視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第8回)議事録

1.日時

令和4年6月10日(金曜日)15時00分~18時00分

2.場所

WEB会議(Webex使用)

3.議題

  1. 基本的な計画に基づく施策の進め方について(意見交換)
  2. 令和3年度までの取組及び令和4年度に講ずる施策について(意見交換)
  3. その他

4.議事録

【中野座長】  それでは,定刻になりましたので,ただいまから視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会第8回を開催させていただきます。司会進行を務めさせていただきます慶應大学の中野でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は3つの議題を進めてまいります。第1番目が,基本的な計画に基づく施策の進め方について意見交換をさせていただきます。それから2番目に,令和3年度の取組及び令和4年度に講ずる施策について,報告の上,意見交換をさせていただきます。3番目に,その他という流れで進めていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 令和2年に策定した基本計画にも記載してありますとおり,計画策定後も引き続き関係者協議会を開催し,定期的な施策の進捗状況等の把握,それから課題の解決に向けた協議を行っていくことが重要だとされております。委員の皆様におかれましては,引き続き御協力をお願いしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 本会議の出席者につきましては,資料1に記載されているとおりでございますけれども,今回の会議から交代された委員がいらっしゃいますので,御紹介いたします。
 全国知事会を代表して御参加の香川県教育委員会事務局生涯学習・文化財課長,渡邊智子委員の後任として,今年度より荻原絢嗣課長に御参加いただきます。一言御挨拶をお願いしたいと思います。
【荻原委員】  失礼します。香川県教育委員会生涯学習・文化財課長の荻原と申します。4月から着任をしました。どうぞよろしくお願いいたします。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 それでは,事務局である厚生労働省及び文部科学省においても人事異動がありましたので,一言御挨拶をお願いしたいと思います。
【田原障害保健福祉部長】  厚生労働省障害保健福祉部長の田原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【中野座長】  田原様,ありがとうございます。
 続きまして文部科学省,お願いいたします。
【鈴木障害者学習支援推進室長】  文部科学省男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室長の鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【中野座長】  鈴木様,よろしくお願いいたします。
 次に,事務局より配付資料の確認と委員の出席についての確認等をお願いします。
【宮本障害者学習支援推進室室長補佐】  それでは,文部科学省,宮本でございます。本日の配付資料について確認をさせていただきたいと思います。
 本日は,資料1としまして議事次第と出席者名簿,それから資料2としまして,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会の設置要綱,それから資料3としまして,基本的な計画に基づく施策の進め方について,資料4といたしまして,令和3年度までの取組及び令和4年度に講ずる施策についてということで資料をまとめております。それから資料5としまして,構成員による読書バリアフリーに関する活動についてという資料,それから最後,参考資料として,読書バリアフリー計画の概要と本文をつけさせていただいております。
 なお,傍聴の方のために本日の資料を文部科学省のホームページにアップしておりますので,御確認いただければと思います。
 続いて,委員の出欠状況についてでございます。資料1の第8回出席者名簿に記載しておるとおりでございますけれども,本日,日本発達障害ネットワーク理事長市川様の代理として,理事粟野様,日本眼科医会会長白根委員の代理として,事務局相談役高須賀様,それから日本図書館協会専務理事髙橋様の代理として,障害者サービス委員会委員長佐藤様,それから全国視覚障害者情報提供施設協会理事長竹下様の代理として,副理事長川崎様,それからDPI日本会議見形様の代理として,事務局長佐藤様に御出席をいただいております。
 また,日本オーディオブック協議会常任理事の上田様については,御都合がつかず,本日は欠席となっております。
 それから,本日の会議ですけれども,昨年に続いて,本日も新型コロナウイルス感染症拡大防止のために,座長,それから事務局の文部科学省,厚労省を除き,各委員の方々にはオンラインでの参加となっております。また,報道機関,報道関係者や一般の傍聴者の方には,本協議会の様子をYouTubeで限定配信させていただいております。本協議会の公開の原則にのっとって,後日,文部科学省のホームページで議事録を公開させていただく予定になっております。
 それから,今回の協議会運営に当たりまして,各出席者の方々には,カメラはできるだけオンにしていただいて,御発言の際には,事前にお知らせをしておりますマニュアルに従って挙手のボタンを押していただいて,御発言をお願いいたします。発言以外のときは,マイクのほうはミュートの設定にしていただくことの御協力をお願いいたします。
 御発言については,座長より指名させていただきたいと思いますので,所属とお名前を最初に発言いただいて,はっきりと,ゆっくりと御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【中野座長】  どうも御説明ありがとうございました。
 それでは,これから議事を始めたいと思います。本日は大変長丁場の会議でございますが,よろしくお願いいたします。
 議題の1番目です。基本的な計画に基づく施策の進め方について,まず事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【宮本障害者学習支援推進室室長補佐】  事務局,文部科学省,宮本でございます。私のほうから,資料3に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。資料3を御覧ください。
 この資料は,前回の協議会においてもお示しをしておりますが,改めてここで確認をしていただきたいと思います。
 1については,本協議会の位置づけは法律の第18条に規定されていますよということ,それから,その2ポツ目のところについては,これまでの経緯も書いてございますけども,令和3年度以降もフォローアップを続けていきますということ,それから3のポツのところですけども,今回,第1期の令和2年度から令和6年度のロードマップを示させていただいております。令和4年度については,ちょうどこの中間年というふうに記載をさせていただいております。計画ができて1年目,2年目のときには周知・啓発ということで,実態を調べたりということで取り組んできております。令和4年度以降は,次期の計画の策定も踏まえて,いろいろと検討していかなきゃいけないことも出てくるかと思います。各省の取組,今後の施策の取組についても,その辺りを踏まえた報告等も今後はできてくればなと思っております。このような進め方で今回も進めていきたいと思っております。
 説明は以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明について,御質問があればお願いしたいと思います。先ほど事務局から説明がありましたように,御発言がある場合には挙手ボタンを押していただくようにお願いしたいと思います。挙手ボタンを押していただいて,こちらから指名をさせていただきますので,指名がありましたらマイクのミュートを解除していただいて御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,進め方につきましては皆様の御了解の内容だと思いますので,皆様から御了承いただいたということで,次の議題へと進めさせていただきます。
 議題の2番目が本日の一番中心的な議題でございます。令和3年度の取組及び令和4年度に講ずる施策についてということで議論をさせていただきます。資料4が該当する資料でございます。
 この資料,非常に膨大でございまして,各関係省庁等より最初に説明をしていただいて,その説明に基づいて質疑をしていきたいと思いますが,全部を説明していただくと少し長過ぎると思いますので,各省庁等からの説明が終わったところで質疑応答を入れさせていただきたいと思います。
 それから,場合によっては,時間が長くなった場合には途中で休憩を挟ませていただくかもしれませんので,よろしくお願いしたいと思います。
 本資料につきましては委員の皆様に事前に配付しておりますので,各省庁等の皆様方は,資料の記載事項を全て読み上げるのではなく,それぞれの取組について,計画における進捗状況や今後の展望などを要約してお伝えいただき,各委員との意見交換の時間をなるべく確保させていただきたいと思いますので,御協力をお願いしたいと思います。
 それでは,まず文部科学省から説明をお願いします。先ほど申し上げたように,説明をしていただいた後に質疑応答の時間を取らせていただきますので,よろしくお願いします。
 文部科学省からは,文化庁を含め4名の方に御説明をいただきたいと思います。それでは,それぞれよろしくお願いいたします。
【宮本障害者学習支援推進室室長補佐】  それでは,文部科学省よりまず,事務局として御説明をさせていただきたいと思います。
 資料4のところ,1枚おめくりいただきまして,2枚目のところになりますが,計画の総論で都道府県への働きかけというところで,どのようなことを取り組んできたかということを簡単にまとめております。
 令和3年度まで,計画策定の調査をかけまして,実態がどのように進んでいっているのかというのを把握しております。
 また,今回も都道府県,指定都市,中核市,129の自治体に調査をかけさせていただいております。
 調査の内訳については,その3ページ目のところに具体的な数字等は御用意させていただいておりますので,御確認いただければと思います。
 これまでの調査の結果,約51%の自治体においては計画の策定,それから検討が進んでいるという状況になってございます。令和4年度以降も継続的に実態の把握に努めていきたいと思っております。
 それから,その丸2 のところ,総論の国民への周知という部分については,令和3年の6月から令和4年の5月までの間に発出しました事務連絡を,資料の5ページ以降につけさせていただいております。
 事務局からの報告は以上になります。
【中野座長】  ありがとうございます。続きまして文部科学省,総合教育政策局地域学習推進課からお願いいたします。
【工藤専門官】  失礼いたします。地域学習推進課ですけれども,資料4の11ページになります。
の1つ目の国民への周知のところですが,令和3年度までにオンライン開催されておりますフォーラムやシンポジウムにつきまして,都道府県等の読書バリアフリーの担当課に周知をいたしまして,インターネット配信等もそれぞれ1,000人を超える方々に閲覧していただいております。
 2つ目になります。令和3年度に行ったシンポジウムになりますけれども,詳細が14ページにございますので,そちらも参照していただければと思っております。
 3つ目です。こちらは先ほどの御説明と重複いたしますけれども,啓発用のリーフレットを作成いたしまして,周知も行っております。令和4年度も引き続き,各種フォーラム等で周知等もいたしまして,読書バリアフリーに関する周知を図ってまいりたいと考えております。
 続いて, 12ページになります。丸2 の視覚障害者等による図書館利用に係る体制整備等,第9条関係でございますけれども,都道府県から推薦のありました,公立図書館における読書バリアフリーに関する取組事例をホームページに掲載をしておりまして,それを各都道府県・指定都市図書館担当課に周知いたしまして,それぞれ地方公共団体の公立図書館や学校図書館における促進方策の参考とさせていただいております。
 また,私たちの「読書バリアフリーコンソーシアム事業」という委託事業で,公立図書館,学校図書館,大学図書館,点字図書館等が連携したコンソーシアムを組織いたしまして,各館の物的・人的資源の共有や,図書館を利用する視覚障害者等の増加を目的として広報の強化等のモデル的な取組を行う団体を支援しております。
 令和3年度は,3件の団体に受託いただきまして,東京大学先端科学技術研究センター様におかれましては,「学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム」というコンソーシアムにおきまして,アクセシブルな書籍・電子書籍等の製作・共有に関する情報提供や先進的な取組事例の紹介を行うウェブサイト「進めよう,豊かな読書活動」を作成されておりまして,その周知を都道府県等の学校や公共図書館の所管に周知するとともに,学校図書館等で製作された電子書籍等の所在情報の把握や共有の在り方を検討いたしました。
 こちらにつきましては,本日御出席いただいております東京大学先端科学技術研究センターの近藤先生のほうから一言補足いただければと思っておりますけれども,よろしいでしょうか。
【中野座長】  近藤先生,よろしいでしょうか。補足をお願いいたします。
【近藤委員】  近藤です。すみません,ちょっと私が入室に手間取ってしまって,ちょうど今,入室させていただいたところだったのですが,もう一度,御指定いただいてもよろしいでしょうか。
【中野座長】  近藤先生のところで取り組んでいただいたコンソーシアムについて,補足の説明がありましたらお願いしたいと思いますが。
【近藤委員】  承知しました。これ,画面共有はできますでしょうか。
【中野座長】  大丈夫だそうですので,今,権限をお渡しします。
【近藤委員】  今,見えておりますでしょうか。
【中野座長】  はい。ウェブサイトのトップページのところですかね。
【近藤委員】  はい。こちら,この学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアムのウェブサイトになります。この中で,著作権法の第37条によって,様々な障害のある,読むことに困難のある方々に対して,どういったことが学校図書館等でできるのかということをまとめたサイトを作らせていただきました。
 特に,図書館においても,やはり複製だったりとか翻案だったりを,さらに他の学校図書館への共有ということをどういうふうにやっていけばいいのかが不安だというお声をよく伺いましたので,その考え方についてまとめている,FAQだったりとか,具体的な方法みたいなことをまとめている部分と,もう一つは,実際に事例取材を,様々な学校等で行われていることを伺いまして,直接訪問して,どういう形でやっていますよということを,事例を今9事例ほど,図書館だったりとか,学校だったりとか,通常の学校,それから特別支援学校,そういったところで行われている取組をかなり詳しく,ここに収録させていただいています。
 学校の中で図書を楽しんで,読書活動を広げるための取組に,いろいろな取組されていることが分かりましたので,こちら,ぜひ皆さん御覧になっていただけましたら,こういった事例から学ぶということと,あとは,実際に具体的に。かなり文章が長くて恐縮なんですけど,様々なケース・バイ・ケースで,どういった共有の仕方ができるのかという情報をまとめております。こちら,ぜひ御覧なっていただければと思います。
 私からは以上です。
【中野座長】  近藤先生ありがとうございました。説明は引き続き,よろしくお願いします。
【工藤専門官】  引き続き説明を続けさせていただきます。
 同じく12ページの4番になります。こちらですが「社会教育統計」や「学校図書館の現状に関する調査」によりまして,公共図書館,学校図書館における多様な蔵書等の状況を把握いたしました。こちらの資料が19ページ,20ページにございますので,また御確認いただければと思っております。
