中央教育審議会(第129回) 議事録

1.日時

令和3年12月10日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議を予定

3.議題

  1. 第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申素案)
  2. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議状況について

4.出席者

委員

渡邉(光)会長、荒瀬副会長、永田副会長、井坂委員、今村委員、内田委員、越智委員、加治佐委員、清原委員、熊平委員、後藤委員、小林(真)委員、貞広委員、竹中委員、中野委員、萩原委員、日比谷委員、堀田委員、湊委員、村岡委員、村田委員、吉岡委員、吉田委員、渡辺(弘)委員、渡邉(正)委員

文部科学省

末松文部科学大臣、池田文部科学副大臣、鰐淵文部科学大臣政務官、義本事務次官、丸山文部科学審議官、柳文部科学審議官、矢野官房長、下間大臣官房文教施設企画・防災部長、藤原総合教育政策局長、出倉大臣官房審議官、根本社会教育振興総括官、佐藤総合教育政策局政策課長、平野教育免許企画室長、石塚男女共同参画共生社会学習・安全課長、伯井初等中等教育局長、淵上大臣官房審議官、増子高等教育局長、森田大臣官房審議官、里見大臣官房審議官、浅田国立教育政策研究所長 他

5.議事録

【渡邉(光)会長】  それでは、ただいまから、中央教育審議会総会を開催いたします。本日は、大変お忙しい中、御出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 本会議は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止という視点から、前回と同様ですけれども、ウェブ会議方式と対面を併用する、いわゆるハイブリッド型での開催とさせていただきます。
 本日は、本年10月から文部科学副大臣として公務に当たられております池田佳隆文部科学副大臣及び鰐淵洋子文部科学大臣政務官に御出席いただいております。なお、末松信介文部科学大臣につきましては、17時頃の御出席となる予定でございます。
 それでは、池田副大臣、鰐淵大臣政務官から一言ずつ御挨拶いただきたいと思います。まず池田副大臣、よろしくお願いいたします。
 
【池田副大臣】  ありがとうございます。岸田内閣におきまして文部科学大臣を拝命いたしております池田佳隆でございます。
 中央教育審議会の委員の皆様方におかれましては、まさに国家百年の計を担う、日本の礎となる教育政策について御議論をいただきますことに、心より感謝を申し上げたいと思います。
 私も、委員の皆様方の御議論をしっかりと踏まえまして、末松大臣、鰐淵大臣政務官、そして、職員の皆様方とともに、世界に伍して生き抜いていける日本国の人材育成に全力を尽くしてまいりたいと、そのように考えているところでございます。
 今後とも御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、鰐淵大臣政務官からお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【鰐淵大臣政務官】  改めまして、文部科学大臣政務官を引き続き務めさせていただくことになりました鰐淵洋子でございます。
 中教審の委員の皆様におかれましては、これまでも子供たちのために御議論を重ねていただきましたこと、心から敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。皆様、本当にありがとうございます。
 これまでの教育現場では様々な課題を抱えておりました。そういった中で、コロナの感染拡大によりまして、そのような課題が更に多様化、また深刻化もしている部分もあるかと思います。
 このような中で、これからどのような状況になったとしても、また、どのような時代になったとしても、子供たち一人一人の個性を引き出し、また笑顔あふれる、そういった社会をつくるために、また先生方の御意見も踏まえた上で、子供たちのための教育の実現のために、私も全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 引き続き、委員の皆様には様々な御意見を頂戴し、御指導いただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、まず本日の会議開催方式、それから、資料につきまして、事務局から説明をお願いします。よろしくお願いいたします。
 
【佐藤総合教育政策局政策課長】  失礼いたします。事務局の佐藤でございます。それでは、少々お時間頂戴しまして、会の運営につきまして御説明をさせていただければと存じます。
 まず、会長のほうからお話がございましたように、本日も、前回と同様に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するために、Webexを用いましたウェブ会議方式を基本としつつ、ウェブ会議と対面方式を併用した形での会議開催をさせていただければと存じます。
 加えまして、本日は、報道関係者と一般の皆様向けに、本日の会議の模様をWebex Eventsにてライブで配信してございますので、御承知おきいただければと存じます。
 また、本日は、議題(1)、議題(2)の説明の後、それぞれ委員の皆様方に御議論、そして、御質疑いただく時間を設けさせていただいてございます。会場においでいただいている委員の皆様方におかれましては、御意見がございます場合は、ネームプレートを立てていただきまして、また、ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、挙手ボタンを押していただければと存じます。会長の御指名により、順次御発言をお願い申し上げます。
 会場で御参加の委員の皆様方におかれましては、御指名があった後、事務局がウェブカメラ用のパソコンとマイクをお持ちいたしますので、そのセットができ次第、御発言を賜ればと存じます。
 また、ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、御発言時以外はマイク及びカメラをオフにしていただくようにお願い申し上げます。
 委員の皆様方には大変御不便をおかけする部分もあろうかと存じますが、円滑な運営に努めてまいりますので、何とぞ御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本会議は、これまで同様、基本的にペーパーレスで進めさせていただきたく存じます。
 それでは、お手元にございますタブレットに本日の資料を既に開いてございますけれども、ここで資料の確認をさせていただければと存じます。
 本日の資料につきましては、議事次第にございますとおり、資料1-1から資料3までとなり、加えて、参考資料が、参考資料1から参考資料4-2までとなってございます。御不明な点等ございましたら、お申し付けください。
 なお、資料3につきましては、中央教育審議会運営規則等に基づきまして、前回の総会、これは3月12日でございましたが、3月12日以降、総会を経ないで行われた諮問等について御報告をさせていただいているものでございます。
 また、机上に座席表と本日の文科省側出席者名簿を置かせていただいてございます。その名簿につきましては、前回、3月12日の総会以降、本日の総会の間に新たに御就任賜りました政務の皆様方、及び事務方の人事異動があった者について、下線を置いてございます。なお、お時間の関係で、本日は一人一人の御紹介は省かせていただきます。
 最後になりますが、委員の皆様方の本日の御出席の状況でございますが、全体29名の委員の皆様方のうち、21名がウェブ参加、4名の方が会場で御参加いただいて、合計25名の委員の皆様方に御出席賜ってございます。ここで御報告を申し上げます。
 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 資料の確認はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事につきまして、改めて確認させていただきたいと思います。
 まず、議題(1)は、第3次学校安全の推進に関する計画の策定についてです。本日はその答申素案について御説明をいただいた後、意見交換を行いたいと思います。
 次に、議題(2)は、「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議状況についてですが、議題(1)と同様に、御説明をいただいた上で、質疑を行いたいと思います。
 それでは、早速ですが、議題(1)の審議に入りたいと思います。これは本年3月に諮問を受けまして、初等中等教育分科会傘下の学校安全部会におきまして検討を進めていただいているところです。したがいまして、渡邉正樹学校安全部会長から説明をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
 
