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青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について(答申)

平成14年7月29日
中央教育審議会

目次

はじめに

1.今なぜ「奉仕活動・体験活動」を推進する必要があるのか
 1. 奉仕活動・体験活動の必要性及び意義
 2. 奉仕活動・体験活動のとらえ方

2. 奉仕活動・体験活動をどのように推進していくのか
 1. 奉仕活動・体験活動に関する現状
 (1) 国民の活動,意識の現状
 (2) 青少年の活動,意識の現状

 2. 初等中等教育段階の青少年の学校内外における奉仕活動・体験活動の推進
 (1) 学校における体験活動の充実のための取組
 (2) 青少年の学校及び地域における奉仕活動・体験活動の促進
 (3) 国等において取り組むべき方策

 3. 18歳以降の個人が行う奉仕活動等の奨励・支援
 (1) 学生に対する奨励・支援等
 (2) 企業,社会人に対する奨励・支援
 (3) 個人が参加できる多彩なプログラム等の開発・支援

4. 国民の奉仕活動・体験活動を推進する社会的仕組みの整備
 (1) 奉仕活動・体験活動を推進する仕組みづくり
 (2) 地域ネットワークの形成
 (3) コーディネーターの養成・確保
 (4) 行政機関におけるボランティア活動や体験活動を担当する部局の設置・明確化等

 5. 社会的気運の醸成
 (1) 奉仕活動等に対する社会的気運の醸成
 (2) 企業等の取組を促す方策

おわりに

参考資料

はじめに

 中央教育審議会は,昨年4月11日に文部科学大臣から「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」諮問を受けた。その際,具体的審議事項として,1.初等中等教育段階までの青少年に対し,学校内外を通じて様々な奉仕活動・体験活動を充実する方策について,2.初等中等教育を修了した18歳以降の青年が様々な分野において奉仕活動を行える社会の仕組みづくりについて,3.社会人が生涯にわたって奉仕活動等を行うことができる環境づくりについての三つの検討事項が挙げられている。

 今日,いじめ,暴力行為,ひきこもり,凶悪犯罪の増加など青少年をめぐり様々な問題が発生し,深刻な社会的問題となっている。こうした問題の背景には,様々な要因が考えられるが,思いやりの心や社会性など豊かな人間性が青少年にはぐくまれていない現実とともに,他者を省みない自己中心的な大人の意識や生き方,さらには様々な社会的課題に対し行政だけでは適切に対処できないという状況等が深くかかわっている。
 社会の形成者となる青少年に自信を持って未来を託すためには,今こそ,こうした問題に正面から向き合い,手立てを講じないと取返しがつかなくなる状況にあると言える。

 中央教育審議会では,こうした認識に立って,諮問事項について検討し,「奉仕活動・体験活動」が,我々が直面する問題を解く糸口となると考えた。「奉仕活動・体験活動」は,人,社会,自然とかかわる直接的な体験を通じて,青少年の望ましい人格形成に寄与する。大人にとっても,家族や周囲の人々,地域や社会のために何かをすることで喜びを感じるという人間としてごく自然な暖かい感情を湧き起こし,個人が生涯にわたって,「より良く生き,より良い社会を作る」ための鍵となる。国民一人一人が「奉仕活動・体験活動」を日常生活の中で身近なものととらえ,相互に支え合う意識を共有し活動を重ねていくことができるような環境を,皆で協力して作り上げていくことが不可欠であると考える。

 今回の答申では,「奉仕活動・体験活動」が個人や社会にとってどのような意味を持ち,社会においてなぜ推進する必要があるのか,「奉仕活動・体験活動」の範囲をどのようにとらえるのか等について整理し,その上で,初等中等教育段階までの青少年,18歳以降の青年や勤労者等の個人の「奉仕活動・体験活動」の奨励・支援のための方策,「奉仕活動・体験活動」を社会全体で推進していくための社会的仕組みの在り方や社会的気運を醸成していくための方策等についてまとめた。

 本答申をきっかけとして,個人がごく自然に,日常的に「奉仕活動・体験活動」を行い自立した個人が社会に参加し,相互に支え合うような社会の実現に向けての取組を推し進める気運が高まることを切に願うものである。

1. 今なぜ「奉仕活動・体験活動」を推進する必要があるのか

1.奉仕活動・体験活動を推進する必要性及び意義〜個人の豊かな人生と新たな「公共」による社会を目指して〜

 都市化や核家族化・少子化等の進展により,地域の連帯感,人間関係の希薄化が進み,個人が主体的に地域や社会のために活動することが少なくなっている。個人と社会との関わりが薄らぐ中で,青少年の健全育成,地域の医療・福祉,環境保全など社会が直面する様々な課題に適切に対応することが難しくなっている。
 このような社会状況の中にあって,個人や団体が地域社会で行うボランティア活動やNPO活動など,互いに支え合う互恵の精神に基づき,利潤追求を目的とせず,社会的課題の解決に貢献する活動が,従来の「官」と「民」という二分法では捉えきれない,新たな「公共」のための活動とも言うべきものとして評価されるようになってきている。
 本答申では,このような,個人が経験や能力を生かし,個人や団体が支え合う,新たな「公共」を創り出すことに寄与する活動を幅広く「奉仕活動」として捉え,社会全体として推進する必要があると考えた。
 また,青少年の時期には,学校内外における奉仕活動・体験活動を推進する等,多様な体験活動の機会を充実し,豊かな人間性や社会性などを培っていくことが必要である。そのような機会の充実を図ることが,社会に役立つ活動に主体的に取り組む,新たな「公共」を支える人間に成長していく基盤にもなると期待される。

 現在,我が国では,都市化の進展や核家族化・少子化等により,地域の連帯感が薄れ,地域社会における人間関係の希薄化が進んでいる。こうした傾向は,自分に直接かかわる事柄以外は行政にゆだねる傾向を招き,政府や地方自治体など行政を肥大化させ,社会における自己中心的な考え方とあいまって,個人が地域や社会のために活動を行うことができにくい一因となっている。
 社会の主要な構成者である企業も,社員のもつ,親,家族の一員,地域の一員としての役割について理解し,尊重してきたとは言えず,「会社人間」と言われるように,会社以外に居場所や活動の場を持たない個人を生み出してきた。高齢化の急速な進展により,我が国の老年人口は平成25年までに800万人増加して3000万人を突破すると言われており,高齢者が社会との関わりを維持し,活力を持ちながら生きることができるようにすることや,高齢者の能力をいかに活用するかが社会において重要な問題になっている。
 また,今日,地域社会の様々な分野で,例えば,青少年の健全育成,地域の福祉・医療,災害・防災への対応,治安の維持,環境保全など解決が求められる様々な問題が生じている。しかしながら,迅速かつ機動的な対応や状況に応じたきめ細やかな対応という点では,公平・公正を基本とする行政のみの対応ではおのずと限界がある。
 一方,こうした社会状況の中にあって,新たな動きが見られるようになってきている。我が国を含め多くの国々で,個人や団体の地域社会におけるボランティア活動やNPO活動など,利潤追求を目的としない,様々な社会問題の解決に貢献するための活動を行うことが社会の中で大きな機能を果たすようになってきている。このような活動は,個人が社会の一員であることを自覚し,互いに連帯して個人がより良く生き,より良い社会を創るための活動に取り組むという,従来の「官」と「民」という二分法では捉えきれない,言わば新たな「公共」のための活動とでも言うべきものであり,豊かな市民社会を支えるための大きな原動力となっている。
 こうした活動を貫く考え方は,社会が成り立つためには,個人の利潤の追求や競争のみならず,互いに支え合うという互恵の精神が必要であり,同時に個人が自己実現や豊かな人生を送るためには,生涯にわたって学習を重ね,日常的に社会の様々な課題の解決のための活動に継続して取り組むことが必要であるというものである。
 本答申においては,このような,個人が経験や能力を生かし,個人や団体が支え合う新たな「公共」を創り出すことに寄与する活動を幅広く「奉仕活動」として捉え,個人や団体が支えあう新たな「公共」による社会をつくっていくために,このような「奉仕活動」を社会全体として推進する必要があると考えた。
 また,「奉仕活動・体験活動」の意義は,個人の側,特に成長段階にある青少年の側からもとらえることができる。
 人間は生まれてから,次々と経験を蓄積して人間としての成長を遂げていく。新たな経験をすると,それが既に蓄積されている経験の中の関連する要素と結合して,その一部を変形したり,切り捨てたりしながら,新たに蓄積される経験を形成していく。そのような経験には,奉仕活動・体験活動などのような直接経験もあるし,書物,テレビやコンピュータなどによる間接経験もある。それらが様々に結合して,その人の行動の仕方やものの考え方を形成していく。
 したがって,経験は直接,間接の両方をバランスよく豊かにした方が良いとされる。青少年の奉仕活動・体験活動は,まだ直接経験の乏しい段階において,直接経験を豊かにするという貢献をする。
 青少年の現状を見ると,多くの人や社会,自然などと直接触れ合う体験の機会が乏しくなっている。特に,情報化や科学技術の進展は,直接経験の機会を減少させている。青少年の豊かな成長を支えるためには,学校や地域において,青少年に対し意図的,計画的に「奉仕活動」をはじめ多様な体験活動の機会の充実を図り,思いやりの心や豊かな人間性や社会性,自ら考え行動できる力などを培っていくことが必要である。いじめ,暴力行為,引きこもりなど青少年をめぐり様々な深刻な問題が生じており,子どもたちの精神的な自立の遅れや社会性の不足などが見られる。このような中で,青少年に,社会の構成員としての規範意識や,他人を思いやる心など豊かな人間性をはぐくんでいくためには,社会奉仕体験活動,自然体験活動など様々な体験を積み重ね,社会のルールや自ら考え行動する力を身に付け,自立や自我の確立に向けて成長していくことができる環境を整備することが求められている。また,そのような機会の充実を図ることが,将来にわたって,日常的に社会に役立つ活動に主体的に取り組む人間に成長していく基盤を作ることにつながる。

○ 青少年にとっての意義
 社会奉仕体験活動,自然体験活動,職業体験活動など様々な体験活動を通じて,他人に共感すること,自分が大切な存在であること,社会の一員であることを実感し,思いやりの心や規範意識をはぐくむことができる。また,広く物事への関心を高め,問題を発見したり,困難に挑戦し解決したり,人との信頼関係を築いて共に物事を進めていく喜びや充実感を体得し,指導力やコミュニケーション能力をはぐくむとともに,学ぶ意欲や思考力,判断力などを総合的に高め,生きて働く学力を向上させることができる。
 さらに,幼少期より積み重ねた様々な体験が心に残り,自立的な活動を行う原動力となることも期待され,このような体験を通じて市民性,社会性を獲得し,新しい「公共」を支える基盤を作ることにつながるものである。

○ 18歳以降の青年にとっての意義
 社会人に移行する時期ないしは社会人として歩み出したばかりの時期に,地域や社会の構成員としての自覚や良き市民としての自覚を,実社会における経験を通して確認することができる。また,青年期の比較的自由でまとまった時間を活用して,例えば,長期間の奉仕活動等に取り組んだり,職業経験を積んで再度大学等に入り直したりなど,実体験によって現実社会の課題に触れ,視野を広げ,今後の自分の生き方を切り開く力を身に付けることができる。
 また,特に,学生にとっては,何を目指して学ぶかが明確になって学ぶ意欲が高まり,就職を含め将来の人生設計に役立てることができる。

○ 成人にとっての意義
 これまでに培った知識や経験を生かして様々な活動を行うことにより,自己の存在意義を確認し,生きがいにつながる。また,企業等で働く者,主婦,退職者など成人は,市民の一員として,新たな「公共」を支える担い手となることが期待される。
 将来的にはワークシェアリングなどを通じて労働時間の短縮や多様な就業形態が進展し,社会人にとって職場での労働以外の時間を生み出すことも予想されるが,奉仕活動等は,社会人にとっての新たな「公共」を生み出すための活動の場となり得る。

2.奉仕活動・体験活動のとらえ方〜奉仕活動・体験活動を幅広くとらえる〜

 ○ 「奉仕活動」を,自分の能力や経験などを生かし,個人や団体が支えあう,新たな「公共」に寄与する活動,具体的には,「自分の時間を提供し,対価を目的とせず,自分を含め地域や社会のために役立つ活動」としてできる限り幅広く考える。
 「体験活動」については,特に初等中等教育段階の青少年がその成長段階において必要な体験をすることの教育的側面に注目し,社会,自然などに積極的に関わる様々な活動ととらえることとする。

○ 奉仕活動には,活動に必要な物品やコーディネートに係る費用など一定の社会的なコストが生じるものであり,個々の事例により,適切に分担することも認められる。

○ 個人の自発性は奉仕活動の重要な要素であるが,様々なきっかけから活動を始め活動を通じてその意義を深く認識し,活動を続けるというかかわり方も認められてよい。

  1.で述べたように「奉仕活動・体験活動」を身近なものとしてとらえ,日常生活の中で継続して行う活動として定着させていくことが大事であり,こうした観点から,本審議会では,奉仕活動や体験活動に関する基本的事項,すなわち,「奉仕活動・体験活動」の概念や「奉仕活動」に係る自発性や無償性の考え方等について,以下のように整理した。