 こうした状況を周知いたしまして,今年度も引き続き体制の整備等に取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして,13ページになります。丸3 の17条関係です。職員等の資質向上についてですけれども,こちらも当方の事業におきまして,司書,司書教諭・学校司書,職員,ボランティア等向けの研修事業を実施しております。令和4年度も2件受託していただいているところですので,引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 また,その下の2つ目になりますけれども,司書や司書教諭等の養成課程を置く大学等に対しまして,視覚障害者等に対する図書館サービスの内容を学習できるようにするという旨の連絡を令和2年度に実施しておりまして,それにつきましては今年度,その取組状況につきまして実態把握をしたいと考えております。
 地域学習推進課からは以上になります。よろしくお願いいたします。
【中野座長】  どうもありがとうございました。引き続き文部科学省から3番目ですが,研究振興局学術基盤整備室大学図書館係,お願いいたします。
【宮本障害者学習支援推進室室長補佐】  資料の21ページになります。大学図書館等における取組ということで御報告をさせていただきたいと思います。
 昨年度に引き続きまして,国立情報学研究所において,大学等で製作した視覚障害者等用のデータの所在情報等を登録・共有する「読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム」の構築,運用ということで取り組んでおります。
 現在,そのシステムの構築については完了をしているという状況で,まだ視覚障害者等に配慮したインターフェースの整備というところで,調整を進めている段階でございます。
 時期は未定でございますけれども,今後,システムの試験運用等を行って,システムの正式な運用の準備を,進めているという状況でございます。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございます。
 文部科学省から最後の御報告,文化庁著作権課よりお願いいたします。
【吉田著作権課長】  文化庁著作権課でございます。資料は23ページでございます。外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備の関係でございます。
 これまでも外国で製作されたアクセシブルな電子書籍の円滑な入手の促進のため,国内外の連絡・相談窓口におきまして,その手続や留意事項等も含めまして周知などを行ってきております。
 この関係では,国立国会図書館様,また全国視覚障害者情報提供施設協会様の連絡先などを御紹介しております。
 昨年度はホームページの周知のほか,文化庁で主催しております著作権セミナー・講習会がございまして,図書館の職員や教職員の方,一般の方々などを対象にしておりますが,年間15回ほど開催をさせていただきました。その受講者の方々にも併せて周知を行ったところでございます。
 今年度につきましても,引き続き丁寧な周知を行ってまいりたいと考えております。
 文化庁からは以上でございます。
【中野座長】  どうもありがとうございました。以上で文部科学省からの御報告は終わりということになります。
 それでは,ただいまの御説明に関しまして,御意見等ありましたらお願いしたいと思います。先ほど申し上げましたけれども,御発言をされる場合には挙手ボタンを押していただくか,チャット,もしくはそれも難しい場合は声を出していただいて,指名を待っていただければと思います。質問等ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 宇野先生,手を挙げていただいていますでしょうか。ちょっと私のほうでうまく確認できなくて。では,よろしくお願いします。
【宇野委員】  日本弱視者ネットワーク,筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野です。 1つ質問させてください。大学図書館等におけるメタデータ共有システムについてのお話がありました。まだアクセシビリティが十分でないということで,書誌データの共有はできていないということですが,、最終的に,書誌データが各大学図書館で共有された後,その先にこのデータを障害者が共有していくためには,どういう見通しがあるのでしょうか。【中野座長】  御質問ありがとうございました。それでは,御回答をお願いします。
【本多研究振興局大学図書館係長】  こちら学術基盤整備室の本多です。よろしくお願いいたします。
 今の御質問ですと,資料データそのものという理解でよろしかったでしょうか。
【宇野委員】  はい,そうです。書誌データの後に,この書誌データを自分が使いたいと思った障害学生がいたときに,最終的にはどのような形でダウンロードというか,入手できるようになっていくのでしょうかという見通しです。
【本多研究振興局大学図書館係】  文部科学省[A1] の資料5にあります図につきまして,例えば大学に所属されている学生であれば,メタデータ共有システムで見つけた情報を基に,所属している大学図書館に資料の取寄せを依頼して,依頼された館は,その書誌情報から,資料データを持っている大学図書館にお願いして,そのデータを送付してもらい、その後,依頼主の学生に提供するという入手経路を想定しております。
 所属されていない方は,公共図書館などに依頼し,そこ経由で大学図書館から資料を提供してもらうというような,資料の流通の方法を想定しております。
 
【宇野委員】  はい,分かりました。確認ですが、国立情報学研究所や国立国会図書館のサーバーにデータを集めるということではなく,それぞれの館間貸借というような形でのデータを共有するというのが最終的な形ということでよろしかったでしょうか。
【本多研究振興局大学図書館係】  今のところは,そのような方向で考えております。
【宇野委員】  分かりました。ありがとうございます。
【本多研究振興局大学図書館係】  ありがとうございます。
【中野座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。私が全体を把握できていないですが,もし手を挙げておられる方がおられたら,事務局のほうからも教えていただきたいんですが,大丈夫でしょうか。よろしいですか。
 それでは,次に進めさせていただきたいと思います。
 続きまして,厚生労働省からの御報告をお願いしたいと思います。厚生労働省,よろしくお願いいたします。
【奥出自立支援振興室長】  厚生労働省の障害保健福祉部自立支援振興室長の奥出と申します。よろしくお願いいたします。
 厚生労働省の関係は資料の24ページからになります。
 まず丸1 のところでございますけれども,総論部分で国民の周知ということで,ここは共管省庁であります文科省さんと私ども厚労省,連携をしながらでございますが,これまで啓発用リーフレット等配布などに努めてまいりましたので,引き続き,こうした取組を続けていくということでございます。
 丸2 番でございます。ちょっと厚生労働省,事項が多いのでございますが,要は計画上に書かれている部分が多岐にわたっており,内容的には重複する部分もありますので,主要なところを御説明させていただきます。
 丸2 番のところですが,点字図書館の取組の充実ということでございます。全国に点字図書館として,点字刊行物の製作,貸出しとか,障害者からの相談であるとか,情報機器の貸出しと,そういったところを行っておりますが,そうした支援の充実を,取組の充実を図っていくということで,まず運営費として国がその負担金を出して,引き続き予算確保に努めているところです。
 また,この読書バリアフリー基本計画において,公立図書館との連携の強化であるとか,利用者の範囲であるとか,製作人材の育成というところが,点字図書館にも期待される取組ということで,こうした取組を効果的に進められるように,3年度までの取組の中に入っておりますが,そうした内容についての調査,実態調査というのを行ったところでございます。
 私どものこの補助事業でございますが,実際に実施していただいたのは,この協議会にも参加いただいております全国視覚障害者情報提供施設協会,全視情協さんですが,そちらが実施しておりますので,そこのところは私の説明の後に,全視情協さんから御説明いただきたいと思っております。
 こうした実態調査の結果に基づいて,今後とも,この点字図書館の取組をどのように強化していくかというところを,また団体さんとも協議しながら考えていきたいというところでございます。
 続きまして,25ページになります。丸3 のところの各図書館間の連携強化ということで,「地域における読書バリアフリー体制強化事業」というものを成果として出しております。
 この事業につきましては,地方自治体の事業でございますけれども,まさにこの読書バリアフリー法の成立を契機に,令和2年度から補助事業をスタートさせているところでございます。
 内容としては,地域における点字図書館と公共図書館等との連携強化であるとか,あとは視覚障害以外の障害者の利用促進であるとか,人材育成の強化と,こういったものをそれぞれ補助事業として活用いただくというものでございます。あとは自治体において,この基本計画を策定するに当たっての検討の場の設置であるとか,そのためのニーズの実態調査であるとか,そういったところにも活用していただきたいというような補助事業となっております。
 こちらについては,まだ昨年度辺りは実績も上がっていなかったのですが,そこの丸3 の左側に,成果のところにありますように,取り組む自治体も増えてきているところでございます。
 さらに,ちょっとまだまだ自治体のほうの,どういった取組を行えばというのもあるかと思いますので,実際に,この補助事業を活用した自治体の事業の実施例,好事例というものを収集いたしまして,例えば全国会議であるとか,そういったところで周知を図ったところでございます。
 ですので,今後はそういったものを参考にしながら,他の自治体においても,取り組んでいただくよう促していきたいと考えています。
 次が丸4 のところ,サピエ図書館への支援強化というところでございます。
 こちらについては,インターネットを利用したサービス提供体制強化ということで,視覚障害者情報総合ネットワーク,通称サピエというものですけれども,こちらへの支援の強化というものが求められております。
 安定的な運営,または利用者の増加というものを図れるように,ここもサピエの運営団体さんと相談しながら支援策を講じてまいりました。さらに引き続き,そうしたところを強化していきたいと考えております。
 具体的には,例えば令和3年度には国庫補助事業の増額を図っておりますし,あとは自治体に対しまして,その利用促進,サピエの利用促進の取組ということで,公立図書館であるとか学校図書館への加入促進というところ,あとは福祉部局と社会教育部局との連携を図るようにお願いしてきたというところでございます。
 さらに,そのサピエの存在自体の周知・広報という意味で,例えば政府広報であるとか,そうしたところも昨年度には広報を行ってきたところでございます。
 昨年のこの協議会の中でもいろいろと御意見もいただいたところでございますので,それがまだ全て解消されているかということもありますけれども,団体さんとも協議をしながら,利用が進むような体制をつくっていきたいと考えております。
 あと,丸5 以降は,すみません,成果のところを見ると同じようなことが書いていまして,かぶっておりますので,ちょっと飛びまして,ページの26ページのところでございます。
 ⑪番,障害者ICTサポート総合推進事業の着実な実施というのが挙げられております。
 こちらについては,都道府県・指定都市・中核市において,地域の障害者の方のICTの機器の利用の支援を進めるという意味で,これまで各自治体に設置をお願いしてきたところでございます。
 そこの成果のところにありますように,現在,ICTサポートセンターというものを設置している都道府県が,令和3年度で,まだ28県という状況でございます。
 私どもとしては,これを,できるだけ全都道府県に,こうしたサポート拠点というものを設置していただこうという政策を進めているところでございます。
 それで,その右側にありますように,もちろん全国に都道府県に設置していただくということも進めるとともに,令和4年度からは,各自治体のICTサポートセンターの活動を支援する「ICTサポートセンター連携事務局」というものを設置いたしまして,そこで,それぞれのサポートセンターへの支援であるとか,あとは,まだ未設置のところへの設置の促進のための取組などを行っていくというような事業を開始したところでございます。
 こうした事業を通じまして,将来的には全47県に,そうした体制が取れるようにということを目指しているというところでございます。
 続きまして,27ページになります。⑫番,日常生活用具給付事業の推進ということで,これは引き続きの件でございますけれども,そこに書いてあるように,地方公共団体がアクセシブルな電子書籍等を利用するための必要な端末機器,これが適切な給付が実施されるようということで,これまでも,私ども全国会議であるとか,通知によって,お示しをしてきたところでございます。
 これも昨年度も御意見いただいたところですけれども,引き続き,必要な,適切な給付が各自治体,地域で行われるように努めてまいりたいと思っております。
 それ以降は,すみません,いろいろと前段のところと重複していますので割愛をさせていただきたいと思います。
 すみませんが,先ほど申し上げた調査研究の関係で,全視情協さん,よろしくお願いいたします。
【中野座長】  それでは,今お話がありました全視情協の,本日代理で出席していただいている川崎委員より御報告をいただきたいと思います。川崎委員,お願いします。
【川崎(竹下委員代理)】  よろしくお願いいたします。全国視覚障害者情報提供施設協会の竹下委員の今日は代理で,川崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 また,この調査研究事業としましては,第6回の協議会の内容を受けて行われたものでございます。点字図書館等におけるアクセシブルな書籍等の提供体制及び製作状況に関する調査研究という形で行いました。
 私どもでは、点字図書館の実態調査は,もうここ30年ほど行ってきているんですけども,公共図書館,それから視覚特別支援学校の調査も,それぞれ行われているということは承知はしておりますが,この調査項目をそろえながら,実際にアクセシブルな図書等の製作がどのように行われているのか,これを総合的に見るという形で,公共図書館に関しましては,調査項目の選定から,日本図書館協会の佐藤聖一様はじめ,多くの委員の方々,それから学校図書館,視覚特別支援学校に関しましては,専修大学の野口先生をはじめ,多くの意見を取り入れまして,基本的に共通の質問項目をつくりまして実施をしました。
 大きく分けまして,丸1 ,アクセシブルな図書等の製作状況,これは点字出版施設も含みます。丸2 としまして,サービス提供の状況,これは,サピエ図書館の利用状況とか,図書の貸出し数などを考えています。それから丸3 としまして,ボランティア等(製作人材)の養成・活動状況に関すること。そして最後,丸4 としまして,ICT機器の情報提供や利用支援の状況等について調査を行っております。
 点字図書館に関しては,実はICT支援については例年調査をしておりませんでしたので,附帯調査という形で,例年行っているものに,これをプラスさせていただいて行いました。
 調査結果としまして,もともと点字図書館自体は,厚労省が管轄している76館にプラスしまして10館,つまり86館から,全ての点字図書館から回答を得ております。
 それから公共図書館に関しましては,サピエに加盟をしている図書館,今200館ほどありますが,それにプラスしまして,障害者サービスを実施している公共図書館ということで,343館に調査票を送らせていただきまして,そのうち310館,回収率90.4%ですけども,そちらを行いました。
 それから,視覚特別支援学校に関しましては,67校へ送りまして,58校から回答をいただいております。86.6%。
 この中で,サピエの登録状況等を見ますと,特別支援学校の場合は,全体でもまだ30館程度,半分いっていないんですけども,今回の調査対象の中では25館がサピエに加入している。
 ただ,サピエ加入していない理由,問いましたところ,その理由の大きなところが,加盟にかかる費用の問題,年会費が4万円という費用の問題が大きいということが分かりました。
 ただし,費用のかからない,国会図書館が提供しております視覚障害者等用データ送信サービスに関しては,5館しか利用していないというところも,これも明らかになりました。
 ですから,そういったサピエも含め,国会のサービスも含め,まだまだ,これ周知が,視覚特別支援学校に対しても進んでいないんだということ,公共図書館も含め,私たちも認識を新たにしたところでございます。
 それから,それぞれの館種別に,課題を自由記述で書いていただいた部分もあるんですけども,それぞれ私たちも予想していた言葉をちゃんとした形で,課題として出てきたということも,それも一つ大きな成果だったと思います。