【渡邉(正)委員】  初等中等教育分科会の学校安全部会長を務めております渡邉でございます。まず私から、これまでの審議の経緯について御報告させていただきます。
 御承知のとおり、本年3月に文部科学大臣から第3次学校安全の推進に関する計画の策定について諮問を受け、初等中等教育分科会の下におかれた学校安全部会で審議を重ねてまいりました。
 具体的には、本年5月に第1回を開催し、その後、ほぼ毎月1回のペースで会議を開催し、これまで計8回の議論を行ってきたところです。
 議論に当たりましては、部会の委員それぞれから第3次計画の策定に向けた御提案、御意見を頂きました。また、内閣府より防災教育に関する提言について御発表いただくとともに、事故対応関係については、第三者調査委員会の委員長を経験された方や学校設置者の立場を経験された方からも御発表いただくなどし、意見交換等を通して、各回活発な議論を行ってまいりました。
 11月26日には第8回の学校安全部会を開催し、第3次学校安全推進計画の答申素案について議論するとともに、12月1日には、初等中等教育分科会において、部会における答申素案の検討状況について御報告申し上げた次第です。
 本日の総会で頂いた御意見も踏まえて、次回、12月22日に開催する第9回学校安全部会で更に議論を加え、第3次学校安全の推進に関する計画の策定についての答申案の取りまとめに向けて審議を進めてまいりたいと考えております。
 答申素案の具体的な内容につきましては、この後、藤原総合教育政策局長から御説明いただきたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、事務局からも説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【藤原総合教育政策局長】  失礼いたします。総合教育政策局長の藤原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元、資料1-1でございます。こちらに答申素案のポイントをお示ししているところでございます。
 第1章が総論、第2章が学校安全を推進するための方策という2章構成としておるところでございます。第1章の総論の中では、平成24年度からの5年間を計画期間とする第1次の学校安全の推進に関する計画、平成29年度からの5年間を計画期間とする第2次計画に基づくこれまでの取組や、第3次計画策定に向けた課題について触れた上で、基本的な方向性を示しているというものでございます。
 最初に、第1章、総論でございます。
 学校管理下における児童生徒等の死亡事故の発生件数について限りなくゼロにすること、障害や重度の負傷を伴う事故を中心に減少させることを目指す。また、これまで各学校における「学校安全計画」や「危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)」の策定と、これらに基づく取組の実施を求めてきたわけでございますが、第3次計画では、取組がより実効的なものとなるよう、個々の学校及び学校設置者による学校安全計画・危機管理マニュアルを見直すサイクルの構築を全国的に推進していく。また、通学路等の交通安全、防災安全、生活安全(防犯等)の対策は学校の取組だけでは対応が困難であり、地域社会を巻き込んだ取組や学校と様々な関係機関との連携を一層推進していく。このような考え方に基づきまして、基本的な方向性として、6つお示ししているところでございます。
 1点目、学校安全計画・危機管理マニュアルを見直すサイクルを構築し、学校安全の実効性を高めるということでございます。これまで学校安全計画や危機管理マニュアル、それぞれ策定していただいているわけでございますけれども、策定後、十分な見直しが行われていないという指摘も一部あるわけでございます。そうした中で、定期的な見直しサイクルをしっかり構築していくことが大きな課題ではないかという観点でございます。
 2点目、地域の多様な主体と密接に連携・協働した安全対策を推進するということです。学校だけでは十分な安全教育ができるわけではございませんので、学校と多様な地域の主体がしっかりと連携・協働することが必要でございます。
 3点目、全ての学校における実践的・実効的な安全教育を推進するということです。より一層、実践的・実効的な安全教育が非常に重要だという御指摘を踏まえたものでございます。
 4点目、地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育を実施するということです。それぞれの地域で個別の災害リスクが把握されているわけでございますけれども、そうしたものを十分踏まえた実践的な防災教育を実施することが必要でございます。
 5点目、事故情報などデータを活用し学校安全を「見える化」するということです。
 6点目、学校安全に関する意識の向上を図る(学校安全文化の醸成)ということです。こうした点を基本的な方向性という形でお示ししているところでございます。
 2ページ目を御覧いただきたいと存じます。第2章、学校安全を推進するための方策でございます。
 方策の1番目の柱といたしまして、学校安全に関する組織的取組でございます。
学校経営における学校安全の明確な位置付けと書いてございます。校長がリーダーシップを発揮して、全教職員に共通理解をしっかりしていただくということが重要でございまして、そのためには、1点目として学校経営に明確な位置付けをしていくということが重要であるということでございます。
 また、2点目、セーフティプロモーションスクールの考え方も参考とし、学校安全計画を見直すサイクルを確立するということです。セーフティプロモーションスクール、こちらは池田小の事件を踏まえて、今、全国的にも取組が進んでいるわけでございますけれども、関係者が学校安全の重要性をしっかりと認識し、組織的・継続的な取組を実践していくと、こうした体制が重要でございますけれども、その中で見直しサイクルをしっかり確立していくということが重要と考えてございます。
 それから3点目、今後想定される大規模災害など地域ごとのリスクを踏まえた危機管理マニュアルの見直しということでございます。様々な地震等、自然災害が頻発しているわけでございますけれども、もう一度地域ごとのリスクをしっかりと把握していただいて、危機管理マニュアルを見直していくことが必要でございます。
 また4点目、学校における学校安全の中核を担う教員の位置付けの明確化ということで、教員の位置付けをはっきりさせるというだけではなくて、校長を中心として、しっかりとした全校的な体制を築いていくということが重要と考えております。
 更に5点目、教員養成における学校安全の学修の充実ということで、こちらにつきましても、教員養成段階で、こうした安全教育に関する中身をしっかりと修得していただくことが重要ということでございます。
 それから2番目の柱でございます。家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進ということです。
八街市で発生した下校中の交通事故も踏まえて、今、文科省、国交省、警察庁、三省合同で総点検を実施しているわけでございますけれども、通学時の安全確保に関する地域の推進体制の構築、通学路交通安全プログラムの充実・強化を図っていくということが1点目でございます。
 2点目、コミュニティ・スクール等の仕組みを活用した地域との協働による防災対策の推進です。防災を考えていく上では、地域との協働が欠かせないわけでございますけれども、今進んでおりますコミュニティ・スクールなどの取組をしっかり活用して、こうした取組を進めていただきたいということでございます。
 また3点目、防犯につきましては、性被害の観点もより一層明確にして取組をするということでございます。
 3番目の柱でございますが、学校における安全に関する教育の充実でございます。
 1点目が幼児期からの安全教育の充実でございます。保護者の意識を高めていく上でも、発達段階に応じてこうした取組を早期に進めていくことが重要と考えております。
 また、2点目が地域の災害リスク、正常性バイアスの学習を含めた実践的な防災教育の推進、外部機関(消防団等)との連携の強化でございます。実践的な防災教育をしていく上で、正常性バイアスといったような指摘もあるわけでございますけれども、災害が起きたときにどうやっていち早く行動に移すことができるのかという、実践的な防災教育をしっかりやっていくことが重要であるという御指摘でございます。
 それから、3点目がGIGAスクール構想により整備されたICT環境を活用した安全教育、デジタル技術を活用した防災教育です。
 また、4点目としてネット上の有害情報対策(SNSに起因する被害)、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」の制定を受けた性犯罪・性暴力対策(生命(いのち)の安全教育)など、防犯に関する教育内容について、学校安全計画に位置付けを明確化して推進していくということでございます。
 それから、3ページ目を御覧いただきたいと存じます。4番目の柱といたしまして、学校における安全管理でございます。
 安全点検に関する項目・方法・判断基準の検討・周知、学校施設の老朽化対策・水害対策、非構造部材の耐震対策の推進、そして、重大事故に至らないヒヤリハット事案を活用した学校における安全文化の醸成ということでございます。事故からどのような教訓を学び取って今後の防止に努めるのかという観点でございます。
 また、重大事故発生後の国への報告ということがございます。こちらにつきましては、基本として、死亡事故などが起きたときには、調査をし、国に一報するということになっているわけでございますけれども、そうした報告が一部なされていないという御指摘もあるわけでございます。そうした報告体制をしっかりとさせていくという観点での検討が必要ということでございます。
 それから、5番目の柱は、その他、横断的な事項でございます。学校安全に関する調査項目の重点化学校安全の取組状況や災害共済給付データを活用した事故情報の「見える化」、それから、AIやデジタル技術を活用した、科学的なアプローチによる事故予防に関する取組の推進ということでございます。
 また、学校安全を意識化する機会の設定の推進ということで、例えば、各学校の教職員等の意識を高める日、あるいは週といったものを設定するといったようなことも考えられるということでございます。
 また最後に、国の学校安全に関する施策のフォローアップ体制を充実させていくことが必要ということで、今回の計画を策定いたしました後、施策の着実な推進状況を定期的にフォローアップしていくことが必要ではないかと考えているところでございます。
 私からの御説明は以上でございます。どうぞ、御審議方、よろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました答申素案の内容につきまして、御意見、御質問がありましたら、よろしくお願いします。先ほど説明があったとおり、講堂で参加の委員につきましては、ネームプレートを立てていただきたいと思います。また、ウェブ参加の委員につきましては、挙手ボタンを押していただき、御意見、御質問が終了しましたら、挙手を取り下げていただきますようお願いいたします。また、御発言のとき以外は、マイク及びカメラはオフにしていただければと思います。
 それでは、まず講堂の清原委員からよろしくお願いいたします。
 
【清原委員】  ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授の清原です。
 部会長を中心に、丁寧にきめ細かく素案をまとめていただきまして、感謝いたします。2点について意見を申し上げます。
 1点目は、資料1-1の2ページ目の「3.学校における安全に関する教育の充実」についてです。その前の項目に、「家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進」とタイトルがございますが、学校における安全に関する教育の充実についても、特に家庭、あるいは、PTAの皆様との連携・協力というのが重要ではないかと、ひしひしと感じております。
 「GIGAスクール構想」によって、タブレットが教室で日常的なツールになりました。家庭でもタブレットやスマートフォンなどの利用が日常化しています。そうした中で、「GIGAスクール構想」により整備された「ICT環境を活用した安全教育、デジタル技術を活用した防災教育」も重要ですが、次の項目にありますように、「SNS等に起因する被害、いじめ」などを防がなければなりません。
 PTAにおかれては、全国各地でスマートフォン、携帯電話の事業者も参加している「安心ネットづくり促進協議会」と連携をして、インターネットを利用することによって、加害者にも被害者にもならない教育を、PTAとしても進めてくださっています。是非、このデジタル化の中で、「GIGAスクール」の効果が上がりつつ、決して被害者が生まれないように、PTA、保護者の皆様との連携を強くお願いしたいと思っています。
 次に、2点目は、私はこの記述がありがたいなと思いました。それは、次、3ページの「4.学校における安全管理」のマル2つ目に、「学校施設の老朽化対策・水害対策」だけではなくて、「非構造部材の耐震対策の推進」と書いていただいていることです。
 学校の耐震化は、おかげさまで、全国各地、かなりの比率で進んできています。ただし、体育館等の非構造部材の耐震対策については、まだこれからというところもあり、災害時は避難所になるケースも多い体育館、日常的には子供たちが伸びやかに使ってもらう施設の非構造部材の耐震対策の推進が明記されたことは、全国の学校施設に悩みを持っている立場の人たちにとっては大切な記述であると、アンダーラインを引きたいなという思いで聞かせていただきました。
 以上、きめ細かく書いていただいた内容を、是非現場が実現しやすいように、当事者意識を持って学校が取り組んでいただけること、そして、家庭や地域が一緒になって子供たちのために進めていくことを願っております。
 どうもありがとうございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 1点目は安全教育の視点から、大変前向きな御意見を頂いたと思います。
 それから、2点目の安全管理の面でも、従来の構造面の対策だけではない新しい視点での検討が必要だという重要な御指摘を頂きました。ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、村岡委員、お願いいたします。
 
