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第3期教育振興基本計画の策定について(諮問)

28文科生第70号
平成28年4月18日
中央教育審議会

次に掲げる事項について,別紙理由を添えて諮問します。



第3期教育振興基本計画の策定について


文部科学大臣   馳   浩

(理由)

  平成18年12月に全面改正された教育基本法の前文では,「個人の尊厳を重んじ,真理と正義を希求し,公共の精神を尊び,豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに,伝統を継承し,新しい文化の創造を目指す教育を推進する」ことがうたわれています。これは,「民主的で文化的な国家」の一層の発展と,「世界の平和と人類の福祉の向上」への貢献という理想を実現するために推進すべき教育の姿です。
  こうした改正教育基本法が掲げる基本理念を踏まえ,平成25年に第2期の教育振興基本計画を閣議決定してから,約3年が経過しました。現行計画では,グローバル化や少子化・高齢化など社会の急激な変化,雇用環境や地域社会・家族形態の変容など我が国が直面する危機,東日本大震災からの教訓を踏まえ,今後の社会の方向性として「自立」「協働」「創造」の三つの理念を実現するための生涯学習社会の構築を掲げています。
  これまで,現行計画に示された「社会を生き抜く力の養成」「未来への飛躍を実現する人材の養成」「学びのセーフティネットの構築」「絆(きずな)づくりと活力あるコミュニティの形成」という四つの教育行政の基本的方向性に基づき,質の高い教育を可能とする教育環境の構築や,幼児教育の段階的無償化や高校生等奨学給付金制度の創設,大学生等に対する無利子奨学金の拡充をはじめとする家計の教育費負担を軽減するための方策の充実,学校施設の耐震化等の安全・安心な教育研究環境の確保等の具体的な施策を進めています。
  現行計画に掲げる各施策の進捗状況や成果目標・指標の達成度合い等については,既に昨年度から中央教育審議会教育振興基本計画部会や各分科会,スポーツ審議会の場でも点検が行われ,今後の施策の改善につなげています。
  その間,中央教育審議会の答申や教育再生実行会議の提言も踏まえ,個別の施策について,教育委員会制度改革や小中一貫教育の制度化,大学のガバナンス機能を強化するための法改正が行われました。また,高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜の一体的改革についても,平成26年12月の中央教育審議会答申を受けて「高大接続改革実行プラン」を策定し,同答申の理念を踏まえた改革内容の具体化に向けた検討を進めております。教員の資質・能力の向上,チームとしての学校,学校と地域の連携・協働についても,昨年12月の答申を受け,本年1月に「次世代の学校・地域」創生プランを策定し,着実な実施に向けて取り組んでおります。平成26年11月には,中央教育審議会に初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について諮問し,現在御審議いただいております。
  国際的にも,教育政策は重大な関心事項となっています。国際連合やOECDにおいても,2030年に向けた教育についての議論が進められています。また,本年5月には,G7倉敷教育大臣会合が開催され,平和と繁栄,持続可能な社会の構築に向けた新しい時代における教育の革新について議論される予定です。

  一方,2030年頃には,Internet of Thingsやビッグデータ,人工知能等をはじめとする技術革新やグローバル化の一層の進展に伴う産業構造や社会システムの変化,人口動態の変化や女性・高齢者等の活躍の進展,雇用環境の変化等に伴う就学・就業構造の変化,国際情勢の変化等が予想され,子供たちのみならず国民全体の将来に大きな影響を及ぼすことが考えられます。その中で,子供の貧困などに現れる格差の固定化を食い止め,子供たちの誰もが,頑張れば,夢を紡いでいくことができる社会を実現する必要があります。
  こうした時代を迎える中で,経済社会の活力を維持・向上し,我が国の持続的な成長・発展につなげるとともに,一人一人が豊かな人生を送り,安心して暮らせる社会を実現するために教育の果たす役割は大きく,教育の在り方も一層の進化を遂げなければなりません。これからの時代の教育には,教育基本法の基本理念を踏まえ,主権を有し,今後の我が国の在り方に責任を有する国民の一人として,また,多様な個性・能力を生かして活躍する自立した人間として,主体的に判断し,多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する力を,あらゆる教育段階を通じて身に付けることが求められています。他者への共感や思いやりなど,日本人としての美徳やよさを備えつつグローバルな視野で活躍するために必要な力を育むことも求められています。こうした教育は,人口減少を克服し,地域コミュニティを創り出す上でも,また,地球規模課題に立ち向かい,平和と繁栄,持続可能な社会を構築する上でも,大きな鍵となるものです。

  このような状況を踏まえ,平成30年度から開始する第3期教育振興基本計画では,教育の目指すべき姿や,教育政策の基本的な方針,目指すべき方向性,振興のための諸方策を総合的かつ体系的に示し,その実現のための道筋を明らかにすることにより,今後の教育再生を実効あるものにすることが必要です。
  あわせて,教育政策の在り方も進化し続けなければなりません。昨年7月に教育再生実行会議が取りまとめた第八次提言では,教育は,経済成長・雇用の確保,少子化の克服,格差の改善,社会の安定といった我が国社会が抱える課題を解決する鍵であり,教育投資を「未来への先行投資」と位置付け,その充実を図ることが必要であることが掲げられ,これからの時代に必要な教育投資と財源確保のための方策が提言されました。あわせて,提言の実現のためには,広く国民の間で,教育投資の効果や必要性について認識が共有され,「教育は未来への先行投資である」という理解が醸成されていることが不可欠であることも示されています。具体的には,教育投資の充実に当たって,既存の施策も含め,各種教育施策の社会経済的効果を検証し,より効果的・効率的な施策の立案にいかしていくサイクルを確立することが不可欠であること,そのためには,各種教育施策の効果を専門的・多角的に調査・分析し,検証するための体制を整備することなどが提言されています。このように,今後,教育政策を推進するに当たっては,客観的な根拠を一層重視することが求められています。

  以上のような問題意識の下,第3期教育振興基本計画の在り方について,次の事項を中心に御審議をお願いします。

  第一に,2030年以降の社会の変化を見据えた,教育政策の在り方についてです。

  具体的には,以下の事項について御検討いただき,総合的かつ体系的にお示しいただきますようお願いします。

○ 改正教育基本法の基本理念,現行計画の成果と課題,2030年以降の我が国において予想される社会の変化,国際的な視点から見た我が国の教育の「強み」と「弱み」,国際的な教育政策の動向等を踏まえた今後の教育政策に関する基本的な方針について

○ 上記の基本的な方針を踏まえた,生涯を通じたあらゆる教育段階における,今後5年間の教育政策の目指すべき方向性及び主な施策の内容について

○ 第2期教育振興基本計画及びその点検結果を踏まえ,明確化かつ精選した指標を設定し,教育政策の検証改善サイクルを確立することについて

  なお,上記について御審議いただく際には,他の政策分野との関連にも留意して,御検討をお願いします。

  第二に,各種教育施策について,その効果の専門的・多角的な分析,検証に基づき,より効果的・効率的な教育施策の立案につなげるための方策についてです。

  具体的には,以下の事項について御検討をお願いします。

○ 教育政策の効果(社会経済的な効果を含む。)を社会に対して示すための方策について。特に,第3期教育振興基本計画の検証改善サイクルや,教育施策の効果を専門的・多角的に分析,検証するために必要なデータ・情報の体系的な整備や,実証的な研究の充実も含めた総合的な体制の在り方について

 以上が中心的に御審議をお願いしたい事項でありますが,この他にも,第3期教育振興基本計画の在り方を中心に,必要な事項について御検討をお願いします。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成28年11月 --