 それと,あと製作人材に関してなんですけども,高齢化が進んでいるとか,感覚でいろいろ言われてきましたけども,実際に抽出調査を行ってみたところ,実際,活動を始める年代とか,ボランティアの方たちの活動に関わっている年数とか,そういったものが如実に出てきまして,私たちは本当に感覚として思っていた以上に高齢化が進んでいること,それから実際にその活動を始める年齢が高くなっていること,そういったことが分かって,今までは本当に感覚だったのがエビデンスとして理解できるようになったというのも,これも大きいところです。今後どのような形で,この問題を解決していくかというのも私たちに課せられた大きな問題だと思います。
 また,このあと全視情協のところでも申し上げようと思うんですけども,このサピエ図書館等の広報の問題,非常に大きなものを私たちも感じております。視覚障害者に対しては進んでいると思っていたんですけど,それすら,なかなかまだ進んでいない。ましてや,視覚障害以外の障害の皆さんに対しての広報はこれからというところもありますので,その辺がしっかりと見えてきた調査だったということを感じております。
 本当簡単ですけれども,こういった各公共図書館,学校図書館で調査報告書,これは墨字版だけではなくて,CDの中にテキストデータと点字データも入れたものを,これは全視情協ならではだと思いますけども,作成しまして,全国の1,500の公共図書館,それから視覚特別支援学校のほうへは送らせていただいております。また,当会のホームページからも見られるように,これは整備をしているところですので,よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
【中野座長】  どうも川崎委員,御説明ありがとうございました。ホームページから先ほどの御説明の詳細の資料もダウンロードできるということでございますので,後ほど御覧いただければと思います。
 厚生労働省から,引き続き御説明ありますか。大丈夫ですか。
【奥出自立支援振興室長】  はい。
【中野座長】  では,質疑応答に入っていきたいと思います。ただいまの厚生労働省からの御説明に関して,御意見等ありましたらいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。挙手をお願いいたします。もしくはチャットでお願いします。
 宇野委員,お願いいたします。
【宇野委員】  宇野です。3点質問させてください。
 1点目,厚労省からサピエに対する予算強化というお話がありました。これは,法律ができるまでは運営費に対する補助は全くなかったんですけども,法律ができて,すぐに厚労省のほうで運営費の予算化に動いてくださいました。とてもありがたいことだったと思います。この強化について,この数年間の予算額の推移の具体的な数字が分かれば教えてください。
 2点目。今の川崎委員のお話の中にも,盲学校のサピエの加入率が半分にも満たない,その原因は4万円の年会費にある。これは協議会が始まった当初から問題提起されていたことかと思います。この読書バリアフリー法ができても,視覚に障害のある子,または肢体不自由の子どもたちが,主に多く在籍している盲学校や肢体不自由の特別支援学校で,このようにサピエにつながっていないというのは,由々しき問題だと思います。
 これについて具体的に,例えば教育の重要さを認識し,盲学校や肢体不自由の特別支援学校の年会費は無料にするとか,文科省のほうで予算化して,このような学校の図書館の予算の充実を図っていくということはできないものでしょうか。
 3点目。日常生活用具についてのお話がありました。これは協議会が始まったときから問題になっていたことです。これまで長年,日本では読書障害者イコール視覚障害者という認識が強かったわけです。ところが,マラケシュ条約をきっかけに,読書バリアフリー法でも,上肢に障害のある人や寝たきりの人,眼球使用困難者,ディスレクシアと呼ばれる発達障害者なども読書障害者として定義されたわけです。
 ところが,日常生活用具のデイジープレーヤーや拡大読書器は,基本的に視覚障害者だけが対象になっている,この問題はずっと,この数年間提起されていたと思います。
 一方で,日常生活用具は自治体の判断なので,なかなか国から指示することができないというお話もあったかと思います。そこで,自治体で1つでも,デイジープレーヤーを,例えば肢体不自由の障害者に給与するようになったという事例はあるんでしょうか。
 
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 では,まず最初の御質問,サピエの予算の経緯については,厚生労働省のほうからお願いしたいと思います。
【奥出自立支援振興室長】  厚生労働省です。ちょっとその予算の経年的な推移はあれですけれども,例えば令和3年度予算額でいいますと,サピエのネットワークのこの予算が9,400万になっておりまして,それは令和4年度,今年度予算につきましては1億1,600万というような増額を図ったというところでございます。
 ちょっとすみません,今,その前のデータを持ち合わせておりませんで,そういった状況でございます。
【中野座長】  これは今回の読書バリアフリー法以降ということですかね,今の説明。それ以前にもサピエのほうには補助金は出しておられたんですよね。
【奥出自立支援振興室長】  はい。基本的には,その前から,今と形式が違うと思いますけども,予算は措置されておったはずでございます。
【中野座長】  ありがとうございます。
【宇野委員】  サピエのシステムに関する補助というのは,以前から日点のほうに措置されていたかと思います。運営費に関しては全くなかったのですが,たしか初年度,780万だったか870万だったかが初めてついたかと思います。ですので,その後,去年,今年と,その額がどう強化されているのかという数字があれば教えていただきたいです。
【中野座長】  運営費のみについてということですね。
【宇野委員】  はい。
【中野座長】  お願いします。
【奥出自立支援振興室長】  そうですね。確かに,システムネットワークのシステム上の措置はしていたけども,運営費に入るお金だということで,それは,すみません,近年,新しくその措置をしたというところでございますが,先ほど申し上げた金額は全て含めたものでございまして,今そこの内訳がございませんので,先ほど総額で申し上げたんですけれども,令和3年度,4年度はそういった状況でございます。ちょっと後で調べまして報告できればと思います。
【宇野委員】  分かりました。お願いします。
【中野座長】  ありがとうございます。2番目が,盲学校等がサピエに入れていない問題についてということで,これは厚生労働省とそれから,もし可能であれば文部科学省のほうからもお考えをいただければと思います。よろしくお願いします。
【奥出自立支援振興室長】  先ほど全視情協さんからも御報告いただいた調査研究なり,そういったところの状況を踏まえて,どういった形でそういったことができるかというのは,ちょっとこれからの検討かなと思っております。
 基本的に会費は,もちろん参加する方にその会費は頂くものですけども,その中で,じゃあ必要なところについては,例えばその会費を無料化できるのかとかいうのは,また団体さんともちょっとお話をさせていただきながら考える点かなとは思っております。
 今のところ,すみません,そこまでの結論と,あと,そうした可能性があるのかというところまでは,お答えできません。
【中野座長】  ありがとうございます。文部科学省のほうから,もし何かあればいただければと思いますが,いかがでしょうか。
【工藤専門官】  失礼いたします。文部科学省地域学習推進課ですけれども,学校図書館の観点から1点申し上げさせていただきますと,学校図書館に係る経費というのは,基本的にはもう一般財源化されておりまして,各自治体様で,それぞれ必要な金額を予算化して執行していくという形になっております。もちろん,こうした盲学校の図書や,通われている方の読書の重要性は私たちのほうでも認識しておりますので,学校図書館関係の集まる会議等で,引き続き重要性を周知していきたいと考えております。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。宇野委員,今の1番目,2番目の質問に対しての回答については,よろしいでしょうか。
【宇野委員】  今の盲学校とか肢体不自由の学校の件なんですけども,法律ができて3年たって,やはり子どもたちの読書環境がそれほど劇的には変わっていないというのは,やっぱり何か具体的な手を打っていったほうがいいと思います。
 ですので,厚労省もしくは文科省のほうで,来年に向けて,この盲学校や肢体不自由の子どもたちが具体的にサピエという存在を知って,いろいろな図書に触れられるようになるように,具体的な話合いをぜひ進めていただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。今の件に関しましては,全視情協の川崎委員,竹下委員の代理で参加していただいている川崎委員からも御発言いただければと思いますが,川崎委員いかがでしょうか。
【川崎(竹下委員代理)】  今回,調査をさせていただいた中で,視覚特別支援学校の課題として挙げられたのが,サピエのこの会費はもちろんなんですけども,会費を払うところが,その科目のほうが,やはり資料購入費とか,そういうところからになるんだと思うんですが,この資料購入費自体がないとか,20万円以下だとか,そういうことで非常に悩んでおられる先生方が多いというのが実態として出ておりますので。
 これも厚労省の努力で,例えばサピエの運営費をもっと上げていただいて特別支援学校の会費を無料にするとか,そういうことがいいのか,先ほど宇野委員がおっしゃったように,文科省のほうで頑張っていただいたほうがいいのかというのは,やはりこれは議論があるところかと思います。
 また,ボランティア団体の会費に関しては無料化でできたんです。今回,皆さんの本当にお力添えがありまして,運営費が増額されたことによってできたんですけども,私どもを含めて,点字図書館も毎年4万円の年会費を払ってコンテンツをアップしている。公共図書館の皆さんにも,それでお願いをしているという状況は変わりませんので,この辺も何とか手当てをしていただければありがたいと思います。
 これは厚労省だけの問題だとは私も思いませんので,よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。これは盲学校等では,校長会等でもサピエの利用については議論になっているとお聞きしておりますが,コンテンツの内容が子どもたちに必要な内容がどのぐらいあるかというようなことも議論になっているというお話もお聞きしております。そういった調査も行われているようでございますが,いずれにしろ,特別支援学校がこのサピエ等で,今回のアクセシブルになった図書をやり取りすることができるというのがすごく重要だと思いますので,これは引き続き厚生労働省,文部科学省で議論をしていただきながら,施策を進めていただければと思います。
 今の件,サピエの件については,よろしいでしょうか。
 3番目に御質問いただいたのが日常生活用具についてですので,これについては厚生労働省から御回答をお願いします。
【奥出自立支援振興室長】  その前に,さっきの運営費の話,ちょっと1点だけ,よろしいですか。
 すみません,先ほど全体の予算を申し上げまして,その中の運営費の増加の割合ということなんですけれども,ちなみに令和3年が,運営費部分として2,400万交付していたところ,今年度予算では,それを4,400万に増額を図っております。
 続きまして,日常生活用具の関係でございます。先生からも御指摘あったように,基本的には厚労省がその大枠を決めておって,あとは地域の実情に応じて種目等を決めるというところでございます。ですので,品目を全て厚生労働省で決めるということではないのですが,実態としてどうかということでございます。
 先ほど今御指摘いただいたような用具が実際に支給されたことがあるのかということについて,ちょっと今持ち合わせていないのですけれども,やはり昨今いろいろと,日常生活用具の,こちらの自治体では出ているけどもここは出ていないとか,いろいろとその運用のことを言われることがございます。ということで私ども,実態調査というか,一度その調査を行ったものがありますので,そうしたものも活用しながら,自治体のほうに,自治体の参考となるようなものを今後提供していくということを検討しようと思っているところであります。例えば情報通信関係の機器についても,いろいろと進歩が目まぐるしいもので,例えばこういったものはこちらの自治体では給付されているけども,こっちはされていないみたいな。それを良い悪い,マル・バツとまで言いませんけれども,こうした情報提供を自治体に行い,自治体のほうでよく,その適切なよ機器が給付できるように考えていただくための材料を提供するということも行っていきたいなと考えているところでございます。
【中野座長】  ありがとうございます。
 本件に関しまして,これに関することで御意見は特にございませんでしょうか。
【宇野委員】  すみません,宇野ですけれども。
【中野座長】  どうぞ,宇野委員。
【宇野委員】  御回答ありがとうございました。自治体に確かに権限がありますので,全国で,どうしてもばらばらというか,地域間格差が出てしまう仕組みなんだと思うんですね。ですので,やはりアリの一穴というか,突破口をきちんと国が何らかの形で後押ししていただき,リーダーの自治体をまずはつくっていただく,そしてその後,ほかの自治体がそれに見習っていくという形で進めていくしかないと思いますので,もう少し,この読書バリアフリー法の趣旨も含めて,国から自治体にいろいろな手段で働きかけていただいて,この視覚障害者以外の人でも必要な支援機器に補助が得られる,このような仕組みが具体的に進むように御尽力いただければありがたいです。
 それから,先ほど川崎委員のお話の中で,盲学校の国立国会図書館の加盟のことがありました。御存じのとおり,点字データや音声データというのは基本的に国会図書館のデータがサピエに流れてきています。ですので,多くの場合はサピエに入れば国会図書館のデータも入手することができます。ただ,サピエが扱っていないテキストデータは,国会図書館にアクセスするしかないということです。
 デイジー図書や点字図書の数はまだまだサピエのほうが圧倒的に多いという状況がありますけれども,読書バリアフリー法に,このサピエと国会図書館の連携強化ということもうたわれています。この場でもあまり議論が進められていませんが,この扱うデータの違いに関し,国会図書館に入ればサピエのデータももらえるのあれば,国会図書館だけに入るという選択肢も生まれてくるかと思うんですね。
 このような連携強化も本当はどこか,この場を含めて,議論を進めていくべき課題かなと感じています。
【中野座長】  ありがとうございました。連携強化は非常に必要なことだと思いますので,今後,関係者の間で議論を続けていけるとよいかなと思います。
 それでは,宇野委員からの質問は以上で,次,続きまして,お待たせしましたが,三宅委員,お願いいたします。
【三宅委員】  日本視覚障害者団体連合の三宅です。私から1点,質問させていただきます。ほかの人に,もう質問されていましたので。
 27ページの日生具に関連することなんですけれども,私たちのほうからも出した資料にも載せているんですが,やはりこの地域の基本計画の策定の議論が進むんでいるところの中で,視覚障害者の従来,1,2級のみに給付されていた読書支援のための,多分ブックストークなどのそういう機器が,対象の支給等級が拡大されたという声もちらちらと聞こえたりしております。
 その中で,既にそういうデータを持っていらっしゃるのであればぜひ教えていただきたいのですが,この法律が成立してから,あるいは国の基本計画が策定されてから,日生具の対象等級,あるいは耐用年数,あと要件,その関係で,厚労省でつかんでいる状況ということをぜひ教えていただきたい。
 私たちのほうでもいろいろ調べたりしますけども,やはり限界がありますので,それをもし把握されていないということでしたら,そういうところはどこでやっているというデータって結構ほかの自治体も気にすることだと思いますので,ぜひ厚労省として調査をしていただき,各自治体のほうに,先行事例的なものを集めたものを提供していただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。厚生労働省から御回答をお願いします。
【奥出自立支援振興室長】  すみません,ちょっと途中途切れ途切れでありましたが,恐らく,こうした先行的に行っている,三宅さんが後からプレゼンされる資料に書いているような,そうした先駆的に取り組んでいる自治体の事例とか,そういったものがあるかということですけれども,全て網羅して私ども調査をしているということではございませんので,先ほど申し上げたように,今後,自治体における日常生活用具の支給の関係で参考となるようなものは何か検討したいと思っておりますので,その中の観点として,やはり読書バリアフリー法があるということを踏まえて,何ができるかということも含めて,また検討させていただきたいと思います。