(1) 奉仕活動・体験活動の概念

 「奉仕活動」という用語をめぐっては様々な議論がある。例えば,「奉仕活動」は押し付けの印象を与えることから,むしろ個人の自発性に着目し「ボランティア活動」としてとらえるべきではないかという意見がある。一方,青少年の時期には発達段階に応じて,教育活動として人や社会のために役立つ活動などを体験し,社会の一員としての意識や責任感を身に付けるようにすることも必要であり,そのようなことを考慮すると「奉仕活動」という用語が適当であるとする意見もある。
 しかしながら,用語の厳密な定義やその相違などに拘泥することの意義は乏しいと考える。
 我々は,個人が能力や経験などを生かし,個人や団体が支え合う,新たな「公共」に寄与する活動,具体的には,「自分の時間を提供し,対価を目的とせず,自分を含め他人や地域,社会のために役立つ活動」を可能な限り幅広くとらえ,こうした活動全体を幅広く「奉仕活動」と考えることとしたい。ただし,言葉として,広く一般に定着していると考えられる場合など,「ボランティア」,「ボランティア活動」という用語を用いることがよりふさわしい場合には,そのまま「ボランティア」「ボランティア活動」としても用いることにする。
 こうした観点から見れば,実際,我々の周りには,様々な種類や形態の活動が存在している。a)気軽に取り組める身近な活動から専門的能力が必要な活動や常勤で関わることが必要な活動,b)個人や子どもが参加する活動から,グループや大人と子どもが一緒になって参加する活動,c)コーディネーターやボランティア団体等の仲介が必要な活動から仲介者を介せず直接参加できる活動,などがある。さらに,地域においては,例えば,自治会活動,青年団活動,消防団活動,祭りなどの伝統行事への参加など従来から行われている地域の一員としての活動もある。
 また,特に初等中等教育段階での青少年の活動については,その成長段階において必要な体験をして,社会性や豊かな人間性をはぐくむという教育的側面に着目し,社会,自然などに積極的にかかわる様々な活動を幅広く「体験活動」としてとらえることとする。
 これらを踏まえ,本報告では,社会全体で奨励していくべき幅広い活動の総体を「奉仕活動・体験活動」と捉えたい。

(2) 無償性の取扱い

 国民にとって「奉仕活動」を身近なものとしてとらえる観点から,活動にかかわる無償性や自発性の問題については,次のようにとらえることが適当と考えられる。
 すなわち,「奉仕活動」,「ボランティア活動」とも,無償性が強調されがちであるが,このような活動を行う際には,交通費や保険料,活動に必要な物品やコーディネート等に係る経費など,一定の社会的なコストを要し,このコストをどのように分担するかについては,個々の事例により,様々な判断があり得る。このような活動を一般的に定着させていく過程では一部を行政が負担することも考えられる。また,寄附など社会がいろいろな形で負担する仕組みが形成される中で,実費等の一定の経費について,労働の対価とならない範囲で実費や謝金の支払いなど有償となる場合もあり得ると考えることができる。

(3) 自発性の取り扱い

 奉仕活動等においては個人の自発性は重要な要素であるが,社会に役立つ活動を幅広くとらえる観点からすれば,個人が様々なきっかけから活動を始め,活動を通じてその意義を深く認識し活動を続けるということが認められてよいと考えられる。特に学校教育においては,「自発性は活動の要件でなく活動の成果」ととらえることもできる。

(4) 日常性

 「奉仕活動」を特別な人が行う特別な活動ではなく,新たな「公共」のための幅広い活動としてとらえることにより,日常的に参加できる活動として無理なく定着させていく必要がある。「奉仕活動」を行う立場と受ける立場は固定したものではなく,活動の内容に応じて,常に替わるものである。また,活動に楽しみを見いだせる工夫や心の余裕を持つこと,特定の個人に負担が集中しないような活動の企画や支援体制への配慮などが求められる。

◎新たな「公共」を担う「奉仕活動」の例
  1. 保健,医療又は福祉の増進を図る活動
    (例) 高齢者・障害者・子どもたちへの支援活動,子育て支援,ホームヘルプ活動・デイケア,グループホーム,移送,食事サービス,家事援助,介護,福祉マップ作成,声かけ・見守り・話し相手,病院ボランティア,献血支援  等  
  2. 教育の推進を図る活動
    (例) 社会教育講座の講師,行事の運営,いじめ110番などの相談活動,図書館・博物館等でのボランティア,「総合的学習の時間」等の学校の活動の指導者・協力者,場の提供 等
  3. まちづくりの推進を図る活動
    (例) 地域興し,町並み保存,商店街の活性化,花いっぱい運動,町の清掃,都市と農村の交流,地域情報誌の発行,街づくりの政策提言  等
  4. 文化,芸術又はスポーツの振興を図る活動
    (例) オーケストラ,劇団などの運営,音楽会,演劇や映画などの開催,博物館・美術館等のガイドボランティア,祭りなど伝統文化の継承・発展,スポーツ大会の開催,地域でのスポーツ指導  等
  5. 環境保全を図る活動
    (例) リサイクル,募金,ナショナルトラスト,大気汚染調査,公園ボランティア,野鳥・森林の保護,道路,河川や港湾の清掃
  6. 災害救援活動
    (例) 震災・風水害被害復旧支援,災害ボランティア,消防団活動,防災  等
  7. 地域安全活動
    (例) 防犯,街灯の設置・点検,安全の維持 等
  8. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
    (例) 社会を明るくする運動,犯罪被害者の支援 等
  9. 国際協力活動
    (例) 発展途上国・紛争地域への人道支援(募金,援助物資送付),ホームステイの受入れ,留学生支援,外国人への観光案内,NGO活動への参加・協力  等
  10. 男女共同参画社会の形成の促進を図るための活動
    (例) 性差別の撤廃,セクハラの撲滅  等
  11. 子どもの健全育成を図る活動
    (例) 子どもの世話や遊びへの協力,青少年の体験活動への協力(活動の指導者,職業体験,自然体験等活動の場所の提供),地域の見回り  等
  12. 以上の活動を行う団体等の運営又は活動に関する連絡,助言,援助
    (例) 団体への情報提供,相互調整,経理処理・人事・労務管理等運営ノウハウ提供,活動にかかわる安全管理  等

(注)特定非営利活動促進法による分類を参考として作成  

2. 奉仕活動・体験活動をどのように推進していくのか

1.奉仕活動・体験活動に関する現状

 我が国の国民は,奉仕活動,ボランティア活動に興味・関心は持つものの,それらの 活動の経験は総じて少なく,情報不足,技術力・知識不足,相談体制の未整備,時間的制約などの理由から,参加することを思いとどまっている人がかなり多いということが伺える。また,子どもについては,現在,活動に参加している割合は低くなっているが,一方で,ふだん地域の人たちとふれあいのある子どもほど,ボランティア活動等の地域活動に関心を持っているという傾向がある。
 これらを踏まえ,興味・関心を持っている人に「もう一歩を踏み出すきっかけ」や「 もう一歩を踏み出す後押し」となるような仕組みづくりを行うとともに,大人が率先して活動に取り組み,子どもたちが活動に参加しやすいような環境を作ることが必要である。

(1) 国民の活動,意識の現状

 全国で活動するボランティアは700万人を超えており,環境保護や社会福祉,国際交流等幅広い分野にわたっている。
  平成10年の特定非営利活動法人(NPO)法の制定により,NPO法人の活動を支援する基本的枠組みができ,NPO法に基づき法人格を取得した団体が7,439団体(平成14年7月)になる等,非営利の活動が多様な場面で継続的に行われる機会が増大している。
 ただ,アメリカやイギリスに比較すると我が国のボランティア活動参加率は低く,特に30代前半の若い世代で低いという特徴がある。(「国民生活白書」平成12年度)
 一方,ボランティア活動に対する意識については,「国民生活選考度調査」(平成12年)によれば,国民の4人に3人は社会の役に立ちたいと考え,実際にボランティア活動への参加意識を持つ人は3人に2人の割合となっており,ボランティア活動に対する関心は非常に高い。しかし,現在活動を行っている人(又は過去に活動を行ったことがある人)は,3人に1人に過ぎない状況にある。活動の妨げの原因としては「ボランティア団体に関する情報がないこと」を挙げる人が約4割を占め,国や地方公共団体に望むこととして,情報提供や相談体制の整備を挙げる人が多い。

(2) 青少年の活動,意識の現状

 子どもの地域社会との関わりについては,小学校,中学校,高等学校と学年があがるにつれ少なくなる傾向にあり,ボランティア活動についても,小学校,中学校,高等学校と進むにつれ少なくなる傾向にある。学校における体験活動についても,小学校,中学校,高等学校と進むにつれ少なくなる傾向にある。(「地域の教育力の充実に向けた実態・意識調査(平成13年9月・10月調査)」(子どもの体験活動研究会)「学校における体験活動の実施状況(平成12年度)(文部科学省調べ)」)
 青少年のボランティア活動に対する印象としては,「やりがいがある」「勉強になる」といった項目については肯定的に回答するものが多くいる一方,「遊びより面白い」「かっこいい」といった項目については否定的に回答するものが多い。(「青少年のボランティア活動に関する調査」総務省(平成6年))
 また,「学生のボランティア活動に関する調査報告書」内外学生センター(平成10年)では,大学生がボランティア活動を始めるにあたっての障害要因について「大学の時間が忙しい」「情報不足」「活動のための技術や知識がない」などが挙げられ,支援策として「情報提供」「研修会等の実施」「単位認定」等が挙げられている。

 団体所属ボランティアと個人ボランティアの人数推移

(備考) 「ボランティア活動年報2000年」(社会福祉法人全国社会福祉協議会全国ボランティア活動振興センター)により作成

 地域の教育力の充実に向けた実態・意識調査報告書

(備考) 「地域の教育力の充実に向けた実態・意識調査報告書(平成13年9月・10月調査)」(子どもの体験活動研究会)により作成

2.初等中等教育段階の青少年の学校内外における奉仕活動・体験活動の推進〜多様な体験を重ね、豊かな人間形成と将来の社会参加の基盤作りを〜

 初等中等教育段階のすべての青少年に対し多様な奉仕活動・体験活動の機会が与えられるように,学校内外を通じて質量共に充実した活動の機会を拡充していく必要があり,小・中・高等学校,専修学校高等課程など,初等中等教育段階の時期における発達段階に応じたふさわしい活動を行うことが重要である。
 学校においては,1.活動の連絡調整の窓口を明らかにするとともに,すべての教職員が協力して取り組むための校内推進体制の整備,2.地域の協力を得るための学校サポート(学校協力)委員会(仮称)を設けるなど体制作りに努める必要がある。また,実施に際しては,発達段階に応じた活動の実施,興味関心を引き出し自発性を高める工夫や,自発的なボランティア活動等の高校における単位認定など,活動の適切な評価などに配慮して取り組む必要がある。また,教育委員会においては,各学校における取組が円滑に行われるよう,学校での具体の活動の実施のために必要な支援措置を講じるなど様々な措置を行う必要がある。
 教育委員会においては,地域の関係団体や関係行政機関等と連携しつつ,支援センターなどの推進体制を整備し,学校の教育活動と地域の活動の効果的な連携に留意しながら,1.教材・プログラムの開発,指導者の養成・確保とともに,2.ボランティア活動等を積極的に評価する高校入試の工夫や「ヤング・ボランティア・パスポート(仮称)」の作成,活用などによる地域における活動の促進等に努める必要がある。また,企業においても,社会を担う主要な構成者として,学校や地域における様々な体験活動に対する施設の開放や,社員の指導者としての派遣,青少年の受入れなど,青少年の奉仕活動・体験活動に対する積極的協力を求めたい。
 国においては,こうした学校や地域における取組を支援するため,推進体制の整備や教職員研修等に対する支援,参考となるプログラムの開発や事例集の作成等を行うとともに,すべての青少年が発達段階に応じて,奉仕活動・体験活動を着実に経験できるようにするため,1.奉仕活動・体験活動の実施状況の全国調査,2.学校や地域を通じた活動の目標の検討,3.ボランティア活動等と関連付けた大学入試の推進が求められる。

 平成13年7月の学校教育法及び社会教育法の改正により学校内外を通じた体験活動の促進が求められることとなった。学校においては,平成14年度から実施される新学習指導要領において,「生きる力」の育成を目指す観点から体験活動を重視するとともに,新たに「総合的な学習の時間」の創設等を行ったところであり,体験活動を教育活動に適切に位置付け,その充実を図ることが求められている。
 また,平成14年度から学校週5日制が完全実施されることを受け,家庭や地域における多様な体験活動の振興や奨励を一層推進する必要がある。
 高校までの青少年の時期においては,豊かな人間性や社会性を培うため,学校教育や地域において,社会奉仕体験活動,自然体験活動,職業体験活動など,質量共に充実した多様な体験活動を提供していくことが求められる。子どもたちの豊かな直接体験は,人や社会,自然などへの興味や関心を高め,思考や理解の基盤となるとともに,問題解決的に活動に取り組むことで各教科等で学んだ知識・技能等が生活と結び付き,総合的に働くようになることが期待される。また,様々な対象と直接かかわることは,机の上だけの学習と異なり,大きな成就感や充実感などが得られるとともに,他者との関係の在り方を学び,生き方の探求などにつながり,豊かな心の育成や望ましい人間形成に資するものと考える。
 青少年の時期においては,子どもたちの成長が著しいことから,それぞれの発達段階にふさわしいねらいや内容を創意工夫し,多様な体験活動を行うことが重要である。小学校の時期においては,具体的な活動を通した思考から徐々に物事を対象化して認識できるようになり,例えば,身近な対象にかかわる体験から,教科等の学習も生かして社会や自然などに広く目を向け,かかわる体験に発展させていくことが考えられる。中学校の時期においては,自己の内面に気付いていくという特徴が見られ,例えば,自分の思いを生かしながら大人の社会にかかわったり,友達と共に活動し感動を味わったりする体験が考えられる。また,高校生の時期においては,自己を確立し,成人となる基礎を培う段階に当たることから,例えば,社会奉仕や職業など社会にかかわる体験は,自己の在り方や生き方を考え,将来の進路を主体的に選択する能力や態度を身に付けるとともに,社会についての認識を深める上で重要な要素と考えられる。
 なお,いうまでもなく,すべての教育の出発点は家庭教育にある。家庭は基本的な生活習慣や倫理観,自制心,他人に対する思いやり,自立心などを育成する上で重要な役割を果たしている。家庭において,子どもに毎日決まった手伝いをさせるなど家庭での役割を与える,親子で地域の様々な活動に参加する等,社会を支える一員としての自覚を育む基盤づくりをしていくことが重要である。 