【村岡委員】  山口県知事の村岡でございます。
 このたびの答申の素案、拝見させていただきました。これまでの議論を踏まえて、分かりやすく方向性が示されているというふうに思っております。事務局の皆様、本当にお疲れさまです。
 素案におきましては、死亡事故の発生件数を限りなくゼロにするということが目指されております。我々、都道府県としても、ここはとても重要なことで、喫緊の課題であると思って、それぞれで対応をしっかりと進めているところであります。
 課題といたしまして、関係者の意識に差があることですとか、あるいは、児童生徒を取り巻く学校安全上の課題に対して、学校の教職員がその全てを担うことが困難であるということが指摘されていますけれども、そのとおりだと思います。解決策について記載もありますが、コミュニティ・スクール等の仕組みを活用して、地域ぐるみで防犯、あるいは安全、交通安全とか防災の取組を行うことの必要性、このことを私自身も強く感じているところです。
 山口県におきましては、コミュニティ・スクールを全県でしっかりと整えていこうということで進めてまいりまして、県内全ての公立の学校におきましてコミュニティ・スクールが導入されています。100%の導入率ということになっていますけれども、そういう中で、子供たちが安心、安全に学校生活を送れるように、学校の安全管理体制の整備はじめ、このコミュニティ・スクールの仕組みを使って、例えば、通学路の見守りですとか、あるいは防災訓練ですとか、様々な活動を、学校、そして、家庭、地域、関係機関が連携をしながら取り組んで、そうした中で学校安全の取組も進めているところです。
 具体的な事例として、例えば、山口県内のある地域におきましては、小学校と中学校と高校、それぞれの学校運営協議会が連携をしまして、地域ぐるみで防災学習とか、こども防災キャンプということを行っています。これはどういったことをしているかと言いますと、例えば、地域の方から、過去にその地域で起こった豪雨災害とか、そうした被災体験を子供たちが聞いて、災害について話し合いをする。それで、安全な避難場所ですとか避難ルートについて確認をして、そして、その過去の体験を風化させないために、児童生徒が協働して紙芝居を作ったり、そういう防災学習を小中高、そして地域が連携してやっています。
 それから、再び災害が起こったことを想定して、避難所になる地域の高校に実際に避難をして、そして、電気とかガスとか水道を使わずに、一泊二日で実際に災害が起こったような状況をリアルに体験する、それで学習をするこども防災キャンプという取組も行っています。
 コロナ禍で、なかなかそういった活動を控える傾向もあると思うのですけれども、しかし、この地域におきましても災害は待ってくれないと、今だからこそと、そういう思いで開催されまして、児童生徒、保護者、教員、そして、地域住民の皆さんも防災意識の高まり、そうした意識の醸成につながっています。
 素案にも書いてありますけれども、学校施設は地域のコミュニティの拠点であって、実際に災害時には避難所等にもなることからも、平素から学校と家庭、地域、そうした関係づくりが、非常時に児童生徒の命、安全を守ることにつながっていく大きな要素になると思います。
 引き続き、防災部局を受け持つ行政、それから、学校と家庭、地域、それから、警察等も含め、関係者がしっかりと連携を強化して、学校安全の取組を推進していく必要があると思っております。
 いずれにしても、これは学校の範囲を超えた課題でありますので、地域とよく連携した取組が重要ですし、そうした仕組みづくりやその推進について、引き続き後押しを様々な政策の面でも頂ければと思っております。
 以上です。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 地方行政側の視点から、現実的な事例も含めて御説明いただきました。学校の組織活動において、地域のコミュニティを巻き込んで、家庭や地域社会との連携を強化することが大変重要だという御指摘を頂いたと思います。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、中野委員、お願いいたします。
 
【中野委員】  浅口市の教育長、中野でございます。よろしくお願いいたします。
 委員の皆さんには、きちんとまとめていただいて、すばらしいと思っております。総体的には、学校の実態や課題に合った第3次の計画になっていると感じました。
 現在、第2次の計画に沿って学校安全の推進が図られているわけですけれども、安全上の課題は本当に複雑化・多様化してきているということも事実であるように思います。先ほど話に出ました今年度6月の千葉県における八街市の事故のほうですけれども、大変悲惨な事案でございました。もうまさに学校の教職員の努力だけでは防止できない事案でございます。
 本市において、PTAとか、地域の方とか、学校運営協議会、そちらのほうがすぐに動いてくださって、通学路の危険箇所の報告等が上がってまいりましたので、専門的に警察、それから、道路管理者などが協議を行って、できる対策をすぐに講じました。
 こういったことができたのは、「通学路の交通安全プログラム」に基づいた取組とか、何とか子供の安全のために動こうとするコミュニティ・スクール、先ほど村岡委員のほうからもありましたが、こういったところが平素からのそのような取組があったからだというふうに私も思っています。
 ほかの地域についても、いろいろな組織とか体制はできていると思うのですが、この第3次の計画では、是非それが実効性のあるものにしていくこと、その重要性を感じているところです。
 そこで、具体的に答申素案のページでお話ししていきたいと思います。5点についてお話しします。
 1点目ですけれども、5ページの基本的な方向性の中ですね。ここに、実践的・実効的な取組になるということ、こういったところ、本当に多く示されていて、先ほど話をさせていただいたとおりで、本当にこの部分が重要であると考えます。
 次に、2点目ですが、そのページの中ほど、学校安全に関する組織的取組の中で、校長が学校経営に明確に位置付けるということが大切であるというふうにあります。私もそのとおりだと思います。そうすることで、評価しやすい、それから、実効性のあるものになりやすいというふうに思うわけです。併せて、校長、この学校経営などを明確に位置付けると。学校運営協議会において報告と承認等を受けるようになりますが、やはりそうすると、学校運営協議会においても学校安全の取組、これを明確にしていくということになろうかと思います。
 3点目です。地域の実態や現地を知らずして子供の安全は確保できないということは言うまでもありません。地震、津波、河川の氾濫、土砂災害などの避難に関しても、適切な場所への誘導、これは重要です。この実践的な訓練において、家庭、地域との連携・協働、これは欠かせないものですね。そこで、8ページに、家庭、地域、関係機関等との連携・協働ということ、これが第2番目として位置付けられる。これは本当に大切なことだと思いますし、評価したいと思いました。
 4点目です。11ページに、タブレット等を活用した防災教育は有効であるため、是非ともこれは明記していただきたいと思います。子供たちが守られる対象から成長して、今度は、自らの安全を自分たちで確保できる、そのような基礎的な資質能力を身に付けるようになるということはとても重要です。そのためにも、ICTをそれぞれ持っていますから、活用できますので、特に地域の災害リスクなどを調べるような、正しい情報を入手できるような方法も身に付けていくということは大切かなと思います。それによって、正しい判断をすることもできていくと。清原委員が言われたように、家庭との連携、保護者と一緒になって学習していくということも必要になってくるかとも思います。そういった意味からは、この部分だけではなくて、ほかの場面でも、ICTの活用ということが記載できるのではないかと感じました。
 最後です。安全教育では、安全に関する資質能力を身に付けた子供たちが社会人となって、将来的に安全で安心な社会をつくっていくという、そういったことが目標になると思うのですが、13ページの学校における安全文化の醸成ということであるならば、学校を組織する構成要員である児童生徒、この関与が必要ではないかと思います。例えば、危険箇所は日々変化するわけで、小さなネジの緩みなどは、多くの児童生徒の目で把握するのは効果的であろうし、自ら危険性に気づいて報告できるという、そういう児童生徒を育てていくということが必要かと思います。児童生徒が安全点検を行う学校もあると聞いています。事故を未然に防ごうとする意識とか行動、これは児童生徒が自ら持つべきであろうと思います。そのような風土が、安全文化というものにつながってくるのではないかと考えました。
 以上、気づいた点をお話しさせていただきました。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 今回策定する第3次学校安全推進計画は、従来に比べてより実践的で、より実効性を高めていく必要があり、とりわけ、家庭、PTA、地域との連携や協働の推進が、実効性、実践性を高めるために非常に重要であるという御指摘だったと思います。
 かつ、ICTインフラを使用し、そのノウハウを活用してリスク管理の高度化などに結びつける必要があるという御指摘と受け止めさせていただきました。本当に貴重な御意見、ありがとうございます。
 