【中野座長】  中野でございます。ぜひよろしくお願いします。
 その際,一番最初に文部科学省から御説明がありました,自治体における策定状況との関係というのも見ていただけると非常によいかなと思います。基本計画を立てていただいて,推進計画を立てていただいているところは比較的進んでいるとか,そういうような話があれば,今後,各自治体へ周知していくときに,とても役立つのではないかなと思いますので,ぜひともよろしくお願いします。
【奥出自立支援振興室長】  ありがとうございます。また,そうした観点も踏まえて考えたいと思います。
【中野座長】  三宅委員,よろしいでしょうか。
【三宅委員】  三宅です。ぜひ,そういう実態調査的なことで,各自治体の状況というのを把握したいと私たちも思っておりますので,調査のほうを実施するかどうかの前向きな検討をお願いいたします。
【中野座長】  ありがとうございます。
 では,引き続きまして植村委員,お願いいたします。
【植村座長代理】  1つだけです。地域における読書バリアフリー法体制強化事業というのが幾つもの項目にも関わっていますので,重要な施策かなと思って聞きしました。
 これ,令和2年度が13自治体,令和3年度が20自治体ということで,新規が10自治体だよと書かれていますが,令和2年度でやったところが3自治体抜けて10自治体入って20という計算なのでしょうか。また,令和6年まで全自治体で実施するとなっているんですが,あと令和4年と5年と6年なんですが,手を挙げた自治体に,この事業として,手を挙げればみんなできるのか,あるいは何かキャップがかかって制限があるのかということなんですね。
 手を挙げるんだとしたら,やはり先ほどから話題になっている,何か自治体への周知徹底ということをしないと,なかなか令和6年まで全自治体が実施するというふうにならないのかなと感じたものですので,質問です。
【中野座長】  厚生労働省,お願いします。
【奥出自立支援振興室長】  この事業自体につきましては,もちろん補助要件がございますので,その事業に関して,私どもの示した事業内容に合致しているかというのはありますが,基本的には金額の制限で,手を挙げているけど,お断りしているという実績はございません。
 ですので,今の状況では,手を挙げていただいて,その補助事業の内容に合致しているのであれば,そこは採択されているというような実態でございます。
 なので,確かに6年度までに。すみません,さっき御指摘あったように,一度やったところがまた手を挙げて,違うところがというようなこともありますけれども,6年度までには,全ての自治体が何らか検討いただいて実施をしていただくということを目指すために,取りあえず今のところは,こうした好事例などをお示ししながら,やっていただくということを考えていっているところでございます。
 
【中野座長】  植村委員,今の御説明でよろしいでしょうか。
【植村座長代理】  分かりました。むしろ,これバロメーターのような感じがしまして,何か手の挙がらないのは,やはり地方自治体への周知徹底という方策を進めるしかないのかなと思うんですが。
 あと項目それこそもう1項目だけやったからいいというのではなくて,ここに,この中にはちゃんと4項目ですか,書かれているわけですので,こういうことが,どれも取り組んでいただいた上で,せっかくのこういう事業ですので,もっと周知徹底していただいて,手を挙げていただきたいな。
 それと,かなりこのことによって解決することは多いのかなと思いました。ぜひよろしくお願いいたします。
【中野座長】  御指摘ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。厚生労働省,かなりボリュームのある御説明でしたけれども。ほかにはよろしいですか。
 よろしければ,ここで,文部科学省の出倉大臣官房審議官が到着されましたので,関係省庁等を代表して御挨拶をいただきたいと思います。ちょっと接続の問題がありますので,お待ちください。よろしいですか。
 では,よろしくお願いします。
【出倉審議官】  文部科学省総合教育政策局担当の審議官の出倉でございます。国会対応がございまして遅参をいたしましたこと,お許しください。
 本日のこの協議会の開催に当たりまして一言,御挨拶を申し上げたいと思います。
 まず,新型コロナ感染症の感染拡大防止の観点から,今回もこの協議会をオンライン開催としておりますが,多くの関係者の皆様に御出席をいただき,感謝を申し上げます。
 この協議会では,皆様に御尽力をいただきまして,令和2年7月に策定した視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画,これに基づき,関係省庁等と連携をしつつ,各施策を推進したところでございます。
 本年7月で,この第1期の基本計画策定から2年が経過をいたします。第1期基本計画の中間年にも当たります。これまでの取組を踏まえまして,さらに加速的に施策を推進していくことが重要だと考えてございます。
 本日は,関係省庁等の取組や関係団体における取組について御報告をいただくとともに,次年度以降の第2期基本計画の策定も念頭に置いて,今後の施策等について,ぜひ活発な御議論をいただきたく,お願いをいたします。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【中野座長】  どうも御挨拶ありがとうございました。
 それでは,引き続き……。よろしいですか。それでは,議事を続けさせていただきたいと思います。
 次の総務省の御報告までを区切りとさせていただいて,総務省の御報告及び質疑応答の後に休憩を挟ませていただきたいと思います。
 それでは,総務省より御説明をお願いいたします。
【田中情報活用支援室課長補佐】  総務省の情報活用支援室の田中でございます。
 それでは,総務省のほうから御説明申し上げます。資料につきましては,38ページからとなっております。
 総務省は,御案内のとおり,通信ネットワーク,そしてICTの利活用推進ということで施策のほうを推進させていただいておりまして,本読書バリアフリー法の基本計画との関連で申しますと,アクセシブルな電子書籍,端末機器等に関する先端的な技術等の研究開発の推進,こちらについて施策として御貢献させていただいているというところでございます。資料としては,38ページのほうから御説明させていただければと思います。
 総務省としては,デジタル・ディバイドを解消して,障害者や高齢者を含めた,誰もがICTによる恩恵を享受できる読書バリアフリー環境を実現するために,新たなICT機器の研究開発であったりとか,既存のICTサービス[A2] の高度化を行う事業者に対して,その研究開発の経費の2分の1を助成をしているという事業がございます。
 令和3年度につきましては,本助成を通じて,資料として40ページのほうに行くわけでございますが,全部で9件の研究開発助成を行ってきたというところでございます。
 また,こちらについては,令和2年以降,特に読書バリアフリー法が成立したということも受けまして,要綱の中に,一つ研究テーマとして,総務省として募集している案件として,読書バリアフリー法[A3] 推進するような施策というところも,応募の中に取り込んでおりまして,令和3年度の3番目の事業ですね。視覚障害者・ディスレクシアのための音声を使った読書方法の研究開発,この研究開発が令和3年度から今後3年間,総務省として助成をしていく予定ということになってございます。
 令和4年度以降の話でございますが,本事業を通じて,引き続き障害者にアクセシブルなICT機器等の研究開発助成,この事業を通じて,視覚障害者,そして読書環境整備といったことを取り組んでまいるというところになってございます。
 私のほうから御説明,以上でございます。ありがとうございます。
【中野座長】  ありがとうございました。
 それでは,質問やコメント等ございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。挙手がどちらかから挙がっていますね。違うか。日本図書館協会の佐藤さん。
 失礼いたしました。佐藤委員,お願いいたします。マイクをオンにして御発言いただければと思います。佐藤委員,お願いします。
【佐藤(髙橋委員代理)】  日本図書館協会,髙橋委員の代理の,障害者サービス委員会委員長の佐藤と申します。よろしくお願いします。
 総務省の方にお伺いしたいんですけども,前回の会議で郵便の問題を提示したと思うんですけども,前回ちょっと申し上げましたが,この視覚障害者以外のの方々へのサービス拡大の鍵を握っているのが,もちろんネット等を通じて,データの送信も物すごく重要なことだともちろん理解しておりますけども,それだけではなくて,例えば寝たきりの人であったり,施設に入って外へ出られない人などで,うまくネットを使えない方々がいます。その方々には,無料の郵便制度を拡大するというのが非常に重要であると。そうすれば,公共図書館や点字図書館から,デイジーなどのデータ,CDとかのメディアを郵送することができる。なので,その郵便制度について御検討いただきたいというお話をさせていただきました。
 もちろん日本郵便が,民間企業ですので,無料の郵便を拡大してくれと一方的にお願いするということではなくて,方法論で何とか,どこかに何らかのお金をつけるなり何かをつけることで,それが解決するのであれば,単純に民間企業にただ無料でやってくれという方法ではなく,何らかの工夫を考えてほしいというような感じのお話をしたと思うんですけども,その辺の検討は何かされたのでしょうか。
【中野座長】  ありがとうございます。では,総務省より御回答をお願いいたします。
【田中情報活用支援室課長補佐】  総務省でございます。御質問ありがとうございます。
 昨年度,郵便に関するお話あったと私も伺って[A4] おります。その件につきましては,郵便部局の担当課のほうにもお伝えして,それを踏まえての検討というところはあるかとございます。
 大変申し訳ございません。本日については,ちょっと郵便担当の者がこの場に同席しておりませんので,いただいた御意見の進捗含めて,改めて御確認させていただいて,別途お伝えするような形とさせていただきたいのですが,よろしいでしょうか。
【佐藤(髙橋委員代理)】  佐藤です。ありがとうございます。省内で,そういうふうに検討されているということは分かりましたので,非常にうれしく思います。ぜひ,どういうことになっているのか,また,よろしくお願いします。
【中野座長】  佐藤委員ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。どなたか手が挙がっていますか。違いますね。いらっしゃらないようですか。
 植村委員,総務省のほうのいろいろな活動にもいろいろと参加していただいているかと思いますが,何か補足等ございますでしょうか。
 植村委員,大丈夫ですか。植村委員,総務省の御報告に関しまして,何か補足等ございますでしょうか。
【植村座長代理】  植村を呼んでいただきましたか。
【中野座長】  そうです。
【植村座長代理】  いや,特に追加で聞くことはありません。逆に私,進めていただければよろしいかなと思っていたものです。
 ただ,技術開発は,総務省さんと,あと多分,経産省さんとの関係もあると思いますので,その辺連携しながら進めていただきたいなと,いつも思っているところです。よろしくお願いいたします。
【中野座長】  ありがとうございます。
 座長の中野からですが,アクセシブルなデータがどういう状況になっているかということについて,もしお分かりになるようであれば,お教えいただけるとありがたいんですけれども。購入することができるもののアクセシブルなものがどの程度,今,増えてきつつあるのかということについての情報がありましたら,お教えいただきたいんですが,いかがでしょうか。
【植村座長代理】  植村のほうから。これは,経産省の報告があった上で,追加で御説明したほうが分かりやすいのかなと思いますけども,アクセシブルな電子書籍というものができたときに,そこにテキストを持っているか持っていないか。いわゆる電子書籍の中でも画像系のフィックスというものがありますので,そうではない,リフローできるテキストデータを持っているか。それが今度,電子書店がビューアが,それをTTSで対応できるかどうかというところで,今の出版界とか電子書店さんでは,そのビューアが読み上げられるような方策というところを今,検討したり準備したりしているところです。
 現に今サービスしているところで常に挙げられるんですけど,Amazon Kindleさんがやっていらっしゃるわけですけど,これは実を言うと,著作権者とか出版者に許諾なくという。許諾なくというと乱暴なんですけど,とてもグレーな中で進めているところがありますので,日本国内の事業者であれば,やはり著作権者とか出版者の合意の中で進めていきたいと思っています。
 もちろん,この点に関しては出版界も非常に積極的に,基本的にデフォルトで読められるようなシステムを上流から下流までつくりましょうというところでは,総論的には賛成して進んでいるところです。
 こんなのでよろしいでしょうか,先生。
【中野座長】  ありがとうございます。では,後ほど経産省のほうからも関連して御報告いただければと思います。
 それでは,ここで少し休憩を挟まし……。失礼しました。小池委員から今,手が挙がっているというお話がありました。すみません。
 小池委員,よろしくお願いします。
【小池委員】  すみません。休みに入るところ,申し訳ございません。
 聞き漏らしてしまったのかもしれないんですけれども,この今回御紹介いただいている促進支援事業ですけれども,研究開発段階ということで今あるのか,あるいはどこかで実装されて,実際に使われているとかいうことがあるんでしょうか。ちょっと教えていただけますでしょうか。
【中野座長】  それでは,よろしくお願いします。
【田中情報活用支援室課長補佐】  総務省でございます。御質問ありがとうございます。
 ただいま御紹介させていただいた「視覚障害者・ディスレクシアのための音声を使った読書方法の研究開発(ポニーキャニオン)」[A5] の研究開発については,今まさに研究開発を実施しているという状況でございまして,令和3年度から3年間,令和4年度,令和5年度,3年間かけて研究開発を行っていく予定[A6] になっております。
 社会実装につきましては,その後,実施後も総務省として3年後のフォローアップ等々をやっておりますので,その中で実際に実装しているかどうかというところも含めて,研究開発についてはフォローしているという状況でございます。
【中野座長】  今の御説明でよろしいですか。小池委員,よろしいでしょうか。
【小池委員】  はい。ありがとうございます。
【中野座長】  ありがとうございます。
 それでは,ほかになければ,ここで10分間ほど休憩を取らせていただきたいと思います。今,4時25分になるところでございますので,35分まで10分間休憩をさせていただきます。休憩中は,ビデオに関しましては,画像に関してはオフにしていただいて結構でございます。
 それでは,35分には開始したいと思いますので,よろしくお願いいたします。
( 休  憩 )
【中野座長】  それでは,時間になりましたので,議事を再開させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして,国立国会図書館より報告をお願いしたいと思います。
【小澤主任参事】  私,国立国会図書館総務部主任参事の小澤と申します。よろしくお願いします。
 それでは,資料41ページです。
 アクセシブルな書籍等の充実の中でも国立国会図書館での製作及び他機関製作分の収集についてということで,まず丸1 番のほうから説明させていただきます。
 当館では,アクセシブルな書籍等を充実させるために,他機関では製作が困難な学術文献について,障害者向けの録音図書やテキストデータを製作する,また,公共図書館とか大学図書館等のデータ提供館から視覚障害者等用データを収集するというのを従来より行ってまいりました。その結果,現時点では,令和3年度末時点で約3万5,000件のデータを提供しています。
 従来,音声DAISYを製作してきましたので,累計の件数としては,まだ音声DAISYが約3万件と多いのですが,論文執筆時における引用等,テキストデータへのニーズがあることが以前より指摘されておりましたので,昨年度からテキストデータの製作を本格的に開始しております。
 さらに昨年度には,補正予算によって当館がこれまでにデジタル化した資料のOCRによる全文テキストデータ作成を行いました。