(1) 学校における体験活動の充実のための取組

 学校においては,地域における活動との連携と適切な役割分担を図りながら,奉仕活動・体験活動を学校の教育計画に適切に位置付けて実施する必要がある。その際,学校において次のことに配慮することが重要である。

1) 学校としての体制作り

 各学校においては,奉仕活動・体験活動の連絡調整の窓口となる担当を明らかにし校長の指導の下に全教職員が協力して校内推進体制を整備する必要がある。また,地域の人々の協力を得るとともに関係団体等との継続的な連携関係を構築し学校の活動に幅広い支援が得られるように,保護者,地域の関係者等による学校サポート(学校協力)委員会(仮称)を設けるなど推進体制を整備することが求められる。更には,地域のボランティア団体や青少年関係団体等の人材の協力を得て,学校における活動の推進のための助言者として,具体の活動の企画や校内研修などに対する支援を受けることも考えられる。

2) 教職員の意識・能力の向上

 学校の体制作りとあわせて,教職員一人一人が奉仕活動・体験活動の意義や理念を正しく理解し,これらの活動に係る指導の力量を高めていくことが不可欠である。奉仕活動等の経験のない教職員も多い現状を踏まえ,教職員一人一人が自信を持って指導に当たることができるように,校内の研修はもとより,後述のような教育委員会等が実施する研修や,ボランティア団体や青少年関係団体等の外部機関が実施する研修等に積極的に参加することが求められる。

【学校における多様な体験活動の例】

○ ボランティア活動など社会奉仕にかかわる体験活動 ・ 学校の周辺や駅前,公園,河川や海岸等の清掃,空き缶回収
・ 花いっぱい運動へ参加しての地域での花作りや環境美化
・ 老人ホーム等福祉施設を訪問し話相手や手伝い,清掃,交流
・ 幼児への本の読み聞かせや簡単な点訳
・ 得意な技術や学習を生かして,車椅子,お年寄り宅の電気製品,子どものおもちゃ,公園のベンチ等の簡単な修理・整備  など
○ 自然にかかわる体験活動 ・ 学校を離れ豊かな自然の中や農山漁村での自然とのふれあいや農山漁村体験,登山,郷土食作り
・ 学校林等での野鳥の保護活動
・ 身近な公園や川等の自然を生かした探求活動,フィールドワーク
・ 地域の特色を生かしウミガメの産卵地の保護,生態観察,放流  など
○ 勤労生産にかかかわる体験活動 ・ 地域の農家の指導を得ながら米作りや野菜作り
・ 鶏,やぎ,羊,豚などの家畜や魚の飼育
・ 地域産業を生かした漁労や加工品製造の体験
・ 森林での植林,下草刈り,枝打ち,伐採,椎茸栽培,炭焼き  など
○ 職場や就業にかかわる体験活動 ・ 生徒の希望を生かして地域の事業所や商店などでの職場体験
・ 将来の進路について学ぶインターンシップ  など
○ 文化や芸術にかかわる体験活動 ・ 身近な地域に伝わる和紙作り,染物,竹細工,焼き物等に触れる活動
・ 踊り,太鼓,浄瑠璃など伝統文化や芸能を地域の人等から学び伝える活動,地域の祭りへの参加  など
○ 交流にかかわる ・ 老人会や一人暮らしのお年寄りを招いてのレクリエーション等の交流体験会
・ 幼稚園・保育所を訪ねたり幼児を招いたりしての幼児との遊び,ふれあい
・ 小・中・高等学校と盲・聾・養護学校との共同行事等を通じた交流
・ 学習を生かした地域の人との学び合いの交流
 (生徒から:パソコン,野菜栽培等⇔地域の人々から:わらじ作り,郷土料理等)
・ 地域に在住する外国の人々を招いて生活や文化を紹介し合うなどの交流
・ 農山漁村部の学校と都市部の学校など特色が異なる学校の相互訪問交流  など
3) 活動実施上の配慮

 体験活動を学校の教育活動として実施する場合,以下の点への配慮が求められる。

◇教育活動全体を通じた体験活動の充実

 発達段階に応じた適切な活動の機会の提供が行われるよう,自校の教育目標や地域の実情を踏まえ,学校として活動のねらいを明確にし,現状の教育活動全体を見直し,(a)学校行事等の特別活動,総合的な学習の時間をはじめ教科等の学習指導,及び部活動等の課外活動など教育活動において適切な位置付けを行うこと,(b)小・中・高等学校等のそれぞれの取組に継続性を持たせ,発達段階に即して活動の内容や期間等を工夫すること,(c)各教科等における学習指導との関連を図ることなどが求められる。特に教科担任制を採る中学校・高等学校においては,教科担任の教員の間の緊密な連携協力が求められる。
 また,長期休業日は,まとまった体験活動を行いやすい。学校も,児童生徒が任意で参加する活動などを計画,実施したり,地域における社会福祉協議会,NPO関係団体,青少年団体、少年自然の家や青年の家等の青少年教育施設などの関係団体等による取組に協力したり,様々な活動の場や機会についての情報の提供を行うなどして,子どもたちの体験活動の充実に努めることが大切である。

◇興味・関心を引き出し,自発性を高める工夫

 子どもの興味・関心を引き出し,自発性を育てる工夫として,例えば,(a)発達段階や活動の内容に応じ,活動の企画段階から子どもを参加させたり,(b)子どもが選択できるよう多様な活動の場を用意することも考えられる。

◇事前指導・事後指導

 活動前に,体験活動を行うねらいや意義を子どもに十分理解させ,子どもたちがこれから取り組む活動についてあらかじめ調べたり,準備をしたりすることを通じ,意欲を持って活動できるようにするとともに,活動後は,感じたり気付いたことを振り返り,まとめたり発表したりするなど,適切な事前指導・事後指導が大切である。

◇活動の円滑な実施のための配慮

 活動を効果的かつ安全に行うために必要な知識・技能やマナー等の習得のための事前指導が必要である。また,活動内容によってはあらかじめ実地調査による点検等を行う必要がある。
 さらに,活動によっては,例えば,受入人数の適正化や受入先との綿密な連絡調整など企画段階での配慮,活動を実施する際の留意点などについての十分な調整,参加者への周知・活動を支援するボランティア等の参加など受入先等への十分な配慮が必要である。また,例えば,学校において受入先を公表すること,感謝状や受入先であることを示す証(あかし)を贈呈するなど活動の場を提供した受入先が社会的にも評価されるような取組も重要である。

◇活動の適切な評価

 体験活動の評価については,点数化した評価ではなく,子どもの良い面を積極的に評価し,どのような資質や能力が育っているのかという観点を重視して適切に行う必要がある。その際,子どもの感想・意見,保護者の感想・意見,受入先の感想・意見等を把握するなど適切な評価を行うための工夫をするとともに,その結果を次年度以降のプログラムの内容や活動の在り方に反映させていくことが求められる。また,高等学校においては,生徒の地域での自主的なボランティア活動等について,後述の「ヤング・ボランティア・パスポート(仮称)」等の活用などにより,これらの活動を単位認定するなど積極的に評価することが考えられる。

◇事故発生時の備え

 緊急時対応マニュアルを作成するとともに,必要に応じた地域の警察・消防等への事前の連絡,緊急時の連絡先リストの作成などの準備,保険の利用を行うことが必要である。また,事故の事例や事故予防の取組についての情報を提供することも求められる。なお,指導者等を含め損害事故や賠償事故を安価な保険料でカバーする保険の開発が望まれる。

4) 教育委員会の役割
◇学校での取組の推進・支援

 都道府県,市町村の教育委員会においては,学校における取組が着実に実施されるように,後述の協議会・支援センター等を通じて,関係団体等と連携しつつ,基本的な活動方針等の策定や,児童生徒の発達段階に応じた適切な活動プログラムの開発や教職員向け手引書の作成を行うほか,学校での具体の活動の実施のために必要な支援措置を講じ,学校の取組を推進し,支援することが求められる。

◇教職員の意識・能力の向上

 教育委員会においては,教職員の資質能力の向上のため,地域のボランティア推進団体等の協力も得ながら,次のような取組を行うことが考えられる。

  • 教職員の初任者研修を始め各種研修においてボランティア講座や体験活動等の機会を設ける(初任者研修においては,奉仕体験活動,自然体験活動に関する指導力の向上を重視する)。
  • 活動の企画や指導などの中心となる教職員を養成するために,地域のボランティア推進団体等が実施するコーディネーターや指導者の養成講座等への参加を研修に位置付ける,ボランティアセンター,NPO等での長期社会体験研修を実施する。
     また,以下のような取組を行うことが考えられる。
  • 夏休み等の長期休業期間など,授業がない期間を利用して,教職員に奉仕活動・体験活動等も含めた研修の実施や機会の提供を図る。
  • 児童生徒の受入れ先となる施設や団体等で教職員の研修を行う等により,学校と受入施設や団体等との連携を深めるとともに,受入先の施設や団体等の実情を学ぶことにより,教職員の連絡調整能力を高める。

 また,教育委員会においては,教員養成大学等と連携し教員を志望する学生を教育支援ボランティアとして活用すること,教員採用選考においてボランティア活動等の経験を一層重視するための工夫(例:ボランティア活動等の有無を記載する欄を充実させる。),も求められる。

(2) 青少年の学校及び地域における奉仕活動・体験活動の促進のための取組

 学校及び地域を通じて,初等中等教育段階の児童生徒に対して,奉仕活動・体験活動を推進するためには,学校・地域・家庭が連携してこれらの活動を支援することができるような仕組み作りをすることが必要である。個別の教職員や地域の有志の属人的な努力や善意だけにその推進を依存していては,活動を長期にわたって存続させることができず,その効果も減殺されてしまう。
 このため,これらの活動の推進を図るために,以下のような体制等を整備していく必要がある。

1) 学校及び地域の連携の在り方

 学校の教育活動と地域の活動のそれぞれの特性を生かすとともに,相互の有機的な連携が求められる。
 このため,特に市町村レベルにおいては,教育委員会が中心となり,あるいは主唱して,地域のボランティア推進団体や,福祉,農林水産,商工などの関連行政部局が密接に連携し,後述の支援センターなどの推進体制を整備することが重要である。
 また,地域での活動と学校での教育活動が日常的に密接な関係を持つ必要があり,学校サポート(学校協力)委員会などの学校の推進体制への地域の関係団体の参加や,地域で行われる奉仕活動・体験活動について,学校を通じて児童生徒やその保護者に情報提供を行うなど,日常的な連携協力関係を保つ工夫が必要である。  

学校及び地域における連携イメージ

※奉仕活動・体験活動を推進する仕組みの全体のイメージについてはこちらを参照。

2) 地域における活動の促進

 教育委員会,社会福祉協議会,NPO関係団体,スポーツ団体,青少年団体等地域の関係機関・団体が連携し,地域での多様な幅広い奉仕活動・体験活動の機会を拡充し,青少年の活動への参加を促していく必要がある。その際,例えば,a)高校生と小・中学生など地域の異年齢の青少年が協力して自ら活動を企画し実施する,b)親子が共に活動に参加する,c)従来,地域社会とのかかわりが薄い傾向にあった中高年が協力して活動を企画し実施する,d)小・中学生の活動への参加のきっかけや励みの証を作る(例:ボランティア活動等を記録するシール等),など地域ぐるみで活動を活発にしていく工夫が求められる。このため,後述のように,学校の余裕教室等を活用し,地域住民が関係機関・団体等の協力を得て活動を行う拠点(地域プラットフォーム)を整備するなどの取組が期待される。  
 また,企業においても,社会を担う主要な構成員として,学校や地域における様々な体験活動に対する施設の開放や,社員の指導者としての派遣,青少年の受入れなど,青少年の体験活動に対する積極的協力を求めたい。
 地域での自発的なボランティア活動は,特に中・高生にとって,人間としての幅を広げ,大人となる基礎を培う意味で教育的意義が大きいが,現状では十分に行われているとは言い難い。このため,例えば,(a)高校入試においてボランティア活動等を積極的に評価する選抜方法等を工夫する(例:調査書に活動の有無を記載する欄を充実させる。推薦入試において活動経験について報告書を提出させる等),(b)高校生等が行う学校や地域におけるボランティア活動などの実績を記録する「ヤング・ボランティア・パスポート(仮称)」を都道府県や市町村単位で作成し活用する,などの方策について検討する必要がある。
 特に「ヤング・ボランティア・パスポート(仮称)」については,青少年の日常の活動の証としたり,高等学校における単位認定や,就職や入試への活用,文化施設,スポーツ施設等公共施設の割引や表彰を行うなど,いろいろな形での奨励策を検討することが考えられる。国においても,「ヤング・ボランティア・パスポート(仮称)」の全国的な普及・活用が促進されるように,例えば1.全国的なボランティア推進団体,関係行政機関・団体等が連携協力しパスポートの標準的なモデルを作成する,2.入試や就職等で適切に活用されるよう大学や企業等に対し働き掛けるとともに,国等の行政機関においても,採用等に活用する,3.青少年が文化施設,スポーツ施設を利用する場合の割引などを関係機関・団体等に呼び掛けを行うなどの取組を検討する。

(3) 国等において取り組むべき方策

 国等においては,以上のような学校や地域における取組を支援するため,関係省庁とも連携しつつ,(a)地域における推進体制の整備及び様々な場や施設・団体等における活動の受入れの促進,(b)奉仕活動・体験活動に関する教職員研修の充実,(c)青少年を対象とした学校や地域における発達段階を踏まえた魅力ある活動プログラムや活動に携わる指導者養成プログラムの開発・支援や,他のモデルとなる先駆的な実践の促進と学校や地域の参考となる事例集の作成,教職員向け手引書の作成,(d)教員志望学生による教育支援ボランティアの全国的普及,(e)子どもゆめ基金(注1)等を通じた体験活動を行う団体等に対する助成の取組を推進するとともに,青少年が小・中・高等学校それぞれの段階において,その発達段階に応じた活動の機会を得ることができるようにするために,次のような取組の検討が求められる。

