中央教育審議会(第132回) 議事録

1.日時

令和4年12月19日(月曜日)16時00分~17時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議

3.議題

  1. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について(答申案)
  2. 送迎用バスの安全対策

4.出席者

委員

渡邉 光一郎会長、荒瀬委員、井坂委員、今村委員、越智委員、加治佐委員、清原委員、熊平委員、後藤委員、小林いずみ委員、小林真由美委員、貞広委員、清水敬介委員、清水信一委員、竹中委員、永田委員、中野委員、萩原委員、浜委員、堀田委員、湊委員、村田委員、吉岡委員、吉田委員、渡辺弘司委員、渡邉正樹委員

文部科学省

永岡文部科学大臣、伊藤文部科学大臣政務官、藤江総合教育政策局長、安彦大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、小幡教育人材政策課長、安里男女共同参画参画社会学習・安全課長 他

5.議事録

【渡邉(光)会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会を開催させていただきます。
 本日、大変御多忙の中、御出席いただきまして本当にありがとうございます。残念ながら、まだ新型コロナウイルス感染症が収まりませんので、本日もウェブ方式を中心としながら、対面と併用のハイブリッド型ということで開催させていただきます。
 本日は、伊藤大臣政務官にも御出席をいただいています。よろしくお願いいたします。
【伊藤政務官】 よろしくお願いいたします。
【渡邉(光)会長】 また、永岡大臣につきましては、後ほど御到着される予定としております。
 それでは、まず本日の会議開催方式と資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【川村教育企画調整官】 事務局の川村でございます。会長から御説明いただきましたとおり、本日も前回同様、ウェブ会議と対面式を併用した形での会議開催とさせていただきます。加えて、本日は報道関係者と一般の方向けに、本会議の模様をユーチューブにて配信しておりますので、御承知おきください。
 本日は、各議題説明の後、質疑、意見交換の時間を設けております。御意見ございます場合、会場での参加の委員の皆様はネームプレートをお立ていただき、またウェブ参加の皆様は挙手ボタンを押していただき、お知らせいただければと存じます。御発言は、会長の御指名の後にお願いいたします。ウェブ参加の委員の皆様は、御発言時以外はマイクをオフにしてくださいますようお願いいたします。会場での参加の委員の皆様は、会長から御指名があった後、事務局がマイクをお持ちいたしますので、机上の端末にお顔を映していただきながら御発言をお願いいたします。
 続きまして、本日の資料でございます。議事次第にございますとおり、資料1-1から資料2-5まで、加えて参考資料1となっております。御不明な点ございましたら、事務局までお申しつけください。
 最後に、本日の御出席につきまして、全29名の委員の皆様のうち、会場参加の委員の先生方が6名、ウェブ参加の先生方18名、併せまして24名の先生方に御参加をいただいております。本務等の御関係で、本日、途中退室、途中参加予定の先生方もおられますので、御承知おきいただければと存じます。
 以上でございます。
【渡邉(光)会長】 どうもありがとうございました。資料の御確認、よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事について説明させていただきたいと思います。本日は、まず議題1の送迎用バスの安全対策について説明いただき、質疑応答を予定しております。次に、議題2の「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について、答申案ということで説明させていただき、質疑応答させていただきたいと思います。
 それでは、早速ですが、議題1に入らせていただきます。まず、事務局から説明をお願いします。
【安里男女共同参画共生社会学習・安全課長】 担当課長をしております安里と申します。総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長でございますが、お手元の資料に沿って送迎用バスの対策について御説明をさせていただきます。
 まず、資料1-1を御覧いただければと思います。前後して恐縮ですが、まず最初、後ろの12ページを御覧いただければと思います。こちらはそもそものきっかけでございます。
 令和4年、今年9月5日に大変痛ましい事故が起こりました。認定こども園でございますが、朝、送迎用バスに乗って登園した子が、運転手、乗務員、両方からの声かけなくバスの中に取り残され、5時間後、発見され緊急搬送されましたが、病院で死亡が確認されたという事案でございます。
 実はこのような夏場のバス置き去り事案は昨年も発生しておりまして、昨年は福岡の事案でございましたが、今回は静岡でございますが、こういうことを二度と起こさないということで、小倉大臣のもと、関係省庁の局長級が集まりまして、対策を講じていったという内容でございます。
 資料1-1へお戻りいただきまして、1ページ目でございますが、まず緊急点検ということで、昨年度の事故の段階で、幼稚園やこども園の皆様方にはしっかり乗車の確認をしてほしい等、国としてお願いしていたことはございましたが、実際どのようになされていたかというのを、まず各園で緊急点検をいただきました。その結果などが1ページ目、2ページ目に載っております。
 1ページ目には、この調査の対象の施設の数や、送迎用バスとしてどれぐらい運行しているかという数字がまとめてございます。
 2ページ目を御覧いただければと思います。今申し上げましたように、国としてこういうことはやってくれとお願いしていた事項を、どの程度実施されているかということを聞いているのでございますが、例えば上から2つ目になるかと思いますが、登園の際、乗降時における子どもの人数、名前等の確認をしているか【常に行っていると回答した施設の割合】ですけれども、特別支援学校の幼稚部では100%でございましたが、ほかは90%に満たないというところも見え、幼稚園は90%にいっておりますが、こちら本当は100%にしていただきたい部分でもございますし、その他、まだまだ実施が十分でなかったという点が確認されてございます。