 並行して,テキスト化の精度を高めるために,OCRそのものの研究開発も進めているところです。OCRによって作成した全文テキストデータについては,視覚障害者等に提供したいと考えておりまして,関係者の方々と調整を進めています。
 どのようなことを行おうとしているのかは別紙のほうにまとめましたので,そちらについて説明させていただきます。43ページの別紙をご覧ください。
 こちらは検討中の内容でして,関係者の方々と調整を継続しているものですので,まずその点,御留意いただければと思います。アクセシブルな電子書籍の量的拡充に資するというのが本件の眼目でございます。
 それでは,事業内容を説明します。まず全文テキストデータの概要ですが、こちらは当館が既に「国立国会図書館デジタルコレクション」というサービスを通じて提供しているデジタル化資料(画像データ)からOCR処理を行い、作成したテキストデータです。
 テキストデータの作成対象となるデジタル化資料は,図書,雑誌,博士論文等約247万冊分で,図書は,おおむね1968年までに受け入れたもの等で97万件ぐらい,雑誌については,明治期以降に刊行された雑誌,刊行後5年以上経過したものということで約1万タイトル,約133万点になります。
 次に,これをどこで提供するかですが,既に平成26年1月から提供しております視覚障害者等用データ送信サービス,このサービスについては先ほどほかの方の説明の中でも出てきたかと思いますが,このサービスで提供することを想定しております。
 次のページに行きまして,提供方法ですが,OCR処理を行ったものを未校正のままで提供したいと考えております。
 全文テキストデータの冒頭には,当該データが著作権法37条3項の規定に基づいて,視覚障害者等に限定して提供するために作成されたものであり視覚障害者等以外への提供はできないこと,また校正されていないテキストデータであるといった文言を挿入することを考えております。
 サービスの利用対象者は,もともと当館の視覚障害者等用データ送信サービスがそうなのですが,視覚障害者等に該当する者として当館が確認した上で同サービスの利用者登録をした個人の方,また視覚障害者等へのサービス提供体制が整備されていることを書面により当館が確認して,サービスを利用することを承認した図書館等,こういったところに提供したいと考えております。
 次に,提供対象からの除外ですが,著作権法第37条第3項ただし書で,既に同じ方式の視覚障害者等用資料が市場に流通している場合には,無許諾での複製が許容されない旨規定しておりますので,スクリーンリーダーによる読み上げ,いわゆるTTSに対応している等,視覚障害者等が利用する支援技術を通じて利用できる方式で,その資料または同内容の著作物の電子書籍が,電子書籍市場,または出版者のホームページ等で流通している場合等には除外することを想定しております。
 この除外手続ですが,当館による入手可能性調査を行った上で出版者による事前確認手続等を経て提供を開始する想定です。提供開始後についても,出版者から該当データに関する除外の申出を受け付けます。入手可能性調査については、後ほど経産省様の報告でも出てくると思いますが,日本出版インフラセンター出版情報登録センターが公開しているデータベースを使わせていただくことを想定しております。
 繰り返しになりますが,関係者の方と調整中のものですので,その点は御留意いただければと思います。
 次に,丸2 番のほうについて御説明します。図書館等におけるテキストデータ製作支援の実験の取組というものですが,こちらは当館と日本点字図書館様の協力により行っている事業で,当館が運用する共同校正システムを用いて,日本点字図書館等の参加機関がテキストDAISY等を製作するプロジェクトです。
 令和3年度については,テキストDAISY等を489点,製作しております。
 この事業を今後も継続しますが,課題としては,公共図書館に参加いただくということがありますので,今年度はヒアリングを実施することを検討しております。
 次に,丸3 番について説明させていただきます。こちらは各インターネットサービスの周知というものでして,当館が提供する各種のサービスや,先ほども話題になっていたサピエ図書館等,そういった障害者の方にとって有用なインターネットサービスを研修等の機会を通じて周知するというものです。
 こちらは,令和3年度については3種類実施しておりまして,1つは,公共図書館職員を対象とした説明会,視覚障害者等用データ送信サービスの説明会というのを行いました。この説明会は初めての試みでしたが,大変好評でした。107名の方に御参加いただいております。
 次に,こちらは以前から行っている障害者サービス担当職員向け講座というもので,日本図書館協会様と共催させていただきました。講義223名,体験講座47名に参加いただいております。
 さらに,当館の分館である国際子ども図書館では,専修大学の野口先生による「デジタル化で進める読書のバリアフリー─児童サービスの現場にできること」という講演のオンライン配信を昨年11月に開始しております。
 来年度以降については,障害者サービス担当職員向け講座を引き続き実施することを考えております。
 次に,丸4 番について説明させていただきます。こちらは,先ほどもちょっと話題になっていた電子書籍サービスに関連するものですが,民間電子書籍サービスについて,図書館における適切な基準の整理というものです。
こちらについては45ページ以降の別紙に基づいて説明させていただきます。
 読書バリアフリー基本計画には音声読み上げ機能──TTSですね──に対応したアクセシブルな電子書籍等を提供する民間電子書籍サービスについて,関係団体の協力を得つつ図書館における適切な基準の整理等を行い,図書館への導入を支援するという施策がありまして,こちらを当館が担当しています。
 検討会の概要について説明させていただきます。まず目的ですが,サービス事業者側,ユーザー側の関係者の相互理解を踏まえて,公共図書館,大学図書館,学校図書館がアクセシブルな民間の電子図書館を調達・導入する際に参照し,電子図書館ベンダーがサービスを開発する際に参照し得る基準を作成することを考えています。参加メンバーとして,サービス事業者側,ユーザー側の各関係団体の代表からの方に出ていただいており,この関係者協議会に構成員を出されている団体からもメンバーを出していただいております。座長は東京大学の近藤武夫先生,座長代理は専修大学の植村八潮先生にお願いしています。
 検討会の庶務は,文科省の地域課及び学術基盤整備室と連携して,当館総務部企画課で行っております。
 検討会の進捗状況は,適宜事務局から関係者協議会に報告するとしておりまして,本日の報告は,それに当たるものです。
 令和3年度の開催・検討状況ですが,昨年度については,いきなり基準,ガイドラインの検討を行うというのではなくて,それに先立って,障害者団体やベンダーからのヒアリング等によって,出席者の間で基礎的な情報を共有するということを目的として行いました。昨年度,計4回開催し,「令和3年度報告書」というのをまとめております。
 次のページに行きまして,その報告書の内容について簡単に説明させていただきます。
 昨年度に行った調査等から得られた知見というのは,大きく分けて電子図書館の現状・課題,障害者のニーズ,そして電子図書館の利用促進という3つかなと思っております。
 まず電子図書館の現状・課題ですが,こちらは図書館関係者からのヒアリング及びサービス提供事業者を対象として実施したアンケートから得られた知見ですが,ここに挙げましたとおり,現状の電子図書館にはアクセシビリティ対応という点で各種の課題があるということが分かりました。
 例えばウェブサイトが十分にアクセシブルではないので,なかなか探している資料に行き着けない。また,電子書籍に適切なメタデータが付与されていないので,アクセシブルな資料であるか否か事前には分からないという電子書籍の見つけやすさの課題。また,いざ見つけても,今度はそれが読み上げできなかったりするという,電子書籍そのものの音声読み上げ可能性の課題があります。
 次に,障害者のニーズですが,こちらは検討会に参加いただいている障害者団体の皆様に多大な御協力をいただき実施したアンケート調査から得られた知見です。この場でもお礼を申し上げたいと思います。
 その知見には,大きく2つありまして,1つは,障害者の読書ニーズが紙媒体から電子書籍,あるいはオーディオブックに移りつつあるということです。「これまでに読んだ本の形式」と「これから読みたい本の形式」というのを比較したところ,EPUB等の電子書籍と,あとオーディオブックについて,今後この形式で読みたいと答えた人数のほうが多いということが分かっております。
 障害者のニーズについて,もう一つは,ビューアのアクセシビリティ機能のうち,音声読み上げ機能というのがありますが,そちらが,障害の種別を問わず,障害者の方の要望が最も高い機能だということが分かりました。
 アクセシビリティ機能ごとに見ると,全ての障害種別において,音声読み上げが「備えてほしい」と回答した方が一番多かったということになります。ほかの機能も障害種別によっては重要ですので留意が必要ですが,最重要の機能は音声読み上げということは分かったかなと考えております。
 最後に電子図書館の利用促進ですが,いろいろ伺っていると,電子図書館が仮にアクセシブルになったとしても,それだけで障害者の方に使っていただけるわけではないのだなということが改めて分かりました。電子図書館の障害者による利用を促進するためには,図書館による電子書籍への理解と対応,例えば選書基準であるとか,契約モデルであるとか,そういったところ,あとは他機関との連携,また広報等が必要であると考えています。
 最後に,次のページに行きまして,課題とロードマップですが,まず,ここは繰り返しになりますが,ビューアのアクセシビリティ機能の優先度については,先ほど申し上げましたとおり,まずは音声読み上げ機能を最重要視して進めたいと考えております。
 そしてロードマップですが,ここに書きましたとおり,令和4年度は検討会を継続し,基準,ガイドラインの素案を作成することを予定しています。令和5年度は素案を適宜見直し,成案として一般公開して周知・普及していく。そして令和6年度には基準,ガイドラインを更新したいと考えております。
 ただいま御紹介した検討会の令和3年度報告書は,今,表示されているページの一番下のURLに掲載済みですので,御関心のある方はお読みいただければと思います。PDFだけではなくてEPUB版とテキスト版も掲載しております。
 次に丸5 番について説明させていただきます。こちらは,マラケシュ条約に基づく視覚障害者等用データの国際交換サービスの実施というものです。当館では外国で製作されたアクセシブルな電子書籍等の国際交換サービスを行っておりまして,令和3年度,外国で製作された点字データ,音声DAISY等7タイトルを2か国から収集しました。
 課題としては,今申し上げたように,,あまり使われていない,つまりサービスの認知が十分ではないということがありますので,研修等を通じて,このサービスについて図書館等に周知していきたいと考えております。
 最後に丸6 番です。こちらは,司書等を対象とした研修の実施ですが,先ほど丸3 のところで申し上げたように,当館が提供する各種のサービスや,あるいはサピエ図書館等,障害者の方にとって有用なインターネットサービスを研修等の機会を通じて周知するということを行っております。それがインターネットサービスの周知にもなるのですが,司書等の資質向上にもつながると考えておりますので,ここでは丸3 の内容を重出させています。
 少し長くなってしまいましたが,国立国会図書館からの報告は以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 それでは,質疑に入りたいと思います。質問や御意見のある方は挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 総務省から手挙がっていますか。先ほどのですかね。
【田中情報活用支援室課長補佐】  すみません。総務省,間違いでございました。失礼しました。
【中野座長】  間違いですか。分かりました。
 御質問等よろしいでしょうか。では,近藤委員,お願いいたします。
【近藤委員】  近藤です。こちら私,座長を務めさせていただいたんですが,特に図書館システム,現状図書館の課題と,あと各種ベンダーから提供されている図書館システムのアクセシビリティについての報告の部分というのも非常に参考になるものになっていると思うんですが,特にユーザーの方の必要とされる機能ですね。これらを,関係の障害者団体の皆さんに御協力いただきまして,実データとして調査したアンケート結果を掲載していて,これは非常に参考になるデータになっているかなと思います。どういった機能が必要とされているのかということについて,ぜひ御関係の方,御覧になっていただけたらと思います。
 すみません。質問というより,重要ポイントの確認ということになってしまったんですが,ぜひ皆さん,よろしくお願いいたします。
【中野座長】  近藤委員,ありがとうございました。
 それでは,三宅委員から手が挙がっております。三宅委員,お願いいたします。
【三宅委員】  ありがとうございます。日視連の三宅です。分かる範囲で教えていただきたいんですけども,今回の調査の中で,電子図書館の可能性というのも見えてくるような調査もされたと思いますけれども,この報告書が出されてから,出されておりますが,現時点で,もうこの結果を出るまでもなく,私も含めていろいろな意見を,その電子図書館サービスの提供しているところに伝えていただいていたかと思うんですけども,何かその後,既に取組があるとか,何か動きがあるということがあれば,ぜひ御紹介いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
【中野座長】  御回答よろしくお願いします。
【小澤主任参事】  ありがとうございます。電子図書館サービス全般については,いろいろなところ,主に4社ぐらいのところが日本では強いと思いますが,いろいろなサービスを提供していて,日々エンハンスしていると思いますので,それについては,実は調査している過程でも日々行っているということはありました。
 最近の目立った動きということでいいますと,メディアドゥという会社でアクセシブルライブラリーという障害者の方に限定して提供するサービスを開始したと聞いておりまして,その実際の内容の詳しいところをこちらで把握しているわけではないのですが,それについては少し興味深い事例かなと考えているところです。
 メディアドゥの通常のサービスと別に障害者の方に提供するというものについて,先日新聞記事にもなっておりましたけども,それについてはちょっと注目していきたいと思っております。
 今年度も,素案をつくっていく過程では,ベンダーの方とは検討会も含めて密に連携していくつもりです。また,ベンダーの方々も昨年度検討会に参加していただいたのですが、いろいろ気づきを得られたという感想もいただいております。またよくなっていくのではないかなと思っております。
 すみません,少し抽象的なのですが,そのような感じでよろしいでしょうか,三宅様。
【三宅委員】  ありがとうございます。
【中野座長】  ありがとうございました。
 この後,手がお三方から挙がっておりまして,宇野委員,佐藤委員,河村委員の順番で御発言をいただきたいと思います。
 まず,宇野委員,お願いいたします。
【宇野委員】  弱視者ネットの宇野です。読書バリアフリー法に資するような動きを大変精力的につくっていただいていることにとてもありがたく思っています。
 1点だけ質問させてください。学術文献図書について,以前は音声DAISYを作成していたけども,テキストファイルの作成を始めるようになったというお話がありました。このテキストファイルについて,蓄積場所と使い方なんですが,視覚障害者等用データ送信サービスに,乗せられているのか。それとも,先ほど大学図書館関係のメタデータの書誌データの共有という話があったと思いますが,そことつながって,大学図書館等々も共有がなされていくものなのか。この扱いをお伺いします。
【中野座長】  それでは,御回答をお願いします。
【小澤主任参事】  宇野先生,ありがとうございます。当館で作った音声DAISYやテキストについては,先ほどから御紹介している視覚障害者等用データ送信サービスで提供しております。
 大学図書館のほうで作られている読書バリアフリー法対応メタデータ共有システムとの連携ということについては,それはそれでまた別の課題として,当館のサービスでも検索できるようにするとか,そういった連携というのは検討しているところでございますが
 宇野先生,それでよろしいでしょうか。
【宇野委員】  分かりました。ありがとうございます。
【中野座長】  ありがとうございます。