1) 奉仕活動・体験活動の実施状況の全国調査

 現状においては,青少年の奉仕活動・体験活動が必ずしも十分行われていない状況にかんがみ,学校内外を通じた青少年の活動の全国的な実施状況調査を実施し,その結果を分析・公表し,各学校及び地域での取組を促す。

2) 学校内外を通じた活動の目標の検討

 活動の実施状況や支援体制の整備の進展状況等を見極めた上で,今後,青少年が高等学校卒業段階までに学校や地域を通じて行うことが期待される活動の目標を検討する。

3) ボランティア活動等と関連付けた大学入試の推進

 高等学校段階までの青少年の学校内外の生活において,大学入学者選抜の在り方が与える影響が大きい。大学にとっても,高等学校段階までに多様な体験活動を行った生徒は,大学入学後の学ぶ姿勢や意欲が高く大学教育の活性化にも資するものと考えられる。このため,大学においては,受入方針において,ボランティア活動等を積極的に行う学生を評価することを明確にし,例えば,論文試験にボランティア活動の実践を含め高等学校時代の活動を前提とした出題も含める,先述のヤング・ボランティア・パスポート(仮称)を活用する等,高等学校段階までの活動経験と関連付けた大学入学者選抜の取組が期待される。

3.18歳以降の個人が行う奉仕活動等の奨励・支援〜奉仕活動を日常生活の一部として気軽に行う〜

2.の1で見たように,我が国では,多くの人が奉仕活動等について興味を抱いてはいるが,一歩を踏み出せないという状況にある。大学等の学生も含め,18歳以降の個人が日常的に奉仕活動等に取り組むことができるように,以下のような奨励・支援の方策を検討することが求められる。

(1) 学生に対する奨励・支援等

 大学,短期大学,高等専門学校,専門学校などにおいては,学生が行うボランティア活動等を積極的に奨励するため,正規の教育活動として,ボランティア講座やサービスラーニング科目,NPOに関する専門科目等の開設やインターンシップを含め学生の自主的なボランティア活動等の単位認定等を積極的に進めることが適当である。
 また,学生の自主的な活動を奨励・支援するため,大学ボランティアセンターの開設など学内のサポート体制の充実,セメスター制度や,ボランティア休学制度など活動を行いやすい環境の整備,学内におけるボランティア活動等の機会の提供などに取り組むことが望ましい。
こうした大学等や学生の取組を支援するため,国においてボランティア教育や活動を積極的に推進する大学等に対する支援措置を講じることが適当である。さらに,公務員や民間企業の採用に当たって,学生のボランティア活動等を通じて得られた経験,能力等を一層重視することが期待される。

1) 大学等による奨励・支援

1.教育活動としての取組

ア)   大学,短期大学,高等専門学校,専門学校(以下「大学等」という。)などにおいて,地元自治体,地域の社会福祉協議会,国際協力団体,NPO,スポーツ団体,青少年団体等関係団体等と連携協力し,ボランティア講座やサービスラーニング科目(注2),NPOに関する科目等を開設することが望ましい。また,複数の大学等で協力してこうした科目に関するモデルカリキュラムや教材等を共同開発することも適当である。

イ)   インターンシップを含め学生の自主的な活動について,大学等において,教育効果などを勘案しつつ,大学等の単位として積極的に認定することが求められる。なお,専門学校においては,既にボランティア活動やインターンシップを授業科目の履修としてみなすことができるようになっており,今後,この制度をより一層活用することが期待される。

ウ)   こうした取組に当たっては,特定教員のみならず全学的に教職員の啓発を図り大学全体で進めることが求められる。

2.学生の自主的活動に対する奨励・支援策
 大学等においては,学生の自主的な活動に対する奨励・支援策として以下のような取組を検討することが望ましい。

ア)   学生に対する学内のボランティア活動等の機会の提供
 大学そのものが最大の活動の場となり得る要素を備えている。例えば,学内の環境整備,学内のコンピュータやネットワークに関する技術的支援,図書館,学内のスポーツ施設の地域住民への開放などでの業務支援,留学生や障害を持った学生に対する支援などにおいて,ボランティア活動等の機会を積極的に学生に提供する。

イ) 学生に対する支援体制の充実
 地域のボランティアセンター,学生関係団体等とも連携しつつ,大学内において,以下のような支援体制を整備する。
a) 学生部等に情報提供,相談窓口の開設
b) 大学等のボランティアセンターの開設(専任職員,学生ボランティアの配置)
(センターにおいては,(a)学生のボランティア活動等に関する情報収集・提供,(b)学生向けプログラムの開発,場の開拓,(c)ボランティア養成講座等の開催等の事業を行うことが想定される。)

ウ) 学生が活動を行いやすい環境の整備
 セメスター制度(注3),ボランティア休学制度(休学期間中の授業料の不徴収,在籍年数制限からの除外等)の実施,9月入学の促進,いわゆるギャップイヤー(注4)など学生が長期的な活動を行いやすい環境を整備する。

エ) ボランティア活動等に関する啓発
 地域のボランティア推進団体等との連携協力によるボランティア活動等に関する解説書の作成,ボランティアセミナー等の開催,入学時における学生に対する説明会などの啓発を行う。

2) 国等による奨励・支援

 上記のような大学等及び学生の取組を奨励・支援するため,例えば,以下のような取組が検討されることが望ましい。

1.大学等に対する国等の奨励・支援

  • ボランティア教育や活動を積極的に推進する大学等に対する支援を行う(例:ボランティア関係カリキュラムやサービス・ラーニング科目の開発に対する支援等)とともに,学生関係団体による学生ボランティアに関する解説書の作成・配布を支援する。
  • さらに,今後,大学等の評価において,ボランティア等に係る教育の取組や学生の自主的ボランティア活動等への支援等を評価指標の一つとして適切に位置付けることも検討することが期待される。

2.就職の際に評価

  • 関係府省と経済団体等が連携協力し,公務員や民間企業の採用に当たって学生のボランティア活動等を通じて得られた経験,能力等を一層重視することを明確にする。
  • 関係府省と経済団体等が連携し,企業等に対し,学生に求める履歴書等にボランティア活動歴の有無を記載する欄を設けるよう呼び掛けを行うとともに,国等の行政機関においては,履歴書等にボランティア活動歴の有無を記載する欄を設けることを検討する。

(2) 企業,社会人に対する奨励・支援

  国,地方公共団体,企業や労働組合などにおいては,気軽に参加できる職場環境作り,柔軟な勤務形態の導入など社会人が参加しやすい環境の整備や,地域での諸活動への参加を含め勤労者が行う幅広いボランティア活動等を奨励するための支援が期待される。
 国においても,こうした取組を支援するため,取組の事例紹介など情報提供を積極的に行うとともに,社会人に適した活動の機会の充実を図ることが適当である。また公務員や教員の活動を奨励するため,研修の一環として活動を位置付けることや,公務員や教員の経験を生かした活動のプログラムの開発等を検討することが望ましい。  

  社会人の幅広いボランティア活動等を奨励・支援するため,国,地方公共団体,企業等においては,職員や社員が気軽に参加できる職場環境作り,柔軟な勤務形態の導入など社会人が参加しやすい環境の整備が期待される。
 また,企業や労働組合などにおいては,社会の主要な構成者としての役割や社会的責任を踏まえ,自らがボランティア活動等に対する支援を行うことや,社員が活動を行うことに対する積極的な支援を期待したい。

1) 企業の社会的役割

 企業等においては社会の主要な構成者としての役割や社会的責任を踏まえ,市民社会の一員として,企業自身がボランティア活動やNPO活動に対し継続的に助成や支援を行うことを通じ,社会に貢献することが期待される。また,青少年に社会体験やインターンシップなどの就業体験の場を積極的に提供することを通じ,一定の教育機能を果たすことも求められている。

2) 社員が気軽に活動に参加できる職場環境の整備等

 企業等においては,長期間にわたる活動の実施に適したボランティア休暇制度の導入のみならず,地域での諸活動への親子や家族での参加を含め活動を幅広くとらえるとともに,(a)気軽に参加できる職場環境作り(定時退社の奨励,有給休暇の取得促進,サービス残業の解消など),(b)柔軟な勤務形態(短時間の継続的な活動の実施に適したフレックスタイム制など)の導入に積極的に取り組むことが期待される。

◇企業等のボランティア活動等に対する奨励・支援

 さらに,企業や労働組合等が社員のボランティア活動や地域の活動を支援するため,次のような取組を行うことが期待される。

  • ボランティア推進団体等との協力による社員向けボランティアセミナー等の開催
  • 社員が属している活動団体への助成,社員が活動支援のために団体に寄附する際に企業等が一定の上乗せをするなどの支援の拡大
  • 地域社会の一員としての企業や労働組合等の社会貢献活動の推進(例:地域の清掃活動,寄附,献血等の呼び掛け等)
  • 地域や学校での青少年の体験活動等への協力(例:施設の開放,社員を指導者として派遣,青少年の受入れ等)
◇国等の奨励・支援

 こうした企業等の取組や社会人のボランティア活動を奨励・支援するために,国等においては,以下のような取組の一層の充実が望ましい。

  • ボランティア推進団体,経営者団体,NPO等の連携による社会人に適したボランティア活動等の機会の提供
  • 社員のボランティア活動等を支援する企業等の支援方策やその導入に当たっての取組などの事例紹介などの情報提供  等
3) 公務員・教職員のボランテイア活動等の奨励

 ボランティア活動は公務員や教職員にとっては,行政や学校現場を離れて,新たな社会とのかかわりを持つ場となる。特に教職員にとってはボランティア活動等の経験を教育指導に生かすことができるとともに,一方で,文化・運動部活動等で培った指導技術を地域における活動に活用するなど,日常業務で得た経験を社会に還元することもできるなどの意義がある。
 公務員や教職員が自発的にボランティア活動を行うことができる機会を整備するため,特に以下のような取組を検討することが望ましい。

ア) 公務員
○ 公務員の自主的な奉仕活動を支援
・ ボランティアに関するセミナーの開催,事例集の作成等による啓発の充実
・ 現行のボランティア休暇制度(国家公務員)の一層の活用・促進に努める。
○ 公務員の研修の一環としての体験研修
・ 一定期間介護等を実地に体験することを研修カリキュラムに位置付ける

イ) 教職員
○ 初任者研修等教員の研修のプログラムとしてボランティア活動等を積極的に導入
○ 教職員生涯福祉関係団体等によるボランティア活動等に係る啓発の一層の充実
  さらに,関係行政機関が,ボランティア推進団体等と連携協力し,公務員や教職員の専門性を生かした活動のプログラムの開発についても検討することが適当である。  

(3) 個人が参加できる多彩なプログラム等の開発・支援

 奉仕活動・体験活動は,基本的には個人が自らプログラムを立て,自主的に活動を行うことが望まれるが,奉仕活動・体験活動を気軽に行うことができるようにするためには,様々な魅力的な活動の受け皿やプログラムを用意することが必要である。そこで,そのような取組の一例として,(a)青年,勤労者向けの長期の社会参加プログラム,(b)公共施設等におけるボランティアの受入れの促進,(c)ボランティア・パスポートなどボランティア活動等の実績に応じて,活動を行う個人一般や団体に対する支援を行う仕組み作り(d)国際ボランティアの裾野(すその)の拡大などを提案したい。

1) 青年・社会人向け長期参加プログラム

 奉仕活動等を長期間にわたって行うことは,青年にとっては知識・技術を習得し将来の人生設計に役立てることができ,また,社会人にとっても視野を広げ新たな人間関係を構築し,転職を含め新たな人生を切り開く契機となるものである。また活動を行う施設等においても,こうした活動に参加する青年や社会人を人材として期待できる。諸外国においても,こうしたプログラムが実施されている例もある。
 関係府省,ボランティア推進団体等が協力して,例えば,以下のような国内外の長期の社会参加プログラムを創設することを提案したい。また,こうしたプログラムの経験者について,官公庁,企業等の採用において積極的な評価が行われることが期待される。

○ 青年,社会人向け長期参加プログラム(案)
  • 対象: 18歳以上
  • 活動場所: 社会福祉施設,社会教育施設,学校,青少年教育施設,子どもの遊び場,NPO,ボランティアセンター等のボランティア推進機関,官公庁,環境保全, 国際協力のフィールド等
  • 活動期間: 1年〜2年
  • 支援措置: 大学,職業訓練施設等と提携し資格等の取得も含めた学習プログラムを適宜取り入れる(企業等の協力も得ながら,一定の実費等の支給も検討)。
2) 身近に参加できる魅力あるプログラムの開発

 活動を行う主体や,活動分野などそれぞれの特性を踏まえつつ,参加者の能力や経験,興味や関心に応じて身近に参加できるように多彩な活動の機会が用意される必要がある。
 活動プログラムの開発に当たっては,例えば若者を引き付けることができるようにゲーム性や娯楽性を持たせたプログラムや,親子で参加できる活動,中高年齢者が技能や経験を生かしてできる活動など,活動に参加する者の特性に応じた配慮が必要である。また,プログラムのアイデアを公募したり,各分野で活動する多彩な人材の参加協力によるプログラムなどの工夫も求められる。特に,今後,本格的に高齢化社会を迎える我が国において,高齢者が社会とのかかわりを維持し,活力を持ちながら生きることができるように,社会参加の場として高齢者のボランティア活動の機会を拡充していくことが必要である。
 さらに,地域においては,環境保全,国際理解,高齢化社会への対応など現代的課題の学習機会が充実されてきており,また,IT普及国民運動の一環としての全国民を対象としてのIT講習が実施されたところである。こうした学習の成果等を活用した活動の機会の提供やプログラム開発についても検討することが適当である。

