食に関する指導の充実のための
取組体制の整備について
(第二次報告)
【別添】
IIの3(1)で述べた制度の創設については、例えば、以下のような栄養教諭(仮称)制度について検討することが考えられる。
○栄養教諭(仮称)の在り方
1 | .栄養教諭(仮称)の職務内容等 教育活動を担うにふさわしい指導力を身に付けた栄養教諭(仮称)が行う職務としては、(1)食に関する指導と、(2)学校給食の管理が考えられる。さらに、食に関する指導に係る職務は、児童生徒への個別的な相談指導、児童生徒への教科・特別活動等における教育指導、食に関する教育指導の連携・調整に分けられる。
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2 | .栄養教諭(仮称)の配置 栄養教諭(仮称)の職務について、食に関する指導を行うとともに学校給食の管理を行うこととした場合、学校給食を実施している学校に栄養教諭(仮称)を配置することが考えられる。 これに関しては、学校給食法第4条において、「義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。」とされており、学校給食の実施は各学校の設置者の判断によることとなっている。このように学校給食の実施自体が各学校の設置者の判断によることとされていることと、設置者である地方公共団体等に対して国が一律に必置規制を課すことは適切でないと考えられることから、栄養教諭(仮称)を置くことについては各学校の設置者等の判断によることとすることが適切であると考えられる。 また、共同調理場方式の学校の場合、現在、各学校には学校栄養職員は配置されておらず、また、配置されている場合であっても兼務発令等により通常は共同調理場において勤務していることが多いのが現状である。しかし、共同調理場方式の学校においても、今後、食に関する指導の充実を図っていくためには、栄養の専門家によって食に関する指導が行われることが望ましいと考えられ、その具体的な方策について検討することが必要である。このため、例えば、学校に置かれることとなる栄養教諭(仮称)が、兼務発令等により他の学校において食に関する指導を行う場合や共同調理場において給食の管理業務を行うこと等についても検討することが必要である。 さらに、学校給食未実施校も含め栄養教諭(仮称)を置かない学校において、食に関する指導の充実をどのように図っていくのか検討することが必要である。 なお、現在、学校に配置されている学校栄養職員の職にある者については、採用の際、学校栄養職員として任用等されたものであることから、従前のとおり学校栄養職員のままでもよいこととすることが適当である。 また、新たに創設する栄養教諭(仮称)の費用負担については、学校栄養職員についての費用負担の在り方を踏まえ、適切な措置の在り方について検討することが必要である。 |
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3 | .栄養教諭(仮称)の免許状 栄養教諭(仮称)を制度化することとした場合、栄養の専門家としての資質と教員としての資質を担保するため、教諭や養護教諭と同様に教育職員免許法に基づく免許状を創設することについて検討することが適当ではないかと考えられる。 この栄養教諭(仮称)の免許状の在り方について検討するに当たっては、栄養教諭(仮称)の職務形態が、教諭ではないが専門性を有し児童生徒に直接関わりを持つという意味で養護教諭の職務形態に近いと考えられることから、養護教諭の免許状の例が参考になると思われる。 養護教諭の普通免許状は、専修免許状、一種免許状及び二種免許状の区分があり、それぞれ修士の学位、学士の学位、準学士の称号を有すること等を基礎資格とし、大学等において「教職に関する科目」などについて必要な単位数を修得することによって免許状を取得できるようになっている。また、臨時免許状として養護助教諭の免許状がある。 栄養教諭(仮称)の免許状についても、養護教諭の場合と同様に、専修免許状、一種免許状及び二種免許状の普通免許状を設けることが考えられる。 次に、栄養教諭(仮称)の免許状の在り方については、栄養教諭(仮称)に必要な栄養に関する専門性を担保するため、栄養士や管理栄養士の免許との関係を踏まえて検討することが必要である。 栄養士は、栄養士法に基づき、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいい、その免許は、厚生労働大臣の指定した栄養士の養成施設において2年以上栄養士として必要な知識及び技能を修得した者に対して与えられることとなっている。 また、管理栄養士は、同じく栄養士法に基づき、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導並びに特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等を行うことを業とする者をいい、その免許は管理栄養士国家試験に合格した者に対して厚生労働大臣が与えるものとなっている。 現在、学校給食の管理業務を担う学校栄養職員は、学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどるための資質を担保するため、学校給食法において、栄養士の免許を有する者でなければならないとされている。栄養教諭(仮称)については、教員として行うこととなるその職務の内容を踏まえ、栄養に関する専門領域で求められる資質に関し、栄養士あるいは管理栄養士の免許との関係を栄養教諭(仮称)の免許状の種類に応じて検討することが必要である。これについては、栄養士及び管理栄養士のそれぞれの資格の制度的な位置付けや資質の違い等を踏まえ、また、大学等養成機関における履修形態等をも含め、栄養教諭(仮称)の免許状の在り方を検討することが必要である。 次に、栄養教諭(仮称)が児童生徒の教育に携わる上で必要とされる資質について検討する必要がある。教諭や養護教諭の免許状の場合、「教職に関する科目」として必要な単位数が定められているが、栄養教諭(仮称)の免許状についても、それらを参考にして検討することが必要である。 これら栄養教諭(仮称)の免許状取得のために修得することが必要な科目の開設等については、現に栄養士や管理栄養士の養成課程を置く大学等養成機関におけるカリキュラムの現状等を踏まえて、その在り方を検討することが必要である。 なお、現在学校栄養職員の職にあるものが栄養教諭(仮称)の免許状を取得しようとする場合は、何らかの適切な措置を講ずることについて検討することが必要である。 以上、栄養教諭(仮称)の免許状の在り方について検討を行ってきたが、これについては、教育職員免許法をはじめとする教員免許に関する法体系の中で他の制度との整合性に留意することが必要であることから、更に専門的な観点から具体的な検討を行うことが適当である。 |
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4 | .栄養教諭(仮称)の身分取扱い等 現在、学校栄養職員は、教育公務員特例法上の教員として位置付けられていないが、栄養教諭(仮称)については他の教諭や養護教諭と同様に教育公務員特例法上の教員として位置付けるのかどうか検討する必要がある。 また、栄養教諭(仮称)の資質向上のため、採用時の研修や経験年数に応じた研修等の在り方について、養護教諭の場合等を参考にしながら検討する必要がある。 |