ここからサイトの主なメニューです

初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について(答申)

平成15年10月7日
中央教育審議会

初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について
(答申の概要)

前文

  •   中央教育審議会は,平成15年5月の「今後の初等中等教育の推進方策について」包括的な諮問を受け,諮問理由説明で挙げられた以下の当面の具体的な検討課題について審議。
    • 1  学習指導要領の「基準性」の一層の明確化
    • 2  必要な学習指導時間の確保
    • 3  「総合的な学習の時間」の一層の充実
    • 4  「個に応じた指導」の一層の充実
    • 5  全国的かつ総合的な学力調査の今後の在り方やその結果の活用
  •   子どもたちに基礎・基本を徹底し,[生きる力]をはぐくむことを基本的なねらいとする新学習指導要領の更なる定着を進め,そのねらいの一層の実現を引き続き図ることが必要。

1  新学習指導要領や学力についての基本的な考え方等

  •   新学習指導要領の基本的なねらいは[生きる力]の育成。各学校では,家庭,地域社会との連携の下,[生きる力]を知の側面からとらえた[確かな学力]育成のための取組の充実が必要。
  •   「総合的な学習の時間」等を通じて学びへの動機付けを図るとともに,子どもの実態や指導内容等に応じて「個に応じた指導」を柔軟かつ多様に導入することなどの工夫による「わかる授業」を行い,子どもたちの学習意欲を高めることがとりわけ重要。
  •   全国的・地域的な調査により,[確かな学力]の総合的な状況を把握し,各学校における指導の充実・改善や教育課程の基準の不断の見直しが必要。
  • ※  [確かな学力]とは,知識や技能に加え,思考力・判断力・表現力などまでを含むもので,学ぶ意欲を重視した,これからの子どもたちに求められる学力
確かな学力

2  新学習指導要領のねらいの一層の実現を図るための具体的な課題等

  •   新学習指導要領のねらいの一層の実現を図り,[生きる力],[確かな学力]を育成するためには,各学校及び各教育委員会が,以下の当面の充実・改善方策に早急に取り組み,来年度からの教育課程及び指導に反映させることが必要。
      また,家庭・地域社会や教育委員会・国はそれぞれの立場から,学校の取組への支援を積極的に行うことが必要である。

(1)学習指導要領の「基準性」の一層の明確化

  •   個性を生かす教育の取組が多くなされる一方で,学習指導要領の「基準性」や[はどめ規定]の趣旨についての周知が不十分であるため,学習指導要領の内容の定着が不十分で,学習指導要領に示されていない内容の指導に消極的など適切な指導がなされていないところも見受けられる状況。
  • ※  本答申における学習指導要領の「基準性」とは,明示されている共通に指導すべき内容を確実に指導した上で,子どもの実態を踏まえ,明示されていない内容を加えて指導することも可能という性格を言う。
矢印
  •   学習指導要領の「基準性」に関する記述及び[はどめ規定]等の記述を見直し,学習指導要領の「基準性」を一層明確に示すことにより,子どもたちに学習指導要領に示されている基礎的・基本的な内容を確実に定着し,子どもの実態を踏まえ,学習指導要領に示していない内容も必要に応じ指導するなど,個性を生かし,創意工夫あふれる教育を一層充実。

(2)教育課程を適切に実施するために必要な指導時間の確保

  •   各教科等に必要な指導時間が確保されなかったり,学校行事の時間が過度に削減されたりしている事例も。
  •   年間授業時数の「標準」時数を形式的に確保するのだけではなく,指導方法・指導体制の質的な改善を図りつつ,指導に必要な時間を実質的に確保することが課題。
矢印
  •   授業時数の実績管理や学習状況の把握などの自己評価,改善の実施,保護者や地域住民等へ計画や実施状況を積極的に公表し,説明責任を履行。
  •   各学校では,実態に応じ,工夫(週時程・時間割や短縮授業の見直しなど)を行った教育課程を編成。長期休業日の増減や二学期制等の工夫については,各教育委員会が教育的効果等を勘案して判断。