1.公共施設等におけるボランティアの受入れの促進
 近年,社会人,主婦,退職者等が,知識や経験,技術を生かして,地域の学校,社会教育施設,青少年教育施設,文化施設,スポーツ施設・病院などの公共施設においてボランティア活動を行う例が増えている。例えば,学校での教科や部活動の指導,地域でのスポーツや文化活動の指導,公民館,図書館等社会教育施設でのボランティア,博物館・美術館等でのガイドボランティア,スポーツ大会での組織運営・通訳など幅広い活動が行われている。こうした活動は個人の能力や経験,学習成果を生かし日常的に取り組めるものであり,活動の裾野(すその)を広げる上で意義が深い。また,地域に開かれた施設としての事業や運営の改善充実や活性化に資する面も大きい。
 このため,公共施設等においては,ボランティアの受け入れ・活用を組み込んだ事業の運営,施設の担当者の指定,ボランティア及び職員双方への研修など受入れに必要な環境整備を行うことを求めたい。
 さらに,特別非常勤講師制度,スポーツや文化の指導者派遣制度など学校教育への社会人の活用のための施策の一層の充実を図る必要がある。

2.個人一般に対する奨励・支援
 個人が,生涯にわたってボランティア活動を行うことを社会的に奨励し,こうした活動が持続的に行われる仕組みを検討していく必要がある。こうした観点から,試行的な取組として以下の取組を提起したい。

○ ボランティア・パスポート(仮称)

 市町村など地域単位で,地方自治体ないしボランティア推進団体等が,ボランティア活動等の実績等を記録・証明するボランティア・パスポートを発行し,希望する住民に交付する。
 住民がボランティア活動等を行った場合に,これをポイントとして付加し,活動実績に応じて,公共施設の利用割引などの優遇措置,協賛団体等からの様々なサービス,利用する住民の様々な助け合いなどを受けることができるようにすること等が考えられる。
 国の機関・団体等に広く協力を呼び掛け,例えば,博物館・美術館の割引など特典や優遇措置を広げていくことも検討に値する。
 地域通貨など既に取組を実施している地域や団体等の協力を得て,こうした取組を試行的に実施し,持続可能な取組として広域的に広げていく方策について検討する。

3.ボランティア団体・NPO等への援助
 NPOやボランティア団体の活動の財源は,基本的には寄附や会費による収入が中心となっている。安定的な資金の確保のためには,ボランティア活動に対する個人や法人のNPO等への寄附を促す税制上の優遇措置等の一層の充実について検討が進められる必要がある。また,個人の寄附を広く募る方策として,例えば,ボランティア推進団体等において以下のような仕組みについて検討することも考えられる。

  • 幅広く民間企業の協力を得て商品にポイントを付加し,売上げに伴うポイント数に応じて企業から団体に寄附するもの
  • カード会社,航空会社等の協力を得て,クレジットカードやマイレージカードのポイントをボランティア活動の財源として寄附できるようにするもの
3) 国際ボランティアの裾野(すその)の拡大

 学生や退職者などを中心に開発途上国での援助活動や技術協力など国際ボランティア活動に対する関心が高まっている。また,国内においても,異文化交流の手伝い,ホームステイやバザーの開催等による留学生の支援など様々な形で活動が行われている。このような活動は,参加者個人にとって国際的な視野を広げ,多様な価値観の中で生きる寛容の精神を養うとともに,草の根レベルでの国際貢献を推進する上で意義が大きい。  
 今後,国際的なボランティアの裾野(すその)を拡大していくために,国の関係行政機関,国際協力事業団,学校関係者,NGOなど関係団体等が連携協力し,次のような方策について検討することが望ましい。

1.大学等における国際ボランティアの養成及び大学関係者の積極的参加のための取組の充実
 大学関係団体,青年海外協力隊,NGO等が連携協力し,例えば,(a)大学等における国際ボランティア経験者の積極的活用(例:大学等の要請に応じ国際ボランティア経験者を担当教官やコーディネーター等として国際ボランティア講座や大学ボランティアセンター等へ派遣する「国際ボランティア養成人材バンク(仮称)」の設立等),(b)受入国の要請の把握,語学や専門性の向上のための大学での指導体制,学生の参加の便宜等を勘案した国際ボランティアの養成のためのプログラムの開発,(c)教育援助や環境保全など専門性を生かし青年海外協力隊の活動等を支援する事業,(d)大学教員等がその専門性を生かし,NGO等の国際ボランティアに積極的に参加できるような環境作りなどの取組を図る。

2.国際ボランティアに対する協力
 シニアを含め,海外ボランティアの一層の拡充を図るため,国際協力事業団やNGOなどの団体が地域で行う海外ボランティアのシニア海外ボランティアの募集や説明会の開催等に協力するなど,連携協力を図る。

3.学校教育における裾野(すその)の拡充
 青年海外協力隊やシニア海外ボランティア等,教職員の国際ボランティアへの参加を一層拡充するため,派遣元である地方自治体の主体性を高め,より長期的な計画をもって派遣を可能とする更なる工夫や,より生産的で効果のある派遣方法など現行制度の一層の改善を図る。また,児童生徒の国際理解教育や進路指導に国際ボランティア経験者等を社会人講師として活用する取組の充実を図る。

4.国民の奉仕活動・体験活動を支援する社会的仕組みの整備

 奉仕活動・体験活動を支援していくためには,個人,ボランティア団体,企業,学校及び行政などが共に協力して,推進体制をつくっていく必要がある。
 そのため,国,都道府県,市区町村のそれぞれのレベルで,関係者による連携協力関係を構築するための協議の場(協議会)や,活動に関する情報提供,相談・仲介などを通じて個人,学校,関係団体等が行う奉仕活動・体験活動を支援する拠点(センター)を設ける必要がある。
 また,こうした推進体制が有効に機能していくためには,a)だれもがいつでも容易に必要な情報を得ることができる国及び地方を通じた情報システムの構築,b)地域におけるボランティア団体,受入施設,送出施設など関係機関・団体等が日常的に連絡・交流する市区町村のセンター等を中心とした地域ネットワークの形成,c)センター等において活動が円滑に実施されるために必要な連絡調整等を担うコーディネーターの養成・確保が求められる。

 奉仕活動・体験活動に関する現状及び課題を踏まえ,個人,学校,関係団体等の活動を支援できるような以下のような仕組みを作ることが有効である。

(1) 奉仕活動・体験活動を支援する仕組みづくり

1) 協議会・センターの設置

 特に学校内外での青少年の奉仕活動・体験活動の円滑な実施のためには,国,都道府県,市区町村のそれぞれのレベルで,ボランティア推進団体,学校、関係行政機関をはじめ関係者による連携協力関係を構築するための協議の場(協議会)を設けるとともに,コーディネーターを配置し,活動に関する情報提供,相談・仲介などを通じて,奉仕活動・体験活動を支援する拠点を設けることが必要である。このような拠点は,一般の社会人や学生等の活動のセンターとしても機能し得ると考えられる。
 また,協議会やセンターの設置・運営,さらには各種施策等の展開に当たっては,国レベルにおける関係府省や全国規模の関係団体等による連携はもとより,地方においても教育委員会と首長部局,さらには行政と学校,社会教育施設,青少年教育施設,社会福祉協議会等の関係団体,地域の経済団体,地域の代表者など活動にかかわる様々な関係機関・団体等の密接な連携が必要である。
 なお,協議会については,関係する行政部局が多く,広く関係団体等の協力を得ることが必要であるため,ネットワーク作りなど行政が一定の役割を果たすことが適当である。
 一方,センターについては,既に蓄積されたノウハウ等を活用するとともに,機動的かつ柔軟な運営を確保するため,教育委員会など行政がその機能を担うほか,状況に応じてボランティア推進団体等にゆだねることも有効である。特に市区町村のセンターについては,幅広い関係団体等との協力関係が構築できる場合には,教育委員会のほか,社会福祉協議会ボランティアセンターその他既にコーディネート等を活発に行っている団体等にゆだねるなど地域の実情を勘案した柔軟な対応が適当であると考えられる。

奉仕活動・体験活動を支援する仕組み(イメージ)

2) 国及び地方を通じた情報システムの構築

 だれもがいつでも容易に必要な情報を得ることができるシステムが求められる。
 特に市区町村,都道府県レベルでは,前述のセンターを中心に,既存のボランティア活動や体験活動に関する情報データベース等を活用しつつ,地域内の活動の場や指導者,活動団体や活動プログラム等に関する情報を整理し,活動を始めようとする個人,学校関係者,ボランティア活動関係者等様々な個人や団体の求めに応じて必要な情報を提供するシステムを構築する必要がある。
 国レベルにおいても,関係府省,ボランティアや体験活動にかかわる関係機関・団体等が連携協力し,全国的なボランティアや体験活動に関する情報等を利用しやすい体系に整理し,上記の地方のセンターの情報とともに関連するすべての情報が総覧できる情報システムの構築が必要である。その際,利用者が居住する地域以外の情報も容易に入手できるように配慮することが大切である。
 なお,情報システムの整備に当たっては,可能な限り広く収集し掲載することが適当であるが,例えば,特定の団体の誹謗中傷,政治や宗教への利用など不適切な活動の可能性があると判断される場合には管理者で削除するなどの規則を決めておくことが適当である。また,指導者等の人材等についての情報の登録に当たって,センターのコーディネーターなどが適切な判断を行うことが適当である。
 さらに,将来的には,国及び地方を通じて,各種情報をデータベース化し,活動分野,年齢,親子など参加形態,地域等により参加し得る活動が検索できるシステムや,生涯学習の視点を踏まえた活動手法や活動事例などの情報提供,希望団体自体による情報提供のために開放できる場の提供などの工夫が求められる。

(2) 地域ネットワークの形成

 奉仕活動・体験活動を日常的な活動として,着実に実施していくためには,市区町村のセンターのほか,地域の実情に応じて,社会福祉協議会,自治会,民生委員,青年会議所,商店会等地域の団体が連携協力して,小学校区単位で公民館や余裕教室,地区センター等を活用し,地域住民が日常的に活動に取り組むために集うことができる身近な地域拠点(地域プラットフォーム)を整備することも有効であると考えられる。ここでは,市区町村のセンターを補完して,身近な活動の場の開拓や地域住民の活動への参加を促すことが想定される。
 一方,地域住民の生活圏域に応じた広域的な活動の要請にこたえるため,例えば,市区町村単位などで,県内のボランティア推進団体,大学,NPO等が連携協力して,広域的な拠点(広域プラットフォーム)を整備していくことも検討に値する。

地域ネットワークのイメージ

(3) コーディネーターの養成・確保

1) コーディネーターに期待される役割

 コーディネーターは,奉仕活動・体験活動の推進において重要な存在であり,センターないし仲介機関にあっては,活動参加を希望する者と活動の場を円滑に結び付けるため,活動の準備,実施,事後のフォローアップなど活動の各過程を通じて,参加者に対する活動の動機付け,情報収集・提供,活動の場の開拓,受入先の活動メニューの提供,活動の円滑な実施のための関係機関等との各種の連絡調整などの役割を担う。
 また,学校などの参加者を送り出す施設や福祉施設などの参加者を受け入れる施設にあっても,コーディネーターの役割を担う担当者が必要であり,送出し側では事前指導や関係機関等との連絡調整,受入れ側では参加者へのガイダンス,活動内容の企画,施設内での連絡調整等の役割を担う。

2) 養成・確保

 コーディネーターには,ボランティア活動や体験活動,企画・広報,面接技法等に関する専門的知見とともに,関係機関との人的ネットワークやその背景にある豊かな人間性など幅広い素養・経験等が求められる。さらには,活動の適正さを確保するため,活動に関する情報や団体や人物に対する確かな目利きといった能力も必要である。このため,関係する行政部局や団体等の協力を得つつ,都道府県と市町村が共同して人材の積極的な発掘,計画的な養成が必要である。
 コーディネーターの養成については,社会福祉協議会,ボランティア推進団体,教育委員会,スポーツ団体,青少年団体をはじめ,関係機関・団体等が連携協力して,養成講座の体系化を図り,養成講座を共同で開設することや,さらには関係機関・団体が協力して養成のための各種のモデルプログラムの開発等を行うことも検討する必要がある。また,受講者の経験や知識のレベルに応じた必要事項の補完や,担当する分野の特性に応じた多様なプログラムを用意する必要があることから,基本的には一定人数をまとめ得る都道府県単位で養成講座を行うことが効果的と考えられる。

(4) 行政機関におけるボランティア活動や体験活動を担当する部局の設置・明確化等

 ボランティア活動や体験活動を効果的に推進していくためには,行政機関とNPO,ボランティア団体その他関係団体などが連携・協力しやすい仕組みを作ることが重要である。また,活動を行おうとする個人にとっても,行政機関の窓口が明確であれば,情報提供や相談対応を求めることができ,活動に気軽に参加しやすくなる。そこで,各行政機関等に,これらの活動を担当する部局を設置(「ボランティア課」等),又は明確化し,それらの推進に取り組むとともに,国民にアピールするなどの取組も求められる。

5.社会的気運の醸成〜皆が参加したくなる雰囲気づくりを〜

 国民一人一人が奉仕活動・体験活動の意義を理解し,身近なものとしてとらえ,日常生活の一部として継続して取り組んでいくためには,社会全体でこれらの活動を推進していく気運を醸成していくことが不可欠である。このため,奉仕活動・体験活動に関する年次報告など奉仕活動・体験活動に関する積極的な広報・啓発,ボランティア活動推進月間など活動に気軽に参加できる雰囲気作り,活動を継続して取り組む者に対する顕彰の工夫などに取り組む必要がある。
 また,奉仕活動・体験活動の推進の上で果たすべき役割が大きい企業等の取組を促す方策として,積極的に取り組む企業の社会的奨励や関係府省と経済団体等との協議の場の設置などについても検討する必要がある。 

(1) 奉仕活動・体験活動に対する社会的気運の醸成

1) 奉仕活動・体験活動の魅力をアピールする取組の実施

 奉仕活動等に対する社会的気運を醸成するため,関係機関等が連携協力し,例えば, 以下の取組について検討することが適当である。

○ 「ボランティア活動推進月間」などを設けて,関係府省,民間団体等が協力して奉仕活動等に対する国民的な啓発運動を実施

○ 奉仕活動・体験活動の全国的な概況をまとめた年次報告書等の作成

○ 国民の関心を引き付ける広報・啓発の実施
・奉仕活動等を自ら実践している各界の著名人が集まり,その意義を国民に対し働き掛ける活動等の実施
・テレビ等の媒体を通じ活動への参加が若者にふさわしいライフスタイルとしての印象を与えるような工夫