【中野委員】  ありがとうございました。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございます。
 それでは、次に、渡辺弘司委員、お願いしたいと思います。
 
【渡辺(弘)委員】  渡辺でございます。学校安全の進め方に関して、1点だけ述べさせていただきたいと思います。
 学校安全に関しては、組織的かつ定期的に取り組むべきことだと思います。できれば、改めて学校安全委員会を開催するという考えではなくて、現在ほとんどの学校で開催されています学校保健委員会の際に議案として含め、学校医や保護者を含む全ての学校関係者が情報と認識を共有するという取組が、現実的に望ましいのではないかと思います。
 また、学校安全という独立した指導・教育というふうに考えずに、感染症や突然死などの予防とか命の大切さという視点から、健康教育などと関連して指導していき、総合的に対応するというのが望ましいのではないかと思います。
 以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 予防の視点を含めて、幅広な形での対策が必要との御指摘を受けたと思います。大変貴重な御意見でした。ありがとうございました。
 それでは、挙手されている委員は以上となりますが、今までの意見を踏まえまして、事務局から何か補足すべきことがありましたら、お願いします。いかがでしょうか。
 
【藤原総合教育政策局長】  失礼いたします。
 様々貴重なお話を頂きまして、ありがとうございました。いずれの御意見も大変重要な御指摘と存じます。全体として、やはり学校と家庭、地域、PTA、そうした様々な方との連携が重要という御指摘をたくさん頂いたというふうに存じます。
 今回の大きなキーワードは、やはり実践的な安全教育をやっていくというところであろうと思ってございます。そのためには、やはり学校だけでやっても、これは実効的なものにならないわけでございまして、いかに地域ぐるみの取組を平素からやっていけるのかと、こういうところが非常に重要なポイントではないかと思っております。
 それから、そのほか非構造部材の話も清原委員から御指摘を頂きましたけれども、こうしたところも着実に取組を進めてまいりたいと考えてございますし、また、通学路の安全の検討する際の観点、こうしたところも地域ぐるみでしっかり進めていきたいと考えておるところでございます。
 また、ICTの活用についても御指摘がございましたが、やはりこういうGIGAスクールの状況でございますので、そうした体制ができてきている中で、子供たちにいかにビジュアルに、またリアリティを持ってこうした危険性を考えていただけるのかという観点を、そうしたICTも使ってしっかりと取組を進めていければと考えているところでございます。
 以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 それでは、渡邉正樹学校安全部会長から何かコメントがありましたら、お願いしたいと思います。
 
【渡邉(正)委員】  委員の皆様の御意見、ありがとうございました。
今回の答申素案の話し合いの中で、部会のほうでいろいろと議論した中で、1つは、人的体制の整備というところで、先ほど管理職のお話が出てきたと思いますけれど、やはり管理職はもちろんですけれど、中核となる教員の位置付けというのを明確化していくということが、意見として部会の委員の中から多く出ております。
 また、教員養成の段階でも、学校で子供たちを守る、そして、子供たちに安全教育を進めていくためには、教員の資質能力を高めていくということがありますので、教員養成の段階でも、やはり学校安全について学ぶ機会、内容を充実させていきたいというふうには思っております。
 以上です。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 本日は、いろいろな御意見を伺いましたが、今年はちょうど東日本大震災から10年を経たタイミングとなります。この第3次学校安全推進計画は、震災の記憶というものを風化させることなく、より実践的・実効性のある防災教育を全国的に進めていくことが重要であると考えます。なおかつ、御意見をいただきましたように、多くの関係する主体との協働が重要になってくるのだろうと思います。
 加えて、SNS等の問題等が指摘される一方で、ICT利活用など現代的な課題への対応も求められておりますし、教職員の研修・訓練にも、こうした要素を取り入れていくということが重要となります。
 本日頂いた御意見も踏まえまして、答申の取りまとめに向けて、引き続き学校安全部会での審議をお願いできればと思います。大変ありがとうございました。
 それでは、議題(1)に関する意見交換はここまでとさせていただきます。
 次に、議題(2)に移ります。議題(2)につきましては、「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会の部会長を務めさせていただいておりますので、まずは私から御説明をさせていただければと思います。
 諮問から少し間が空きましたので、その内容から振り返りたいと思います。
 今期、中教審における包括的な諮問といたしまして、今年3月に文部科学大臣から、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方についての検討事項を頂きました。その諮問の概要については、資料2-1にお示しておりますが、この諮問に先立ちまして、本年1月の中教審答申、いわゆる令和答申では、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと、協働的な学び、すなわち、「令和の日本型学校教育」を実現できるかどうかについては、時代の変化に応じた高い資質能力を身に付けた教師を確保して、その教師が生き生きと活躍できる環境を整備できるかどうかが重要な要素と言えます。よって、教師について基本的なところまでさかのぼった検討が必要とされたため、今回の諮問に至ったものです。
 この諮問内容につきましては、資料の下半分に示しております①から⑤までございますが、このうち、特に③に記載のある教員免許更新制の見直しについては、先行して結論を得るよう依頼がございました。
 この諮問を受けまして、検討体制について一任を受けたわけですが、検討を進めるに当たって、中教審総会の下に、「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会を設置いたしました。私のほかに29名の委員に御参画いただきまして、計30名の体制で、教師個人に求められる資質能力、あるいは、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方等について、これまで5回にわたって議論を行ってまいりました。
 加えまして、特別部会の下に設置しました教員免許更新制小委員会におきましても、6回の議論をいただきまして、先月15日には特別部会として、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けた審議まとめを取りまとめました。
 御参画いただきました委員の皆様には、改めてこの場を借りて御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 この内容につきましては、資料2-2から資料2-4に示してございます。まずは基本的なところまでさかのぼって検討した結果、新たな教師の学びの姿を明らかにしております。
 この議論の中で、特に強い御意見としてありましたのは、高度な専門職である教師にふさわしい、主体的な姿勢を尊重すべきだという点でございました。その上で、研修受講履歴を手がかりとしながら、教師と管理職等の積極的な対話を通じて、教師自身が個別最適な学びと協働的な学びの実現を目指すということ。そのために、ワンストップで情報を集約して、質の高い研修コンテンツ等を提供する、いわゆるプラットフォームが必要であると提言しております。
 そして、このような姿を実現するに当たっては、社会の変化等も踏まえ、教員免許更新制の発展的解消が適当であるという内容も盛り込んだところです。
 この審議まとめにつきましては、同日に末松大臣に報告を行いました。末松大臣におかれましては、審議まとめの内容についてスピード感を持って実現できるよう、必要な取組も進めると応じていただきました。
 変化の激しい令和の時代におきまして、教師の新たな学びの姿を実現するということは、まさに急務の課題だと思います。審議まとめの実現に向けて、文部科学省の取組について、今後も大いに期待したいと思います。
 もう一つは、諮問事項全体についての検討の方向性に関してです。11月15日には、この審議まとめに加えまして、資料2-5にあるとおり、諮問事項全体に対応する検討の方向性についても整理をいたしております。
 これは、特別部会におけるこれまでの議論について認識を共有した上で、特に教師の養成段階、採用、それから、社会人等の登用の促進、更に研修等について、今後の検討の方向性を整理したものです。
 非常に多岐にわたる諮問内容でございますので、この検討の方向性に基づいて、議論を一層加速したいという視点から、資料2-7にお示しているように、特別部会の下に新たに基本問題小委員会を設置いたしまして、来年、令和4年夏頃を目途にして一定の結論を得るべく、引き続き検討を進めていきたいと考えているところでございます。
 以上、私から簡単に「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等につきましての審議状況を説明させていただきました。
 次に、今御紹介しました審議まとめ、そして、検討の方向性につきまして、事務局より補足説明をお願いしたいと思います。藤原局長、よろしくお願いします。
 