 では,続きまして佐藤委員,お願いいたします。佐藤委員,ミュートの解除をお願いいたします。佐藤委員,大丈夫でしょうか。皆様,しばらくお待ちください。佐藤委員,マイクがオンになっていないようでございますので,ミュートを解除して御発言をお願いします。
 ちょっとうまくいっていないようですので,申し訳ありませんが,先に河村委員の御発言をいただいてから佐藤委員に戻りたいと思います。河村委員,お願いします。
【河村委員】  ありがとうございます。質問です。
 先年度も話題になったと思いますが,盲聾の方と,それから聴覚障害者は,やはり読書困難者と認められる方が多いと思いますので,この両方の障害分野についての調査はされたのでしょうか。されたとしたら,どのようにされたのか,伺いたいと思います。
【中野座長】  それでは,御回答をお願いいたします。
【小澤主任参事】  河村先生,ありがとうございます。今回の調査については,検討会の報告書を見ていただくと分かるように,盲聾の方であるとか,聴覚障害の方というのは直接的に対象とはなっておりません。視覚障害者の方であるとか身体障害者の方,あるいは発達障害の方といったところの方,あと弱視の方であるとか,そういった方を対象に行った調査です。
 盲聾の方とか聴覚障害の方については今後の課題かなと思いますが,今回については,そういう方については調査の対象にはなっておりません。
【河村委員】  例えば弱視で難聴の方というのは,視覚障害者の調査をすると入ってくる可能性があるんですけれども,今回は,そういう方は対象にいなかったというふうに理解してよろしいんでしょうか。
【小澤主任参事】  私の今の言い方が,やや単純化し過ぎておりましたが,今回の調査,弱視者ネットワークであるとか日視連等の団体に御協力いただいているのですが,回答者のなかには盲聾の方であるとか,聴覚障害をお持ちの方もいらっしゃいました。その意味では除外はしておりません。
 ある障害種別という団体にお願いしていったという進め方であったため,最初のターゲットとして明確に入れているわけではございませんが,結果的には数名程度いらっしゃったと認識しております。
【河村委員】  そこから得られた特別な知見というのは,特段,報告書には記載はないんでしょうか。
【小澤主任参事】  そうですね。申し訳ありません。今回,大きい傾向として,どういったところを重視していくのが一番多くの障害種別の方に届くかというところの調査でございましたので,その点は導き出せてはいないところです。数名程度からでは,傾向性までは読み取れないというところでございました。
【河村委員】  ありがとうございます。課題として,障害が重複すると,非常に生活上の困難が加重されるということがございますので,数は少なくても,そこ,そういう形で表れている,数名の方から何かの知見が得られるというのは大変貴重なことだと思いますので,今後,折があれば,ぜひフォローしていただきたいというふうにお願いです。ありがとうございました。
【中野座長】  ありがとうございました。
 それでは,鈴木委員,お願いいたします。
【鈴木委員】  先ほど小澤主任参事のほうからも御紹介いただきましたけれども,電子書店に関してはアクセシブルなものが出てき始めているというお話がありました。そこに関して,ちょっと補足をさせていただければと思います。
 先ほどお話が出ておりましたメディアドゥさんが最近,発表されておりますけれども,TRCさんのほうでも大分前からアクセシブルな電子図書館というものを御提供されておりますので,何というんでしょうか,この今の記載ですと全然駄目という感じに読めなくもなかったもので,既にそういうものもありますというのだけ,ちょっとお伝えさせていただければと思っております。
 以上でございます。
【中野座長】  ありがとうございます。情報提供,感謝いたします。
 ほかにはいかがでしょうか。
【佐藤(髙橋委員代理)】  佐藤ですけども,聞こえますでしょうか。すみません。先ほど,てこずってしまって申し訳ありません。
 私のほうは国会図書館に感謝をしたいという発言なんですけども。その前に,三宅委員から発言がありまして,今もありました電子書籍の話なんですが,私も国会図書館の検討チームのメンバーの一人なんですが,本当にメディアドゥさんもそう,今のTRC-DLもそうで,また紀伊國屋のKinoDenに関しても,かなり音声で使えるものもあるんですね。
 そういうわけで,各ベンダーさんが非常に頑張られて,今,物すごくよくなってきていると。まだ完璧というところまではあれなんですけども,非常によくなってきていて,各ベンダーさんの努力に私たちは感謝しています。
 それと,国会図書館が今度,先ほど発表にありましたけども,230万点以上の未校正のテキストデータを視覚障害者等用データ送信サービスで私たち視覚障害者等に提供してくれるということ,このいきなりの230万点という物すごいデータが,未校正ではありますけども,障害者の方々が使えるようになるということに関しては物すごく期待していて,国会図書館のいろいろな活動に,すごい頑張られているなということで,障害者でもある私としては非常に感謝をしていますし,図書館として,それらのサービスを積極的に使っていきたいし,利用者にPRしていきたいと思っています。どうもありがとうございます。
【中野座長】  佐藤委員,ありがとうございました。非常に強いエールをしていただいて,感謝でございます。
 植村委員,手が挙がりました。よろしくお願いします。
【植村座長代理】  電子書,ビューアによってTTS読み上げに関して,これに関わりがありますので,ここで少し追加補足させていただこうと思います。
 この国立国会図書館の調査,非常に私にも勉強になりまして,調査の過程で経産省のほうの委員会と情報交換しながら進めるということを,双方の御理解いただいて,していただきました。出版者のほうにも早めにこの調査結果のフィードバックがかかったということがあります。
 その上で,調査で非常に学んだのが,実は障害者の皆様方が非常に多様である。これ,まさに先ほど小澤主任参事のほうから報告あったように,単に読み上げるだけではないかな。一つ分かりやすいのは詳細読みへの要望ということですよね。
 これは多分,それを全てベンダーのビューアに求めていくのは難しいと思います。それは開発コストとか,機能の問題があると思って,むしろそういうのはスクリーンリーダーが対応するのかなと思います。
 となると,やはり単に図書館の現場では,ベンダーと契約して,そこがアクセシブルであることをただ任せるのではなくて,図書館現場で,そのようにスクリーンリーダーを入れて,詳細読みとか,それ以外の障害の方に対応するという工夫が,今後,図書館現場のほうにも求められるのかなと思っている次第です。
 取りあえず補足です。ありがとうございます。
【中野座長】  植村委員,補足説明ありがとうございました。
 そのほか,いかがでしょうか。
 よろしければ,最後の御報告であります経済産業省にお願いしたいと思います。
 では,経産省より御説明,よろしくお願いいたします。
【冨田コンテンツ産業課課長補佐】  経済産業省コンテンツ産業課,冨田でございます。経産省の取組として,資料の49ページに基づいて御説明をさせていただきます。
 経済産業省では,法律の読書バリアフリー法第11条第1項関係ということで,出版者からの製作者に対する電磁的記録等の提供の促進のための環境整備,また法第12条の関係ですけれども,アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進,またあわせて,第12条関連ですけれども,出版者から書籍購入者に対する電磁的記録等の提供の促進のための環境整備ということで検討してまいりました。
 昨年度から,基本計画にもありますように,出版関係者との検討の場というものを令和2年度,令和3年度として設けてきました。こちらの検討会の座長につきましては,本協議会の座長代理であります植村先生を座長にして,いろいろ議論をさせていただいております。
 令和2年度,一昨年度に我々として,出版関係者の取組としてロードマップ・アクションプランということで取りまとめさせていただきました。
 ここに書かれていますように,総合的なデータベースの構築であったり,電子書籍の基準の検討,サポートセンターの設置・運営,テキストデータ抽出等に関する基準の検討ということで,ロードマップ・アクションプランを策定いたしました。
 令和3年度につきましては,このロードマップ・アクションプランの実行,フォローアップ等,また加えて,電子書籍等の製作及び販売等の促進,出版者からもテキストデータ等の提供促進を図るための調査という形で実行させていただいております。
 令和2年度に作成したロードマップ・アクションプランの実行に関しては,ここの成果にも書かれておりますけれども,関係主体により読書バリアフリー環境に向けて具体的に検討されており,各アクションが,それぞれ実現に向けて取り組まれていることが確認されています。
 具体的な進捗状況につきましては,50ページ,51ページに,それぞれの項目について書かせていただいているところです。
 昨年度につきましては,書籍等印刷データからのテキストデータ等の作成に関する実証事業,また視覚障害者等へのヒアリング,それに加えて,それらの結果を踏まえて,読書バリアフリー環境整備のための電子書籍市場等の拡大に関する検討会というものを,引き続き,植村先生の下で実施をしてまいりました。
 その中では,実証事業,ヒアリング調査,先行事例と意見交換等を通じて,アクションプランの中にあります,出版者と特定電子書籍製作者や視覚障害者等を取り次ぐ機関として,出版業界によりABSCの設立に向けて準備を進めることとなりました。
 他方で,法第12条ですが、書籍購入者への電子データの提供に当たっては,視覚障害者等へのきめ細やかなサービスの提供のためにも,ABSCと視覚障害者等の間に受皿機関が必要ではないかとの結論にも至っております。
 ここの49ページの一番下の課題にも書かせていただいておりますけれども,法第12条のこの電子データの提供です。ここについては,視覚障害者等へのきめ細やかなサービスの提供のためにもABSCと視覚障害者等の間に受皿機関は必要であり,この受皿機関の設置については,関係者協議会において出版関係者を超えた議論が必要ではないかという御意見も出ておりました。
 そのデータの提供の方向性につきましては,資料の52ページ,53ページのほうに記載させていただいております。
 また,令和3年度に取り組んだことですけれども,我々国や出版業界の取組,読書バリアフリーに関する取組ということで,啓発事業として,令和4年3月25日よりオンラインのイベントとして「出版業界による読書バリアフリー対応のいまとこれから」というものを開催して,配信をさせていただいたところでございます。
 全体としては,ABSC,これを我々出版業界のほうで立ち上げるということで,データの取次機関として,出版者の読書バリアフリーに関する意識を高めていく,また電子データ提供に関する製作機関,書籍購入者の問合せ窓口は個々の出版者ではなく一本化されることになります。
 当然,先ほど申し上げた法第12条の書籍購入者へのデータ提供に関しては,協議会など,出版関係者の枠を超えての課題の整理や議論すべき論点がたくさんあるものとも思っております。
 他方で,読書バリアフリーの推進そのものは進めていくものと考えておりまして,まずはアクセシブルな電子書籍を増やしていく。植村先生からもちょっとあったかもしれないんですけども,リフロー型,フィックス型,電子書籍は2つあるわけですけれども,ちょっとその内訳は別としても,電子書籍の市場規模というのは,2014年の192億円から2021年には449億円,この7年で約2.3倍という,大きく成長している市場でもあります。今後もさらに拡大していくということも,ここは予想されていますし,アクセシブルな電子書籍も拡大していくものと思われます。
 それには当然,先ほど植村先生からもありました,課題として,それを加速させるためにはTTSの読み上げの取扱い方など様々な課題,それも並行してクリアしていくことで,市場全体としてのアクセシブルな電子書籍を増やしていくための環境整備は引き続き行っていくということと考えております。
 また,その上で当然,出版者として,アクセシブルな電子書籍製作が困難なものというものも出てくると思います。当然,出版業界としても,ABSCの設立を実現して,法第11条2項の著作権法37条による複製ができる者に対して,出版者からの電子データを提供することにより,今ある枠組みの中で,特定書籍,特定電子書籍の製作を加速させるとともに,先ほど,この1つ前に御説明がありました国立国会図書館などで製作されるものも含めて,その市場のカバーをしていくということも進めていくということかと思います。
 そのためには当然,学校図書館であったり,公共図書館であったり,こういう著作権法37条で複製できる者として,やはり数多く取り組んでいただくということも必要だと思いますし,さきの説明でもございましたけれども,国立国会図書館の送信サービスやサピエの会員,こういうものも増えてくるということも,そういう市場をカバーしていくものだと考えております。
 我々としては,この2つの取組を進めていくことで,まずは市場におけるアクセシブルな書籍,電子書籍の充実に取り組んでいくと考えています。
 令和4年度において,今年度ですけれども,令和2年度に策定いたしましたロードマップ・アクションプラン,これは引き続き進め,これらの実現に向けた課題に関する調査,出版関係者の検討の場を引き続き今年度も実施してまいります。その上で,読書バリアフリーのさらなる推進に努めていきたいと考えております。
 経産省からは以上でございます。
 こちらの座長である植村先生のほうから補足があれば,お願いできればと思います。
【中野座長】  植村先生,いかがでしょうか。
【植村座長代理】  ありがとうございました。丁寧に説明いただいたので。
 中野先生,すみません,発言してよろしかったでしょうか。申し訳ありません。
【中野座長】  どうぞ,お願いします。
【植村座長代理】  失礼しました。さっさと話してしまって,すみませんでした。
 まずは1つは,TTS対応する電子書籍をとにかく増やしていくと。多分,一般の読者の方の関心として,読める本,一般文芸書等を中心とした,読めるというようなことがあると思いますので,これが増えるということは何よりも一番いいことですので,それを増やしていくと。もう一つ,それは増えれば,おのずと図書館に行って誰でもが読む環境ということも出来上がりますので,これ出版者として邁進しているところです。
 ただ,TTSで読めるかどうかということの技術的な問題,1つ,先ほどちょっと言いましたけど,それ著作権者から出版者,電子書店までの制度的な問題というんでしょうかな,法制度的な整備ということと技術的な開発というのは2つ,2面ありますので,この2つに関して,現在,出版界の中ではTTSに関する検討会というのをちょうど始まったところです。
 もう一つは多分,そういう一般書ではなく専門書,学術書,いわゆる教科書等の学びというところですね。これは出版界,非常に小さな出版社が多くて,そもそもテキストを持っていない。これは本当に印刷会社にありますので,一般には何かすぐ電子書籍になってテキストがあるというふうに思われがちですが,これをちゃんと学びのためにふさわしいテキストにしていくというのは,かなりハードルが高うございます。
 これに関して,ABSCというのはあくまでも出版社側団体の窓口なんですが,出版社の中のそういう電子書籍に取り組むことがなかなか大変な中小零細出版社に対するサポートも併せて進めていこうと思っています。
 そういう一般の電子書籍を増やすということと,高度な専門書等に対する対応というのが,2つの柱があるのかなというふうに取り組んでいるところです。
 補足になります。ありがとうございます。
【中野座長】  丁寧な補足ありがとうございました。
 それでは,質疑,御意見に入りたいと思いますが,まず河村委員から手が最初に挙がっておりますので,河村委員,宇野委員という順番で御発言いただきたいと思います。
 河村委員,お願いします。
【河村委員】  ありがとうございます。2つ論点がございます。
 1つは,今回のこの調査研究が,やはり,どこへ行っても標準規格が必要だねという議論が必ず出てくるんですけれども,現在の事実上の電子書籍の国際的な標準規格であるEPUBと何か違うもの,違うプラットフォームを目指しているために,EPUBに関して,EPUBアクセシビリティがどのように進んでいるのかというところにあまり焦点が当たっていない報告書になっているのか,どこを目指しているのかについて,もう少し具体的にお話しいただければというのが第1点です。それは規格に関してです。