○ 地域の未経験者の参加者を促す工夫
・例えば,地域でのボランティア活動経験者に「語りべ」となってもらい,地域で友人や仲間に参加の喜びや感動を伝えて一緒に活動に参加する
・地域における行事などの身近な活動に家族一緒に参加するように呼び掛けを行う

2) 活動の顕彰

 奉仕活動・体験活動に継続的に取り組む者を幅広く社会的に認知し,その取組を顕彰していくことも重要である。ボランティア活動等に関する表彰・顕彰については,既に国や地方公共団体,企業や民間団体等により様々なものがあるが,例えば,以下のような点について検討することが望ましい。

○ 活動に携わるあらゆる人や団体が対象となる工夫
・例えば,青少年の奉仕活動等に対する顕彰など既存の表彰・顕彰の対象となりにくい者に対する新たな制度の創設,既存の表彰・顕彰の実施の工夫による対象者の拡大  

○ 国民の関心を集める顕彰の工夫
・積極的に活動を行っている個人や団体などが社会から脚光を浴びるような環境を作り,関係者の意欲を鼓舞し,国民にその功績を広める顕彰の工夫(例:前述の推進月間に合わせて顕彰を実施(「ボランティア大賞」の創設等),顕彰と合わせて行事の開催等)

(2) 企業等の取組を促す方策

 奉仕活動・体験活動を社会的に定着させるためには,(a)青少年の体験活動への協力,(b)ボランティア団体等への支援,(c)社員のボランティア活動等への支援など企業等の取組が果たす役割が大きい。このため,以下のような方策についても検討する必要がある。

1) 積極的に取り組む企業の社会的奨励

・奉仕活動・体験活動を積極的に支援する企業を,例えば,「ボランティア活動支援企業(仮称)」のような形で広く公表する方策の検討

2) 関係府省と経済団体等との連携

・奉仕活動・体験活動の推進に関する官民を通じた共通認識の醸成,推進のための具体的な方策を検討するための関係府省と経済団体等による協議の場を設置

おわりに

 今回の答申では,奉仕活動を特別な人が行う特別な活動ではなく,新たな「公共」を担う幅広い活動として捉え,日常的に参加できる気軽な活動として無理なく定着していくことができるよう,様々な提言を行った。
また,豊かな人間性や社会性などを培うとともに,将来,社会に役に立つ活動に主体的に取り組む基盤をつくるため,青少年の時期から,多様な体験活動の機会を提供するための方策についても提言を行った。
これらの提言に実効性を持たせるためには,関係する行政機関や団体をはじめ,個人や家庭,地域,企業などが,それぞれ意識的に連携・協力して,奉仕活動・体験活動の推進に取り組むことが最も重要である。
 本提言を契機として,個人,ボランティア団体,企業,学校,行政などが,社会の一員であることを自覚し,従来の組織の枠を超えて,互いに連携して,社会全体で新たな「公共」を担う活動に参加していくことを心から期待したい。

参考資料

◇用語解説◇

注1) 子どもゆめ基金

 民間団体が行う子どもの体験活動などに助成を行うための制度で,独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターに設置されている。

(助成対象活動)
  • 子どもの体験活動の振興を図る活動
  • 子どもの読書活動の振興を図る活動
  • インターネット等で利用可能な子ども向け教材を開発・普及する活動
(助成対象団体)

青少年教育に関する事業を行う以下の民間団体。

  • 民法34条法人
  • NPO法人
  • 民間企業等の法人格を有する団体
  • 法人格を有しないが,活動実施の体制が整っている団体(実行委員会組織等を含む)

注2) サービスラーニング

 アメリカ等において,大学の正課教育の中にボランティア活動等の社会貢献活動を導入したもの。
 サービス・ラーニングとは,「社会の要請に対応した社会貢献活動に学生が実際に参加することを通じて,体験的に学習するとともに,社会に対する責任感等を養う教育方法」であり,大学教育と社会貢献活動との融合を目指したものとされている。

注3) セメスター制度

 1学年複数学期制の授業形態。一つの授業を学期(セメスター)ごとに完結させる制度。諸外国では一般的。セメスター制は,1学期の中で少数の科目を集中的に履修し,学習効果を高めることに意義がある。さらに,セメスター制には,単位互換,社会人受入の拡大や大学間の円滑な転入学を可能とし,国際交流や大学間の連携協力の促進に寄与する。

注4) ギャップイヤー

 イギリスにおいて習慣として行われている延期入学の仕組み。ある年度に入学を決めて(合格して),実際の入学は翌年度とするもので,その間に学生は,ボランティ ア活動をしたり,労働体験を積んだり,特定の技能などについて集中的に学習を行ったり,又は,目的を持って長期の海外旅行により見聞を広める等をする。 

◇ボランティア活動等に関する現状関係◇

1  国民の活動,意識の現状

(1)国民一般

1.各国のボランティア活動参加率

  アメリカ
(1998年)
イギリス
(1997年)
日本
(1996年)
オランダ
(1998年)
フランス
(1996年)
ドイツ
(1996年)
韓国
(1999年)
活動参加率 55.5 48.0 25.3 24.0 23.4 18~16 13.0

注)
1.アメリカはIndependent Sector "Giving and Volunteering in the United States"(1999年),イギリスはThe National Centre for Volunteering "National Survey of Volunteering in the UK"(1997年),日本は総務庁「社会生活基本調査報告」(1996年),オランダはThe Netherlands Organizations for Voluntary Workers "NOV Barometer 1998",フランスはThe Fondation de France "Giving and Volunteering in France 1997",ドイツはEURO‐Volunteer Information Pool(EU委員会から助成されたプログラム),韓国は統計庁「社会統計調査報告書」(1999年)により作成。

2. 各国の調査におけるボランティア活動の定義1.日本:総務庁「社会生活基本調査報告」により,報酬を目的としないで自分の労力,技術,時間を提供して地域社会や個人・団体の福祉増進のために行う活動を社会的活動とし,このうち,児童・老人等で援護を必要とする人の福祉増進のための活動,地域社会・住民の安全確保,環境整備等,「他人のための活動」の色彩の強いものである「社会奉仕活動」をボランティア活動とした。なお,参加率は,過去1年間に社会奉仕活動を1日でもした人の割合。2.アメリカ:インディペンデント・セクター"Giving and Volunteering in the United States"によると,以下に掲げる領域の中で,単に組織に属したというだけでなく,実際に何らかの形で利益を目的とせずに他の人々を援助する行為のことを指す。なお,参加率については,日本と同じく過去1年間に活動した人の割合である。3.イギリス:全国ボランティアセンター"The 1997 National Survey of Volunteering in the UK"によると,だれか(個人や団体)のためになることを目的として,時間を費やし,無償で行うあらゆる活動(近い親戚のための活動は除き,環境のためになる活動は含む)のことを指す。なお,活動頻度についてはふれていない。4.フランス:フランス財団"Giving and Volunteering in France 1997"によると,グループや団体のために(家族や友人は除く),無償で行われるサービス活動を指す。参加率は,過去1年間に活動した人の割合である。5.韓国:統計庁「社会統計調査報告書」(1991年)によると,個人・集団・地域社会で発生している様々な社会問題を予防,統制,改善しようとするために,公的,私的に行われているいろいろなサービスに,報酬なしで自発的に参加する活動のことである。なお,参加率は,過去1年間に活動した人の割合である。

(備考)「国民生活白書  平成12年度版」(経済企画庁編)により作成

2.社会の役に立ちたいと思う人の割合

 社会の役に立ちたいと思う人の割合

3.ボランティア活動への参加意欲

ボランティア活動への参加意欲

4.ボランティア経験の有無

 ボランティア経験の有無

5.ボランティア活動について,国や地方公共団体に望むこと

 ボランティア活動について,国や地方公共団体に望むこと

(備考)2.〜5.「国民生活選好度調査(平成12年度)」(経済企画庁)により作成

(2)企業・従業員

1.企業が行っている地域活動

 企業が行っている地域活動

2.企業の従業員が地域で行うボランティア活動への考え方

 企業の従業員が地域で行うボランティア活動への考え方

3.従業員のボランティア活動に対する支援

従業員のボランティア活動に対する支援

4.従業員のボランティア活動への関心

 従業員のボランティア活動への関心

5.ボランティア活動の経験、今後の意向

 ボランティア活動の経験、今後の意向

6.従業員のボランティア活動を始める条件

 従業員のボランティア活動を始める条件

(備考)1.〜6.「企業及び勤労者のボランティア活動に関する調査」(日経連勤労者マルチライフ支援センター/東京経営者協会)により作成

(2)青少年の活動,意欲の現状

1.地域の人たちとのふれあいの多少と毎週土日が連休になったときの地域活動への関心

自分の得意なことを地域の人たちと一緒にすること

自分の得意なことを地域の人たちと一緒にすること高校2年生

地域のボランティア活動に参加すること

地域のボランティア活動に参加すること中学校2年生

地域のボランティア活動に参加すること高校2年生

(備考) 「地域の教育力の充実に向けた実態・意識調査報告書  平成13年9月・10月調査」(子どもの体験活動研究会)により作成

2.学校における体験活動の実施状況(平成12年度)

学校における体験活動の実施状況(平成12年度)

 注)
数字は,小学校は6年間,中,高等学校はそれぞれ3年間で実施されている体験活動の総単位時間
(小学校は1単位時間45分,中,高等学校は1単位時間50分)

(備考) 「学校における体験活動の実施状況(平成12年度)」(文部科学省調べ)により作成  

3.青少年の抱くボランティア活動に対するイメージ

  全体 男性 女性
時間的に余裕のある人がやる
思いやりのある
魅力的な
信頼できる
みせかけの
人気のある
遊びより面白い
責任感のある
おせっかいな
やりがいのある
冒険的な
勉強になる
かっこいい
恥ずかしい
明るい
まじめな
なくてはならない
金では得られない
困った人を助ける
無報酬の
強制的な
社会のために役立つ
自ら進んでする
社会を変革する
57.0
92.4
47.8
76.3
15.7
12.1
9.9
89.3
15.4
73.4
37.9
84.6
20.9
27.8
46.3
86.5
88.4
88.2
94.3
78.5
10.3
93.0
83.7
56.5
60.5
90.7
40.7
70.9
18.3
10.7
7.3
86.9
17.7
63.1
36.2
78.9
19.4
31.7
43.2
87.1
86.3
87.6
93.7
78.1
10.3
92.3
79.7
51.1
54.0
94.2
54.0
81.4
13.6
13.5
12.2
91.6
13.5
82.4
39.6
89.7
22.2
24.7
49.3
86.2
90.6
89.1
95.3
79.7
10.4
94.0
87.4
61.7

※調査対象は全国13歳以上26歳未満の男女個人

(備考) 「青少年のボランティア活動に関する調査」報告書(総務庁青少年対策本部編)により作成

4.学生のボランティア体験の有無

 学生のボランティア体験の有無

5.学生のボランティア活動の障害要因

 学生のボランティア活動の障害要因

(備考) 4.、5.「学生のボランティア活動に関する調査」平成10年(財団法人内外学生センター)により作成

◇参考事例等◇

参考事例1・・・2.2(1)関係

【イギリスにおける小・中・高校生を対象とした活動プログラム〜シチズンシップ教育〜】

☆ シチズンシップ教育の定義:社会的・道義的責任(social and moral responsibility)
 生徒の精神的,社会的,文化的成長を促進し,学校のクラスにおいてもクラスを越えた場でも,より自尊心と責任感のある人間に育成する。

☆ 2002年9月から11〜16歳の中等教育においてシチズンシップ教育が必修化されることが,ナショナル・カリキュラムの中で規定された。5〜11歳の初等教育では独立教科として必修とはしないものの,各教科にその内容を組み入れ,充実を図ることが決まった。
 今後は各学校ごとにシチズンシップ教育が推進され,その中でコミュニティ・サービスの体験学習が用いられていくことが見込まれている。しかし,イギリスでは教育課程における学校や教師の自由裁量度が大きく,ナショナル・カリキュラムに強制力は余りないため,どの程度の時間をかけてどのようにシチズンシップ教育を実施するかは現場の裁量に負うところが大きい。

☆ これまで学校で行われてきたシチズンシップ教育の事例:Haverstook school
 ロンドンの下町に当たるカムデン地区にある鉄道の操車場の跡地にできた学校で,約45種類の言語を話す子どもがいるなど,多民族・多文化の生徒で構成されている。特別教育の必要な子どもや,給食費の払えない貧困家庭の子ども,避難民の子どもなど,教育上困難な問題を抱えている生徒の割合が多い。
 ドラマの授業で生徒が有料の演劇会を開き,自分たちの励みとするとともに,その収益金を老人ホームに寄附している。
 視察者など外部からの訪問者があった場合には,生徒会の役員が校内を案内するとともに,学校の現状について説明している。
 以前は,暴力事件が多発していたが,これらの活動によって生徒が落ち着き,学校運営も着実に良い方向に進み始めている。

参考事例2・・・2.2(2)関係

【地域等の学校外における活動の例〜山形県の高校生ボランティアサークルの活動〜】

 山形県では,地域を単位とした高校生のボランティア活動が盛んに行われており,他県にはあまり例を見ないことから,「山形方式」と呼ばれている。この高校生のボランティア活動は,次のような特徴を持っており,県内各地に広がっている。
(1)学校単位としてではなく,学校枠を越えて地域単位の活動として行われており,より自主性の高い活動として展開している(2)それぞれのサークルの活動内容は,子ども相手のジュニアリーダー,手作り人形劇,環境美化,国際交流,施設訪問,一人暮らし老人宅清掃,雪下ろし,年賀状作戦など,多彩な内容で行われている(3)それぞれの地域にマッチしたユニークなサークル名を,高校生自らが付けている(鮭川村「鮭っ子」,朝日村「かだんこの会」,長井市「ふきのとう長井」,大蔵村「ぎゃらくと」など)(4)地域の先輩から後輩へと,20年以上も受け継がれているサークルもあれば,最近新たに誕生したサークルもある。

