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1.子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について(諮問),2.これからの学校教育を担う教職員やチームとしての学校の在り方について(諮問)

26文科生第253号
平成26年7月29日
中央教育審議会

次に掲げる事項について、別紙理由を添えて諮問します。

1 子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について

2 これからの学校教育を担う教職員やチームとしての学校の在り方について

文部科学大臣      下村 博文

(理由)

1 子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について

 我が国においては、高齢者人口が増大する一方で生産年齢人口は減少し続けるなど、主要先進国でもまれに見る速さで少子高齢化が進んでいます。また、グローバル化の進展に伴う国際競争の激化が進んでおり、こうした中で、日本が将来にわたり成長・発展し、一人一人の豊かな人生を実現するためには、少子化を克服するとともに、新たな社会的価値・経済的価値を生むイノベーションを創出し、国際的な労働市場で活躍できる人材の育成や多様な価値観を受容し、共生していくことができる人材の育成が求められています。

 他方、日本の学校制度は、戦後、6-3-3-4制の学制を基礎として構築され、戦後の復興、近代国家としての成長と発展に重要な役割を果たしてきたと考えられます。しかしながら、戦後約70年が経ち、現在の学制が導入された当時より子供の発達が早期化していると言われており、また、小1プロブレムや中1ギャップと呼ばれる、進学に伴う新しい環境への不適応等の課題が指摘されています。これに加え、子供たちに対する意識調査において、自己肯定感の低さが指摘されているなど、現在の学校制度が、必ずしも子供の発達や能力に応じた効果的な制度とはなっておらず、子供の自信や可能性、能力を引き出す教育を行うことができる制度の構築が急務であると考えられます。

 以上のような観点から、教育再生実行会議において、今後の学制等の在り方について御議論いただき、先日、子供の発達に応じた教育の充実、様々な挑戦を可能にする制度の柔軟化など、新しい時代にふさわしい学制改革の方向性について御提言いただいたところであります。具体的には、幼稚園と小学校、小学校と中学校などの学校間連携の一層の推進や、小中一貫教育の制度化及び設置促進への支援、大学への飛び入学制度の活用実態を踏まえた高等学校の早期卒業や、国際化への対応として大学及び大学院入学資格においてそれぞれ課している12年又は16年課程の修了要件の緩和など、幅広い提言がなされています。また、学制改革に伴い、学校間連携や一貫教育を推進し、柔軟かつ効果的な教育を行う観点から、教科等の専門性に応じた、小学校と中学校、中学校と高等学校など学校種を超えて指導できる教員免許状の創設なども提言に盛り込まれています。これらを踏まえ、今後の学制の在り方について、諮問を行うものでありますが、特に改革の方向性を踏まえた具体的な実施方策や法制化に関する事項を中心に御審議いただきたいと考えております。

 具体的には、以下の点を中心に御審議をお願いいたします。

  第一に、小中一貫教育の制度化をはじめとする学校段階間の連携の一層の推進についてであります。

  教育再生実行会議では、幼稚園と小学校、小学校と中学校などの学校間連携の一層の推進や、小中一貫教育の制度化、また、これらを踏まえた教員免許制度の在り方などについて、提言がなされておりますが、この中でも喫緊の課題である以下の事項について、御検討をお願いします。

  ○ 中1ギャップと呼ばれる中学校進学に伴う環境変化への不適応への対応や、小学校への外国語活動の導入をはじめとした学習内容の改善への対応等を考慮し、小学校教育と中学校教育の接続について、小中一貫教育を学校制度に位置づけ、9年間の教育課程の区切りを柔軟に設定できるようにすることなどにより、学校段階間の連携の一層の推進を図る必要があるが、これまでの全国各地の先導的な取組の成果・課題を踏まえ、どのような制度設計が考えられるか。また、その制度が有効に機能するための教員免許制度はどうあるべきか。さらに、小中一貫教育を全国的に展開するとともに、取組の質の向上を図る観点からどのような方策が考えられるか。