 次のページをおめくりいただければと思います。3ページ目でございますが、関係省庁の会議のほうで有識者の先生方や先進自治体にヒアリングも行いまして、一体どういう対策が必要なのかという確認を行っております。
 続いて、4ページ目でございますが、今回の事案はどういうところが問題だったのかという振り返りも行いまして、こちら箇条書でつらつら書いておりますけれども、運転者、乗務員ともに、子供が残っているかの確認を行っていなかったとか、運転者の方は通常運転する方ではなくて、通常は運転しない前園長先生が担当していたのですが、業務内容の明確な設定がなされていなかったですとか、このページの下のほうになりますが、クラスの担任やクラス補助のほうでも十分な確認を行っていなかったなどが明らかになっております。
 続いて、5ページ目お願いいたします。こうした事案を確認いたしまして、政府としては緊急対策として4点打ち出そうというのを、この10月12日に決めております。
 1点目は、所在確認や安全装置の装備の義務づけでございます。今回の件は、多くの幼稚園の先生方からすると、当たり前過ぎることがなぜ起こったのかいうところがあるかと思いますが、こうしたヒューマンエラーというのが繰り返されているという実態を踏まえまして、法令においてしっかり所在の確認の義務づけ、それから安全装置、ヒューマンエラーを補完するような装置の装備を義務づけようという方針を打ち出しております。
 2点目でございますが、義務づける安全装置、こちらもどのような仕様のものが必要か、このガイドラインをつくろうという方針でございます。
 3点目、こうした装置による補助も行いますが、やはり人間が行っていく上でしっかり運用できるようなマニュアル、これは会議の中でも国が示すようなものは分かりづらくて、守りづらいという声も上がっておりましたので、明確ですぐに園で役に立つようなものを策定しようということ、4点目として、こうしたことにかかる経費をしっかり補助していこうと。こういう方針が出されました。
 それぞれもう少し御説明をいたします。次の6ページ目お願いいたします。安全装置の義務付けでございますけれども、こちら対象施設をこの表の下のほうに書いておりますが、幼稚園や幼稚園型認定こども園、特別支援学校は幼稚部だけではなくて、特別支援学校全体を対象にしたいという話と、それから幼保連携型認定こども園、保育所や保育所型認定こども園を対象にいたしまして、送迎、真ん中のほうに書いておりますが、1点目としては、降車時等における点呼によって幼児等の所在をしっかり確認すること、それから2点目といたしまして、先ほど私が申し上げました施設、幼稚園や特別支援学校については、そうした点呼等に関しては、しっかり安全装置を置いて確認を行うことというのを定めようということにしております。こちらパブリックコメントを実施して終わっておりまして、12月末には公布を予定しております。
 もう少し詳細に説明させていただきます。資料1-2を御覧いただければと思います。こちら、文部科学省関係では学校保健安全法施行規則の改正を行って、今申し上げた義務づけを実施することとしております。学校について、学校安全の関係で定めております法律が学校保健安全法でございますが、そこの施行規則の中に、改正概要の真ん中のあたりを見ていただければと思いますが、1点目としては、児童生徒等の通学、それから送迎の場面、登園・登校の場合だけではなくて、校外学習等のことも含めまして、授業等において自動車を使う場合には、点呼等をしっかり行うことという義務づけを行います。この学校保健安全法の対象は幼稚園等に限られておりませんで、学校全体にかかっておりますので、小学校以上の学校においても自動車を使う場合、スクールバスを運行している場合や校外学習で使用する場合には、この義務がかかってくるという構成にしております。
 2点目でございますが、今申し上げた義務について、幼稚園及び特別支援学校においては、送迎用のバスのときでございますけれども、ブザーその他車内の児童生徒等の見落としを防止する装置を装備してマル1の所在確認を行うこと、これを義務づけるという構成としております。
 ここ、米印で書いておりますが、車列が少なくて、見落としはまずないだろうと思われるような自動車等は除外することとしております。
 それから、施行予定日でございますが、施行期日、令和5年4月からと考えております。ただ、こちら安全装置の義務づけに、購入して装備をするという時間もございますので、令和6年3月31日までの間は経過措置を設けたいと思っておりまして、後ほど御説明しますが、安全装置がなくても、管理のマニュアルなどでしっかり乗車確認を紙等で確実に行うという措置を講じた場合には、令和6年3月31日までの間は経過措置として認めるという形で考えております。同じような改正を厚労省関係、内閣府関係も実施していくとしておりまして、その対比表などは7ページ目にまとめております。
 それから、資料1-1の8ページ目でございます。こうした安全装置のガイドラインでございますが、こちらは国土交通省さんがワーキンググループを設置して検討していただきまして、近々恐らく発表になるものと見込まれております。このガイドラインに沿った装置を装備していくことを国として呼びかけてまいります。
 それから、9ページ目お願いいたします。緊急対策の3として安全管理のマニュアルということを申し上げましたが、このマニュアルについてはバス送迎の安全徹底プランを発表しました10月12日に併せて公表しておりまして、その中では毎日使えるチェックシートという形で、本当に簡便な方法で、こういう体制が全く整っていない園でもすぐに対策を実施していただけるような構成にして周知をしております。
 それから、10ページ目お願いいたします。こうしたことにかかる費用について、補正予算で対応させていただいたのですが、必要な経費を補助するという形で取り組んでおります。
 資料1-3も御覧いただければと思います。こちらに文部科学省関係の事業概要をまとめておりますが、(1)といたしまして送迎用バスの改修支援ということで、先ほど幼稚園、特別支援学校については装置の設置が義務づけられるというお話しいたしましたが、そういう義務対象施設と、それ以外に小学校や中学校でももし安全装置を、義務とはなっておりませんが、導入して確実に安全を図りたいといった場合には、それぞれ対象となる額は異なってくるかと思いますが、定額での補助をすることとしております。この補助額のほうは、今後、ガイドラインができまして、ガイドラインに沿った装置の値段がどのようになってくるかを見て決定をすることとしております。