参考事例3・・・2.3(1)関係

【大学等における奉仕活動・体験活動の推進の取組例】

☆ T大学における取組
 社会における奉仕活動やNPO活動への参画を通じて,経営学の手法による問題解決の方法を実地に体験するとともに,実社会システムの構造や機能及び問題点について理解を深めることを目的とした講義を開講している。その講義の一環として,2週間程度学外へ出てインターンシップを実施しており,体験内容のレポートを提出させ,評価を行っている。

☆ I大学における取組

1. 単位を与えるもの

(1)国際インターンシップ
 国際NGO,国際機関等で30日以上,無償のボランティア活動を行う(夏期休暇期間等を利用)。事前に計画書を提出し,担当教員の下で準備する。事後にはレポートを提出。

(2)コミュニティ・サービスラーニング
  大学所在地のM市と連携し,インターンシップとして,学生は行政分野で30日以上無償のボランティア活動を行う(夏期休暇期間等を利用)。事前に計画書を提出し,担当教員のもとで準備する。事後にはレポートを提出。

(3)一般教育科目「サービス・ラーニング入門」
  サービス・ラーニングの基本を学ぶ。国際インターンシップ,コミュニティ・サービスラーニングの具体例を紹介し,それらに参加する準備を行う。実習先として可能性のあるNGOの紹介等も行う。

2. 単位は与えないが,サービスラーニング・プログラムの一環として位置付けられるもの

(1)大学が公的に行う諸外国におけるワーク・キャンプ
(2)学生のクラブ活動として行っているユネスコクラブのスタディーツアー,ワークキャンプ,点訳サークルの活動  等

☆ O専門学校における取組
 英米語学科に就業年限2年の国際ボランティアコースを設け,ボランティア活動のリーダーとなるべき人材育成を行っている。具体的には,様々なNGO団体の活動に参加して国内で実習を行ったり,海外においても研修を実施しており,在学中に少なくとも1回は,長期休暇を利用してボランティア研修へ参加することが卒業の要件となっている。

☆ S短期大学における大学ボランティアセンターの例
 S短期大学では,ボランティア情報・相談窓口の不足に悩む学生のために,大学にボランティアセンターを開設している。センターは,センター室長,ボランティアコーディネーター,運営委員(教職員,学外有識者),学生運営委員によって運営され,1.各種ボランティア講座や講演会の開催,2.ボランティア活動の研究調査の実施,3.ボランティア情報コーナーの配置,4.ボランティア情報の収集と提供,5.ボランティアグループへの支援,6.活動資金集め,等の機能を果たしている。

参考事例4・・・2.3(2)関係

【企業におけるボランティア活動の支援方策の例】
  • メール,情報誌等による情報提供
  • ボランティア休暇制度(半年以上の長期,2週間程度の短期等)
  • コミュニティ活動制度(就業時間中の一定時間,地域のボランティア活動に参加する制度)
  • 従業員の募金活動に対するマッチングギフト制度(一定の金額を上乗せして募金する制度)
  • 表彰制度
【国,地方公共団体におけるボランティア活動の支援方策の例】

  (国)  

  • 職員が自発的に無報酬で被災者支援,障害者,高齢者支援等の社会に貢献する活動を行う場合に有給で,年間5日間の特別休暇を認める。
  • 職員研修における介護等実地体験研修の実施。
    (地方公共団体)
  • 職員及び退職者を対象とし,専門知識を地域社会活動に活かすための人材派遣事業の発足
  • 個人的にボランティア活動に結び付く通信教育を受講する者に対する受講経費の補助  等

参考事例5

【各国の長期フルタイムボランティア活動の例について】
国名 実施主体 プログラム名 期間 対象
年齢
概要
アメリカ cns
(corpora-tion for national service)
(政府)
americorps
vista
(volunteers in service to america)
1年間 18~ ・ホームレス、識字教育、所得向上、地域活性化などの貧困対策を行うための、1年間の全日制のボランティア・プログラム
・参加者支援: 1.※ 年間に4,725ドル相当の学費(又は1,200ドルの報酬)、住居、旅費、研修、健康保険
・年間約6,500人参加
americorps
nccc
(national ci-vilian commu-nity corps)
10ヶ月間 18~24 ・若者が10~12人のチームを組み全米の5つの施設で共同生活を行い、環境、生活、教育、災害救助、安全などの実際のサービス提供を行う。
・参加者支援: 1.小遣い(100ドル/1週間)
・年間約820人参加
その他 ・その他、cnsはアメリコアプログラムとして、個別に助成を行っており、その中には、長期フルタイムボランティアの企画もある。
イギリス gap
(gap act-ivity pr-oject)
(ギャップイヤー活動支援団体)
ギャップイヤー(慣習であり、政府等が推進しているものではない) 16ヶ月間 18~25 ・ボランティア活動の他、活動自体は、旅行・アルバイト等多彩。
・GAPでは、活動者に向いた活動をインタビューを通じて決定する他、期間中に海外で行うボランティア活動に対する支援を行っている。
csv
(communi-ty servi-ce volun-teers)(ボランティア団体)
csvのフルタイムボランティアプログラム 4ヶ月~1年間 16~35 ・CSV職員によるインタビュー後、希望者の最も意向にあった活動が選ばれる。
・活動時間:40~50時間/1週間
・活動後1ヶ月後及び活動終了後にレポート提出
・参加者支援:2.宿泊費、食事代、交通費等の実費、小遣い(26 ポンド50セント/1週間)
・年間に2,500人参加(海外からの参加者含む)
ドイツ 連邦家族・高齢者・婦人・青少年省 兵役代替奉仕(zivildienst) 国内11ヶ月間海外13ヶ月間 18~27男子 ・介護・援助サービス、技術、事務、園芸、調理手伝い等。
・参加者支援: 1.報酬、ボーナス、保険料、研修費、2.食事、作業着、宿泊先3.研修2回(併せて3週間)
・18万人以上参加(1961~1999)
社会活動年(fsj(freiwilli-ges soziales jahr)) 6ヶ月~1年間 17~25 ・看護・教育・家事の援助等といった医療、福祉分野でのヘルパー活動。
・参加者支援:1.研修25日間2.宿泊、食事、作業服、小遣い(300dm/1ヶ月)、社会保険料
・年間1万人以上参加
環境活動年(foj(freiwil-liges okologisches jahr)) 6ヶ月~1年間 16~27 ・保護活動、動植物や庭園の世話、環境保護の広報、環境教育のアシスタント等
・参加者支援:1.研修2.宿泊、食事、作業服、社会保険料3.小遣い(300dm/1ヶ月)
・1,500人参加(1993~1998の間、約8割が女性)
日本 日本青年奉仕協会 (民間) ボランティア365 1年間 18~30 ・活動先:文化、地域振興、高齢者福祉、教育などの各分野で活動する団体・機関・自治体約230ヶ所
・参加者支援:2.住居、基本的な生活用品4.月に一定額の生活費を支給
・研修:事前・中間・総括の3回
・約60人/年間参加(男:女=4:6、募集は7月と10月の2回)

出典:社会奉仕活動の指導・実施方法に関する調査研究報告書(株式会社日本総合研究所) 他

※参加者支援の形態についての記号の説明
  「1.」連邦政府が支弁、「2.」受入先の団体・機関が支弁、「3.」連邦政府と受入先との折半、「4.」政府以外の主催団体が支弁

※別添表参照

参考事例6・・・2.3(3)関係

【国際ボランティアの取組】

☆ 青年海外協力隊事業の概要
 開発途上地域の住民と一体となって当該地域の経済及び社会の発展に協力することを目的として,原則として2年間,青年を海外に派遣する。昭和40年度に事業が発足して以来,約2万2000人を派遣しており,農林水産,加工,保守総操作,土木建築,保健衛生,教育文化,スポーツの分野で活動している。

☆ シニア海外ボランティア事業の概要
 開発途上国からの技術援助の要請にこたえるため,幅広い技術・豊かな経験を有する中高年を1年ないし2年間派遣する。平成2年度に事業が発足して以来(平成2〜7年度の間は「シニア協力専門家」事業),約750名を派遣しており,計画・行政,公共・公益事業,農林水産,鉱工業,エネルギー,商業・観光,人的資源,保健・医療,社会福祉の分野で活動している。

☆ 青年海外協力隊の活動を支援する事業  〜青年海外バックアップ・プログラム〜
 青年海外協力隊の活動を一時的・短期に支援する要員を派遣し,協力隊事業のより一層の効果的な実施を図るための取組。

☆ E大学における海外インターンシップ
 E大学においては,2年生以上の学生を対象に,海外インターンシップを実施し,単位として認定している。
 学生は事前準備の座学を受講した後,

  • フィンランドのヘルシンキ大学での2週間の講義並びにフィールドワーク研修
  • 既存団体のプログラムへの参加によるインターンシップ(例:OISCAのフィリピン山火事跡への植林プログラム等)
  • 学生が活動団体に直接交渉し,企画立案,交渉,実施,評価依頼,レポートまで学生が主体的に行うプログラムなどのインターンを実施する。

  評価については,現地の大学並びに担当教員が,学生の活動の報告を受けたり,学生に同行して観察し,試問を行ったり,論文を提出するなどの方法により行っている。
 その他,ガーナ,ケニア,エクアドル(ガラパゴス),オーストラリア,ハワイ,ブータン,ベトナム,ドイツ等において国立公園の運営の実態調査などを中心とした活動も行っており,この経験を卒業論文に生かす学生もいる。
 また,これがきっかけで青年海外協力隊に参加する在学生,卒業生も出てきている。

参考1・・・2.4(2)関係

【国及び地方を通じた情報システム】

☆ 地方(センター)
 エリア内の活動団体に関する情報,活動プログラムに関する情報,イベント情報等や推進体制の紹介,指導者募集等の広報などを行うためのホームページの開設  等  

☆ 国
 各地方自治体のセンターのホームページ,関係府省,関係機関・団体等のボランティア情報等を含め,これらを利用しやすい体系に整理してリンクを張るなど,関連する情報を総覧できるシステムの構築  等

参考事例7・・・2.4(2)関係

【地域ネットワークの例】

 東京都のある区においては,社会福祉協議会,中学校など,地域の公共機関や専門家と連携し,子どもからお年寄りまで,だれにも優しく,安心して暮らせる街づくりを目的に,様々な年代の会員がそれぞれが生活する場で様々なボランティア活動に取り組んでいる。具体的な活動としては,救急・警察・医師・教員など専門家による公開講座の開催,地域の学校や高齢者福祉施設への協力や支援,中学生の職場体験や職場訪問の受入れ等を行っている。また,活動の場として,中学校の地域開放教室を利用している。

参考2・・・2.4(2)関係

【コーディネーターの役割の例】
  • ネットワーキング(行政・活動団体間,学校・家庭・地域間)
  • きっかけづくり(広報・PR)
  • ボランティア人材の確保・養成
  • 地域住民や団体等が行う活動の企画や実施に関する相談対応
  • 地域の課題・ボランティア活動のニーズ把握
  • 地域資源の発掘(人的資源や活動団体の発掘,活動の場の開拓)
  • 地域住民等への活動に関する情報の発信 等

参考事例8・・・2.5(1)関係

【社会的気運を醸成する取組の例】

 ☆ 文化ボランティアの呼び掛け〜文化ボランティア通信〜
 文化庁においては,平成14年2月から,「文化ボランティア通信」を発刊し,各地の活動を紹介して参加者を募るのと同時に,関係者の情報を発信し,文化ボランティアネットワークの形成を行いたいとしている。

☆ アメリカ大統領の奉仕活動拡充の呼び掛け
 2002年2月,アメリカのブッシュ大統領は,一般教書演説で「全国民が一生のうち2年間,あるいは通算4,000時間を奉仕活動に費やそう」と提唱し,地方遊説で市民に参加を求めている。そのため,既存の海外援助団体,地域の教育活動などを行う団体の大幅な拡充,医師,看護婦,警察官のOBなどを中心としたボランティア組織網の創設などを提唱している。

◇諮問文(抄)◇

次に掲げる事項について,別紙理由を添えて諮問します。
1  青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について
(2〜4  略)
平成13年4月11日

文部科学大臣  町村信孝

(理  由)

1   青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について

  近年,我が国の教育は,いじめ,校内暴力,学級崩壊,凶悪な青少年犯罪の続発などの深刻な問題に直面している。これらの問題の背景には,様々な要因が考えられるが,その一つとして,異世代・同世代を含めた人間関係が希薄化し,人とのコミュニケーションの仕方や集団の中での行動規範などを十分に身に付けないまま成長してしまう青少年が増えつつあること,また,青少年が心からの達成感や成就感を味わう体験をする機会が乏しくなっていることなどがあると思われる。
 このような中で,一人一人に,社会の構成員としての規範意識や,命を大切にし,他人を思いやる心など豊かな人間性をはぐくんでいくためには,青少年が,その成長段階等に応じ,様々な奉仕活動・体験活動を行うことが大きな意義を持つものと考える。このため,小学校・中学校・高等学校の段階にある青少年の,学校の内外を通じた様々な奉仕活動・体験活動の機会が格段に充実されるよう,組織的な推進体制の整備を含め,総合的な方策を検討する必要がある。
 また,初等中等教育段階におけるこれらの取組を踏まえつつ,初等中等教育を修了した18歳以降の青年が様々な分野において奉仕活動を行えるような社会的な仕組みづくりについても検討を行う必要がある。
 あわせて,社会全体としても,青少年に限らず広く社会人が,生涯にわたり自ら蓄積してきた能力を活用して奉仕活動等を行うことができるよう,その環境づくりに向けた方策を検討する必要がある。