【藤原総合教育政策局長】  失礼いたします。それでは、資料2-3を御覧いただきたいと存じます。審議まとめの概要でございます。
 まず、この資料の最初に、教員免許更新制導入後の社会的変化ということを書いてございます。社会が日進月歩で進化していく中で、教師自身も高度な専門職として、たゆみなく新たな知識・技能の習得に取り組み続ける必要性が高まっております。また、教師の学びの在り方について、現場の経験を重視した学びが求められているという指摘がされているところでございます。
 また、教師の研修環境ということにつきましても、平成28年の教育公務員特例法の改正を受け、公立学校の教師については、教員育成指標に基づいた体系的な研修計画の整備が進んできております。
 また、国公私立や地域を問わないオンラインによる研修コンテンツも飛躍的に充実してきたという大きな社会的な変化があるわけでございます。
 このような状況を踏まえ、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿を審議まとめで明らかにしていただいたわけでございます。
 そして、その上で、資料2-3の1ポツのところでございます。「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿ということでございますが、教育基本法にも書かれておりますように、教師はそもそも学び続ける存在であるということが期待されているということ。
 また、教師の学びが継続的に行われるためには、変化を前向きに受け止め、探求心を持ちつつ、自律的に学ぶ主体的な姿勢が大切であるということ。
 また、教師自身の強みを伸ばすためには、一人一人の教師の個性に即した個別最適な学びが必要であること。
 さらに、教師としてふさわしい資質能力を広く身に付けていくためには、協働的な学びも重視される必要があるということでございます。
 また、適切な目標設定、現状把握、学校管理職等との積極的な対話が必要だということ。
 教師自身が目標に向かって日々研鑽を積むことはもちろんでございますけれども、教師が学校管理職等と積極的に対話をし、その対話を手がかりとしながら、客観的な視点を取り入れた目標設定や、管理職等による研修受講の奨励などの適切な成長支援が期待されるところでございます。
 また、質の高い有意義な学習コンテンツが整備されているということ。
 そして、さらには、学びの成果の可視化と、組織でこれが共有されているということ。こうしたことが望ましい姿ということで、お示しをいただいたところでございます。
 このような新たな教師の学びの姿を示した上で、これを実現するための方策について、資料の2ポツのところで、早急に講ずべき方策を示しておられます。
 任命権者が、教師の研修受講履歴等を記録管理し、当該履歴を活用しながら、任命権者、学校管理職等が教師と対話を行い、この対話を通じ、管理職等が教師に計画的かつ効果的な資質向上を図るための研修受講の奨励を行う。そして、こうしたことを義務付けするということを文科省において検討すべきであるということでございます。その際、教師の研修、学びについては、学校における校内研修や授業研究などを含む仕組みとすることが望まれるということでございます。
 一方で、任命権者が当該履歴を記録管理する過程で、期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合につきましては、場合によっては、職務命令による研修の受講、また、適切な人事上・指導上の措置を講ずるということもあり得るということでございまして、こうしたことは、国が定める指針等の中で明らかにすべきであるということが示されてございます。
 また、現職研修を更に充実という観点から、教育公務員特例法に基づく指針を改正するといった内容も盛り込まれております。国による指針は、各教育委員会において、教員育成指標を策定する際に参酌するものであり、この中に、中教審における議論も踏まえ、時代の変化に応じて教師が身に付けるべき資質能力等を盛り込み、何を学ぶことが期待されているのかを明確に伝える必要があるということでございます。
 さらに、国公私立の教師を通じて資質能力を向上する機会の充実や、教職に就いていない方に対する学習コンテンツの開発といった内容も盛り込まれております。
 その上で、資料の3ポツでございますけれども、こちらは準備が整い次第講ずべき事項と具体的方向性ということでございます。
 1つ目は、研修履歴を管理する仕組みの高度化といたしまして、研修受講履歴管理システム(仮称)を導入するということでございます。現在でも、既に各教育委員会において、様々な方法でこの受講履歴の管理を行っておられる実態があるわけでございますけれども、例えばこれを全国的なシステムとして整備をしていくということでございます。
 また、左下でございますが、「新たな教師の学びの姿」の高度化を支える3つの仕組みということを示しております。
 1点目は、オンラインコンテンツも含めて、学習コンテンツの質保証をしていくこと。
 2点目は、全国の優れたコンテンツについて、ワンストップで情報を集約して、適切に整理・提供するプラットフォームのような仕組みを作っていくということ。
 3点目は、学びの成果を可視化するための証明の仕組みを作るということでございます。
 その際でございますけれども、教職員支援機構には、研修受講管理システムや、先ほどの3つの仕組みの構築・運用において大きな役割が期待されているということ、また、任命権者等との協働による標準的な動画コンテンツの作成といったことが期待されているということがございます。
 最後に、資料の一番下の部分でございますけれども、こうした「新たな教師の学びの姿」と教員免許更新制の関係でございます。
 教員免許更新制は、教師の学びの機会の拡大など、一定の成果は上がってきたものの、更新しなければ職務上の地位の喪失を招きかねず、自律的かつ主体的に学ぶ姿勢は発揮されにくいということや、10年に1度の更新講習は、常に最新の知識技能を学び続けていくことと整合的ではないのではないかといったような課題が指摘されているところでございます。
 こうしたことなどを踏まえ、教師の新たな学びの姿を実現していく上で、教員免許更新制を発展的に解消する。そして、教師の専門職性の高度化を進めていくという方向性を結論付けていただいたところでございます。
 なお、この審議のまとめには、本文のほうでございますけれども、「おわりに」というパートがございまして、ここには審議まとめの重要なメッセージといたしまして、学びに専念する時間を確保した一人一人の教師が、自らの専門職性を高めていく営みであると自覚しながら、誇りを持って主体的に研修に打ち込むことができるという姿の実現を目指すということが示されています。
 当省といたしましては、この発展的解消という方向性が示されたわけでございますので、これをしっかりと受け止めながら、「新たな教師の学びの姿」の実現に向けて、必要な取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。
 それから、続きまして、資料2-6のほうを御覧いただきたいと存じます。こちらは、今後の検討の方向性ということでございます。
 先ほど渡邉会長からもお話をしていただきましたように、こうした方向性を1つの共通の認識といたしまして、今後更に検討を深めていきたいというような段階でございます。
 そして、具体の内容でございますけれども、こちらで、これまでの議論の整理ということで4つほど書いておりますけれども、整理を行いながら、2つ目、検討の方向性というところで、具体的に4つほど大きな項目を立てておるわけでございます。
 これまでの特別部会の議論の中で、教師に求められる基礎的な資質能力につきましては、5つの柱をお示しいただいております。1つは教職に必要な素養、2つめは学習指導、3つ目は生徒指導、4つ目は、特別な配慮や支援を必要とする子供への対応、5つ目は、ICTや情報、教育データの利活用と、こういった5つの柱でございますけれども、これらを踏まえて、教職課程をどのように見直しをしていくのかという観点でございます。
 また、特定分野に強みや専門性を持った教師の養成をどのように行っていくのかということにつきましても、検討を深めていくこととしております。
 さらに、このような教職課程を担う中心的な存在として、教員養成大学・学部、教職大学院があるわけでございますけれども、その機能強化・高度化をどのように行っていくのか。また、教育委員会と大学・教職大学院との連携協働をどのように進めていくのかということも、検討のポイントでございます。
 次に、教師の採用についてでございます。教職への志望動向について実態把握をしていく必要があると考えております。それと同時に、人物重視の多面的な採用選考や、教員採用選考試験の実施スケジュールについて、今の在り方でよいのかどうか。また、効果的・効率的な教員採用選考試験をどのように実現していくのかといった観点につきましても、検討を進めてまいります。
 それから、3つ目が、社会人等の登用促進でございます。多様な経験や専門性を有する人材を教職へ迎え入れる制度である「特別免許状制度」、それから、「特別非常勤講師制度」、「教員資格認定試験」がございます。こうしたものについて、複線化された入職ルートとして、より一層機能させていくための方策について検討することとしております。
 併せて、教師を採用する任命権者等が、多様な専門性を有する社会人をより積極的に採用しやすくなるような環境整備についても検討することとしております。
 それから、最後が研修という項目でございますけれども、新たな教師の学びの姿の実現に向けて、研修の体制整備も含め、様々な施策を検討してまいります。また、学校管理職、特に校長でございますけれども、組織のリーダーとして求められる役割や資質能力について、教育公務員特例法の指針に盛り込んでいくということも含めて、検討を深めていくこととしております。
 こうした内容につきまして、来年の夏頃までを目途に、引き続き御審議を頂くということで今考えておるところでございます。
 私からの補足説明は以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、今、末松大臣が大臣室を出られたとのことですので、審議を進めずに、このまま少しお待ちしたいと思います。
(末松大臣入場)
 
【渡邉(光)会長】  今、末松大臣が御到着されました。末松大臣におかれましては、就任後初めての中央教育審議会総会への御出席となりますので、一言御挨拶を頂きたいと思います。
 ここで、報道関係者各位におかれましては、御入室をお願いします。
(プレス入場)
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、末松大臣、御挨拶、よろしくお願いいたします。
 