 それ以外にも、(2)や(3)でございますが、登園管理システムですとか、ICTを活用して子供を見守りたいといった場合、こういう場合も安全確認には資するだろうということで、補助率は通常の補助を行うより高めの補助率を設定しておりますが、5分の4の補助をしていこうということを考えております。
 これらのほか、内閣府で、都道府県において研修を行うことに必要な予算なども計上しております。こうしたことを法令の改正と予算の支援とあわせて、次の夏にはこのような痛ましい事故が決して起こらないように取り組んでまいりたいと思っております。
 私からの説明は以上でございます。
【渡邉(光)会長】 御説明ありがとうございました。
 それでは、今の説明内容につきまして、御質問等ございましたらお願いします。先ほど事務局から説明があったとおりですけれども、会場で参加の委員の方々については、ネームプレートを立てていただき、ウェブ参加の委員の方々は挙手ボタンを押してお知らせいただければと思います。
 なお、ウェブ参加の委員の皆様方は、これも先ほどの説明のとおりですが、発言が終わりましたら、マイクをオフの状態にしていただけたらと思います。
 それでは、会場の清原生涯学習分科会長からお願いいたします。
【清原委員】 ありがとうございます。清原です。
 ただいま御説明をいただきまして、もちろん本来は、貴い命が昨年、今年と失われる前に安全管理の徹底がなされることが望ましいとは思いますが、資料1-1の表紙にありますように、内閣官房・内閣府・文部科学省・厚生労働省・国土交通省・警察庁という6つの府省庁が一丸となって短期間に集中して緊急対策を検討していただき、具体策もお示しいただいたことは本当に重要なことだと思っています。
 特にヒューマンエラーを防ぐために、もちろん園児の安全確保を担う人への研修やガイドライン、マニュアルも大事ですが、資料1-1の5ページにありますように「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」ということで、バスへの安全装置導入や登園管理システムの導入、こどもの見守りタグの導入など、ICTや機器による支援と複合的に行うという方向性も必要なのではないかと思っています。ぜひこれらの対策が浸透して、普及して徹底されることを願っていますが、1点質問でございます。
 今回は、緊急対策をまとめるとともに、補正予算でそれぞれの園が、文部科学省あるいは都道府県を通じて取り組むための予算確保をしていただいたのですが、これは緊急対策であり一時的なものになるのではなく、できれば補正予算ではなくて、例年このような取組が確保されることが望ましいと思っておりますが、その辺の感触というのはいかがでしょうか、質問させていただきます。
 以上です。ありがとうございます。
【渡邉(光)会長】 では、事務局から御回答をお願いいたします。
【安里男女共同参画共生社会学習・安全課長】  清原委員、御質問ありがとうございます。
 この対策は法令で義務づけをしましたので、一過性ではなくずっと続けていく、これはもちろんでございます。ただ、こうした機械を導入する際の補助を法令で義務づけるということは、義務づけられた対象に、そういう整備を行うことは当然という世界に入るということでございますので、機器に対する義務づけについては経過措置期間が終わるまでの間にしっかりつけていただきたいと思っております。
【渡邉(光)会長】 よろしいでしょうか。
【清原委員】 ありがとうございます。ぜひこれがインセンティブとなって、徹底した取組が各園で行われますことを願っております。ありがとうございます。
【渡邉(光)会長】 どうもありがとうございます。それでは次に、渡邉正樹委員、お願いいたします。
【渡邉(正)委員】 東京学芸大学の渡邉です。今回、学校保健安全法の施行規則の改正、そしてそれ以外の、例えば認定こども園や保育所も法的な整備が進んだということは非常によかったと思います。
 安全装置については、当然のことですけれども、ヒューマンエラーが起こることを防ぐという意味では効果的だと思うのですが、逆に少し見落としが起きる可能性もあるのではないかと思います。つまり、例えばブザーが一つ例に挙がっていますけど、要するにブザーが鳴るから車の後ろに行って消すわけですけれど、それは安全確認をするために行くわけであって、ブザーを消すことが目的になってしまいますと、肝心の安全確保ができないということになってしまいます。
 また、マニュアルも使うことになっていますけれど、やはり重要なのは、職員の危機管理意識を高めるということではないかと思います。先ほど御説明の最後のほうにも研修の予算のお話が上がっておりましたけれど、特に安全に関する研修を見てみますと……。
【渡邉(光)会長】 すみません。途中でまた声が聞こえなくなっています。渡邉正樹委員、途中で声が消えていますので、後半部分について繰り返していただけますでしょうか。
【渡邉((正)委員】 送迎バスのことだけではなく、日常的に幼児の事故というのは発生していますので、職員に対しての研修というのも充実させていくことが必要ではないかと思います。
 それともう1点、私もこのヒアリングを受け、そこでもお話ししたのですが、実際に被害者は出てなくても見落としがあったと、中に置き去りにされてしまったという、いわゆるヒヤリハット事例が結構、例えば色々なマスコミで報告されているんです。ですから、そういったことを無視せず、きちっと対策を行うということも当然必要になってきますので、そのためにもぜひ幼稚園なり、認定こども園、保育所の関係者、特に管理職だと思いますけれど、その人たちを対象とした研修の充実も進めていただきたいと思います。
 以上です。
【渡邉(光)会長】 それでは、今の御質問について、事務局から引き続き、お答えいただけますでしょうか。
【安里男女共同参画共生社会学習・安全課長】 すみません。私、説明の際に、渡邉(正)委員にもヒアリングを関係機関でさせていただいたことを御紹介しそびれておりました。失礼いたしました。