 第2番目は,これは意見の違いです。個人が購入した電子書籍をTTSで読むというものは個人利用に当たるものであって,個人が購入したものをTTSで読むことについて,著作権に関する問題があるということは,日本の著作権法においてはあり得ないと思いますので,その点,先ほど植村先生が再々おっしゃっている,著作権の問題があると。TTS読み上げに関しては著作権の問題があり,Amazonはその問題をグレーのままやっているということについては,私は,もっと精査していただきたいなと思います。意見がそこは違っておりますので,その点について,植村先生のお考えを,もう少し詳しく伺いたいと。
 私が懸念しておりますのは,Amazonが,個人が読む際にTTS読み上げができる書籍をどんどん増やしています。このままいきますと,Amazon独り勝ちになるねということは,少なくともTTS読み上げの本を購入しようとするときには,誰もが否定できない傾向だと思います。これは日本の出版界にとっても決してよいことではないと思いますので,その辺り,著作権法上の問題がグレーなのか,そうでないのかということは結構重要な問題だと思いますので,ぜひその点についての植村先生の御見解を重ねて伺いたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。では,まず1番目の質問に対しまして,経産省のほうから御回答をお願いします。
【冨田コンテンツ産業課課長補佐】  すみません,経産省でございます。御指摘のほう,ありがとうございます。
 この検討会の中では,その標準規格として,どれを使うとか,そういうところの議論というのは特にはしていない状況です。これちょっと,業界全体の中で何か向かっていく方向性があるのであれば,むしろあれですかね,眞鍋構成員のほうから何か補足があったらお願いできたらと思うんですけれども。
【中野座長】  御指名ありましたので,お願いいたします。眞鍋委員,お願いします。ミュートを解除して御発言いただければと思います。眞鍋委員,いかがでしょうか。
 眞鍋委員がすぐには出れないようでございますので。真鍋委員お願いできますか。眞鍋委員,ミュート解除されているようですが,音声が出ておりません。どうもシステムトラブルがあるようですね。こちらからはミュートが解除されているように確認できるんですが,お話しいただいているのが届いておりませんので。
【植村座長代理】  じゃ,私のほうから。中野先生,私のほうから分かるところで補足ということでよろしいでしょうか。
【中野座長】  では,植村委員,お願いします。
【植村座長代理】  1つ目と2つ目です。
 1つ目のほうは,もともと電流協は,EPUBに対する電流協のガイドラインというのがあります。当然EPUB,国際標準ですし,アクセシビリティのことも機能も盛り込まれてきていますので,その内側に入るフォーマットで作ることは間違いありません。
 ただ,もう御存じのように,国際標準のEPUBの機能を全て盛り込んだビューアとか,実装されたものというのはないわけですね。しかも,その実装は,個々の書店とかがビューアで開発していくということになりますので,以前,電書協としては,この電書協のEPUBのガイドラインの内側で作るから,必ずこの機能はうまく,ビューアとかベンダーさんは機能を実装してくださいという形で,ある種のガイドラインをつくったという経緯があります。
 当然,今度,アクセシビリティに関しての読み上げということになれば,改めてこういうことの検討があって,実装できる領域の中で,しっかりと読み上げられる。つまり,実際,電子書籍ビジネス,非常に大変で,電子書店ごとに実は結構表示が違ったり,機能がうまくいったりうまくいかないということのトラブルはしょっちゅうあるんですね。そういうことが問題なく,全ての電子書店で同じような機能が持てるようなことに対して,上流から下流まで相談しながら作っていかなきゃいけないかなと思っています。
 ですから,EPUBの標準という枠組みになれば,当然その内側で作るということにおいては間違いないということです。
 よろしいでしょうか,1つ目,こういうことで。
【中野座長】  ありがとうございました。
【植村座長代理】  続けてよろしければ,中野先生,2つ目の河村先生の御質問を私……。
【中野座長】  2つ目のほうもお願いいたします。
【植村座長代理】  よろしいですか。
【中野座長】  はい。
【植村座長代理】  確かに河村先生のお考えどおりで,私的利用であれば当然スクリーンリーダーついて読み上げることは全く問題ないと思っています。
 ただ,電子書店さんが開発するために,これはよく議論あったことなんですが,以前の法律の場合,そのテキスト,OSに,要するに,DRMがかかっている中からテキストを取り出してOSに渡すということがいいのか悪いのかというような話がありました。
 あと実際,電子書店が読み上げる方策は幾つもあります。スクリーンリーダーのような音声エンジンを持ち込むということあります。これ多分あまり現実的ではないと思います。コストも高くなりますし,システムのリソースを大変食いますので,ないだろうと。
 今行われているのは,よくクラウドのほうにテキストを投げて,音声データを返してもらうというのが一つあります。あともう一つは,OSにテキストを渡すというようなことですね。
 こういうようなことが安心してできるような仕組みというか,ルールというんでしょうかね,というようなものを,しっかり流れをよくしてつくっていこうということにおいては,今,経産省の下で取り組んでいるメンバーは,方向性はもちろん,その方向に行っています。
 ただ,やはり技術的には全て民間事業として,電子書店が自分たちの経費でやることですので,そのことを促す方向では,ぜひ率先してやりたいと思いますけど,すぐになかなか立ち行かないだろうなというようなところは,幾つかの問題というのは逆に見えているなというところもあります。
 一つ一つ潰して,とにかくAmazonに負けないように,いいアクセシブルなビューア開発という方向に行ければなと思います。
 その意味では,実は先ほど図書館のところで話がありましたメディアドゥさんが,今までは電子書籍ビジネスをやっていきながら,障害者に限定した電子図書館サービスがやれたということは,障害者枠ということで,これは出版界のほうも非常に積極的に,今,電子図書館にサービスしているコンテンツの枠を超えて提供できるんじゃないかなというような期待もあって,動いているところだと思います。
 以上で御回答になりましたでしょうか。
【中野座長】  植村委員,よろしいでしょうか。失礼しました。
【河村委員】  著作権問題に関して,ありがとうございました。明確になりました。
【中野座長】  ありがとうございます。
 では,続きまして宇野委員,御発言をお願いいたします。
【宇野委員】  弱視者ネットの宇野です。
 まず,経産省のほうで2年間,非常に精力的な議論を進めていただき,ありがとうございます。既に御存じだと思いますが,この読書バリアフリー法の立法の趣旨は,障害者の「買う自由」と「借りる権利」を確立していこうというものでした。
 そういう意味では,この12条のデータの販売促進や,11条の2項,これは図書館が切望しているわけですけれども,図書館にテキストデータ等を提供していく。これらは,この法律の最重要条文の一つであると認識をしています。
 御存じのとおり,とにかく読書障害者の読書媒体は多様であると。その多様なニーズに対して,例えば出版社が点字や音声や拡大本を発売するということがあれば理想的です。しかし現実的にはそれが難しい。よって,データによるワンソース,マルチユースという考え方を適用し、多様なニーズに対応していくという考え方が12条や11条2項にあるかと思います。
 そこで,今,経産省のほうからお話があったこれからの課題は,障害者側の受皿をどうしていくかという議論だと思うんですね。
 既に出版社側はいろいろな動きをつくっていただいていて,ABSCというものも形になりつつある。
 一方で,この車の両輪の片輪側といいましょうか,障害者側のセンターの受皿が今,宙ぶらりんの状態で議論が浮いているように感じています。
 昨年この会議で,これを一体どこの会議母体が検討していくのかという質問をしたんですけども,そこも明確な回答はなかったように思います。
 このまま,来年また6月まで1年間,こういう状態が続くというのは,結局,出版社側が頑張っていただいても,12条や11条2項が求めるその姿は描き切れないということを大変危惧しています。
 この会議の残り時間30分で議論はできないですし,この協議会も,本当は課題解決のための協議ですから,読書バリアフリー法18条に従うと,1年に1回ではなく,こういう大きなテーマについては二度,三度開いていってもいいんじゃないかなと思います。
 たとえそれが難しくても,少なくともこの議論は,この1年,2年で進めていかないと,形にはなっていきません。,例えば,協議会の下に,障害者側の受皿をどうしていくのかということを検討するワーキンググループのようなものをつくって,具体的な議論を進めていく,そして車の両輪が来年,再来年に動かしていける,そういう議論を進めていく必要があると思っています。
 ですので,ぜひ協議会の複数開催,もしくはワーキンググループでの議論を進めていくということを提案したいと思います。
 これは誰にお答えを求めてよいか分かりませんが,ぜひよろしくお願いします。
【中野座長】  ありがとうございます。この件に関しましては文部科学省のほうから,もし回答ができそうであればお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。今の障害のある団体の中で窓口をつくったらどうかということで,そのための議論のためにワーキングをつくるか,もしくは複数の委員会開催というのを考えられないかという御提案かと思いますが,いかがでしょうか。
【宮本障害者学習支援推進室室長補佐】  文部科学省の宮本でございます。宇野先生,ありがとうございます。確かに重要なポイントだと思います。
 ただ,この協議会の場に,この課題をいきなりぽんと載せて議論をしていくというのはちょっと乱暴な感じもするので,もう少し焦点を絞って対応していかなきゃいけないのかなと思います。
 なので,先生御提案の複数開催であるとか,ワーキングを設けるとか,またそのメンバーをどうするかとか,詰めていかなければいけない部分が多いかなと今の段階では思っております。
 なので,この場ですぐ,どのようにしたいと,どのようにするという回答はちょっとできないんですけども,重要な課題であるということは認識させていただいておりますので,今後,検討していきたいと思います。
【宇野委員】  ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
 
その検討の中で,12条をどういうふうに具現化していくのか,それから11条2項をどう実現していくのかという観点もあろうかと思います。
 また,先ほど植村先生のお話にありましたけれども,文芸書と学術文献図書,つまり中高生のための参考書や問題集,大学生の専門書では、切実度も違います。音声読み上げだけでいいのか,それとも,どういう漢字が使われているのかを知るためにテキストベースで確認をしたい,というようなニーズも違ってくると思います。
 基本計画にも,学生や生徒のニーズ,それから教育関係や図書館で働く人たちの読書保障は切実なので留意が必要であるというふうな文言も入っていたかと思います。そういう意味では,この辺りを整理して,ABSCに対して,じゃあ私たち障害者側の窓口になり得る機関は,どういうところがどういう機能を果たすべきなのか,どういうデータ変換をどこがやるべきなのか,こういう具体的な議論をぜひ。
 どちらかというと,ワーキンググループのほうがいいと思いますけれども,細かいところを詰めていって,来年のこの場で具体的な案が提示できるぐらいのスケジュールでぜひ検討をお願い致します。私も協力させていただきますので,検討の場をぜひ準備していただきたいと思います。 
【中野座長】  どうもありがとうございました。先ほど御回答ありましたように,この件に関しましては,文部科学省を中心に検討をしていただいて,また御報告をさせていただくということで,よろしくお願いいたします。
 野村委員,挙手をしていただけているかと思いますが,よろしくお願いいたします。
【野村委員】  すみません,日本点字図書館の野村でございます。今,宇野委員のほうでこの問題についてワーキンググループをという話,出たと思いますけれども,このような形で今,文書が出てくるということは,何かしら構想をお持ちになって出たんじゃないかと思っておりますので,現段階での,もう少し詳しい構想みたいなものがあればお聞かせいただきたいんですけども,いかがでしょうか。
【中野座長】  野村委員,今のは宇野委員に対してということで。
【野村委員】  いえ,経産省さんですね。この電子データ提供の方向性の案で,いわゆる受皿機関と障害者との間での締結で担保するとかという案がありましたけども,何かこういう形で出るということは,もう少し具体的な話があって出てきたものだと思うので,その辺りのお話をお聞かせいただけたらと思いました。
【中野座長】  分かりました。53ページの図表2のところにある提供スキームの,今,お話かと思います。
 それでは,御説明をよろしくお願いします。経産省の中で,これについて具体的にどういうことをお考えかということでございます。
【冨田コンテンツ産業課課長補佐】  経産省でございます。御意見ありがとうございます。
 この53ページに書いてある図表1と図表2のことでございますけれども,11条2項に関しては,どこが受皿かということではなくて,今ある大学図書館でやっておられるところとか,学校図書館とか,ボランティア団体とか,そういうところがABSCと直接データ提供契約を結んで個別に出していくということを考えています。
 図表2の12条のところに関しては,これ何かどこかというのは,我々のほうで特にあったわけではないです。
 ただ,いろいろこの11条2項の特定(電子)書籍等の製作者となる方々に御意見を聞いていく中で,やはり,点字図書館さんもそうなんですけれども,視覚障害者等の方のニーズに応えて,いろいろ,その方々に応じた加工なり作成をされているということも聞いております。また,大学図書館でのヒアリングの中でも,取りあえず論文として書きたいんだけど,材料と知りたいので校正は要らないとか,ただ論文として転用したいので,やはり正確なものが欲しいとか,その時点時点によってもいろいろな需要があるというのはお聞きしております。
 そういう中で,ABSCの中で,障害者等のニーズ,そこまで応えるのがなかなか難しいという中で,この11条2項と同じような受皿があることで,やはり視覚障害者等の皆さんのニーズに応えながら,データを加工してお渡しできるというのは一番,両方にとって,期待に応えられるところかなと考えた上で,この図表,これを出させていただいたということです。
 恐らくこれ,今回,構成員となられている,多分,近藤先生もそうだと思うんです。これ,教科書のほうでいろいろデータをもらって,それを視覚障害者等の教科書を受け取る方のニーズに合わせて,いろいろ加工されていると思うんですよね。そういう中で,やはり,そこのニーズに多分なかなか出版者としても応え切れないという,単なるテキストデータを出せばいい,そういうことでもないと思うんです。
 そういう中で,こういう受皿機関が必要なんじゃないかということが我々からの提案で,どこにやってほしいとか,そういう構想が今,我々の中であるということではございません。
 すみません。お答えになっているかあれなんですけども,以上でございます。
【中野座長】  野村委員,いかがでしょうか。今の御回答でよろしいでしょうか。
【野村委員】  はい。そうすると,一応,覚書のところというのはどういうふうな捉え方をされたんですかね。
【中野座長】  もう一度言っていただけますでしょうか。
【野村委員】  受皿機関と障害者の間での覚書を締結することで担保するという,これは,その受皿機関にその分を持ってもらうというようなイメージなんですかね。
【冨田コンテンツ産業課課長補佐】  そこは,例えばデータ。出版者サイドとしても,やはりデータの流出というものを当然,恐れているというか。コピー防止ができるわけでもないのでですね。そういう中でしっかり,その提供する側,それが受皿機関であったり,受皿機関から視覚障害者等に対して,やはりきちんとそういう契約を結んだ上で,ある程度,出版者としても安心感を持ってもらって提供できる,そういう環境を結ぶということです。
 当然,視覚障害者であるという確認とかのことも必要だと思いますけども,そういうことも意味しております。
【野村委員】  分かりました。ありがとうございます。
【中野座長】  ありがとうございます。
 それでは,先ほどから真鍋委員が挙手していただいているんですが,真鍋委員,うまくつながりましたでしょうか。ちょっと御発言をお願いできますでしょうか。
 どうもうまくいかないようでございますので,申し訳ございませんけれども,チャット等でまた御意見をいただければと思います。ちょっと時間も押しておりますので,先へ進めさせていただきたいと思います。