【末松大臣】  では、会長、着座で失礼させていただきます。
 遅参をいたしました。今日、参議院の本会議がございまして、これで衆参の代表質問3日間終わりまして、いよいよ来週の月曜日から衆議院で約3日、参議院で3日の予算委員会が開かれます。補正予算案の審議が中心となります。
 今日は、既にもう池田副大臣、鰐淵政務官より御挨拶があったと思います。
 改めまして、このたび岸田内閣の下で文部科学大臣を拝命いたしました末松信介でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 就任後初めての総会でございますので、この中央教育審議会に出席させていただくに当たりまして、まずは渡邉会長、そして、永田、荒瀬両副会長をはじめ、委員の先生方に、心よりその御尽力に感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 私の好きな言葉は、「人間は教育によって人間になる」という言葉であります。子供は国の宝であり、教育は国の礎であります。国づくり、人づくりの根幹と言える教育をしっかり前に進めていくために、御提言を頂きながら、政策を一つずつ前に進めてまいりたいと思います。
 本日の総会の議題となっております第3次学校安全の推進に関する計画の策定につきましては、学校における安全教育や安全管理の在り方、そして、家庭と地域との連携や、学校における組織的な取組の在り方を含む答申素案について御議論をいただいていると承知をいたしてございます。
 また、先だって、渡邉部会長、加治佐委員がお見えになりまして、「『令和の日本型学校教育』を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて」という審議まとめを頂きました。
 私が文部科学大臣になりまして約2か月ですけれども、できるだけ時間があれば教育現場を見ていこうということで、かなりの箇所を見てまいりました。いろいろと思うこともございました。ただ、校長先生によって随分学校は変わるのだなということを思いました。
 そして、やはり教師は子供たちの人間形成に大きなきっかけ、役割を果たしているということも気がついたところでございます。
 そして、ICTの教育を見ておりまして、この前初めて大臣室にデジタル教科書を持ち込みまして、スクリーンも持ち込んで、モニターも持ち込みまして、みんなで拝見をしました。この二、三年で変わったと思うのですけれども、そのときに出た言葉というのは、「子供たちが大変だな」という以上に、「先生が大変だな」という言葉でした。ですから、やはりこれからは、渡邉会長から頂いた提言の中にあるように、学び続ける教師、そして、教師の継続的な学びを支える主体的な姿勢ということ、また、子供もそうですけれども、個別最適な教師の学び、協働的な教師の学びということを、大事にしながら前へ進めてまいりたいと思います。
 科学技術のことなど、いろいろと今日の参議院本会議でも議論になっていましたけれども、成長の種をまくには、やはりしっかりとした基礎的な教育が大事だと思っておりますので、中教審からの御提言を頂きながら頑張りたいと思います。
 長くなりましたけれども、御挨拶に代えさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 
【渡邉(光)会長】  本当に力強いお話をありがとうございました。
 それでは、ここで報道関係の各位におかれましては、退室をお願いいたします。ありがとうございました。
(プレス退場)
 
【渡邉(光)会長】  それでは、先ほど御説明いたしました審議まとめ等について、御意見、御質問をお伺いしたいと思います。先ほどと同様に、講堂でご参加の委員の皆さんについては、ネームプレートを立てていただき、ウェブでご参加の委員につきましては、挙手ボタンを押していただき、御意見、御質問が終わりましたら、挙手を下げていただくようお願いいたします。
 重ねてのお願いになりますが、ウェブ参加の委員の方については、御発言の時以外はマイク・カメラをオフにしていただくようお願いいたします。
 それでは、御意見、御質問をお願いいたしたいと思います。
 では、渡辺弘司委員、よろしくお願いいたします。
 
【渡辺(弘)委員】  渡辺弘司でございます。今般の制度の実施に関して、意見を1点だけ述べさせていただきたいと思います。
 教師の健康保持というのは、効果的かつ継続的な今回の研修には必須のものだと思います。しかし、コロナ禍における感染対策や、GIGAスクール構想におけるICTの利用など、新たな業務が増えて、労働が過剰傾向にあるように感じております。
 このたびの制度を実施されるに当たりまして、研修を受ける時間を確保する御配慮、並びに、教職員数にかかわらず、全ての学校に学校産業医が関与できるような体制を整備していただきたいと要望いたします。
 以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 御指摘のとおり、コロナ禍と研修・教育との関係性について、今後重要な課題になるものと認識させていただきました。貴重な御意見だと思います。ありがとうございました。
 それでは、次に、熊平委員、お願いいたします。
 
【熊平委員】  ありがとうございます。熊平でございます。私のほうからは2点ございます。
 まず、教育現場の多様性を前提に検討する必要があるのではないかという御提案をさせていただきたいと思います。以前、教員養成のための専門職大学院を経営いたしておりましたが、修了生が赴任する学校により、先生の役割がかなり違っていて、進学校に行く修了生もおりましたが、例えば、トランシーバーなどを片手に授業をして、隣の教室に支援にいつ入るか分からないといった学校現場に赴任した修了生もおりました。
 このように、学校現場によって求められる能力がかなり違うというのが現実だと思います。従いまして、土台となる能力や専門性を高めるために、研修や、学習機会が充実していくことはとても良いことだと思いますし、ご提案の内容は、とても正しい方向性である思いますが、一方で、学校現場で先生が成長する部分が非常に大きいと思います。このため、学校の管理職の皆様には、育成の責任者という位置付けになっていただきたいです。また、新人とベテランが同じことを求められる職業というのは、教員以外にはないと思います。新任教員もすぐに担任としての能力を期待されています。しかし、今日では、教員に、かなり高いレベルの能力が期待されていますので、教員も、段階的な成長を許される環境整備を検討するべきではないかと思いました。
 また、もう1点は、もう既にお話にもございましたが、働き方改革を通して、教員がやりがいのある職業であるということを実感していただけるような、そういう社会を実現するべきであろうと思います。皆様も同じ思っていらっしゃると思うのですが、そういう社会の実現を強く願います。
 その際に、教員の役割の範囲を少し整理していくことも、同時に進めていく必要があるのではないかと思います。日本の先生だけが子どもたちに関わることを全て担っています。日本の先生が、優秀であるという背景もあり、そのような状況がずっと続いてしましました。しかし、社会も大きく変化し、家庭の教育の質が低下したことにより、先生の負担は増大し続けています。また、10年以上前から、先生たちは忙しくて授業の準備ができない状況にあります。時代が求める新しい教育をつくり上げていくために、先生も学ばなければなりません。先生が、学びに押しつぶされないように、業務の見直し、役割の見直しを並行してやっていくことが必要ではないかと思います。その上で、教員のコンピタンシーの定義を行い、教員養成の指針にするべきではないかと考えます。以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 教員の養成段階からの視点も交えて、非常に現実的な御指摘を頂いたと思います。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、堀田委員、お願いいたします。
 
【堀田委員】  東北大学の堀田でございます。
 すばらしい審議のまとめを丁寧に、ありがとうございました。今後、具体的なことを詰めていっていただくのかと思いますので、そこについて、1つだけお願いをしたいと思います。
 それは、教員研修の多様性の保証についてでございます。ただいまの熊平委員の御意見と似ている部分がございます。各教育委員会等の教員研修を施す側の体制、そのほか、教職員支援機構や教員養成大学等によるオンラインを用いた研修が提供されることは、距離にかかわらず第一線の研修を受講できるという観点から、非常に望ましいことだと思います。
 一方で、このコロナ禍の間に、オンラインでの民間研修が非常に広がったように思います。これまで教員研修を主催することはなかったような団体や、あるいは、先生方が自分たちで手弁当でオンライン研修をつくって、全国のみんな集まろう、というような感じで、主体的に取り組んでいる例もあります。また、土日や夜の時間に実施されているものもありますし、あるいは、民間の人も一緒になって議論しているような、そういう研修もあります。こういう研修は、自治体の枠を超えていますし、立場も超えていますので、公的機関ではむしろなかなか企画しにくいような、そういうものが多いかなと思っております。
 これらの民間研修を公的な研修と同様と扱うというのは難しいと思います。また、休日開催のようなものを、働き方改革の中でどのように承認していくのかというのも難しいことかと思います。しかし、現場では、平日は教室を離れにくいという現実がございますので、何か休日の振り替え等、うまく時間調整をするということを通して、このような研修を認めていくことで、多様なニーズに対応した教員研修の多様性を確保できるのではないかと考えております。是非、そのような方向で、具体的な制度設計をしていただければと思うところです。
 以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 今回の審議まとめ、そして検討の方向性にも示しております研修の在り方について、御指摘のように、研修の多様性にどう対応していくのか、とりわけ公的な研修と民間の研修をどうコラボレーションしていくのか、という大変重要な視点を御指摘いただいたと思います。
 教職員支援機構や各教育委員会との連携においても、そのような視点が大変重要であると受け止めさせていただきました。貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、続きまして、清原委員、お願いいたします。
 