 渡邉(正)先生の御意見も踏まえながら進めている対策でございますが、今、先生のほうから研修の充実の御意見、それからヒヤリハットの扱いの大切さ、御指摘いただいたかと思っております。研修については、まず内閣府で予算を取って進めてまいりますが、先生御指摘があったように、危機管理意識といいますか、当課は学校の安全全般を担当しておりますが、色々なところで色々な事故が、特に幼い子供については多く、危険が高いのかなと思っております。こども家庭庁も中心となりまして、こういう安全対策をしっかりしていこうという機運が高まっておりますので、文部科学省としても連携しながら、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 もう1点ヒヤリハットについては、今回のことも含めまして、内閣府のほうでどのような共有をしたらよいかという点で調査研究をしようという動きも出てきております。そうしたことを我々も引き続き、この会が終わりではなくて、しっかり連携させていただきながら、学校における安全の着実な推進を図ってまいりたいと思っております。ありがとうございました。
【渡邉(光)会長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。特に、手が挙がっていないようですので、質疑応答はここまでとさせていただきたいと思います。
 先ほど御質問もありましたとおり、本件は大変社会的にも関心の高い事項だと思いますので、文部科学省での支援事業、それから関係省庁との連携のもとに、ぜひ実効性を上げていただくようにお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは次に、議題2に入らせていただきます。「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会については、私が部会長を務めさせていただきましたので、私から資料の説明をさせていただきたいと思います。資料は、資料2-1が答申案の概要、資料2-2が答申案の本文、それから資料2-3が修正履歴版になっております。
 皆さま御案内のとおり、今回の「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方についての答申案ですが、これは参考資料1にありますように、令和3年3月に文科大臣からの諮問がございまして、総会のもとに設置した「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会を中心といたしまして、昨年11月の審議まとめを経まして、その後の議論を経て、25団体へのヒアリングも実施いたしました。その上で計26回の会議を開催して、議論を行ってきたということでございます。
 前回、10月28日になりますが、この中教審の総会でも答申素案について御審議をいただきました。内容、方向性については、そのときの皆様の御意見も伺って、御了承いただいたと理解しております。
 これを受けまして、11月11日から12月1日までの期間に、広く国民の皆様の御意見を伺うということで、パブリックコメントを実施しております。このパブリックコメントでは、計746件の御意見をお寄せいただきました。これは資料2-4につけておりますけれども、概ね内容、方向性についての賛同はいただいたと理解いたしました。その結果を踏まえまして、12月2日に成立した令和4年度の補正予算の内容等も盛り込んだ上で、改めて特別部会での審議を行いまして、本日、資料2-2としてお示ししている答申案を取りまとめるに至りました。
 この中身について修正箇所がございますので、これは修正履歴を残している資料2-3で見ていただきたいと思います。
 まず、総論の部分ですけれども、7ページから8ページにかけまして、高等学校の情報の指導体制充実に向けた動きについて、最新の状況に更新しております。
 続いて、27ページまで飛びますけれども、子供にとって身近な大人である教師がライフサイクルのあらゆる時点において、自分らしく活躍している姿を見せるということが、子供にとっても意義があるということを追記させていただきました。
 次に、各論の部分でございますけれども、31ページに飛んでいただきます。この31ページは、教育実習、学校体験活動の実施の在り方に関わる部分でございますが、大学と教育委員会、それから学校現場の連携について追記をしております。
 次に、35ページになりますが、教員採用選考試験の実施スケジュールの在り方について、学生の学習への影響にも留意するということを追記させていただいております。
 さらに37ページについては、特別免許状の活用について、教職の専門性を踏まえた円滑な入職のための研修プログラムについて追記をしております。
 次に、42ページでございますが、今月2日に、「新たな教師の学びの姿」を実現するということで、研修高度化に係る補正予算が成立いたしました。したがいまして、その内容を追記しております。この補正予算に係る記述ですが、関連する各論の5ポツの教師を支える環境整備のところの、52ページになりますが、ここで同じ趣旨の追記をさせていただいております。
 最後、53ページですが、教師のメンタルヘルス対策に関する記述を、総会等の意見も踏まえまして、より具体的なものとしております。
 修正箇所の説明については以上でございますが、冒頭で述べさせていただいたとおり、特別部会の議論、それから養成部会でも相当の議論を積み重ねていただきました。そういった形での特別部会等の議論、それからパブリックコメントを踏まえた内容でございますので、これらを尊重しますと、この答申案を本日は答申として大臣に手交したいと考えております。
 このように受け止めていただければと思いますけれども、ここで皆様から御質問、御意見があれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。それでは、渡辺弘司委員、お願いいたします。
【渡辺(弘)委員】 日本医師会の渡辺でございます。今、会長がおっしゃられたように、「令和の日本型学校教育」を担う教師の姿の答申案、非常にすばらしいものができたと認識しておりますし、よく書いていただいたと思います。
 ただ1点、答申素案のときから申し上げておりました、私は医師の立場からの意見になるので、恐らく部会の方に医療者はおられなかったと思うからそういう意見は出なかったと思うのですが、産業医による教師の健康管理の推進というのを申し上げていたのですが、今回の答申案では53ページに、外部の関係者に相談するとか、文科省に必要な支援を講じるという曖昧な表現であることが少し残念であります。
