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文部科学大臣諮問理由説明

13文科生第22号
 
中央教育審議会


(理由)

1  青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について

  近年,我が国の教育は,いじめ,校内暴力,学級崩壊,凶悪な青少年犯罪の続発などの深刻な問題に直面している。これらの問題の背景には,様々な要因が考えられるが,その一つとして,異世代・同世代を含めた人間関係が希薄化し,人とのコミュニケーションの仕方や集団の中での行動規範などを十分に身に付けないまま成長してしまう青少年が増えつつあること,また,青少年が心からの達成感や成就感を味わう体験をする機会が乏しくなっていることなどがあると思われる。
  このような中で,一人一人に,社会の構成員としての規範意識や,命を大切にし,他人を思いやる心など豊かな人間性をはぐくんでいくためには,青少年が,その成長段階等に応じ,様々な奉仕活動・体験活動を行うことが大きな意義を持つものと考える。このため,小学校・中学校・高等学校の段階にある青少年の,学校の内外を通じた様々な奉仕活動・体験活動の機会が格段に充実されるよう,組織的な推進体制の整備を含め,総合的な方策を検討する必要がある。
  また,初等中等教育段階におけるこれらの取組を踏まえつつ,初等中等教育を修了した18歳以降の青年が様々な分野において奉仕活動を行えるような社会的な仕組みづくりについても検討を行う必要がある。
  あわせて,社会全体としても,青少年に限らず広く社会人が,生涯にわたり自ら蓄積してきた能力を活用して奉仕活動等を行うことができるよう,その環境づくりに向けた方策を検討する必要がある。

理由説明

2  今後の教員免許制度の在り方について

  初等中等教育は,共通に身に付けるべき基礎・基本を習得させた上で,一人一人に各自の興味・関心,能力・適性,進路等に応じて選択した分野の基礎的能力を習得させるという役割を負っている。今日,子どもの心身の発達の早まりと自立の遅れ,進学率の上昇など,子どもと社会の状況の様々な変化に対応しつつ,初等中等教育がその役割を十分に果たしていくためには,幼児期から高等学校段階までを一貫したものととらえ,各学校段階間の連携を一層強化することが必要である。一方,現在の教員免許状は学校種ごとに分かれているが,以上のような各学校段階・学校種間の連携の強化に対応するためには,直接幼児児童生徒の指導に当たる教員が,1学校種のみならず隣接する学校種においても教授できる資質能力を身に付けることが必要となる。このため,教員免許状を学校種を越えて総合化・弾力化することについて検討する必要がある。
  また,教育改革国民会議の報告においては,教師の意欲や努力が報われ評価される体制を作る観点から,教員免許更新制の可能性の検討が提言されている。教員としての適格性の確保又は専門性の向上という観点から,免許更新制を実施した場合の効果と問題点等を明らかにしつつ,免許更新制を導入することの可能性について検討することが必要である。
  なお,上記のほか,教科に関する優れた知識・技能等を有する社会人に対して授与される「特別免許状制度」については,制度の定着が必ずしも十分ではない状況にあり,その一層の活用の促進が大きな課題となっている。
  以上のことを踏まえ,今後の教員免許制度の在り方について,総合的な検討を行う必要がある。

理由説明

3  今後の高等教育改革の推進方策について

  21世紀を迎え,社会・経済・文化におけるグローバル化がますます拡大する中,我が国の大学等には,国際的な競争環境下で,その知的活動によって社会をリードし社会の発展を支えていくため,質の高い教育を提供し世界のあらゆる分野で活躍し得る人材を育成するとともに,先端的・独創的な研究成果を積極的に発信することを通じて世界の発展に寄与し,知的国際貢献を果たしていくことが強く期待されている。
  我が国の高等教育機関がこのような期待に確実にこたえていくためには,教育研究における国際競争力の更なる強化を図ることが不可欠であり,高等教育機関全体として,世界最高水準のものとなるよう,不断の改革を推進していくことが重要である。
  このような観点から,大学等が一層主体的・機動的に,質の高い教育研究活動を展開していくことができるようにすることを目的として,人材養成に関する社会の多様な要請や生涯学習需要の増大,18歳人口の減少の動向等を踏まえつつ, 短期大学,高等専門学校から大学院までの高等教育制度全体の在り方, 大学等の設置認可の望ましい在り方と今後の高等教育の全体規模, 職業資格との関連も視野に入れた新しい形態の大学院等の整備の在り方等,今後の高等教育の具体的な改革方策について,制度改正も含め,逐次検討していく必要がある。