(3)「総合的な学習の時間」の一層の充実

  •   「総合的な学習の時間」の趣旨に即した創意工夫あふれる取組が増加。一方で,「目標」や「内容」が明確でなく検証・評価が不十分な実態や,教員の必要かつ適切な指導を欠き,教育的な効果が十分上がっていない取組も。
  • ※  「総合的な学習の時間」は,横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うことにより,学び方やものの考え方の習得,主体的な問題解決等への態度の育成,生き方についての自覚の深化等を目指すことにより[生きる力]をはぐくむこと,をその趣旨及びねらいとしている。
矢印
  •   学習指導要領の記述を見直し,その趣旨を一層明確化。各教科等の学習内容との相互の関連や計画的な指導,学年間・学校間・学校段階間の連携等を明示。
  •   各学年の「目標」・「内容」を含めて「学校としての全体計画」を作成し,指導の在り方等についての自己評価の実施等により,取組内容を不断に検証。公民館・図書館・博物館・社会教育関係団体等との連携・協力や,地域の施設や経験豊かな人材など多様な教育資源を把握し,活用。

(4)「個に応じた指導」の一層の充実

  •   「学習内容の習熟の程度に応じた指導」の取組が進み,「補充的な学習」,「発展的な学習」を多くの小・中学校で実施し,効果を上げている状況。
  •   一方で,小学校で「学習内容の習熟の程度に応じた指導」が,小・中学校で「補充的な学習」・「発展的な学習」が学習指導要領に例示されていないなどのために消極的な取組も。
矢印
  •   学習指導要領の記述を見直し,小学校における「学習内容の習熟の程度に応じた指導」及び小・中学校の「補充的な学習」・「発展的な学習」を個に応じた指導の例示として追加することにより,子どもの実態や指導の場面に応じて効果的な指導方法を柔軟かつ多様に導入。

(5)教育課程及び指導の充実・改善のための教育環境の整備等

【各学校の取組に対する各教育委員会及び国による支援等】
  •   各教育委員会等は,カリキュラムづくり支援(収集・蓄積・情報提供等)のためのセンター的機能の充実についての検討,創意工夫に満ちた特色ある教育課程(特に「総合的な学習の時間」の教育課程)の編成・実施,評価等についての実践的な研修を実施。
  •   国は,特色ある教育課程の編成・実施や教育委員会の取組の事例集の作成,実践研究や評価の研究を実施。
【保護者や地域住民等の連携・協力】
  •   保護者や地域住民等は,学校の取組に積極的にかかわり,学校・家庭・地域間の分担と協力により子どもを教育していくという視点を。
  •   各学校は,評価結果の公表,学校公開等の推進,保護者や地域住民等への説明・協力への呼びかけを一層充実。保護者や地域の関係者の学校運営への協力や外部評価の実施も。
  •   各教育委員会は,学校・家庭・地域の連携推進など教育ネットワークづくりの中心的な役割を。国は,これからの教育の在り方についての国民意識を醸成,保護者や地域の関係者等が学校運営に参画する仕組みを引き続き研究。
【新学習指導要領のねらいについての継続的かつ積極的な周知等】
  •   国や各教育委員会は,特に校長や教員等に対し,新学習指導要領のねらいを継続的かつ積極的に周知。保護者や国民一般に対しても正確に理解されるよう,国及び各教育委員会,各学校で分かりやすく周知。
  •   一方,国は新学習指導要領に対する受け止めに広く耳を傾け,不断の見直しを。

終わりに

  •   各学校及び各教育委員会等が当面の充実・改善方策等に取り組む上で重要なことは,以下のとおりであり,校長のリーダーシップの下に全教職員が一致協力し,また,各教育委員会,国の積極的な支援とがあいまって,新学習指導要領の基本的なねらいの定着とその一層の実現を期待。
  • 1  学習指導要領に示された共通に指導すべき基礎的・基本的な学習内容の確実な定着
  • 2  学校の裁量による,地域や児童生徒の実態を踏まえた特色ある教育への取組
  • 3  各学校における創意工夫を存分に生かした指導方法等への取組
  • 4  各教育委員会における地域の実態を踏まえた地域にふさわしい取組
  • 5  各学校及び各教育委員会が取組の成果を評価・検証し,改善を進めること

初等中等教育における
当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について
(答申)

平成15年10月7日
中央教育審議会


初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について
(答申)

(目次)

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --