民間教育事業者における評価・情報公開等の在り方に関する検討会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成26年3月31日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省9階生涯学習政策局会議室

3.議題

  1. 民間教育事業者における評価・情報公開等に係るガイドライン作成に向けた検討について
  2. その他

4.出席者

委員

笹井座長、稲葉委員、佐野委員、中山委員、棟近委員、山口委員

文部科学省

早川生涯学習推進課長、楠目民間教育事業振興室長

オブザーバー

経済産業省
落合サービス産業室長
厚生労働省
内田基盤整備室長
ヒアリング
吉川「民間教育事業者における評価・情報公開等の在り方に関する調査研究」有識者会議主査

5.議事要旨

 「民間教育機関における評価・情報公開等に係るガイドライン(素案)」について「民間教育事業者における評価・情報公開等の在り方に関する調査研究」有識者会議の吉川主査から説明を行い、委員から以下の意見交換等がなされた。

【棟近委員】
教育機関が公開しようとしている情報と学習者が欲しい情報にずれがあるという説明があったが、具体的にどういう内容か。

【吉川主査】
 「民間教育事業者における評価・情報公開等の在り方に関する調査研究」事業報告書の参考3に、民間教育事業者が、学習者にとって有益だと認識している状態と、実際に情報公開されている状態のかい離度を示している。参考1は、民間教育機関が重要と考えている情報項目のランキングと情報公開中の割合を掲載している。各種問合せや、苦情相談というのも民間教育事業者は重要視しているのに、学習者の関心は低かった。

【笹井座長】
 学習者のニーズがあるにもかかわらず、サービス提供側が提供していないケースもあるとすると、かい離している項目について情報提供しましょうというガイドラインになるのではないか。

【吉川主査】
 今回でも項目として挙げてまとめている。

【笹井座長】
 承知した。

【棟近委員】
 学習者が何を望んでいるかを基本にして情報公開していくべきだ。このガイドラインはそれを考慮して項目等を設定していると思うが、ユーザーの声がどのように反映されてきたのかが、2章で読みにくい。民間教育事業者における評価・情報公開等を取り巻く現状と課題という形で書かれているが、学習者側から見た課題、と書かれた方が説得力があった。

【吉川主査】
 学習者のアンケートと事業者のアンケートは、それぞれ別個に調査を行ったので、別々に書いた。その比較については、考察のところに書いた。

【棟近委員】
 ガイドラインの方にそういう視点で分析したということを入れた方がよい。

【佐野委員】
 吉川主査が説明されたとおり、事業者と学習者の情報、認識の比較において、各種問合せ、苦情相談が、非常にかい離があるとある。この各種問合せは、事業者にとっては情報の宝庫だと思うので、事業者主体の中に1項目、1‐6として挙げた方がよい。相談窓口については一つにまとめて、統一的にすべきである。
 情報公開について、受講者が事業者同士を比較しながら決めたいというときに見ることができる分かりやすいサイトを将来的に作っていただけたらと思う。
 ガイドライン(素案)の7ページの上から三つ目の丸では、「中途解約」と「途中解約」という言葉が混在しているが普通は「中途解約」という言葉が使われる。統一した方がよい。
 同じく34ページの3-1の、下から二つ目の丸のクーリング・オフの有無というところはその後に何も書かれていないが、ほかのところには中途解約の規定等と書かれている。何か区別しているのか。

【吉川主査】
 1‐6ということで、窓口をまとめることに関して異論はない。事業者主体としてのリスクという項目という形でまとめることについては本検討会で決めていただければよい。
 「中途解約」や「途中解約」については恐らくミスである。
 比較サイトに関しては、文部科学省にお答えいただきたい。

【笹井座長】
 比較サイトも含めて、どうこなしていくのかは、これからまた我々で議論しなければならないと考える。

【山口委員】
 実際に教育活動を行うと学習者は事業者が想定している学習をしていただくことになるので、事業者側からの学習者への要求事項も、情報公開のところに入れた方がよい。

【吉川主査】
 それは、24ページに、3-2受講前要件とあり、それが事業者側の要望に対応している。

【中山委員】
 11ページの最後に、今回のアンケート調査で、45%がPDCAマネジメントに取り組んでいて、そのうち81.6%が実際に運用していたということを書いてある。全体のおよそ35%がPDCAマネジメントを運用していたことになるが、どのようなところが取り組んでいたのか。

【吉川主査】
 事業規模、業種に特徴は見られなかった。詳細な分析については、今後調査したい。

【稲葉委員】
 細かい部分については、業界単位でそれぞれ検討する余地があり、業界ごとの一番重要なポイントがきっとそこにあるので、今後しっかりやっていきたい。

【佐野委員】
 13ページの上から五つ目のぽつの中に、「ある程度の知識がある知的レベルが高いような学習者」とあるが、「ある程度知識がある学習者」でよいのではないか。

【笹井座長】
 民間教育事業の質を保証する上で大事なポイントは何か。

【吉川主査】
 18ページの枠囲いにあるとおり、1教育サービス(事業評価)の中で大切なのは、講座内容のシラバスや教材である。また、講師の質をどう保証していくのかが大きな課題である。ヨーロッパでは、講師個人の評価を公開する動きがある。日本の場合は企業の看板である程度補っている部分が少なからずあり、日本流でどのように講師の質を担保していくのかが業界の課題だと考えるので、それは業界ごとに定めていただくのがよい。
 もう一つは学習環境である。学習環境には通いやすさの問題や、他の受講者も含まれる。