理由説明

4  子どもの体力向上のための総合的な方策について

  我々を取り巻く社会環境,生活様式の変化は,運動の機会の減少や生活習慣の変化などを招き,子どもたちの心身の発達に様々な影響を与えてきており,特に,子どもの体力・運動能力は長期的に低下傾向にある。今後,更なる社会変化の進行が予想される中,個々人が生涯にわたって充実した生活を送り,明るく活力のある社会を形成していくに当たり,次代を担う子どもたちの生きる基礎となる体力が低下傾向にあることは極めて憂慮すべきことである。
  このような状況に適切に対応するため,昨年9月に策定されたスポーツ振興基本計画に基づき,子どもの体力向上の観点も踏まえ,スポーツ振興のため総合的な施策を推進しているところであるが,子どもたちの体力・運動能力の向上のためには,乳幼児期から青年期にわたって,スポーツのみならず,自然体験活動,屋外での遊びを含めた広い意味での運動,食生活,休養など日常の生活習慣全体を視野に入れた総合的な取組が求められている。その際,学校,家庭,地域社会などの役割を明確にするとともに,それぞれの取組を効果的にするために,相互の連携が不可欠である。
  以上のことから,子どもの体力向上のための総合的方策について検討を行う必要がある。

理由説明


文部科学大臣諮問理由説明

平成13年4月11日

  本日は,御多忙のところ,御出席をいただきましてありがとうございます。
  今回,初代文部科学大臣として,新しく再編された中央教育審議会に最初の諮問をさせていただくことを大変光栄に思っております。

  我々が第一歩を踏み出した21世紀は,社会経済や科学技術が急速に発展する激動の時代になることが予想されています。このような中で,我が国が主体性を持って国際社会に貢献し,世界から尊敬される「心の豊かな美しい国家」の実現を目指していくためには,あらゆる社会システムの基盤である教育の改革を国の最重要課題として位置付け,取組を進めていくことが何よりも重要であります。
  とりわけ,我が国の教育は,第二次大戦後,機会均等の理念を達成し,国民の教育水準を高め,社会経済の発展の原動力となってきましたが,現在の教育の状況に目を向けると,国民や社会の教育に対する信頼を揺るがすような様々な課題を抱え,危機的な状況に直面しています。今こそ,「学校が良くなる,教育が変わる」ための改革を積極果敢に進め,教育の新生を図っていかなければなりません。
  教育新生に向けた抜本的な改革の推進に当たっては,緊急を要する事項に迅速に対応するとともに,様々な角度から検討を要する事項について速やかに検討を進め,具体的な方策を打ち出していく必要があります。
  このため,今回,新しい時代にふさわしい教育の実現のために不可欠な四つの事項について,中央教育審議会に検討をお願いすることとしました。
  なお,教育に対する国民の皆様の大きな期待に的確にこたえていくためには,スピーディーな改革の実行が不可欠と考えております。今回諮問させていただく事項につきましては,基本的に1年以内を目途に審議会としての御意見をお取りまとめいただきますようお願いいたします。
  以下,それぞれの項目について,若干 敷衍 ふえん して説明させていただきます。