 教師の健康管理というのは、業務や環境整備の前にやっておくべき基本的なことと認識しておりまして、本当は文科省は学校における産業医配置を推進し、教職員の健康管理体制を強化していくというように具体的に書いていただければよかったかなと思っているわけです。私だけでなく、長く学校現場を見てきた学校医の共通認識としては、教師の心身の疲弊状況というのは大変深刻でありまして、医療的に看過できる状態ではないと認識しております。
 したがいまして、答申を修正していただきたいというつもりは全くありませんが、せめて工程表に若干それを加味していただけないかと。もしくは、工程表とは別に既に実効性のある対策をお考えであれば、後日で結構ですので、事務局から御説明いただければと思います。
 私といたしましては、そのような意見を述べさせていただいた上で、答申案に関しましては賛成させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【渡邉(光)会長】 どうもありがとうございます。今御発言いただいた趣旨につきましては、いわゆる令和3年答申の「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」についての審議のところで、渡邉(弘)委員の前任者の方ではありますけれども、同趣旨の御意見をいただきました。その御意見については非常に重く受け止めておりまして、実は「令和の日本型学校教育」の令和3年答申を見ていただくとよく分かるのですが、生涯を通じて心身ともに健康な生活を送るための資質能力を育成するための方策という項目の中に、今御発言いただいたような、健康教育による健康リテラシーの養成、養護教諭の適正配置、それから学校医、学校歯科医、学校薬剤師をはじめとする専門家との連携の必要性、また健康教育の視点を非常に強化していくということについて、反映させていただきました。
 そういった意味では今日の御発言の内容については、令和3年答申と今回のこの答申は一連のものでございますので、そちらの答申案も同時に生きていると御理解いただければと思います。
 したがいまして、今いただいた御意見は、今回の議事録として明記させていただいて、「令和の日本型学校教育」の令和3年答申とあわせて、徹底できるような形で対応させていただきたいと思います。いかがでしょうか。
【渡辺(弘)委員】 結構です。先生がおっしゃったように、答申に書いていただいても実行していただけなければ意味がありません。教師の働き方改革も、エンドポイントは働く時間ではなくて、教師の健康状態だと思います。教師の健康状態の精神疾患等の改善が見られない以上は、まだ効果的な対策になっていないというふうに認識をして、より推進していただきたいという意味で述べさせていただきました。ぜひよろしくお願いいたします。
【渡邉(光)会長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりだというふうに受け止めさせていただきたいと思います。
 それでは次に、熊平委員、お願いいたします。
【熊平委員】 熊平でございます。私も、答申に関しましては大変よくまとめられておりますので、賛成ということを前提にコメントをさせていただきたいと思います。
 教員不足ですとか、教員がやりがいを感じにくい職場環境になっているということは喫緊の課題でありますし、それに対する対処の見通しができたことは大変心強いと思っております。
 一方で、教員養成の質の向上は継続的な研究、そして理論の発展というのが不可欠であると思いますので、ぜひこの動きを丁寧に続けていただきたいと思います。
 といいますのも、2008年に教職大学院ができました頃、かなり多くの研究者の皆さんが海外の教職大学院を研究されまして、そして教員のコンピタンシーの研究が進んでいた時期があったというふうに記憶しております。しかし、この研究は途中で途絶えてしまいまして、今日ではあまり見かけることがなくなっております。こういうことでは大変残念なことになりますので、ぜひ継続的に研究が続くような形で、そして大学と教育委員会が一緒になって理論と実践が発展していくような教育の社会をつくっていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
【渡邉(光)会長】 大変貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。今回の答申の中で、キーワードとして理論と実践の往還の実現という概念が非常に強く押し出されました。まさに理論の部分を形成するには、御指摘のような海外の事例も含めた理論の構築ということが大変重要になると思います。ありがとうございました。
 次に、小林いずみ委員、お願いいたします。
【小林(い)委員】 小林です。答申の取りまとめ、ありがとうございます。私自身も読ませていただいて、幅広く新しい教育を担っていく教職員の健康管理から新しい機能強化、教員養成の機能強化までしっかりとカバーされている点を高く評価いたします。
 私が特に今回、申し上げたいのは、特別免許状の活用ということが、多様な専門性を有する教育の集団をつくっていく上で非常に重要だと書かれている点です。
 その中で、授与基準や審査実施時期等について公表することを各自治体に促すと書かれている点も非常に重要だと思いますが、できればもう一歩踏み込んで、実際に特別免許状の付与の状況も公表されるようになると、より現場にインセンティブが生まれてくるのではないかと思います。その部分については答申に加えていただく必要はありませんが、これから実際に実行していくに当たって、ぜひお考えいただきたいと思います。
 以上です。
【渡邉(光)会長】 ありがとうございます。教員免許につきましては、昨年の審議まとめのところでかなり丁寧に書かせていただいており、御指摘のような趣旨もそこにかなり盛り込ませていただきました。御指摘のような方向で、特別免許状の活用については全体として多様化が進むような形で受け止めさせていただきたいと思います。御意見ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは今、特に手も挙がっていませんし、御発言の内容を斟酌しますと、おおむね皆様の御賛同はいただけたものと判断させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【渡邉(光)会長】 ありがとうございます。それでは、御了承が得られたものと認めさせていただきます。