  第二に、意欲や能力に応じた学びの発展のための高等教育機関における編入学等の柔軟化についてであります。

  教育再生実行会議で示された、学習者の目的意識や意欲、能力に応じて、自らの学びを発展させ、様々な分野への挑戦を可能とする制度設計に向け、高等学校から大学への早期進学に係る制度の在り方、学制の異なる他国からの留学生受入れなどに対応した高等教育の入学資格の在り方、高等教育機関における編入学の在り方について、御検討をお願いします。その際、

  ○ 高等学校の早期卒業について、現在の大学への飛び入学制度の活用状況等も踏まえ、意欲・能力に応じた学びの発展や、その後の興味・関心の変化による進路変更に対応できるようにするには、どのような制度とすべきか。
  ○ 国際化の観点から、学制の異なる他国からの留学生の受入れを積極的に推進していくため、大学及び大学院における入学資格の在り方について、それぞれ現行の12年及び16年の課程の修了要件の緩和をどのように考えるか。
  ○ 現在の短期大学、高等専門学校及び専門学校から大学への編入学や単位認定等の制度の活用促進に加え、高等学校専攻科や職業能力開発大学校・短期大学校等の学校以外の教育施設から大学への編入学等の途を開くには、どのようにすべきか。
 
  などの視点から、御検討をお願いします。 

 以上が中心的に御審議をお願いしたい事項でありますが、この他にも、子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築に関し、必要な事項について御検討をお願いします。

2 これからの学校教育を担う教職員やチームとしての学校の在り方について

 学校教育の成否は、教員の資質能力に負うところが大きく、これからの時代に求められる学校教育を実現するためには、教員の資質能力の向上とともに、教員が専門性を発揮できる環境を整備することが求められています。
 知識基盤社会において、各自が生涯にわたって自己の能力と可能性を最大限に高め、様々な人々と協調・協働しつつ、自己実現と社会貢献を図ることができるようにすることが重要です。そのためには、子供たちが、自ら課題を発見し、他者と協働してその解決に取り組み、新たな価値を創造する力などを身に付けることが不可欠です。
 また、少子高齢化やグローバル化の進展に伴う国際競争の激化の中で、我が国が将来にわたり成長・発展し、一人一人の豊かな人生を実現するため、新たな社会的価値・経済的価値を生むイノベーションを創出し国際的に活躍できる人材や、多様な文化や価値観を受容し共生していくことができる人材を育成していくことが必要です。
 そのために、教員が果たす役割は大きなものであり、これからの時代に求められる学校教育の実現に向けて、教員の資質能力の向上が重要な課題であります。
 
  一方で、中学校等の教員を対象としたOECDの国際教員指導環境調査(TALIS)の結果からは、我が国の教員をめぐる様々な課題が明らかになっています。
  例えば、批判的思考を促すことや学習への動機付けをすることなど、主体的な学びを引き出すことに対して自信を持つ教員の割合が国際的に見て低い状況です。さらに、我が国の教員は、課外活動の指導や事務作業に多くの時間を費やし、調査参加国中で勤務時間が最も長いという結果が出ており、教員や支援職員の不足を指摘する校長の割合も高くなっています。

 これからの教育を担う教員には、例えば、子供たちが一方的に教えられる受け身の授業ではなく、ICT等も活用しながら、課題の解決に向けて主体的・協働的に学ぶ授業を通じて、これからの時代に求められる力を子供たちに確実に身に付けさせることができる指導力が必要です。
 また、子供の発達の早期化や中学校でのいじめ・不登校の急増など、発達段階に即した指導や学校段階間の円滑な接続に関する課題を踏まえて、学校間の連携や一貫教育、小学校における教科指導の専門性の向上等を推進し、柔軟かつ効果的な教育を行う観点から、教員が学校種を超えて指導ができることも求められています。

 このため、養成段階から教職生活の全体を通じた教員の資質能力の向上のための総合的な取組を充実していくことが必要であり、教育再生実行会議の第5次提言においても、教員免許制度を改革するとともに、社会から尊敬され学び続ける質の高い教員を確保するため、養成や採用、研修等の在り方の見直しが提言されています。