【清原委員】  ありがとうございます。清原です。
 渡邉会長をはじめ、特別部会の皆様には、大変集中的で濃密な御審議を取りまとめていただき、「教員免許更新制を発展的に解消」して、「教師の学びの姿を新たに実現」していく、「教師の専門性の高度化」を目指すお取りまとめを、ありがとうございます。
 しかも、「令和の日本型学校教育」のキーワードであります「個別最適な学び」と「協働的な学び」を、児童生徒だけではなくて、教師にも提案をしている。このことはとても大事ですし、何よりも「主体性を尊重する」ということを明記していただいているところが大事だと思います。
 そこで、実は、これは御参考になればと思うのですが、「準備が整い次第講ずべき事項」の中に、「研修履歴を管理する仕組みの高度化」として、「研修受講履歴管理システム」の導入というふうに書かれております。これはもちろん任命権者や服務監督権者、学校管理職等が教師との対話をする際にも参考になるという視点では、こういう名称で正しいと思いますし、「自己管理」をするという意味でも、「管理」という言葉は良いのかもしれませんが。この「個別最適な学び」と「協働的な学び」、「教員の主体性を尊重する新たな研修」を「自己管理」していただくときのシステムの名称としては、例えば、「研修参加履歴活用システム」というふうに、「管理」という言葉が持つ何とも言えない上下関係のイメージを排して、主体的に教員が活用していただくようなシステムとしてはどうかな、と思います。しかも、「協働型学習」もありますので、「受講」という受け身ではない、「参加」という言葉の方がいいのかなと思います。これは行政用語としては「研修受講履歴管理システム」としていただいてもいいのですが、都道府県、あるいは、自治体で御検討いただくときに、何か愛称を付けていただくとか、少し参加が楽しくなるようなシステムとして構築していただければと思ったのが1点です。
 2点目、急ぎ発言します。今回、基本問題小委員会において、更に御検討いただく検討の方向性が、資料2-6で示されました。私は、「令和の日本型学校教育」を進めていく上で、「少人数学級」、そして、「教科担任制」などの実現を考えますと、本当に質の高い教員が人数多く必要になってきます。そういうときに、今後検討の中に、「社会人等の登用促進」というのが明記されています。しかも、今回の審議まとめの22ページには、例えば、「教員免許状を保有するものの教職には就いていない者の資質能力の確保に資する学習コンテンツの開発」というふうに、幅広く人材を求めていくことが必要です。そして、社会人になってから、また新たに教職を志す人にとっても、その経験が生かせる仕組みを考えていただくというのは、非常に重要です。しかも、資質だけではなくて、人数確保の点でも重要だと思いまして、是非、この「社会人等の登用促進」についても、具体的な御提案を頂いて推進していただければありがたいと思います。
 以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 審議まとめにあるように、教師の主体的な学びを尊重すべきという視点に立った際に、この「研修受講履歴管理システム」という名称が果たしてふさわしいのかという御指摘だったと思います。学校現場にどのように打ち出すべきかについては、今の御意見を参考に、今後文科省にてご検討いただければと思います。
 それから、2つ目の小委員会の検討の方向性ですが、御指摘の要素は、社会人等の採用や研修内容を含め、教師の多様性という視点を色濃く出していると思いますので、貴重な御意見として承りたいと思います。
 それでは、次に、井坂委員、お願いいたします。
 
【井坂委員】  こんにちは。県立学校の校長という立場で少しお話をさせていただきます。
 教員免許更新制の発展的解消という方向につきましては、大変納得感を持って受け止めております。最初の御説明にもありましたとおり、免許更新が身分の喪失を招きかねない状況の下での研修ということに対しましては、今お話をたくさん頂戴しましたとおり、やはり主体性であったり、柔軟性であったり、そういうことを重視するということで、非常に納得感を持っております。
 中教審においては、平成24年の答申で、学び続ける教員像という言葉が発言され、何となく現在の免許更新制は、前回の学び続けるというニュアンスとは矛盾があったのではないかとも感じるところです。
 ただ、一方、実は、ちょっと寂しい話なんですけれども、10年に一遍であっても、一部の教員にとっては、教員免許状を持っているからそれで終わりではないんだと。今回は免許更新させてはいけないということがあったにせよ、教員というものは学び続けるものだということを、ある意味メッセージにはなったということは、これはまた1つ事実かと思います。その意味では、その発展的解消という文言を素直に現場の校長として受け止めます。
 一方、この免許更新制が、先ほど審議のまとめの中にもありましたように、教師の人材確保には不透明感をもたらしているという表現もありました。また、必要な教師の数の確保と、その資質能力の確保を将来にわたって実現する必要があるということも、何か所にも書かれておりました。
 もとより免許が失効しないということで、そのことは、イコール、現状における教員不足が解消されることにはなかなか直結しにくいものがあると思っております。
 私が申し上げたいのは、3月12日の大臣からの諮問の最初の部分の理由にありましたとおり、現在、教師を取り巻く環境は厳しいものがあると。いわゆる教師不足も一部の学校において発生していると。特に、教師という社会的役割の重要性に比して、魅力的な職業としての社会的認識が十分ではないという、そういう御指摘が諮問の中にありました。
 実は、私が勤務する高校は、ほぼ全員が大学へ行きまして、現役で40%を超える生徒がいわゆる国立大学に進学しております。私は、6年目になるのですけれども、6年前に着任した頃は、教育実習生が20人前後いました。だんだん減ってきまして、昨年度は4人で、今年はとうとう教育実習生が1人になっちゃいました。
 また、一方、神奈川県でございますと、県立高校の中で、私が見ていても、将来有望だなと思われる若手教員が、いわゆる民間のほうに転職してしまうという例がちらほらと見受けられている現状があります。その意味で、先ほど申し上げた魅力的な職業と。もちろん、私も現場の校長として、そういうことをしっかり伝えていけていないということも忸怩たる気持ちはありますけれども、教師不足というものは、本当に現場では待ったなしの状態であるということを申し上げたいと思います。
 そこで、今後の検討の方向性ということで特別部会のほうで示されましたように、今ちょうどお話もあったように、社会人の方の活用等がありますように、私自身、実は、教員になる前に民間企業に、わずかですけれども勤務していた経験もありまして、こちらの検討の方向性のほうにも、教員採用選考試験の実施スケジュールの在り方とか、また、人物重視とか、まさに私が教員になった頃からも、就職に当たってのスケジュール感というのは非常にネックになっていて、教職を諦めた者も当時もいました。
 ですので、この辺等も含めて、是非民間と、あるいは、大学と学校現場と、ある意味、私は、フレキシブルで交流というのでしょうか、それぞれ転職というのでしょうか、あるいは、どんな形か分かりませんけれども、動くことができるような制度設計などもしていただいて、より多くの人間が教員を目指すような、そんな環境を設定するような提言を頂ければありがたいと思います。
 また、これも今までの委員の先生方が発言されて、大変ありがたかったのですけれども、やっぱり働き方改革ですね。これも熊平委員からもありましたように、教員の仕事は何であるかということは、もちろん働き方改革ということで提言されておりますけれども、なかなか現場には浸透していないという実態があります。やはり持続可能な学校現場を維持するには、この研修の在り方というのも大いに関係しますので、是非とも、魅力的な職業としての社会的認識が上がるような審議も続けていただきたいと思っています。
 最後に、1点だけお願いします。前半の学校安全の推進に係る計画の策定におきましても、また、こちらの教員の研修におきましても、やっぱり今後ますます校長のマネジメントという力が大きいのだなということを改めて受け止めました。こちらにつきましても、今後の検討課題で、学校管理職、特に校長に求められる資質能力の明確化と書いております。まさに教員であって、恐らく昔は、いい先生であれば、いい管理職、いい校長になったという時代もあったのでしょうけれども、明らかにやはりマネジメントの力というのは計画的につけていかないと、なかなか一朝一夕につくものではないと思いますので、是非とも校長に求められる資質能力というものを明確化していただいて、進めていけばありがたいと思っております。
 そして、是非この方向で進めていただくことを切に願っているということを申し上げたいと思います。
 以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 今回お示した検討の方向性に対するエールを頂いたものと受けとめながらお話を聞かせていただきました。
 冒頭の教員免許更新制について、学び続ける教師であるということを前提としながらも、教師の社会的地位を高め、より魅力的な職業とするために、現行制度の課題を整理した結果、今回の結論に至ったということですので、今、御意見をいただいたとおりだと思います。
 大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。
 それでは、次に、後藤委員、お願いいたします。
 