 なお、本日の資料2-5に、これまでの中教審での議論を踏まえた改革工程表の案が準備されておりまして、この答申を踏まえた取組を今後しっかりと実効性あるものにしていくために重要だと思いますので、永岡大臣への答申手交の後に、改めて文部科学省からその内容を説明させていただき、その後に意見交換もさせていただければと思います。
 今、永岡大臣がご到着されましたので、早速この答申を大臣に手交させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、大臣よろしくお願いします。
 それでは、報道関係者の方、お入りください。
(報道関係者入室)
【渡邉(光)会長】 それでは、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方についての答申を大臣に手交させていただきます。では、大臣よろしくお願いいたします。
(答申手交)
【渡邉(光)会長】 それでは、大臣から御挨拶をいただきますので、よろしくお願いいたします。
【永岡大臣】 ただいま渡邉会長から、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方につきまして、「新たな教師の学びの姿の実現」と、多様な専門性を有します質の高い教職員集団の形成の答申をいただきました。
 本件につきましては、令和3年3月の諮問以来、約1年9か月にわたりまして大変精力的な御審議を賜りました。新型コロナウイルス感染症の影響もある中で、オンラインの会議方式をうまく活用していただきまして、渡邉会長、そして加治佐基本問題小委員会の主査をはじめ、委員の皆様方が英知を結集されまして、多岐にわたって充実した内容の答申をおまとめいただきましたこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。
 子供は国の宝であり、礎でございます。そして教師は、そんな子供たちの人生を大きく変える存在であると思っております。教師が教職生涯を通じまして学び続けながら、子供たちとの人格的な触れ合いを通じて、一人一人の学びを最大限に引き出すことができることが大変重要であると考えているところでございます。
 文部科学省といたしましては、本答申の内容が、全国の教師をはじめとします関係者の皆様方にしっかりと伝わるように、積極的な周知・広報に取り組んでまいりたいと考えております。そして、本答申を踏まえた教師の養成・採用、それから研修等の改革につきましては、本当に省を挙げまして、スピード感を持って取り組ませていただきたいと考えているところでございます。
 この後、本答申で御提言いただきました内容にどのように取り組んでいくかにつきまして、具体的なアクションやスケジュールを事務局のほうから説明していただきたいと思います。
 委員の皆様方におかれましては、引き続きまして、それぞれのお立場から我が国の教育のために変わらぬお力添えをいただきますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございました。どうもありがとうございます。
【渡邉(光)会長】  大臣より力強いメッセージをいただき、ありがとうございました。
 それでは、報道関係者の方々はこれ以上とさせいただきますので、御退室ください。
(報道関係者退室)
【渡邉(光)会長】 それでは、引き続き、審議に戻らせていただきたいと思います。
 先ほど御紹介しましたように、答申の改革工程表を作成いただいておりますので、事務局から説明をお願いします。
【藤江総合教育政策局長】 ありがとうございます。総合教育政策局長をしております藤江でございます。本日は答申をいただきましてありがとうございました。
 ただいま大臣からもございましたけれども、文科省におきまして、これまで御審議いただいた内容をもとに、具体的な進め方に関する工程表の案というのを、お手元の資料でいいますと資料2-5になりますが、まとめさせていただきました。各論で御提言いただいた主な項目につきまして、文科省、教員養成大学・学部、あるいは教育委員会などなど、各主体がいつ、何をするかという形でのスケジュールとして示させていただいているものでございまして、特にポイントとなる部分について御説明をさせていただきます。
 まず、1ページ目でございますが、これは答申でいいますと、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師像と教師に求められる資質能力についての部分でございます。
 (1)でございますが、教師に求められる資質能力の再整理につきましては、既に今年の8月に「公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針」というものを改正させていただいておりまして、5本柱の再整理を行っておるところでございます。今後、各教育委員会が改正の指針を参酌していただいた上で、教員育成指標等を見直していただくこととなります。
 また、教職課程を設置する大学におきましては、(2)の部分にございますように、指針とともに示された、教師に共通的に求められる資質能力が身につけられるものになっているかということを自己点検・評価の中で確認し、改革・改善を図っていただくこととなります。
 (3)でございますが、これは理論と実践の往還を重視した教職課程の転換につきまして、特に教育実習や学校体験活動、介護等体験につきまして、現行制度で対応可能なものについては今年度中に周知をさせていただき、規則等の改正が必要なものについては令和5年度当初に実施するということを考えております。
 次のページ、2ページから4ページにかけましては、答申の2、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成についてに関するものでございます。
 (1)の教職課程における多様な専門性を有する教師の養成につきまして、強みや専門性との両立、あるいは専科指導に対応した小学校教員養成等につきまして、令和5年度の前半に教職課程認定基準等を改正し、令和7年度より新課程で実施できるようにする方向で考えております。