(2〜4  略)

◇文部科学大臣諮問理由説明(抄)◇

平成13年4月11日

 本日は,御多忙のところ,御出席をいただきましてありがとうございます。
 今回,初代文部科学大臣として,新しく再編された中央教育審議会に最初の諮問をさせていただくことを大変光栄に思っております。

 我々が第一歩を踏み出した21世紀は,社会経済や科学技術が急速に発展する激動の時代になることが予想されています。このような中で,我が国が主体性を持って国際社会に貢献し,世界から尊敬される「心の豊かな美しい国家」の実現を目指していくためには,あらゆる社会システムの基盤である教育の改革を国の最重要課題として位置付け,取組を進めていくことが何よりも重要であります。
 とりわけ,我が国の教育は,第二次大戦後,機会均等の理念を達成し,国民の教育水準を高め,社会経済の発展の原動力となってきましたが,現在の教育の状況に目を向けると,国民や社会の教育に対する信頼を揺るがすような様々な課題を抱え,危機的な状況に直面しています。今こそ,「学校が良くなる,教育が変わる」ための改革を積極果敢に進め,教育の新生を図っていかなければなりません。
 教育新生に向けた抜本的な改革の推進に当たっては,緊急を要する事項に迅速に対応するとともに,様々な角度から検討を要する事項について速やかに検討を進め,具体的な方策を打ち出していく必要があります。
 このため,今回,新しい時代にふさわしい教育の実現のために不可欠な四つの事項について,中央教育審議会に検討をお願いすることとしました。
 なお,教育に対する国民の皆様の大きな期待に的確にこたえていくためには,スピーディーな改革の実行が不可欠と考えております。今回諮問させていただく事項につきましては,基本的に1年以内を目途に審議会としての御意見をお取りまとめいただきますようお願いいたします。
 以下,それぞれの項目について,若干敷衍(えん)して説明させていただきます。

1 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について

 第一に御検討いただきたいのは,学校の内外を通じて青少年の奉仕活動や様々な体験の機会を格段に充実するための方策についてであります。
 21世紀を生きる我々に求められるのは,地域において,また国際社会において,我々を取り巻く様々な課題に積極的に取り組み,世界や地域の発展に能動的に貢献していくことのできる自立した人間像であると考えます。青少年一人一人が,地域を愛し,国を愛し,世界をより良くしていこうとする豊かな心を持った人間に成長することは,我々の共通の願いであります。
 一方,現在の状況を見ると,少子化や都市化の進展,家庭や地域社会の「教育力」の著しい低下などを背景として,我が国の教育は様々な問題を抱えるに至っており,特に,子どもたちの精神的な自立の遅れや社会性の不足などが顕著となってきています。また,個人の尊重を過度に強調する余り「公」を軽視する傾向も広がっています。今後,「個」と「公」の関係をとらえ直し,個人が主体性を持って社会に参画する新しい「公」を創出する努力が社会全体に求められます。
 このような中で,青少年に,社会の構成員としての規範意識や,命を大切にし,他人を思いやる心など豊かな人間性をはぐくんでいくためには,社会奉仕体験活動など様々な体験を積み重ねることが重要であり,一人一人が,様々な体験の中で多くの人とかかわり,試行錯誤しながら社会のルールや自ら考え行動する習慣を身に付け,社会的自立や自我の確立に向けて成長していくことができる環境を整備していく必要があると考えております。
 様々な体験活動が青少年の成長にとって重要な役割を果たすことについては,これまでも中央教育審議会,生涯学習審議会等の答申や教育改革国民会議の報告等において御指摘いただいているところであります。文部科学省では,これらの御提言を踏まえ,小学校,中学校,高等学校等において社会奉仕体験活動,自然体験活動等の体験活動を充実することや,教育委員会の事務として青少年に対するこれらの体験活動の機会を提供する事業の実施を法律上明確に位置付けることなどを盛り込んだ,学校教育法及び社会教育法の改正を,今国会に提出いたしました。また,関連の予算措置についても充実を図るなど,青少年の様々な体験活動の振興のための諸施策に取り組んでいるところです。今後,これまでの取組を踏まえつつ,抜本的な充実に向けて,学校教育・社会教育を通じて総合的かつ組織的に取り組んでいく必要があると考えております。
 このため,小学校・中学校・高等学校の段階にある青少年の学校内外にわたる奉仕活動・体験活動の在り方や,その機会の提供のための方策,また,学校,地域,関係機関・団体の連携の在り方,指導者の確保の方策など,学校教育関係者・社会教育関係者をはじめとする幅広い関係者の連携・協力によって,青少年の奉仕活動・体験活動の推進体制を構築するための方策について,御審議をお願いしたいと思います。
 第二は,初等中等教育を修了した18歳以降の青年が,様々な分野において奉仕活動を行えるような社会的な仕組みづくりについてであります。教育改革国民会議の報告においては,将来的には,満18歳後の青年が一定期間,様々な分野において奉仕活動を行うことを検討すること,学校,大学,企業,地域団体などが協力してその実現のために,速やかに社会的な仕組みを作ることが提言されております。このような社会的な仕組みづくりに向けて,先に述べた初等中等教育段階までの学校内外における奉仕活動・体験活動の取組を踏まえつつ,その仕組みの在り方や奉仕活動の奨励・支援の方策,学校,地域,企業・団体等が果たすべき役割,その連携・協力の在り方等を含め,幅広く御検討いただきたいと思います。なお,その際,18歳以降の青年が社会の様々な分野において奉仕活動を行う機会が得られるよう奉仕活動の促進のための幾つかの活動のモデルをお示しいただくなど,可能な限り具体的な形で検討を進めていただければ幸いです。
 さらに,今後,社会全体としても,自立した個人が自由で自発的な活動を行い,社会に参画する中で,相互に支え合いながら新しい社会的な関係を築いていく気運を醸成することが重要と考えます。
 このためには,青少年に限らず広く社会人が,自ら蓄積してきた能力を活用して,奉仕活動等を行うことのできる環境を整備することが不可欠であり,関係府省等との連携方策も含め,その方策について幅広い観点から御検討いただきたいと考えております。

(2〜4  略)

 以上,御検討をお願いしたい点について申し上げました。会長,副会長をはじめ,委員の皆様におかれては,幅広い観点から十分な御審議をいただき,新しい時代にふさわしい教育の実現に向けた御提言をいただきますようお願い申し上げます。

◇審議経過◇

総会

第4回 平成13年4月11日(水曜日)
・ 「青少年の奉仕活動・体験活動の促進方策等について」諮問

第8回 平成13年7月23日(月曜日)
・ 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について自由討議

第17回 平成14年3月26日(火曜日)
・ 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等(中間報告案)について討議

第18回 平成14年4月18日(木曜日)
・ 「中間報告」を文部科学大臣に提出

第22回 平成14年7月18日(木曜日)
・ 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等(答申案)について討議

第23回 平成14年7月29日(月曜日)
・ 「答申」を文部科学大臣に提出

生涯学習分科会

第2回 平成13年5月24日(木曜日)
・ 自由討議(今後の検討の方向について)

第3回 平成13年6月11日(月曜日)
・ ヒアリング(兵庫県教育委員会義務教育課主幹  重松司郎氏,富山県教育委員会主任指導主事  杉森貢氏)
・ 自由討議(初等中等教育段階までの青少年について)

第4回 平成13年6月18日(月曜日)
・ ヒアリング(埼玉県さいたま市立大宮小学校長  船越忠男氏,千葉県佐倉市立根郷中学校長  ?井仁氏他,神奈川県立高浜高等学校長  伊藤伸子氏他)
・ 自由討議(初等中等教育段階までの青少年について)

第5回 平成13年6月27日(水曜日)
・ ヒアリング(山形県教育庁社会教育課長  堀米幹夫氏,財団法人ボーイスカウト日本連盟理事  杉原正氏,長崎県国見町社会福祉協議会福祉活動専門員  松井喜八郎氏)
・ 自由討議(初等中等教育段階までの青少年について)

第6回 平成13年7月6日(金曜日)
・ 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等(主な意見の整理)(たたき台)について討議

第7回 平成13年7月13日(金曜日)
・ 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等(主な意見の整理)(たたき台)について討議

第8回 平成13年9月10日(月曜日)
・ 自由討議(18歳以降の青年について)

第9回 平成13年9月19日(水曜日)
・ ヒアリング(国際協力事業団青年海外協力隊事務局長  金子洋三氏,財団法人さわやか福祉財団組織づくり支援グループ地域助け合い普及事業リーダー  石井利枝氏,祐成臨時委員,神奈川県民活動サポートセンター所長  引地孝一氏)
・ 自由討議(18歳以降の青年について)

第10回 平成13年10月3日(水曜日)
・ ヒアリング(特定非営利活動法人NPOサポートセンター理事長  山岸秀雄氏,和田臨時委員,島田臨時委員)
・ 自由討議(18歳以降の青年について)

第11回 平成13年10月22日(月曜日)
・ ヒアリング(慶応義塾幼稚舎長  金子郁容氏,国際基督教大学教授  田坂興亜氏,株式会社日本総合研究所主任研究員  矢ケ崎紀子氏,常磐大学教授  吉永宏氏)
・ 自由討議(18歳以降の青年について)

第12回 平成13年10月31日(水曜日)
・ 自由討議(18歳以降の青年について)
 第1回ワーキング・グループ    平成13年11月6日(火曜日)
 ・ 中間報告構成案について討議
 第2回ワーキング・グループ    平成13年11月21日(水曜日)
 ・ 中間報告構成案・中間報告骨子素案について討議
 第3回ワーキング・グループ    平成13年12月11日(火曜日)
 ・ 中間報告骨子素案について討議

第13回 平成13年12月17日(月曜日)
・ 中間報告ワーキンググループ骨子素案について討議
 第4回ワーキング・グループ    平成14年1月24日(木曜日)
 ・ 中間報告ワーキンググループ素案について討議
 第5回ワーキング・グループ    平成14年2月7日(木曜日)
 ・ 中間報告ワーキンググループ素案について討議

第14回 平成14年2月19日(火曜日)
・ 中間報告ワーキンググループ素案について討議

第15回 平成14年3月15日(金曜日)
・ 「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」中間報告案について討議

第16回 平成14年6月4日(火曜日)
・ 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等(答申案)について討議

第17回 平成14年7月4日(木曜日)
・ 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等(答申案)について討議

◇第1期中央教育審議会委員◇

平成13年1月31日発令
※は平成14年5月27日発令

会長 鳥居 泰彦 慶應義塾学事顧問,日本私立学校振興・共済事業団理事長
副会長 木村 孟 大学評価・学位授与機構長
副会長 茂木 友三郎 キッコーマン株式会社代表取締役社長
浅見 俊雄 日本体育・学校健康センター国立スポーツ科学センター長
荒木 喜久子 新宿区立津久戸小学校長
石倉 洋子 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授
今井 佐知子 社団法人日本PTA全国協議会顧問
内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社常務取締役
江上 節子 東日本旅客鉄道株式会社フロンティアサービス研究所長
奥島 孝康 早稲田大学総長
梶田 叡一 京都ノートルダム女子大学長
岸本 忠三 大阪大学長
國分 正明 日本芸術文化振興会理事長
佐藤 幸治 近畿大学法学部教授,京都大学名誉教授
髙木 剛 ゼンセン同盟会長
髙倉 翔 明海大学長
田村 哲夫 学校法人渋谷教育学園理事長,渋谷幕張中学・高等学校長
千田 捷熙 東京都立両国高等学校長
寺島 実郎 株式会社三井物産戦略研究所取締役所長,
財団法人日本総合研究所理事長
渡久山 長輝 財団法人全国退職教職員生きがい支援協会理事長 ※
永井 多惠子 世田谷文化生活情報センター館長
中嶋 嶺雄 アジア太平洋大学交流機構(UMAP)国際事務総長,
北九州市立大学大学院教授
中村 桂子 JT生命誌研究館長
増田 明美 スポーツジャーナリスト,スポーツライター
松下 倶子 独立行政法人国立少年自然の家理事長
森隆 夫 お茶の水女子大学名誉教授
山下 泰裕 東海大学体育学部教授
山本 恒夫 大学評価・学位授与機構評価研究部教授
横山 洋吉 東京都教育委員会教育長
吉川 弘之 独立行政法人産業技術総合研究所理事長

平成14年7月現在

◇第1期中央教育審議会生涯学習分科会委員・臨時委員◇

委員:平成13年1月31日発令
臨時委員:平成13年5月14日発令

分科会長 山本 恒夫 大学評価・学位授与機構評価研究部教授
副分科会長 今井 佐知子 社団法人日本PTA全国協議会顧問
委 員 内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社常務取締役
江上 節子 東日本旅客鉄道株式会社フロンティアサービス研究所長
岸本 忠三 大阪大学長
髙木 剛 ゼンセン同盟会長
寺島 実郎 株式会社三井物産戦略研究所取締役所長,
財団法人日本総合研究所理事長
中嶋 嶺雄 アジア太平洋大学交流機構(UMAP)国際事務総長,
北九州市立大学大学院教授
増田 明美 スポーツジャーナリスト,スポーツライター
松下 倶子 独立行政法人国立少年自然の家理事長
横山 洋吉 東京都教育委員会教育長
臨時委員 鎌谷 秀男 全国専修学校各種学校総連合会会長
島田 京子 日産自動車株式会社グローバル広報・IR部コミュニティリレーションズ担当部長
榛村 純一 掛川市長
祐成 善次 社団法人日本青年奉仕協会常務理事
千葉 紘子 歌手
中原 美惠 千葉工業大学情報科学部助教授
稗田 慶子 福岡県副知事
福内 浩明 社団法人日本青年会議所前副会頭
藤田 晃 神戸市立青少年補導センター主任指導員
吉野 貴美子 社団法人青少年育成国民会議事務局長
和田 敏明 社会福祉法人全国社会福祉協議会事務局長

平成14年7月現在

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成21年以前 --