1  青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について

  第一に御検討いただきたいのは,学校の内外を通じて青少年の奉仕活動や様々な体験の機会を格段に充実するための方策についてであります。
  21世紀を生きる我々に求められるのは,地域において,また国際社会において,我々を取り巻く様々な課題に積極的に取り組み,世界や地域の発展に能動的に貢献していくことのできる自立した人間像であると考えます。青少年一人一人が,地域を愛し,国を愛し,世界をより良くしていこうとする豊かな心を持った人間に成長することは,我々の共通の願いであります。
  一方,現在の状況を見ると,少子化や都市化の進展,家庭や地域社会の「教育力」の著しい低下などを背景として,我が国の教育は様々な問題を抱えるに至っており,特に,子どもたちの精神的な自立の遅れや社会性の不足などが顕著となってきています。また,個人の尊重を過度に強調する余り「公」を軽視する傾向も広がっています。今後,「個」と「公」の関係をとらえ直し,個人が主体性を持って社会に参画する新しい「公」を創出する努力が社会全体に求められます。
  このような中で,青少年に,社会の構成員としての規範意識や,命を大切にし,他人を思いやる心など豊かな人間性をはぐくんでいくためには,社会奉仕体験活動など様々な体験を積み重ねることが重要であり,一人一人が,様々な体験の中で多くの人とかかわり,試行錯誤しながら社会のルールや自ら考え行動する習慣を身に付け,社会的自立や自我の確立に向けて成長していくことができる環境を整備していく必要があると考えております。
  様々な体験活動が青少年の成長にとって重要な役割を果たすことについては,これまでも中央教育審議会,生涯学習審議会等の答申や教育改革国民会議の報告等において御指摘いただいているところであります。文部科学省では,これらの御提言を踏まえ,小学校,中学校,高等学校等において社会奉仕体験活動,自然体験活動等の体験活動を充実することや,教育委員会の事務として青少年に対するこれらの体験活動の機会を提供する事業の実施を法律上明確に位置付けることなどを盛り込んだ,学校教育法及び社会教育法の改正を,今国会に提出いたしました。また,関連の予算措置についても充実を図るなど,青少年の様々な体験活動の振興のための諸施策に取り組んでいるところです。今後,これまでの取組を踏まえつつ,抜本的な充実に向けて,学校教育・社会教育を通じて総合的かつ組織的に取り組んでいく必要があると考えております。
  このため,小学校・中学校・高等学校の段階にある青少年の学校内外にわたる奉仕活動・体験活動の在り方や,その機会の提供のための方策,また,学校,地域,関係機関・団体の連携の在り方,指導者の確保の方策など,学校教育関係者・社会教育関係者をはじめとする幅広い関係者の連携・協力によって,青少年の奉仕活動・体験活動の推進体制を構築するための方策について,御審議をお願いしたいと思います。
  第二は,初等中等教育を修了した18歳以降の青年が,様々な分野において奉仕活動を行えるような社会的な仕組みづくりについてであります。教育改革国民会議の報告においては,将来的には,満18歳後の青年が一定期間,様々な分野において奉仕活動を行うことを検討すること,学校,大学,企業,地域団体などが協力してその実現のために,速やかに社会的な仕組みを作ることが提言されております。このような社会的な仕組みづくりに向けて,先に述べた初等中等教育段階までの学校内外における奉仕活動・体験活動の取組を踏まえつつ,その仕組みの在り方や奉仕活動の奨励・支援の方策,学校,地域,企業・団体等が果たすべき役割,その連携・協力の在り方等を含め,幅広く御検討いただきたいと思います。なお,その際,18歳以降の青年が社会の様々な分野において奉仕活動を行う機会が得られるよう奉仕活動の促進のための幾つかの活動のモデルをお示しいただくなど,可能な限り具体的な形で検討を進めていただければ幸いです。
  さらに,今後,社会全体としても,自立した個人が自由で自発的な活動を行い,社会に参画する中で,相互に支え合いながら新しい社会的な関係を築いていく気運を醸成することが重要と考えます。
  このためには,青少年に限らず広く社会人が,自ら蓄積してきた能力を活用して,奉仕活動等を行うことのできる環境を整備することが不可欠であり,関係府省等との連携方策も含め,その方策について幅広い観点から御検討いただきたいと考えております。