 (2)でございます。優れた人材を確保できるような教員採用等の在り方についての中で、教員採用選考試験の早期化ということを御提言いただきましたが、これにつきましては既に国、教育委員会、大学等による協議会をスタートさせているところでございますが、令和5年5月頃を目指して一定の結論をお示しできるように議論を進めてまいりたいと考えております。その結果を踏まえ、自治体によっては早ければ令和6年度に実施する試験、つまり令和7年4月採用者についてということになりますけれども、そこから早期化等を実施していくことを考えております。
 続いて、3ページでございます。先ほどもお話しありました特別免許状関係についてでございますが、令和4年度末から令和5年度当初にかけて国の授与指針を改正するとともに、特別免許状や特別非常勤講師の円滑な入職に向けた研修につきましては、先ほど会長からも触れていただきました令和4年度補正予算を活用しながら進めてまいりたいと考えております。
 続いて、4ページでございます。教員資格認定試験につきましてですが、令和6年度から新たに高校「情報」を実施する方向で検討を進めてまいります。
 また、(4)校長等の管理職の育成につきましては、特に新任校長向けの集合オンラインハイブリッド研修につきまして、令和4年度から実施しておりまして、令和4年度から3年間、国において実施した上で、その後は各自治体で独自に実施していただく方向で検討しているところでございます。
 続きまして、5ページでございます。3の教員免許の在り方についてでございますが、これは(1)の教員免許更新制の発展的な解消ということにつきましては、既に今年の5月に法改正がなされたところでございますが、今後は「新たな教師の学びの姿」の実現に向け、国として研修の高度化とともに、令和5年度末までに研修受講履歴記録システム及び教員研修プラットフォームの構築を進めてまいります。
 (2)につきましては、再掲事項が並んでいるところですので、割愛させていただきます。
 次に、6ページと7ページでございますが、4の教員養成大学・学部、教職大学院の在り方に関するところでございます。
 まず、全体につきまして、好事例の収集・周知は全般的に進めてまいりたいと考えておりますが、制度改正を伴うものといたしましては、(2)の2番目、真ん中のところにあります先取り履修者についての教職大学院の在学年限の短縮ということ、それから(4)の教員養成大学・学部の学部段階での実務家教員登用のための具体的な基準の設定ということがございます。これらにつきましては、それぞれ設置基準等を令和5年度前半に改正する方向で検討を進めてまいります。実務家教員登用の基準については、経過措置を経て、令和7年度より適用する方向で考えております。
 最後に、8ページでございます。教師を支える環境整備というところでございます。
 (1)につきましては、教員研修の高度化についてでございます。先ほど来触れさせていただいておりますが、具体的には喫緊の教育課題について、成果確認も併せた研修コンテンツの充実や研修の成果確認・評価モデルの開発、校内研修や授業研究の高度化等を、令和4年度の補正予算も活用しながら進めてまいりたいと考えております。
 また、(2)のマル1でございますが、教員免許更新制の発展的解消を踏まえ、失効・休眠免許状を有する者に対する研修の実施を進めてまいります。
 また、先ほどもお話しありましたが、マル2の働き方改革につきましては、答申に掲げられている取組を進めるとともに、現在実施している教員勤務実態調査の結果も踏まえまして、給特法等の法制的な枠組みを含めた教師の処遇の在り方等を検討してまいりたいと考えております。
 こうしたスケジュールに基づきまして、答申いただいた内容をしっかりと実施してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。
【渡邉(光)会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、今御説明いただきました答申の改革工程表について、皆さんからの御意見を伺いたいと思います。先ほどと同じ要領で皆様から挙手ボタン等を押して、お知らせいただければと思います。いかがでしょうか。清水信一委員、お願いいたします。
【清水(信)委員】 ありがとうございます。1つだけ、この改革を進めていくときにぜひ考えていただきたいのは、学生が教育実習に行くときの費用なのですが、個人負担なのか、各大学によってシステムは違うと思いますが、学生が教育実習で現場に行ったときには、教育実習生の担当教員が配置されます。そうすると今度、現場の働き方改革との関係というのが必ず出てまいります。教科指導、また学級経営にプラス、教育実習生の担当もございます。もし教育実習に補助金をつけていただければ、教員希望の学生にとってもメリットがあるし、現場で担当教員になった先生方も少しでも手当てがいただければ、また働く意欲につながっていくのではないかと思います。考えていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【渡邉(光)会長】 ありがとうございます。教育実習自体は今回の答申でも充実させる方向での内容になっていますが、今の御質問について何か事務局からありますでしょうか。
【小幡教育人材政策課長】 教育実習について御意見でございますが、費用負担を国のほうで支援するということはなかなか難しいことかと思います。恐らく学校が受け入れる際にその負担感があるということだと思いますが、学校にとってもメリットのある教育実習の向かい方、いろいろ考えられると思っております。
 ですので、4年とか3年のときにまとめて三、四週間行くということはかなり負担もあるということもありますので、それを分散して、まさに理論と実践を往還して教職課程を進めていくようなやり方の中で、学校側として大学生が来てくれる、それは受け入れるいろいろな負担もあるとは思いますけども、来てもらって、一緒に教育活動を子供たちに対してするというメリットをもう少し考えながら進めていくということも大事かと思っております。
【渡邉(光)会長】 よろしいでしょうか。
【清水(信)委員】 ありがとうございました。
【渡邉(光)会長】 それでは次に、清原分科会長、お願いいたします。
【清原委員】 ありがとうございます。清原です。「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等に関して、これだけ具体的に先取りして改革の工程表を作成していただいたことにまず感謝いたします。
