では有効に機能。商学研究科では、どのような人材養成を行うのか、社会的に認知(特に受験者)されている。
  • また、学部を下にもつ修士課程ならではの特色ある取組み(5年一貫プログラム)も可能。

4.人文社会科学系大学院修了者のキャリアパスのあり方

  • 修士(経営学)コース修了者については、MBAの意義についてまだ社会の認知が十分でないところがある。これには、日本のビジネス社会全体での高度専門職業人の必要性の認知が必要である。
  • 社会的認知を上げる作業は、質の高いアウトプットを出す作業の継続が重要。

5.学位授与の促進について

  • 人社系での学位についてのコンセプトを「特に目立った研究業績の顕彰証」から「研究者としての基礎訓練修了証」に変えることが最も重要。
  • そのためには、基礎訓練を促進し「論文を書かせる」仕組みを作ることが必要。
    (例 商学研究科での試み)
    • 論文指導委員会の設置し、博士(後期)課程2年次秋に、当該委員会で学生の論文執筆能力を審査
    • 審査委員会3名(指導教員を除く)による公開口頭試問により最終審査を実施

※ 第21回大学院部会資料等より事務局作成

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