【笹井座長】
 学校教育や訪問教育は、民間教育に比べると、教育プログラム、マネジメントと言われなくてもいい分野である。学校教育は施設もはっきりしているので、そういう意味では教育プログラムが前面に出てきて、それを構成するいろいろな要素、特にシラバスなどの教育のプログラム、カリキュラムの内容が大事になる。そういうものの質、良さをどのように作り、担保していくのかについて、民間教育事業の場合は、マネジメントというものと教育サービスというものが密接、不可分になるので、それは混ぜて議論してはいけない。その教育サービスの質を支え、リードしていくマネジメントが重要である。その一つの仕組みとしてPDCAサイクルがあるのではないか。

【落合室長】
 学習者と事業者のアンケートを二つ行って、この評価項目につながる過程が分からない。最初に棟近委員が言われたとおり、ずれがある。どういうアンケート調査をして、こういうずれが生じて、そのずれを評価項目の中に入れると、今言われた質が担保できたり、質が向上したりするというところが、この素案だと分かりづらい。23ページの二つ目の丸に、「評価項目は、多種多様の民間教育機関で利用できるものとするため広範囲にわたっており、扱う教育内容によっては評価項目に該当しない項目も含まれる」と書かれているが、評価項目に該当するものと該当しないものがあるというのはどういうプロセスの中で出てきたのか。

【吉川主査】
 業界によっては、必ずしもこのガイドライン全部が該当するわけではない。しかし、ガイドラインとしてまとめるために、項目は掲載して、事業者ごとに割愛をしていただく部分というのもある。

【早川課長】
 キーワードは、学習者と事業者との認識のずれである。本日は委員から、調査研究のアウトプットということで、年度の最後に一つの節目として意見を頂いた。今後、このたたき台を踏まえて、また事務局で練り直して、最終的なプロセスを経ていく。委員から情報を頂いて、事務局でもブラッシュアップを進めていきたい。

【棟近委員】
 2章に学習者側から見た視点での分析結果があると良い。もう一つは、このガイドラインの扱う範囲を超えるかもしれないが、その見せ方をどうするかである。学習者が本当に見たい重要なところだけ見られるような形で公開されないといけない。学習者の視点で、この中で特に学習者に有用な情報、あるいは先ほどのサービスマネジメントという二つの視点で分けてもいいのかもしれない。

【中山委員】
 6ページ「今後の取組」の二つ目の丸にあるとおり、このガイドラインを周知・普及していくことが重要である。事業者がガイドラインに沿って取り組むことが、生き残りのために大変重要だということを含めるべき。普及していくためにはISO29990などを含めて、先行しているガイドラインとの調整も考えながら、検討を進めていっていただきたい。

【稲葉委員】
 ガイドラインの公開に当たっては、消費者に比較をしていただいて、自分に合ったよりよい業者を選ぶという形になるかと思うが、その比較検討する正当性は誰が担保するのか。公開することが有意義だということは誰しもそう思うが、やはり公開されたものの正当性を証明できないと、都合のいいように使ってしまう、真面目にやっている事業者が損するということになるので、その辺を何らかの形で議論していただきたい。

【佐野委員】
 事業者が嘘(うそ)をついたときにどうなるのかが分からない。第三者的なチェックが将来的には必要である。きちんとやっているところと悪質なところが同じように並べられていると、消費者にとっては不幸なことになるので、今後の課題としてどこかに入れていただきたい。

【笹井座長】
 今の話は、教育サービスの提供という、この領域だけではなくて、全てのプロダクトをつくっている企業にも当てはまる。既存の消費者保護に関する法令ではカバーできないのか。

【稲葉委員】
 できるもの、できないものの両方がある。

【佐野委員】
 表示や広告は、景品表示法があるので、全て網羅している。特商法は、四つの役務しかカバーできていない。ガイドラインは、事業者が積み上げていくもので、法律にすると全く違うものになる。業界団体の中でいかに違反者を出さないかというところも考慮しながら、うまく活用していただきたい。

【楠目室長】
 このガイドライン(素案)は有識者会議への委託事業の報告書としてまとめたもの。この後、これまでの会議で頂いた意見等も踏まえ、本検討会の報告書として改めてガイドライン案として次回会議までにまとめなければならない。学習者と事業者とでかい離のある項目や、両者が重要と考える項目、あるいは安全性等一旦問題が起きるとその損害が大きく取り返しのつかないことになる項目など、様々な観点があると思う。調査等を踏まえ、どういう観点から項目を盛り込んだかということを少し整理して提案をさせていただきたい。

【笹井座長】
 ほかにお気づきの点があれば、御意見を頂きたい。今回は吉川先生が主査をしていただいた有識者会議で案を提案いただいて、今度はこの検討会でそれを受け、加筆修正していくので、お気づきの点があれば意見を出していただいて、次回の会議までに事務局で案を作っていただければと考えている。

(以上)

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生涯学習政策局生涯学習推進課

鈴木、新見
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(生涯学習政策局生涯学習推進課)