 加えて、教員が自らの指導力を十分に発揮し、生涯にわたって伸ばしていくことができるような環境を整備し、教員が魅力ある職となるよう、教員の専門性にふさわしい勤務や処遇等の在り方について検討を行う必要があります。
 また、従来よりも複雑化・多様化している学校の課題に対応していくためには、学校組織全体の総合力を一層高めていくことが重要であることから、教員としての専門性や職務を捉え直し、学校内における教職員の役割分担や連携の在り方を見直し改善していくとともに、教員とは異なる専門性や経験を有する専門的スタッフを学校に配置し、教員と教員以外の者がそれぞれ専門性を連携して発揮し、学校組織全体が、一つのチームとして力を発揮することが求められています。


 以上のような観点から、これからの教育を担う教員の資質能力と学校組織全体の総合力を高めるための方策について包括的に諮問を行うものであります。
 具体的には、以下の事項を中心に御審議をお願いいたします。

    第一に、これからの教育を担う教員が必要な資質能力を身に付けることができるようにするため、教員養成・採用・研修の接続を重視して見直し、再構築するための方策についてであります。

    これからの教育を担う教員に求められる指導力を、教員の専門性の中に明確に位置づけ、全ての教員がその指導力を身に付けることができるようにするため、教員養成・採用・研修の接続を重視して見直し、再構築するための方策について、御検討をお願いします。その際、

    ○ 主体的・協働的に学ぶ授業を展開できる指導力、教科等横断的な視野を持って指導できる力、小中一貫教育など学校種を超えて指導できる力や小学校における教科指導の専門性などを身に付けさせる観点から、教育職員免許法に規定されている教員養成課程で学ぶべき内容や課程認定の在り方も含め教員免許制度をどのように見直していくべきか。その際、特に学校現場を経験する機会の充実も含め、どのような方策が考えられるか。
    ○ 教員養成・採用・研修の接続を強化しつつ、採用の前又は後に学校現場で行う実習・研修を通じて適性を厳格に評価する仕組みの導入や、選考過程の改善を図る取組を推進するため、どのような方策が考えられるか。
    ○ 教員を目指す者や教員が、養成段階から教職生活全体を通じて、資質能力を深化・発展させることができるよう、教員養成・採用・研修の各段階における学校・教育委員会と教職大学院等大学との連携・協働の取組を推進するため、どのような方策が考えられるか。その際、特に、研修の内容を高度化する観点から、教職大学院等大学との連携の推進を含めどのような方策が考えられるか。
   
    などの視点から、御検討をお願いします。


    第二に、教員が指導力を発揮できる環境を整備し、チームとしての学校の力を向上させるための方策についてであります。
   
    教員が専門職として指導力を十分に発揮し、更にそれを教職生活全体を通じて学び続ける中で伸ばしていくことができるような環境を整備するとともに、従来よりも複雑化・多様化している学校の課題に対応するため、教員の勤務・処遇等の在り方や、多様な専門性や経験を有する者の配置などの学校の組織運営の在り方等について、財政上の措置も含め、御検討をお願いします。その際、

    ○ 人事評価が法制度上位置づけられたことを踏まえ、頑張る教員が専門職としての自信と誇りを持ち、教育指導に全力を注ぎ、その能力を伸ばしていけるような評価や処遇等の在り方をどのように考えるか。
    ○ 教員が専門職として教育活動に専念できるよう、例えば教員と事務職員の役割分担を見直し改善することや、心理や福祉などの多様な専門性や経験を有するスタッフの学校への配置等により、教員と教員以外の者がそれぞれ専門性を連携して発揮し学校組織全体の総合力を一層高めていくための方策をどのように考えるか。
    ○ 体系的・計画的な管理職の養成・研修システムを構築するためにどのような方策が考えられるか。あわせて、主幹教諭や主任の在り方など学校の組織運営体制を充実するための方策をどのように考えるか。
    ○ 地域全体の学校の指導力の向上や若手教員の育成を図るため、指導教諭や指導主事の養成や活用の在り方など指導体制を充実するための方策をどのように考えるか。
   
    などの視点から、御検討をお願いします。

    以上が中心的に御審議をお願いしたい事項でありますが、この他にも、専門職として教員の資質能力の向上を図るための取組や学校組織全体の総合力の一層の向上に関し、必要な事項について御検討をお願いします。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成26年08月 --