 2点申し上げます。8ページでございます。5の「教師を支える環境整備」の(2)の「多様な働き方など教師を支える環境整備」、(2)の「②コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進による地域全体で子供たちの成長を支える社会の実現」、これにつきましては、実は生涯学習分科会でも積極的に議論をしているところでございます。子供たちが地域で家庭・学校と連携しながら育っていくためには、コミュニティ・スクールはもちろんメリットがあるのですが、それを支えるのは教師だけではない、家族だけでもない、保護者だけでもない。例えば社会教育士の称号を取った人をはじめとする地域学校協働活動推進員が配置されているところでは、大変子供たちの元気や大人の元気が顕著であるという傾向があるようでございますので、教師のことだけを考えるのではなくて、地域の教育を考えるときには、このような教師以外の人材の活動・活躍によって、学校における働き方改革が進むということの提示というのは重要な意味を持っていると思います。
 2点目です。多様な働き方など教師を支える環境整備の最後に、「勤務実態調査の結果も踏まえた給特法等の法制的な枠組みを含めた教師の処遇の在り方等の検討」と明記されていることも重要です。「学校における働き方改革」を議論したときに、給特法についても重要な課題と位置づけられました。既に一部の法改正も行われておりますけれども、改めて実態調査を含めて、さらなる検討を明記していただいているということは極めて重要でございまして、丁寧で、なおかつ前向きで、実態に即した検討が進みますことを願っております。
 以上です。どうもありがとうございます。
【渡邉(光)会長】 ありがとうございました。では、2点の御質問でしたので、事務局からよろしいでしょうか。
【藤江総合教育政策局長】 コミュニティ・スクールにつきましては、清原委員御指摘のとおり、子供たちの学校での課題等を地域の様々な方々の力を借りながら解決して、全体で進めていくということで今推進させていただいているところでございまして、生涯学習分科会での議論も踏まえながら、推進していきたいと考えております。
【安彦大臣官房審議官】 ありがとうございます。勤務実態調査の件でございます。御指摘のとおり大変重要でございまして、今度、ゴールデンウイークあたりに中間的な報告ができるかと思うのですが、そういったものをしっかりと受け止めながら、それを踏まえてどういった措置が必要なのか、法改正も視野に入れながらしっかりと検討させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【清原委員】 会長、一言よろしいでしょうか。
【渡邉(光)会長】 どうぞ。
【清原委員】 本当にありがとうございます。実態に即して取り組んでいくということがとても大事だと思います。教師の皆様が本当にやりがいのある仕事だということを実感していただくような環境整備に努めていただければと思います。ありがとうございます。
【渡邉(光)会長】 どうもありがとうございます。今の2つ目の話は、自民党の特命委員会でも御議論いただいており、先般、特別部会の委員でもある戸ヶ﨑戸田市教育委員会教育長より実態を踏まえた参考意見を述べていただいているようですから、現場の実態を踏まえて、実態に合う形での処遇改善の方向にいくように、文科省からもぜひよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、荒瀬副会長、お願いいたします。
【荒瀬副会長】 ありがとうございます。皆さんもおっしゃっていらっしゃるので、言わずもがなではありますが、いよいよこれからこの答申に沿った形で、教師の新たな学びが展開していくことになります。もとより教師が誇りを持って学校教育に当たれることを願っているわけですけれども、要は何ためにこういうことをいろいろと議論してきたかというと、もともとこれは令和3年答申に描かれた子供たちの学びの充実をいかに図るかということです。それを考えたときに、子供たちの学びを直接的につくる、提供する教師の在り方ということが非常に重要になってくるということであります。
 それはひいては、我が国のこれからをどうつくっていくかということにつながっていくわけで、その際に、昨年11月の審議まとめにありましたように、教師が誇りを持って仕事ができる、やりがいを感じながら仕事ができるというところにいくという、この原点を忘れないで取組を進めていければよいなと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【渡邉(光)会長】 最後を締めくくっていただくようなお言葉をいただきまして、本当にありがとうございました。
 ほかに手も挙がっていないようですし、時間となりましたので、今日の審議は以上とさせていただきます。
 今、荒瀬副会長から締めていただきましたけれども、私も全く同感でございます。「令和の日本型学校教育」の構築を目指しての令和3年答申と今回の答申は、軌を一にするというふうに言葉で表されていますが、ちょうど今年が学制150年という非常に節目の年にこの2つの答申が出そろったことは、大変意義深いことではないかと感じております。
 とりわけ今回の答申は、「おわりに」としてまとめておりますように、未来を拓く子供たちを育てるのが教師であって、教師が創造的で魅力ある仕事なのだということを再認識すること。それから、教師自身も士気を高めて、誇りを持って働くことができるという将来像を実現するための提言だと受け止めておりまして、実際に現場で非常に御努力されている先生方への力強いメッセージになるのではないかと期待しているところでございます。そういった形で、文科省からも現場にこの答申が浸透されるようにお願いしたいと思います。
 非常に貴重な御意見を今日もいただき、また今までの皆さんの御尽力についても感謝申し上げたいと思います。
 それでは、本日の審議は以上とさせていただきます。次回の中教審の日程につきましては、事務局から追って連絡させていただきます。
 事務局から何か全体を通してありますか。
【川村教育企画調整官】 特にございません。
【渡邉(光)会長】 よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、以上とさせていただきます。本日もありがとうございました。
 
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