 では,今いろいろ質疑がございましたけれども,経産省のほうで,まだ具体化されていないところもあるようでございますので,その点に関しては経産省のほうでさらに具体化していただきながら,宇野委員から御提案のあったことも含めて今後議論をしていくということで,よろしくお願いしたいと思います。
 そのほか,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 座長からですが,先ほど宇野委員から御提案があったことについて非常に重要なことだと思いますので,この辺に関しましては,今回御参加の当事者団体の皆様も一緒に議論をされていると思いますので,どのような形になればいいかということにつきましては,先ほどの経産省のほうにも御協力いただいて,これがどういうような形で具体化していくのがよいのかや,それから今後どのようにこの議論を進めていけばよいのかということについて,引き続き,やり取りをさせていただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,少し進行が遅れておりまして申し訳ないんですが,続きまして,当協議会の当事者団体の皆様から,それぞれの活動に関する資料を提供していただいております。ちょっと残り時間が少なくなってきましたので,それぞれ簡潔に御報告をいただければと思います。
 まず三宅委員より資料5に基づいて説明をお願いし,その次に宇野委員,河村委員,小池委員,佐藤委員,それから川崎委員というふうに進めてまいりたいと思います。
 それでは,三宅委員,お願いいたします。
【三宅委員】  日視連の三宅です。出させていただきました資料を読んでいただければお分かりいただけるかと思いますので,簡単に御説明させていただきます。
 私たちのほうでは,既に一昨年度,私たちもその加盟団体のほうに対象にしまして,読書バリアフリー法の基本計画,これに関しての説明を各団体のほうに行ったという取組をしておりました。
 その後,昨年度なんですが,まだまだ末端までなかなか行き切れていないというふうな印象があったため,まずは私たちのほうの部会の一つであります弱視部会という弱視,ロービジョンの方が委員として入っている部会があるんですけれども,こちらのほうで読書バリアフリー法について学ぶ機会を設けようというふうな形で,たまたま総会のときの研修テーマとして設定をさせていただきました。
 やはりそこでいろいろな気づきがあったというふうな形で意見をいただきまして,それぞれ地域団体のほうにも持ち帰っていただき,具体的に運動展開をしていただいて,それが結果的に結びついたということで,いろいろ意見もいただいております。
 その中の一つが,先ほど厚労省さんのときに,ちょっとこちらも御質問させていただきましたけれども,基本計画の策定までは至っていないんだけれども,その議論の行く途中に,まずはその日常生活用具における視覚障害者のポータブルレコーダーの枠を拡大するというふうなところで,あるところは1,2級だったものが3級にまで,あるところは6級全てに対象になるという拡大に至っているのが,計画として挙がってきております。
 非常に各団体,本当にいろいろ熱心に運動展開されておりますので,後々は基本計画策定の道についてもらえばいいなと私は思うんですけれども,まずはそういった取組を行ったというふうな形です。
 最後に,この研修に当たっては,文科省あるいは文化庁の著作権課の方に,研修のテーマに御説明をいただきまして,本当に感謝しております。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 続きまして,宇野委員,お願いいたします。
【宇野委員】  弱視者ネットの宇野です。私のほうは,資料に書かせていただいたとおり,講師依頼とか,シンポジウムでのパネリストの依頼に対応してきたということですので,資料をお読みいただければと思います。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,河村委員,お願いいたします。
【河村委員】  日本DAISYコンソーシアムは,国際DAISYコンソーシアムというDAISY規格を開発している団体の日本からの参加単位でございまして,密接に国際DAISYコンソーシアムと連携した規格レベルでの開発というものをやっております。
 その活動として,取組としましては,国際規格として,EPUBアクセシビリティ1.0というものが昨年成立し,その後,日本でのそれの適用ということで,JIS規格にする作業を,日本DAISYコンソーシアムとしては,全力を挙げて取り組んでまいりました。
 その結果,先日パブリックコメントが終わりまして,今年の,そうですね,8月,9月にはJIS規格として公開されるものと考えておりますが,EPUBのアクセシビリティというものが標準規格として,それもJISの規格として今回パブリッシュされますので,これを求心軸にして,何とか,先ほど植村先生のほうからお話がありました,出版界あるいは電子出版物の流通業界も一緒に,私どもとしては,読者にもアクセシブルでよいものになり,さらに書店,出版者にも,あるいは著者にも,みんなによい,三方よし,四方よしというものに,このJIS規格化というものが進んでいくきっかけになればと考えております。
 このJIS規格ができた後,これを実際に規格に合ったアクセシビリティが備えられているかどうかの検証,それから検証した結果,まだもうちょっとよくするところがあるといった場合には,それを支援する,アクセシブルにするための支援,そして,それを流通させていくという様々な関係者の御協力が必要になります。これは時間がかかることかと思いますけれども,一旦,方向が決まれば,規格ですので,最終的には,その方向で社会全体が動いていくという,そういう展望を持った取組が,今後このJIS規格化を境に取り組むことができるのではないかと思っております。
 以上が,この間の日本DAISYコンソーシアムとしての取組でございます。
【中野座長】  河村委員,どうもありがとうございました。とても有用な情報,助かります。
 続きまして,小池委員,お願いいたします。
【小池委員】  小池です。ありがとうございます。
 こういうところのメンバーに入れていただいているということで,ある図書館の実践みたいなことをちょっと今回は参考に御紹介できればなと思いまして,資料は用意いたしました。
 といっても,毎年,事業年報を作っておりまして,それをそのまま紹介しておりますので,後ほど見ていただければなと思っておりますけれども。
 図書館としては,様々な状況にある方へのサービスということで,その人に合ったというような対応を,この間ずっとしてきているということであります。
 例えば宅配といいまして,図書館に来館が困難な状況にある方への一般の資料も含めた宅配ということは行っておりますけれども。
 また録音図書等についても,傾向として,この図書館に来てというよりは,先ほどからありますように,サピエとか国会図書館とかからのサービスもありますので,そちらを御利用になっているということがどんどん多くなっているという報告にはなっております。
 課題としては,こういうことを担う,資料を製作することを担う方の養成というんでしょうかね,とか,あるいはスキルアップということが引き続き課題かなとなっております。
 また,先ほども途中であったかと思いますけど,こちらは一生懸命やっているつもりでも意外と知られていないということについての広報活動,しっかり引き続きやっていこうということが課題かなとなっております。
 資料,ちょっと膨大でありますので,後ほどまた見ていただければと思います。
 私からは以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。各地域でのこういった取組というのが広がっていくことがすごい大切かと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして,佐藤委員,お願いいたします。
【佐藤(髙橋委員代理)】  日本図書館協会の佐藤です。ありがとうございます。
 私どもとしましては,まず,その資料にありますけども,公共図書館の障害者サービスを進展させるための基本的な本を発行しております。『図書館利用に障害のある人々へのサービス 補訂版』というものを上下巻で発行いたしました。これは墨字,印刷資料のほかに,アクセシブルなEPUB版を発行しまして,これは,ちょっと出版社の方はあれかもしれないですけど,日本図書館協会も一応,出版物を出しておりまして,出版社のちょっとちっちゃい一つなんですけども,DRMをかけないアクセシブルなEPUB版というのを発行しました。例えば図とかにも説明が全部ついているような状態です。
 これでちょっと分かったことは,ビューアが,先ほどから論議がありましたけども,データをいろいろなビューアで読んでいくわけですけども,検証したわけですけども,実はデータがちゃんとしていても,ちゃんと読めないビューアが結構あるということが非常に分かりまして,やはりこの辺も大きな,まだ再生環境のほうが整っていないんだなということも明らかになったなと思っています。
 それから本は,『障害者サービスと著作権法』という本も第2版を出しておりまして,これはやはり墨字,印刷版とアクセシブルなEPUB版を両方発行しております。
 続きまして,今度,研修会とかですけども,先ほど国会図書館からも話がありましたけども,国会図書館と共催で,担当職員向けの障害者サービス担当職員向け講座を実施しました。
 それからまた別に,日図協のほうで,障害者サービス担当職員養成講座(中級)というのを実施しております。
 そのほか,全国の図書館等からたくさんの講師依頼がありまして,それらに対応しております。
 それから,ちょっと皆さんに御報告したいのが,(3)にある全国実態調査です。
 先ほど全視情協のほうからも実態調査の報告が川崎さんからありましたけども,そのほかにも,全公図と言われている全国公共図書館協議会というところですけども,そこが全国実態調査を行いました。これは全市区町村,県に対して行った調査で,これでも全国の状況が見えてきております。
 昨年度は,そういう重要な2つの実態調査があって,今年度それの分析とかを行っているということです。
 そのほか,近藤先生のチームの学校図書館の読書バリアフリーのコンソーシアムとか,いろいろな活動に参加をさせていただいております。
 あと,これからの話ですけども,図書館職員のスキルアップにこれらの研修会はつながっていますので,今後も研修会を実施していきたいと思っています。
 それから,特に今年度の課題といったところですけども,「障害者サービス基準」というのをつくっておりまして,どういうことをどういうふうにすれば障害者サービスをちゃんとやっていると言えるのかということを,指標も含めた基準というのを今,作成をしていて,10月の全国図書館大会で発表する予定です。
 それから,それともう一つ,この関係者協議会に主に関係あるところなんですけども,自治体の読書バリアフリー計画ですね。これを作成するための指針というか,ガイドラインのような資料を今,作成しております。遅いと言われています。全く申し訳ないんですけども。今,各地で読書バリアフリー計画が出されていることは,今日の文科省の報告からもあったわけですけども,残念ながら中身がいろいろだなというふうに私たちは思っておりまして,これに対して,こういうことはこのように入れようということを含めて,この項目はちゃんと入れようとか,そういう作成するための何か案内のようなものを,詳しいものを作成して,やはり10月の図書館大会で発表することで今,動いております。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。
 それでは,資料,最後,川崎委員,お願いいたします。
【川崎(竹下委員代理)】  全国視覚障害者情報提供施設協会,川崎です。竹下委員の,今日は代理ですけれども。
 先ほど調査研究事業のお話をさせていただいたんですが,私たちサピエを運営する団体として,やはりサピエをもっともっと知っていただかなきゃいけないというのを,この調査をしながら痛感をしております。
 視覚障害の方,利用者に対しても,まだまだ周知ができていない状況で,視覚障害以外の障害の皆さんに対しては,もう何をかいわんやの状況ですので,今回,この補助金を活用させていただきまして,PR動画を作成しました。今,暫定版がYouTubeで見られるようになっていますが,これはPR動画といいながら,詰め込み過ぎまして,21分もあるんですが,中途視覚障害の方,それからディスレクシアの方,それから見形委員にも出演をしていただきまして,非常に動画はいいものが出来上がっております。7月には当会のホームページで,またちゃんとした形で公開ができるように,今,準備を進めているところでございます。
 また,今年度は,全国で10施設,公募をしまして,今,まだまだ各都道府県レベルで差がありまして,公共図書館へ対しての,サピエを使ってどのように活用していいのかというような実習を交えた研修を,これ点字図書館の立場で,やらせていただこうかと思っています。
 公共図書館の皆さんは公共図書館,国会図書館を含めて,やっておられるんですけども,できれば地元の点字図書館が地元の公共図書館に対して,そういった研修を提供していくというような試みを,できれば今回10か所程度でできればいいなということで今,計画をこれから始めるところでございます。
 先ほどもありましたように,厚労省からのサピエ運営に対する補助金が増額をされて,私たちも,今まで個人会員,もうそろそろ2万人に達しようとしていますが,無料を前提にやってきましたが,サピエ協力金という形で要請をしないと,やっていけませんでした。
 今年度やっと,もう念願の,協力金を要請しなくても済むような予算を組むことができております。これも本当に皆様の御協力,御支援あってのことだと思いますので,今後もサピエの運営を,システム管理を担われておる,日本点字図書館とともに全視情協,頑張ってまいりたいと思いますので,どうぞまた御指導のほう,よろしくお願いいたします。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございます。
 DPIの見形委員から,チャットで御連絡をいただきました。読み上げさせていただきます。
 障害者団体の窓口は本当に必要だと思います。周知させていかないと意味がないですし,国立療養所に長期入院している筋ジス患者や団体に所属していない施設入所の重度障害者はまだまだ取り残されているので,今後,以前にも申し上げたかもしれませんが,広報していく方法を各省庁合わせて考えていただけると幸いですという御意見をいただきました。
 提供していただいた資料は以上でございましたが,そのほか,何か御発言がございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それぞれの今,当事者団体の皆様の活動というのは,国の様々な施策とともに両輪になるかなと思います。この読書バリアフリーを全国に広げていくという意味では,当事者団体の皆様の力というのは非常に重要かと思いますので,今後も引き続き活動をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは,議題の2は以上とさせていただきまして,最後,議題の3,その他についてなんですが,こちらで用意したものは特にはございません。これまでの報告,意見交換等を通じて,この場で発言しておきたいというようなことがございましたら,ちょっと時間限られておりますけれども,御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。
 それでは,御協力ありがとうございます。これで本日予定していた議事は全て終了となります。
 最後に,事務局より伝達事項等がございますので,事務局に進行を返させていただきたいと思います。事務局,お願いいたします。
【宮本障害者学習支援推進室室長補佐】  文部科学省,宮本でございます。本日は中野座長をはじめ御参加いただいた各委員の皆様,関係省庁の皆様,長時間にわたる会議,誠にありがとうございました。
 次回の関係者協議会の開催については,また事務局から日程調整をさせていただきますし,先ほどもワーキングをつくるとか,協議会を複数回開催するとか,いろいろな御意見もいただいておりましたので,その辺りを今後含めて検討させていただいて,また日程調整等々,こちらから必要があれば,させていただきたいと思いますので,その際は,どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からの事務連絡は以上でございますので,これで本日の会議は終了とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室)