【後藤委員】  いろいろ案の御検討ありがとうございました。
 まず、「令和の日本型学校教育」という言葉を聞いたときに、日本型というのは何かということを考えました。日本の教育の特性や強みを生かしていく方向性が重要で、日本のこれまでの教育というのは質の高い教師で支えられてきた部分が多いかと思いますので、師スポットを当てていただいたというのは非常にいいことだと思います。
 それと、先ほどから研修等の問題が出ておりますが、教師には、再教育、もうちょっと端的に言いますと、一方通行の座学研修よりは、師教師が学び続けるための支援が必要かなと思います。特に最近、デジタル化の対応とか、学生支援とか、地域とか家庭の教育力も低下しておりますので、それをやはり学校で支えていくというようなことが大事ですので、教師の支援という観点からのいろんな研修のためには、現場の教師のニーズを吸い上げることも必要かなと思います。
 それから、先はり先ほどから何度も出てきておりますように、教師には、子供と向き合うためのゆとりが必要になります。子供一人一人の伴走者ですので、ゆとりがないとそれができないということになりますので、そこのところはやはり確保していかないといけないと思います。
 それから、教員一人一人の資質向上ということも大事ですが、教師集団としての質向上、教員同士が補完し合うような、例えば、新規採用のときのメンター制度とか、いろいろチームとして対応できるような仕組みをつくっていくことが重要ですと。
 それと教師になりたい、教師を志願する人が減ってきているのではということを懸念していまして、例えば、今日の話を聞いて、教師になりたいと思っていただけるかどうかという観点も重要と思って聞いておりました。
 以上です。今後ともよろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 高等専門学校は我が国の成功モデルだと思いますが、それに通ずる視点で、大変貴重な御意見をいただきました。
 とりわけ、児童生徒のよき伴走者となる教師というものは、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の中で育成されることが重要だと受け止めさせていただきました。ありがとうございました。
 それでは、次に、今村委員、お願いいたします。
 
【今村委員】  ありがとうございます。発言させていただきます。
 今日は、教員の養成や採用や研修の在り方についてというところにつながるところだと思いますが、少しずれたところで発言させていただきます。
 別の審議会や委員会でも共有されていたものですし、メディアにも出ているものですけれども、今年度、不登校を含めた長期欠席の子供が28万7,747人という、とても多い子供たちが義務教育段階で学校をお休みせざるを得ない状況にあるということは、本当に私たち大人に対する子供たちからの痛烈なフィードバックだと私は受け止めています。
 同時に、学校だけが要因ではないものの、子供たちの自死が増えているということ。これは、私たち大人たちが、一体本当にどのように本気で受け止めるのか。教育者の供給目線で議論をできる範囲でしていくということは、もうとうの昔にやめなければいけない状況が来ているのではないかということに、とても胸を痛めております。
 その中で、長期欠席の理由ですけれども、文部科学省の令和2年度不登校児童生徒の実態調査の結果を見ますと、小学生の不登校になった子供の30%、また中学生の28%の子供が、最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけは、先生が原因だと答えているのですね。
 また、それ以外にも、もちろん、いじめや、嫌がらせなど、友だちのことということでも、4分の1ぐらいの子供たちが答えているというのはあるんですけれども。いじめとか、殺伐とした関係性というのは、やっぱり子供たちが学校をどう捉えているのか、そこは心理的安全性が担保されている場所なのか、ストレスフルな環境ではないのかという、その環境要因が子供たちのそういった行為につながっているという結果だと思います。
 そういった意味で、やはり先生方がとてもお忙しくて、本当にやっていられないぐらい、日本で一番多忙な存在なのかもしれないということは大前提ですけれども、でも、やっぱり変えていかなければいけないということが本当に目の当たりにされている状況です。先生方とお話ししていると、様々な子供たちの認知の特性に対する対応とか、子供たちの人間関係とか、様々なことを一番目の前で見ているので、見えたときに、対応はしたいのだけれども、とても忙しくて、例えば合理的配慮の打ち手がないということをおっしゃる方がすごく多いわけですよね。
 なので、皆さんがここでこのような議論をしているということなんですけれども。なので、お一人お一人の指導力を上げていくという観点は、これまで御発言なさった先生方の御発言にお任せするとして、私としては、どうこの打ち手を圧倒的に増やしていくのかということ、この採用の在り方というところを、ここからの委員会で踏み込んで審議をしていただきたいということをお伝えしたいと思っています。
 特に、実は資格を持っているけれども、例えば、産育休の後、とてもあのような働き方はできないということで、そのまま教員にはもう戻らないという判断をされている方、また、やっぱり部分的にだったら教育に関わってもいいという形で、塾の先生になられているような方とかもいろいろいらっしゃるのですけれども、今、GIGAスクールの時代で、1人1台パソコン、端末が配られているわけなので、せっかく養成課程を経て、国費をかけて学んだ方々が資格を持たれているのであれば、例えば、オンラインで学校スタッフとして参加できるとか、リモートワークで、在宅から学びの支援ができるとか、そういった形も教職の仕事の範囲として捉えていくとか、それはもちろん遠隔教育というものをどう捉えるのかという議論になってきてしまうので、範囲は超えるのですけれども、そういったことも打ち手にしていかないと、日本全国津々浦々、ものすごく全国各地に学校があるという日本のこの価値を生かし切れないということになってしまうと思うので、重ねますけれども、この長期欠席28万7,747人という状況をきちっと捉えて、打ち手を踏み込んで検討するということ、ここをお願いしたいと思いました。
 私からは以上です。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございます。
 もともと「令和の日本型学校教育」の答申の中には、教師の多様性という視点を入れておりますが、それに関連する御意見ということで受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 これまでに挙手をされていた委員は以上となりますが、藤原局長から何かございましたら、お願いしたいと思います。
 
【藤原総合教育政策局長】  失礼いたします。渡邉会長から先ほどお話がありましたので、大体それで尽きているのかなとも思いますが、1点だけ。
 研修の多様性といったことについて、何人かの先生から御意見を頂きました。そこは私どもも十分に重要性を認識しているところでございまして、民間のものも含めて、いろんな形で行われている研修を柔軟に取り込んでいけるような、そのようなシステムにしていきたいと考えているところでございます。
 また、その際に、清原委員からお話ありましたけれども、どういった名前でやっていくのかというのは、実務的にしっかり検討していきたいと考えているところでございます。
 また、現場の多様性、これは今回の今後の検討の中で大きなテーマでございます。今の現場の課題に対応するためには、やはり教職集団自体が多様性を持った存在でなければ十分な対応はできないということだと思いますので、先ほど今村委員からもお話ありましたけれども、様々な形を柔軟に利用しながら、活用させていただきながら、ニーズに対応した対策を考えていくということで進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますけれども、荒瀬副会長、永田副会長から、全体を通じましてコメントあればお願いしたいと思います。まず、荒瀬副会長、いかがでしょうか。
 
【荒瀬副会長】  ありがとうございます。
 私、今日は大変失礼いたしました。別の会議と重なりまして、途中からの参加で、前半部分はお聞きできませんでした。申し訳ありません。
 後半部分のこれからの教師の学びについての御議論、非常に興味深く承っておりました。今、私、教職員支援機構におりますので、これから文部科学省とも十分協議を重ねながら、より良い教師の学びをしっかりとつくっていきたいと思います。先生方が学びを進めていかれる上で、本当にいろいろなものが学びの対象になっていくでしょうし、また、そういった学びを進める上で、いろいろな障害というものも出てくると思いますので、それらも含めて、可能な限り一所懸命やっていきたいと思っております。
 1つ、名称の話が出まして、今、藤原局長もおっしゃいましたが、名称がどうであれというのはちょっと乱暴な言い方ですけれども、これをどう使っていくのかという実質の話が非常に大事だと思っています。ですから、先生たちが学ぶことを通して、教育に対する喜び、あるいは教職の価値を再認識していただき、子供たちの学びを支えていただく。そういう方向に行くような研修の在り方というのを追求していかなければならないと思っております。
 ありがとうございました。以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 それでは、永田副会長、いかがでしょうか。
 
【永田副会長】  この部会の委員として、いろいろと意見を述べてきました。新しい教師の在り方を問いかけているわけですが、全体を通して言うと、もっと教師の個性がうまく発揮されるように、あるいは、教師が自らの教育課程で学んできた知識や専門分野等を生かせるような形になるといいと思っています。
 勉強や研修などということで話は絞りぎみになっていく傾向ではありますが、できれば、教師が基本的な興味を持って学んできたことが教育現場で生かせるような、そういうポイントをこれからうまく表現していくことが重要かなと思います。
 少し漠然とした言い方になりますが、教師は尊いということを述べるだけではなく、教師自らがプライドを持てるような形のものに変えていってほしいです。
 以上です。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 皆さんの御意見を伺ってまいりましたが、時間になりました。冒頭申し上げたとおり、今日の議論の中でも、高度な専門職である教師にふさわしい主体的な姿勢を尊重することが重要という御意見がありました。教師自身が個別最適な学び、協働的な学びの実現を目指していけるよう、多様な教師の在り方やその尊厳を認めて、教師自身がプライドを持てるような形での検討が必要だということだと思います。
 今後は、新たなに設置する基本問題小委員会で、今日頂いた御意見も踏まえて議論を深めていただき、また本総会に報告をしていただければと思います。
 それでは、今日も大変意義ある御意見を頂きまして、ありがとうございました。本日の会議は以上とさせていただきます。本当にありがとうございました。
 次回の総会の日程等については、追って事務局から御連絡させていただきます。
 どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
 

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