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第2期教育振興基本計画の策定について(諮問)

23文科生第171号
  
中央教育審議会

  

 次に掲げる事項について、別紙理由を添えて諮問します。

第2期教育振興基本計画の策定について

平成23年6月6日

文部科学大臣  髙木 義明
 

(理由)

 戦後約60年ぶりに改正された教育基本法の基本理念を踏まえ、平成20年7月に教育振興基本計画を策定してから、既に3年の歳月が経過した。現行計画は、知識基盤社会の進展や国内外における競争など社会が大きく変化する中で、21世紀において我が国が明るく豊かな未来を切り拓いていくため、平成20年度から24年度までの5年間にわたり、社会の存立基盤である教育の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものである。

 これまで、本計画に基づき学習指導要領の着実な実施や大学の教育・研究の充実など各種の取組が進められ、さらに、教育費負担軽減のための方策や教職員の質・量の充実など様々な施策が展開されている。一方、確実かつ急速に進行する社会の変化に対応するため、教育政策は不断の見直しが求められており、各施策の所期の目的が達成されているかどうかを十分に評価した上で今後の改善に繋げ、さらに新たな施策を実施する必要がある。

 社会の変化として、例えば、社会保障給付の対象となる高齢者が増大する一方で生産年齢人口は減少し続けるなど、少子高齢化の急激な進行は、持続可能な社会を実現するための社会システム構築の必要性を一層高めている。

 また、グローバル化の進展に伴う国際競争の激化や地球環境問題、食料・エネルギー問題は、単なる経済規模の拡大、物質的な豊かさの追求という視点に真正面から疑問を投げかけている。そこで、新たな社会的価値・経済的価値を生むイノベーションを創出し、国際的な労働市場で活躍できる人材の育成や多様な価値観を受容し、共生できる環境の醸成が求められる。

 同時に、終身雇用を前提とした雇用慣行や産業構造の変化、厳しい経済状況により、経済的格差の増大やその固定化が懸念されるところであり、一人一人の多様な個性・能力の伸長や社会生活における機会均等が求められる。

 さらに、都市化や家族形態の変容、価値観やライフスタイルの多様化などにより、地域社会等のつながりが低下していることが指摘されるが、その一方、情報通信技術の進展も相まって、NPO活動やボランティア活動などを通じた社会貢献・新たなコミュニケーションをもたらすことも期待される。時代の変化に対応して、コミュニティを再構築することは大きな課題であり、個人が自立的に社会に参画し相互に支えあうことができる環境づくりが求められる。

 このような様々な状況変化は相互に連関しており、課題解決は一朝一夕ではないが、解決への糸口となるのは、人の知恵、文化、コミュニケーションなど、いわゆる「ソフトパワー」にほかならないと考えられる。すなわち、社会がどのように変化しようとも、自ら考え行動し他者と協働しつつ新たな価値を生み出す、真の「生きる力」の育成が社会の構成員一人一人に、また社会全体において求められる。教育はその力を形成する基本的な営みであることは言を俟たない。

 折しも、東日本大震災が平成23年3月11日に発生した。この未曾有の震災は、現代文明、社会経済システムの在り方や人生観・価値観などに大きな問いを投げかけるものであり、衝撃をもたらすものであったが、これまでも幾多の国難を、知恵の力、人の力、そして絆の力によって我が国は乗り越えてきている。実際に、被災地においては、老若男女、地域内外の出身を問わず多くの人々がボランティアとして避難所運営を担い、あるいはがれき撤去などに従事している。さらには、多大な義援金が寄せられるなど、一人一人が結集した社会全体の絆こそが我が国の強みであることをあらためて実感させられるものとなった。

 また、本震災は、被災地域だけの問題ではなく、今を生きる我々全てが自らのこととして共有すべき課題であり、被災地域の復興無くして我が国の発展は無いことを肝に銘ずべきである。

  今後、被災地域の復旧・復興、ひいては我が国全体の発展を考える上では、次代を担う子どもや若者が、希望を持って、未来に向かって前進していけるような環境を整備していくこと、すなわち持続可能な社会の構築に向けた「未来への投資」が何よりも重要であると考えられる。

 以上のことを踏まえつつ、第2期の教育振興基本計画の策定に向けては、特に、以下の事項を中心にご審議をお願いしたい。

 第一に、第1期基本計画策定後の社会情勢の変化や施策の実施状況、さらには今般の震災が社会全体に与える影響などについて検証・評価し、それを踏まえ、生涯学習社会の実現を目指し、家庭、地域の教育力の向上や初等中等教育から高等教育に至る学校教育の充実など教育振興のための基本的な方針及び諸方策を明らかにしていただきたい。

 その検討に当たっては、上記のような社会情勢等の変化を踏まえ、特に以下の点が重要であると考えられることにご留意いただきたい。

(1) 少子高齢化や情報化の進展、産業構造・雇用の変化、経済的格差の増大・固定化、価値観の多様化等に伴い、生涯を通じて学習の機会を確保するための方策や、全ての大人・子どもが自立し共に生きるための知識や能力などを身につけることが一層必要となってきていること

(2) 地域社会、家族形態の変容等に対応しつつ、社会の絆を再構築することにより、社会全体の教育力の向上を図り、一人一人が主体的に社会に参画し相互に支え合いながら諸課題を解決することができる基盤づくりが求められていること

(3) グローバル化の進展等に伴い、新たな社会的・経済的価値をもたらすイノベーションの創出に資する人材として、国際的視野を持ち、先見性や創造性に富む人材、各分野での指導力を有する人材を育成するための方策が求められていること

 第二に、教育振興基本計画を効果的かつ着実に実施する観点からは、各方策の進捗状況及び具体的な成果を点検し、その結果を新たな取組に反映させていくことが不可欠であることから、具体的な成果目標の在り方とともに、教育の質の向上、教育環境の整備、教育行政体制の充実その他の諸方策のご議論をお願いしたい。

 以上の点について、自由闊達なご議論を通じ、未来に向けた骨太の方針をご提示いただきたい。これが今回の諮問を行う理由である。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

電話番号:代表:03-5253-4111(内線:3465,3458)

-- 登録:平成23年06月 --