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2  今後の教員免許制度の在り方について

  初等中等教育は,幼児児童生徒が,人間として,また,家族の一員,社会の一員として,さらには国民の一人として共通に身に付けるべき基礎・基本を習得した上で,各自の興味・関心,能力・適性,進路等に応じて選択した分野の基礎的能力を習得し,その後の学習や職業・社会生活の基盤を形成することをその役割としております。初等中等教育がその役割を十分に果たし,国民の期待にこたえていくためには,幼児児童生徒の指導に直接携わる教員の資質の向上が不可欠であります。これまでも,養成・採用・研修の各段階を通じた教員の資質向上については,教育職員養成審議会の1次から3次にわたる答申に沿って具体の取組を推進してきたところでありますが,今後,各学校段階間の連携の一層の強化を図り,教員の資質向上に向けた取組を更に充実していくためには,特に教員免許制度の在り方の改善に向けて総合的な検討を行う必要があると考えます。
  第一は,学校種を越えて教員免許制度を総合化・弾力化することについてであります。今後の初等中等教育については,子どもの身体や精神の発達に早まりが見られる一方で,生活の自立や進路選択の意識の面では自立が遅れる傾向があること,高等学校への進学率が97%に達するなど後期中等教育が広く普及したことなど,子どもと社会の状況の様々な変化を踏まえ,幼児期から高等学校段階までを一貫したものととらえ,各学校段階間の連携を一層強化することが求められています。
  例えば,幼稚園と小学校低学年の教育課程を比べると,集団生活や具体的・体験的な活動を通じて総合的に学習を行う段階として共通性を有しています。小学校と中学校の連携・接続については,心身の発達に応じて一貫性のある継続的な指導を行う必要が指摘されています。特に,小学校高学年は,各自の個性が現れ,興味・関心が分かれる時期であり,専科指導の充実も含めた指導方法の多様性が求められています。中学校と高等学校の連携・接続については,事実上全員入学に近づいた高等学校進学率を背景として,カリキュラムや生徒指導に一貫性を持たせる必要性が従来から指摘されており,平成11年度からは中等教育学校など中高一貫教育を実施するための制度が導入されたところです。特殊教育については,児童生徒等の障害の重度・重複化や多様化が進む中で,盲・聾(ろう)・養護学校の学校種を越えた対応が求められています。
  現在の教員免許状は学校種ごとに分かれていますが,このような各学校段階・学校種間の連携の強化に対応するためには,直接,幼児児童生徒の指導に当たる教員が,1学校種のみならず隣接する学校種においても教授できる資質能力を身に付けることが必要となります。このような要請にこたえるため,教員免許制度を学校種を越えて総合化・弾力化すること等について御審議いただきたいと思います。
  第二は,教員免許更新制の可能性の検討についてであります。教育改革国民会議の報告においては,教師の意欲や努力が報われ評価される体制を作る観点から,教員免許更新制の可能性の検討が提言されています。教員としての適格性の確保又は専門性の向上という観点から,免許更新制を実施した場合の効果と問題点等を明らかにしつつ,免許更新制を導入することの可能性について,教員の養成,研修等の在り方との関係も踏まえ,幅広く御検討をお願いしたいと思います。
  なお,上記のほか,教科に関する優れた知識・技能等を有する社会人に対して授与される「特別免許状制度」については,制度の定着が必ずしも十分ではない状況もあることから,今後,学校教育への社会人教員の登用を一層促進する観点からも,制度面を含め,その活用方策について御検討をいただきたいと思います。

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3  今後の高等教育改革の推進方策について

  21世紀を迎え,社会・経済・文化におけるグローバル化はますます拡大しており,国際的な競争環境の下で,我が国の大学等には,その知的活動によって社会をリードし社会の発展を支えていくという役割を十分に果たすことが期待されています。
  昨年11月の大学審議会答申「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」においては,このような状況を踏まえ,我が国の高等教育機関は,「高等教育制度及び教育研究水準の両面にわたって,国際的な通用性・共通性の向上と国際競争力の強化を目指した改革を進めることが求められる。」との指摘がなされ,様々な改革方策が提言されるとともに,更に検討を要する事項については,引き続き審議を行っていくこととされました。
  今後,人材養成に関する社会の多様な要請や人々の生涯にわたる学習需要の増大,また,今後更に減少することが予想される18歳人口の動向などを踏まえつつ,我が国の高等教育の国際競争力の更なる強化を図るため,制度改正をも含め,高等教育改革の推進方策について御検討いただきたく,次の事項について御審議をお願いしたいと考えております。
  まず第一は,短期大学・高等専門学校から大学院までの高等教育制度全体の在り方についてであります。
  高等教育制度については,大学審議会答申において,引き続き検討が必要とされている課題もあり,例えば, 学部と大学院の役割とそれを踏まえた学部の修業年限等の在り方, 正規の学生としてパートタイムで学びながら卒業を目指す新しいタイプの学生の受入れの在り方, 専門学校を含め高等教育機関全体における専門職業教育の在り方を視野に入れた短期大学及び高等専門学校等の位置付け, 助教授・助手の位置付けをはじめ教育研究の活性化に資する教員組織の在り方など,今後の高等教育制度の改善方策について幅広く御検討いただきたいと考えております。
  第二は,大学等の設置認可の望ましい在り方と今後の高等教育の全体規模についてであります。
  大学等の設置認可については,これまでも,審査期間の短縮化,申請時期の複数回化及び申請書類の簡素化などを図ってきているところであります。今後更に,大学等の教育研究水準の維持向上を図りつつ,社会の変化や学問の進展に的確に対応し,大学等の主体的・機動的対応をより一層可能とする観点から,設置認可の望ましい在り方について,大学評価の充実及びその推進方策の在り方をも視野に入れつつ,幅広く御検討いただきたいと考えております。
  また,高等教育の全体規模の在り方については,現在,平成9年の大学審議会答申で示された平成16年度までの考え方に基づき,特に必要と認められる場合を除き,抑制的に対応しているところでありますが,18歳人口の減少や国際化・情報化の一層の進展,地域の均衡に配慮した配置や専門分野構成などを考慮しながら,平成17年度以降における在り方について御検討いただきたいと考えております。
  第三は,職業資格との関連も視野に入れた新しい形態の大学院等の整備の在り方についてであります。
  高度専門職業人の養成を目的とする大学院に関しては,平成11年に専門大学院制度を創設し,その整備を進めているところであります。一方,現在,司法制度改革審議会においては,新しい法曹養成制度の中核を成すものとして「法科大学院」(仮称)の創設が検討されており,本年6月ごろに結論を得ることが予定されております。その審議の動向にも留意しながら,職業資格との関連も視野に入れた新しい形態の大学院や学位の在り方,さらには大学院と学部との役割分担などについて御検討いただきたいと考えております。
  以上,今後の御審議に当たり,当面御検討をお願いしたい事項について申し上げましたが,これらにとどまらず,我が国の高等教育が目指すべき方向とそれを実現するための具体的方策について,幅広い視野の下に 忌憚 きたん のない御意見をちょうだいしたいと思います。
  なお,このように,高等教育改革の諸課題は広範多岐にわたることから,審議会におかれましては,審議の区切りがついた事項から逐次答申していただくようお願いいたします。

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4  子どもの体力向上のための総合的な方策について

  今日,我が国は,経済や科学技術の著しい発展を遂げ,生活が豊かで便利になり,都市化や少子・高齢化が進むなどにより社会環境や人々の生活様式が大きく変化しています。
  これら社会環境や生活様式の変化の中で,近年子どもの体力は長期的に低下傾向にあります。そもそも国民一人一人の体力は,個々人が生涯にわたって充実した生活を送り,明るく活力のある社会を維持形成していく基礎となるものでありますが,将来を担う子どもたちの体力が低下していることは極めて憂慮すべきことであります。
  子どもの体力の低下は様々な要因が絡み合って生じているものと考えられますが,その要因として,経済的繁栄や科学技術の進歩により,交通手段や身の回りの機器が発達するとともに,家庭生活が変化し,かつ,少子化による遊び相手の減少などにより,日常生活において体を動かす機会が減少していること,さらに,現代社会における大人のライフスタイルが子どもに反映され,食事,睡眠などの基本的生活習慣が乱れてきていることなどが指摘されております。
  このような状況を踏まえ,次代を担う子どもたちの体力の向上のために講ずべき方策について,学校,家庭,地域社会が取り組むべき課題を明らかにしつつ,子どもの生活全体を見据え,御審議いただきたいと思います。
  第一は,スポーツ,外遊び,自然体験活動等子どもがより一層体を動かし,運動に親しむようになるための方策に関してであります。
  子どもたちを取り巻く状況を見ますと,科学技術の進歩により日常生活の様々な場面において体を動かす機会が減少しているだけではなく,野外で自然と触れ合いながら自由に遊ぶ機会が減少し,少人数でのテレビの視聴や,コンピュータ・ゲーム等の室内での遊びに費やす時間が増えたことにより,子どもたちの運動量は昔に比べ減少してきております。
  このような状況を踏まえ,子どもたちが日常的に運動に親しむことができる環境を作っていくことが求められています。このため,どのような取組を進めていくべきかについて具体的に御検討願います。
  第二は,子どもの体力向上のための望ましい生活習慣を確立するための方策に関してであります。子どもたちの生活習慣は社会状況によって大きな影響を受けております。例えば,家庭内で家事を手伝うことによって体を動かすことが減少したり,夜型社会と言われる現代の大人のライフスタイルを反映し,睡眠不足に陥ったり,朝食を食べない子どもが増加したりするなど,生活習慣や食生活の乱れ,偏った栄養摂取等の問題が指摘されています。また,生活が不規則なため,ストレス,疲労を感じる子どもが増加しているという指摘もあります。
  このようなことから,望ましい生活習慣を確立し,子どもたちの体力を向上させるため,どのように取り組んでいくべきか御議論いただきたいと思います。
  子どもの体力を向上させるための要素は,スポーツなどの運動から食生活,休養まで広く子どもの生活全体にわたっています。したがって,学校,家庭,地域社会などがそれぞれ取組を進めるのはもとより,相互に連携を図っていくことが不可欠であります。このため,具体的な取組の検討に当たっては,学校,家庭,地域社会の連携方策についても御議論いただきたいと思います。

  以上,御検討をお願いしたい点について申し上げました。会長,副会長をはじめ,委員の皆様におかれては,幅広い観点から十分な御審議をいただき,新しい時代にふさわしい教育の実現に向けた御提言をいただきますようお願い申し上げます。

-- 登録:平成21年以前 --